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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】美容装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20230608BHJP
   A61N 1/30 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020532135
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2018045511
(87)【国際公開番号】W WO2020021736
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2018140830
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 岩男
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-319835(JP,A)
【文献】特開2012-061179(JP,A)
【文献】特表2015-507512(JP,A)
【文献】特表2017-537690(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0258329(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0025842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/04
A61N 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する合成樹脂で形成され、円柱形状で柔軟性を有する複数の突起を有する接触部と、
筐体においてユーザによって把持される部分に設けられた電極と、
前記接触部と前記筐体とを電極として、イオン導出のための電気信号を、前記電極、前記突起が接触した人体および前記接触部を含む閉回路に印加する出力部
を備え、
前記接触部は、前記ユーザの人体に接触する側から見て先細りの部分を有し、
前記複数の突起の長さは、前記先細りの先端に向かうにつれて長くなる
美容装置。
【請求項2】
導電性を有する合成樹脂で形成され、円柱形状で柔軟性を有する複数の突起を有する接触部と、
筐体においてユーザによって把持される部分に設けられた電極と、
前記接触部と前記筐体とを電極として、イオン導出のための電気信号、前記電極、前記突起が接触した人体および前記接触部を含む閉回路に印加する出力部と
を備え、
前記複数の突起の先端を結ぶ仮想面が凹んだ形状である
美容装置。
【請求項3】
導電性を有する合成樹脂で形成され、円柱形状で柔軟性を有する複数の突起を有する接触部と、
筐体においてユーザによって把持される部分に設けられた電極と
前記接触部と前記筐体とを電極として、イオン導出のための電気信号を、前記電極、前記突起が接触した人体および前記接触部を含む閉回路に印加する出力部と
を備え、
前記複数の突起として、肌に接する部分が第1の広さの突起と、肌に接する部分が前記第1の広さより広い第2の突起を備える
美容装置。
【請求項4】
導電性を有する合成樹脂で形成され、円柱形状で柔軟性を有する複数の突起を有する接触部と、
筐体においてユーザによって把持される部分に設けられた電極と、
前記接触部と前記筐体とを電極として、イオン導出のための電気信号を、前記電極、前記突起が接触した人体および前記接触部を含む閉回路に印加する出力部と
を備え、
前記接触部は、前記複数の突起に加えて、表面が波形の部分を有する
美容装置。
【請求項5】
前記接触部に、前記ユーザの肌に光を照射する光源が設けられる、
請求項1~のいずれか一項に記載の美容装置。
【請求項6】
前記突起を振動させる振動部を備える請求項1~5のいずれか一項に記載の美容装置。
【請求項7】
前記出力部は、使用者の操作に応じて、前記電極と前記突起の一方を正極とし、他方を負極とする請求項1~5のいずれか一項に記載の美容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体にイオン導出電流を流すことにより肌内部の汚れや老廃物を除去する発明として、例えば、特許文献1に開示された美容器具がある。この美容器具は、球状の複数の回転体の表面に設けられた電極から皮膚に電流を流し、イオン導出を行う。各回転体の電極は複数の帯状の面で形成されており、この帯状の面を有する複数の回転体が回転して皮膚に接触し、隣り合う回転体の間に肌を挟み込むことにより、マッサージ効果を付与し、古い角質や汚れを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2016/068199号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の美容器具においては、古い角質や汚れを除去するために、複数の回転体を回転させ、回転体の間に肌を挟み込む構成を要し、構成が複雑となる。
【0005】
本発明は、回転する構成や皮膚を挟み込む構成を用いなくとも肌の汚れや老廃物を除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、導電性を有する合成樹脂で形成されて複数の突起を有する接触部と、電極と、イオン導出を行う電気信号を前記電極、前記突起が接触した人体および前記接触部を含む閉回路に出力する出力部とを備える美容装置を提供する。
【0007】
本発明においては、前記接触部は、人体に接触する側から見て先細りの部分を有する構成であってもよい。
【0008】
本発明においては、前記突起の長さは、前記先細りの先端に向かうにつれて長くなる構成であってもよい。
【0009】
本発明においては、前記複数の突起の先端を結ぶ仮想面が凹んだ形状である構成としてもよい。
【0010】
本発明においては、前記複数の突起として、肌に接する部分が第1の広さの突起と、肌に接する部分が前記第1の広さより広い第2の突起を備える構成としてもよい。
【0011】
本発明においては、前記突起は、人体に接触する側から見て環状の形状である構成であってもよい。
【0012】
本発明においては、前記接触部の表面が波型であり、前記突起は前記波型の凸の部分である構成であってもよい。
【0013】
本発明においては、前記突起を振動させる振動部を備える構成であってもよい。
【0014】
本発明においては、前記出力部は、使用者の操作に応じて、前記電極と前記突起の一方を正極とし、他方を負極とする構成であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回転する構成や皮膚を挟み込む構成を用いなくとも肌の汚れや老廃物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る美容装置1を示した図。
図2】美容装置1を接触部10側から見た図。
図3】美容装置1の電気的構成を示したブロック図。
図4】変形例に係る美容装置1Aの外観を示した図。
図5】変形例に係る美容装置1Bの外観を示した図。
図6】変形例に係る美容装置1Cの外観を示した図。
図7】変形例に係る美容装置1Dの外観を示した図。
図8】変形例に係る美容装置の断面を示した図。
図9】変形例に係る美容装置の断面を示した図。
図10】変形例に係る美容装置の断面を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る美容装置1を示した図である。美容装置1は、皮膚の汚れや古い角質や吸着するイオン導出機能とシェーバーの機能を備える装置である。
【0018】
美容装置1は、導電性と弾性を有する合成樹脂の一例であるシリコーンゴムで形成された接触部10、24金のメッキが施された外刃20Aとモータにより回転する内刃(図示略)を有するシェーバー部20、表示部30、複数のボタン40および筐体50を有する。筐体50は、電源となる二次電池、イオン導出機能を実現する電気回路、シェーバーの機能を実現する電気回路などを内蔵する。筐体50は、金属製であり、イオン導出を行うための電極としても機能する。筐体50は、本発明に係る電極の一例である。
【0019】
筐体50に設けられた表示部30は、液晶ディスプレイであり、美容装置1の動作状態や内蔵する二次電池の状態などの各種情報を表示する。筐体50に設けられた複数のボタン40は、美容装置1を操作するためのボタンであり、美容装置1の電源のオン/オフを制御するためのボタン、イオン導出機能のオン/オフを制御するためのボタン、シェーバーの機能のオン/オフを制御するためのボタンなどがある。
【0020】
図2は、美容装置1を接触部10側から見た図である。接触部10は、本発明に係る接触部の一例である。接触部10は、本実施形態においては、導体として銀の粉末を含む。接触部10が含む導体は、銀に限定されるものではなく、シリコーンに導電性を付与するカーボンブラック、金メッキされたシリカ、グラファイトなどであってもよい。また、接触部10は、銀に加えて二酸化チタンの粉末を含む構成であってもよい。また、接触部10は、導電性を有するシリコーンに限定されるものではなく、導電性と弾性を有するものであれば、シリコーン以外であってもよい。例えば、接触部10は、弾性体である合成樹脂のゴムにおいて導電性を有する導電性ゴムであってもよく、弾性と導電性を有する合成樹脂のエラストマーであってもよい。また、接触部10は、導電性を有する合成樹脂であれば、弾性を備えていない構成であってもよく、例えば導電性プラスチックであってもよい。接触部10は、円形の平坦な領域12を有し、領域12は、複数の予め定められた長さの突起11を有する。複数の突起11は、円柱の形状で柔軟性を有して変形可能であり、皮膚に対してイオン導出を行う電極となる。突起11は、本実施形態においては先端の形状が半球の形状となっている。複数の突起11は、行列に配置されていてもよく、また、同心円状に配置されていてもよい。
【0021】
図3は、美容装置1の電気的構成を示したブロック図である。モータ103は、シェーバー部20の内刃を回転させるためのモータである。モータ103は、シェーバー部20に接続し、シェーバー部20の内刃を回転させる。出力部102は、接触部10と金属製である筐体50に接続されている。出力部102は、接触部10を負極、筐体50を正極とし、イオン導出を行うための電気信号を出力する。出力部102は、本発明に係る出力部の一例である。
【0022】
制御部101は、例えばマイクロコンピュータである。制御部101は、操作されたボタン40に応じて、各部を制御する。制御部101は、ボタン40において、シェーバーの機能をオンにする操作が行われると、モータ103を駆動し、シェーバー部20の内刃を回転させ、ボタン40において、シェーバーの機能をオフにする操作が行われると、モータ103の駆動を停止し、シェーバー部20の内刃の回転を停止させる。また、制御部101は、ボタン40において、イオン導出の機能をオンにする操作が行われると、接触部10と筐体50を電極としてイオン導出を行うための電気信号を出力し、ボタン40において、イオン導出の機能をオフにする操作が行われると、イオン導出を行うための電気信号の出力を停止する。また、制御部101は、表示部30を制御し、二次電池の状態や、オンとなっている機能のアイコンなどを表示する。
【0023】
使用者は、イオン導出の機能を使用する場合、筐体50を把持し、複数の突起11を皮膚に押し当てる。突起11を押し当てつつ移動させると、皮膚に押し当てられた複数の突起11の各々は、皮膚の表面をブラッシングする。また、複数の突起11の各々を介してイオン導出のための電気信号が皮膚に出力されると、古い角質やメイク顔料などが突起11に引き付けられ、肌のクレンジングが行われる。
【0024】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0025】
上述した実施形態においては、美容装置1は、導電性を有する接触部10を負極とし、金属製の筐体50を正極としてイオン導出を行っているが、導電性を有する接触部10を正極とし、金属製の筐体50を負極としてイオン導出を行ってもよい。また、本発明においては、イオン導出のための電気信号を出力するときに、ボタン40の操作により、接触部10を負極とし、金属製の筐体50を正極とするモードと、接触部10を負極とし、金属製の筐体50を正極とするモードとを切り替えられる構成としてもよい。
【0026】
上述した実施形態においては、複数の突起11が設けられる領域12の形状は円形であるが、円形に限定されるものではなく、例えば、矩形や多角形、楕円形など他の形状であってもよい。
【0027】
本発明においては、複数の突起11の長さは領域12の中央と周縁とで異なる長さであってもよい。例えば、領域12の中央から周縁に向かうにつれて突起11の長さが短くなる構成であってもよく、また、領域12の中央から周縁に向かうにつれて突起11の長さが長くなる構成であってもよい。
【0028】
上述した実施形態においては、突起11の先端は半球の形状であるが、半球の形状に限定されるものではない、例えば、突起11の先端は、球形であってもよく、また、先端が平面であってもよい。
【0029】
本発明においては、美容装置1は、モータ103に加えて振動モータを備える構成であってもよい。美容装置1が振動モータを備える構成の場合、制御部101は、イオン導出を行うための電気信号の出力中に振動モータを駆動し、突起11を振動させてもよい。振動モータは、本発明に係る振動部の一例である。
【0030】
上述した実施形態においては、シェーバー部20を着脱可能な構成とし、他のアタッチメントも装着可能な構成としてもよい。例えば、シェーバー部20に替えて洗顔ブラシを備えたアタッチメントを装着し、洗顔ブラシを備えたアタッチメントをモータ103で回転させてもよい。
【0031】
本発明においては、出力部102は、出力する電気信号について、ボタン40に行われた操作に応じて、周波数、振幅、波形の少なくとも一つを切り替える構成としてもよい。
【0032】
上述した実施形態においては、筐体50が金属製となっているが、本発明においては、筐体50を合成樹脂とし、イオン導出を行うための電極として筐体50の一部に金属製の電極を設けてもよい。
【0033】
上述した実施形態においては、美容装置1は、シェーバー部20を備えた構成であるが、シェーバー部20を備えていない構成であってもよい。
【0034】
図4は、変形例に係る美容装置1Aの外観を示した図である。美容装置1Aは、シェーバーの機能を備えていない点で美容装置1Aと相違する。美容装置1Aは、ボタン41、筐体50A、導電性と弾性を有する合成樹脂の一例であるシリコーンゴムで形成された接触部10Aを有する。ボタン41は、イオン導出のオン/オフを切り替えるボタンである。筐体50Aは、第1筐体501と第2筐体502で構成されている。第1筐体501は、素材が合成樹脂であり、電源となる二次電池、イオン導出機能を実現する電気回路などを内蔵する。第2筐体502は、金属製であり、イオン導出を行うための電極としても機能する。
【0035】
接触部10Aは、接触部10と同じく複数の突起11を有する。接触10Aは、上方から見て先細りの形状である涙型であり、複数の突起11が配置されている。接触部10Aを垂直方向に切断した断面を見ると、図8に示したように、接触部10Aは、下方に凹んだ形状であり、全ての突起部11の先端を結ぶ仮想面を想定すると、仮想面が下方に凹んだ形状となる。接触部10Aにおいては、涙型の先端に向かって突起11の数が少なくなっているため、例えば小鼻部分などに突起部11を接触させやすくなっている。また、接触部10Aは、突起部11の先端側から見て凹んだ形状となっているため、曲面が多い人体にフィットする。なお、接触部10Aの突起部11は、涙型の先端部分では細くて長い形状とし、先端部分の周囲においては、先端部分と同じ長さで先端部分より太い形状としてもよい。また、接触部10Aの突起部11は、涙型の後端部分では先端部分と同じ太さで先端部分より短い形状とし、後端部分から先端部分の周囲に向かうにつれて太さを変えずに長さを長くしてもよい。また、接触部10Aは、先細りの形状であれば、涙型に替えて上方から見て先細りの形状である卵型や菱形、三角形、星形、多角形、楕円形など他の形状であってもよい。また、美容装置1、1Aにおいては、突起11は、円柱の形状となっているが、半球の形状であってもよい。また、接触部10、10Aにおいては、突起11に替えて複数の窪みを設け、窪み以外の部分が肌に接触する構成としてもよい。
【0036】
また、突起部11については、イオン導出の効果を高めるという点では、突起部の径を太くして突起部の先端の面積が広くなるほど好ましい。突起部11の径を太くするほど、皮膚との接触面積が増え、イオン導出の効果が高くなる。
【0037】
図5は、変形例に係る美容装置1Bの外観を示した図である。美容装置1Bは、肌に接触させる部分が美容装置1Aと相違する。美容装置1Bは、導電性と弾性を有する合成樹脂の一例であるシリコーンゴムで形成された接触部10B、ボタン41、筐体50Aを有する。接触部10Bは、上方から見て環状の涙型に形成された複数の凸部13を有する。凸部13は、上端が予め定められた幅となっており、断面が矩形になっている。凸部13は、本発明に係る突起の一例である。接触部10Bにおいては、凸部13が環状の涙型となっているため、例えば小鼻部分などに凸部13を接触させやすくなっている。また、接触部10Bにおいては、凸部13の角が肌に接触することにより、肌のクレンジングが行われる。なお、凸部13は、断面が矩形に限定されるものではなく、断面が半円の形状であってもよい。
【0038】
図6は、変形例に係る美容装置1Cの外観を示した図である。美容装置1Cは、肌に接触させる部分が美容装置1Aと相違する。美容装置1Cは、ボタン41、筐体50A、導電性と弾性を有する合成樹脂の一例であるシリコーンゴムで形成された接触部10Cを有する。接触部10Cは、肌に接触する面が波型となっている。波型で凸になっている部分は、本発明に係る突起の一例である。接触部10Cにおいては、波型の凹凸が肌に接触することにより、肌のクレンジングが行われる。
【0039】
また、接触部については、突起や凸部を組み合わせた構成としてもよい。図7は、突起と凸部を組み合わせた接触部を備えた美容装置1Dの外観を示した図である。美容装置1Dは、肌に接触させる部分が美容装置1Aと相違する。美容装置1Dは、ボタン41、筐体50A、導電性と弾性を有する合成樹脂の一例であるシリコーンゴムで形成された接触部10Dを有する。接触部11Dは、涙形の先端部分から予め定められた範囲内に突起11を有し、突起11以外の部分は接触部11Cと同様の波型となっている。接触部10Dにおいては、突起部11で小鼻部分のイオン導出を行い、波型の部分で広い範囲に対してイオン導出を行うことができる。
【0040】
本発明においては、接触部10、10A、10B、10Cを加熱するヒータを設けてもよい。図8は、ヒータを備える美容装置1Aの断面を示した図であり、美容装置1Aを垂直方向に切断した断面を示した図である。接触部10Aの下面側には、導電性を有する金属または樹脂で形成された導電部61が設けられ、導電部61と接触部10Aの間には、接触部10Aに接するヒータ60が設けられている。導電部61は、制御部101とヒータ60に電気的に接続されている。制御部101が電気信号を出力すると、出力した電気信号が導電部61を介してヒータ60に供給され、ヒータ60の温度が上昇する。なお、美容装置1Bにおいても接触部10Bの下面側にヒータ60を配置し、美容装置1Cにおいても接触部10Cの下面側にヒータ60を配置してもよい。また、接触部10においても、突起11が形成されている側と反対側にヒータ60を配置してもよい。接触部10、10A、10B、10Cを加熱するヒータ60を設けた際には、例えば、突起部11や凸部13の先端が40℃以上となるようにするのが好ましく、さらに安全のため、温度に上限を設けるのが好ましい。接触部10、10A、10B、10Cを加熱する構成を備えている場合、肌が暖められることにより、毛穴が開き、角質層や肌の汚れが浮きやすくなる。
【0041】
また、接触部10、10A、10B、10Cが接する肌を加熱する構成は、ヒータを用いる構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。例えば、ラジオ波の交流電圧を出力する回路を装置内に設け、ラジオ波の交流電圧を接触部10、10A、10B、10Cへ印加する。ラジオ波が接触部10、10A、10B、10Cへ印加されると、皮膚に高周波電流が流れて皮膚が温められる。
【0042】
上述した変形例で装置を振動させる変形例は、振動モータで美容装置1全体を振動させる構成であるが、全体を振動させるのではなく、接触部10A、10B、10Cを振動させる構成であってもよい。図9図10は、接触部10Aを振動させる構成を備えた美容装置1Aの断面を示した図である。図9は、美容装置1Aを水平方向に切断したときの上側を下方から上方へ見た図であり、図10は、美容装置1Aを垂直方向に切断したときの断面図である。
【0043】
筐体50A内には、モータ103Aが配置されており、モータ103Aの回転軸71には偏心軸73が取り付けられている。偏心軸73においては、回転軸71から偏った位置にシャフト72が取り付けられている。シャフト72には、三つ又の形状で三つのアームを備えるラバーホルダ74が取り付けられている。ラバーホルダ74の三つのアームの先端部には、接触部10Aから下側に突出した被支持部14が取り付けられている。
【0044】
ボタン41によりイオン導出がオンとなると、モータ103Aもオンとなり、回転軸71が回転する。回転軸71が回転すると、回転軸71の回転に伴って偏心軸73とシャフト72が回転軸71を中心に回転し、シャフト72の回転に伴ってラバーホルダ74が回転する。ラバーホルダ74には接触部10Aが有する被支持部14が取り付けられているため、ラバーホルダ74が回転すると、被支持部14を介して接触部10Aが振動する。なお、美容装置1B、1Cにおいても、上述した変形例と同様の構成で接触部10B、10Cを振動させる構成としてもよい。
【0045】
本発明においては、イオン導出を行うための電気信号は、パルス波とし、周波数を10Hzから1.5kHzまでの範囲内のいずれかの周波数とするのが好ましい。また、パルス波のデューティー比は、接触部10(10A、10B、10C)の電気抵抗率が100Ω・cm~200Ω・cmの範囲内である場合、50%~80%であるのが好ましい。
【0046】
本発明においては、接触部10A、10B、10Cの周囲に、肌に光を照射する光源を配置してもよい。光源としては、例えばLEDを用いる。このLEDは、例えばピーク波長が465nmである青色光を出力するLEDであってもよい。この青色光は、ヘモグロビンによく吸収されるので、赤ら顔や赤アザに効果的である。色彩の作用としては、リンパドレナージュ作用や血液循環作用を増大させる。さらに、ストレスや緊張を緩和する効果等も得ることができる。
【0047】
また、光源のLEDは、例えばピーク波長が522nmである緑色光を出力するLEDであってもよい。この緑色光は、前述の青色光よりも、皮膚浸透度が高いので、真皮深部のヘモグロビンに吸収され、真皮深部の赤アザに効果的である。色彩の作用としては、乾燥肌の改善や、皮脂や色素沈着によるシミの除去に適している。また、心身のリラックス効果等も得ることができる。
【0048】
また、光源のLEDは、例えばピーク波長が592nmである黄色光を出力するLEDであってもよい。この黄色光は、赤色光や橙色光に比べると、皮膚浸透度が高いため、皮膚表面のシミに効果的である。また、色彩の作用として、老化肌やトラブル肌の改善にも適している。
【0049】
また、光源のLEDは、例えばピーク波長が609nmである橙色光を出力するLEDであってもよい。この橙色光は、メラニン・ヘモグロビンに吸収され、茶色いシミに効果的である。また、色彩の作用としては、オイリー肌又はニキビ肌の改善や、代謝機能の適正化を図る上で重要である。
【0050】
また、光源のLEDは、例えばピーク波長が641nmである赤色光を出力するLEDであってもよい。この赤色光は、皮膚浸透度が高く、皮膚深部のメラニンに反応し、皮膚の奥深くのシミに効果的である。また、赤色の色彩作用も相まって、赤みがかっている肌の改善に適しており、血行の促進効果等を得ることができる。また、いわゆるスリミングケアにも適している。
【0051】
また、光源のLEDは、例えばピーク波長が870nmおよび940nmである赤外光を出力するLEDであってもよい。この赤外光は、真皮深部の水分、メラニン、ヘモグロビンに反応するため、コラーゲンの増加に有効である。詳細には、線維芽細胞の活性化作用があり、新しいコラーゲンを効果的に作り出すことができる。なお、光源は、2以上のLEDを有する構成で複数の光を出力する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1、1A、1B、1C、1D…美容装置、10、10A、10B、10C、10D…接触部、11…突起、12…領域、13…凸部、20…シェーバー部、20A…外刃、30…表示部、40、41…ボタン、50A…筐体、60…ヒータ、61…導電部、71…回転軸、72…シャフト、73…偏心軸、74…、ラバーホルダ、101…制御部、102…出力部、103、103A…モータ、501…第1筐体、502…第2筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10