IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クオラム テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

特許7291730回動可能なステージ、当該ステージを備える電子顕微鏡、および当該ステージのロータを冷却する方法
<>
  • 特許-回動可能なステージ、当該ステージを備える電子顕微鏡、および当該ステージのロータを冷却する方法 図1
  • 特許-回動可能なステージ、当該ステージを備える電子顕微鏡、および当該ステージのロータを冷却する方法 図2
  • 特許-回動可能なステージ、当該ステージを備える電子顕微鏡、および当該ステージのロータを冷却する方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】回動可能なステージ、当該ステージを備える電子顕微鏡、および当該ステージのロータを冷却する方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20230608BHJP
   H01J 37/28 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H01J37/20 E
H01J37/28 B
H01J37/20 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020567644
(86)(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 GB2019050501
(87)【国際公開番号】W WO2019162693
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】1803071.8
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520319336
【氏名又は名称】クオラム テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】QUORUM TECHNOLOGIES LTD
【住所又は居所原語表記】Judges House, Lewes Road, Laughton, Sussex BN8 6BN, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】モリソン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】コステロ ケネス
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-153362(JP,A)
【文献】特開平02-144843(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103983485(CN,A)
【文献】特開2000-095586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0288182(US,A1)
【文献】特開平04-184851(JP,A)
【文献】特表平11-509606(JP,A)
【文献】特開昭57-186633(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0051098(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
G01N 1/00-1/44
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置のための回動可能なステージであって、前記回動可能なステージは、
ステータと、
前記ステータに熱的に接続された熱交換器と、
ロータと、
前記ステータと前記ロータとの間に位置する軸受とを備え、前記軸受により、前記ステータ及び前記ロータが熱的に接続され、前記軸受は、傾斜コイルバネを備えることを特徴とする、回動可能なステージ。
【請求項2】
前記軸受は、170Wm-1-1を超える熱伝導率を有する材料を含むことを特徴とする、請求項1記載の回動可能なステージ。
【請求項3】
前記軸受は、前記軸受と前記ステータ間で複数の接点を提供するように、そして、前記軸受と前記ロータ間で複数の接点を提供するように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の回動可能なステージ。
【請求項4】
前記軸受は、前記軸受と前記ステータ間で少なくとも12の接点を提供するように、そして、前記軸受と前記ロータ間で少なくとも12の接点を提供するように構成されることを特徴とする、請求項3記載の回動可能なステージ。
【請求項5】
前記軸受は、1つの連続する構成要素を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回動可能なステージ。
【請求項6】
前記軸受の材料は、銅、りん、青銅、及びCuBeのうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の回動可能なステージ。
【請求項7】
前記熱交換器は、冷却されたガスを受け取るように構成されるガスチューブを備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の回動可能なステージ。
【請求項8】
前記熱交換器は、熱伝導性ブレードを備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の回動可能なステージ。
【請求項9】
前記熱伝導性ブレードは、銅ブレードを備えることを特徴とする、請求項記載の回動可能なステージ。
【請求項10】
前記熱交換器と第2の熱交換器間に熱伝導をもたらす接続を備え、
前記接続は可撓性であることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の回動可能なステージ。
【請求項11】
前記ステータは、温度センサを備えることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回動可能なステージ。
【請求項12】
請求項1記載の回動可能なステージであって、
前記ステータの温度を表す前記温度センサから、温度入力を受け取り、
前記温度入力から、前記ステータの温度が所定範囲内にあるかどうかを自動的に判定し、
前記ステータの温度が確実に所定範囲内となるように、前記熱交換器の温度を制御するための手段を更に備えることを特徴とする、回動可能なステージ。
【請求項13】
請求項7に記載の回動可能なステージであって、
前記ステータは、温度センサを備え、
前記ステータの温度を表す前記温度センサから、温度入力を受け取り、
前記温度入力から、前記ステータの温度が所定範囲内にあるかどうかを自動的に判定し、
前記ステータの温度が確実に所定範囲内となるように、前記熱交換器の温度を制御するための手段を更に備え、
前記熱交換器の温度を制御することは、前記ガスチューブを介して、冷却されたガスの流量と制御することを含むことを特徴とする回動可能なステージ。
【請求項14】
真空チャンバと、請求項1乃至1のいずれか一項に記載の回動可能なステージとを備える電子顕微鏡であって、
前記真空チャンバ内に、前記ステータと、前記ロータと、前記軸受とが位置することを特徴とする電子顕微鏡
【請求項15】
請求項1記載の電子顕微鏡であって、試料ステージを備え、
前記ステータは、断熱支持体を介して前記試料ステージに載置されることを特徴とする電子顕微鏡
【請求項16】
請求項15に記載の電子顕微鏡であって、前記試料ステージに取付けられたステージ回転モジュールを備え、
前記ロータは、断熱支持体を介して前記ステージ回転モジュールに取り付けられることを特徴とする電子顕微鏡
【請求項17】
回動可能なステージのロータを冷却する方法であって、
ステータと、前記ステータに熱的に接続された熱交換器と、前記ロータと、前記ステータと前記ロータ間に位置する軸受とを備え、
前記軸受は、傾斜コイルバネを備え、
前記回動可能なステージは、前記軸受により、前記ステータ及び前記ロータが熱的に接続され、
前記方法は、前記ステータの前記熱交換器を熱冷却することにより、熱伝導性の前記軸受を介して前記ロータを冷却するステップを含むことを特徴とする方法
【請求項18】
前記軸受は、170Wm-1-1を超える熱伝導率を有する材料を含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記熱交換器は、ガスチューブを備え、
前記方法は、冷却されたガスを前記ガスチューブに通すステップを備えることを特徴とする、請求項1又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記ガスは、少なくとも-170℃まで冷却されることを特徴とする、請求項19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡、例えば電子顕微鏡といった分析装置のための回動可能なステージに関する。この回動可能なステージは、分析対象の試料に低温環境を提供する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡は、試料の表面上の原子と相互作用する焦束させた電子線を使用し、試料の表面形状及び構成に関する情報を生成する。電子顕微鏡では、走査電子顕微鏡(SEM)がよく知られている。
【0003】
電子顕微鏡の試料を、直線的および回転的に移動させることは望ましいかもしれない。例えば回転は、多くの画像形成及び準備操作のために、電子線下で標本を正しい方向とするのに重要である。通常電子顕微鏡は、試料ホルダーを介して、試料を直接又は間接的に固定させる試料ステージを有する。試料ステージと試料との間にはモジュールを設けることもできる。例えば回転移動させるために回転モジュールを設けてもよい。試料ステージでは、直線的な移動が可能である。
【0004】
電子顕微鏡検査法は真空下で行われる。(生物学的又は非生物学的)試料の中には、電子線の影響を受け、電子線からのダメージを制限(抑制)するために凍結を必要とするものがある。高い水分含有を有する生体試料又は試料が電子顕微鏡の真空下にさらされる場合、試料中の水分は直ちに全て蒸発を始めるので、大きな変形が生じる。この課題を解決するためには、試料を電子顕微鏡に配置する前に、急速凍結させる。それから試料は、顕微鏡での分析が行われる間、液体窒素温度(-196℃)にできるだけ近い状態で保たれる。
【0005】
走査の間、試料を低温に保つために、通常コールドステージを用いる。試料はコールドステージ上に配置され、このコールドステージのおかげで試料は低温に保たれる。コールドステージは、直接または間接的に試料ステージに取り付けられる。
現在のコールドステージのデザインでは、ステージを液体窒素のリザーバに接続する銅ブレード(銅編組)を使用するか、もしくは、必要とされる温度とするために、接続されているチューブを介して低温の窒素ガスをステージへ流す。劣化を回避するために、生体試料は-165℃未満で保たれなければならない。ガス冷却のコールドステージを使用すると約-191℃までの冷却が可能であり、ブレード冷却のコールドステージを使用すると約-170℃までの冷却が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コールドステージでは、試料の冷却及び回転の両方は行えないという欠点がある。これは、液体窒素リザーバがブレード(編組)及びチューブによりコールドステージに接続されているからであるが、これによりコールドステージの回転は阻まれる。コールドステージがブレード又はガスチューブにテザーされているので、回転させるとブレード又はガスチューブのせん断が生じるだろう。
【0007】
本発明の目的は、従来技術に関する問題点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、分析装置のための回動可能なステージを提供することであり、この回動可能なステージは、
ステータ(固定子)と、
ステータに熱的に接続された熱交換器と、
ロータ(回転子)と、
ステータとロータの間に位置する軸受と、を備え、この軸受により、ステータとロータが熱的に接続される。
【0009】
軸受は、約170Wm-1-1を超える熱伝導率を有する材料を含んでもよい。
【0010】
本発明の態様は、分析装置のための回動可能なステージを提供することであり、この回動可能なステージは、
ステータと、
ステータに熱的に接続された熱交換器と、
ロータと、
ステータとロータとの間に位置する軸受とを備え、この軸受は、ステータとロータを熱的に接続させるために、約170Wm-1-1を超える熱伝導率を有する材料を含む。
【0011】
高熱伝導性の軸受を使用することによって、ロータを効率的に冷却することができる。これにより、ロータに載置される試料を低温に保つことができる。
【0012】
軸受は、軸受とステータ間と、軸受とロータ間とでそれぞれ接点を複数提供するように構成されてもよい。接点が複数あるので、ステータとロータ間の熱的な接続が強化される。軸受は、軸受とステータ間と、軸受とロータ間とでそれぞれ少なくとも12の接点を提供するように構成されてもよい。
一実施例では軸受は、軸受とステータ間と、軸受とロータ間とでそれぞれ少なくとも100の接点を提供するように構成されてもよい。
【0013】
軸受は、1つの連続する構成要素を備えてもよい。軸受はコイルバネを備えてもよい。コイルバネを使用すると、ステータと軸受の間と、ロータと軸受の間とでそれぞれ多くの接点を提供するという利点があるので、低摩擦でありながら、ステータと軸受及びロータと軸受間の効率的な熱リンクが提供される。例えば、コイルバネの各コイルは、ステータとの1つの接点と、ロータとの1つの接点を有してもよい。コイルバネは、構成部品の機械加工の変形に対する耐性が高い。コイルバネは、傾斜コイルバネを備えてもよい。傾斜コイルバネは、楕円断面を有してもよい。
【0014】
軸受の材料は、銅、りん、青銅、及びCuBeのうち少なくとも1つを含んでもよい。軸受の材料は合金を含んでもよい。一実施例では、軸受の材料は銅合金を含む。
【0015】
好適には軸受は、約45Rb~約94Rbのロックウェル硬度の材料を含んでもよい。
【0016】
分析装置は、顕微鏡(例えば電子顕微鏡)であってもよい。適した分析装置としては、走査電子顕微鏡(SEM)、集束イオンビーム機器(FIB)(例えば集束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIB―SEM))、X線ビームラインエンドステーション等がある。
【0017】
熱交換器はガスチューブを備えてもよく、ガスチューブは冷ガスを受け取るように構成される。冷ガスは冷却され得る。すなわち、周囲温度未満に冷却され得る。冷ガスの温度は-170℃以下になり得る。ガスは窒素ガスを含み得る。例えば冷ガスは、周囲温度直下から-196℃の温度範囲で、冷却された窒素ガスを含んでもよい。
別の実施例では熱交換器は、冷却されたブレードを備えてもよい。ブレードは銅ブレード(銅編組)を備えてもよい。
【0018】
回動可能なステージには、熱交換器と第2の熱交換器と間で熱伝導をもたらす接続部が設けられてもよい。接続部は可撓性であり得る。この可撓性接続により、電子顕微鏡に対してステータを移動させることができる。例えばステータを、直線運動(例えばX及びY)に適応する試料ステージに載置してもよい。接続は、ガスチューブ又は熱伝導性ブレードの一部を含んでもよい。
【0019】
第2の熱交換器は、熱を除去するように構成してもよい。第2の熱交換器は液体窒素と接触していてもよい。
【0020】
ステータは温度センサを備える。
【0021】
回動可能なステージは、以下のための手段を備えてもよい。
ステータの温度を示す温度センサからの温度入力を受け取る。
温度入力から、ステータの温度が所定範囲内にあるかどうかを自動的に判定する。
ステータの温度が確実に所定範囲内となるように、熱交換器の温度を制御する。
【0022】
回動可能なステージは、以下を備えてもよい。
ステータ温度データ信号を受け取るための電気的入力を有する電子処理回路。(ステータ温度データ信号は、温度センサによって自動的に生成され出力される。)
電子処理回路に電気的に結合されており、格納される指示を有する電子記憶装置。
電子処理回路は、ステータ温度データから、ステータの温度が所定範囲内にあるかどうかを判定するよう機能するように、記憶装置にアクセスし、そこに格納されている指示を実行するように構成される。
【0023】
システムは、コントローラを備えてもよく、適切には、1つ以上の電子処理回路を有する制御装置又はコンピュータデバイスを備える。
【0024】
熱交換器の温度制御は、ガスチューブを介して、冷ガスの流量を制御することを含んでもよい。
【0025】
したがって、ステータで一定温度を維持するためのフィードバックループが提供される。
【0026】
本発明の態様では、真空チャンバと、先行する請求項のいずれか一項に記載の回動可能なステージを備えた電子顕微鏡を提供することができる。そして真空チャンバ内に、ステータと、ロータと、熱伝導性のコイルバネとが位置する。
【0027】
本発明の態様では、試料ステージを備えた電子顕微鏡が提供される。そして断熱支持体を介して、ステータが試料ステージに載置される。
【0028】
電子顕微鏡は、ステージ回転モジュール(直接又は間接的に試料ステージに載置される)を備えてもよい。ロータは、断熱支持体を介してステージ回転モジュールに取り付けられる。
【0029】
本発明の態様は、ステータと、ステータに熱的に接続された熱交換器と、ロータと、ステータとロータ間に位置する軸受と、を備えた回動可能なステージのロータを冷却するための方法を提供する。軸受により、ステータとロータが熱的に接続されている。
上記の方法は、ステータの熱交換器を熱冷却することにより、熱伝導性の軸受を介してロータを冷却するステップを備える。
【0030】
軸受は、約170Wm-1-1を超える熱伝導率を有する材料含んでもよい。軸受は、約140Wm-1-1、約150Wm-1-1、約160Wm-1-1、又は約170Wm-1-1を超える熱伝導率を有する材料を含んでもよい。軸受は、約140Wm-1-1~約170Wm-1-1の熱伝導率を有する材料を含んでもよい。
【0031】
本発明の態様では、ステータと、ステータに熱的に接続された熱交換器と、ロータと、ステータとロータ間に位置する軸受とを備えた回動可能なステージのロータを冷却する方法を提供する。軸受は、約170Wm-1-1を超える熱伝導率を有する材料を含んでもよい。
上記の方法は、ステータの熱交換器を熱冷却することにより、熱伝導性の軸受を介してロータを冷却するステップを含む。
【0032】
熱交換器はガスチューブを備えることができ、方法は冷ガスをガスチューブに通すステップを含むことができる。
【0033】
ガスチューブは、少なくとも-170℃まで冷却されてもよい。
【0034】
方法は、ロータを同時に冷却及び回転させるステップを備えてもよい。
【0035】
本発明の態様では、回動可能なステージが提供され、この回動可能なステージは、
ステータと、
ステータに熱的に接続された熱交換器と、
ロータと、
ステータとロータの間に位置する軸受と、を含み、軸受によりステータとロータが熱的に接続される。
【0036】
軸受は、約170Wm-1-1を超える熱伝導率を有する材料を含んでもよい。
【0037】
回動可能なステージは、試料の冷却及び回転両方を必要とする装置のために使用されてもよい。例えば、分析機器又は試料をコーティングするための装置である。
【0038】
本発明の態様では、ステータと、ステータに熱的に接続された熱交換器と、ロータと、ステータとロータの間に位置する軸受と、を備えた回動可能なステージのロータを冷却するための方法が提供されてもよい。軸受により、ステータとロータが熱的に接続される。
上記方法は、ステータの熱交換器を熱冷却することにより、熱伝導性の軸受を介してロータを冷却するステップを含む。
【0039】
本開示の明細書及び請求項全体にわたって、用語「comprise(備える/含む)」及び「contain(含む)」、そして例えば「comprising」及び「comprises」」といった変形例は、「含むが、これに限定されるものではない」ということを意味し、他の構成要素、数字、又はステップを除外しない。さらに、単数(で表されるもの)は、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、その複数も含む。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上別段の解釈を要する場合を除き、本開示は単数ならびに複数も意図するとして理解されるものとする。
【0040】
本発明それぞれの態様の好ましい特徴は、他の態様に関連して記載されてもよい。本出願の範囲内において、前パラグラフ、請求項、及び/又は続く明細書及び図面、そして特にその個々の特徴において提示されるさまざまな態様、実施例、例、及び変形例は、独立して又は組合せて用いてもよいことが明確に意図されている。すなわち、この種の特徴は、適切でない場合を除いて、すべての実施例、及び又はすべての実施例の特徴も、いかなる方法及び/又は組合せて組み込まれてよい。
【0041】
以下で一例として挙げるに過ぎないが、添付の図面を参照して本発明の1つ以上の実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】走査電子顕微鏡の回動可能なステージの実施例の概略図である。
図2図1の回動可能なステージの上面図である。
図3図2の回転ステージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、走査電子顕微鏡の回動可能なステージの実施例を示す。走査電子顕微鏡10は、電子顕微鏡試料ステージ14を収納する真空チャンバ12を備える。
【0044】
回動可能なステージは、回動可能なステージ(ステータ)16の静的部分と、回動可能なステージ(ロータ)18の回転部分と、その間の軸受20とを備える。ロータ18は、軸受20を用いてステータ16に取り付けられ、この軸受20により、ステータ16とロータ18間で回転が可能となる。ロータ18は断熱支持体(図示せず)を介して、電子顕微鏡試料ステージ14に載置される顕微鏡ステージ回転モジュールに載置される。ステータ16は、断熱支持体(図示せず)によって主電子顕微鏡試料ステージ14に取り付けられる。
【0045】
ステータ16に熱的に接続された熱交換器は、ステータ16の外周の外側に位置する冷却チューブ32の形で設けられている。-196℃近くまで冷却される窒素ガスは、冷却チューブ32を通過することによって、ステータを冷却する。
【0046】
液体窒素ジュワー瓶24に設置される第2の熱交換器22を介して、冷却された窒素ガスが供給される。液体窒素は約-196℃近くまで冷却されており、その液体窒素に浸漬されている熱交換器を、暖かく乾燥した窒素ガス26の流れが通過する。冷却された窒素ガス28は、真空フィードスルー30を介して、真空チャンバ12及び冷却チューブ32に入る。
【0047】
軸受20は、ステータとロータとを接続する高性能なサーマルリンクとして作用する。本実施例において、軸受は円形の銅の傾斜コイルバネである。
【0048】
図2は更に詳細な回動可能なステージの平面図であり、ステータ16及びロータ18を示している。試料ホルダー34は、ロータ18上に示される。ステータ16は、断熱ロケータ36を介して電子顕微鏡試料ステージ14に接続されている。冷却チューブ32はステータ16の外周の外側に示されており、冷却された窒素ガスがその周囲を循環できるので、ステータは冷却される。
【0049】
図3は、図2の回動可能なステージの断面である。ロータ18は、断熱材38を介して顕微鏡ステージ回転モジュール15に載置されている。ロータ18は軸受20を介してステータ16に取り付けられ、この軸受20は、円形の銅の傾斜コイルバネを備える。冷却チューブ32は、ステータ16外周の外側に示される。
【0050】
別の実施例では、冷却チューブは冷却ブレードと置き換えてもよい。
【0051】
システムの低温部分(例えば冷却チューブ32及び試料ホルダー34)は、高熱伝導性及び耐食性のために金付け銅で作製される。絶縁部分(例えば断熱ロケータ36及び断熱材38)は、セラミック及びTorlon(登録商標)(高真空適合性ポリマー)で作製される。
【0052】
冷却チューブ32を介してガス流を変化させることによって設定された固定温度を維持するために、ステータの温度センサ(図示せず)が、フィードバックループで使用される。
【0053】
一緒に使用すると簡単にぴったりと合う、ロータと、ステータと、軸受として、傾斜コイルバネを使用することは、組み立てを容易にする効果がある。
【0054】
この構成を用いることにより、必要とされる-165℃より十分に低い、-175℃未満の試料温度が成し遂げられる。
図1
図2
図3