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特許72917741-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸配合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸配合物
(51)【国際特許分類】
   A01N 53/00 20060101AFI20230608BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20230608BHJP
   A01G 7/06 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
A01N53/00
A01P21/00
A01G7/06 A
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021209249
(22)【出願日】2021-12-23
(62)【分割の表示】P 2019552599の分割
【原出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2022046628
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】62/479,540
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509319074
【氏名又は名称】バレント・バイオサイエンシーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Valent BioSciences LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】パルベシュ・シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】笹川 満弘
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン・ポール・シルバーマン
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・エイ・ベルカインド
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0267570(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0317529(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0124503(US,A1)
【文献】Plant Growth Regul,1992年,Vol.11,p.349-355
【文献】Plant Physiol,1981年,Vol.67, No.1,p.80-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(ACC)、水、塩化カルシウム、および5-クロロ-2-メチル-1,2-イソチアゾール-3-オン2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンを含む安定な農業配合物であって、塩化カルシウムに対するACCのモル比が、約1.59:1~約1:2.27であ配合物を、植物に適用することを含む、木質多年生植物中の着果負荷を低減する方法
【請求項2】
配合物が、エチレンジアミン四酢酸をさらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記植物が、核果の木である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記核果の木が、ネクタリンの木、モモの木およびプラムの木からなる群より選択される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記植物が、リンゴの木である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(ACC)、水、塩化カルシウム、および5-クロロ-2-メチル-1,2-イソチアゾール-3-オンと2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンを含む安定な農業配合物であって、塩化カルシウムに対するACCのモル比が、約1.59:1~約1:2.27である配合物を、ブドウ植物適用することを含むブドウの着色を高める方法。
【請求項7】
配合物が、エチレンジアミン四酢酸をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ブドウ植物が、Vitus viniferaである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(ACC)、水、塩化カルシウム、およびエチレンジアミン四酢酸を含む安定な農業配合物であって、塩化カルシウムに対するACCのモル比が、約1.59:1~約1:2.27であ配合物を、植物に適用することを含む、木質多年生植物中の着果負荷を低減する方法
【請求項10】
配合物が、5-クロロ-2-メチル-1,2-イソチアゾール-3-オン2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンをさらに含む、請求項9に記載の方法
【請求項11】
前記植物が、核果の木である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記核果の木が、ネクタリンの木、モモの木およびプラムの木からなる群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記植物が、リンゴの木である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項14】
1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(ACC)、水、塩化カルシウム、およびエチレンジアミン四酢酸を含む安定な農業配合物であって、塩化カルシウムに対するACCのモル比が、約1.59:1~約1:2.27である配合物を、ブドウ植物適用することを含むブドウの着色を高める方法。
【請求項15】
配合物が、5-クロロ-2-メチル-1,2-イソチアゾール-3-オンと2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オンをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ブドウ植物が、Vitus viniferaである、請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定な1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸配合物およびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(「ACC」)は、植物中でACCシンターゼにより合成され、エチレンの生合成のための前駆物質としての役割を果たす。エチレンは、ストレス、着果、落葉および開花を含むいくつかの植物応答に関与することが示されている。エチレン前駆物質としてのその役割のために、ACCは、農業においてエチレン応答性事象を誘導するために使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ACCは、高濃度で溶液中において安定であるとは示されていない。したがって、特定の農業での使用では、高濃度のACCを固体として貯蔵し、適用の前に液体溶媒に溶解する必要がある。この余分のステップは、液体組成物を調製するのに必要とされる時間および最終使用者による調製中に発生し得る間違いのために、最終使用者にコスト増をもたらす可能性がある。したがって、当技術分野において、安定な高濃度液体ACC配合物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明は、1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸(「ACC」)、水および塩化カルシウムを含む、安定な農業配合物を対象とする。
【0005】
本発明は、木質多年生植物中の着果負荷を低減する方法をさらに対象とし、方法は、本発明の配合物を植物に適用することを含む。
【0006】
本発明は、ブドウの着色を高める方法をさらに対象とし、方法は、本発明の配合物を植物に適用することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ACCは溶液から沈殿するので、ACCは水中において高濃度で安定ではない。驚くべきことに、塩化カルシウムは、ACC対塩化カルシウムの特定の比率で存在する場合、水からのACCの沈殿を防止する。この結果は、既知の安定剤を含むいくつかの他の塩が水中でACCの沈殿を防止できなかったので、予想外であった。下記の実施例1を参照されたい。
【0008】
一実施形態では、本発明は、ACC、水および塩化カルシウムを含む、安定な農業配合物を対象とし、塩化カルシウムに対するACCのモル比は、約1.59:1~約1:2.27である。
【0009】
別の実施形態では、ACCは、約5%~約40%w/wまたは約5%~約25%w/wまたは約5%~約15%w/wまたは約10%~約25%w/wの濃度で存在する。
【0010】
別の実施形態では、塩化カルシウムは、約3.5%~約75%w/wまたは約3.5%~約35%w/wまたは約7%~約75%w/wの濃度で存在する。
【0011】
別の実施形態では、本発明の配合物は、キレート化剤、好ましくは、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)を、好ましくは、約0.1%~約0.2%w/wの濃度でさらに含む。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明は:
約5%~約25%w/wの、好ましくは約10%~約25%w/wのACC;
約3.5%~約75%w/wの、好ましくは約7%~約90%w/wの塩化カルシウム;
水;
必要に応じ、約0.1%~約0.2%のキレート化剤;および
必要に応じ、約0.25%~約1%の保存剤、
を含む安定な農業配合物を対象とし、
塩化カルシウムに対するACCのモル比は、約1.59:1~約1:2.27、好ましくは、約1:1.1である。
【0013】
より好ましい実施形態では、本発明は:
約10%w/wのACC;
約10%w/wの塩化カルシウム;
約79%w/wの水;
必要に応じ、約0.2%w/wのEDTA;
必要に応じ、約0.25%w/wのKathon(登録商標)CG/ICP;および
必要に応じ、約0.6%~約0.9%w/wの2N 塩酸、
を含む安定な農業配合物を対象とし、
配合物は必要に応じ、2.5±0.3~5.3±0.3のpHを有する。
【0014】
本発明は、木質多年生植物中の着果負荷を低減する方法を対象とし、方法は、本発明の配合物を植物に適用することを含み、好ましくは木質多年生植物は、核果の木またはリンゴの木であり、より好ましくはネクタリンの木、モモの木またはプラムの木である。
【0015】
核果の木は、限定されないが、モモの木、ネクタリンの木、プラムの木、アンズの木、およびサクランボの木を含む。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、ブドウの着色を高める方法をさらに対象とし方法は、本発明の配合物をブドウ植物に適用することを含み、好ましくは、ブドウ植物はVitus viniferaである。
【0017】
本発明の配合物に好適な防腐剤は、限定されないが、Kathon(登録商標)CG/ICP(5-クロロ-2-メチル-1,2-イソチアゾール-3-オン/2-メチル-2H-イソチアゾール-2-オン;Kathonは、Rohm and Haas Companyの登録商標であり、Kathon CG/ICPは、DOW Chemicalsから入手できる)、ベンゾエート、クエン酸、アスコルビン酸、パラベン、ソルビン酸カリウムおよびこれらの組み合わせを含む。
【0018】
本発明の配合物に好適なキレート化剤は、限定されないが、EDTA、EDTA塩、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N、N、N’、N”-四酢酸(「EGTA」)、シトレート、グルコネート、およびこれらの組み合わせを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物は、追加の界面活性剤、結晶成長阻害剤、固着剤、展着剤、葉浸透剤、分散剤、全身獲得抵抗性誘導剤、消泡剤、防腐剤、pH調節剤、可溶化剤、保水剤、色素、U.V.(紫外線)保護剤、生成、保存安定性、生成物取り扱い性および生物学的有効性を促進するビークルまたは他の成分を含み得る。
【0020】
本発明は、葉面散布、水薬、インファローおよび種子処理用途のための極めて安定な水性配合物を提供する。
【0021】
本出願全体を通して、単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈から別義が明確に示されない限り、複数の参照対象を包含する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「約(about)」または「約(approximately)」として規定される量、重量パーセンテージなどの全ての数値は、それぞれ、特定の値に対し、その特定の値のプラスまたはマイナス10%を表す。例えば、語句「約10%w/w」は、9%~11%w/wの値を包含すると理解される。したがって、請求された値の10%内の量が本発明の範囲により包含される。
【0023】
本発明は、以下の代表的な実施例により実証される。これらの実施例は、例示の目的のみのために提供されており、限定するためではない。
【実施例
【0024】
実施例1.ACC沈殿および結晶化試験
方法
水中の10%w/wのACC遊離酸の調製物は、室温および/または5℃で沈殿することが見出された。この問題を克服するために、10%w/wのACC水溶液へ塩を個別に添加した。これらの溶液を室温で貯蔵し、沈殿物形成を分析した。室温で沈殿しなかった溶液をその後、5℃で一晩インキュベートし、次の日に沈殿物形成に関して分析した。
【表1】
【0025】
結果
表1に見られるように、驚くべきことに、塩化カルシウムのみが、室温および5℃の両方で沈殿を妨げることが明らかになった。この結果は、安定剤として既知の他の塩を含む他の塩が沈殿を防止できなかったので、予想外であった。
【0026】
さらに、ACCおよび塩化カルシウムの配合物を調製して、安定な配合物が生ずるモル比範囲を決定した。これらのさらなる試験は、1.59:1の高さの比率および1:2.27の低さの比率の塩化カルシウムに対するACCが、室温および5℃の両方で沈殿を妨げることを示した。
【0027】
実施例2.ACC配合物用の防腐剤の選択
方法
いくつかの防腐剤を、水中の10%w/wACCおよび10%w/w塩化カルシウムを含む配合物に加えた。これらの防腐剤は、Proxel(商標)(1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オンの20%水性ジプロピレングリコール溶液)、クエン酸、Kathon(登録商標)CG/ICP、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベンとベンゾエートの組み合わせ、プロピルパラベンとベンゾエートおよびソルビン酸カリウムの組み合わせを含んだ。これらの配合物をその後、5℃および54℃の両方で2週間貯蔵した。
【0028】
結果
Kathon(登録商標)CG/ICPが最も安定な配合物をもたらすことが明らかになった。Kathon(登録商標)CG/ICPをその後、0.25~1%w/wの範囲の濃度で水中の10%w/wACCおよび10%w/w塩化カルシウムを含む配合物に加えた。これらの配合物のそれぞれは、5℃および54℃の両方で2週間貯蔵時に安定であった。
【0029】
実施例3.色変化の阻害
方法
水中の10%w/wACC、10%w/w塩化カルシウムおよびKathon(登録商標)CG/ICPを含む配合物は、54℃で2週間保存したとき、色変化を受けることが明らかになった。具体的には、色は、透明またはガードナースケール1から、ガードナースケール4~5の黄色に変化した。ガードナースケールの説明に関しては、ASTM D1544-04(2010)、透明液体の色の標準的試験方法(ガードナーカラースケール)、ASTM International,West Conshohocken,PA,2010,www.astm.orgを参照されたい。この問題を克服するために、pHを4.0に低下させること、窒素ガスブランケット下で梱包すること、特定の塩、キレート化剤、酸化防止剤または防腐剤を添加することを含む、いくつかの方法を試験した。
【表2】
【0030】
結果
表2に示すように、0.1%または0.2%w/wのEDTAの添加のみが、54℃で2週間後に、2以下のガードナースケールスコアを生じた。これらの配合物は、54℃で追加の6週間の試験にさらに供され、それらの透明色(すなわち、ガードナースケールスコア1~2)を維持した。pH5.2は54℃で少なくとも4週間にわたり透明色を維持したが、pH4.0にて0.1%または0.2%w/wでEDTAを含む配合物を保持することが最良の結果をもたらしたことがさらに見出された。
【0031】
実施例4.pH安定性
実施例4のACC/CaCl配合
約10%w/wのACC;
約10%w/wの塩化カルシウム;
0.2%w/wのEDTA;
約0.25%w/wのKathon(登録商標)CG/ICP;および
必要に応じ、希塩酸によるpHの調節、
および水による残部の調節。
【0032】
方法
上記の配合物を種々のpH範囲で調製し、5℃で2週間および54℃で2週間の貯蔵に供した。この調査の結果を、下表3に示す。
結果
【表3】
上記表3および実施例3に示されるように、本発明のACC/CaCl配合物は、理想的なおよび加速された貯蔵条件両方の下で、2.7~5.2のpH範囲で安定なままである。
【0033】
実施例5.ワタの子葉生物有効性アッセイおよびササゲ豆葉植物毒性アッセイ
方法
500ppmでACCの水溶液を調製し、CaClを用いて0~5500ppmに修正した。溶液を0.05%(v/v)の非イオン性界面活性剤で修正し、10日齡のワタの子葉の表側にトラック噴霧器を用いて散布した。ACC含有溶液に加えて、適切な対照を試験した。散布の2日(48時間)後に、各植物から子葉を取り出し、秤量し密閉ガラスバイアル中で4~7時間インキュベートした。子葉によるヘッドスペースエチレンの発生を、標準的方法によるガスクロマトグラフィーにより測定した。
【0034】
上で使用したものと同じ噴霧溶液を、1)12日齢ササゲ豆植物の葉面および2)季節半ばのモモの新芽にトラック噴霧器を用いて散布した。植物毒性(葉枯れまたは新しく伸びた葉の形成異常)の存在を、散布後3日および7日に評価した。
【表4】
【0035】
結果
表4に見られるように、5:1~1:2のモル比のACC:塩化カルシウムを含む配合物のワタの子葉への散布は、相乗的なエチレン生成をもたらし、これは、500ppmのACC、CaCl、または両方の処理の総和により生成されるものより多い。さらに、10:1または1:10のモル比でACC:塩化カルシウムを含む配合物の散布は、500ppmACC単独よりも少ないエチレン生成をもたらした。したがって、本発明の特定のモル比範囲でACCおよびCaClを含む本発明の配合物は、ACCまたはCaCl単独の散布に比べて、エチレン生成に対し相乗作用を示した。
【0036】
植物毒性は、いずれかの散布処理の結果として観察されなかった。しかし、散布処理は最終的に、葉の黄変(ササゲ豆)または落葉(モモの木の新芽)をもたらした。しかし、葉黄変または落葉はエチレン生成の既知の結果であり、本発明の配合物の植物毒性に起因するものではない。したがって、本発明のACCと塩化カルシウムの配合物は、植物に対し安全であると見なされる。
【0037】
実施例6.ワタの子葉生物有効性アッセイ
方法
上記実施例5からのアッセイを、0.2w/wのEDTAを含む配合物を用いて繰り返した。
【0038】
【表5】
【0039】
結果
表5に見られるように、本発明のEDTA含有配合物の散布は、1:1.1モル比のACC:塩化カルシウムについて認められるものに比べて、エチレン生成を低下させなかった。したがって、本発明のEDTA含有配合物は、エチレン生成を高める能力に悪影響を与えない。
【0040】
実施例7.植物毒性アッセイ
方法
実施例6のEDTA含有配合物を、実施例5でのような植物毒性調査で用いた。
【0041】
結果
実施例6のEDTA含有配合物は、葉枯れを引き起こさなかった。したがって、本発明のEDTAを含有するACCと塩化カルシウムの配合物は、植物に対し安全である。
【0042】
実施例8:核果摘果
方法
実施例4の配合物を希釈して、300および600ppmのACC溶液を調製した。これらの溶液を、花が満開の間にZee Fireネクタリンの木、Sweet Dreamモモの木およびCrimson Glowプラムの木の葉面散布に適用した。下表6は、これらの核果の木に対する実施例8の300または600ppmのACC溶液の散布の効果を示す。摘果活性は、新芽長さのセンチメートル当たりの果実の数として表される。
【0043】
結果
【表6】
【0044】
上記表6に見られるように、本発明のACC/CaCl配合物は、満開散布後の核果に対し顕著な用量依存性摘果活性を生じる。
【0045】
実施例9.リンゴ摘果
方法
上記実施例8の配合物を希釈して、200および400ppmのACC溶液を調製した。これらの溶液を、果実の直径が18~20ミリメートルになったときに、3つの別々の場所で成長させたGalaリンゴの木に葉面散布として適用した。下表7は、これらの核果の木に対する実施例8の200または400ppmのACC溶液の散布の効果を示す。摘果活性は、自然落果の完結後の100花房当たりの着果の数として表される。
結果
【表7】
【0046】
上表7に見られるように、本発明のACC/CaCl配合物は、18~20ミリメートル平均果実直径での散布後のリンゴの木に対し80%もの摘果活性を生じる。
【0047】
実施例10.ブドウの色強化
方法
上記実施例4の配合物を希釈して、100、200および400ppmのACC溶液を調製した。これらの溶液を、成熟開始後7日目に、Fersno、CA近くで成長させたフレーム シードレス食用ブドウに、葉面散布として適用した。成熟開始は、50%のブドウ果実が軟化を示す時点として本明細書では定義される。下表8は、これらのブドウに対する実施例4の100、200または400ppmのACC溶液の散布の効果を示す。色強化は、ブドウの木当たりの市場性の高い房の数として表される。
【表8】
【0048】
上表8に見られるように、本発明のACC/CaCl配合物は、用量依存的にブドウの色を高め、400ppmACCでブドウの木当たり市場性の高い房の数をほぼ倍化した。