(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ANGPTL8結合薬及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230608BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20230608BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230608BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230608BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230608BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230608BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230608BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230608BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230608BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230608BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230608BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230608BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20230608BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230608BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230608BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20230608BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/18 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P3/00
A61P3/04
A61P9/00
A61P3/10
A61P3/06
A61P1/18
A61P13/12
A61P5/14
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020524144
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 US2018059734
(87)【国際公開番号】W WO2019094533
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514002695
【氏名又は名称】エヌジーエム バイオファーマシューティカルス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チュ, チュン
(72)【発明者】
【氏名】ディン, シュンシャン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ジョンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】イン, イユアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャイ, ウェンウー
【審査官】藤山 純
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0037124(US,A1)
【文献】国際公開第2017/177181(WO,A1)
【文献】Fu, Z., et al.,A lipasin/Angptl8 monoclonal antibody lowers mouse serum triglycerides involving increased postprandial activity of the cardiac lipoprotein lipase,Sci Rep,5:18502,2015年12月21日,pp.1-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
C07K 16/18
C12N 15/63
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
A61K 39/395
A61P 3/00
A61P 3/04
A61P 9/00
A61P 3/10
A61P 3/06
A61P 1/18
A61P 13/12
A61P 5/14
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトANGPTL8に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
重鎖可変領域(VH
)及び
軽鎖可変領域(VL
)を含み、
(i)前記VHが、配列番号35のアミノ酸配列由来のVH
相補性決定領域(CDR
)1、VH CDR2及びVH CDR3を含み、前記VLが、配列番号36のアミノ酸配列由来のVL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む;
(ii)前記VHが、配列番号44のアミノ酸配列由来のVH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3を含み、前記VLが、配列番号45のアミノ酸配列由来のVL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む;または
(iii)前記VHが、配列番号56のアミノ酸配列由来のVH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3を含み、前記VLが、配列番号57のアミノ酸配列由来のVL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む、
抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記VHが、配列番号35のアミノ酸配列由来の前記VH CDR1、前記VH CDR2及び前記VH CDR3を含み、前記VLが、配列番号36のアミノ酸配列由来の前記VL CDR1、前記VL CDR2及び前記VL CDR3を含む、請求項
1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
(a)前記VH CDR1が配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号32のアミノ酸配列を含む;
(b)前記VH CDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号26のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号32のアミノ酸配列を含む;
(c)前記VH CDR1が配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号32のアミノ酸配列を含む;
(d)前記VH CDR1が配列番号14のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号23のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号27のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号
33のアミノ酸配列を含む;
(e)前記VH CDR1が配列番号15のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号24のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号28のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号31のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号34のアミノ酸配列を含む;または
(f)前記VH CDR1が配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号32のアミノ酸配列を含む、
請求項
2に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記VH CDR1が配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号21のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号32のアミノ酸配列を含む、請求項
2に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
(1)前記VHが、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(2)前記VHが、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(3)前記VLが、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(4)前記VLが、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(5)前記VHが、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、前記VLが、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(6)前記VHが、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、前記VLが、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(7)前記VHが、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する;
(8)前記VHが、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する;
(9)前記VLが、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する;
(10)前記VLが、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する;
(11)前記VHが、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記VLが、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する;または
(12)前記VHが、配列番号62のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有し、前記VLが、配列番号63のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する;
(13)前記VHが、配列番号35のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号36のアミノ酸配列を含む、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
ヒトANGPTL8に特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントであって、配列番号62のアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号63のアミノ酸配列を含むVLを含む、抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
(a)(1)前記VH CDR1が配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号37のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号38のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号41のアミノ酸配列を含む;
(2)前記VH CDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号39のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号26のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号41のアミノ酸配列を含む;
(3)前記VH CDR1が配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号37のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号38のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号41のアミノ酸配列を含む;
(4)前記VH CDR1が配列番号14のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号68のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号27のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号42のアミノ酸配列を含む;
(5)前記VH CDR1が配列番号15のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号69のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号40のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号31のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号43のアミノ酸配列を含む;もしくは
(6)前記VH CDR1が配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号38のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号25のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号41のアミノ酸配列を含む;または
(b)(1)前記VH CDR1が配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号46のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号52のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号41のアミノ酸配列を含む;
(2)前記VH CDR1が配列番号12のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号49のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号53のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号41のアミノ酸配列を含む;
(3)前記VH CDR1が配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号46のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号52のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号41のアミノ酸配列を含む;
(4)前記VH CDR1が配列番号14のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号50のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号54のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号42のアミノ酸配列を含む;
(5)前記VH CDR1が配列番号15のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号47のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号51のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号55のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号31のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号43のアミノ酸配列を含む;もしくは
(6)前記VH CDR1が配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR2が配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記VH CDR3が配列番号48のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR1が配列番号52のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR2が配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記VL CDR3が配列番号41のアミノ酸配列を含む、
請求項
1に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
(A)前記VHが、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(B)前記VHが、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(C)前記VLが、配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(D)前記VLが、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(E)前記VHが、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、前記VLが、配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(F)前記VHが、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、前記VLが、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(G)前記VHが、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(H)前記VHが、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(I)前記VLが、配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(J)前記VLが、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(K)前記VHが、配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、前記VLが、配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(L)前記VHが、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、前記VLが、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する;
(M)前記VHが、配列番号44のアミノ酸配列を含む;
(N)前記VHが、配列番号56のアミノ酸配列を含む;
(O)前記VLが、配列番号45のアミノ酸配列を含む;
(P)前記VLが、配列番号57のアミノ酸配列を含む;
(Q)前記VHが、配列番号44のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号45のアミノ酸配列を含む;または
(R)前記VHが、配列番号56のアミノ酸配列を含み、前記VLが、配列番号57のアミノ酸配列を含む、
請求項1
または7に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fv、scFv、(scFv)
2、一本鎖抗体、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体、V領域、二重特異性抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体からなる群より選択される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
(I)配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖;
(II)配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖;
(III)配列番号64のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖、及び配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖;
(IV)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖;または
(V)配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む抗体である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトANGPTL8に特異的に結合する抗体。
【請求項12】
検出可能なマーカーまたは細胞傷害剤にコンジュゲートしており、必要に応じて前記検出可能なマーカーが、放射性同位元素、金属キレート剤、酵素、蛍光化合物、生物発光化合物、及び化学発光化合物からなる群より選択される、請求項1~
10のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11に記載の抗体。
【請求項13】
(aa)ANGPTL8のアンタゴニストである;
(bb)ANGPTL8活性を阻害する;
(cc)トリグリセリドレベルを低下させる;
(dd)LDLコレステロールレベルを低下させる;または
(ee)HDLコレステロールレベルを増加させる、
請求項1~
10及び
12のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11もしくは
12に記載の抗体。
【請求項14】
請求項1~
10、
12及び
13のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11~
13のいずれか1項に記載の抗体、ならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~
10、
12及び
13のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11~
13のいずれか1項に記載の抗体をコードする、単離ポリヌクレオチド(複数可)。
【請求項16】
請求項
15に記載のポリヌクレオチド(複数可)を含むベクター(複数可)。
【請求項17】
請求項1~
10、
12及び
13のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11~
13のいずれか1項に記載の抗体を産生する、請求項
15に記載のポリヌクレオチド(複数可)
または請求項
16に記載のベクター(複数可)を含む単離細胞。
【請求項18】
請求項1~
10、
12及び
13のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11~
13のいずれか1項に記載の抗体を作製する方法であって、請求項
17に記載の細胞を、前記抗体またはその抗原結合フラグメントの発現を導く条件下で培養すること、及び前記抗体またはその抗原結合フラグメントを単離することを含む、方法。
【請求項19】
前記抗体を滅菌医薬組成物に製剤化することをさらに含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
上昇したトリグリセリドレベルを有する対象のトリグリセリドレベルを低下させることにおいて使用するための、請求項1~
10、
12及び
13のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11~
13のいずれか1項に記載の抗体を含む医薬組成物。
【請求項21】
対象におけるトリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害の処置において使用するための、請求項1~
10、
12及び
13のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11~
13のいずれか1項に記載の抗体を含む医薬組成物。
【請求項22】
前記疾患または障害が、メタボリックシンドローム、肥満症、糖尿病、心血管疾患、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、肝疾患、膵炎、腎臓病、または甲状腺機能低下症である、請求項
21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
対象におけるHDLコレステロールレベルを増加させること、または対象におけるLDLコレステロールレベルを低下させることにおいて使用するための、請求項1~
10、
12及び
13のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項
11~
13のいずれか1項に記載の抗体を含む医薬組成物。
【請求項24】
前記抗体またはその抗原結合フラグメントが、1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて投与するためのものである、請求項
20~
23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記1つ以上の追加の治療薬が、フィブラート、スタチン、オメガ-3脂肪酸、及びナイアシンからなる群より選択される、請求項
24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記対象がヒトである、請求項
20~
25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
この出願は、全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年11月10日に出願された米国シリアル番号62/584,637の優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は一般に、アンジオポエチン様タンパク質8(ANGPTL8)と結合する薬剤、特に、ヒトANGPTL8と結合する抗体、ならびに薬剤を使用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
アンジオポエチン様タンパク質8(ANGPTL8)は、トリグリセリド及びグルコース代謝の両方に関与しているANGPTLファミリーのメンバーである。ANGPTL8はさらに、ベータトゥロフィン、リパシン(lipasin)、TD26、RIFL(再給餌誘発性脂肪及び肝臓タンパク質)、ならびにC19orf80として文献で言及される。ANGPTL8は、肝臓により且つ白色脂肪組織で産生され、血液中を循環する。ANGPTL8は、脂肪組織への脂肪酸の食後の輸送のメディエーター及び食後のグルコース代謝の制御因子と考えられるが、その作用機序は、不明のままである。ANGPTL8の過剰発現は、トリグリセリド値の上昇と関連している。(例えば、Santulli G,2014,Frontiers in Endocrinology,5:1-6;Zhang R and Abou-Samra AB,2014,Cardiovascular Diabetology,13:133を参照のこと)。
【0004】
血中トリグリセリドレベルの上昇及び高トリグリセリド血症は、心臓血管疾患の重要な要因である。トリグリセリドレベルの上昇は、心疾患のヒトの全体的なリスクを増加させる状態の兆候及び要因でもあり得、これらの状態は、肥満症、メタボリックシンドローム、過剰な体脂肪、高血圧、高血糖、及び異常なコレステロールレベルを含んでもよい。加えて、高トリグリセリドレベルは、管理が不十分な2型糖尿病、甲状腺機能低下症、肝疾患、腎臓病、及び遺伝的代謝障害を有する対象の健康状態の低下にも寄与する。さらに関連状態の処置を複雑にし、トリグリセリドレベルの上昇は、日常的に製剤化される薬物療法、例えば、ベータ遮断薬、避妊薬、利尿薬、ステロイド、及びタモキシフェンなどの特定のがん処置、の一般的な副作用である。
対象のトリグリセリドレベルの上昇を低減させ得る利用可能な治療法は存在するが、トリグリセリドレベルの上昇を効果的に低減させる新しい薬剤が必要とされる。加えて、トリグリセリドレベルの上昇、高LDLコレステロールレベル、及び/または低HDLコレステロールレベルに関連する様々な疾患及び障害の処置の方法に使用され得る薬剤が必要とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Santulli G,2014,Frontiers in Endocrinology,5:1-6
【文献】Zhang R and Abou-Samra AB,2014,Cardiovascular Diabetology,13:133
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ANGPTL8に結合及び/または相互作用する薬剤を提供する。薬剤は、ANGPTL8と特異的に結合する抗体などのポリペプチドを含んでもよく、これらに限定されない。そのような薬剤は、ANGPTL8、ANGPTL8フラグメント、ANGPTL8ペプチド、及び/またはANGPTL8エピトープと結合し得る。これらの薬剤は、本明細書では「ANGPTL8結合薬」と呼ばれてもよい。いくつかの実施形態では、薬剤は、ANGPTL8アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、薬剤は、ANGPTL8アゴニストである。本開示は、薬剤を使用する方法を提供する。いくつかの実施形態では、薬剤は、トリグリセリドレベルを低下させるために使用される。いくつかの実施形態では、薬剤は、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、高トリグリセリド血症、メタボリックシンドローム、アテローム性動脈硬化症、肥満症、糖尿病、甲状腺機能低下症、急性膵炎、肝疾患、または腎疾患を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、薬剤は、HDLコレステロールレベルを増加させるために使用される。いくつかの実施形態では、薬剤は、LDLコレステロールレベルを低下させるために使用される。いくつかの実施形態では、薬剤は、少なくとも1つの追加の治療薬と組み合わせて使用される。
【0007】
本開示は、本明細書に記載の薬剤を含む医薬組成物などの組成物も提供する。薬剤をコードするポリヌクレオチド及び/またはベクター、ならびに薬剤を作製する方法も提供される。本明細書に記載の薬剤を含むまたは産生する細胞、ならびに本明細書に記載のポリヌクレオチド及び/またはベクターを含む細胞が提供される。
【0008】
一態様では、本開示は、ANGPTL8と結合する薬剤を提供する。いくつかの実施形態では、薬剤は、ヒトANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、薬剤は、カニクイザル(「cyno」)ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、薬剤は、ヒトANGPTL8及びcyno ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、薬剤は、抗体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、ヒトANGPTL8と結合する抗体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、cyno ANGPTL8と結合する抗体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、ヒトANGPTL8及びcyno ANGPTL8と結合する抗体である。いくつかの実施形態では、薬剤は、ヒトANGPTL8と結合し、且つマウスANGPTL8と結合しない抗体である。
【0009】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトANGPTL8のN末端領域と特異的に結合し、N末端領域は、配列番号1のアミノ酸25~60を含み、抗体は、対象の(i)トリグリセリドレベルを低下させ、(ii)LDL-コレステロールを低下させ、及び/または、(iii)HDL-コレステロールを増加させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトANGPTL8と特異的に結合し、(a)GYTFTDYTIH(配列番号11)を含む重鎖CDR1;重鎖WFYPGSDNIKX1NX2KFX3D(式中、X1は、YまたはFであり、X2は、AまたはEであり、X3は、KまたはRである)(配列番号58)を含む鎖CDR2;及びHEAX1X2X3YDVAWFAX4(式中、X1は、FまたはYであり、X2は、SまたはYであり、X3は、YまたはVであり、X4は、YまたはNである)(配列番号59)を含む重鎖CDR3;及び/または、(b)X1SSQSLVHSNGNTX2LH(式中、X1は、RまたはSであり、X2は、YまたはFである)(配列番号60)を含む軽鎖CDR1;TVSNRFS(配列番号29)を含む軽鎖CDR2;及びSQX1THFPYT(式中、X1は、TまたはSである)(配列番号61)を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号16、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号21、22、23、または24を含む重鎖CDR3、ならびに、(b)配列番号25、26、27、または28を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号32、33、または34を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号37、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号38、39、68、または69を含む重鎖CDR3、ならびに、(b)配列番号25、26、27、または40を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号46、17、18、47、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号48、49、50、または51を含む重鎖CDR3、ならびに、(b)配列番号52、53、54、または55を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、(a)重鎖FR1、重鎖FR2、重鎖FR3、及び重鎖FR4;及び/または、(b)軽鎖FR1、軽鎖FR2、軽鎖FR3、及び軽鎖FR4、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号35、44、56、または62と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域;及び/または、(b)配列番号36、45、57、または63と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号35と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号36と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号44と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号45と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号56と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号57と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号62と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号63と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号35を含む重鎖可変領域、及び配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号44を含む重鎖可変領域及び配列番号45を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号56を含む重鎖可変領域及び配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号62を含む重鎖可変領域及び配列番号63を含む軽鎖可変領域を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)配列番号35を含む重鎖可変領域及び配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む1E5と呼ばれる抗体;(b)配列番号62を含む重鎖可変領域及び配列番号63を含む軽鎖可変領域を含むHz1E5と呼ばれる抗体;(c)配列番号44を含む重鎖可変領域及び配列番号45を含む軽鎖可変領域を含む1E9と呼ばれる抗体;または、(d)配列番号56を含む重鎖可変領域及び配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む1A8と呼ばれる抗体、由来の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、及び/または軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号35を含む重鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに配列番号36を含む軽鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号62を含む重鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに配列番号63を含む軽鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号44を含む重鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに配列番号45を含む軽鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号56を含む重鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに配列番号57を含む軽鎖可変領域由来のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントは、(a)表1~3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;及び/または、(b)表1~3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、配列番号64の重鎖及び/または配列番号65の軽鎖を含む。
【0014】
本開示の別の態様では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8への結合について参照抗体と競合し、参照抗体は、(a)GYTFTDYTIH(配列番号11)を含む重鎖CDR1;重鎖WFYPGSDNIKX1NX2KFX3D(式中、X1は、YまたはFであり、X2は、AまたはEであり、X3は、KまたはRである)(配列番号58)を含む鎖CDR2;及びHEAX1X2X3YDVAWFAX4(式中、X1は、FまたはYであり、X2は、SまたはYであり、X3は、YまたはVであり、X4は、YまたはNである)(配列番号59)を含む重鎖CDR3;及び/または、(b)X1SSQSLVHSNGNTX2LH(式中、X1は、RまたはSであり、X2は、YまたはFである)(配列番号60)を含む軽鎖CDR1;TVSNRFS(配列番号29)を含む軽鎖CDR2;及びSQX1THFPYT(式中、X1は、TまたはSである)(配列番号61)を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、参照抗体により認識されるANGPTL8上のエピトープと結合し、参照抗体は、(a)GYTFTDYTIH(配列番号11)を含む重鎖CDR1;重鎖WFYPGSDNIKX1NX2KFX3D(式中、X1は、YまたはFであり、X2は、AまたはEであり、X3は、KまたはRである)(配列番号58)を含む鎖CDR2;及びHEAX1X2X3YDVAWFAX4(式中、X1は、FまたはYであり、X2は、SまたはYであり、X3は、YまたはVであり、X4は、YまたはNである)(配列番号59)を含む重鎖CDR3;及び/または、(b)X1SSQSLVHSNGNTX2LH(式中、X1は、RまたはSであり、X2は、YまたはFである)(配列番号60)を含む軽鎖CDR1;TVSNRFS(配列番号29)を含む軽鎖CDR2;及びSQX1THFPYT(式中、X1は、TまたはSである)(配列番号61)を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体はさらに、(a)重鎖可変領域FR1、重鎖可変領域FR2、重鎖可変領域FR3、及び重鎖可変領域FR4、ならびに、(b)軽鎖可変領域FR1、軽鎖可変領域FR2、軽鎖可変領域FR3、及び軽鎖可変領域FR4、を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、参照抗体は、(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号16、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号21、22、23、または24を含む重鎖CDR3、ならびに、(b)配列番号25、26、27、または28を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号32、33、または34を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号37、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号38、39、68、または69を含む重鎖CDR3、ならびに、(b)配列番号25、26、27、または40を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号46、17、18、47、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号48、49、50、または51を含む重鎖CDR3、ならびに、(b)配列番号52、53、54、または55を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体はさらに、(a)重鎖可変領域FR1、重鎖可変領域FR2、重鎖可変領域FR3、及び重鎖可変領域FR4、ならびに、(b)軽鎖可変領域FR1、軽鎖可変領域FR2、軽鎖可変領域FR3、及び軽鎖可変領域FR4、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、参照抗体は、配列番号25、44、56、または62を含む重鎖可変領域;及び配列番号26、45、57、または63を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、配列番号25を含む重鎖可変領域及び配列番号26を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、配列番号44を含む重鎖可変領域及び配列番号45を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、配列番号56を含む重鎖可変領域及び配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、配列番号62を含む重鎖可変領域及び配列番号63を含む軽鎖可変領域を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、参照抗体は、ANGPTL8のN末端領域と結合し、N末端領域は、配列番号3を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、ANGPTL8のN末端領域と結合し、N末端領域は、配列番号6を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、ANGPTL8のN末端領域と結合し、N末端領域は、配列番号7を含む。いくつかの実施形態では、参照抗体は、ANGPTL8のN末端領域と結合し、N末端領域は、配列番号8を含む。
【0018】
上述の態様及び実施形態のそれぞれのいくつかの実施形態、ならびに本明細書に記載の他の態様及び実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗体フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、(scFv)2、一本鎖抗体、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体、V領域、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。
【0019】
上述の態様及び実施形態のそれぞれのいくつかの実施形態、ならびに本明細書に記載の他の態様及び実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントは、検出可能なマーカーと結合している。いくつかの実施形態では、検出可能なマーカーは、放射性同位元素、金属キレート剤、酵素、蛍光化合物、生物発光化合物、及び化学発光化合物から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントは、細胞傷害剤にコンジュゲートされている。
【0021】
上述の態様及び実施形態のそれぞれのいくつかの実施形態、ならびに本明細書に記載の他の態様及び実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8のアンタゴニストである。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8レベルを低減または減少させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8活性を阻害する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、リポタンパク質リパーゼ(LPL)活性を調節する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、LPL活性を増加または増強する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、トリグリセリドレベルを低下または低減させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、LDLコレステロールレベルを低下または低減させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、HDLコレステロールレベルを増加させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、トリグリセリドレベルを低下させ、HDLコレステロールレベルを増加させる。
【0022】
上述の態様及び実施形態のそれぞれのいくつかの実施形態、ならびに本明細書に記載の他の態様及び実施形態では、本明細書に記載の薬剤は、ANGPTL8と特異的に結合して、(i)対象のトリグリセリドレベルを低下させ;(ii)対象のHDLコレステロールレベルを増加させ;及び/または(iii)対象のLDLコレステロール値を低下させる。
【0023】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を含む組成物を提供する。本明細書に記載のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を含む組成物を使用する方法も提供される。
【0024】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0025】
上述の態様のそれぞれのいくつかの実施形態、ならびに本明細書に記載の他の態様及び/または実施形態では、ANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)が単離される。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、実質的に純粋である。
【0026】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離される。いくつかの実施形態では、ベクターは、本明細書に記載のANGPTL8結合薬をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、本明細書に記載ANGPTL8結合薬をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、単離された細胞は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を含むか、または産生する細胞も提供する。いくつかの実施形態では、細胞は、モノクローナル細胞株である。いくつかの実施形態では、細胞は、ハイブリドーマである。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載の抗ANGPTL8抗体を産生する。いくつかの実施形態では、トランスジェニック動物は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を産生する。
【0027】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の抗体が結合すると本質的に同じANGPTL8上のエピトープに結合する結合薬を提供する。いくつかの実施形態では、結合薬は、本明細書に記載の抗ANGPTL8抗体またはその抗原結合フラグメントを含むヘテロ二量体分子である。いくつかの実施形態では、結合薬は、表1~3に示されるCDRのうちの1つ以上を含む足場タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、結合薬は、競合的結合アッセイにおけるANGPTL8への結合について、本明細書に記載の抗ANGPTL8抗体のうちの1つ以上と競合する。
【0028】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を使用する方法を提供する。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルを有する対象のトリグリセリドレベルを低下させる方法は、本明細書に記載の治療的有効量のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を処置する方法は、本明細書に記載の治療的有効量のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、メタボリックシンドローム、肥満症、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、高脂血症、高トリグリセリド血症、膵炎、腎疾患、肝疾患、または甲状腺
機能低下症である。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルは、上昇した血漿トリグリセリドレベルである。当業者らは一般に、「正常な」血漿トリグリセリドレベルを150mg/dL未満であると考える。いくつかの実施形態では、上昇した血漿トリグリセリドレベルは、150mg/dL以上である。いくつかの実施形態では、上昇した血漿トリグリセリドレベルは、約150~約200mg/dLである。いくつかの実施形態では、上昇した血漿トリグリセリドレベルは、約200~約500mg/dLである。いくつかの実施形態では、上昇した血漿トリグリセリドレベルは、約500mg/dL以上である。いくつかの実施形態では、対象にANGPTL8結合薬を投与した後、上昇したトリグリセリドレベルは、薬剤の投与前の対象のトリグリセリドレベルと比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、約10~15%、約10~20%、約20~30%、または25%超低減する。
【0029】
いくつかの実施形態では、対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法は、本明細書に記載の治療的有効量のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルを低減させる方法は、本明細書に記載の治療的有効量のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を対象に投与することを含む。
【0030】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象は、メタボリックシンドロームを有するか、メタボリックシンドロームと診断されているか、メタボリックシンドロームの症状を有するか、またはメタボリックシンドロームを発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、高脂血症もしくは脂質異常症を有するか、高脂血症もしくは脂質異常症と診断されているか、高脂血症もしくは脂質異常症の症状を有するか、または、高脂血症もしくは脂質異常症を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、心血管疾患を有するか、心血管疾患と診断されているか、心血管疾患の症状を有するか、または心血管疾患を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病(例えば、2型糖尿病)を有するか、糖尿病(例えば、2型糖尿病)と診断されているか、糖尿病(例えば、2型糖尿病)の症状を有するか、または糖尿病(例えば、2型糖尿病)を発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、過体重もしくは肥満であるか、または過体重もしくは肥満になるリスクがある。
【0031】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の追加の治療剤を投与される。いくつかの実施形態では、追加の治療薬(複数可)は、フィブラート、スタチン、オメガ-3脂肪酸、及びナイアシンからなる群より選択される。
【0032】
トリグリセリドレベルを低下させるための薬品の製造における、本明細書に記載のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)の使用も本明細書に開示される。トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害を処置するための薬品の製造における、本明細書に記載のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)の使用。HDLコレステロールレベルを増加させるための薬品の製造における、本明細書に記載のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)の使用。LDLコレステロールレベルを低下させるための薬品の製造における、本明細書に記載のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)の使用。
【0033】
上述の態様及び実施形態のそれぞれのいくつかの実施形態、ならびに本明細書に記載の他の態様及び実施形態では、対象は、ヒトである。
【0034】
本開示の態様または実施形態がマーカッシュグループまたは代替のその他のグループに関して説明される場合、本開示は、全体として記載されるグループ全体だけでなく、それぞれ、グループの各メンバー及び主要なグループの可能な全てのサブグループも包含し、主要なグループは、グループメンバーのうちの1つ以上が存在しない。本開示は、特許請求された開示におけるグループメンバーのいずれかのうちの1つ以上の明示的な例外も想定する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】例示的抗ANGPTL8抗体のアミノ酸配列のアラインメントである。コンセンサスCDR配列との重鎖可変領域配列アラインメントである。
【
図1B】例示的抗ANGPTL8抗体のアミノ酸配列のアラインメントである。コンセンサスCDR配列との軽鎖可変領域配列アラインメントである。
【
図2A】ヒトANGPTL8欠失多様体V2~V5の代表的な図である。
【
図2B】ヒトANGPTL8を発現するrAAV、または多様体V2、V3、V4、及びV5のうちの1つが注射されたマウスの血漿トリグリセリドレベルである。対照動物に対照rAAVを注射した。
【
図3】ヒトANGPTL8を発現するrAAVを注射され、且つ抗hANGPTL8抗体で処置されたマウスの血漿トリグリセリドレベルである。対照動物に、(i)hANGPTL8を発現するrAAVを注射して、抗体処置をしないか;(ii)hANGPTL8を発現するrAAVを注射して、対照抗KLH抗体で処置したか;または、(iii)GFPを発現するrAAVを注射した。
【
図4】NusA-hANGPTL8融合タンパク質に対する1E5抗体の結合親和性測定である。
【
図5A】ヒトSE1ペプチドに対するキメラ1E5抗体及びヒト化抗体Hz1E5の結合親和性測定である。
【
図5B】ヒトANGPTL8を発現するrAAVを注射し、且つ抗hANGPTL8抗体、(i)ハイブリドーマ由来の親1E5、(ii)キメラ抗体1E5、または(iii)ヒト化抗体Hz1E5、で処置したマウスの血漿トリグリセリドレベルである。対照動物に、(i)hANGPTL8を発現するrAAVを注射し、対照抗KLH抗体で処置するか、または、(ii)GFPを発現するrAAVを注射した。
【
図6A】抗hANGPTL8抗体Hz1E5またはビヒクル対照で処置されたカニクイザルの血漿トリグリセリドレベルである。
【
図6B】抗hANGPTL8抗体Hz1E5またはビヒクル対照で処置されたカニクイザルの血漿トリグリセリドレベルである。
図6Bは、抗hANGPTL8抗体Hz1E5またはビヒクル対照で処置されたカニクイザルの血漿HDLコレステロールレベルである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は、ANGPTL8と結合する、限定されないが、抗体などのポリペプチドを含む新規の薬剤を提供する。ANGPTL8結合薬は、ポリペプチド、抗体、足場タンパク質、及びヘテロ二量体分子を含むが、これらに限定されない。ANGPTL8結合薬は、ANGPTL8活性のアンタゴニスト及び/またはANGPTL8活性を調節する薬剤を含むが、これらに限定されない。関連ポリペプチド、ポリヌクレオチド、薬剤を含む組成物、及び薬剤を作製する方法も提供される。ANGPTL8関連障害または疾患を処置する方法などの、新規薬剤を使用する方法が提供される。上昇したトリグリセリドレベルを低下させる方法、HDLコレステロールレベルを増加させる方法、及び/またはLDLコレステロールレベルを低下させる方法も提供される。
【0037】
I.定義
本明細書で別途定義されない限り、本説明で使用される技術用語及び科学用語は、当業者らにより一般に理解されている意味を有する。本明細書を解釈するために、用語の以下の説明が適用されることになり、適切な時はいつでも、単数形で使用される用語は、複数及びその逆も含むであろう。記載の用語の任意の説明が、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書と矛盾する場合、以下に記載の用語の説明が、優先されるものとする。
【0038】
本明細書で使用される「結合薬」という用語は、特定の抗原または標的(例えば、ANGPTL8)と結合する分子を指す。結合薬は、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、または低分子量化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、結合薬は、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、結合薬は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、結合タンパク質は、代替タンパク質足場または人工足場及びCDRまたはCDR誘導体を含む抗原結合部位を含む。いくつかの実施形態では、結合タンパク質は、抗原結合部位を含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、結合タンパク質は、少なくとも1つの抗原結合部位を含む二重特異性または多重特異性分子である。
【0039】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、少なくとも1つの抗原結合部位を介して標的を認識して結合する免疫グロブリン分子を指す。「抗体」は、本明細書では最も広い意味で使用され、所望の抗原結合活性を示す限り、限定されないが、ポリクローナル抗体、組み換え抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ダイアボディ、トリボディ、テトラボディ、一本鎖Fv(scFv)抗体、及び抗体フラグメントを含む種々の抗体構造を包含する。
【0040】
「インタクト抗体」または「全長抗体」という用語は、天然の抗体構造と実質的に類似する構造を有する抗体を指す。これは、可変領域及び軽鎖定常領域(CL)をそれぞれ含む2つの軽鎖、ならびに、可変領域及び少なくとも重鎖定常領域CH1、CH2、及びCH3をそれぞれ含む2つの重鎖を含む抗体を含む。
【0041】
本明細書で使用される「抗体フラグメント」という用語は、抗体の一部、一般に、抗原結合部位を含むインタクト抗体以外の分子を指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、Fd、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、ダイアボディ、トリボディ、テトラボディ、ミニボディ、デュアル可変ドメイン抗体(DVD)、単一可変ドメイン抗体、及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書で使用される「可変領域」という用語は、抗原への抗体の結合に関与する抗体軽鎖の領域または抗体重鎖の領域を指す。抗体重鎖及び抗体軽鎖の可変領域は、類似の構造を有し、一般に、4つのフレームワーク領域及び3つの相補性決定領域(CDR)(超可変領域としても知られる)を含む。
【0043】
「フレームワーク領域」という用語は、可変領域内のCDR残基以外のアミノ酸残基を指す。フレームワーク領域(FR)は一般に、4つのドメイン、FR1、FR2、FR3、及びFR4を含む。
【0044】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、単一の抗原決定基またはエピトープの非常に特異的な認識及び結合に関与する実質的に均質な抗体集団を指す。集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である。「モノクローナル抗体」という用語は、無傷及び全長のモノクローナル抗体ならびに抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(scFv)抗体、抗体フラグメントを含む融合タンパク質、及び抗原結合部位を含む他の任意の改変免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、限定されないが、ハイブリドーマ産生、ファージライブラリーディスプレイ、組み換え発現、及びトランスジェニック動物を含む任意数の技術により作製されたそのような抗体を指す。
【0045】
「キメラ抗体」という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の供給源または種に由来するが、重鎖及び/または軽鎖の残りが異なる供給源または種に由来する抗体を指す。
【0046】
本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト種(例えば、ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類、由来の対応するCDRの残基により置き換えられているヒト免疫グロブリン(例えば、レシピエント抗体)を含むキメラ抗体を指し、ドナー抗体は、所望の特異性、親和性、及び/または活性を有する。一部の場合では、ヒト免疫グロブリンの1つ以上のフレームワーク領域残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体には見られない残基を含み得る。これらの改変は、さらに、抗体特性を改善及び/または最適化するために行われてもよい。ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンのものに対応する全てまたは実質的に全てのCDR、及びヒト免疫グロブリンのものに対応する全てまたは実質的に全てのフレームワーク領域を含む可変領域を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常は、ヒト免疫グロブリンのものを含むであろう。
【0047】
本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒトにより産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体及び/またはヒト抗体を作製するための当業者らに既知の技術のいずれかを使用して作製されている抗体を指す。これらの技術は、ファージディスプレイライブラリー、酵母ディスプレイライブラリー、トランスジェニック動物、及びB細胞ハイブリドーマ技術を含むが、これらに限定されない。
【0048】
「エピトープ」及び「抗原決定基」という用語は、本明細書では互換的に使用され、特定の抗体により認識及び結合することが可能な抗原または標的のその部分を指す。抗原または標的がポリペプチドである場合、エピトープは、タンパク質の3次折り畳みにより並置される隣接するアミノ酸及び非隣接アミノ酸の両方から形成することができる。隣接するアミノ酸から形成されるエピトープ(線状エピトープとも呼ばれる)は通常、タンパク質変性時に保持されるが、3次折り畳みにより形成されるエピトープ(コンフォメーションエピトープとも呼ばれる)は通常、タンパク質の変性時に失われる。エピトープは通常、ユニークな空間的立体配座で、少なくとも3つの、より一般に、少なくとも5、6、7、または8~10のアミノ酸を含む。一部の場合では、X線結晶学は、標的タンパク質の潜在的なエピトープを予測するために使用される。一部の場合では、X線結晶学は、抗原/抗体複合体のアミノ酸残基相互作用を分析することにより、標的タンパク質上のエピトープを特性決定するために使用される。
【0049】
本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、代替物質よりも、特定の抗原、エピトープ、タンパク質、または標的分子と、より頻繁に、より迅速に、より長い期間で、より大きな親和性で、または上記のいくつかの組み合わせで、相互作用する薬剤(例えば、抗体)を指す。いくつかの実施形態では、抗原(例えば、ヒトANGPTL8)と特異的に結合する薬剤(例えば、抗体)は、関連抗原(例えば、cyno ANGPTL8)と結合し得る。抗原と特異的に結合する抗体は、例えば、イムノアッセイ、ELISA、BIACOREアッセイ、または当業者らに既知の他の技術により同定することができる。
【0050】
「ポリペプチド」及び「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、線状または分枝状であってよく、それは、改変アミノ酸を含んでもよく、それは、非アミノ酸により中断されてもよい。用語は、自然にまたは介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または他の任意の操作もしくは改変、により改変されているアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、限定されないが、非天然アミノ酸を含むアミノ酸の1つ以上のアナログ、及び当該技術分野で既知の他の改変を含有するポリペプチドも定義に含まれる。本開示のポリペプチドが抗体に基づいてもよいので、「ポリペプチド」という用語は、2つの以上の関連鎖の一本鎖及びポリペプチドとしてポリペプチドを包含すると理解される。
【0051】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」及び「核酸分子」という用語は、本明細書では互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらのアナログ、あるいはDNAまたはRNAポリメラーゼによりポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。
【0052】
2つ以上の核酸またはポリペプチドとの関連における「同一である」またはパーセント「同一性」という用語は、任意の保存的アミノ酸置換を配列同一性の一部として考慮せずに、最大の一致を得るために、比較及びアライン(必要に応じて、ギャップを導入)される時、同じであるヌクレオチドもしくはアミノ酸残基の特定の割合を有する2つ以上の配列または部分配列を指す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを使用して、または目視検査により測定されてもよい。アミノ酸またはヌクレオチド配列のアラインメントを得るために使用され得る種々のアルゴリズム及びソフトウェアは、当該技術分野で周知である。これらは、BLAST、ALIGN、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Package、及びそれらの変形を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示の2つの核酸またはポリペプチドは、実質的に同一であり、それらが、配列比較アルゴリズムを使用して、または目視検査により測定された、最大の一致を得るために比較及びアラインされる時、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、いくつかの実施形態では、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一性を有することを意味する。いくつかの実施形態では、同一性は、長さが、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約40~60のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基、少なくとも約60~80のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基、またはその間の任意の整数値である配列の領域にわたって存在する。いくつかの実施形態では、同一性は、60~80のヌクレオチドまたはアミノ酸残基、例えば、少なくとも約80~100のヌクレオチドまたはアミノ酸残基よりも長い領域にわたって存在し、いくつかの実施形態では、配列は、比較される配列、例えば、(i)ヌクレオチド配列のコード領域、または、(ii)アミノ酸配列、の全長にわたって実質的に同一である。
【0053】
本明細書で使用される「保存的アミノ酸置換」という用語は、1つのアミノ酸残基が類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置き換えられる置換を指す。塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは一般に、当該技術分野では、定義されている。例えば、チロシンとのフェニルアラニンの置換は、保存的置換であると考えられる。一般に、ポリペプチド及び/または抗体の配列における保存的置換は、標的結合部位へのポリペプチドまたは抗体の結合を無効にしない。結合を除外しないヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当該技術分野で周知である。
【0054】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、宿主細胞中で、1つ以上の目的の遺伝子(複数可)または配列(複数可)を送達し、通常、発現することが可能な構築物を意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、ネイキッドDNAもしくはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド、またはファージベクター、陽イオン凝集剤と関連するDNAまたはRNA発現ベクター、及びリポソーム中にカプセル化されたDNAまたはRNA発現ベクターが挙げられ、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、天然には見られない形態であるポリペプチド、可溶性タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物を指す。「単離された」抗体は、それが由来する細胞源由来の物質を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、単離されたポリペプチド、可溶性タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、それらがもはや天然に見られる形態ではない程度に精製されているものである。いくつかの実施形態では、単離されるポリペプチド、可溶性タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、実質的に純粋である。ポリペプチド、可溶性タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、天然の供給源から、または操作された細胞株などの供給源から単離されてもよい。
【0056】
本明細書で使用される「実質的に純粋な」という用語は、少なくとも50%純粋な(すなわち、汚染物質がない)、少なくとも90%純粋な、少なくとも95%純粋な、少なくとも98%純粋な、または少なくとも99%純粋な材料を指す。
【0057】
「対象」という用語は、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウサギ、齧歯動物などを含む任意の動物(例えば、哺乳動物)を指し、これは、処置または療法のレシピエントになる。一般に、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では、ヒト対象に関して互換的に使用される。
【0058】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、ヒトを含む動物に使用される際に、規制機関により承認されるか、もしくは承認見込みの、または米国薬局方、欧州薬局方、もしくは他の一般に認められた薬局方に記載される、物質を指す。
【0059】
本明細書で使用される「薬学的に許容される賦形剤、担体、もしくはアジュバント」または「許容される薬学的担体」という用語は、少なくとも1つの治療薬(例えば、抗体)と共に対象に投与することができる賦形剤、担体、またはアジュバントを指し、これは、治療薬の薬理学的活性を破壊しない。一般に、当業者ら及び米国FDAは、薬学的に許容される賦形剤、担体、またはアジュバントを、任意の製剤の不活性成分であると考える。
【0060】
本明細書で使用される「医薬製剤」という用語は、薬剤(例えば、抗体)の生物学的活性を有効にするような形態である調製物を指す。医薬製剤は一般に、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、緩衝液などの追加の構成成分を含む。
【0061】
本明細書で使用される「有効量」または「治療的有効量」という用語は、対象の疾患、障害もしくは状態及び/または症状の重症度及び/または持続時間を低減させ及び/または改善するのに十分な薬剤(例えば、抗体)の量を指す。用語は、(i)所与の疾患、障害、もしくは状態の前進もしくは進行の低減もしくは改善、(ii)所与の疾患、障害、もしくは状態の再発、発生、もしくは発症の低減もしくは改善、及び/または(iii)別の薬剤もしくは療法(例えば、本明細書で提供される結合薬以外の薬剤)の防止もしくは治療効果(複数可)の改善もしくは増強、に必要な薬剤の量も包含する。
【0062】
本明細書で使用される「治療効果」という用語は、対象の疾患、障害、もしくは状態及び/または症状の重症度及び/または持続時間を低減させ及び/または改善する薬剤(例えば、抗体)の効果及び/または能力を指す。用語は、(i)所与の疾患、障害、もしくは状態の前進もしくは進行を低減させるかもしくは改善する、(ii)所与の疾患、障害、もしくは状態の再発、発生、もしくは発症を低減させるかもしくは改善する、及び/または、(iii)別の薬剤または療法(例えば、本明細書で提供される結合薬以外の薬剤)の防止または治療効果(複数可)を改善または増強する、薬剤の能力も包含する。
【0063】
本明細書で使用される「処置する」もしくは「処置」もしくは「治療するための」もしくは「処置する」または「緩和する」もしくは「緩和」もしくは「緩和すること」もしくは「緩和するための」という用語は、(1)病的状態または障害の進行の治癒、遅延、症状の軽減、及び/または停止を目的とする治療手段、ならびに、(2)標的とされた病的状態または障害の発生の予防または遅延を目的とする予防または防止手段、の両方を指す。従って、処置を必要とする者は、すでに障害を有する者、障害を有する/発生するリスクのある者、及び障害を予防すべき者を含む
【0064】
本明細書で使用される「予防する」または「予防」または「予防すること」という用語は、対象の疾患、障害、もしくは状態、またはそれらの症状の発生、再発、発症、または拡大の部分的または全体的な阻害を指す。
【0065】
本明細書で使用される「防止薬」という用語は、対象の疾患、障害、もしくは状態、またはそれらの症状の発生、再発、発症、または拡大を部分的または全体的に阻害することができる薬剤を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」の値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーターに関する実施形態を含む(且つ説明される)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。
【0067】
本明細書で使用される「実質的に全て」という用語は、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%を指す。
【0068】
本開示及び特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、文脈に別途明示のない限り複数形を含む。
【0069】
実施形態が用語「含むこと」で本明細書に記載される場合、「からなる」及び/または「から本質的になる」という用語に記載の他の点で類似の実施形態も提供されると理解される。さらに、実施形態が「から本質的になる」という用語で本明細書に記載される場合、「からなる」に関して記載される他の点で類似の実施形態も提供されると理解される。
【0070】
本明細書では「A及び/またはB」などの用語で使用される「及び/または」という用語は、A及びBの両方;AまたはB;A(単独);ならびにB(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」などの用語で使用される「及び/または」という用語は、以下の実施形態:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、ならびにC(単独)、のそれぞれを包含することが意図される。
【0071】
II.ANGPTL8結合薬
アンジオポエチン様タンパク質8(ANGPTL8)は、アンジオポエチンと構造的に類似しているタンパク質のファミリーに属し、アンジオポエチン様タンパク質またはANGPTLと呼ばれる。現在まで、ANGPTLファミリーは、ANGPTL1~ANGPTL8の8つのタンパク質を含む。ANGPTLタンパク質は、類似の生物学的構造を有し、一般にアミノ末端コイルドコイルドメイン、リンカー領域、及びカルボキシル末端フィブリノゲン様ドメインを含有する。ファミリーの他のメンバーとは対照的に、ANGPTL8は、フィブリノゲン様ドメインを有さない。ヒトANGPTL8(UniProtKB番号Q6UXH0)、カニクイザル(「cyno」)ANGPTL8(NCBI参照番号XP_005588064.1)、及びマウスANGPTL8(UniProtKB番号Q8R1L8)のアミノ酸(aa)配列はそれぞれ、本明細書では、配列番号1、配列番号9、及び配列番号10として提供される。本明細書で使用される場合、ANGPTL8のアミノ酸位置への言及は、シグナル配列を含むアミノ酸配列の番号付けを指す。
【0072】
本開示は、ANGPTL8と結合する薬剤を提供する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ANGPTL8のフラグメントと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ANGPTL8の特定の領域内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ANGPTL8上のエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、マウスANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、cyno ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8及びcyno ANGPTL8と結合する。
【0073】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8のアミノ酸22~83及び/またはcyno ANGPTL8のアミノ酸22~83内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8のアミノ酸84~138及び/またはcyno ANGPTL8のアミノ酸84~138内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8のアミノ酸139~198及び/またはcyno ANGPTL8のアミノ酸139~198内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8のアミノ酸25~60及び/またはcyno ANGPTL8のアミノ酸25~60内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8のアミノ酸22~46及び/またはcyno ANGPTL8のアミノ酸22~46内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8のアミノ酸32~46及び/またはcyno ANGPTL8のアミノ酸32~46内と結合する。
【0074】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号1のアミノ酸22~83内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号1のアミノ酸84~138内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号1のアミノ酸139~198内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号1のアミノ酸25~60内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号1のアミノ酸22~46内と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号1のアミノ酸32~46内と結合する。
【0075】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号2内のアミノ酸を含むエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号3内のアミノ酸を含むエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号4内のアミノ酸を含むエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号5内のアミノ酸を含むエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号6内のアミノ酸を含むエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号7内のアミノ酸を含むエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号8内のアミノ酸を含むエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号3内の少なくとも1つのアミノ酸と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号4内の少なくとも1つのアミノ酸と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号5内の少なくとも1つのアミノ酸と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号6内の少なくとも1つのアミノ酸と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号7内の少なくとも1つのアミノ酸と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、配列番号8内の少なくとも1つのアミノ酸と結合する。
【0076】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、組み換え抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG2抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、IgG4抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、抗原結合部位を含む抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗体は、二重特異性抗体または多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、一価抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、単一特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、二価抗体である。
【0077】
いくつかの実施形態では、抗体は、単離される。いくつかの実施形態では、抗体は、実質的に純粋である。
【0078】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ポリクローナル抗体である。ポリクローナル抗体は、任意の既知の方法で調製することができる。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体は、複数の皮下または腹腔内注射を使用して、動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス、ヤギ、ロバ)を、目的の抗原(例えば、精製ペプチドフラグメント、組み換えタンパク質、または融合タンパク質)で免疫することにより生成される。いくつかの実施形態では、抗原は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシチログロブリン、または大豆トリプシン阻害薬などの担体にコンジュゲートされている。抗原(担体タンパク質の有無にかかわらず)は、安定したエマルションを形成するために、滅菌生理食塩水で希釈され、通常は、アジュバント(例えば、完全または不完全Freundアジュバント)と組み合わされる。十分な期間の後、ポリクローナル抗体は、免疫された動物から、通常は、血液または腹水から回収される。ポリクローナル抗体は、限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、及び透析を含む当該技術分野の標準的方法に従って、血清または腹水から精製することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、当業者に既知のハイブリドーマ法を使用して調製される。例えば、ハイブリドーマ法を使用して、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、または他の適切な宿主動物は、免疫抗原と特異的に結合する抗体の産生を誘発するために上記のように免疫される。いくつかの実施形態では、リンパ球は、in vitroで免疫される。いくつかの実施形態では、免疫抗原は、ヒトタンパク質またはそのフラグメントである。いくつかの実施形態では、免疫抗原は、マウスタンパク質またはそのフラグメントである。
【0080】
免疫後、リンパ球は、単離され、例えば、ポリエチレングリコールを使用して、好適な骨髄腫細胞株と融合される。ハイブリドーマ細胞は、当該技術分野で既知の特殊培地を使用して選択され、未融合のリンパ球及び骨髄腫細胞は、選択プロセスの後には存続しない。選択された抗原に対して特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、限定されないが、免疫沈降、免疫ブロッティング、ならびにin vitro結合アッセイ(例えば、フローサイトメトリー、FACS、ELISA、及びラジオイムノアッセイ)を含む様々な方法により同定することができる。所望の特異性、親和性、及び/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定されると、クローンは、限界希釈法によりサブクローニングされてもよい。ハイブリドーマは、標準的方法を使用してin vitro培養でまたは動物の腹水腫瘍としてin vivoでのいずれかで増殖させることができる。モノクローナル抗体は、限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、及び透析を含む当該技術分野の標準的方法に従って、培地または腹水から精製することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、当業者に既知の組み換えDNA技術を使用して作製される。例えば、モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを使用するRT-PCRで、成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から単離され、それらの配列は、標準的技術を使用して決定される。次に、重鎖及び軽鎖をコードする単離ポリヌクレオチドは、他の方法で免疫グロブリンタンパク質を生成しないE.coli、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされた時に、モノクローナル抗体を産生する好適な発現ベクターにクローニングされる。
【0082】
いくつかの実施形態では、組み換えモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、所望の種の可変ドメインまたはCDRを発現するファージディスプレイライブラリーから単離される。ファージライブラリーのスクリーニングは、当該技術分野で既知の種々の技術で達成することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、代替抗体を生成するために、例えば、組み換えDNA技術を使用することにより改変される。いくつかの実施形態では、例えば、マウスモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖の定常ドメインは、キメラ抗体を生成するために、例えば、ヒト抗体の、定常領域と置換されるか、または、融合抗体を生成するために、非免疫グロブリンポリペプチドと置換される。いくつかの実施形態では、定常領域は、モノクローナル抗体の所望の抗体フラグメントを生成するためにトランケートまたは除去される。可変領域(複数可)の部位特異的または高密度変異導入は、例えば、モノクローナル抗体の特異性及び親和性を最適化するために、使用することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒト化抗体である。ヒト化抗体を生成するための種々の方法が、当該技術分野で既知である。いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入されている1つ以上のアミノ酸残基を含む。これらの非ヒトアミノ酸残基は多くの場合、通常「インポート」可変ドメインから取得される「インポート」残基と呼ばれる。いくつかの実施形態では、ヒト化は、1つ以上の非ヒトCDR配列をヒト抗体の対応するCDR配列で置換することにより実施される。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、親非ヒト抗体(例えば、齧歯動物)の6つ全てのCDRのアミノ酸配列がヒト抗体フレームワークにグラフトされるCDRグラフトにより構築される。
【0085】
これはヒト重鎖可変領域及び/またはヒト化抗体を生成する際に使用される軽鎖可変領域の選択は、様々な要因に基づいて及び様々な方法により行うことができる。いくつかの実施形態では、非ヒト(例えば、齧歯動物)抗体の可変領域の配列が、既知のヒト可変領域配列のライブラリー全体に対してスクリーニングされる場合、「ベストフィット」法が使用される。齧歯動物配列の配列に最も類似するヒト配列は、ヒト化抗体のヒト可変領域フレームワークとして選択される。いくつかの実施形態では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定の可変領域フレームワークが選択される方法が使用される。いくつかの実施形態では、フレームワークは、最も豊富なヒトサブクラスのコンセンサス配列に由来する。いくつかの実施形態では、ヒト生殖系列遺伝子は、可変領域フレームワーク配列の供給源として使用される。
【0086】
ヒト化のための他の方法は、「スーパーヒト化」と呼ばれる方法を含むが、これらに限定されず、これは、ヒトの生殖系列フレームワークへのCDRの直接移入、「抗体ヒト性」の尺度に基づくヒトストリング含有量(HSC)と呼ばれる方法、ヒト化多様体(ファージ、リボソーム、及び酵母ディスプレイライブラリーを含む)の大きなライブラリーの生成に基づく方法、ならびに、フレームワーク領域のシャッフリングに基づく方法として記載される。
【0087】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の種々の技術を使用して直接調製することができる。いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、in vitroで免疫された不死化ヒトBリンパ球から生成される。いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、免疫された個体から単離されたリンパ球から生成される。いずれの場合も、標的抗原に対する抗体を産生する細胞を生成及び単離することができる。いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、ファージライブラリーから選択され、そのファージライブラリーは、ヒト抗体を発現する。あるいは、ファージディスプレイ技術は、免疫されていないドナー由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子レパートリーから、ヒト抗体及び抗体フラグメントをin vitroで生成するために、使用されてもよい。抗体ファージライブラリーの生成及び使用のための技術は、当該技術分野で周知である。抗体が同定されると、限定されないが、鎖シャッフリング及び部位特異的変異導入を含む当該技術分野で既知の親和性成熟方策は、より高い親和性のヒト抗体を生成するために用いられてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含有するトランスジェニックマウスで産生される。免疫時に、これらのマウスは、内因性の免疫グロブリン産生がなくても、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生することが可能である。
【0089】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原またはエピトープを認識及び結合することが可能である。異なるエピトープは、同じ分子(例えば、ANGPTL8上の2つのエピトープ)内、または異なる分子(例えば、ANGPTL8上の1つのエピトープ及び異なる標的上の1つのエピトープ)上のいずれかに存在し得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、個々の抗体または複数の抗体の組み合わせと比較して有効性を増強している。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、個々の抗体または複数の抗体の組み合わせと比較して毒性を低減させている。任意の治療薬がユニークな薬物動態(PK)(例えば、循環半減期)を有し得ることが、当業者らに知られている。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの個々の結合薬が異なるPKプロファイルを有する2つの活性結合薬のPKを同期させる能力を有する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、対象の共通領域(例えば、組織)に2つの薬剤の作用を集中させる能力を有する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの薬剤の作用を共通の標的(例えば、特定の細胞型)に集中させる能力を有する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの薬剤の作用を複数の生物学的経路または機能に標的化する能力を有する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの異なる細胞を標的とし、それらを互いに接近させる能力を有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、毒性及び/または副作用を減少させる。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの個々の抗体の混合物または単剤としての抗体と比較して、毒性及び/または副作用を減少させている。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、増加した治療指数を有する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの個々の抗体の混合物または単剤としての抗体と比較して増加した治療指数を有する。
【0091】
二重特異性抗体を作製するためのいくつかの技術が、当業者らに既知である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つの重鎖間の界面の一部であるアミノ酸の改変を有する重鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ノブイントゥホール(KIH)方策を使用して生成される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、重鎖間にジスルフィド結合を形成することが不可能な多様性ヒンジ領域を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、変化した静電相互作用をもたらすアミノ酸の変化を伴う重鎖を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、変化した疎水性/親水性相互作用をもたらすアミノ酸の変化を伴う重鎖を含む。
【0092】
二重特異性抗体は、インタクト抗体または抗原結合部位を含む抗体フラグメントであり得る。
【0093】
3つ以上の価数を有する抗体も考えられる。例えば、三重特異性または四重特異性抗体を調製することができる。従って、いくつかの実施形態では、ANGPTL8に対する抗体は、多重特異性である。
【0094】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ANGPTL8と結合する抗体である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒトANGPTL8と結合する抗体である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、cyno ANGPTL8と結合する抗体である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ヒト及びcyno ANGPTL8と結合する抗体である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、マウスANGPTL8と結合する抗体である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ANGPTL8の一部またはフラグメントと結合する抗体である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ANGPTL8ペプチドと結合する抗体である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、SE1ペプチドと結合する抗体である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、ANGPTL8エピトープと結合する抗体である。
【0095】
いくつかの実施形態では、結合薬は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つの1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む抗ANGPTL8抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体またはその抗原結合フラグメントは、(i)表1~3の1、2、及び/またはは3つの重鎖CDR、及び/または、(ii)表1~3の1、2、及び/または3つの軽鎖CDRを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントは、表1の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ならびに軽鎖CDR1、CDR2、CDR3を含む。いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントは、表2の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ならびに軽鎖CDR1、CDR2、CDR3を含む。いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントは、表3の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ならびに軽鎖CDR1、CDR2、CDR3を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表3-1】
【表3-2】
【0097】
CDRは、当業者らにより様々な方法/システムにより定義される。これらのシステム及び/または定義は、長年にわたって開発及び改良されており、Kabat、Chothia、IMGT、AbM、及び「接触」を含む。Kabatの定義は、配列の変動性に基づき、一般に、最もよく使用される。Chothiaの定義は、構造ループ領域の位置に基づく。IMGTシステムは、可変ドメインの構造内の配列可変性及び位置に基づく。AbMの定義は、Kabat及びChothiaの折衷案である。「接触」の定義は、利用可能な抗体の結晶構造の分析に基づく。表1~3に含まれる例示的なシステムは、Kabat及びChothiaの組み合わせである。これらの種々の定義及び番号付けシステムの比較が以下に示される。これらはまた、
図1に示され、これは、例示的な抗体の可変領域配列アラインメントを示す。
【表A】
【0098】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、(a)表1の重鎖CDR1、表1の重鎖CDR2、及び表1の重鎖CDR3;及び/または、(b)表1の軽鎖CDR1、表1の軽鎖CDR2、及び表1の軽鎖CDR3、を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号16、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2;及び、配列番号21、22、23、または24を含む重鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体はさらに、配列番号25、26、27、または28を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び、配列番号32、33、または34を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号25、26、27、または28を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び、配列番号32、33、または34を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号16、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2;配列番号21、22、23、または24を含む重鎖CDR3;配列番号:25、26、27、または28を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び配列番号32、33、または34を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号11を含む重鎖CDR1;配列番号16を含む重鎖CDR2;配列番号21を含む重鎖CDR3;配列番号25を含む軽鎖CDR1;配列番号29を含む軽鎖CDR2;及び配列番号32を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号13を含む重鎖CDR1;配列番号16を含む重鎖CDR2;配列番号21を含む重鎖CDR3;配列番号25を含む軽鎖CDR1;配列番号29を含む軽鎖CDR2;及び配列番号32を含む軽鎖CDR3を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、(a)配列番号11、12、13、14、15を含む重鎖CDR1または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号16、17、18、19、20を含む重鎖CDR2または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号21、22、23、24を含む重鎖CDR3または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号25、26、27、28を含む軽鎖CDR1または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号29、30、31を含む軽鎖CDR2または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;及び配列番号32、33、34を含む軽鎖CDR3または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、置換は、ヒト化プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、生殖系列ヒト化プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、親和性成熟プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、最適化プロセスの一部として行われる。
【0101】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、(a)表2の重鎖CDR1、表2の重鎖CDR2、及び表2の重鎖CDR3;及び/または、(b)表2の軽鎖CDR1、表2の軽鎖CDR2、及び表2の軽鎖CDR3、を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号37、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2;及び、配列番号38、39、68、または69を含む重鎖CDR3、を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体はさらに、配列番号25、26、27、または40を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び、配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号25、26、27、または40を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び、配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号37、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2;配列番号38、39、68、または69を含む重鎖CDR3;配列番号:25、26、27、または40を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号11を含む重鎖CDR1;配列番号37を含む重鎖CDR2;配列番号38を含む重鎖CDR3;配列番号25を含む軽鎖CDR1;配列番号29を含む軽鎖CDR2;及び配列番号41を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号13を含む重鎖CDR1;配列番号37を含む重鎖CDR2;配列番号38を含む重鎖CDR3;配列番号25を含む軽鎖CDR1;配列番号29を含む軽鎖CDR2;及び配列番号41を含む軽鎖CDR3を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、(a)配列番号11、12、13、14、15を含む重鎖CDR1または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号37、17、18、19、20を含む重鎖CDR2または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号38、39、68、69を含む重鎖CDR3または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号25、26、27、40を含む軽鎖CDR1または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号29、30、31を含む軽鎖CDR2または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;及び配列番号41、42、43を含む軽鎖CDR3または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、置換は、ヒト化プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、生殖系列ヒト化プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、親和性成熟プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、最適化プロセスの一部として行われる。
【0104】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、(a)表3の重鎖CDR1、表3の重鎖CDR2、及び表3の重鎖CDR3;及び/または、(b)表3の軽鎖CDR1、表3の軽鎖CDR2、及び表3の軽鎖CDR3、を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号46、17、18、47、または20を含む重鎖CDR2;及び配列番号48、49、50、51を含む重鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体はさらに、配列番号52、53、54、または55を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び、配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号52、53、54、または55を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び、配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号46、17、18、47、または20を含む重鎖CDR2;配列番号48、49、50、または51を含む重鎖CDR3;配列番号:52、53、54、または55を含む軽鎖CDR1;配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号11を含む重鎖CDR1;配列番号46を含む重鎖CDR2;配列番号48を含む重鎖CDR3;配列番号52を含む軽鎖CDR1;配列番号29を含む軽鎖CDR2;及び配列番号41を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号13を含む重鎖CDR1;配列番号46を含む重鎖CDR2;配列番号48を含む重鎖CDR3;配列番号52を含む軽鎖CDR1;配列番号29を含む軽鎖CDR2;及び配列番号41を含む軽鎖CDR3を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、(a)配列番号11、12、13、14、15を含む重鎖CDR1または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号46、17、18、47、20を含む重鎖CDR2または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号48、49、50、51を含む重鎖CDR3または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号52、53、54、55を含む軽鎖CDR1または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;配列番号29、30、31を含む軽鎖CDR2または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体;及び配列番号41、42、43を含む軽鎖CDR3または1、2、3、もしくは4つのアミノ酸置換を含むその多様体を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、保存的置換である。いくつかの実施形態では、置換は、ヒト化プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、生殖系列ヒト化プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、親和性成熟プロセスの一部として行われる。いくつかの実施形態では、置換は、最適化プロセスの一部として行われる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCDRを含む抗体またはその抗原結合フラグメントはさらに、(a)重鎖FR1、重鎖FR2、重鎖FR3、及び重鎖FR4;及び/または、(b)軽鎖FR1、軽鎖FR2、軽鎖FR3、及び軽鎖FR4、を含む。
【0108】
本明細書に記載の例示的抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列アラインメントを調製した。これは、
図1に示される。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、GYTFTDYTIH(配列番号11)を含む重鎖CDR1;WFYPGSDNIKX
1NX
2KFX
3D(式中、X
1は、YまたはFであり、X
2は、AまたはEであり、X
3は、KまたはRである)(配列番号58)を含む重鎖CDR2;HEAX
1X
2X
3YDVAWFAX
4(式中、X
1は、FまたはYであり、X
2は、SまたはYであり、X
3は、YまたはVであり、X
4は、YまたはNである)(配列番号59)を含む重鎖CDR3;X
1SSQSLVHSNGNTX
2LH(式中、X
1は、RまたはSであり、X
2は、YまたはFである)(配列番号60)を含む軽鎖CDR1;TVSNRFS(配列番号29)を含む軽鎖CDR2;及びSQX
1THFPYT(式中、X
1は、TまたはSである)(配列番号61)を含む軽鎖CDR3を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、配列番号35、配列番号44、もしくは配列番号56と少なくとも約80%の配列同一性を有する重鎖可変領域、及び/または、配列番号36、配列番号45、もしくは配列番号57と少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号35と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号44と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号56と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号36と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号45と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号57と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号35、配列番号44、もしくは配列番号56と少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、及び/または、配列番号36、配列番号45、もしくは配列番号57と少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号35、配列番号44、もしくは配列番号56を含む重鎖可変領域、及び/または、配列番号36、配列番号45、もしくは配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号35、配列番号44、または配列番号56を含む重鎖可変領域、及び、配列番号36、配列番号45、または配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号35、配列番号44、または配列番号56から本質的になる重鎖可変領域、及び、配列番号36、配列番号45、または配列番号57から本質的になる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号35、配列番号44、または配列番号56からなる重鎖可変領域、及び、配列番号36、配列番号45、または配列番号57からなる軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号35を含む重鎖可変領域及び配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号44を含む重鎖可変領域及び配列番号45を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号56を含む重鎖可変領域及び配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8と特異的に結合する抗体は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つのヒト化バージョンまたはヒト化多様体を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、(a)表1の重鎖CDR1、表1の重鎖CDR2、及び表1の重鎖CDR3;及び/または、(b)表1の軽鎖CDR1、表1の軽鎖CDR2、及び表1の軽鎖CDR3、を含むヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、(a)表2の重鎖CDR1、表2の重鎖CDR2、及び表2の重鎖CDR3;及び/または、(b)表2の軽鎖CDR1、表2の軽鎖CDR2、及び表2の軽鎖CDR3、を含むヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、(a)表3の重鎖CDR1、表3の重鎖CDR2、及び表3の重鎖CDR3;ならびに/または、(b)表3の軽鎖CDR1、表3の軽鎖CDR2、及び表3の軽鎖CDR3、を含むヒト化抗体である。
【0111】
いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号62と少なくとも約80%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号63と少なくとも約80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号62と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域、及び配列番号63と少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域、を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号62を含む重鎖可変領域及び配列番号63を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、配列番号64を含む重鎖及び配列番号65を含む軽鎖を含む。
【0112】
ヒトANGPTL8への結合について、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントのうちの1つ以上と競合する抗体が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書に記載の抗体のうちの1つが結合するのと同じエピトープと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書に記載の抗体のうちの1つが結合するエピトープと重複するエピトープと結合する。本明細書に記載の抗体が結合するのと同じエピトープと競合するか、または結合する抗体及び抗原結合フラグメントは、類似の機能特性を示すことが想定される。
【0113】
本明細書に記載の抗体及びその抗原結合フラグメントは、表1~3に提供されるCDRのうちの1、2、3、4、5、及び/または6つを含むものを含む。本明細書に記載の抗体及び抗原結合フラグメントは、表1~3に提供される重鎖可変領域及び/または軽鎖可変領域を含むものを含む。具体的であるが非限定例として、本明細書で提供される抗体は、(a)表1~3に提供されるCDRのうちの1、2、3、4、5、または6つ全て;(b)表1~3に提供されるものから選択される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域;または、(c)表1~3に提供されるような重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む2つの軽鎖及び2つの重鎖、を含む抗体と競合するものを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8への結合について、本明細書に記載の抗ANGPTL8抗体と競合する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8への結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、(a)GYTFTDYTIH(配列番号11)を含む重鎖CDR1;WFYPGSDNIKX1NX2KFX3D(式中、X1は、YもしくはFであり、X2は、AもしくはEであり、X3は、KもしくはRである)(配列番号58)を含む重鎖CDR2;及びHEAX1X2X3YDVAWFAX4(式中、X1は、FもしくはYであり、X2は、SもしくはYであり、X3は、YもしくはVであり、X4は、YもしくはNである)(配列番号59)を含む重鎖CDR3;ならびに/または、(b)X1SSQSLVHSNGNTX2LH(式中、X1は、RもしくはSであり、X2は、YもしくはFである)(配列番号60)を含む軽鎖CDR1;TVSNRFS(配列番号29)を含む軽鎖CDR2;及びSQX1THFPYT(式中、X1は、TもしくはSである)(配列番号61)を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8への結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号16、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2;配列番号21、22、23、または24を含む重鎖CDR3;配列番号25、26、27、または28を含む軽鎖CDR1;配列番号:29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び配列番号32、33、または34を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8への結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号37、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2;配列番号38、39、68、または69を含む重鎖CDR3;配列番号25、26、27、または40を含む軽鎖CDR1;配列番号:29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8への結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1;配列番号46、17、18、47、または20を含む重鎖CDR2;配列番号48、49、50、または51を含む重鎖CDR3;配列番号52、53、54、または55を含む軽鎖CDR1;配列番号:29、30、または31を含む軽鎖CDR2;及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ANGPTL8への結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、(a)配列番号35、44、56、または62を含む重鎖可変領域、及び、(b)配列番号36、45、57、または63を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ANGPTL8への特異的結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、配列番号35を含む重鎖可変領域及び配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ANGPTL8への特異的結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、配列番号44を含む重鎖可変領域及び配列番号45を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ANGPTL8への特異的結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、配列番号56を含む重鎖可変領域及び配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、ANGPTL8への特異的結合について、参照抗体と競合し、参照抗体は、配列番号62を含む重鎖可変領域及び配列番号63を含む軽鎖可変領域を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のANGPTL8結合薬は、定常領域のうちの少なくとも1つ以上が改変されるか、または欠失している抗体(例えば、全長抗体またはその抗原結合フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、3つの重鎖定常領域(CH1、CH2、もしくはCH3)のうちの1つ以上及び/または軽鎖定常領域(CL)に対する改変を含んでもよい。いくつかの実施形態では、改変抗体の重鎖定常領域は、少なくとも1つのヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態では、改変抗体の重鎖定常領域は、複数のヒト定常領域を含む。いくつかの実施形態では、定常領域に対する改変は、1つ以上の領域における1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の領域が、改変抗体の定常領域から部分的または完全に欠失している。いくつかの実施形態では、CH2ドメイン全体が、抗体から除去されている(ΔCH2構築物)。いくつかの実施形態では、欠失した定常領域は、定常領域がないことにより通常付与される分子柔軟性のいくつかを提供する短いアミノ酸スペーサーで置き換えられる。いくつかの実施形態では、改変抗体は、抗体のヒンジ領域に直接融合されるCH3ドメインを含む。いくつかの実施形態では、改変抗体は、ヒンジ領域と改変CH2及び/またはCH3ドメインとの間に挿入されるペプチドスペーサーを含む。
【0117】
抗体の定常領域(複数可)は、いくつかのエフェクター機能を媒介することが当該技術分野で既知である。例えば、補体のC1成分が、(抗原と結合している)IgG抗体またはIgM抗体のFc領域と結合すると、補体系が活性化される。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン化及び溶解に重要である。補体の活性化はまた、炎症反応を刺激し、自己免疫過敏症に関与し得る。加えて、抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)を発現する細胞と結合し得る。IgG(ガンマ受容体)、IgE(イプシロン受容体)、IgA(アルファ受容体)、及びIgM(ミュー受容体)を含む異なるクラスの抗体に特異的な多数のFc受容体が存在する。細胞表面のFc受容体への抗体の結合は、抗体でコーティングされた粒子の取り込み及び破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体でコーティングされた標的細胞の溶解(抗体依存性細胞傷害性またはADCCと呼ばれる)、炎症性メディエーターの放出、胎盤移行、及び免疫グロブリン産生の制御を含む多数の重要で多様な生物学的応答を引き起こす。
【0118】
いくつかの実施形態では、改変抗体は、エフェクター機能の変化を提供し、それにより、投与された抗体の生物学的プロファイルに影響を与える。例えば、いくつかの実施形態では、定常領域の(点変異または他の手段による)欠失または不活化は、循環改変抗体のFc受容体結合を低減し得る。いくつかの実施形態では、定常領域改変は、抗体の血清半減期を増加させる。いくつかの実施形態では、定常領域改変は、抗体の血清半減期を低減させる。いくつかの実施形態では、定常領域改変は、抗体のADCC及び/または補体依存性細胞傷害(CDC)を減少または除去する。例えば、対応するIgG2残基またはIgG4残基を有するヒトIgG1 Fc領域における特定のアミノ酸置換は、改変抗体におけるエフェクター機能(例えば、ADCC及びCDC)を低減させ得る。従って、いくつかの実施形態では、抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有さない。いくつかの実施形態では、抗体は、ADCC活性及び/またはCDC活性を有さない。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体及び/または補体因子と結合しない。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能(複数可)を有さない。いくつかの実施形態では、定常領域は、ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を除外するように改変される。いくつかの実施形態では、定常領域は、例えば、1つ以上の細胞毒素または炭水化物結合部位を提供するために1つ以上のアミノ酸を付加/置換するように改変される。
【0119】
本明細書に記載の抗体の定常領域への改変は、周知の生化学的または分子工学技術を使用して行われてもよい。いくつかの実施形態では、抗体多様体は、適正なヌクレオチド変化をコード化DNAに導入することにより、及び/または所望の抗体もしくはポリペプチドの合成により調製することができる。この点で、改変抗体の構造、結合活性、及び他の所望の特性を実質的に維持しながら、特定の配列または領域により提供される活性またはエフェクター機能を破壊することが可能であり得る。
【0120】
さらに、本開示は、本明細書に記載の組み換え、モノクローナル、キメラ、ヒト化、及びヒト抗体、またはそれらの抗体フラグメントに実質的に相同である追加の多様体及び同等物を包含する。いくつかの実施形態では、抗体の結合親和性を改善することが望ましいことがある。いくつかの実施形態では、限定されないが、特異性、熱安定性、発現レベル、エフェクター機能(複数可)、グリコシル化、免疫原性、または溶解性を含む抗体の他の生物学的特性を調節することが望ましいことがある。アミノ酸の変化が、グリコシル化部位の数もしくは位置の変化または膜アンカー特性の変化などの抗体の翻訳後プロセスを変化させ得ると、当業者らは理解するであろう。
【0121】
変化は、天然の抗体またはポリペプチド配列と比較してアミノ酸配列の変化をもたらす抗体またはポリペプチドをコードする1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失、または挿入であり得る。アミノ酸置換は、類似した構造及び/または化学的特性を有する別のアミノ酸と、1つのアミノ酸を置換した結果、例えば、セリンとのロイシンの置換、例えば、保存的アミノ酸置換、であり得る。挿入または欠失は、任意に、約1~5つのアミノ酸の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、置換、欠失、または挿入は、親分子と比較して、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、または2未満のアミノ酸置換を含む。生物学的に有用な及び/または関連するアミノ酸配列の変化は、配列への挿入、欠失、または置換を体系統的に行うことにより、及び親タンパク質と比較して、活性について得られる多様性タンパク質を試験することにより決定されてもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、多様体は、抗体またはポリペプチドのアミノ末端及び/またはカルボキシル末端でのアミノ酸残基の付加を含んでもよい。追加のアミノ酸残基の長さは、1残基~100残基以上の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、多様体は、N末端メチオニル残基を含む。いくつかの実施形態では、多様体は、追加のポリペプチド/タンパク質、すなわち、融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、多様体は、検出可能であるように操作され、検出可能な標識及び/またはタンパク質(例えば、酵素)を含んでもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗体の適切なコンフォメーションの維持に関与しないシステイン残基は、抗体の特性を調節するために、例えば、酸化安定性を改善し、及び/または異常なジスルフィド架橋を予防するために置換または欠失されていてもよい。逆に、いくつかの実施形態では、1つ以上のシステイン残基は、安定性を改善するために、ジスルフィド結合(複数可)を作成するように付加されてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、「脱免疫化」されている。抗体の脱免疫は一般に、抗体の結合親和性または他の所望の活性を著しく低減させることなく、T細胞エピトープを除去するために、特定のアミノ酸変異(例えば、置換、欠失、付加)を導入することからなる。
【0125】
本明細書に記載の多様性抗体またはポリペプチドは、限定されないが、部位特異的変異導入、アラニンスキャニング変異導入、及びPCR変異導入を含む当該技術分野で既知の方法を使用して生成されてもよい。
【0126】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の結合薬は、化学的に改変される。いくつかの実施形態では、結合薬は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、及び/または細胞リガンドもしくは他のタンパク質への結合により化学的に改変されている抗体である。多数の化学的改変のいずれも、既知の技術により実行され得る。
【0127】
本開示は、非免疫グロブリン骨格上に構築された結合薬を包含し、薬剤は、本明細書に開示の抗ANGPTL8抗体が結合するのと同じエピトープまたは本質的に同じエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、非免疫グロブリンベースの結合薬は、競合結合アッセイにおいて本明細書に記載の抗ANGPTL8抗体と競合する薬剤である。いくつかの実施形態では、代替の結合薬は、足場タンパク質を含む。一般に、足場タンパク質は、バックボーンの構造に基づいて3つのグループ、(1)αヘリックスからなる足場;(2)2次構造がほとんどない、またはαヘリックス及びβシートの不規則な構造を有する小さな足場;ならびに、(3)主にβシートからなる足場、のうちの1つに割り当てることができる。足場タンパク質は、リポカリン足場に基づくアンチカリン;ヒトフィブロネクチン3型の10番目のドメインに基づくアドネクチン;Staphylococcus aureusタンパク質AのIg結合領域におけるBドメインに基づくアフィボディ;アンキリンリピートドメインタンパク質に基づくダーピン;ヒトFynプロテインキナーゼのSH3ドメインに基づくフィノマー;Sulfolobus acidocaldarius由来のSac7dに基づくアフィチン;ヒトγ-B-クリスタリンまたはヒトユビキチンに基づくアフィリン;膜受容体タンパク質のAドメインに基づくアビマー;安定した30アミノ酸の逆平行β鎖タンパク質の折り畳みに基づくノッチン(システインノットミニタンパク質);ならびに、3つのジスルフィド結合及び3つのループを含有する構造に基づくクニッツドメイン阻害性足場、を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、表1~3に示されるように、1つ以上のCDRを含む操作された足場タンパク質を含む。
【0128】
一般的に言えば、抗原抗体相互作用は、非共有的で可逆的であり、水素結合、疎水性相互作用、静電力、及びファンデルワールス力の組み合わせにより形成される。抗原抗体複合体の強度を記載する時、親和性及び/または結合活性が通常言及される。抗原への抗体の結合は、可逆的なプロセスであり、結合の親和性は通常、平衡解離定数(KD)として報告される。KDは、抗体解離速度(koff)(抗原から解離する速度)対、抗体結合速度(kon)(抗原に結合する速度)の比である。いくつかの実施形態では、KD値は、特定の抗体/抗原相互作用のkon及びkoffを測定することにより、次に、KD値を計算するために、これらの値の比を使用して決定される。KD値は、個々の抗体/抗原相互作用の強度を評価及びランク付けするために使用されてもよい。抗体のKDが低いほど、その標的に対する抗体の親和性が高くなる。結合活性は、抗体-抗原複合体の全体的な強度の尺度を与える。それは、3つの主要なパラメーター:(i)エピトープに対する抗体の親和性、(ii)抗体及び抗原の両方の価数、ならびに、(iii)相互作用する部分の構造配置、に依存する。
【0129】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬(例えば、抗体)は、約1μM以下、約100nM以下、約40nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、約0.1nM以下、50pM以下、10pM以下、または1pM以下の解離定数(KD)で、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約20nM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約10nM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約1nM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約0.5nM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約0.1nM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約50pM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約25pM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約10pM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約1pM以下のKDで、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8に対する結合薬(例えば、抗体)の解離定数は、BIACOREチップ上に固定化されたANGPTL8の少なくとも一部または抗原結合フラグメントを含むANGPTL8融合タンパク質を使用して決定される解離定数である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8に対する結合薬(例えば、抗体)の解離定数は、BIACOREチップ上に固定化されたANGPTL8ペプチド(例えば、SE1ペプチド)を使用して決定される解離定数である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8への結合薬(例えば、抗体)の解離定数は、BIACOREチップ上の抗ヒトIgG抗体及び可溶性ANGPTL8またはそのフラグメントにより捕捉される結合薬を使用して決定される解離定数である。
【0130】
一部の実施形態では、ANGPTL8結合薬(例えば、抗体)は、約1μM以下、約100nM以下、約40nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、または約0.1nM以下の半数効果濃度(EC50)で、ANGPTL8と結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約1μM以下、約100nM以下、約40nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、または約0.1nM以下のEC50で、ヒトANGPTL8に結合する。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、約40nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約1nM以下、または約0.1nM以下のEC50で、マウスANGPTL8及び/またはヒトANGPTL8と結合する。
【0131】
本明細書に記載の結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法により生成することができる。そのような方法は、直接タンパク質合成法から、ポリペプチド配列をコードするDNA配列の構築及び好適な宿主でのそれらの配列の発現まで及ぶ。いくつかの実施形態では、DNA配列は、目的の野生型タンパク質をコードするDNA配列を単離または合成することによる組み換え技術を使用して構築される。任意に、配列は、その機能的多様体を得るために、部位特異的変異導入により変異させることができる。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成装置を使用する化学合成により構築される。オリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて設計して、目的の組み換えポリペプチドが生成される宿主細胞中で好まれるコドンを選択することができる。標準的な方法は、目的の単離ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を合成するために適用することができる。例えば、完全なアミノ酸配列は、逆翻訳された遺伝子を構築するために使用することができる。さらに、特定の単離ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成し、次に、ライゲートすることができる。個々のオリゴヌクレオチドは通常、相補的アセンブリのための5’または3’オーバーハングを含有する。
【0132】
(合成、部位特異的変異導入、または別の方法により)組み立てられると、目的の特定のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、発現ベクターに挿入することができ、所望の宿主中でのタンパク質の発現に適する発現制御配列に作動可能に連結することができる。適切なアセンブリは、ヌクレオチド配列決定、制限酵素マッピング、及び/または好適な宿主における生物学的に活性なポリペプチドの発現により確認することができる。当該技術分野で周知のように、宿主にトランスフェクトされた遺伝子の高い発現レベルを得るために、遺伝子は、選択された発現宿主において機能する転写及び翻訳発現制御配列に作動可能に連結されなければならない。
【0133】
いくつかの実施形態では、組み換え発現ベクターは、ヒトANGPTL8に対する抗体またはそのフラグメントをコードするDNAを増幅及び発現させるために使用される。例えば、組み換え発現ベクターは、哺乳動物、微生物、ウイルス、または昆虫の遺伝子に由来する好適な転写及び/または翻訳制御要素に作動可能に連結されているANGPTL8結合薬、例えば、抗ANGPTL8抗体またはその抗原結合フラグメント、のポリペプチド鎖をコードする合成またはcDNA由来のDNAフラグメントを有する複製可能なDNA構築物であり得る。転写ユニットは一般に、(1)遺伝子発現において制御的役割を有する遺伝子要素(複数可)、例えば、転写プロモーターまたはエンハンサー、(2)mRNAに転写され、タンパク質に翻訳される構造またはコード配列、ならびに、(3)適切な転写及び翻訳開始及び終結配列、のアセンブリを含む。制御要素は、転写を制御するオペレーター配列を含み得る。通常、複製起点により付与される宿主において複製する能力、及び形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子をさらに組み込むことができる。DNA領域は、互いに機能的に関連する時、「機能的と結合」している。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、ポリペプチドの分泌に関与する前駆体として発現される場合に、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結されているか;プロモーターは、配列の転写を制御する場合に、コード配列に作動可能に連結されているか、または、リボソーム結合部位は、翻訳を可能にするように配置されている場合に、コード配列に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、酵母発現系での使用が意図される構造要素は、宿主細胞による翻訳されたタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、組み換えタンパク質がリーダーまたはトランスポート配列なしで発現される状況では、ポリペプチドは、N末端メチオニン残基を含んでもよい。この残基は任意に、最終産物を提供するために、発現された組み換えタンパク質から切断することができる。
【0134】
発現制御配列及び発現ベクターの選択は一般に、宿主の選択に依存する。多種多様な発現宿主/ベクターの組み合わせを用いることができる。真核生物宿主に有用な発現ベクターは、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス、及びサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターを含む。細菌宿主に有用な発現ベクターは、pCR1、pBR322、pMB9、及びそれらの誘導体を含む、E.coliからのプラスミドなどの既知の細菌プラスミド、ならびに、M13及び他の糸状一本鎖DNAファージなどの広宿主域プラスミドを含む。
【0135】
本開示のANGPTL8結合薬(例えば、抗体)は、1つ以上のベクターから発現させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、重鎖ポリペプチドは、1つのベクターにより発現され、軽鎖ポリペプチドは、第2のベクターにより発現される。いくつかの実施形態では、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドは、1つのベクターにより発現される。
【0136】
抗原または免疫原として使用するANGPTL8結合薬(例えば、抗体)またはANGPTL8タンパク質またはそのフラグメントの発現に好適な宿主細胞は、適切なプロモーターの制御下にある原核生物、酵母細胞、昆虫細胞、または高等真核細胞を含む。原核生物は、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、E.coliまたはバチルス、を含む。高等真核細胞は、本明細書に記載の哺乳動物起源の確立された細胞株を含む。無細胞翻訳系も使用されてもよい。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物細胞宿主と共に使用される好適なクローニング及び発現ベクター、ならびに抗体産生を含むタンパク質産生の方法が当該技術分野で周知である。
【0137】
種々の哺乳動物培養系は、組み換えポリペプチドを発現させるために使用されてもよい。哺乳動物細胞における組み換えタンパク質の発現は、これらのタンパク質が一般に正しく折り畳まれ、適切に改変され、生物学的に機能的であるので、望ましいことがある。好適な哺乳動物宿主細胞株の例としては、COS-7(サル腎臓由来)、L-929(マウス線維芽細胞由来)、C127(マウス乳腺腫瘍由来)、3T3(マウス線維芽細胞由来)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣由来)、HeLa(ヒト子宮頸がん由来)、BHK(ハムスター腎臓線維芽細胞由来)、HEK-293(ヒト胚腎臓由来)細胞株及びそれらの多様体が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物発現ベクターは、非転写要素、例えば、発現されるべき遺伝子に連結されている好適な複製起点、プロモーター及びエンハンサー、ならびに、他の5’または3’隣接非転写配列、及び5’または3’非翻訳配列、例えば、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与及び受容部位、ならびに転写終結配列を含み得る。
【0138】
昆虫細胞培養系(例えば、バキュロウイルス)での組み換えタンパク質の発現は、正しく折り畳まれ、生物学的に機能的なタンパク質を産生するための堅牢な方法も提供する。昆虫細胞で異種タンパク質を産生するためのバキュロウイルス系は、当業者らに周知である。
【0139】
従って、本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を含む細胞を提供する。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、抗体を産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒトANGPTL8と結合する抗体を産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、cyno ANGPTL8と結合する抗体を産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒトANGPTL8及びcyno ANGPTL8と結合する抗体を産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、1E5と呼ばれる抗体を産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、Hz1E5またはHz1E5.A1と呼ばれる抗体1E5のヒト化バージョンを産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、1E9と呼ばれる抗体を産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、1A8と呼ばれる抗体を産生する。いくつかの実施形態では、細胞は、ハイブリドーマ細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞である。
【0140】
宿主細胞により産生されるタンパク質は、任意の好適な方法に従って精製することができる。標準的方法は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質精製のための他の任意の標準的技術を含む。そのようなヘキサヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列、及びグルタチオン-S-トランスフェラーゼなどのアフィニティータグは、適切なアフィニティカラムを通すことにより容易な精製を可能にするために、タンパク質と結合させることができる。免疫グロブリンの精製に使用されるアフィニティークロマトグラフィーは、プロテインA、プロテインG、及びプロテインLクロマトグラフィーを含み得る。単離タンパク質は、タンパク質分解、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、質量分析(MS)、核磁気共鳴(NMR)、等電点電気泳動(IEF)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及びX線結晶学のような技術を使用して、物理的に特性決定することができる。単離タンパク質の純度は、限定されないが、SDS-PAGE、SEC、キャピラリーゲル電気泳動、IEF、及びキャピラリー等電点電気泳動(cIEF)を含む当業者らに既知の技術を使用して決定することができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、組み換えタンパク質を培地に分泌する発現系の上清は最初に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、アミコンまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニット、を使用して濃縮される。濃縮ステップ後に、濃縮物を好適な精製マトリックスに適用することができる。いくつかの実施形態では、陰イオン交換樹脂、例えば、ペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基質、が用いられる。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、またはタンパク質精製で一般に用いられる他のタイプであり得る。いくつかの実施形態では、陽イオン交換ステップが用いられる。好適な陽イオン交換体は、スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含む種々の不溶性マトリックスを含む。いくつかの実施形態では、限定されないが、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)を含むヒドロキシアパタイト培地が用いられる。いくつかの実施形態では、疎水性RP-HPLC培地、例えば、ペンダントメチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲル、を用いる1つ以上の逆相HPLCステップが、組み換えタンパク質(例えば、ANGPTL結合薬)をさらに精製するために用いられる。種々の組み合わせの上述の精製ステップの一部または全ては、均一な組み換えタンパク質を得るために用いることができる。
【0142】
本開示の抗ANGPTL8抗体は、当該技術分野で既知の種々のアッセイにより物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について分析されてもよい。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、ANGPTL8と結合する能力について試験される。結合アッセイは、BIACORE、ELISA、及びFACSを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、ANGPTL8活性を阻害、低減、または遮断するその能力について試験される。
【0143】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8に対して生成されるモノクローナル抗体は、「エピトープビニング」として知られるプロセスである、個々の各抗体が認識するエピトープに基づいてグループ化される。一般に、エピトープビニングでは、抗体は、ペアワイズ組み合わせ法で試験され、互いに競合する抗体は、ビンにグループ化される。例えば、プレミックスビニングアッセイでは、第1の抗体が、表面に固定化され、第2の抗体及び抗原の予混合溶液は、固定化された第1の抗体上に流される。タンデムでは、標的タンパク質は、表面上に固定化され、2つの抗体は、固定化抗原上に流され、競争して結合する。これらの技術のそれぞれにおいて、互いに遮断する抗体を同定することができる。競合的なブロッキングプロファイルは、他の抗体と比較して各抗体に対して作成される。ブロッキング結果により、各抗体がどのビンに配置されるかが決定される。高スループットのエピトープビニング法は、当該技術分野に既知であり、短期間で、多数の抗体のスクリーニング及び特性決定を可能にする。同様のエピトープと結合する抗体は多くの場合、類似の機能を共有する。逆に、異なるエピトープと結合する抗体は、異なる機能的活性を有してもよい。
【0144】
エピトープマッピングは、抗体(または他の結合薬)が結合する標的タンパク質上の結合部位またはエピトープを同定するプロセスである。標的タンパク質上のエピトープをマッピングするための様々な方法が当該技術分野で既知である。これらの方法は、限定されないが、ショットガン変異導入、部位特異的変異導入、及びアラニンスキャニング;ドメインまたはフラグメントスキャニング、ペプチドスキャニング(例えば、pepscan);ディスプレイ法(例えば、ファージディスプレイ、微生物ディスプレイ、及びリボソーム/mRNAディスプレイ);タンパク質分解及び質量分析を含む方法;ならびに、構造決定(例えば、X線結晶学及びNMR)を含む変異導入を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、精製抗ANGPTL8抗体は、限定されないが、N末端配列決定、アミノ酸分析、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析、イオン交換クロマトグラフィー、及びパパイン消化を含むアッセイで特性決定される。
【0146】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8活性に影響を与える抗ANGPTL8抗体またはその抗原結合フラグメントを同定するためのアッセイが提供される。例えば、ANGPTL8の過剰発現は、in vivoモデルでトリグリセリドレベルを増加させることが示されている。従って、いくつかの実施形態では、候補ANGPTL8結合薬は、トリグリセリドレベルのANGPTL8で誘導される増加を低下、低減、または遮断する能力についてスクリーニングされる。血漿トリグリセリドのクリアランスは、主に、リポタンパク質リパーゼ(LPL)の活性により媒介される。ANGPTL8が、LPL活性の制御に直接的または間接的のいずれかで関与することを、研究は示唆している。従って、いくつかの実施形態では、候補ANGPTL8結合薬(例えば、抗体)は、LPL活性に影響を与える(例えば、LPL活性を増強または増加させる)能力についてスクリーニングされる。
【0147】
本開示は、本明細書に記載の抗ANGPTL8抗体のいずれか1つを含むコンジュゲートも提供する。いくつかの実施形態では、抗体は、第2の分子と結合している。いくつかの実施形態では、抗体は、細胞傷害剤または部分にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、抗体は、ADC(抗体-薬物コンジュゲート)を形成するように細胞傷害剤にコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、細胞傷害性部分は、限定されないが、メトトレキサート、アドリアマイシン/ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、デュオカルマイシン、ダウノルビシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、または他の挿入剤が含まれる化学療法剤である。いくつかの実施形態では、細胞傷害部分は、限定されないが、オーリスタチン、メイタンシノイド(例えば、DMI及びDM4)、ならびにチューブリシンを含む微小管阻害剤である。いくつかの実施形態では、細胞傷害部分は、限定されないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖、リジンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、シナアブラギリタンパク質、ダイアンチンタンパク質、フィトラカアメリカーナタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、Mormodica chrantia阻害薬、クルシン、クロチン、Sapaonaria officinalis阻害薬、ゲロニン、ミトジェリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含む、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源、またはそれらのフラグメントの酵素的に活性な毒素である。いくつかの実施形態では、抗体は、カリケアマイシン、メイタンシノイド、トリコテン、及びCC1065などの1つ以上の小分子毒素にコンジュゲートされている。細胞傷害活性を保持するこれらの毒素の誘導体も使用することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗体は、放射性コンジュゲート抗体または放射性コンジュゲート抗体を生成するために放射性同位元素にコンジュゲートされている。様々な放射性核種は、限定されないが、90Y、125I、131I、123I、111In、131In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、188Re、及び212Biを含む放射性コンジュゲート抗体の生成に利用可能である。
【0149】
抗体を含むコンジュゲートは、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して作製されてもよい。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピデートHCl)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベラート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアナート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアナート)、及びビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製される。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗体は、抗体が診断及び/または検出のために使用されることを可能にする検出可能な物質または分子にコンジュゲートされている。検出可能な物質は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼなどの酵素;ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンなどの補欠分子族;ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセイン、イソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、及びフィコエリスリンなどの蛍光物質;ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンなどの生物発光物質;ルミノール及びアクリジニウムなどの化学発光物質;131I、125I、123I、及び121I、14C、35S、3H、115In、113In、112In、及び111In、99T)、タリウム、201Ti、68Ga、67Ga、103Pd、99Mo、133Xe、18F、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、及び117Snなどの放射性物質;陽電子放出金属;ならびに非放射性常磁性金属イオンを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0151】
本明細書で提供される抗体は、抗体ヘテロコンジュゲートを形成するために第2の抗体にコンジュゲートすることもできる。
【0152】
本明細書に記載されるように、ANGPTL8と結合する抗体はまた、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に特に有用である固体支持体と結合されてもよい。そのような固体支持体は、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンを含むが、これらに限定されない。
【0153】
III.ポリヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを包含する。「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、ポリペプチドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、ならびに追加のコード配列及び/または非コード配列を含むポリヌクレオチドを包含する。本開示のポリヌクレオチドは、RNAの形態またはDNAの形態をとり得る。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAを含み;一本鎖がコード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る場合、二本鎖または一本鎖であり得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号35、36、44、45、56、57、62、63、64、及び65からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド配列)を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号35、36、44、45、56、57、62、63、64、及び65からなる群より選択される複数のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド配列)を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号35、36、44、45、56、57、62、63、64、及び65からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、いくつかの実施形態では、少なくとも約96%、97%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む。配列番号35、36、44、45、56、57、62、63、64、及び65からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドもまた提供される。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションは、当業者らに知られているように高ストリンジェンシーの条件下にある。
【0156】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、例えば、宿主細胞由来のポリペプチド(例えば、抗体)の発現及び分泌に役立つポリヌクレオチドに同じリーディングフレームで融合されるポリペプチドに対するコード配列を含む(例えば、ポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)。ポリペプチドは、「成熟」形態のポリペプチドを形成するために、宿主細胞により切断されるリーダー配列を有することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、マーカーまたはタグ配列に同じリーディングフレームで融合されるポリペプチド(例えば、抗体)のコード配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、マーカー配列は、細菌宿主の場合に、マーカーに融合されるポリペプチドの効率的な精製を可能にするベクターにより供給されるヘキサヒスチジンタグである。いくつかの実施形態では、マーカー配列は、哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)が使用される時、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来する血球凝集素(HA)タグである。いくつかの実施形態では、マーカー配列は、配列DYKDDDDK(配列番号66)のペプチドであるFLAGタグである。いくつかの実施形態では、マーカーは、他のアフィニティータグと共に使用されてもよい。
【0158】
本開示はさらに、本明細書に記載のポリヌクレオチドの多様体に関し、多様体は、例えば、ポリペプチドのフラグメント、アナログ、及び/または誘導体をコードする。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、いくつかの実施形態では、少なくとも約96%、97%、98%、または99%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する。
【0159】
本明細書で使用される場合、「参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一である」ヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド」という用語は、ポリヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチド当たり最大5点変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意味するものが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中のヌクレオチドの最大5%を欠失させるか、もしくは別のヌクレオチドと置換することができるか、または、参照配列中の全ヌクレオチドの最大5%の多数のヌクレオチドを参照配列に挿入することができる。参照配列のこれらの変異は、参照配列のヌクレオチド間で個別に、または参照配列の1つ以上の隣接グループ内のいずれかに点在して、参照ヌクレオチド配列の5’または3’末端位置、またはそれらの末端位置の間のどこかに生じ得る。
【0160】
ポリヌクレオチド多様体は、コード領域、非コード領域、またはその両方に変更を含有することができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド多様体は、サイレント置換、追加、または欠失を生成するが、コードされたポリペプチドの特性または活性を変更しない変更を含有する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド多様体は、(遺伝コードの縮重により)ポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらさないサイレント置換を含む。ポリヌクレオチド多様体は、様々な理由で、例えば、特定の宿主のコドン発現を最適化する(すなわち、ヒトmRNAのコドンをE.coliなどの細菌宿主が好むものに変化させる)ために、生成することができる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド多様体は、配列の非コード領域またはコード領域に少なくとも1つのサイレント変異を含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド多様体は、コードされたポリペプチドの発現(または発現レベル)を調節または変更するように生成される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド多様体は、コードされたポリペプチドの発現を増加させるように生成される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド多様体は、コードされたポリペプチドの発現を減少させるように生成される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド多様体は、親ポリヌクレオチド配列と比較して、コードされたポリペプチドの発現を増加させている。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド多様体は、親ポリヌクレオチド配列と比較して、コードされたポリペプチドの発現を減少させている。
【0162】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、実質的に純粋である。
【0163】
本明細書に記載のポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞も提供される。いくつかの実施形態では、発現ベクターは、ポリヌクレオチド分子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ポリヌクレオチド分子を含む発現ベクターを含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ポリヌクレオチド分子を含む。
【0164】
IV.使用方法及び医薬組成物
本開示のANGPTL8結合薬(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)は、限定されないが、高トリグリセリドに関連する疾患または障害の処置などの治療的処置方法を含む様々な用途に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のANGPTL8結合薬は、トリグリセリドレベルを低減または低下させるための方法に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のANGPTL8結合薬は、LDLコレステロールレベルを低減または低下させるための方法に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のANGPTL8結合薬は、HDLコレステロールレベルを増加させるための方法に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のANGPTL8結合薬は、トリグリセリドレベルを低下させ且つHDLコレステロールレベルを増加させるための方法に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のANGPTL8結合薬は、ANGPTL8レベル(例えば、血中のANGPTL8レベル)を低減または低下させるための方法に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のANGPTL8結合薬は、ANGPTL8活性を阻害するための方法に有用である。
【0165】
いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルを低下させる方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルを低下させる方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルを低下させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルを低下させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3に提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルを低下させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルを低下させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0166】
いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を処置する方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を処置する方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3で提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0167】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害と診断される対象を処置する方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害と診断される対象を処置する方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害と診断される対象を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害と診断される対象を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3に提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害と診断される対象を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害と診断される対象を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0168】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害の症状を有する対象を処置する方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害の症状を有する対象を処置する方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害の症状を有する対象を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害の症状を有する対象を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3に提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害の症状を有する対象を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は抗体1E5の、1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害の症状を有する対象を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0169】
いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルの上昇を予防する方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルの上昇を予防する方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルの上昇を予防する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルの上昇を予防する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3に提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルの上昇を予防する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のトリグリセリドレベルの上昇を予防する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0170】
いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を予防する方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を予防する方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を予防する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を予防する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3で提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を予防する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を予防する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0171】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇のリスクがある対象を処置する方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇のリスクがある対象を処置する方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇のリスクがある対象を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇のリスクがある対象を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3に提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇のリスクがある対象を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇のリスクがある対象を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0172】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害のリスクがある対象を処置する方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害のリスクがある対象を処置する方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害のリスクがある対象を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害のリスクがある対象を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3に提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害のリスクがある対象を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害のリスクがある対象を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0173】
いくつかの実施形態では、方法が本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む、ANGPTL8レベルが上昇している対象のANGPTL8レベルを低減させる方法。いくつかの実施形態では、方法が本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む、ANGPTL8レベルが上昇している対象のANGPTL8レベルを低減させる方法。いくつかの実施形態では、方法がヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む、ANGPTL8レベルが上昇している対象のANGPTL8レベルを低減させる方法。いくつかの実施形態では、方法がヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体が表1~3に提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む、ANGPTL8レベルが上昇している対象のANGPTL8レベルを低減させる法。いくつかの実施形態では、方法がヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体が抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む、ANGPTL8レベルが上昇している対象のANGPTL8レベルを低減させる方法。いくつかの実施形態では、方法がヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体が抗体Hz1E5である、ANGPTL8レベルが上昇している対象のANGPTL8レベルを低減させる方法。いくつかの実施形態では、ANGPTL8レベルを低減させる方法は、対象のトリグリセリドの低下をもたらす。いくつかの実施形態では、ANGPTL8レベルを低減させる方法は、対象のトリグリセリドの上昇の予防をもたらす。
【0174】
いくつかの実施形態では、対象におけるANGPTL8活性を阻害する方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のANGPTL8活性を阻害する方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のANGPTL8活性を阻害する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のANGPTL8活性を阻害する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3で提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のANGPTL8活性を阻害する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のANGPTL8活性を阻害する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。いくつかの実施形態では、ANGPTL8活性を阻害する方法は、対象のトリグリセリドの低下をもたらす。いくつかの実施形態では、ANGPTL8活性を阻害する方法は、対象のトリグリセリドの上昇の予防をもたらす。
【0175】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害は、メタボリックシンドローム、アテローム性動脈硬化症、肥満症、糖尿病、心血管疾患、高脂血症、高トリグリセリド血症、膵炎、腎疾患、肝疾患、または甲状腺機能低下症である。
【0176】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害は、心血管疾患である。心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症、動脈瘤、高血圧、狭心症、脳卒中、脳血管疾患、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、及び末梢血管疾患を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害は、アテローム性動脈硬化症である。
【0177】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害は、異脂肪血症、アテローム性脂質異常症、糖尿病性脂質異常症、高コレステロール血症、キロミクロン血症、混合脂質異常症、脂肪異栄養症、または脂肪萎縮症である。
【0178】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害は、高リポタンパク血症である。原発性及び続発性高リポタンパク血症を含む、いくつかのタイプの高リポタンパク血症がある。原発性高リポタンパク血症は多くの場合、1つ以上の家族性または遺伝的状態が原因である。潜在的な症状の処置にもかかわらず持続する高トリグリセリド血症を含む持続性高トリグリセリド血症は、家族性高トリグリセリド血症などの高リポタンパク血症の主要な形態に関連するか、またはそれにより引き起こされ得る。トリグリセリドレベルの上昇に関連する追加の家族性状態は、家族性複合脂質血症及び家族性ジスベタリポタンパク血症(III型高リポタンパク血症)を含む。続発性高リポタンパク血症は、肥満症、糖尿病、腎疾患、肝疾患、膵炎、甲状腺機能低下症、及びアルコール依存症などのいくつかの状態と関連し、これらの悪化因子である。
【0179】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇は、超低密度リポタンパク質(VLDL)の産生の増加及び/または排出の減少が原因であり得る。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇は、限定されないが、ベータ遮断薬、経口避妊薬、エストロゲン、利尿薬、ステロイド、タモキシフェン、ミコナゾール、スピロノラクトン、イソトレチノイン(ACCUTANE)、キナプリル、またはミルタザピンを含む特定の薬物処置が原因であり得る。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇は、遺伝的素因に起因し得る。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇は、食事及び/またはライフスタイルが原因であり得る。いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇は、急性ストレス関連状態が原因であり得る。急性ストレス関連状態は、熱傷、外傷、心筋梗塞、及び敗血症を含むが、これらに限定されない。
【0180】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルの上昇は、血中または血漿トリグリセリドレベルの上昇である。トリグリセリドレベルは、150mg/dL未満(または1.7mmol/L未満)であると一般に認められている。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、上昇した血漿トリグリセリドレベルは、150mgの/dL以上である。いくつかの実施形態では、上昇した血漿トリグリセリドレベルは、約150~約200mg/dLである。いくつかの実施形態では、上昇した血漿トリグリセリドレベルは、約200~約500mg/dLである。いくつかの実施形態では、上昇した血漿トリグリセリドレベルは、約500以上である。
【0181】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体の投与後に、上昇したトリグリセリドレベルは、抗体の投与前の対象のトリグリセリドレベルと比較して、少なくとも5%低減する。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルは、抗体の投与前の対象のトリグリセリドレベルと比較して、少なくとも10%低減する。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルは、抗体の投与前の対象のトリグリセリドレベルと比較して、約10~15%低減する。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルは、抗体の投与前の対象のトリグリセリドレベルと比較して、約10~20%低減する。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルは、抗体の投与前の対象のトリグリセリドレベルと比較して、約20~30%低減する。いくつかの実施形態では、上昇したトリグリセリドレベルは、抗体の投与前の対象のトリグリセリドレベルと比較して、25%超低減する。
【0182】
いくつかの実施形態では、対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法が提供される。いくつかの実施形態では、対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3で提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0183】
40mg/dL未満のHDLコレステロールレベルは、心疾患のリスクと考えられ、40~59mg/dlのレベルは、良好と考えられ、60mg/dL以上のレベルは、心疾患を防ぐものと考えられることが、一般に認められる。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、HDLコレステロールレベルは、40mg/dL以上に増加する。
【0184】
本開示のいくつかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルを低下させる方法が提供される。いくつかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルを低下させる方法は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルを低下させる方法は、本明細書に記載の治療的有効量の抗ANGPTL8抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルを低下させる方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルを低下させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3で提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルを低下させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象のLDLコレステロールレベルを低下させる方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。
【0185】
100mg/dL未満のLDLコレステロールレベルが最適であり、100~129mg/dlのレベルがほぼ最適と考えられ、130~159mg/dLのレベルが高境界値と考えられ、160~189mg/dLのレベルが高く、190mg/dL以上のレベルが非常に高いことが、一般に認められる。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、LDLコレステロールレベルは、約190mg/dL未満、約160mg/dL未満、約130mg/dL未満、または約100mg/dL未満に低下する。
【0186】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象は、過体重である。いくつかの実施形態では、対象は、肥満である。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病を有する。いくつかの実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。いくつかの実施形態では、対象は、心血管疾患を有する。
【0187】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)などの肝疾患を有する患者で、ANGPTL8レベルが上昇したという少なくとも1つの報告が存在している(例えば、Lee et al.,2016,Nature Scientific Reports,DOI:10.1038/srep24013を参照のこと)。従って、いくつかの実施形態では、対象の肝疾患を処置する方法は、ヒトANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象の肝疾患を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、表1~3で提供される1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象の肝疾患を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体1E5の1、2、3、4、5、及び/または6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、対象の肝疾患を処置する方法は、ANGPTL8と特異的に結合する治療的有効量の抗体を対象に投与することを含み、抗体は、抗体Hz1E5である。いくつかの実施形態では、肝疾患は、NAFLDである。いくつかの実施形態では、肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。
【0188】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、方法は、少なくとも1つの追加の治療薬または治療療法と組み合わせて、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を投与することを含む。2つ以上の治療薬を用いる処置は多くの場合、必要とされないが、異なる作用機序で作用する薬剤を使用する。異なる作用機序の薬剤を使用した併用療法は、相加効果または相乗効果をもたらし得る。併用療法は、単独療法で使用されるよりも少ない各薬剤の用量を可能にし、それにより、毒性のある副作用を低減させ、及び/または薬剤(複数可)の治療指数を増加させ得る。併用療法は、薬剤に対する耐性が発生する可能性を減少させ得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のANGPTL8結合薬及び少なくとも1つの追加の治療薬の組み合わせは、相加的または相乗的な結果をもたらす。いくつかの実施形態では、併用療法は、ANGPTL8結合薬の治療指数の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、併用療法は、追加の治療薬(複数可)の治療指数の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、併用療法は、ANGPTL8結合薬の毒性及び/または副作用の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、併用療法は、追加の治療薬(複数可)の毒性及び/または副作用の減少をもたらす。
【0190】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬の投与前に、投与と同時に、及び/または投与後に、追加の治療薬を投与することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療薬は、1、2、3、またはそれ以上の追加の治療薬を含む。
【0191】
併用処置は、1つの追加の治療薬または2つ以上の追加の治療薬を含んでもよい。ANGPTL8結合薬を用いる処置は、追加の治療薬の投与前に、投与と同時に、または投与後に行うことができる。併用投与は、単一の医薬製剤中での、もしくは別々の製剤を使用する同時投与、またはいずれかの順序であるが一般に全ての活性剤がそれらの生物活性を発揮できるような期間内の連続投与を含み得る。追加の治療薬の調製及び投与スケジュールは、製造業者の使用説明書に従って、または熟練施術者により経験的に決定されたとおりに、使用することができる。
【0192】
本明細書に記載のANGPTL8結合薬と組み合わせて投与され得る追加の治療薬は、フィブラート、スタチン、オメガ-3脂肪酸、及びナイアシンを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、フィブラートである。フィブラートは、両親媒性カルボン酸のクラスであり、アルミニウムクロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、コリンフィブラ(fenofibrae)、クリノフィブラート、クロフィブラート(例えば、ATROMID-S)、クロフィブライド(clofibride)、フェノフィブラート(例えば、FIBRICOR、LOFIBRA、TRICOR)、ゲムフィブロジル(例えば、LOPID)、ロニフィブラート、シンフィブラート、及びフェノフィブリン酸を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、スタチンである。スタチンは、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤であり、アトルバスタチン(LIPITOR)、フルバスタチン(LESCOL)、ロバスタチン(MEVACOR)、プラバスタチン(PRAVACHOL)、ロスバスタチン(ZOCOR)、及びピタバスタチン(LIVALO)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、ナイアシン(ビタミンB3)である。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、オメガ-3脂肪酸である。
【0193】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、肥満治療薬である。肥満症は、オルリスタット(XENICAL)、フェンテルミン/トピラメート(QSYMIA)、ロルカセリン(BELVIQ)、ナルトレキソン/ブプロピオン(CONTRAVE)、及びリラグルチド(SAXENDA)を含むが、これらに限定されない。
【0194】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、糖尿病治療薬である。抗糖尿病薬は、インスリン;PPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)γアゴニスト、例えば、ピオグリタゾン、トログリタゾン、シグリタゾン、リボグリタゾン、ロシグリタゾン、及び他の2,4-チアゾリジンジオン誘導体;DPP-4阻害剤、例えば、シタグリプチン(JANUVIA)、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン(TRADJENTA)、デュトグリプチン、ゲミグリプチン、及びアログリプチン(NESINA);GLP-1アナログ、例えば、エクセナチド、リラグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド、及びリキシセナチド;ビグアニジン誘導体、例えば、メトホルミン(GLUMETZA、GLUCOPHAGE)、ブホルミン、及びフェンホルミン;ATP感受性カリウムチャネルモジュレーター;例えば、ミチグリニド、レパグリニド、及びナテグリニド;スルホニル尿素誘導体、例えば、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、グリキドン、グリボルヌリド、グリソキセピド、グリベンクラミド、グリセンチド、グリソラミド、グリブゾール、及びグリクロピラミド;αグルコシダーゼ阻害薬、例えば、ミグリトール(GLYSET)、アカルボース(PRECOSE)、及びボグリボース;ならびにSGLT2阻害薬、例えば、カナグリフロジン(INVOKANA)、ダパグリフロジン(FARXIGA)、及びエンパグリフロジン(JARDIANCE)を含むが、これらに限定されない。
【0195】
疾患の処置のため、本開示のANGPTL8結合薬の適切な投薬量は、処置されるべき障害または疾患、障害または疾患の重篤度及び進行、障害または疾患の応答性に依存し、薬剤は、治療または予防目的、以前の治療法、患者の病歴などのために投与される。ANGPTL8結合薬は、1回もしくは数日から数ヶ月続く一連の処置にわたって、または治癒がもたらされるまで、もしくは疾患状態の軽減が達成されるまで投与することができる。
【0196】
本明細書に記載のANGPTL8結合薬及び少なくとも1つの追加の治療薬の組み合わせは、任意の順序に、または同時に投与されてもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、以前に治療薬を用いる処置を受けている対象に投与される。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬及び第2の治療薬は、実質的に同時に、または同時に投与される。例えば、対象は、第2の治療薬(例えば、スタチン)を用いる一連の処置を受ける間に、ANGPTL8結合薬を与えられてもよい。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、第2の治療薬を用いる処置から1年以内に投与される。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、第2の治療薬を用いる任意の処置から10、8、6、4、または2ヶ月以内に投与される。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、第2の治療薬を用いる任意の処置から4、3、2、または1週間以内に投与される。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、第2の治療薬を用いる任意の処置から5、4、3、2、または1日以内に投与される。2つ(以上)の薬剤または処置が、数時間または数分以内に(すなわち、実質的に同時に)対象に投与され得ることがさらに理解されるであろう。
【0197】
本明細書に記載のANGPTL8結合薬の用量は、疾患または障害の性質及び/または重症度、ならびに対象の状態に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、0.01μg~100mg/kg体重、0.1μg~100mg/kg体重、1μg~100mg/kg体重、1mg~100mg/kg体重、1mg~80mg/kg体重、10mg~100mg/kg体重、10mg~75mg/kg体重、または10mg~50mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約0.1mg~約20mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約0.5mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約1mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約1.5mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約2mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約2.5mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約5mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約7.5mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約10mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約12.5mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤の投薬量は、約15mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、薬剤は、日に1回以上、週に1回以上、月に1回以上、または年に1回以上投与される。いくつかの実施形態では、薬剤は、週に1回、2週に1回、3週に1回、または4週に1回投与される。
【0198】
本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を含む組成物を提供する。本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬及び薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物も提供する。
【0199】
製剤は、本開示の精製抗体または薬剤を薬学的に許容されるビヒクル(例えば、担体または賦形剤)と組み合わせることにより、貯蔵及び使用のために調製される。当業者らは一般に、薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/または安定剤を、製剤または医薬組成物の不活性成分であるとみなす。
【0200】
好適な薬学的に許容されるビヒクルとしては、非毒性の緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸;塩、例えば、塩化ナトリウム;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤、例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾール;低分子量ポリペプチド(例えば、約10アミノ酸残基未満);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;炭化水素、例えば、単糖類、二糖類、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;塩生成対イオン、例えば、ナトリウム;金属複合体、例えば、Zn-タンパク質複合体;ならびに非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられるが、これらに限定されない。(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition,2012,Pharmaceutical Press,London.)。いくつかの実施形態では、製剤は、水溶液の形態である。いくつかの実施形態では、製剤は、凍結乾燥されるか、または代替の乾燥形態である。
【0201】
治療製剤は、単位剤形であり得る。そのような製剤は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、水中もしくは非水性媒体中の液剤もしくは懸濁剤、または坐剤を含む。錠剤などの固体組成物では、主要な有効成分が医薬担体と混合される。従来の打錠成分は、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはゴム、及び希釈剤(例えば、水)を含む。これらは、本開示の化合物またはその非毒性薬学的に許容される塩の均一混合物を含有する固体予備製剤化組成物を形成するために使用することができる。次に、固体予備製剤化組成物は、上記のタイプの単位剤形に細分化される。製剤または組成物の錠剤、丸剤などは、長期作用の利点を与える剤形を提供するために、コーティングまたは別の方法で配合することができる。例えば、錠剤または丸剤は、外側の構成成分で覆われた内側の組成物を含み得る。さらに、2つの構成成分は、崩壊に抵抗するのに役立ち且つ内部の構成成分が無傷で胃を通過するかまたは放出が遅延されることを可能にする腸溶層により分離することができる。様々な材料は、そのような腸溶層またはコーティングに使用することができ、そのような材料は、多数のポリマー酸、ならびにセラック、セチルアルコール、及びセルロースアセタートのような材料とのポリマー酸の混合物を含む。
【0202】
本開示の結合薬は、標的細胞/組織への送達のための任意の好適な形態で製剤化されてもよい。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、リポソーム、マイクロ粒子、マイクロカプセル、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、ナノカプセル、またはマクロエマルションとして製剤化することができる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、リポソームと複合体化された本開示の薬剤を含む。リポソームを生成する方法は、当業者らに既知である。例えば、いくつかのリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸発により生成することができる。
【0203】
いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬は、徐放性調製物として製剤化される。徐放性調製物の好適な例としては、薬剤を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、マトリックスは、成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態である。徐放性マトリックスは、ポリエステル、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート)またはポリ(ビニルアルコール)などのヒドロゲル、ポリラクチド、L-グルタミン酸及び7-エチル-L-グルタマートのコポリマー、非分解性エチレン-ビニルアセタート、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及びロイプロリドアセタートからなる注射可能なミクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、スクロースアセタートイソブチラート、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含むが、これらに限定されない。
【0204】
本開示の医薬組成物または製剤は、局所処置または全身処置のいずれかのための任意数の方法で投与することができる。投与は、表皮パッチまたは経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル剤、ドロップ剤、坐剤、スプレー剤、液剤、及び散剤による局所;ネブライザ、気管内、及び鼻腔内を含む、散剤またはエアロゾルの吸入または吹送による経肺;あるいは静脈内、動脈内、腫瘍内、皮下、腹腔内、筋肉内(例えば、注射もしくは注入)、または頭蓋内(例えば、髄腔内もしくは脳室内)を含む非経口であり得る。
【0205】
種々の送達システムが既知であり、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を投与するために使用することができる。いくつかの実施形態では、ANGPTL8結合薬または本明細書に記載の組成物は、制御放出または持続放出システムで送達することができる。いくつかの実施形態では、ポンプは、制御または持続放出を達成するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬の制御放出または持続放出を達成するために使用することができる。徐放性製剤で使用されるポリマーの例としては、ポリ2-ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリメチルメタクリラート、ポリアクリル酸、ポリエチレン-コ-酢酸ビニル、ポリメタクリル酸、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリN-ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリラクチド(PLA)、ポリラクチド-コ-グリコリド(PLGA)、及びポリオルトエステルが挙げられるが、これらに限定されない。徐放性製剤で使用される任意のポリマーは、不活性で、浸出可能な不純物がなく、保管時に安定しており、無菌で、生分解性でなければなりない。
【0206】
追加の送達システムは、限定されないが、注射可能な薬物送達デバイス及び浸透圧ポンプを含む本明細書に記載のANGPTL8結合薬を投与するために使用することができる。注射可能な薬物送達デバイスは、例えば、携帯型デバイス(例えば、自動注射器)または装着型デバイスを含む。異なるタイプの浸透圧ポンプシステムは、単一のコンパートメントシステム、2つのコンパートメントシステム、及び複数のコンパートシステムを含み得る。
【0207】
V.ANGPTL8結合薬を含むアッセイ及び/またはキット
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗ANGPTL8抗体及びそのフラグメントは、生体試料中のANGPTL8の存在を検出するために有用である。そのような抗ANGPTL8抗体は、ヒト及び/またはcyno ANGPTL8に結合するが、ANGPTL8活性を阻害しないものを含むことができる。本明細書で使用される「検出」という用語は、定量的または定性的検出を包含する。いくつかの実施形態では、生体試料は、細胞、組織、血液、または他の体液を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、生体試料中のANGPTL8の存在を検出する方法は、ANGPTL8への抗ANGPTL8抗体の結合を許容する条件下で生体試料を抗ANGPTL8抗体と接触させること、ならびに、複合体が抗ANGPTL8抗体及びANGPTL8間に形成されるかどうかを検出すること、を含む。この方法は、当業者らに既知のアッセイ、例えば、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、及び免疫組織化学(IHC)を含んでもよい。
【0209】
いくつかの実施形態では、抗ANGPTL8抗体は、検出可能な標識でタグ付けされる。検出可能な標識は、蛍光分子、化学発光分子、生物発光分子、酵素、または放射性同位元素であってよい。
【0210】
本開示は、本明細書に記載のANGPTL8結合薬を含み且つ本明細書に記載の方法を実施するために使用することができるキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の容器中に少なくとも1つの精製ANGPTL8結合薬を含む。いくつかの実施形態では、キットは、全ての対照、アッセイを実施するための指示、ならびに結果の分析及び提示に必要な任意のソフトウェアを含む、検出アッセイを実施するのに必要及び/または十分な構成要素の全てを含有する。当業者は、本開示の開示されたANGPTL8結合薬が、当該技術分野で周知の確立されたキット形式のうちの1つに容易に組み込むことができることを容易に認識するであろう。
【0211】
さらに、ANGPTL8結合薬及び少なくとも1つの追加の治療薬を含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、第2の(またはそれ以上の)治療薬は、フィブラート、スタチン、ナイアシン、及び/または3-オメガ脂肪酸である。いくつかの実施形態では、第2の(またはそれ以上の)治療薬は、第2の抗体である。
【実施例】
【0212】
実施例1
マウスにおけるANGPTL8及びANGPTL8多様体の過剰発現
マウスにおけるmANGPTL8及びhANGPTL8の両方の過剰発現が、血漿トリグリセリドレベルを著しく増加させることが以前に示されている(例えば、国際公開特許第WO2016/054494号を参照のこと)。トリグリセリドの増加に関与するヒトANGPTL8の領域(複数可)をさらに定義するために、N末端に欠失があるヒトANGPTL8の多様体を生成した(
図2A)。ヒトANGPTL8または欠失多様体を発現する組み換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを標準的な方法で生成した。シグナルペプチドがin vivoで処理され、ヒトANGPTL8が配列番号2に対応することを、当業者は知っているであろう。C57BL/6マウス(グループ当たり5~6匹のマウス)に、尾静脈注射により3x10
11IUのrAAVを単回用量で投与した。緑色蛍光タンパク質(AAV-GFP)を発現するAAVベクターを対照として使用した。注射の12日後に、血液試料を尾静脈から採取し、血漿トリグリセリドレベルを測定した。製造者の指示に従って、LタイプトリグリセリドMキット(Wako Diagnostics)を使用して、トリグリセリドをアッセイした。
【0213】
図2Bに示されるように、野生型hANGPTL8及び多様体V3の発現は、血漿トリグリセリドレベルを約3倍に増加した。多様体V3は、hANGPTL8(配列番号1)のアミノ酸22~31の欠失がある。対照的に、多様体V2、V4、及びV5の発現は、血漿トリグリセリドレベルを増加させず、実際に、対照を下回るトリグリセリドレベルを低減させるように見える。多様体V2は、hANGPTL8のアミノ酸22~80の欠失があり、多様体V4は、hANGPTL8のアミノ酸22~45の欠失があり、多様体V5は、hANGPTL8のアミノ酸22~52の欠失がある。これらの結果は、アミノ酸32~46が、トリグリセリドレベルを増加させるために、ヒトANGPTL8に必要であることを示唆する。
【0214】
実施例2
抗体の生成
いくつかの異なる免疫原を使用して、抗ANGPTL8抗体を生成した。(i)ヒトANGPTL8をコードするDNA、(ii)ヒトANGPTL8のアミノ酸25~60を含むペプチド(hSE1ペプチド;配列番号6)、または(iii)ヒト血清アルブミン(HSA)及びFLAGタグに連結されているヒトANGPTL8を含む精製融合タンパク質(配列番号2)(Flag-HSA-hANGPTL8)で、マウスを免疫した。動物が好適な抗体力価を有すると判定された後、リンパ球の単一細胞懸濁液を免疫された動物の脾臓及び流入領域リンパ節から得た。電気融合により、リンパ球をSP2/0骨髄腫細胞と融合させた。HAT選択の存在下で、融合細胞を半固形培地にプレーティングした。培養の7~10日後、ハイブリドーマクローンを選択し、本明細書の実施例3に記載されるようにスクリーニングした。
【0215】
実施例3
抗体のスクリーニング
実施例2に記載される免疫化及び融合キャンペーンからのハイブリドーマ上清を、(i)ヒトANGPTL8、(ii)ヒトSE1ペプチド、(iii)hANGPTL8のアミノ酸22~46を含むペプチド(配列番号1)、(iii)hANGPTL8のアミノ酸61~80を含むペプチド、(iv)hANGPTL8のアミノ酸80~138を含むペプチド、及び、(iv)hANGPTL8のアミノ酸139~198を含むペプチド、への結合について、ELISAでスクリーニングした。何百もの抗体を、ヒトANGPTL8及び/またはそのフラグメントへの結合剤として同定した。
【0216】
ELISAで同定された抗体の亜集団を、hANGPTL8を発現するマウスの血漿トリグリセリドレベルを低減させる能力について、in vivoで試験した。C57BL/6Jマウス(グループ当たり6匹のマウス)に、抗hANGPTL8抗体のうちの1つまたは対照抗体(抗KLH)を皮下注射(-1日目)で投与した。抗体を10mg/kgの単回用量として与えた。翌日(0日目)、マウスに、hANGPTL8を発現する1x1011IUのrAAV(AAV-hANGPTL8)または緑色蛍光タンパク質を発現する対照rAAV(AAV-GFP)を注射した。AAVhANGPTL8またはAAV-GFPの投与の1日後、血液を、個々のマウスの尾静脈から採取し、トリグリセリドレベルを本明細書に記載のように決定した。
【0217】
図3に示されるように、試験された抗体のうちの、4つの異なる抗体が、トリグリセリドレベルを低減させるか、またはhANGPTL8の発現により誘発されるトリグリセリドレベルの増加を、抗体処置なしと比較して約3分の1に抑制した。ANGPTL8のN末端領域内と結合するこれらの抗体の3つ、1E5、1A8、及び1E9を決定する(SE1ペプチド:アミノ酸25~60)。
【0218】
実施例4
抗体結合親和性
BIACOREシステム(GE Healthcare LifeSciences)を使用して、抗体1E5、1A8、及び1E9のヒトANGPTL8への結合親和性を測定した。要約すると、アミンカップリング試薬(GE Healthcare LifeSciences)を使用して、抗マウスFc抗体(Sigma-Aldrich)をCM5チップの4つのフローセル全てに固定化した。参照としてのフローセル1を使用して、ハイブリドーマ上清由来の抗体をフローセル2、3、及び4上で捕捉した。ヒトANGPTL8のSE1ペプチド(hSE1;配列番号6)、カニクイザルANGPTL8(cSE1;配列番号67)の対応するSE1ペプチド、またはヒトANGPTL8を、25℃で50μL/分の流量で注入した。動力学的データを経時的に収集し、同時グローバルフィット式を使用して適合させて、各抗体の親和性定数(KD値)を得た。
【0219】
ヒトANGPTL8(配列番号2)を細菌のNusAタンパク質(NusA-hANGPTL8)との融合体として生成した。NusA-hANGPTL8発現構築物を含有するE.coli BL21形質転換体を、1mMのIPTGを用いて37℃で4時間誘導した。細胞を遠心分離により収穫し、BugBuster(商標)タンパク質抽出試薬(Novagen,Inc)を使用して、細胞ペレットを可溶化した。キレート化Sepharose FFカラムを使用して、NusA-hANGPTL8を補足し、250mMのイミダゾールを含有するPBSを使用して溶出させた。NusA-hANGPTL8融合タンパク質を限外濾過で濃縮し、さらに、カラムクロマトグラフィーで精製した。
【0220】
アッセイ結果が表4に示され、hANGPTL8への1E5の結合(のNusA-hANGPTL8融合タンパク質)についてのBIACORE結果が
図4に示される。
【表4-1】
【表4-2】
【0221】
実施例5
ヒト化抗体
抗体1E5、1E9、及び1A8の重鎖及び軽鎖可変領域配列ならびにCDR配列が表1~3に示される。抗体1E5を当業者らに既知の方法によりヒト化し、本明細書では、Hz1E5と呼ばれる。Hz1E5の重鎖可変配列は、配列番号62であり、Hz1E5の軽鎖可変配列は、配列番号63である。
【0222】
本明細書に記載のBIACOREシステムを使用して、Hz1E5の結合親和性を決定し、1E5のマウス可変領域及びヒトFc領域を含有するキメラ1E5抗体の結合親和性と比較した。ヒト化抗体Hz1E5は、0.35nMのキメラ抗体の結合親和性と比較して、0.9nMのヒトSE1ペプチドに対する結合親和性を有した(
図5A)。
【0223】
hANGPTL8を発現するマウスの血漿トリグリセリドレベルを低減させる能力について、ヒト化抗体Hz1E5をin vivoで試験した。C57BL/6Jマウス(グループ当たり6~8マウス)に、ハイブリドーマ1E5の親抗体、キメラ抗体1E5、ヒト化抗体Hz1E5、または対照抗体(抗KLH)を皮下注射(-1日目)で投与した。抗体を30mg/kgの単回用量として投与した。翌日(0日目)、マウスに、1x1011IUのAAV-hANGPTL8または対照AAV-GFPを注射した。AAVを注射した1日後、血液を個々のマウスの尾静脈から得、トリグリセリドレベルを決定した。
【0224】
図5Bに示されるように、抗hANGPTL8抗体Hz1E5は、親抗体と同じ程度に、hANGPTL8の発現により誘導される血漿トリグリセリドの増加を低下または阻害した。これらの結果は、抗体1E5のヒト化が、抗体の活性に影響を及ぼさなかったことを示唆する。
【0225】
実施例6
サルの研究
抗ANGPTL8抗体Hz1E5がin vivoで血漿トリグリセリドレベルを低減させる能力を、カニクイザルで研究した。高トリグリセリド血症の雄カニクイザルを選択し、処置前(-3日目)に、血清トリグリセリド及び血清HDLコレステロールのベースライン値を測定した。0日目に、動物の1つのグループ(n=10)に、皮下注射により抗hANGPTL8抗体Hz1E5(10mg/kg)の単回用量を投与した。対照動物のグループ(n=10)に、単回用量のビヒクルを投与した。血清トリグリセリド及びHDLコレステロールを決定するために、血液試料を-2、0.25(6時間)、1、3、5、8、15、22、及び29日目に採取した。研究中、全ての動物を、健康状態について綿密に監視した。
【0226】
図6Aに示されるように、高トリグリセリド血症のカニクイザルの血清トリグリセリドは、対照ビヒクルで処置された動物と比較して、抗ANGPTL8抗体Hz1E5を用いる単回処置の早ければ6時間後に著しく低減した(ビヒクルに対してp<0.05)。処置された動物のトリグリセリドレベルは、29日目までに処置前のレベルに徐々に戻ったが、対照動物で観察されたレベルを下回ったままだった。加えて、抗ANGPTL8抗体は、HDLコレステロール値の増加に効果的であった。HDLコレステロールレベルは、抗体の単回投与後に、対照で処置された動物と比較して、抗ANGPTL8抗体で処置された動物において、1日目までに著しく高かった(ビヒクルに対してp<0.01)(
図6B)。トリグリセリドレベルと同様に、HDLコレステロールレベルは、29日目までに処置前のレベルに徐々に戻った。これらの結果は、高トリグリセリド血症の非ヒト霊長類モデルにおいて、例示的な抗ANGPTL8抗体が、トリグリセリドレベルを低減させること及びHDLコレステロールレベルを増加させることに有効であることを示した。
【0227】
上述の本開示は、理解を明確にする目的で実例及び例示として、少し詳しく説明されているが、説明及び例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の本開示の実施形態は、単なる例示であることが意図され、当業者らは、本明細書に記載される特定の手順の多数の等価物を認識するであろう。全てのそのような均等物は、本開示の範囲内にあると考えられ、実施形態で網羅される。
【0228】
本明細書に引用されるポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の両方を含む、全ての出版物、特許、特許出願、インターネットサイト、及びアクセッション番号/データベース配列は、個々の各出版物、特許、特許出願、インターネットサイト、またはアクセッション番号/データベース配列が、参照によりそのように組み込まれることが具体的且つ個別に示されるように、同程度まで、あらゆる目的で全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0229】
表1~3で定義される重鎖CDR配列及び軽鎖CDR配列を除いて、本出願で開示される配列は、以下のものである。
予測されたシグナル配列に下線を引いたヒトANGPTL8アミノ酸配列(配列番号1)
MPVPALCLLWALAMVTRPASAAPMGGPELAQHEELTLLFHGTLQLGQALNGVYRTTEGRLTKARNSLGLYGRTIELLGQEVSRGRDAAQELRASLLETQMEEDILQLQAEATAEVLGEVAQAQKVLRDSVQRLEVQLRSAWLGPAYREFEVLKAHADKQSHILWALTGHVQRQRREMVAQQHRLRQIQERLHTAALPA
予測されたシグナル配列なしのヒトANGPTL8アミノ酸配列(配列番号2)
APMGGPELAQHEELTLLFHGTLQLGQALNGVYRTTEGRLTKARNSLGLYGRTIELLGQEVSRGRDAAQELRASLLETQMEEDILQLQAEATAEVLGEVAQAQKVLRDSVQRLEVQLRSAWLGPAYREFEVLKAHADKQSHILWALTGHVQRQRREMVAQQHRLRQIQERLHTAALPA
ヒトANGPTL8アミノ酸22~83(配列番号3)
APMGGPELAQHEELTLLFHGTLQLGQALNGVYRTTEGRLTKARNSLGLYGRTIELLGQEVSR
ヒトANGPTL8アミノ酸84~138(配列番号4)
GRDAAQELRASLLETQMEEDILQLQAEATAEVLGEVAQAQKVLRDSVQRLEVQLR
ヒトANGPTL8アミノ酸139~198(配列番号5)
SAWLGPAYREFEVLKAHADKQSHILWALTGHVQRQRREMVAQQHRLRQIQERLHTAALPA
ヒトANGPTL8アミノ酸25~60(hSE1ペプチド)(配列番号6)
GGPELAQHEELTLLFHGTLQLGQALNGVYRTTEGRL
ヒトANGPTL8アミノ酸22~46(Sumoペプチド)(配列番号7)
APMGGPELAQHEELTLLFHGTLQLG
ヒトANGPTL8アミノ酸32~46(配列番号8)
HEELTLLFHGTLQLG
シグナル配列を伴うカニクイザルANGPTL8アミノ酸配列(配列番号9)
MLVPALCLLWALAMVIQPASAAPVGSPELAEHEELTLLFHGTLQLGQALNGVYKTTEGRLTKARNSLGLYGRTVELLGQEVSRGRDAAQELRASLLETQMEEDILQLKAEAIAEVLEEVAQAQKVLQDSVRRLEVQLRSAWLGPAYQEFEVLKAHADKQSHILWALTGHVQRQRREMVAQQHRLRQIQERIHKAALPA
シグナル配列を伴うマウスANGPTL8アミノ酸配列(配列番号10)
MAVLALCLLWTLASAVRPAPVAPLGGPEPAQYEELTLLFHGALQLGQALNGVYRATEARLTEAGHSLGLYDRALEFLGTEVRQGQDATQELRTSLSEIQVEEDALHLRAEATARSLGEVARAQQALRDTVRRLQVQLRGAWLGQAHQEFETLKARADKQSHLLWALTGHVQRQQREMAEQQQWLRQIQQRLHTAALPA
1E5重鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号35)
QVQLQQSGAELVKPGTSVRLSCKASGYTFTDYTIHWVKLRSGQGLEWIGWFYPGSDNIKYNAKFKDKATLTADKSSSTVYMDLGRLTSEDSAVYFCARHEAFSYYDVAWFAYWGQGTLVTVSA
1E5軽鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号36)
DVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPKLLIYTVSNRFSGVPDRFSGSGSGSDFTLNFSRVEAEDLGVYFCSQTTHFPYTFGGGTKLEIK
1E9重鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号44)
QVQLQQSGTELVKPGASVKLSCKASGYTFTDYTIHWVKQRSGQGLEWIGWFYPGSDNIKFNAKFRDKATLTADKSSSTVYMELSRLTSEDSAVYFCARHEAFYVYDVAWFANWGQGTLVT
VST
1E9軽鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号45)
DVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWFLQKPGQSPNLLIYTVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAGDLGVYFCSQSTHFPYTFGGGTKLEIK
1A8重鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号56)
QVQLQQSGAELVKPGASVKLSCKASGYTFTDYTIHWVKQRSGQGLEWIGWFYPGSDNIKYNEKFKDKATLTADKSSSIVYMELSRLTSEDSAVYFCARHEAYYVYDVAWFAYWGQGTLVTVSA
1A8軽鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号57)
DVVMTQTPLSLPVSLGDQASISCSSSQSLVHSNGNTFLHWFLQRPGQSPKLLIYTVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYFCSQSTHFPYTFGGGTTLEIK
重鎖CDR2コンセンサス配列(配列番号58)
WFYPGSDNIKX1NX2KFX3D
X1=YまたはFであり;X2=AまたはEであり;X3=KまたはRである
重鎖CDR3コンセンサス配列(配列番号59)
HEAX1X2X3YDVAWFAX4
X1=FまたはYであり;X2=SまたはYであり;X3=YまたはVであり;X4=YまたはNである
軽鎖CDR1コンセンサス配列(配列番号60)
X1SSQSLVHSNGNTX2LH
X1=RまたはSであり、X2=YまたはFである
軽鎖CDR3コンセンサス配列(配列番号61)
SQX1THFPYT
X1=TまたはSである
Hz1E5.A1重鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号62)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTDYTIHWVRQAPGQGLEWMGWFYPGSDNIKYNAKFKDRATLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARHEAFSYYDVAWFAYWGQGTLVTVSS
Hz1E5.A1軽鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号63)
DVVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPQLLIYTVSNRFSGVPDRFSGSGSGSDFTLKISRVEAEDVGVYFCSQTTHFPYTFGQGTKVEIK
シグナル配列なしのHz1E5.A1重鎖アミノ酸配列(配列番号64)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFTDYTIHWVRQAPGQGLEWMGWFYPGSDNIKYNAKFKDRATLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARHEAFSYYDVAWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
シグナル配列なしのHz1E5.A1軽鎖アミノ酸配列(配列番号65)
DVVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSNGNTYLHWYLQKPGQSPQLLIYTVSNRFSGVPDRFSGSGSGSDFTLKISRVEAEDVGVYFCSQTTHFPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
FLAGタグ(配列番号66)
DYKDDDDK
Cyno ANGPLT8アミノ酸25~60(cSE1ペプチド)(配列番号67)
GSPELAEHEELTLLFHGTLQLGQALNGVYKTTEGRL
【0230】
配列表
本明細書は、配列表のコンピュータ可読形態(CRF)のコピーと共に出願される。2018年10月27日に作成され、サイズが、37,767バイトである13370-057-228_ST25.txtという名称のCRFは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
抗体またはその抗原結合フラグメントであって、アンジオポエチン様タンパク質8(ANGPTL8)への結合について参照抗体と競合し、前記参照抗体が、
(a)GYTFTDYTIH(配列番号11)を含む重鎖CDR1;WFYPGSDNIKX
1
NX
2
KFX
3
D(式中、X
1
は、YもしくはFであり、X
2
は、AもしくはEであり、X
3
は、KもしくはRである)(配列番号58)を含む重鎖CDR2;及び、HEAX
1
X
2
X
3
YDVAWFAX
4
(式中、X
1
は、FもしくはYであり、X
2
は、SもしくはYであり、X
3
は、YもしくはVであり、X
4
は、YもしくはNである)(配列番号59)を含む重鎖CDR3;及び/または、
(b)X
1
SSQSLVHSNGNTX
2
LH(式中、X
1
は、RまたはSであり、X
2
は、YまたはFである)(配列番号60)を含む軽鎖CDR1;TVSNRFS(配列番号29)を含む軽鎖CDR2;及びSQX
1
THFPYT(式中、X
1
は、TまたはSである)(配列番号61)を含む軽鎖CDR3、
を含む、前記抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目2)
抗体またはその抗原結合フラグメントであって、参照抗体により認識されるANGPTL8上のエピトープと結合し、前記参照抗体が、
(a)GYTFTDYTIH(配列番号11)を含む重鎖CDR1;WFYPGSDNIKX
1
NX
2
KFX
3
D(式中、X
1
は、YもしくはFであり、X
2
は、AもしくはEであり、X
3
は、KもしくはRである)(配列番号58)を含む重鎖CDR2;及び、HEAX
1
X
2
X
3
YDVAWFAX
4
(式中、X
1
は、FもしくはYであり、X
2
は、SもしくはYであり、X
3
は、YもしくはVであり、X
4
は、YもしくはNである)(配列番号59)を含む重鎖CDR3;及び/または、
(b)X
1
SSQSLVHSNGNTX
2
LH(式中、X
1
は、RまたはSであり、X
2
は、YまたはFである)(配列番号60)を含む軽鎖CDR1;TVSNRFS(配列番号29)を含む軽鎖CDR2;及びSQX
1
THFPYT(式中、X
1
は、TまたはSである)(配列番号61)を含む軽鎖CDR3、
を含む、前記抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目3)
前記参照抗体が、
(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号16、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号21、22、23、または24を含む重鎖CDR3、ならびに
(b)配列番号25、26、27、または28を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号32、33、または34を含む軽鎖CDR3、
を含む、項目1または項目2に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目4)
前記参照抗体が、
(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号37、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号38、39、68、または69を含む重鎖CDR3、ならびに
(b)配列番号25、26、27、または40を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3、
を含む、項目1または項目2に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目5)
前記参照抗体が、
(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号46、17、18、47、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号48、49、50、または51を含む重鎖CDR3、ならびに
(b)配列番号52、53、54、または55を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3、
を含む、項目1または項目2に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目6)
前記参照抗体がさらに、(a)重鎖可変領域FR1、重鎖可変領域FR2、重鎖可変領域FR3、及び重鎖可変領域FR4、ならびに、(b)軽鎖可変領域FR1、軽鎖可変領域FR2、軽鎖可変領域FR3、及び軽鎖可変領域FR4、を含む、項目1~5のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目7)
前記参照抗体が、配列番号25、44、56、または62を含む重鎖可変領域;及び配列番号26、45、57、または63を含む軽鎖可変領域を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目8)
前記参照抗体が、配列番号25を含む重鎖可変領域及び配列番号26を含む軽鎖可変領域を含む、項目7に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目9)
前記参照抗体が、配列番号44を含む重鎖可変領域及び配列番号45を含む軽鎖可変領域を含む、項目7に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目10)
前記参照抗体が、配列番号56を含む重鎖可変領域及び配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む、項目7に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目11)
前記参照抗体が、配列番号62を含む重鎖可変領域及び配列番号63を含む軽鎖可変領域を含む、項目7に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目12)
前記参照抗体が、ANGPTL8のN末端領域と結合し、前記N末端領域が、配列番号3を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目13)
前記参照抗体が、ANGPTL8のN末端領域と結合し、前記N末端領域が、配列番号6を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目14)
前記参照抗体が、ANGPTL8のN末端領域と結合し、前記N末端領域が、配列番号7を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目15)
前記参照抗体が、ANGPTL8のN末端領域と結合し、前記N末端領域が、配列番号8を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目16)
抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ヒトANGPTL8のN末端領域と特異的に結合し、前記N末端領域が、配列番号1のアミノ酸25~60を含み、前記抗体が、対象の(i)トリグリセリドレベルを低下させ、(ii)LDL-コレステロールを低下させ、及び/または、(iii)HDL-コレステロールを増加させる、前記抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目17)
抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(a)GYTFTDYTIH(配列番号11)を含む重鎖CDR1;WFYPGSDNIKX1NX2KFX3D(式中、X1は、YもしくはFであり、X2は、AもしくはEであり、X3は、KもしくはRである)(配列番号58)を含む重鎖CDR2;及び、HEAX1X2X3YDVAWFAX4(式中、X1は、FもしくはYであり、X2は、SもしくはYであり、X3は、YもしくはVであり、X4は、YもしくはNである)(配列番号59)を含む重鎖CDR3;及び/または、
(b)X1SSQSLVHSNGNTX2LH(式中、X1は、RまたはSであり、X2は、YまたはFである)(配列番号60)を含む軽鎖CDR1;TVSNRFS(配列番号29)を含む軽鎖CDR2;及びSQX1THFPYT(式中、X1は、TまたはSである)(配列番号61)を含む軽鎖CDR3、
を含むヒトANGPTL8と特異的に結合する、前記抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目18)
(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号16、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号21、22、23、または24を含む重鎖CDR3、ならびに
(b)配列番号25、26、27、または28を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号32、33、または34を含む軽鎖CDR3、
を含む、項目16または項目17に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目19)
(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号37、17、18、19、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号38、39、68、または69を含む重鎖CDR3、ならびに
(b)配列番号25、26、27、または40を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3、
を含む、項目16または項目17に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目20)
(a)配列番号11、12、13、14、または15を含む重鎖CDR1、配列番号46、17、18、47、または20を含む重鎖CDR2、及び配列番号48、49、50、または51を含む重鎖CDR3、ならびに
(b)配列番号52、53、54、または55を含む軽鎖CDR1、配列番号29、30、または31を含む軽鎖CDR2、及び配列番号41、42、または43を含む軽鎖CDR3、
を含む、項目16または項目17に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目21)
さらに(a)重鎖FR1、重鎖FR2、重鎖FR3、及び重鎖FR4;及び/または、(b)軽鎖FR1、軽鎖FR2、軽鎖FR3、及び軽鎖FR4、を含む、項目17~20のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目22)
(a)配列番号35、44、56、もしくは62と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域;及び/または
(b)配列番号36、45、57、または63と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域、
を含む、項目16または項目17に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目23)
配列番号35と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号36と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、項目22に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目24)
配列番号44と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号45と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、項目22に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目25)
配列番号56と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号57と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、項目22に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目26)
配列番号62と少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号63と少なくとも95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、項目22に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目27)
配列番号35を含む重鎖可変領域及び配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む、項目22に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目28)
配列番号44を含む重鎖可変領域及び配列番号45を含む軽鎖可変領域を含む、項目22に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目29)
配列番号56を含む重鎖可変領域及び配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む、項目22に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目30)
配列番号62を含む重鎖可変領域及び配列番号63を含む軽鎖可変領域を含む、項目22に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目31)
抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
(a)配列番号35を含む重鎖可変領域及び配列番号36を含む軽鎖可変領域を含む1E5と呼ばれる抗体、
(b)配列番号44を含む重鎖可変領域及び配列番号45を含む軽鎖可変領域を含む1E9と呼ばれる抗体、または
(c)配列番号56を含む重鎖可変領域及び配列番号57を含む軽鎖可変領域を含む1A8と呼ばれる抗体、
に由来する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3及び/または軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含むANGPTL8と特異的に結合する、前記抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目32)
配列番号35を含む重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに、配列番号36を含む軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む、項目31に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目33)
配列番号44を含む重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに、配列番号45を含む軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む、項目31に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目34)
配列番号56を含む重鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに、配列番号57を含む軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む、項目31に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目35)
抗体またはその抗原結合フラグメントであって、ANGPTL8と特異的に結合し、前記抗体が、
(a)表1~3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または
(b)表1~3に示されるCDR1、CDR2、及びCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む、前記抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目36)
配列番号64の重鎖及び配列番号65の軽鎖を含むANGPTL8と特異的に結合する抗体。
(項目37)
前記抗体が、モノクローナル抗体である、項目1~36のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目38)
前記抗体が、ヒト化抗体、ヒト抗体、またはキメラ抗体である、項目1~37のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目39)
Fab、Fab’、F(ab’)
2
、Fv、scFv、(scFv)
2
、一本鎖抗体、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体、V領域、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である、項目1~38のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目40)
検出可能なマーカーにコンジュゲートされている、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目41)
前記検出可能なマーカーが、放射性同位元素、金属キレート剤、酵素、蛍光化合物、生物発光化合物、及び化学発光化合物から選択される、項目40に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目42)
細胞傷害剤にコンジュゲートされている、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目43)
ANGPTL8のアンタゴニストである、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目44)
ANGPTL8活性を阻害する、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目45)
トリグリセリドレベルを低下させる、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目46)
LDLコレステロールレベルを低下させる、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目47)
HDLコレステロールレベルを増加させる、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目48)
項目1~42のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目49)
項目1~39のいずれか1項に記載の抗体をコードする単離ポリヌクレオチド分子。
(項目50)
項目49に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
(項目51)
項目49に記載のポリヌクレオチドまたは項目50のベクターを含む単離細胞。
(項目52)
項目1~39のいずれか1項に記載の抗体を産生する宿主細胞。
(項目53)
項目37に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
(項目54)
項目1~39のいずれか1項に記載の抗体を産生するトランスジェニック動物。
(項目55)
項目1~39のいずれか1項に記載の抗体が結合するのと本質的に同じANGPTL8上のエピトープに結合する結合薬。
(項目56)
足場タンパク質を含み、表1~3に示されるような1つ以上のCDRを含むANGPTL8と特異的に結合する結合薬。
(項目57)
ANGPTL8への結合について、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体と競合する結合薬。
(項目58)
上昇したトリグリセリドレベルを有する対象のトリグリセリドレベルを低下させる方法であって、前記方法が、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを治療的有効量、前記対象に投与することを含む、前記方法。
(項目59)
対象の上昇したトリグリセリドレベルに関連する疾患または障害を処置する方法であって、前記方法が、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを治療的有効量、前記対象に投与する、前記方法。
(項目60)
前記疾患または障害が、メタボリック症候群、肥満症、糖尿病、心血管疾患、高脂血症、高トリグリセリド血症、膵炎、腎臓病、または甲状腺機能低下症である、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記上昇したトリグリセリドレベルが、上昇した血漿トリグリセリドレベルである、項目58~60のいずれか1項に記載の方法。
(項目62)
前記上昇した血漿トリグリセリドレベルが、150mg/dL以上である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記上昇した血漿トリグリセリドレベルが、約150~約200mg/dLである、項目61に記載の方法。
(項目64)
前記上昇した血漿トリグリセリドレベルが、約200~約500mg/dLである、項目61に記載の方法。
(項目65)
前記上昇した血漿トリグリセリドレベルが、約500以上である、項目61に記載の方法。
(項目66)
前記上昇したトリグリセリドレベルが、抗体の前記投与前の前記対象のトリグリセリドレベルと比較して、少なくとも5%低減する、項目58~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目67)
前記上昇したトリグリセリドレベルが、抗体の前記投与前の前記対象のトリグリセリドレベルと比較して、少なくとも10%低減する、項目58~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目68)
前記上昇したトリグリセリドレベルが、抗体の前記投与前の前記対象のトリグリセリドレベルと比較して、約10~15%低減する、項目58~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目69)
前記上昇したトリグリセリドレベルが、抗体の前記投与前の前記対象のトリグリセリドレベルと比較して、約10~20%低減する、項目58~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目70)
前記上昇したトリグリセリドレベルが、抗体の前記投与前の前記対象のトリグリセリドレベルと比較して、約20~30%低減する、項目58~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目71)
前記上昇したトリグリセリドレベルが、抗体の前記投与前の前記対象のトリグリセリドレベルと比較して、25%超低減する、項目58~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目72)
対象のHDLコレステロールレベルを増加させる方法であって、前記方法が、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを治療的有効量、前記対象に投与することを含む、前記方法。
(項目73)
対象のLDLコレステロールレベルを低減させる方法であって、前記方法が、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを治療的有効量、前記対象に投与することを含む、前記方法。
(項目74)
前記対象が、過体重または肥満である、項目58~73のいずれか1項に記載の方法。
(項目75)
前記対象が、1つ以上の追加の治療薬を投与される、項目58~74のいずれか1項に記載の方法。
(項目76)
前記治療薬が、フィブラート、スタチン、オメガ-3脂肪酸、及びナイアシンからなる群より選択される、項目75に記載の方法。
(項目77)
トリグリセリドレベルを低下させるための薬品の製造における、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
(項目78)
トリグリセリドレベルの上昇に関連する疾患または障害を処置するための薬品の製造における、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
(項目79)
HDLコレステロールレベルを増加させるための薬品の製造における、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
(項目80)
LDLコレステロールレベルを低下させるための薬品の製造における、項目1~39のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
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