(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】生理学的パラメータを求めるシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
A61B5/08
(21)【出願番号】P 2021131443
(22)【出願日】2021-08-11
(62)【分割の表示】P 2017543337の分割
【原出願日】2015-11-06
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2014-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517233911
【氏名又は名称】レスピリックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ルソン,エヴァン エス.
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ダニエル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ボイドゥ,ステファン
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06186956(US,B1)
【文献】特表平04-504971(JP,A)
【文献】国際公開第2013/179181(WO,A1)
【文献】特開2010-213773(JP,A)
【文献】特表2007-525267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の1つ又は複数の生理学的パラメータを求めるシステムであって:
前記被験者の呼吸活動を所定の期間にわたって監視するように構成されている流れ又は圧力センサ;
前記流れ又は圧力センサと通信するコントローラであって:
前記所定の期間にわたる前記呼吸活動から1つ又は複数の心原性オシレーション波形を抽出し、
前記心原性オシレーション波形の形状データを求め、
求められた前記形状データに基づいて、前記被験者の1つ又は複数の生理学的パラメータを求め、
前記被験者の健康状態の指示を提供し、
前記被験者に、自身の呼吸活動を一時停止させて、前記1つ又は複数の心原性オシレーション波形に対する呼吸活動の影響を低減す
るようにプログラムされている、コントローラを備える、システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記被験者に、吸気の終わりに自身の呼吸活動を一時停止させるようにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記被験者に、呼気の終わりに自身の呼吸活動を一時停止させるようにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記被験者に、所定の指定された期間、息を止めることによって、自身の呼吸活動を一時停止させるようにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラと通信する換気装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記呼吸活動を一時停止するために前記換気装置を一時停止するようにさらにプログラムされている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記流れ又は圧力センサとインラインになるように構成されている気管チューブをさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記被験者による前記システムの使用状況を追跡するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記被験者によるコンプライアンスを判断するために、前記システムの前記使用状況が監視される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラと通信する温度センサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記所定の期間にわたって前記被験者の体温を追跡するようにさらにプログラムされている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
肺音を検知するために、前記コントローラと通信するマイクをさらに備える、請求項1に記載のシステム
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓機能を監視する分野に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2014年11月7日に出願された米国仮特許出願第62/076,603号、及び、2015年1月25日に出願された米国仮特許出願第62/107,443号、及び、2015年4月10日に出願された米国仮特許出願第62/145,919号に対する優先権の利益を主張するものであり、これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
参照による援用
本明細書において言及される全ての公報及び特許出願は、それぞれのそのような個々の公報又は特許出願が参照により援用されるように具体的かつ個々に示される場合と同じ程度まで、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0004】
心不全(HF)は、合衆国において65歳を超える成人の主な入院の原因である。2014年には、合衆国において510万人を超える人々がHFと診断されて生活しており、毎年、9人に1人もの死が、この病気に由来する合併症に起因し得る。急性代償不全は、胸腔における制御されない体液貯留が、心臓が適度な循環を維持することを妨げるときに生じる、HFの生命を脅かす結果である。HF患者を管理する重要な構成要素は、患者の心臓機能に応じて、患者の薬剤を調整することによって適切な流体量を維持することである。呼吸困難、浮腫及び体重増加等の液量メトリクスは、心臓機能を悪化させる間接的な指示子として患者によって家で監視することができるが、かなり非特異的であり、入院率に影響を与えるほど十分な解像度で代償不全のリスクを予測することができない。最近のエビデンスでは、埋め込み式センサを介して心臓機能を直接的に監視することが、薬剤の調整によって代償不全及び入院の必要性を防止することができるときを判断するための遠隔の監視ツールを臨床医に提供することができることが示されている。しかし、これらのセンサの費用及び侵襲性は、臨床における採用に関してそれらの可能性を大幅に制限する。
【0005】
心臓機能及び健康を判断するために種々の機構が使用されてきた。これらは、スワンガンツカテーテル及び肺動脈インプラント等の侵襲性技術から、動脈波形の監視装置等の低侵襲性技術、及び、生体インピーダンスモニタ等の表面装着技術、及び、重量を監視するための目盛り等の非接触式技術を含む。侵襲性技術は、より正確であるが、より危険も伴い、一方で、非侵襲性技術は、よりリスクが低いが、より面倒であり、通常はあまり正確ではない。集まった流体の存在、末梢の浮腫、腹水症、胸水及び体重も、CHF患者において心臓機能を監視するために使用することができるが、これらのパラメータは、実際の心拍出量との相関が乏しい症状の代理に過ぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされているのは、心臓機能、並びに、診療所、病院及び/又は家の環境における心拍出量の一貫性のある測定を可能にする他の生理学的パラメータの、単純で、再現可能であり正確なモニタである。本発明は、心拍出量、1回拍出量及び心臓機能を追跡する、使用が簡単な家ベースの装置及び方法を提供する。本発明は、心臓弁の病変等の構造的な問題を診断するのに有用な、心周期の機械的位相を監視するのに使用することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遠隔の設定において心臓機能を直接的に監視することが可能な非侵襲性の呼吸モニタである。呼吸モニタ、すなわち気道装置/コントローラは、心周期に対応する肺血液量の変化によって生成される心原性オシレーションとして知られる呼気空気流圧力の小さい変化を検出する。心臓のオシレーションの強度又は大きさは、心臓機能の直接的な指示子であり、1回拍出量と直接的に相関し、肺動脈圧力に反比例する。
【0008】
被験者の1つ又は複数の生理学的パラメータを求めるために使用することができるシステムの一例では、システムは、被験者の呼吸活動を監視するように構成されている流れ又は圧力センサ、流れ又は圧力センサと通信するコントローラであって:呼吸活動から1つ又は複数の心原性オシレーション波形を抽出し、心原性オシレーション波形の形状データを求め、被験者の1つ又は複数の生理学的パラメータを求め、被験者の健康状態の指示を提供し、被験者に、自身の呼吸活動を能動的に変更するように促し、必要であれば、心原性オシレーション波形に対する呼吸活動の影響を低減するか又は高めるようにプログラミングされている、コントローラを概して備えることができる。
【0009】
使用時に、被験者の1つ又は複数の生理学的パラメータを求めるためにそのようなシステムを使用することができる方法の1つの例は、被験者の呼吸活動に関連する流れ又は圧力データを受信すること、流れ又は圧力データから1つ又は複数の心原性オシレーション波形を抽出すること、1つ又は複数の心原性オシレーション波形の形状データを求めること、求められた形状データに基づいて1つ又は複数の生理学的パラメータを求めること、求められた1つ又は複数の生理学的パラメータに基づいて、健康状態を被験者に提供すること、及び、被験者に、自身の呼吸活動を能動的に変更するように促し、必要であれば、心原性オシレーション波形に対する呼吸活動の影響を低減するか又は高めることを概して含むことができる。
【0010】
心原性オシレーション、すなわち心臓の鼓動によって生じる小さい周期的な波形を、バルク圧力並びに呼気及び吸気の流れ測定において検出することができる。本発明の方法及び装置は、動物又はヒトの気道内の感知された圧力プロファイルにおいて心臓のオシレーション又は脈動を検出及び隔離するこの能力を使用する。被験者の気道において約100Hz又は約80Hz~約120Hzで測定された圧力は、圧力信号の優れた解像度を可能にする。気道内の圧力がこの周波数で測定されるとき、心原性オシレーションを、結果として生じる圧力曲線において見ることができる。これらの脈動は、呼気の終わりにおいて又は息止め中に最も良く見られるが、呼吸サイクルにわたって見ることができる。この結果は、肺に近接する心臓の鼓動の結果であるものとすることができ、これはその後、気管を通じて口及び鼻に圧力変動を伝える。これは肺血流量の結果であるものとすることもでき、これは、心臓が鼓動すると肺を僅かに圧縮し得る。
【0011】
心原性オシレーションは、CO2濃度及び温度等の、呼吸の他の測定値においても生じる。好ましい実施形態は圧力及び流れ測定値を使用するが、本明細書において記載される同じ分析及び診断は、他のパラメータにおける心原性オシレーションを使用して行うことができる。
【0012】
心臓のオシレーションの大きさは、心臓のオシレーションの圧力波形の標準偏差すなわち変動によって示すことができ、心臓機能の直接的な指示子であり、1回拍出量に直接的に相関し、肺動脈圧力に反比例する。心臓のオシレーションの大きさは、ピークトゥピーク振幅又は波形の曲線下面積によって示すこともできる。心不全を患う患者の心機能は、健常な個人の心機能と比較して低下し、これは、心臓のオシレーション曲線を健常な被験者に対して抑制する。
【0013】
本発明は、気道を(患者の鼻又は口を介して)1つ又は複数の圧力、流れ及び/又は他のセンサ(複数の場合もあり)に暴露することによって、気道内の圧力及び/又は流れを感知する。咽頭蓋が開くと、気道へのこの暴露は、圧力及び/又は流れセンサが、心臓機能の間に生じる小さい脈動を検出することを可能にする。これらの変動は、咽頭蓋が閉じているときに、十分に敏感なセンサによって検出することもできる。迅速な周波数における適切に敏感なセンサのサンプリングによって、心臓の収縮、弛緩及び弁開放に対応する波形を気道において見ることができる。この現象は、再現可能であることが分かっており、心臓並びに肺の機能及び/又は状態(すなわち、肺水腫、胸水、鬱血性心不全、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症、肺機能不全、三尖弁閉鎖不全等)の追跡を可能にするだけではなく、気道装置を使用して患者の病気を診断するのに使用することもできる。ECGを使用して、心臓に送られる電気信号に基づいて心臓病を監視及び診断するが、本発明は、心臓の実際の機械的な機能に基づいて付加的な情報を提供する。
【0014】
好ましくは、圧力及び流れデータの振幅並びに/又は曲線下面積を使用して、相対的な肺血流量、相対的な1回拍出量及び/又は相対的な肺動脈圧力を求めることができる。例えば、肺血流量が増大すると、呼吸の流動脈動の振幅が増大する。圧力曲線の傾斜、曲線の変化又は曲線の標準偏差等の付加的なパラメータも、相対的な心臓機能を求めるのに使用することができる。これらのパラメータは、経時にわたって追跡されると、患者の変化する心臓の健康の非侵襲性の洞察を提供し、それに従って、患者のケアを調節するのに使用することができる。これは特に、心不全を患う患者等の、自身の状態の変化に関して定期的に監視されている人々に有用である。患者の圧力/流れ曲線データは、健康な又は不健康な患者の集団の圧力/流れ曲線データと比較され、特定の患者の又は患者の群の健康を評価することもできる。
【0015】
その好ましい実施形態では、患者は、コントローラによって、幾つかのサイクルにわたって装置に自然に息を吹き込むように促される。これは、コントローラによって自動的に行うことができる。さらに、気道装置は、口内に簡単に配置することができ、日常の生活の活動を行いながら装着され、呼吸数、別の強力な予測因子及び進行中の病気の指示子を自然に感知することを可能にする。幾つかの実施形態では、気道装置/コントローラは、呼気のレートを計算し、各患者の呼吸の同じ段階における心原性オシレーションを捕捉して、心拍出量及び肺機能の一貫性のある測定を可能にすることができる。他の実施形態では、サンプルの平均又は中央値を、その特定の測定値の代表値として使用することができる。例えば、患者は、2分、5分又は10分にわたって規則的に呼吸することができ、この間に、圧力、流れ及び他の信号が捕捉され、セッションの終わりに、心原性オシレーションによって生じた信号の平均振幅としての値を報告することができる。このように、測定間のばらつきが低減し、信号対雑音比が改善される。
【0016】
さらに、幾つかの実施形態では、患者は、コントローラによって、深く吸い込み、自身の息を止めるように促されることができ(又は、換気装置とともに使用される場合には、換気装置は、吸気の終わり、呼気の終わり又は他の段階で、手動で、又は、好ましくは気道装置/コントローラと換気装置との間の通信によって自動的に、又は、換気装置への気道装置/コントローラの組み込みによって中断されることができ)圧力波形に対する呼吸の影響を確かめる。呼吸性脈圧の波形におけるばらつきを使用して、水分補給状態及び水分状態を求めることができる。脱水した又は体液量が減少した患者は、呼吸サイクルにわたって、呼吸とともに見られる変化する胸部圧力を伴う心臓機能の変化に起因して変わる脈圧波形が見られる。体液状態が回復すると、このばらつきは低減し、ばらつきがないことは、体液状態が回復したという強力な指示子を提供することができる。脈圧のばらつきに加えて、心拍数のばらつきも使用して体液状態を評価することができる。ばらつきは、自然の若しくは機械的な換気中に連続的に評価することができるか、又は、人工呼吸器休止中に評価され、経時にわたって、吸気の終わり及び/若しくは呼気の終わりにおける変化を見つけ、ばらつきを追跡することができる。呼吸中又は息を止めた状態の吸気の終わり対呼気の終わりの脈振幅の比を求めることができる。他のパラメータに加えて波形のピークトゥピーク期間及び大きさの変化を求めることができる。
【0017】
呼吸休止は、呼吸休止後の呼気終末CO2における心拍出量変化の別の決定因子を提供するのに使用することもできる。呼気終末CO2方法と併せた呼吸性脈圧の波形分析の使用は、結果の正確性を改善することができ、この方法を、脈圧のばらつきを受けにくくする。
【0018】
加えて、実際の又は絶対的な心拍出量を、気道装置/コントローラを使用して校正することなく求めることができる。気道装置/コントローラと肺活量測定又は換気装置とを組み合わせることによって、肺内の空気の量を正確に推定することができる。加えて、実際の又は絶対的な心拍出量を、CO2センサ、並びに、空気流センサ及び酸素センサを使用して求め、呼気終末CO2を求めることができる。心拍出量を求めるための計算は、Bria n P. Young. MD及びLewis L, Low, MDによる「Noninvasive Monitoring Cardiac Output Using Partial CO2 Rebreathing」において記載されているように行うことができる。肺活量計及び/又は換気装置は、不動の若しくは歩行用であるものとすることができるか、又は、小型であり、マウスピース自体に組み込むことができる。
【0019】
別の実施形態では、絶対的な1回拍出量、心拍出量及び/又は肺動脈圧力を、気道内の圧力又は流れ曲線の振幅と、肺内の空気の量とを比較するとともに、相関係数を脈波伝搬速度とともに使用して血圧を推定することができる方法(Gesche, Heiko他、「Continuou s blood pressure measurement by using the pulse transit time: comparison to a cu ff-based method」(2011)を参照のこと)と同様の方法で、患者の性別及び身長等の患者ベースの変数に基づいて相関係数を使用して推定することができる。このように、本発明は、心臓の鼓動によって肺内で変位した実際の量を推定するのに使用することができ、これは、真の1回拍出量を表す。ECG又はパルスオキシメトリ信号を使用して、脈波伝搬速度を求めるのを助けることができる。
【0020】
さらに、低い脈圧のばらつきの設定において、この技法は、肺内の死腔を計算するのに使用することもできる。これは、吸気の終わり及び呼気の終わりにおける心臓の脈圧波形を比較することによって行うことができる。1回換気量が分かっている場合(すなわち、肺活量測定又は機械的な換気によって)、心臓の鼓動が一定であると仮定して、心臓の脈圧の大きさを調べるとともに、心臓の鼓動の予測される振幅を計算すること、心臓の鼓動の実際の振幅を測定すること、及び、(同様に圧縮される余分な死腔に起因する)2つの間の差からの死腔情報を求めることによって、肺内の死腔を計算することができる。総肺体積も、一定量の検体又は空気/ガスの少量の塊を肺に適用し、次に、(吸気の終わりにおいて息を止めることを仮定して)空気の塊を送達した後の検体の結果として生じる濃度又は最終的な圧力を計算することによって、計算することができる。
【0021】
本発明は、その使用し易さ及び非侵襲性に起因して、家での健康管理監視に適している。好ましい実施形態では、気道装置は手持ち式であるか又は身体に装着される(但し必ずしもそうである必要はない)。気道装置は、気道内の流速/流量、圧力、温度及び/又はガス濃度を連続的又は間欠的に測定することができる。患者の操作は、気道装置/コントローラによって要求されることができ(すなわち、「深く呼吸してから5秒間息を止めて下さい」)、気道装置/コントローラは、抽出された情報を、患者及び/若しくは健康管理提供者に、又は、モバイル装置、コンピュータ、サーバ若しくは他の装置と自動的に又は手動で通信することが可能であり得る。警報も気道装置及び/又はコントローラにプログラミングし、差し迫った問題若しくは危険を警告するか、又は、ユーザにその使用をガイドすることができる。圧力を連続的に感知することによって、気道装置/コントローラは、患者の操作の適切さに関して連続的なフィードバックも提供し(すなわち、「呼吸の速度を遅くして下さい」)、改善されたデータの捕捉のために患者の操作を最適化することができる。フィードバック及び警報は、可聴式、視覚的、振動等であり得る。警報は、医師、モニタ、病院、EMR等にも送ることができる。警報は、モバイル装置、コンピュータ、サーバ等を含む任意の装置に無線で転送することができる。
【0022】
温度を感知する実施形態では、気道装置/コントローラは、吸気及び呼気温度を感知することができ、コントローラは、流れ/熱交換アルゴリズムに基づいて、患者の体温を報告する。代替的には、気道装置/コントローラは、患者が正常な体温にあったときに取得された基本データに基づいて温度の傾向を報告することができる。基本データからのこの逸脱は、感知されたパラメータのうちのいずれかとともに使用することができ、それによって、パラメータのうちのいずれかの実際の値を知ることなく、パラメータのうちのいずれかの相対的な変化を求めることを可能にする。
【0023】
本発明の気道装置/コントローラの家庭健康、診療所又は病院の実施形態のいずれかにおいて、温度感知、呼吸機能監視(すなわち肺活量測定)、音響監視(喘息患者における喘鳴を追跡するため等)、検体及び/又は息中の化合物(すなわち、尿素、感染のマーカ、O2、CO2、水蒸気等)の検出、唾液中の検体の検出(装置は幾つかの実施形態では口内に配置することができるため)を含む、付加的な機能を組み込むことができる。付加的な空気センサは、アルコール、及び/又は、麻薬、マリファナ、タバコ等のような他の薬物を含むことができる。
【0024】
加えて、身体、例えば唇と接触する物理センサが、ECGセンサ、脈センサ、粘膜接触センサ等を含むことができる。ECGセンサが適所にあるとき、周期的な信号を特定し、信号の関連する部分のみを評価し、雑音の量を低減するために、心原性オシレーションからの呼吸の脈動する信号のサンプリングを、ECG信号と同期させることができる。例えば、設定された時間期間(200ミリ秒又は500ミリ秒等)中の圧力及び/又は流れ信号の変化の大きさは、患者の心臓の健康を監視するために経時にわたって追跡される、対象とする変数であるものとすることができる。2リードECGも使用することができる。ECG信号のR波を同期に使用することができる。パルスオキシメトリも使用することができる。
【0025】
心臓のオシレーションの振幅は、肺血流量(PBF)によって直線的に直接的に影響を受け、この心臓のオシレーションのピークの振幅は、収縮期から拡張期への肺血液量の変化として定義される肺血液量変化(PBVV)に相関する可能性が高い。PBVVは、心不全中の心臓機能のメトリックとして以前から研究されてきた。PBVVは、肺の肺胞につながる適合した細気管支網に衝突する毛細血管量の増大を反映し、心周期の収縮期段階中の気道圧力の高周波ピークを生成する。心臓のオシレーションのこれらのピークを検出することができる。PBVVは1回拍出量に比例し、双方の値は、心拍出量が心不全中に低下すると低減する。PBVVは、心不全に一致する血管抵抗の増大にも反比例し、これは、肺毛細管が肺気道内に拡張する能力を制限し、肺高血圧に寄与する。したがって、心臓のオシレーションの標準偏差(SDCOS)は、心拍出量に正比例し、肺動脈圧力(PAP)に反比例する:
SDCOSαa×(-ΔPAP)+b×ΔPBF
式中、a及びbは、肺動脈及び細気管支のコンプライアンスをそれぞれ表す定数である。
【0026】
肺動脈コンプライアンス
肺動脈コンプライアンス(PAC)は、心不全(CHF)に関連し、CHFの強力な指示子である。肺動脈が鬱血すると、PAPが増大し、PAPが増大すると、肺動脈が伸張する。しかし、より高い圧力(約25mmHg超)では、肺動脈は更に伸張することがあまり可能ではなくなり、これは、肺動脈内の増大した脈圧につながる(肺動脈脈圧すなわちPAPP)。肺動脈内のより高い圧力の結果として、右心室からより多くの動作が必要とされ、1回拍出量(SV)が増大する。
【0027】
PACは、SV/PAPP(mL/mmHg)として計算することができる。
【0028】
肺動脈コンプライアンスは、心血管系死亡又は合併症の強力な指示子であるものと示されている。PACが低下すると、心血管系の合併症又は死亡の機会が増大する。加えて、心不全の治療は、PACを増大させることが示されている。現在では、PACを測定する唯一の確実な方法は、侵襲性のカテーテル検査処置を用いたものである。
【0029】
心原性オシレーションは、肺血管系における心臓の脈動によって生成され、PACに直接的に関連する。心不全が悪化すると、1回拍出量が低下する可能性があり、これは、PAC振幅の低下につながる。また、PAPが増大すると、肺動脈が硬直し、PAPPが増大すると、同様にPAC振幅の低下につながる。PAC又はPAC振幅の低下は、悪化する心臓の健康の強力な指示子である。この場合の振幅は、曲線のピークトゥピーク振幅を指す。
【0030】
1つの使用の場合の例では、気道装置/コントローラを使用して、鬱血性心不全を患う患者を追跡することができる。気道装置/コントローラを使用する患者が、(圧力及び/若しくは流れセンサを介して)1回拍出量の低下又は肺動脈圧力の増大、肺体積の低下、並びに/又は、(肺活量計若しくは圧力センサを介した)胸膜及び/若しくは肺スペース内の流体の蓄積に起因する呼吸コンプライアンスの低下、並びに/又は、心臓の拡張、(音響センサ/マイクを介した)病的な肺音の増大、呼気終末CO2の増大、並びに/又は、(圧力センサ若しくは肺活量計を介した)呼吸数の増大を有することが分かった場合、健康管理提供者又は患者は、患者の状態が悪化していると警告を受けることができる。
【0031】
家での健康管理の実施形態では、患者は次に、繰り返しの測定のために、家にネットワーク化装置を送られる(か又は診療所に戻る)ことができる。この装置をネットワーク化されたスケールで日常的な秤量と組み合わせて使用する場合(鬱血性心不全に好ましい実施形態)、気道装置/コントローラは、そのスケール若しくは他の屋内の患者監視装置によって提供される既存のネットワーク又は任意のネットワークと通信し、ユーザ及び/又は健康管理提供者に警告することができる。このように、患者の心臓の健康を、遠隔かつ非侵襲的に監視することができる。この技法を、X線写真検査の代わりに使用し、処置後の気胸又は血胸を探すこともできる。緊張性気胸及び任意の他の肺の病気の検出を、この技術を用いて、病院、オフィス又は家の環境でも達成することができる。
【0032】
代替的な実施形態では、気道装置/コントローラは、気道内で雑音を直接的に記録することができる。この実施形態では、気道装置/コントローラは、換気装置、通気管又は気管内チューブに取り付けられる使い捨て又は再使用可能なマイクを組み込むことができ、これは、呼吸音を追跡し、呼吸困難、肺炎、水泡音、ギー音の開始、又は、肺音の他の変化を迅速に報告することができる。その好ましい実施形態では、気道装置/コントローラは、雑音消去機能を組み込むことができる。1つのそのような実施形態では、気道装置内で2つのマイクを使用することができ、一方のマイクは気道に面し、他方のマイクは気道装置内で同様の位置にあるが、気道から密封される。密封されたマイクからの信号はこの場合、気道に開いているマイクから差し引かれることができ、それによって、周囲の雑音を消去するとともに生理学的な音(心臓、呼吸、胃腸等)の解明を可能にする。
【0033】
幾つかの実施形態では、気道装置/コントローラを、気管内チューブ(ET)の配置及び/又は連続的な監視において使用することができる。ET配置は、換気装置を取得した肺炎患者における感染の原因に関連し:下手な配置は流体の貯留につながる可能性があり、流体中で、細菌定着が生じる可能性があり、これは次に、ETを通って又はETのカフの周りを移動して肺に入る可能性がある。流体の貯留及び/又は呼吸の流れ/圧力の変化は、感染の早期の開始の指示を得るように監視することができる。細菌は装置上のセンサによって検出することもできる。
【0034】
また別の実施形態では、気道装置/コントローラは、心臓弁の病的な挙動を検出することができる。例えば、ECGと組み合わせて使用される場合、予期される機械的な心臓の挙動及び心周期のタイミングが既知である。電気信号及び機械的信号を比較することによって、心房又は心室の収縮のタイミング、及び、心臓弁の開閉等の不適切な機械的な機能を検出することができる。さらに、これらの信号の強度及びタイミングを使用して、例えば、僧房弁の逆流等によって、心周期の特定の段階が延びているか又は不完全であるか否かの病気を診断することもできる。この情報は、根本的な心臓機能又は機能不全をより良く理解するために、単独で、又は、上述した音の情報と組み合わせて、又は、心雑音を診断する任意の他の技法と組み合わせて使用することができる。
【0035】
本明細書において記載されるこの実施形態及び実施形態のうちのいずれかは、連続的又は間欠的に使用することができる。気道装置は、ユーザによって装着されるように設計されるか、又は、機能するために付加的な機器を必要とする場合があり、鼻及び/若しくは口に適用するか又は気管内チューブに直接的に適用することができる。気道装置/コントローラ及びその機能のいずれか又は全ては:家、オフィス、診療所、病棟、ASC又はICUを含む任意の環境で使用することができる。
【0036】
気道装置/コントローラは:COPD、喘息、CHF、癌、脳卒中、肺塞栓症、及び、呼吸数、温度、1回拍出量、心拍数、1回換気量、肺音、心音、GI音、pO2、pCO2、pH又は監視されるパラメータの任意の他のものに対する影響を有し得る任意の他の状態を含む、慢性疾患を監視し、及び/又は、急性疾患を検出するのに使用することができる。
【0037】
気道装置は、種々のセンサからの信号を分析するためのコントローラを組み込むことができる。代替的には、コントローラの全て又は一部は、気道装置とは別個に存在し、気道装置と無線で(インターネット、イントラネット、WAN、LAN若しくは他のネットワークを介して、又は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi等を介して局所的であり得る)又は有線で通信することができる。接続は、有線である場合、連続的又は間欠的であり得る。例えば、気道装置からのデータは、データが収集された後で、USB接続部又は他のタイプの接続部を介して周期的に送信することができる。無線接続も連続的又は間欠的であり得る。コントローラは、1つ又は複数のモバイル装置、コンピュータ、サーバ等であるか、又は、1つ又は複数のモバイル装置、コンピュータ、サーバ等と通信し得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】気道装置/コントローラの1つの実施形態を示す図である。
【
図2】気道装置/コントローラの一実施形態を示す図である。
【
図3】気道圧力データに重ねたECGを示すグラフである。
【
図4】動物の換気チューブからの圧力データを示すグラフである。
【
図5】ECG曲線及び対応する心原性オシレーション波形のグラフである。
【
図6】気道装置/コントローラの一実施形態を示す図である。
【
図7】気道装置/コントローラの一実施形態を示す図である。
【
図8】気道装置/コントローラの一実施形態を示す図である。
【
図9】スマートフォンの形態のコントローラと無線で使用される気道装置の一実施形態を示す図である。
【
図10】有線接続を使用してスマートフォンの形態のコントローラに接続されている気道装置の一実施形態を示す図である。
【
図11】本発明のいずれかの実施形態とともに使用することができるデータ処理システムのブロック図である。
【
図12】制限器を含むマウスピースの一実施形態を示す図である。
【
図13】機械的なフィルタを組み込むマウスピースの一実施形態を示す図である。
【
図14】制限器及びサンプリング出口が組み合わせられた一実施形態を示す図である。
【
図15】流れフィルタを組み込む一実施形態を示す図である。
【
図17】ハンドピース及びコントローラ機能の少なくとも幾つかを含む気道装置/コントローラの一実施形態を示す図である。
【
図18】気道装置/コントローラの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、患者の口内に装着された気道装置の一実施形態を示している。この実施形態等の持ち運び可能な実施形態の利点のうちの1つは、意識があり挿管されていないだけではなく、直立状態でアクティブな被験者によって装着することができることである。換言すると、気道装置の使用は、換気装置又は他の不動の医療装置につながった患者に限定されない。気道装置/コントローラは、付加的な換気補助又は気道圧力補助を用いない患者/ユーザにおいて使用することができる。言い換えると、気道装置/コントローラは、換気装置若しくはCPAP機械若しくは付加的な流れ源、又は、任意の種類の人工換気若しくは気道圧力補助を用いない患者において使用することができる。気道装置/コントローラは、自然に若しくは正常に呼吸している患者/ユーザによって使用することができるか、又は、「促しモード」で使用することができ、この場合、コントローラは、ユーザに、自然に呼吸する以外の何かを行うように促す。例えば、コントローラは、ユーザに、自身の呼吸を止め、吸気後に自身の呼吸を止め、呼気後に自身の呼吸を止め、「今」自身の呼吸を止めるといったように促すことができる。
【0040】
気道装置は、気道圧力、気道の流れ、温度、音、呼吸数、1回拍出量、心拍数、1回換気量、肺音、心音、GI音、pO2、pCO2、pH、ECG、脈拍数、脈圧、肺活量測定、検体、及び/又は、息中の化合物(すなわち、尿素、感染のマーカ、O2、CO2、尿素、水蒸気、アルコール、薬物等)、又は、検体、及び/又は、グルコースのような唾液中の成分等を測定及び/又は計算することができる1つ又は複数のセンサを含む。
【0041】
コントローラは、気道装置に、又は、無線で若しくは有線接続を介して気道装置と通信する別個の装置に組み込まれる。コントローラは、換気装置、スタンドアロン装置に組み込むことができるか、又は、コンピュータ及び/若しくはスマートフォンに組み込まれるか又は通信することができる。
【0042】
好ましい実施形態では、コントローラは、気道装置と無線で、連続的若しくは間欠的に通信するスマートフォンに組み込まれる。コントローラから転送されるデータは、遠隔のサーバに/遠隔のサーバから、例えばインターネット又はイントラネットを介して送信されることもできる。コントローラからのデータは匿名化することもできる。匿名化されたデータは、傾向の分析のために患者間で集めることができる。収集されたデータは、患者のID、タイムスタンプ、体重、薬剤等のような患者の病歴等のメタデータを含むことができる。本明細書における「気道装置」という用語の使用は、コントローラ構成要素を含むことができる。
【0043】
気道装置は、口内の部分を有するか又は完全に外部にあることができる。気道装置は、口の代わりに又は口に加えて鼻も覆うことができる。気道装置は、鼻を意図的に塞ぐことができる。気道装置は、気管内チューブにも組み込むことができる。
【0044】
図2は、気道装置200の一実施形態の詳細な図である。この実施形態は、外部の開口セクション204、マウスピースセクション206及び首部セクション208を含む。マウスピース装置は、少なくとも2つの気道ルーメン、呼気気道ルーメン210及び吸気気道ルーメン212を含む。この実施形態では、2つのルーメンは仕切り214によって隔てられる。代替的には、1つのみのルーメンが存在することができる。
【0045】
ガス流出ベント216が、呼気気道ルーメンにおいて、肺活量測定機能を含むことができる。ベントは、僅かな陽圧も維持するか又は維持されるようにすることができ、それによって、被験者の気道は呼吸中に開いたままであり、これは、特定のパラメータを感知する能力を助ける。
【0046】
空気流入すなわち吸気気道ルーメン及び/又は呼気気道ルーメンは、一方向218弁を含み、呼吸中に、呼気を、呼気気道ルーメンを通して方向付けるのを助けることができる。
【0047】
センサ222、224及び226が、本明細書において列挙されるパラメータのいずれかを感知することができる。センサは、呼気気道ルーメン210、吸気気道ルーメン212又は気道装置の外側に配置することができる。装置の外側のセンサ222は、概して、ECGセンサ等の、粘膜及び/又は唇との接触感知用である。呼気気道ルーメン内のセンサ224は、圧力、流れ、音、温度、O2、CO2、尿素、水蒸気、アルコール、薬物等を含む、呼気に関連するパラメータを測定することができる。吸気気道ルーメン内のセンサ226は、O2、CO2、尿素、水蒸気、アルコール、薬物等を含む吸気に関連するパラメータを測定することができる。
【0048】
概して、センサは、気道装置の長さに沿うどこにでも配置することができるが、特定のタイプのセンサには特定の位置が有利であり得る。例えば、呼気において測定される温度、水蒸気、アルコール、薬物等のセンサは、被験者のより近くにより良く配置される可能性が高い。
【0049】
流れ及び/又は圧力センサを、気道装置の長さに沿うどこにでも配置することができるが、これらのセンサを、首部208内等の、気道装置の幅狭の及び/又は一定の直径のセクションに配置することが有利であり得る。センサ(単数又は複数)は、ガス流出ベント216にも配置することができる。
【0050】
使い捨てのバリアを使用してマウスピースセクション206を覆い、気道装置の無菌状態を維持することができる。代替的には、使い捨てのマウスピースセクションを気道装置に取り付け、使用後に取り外すことができる。熱-水分交換器を、息からの湿気が装置に入ることを防止するのに使用することができる。代替的には、気道装置は消毒可能又は使い捨て可能であってもよい。
【0051】
気道装置202は、コントローラとして働くように又はコントローラと通信するようにハードウェア及び/又はソフトウェアを組み込むことができる。気道装置は、「部分的なコントローラ」として働くこともでき、この場合、コントローラの活動の幾つかは、気道装置内で生じ、幾つかは別個のコントローラ装置内で生じる。
【0052】
気道装置は、ポリマー、金属又は任意の他の材料若しくは材料の任意の組み合わせを含む、任意の好適な材料(単数又は複数)から作ることができる。気道装置は好ましくは比較的軽量であり、持ち運び可能である。
【0053】
流れ/圧力センサは、オリフィスプレート、円錐装置、パイロットチューブ、ベンチュリチューブ、流れノズル、フライシュ若しくはリリー型の呼吸流量計、又は、任意の他の好適な技術を含むことができる。センサの解像度は概ね高い。圧力センサの範囲は、約1.4E~4mmHgであり得る。圧力センサの範囲は約1.9mmHgであり得る。
【0054】
図3は、同時に測定された気道圧力データとともにECGのグラフを示している。ECGデータ304が気道圧力データ302の下に示されている。気道圧力内で、収縮期脈データ306及び拡張期脈データ308がはっきりと見える。3リードECGデータ内で、P波310、QRS複合312及びT波314が全て見える。点線の矢印は、QRS複合ピークが圧力データの谷と並ぶところを示している。
【0055】
図4は、グラフ402に示されている呼吸間の圧力データの詳細な図を示している。心原性オシレーションが、圧力対時間の詳細な
図404において分かる。これらの脈の振幅又は曲線下面積は、相対的な心拍出量及び/又は肺動脈圧力の指示子として使用することができる。図示されていないが同様に有用であるのは、流れ信号における心原性オシレーションである。
【0056】
図5は、ECG曲線、圧力センサ(複数の場合もあり)からのデータを使用して生成される心原性オシレーション波形、及び、流れセンサ(複数の場合もあり)からのデータを使用して生成される心原性オシレーション波形のグラフを示している。(Tusman, Gerard o他、「Pulmonary blood flow generates cardiogenic oscillations」Respiratory phys iology & neurobiology 167.3 (2009): 247-254から)。
【0057】
同様に示されているのは、心原性オシレーション波形の振幅及び周波数である。
【0058】
図6は、気道装置の別の実施形態を示している。首部602は、マウスピース部分としても働くように延び、これは、上記で示した実施形態よりもストロー状である。
【0059】
図7は、気道装置の別の実施形態を示している。マウスピースエリア702は平坦であり、唇/口を覆うように設計されている。ストラップ704が、被験者の顔に装置を保持することができる。
【0060】
図8は、気道装置の別の実施形態を示している。この実施形態の外部の開口セクション802は、細長く、上記で示した実施形態よりも幅狭である。セクション802は、可撓性チューブにおけるように可撓性であるものとすることができるか、又は、剛性であるものとすることができるか、又は、部分的に可撓性であり、部分的に剛性であるものとすることができる。マウスピースセクション804は、口遮蔽体802を含み、装置を適所に保つのを助ける。種々のセンサ及び/又は弁が、この実施形態の長さに沿うどこにでもあるものとすることができる。
【0061】
図9は、気道装置及びコントローラの一実施形態を示しており、この場合、コントローラは、気道装置とは少なくとも部分的に別個である。この実施形態では、コントローラ904はスマートフォンであり、無線データ送信機を含み得る気道装置902と無線で通信する。
【0062】
図10は、気道装置及びコントローラの一実施形態を示しており、この場合、コントローラは、気道装置とは少なくとも部分的に別個である。この実施形態では、コントローラ1002はスマートフォンであり、「ワイヤ」又はケーブル、例えばUSBケーブルを介して気道装置1004と通信する。この実施形態では、データは、気道装置1004に収集及び記憶し、ケーブルを介してコントローラ1002に周期的にアップロードすることができる。
【0063】
コントローラは、気道装置とは別個であるか若しくは気道装置に組み込まれるか、又は、幾つかの機能が気道装置に位置し、幾つかが別個に位置するかに関係なく、以下のように機能することができる。コントローラは、種々のセンサからのデータを収集し、データを分析して心拍出量、1回拍出量及び/若しくは心臓機能並びに/又は他のパラメータを求める。加えて、コントローラは、被験者に、センサからのデータを得ることを助けるように促すことができる。例えば、コントローラは、被験者に、自身の息を止めるように促すことができる。息を止めるよう促すことは、吸気及び/又は呼気の前後等の呼吸サイクルの特定の段階において行うことができる。コントローラは、被験者に、特定のレートで呼吸するか、又は、特定の時間期間にわたって吸い込み、吐き出し若しくは自身の息を止めるように促すことができる。指示子が、コントローラ及び/又は気道装置上に存在し、被験者の時間が特定の活動を助けることができる。例えば、コントローラは、被験者に、コントローラ及び/又は気道装置上のライトが緑になるか又は聴覚信号が聞こえるまで、自身の息を止めるように促すことができる。
【0064】
コントローラは、収集しているデータが分析に適切であるか否かも判断することができる。例えば、被験者の気道が呼吸間で閉じている場合、データは分析するのがより難しい可能性がある。コントローラは、これが生じているときを、圧力/流れプロファイル又は他のパラメータによって感知することができ、被験者に、自身の呼吸を調整するように促すことができる。例えば、コントローラは、被験者に、よりゆっくりと呼吸するか又は静止して座るように促すことができる。加えて、コントローラは、気道装置の陽圧を変化させ、気道を開いたままに保つことを助けることができる。コントローラが被験者に提供することができる、幾つかの促すことが可能であるものは、以下である:
-息をx秒間止める
-指示子がxを行うまで息を止める
-指示子がxを行うまで通常通り呼吸する
-息を吐き出してから息を止める
-息を吸い込んでから息を止める
-通常通り呼吸する
-よりゆっくりと呼吸する
-より速く呼吸する
-ゆっくりと息を吸う
-ゆっくりと息を吐く
-速く息を吸う
-速く息を吐く
-試験が完了した
-体操を始める
-体操を終了する
【0065】
他の促すことも可能である。促すことは、収集されているデータに応じて変わり得る。例えば、コントローラが、気道が呼吸間で閉じていると判断する場合、促すことは、被験者に異なって呼吸するよう告げることができるか、又は、コントローラは、気道装置に、陽圧を気道に印加させることができる。加えて、ユーザは、一日の特定の時間(複数の場合もあり)において装置を使用するよう促されることができ、それによって、装置は、各日の同じ時間に使用される。例えば、装置は、ユーザに、歩行時に装置を使用するように促すことができる。
【0066】
被験者がデータ収集のために最適に呼吸しているか否かを判断する上で考慮することができる他のパラメータは:ピークトゥピーク期間のばらつき及び大きさ、波形の形状等を含む。
【0067】
コントローラは、センサからのデータを分析し、COPD、喘息、CHF、癌、脳卒中、肺塞症、呼吸困難、発作性呼吸困難、夜間呼吸困難、気腫を含む他の状態、及び、呼吸数、温度、1回拍出量、心拍数、1回換気量、肺音、心音、GI音、pO2、pCO2、pH、アルコール、尿素、薬物又は任意の他の監視されるパラメータに影響を与え得る任意の他の状態を求めることができる。
【0068】
迷走神経緊張/血管迷走神経性症候群も、本発明を使用して判断することができる。呼吸サイクルの異なる段階における振幅、レート、波形の形状等を含む心拍パラメータの僅かな変化を測定し、迷走神経緊張を判断することができる。例えば、心拍数が吸気中に上昇する場合、これは、高い迷走神経緊張を示し得る。
【0069】
データ処理システムの例
図11は、本発明のいずれかの実施形態とともに使用することができるデータ処理システムのブロック図である。例えば、システム1100は、コントローラの一部として使用することができる。なお、
図11はコンピュータシステムの種々の構成要素を示しているが、構成要素を相互接続する任意の特定のアーキテクチャ又は方法を表すことは意図せず;したがって、詳細は本発明と密接な関係にない。ネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、モバイル装置、タブレット、携帯電話、及び、より少ない構成要素又はおそらくはより多くの構成要素を有する他のデータ処理システムも、本発明とともに使用することができることも理解されるであろう。
【0070】
図11に示されているように、データ処理システムの形態であるコンピュータシステム1100は、1つ又は複数のマイクロプロセッサ1103及びROM1107、揮発性RAM1105及び不揮発性メモリ1106に結合されるバス又は相互接続部1102を含む。マイクロプロセッサ1103は、キャッシュメモリ1104に結合される。バス1102は、これらの種々の構成要素を一緒に相互接続し、これらの構成要素1103、1107、1105及び1106を、表示コントローラ及び表示装置1108、並びに、マウス、キーボード、モデム、ネットワークインターフェース、プリンタ及び当該技術分野において既知である他の装置であり得る入出力(I/O)装置1110にも相互接続する。
【0071】
通常、入出力装置1110は、入出力コントローラ1109を通じてシステムに結合される。揮発性RAM1105は通常、メモリ内のデータをリフレッシュ又は維持するために電力を連続的に必要とするダイナミックRAM(DRAM)として実装される。不揮発性メモリ1106は通常、磁気ハードドライブ、磁気光学ドライブ、光学ドライブ若しくはDVD RAM、又は、電力がシステムから除去された後でもデータを維持する他のタイプのメモリシステムである。通常、不揮発性メモリはランダムアクセスメモリでもあるが、これは必須ではない。
【0072】
図11は、不揮発性メモリがデータ処理システム内の構成要素の残りの部分に直接的に結合されるローカル装置であることを示しているが、本発明は;モデム又はイーサネット(登録商標)インターフェース等のネットワークインターフェースを通じてデータ処理システムに結合されるネットワークストレージ装置等の、システムから遠隔の不揮発性メモリを使用することができる。バス1102は、当該技術分野において既知であるように、種々のブリッジ、コントローラ及び/又はアダプタを通じて互いに接続される1つ又は複数のバスを含むことができる。1つの実施形態では、I/Oコントローラ1109は、USB周辺機器を制御するUSB(ユニバーサルシリアルバス)アダプタを含む。代替的には、I/Oコントローラ1109は、FireWire装置を制御する、FireWireアダプタとしても既知のIEEE-1394アダプタを含むことができる。
【0073】
上記の詳細な記載の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する動作のアルゴリズム及び象徴的な表現に関して提示されている。これらのアルゴリズムの記載及び表現は、データ処理の分野における当業者によって、それらの作業の実質を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される方法である。アルゴリズムはここで、概して、所望の結果につながる自己無撞着な動作のシーケンスであると考えられる。動作は、物理量の物理的操作を必要とする動作である。
【0074】
しかし、これら及び同様の用語の全てが、適切な物理量に関連付けられ、これらの量に適用される単に簡便なラベルであることを留意するべきである。上記の説明から明らかであるものとして別途具体的に記載されない限り、明細書を通して、以下の特許請求の範囲において記載されるような用語を使用する説明は、コンピュータシステムの動作及びプロセス、又は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータシステムメモリ若しくはレジスタ又は他のそのような情報記憶、送信又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに操作して変換する同様の電子計算装置を指すことが理解される。
【0075】
図面に示されている技法は、1つ又は複数の電子装置において記憶及び実行されるコード及びデータを使用して実施することができる。そのような電子装置は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば磁気ディスク;光ディスク;ランダムアクセスメモリ;リードオンリメモリ;フラッシュメモリ装置;相変化メモリ)、及び、一時的なコンピュータ可読送信媒体(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等の、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号)等のコンピュータ可読媒体を使用して、コード及びデータを記憶し、(内部で及び/又はネットワークにわたって他の電子装置と)通信する。
【0076】
図面に示されているプロセス又は方法は、本明細書では、ハードウェア(例えば回路部、専用ロジック等)、ファームウェア、ソフトウェア(例えば非一時的なコンピュータ可読媒体に具現される)又は双方の組み合わせを備える処理ロジックによって行うことができる。プロセス又は方法は幾つかの連続的な動作に関して上記で記載されているが、記載された動作のうちの幾つかを、異なる順序で行うことができることを理解されたい。さらに、幾つかの動作は、連続的ではなく並行して行うことができる。
【0077】
図12は、制限器を含む気道装置の一実施形態を示している。制限器は、気道装置内の乱流の空気流を低減するのを助ける。気道装置1202は、この実施形態では、制限器1206よりも大きい口の開口1204を有する。制限器1206は周囲空気に開口している。ユーザが気道装置に吐き出すと、制限器1206は空気流を制限し、これは、気道装置内の空気流の層流の性質を高める。この実施形態では、ユーザが開口1204を通して呼吸すると、幾らかの空気が制限器1206を出るが、幾らかの空気、好ましくは層流状に主に流れる空気は、サンプリング出口又はルーメン1208を出る。サンプリング出口1208は、圧力若しくは他のセンサに直接的に接続することができるか、又は、コネクタ1210を介して圧力センサ若しくは他のセンサに接続することができる。制限器1206の目的は、気道装置内の空気流の乱流を低減することであり、それによって、サンプリング出口1208を出る空気は、可能な限り層流である。なお、この図は呼気ルーメンのみを示している。別個の吸気ルーメンを装置に組み込むことができ、及び/又は、被験者は、自身の鼻を通して、若しくは、装置を自身の口から取り外すことによって、別個に吸い込むように要求されることができる。代替的には、患者は、吸気のために呼気ルーメンを使用してもよい。
【0078】
図13は、機械的なフィルタを組み込む気道装置の一実施形態を示している。この実施形態では、少なくとも2つのサンプリングルーメン1302及び1304がある。サンプリングルーメンのうちの一方は、機械的なローパスフィルタ1306を含む。この実施形態における圧力センサは、差圧センサである。差圧センサ1308は、少なくとも2つのサンプリングルーメン又は入力部と流体連通し、2つのルーメン間の圧力測定値を比較する。この構造は、息からの圧力を除去するとともに心原性オシレーションから離すことによって、回路基板1310による分析のためのよりクリーンな圧力信号を生成する。回路基板1310は、気道装置に組み込むことができるか、又は、例えば、別個のコントローラ上で別個であり、無線で若しくはワイヤを介して通信することができる。この実施形態では、回路基板は、気道装置に組み込まれ、無線送信機1312を介してコントローラと通信する。この実施形態では、回路基板1310及び無線送信機1312は、コントローラを定義する目的で、コントローラの一部であるものと考えることもできる。フィルタ1306を、空気に対して半透性である発泡体又は任意の膜を含む任意の好適な材料から作ることができる。なお、この図は呼気ルーメンのみを示している。別個の吸気ルーメンを装置に組み込むことができ、及び/又は、被験者は、自身の鼻を通して若しくは装置を自身の口から取り外すことによって、別個に吸い込むように要求されることができる。代替的には、患者は、吸気のために呼気ルーメンを使用してもよい。
【0079】
機械的なローパスフィルタは、自然な呼吸に関連する低周波信号を分離し、これは、信号から差し引かれ、より高い周波数の心臓のオシレーション信号のみを残す。このフィルタは、特定的な感知入力と基準入力との間の部分的に不透過性のバリアを使用することができる。高周波の心臓のオシレーション信号は、感知入力によって見られ、一方で、呼吸に起因する圧力変化は、膜を横切って釣り合うほど十分に低周波であり、双方の入力において検出される。僅かな呼気休止を伴って装置に呼吸することによって、COS信号を確実に捕捉することができる。幾つかの実施形態は、付加的な、あまり敏感ではない圧力センサを組み込み、呼吸サイクル全体を監視するとともに、患者に、呼吸の大きさ及び周波数についてのフィードバックを提供することができ、測定間の再現性を改善する。
【0080】
図14は、制限器及びサンプリング出口が組み合わせられた一実施形態を示している。制限器1402は、空気が気道装置に吸い込まれるとともに吸い出されるときの空気流中の乱流を低減する。吹き込まれた空気は出て、出口1404を介して入ることができる。差圧センサ1308が、空気が差圧センサ1308を通って若しくは差圧センサ1308に沿って流れて気道装置を出ることを可能にすることができるか、又は、代替的には、気道装置は付加的な空気出口(図示せず)を有することができる。なお、この図は呼気ルーメンのみを示している。別個の吸気ルーメンを装置に組み込むことができ、及び/又は、被験者は、自身の鼻を通して若しくは装置を自身の口から取り外すことによって、別個に吸い込むように要求されることができる。
【0081】
なお、制限器は、流れ制御弁、圧力制御弁等のような、何でも好適なものであり得る。
【0082】
図15は、流れフィルタを組み込む一実施形態を示している。流れフィルタ1502は、気道装置に入る空気流の乱流を低下させる。この実施形態では、制限器の代わりに流れフィルタ1502が使用される。気道装置は、付加的な空気出口(図示せず)を有することができる。流れフィルタ1502は、ポリマー等の任意の好適な材料から、ハニカム又は部分的に毛細管構造等の任意の好適な構造で作ることができる。なお、この図は呼気ルーメンのみを示している。別個の吸気ルーメンを装置に組み込むことができ、及び/又は、被験者は、自身の鼻を通して若しくは装置を自身の口から取り外すことによって、別個に吸い込むように要求されることができる。
【0083】
本明細書における実施形態のいずれかは、口内で又は部分的に口内で使用されるように適合することができる。例えば、口内のより深くの気道装置は、よりクリーンな圧力測定のために気道を開いたままに保つ上で有利であり得る。さらに、本明細書における実施形態のいずれかは、気管に挿管された患者とともに使用されるように適合することもでき、この場合、記載される装置は、気管チューブに取り付けられるか又は気管チューブとインラインである。
【0084】
図16は、脈圧のばらつきを実証するグラフを示している。前述したように、呼吸性不整脈圧力波形のばらつきを使用して、水分補給状態及び水分状態、並びに、肺動脈コンプライアンスも求めることができる。
図16のグラフは、吸気の終わり及び呼気の終わりにおける脈圧を示している。脈圧は、収縮期と拡張期との圧力測定値間の差、又は、波形の振幅(最低点から最高点まで)として定義される。これらの2つの波形間の振幅の差は、脈圧のばらつきである。大きいばらつきは脱水を示す場合があり、この場合、経時にわたるばらつきの低下は、水分補給が回復しているか又は回復したという指示子であり得る。
【0085】
図17は、ハンドピース及びコントローラ機能のうちの少なくとも幾つかを含む気道装置/コントローラの一実施形態を示している。この実施形態の気道装置は、2つのマウスピース1702及び1704を含む。ユーザは、これらのマウスピースのうちの一方に息を吹き込み、息は他方のマウスピースを通して出る。ハンドピース1706は、ユーザ又はユーザの医師によって保持される。ディスプレイ1708が、1つ又は複数の表示エリア1710を表示する。これらの表示エリアは、HR(心拍数)、SV(1回拍出量)、CO(心拍出量)、PAC(肺動脈コンプライアンス)等を示す波形、波形分析の分析結果、警報/通知のトリガ等を含む、設定、波形等のより多くの情報のためのボタン又はリンクを含むことができる。この実施形態の気道装置/コントローラは、1つ又は複数のモバイル装置、コンピュータ、サーバ等と無線で又は有線で通信することができる。
【0086】
図18は、気道装置/コントローラの別の実施形態を示している。この実施形態は、コントローラ1802、信号送信チューブ1804、熱-水分交換器1806及びマウスピース1808を含む。
【0087】
気道装置/コントローラの実施形態は、例えば喘息用の標準的又は特殊な吸入具とともに組み込むこともできる。気道装置/コントローラは、これらの実施形態では、使用のコンプライアンスを監視するために気道装置及び/又は吸入具の使用を追跡する特徴部を含むことができる。
【0088】
気道装置/コントローラの実施形態は、電子医療記録(EMR)又は電子医療記録又は他のシステムとの統合を含むことができる。例えば、コントローラからのデータは、そのデータとEMRのデータとを統合するインターネットにおいてサーバに無線で(又は有線で)送信することができる。患者のID(可能性としては匿名化される)は、コントローラによって送信されるデータのメタデータに統合され、それによって、データは、正しい患者の医療記録と統合される。
【0089】
複数の気道装置/コントローラからのデータを、収集して集め、傾向のために分析することができる。このデータは、プライバシー規則を順守するように匿名化することができる。
【0090】
気道装置/コントローラの幾つかの実施形態では、呼吸性洞性不整脈(呼吸に起因する心拍数の変化)を、心臓の健康又は心不全の指示子として追跡することができる。傾向からの逸脱は、心不全の問題を示す場合があり、警報を提供することができる。気道装置によって収集されるデータは連続的であり得るため、例えば、ユーザが眠っている間の、(その患者又は患者集団に関する)基準からの逸脱は、健康、特に心臓の健康の変化を示し得る。
【0091】
気道装置/コントローラの幾つかの実施形態では、装置は、歩行可能に使用される。換言すると、ユーザは、歩き回っている間、TVを見ている間、働いている間、眠っている間、休んでいる間、運動している間、又は、毎日の活動を行っている間に装置を使用することができる。ユーザは、不動の装置、病院又は診療所に縛られない。