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特許7291778エアロゾル発生品及びそれを含むエアロゾル発生集合体、並びに管状基材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】エアロゾル発生品及びそれを含むエアロゾル発生集合体、並びに管状基材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20230608BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20230608BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20230608BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20230608BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/20
A24F40/46
A24B15/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021505270
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019070728
(87)【国際公開番号】W WO2020025730
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】1812498.2
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】アウン、ワリド アビ
(72)【発明者】
【氏名】ディケンズ、コリン
(72)【発明者】
【氏名】リア、トーマス デヴィッド
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0120225(US,A1)
【文献】国際公開第2018/019855(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/005705(WO,A1)
【文献】特開平06-046818(JP,A)
【文献】特表2018-512117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/20
A24F 40/46
A24B 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生集合体に使用するためのエアロゾル発生品であって、
前記エアロゾル発生品は、
(i)第1エアロゾル形成組成物を含む管状基材であって、前記第1エアロゾル形成組成物は5~80wt%のエアロゾル発生剤を含む非晶質固体を含み、前記非晶質固体は、20wt%未満の水を含むヒドロゲルである、管状基材と、
(ii)第1エアロゾル形成組成物とは異なる第2エアロゾル形成組成物とを含み、
前記エアロゾル発生品は、前記管状基材に沿って軸方向にずれている第1セクションおよび第2セクションを有し、前記第1セクションに設けられる第1エアロゾル形成組成物の量および/または第2エアロゾル形成組成物の量は、前記第2セクションに設けられるそれぞれの量とは異なっているエアロゾル発生品。
【請求項2】
第2エアロゾル形成組成物は非晶質固体を含むことを特徴とする請求項1記載のエアロゾル発生品。
【請求項3】
前記管状基材もまた第2エアロゾル形成組成物を含むことを特徴とする請求項1または2記載のエアロゾル発生品。
【請求項4】
第2エアロゾル形成組成物はタバコを含むことを特徴とする請求項1記載のエアロゾル発生品。
【請求項5】
タバコは再生タバコであることを特徴とする請求項4記載のエアロゾル発生品。
【請求項6】
請求項1乃至いずれか1項記載のエアロゾル発生品とヒーターとを含むエアロゾル発生集合体であって、前記ヒーターが、前記エアロゾル形成組成物の内の少なくとも1つを燃やさずに加熱して、前記組成物から吸引可能なエアロゾル又は蒸気を発生させるように構成されている、エアロゾル発生集合体。
【請求項7】
前記エアロゾル発生集合体は異なるヒートプロファイルを第1および第2セクションのそれぞれに供するように構成されていることを特徴とする請求項記載のエアロゾル発生集合体。
【請求項8】
エアロゾル発生品の第1セクションの加熱は第2セクションの加熱とは異なる時間に開始されることを特徴とする請求項6又は7記載のエアロゾル発生集合体。
【請求項9】
少なくとも2つのヒーターを含み、ヒーターはエアロゾル発生品の異なるセクションを燃やさずにそれぞれを加熱するために配置されていることを特徴とする請求項6乃至8いずれか1項記載のエアロゾル発生集合体。
【請求項10】
ヒーターは前記管状基材の管の内側に配置されていることを特徴とする請求項乃至いずれか1項記載のエアロゾル発生集合体。
【請求項11】
前記エアロゾル発生集合体はヒーターが前記管状基材の管の外側に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項乃至いずれか1項記載のエアロゾル発生集合体。
【請求項12】
前記エアロゾル発生集合体は非燃焼加熱装置であることを特徴とする請求項乃至11いずれか1項記載のエアロゾル発生集合体。
【請求項13】
前記エアロゾル発生集合体は電子タバコハイブリッド装置であって、前記エアロゾル形成組成物の少なくとも1つは、液体原料と固体エアロゾル化可能材料を含み、前記液体原料の少なくとも1つの成分は加熱により蒸発して吸引可能なエアロゾル又は蒸気を発生するように構成されており、前記固体エアロゾル化可能材料の少なくとも1つの成分は、吸入媒体を生成して吸引可能なエアロゾル又は蒸気の中に同伴されるように構成されていることを特徴とする請求項乃至11いずれか1項記載のエアロゾル発生集合体。
【請求項14】
請求項1乃至5いずれか1項記載のエアロゾル発生品を製造する方法であって、当該方法は、(a)第1エアロゾル形成組成物またはその前駆体の成分を含むスラリーを形成することと、(b)スラリーをシート状キャリアーに塗布することと、(c)スラリーを硬化させてゲルを形成することと、(d)乾燥させて20wt%未満の水を含むヒドロゲルであって、5~80wt%のエアロゾル発生剤を含む非晶質固体を形成することと、(e)丸めて管を形成することとを含む管状基材を作製することを含む、エアロゾル発生品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生品及びそれを含むエアロゾル発生集合体、並びに管状基材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。これらの種の喫煙品の代替え品に燃やさずに加熱することによって基材から化合物を放出することによって吸引可能なエアロゾルまたは蒸気を放出するものがある。これらは非燃焼喫煙品またはエアロゾル発生集合体と言ってもよい。
【0003】
そのような製品の一例として固体のエアロゾル化可能な材料を燃やさずに加熱することによって化合物を放出する加熱装置がある。この固体のエアロゾル化可能な材料はタバコ材を含んでもよい場合がある。加熱によって典型的には吸引可能なエアロゾルを形成する材料の少なくとも1つの成分を揮発させる。これらの製品は非燃焼加熱装置、タバコ加熱装置またはタバコ加熱製品と言われる場合もある。固体のエアロゾル化可能な材料の少なくとも1つの成分を揮発させる種々の異なる構成が知られている。
【0004】
別の例として電子タバコハイブリッド装置としても知られている電子タバコ/タバコ加熱製品ハイブリッド装置がある。これらのハイブリッド装置は、吸引可能な蒸気またはエアロゾルを製するために加熱されることによって気化する原料液(ニコチンを含むまたは含まない)を含む。装置は追加で固体のエアロゾル化可能な材料(タバコ材を含んでも含まなくてもよい)を含み、この材料の成分は吸引可能な媒体を製するために吸引可能な蒸気またはエアロゾルに同伴される。
【0005】
いくつかの従来のエアロゾルの発生は2つ以上のヒーターを含み、各ヒーターは使用時に喫煙材の異なる部分を加熱するように構成されている。これにより喫煙材のそれらの異なる部分が異なる時間に加熱することができ、それにより使用時間の間にエアロゾルを長時間形成することができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様ではエアロゾル発生集合体に使用するためのエアロゾル発生品が提供され、エアロゾル発生品は、
(i)非晶質固体を含む第1エアロゾル形成組成物を含む管状の基材と、
(ii)第1エアロゾル形成組成物とは異なる第2エアロゾル形成組成物とを含む。
【0007】
本発明の第2の態様では第1の態様によるエアロゾル発生品とエアロゾル形成組成物の内の少なくとも1つを燃やさずに加熱するように構成されたヒーターとを含むエアロゾル発生集合体を提供する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、(a)第1エアロゾル形成組成物またはその前駆体の成分を含むスラリーを形成することと、(b)そのスラリーをシート状キャリアーに塗布することと、(c)スラリーを硬化させてゲルを形成することと、(d)乾燥させて非晶質固体を形成することと、(e)丸めて管を形成することとを含む管状基材の製造方法が提供される。
【0009】
本明細書で説明する本発明のさらなる態様は、吸引可能な媒体の発生においてのエアロゾル発生品またはエアロゾル発生集合体の使用を提供する。
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、あくまで例示を目的とする添付図面を参照した以下の説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】エアロゾル発生品の一例の断面図である。
図2図1の発生品の斜視図である。
図3】エアロゾル発生品の一例の横断立面図である。
図4図3の発生品の斜視図である。
図5】エアロゾル発生集合体の一例の斜視図である。
図6】エアロゾル発生集合体の一例の断面図である。
図7】エアロゾル発生集合体の一例の斜視図である。
図8】管状基材の一例を示している。
図9】管状基材の別の例を示している。
図10】管状基材の別の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で説明する少なくとも第1エアロゾル形成組成物は、「非晶質固体」と言われるエアロゾル形成材を含む。本明細書で「非晶質固体」として説明される材料は、別に「モノリシック固体」(即ち非繊維)または「ドライゲル」と言われる場合もある。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。本明細書で説明するエアロゾル形成材は、場合によっては50wt%、60wt%または70wt%~約90wt%、95wt%または100wt%の量の非晶質固体を含む。エアロゾル形成材は非晶質固体からなる場合もある。
【0013】
本発明はエアロゾル発生集合体に使用するためのエアロゾル発生品を提供し、この発生品は、
(i)非晶質固体を含む第1エアロゾル形成組成物を含む管状の基材と、
(ii)第1エアロゾル形成組成物とは異なる第2エアロゾル形成組成物とを含む。
【0014】
エアロゾル形成組成物の一方または両方が、使用時に加熱されて吸引可能なエアロゾルまたは蒸気を発生する。2つ以上のエアロゾル形成組成物を使用することで吸引されるエアロゾルの組成を選択的に調整することができる。本発明は第1エアロゾル形成組成物の成分として非晶質固体を供し、この固体はエアロゾル化可能な成分(エアロゾル発生剤、風味剤、ニコチン、ニコチン派生物およびアロマなどの)を含んでもよい。これらのエアロゾル化可能な成分由来の非晶質固体は使用時に揮発し、吸引され、非晶質固体を供することでエアロゾルまたは蒸気の組成を変える/または高めることができる。非晶質固体はニコチンおよび/またはタバコ抽出物などの活性物質を含んでもよい。
【0015】
本発明者は均一なエアロゾル発生品が使用される従来のエアロゾル発生集合体ではエアロゾルの成分の送出量が使用するにつれて減少することを確認している。本例では熱に異なる反応をし、異なるヒートプロファイルに晒される2つの異なるエアロゾル形成組成物を供することによってエアロゾル送出プロファイルを変えることが可能になる。送出プロファイルはどの組成物およびどのヒートプロファイルを使うかによって調整することができる。
【0016】
基材が管状であることから多くの方法に使用に適する。エアロゾル発生品はヒーターが使用時に管の内側に配置されるエアロゾル発生集合体と使用するように構成される場合もある。別の場合にはエアロゾル発生品はヒーターが使用時に管の外側に配置されるエアロゾル発生集合体と使用するように構成される。そのような場合には管内に配されるエアロゾル発生集合体の部品は無く、むしろ管は使用時にエアロゾルまたは蒸気の流路を供し、これはエアロゾル発生集合体の繰り返し使用される部品上でのエアロゾルまたは蒸気の縮合を妨げ、これにより消費効率およい衛生状態が向上する。一部のこのような場合、管の外壁は実質的にまたは完全に気体/エアロゾルに対して不透過性であり、さらに流路を調節する。
【0017】
管状の基材は第2エアロゾル形成組成物も含む場合がある。
【0018】
第2エアロゾル形成組成物は非晶質固体を含む。これは非晶質固体からなる裁断されたシートであってもよく、これは管状基材の管の内側に配置される場合がある。
【0019】
別の場合には第2エアロゾル形成組成物はタバコを含む。タバコは再生タバコであり、選択的に刻まれたくずの形体である場合がある。タバコは管状の管に内輪に配置される場合がある。
【0020】
エアロゾル発生品は第1および第2セクションを有する場合があり、第1セクションに設けられた第1エアロゾル形成組成物の量および/または第2エアロゾル形成組成物の量は第2セクションに設けられたそれぞれの量とは異なる場合がある。そのような場合、異なるセクションは、使用時に異なるヒートプロファイルに晒されてもよく、これにより組成が消費期間中に変化する吸引可能なエアロゾルを提供する。即ち、異なるセクションは、例えば異なる時間または速度で異なる温度に加熱されてもよい。第1および第2セクションは管状基材の管の長さに沿って間隔が空けられる場合がある。別の場合にはこれらは管状基材の対向側部に配置されてもよい。
【0021】
第1エアロゾル形成組成物の実質的にすべてを第1セクションに設け、第2エアロゾル形成組成物の実質的にすべてを第2セクションに設ける場合がある。別の場合には各セクションは第1および第2形成組成物の両方を含んでもよい。
【0022】
別の場合には第1および第2エアロゾル形成組成物の実質的にすべてを実質的に同じヒートプロファイルに晒してもよい。
【0023】
一部の具体例では管状基材は第1および第2エアロゾル形成組成物を含む場合がある。これらはそれぞれ非晶質固体を含む。そのような場合には非晶質固体は管状基材の内側に層として設けてもよい。両方のエアロゾル形成組成物を含む管のセクションがあってもよく、1つの組成物だけを含む他のセクションがあってもよい。これら2つの組成物は1つがもう一方の上に供されるように2層として設けてもよい。層の厚みは管の長さに沿って変化してもよく、あるいは同じであってもよい。さらなる選択肢において非晶質固体を管状基材の異なるセクションに設けて1つを吸い口端に近い層として設け、2つめを遠位端に近い層として設けられるようにしてもよい。場合によっては非晶質固体は端部と端部と接して配された2つの同軸管として設けてもよい。さらに別の選択肢において非晶質固体を管の内側の半円筒状層として設けてもよい。
【0024】
管状基材が第1および第2エアロゾル形成組成物を含む一部の他の具体例は第1エアロゾル形成組成物が非晶質固体を含み、第2エアロゾル形成組成物がタバコを含むエアロゾル発生品を供する。例えば、第2エアロゾル形成組成物は再生タバコのシートを含み、その上に第1エアロゾル形成組成物が支持される。別の例では第1エアロゾル形成組成物の非晶質固体は管の第1セクションに設けられ、タバコのシート(第2エアロゾル形成組成物の)は管の第2セクションに設けられてもよい。さらに別の例ではタバコのシートは管の全長に沿って配置されてもよく、非晶質固体は管の一部のみに沿ってタバコのシート上に配置される。
【0025】
他の具体的な例では第2エアロゾル形成組成物は、タバコを好適には刻まれたくずの形体で含む。これは再生タバコである。タバコは管状基材の管の内側に設けてもよい。タバコは第1エアロゾル形成組成物と同じ管のセクションに設けてもよい場合がある。別の場合にはタバコは第2エアロゾル形成組成物とは異なる管のセクションに設けてもよい。さらに別の例ではタバコ組成物は管の2つのセクションに設けられてもよく、第1エアロゾル形成組成物は1つのセクションだけに設けられる。さらに別の例では第1エアロゾル形成組成物は管の2つのセクションに設けられてもよく、タバコ組成物は1つのセクションだけに設けられる。
【0026】
一例では第1エアロゾル形成組成物は、風味剤を含み、タバコ材を含まない非晶質固体を含み、第2エアロゾル形成組成物は、タバコ材を含む。
【0027】
一般に管状基材の非晶質固体成分は管の内側に隣接して配置される。場合によっては管状基材管の外面はエアロゾルまたは蒸気に対して実質的にまたは完全に不透過性であるラッパーによって囲んでもよい(形成されたエアロゾルまたは蒸気の使用時の管の外部への通過を妨げるために)。これは吸い込まれる成分を管内部へと導き、繰り返し使用可能な部材上に成分が凝縮するのを妨げる(これにより消費体験および衛生面が良好になる)。ラッパーは、例えば使用の際に熱を伝導する金属箔から形成してもよい。
【0028】
管状基材はそれ自体が非晶質固体を含む第1エアロゾル形成組成物を含む。その結果として管状基材は丸められて管を形成する非晶質固体シートであってもよい。基材は支持部材を含んでもよい。支持部材は非晶質固体に埋め込まれてもよく、あるいは上に非晶質固体が設けられるキャリアーであってもよい。例えば、管状基材はシート状のキャリアーを含んでもよく、それは上に非晶質固体が設けられる金属箔または紙からなるシートまたは金属箔または紙からなる積層体であってもよい。場合によってはキャリアーは、金属箔、紙、カーボン紙、耐油紙、セラミック、グラファイトおよびグラフェンなどの炭素同素体、プラスチック、ボール紙、木材またはそれらを組み合わせたものから選択される1つ以上の材料を含む。場合によってはキャリアーは再生タバコのシートなどのタバコ材を含んでもよく、または再生タバコのシートなどのタバコ材からなってもよい。場合によってはキャリアーは金属箔、紙、ボール紙、木材またはこれらを組み合わせたものから選択される材料から形成してもよい。場合によってはキャリアーは上記例から選択される材料からなる層を含む積層構造であってもよい。管状基材は平坦なシートとして形成し、次に丸められて管を形成してもよい。これとは別に上述のようにキャリアーシートは第2エアロゾル形成組成物である再生タバコを含むシートであってもよい。
【0029】
非晶質固体と当接するキャリアーシートの面は紙または再生タバコなどの多孔質材から形成されるのが好ましい。これにより非晶質固体と多孔質キャリアー表面との間に強い接着を形成することができる。非晶質固体はゲルを乾燥させることによって形成され、いかなる理論に制限されるものではなく、ゲルが形成されるスラリーを多孔質層に含浸させ、ゲルが硬化し、架橋を形成すると、多孔質層が部分的にゲル内に結合すると考えられている。場合によってはキャリアーは紙シートを含むまたは紙シートからなる。紙は0~300コレスタ単位(CU)、好適には5~100CUまたは25~75CUの多孔度を有してもよい。
【0030】
加えて表面粗さが非晶質固体とキャリアーの間の接着の強度に貢献する。本発明者は紙の粗さ(キャリアーと当接する面の)は、50~1000ベック秒であると好適であり、好適には50~150ベック秒の範囲内であり、より好適には100ベック秒である(50.66~48.00kPaの空気圧インターバルで測定した)ことを発見した。(ベック平滑度試験器は、特定の圧力で空気が滑らかなガラス面と紙のサンプルの間で漏れる紙の面の滑らかさを測定するために使用される機器であり、これらの面の間で染み出る所定の空気量での時間(秒)が「ベック平滑度」である。)
【0031】
逆に非晶質固体とは反対のキャリアーの面はヒーターと接触して配され、滑らかな面はより効率的に熱を伝達する。従って、場合によってはキャリアーは粗い方の側を非晶質固体と当接し、滑らかな方の面を非晶質材料とは反対になるように配置される。
【0032】
場合によってはエアロゾル形成組成物の1つ以上は、抵抗性または誘導加熱エレメントなどの埋め込まれた加熱手段を含んでもよい。例えば、加熱手段は非晶質固体に埋め込まれてもよい。
【0033】
場合によってはキャリアーは箔-紙積層体を含むまたは箔-紙積層体からなり、紙は管の内側のゲルと当接し、これにより強い接着を形成し、箔は管の外側に配され、使用時に形成されたエアロゾルまたは蒸気が管外部へと通過するのを防ぐ。
【0034】
別の場合には 紙に支持されている箔の箔層は非晶質固体と当接する。箔は不透過性であり、これにより非晶質固体に設けられた水が紙の構造的完全性を弱める可能性がある紙に吸収されるのを妨げる。
【0035】
場合によってはキャリアーはアルミ箔などの金属箔から形成されるまたは金属箔を含む。金属キャリアーは熱エネルギーを非晶質固体により良好に伝達することができる。加えてまたはこれとは別に金属箔は誘導加熱システムのサセプタとして機能してもよい。特定の実施態様ではキャリアーは金属箔層とボール紙などの支持層とを含む。これらの実施態様では金属箔層は20μm未満、例えば約1μm~約10μm、好適には約5μmの厚さを有する。
【0036】
エアロゾル発生品は、追加で冷却エレメントおよび/またはフィルターを含んでもよい。冷却エレメントが含まれる場合、気体またはエアロゾル成分を冷ますように作用するまたは機能する。場合によっては冷却エレメントは気体成分が縮合してエアロゾルを形成するように気体成分を冷ますように作用する。また冷却エレメントは装置の極めて熱い部分をユーザーから離すように作用する。フィルターが含まれる場合はセルロースアセテートプラグなどの当業界で知られているあらゆる好適なフィルターを含んでもよい。
【0037】
場合によっては冷却エレメントおよび/またはフィルター(含まれる場合)は、管状基材上を少なくとも部分的に延びた層によって包まれてもよい。この層はキャリアーと非晶質固体を含むラッパーであってもよい。
【0038】
エアロゾル発生品は、さらに換気開口部を含んでもよい。これら換気開口部は発生品の側壁に設けられてもよい。場合によっては換気開口部はフィルターおよび/または冷却エレメントに設けてもよい。これらの開口部は冷却空気が使用時に発生品内に引き込まれるようにすることができ、これは加熱されて揮発した成分と混ざることができ、これによってエアロゾルを冷却する。
【0039】
換気は発生品が使用時に加熱された際に発生品から目に見える加熱されて揮発した成分の発生を増加させる。加熱されて揮発した成分は、加熱されて揮発する成分の過飽和が起こるように加熱されて揮発した成分の冷却工程によって可視化される。加熱されて揮発した成分は、次に小滴に形成され、これは核形成としても知られていて、最終的に加熱されて揮発した成分のエアロゾル粒子の大きさは加熱されて揮発した成分のさらなる縮合および加熱されて揮発した成分から新たに形成された小滴の凝固によって大きくなる。
【0040】
場合によっては換気率として知られている加熱されて揮発した成分と冷却空気の合計に対する冷却空気の比率は少なくとも15%である。15%の換気率で加熱されて揮発した成分を上述の方法で見えるようにすることができる。加熱されて揮発した成分を見えるようにすることでユーザーが加熱されて揮発した成分が発せられ喫煙経験の感覚的経験に加わったことを確認することができる。
【0041】
別の例では換気率は加熱されて揮発した成分をさらに冷却するために50%~85%である。場合によっては換気率は少なくとも60%または65%であってもよい。
【0042】
本発明の第2の態様は第1の態様によるエアロゾル発生品とエアロゾル形成組成物の内の少なくとも1つを燃やさずに加熱するように構成されたヒーターとを含むエアロゾル発生集合体を提供する。
【0043】
場合によってはヒーターは使用の際エアロゾル化可能な材料を燃やさずに120℃~350℃に熱してもよい。場合によってはヒーターは使用の際エアロゾル化可能な材料を燃やさずに140℃~250℃に熱してもよい。場合によっては 使用時、実質的に全ての非晶質固体は、ヒーターから約4mm未満、3mm未満、2mm未満または1mm未満離れている。場合によっては固体はヒーターから約0.010mm~2.0mm、好適には約0.02mm~1.0mm、好適には0.1mm~0.5mm離れて配置されている。これらの最小距離は非晶質固体を支持するキャリアーの厚みを反映する場合がある。場合によっては非晶質固体の面はヒーターと直接当接してもよい。
【0044】
場合によってはエアロゾル発生集合体はエアロゾル発生品を含み、この場合発生品は管状基材の管の長さに沿って間隔が空けられた第1および第2セクションを有し、第1セクションに設けられた第1エアロゾル形成組成物の量および/または第2エアロゾル形成組成物の量は、第2セクションに設けられたそれぞれの量とは異なり、装置は第1および第2セクションのそれぞれに異なるヒートプロファイルを供するように構成されている。
【0045】
場合によってはエアロゾル発生品の第1セクションの加熱は第2セクションの加熱とは異なる時間に開始される。
【0046】
例えば、一部の特定の場合にはエアロゾル発生集合体のその少なくとも2つのセクションを加熱するように構成された集合体が供される。第1および第2セクションの温度を時間をかけてそれらセクションの温度プロファイルが異なるように制御することによって使用中のエアロゾルのパフプロファイルを制御することが可能になる。エアロゾル発生品の2つのセクションに供される熱は異なる時間または割合で供されてもよく、このように加熱をずらすことで早くエアロゾルを発生させ使用寿命を延ばすことが可能になる。
【0047】
1つの特定の例では集合体は消費経験の開始時にエアロゾル発生品の第1セクションに対応する第1加熱エレメントがすぐに240℃の温度に加熱されるように構成されてもよい。この第1加熱エレメントは240℃で145秒間維持され、次に135℃まで下げられる(この温度は消費経験の残りの間維持される)。消費経験の開始から75秒後にエアロゾル発生品の第2セクションに対応する第2加熱エレメントが160℃の温度に加熱される。消費経験の開始から135秒後に第2加熱エレメントの温度が240℃に上げられる(この温度は消費経験の残りの間維持される)。消費経験は280秒続き、その時点で両方のヒーターが室温にまで冷える。
【0048】
場合によっては装置はユーザーそれぞれのセクションの加熱の開始を制御するように構成され、これにより消費者は消費経験を制御することが可能になる。
【0049】
場合によってはエアロゾル発生集合体は少なくとも2つのヒーターを含んでもよく、ヒーターはエアロゾル発生品の異なるセクションを燃やさずにそれぞれを加熱するために配置されている。
【0050】
場合によってはエアロゾル発生集合体はヒーターが管状基材の管の内側に配置されるように構成されてもよい。
【0051】
場合によってはエアロゾル発生集合体はヒーターが管状基材の管の外側に配置されるように構成される。場合によってはエアロゾル発生集合体は使用時に管状基材の管の内側にエアロゾル発生集合体の部品が配置されないように構成される。管は、使用時は空であり、吸引可能なエアロゾル/気体の流路を提供してもよい。
【0052】
場合によってはエアロゾル発生集合体は非燃焼加熱装置であってもよい。即ち、それは固体タバコ含有材を含んでもよい(液体エアロゾル化可能な材料材料を含まない)。場合によっては非晶質固体はタバコ材を含んでもよい。非燃焼加熱装置は国際出願公開パンフレット2015/062983 A2に開示されており、その内容全体を本明細書に引用したものとする。
【0053】
場合によってはエアロゾル発生集合体は電子タバコハイブリッド装置であってもよい。即ち、それは固体のエアロゾル化可能な材料および液体のエアロゾル化可能な材料を含んでもよい。場合によっては非晶質固体はニコチンを含んでもよい。場合によっては非晶質固体はタバコ材を含んでもよい。場合によっては非晶質固体はタバコ材および別個のニコチン源を含んでもよい。別々のエアロゾル化可能な材料を別のヒーターまたは同じヒーターで加熱してもよく、1つの例では下流のエアロゾル化可能な材料を上流のエアロゾル化可能な材料から発生した熱いエアロゾルで加熱してもよい。電子タバコハイブリッド装置は国際出願公開パンフレット2016/135331 A1に開示されており、その内容全体を本明細書に引用したものとする。
【0054】
第2の態様による集合体に供されるヒーターは、場合によっては薄膜電気抵抗ヒーターであってもよい。別の場合ではヒーターは誘導ヒーターなどを含んでもよい。ヒーターは燃焼性熱源または使用時に熱を製するために発熱反応する化学的加熱源であってもよい。エアロゾル発生集合体は複数のヒーターを含んでもよい。1つ以上のヒーターはバッテリーに接続されてもよい。2つ以上のヒーターが存在する場合、各ヒーターは同じまたは異なってもよい。
【0055】
一般に該または各ヒーターは充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーによって給電される。好適なバッテリーの例としては、例えばリチウムイオンバッテリー、ニッケルバッテリー(ニッケル-カドミウムバッテリーなどの)、アルカリバッテリーなどが挙げられる。バッテリーはヒーターに電気的に接続され、必要に応じて喫煙材を加熱するために(喫煙材を燃やさずに喫煙材の成分を揮発させるために)電力を供給する。
【0056】
1つの例ではヒーターは、中空の内部加熱チェンバーを有するほぼ中空の円筒状管の形状であり、そのチェンバー内にエアロゾル発生品が使用時の加熱のために挿入される。ヒーターの異なる構成も可能である。例えば、ヒーターはヒーターを単独のヒーターとして形成してもよく、あるいはエアロゾル発生品の長手方向軸に沿って整列した複数のヒーターで形成してもよい。(簡潔にするために本明細書では「ヒーター」と言った場合、文脈上他の意味に解すべき場合を除き複数のヒーターを含むものとする。)ヒーターは、環状または管状であってもよい。ヒーターは、実質的にエアロゾル発生品全体が挿入された際にヒーターの1つ以上の加熱エレメント内に位置し、エアロゾル化可能な材料全体が使用時に加熱されるような寸法である。ヒーターはエアロゾル化可能な材料の選択された領域が必要に応じて独立して、例えば順番に(連続して)または一緒に(同時に)加熱されるように構成してもよい。
【0057】
別の例ではヒーターはロッド形状であってもよく、集合体はヒーターが使用時に管状基材の内側に少なくとも部分的に位置するように構成してもよい。
【0058】
ヒーターはその長さの少なくとも一部に沿って断熱材に囲まれてもよく、これはエアロゾル発生集合体の外部へヒーターから通過する熱を少なくするのに役立つ。これは一般的に熱損失を少なくするのでヒーターに必要な電力を下げるのに役立つ。断熱材はヒーターの作動中エアロゾル発生集合体の外部を冷ましておくのに役立つ。
【0059】
図1および2を参照すると、エアロゾル発生品101の例の一部を切り取った内部図および斜視図である。発生品101は電源およびヒーターを有する装置に使用するようになっている。この実施態様の発生品101は、以下に説明する図5~7に示した装置51と使用するのに特に適している。使用時、発生品101は装置51の挿入ポイント20で図5に示す装置内に取り外し可能に挿入される。
【0060】
一例の発生品101は、本明細書に記載した管状の基材103とロッド形状のフィルター集合体105を含む実質的に円柱ロッド形状である。管状基材103は図8にも例示されており、セクション104および106に2つのエアロゾル形成非晶質固体組成物103a、103bを含む。各非晶質固体組成物は管状であり、それらは端部と端部と接して配置されている(即ち、同軸に配されているがその軸に沿って相対的にずれている)。非晶質固体セクション103bは、非晶質固体セクション103aよりフィルター集合体105に近い。図8の管状基材は、図1~4のエアロゾル発生品101、301内に示されているが、他の実施態様ではこれらの発生品の基材103、303は、図9および10に示した形のような異なる形状を有してもよいが、これらに限定されない。
【0061】
図9では管状基材903は、2つのエアロゾル形成非晶質固体組成物903aおよび903bを含む。基材903は2つのセクション904および906を含み、それぞれが異なる量の対応する非晶質固体903aおよび903bを含む。これらのセクションは、使用時に異なるヒートプロファイルに晒されてもよく、製品寿命の間中、組成が変化する吸引可能なエアロゾルを供する。
【0062】
図10において管状基材1003は、非晶質固体管の形体の第1エアロゾル形成組成物1003aおよび管の内側に配される刻みくずタバコの形体の第2エアロゾル形成組成物1003bを含む。図8および9に例示した基材103および903の場合、管状基材1003の2つのセクション1004および1006は、それぞれは異なる量のエアロゾル形成材を含むことが明らかである。これらのセクションは、使用時に異なるヒートプロファイルに晒されてもよく、製品寿命の間中、組成が変化する吸引可能なエアロゾルを供する。
【0063】
フィルター集合体105は、冷却セグメント107、フィルターセグメント109および吸い口端セグメント111といった3つのセグメントを含む。発生品101は、吸い口端または近位端としても知られている第1端部113と、遠位端としても知られている第2端部115を有する。管状基材103は発生品101の遠位端115の方に位置している。1つの例では冷却セグメント107は、冷却セグメント107が管状基材103とフィルターセグメント109と当接関係になるように管状基材103とフィルターセグメントの間で管状基材103に隣接して位置する。他の例では、管状基材103と冷却セグメント107の間そして管状基材103とフィルターセグメント109の間が離れていてもよい。フィルターセグメント109は冷却セグメント107と吸い口端セグメント111の間に位置する。吸い口端セグメント111は、フィルターセグメント109に隣接して発生品101の近位端113の方に位置している。1つの例ではフィルターセグメント109は吸い口端セグメント111と当接関係にある。1つの実施態様ではフィルター集合体105の全長は、37mm~45mm、より好ましくはフィルター集合体105の全長は41mmである。
【0064】
1つの例では管状基材103は長さが34mm~50mm、好適には38mm~46mm、好適には42mmである。
【0065】
1つの例では発生品101の全長は、71mm~95mm、好適には79mm~87mm、好適には83mmである。
【0066】
管状基材103はフィルター集合体105に環状のチッピング紙(図示せず)によって接合され、これはフィルター集合体105を囲むためにフィルター集合体105の円周の周囲に実質的に位置し、管状基材103の長さに沿って部分的に延びている。1つの例ではチッピング紙は58GSMの標準的なチッピング基紙で作製される。1つの例ではチッピング紙の長さは42mm~50mm、好適には46mmである。
【0067】
1つの例では冷却セグメント107は環状の管であり、冷却セグメント内の空隙の周囲に位置し、これを画定する。空隙は管状基材103から発生する加熱されて揮発した成分が流れるチェンバーを提供する。冷却セグメント107は、製造時に生じるそして発生品101が使用の際に装置51内に挿入される間の軸方向の圧縮力および曲げモーメントに充分に耐えられる剛性のエアロゾル蓄積物用のチェンバーを供するために中空である。1つの例では冷却セグメント107の壁の厚さは約0.29mmである。
【0068】
冷却セグメント107は管状基材103とフィルターセグメント109間の物理的移動を供する。冷却セグメント107によって供される物理的移動は、冷却セグメント107の長さに亘って温度勾配を供する。1つの例では冷却セグメント107は、冷却セグメント107の第1端部に入る加熱されて揮発した成分と冷却セグメント107の第2端部を出る加熱されて揮発した成分との間の温度差が少なくとも40℃になるように構成されている。1つの例では冷却セグメント107は、冷却セグメント107の第1端部に入る加熱されて揮発した成分と冷却セグメント107の第2端部を出る加熱されて揮発した成分との間の温度差が少なくとも60℃になるように構成されている。冷却セグメント107に亘るこの温度差は、管状基材103が装置51によって加熱された際の管状基材103の高温から感温フィルターセグメント109を保護する。フィルターセグメント109と管状基材103と装置51の加熱エレメントとの間で物理的移動が行われないと、感温フィルターセグメント109は使用時に損傷し、その必要とされる機能を効率よく実行することができなくなる。
【0069】
1つの例では冷却セグメント107の長さは、少なくとも15mmである。1つの例では冷却セグメント107の長さは、20mm~30mm、特に23mm~27mm、特に25mm~27mm、好適には25mmである。
【0070】
冷却セグメント107は紙で作製され、これは装置51のヒーターに隣接して使用される際に例えば毒性のある化合物などの問題となる化合物を発生させない材料から構成されていることを意味する。1つの例では冷却セグメント107は、機械的剛性を維持しつつ中空の内部チェンバーを供する螺旋状に巻かれた紙の管から製造される。螺旋状に巻かれた紙の管は、高速で行われる製造工程の管の長さ、外径、丸みおよび真直度に関する厳密な寸法精度要件を満たすことができる。
【0071】
別の例では冷却セグメント107は堅いプラグラッパーまたはチッピング紙から生じる凹部である。堅いプラグラッパーまたはチッピング紙は、製造時に生じるそして発生品101が使用の際に装置51内に挿入される間の軸方向の圧縮力および曲げモーメントに充分に耐えられる剛性を有するように製造される。
【0072】
フィルターセグメント109は管状基材から加熱されて揮発した成分からの1つ以上の揮発した化合物を除去するのに充分な任意のフィルター材から形成してもよい。1つの例ではフィルターセグメント109はセルロースアセテートなどのモノアセテート材製である。フィルターセグメント109は、加熱されて揮発した成分の質をユーザーが満足しないレベルに落とすことなく加熱されて揮発した成分から冷たい刺激を減少させる。
【0073】
一部の実施態様ではカプセル(図示せず)をフィルターセグメント109内に設けてもよい。カプセルは、フィルターセグメント109の直径を横断してそしてフィルターセグメント109の長さに沿ってフィルターセグメント109内の実質的に中央に配置してもよい。別の場合ではカプセルは1つ以上の寸法においてオフセットしてもよい。カプセルは含まれる場合に風味剤またはエアロゾル発生剤などの揮発性成分を含んでもよい場合がある。
【0074】
フィルターセグメント109のセルロースアセテートトウ材料の密度はフィルターセグメント109全体の圧力降下を制御し、次に発生品101の吸引抵抗を制御する。従って、フィルターセグメント109の材料の選択は、発生品101の吸引抵抗を制御する上で重要である。さらにフィルターセグメントは発生品101においてろ過機能を行う。
【0075】
1つの例ではフィルターセグメント109は8Y15グレードのフィルター材で作製され、これは加熱されて揮発した成分のろ過効果を供し、また加熱されて揮発した成分に起因する縮合したエアロゾル滴の大きさを小さくする。
【0076】
フィルターセグメント109があることで冷却セグメント107を出た加熱されて揮発した成分をさらに冷却することによって絶縁効果を供される。このさらなる冷却効果によりフィルターセグメント109の面にユーザーの唇が触れる際の温度が下がる。
【0077】
1つの例ではフィルターセグメント109の長さは、6mm~10mm、好適には8mmである。
【0078】
吸い口端セグメント111は環状の管であり、吸い口端セグメント111内の空隙の周囲に位置し、これを画定する。空隙はフィルターセグメントから流れる加熱されて揮発した成分のチェンバーを提供する。吸い口端セグメント111は、製造時に生じるそして発生品が使用の際に装置51内に挿入される間の軸方向の圧縮力および曲げモーメントに充分に耐えられる剛性のエアロゾル蓄積物用のチェンバーを供するために中空である。1つの例では吸い口端セグメント111の壁の厚さは約0.29mmである。1つの例では吸い口端セグメント111の長さは6mm~10mm、好適には8mmである。
【0079】
吸い口端セグメント111は、臨界的な機械的剛性を維持しつつ中空の内部チェンバーを供する螺旋状に巻かれた紙の管から製造される。螺旋状に巻かれた紙の管は、高速で行われる製造工程の管の長さ、外径、丸みおよび真直度に関する厳密な寸法精度要件を満たすことができる。
【0080】
吸い口端セグメント111は、フィルターセグメント109の出口で堆積するあらゆる液体の凝縮物がユーザーと直接接触するのを妨げる機能を提供する。
【0081】
当然のことながら1つの例では吸い口端セグメント111および冷却セグメント107は単独の管で形成してもよく、フィルターセグメント109は吸い口端セグメント111と冷却セグメント107を隔てる管内に位置する。
【0082】
図3および4を参照すると一例の発生品301の一部を切り欠いた断面図と斜視図が示されている。図3および4に示した参照符号は図1および2に示した参照符号と同等であるが、200が足されている。
【0083】
図3および4に示した発生品301の例において換気領域317は発生品内に設けられ、空気が発生品301の外部から発生品301の内部へと流れることができる。1つの例では換気領域317は発生品301の外層を通って形成された1つ以上の換気孔の形体である。換気孔は冷却セグメント107に位置して発生品301の冷却を補助する。1つの例では換気孔317は1つ以上の列の孔を含み、好ましくは孔の列は発生品301の長手方向軸に実質的に直交する断面において発生品の周囲を円周方向に配置される。
【0084】
1つの例では発生品301を換気するための1~4の換気孔の列がある。換気孔の各列は12~36個の換気孔317を有する。換気孔317は、例えば100~500μmの直径を有する。1つの例では換気孔317の列間の軸方向の間隔は0.25mm~0.75mm、好適には0.5mmである。
【0085】
1つの例では換気孔317の大きさは均一である。別の例では換気孔317の大きさは異なる。換気孔は、あらゆる好適な技術、例えばレーザー技術、冷却セグメント307の機械的穿孔または発生品301内に形成される前の冷却セグメント307の予備穿孔などの技術の1つ以上を使用して設けることができる。換気孔317は発生品301を効果的に冷却するために配置される。
【0086】
1つの例では換気孔317の列は、発生品の近位端313から少なくとも11mm、好適には発生品301の近位端313から17mm~20mmのところに位置する。換気孔317の位置は発生品301が使用中にユーザーが換気孔317を塞がないように配置される。
【0087】
発生品301の近位端313から17mm~20mm離れて換気孔の列を設けることで図6および7から明らかなように発生品301を装置51に完全に挿入した際に換気孔317が装置51の外側に配置することが可能になる。装置の外側に換気孔を配置することによって加熱されていない空気が装置51の外側から換気孔を介して発生品301に入ることができ、発生品301の冷却を補助する。
【0088】
冷却セグメント307は、発生品が装置51内に完全に挿入された際に冷却セグメント307の一部が装置51内に挿入される長さになっている。冷却セグメント307の長さにより発生品301が装置内に挿入された際に装置51のヒーター装置と感熱フィルター装置309との間に物理的隙間を供する第1の機能と装置51の外側に配置され且つ換気孔317を冷却セグメント内に配置することができる第2の機能が提供される。図6および7からわかるように冷却部材307の大半は装置51内に位置している。しかしながら、装置51から外に延びている冷却部材307の部分がある。この装置51から外に延びている冷却部材307の部分に換気孔317が位置する。
【0089】
ここでより詳しく図5~7を参照するとエアロゾル発生材を加熱し、その少なくとも1つの成分を揮発させて、典型的には吸引可能なエアロゾルを形成するように構成された装置51の一例が示されている。装置51はエアロゾル発生材を燃やさずに加熱して化合物を放出させる加熱装置である。
【0090】
第1端部53はここでは装置51の吸い口または近位端53と言う場合もあり、第2端部55はここでは装置51の遠位端と言う場合もある。装置51は装置51が全体としてユーザーの要求に応じてオンオフができるようにするオン/オフボタン57を有する。
【0091】
装置51は装置51の種々の内部部品を位置決めし、保護するためのハウジング59を含む。図示の例ではハウジング59は装置51の周囲を囲み、一般的に装置51の「上部」を画定する上部パネル17で上部が、そして一般的に装置51の「底部」を画定する底部パネル19で底部が塞がれた一体スリーブ11を含む。別の例ではハウジングは、上部パネル17および底部パネル19に加えて前部パネル、後部パネルおよび一組の対向する側部パネルを含む。
【0092】
上部パネル17および/または底部パネル19は、装置51の内部に簡単に触れられるように一体スリーブ11に取り外し可能に固定されてもよく、あるいは例えばユーザーが装置51の内部に触れることができないように一体スリーブ11に「永久的に」 固定されてもよい。一例ではパネル17および19は例えば、射出成形によって形成されたガラス繊維入りナイロンを含むプラスチック材から作製され、一体スリーブ11はアルミニウムから作製されるが、他の材料および他の製造方法を使用してもよい。
【0093】
装置51の上部パネル17は装置51の吸い口端53に開口部20を有し、これを介して使用時ユーザーによって管状基材を含む発生品101、301が装置51内に挿入され、装置51から取り除かれる。
【0094】
ハウジング59はその中に位置するまたは固定されたヒーター装置23、制御回路25および電源27を有する。この例ではヒーター装置23、制御回路25および電源27は横方向に隣接しており(即ち、端部から見て隣接しており)、制御回路25はヒーター装置23と電源27の間に位置しているが、他の配置も可能である。
【0095】
制御回路25は、以下にさらに説明するように発生品101、301内の管状基材の加熱を制御するために構成され、配置されたマイクロプロセッサ装置などのコントローラを含んでもよい。
【0096】
電源27は、例えばバッテリーであってもよく、これは充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例としては、例えばリチウムイオンバッテリー、ニッケルバッテリー(ニッケル-カドミウムバッテリーなどの)、アルカリバッテリーなどが挙げられる。バッテリー27は、必要時にそして制御回路25の制御下で電力を供給するためにヒーター装置23に電気的に接続され、発生品の管状基材を加熱する(説明したようにエアロゾル形成組成物を燃やさずに揮発させるために)。
【0097】
ヒーター装置23の横に隣接するように電源27を配置することの利点は、物理的に大きな電源25を装置51全体として過度に長くせずに使用できるということである。当然のことながら一般に物理的に大きな電源25は大きな容量を有し(即ち、アンペア-時間などで測定される場合がよくある供給可能な総電気エネルギー)、装置51のバッテリー寿命を長くすることができる。
【0098】
1つの例ではヒーター装置23は、中空の内部加熱チェンバー29を有するほぼ中空の円筒状管の形状であり、そのチェンバー内に管状基材を含む発生品101、301が使用時の加熱のために挿入される。図示の集合体では管状基材103、303の中空管内にヒーター装置の部品は挿入されない。(勿論、管状基材103、303の中空管内に挿入される装置51の部品は無い。)ヒーター装置23の異なる構成も可能である。例えば、ヒーター装置23は単独の加熱エレメントを含んでもよく、ヒーター装置23の長手方向軸に沿って位置合わせされた複数の加熱エレメントで形成してもよい。該または各加熱エレメントは環状または管状であってもよく、あるいはその円周で少なくとも部分的に環状または部分的に管状であってもよい。一例では該または各加熱エレメントは薄膜ヒーターであってもよい。別の例では該または各加熱エレメントはセラミック材で作製してもよい。好適なセラミック材の例としてはアルミナおよび窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素セラミックが挙げられ、これらは積層し、焼結させてもよい。例えば誘導加熱、赤外線照射によって加熱する赤外線ヒーターエレメント、または例えば抵抗性電気巻線によって形成された抵抗加熱エレメントを含む他の加熱装置も可能である。別の例では(図示していない)、ヒーターは管状基材103、303の中空管内に挿入されるブレードまたはロッドの形体であってもよい。
【0099】
1つの特定の例ではヒーター装置23はステンレススチール支持管によって支持され、ポリイミド加熱エレメントを含む。ヒーター装置23は、発生品101、301が装置51に挿入されると、発生品101、301の管状基材103、303の実質的全体がヒーター装置23内に挿入されるような寸法になっている。
【0100】
該または各加熱エレメントは、管状基材の選択された領域が必要に応じて独立して、例えば順番に(上述したように経時的に)または一緒に(同時に)加熱されるように構成してもよい。
【0101】
この例のヒーター装置23はその長さの少なくとも一部に沿って断熱材31に囲まれている。断熱材31はヒーター装置23から装置51の外部へ通過する熱を減少させることに役立つ。これは一般に熱損失が減少するのでヒーター装置23に必要とされる電力を抑えることに役立つ。また断熱材31は、ヒーター装置23の作動中装置51の外部を冷やしておくことに役立つ。1つの例では断熱材31は壁が二重になっているスリーブであってもよく、これはスリーブの2つの壁の間に低圧力領域を供する。即ち、断熱材31は、例えば「真空」管、即ち伝導および/または対流による熱移動を最小限にするために少なくとも部分的に脱気された管であってもよい。壁が二重になっているスリーブに加えてまたは代わりに例えばあらゆる好適な発泡型材料を含む断熱材を使用することを含む絶縁材31の他の構成も可能である。
【0102】
ハウジング59は加熱装置23だけでなく、全ての内部部品を支持するための種々の内部支持構造体37をさらに含んでもよい。
【0103】
装置51は、開口部20の周囲を延び、そこからハウジング59の内部に突出したカラー33と、カラー33と真空スリーブ31の一端の間に位置するほぼ管状のチェンバー35とをさらに含む。チェンバー35は冷却構造体35fをさらに含み、この例ではこの冷却構造体はチェンバー35の外面に沿って間隔をおいて配され、それぞれチェンバー35の外面の周囲に配置されている複数の冷却フィン35fを含む。発生品101、301が装置51に中空のチェンバー35の長さの少なくとも一部に亘って挿入された際に中空のチェンバー35と発生品101、301の間に空隙が生じる。空隙36は冷却セグメント307の少なくとも一部を覆って発生品101、301の円周全てに存在する。
【0104】
カラー33は、開口部20の周囲を円周方向に配置され、開口部20内に突出した複数の突起部60を含む。突起部60は、突起60のところで開口部の開口幅が開口部60がない位置での開口部20の開口幅より小さくなるように開口部20内でスペースを取る。突起部60は装置内に挿入された発生品101、301と係合して装置51内での発生品の固定を補助するように構成されている。隣接する対の突起部60と発生品101、301によって画定された開口空間(図示せず)は発生品101、301の外側の周囲で換気経路を形成する。これらの換気経路は発生品から逃れた熱い蒸気が装置51から出られるようにし、そして冷たい空気が空隙36内の発生品101、301の周囲で装置51内に流れることができるようにする。
【0105】
動作している間、発生品101、301は、図5~7に示すように装置51の挿入ポイント20内に取り外し可能に挿入される。特に図6を参照すると1つの例では発生品101、301の遠位端115、315の方に位置する管状基材103、303は、全体的に装置51のヒーター装置23内に収容される。発生品101、301の近位端113、313は、装置51から延び、ユーザーのためのマウスピース集合体として機能する。
【0106】
動作している間、ヒーター装置23は、発生品101、301を加熱し、管状基材103、303からエアロゾル形成組成物の少なくとも1つの成分を揮発させる。
【0107】
管状基材103、303からの加熱されて揮発した成分用の主流路は、発生品101、301を通る軸方向である。使用時に管状基材103、303の中空管の内側に装置51の部品が配されない図5~7に示した例のようないくつかの例では管状基材から加熱されて揮発した成分は中空の管を流れる。加熱されて揮発した成分は、次に冷却セグメント107、307の内側チェンバーを通り、フィルターセグメント109、309を通り、吸い口端セグメント111、313を通ってユーザーへと流れる。
【0108】
1つの例では管状基材から発せられた加熱されて揮発した成分の温度は、60℃~250℃であり、これはユーザーにとって受け入れられる吸引温度より高い。加熱されて揮発した成分が冷却セグメント107、307を通って移動する際、その成分は冷めて、一部の揮発した成分は冷却セグメント107、307の内面で液化する。
【0109】
図3および4に示す発生品301の例では冷気が冷却セグメント307に形成された換気孔317を介して冷却セグメント307に入ることができる。この冷気は加熱されて揮発した成分と混ざり、加熱されて揮発した成分をさらに冷却することになる。
【0110】
エアロゾル形成材料
【0111】
非晶質固体は、約0.015mm~約10mmの厚さを有する場合がある。好適には厚さは約0.05mm、0.1mmまたは0.15mm~約0.5mmまたは0.3mmの範囲内であってもよい。本発明者は0.2mmの厚さの材料が特に適しているということを発見した。非晶質固体は2つ以上の層を含んでもよく、本明細書で説明した厚さはこれらの層の合計の厚さを意味する。
【0112】
本発明者はエアロゾル形成非晶質固体が厚すぎると、加熱効率が損なわれるということを確認している。これは使用時の電力消費に悪影響を与える。逆にエアロゾル形成非晶質固体が薄すぎると、製造および使用の際のエアロゾルの形成を含む取り扱いが困難になり、非常に薄い材料はキャストしにくく、そして壊れやすくなる。
【0113】
本発明者は本明細書で規定した非晶質固体の厚さはこれらの矛盾する事柄を踏まえて材料特性を最適化しているということを確認している。
【0114】
本明細書で規定した厚さは材料の平均厚さである。場合によっては非晶質固体の厚さは25%、20%、15%、10%、5%または1%以内で変化してもよい。
【0115】
場合によっては非晶質固体は1~60wt%のゲル化剤を含んでもよく、これらの重量は乾式重量基準で計算される。
【0116】
好適には非晶質固体は、約1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約60wt%、50wt%、45wt%、40wt%、35wt%、30wt%または27wt%のゲル化剤を含んでもよい(全て乾式重量基準で計算して)。例えば、非晶質固体は、1~50wt%、5~40wt%、10~30wt%または15~27wt%のゲル化剤を含んでもよい。
【0117】
好適には非晶質固体は、約1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約50wt%、45wt%、40wt%、35wt%、30wt%または27wt%のゲル化剤(全て乾式重量基準で計算して)を含んでもよい。例えば、非晶質固体は、5~40wt%、10~30wt%または15~27wt%のゲル化剤を含んでもよい。
【0118】
一部の実施態様ではゲル化剤は親水コロイドを含む。一部の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸塩類、ペクチン類、スターチ(および派生物)、セルロース類(および派生物)、ゴム、シリカまたはシリコーン化合物、クレー、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の化合物を含む。例えば一部の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸塩類、ペクチン類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プルラン、キサンタンガム、グァーガム、カラギーナン、アガロース、アカシアゴム、ヒュームドシリカ、PDMS、ケイ酸ナトリウム、カオリンおよびポリビニルアルコールの内の1つ以上を含む。場合によってはゲル化剤はアルギン酸塩および/またはペクチンを含み、非晶質固体の形成の際に硬化剤(カルシウム源などの)と混ぜてもよい。場合によっては非晶質固体はカルシウムで架橋したアルギン酸塩および/またはカルシウムで架橋したペクチンを含んでもよい。
【0119】
一部の実施態様ではゲル化剤は、アルギン酸塩を含み、アルギン酸塩は、非晶質固体のの10~30wt%の量(乾式重量基準で計算して)で非晶質固体に含まれる。一部の実施態様ではアルギン酸塩は非晶質固体に含まれる唯一のゲル化剤である。他の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸塩と、少なくとも1つのペクチンなどのさらなるゲル化剤を含む。
【0120】
一部の実施態様では非晶質固体はカラギーナンを含むゲル化剤を含んでもよい。
【0121】
好適には非晶質固体は約5wt%、10wt%、15wt%または20wt%~約80wt%、70wt%、60wt%、55wt%、50wt%、45wt%、40wt%または35wt%(全て乾式重量基準で計算して)のエアロゾル発生剤を含んでもよい。エアロゾル発生剤は可塑剤として作用してもよい。例えば、非晶質固体は、5~60wt%、10~50wt%または20~40wt%のエアロゾル発生剤を含んでもよい。場合によってはエアロゾル発生剤は、エリトリトール、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン、ソルビトールおよびキシリトールから選択される1つ以上の化合物を含む。場合によってはエアロゾル発生剤はグリセリンを含む、実質的にグリセリンからなるまたはグリセリンからなる。本発明者は可塑剤の含有量が多すぎると、非晶質固体が水を吸収し、使用の際に適した消費体験を生じさせない材料になってしまうということを確認している。本発明者は、可塑剤の含有量が少なすぎると、非晶質固体は脆弱になり、壊れやすくなるということを確認している。本明細書で特定した量の可塑剤は非晶質固体に可撓性を供し、非晶質固体シートがエアロゾル発生品の製造に有用なボビンに巻き付けることができるようになる。
【0122】
場合によっては非晶質固体は風味料を含んでもよい。好適には非晶質固体は、約60wt%以下、50wt%以下、40wt%以下、30wt%以下、20wt%以下、10wt%以下または5wt%以下の風味料を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は少なくとも約0.5wt%、1wt%、2wt%、5wt%、10wt%、20wt%または30wt%の風味料を含んでもよい(全て乾式重量基準で計算して)。例えば、非晶質固体は0.1~60wt%、1~60wt%、5~60wt%、10~60wt%、20~50wt%または30~40wt%の風味料を含んでもよい。場合によっては風味料(含まれるのであれば)は、メンソールを含む、メンソールから実質的になるまたはメンソールからなる。場合によっては非晶質固体は風味料を含まない。
【0123】
場合によっては非晶質固体は追加で活性物質を含む。例えば場合によっては非晶質固体は追加でタバコ材および/またはニコチンを含む。例えば、非晶質固体は、追加で粉末化タバコおよび/またはニコチンおよび/またはタバコ抽出物を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は約1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約70wt%、50wt%、45wt%または40wt%(乾式重量基準で計算して)の活性物質を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は、約1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約70wt%、60wt%、50wt%、45wt%または40wt%(乾式重量基準で計算して)のタバコ材および/またはニコチンを含んでもよい。
【0124】
場合によっては非晶質固体はタバコ抽出物などの活性物質を含む。場合によっては非晶質固体は5~60wt%(乾式重量基準で計算して)のタバコ抽出物を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は約5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約55wt%、50wt%、45wt%または40wt%(乾式重量基準で計算して)のタバコ抽出物を含んでもよい。例えば、非晶質固体は5~60wt%、10~55wt%または25~55wt%のタバコ抽出物を含んでもよい。タバコ抽出物は、非晶質固体が1wt%、1.5wt%、2wt%または2.5wt%~約6wt%、5wt%、4.5wt%または4wt%(乾式重量基準で計算して)のニコチンを含むような濃度でニコチンを含んでもよい。場合によってはタバコ抽出物から得られるもの以外の非晶質固体のニコチンは存在しない。
【0125】
一部の実施態様では非晶質固体はタバコ材を含まないが、ニコチンを含む。そのような一部の場合において、非晶質固体は、約1wt%、2wt%、3wt%または4wt%~約20wt%、15wt%、10wt%または5wt%(乾式重量基準で計算して)のニコチンを含んでもよい。例えば、非晶質固体は1~20wt%または2~5wt%のニコチンを含んでもよい。
【0126】
場合によっては活性物質および/または風味料の総含有量は少なくとも約0.1wt%、1wt%、5wt%、10wt%、20wt%、25wt%または30wt%であってもよい。場合によっては活性物質および/または風味料の総含有量は、約80wt%未満、70wt%未満、60wt%未満、50wt%未満または40wt%未満(全て乾式重量基準で計算して)であってもよい。
【0127】
場合によってはタバコ材、ニコチンおよび風味料の総含有量は、少なくとも約0.1wt%、1wt%、5wt%、10wt%、20wt%、25wt%または30wt%であってもよい。場合によってはタバコ材、ニコチンおよび風味料の総含有量は、約80wt%未満、70wt%未満、60wt%未満、50wt%未満または40wt%未満(全て乾式重量基準で計算して)であってもよい。
【0128】
一部の実施態様では非晶質固体はヒドロゲルであり、湿式重量基準で計算して約20wt%未満の水を含む。場合によってはヒドロゲルは湿式重量基準(WWB)で計算して約15wt%未満、12wt%未満または10wt%未満の水を含んでもよい。場合によってはヒドロゲルは少なくとも約1wt%、2wt%または少なくとも約5wt%の水を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は、湿式重量基準で計算して約1wt%~約15wt%または約5wt%~約15wt%の水を含む。好適には非晶質固体の水分量は、約5wt%、7wt%または9wt%~約15wt%、13wt%または11wt%(WWB)、最も好適には約10wt%である。
【0129】
非晶質固体はゲルから作製されてもよく、ゲルは追加で0.1~50wt%で含有される溶媒を含んでもよい。しかしながら、本発明者は、風味料が可溶な溶媒を含有させることでゲルの安定性が減少し、風味料がゲルから結晶化して出てしまうということを確認している。従って、場合によってはゲルは風味料が溶ける溶媒を含まない。
【0130】
一部の実施態様では非晶質固体は、60wt%未満、例えば1wt%~60wt%または5wt%~50wt%または5wt%~30wt%または10wt%~20wt%の充填材を含む。
【0131】
他の実施態様では非晶質固体は20wt%未満、好適には10wt%未満または5wt%未満の充填材を含む。場合によっては非晶質固体は1wt%未満の充填材を含み、場合によっては充填材を含まない。
【0132】
充填材が含まれる場合、炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびモレキュラーシーブなどの好適な無機吸着剤の内の1つ以上 を含んでもよい。充填材はウッドパルプ、セルロースおよびセルロース派生物などの1つ以上の有機充填材を含んでもよい。特定の場合には非晶質固体はチョークなどの炭酸カルシウムを含む。
【0133】
充填材を含む特定の実施態様では充填材は繊維性である。例えば、充填材はウッドパルプ、麻繊維、セルロースまたはセルロース派生物などの繊維性充填材であってもよい。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、非晶質固体に繊維性充填材を含有させることは材料の引張強度を増加させることが確認されている。これは非晶質固体シートがエアロゾル化可能な材料からなるロッドを囲む場合などの非晶質固体がシートとして提供される例で特に有利である。
【0134】
一部の実施態様では非晶質固体はタバコ繊維を含まない。特定の実施態様では非晶質固体は繊維材を含まない。
【0135】
一部の実施態様ではエアロゾル発生材はタバコ繊維を含まない。特定の実施態様ではエアロゾル発生材は繊維材を含まない。
【0136】
一部の実施態様ではエアロゾル発生基材はタバコ繊維を含まない。特定の実施態様ではエアロゾル発生基材は繊維材を含まない。
【0137】
一部の実施態様ではエアロゾル発生品はタバコ繊維を含まない。特定の実施態様ではエアロゾル発生品は繊維材を含まない。
【0138】
場合によっては非晶質固体はゲル化剤、エアロゾル発生剤、1つ以上の活性物質(タバコ材および/またはニコチン源などの)、水および選択的に風味料から実質的になるまたはこれらからなる。
【0139】
非晶質固体は30g/m~120g/mなどのあらゆる好適な面密度を有してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は約30~70g/mまたは約40~60g/mの面密度を有してもよい。一部の実施態様では非晶質固体は約80~120g/mまたは約70~110g/mまたは特に約90~110g/mの面密度を有してもよい。
【0140】
一部の例ではシート状の非晶質固体は、約200N/m~約900N/mの引張強度を有してもよい。非晶質固体が充填材を含まないなどの一部の例では、非晶質固体は200N/m~400N/mまたは200N/m~300N/mまたは約250N/mの引張強度を有してもよい。そのような実施態様は非晶質固体が刻まれ、第2エアロゾル形成組成物を形成している場合に特に有用である。非晶質固体が充填材を含むなどの一部の例では、非晶質固体は600N/m~900N/mまたは700N/m~900N/mまたは約800N/mの引張強度を有してもよい。そのような引張強度は、非晶質固体が環状基材の一部として(第1および/または第2エアロゾル形成組成物に)配置される場合に特に好適である。
【0141】
管状基材の製造方法
【0142】
基材は、(a)第1エアロゾル形成組成物またはその前駆体の成分を含むスラリーを形成することと、(b)スラリーをシート状キャリアーに塗布することと、(c)スラリーを硬化させてゲルを形成することと、(d)乾燥させて非晶質固体を形成することと、(e)丸めて管を形成することとを含む方法によって製造してもよい。
【0143】
工程(b)のスラリーの層を形成することは、例えばスラリーをスプレー、キャスティングまたは押し出しすることを含んでもよい。場合によっては層はスラリーを電気スプレーすることによって形成される。場合によっては層はスリーブをキャスティングすることによって形成される。
【0144】
場合によっては工程(b)および/または(c)および/または(d)は、少なくとも部分的に同時に行ってもよい(例えば、電気スプレーしている間に)。場合によってはこれらの工程は順番に行ってもよい。
【0145】
一部の例ではスラリーは46.5℃で約10~約20Pa・s、例えば46.5℃で約14~16Pa・sの粘度を有する。
【0146】
ゲルを硬化させる工程(c)はスラリーに硬化剤を添加することを含んでもよい。例えば、スラリーはゲル前駆体としてアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムまたはアルギン酸アンモニウムとカルシウム源(塩化カルシウムなどの)を含み、アルギン酸カルシウムゲルを形成するためにスラリーに添加される硬化剤を含んでもよい。
【0147】
カルシウム源などの硬化剤の合計量は、0.5~5wt%(乾式重量基準で計算して)であってもよい。本発明者は硬化剤の添加量が少なすぎると、得られるゲルがゲル成分を安定させられず、結果としてこれらの成分がゲルからこぼれ落ちてしまうということを発見した。本発明者は硬化剤の添加量が多すぎると、得られるゲルがべたつき、取り扱いにくくなるということを発見した。
【0148】
アルギン酸塩はアルギン酸の誘導体であり、典型的には高分子ポリマー(10~600kDa)である。アルギン酸はβ-D-マンヌロン酸(M)とα-L-グルロン酸(G)単位(ブロック)が(1,4)-グリコシド結合によって結合して多糖類を形成する共重合体である。カルシウムの添加によりアルギン酸塩が架橋し、ゲルを形成する。本発明者はGモノマー含有量の多いアルギン酸塩はカルシウム源を加えることで容易にゲルを形成することを発見した。場合によっては従って、ゲル前駆体は、アルギン酸共重合体に少なくとも40%、45%、50%、55%、60%または70%のモノマー単位がα-L-グルロン酸(G)単位であるアルギン酸塩を含んでもよい。
【0149】
特にある場合には 第1および第2エアロゾル形成組成物は両方とも非晶質固体を含む。一方は風味剤を含み、他方はタバコ材を含む。選択的に一方は風味剤を含み、タバコ材もニコチンも含まず、第2組成物はタバコ材を含み、風味剤を含まない。
【0150】
スラリー自体も本発明の一部を形成してもよい。場合によってはスラリー溶媒は実質的に水からなってもよくあるいは水からなってもよい。場合によってはスラリーは約50wt%、60wt%、70wt%、80wt%または90wt%の溶媒(WWB)を含んでもよい。
【0151】
溶媒が水からなる場合、スラリーの乾式重量での含有量は非晶質固体の乾式重量での含有量と一致する。従って、固体組成物に関する本明細書中での考察は、明らかに本発明のスラリーの態様と組み合わせて開示されているものとする。
【0152】
例示的実施態様
【0153】
一部の実施態様では非晶質固体はメンソールを含む。
【0154】
メンソール含有非晶質固体を含む特定の実施態様は刻まれたシートとしてエアロゾル発生品/集合体に含有させるのが特に好適である。そのような実施態様では非晶質固体は、約20wt%~約40wt%または約25wt%~35wt%の量のゲル化剤(好ましくはアルギン酸塩を含む、より好ましくはアルギン酸塩とペクチンとを含む)、約35wt%~約60wt%または約40wt%~55wt%の量のメンソール、約10wt%~約30wt%または約15wt%~約25wt%(DWB)の量のエアロゾル発生剤(好ましくはグリセリンを含む)といった組成(DWB)を有する。
【0155】
1つの実施態様では非晶質固体は約32~33wt%のアルギン酸塩/ペクチンゲル化剤ブレンド、約47~48wt%の風味剤および約19~20wt%グリセリンエアロゾル発生剤(DWB)を含む。
【0156】
これらの実施態様の非晶質固体は、あらゆる好適な水分量を有してもよい。例えば、非晶質固体は約2wt%~約10wt%、または約5wt%~約8wt%または約6wt%の水分量を有してもよい。
【0157】
上記のようにこれらの実施態様の非晶質固体はエアロゾル発生品/集合体に刻まれたシートとして(即ち、第2エアロゾル形成組成物内に)含有されてもよい。刻まれたシートは発生品/集合体に刻みタバコとブレンドして供されてもよい。これとは別に 非晶質固体は刻まれていないシートとして(第1または第2エアロゾル形成組成物内に)供されてもよい。好適には刻まれたまたは刻まれていないシートは、約0.015mm~約1mm、好ましくは約0.02mm~約0.07mmの厚さを有する。
【0158】
メンソール含有非晶質固体の特定の実施態様は、シート(即ち、管状基材の一部として第1または第2エアロゾル形成組成物に)、例えばエアロゾル化可能な材料(例えば、タバコなどの第2エアロゾル形成組成物)のロッドを囲むシートとしてエアロゾル発生品/集合体に含有させるのが特に好適である。これらの実施態様では非晶質固体は、約5wt%~約40wt%または約10wt%~30wt%の量のゲル化剤(好ましくはアルギン酸塩を含む、より好ましくはアルギン酸塩とペクチンとを含む)、約10wt%~約50wt%または約15wt%~40wt%の量のメンソール、約5wt%~約40wt%または約10wt%~約35wt%の量のエアロゾル発生剤(好ましくはグリセリンを含む)、60wt%以下、例えば5wt%~20wt%または約40wt%~60wt%(DWB)の量の任意の充填材といった組成(DWB)を有する。
【0159】
これらの実施態様の内の1つでは非晶質固体は約11wt%のアルギン酸塩/ペクチンゲル化剤ブレンドと、約56wt%のウッドパルプ充填材と、約18%のメンソール風味剤と、約15wt%のグリセリン(DWB)とを含む。
【0160】
これら実施態様の別例では非晶質固体は約22wt%のアルギン酸塩/ペクチンゲル化剤ブレンドと、約12wt%のウッドパルプ充填材と、約36wt%のメンソール風味剤と、約30wt%のグリセリン(DWB)とを含む。
【0161】
上記のようにこれら実施態様の非晶質固体は、シート(管状基材の一部であってもよい)として含有されてもよい。1つの実施態様ではシートは紙を含むキャリアー上に設けられる。1つの実施態様ではシートは金属箔、好適にはアルミニウム金属箔を含むキャリアー上に設けられる。この実施態様では非晶質固体は金属箔と当接する。
【0162】
1つの実施態様ではシートはシートの上下面に取り付けられた層(好ましくは紙を含む)を有する積層体材料の一部を形成する。好適には非晶質固体のシートは約0.015mm~約1mmの厚さを有する。
【0163】
一部の実施態様では非晶質固体はメンソールを含まない風味剤を含む。これらの実施態様では非晶質固体は、約5wt%~約40wt%または約10wt%~35wt%または約20wt%~約35wt%の量のゲル化剤(好ましくはアルギン酸塩を含む)、約0.1wt%~約40wt、約1wt%~約30wt%または約1wt%~約20wt%または約5wt%~約20wt%の量の風味剤、約15wt%~約75wt%または約30wt%~約70wt%または約50wt%~約65wt%の量のエアロゾル発生剤(好ましくはグリセリンを含む)、約60wt%未満または約20wt%未満または約10wt%未満または約5wt%の量の任意の充填材(好適にはウッドパルプ)(好ましくは非晶質固体は充填材を含まない)といった組成(DWB)を有する。
【0164】
これらの実施態様の内の1つでは非晶質固体は約27wt%のアルギン酸塩ゲル化剤と、約14wt%の風味剤と、約57wt%のグリセリンエアロゾル発生剤(DWB)とを含む。
【0165】
これら実施態様の別例では非晶質固体は、約29wt%のアルギン酸塩ゲル化剤と、約9wt%の風味剤と、約60wt%のグリセリン(DWB)とを含む。
【0166】
これらの実施態様の非晶質固体は、任意に刻みタバコとブレンドされる刻まれたシート(即ち第1および/または第2エアロゾル形成組成物の一部として)としてエアロゾル発生品/集合体に含有させてもよい。これとは別にこれらの実施態様の非晶質固体は、エアロゾル化可能な材料からなるロッド(例えば、タバコなどの第2エアロゾル形成組成物)を囲むシート(管状基材の一部として)などのシートとしてエアロゾル発生品/集合体に(第1および第2エアロゾル形成組成物内に)含有させてもよい。
【0167】
一部の実施態様では非晶質固体は、タバコ抽出物を含む。これらの実施態様では非晶質固体は、約5wt%~約40wt%または約10wt%~30wt%または約15wt%~約25wt%の量のゲル化剤(好ましくはアルギン酸塩を含む)、約30wt%~約60wtまたは約40wt%~55wt%または約45wt%~約 50wt%の量のタバコ抽出物、約10wt%~約50wt%または約20wt%~約40wt%または約25wt%~約35wt%(DWB)の量のエアロゾル発生剤(好ましくはグリセリンを含む)といった組成(DWB)を有する。
【0168】
1つの実施態様では非晶質固体は約20wt%のアルギン酸塩ゲル化剤と、約48wt%のヴァージニアタバコ抽出物と、約32wt%のグリセリン(DWB)とを含む。
【0169】
これらの実施態様の非晶質固体は、あらゆる好適な水分量を有してもよい。例えば、非晶質固体は約5wt%~約15wt%、または約7wt%~約13wt%、または約10wt%の水分量を有してもよい。
【0170】
これらの実施態様の非晶質固体は、任意に刻みタバコとブレンドされる刻まれたシート(即ち第1および/または第2エアロゾル形成組成物)としてエアロゾル発生品/集合体に含有させてもよい。これとは別にこれらの実施態様の非晶質固体は、エアロゾル化可能な材料からなるロッド(例えば、タバコなどの第2エアロゾル形成組成物)を囲むシート(管状基材)などのシートとしてエアロゾル発生品/集合体に(即ち、第1および第2エアロゾル形成組成物内に)含有させてもよい。好適にはこれらの実施態様のいずれにおいても 非晶質固体は、約50μm~約200μmまたは約50μm~約100μm、または約60μm~約90μm、好適には約 77μmの厚さを有する。
【0171】
この非晶質固体を形成するスラリーも本発明の一部を形成してもよい。場合によってはスラリーは約5~1200Paの弾性係数(貯蔵弾性率ともいう)を有してもよく、場合によってはスラリーは約5~600Paの粘性係数(損失係数ともいう)を有してもよい。
【0172】
一部の例ではスラリーは46.5℃で約10~約20Pa・s、例えば46.5℃で約14~16Pa・sの粘度を有する。
【0173】
定義
【0174】
本発明で使用する活性物質は生理反応を達成するまたは高めることを意図した材料である生理的に活性な材料である。活性物質は、例えば栄養補助食品、向知性薬、向精神薬から選択されてもよい。活性物質は自然に発生したものまたは合成で得られたものであってもよい。活性物質は、例えばニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6またはB12またはCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、またはこれらの成分、派生物または混合物を含んでもよい。活性物質はタバコ、大麻または他の植物の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。
【0175】
一部の実施態様では活性物質はニコチンを含む。
【0176】
一部の実施態様では活性物質はカフェイン、メラトニンまたはビタミンB12を含む。
【0177】
ここで説明するように活性物質は1つ以上のカンナビノイドまたはテルペンなどの大麻の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。
【0178】
カンナビノイドは脳内の神経伝達物質放出を抑える細胞内のカンナビノイド受容体(即ち、CB1およびCB2)に作用する天然または合成化合物群である。カンナビノイドは大麻などの植物から自然発生したもの(植物性カンナビノイド)または動物から自然発生したもの(動物性カンナビノイド)または人工的に製造したもの(合成カンナビノイド)であってもよい。大麻種は少なくとも85の異なる植物性カンナビノイドを示し、カンナビゲロール類、カンナビクロメン類、カンナビジオール類、テトラヒドロカンナビノール類、カンナビノール類およびカンナビノジオール類およびその他のカンナビノイド類を含むサブクラスに分けられる。アサ属に見られるカンナビノイド類は、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(CBNV)、カンナビノトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)およびテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)を含むが、これらに限定されない。
【0179】
ここで説明するように, 活性物質は植物またはその成分、派生物または抽出物を含むまたはそれらから派生したものであってもよい。ここで言う「植物」なる用語は 抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種、花、果実、花粉、殻、さやなどの植物から派生したあらゆる材料を含むがこれらに限定されない。これとは別に 材料は合成して得られる植物に天然に存在する活性化合物を含んでもよい。材料 液体、気体、固体、粉体、塵、粉砕された粒子、粒、ペレット、小片、ストリップ、シートなどの形体であってもよい。植物の例としては、タバコ、ユーカリ、トウシミキ、オオアサ、ココア、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カミツレ、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、リコリス(甘草)、抹茶、マテ茶、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、チョウジ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、月桂樹の葉、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモン果皮、ミント、ビャクシン、ニワトコの花、バニラ、ヒメコウジ、シオガマギク、クルクマ、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、橙花、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、桑、朝鮮人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブまたはこれらのあらゆる組み合わせが挙げられる。ミントは以下のミント種(ハッカ、モロッコミント、エジプトミント、ペパーミント、オーデコロンミント、キャンディミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、パイナップルミント、ペニーロイヤルミント、カーリーミントおよびマルバハッカ)から選択されてもよい。
【0180】
一部の実施態様では植物はユーカリ、トウシミキ、ココアおよび麻から選択される。
【0181】
一部の実施態様では植物はルイボスおよびウイキョウから選択される。
【0182】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味、匂いまたは他の体性感覚刺激を生じさせるために使用される。それらは自然発生の香味材料、植物、植物の抽出物、合成によって得られた材料またはそれを組み合わせたもの(例えば、タバコ、大麻、リコリス(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、チョウジ、メイプル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアスパイス、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、レッドベリー、クランベリー、モモ, リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ダイオウ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、桑、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、チャット、ナスワール、キンマ、シーシャ、マツ、ハチミツエキス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、橙花、サクランボ花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、オオアサ、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油。ユーカリ、トウシミキ、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、ビャクシン、ニワトコの花、バジル、ローリエの葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモン果皮、ミント、シオガマギク、クルクマ、シラントロ、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物または息消臭剤などのその他の添加剤を含む。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。それらは、例えば油などの液体、粉などの固体または気体などのあらゆる好適な形体であってもよい。
【0183】
風味料は、好適には1つ以上のミント風味料を含み、好適にはハッカ属のいずれかの種からのハッカ油を含む。風味料は好適にはメンソールを含む、メンソールから実質的になる、またはメンソールからなる。
【0184】
一部の実施態様では風味料はメンソール、スペアミントおよび/またはペパーミントを含む。
【0185】
一部の実施態様では風味料はキュウリ、ブルーベリー、柑橘類および/またはレッドベリーの風味成分を含む。
【0186】
一部の実施態様では風味料はオイゲノールを含む。
【0187】
一部の実施態様では風味料はタバコから抽出された風味成分を含む。
【0188】
一部の実施態様では風味料は大麻から抽出された風味成分を含む。
【0189】
一部の実施態様では風味料は、感覚惹起剤を含んでもよく、これはアロマまたは味覚神経に加えてまたは代わりに通常第5脳神経(三叉神経)の刺激によって化学的に誘発そして認識され、それらは加熱、冷却、ヒリヒリ感、しびれ感を与える薬剤を含んでもよい。好適な熱作用剤は、バニリルエチルエーテルであるが、これに限定されず、好適な冷却剤はオイカリプトール、WS-3であるが、これらに限定されない。
【0190】
本明細書中では「エアロゾル発生剤」なる用語は、エアロゾルの発生を促す薬剤を意味する。エアロゾル発生剤は初期の気化および/または気体の吸引可能な固体および/または液体エアロゾルへの縮合を促すことによってエアロゾルの発生を促進させてもよい。
【0191】
好適なエアロゾル発生剤としては、エリトリトール、ソルビトール、グリセリンおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセリン誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステル、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステルなどのエステル類などの非ポリオールが挙げられるがこれらに限定されない。エアロゾル発生剤は好適にはメンソールを溶解しない組成を有する。エアロゾル発生剤は、好適にはグリセリンを含む、実質的にグリセリンからなるまたはグリセリンからなる。
【0192】
本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語はタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しされたタバコ、タバコ葉柄、再生タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。
【0193】
タバコ材を製するために使用されるタバコは、ヴァージニアおよび/またはバーレーおよび/またはオリエンタルを含む単独グレードまたはブレンド、刻まれたクズまたは葉全体などのあらゆる好適なタバコであってもよい。またタバコ粒子「微粉末」またはダスト、膨張タバコ、葉柄、膨張葉柄および裁断圧延葉柄などの他の処理された葉柄材であってもよい。タバコ材は粉タバコまたは再生タバコ材であってもよい。再生タバコ材はタバコ繊維であってもよく、キャスティング、タバコ抽出物を後で追加するフォードリニア系製紙法または押し出しによって形成してもよい。
【0194】
本明細書中では「揮発性物質」および「エアロゾル化可能な成分」なる用語は、エアロゾル発生剤、風味剤、タバコ風味料およびアロマおよびニコチンを含むがこれらに限定されない吸い込まれるエアロゾルのいずれかの成分を意味する。「非晶質固体由来揮発性物質」および「非晶質固体由来エアロゾル化可能な成分」、「タバコ揮発性物質」などは揮発性物質/エアロゾル化可能な成分が配されるまたは得られるエアロゾル発生品の部材を表す。
【0195】
本明細書中では「ロッド」なる用語は、一般にエアロゾル発生集合体に使用するのに好適な形状である長尺体を意味する。場合によってはロッドは実質的に円筒状である。
【0196】
ここに記載されている重量パーセント(wt%で示される)は、特に明記しない限り乾式重量基準で算出されている。全ての重量比も乾式重量基準で算出されている。乾式重量基準で示される重量は、水以外の抽出物またはスラリーまたは材量の全体を意味し、グリセロールなどのそれ自体は室温および室圧で液体である成分を含んでもよい。逆に言うと、湿式重量基準の重量割合は水を含む全ての成分を意味する。
【0197】
本明細書中では「ヒートプロファイル」、「加熱プロファイル」などは経時的な温度暴露を意味する。従って、「異なる」ヒートプロファイルは、加熱時間、加熱の開始または終了、温度が変えられる時間または割合で変わる。また「異なる」ヒートプロファイルは、例えば採用される最大および最小温度で変わり、またはあらゆる時点での温度が異なってもよい。
【0198】
誤解を避けるために明細書で「含む(comprises)」が本発明または本発明の特徴の定義に使用される場合、本発明または特徴が「含む(comprises)」の代わりに「から実質的になる(consists essentially of)」または「からなる(consists of)」を使用して定義することができる実施態様も開示される。特定の特徴「を含む」材料といった場合、それはそれらの特徴がその材料に含有される、含まれるまたは保持されるということを意味する。
【0199】
上記の実施態様は本発明の説明に役立つ実例として理解されたい。当然のことながら任意の1つの実施態様について説明したあらゆる特徴は単独または説明された他の特徴と組み合わせて使用してもよく、他の実施態様のいずれかの1つ以上の特徴または他の実施態様のいずれかのあらゆる組み合わせと組み合わせて使用してもよい。さらに上記で説明されていない同等物および修飾物も添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲を逸脱することなく採用することも可能である。
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