(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】喫煙具、喫煙具の喫煙可能材を包装するための紙を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20230608BHJP
D21H 19/82 20060101ALI20230608BHJP
D21H 11/18 20060101ALI20230608BHJP
D21H 19/52 20060101ALI20230608BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20230608BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20230608BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20230608BHJP
【FI】
A24D1/02
D21H19/82
D21H11/18
D21H19/52
D21H27/00 Z
A24D1/20
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2021504464
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2019062260
(87)【国際公開番号】W WO2020020503
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】102018118271.6
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512252548
【氏名又は名称】デルフォルトグループ、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DELFORTGROUP AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】トゥオマス、トゥルトラ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525995(JP,A)
【文献】特表2007-514868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0350074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/02
D21H 19/82
D21H 11/18
D21H 19/52
D21H 27/00
A24D 1/20
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼時または加熱時にエアロゾルを生成可能な喫煙可能材を含む喫煙具であって、
前記喫煙可能材は、包装材として機能する紙で包装され、
前記紙は、25g/m
2以上40g/m
2以下の坪量を有し、0.90g/cm
3以上1.15g/cm
3以下の密度
を有し、
前記紙は、50重量%以上の針葉樹パルプを含み、少なくとも一つの面が
第1コーティングおよび第2コーティングを含む少なくとも二つのコーティングでコーティングされ、
前記第1コーティングは、前記紙
の表面と前記第2コーティングとの間に配置され、
前記第2コーティングは、最上部のコーティングであり、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含み、
前記第1コーティングおよび前記第2コーティングを有する前記表面に関するCobb Unger(120秒)値は、0.01g/m
2以上0.90g/m
2以下である、喫煙具。
【請求項2】
前記喫煙可能材は、意図された使用中に加熱されるが燃やされない、請求項1に記載の喫煙具。
【請求項3】
前記紙の前記坪量は、30g/m
2以上および/または38g/m
2以下である、請求項1または2に記載の喫煙具。
【請求項4】
前記紙の前記密度は、0.95g/cm
3以上1.10g/cm
3以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項5】
前記紙は、70重量%以上の針葉樹パルプを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項6】
ISO5636-5:2013で定義されたガーレー法に準拠して測定された前記紙の透気度は、40000秒以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項7】
前記紙は、40重量%以下の広葉樹パルプを含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項8】
前記紙は、15重量%以下の充填材料を含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項9】
前記紙は、2重量%未満の充填材料を含有する、請求項8に記載の喫煙具。
【請求項10】
前記第1コーティングは、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノ結晶セルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択されるコーティング材料を含み、
前記第2コーティングは、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項11】
前記水溶性フィルム形成ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体またはラテックスにより形成される、請求項10に記載の喫煙具。
【請求項12】
前記第1コーティングの量は、0.1g/m
2以上4.0g/m
2以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項13】
前記第2コーティングの量は、0.5g/m
2以上5.0g/m
2以下である、請求項1から12のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項14】
前記第2コーティングは、顔料粒子を含み、
前記顔料粒子は、フレーク形状を有し、
前記顔料粒子は、カオリン、タルカム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項15】
前記第2コーティングの前記
水溶性フィルム形成ポリマーは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デンプン、デンプン誘導体、ラテックス、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項16】
前記第1コーティングおよび前記第2コーティングを有する前記表面に関する前記Cobb Unger(120秒)値は、0.01g/m
2以上0.90g/m
2以下である、請求項1から15のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項17】
前記第1コーティングおよび前記第2コーティングを有する前記表面に関する前記Cobb Unger(120秒)値は、0.1g/m
2以上0.70g/m
2以下である、請求項1から16のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項18】
前記紙は、55%以上80%以下のDIN53147:1993-01に準拠した透明度を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の喫煙具。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の喫煙具の前記喫煙可能材を包装するための紙を製造するための方法であって、
針葉樹パルプを含むパルプ含有懸濁液を調製するステップと、
前記パルプ含有懸濁液を抄紙機のワイヤに塗布して原紙を形成するステップと、
前記原紙を圧延して前記原紙の密度を調整するステップと、
前記原紙を第1コーティングでコーティングするステップと、
前記第1コーティングを乾燥させるステップと、
最上部のコーティングである第2コーティングを、前記第1コーティングに直接的に、または一つ以上の更なる層を間に挟んで間接的に塗布するステップであって、前記第2コーティングは、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含むステップと、
前記第2コーティングを乾燥させるステップと、を有し、
前記パルプ含有懸濁液中の針葉樹パルプの割合は、完成後の前記紙が50重量%以上の針葉樹パルプを含むように選択され、
前記抄紙機の前記ワイヤに塗布されるパルプ含有懸濁液の量は、完成後の前記紙が25g/m
2以上40g/m
2以下の坪量を有するように選択され、
前記圧延するステップは、完成後の前記紙が0.90g/cm
3以上1.15g/cm
3以下の密度を有するように実施され、
前記第1コーティングおよび前記第2コーティングは、完成後の前記紙上の前記第1コーティングおよび前記第2コーティングを有する表面に関するCobb Unger(120秒)値が、0.01g/m
2以上0.90g/m
2以下であるように選択される、方法。
【請求項20】
前記抄紙機の前記ワイヤに塗布されるパルプ含有懸濁液の量は、完成後の前記紙が30g/m
2以上および/または38g/m
2以下の坪量を有するように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記圧延するステップは、前記密度が0.95g/cm
3以上1.10g/cm
3以下であるように実施される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記原紙は、前記
圧延するステップにおいて、複数対のローラの間で圧縮され、
各一対のローラは、前記原紙がガイドされるニップを形成する、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記パルプ含有懸濁液中の針葉樹パルプの割合は、完成後の前記紙が70重量%以上の針葉樹パルプを含むように選択される、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
完成後の前記紙は、40000秒以上のISO5636-5:2013で定義されたガーレー法に準拠して測定された透気度を有する、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記パルプ含有懸濁液を製造するステップは、前記針葉樹パルプが、50°SR以上80°SR以下の精製度に精製されるステップを含有する、請求項19から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1コーティングは、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノ結晶セルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択されるコーティング材料を含み、
前記第2コーティングは、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含む、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記水溶性フィルム形成ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体またはラテックスにより形成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1コーティングは、水および前記コーティング材料を含む第1コーティング組成物によって塗布され、
前記紙上の乾燥後に残る乾燥した前記第1コーティング組成物の量は、0.1g/m
2以上4.0g/m
2以下である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第2コーティングは、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含み、水および前記
水溶性フィルム形成ポリマー、前記ナノフィブリル化セルロース、前記ミクロフィブリル化セルロース、または前記ナノ結晶セルロースを含む第2コーティング組成物の形態で塗布される、請求項19から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記水溶性フィルム形成ポリマー、前記ナノフィブリル化セルロース、前記ミクロフィブリル化セルロース、または前記ナノ結晶セルロースは、前記第2コーティング組成物の重量に対して、5重量%以上25重量%以下を占める、および/または、
前記紙上の乾燥後に残る乾燥した前記第2コーティング組成物の量は、0.5g/m
2以上5.0g/m
2以下である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2コーティング組成物は、顔料粒子を含み、
前記顔料粒子は、フレーク形状を有し、
前記顔料粒子は、カオリン、タルカム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、およびこれらの混合物からなる群から選択され、
前記顔料粒子は、前記第2コーティング組成物の重量に対して、1重量%以上30重量%以下を占める、請求項
29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2
コーティング組成物の前記
水溶性フィルム形成ポリマーは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デンプン、デンプン誘導体、ラテックス、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項
29から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記抄紙機は、長網抄紙機である、および/または、
圧延装置が前記抄紙機に組み込まれることにより、前記圧延するステップは前記原紙の生産中に実施され得る、および/または、
前記第1コーティング組成物および/または前記第2コーティング組成物は、サイズプレスにおいて、フィルムプレスにおいて、ブレードコーティングまたはカーテンコーティング処理により塗布される、
請求項28を引用する請求項
29から32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低い坪量を有するが、その他の点においては、特にシリコーンの吸収に対する耐性に関して、従来の剥離原紙と比較して同等または良好な技術特性を有する剥離原紙に関する。特に、本発明は、低い坪量と特殊な二層コーティングとを有する剥離原紙、およびシリコーン処理に供される剥離原紙の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
剥離原紙は、シリコーンでコーティングすることが意図された紙である。紙をシリコーンでコーティングすると、粘着ラベル用の台紙として、ベーキング紙として、またはシリコーン処理で達成され得る剥離特性を必要とするその他の用途で使用することができる。
【0003】
剥離原紙について、特定の技術的要件が重要である。後段で塗布されるシリコーンは、通常、剥離原紙の全面にわずか1g/m2から2g/m2の量で塗布される。この量は非常に少ないが、剥離原紙の表面の100%をカバーしなくてはならない。そうでなければ、例えばラベルをシリコーン処理された剥離原紙から完全に剥離することができない。したがって、シリコーンの剥離原紙への浸透は重要な役割を果たし、可能な限り低くなくてはならない。シリコーンをわずかしか浸透させない一方で、同時に閉鎖コーティングを生成可能な剥離原紙の性能は、シリコーンホールドアウト性と呼ばれる。
【0004】
剥離原紙は、高い透明度を有さなければならない。多くの用途において、粘着ラベルは、シリコーン処理された剥離原紙から機械によって剥がされる。この機械は、ラベルの存在を光学センサによって剥離原紙を通して検出する。この検出は、剥離原紙が十分な透明度である場合しか確実になされない。
【0005】
最後に、粘着ラベル材が、まず、シリコーン処理された剥離原紙の全表面に塗布される。次に、粘着ラベル材は、通常、打抜きによって所望の形状およびサイズの個々のラベルにカットされる。打抜き時、粘着ラベル材だけをカットし、剥離原紙をカットしてはならないことは明白である。これは、剥離原紙の特定の密度および圧縮率を要求する。
【0006】
更に、良好な引張強度、良好な引裂強度、好適な引張エネルギー吸収性および厚さ等の追加の技術的要件が存在するが、これら全ては、このような剥離原紙を処理する機械の生産性に影響を及ぼす。
【0007】
従来の剥離原紙は、全ての技術的要件を満足するように、約50g/m2から約60g/m2の坪量を有している。しかしながら、シリコーン処理された剥離原紙は、使用後に、例えば、粘着ラベルが取り除かれた後に廃棄されなければならない。シリコーン処理された剥離原紙は、シリコーンコーティングのため、リサイクルすることが困難である。したがって、このようなシリコーン処理された剥離原紙により生成される廃棄物の量を削減することが注目されている。剥離原紙の坪量を小さくすることで生成される廃棄物の量を少なくすることは困難であることがわかっている。なぜならば、前述の技術的要件を十分に満足できないからである。したがって、軽量の剥離原紙は、商業的な妥当性をまだ獲得していない。
【0008】
したがって、有効な軽量の剥離原紙であって、その技術的性能が、従来技術から得られるより重い従来の剥離原紙と比較して少なくとも同等である剥離原紙を得ることが注目されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、低い坪量を有するにもかかわらず、剥離原紙に期待される、良好なシリコーンホールドアウト性やトラブルのない処理性のような技術的要件を満足する剥離原紙を提供することである。この目的は、請求項1に記載の剥離原紙、および請求項25に記載の剥離原紙を製造するための方法により達成することができる。有利な実施形態は、従属請求項で規定される。本発明の別の態様は、本発明による剥離原紙を使用した粘着ラベル、本発明の剥離原紙に基づくベーキング紙、喫煙可能材を包装するための本発明による剥離原紙の使用、これにより得られる喫煙具、ならびに本発明による剥離原紙の包装紙としての使用に関する。
【0010】
本件発明者は、この目的が、25g/m2以上40g/m2以下の坪量と、0.90g/cm3以上1.15g/cm3以下の密度と、を有する剥離原紙であって、前記剥離原紙は、50重量%以上の針葉樹パルプを含み、少なくとも一つの面が少なくとも二つのコーティングでコーティングされ、前記第1コーティングは、前記紙面と前記第2コーティングとの間に配置され、前記第2コーティングは、最上部のコーティングであり、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含み、前記コーティング面のCobb Unger(120秒)値は、0.01g/m2以上0.90g/m2以下である剥離原紙により達成可能であることを見出した。
【0011】
本発明による剥離原紙は、25g/m2以上、好ましくは30g/m2以上、および40g/m2以下、好ましくは38g/m2以下の坪量を有する。坪量は、ISO536:2012に準拠して判断可能であり、少なくとも二つのコーティングを含むがシリコーンコーティングを含まない完成後の剥離原紙の坪量を表す。坪量を低下させることにより、約50%の廃棄物の大幅削減を達成できるが、更なる対策を講じなければ、単に坪量を低下させても、十分な技術的特性を有する剥離原紙は得られない。
【0012】
したがって、本件発明者は、本発明による剥離原紙が、0.90g/cm3以上、好ましくは0.95g/cm3以上、特に好ましくは0.99g/cm3以上、および1.15g/cm3以下、好ましくは1.10g/cm3以下、特に好ましくは1.07g/cm3以下、最も好ましくは1.05g/cm3以下の密度を有さなければならないことを見出した。剥離原紙の密度は、その圧縮率に関係する。剥離原紙がシリコーンでコーティングされた後、そしてラベル材が塗布された後、ラベル材は、通常、打抜きによってカットされる。特に打抜きにおいて、ラベル材だけをカットし、シリコーン処理された剥離原紙をカットしないことが重要である。このため、剥離原紙は、打抜ダイの圧力に対して所定距離だけ撓まなければならない。一般に、密度と圧縮率とは密接に関連しているため、従来の剥離原紙は、所望の圧縮率を得るために1.17g/cm3以上の密度を要求する。しかしながら、本発明による剥離原紙は、低い坪量を有し、それゆえ薄い厚さを有するため、従来の剥離原紙より打抜ダイの圧力に対して撓まない。したがって、本発明による剥離原紙の場合、密度は、従来の剥離原紙より低くてもよい。
【0013】
剥離原紙の密度は、一般に、圧延工程において達成される。圧延工程では、紙が複数対ローラの間で圧縮される。各一対のローラが、ニップを形成する。本発明による剥離原紙は、それほど高い密度を必要としないので、従来の剥離原紙と比較してニップが必要とされない。これは、エネルギーや生産労力が節約できることを意味する。
しかしながら、低い密度はより多孔質な紙構造を招き、シリコーンホールドアウト性を悪化させ得る。本件発明者は、例示的な実施形態として以下に更に説明される前記コーティングによってこの欠点を克服できることを見出した。
【0014】
坪量の低下は引張強度の低下を招き得るため、剥離原紙は、処理中に頻繁に破損する。本件発明者は、剥離原紙が50重量%以上、好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上の針葉樹パルプを含む場合、特に良好な引張強度を達成できることを見出した。
【0015】
剥離原紙の透気度は剥離原紙の気孔率に関連するため、シリコーンの吸収に影響を及ぼす。一般に、気孔率が高く透気度が高ければ、より多くのシリコーンが吸収される。このため、透気度はできる限り低くなくてはならない。透気度は、ISO5636-5:2013で定義されたガーレー法に準拠して測定可能である。この方法では、所定の圧力条件下で、特定量の空気が紙の所定面積を通過する時間が測定される。非常に低い透気度を有する、すなわち非常に高いガーレー値を有する紙の場合、測定時間は非常に長くなり得る。この場合、しばらくしてから測定を停止し、所定空気量が紙を通過するのに必要であろう時間を外挿によって判断するのが一般的である。
【0016】
本発明による剥離原紙のガーレー法に準拠した透気度は、好ましくは40000秒以上、特に好ましくは60000秒以上、最も好ましくは70000秒以上である。これは、従来の剥離原紙のガーレー法に準拠した透気度よりかなり高い。多くの場合、従来の剥離原紙は、30000秒未満のガーレー法に準拠した透気度を有する。したがって、本発明による剥離原紙は、全面コーティングに使用されるのに必要なシリコーンが少ないという更なる利点を提供する。
【0017】
本発明による剥離原紙は、針葉樹パルプを含む。針葉樹パルプは、好ましくは、トウヒ、マツ、モミ等の針葉樹から調達される。好適な実施形態において、前記針葉樹パルプの70重量%以上、好ましくは85重量%以上が、針葉樹から調達される。針葉樹パルプの他の好適な供給源は、亜麻、大麻、サイザル麻、黄麻、またはマニラ麻等の植物であり得る。異なる起源の針葉樹パルプの混合物も使用できる。針葉樹パルプは、剥離原紙に特に良好な引張強度を提供する。
【0018】
本発明による剥離原紙の製造のために、針葉樹パルプを精製する。精製とは、パルプ線維のフィブリルを露出させるがパルプ線維をある程度短くすることを目的としたエネルギー集約型の機械的処理である。集約的な精製は、紙の引張強度を増大させるとともに、気孔率を低減させる。パルプに対する精製の効果は、ISO5267-1:1999に準拠して測定可能であり、ショッパーリグラーに準拠した精製度(°SR)として提供される。従来の剥離原紙は、高い密度を得ることを目的として、大量のエネルギーを要する、かなり強度な精製を必要とする。これに対し、本発明による剥離原紙は、大幅に低い精製強度しか必要としないため、精製された針葉樹パルプは、好ましくは50°SR以上、特に好ましくは60°SR以上、および好ましくは80°SR以下、特に好ましくは70°SR以下の精製度を有する。強度の低い精製は、剥離原紙の引裂強度に前向きな効果を更にもたらす。本件発明者は、本発明による剥離原紙の特殊なコーティングが、低い強度の精製に関連する引張強度の低下や紙の気孔率の増大といった欠点の克服に寄与することを見出した。したがって、本発明による剥離原紙の製造は、小さいエネルギーしか要求しない。なぜならば、一方では坪量が低いため単位紙面積当たりの精製に必要な針葉樹パルプが少なくなり、他方では特殊コーティングのため精製強度が低くてよいためである。
【0019】
剥離原紙は、好ましくは、ブナ、カバノキ、またはユーカリのような落葉樹から調達される広葉樹パルプを含有し得る。広葉樹パルプの更に好適な供給源は、エスパルトグラスのような草でもよい。異なる起源の広葉樹パルプの混合物も使用できる。広葉樹パルプは、剥離原紙の体積を増大させ、引張強度を低下させ得る。このどちらも意図した用途にのぞましくない。しかしながら、広葉樹パルプは、一般に、針葉樹パルプより安価であるあるため、剥離原紙は、一定の割合の広葉樹パルプを含有し得る。
【0020】
好ましくは、本発明による剥離原紙は、40重量%以下の広葉樹パルプ、特に好ましくは30重量%以下の広葉樹パルプを含む。
【0021】
剥離原紙は、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、タルカム、またはこれらの混合物のような充填材料を含有し得る。しかしながら、充填材料は、剥離原紙の気孔率および透気度を増大させ得るとともに、引張強度および透明度を低下させ得るため、若干の欠点を有する。好ましくは、本発明による剥離原紙は、15重量%以下の充填材料、特に好ましくは10重量%以下、最も特に好ましくは2重量%未満の充填材料を含む。ここで、充填材料は、本発明による剥離原紙用のコーティングに含有され得る顔料と区別されるべきである。この観点における充填材料は、コーティングの形態において紙の表面に塗布される材料を指すものではなく、製紙中に紙塊に追加される材料のみを指すものである。
【0022】
剥離原紙は、当業者が経験から選択できるサイズ剤や他の添加剤、および加工助剤を更に含有し得る。
【0023】
本発明による剥離原紙は、コーティングされており、少なくとも二つのコーティングを含む。これらのコーティングは、シリコーンホールドアウト性を大幅に改善するとともに、低い坪量および低い密度を併せ持ち、本発明の有益な効果が達成されることを確実にする。
【0024】
ここで、第1コーティングの目的は、剥離原紙の表面をシールし、第2コーティングの塗布に対して整えることである。第2コーティングは、滑らかで化学的に均質な表面を生成する。この表面は、特にシリコーンでのコーティングに適している。このダブルコーティングにより、より低い透気度およびより高い平滑性が、シングルコーティングで達成され得るより少ないコーティング材料で達成され得る。したがって、コーティング材料の節約が達成される。これは、本発明の利点である。この前向きな効果は、第1コーティングおよび第2コーティングのコーティング材料が同一である場合、剥離原紙においても達成可能かつ検出可能である。
【0025】
第1コーティングは、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体またはラテックスのような水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ナノ結晶セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択されるコーティング材料を含み、第2コーティングは、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含む。
【0026】
前記第1コーティングが紙面と前記第2コーティングとの間に配置されるとともに、前記第2コーティングが剥離原紙の最上部のコーティングを形成する限り、本発明による剥離原紙は二つ以上のコーティングを含み得る。したがって、追加のコーティングは、紙面と前記第1コーティングとの間、または前記第1コーティングと前記第2コーティングとの間に配置され得る。追加のコーティングは、更なる特殊効果を達成するように使用され得るが、好ましくは、本発明による剥離原紙は、厳密に二つのコーティングを含む。
【0027】
第1コーティングは、好ましくは、水および前記コーティング材料を含む第1コーティング組成物によって塗布される。第1コーティング組成物を紙に塗布した後、紙を乾燥させる。本発明による剥離原紙上に残る乾燥した第1コーティング組成物の量、すなわち第1コーティングの量は、好ましくは0.1g/m2以上、特に好ましくは0.4g/m2以上、および好ましくは4.0g/m2以下、特に好ましくは2.5g/m2以下である。
【0028】
第1コーティング組成物は、水および前記コーティング材料を含む。コーティング材料は、好ましくは5.0重量%以上、特に好ましくは10.0重量%以上、および好ましくは25.0重量%以下、特に好ましくは20.0重量%以下を占める。ここで、各パーセンテージは、第1コーティング組成物の重量を指す。
【0029】
好ましくは、第1コーティング組成物における第1コーティングにおけるコーティング材料は、デンプンまたはデンプン誘導体であり、特に好ましくは、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、小麦デンプン、これらのデンプンの誘導体、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
塗布装置における使用に適した第1コーティング組成物を得ることを目的として、第1コーティング組成物は、当業者が経験からタイプおよび量を選択できる添加剤、粘度調整剤、または他の成分を更に含み得る。
【0030】
第2コーティングは、水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含み、水および前記水溶性フィルム形成ポリマー、前記ナノフィブリル化セルロース、前記ミクロフィブリル化セルロース、または前記ナノ結晶セルロースを含む第2コーティング組成物の形態で塗布される。第2コーティング組成物の塗布後、紙を乾燥させる。本発明による剥離原紙上に残る乾燥した第2コーティング組成物の量、すなわち第2コーティングの量は、好ましくは0.5g/m2以上、特に好ましくは1.5g/m2以上、および好ましくは5.0g/m2以下、特に好ましくは3.0g/m2以下である。
【0031】
第2コーティング組成物は、水および水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースを含む。水溶性フィルム形成ポリマー、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、またはナノ結晶セルロースは、好ましくは5重量%以上、特に好ましくは8重量%以上、および好ましくは25重量%以下、特に好ましくは15重量%以下を占める。ここで、各パーセンテージは、第2コーティング組成物の重量を指す。
【0032】
第2コーティングまたは第2コーティング組成物は、好ましくは、顔料粒子を含み、特に好ましくは、顔料粒子は、フレーク形状を有する。
【0033】
顔料粒子は、好ましくは、カオリン、タルカム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される。フレーク形状を有する顔料、特にフレーク状の炭酸カルシウム、カオリン、またはタルカムが、特に好ましい。
【0034】
顔料粒子は、フレーク形状を有しているかいないかに関わらず、好ましくは1重量%以上、特に好ましくは10重量%以上、および好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下を占める。ここで、各パーセンテージは、第2コーティング組成物の重量を指す。
【0035】
塗布装置における使用に適したコーティング組成物を得ることを目的として、第2コーティング組成物は、当業者が経験からタイプおよび量を選択できる粘度調整剤、架橋剤、または他の成分を更に含み得る。
【0036】
第2コーティングまたはコーティング組成物の水溶性フィルム形成ポリマーは、好ましくは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デンプン、デンプン誘導体、ラテックス、およびこれらの混合物からなる群から選択される。特に好適な実施形態において、第2コーティングまたはコーティング組成物は、改質ナノフィブリル化セルロース、改質ミクロ結晶セルロース、改質ナノ結晶セルロース、改質ポリビニルアルコール、または改質カルボキシメチルセルロースを含み、これらのコーティング材料は、シリコーンと反応可能なビニル基を含有することで剥離原紙に対するシリコーンの接着力を高める、または向上させるように改質されている。このような改質ポリビニルアルコール、改質カルボキシメチルセルロース、改質ナノフィブリル化セルロース、改質ミクロフィブリル化セルロース、または改質ナノ結晶セルロースは、例えば、コーティング材料のヒドロキシル基のいくつかがビニル基を有する有機分子と反応することで、反応後にビニル基がシリコーンとの更なる反応に利用可能となって、剥離原紙の表面へのシリコーンの接着力が向上する処理により得ることができる。この点に関して、有機分子との反応は、第2コーティング組成物の塗布前に生じても塗布後に生じてもよい。このようなコーティング材料およびそれらの製造方法は、例えば、欧州特許EP2300544またはEP2539505に記載されている。
【0037】
特に好適な実施形態において、第1コーティングおよび第2コーティングのコーティング材料は異なっている。第1コーティングのコーティング材料は、デンプン、デンプン誘導体、およびセルロース誘導体からなる群から選択され、第2コーティングのコーティング材料は、ラテックス、ポリビニルアルコール、ナノフィブリル化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、ナノ結晶セルロース、ビニル基で改質されたポリビニルアルコール、ビニル基で改質されたカルボキシメチルセルロース、ビニル基で改質されたナノフィブリル化セルロース、ビニル基で改質されたミクロフィブリル化セルロース、およびビニル基で改質されたナノ結晶セルロースからなる群から選択される。ここで、「ビニル基で改質された」とは、前述のコーティング材料のいくつかのヒドロキシル基が、ビニル基を含有する有機分子と反応したことを意味する。この点に関して、有機分子との反応は、第2コーティング組成物の塗布前に実施しても塗布後に実施してもよい。その後、このビニル基は、シリコーンとの反応に利用可能となって、剥離原紙の表面へのシリコーンの接着力を向上させる。このタイプの改質コーティング材料の製造方法は、例えば、EP2300544またはEP2539505に記載されている。
【0038】
本件発明者は、二つのコーティングが、紙構造をシールするとともに、シリコーンでのコーティングに特に適した平滑で化学的に均一な表面を生成する助けとなることを見出した。特に、本件発明者は、コーティングが、低い坪量と低い密度とともに、シリコーンホールドアウト性を改善するため、軽量の剥離原紙が多種多様な用途に適することを見出した。シリコーンホールドアウト性とは、シリコーンが紙構造に浸透することを防止するとともに、均一なシリコーンコーティングを提供する紙の性能であり、TAPPIT462cm-16に記載された試験に準拠したCobb Unger(120秒)値を測定することにより判定可能である。この試験では、剥離原紙の所定面積を所定量の油、通常ヒマシ油に、一定時間、通常120秒間さらす。油の除去後、単位面積当たりの紙の重量の増加が判断され、これが、油にさらされた紙の面のCobb Unger(120秒)値をなす。本件発明者は、低いCobb Unger(120秒)値が良好なホールドアウト性と関連することを見出した。
【0039】
その結果として、本発明による剥離原紙のコーティング面に関するCobb Unger(120秒)値は、0.01g/m2以上、好ましくは0.10g/m2以上、特に好ましくは0.15g/m2以上、および0.90g/m2以下、好ましくは0.70g/m2以下、特に好ましくは0.60g/m2以下、最も好ましくは0.50g/m2以下である。本発明による剥離原紙のコーティング面とは、シリコーンでコーティングすることが意図された面、すなわち、第1コーティング組成物および第2コーティング組成物が塗布された面である。本発明のこの値は、はるかに高い坪量を有する従来の剥離原紙の値よりも優れている。通常、従来の剥離原紙は、約1.0g/m2のコーティング面のCobb Unger(120秒)値を得る。Cobb Unger(120秒)値は、第1コーティングおよび第2コーティングに適切なコーティング材料を選択することにより、かつ剥離原紙に塗布される第1コーティング組成物および第2コーティング組成物の量によって調整することができる。通常、量が多いほど、Cobb Unger(120秒)値は低くなる。
【0040】
剥離原紙の透明度も重要である。透明度は、DIN53147:1993-01に準拠して測定可能であり、0%から100%までのパーセンテージで示される。ここで、0%は完全に不透明であることを意味し、100%は完全に透明であることを意味する。ラベルの存在は、しばしば剥離原紙を通して光学センサによって検出されるため、高い透明度が有用である。透明度が低すぎる場合、この検出処理は信頼性が低くなる、または一般的な生産速度で実施できなくなる。通常、45%以上の透明度で十分であり、従来の剥離原紙のほとんどは、約50%の透明度を有する。これに対して、本発明による剥離原紙は、好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上、および好ましくは80%以下、特に好ましくは75%以下の非常に高い透明度を有する。この高い透明度は、低い坪量、充填材料が存在しないこと、および圧延やコーティングのような剥離原紙の適切な処理によって達成され得る。高い透明度により、ラベルを検出するためにより安価で低電力の光学センサを使用することができる、または生産速度を上げることができる。これは、本発明による剥離原紙の更なる利点である。
【0041】
本発明による剥離原紙は、従来の抄紙機、特に長網抄紙機や圧延およびコーティング装置が使用される従来技術で知られている方法により作製され得る。好ましくは、圧延装置が抄紙機に組み込まれることにより、圧延が製紙中に実施され得る。第1コーティング組成物および第2コーティング組成物は、従来の塗布方法、例えばサイズプレスにおいて、フィルムプレスにおいて、ブレードコーティングまたはカーテンコーティング処理により塗布され得る。
【0042】
本発明による剥離原紙は、シリコーン処理に供され、その後、粘着ラベル用キャリア材またはベーキング紙として使用され得る。
【0043】
また、本件発明者は、本発明による剥離原紙の更に驚くべき用途を見出した。
【0044】
本発明による剥離原紙は、喫煙具に使用され得る。喫煙具は、従来の紙巻きタバコのように燃焼時に、またはいわゆる加熱式タバコ製品や非燃焼加熱式製品等の単なる加熱時にエアロゾルを生成可能な喫煙可能材を含む。ここで、喫煙可能材は、通常、円筒形ロッドに形成され、例えばタバコ紙のような包装材で包装されている。喫煙具の保管中または使用中の気候条件に応じて、油、保湿剤、水のような特定の物質が喫煙可能材から包装材に移る可能性がある。これらの物質は、包装材に望ましくないシミをもたらす。これは、喫煙可能材を加熱だけして燃やさない喫煙具に顕著である。なぜならば、これらの喫煙具においては、喫煙可能材は、通常、グリセロールやプロピレングリコールのような比較的大量の保湿剤を含有しているからである。本件発明者は、本発明による剥離原紙を喫煙具用の包装材として使用することにより、保管中や使用中に形成されるシミの個数および面積を大幅に削減できることを見出した。
【0045】
したがって、本発明による剥離原紙を、喫煙具の喫煙可能材、好ましくは喫煙可能材を加熱するが燃やさない喫煙具の喫煙可能材を包装するために使用することができる。
【0046】
したがって、本発明は、剥離原紙で包装された喫煙可能材を含む喫煙具を更に含み、好ましくは、喫煙具は、喫煙可能材を加熱するが燃やさない喫煙具である。
【0047】
本件発明者は、包装紙の分野においても更に驚くべき用途を見出した。本発明による剥離原紙は、その平滑性および透明性を理由として、例えばシャツ、靴またはハンドバッグ等の物品を包装するのに特に適している。ここで、本発明による剥離原紙は、物品を包装および保護し、物品は更に、通常段ボールから梱包される。透明であるため、物品を本発明による剥離原紙を通して良好に見ることができる。したがって、特に高級品に向いている。本発明による剥離原紙の平滑性により、包装処理が、従来技術の従来の紙の場合よりも良好に自動化され得る。
【0048】
したがって、本発明は、本発明による剥離原紙の包装紙としての使用を含む。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明による剥離原紙を、トウマツおよびマツ由来の80重量%の針葉樹パルプと、カバノキ由来の20重量%の広葉樹パルプとの混合物から製造した。針葉樹パルプを、ISO5267-1:1999に準拠して測定した67°SRの精製度に精製した。充填材料は使用しなかった。
【0050】
剥離原紙ウェブを、精製した針葉樹パルプと広葉樹パルプとの混合物を含有した水性懸濁液から従来の長網抄紙機で形成し、抄紙機において、抄紙機に組み込まれた圧延機を使用して圧延した。
【0051】
次に、剥離原紙ウェブを、第1コーティング組成物で全面にコーティングした。第1コーティング組成物は、水と、第1コーティング組成物の重量に対して15重量%のデンプンと、を含有している。次に、剥離原紙ウェブを乾燥させて第1コーティングを得た。このステップは、フィルムプレスにおいて実施した。
【0052】
次に、剥離原紙の全面を、第2コーティング組成物でコーティングした。8重量%のポリビニルアルコールと、15重量%のカオリン粒子と、少量の架橋剤と、水と、からなる第2コーティング組成物を、第1コーティングに塗布した。ここで、パーセンテージは、コーティング組成物の重量を指す。第2コーティング組成物を、ブレードコーターに塗布し、乾燥させて第2コーティングを得ることにより、本発明による完成した剥離原紙を得た。
【0053】
剥離原紙の坪量を、ISO536:2012に準拠して測定し、36.0g/m2の値を得た。剥離原紙の密度を、坪量および厚さから計算し、ISO534:2011に準拠して測定し、0.99g/cm3であると判断した。Cobb Unger(120秒)値をTAPPIT462cm-16に準拠して判断し、0.3g/m2の値を得た。剥離原紙の透明度を、DIN53147:1993-01に準拠して測定し、67.0%の値を得た。
【0054】
ISO5636-5:2013で定義されたガーレー法に準拠して透気度を測定し、外挿により100000秒の値を得た。
【0055】
剥離原紙の引張強度、引裂強度、および他の機械的パラメータも同様にチェックし、それらが剥離原紙の更なる処理に適していることがわかった。
【0056】
剥離原紙をシリコーンで問題なくコーティングした。シリコーン処理された剥離原紙が粘着ラベル用キャリア材に非常に適していることがわかった。
【0057】
したがって、本発明による剥離原紙は、低い坪量と、従来の剥離原紙と比較して優れてはいないまでも少なくとも同等の特性とを併せ持つことで、このような紙の使用による廃棄物の削減に実質的に寄与する。
【0058】
本発明による剥離原紙を、市販の非燃焼加熱式製品の喫煙可能材を包装することにも使用した。従来のタバコ紙で包装された同一ブランドの喫煙具を消費した後の当該従来のタバコ紙に比べて、喫煙具を消費した後の剥離原紙のシミは明らかに少なかった。