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特許7291787ローブ切り替え式と単一源のロストモーション用フィンガーフォロワ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ローブ切り替え式と単一源のロストモーション用フィンガーフォロワ
(51)【国際特許分類】
   F01L 13/00 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
F01L13/00 301V
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021531406
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 US2019065007
(87)【国際公開番号】W WO2020118215
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】62/776,453
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/776,450
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンデル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキ、ジャスティン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フェレイラ、デイビッド エム.
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-061287(JP,A)
【文献】米国特許第05577469(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0275712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/34- 1/356
9/00- 9/40
13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関バルブ機構で使用するためのフィンガーフォロワシステムであって、
旋回端部および運動伝達端部を有するフォロワ本体と、
前記フォロワ本体に対して旋回するように適合されたレバーと、
前記旋回端部と前記運動伝達端部との間に配設された運動受容面を有する運動受容構成要素と、
前記レバーに選択的支持を提供するように構成された可動ラッチを含む調節可能な支持アセンブリであって、前記調節可能な支持アセンブリは、前記フォロワ本体に対して前記ラッチを第1のラッチ位置および第2のラッチ位置に交互に維持するように適合され、また前記調節可能な支持アセンブリは、前記ラッチと協働して前記第1のラッチ位置および前記第2のラッチ位置を画定する作動ピストンをさらに含み、前記作動ピストンは、前記ラッチのピストン受容孔内に延在している、調節可能な支持アセンブリと、を備えるフィンガーフォロワシステム。
【請求項2】
前記作動ピストンは遷移面を有し、前記遷移面は、前記遷移面が前記ラッチによって係合されたとき、前記レバーが前記ラッチを前記第1のラッチ位置に移動させることを可能にする、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項3】
前記調節可能な支持アセンブリが、前記ラッチが前記第1のラッチ位置にあるときに、前記レバーと前記ラッチとの間に係合を提供するように適合されている、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項4】
前記調節可能な支持アセンブリが、前記レバーが前記ラッチと係合していないレバー位置に前記レバーの旋回を許容するように適合されている、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項5】
前記調節可能な支持アセンブリが、前記ラッチが前記第2の位置にあるときに、前記レバーと前記ラッチとの間に係合を提供するように適合されている、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項6】
前記作動ピストンは、前記ラッチが前記第1のラッチ位置にあるときおよび前記ラッチが前記第2のラッチ位置にあるときに前記レバーに支持反力を提供するように適合され、また前記作動ピストンは遷移面を有し、前記遷移面は、前記ラッチが前記第1のラッチ位置と前記第2のラッチ位置との間にあるときに前記ラッチおよび前記作動ピストンの移動を許可するように適合されている、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項7】
前記フォロワ本体が、ガイド孔を含み、前記ラッチが、前記ガイド孔内で移動するように配置されている、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項8】
前記フォロワ本体が、前記作動ピストンと流体連通する作動流体通路を含む、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項9】
前記作動ピストンが、前記ラッチを前記第1のラッチ位置で支持するように適合された第1の作動ピストン表面と、前記ラッチを前記第2のラッチ位置で支持するように適合された第2の作動ピストン表面とを含む、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項10】
前記第1の作動ピストン表面が、前記作動ピストンの軸から第1の距離だけ延在し、前記第2の作動ピストン表面が、前記作動ピストンの前記軸から第2の距離だけ延在する、請求項に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項11】
前記第2の作動ピストン表面が前記ピストン受容孔に対して相補的に成形されている、請求項に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項12】
前記作動ピストンが、前記第1の作動ピストン表面と前記第2の作動ピストン表面との間に遷移面を有し、前記遷移面は、前記作動ピストンが作動したとき、前記ラッチを前記第1のラッチ位置から前記第2のラッチ位置に移動させるように適合されている、請求項に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項13】
前記レバーが、前記ラッチのラッチ表面と係合するように適合されたレバー表面を含み、前記ラッチ表面およびレバー表面の少なくとも一方は、弧状の表面を含む、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項14】
前記レバーが、前記ラッチのラッチ表面と係合するように適合されたレバー表面を含み、前記ラッチ表面および前記レバー表面は、前記ラッチ面とレバー表面が前記レバーのすべての位置において係合しているときは実質的に同様の接触形状を維持するように適合されている、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項15】
前記ラッチが、前記フォロワ本体に対してラッチ運動方向に移動するように適合され、前記ラッチが、前記ラッチ運動方向に対してラッチ表面角度で延在する実質的に平面のラッチ表面を含む、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項16】
前記ラッチが、前記フォロワ本体上のガイド表面に対して移動するように適合され、前記ラッチ表面角度が、前記レバーによって前記ラッチに加えられる負荷力の大部分が前記ガイド面にかかるようなものである、請求項15に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項17】
前記運動受容構成要素が、前記レバーと協働するカムフォロワローラである、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項18】
前記運動受容面が、前記レバー上に一体に形成される、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項19】
前記レバーが、前記フォロワ本体に対して前記レバーの旋回端部の位置を調節することを可能にする偏心取り付け要素によって前記フォロワ本体に結合されている、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項20】
前記レバーを運動源に向かって付勢するためのレバー付勢アセンブリをさらに備える、請求項1に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項21】
前記フォロワ本体に対する前記レバーの移動を制限するための移動制限部をさらに備える、請求項20に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項22】
前記バルブ機構内に油圧ラッシュ調節部をさらに備え、前記油圧ラッシュ調節部は、ラッシュ調節力を有し、前記レバー付勢アセンブリが、前記ラッシュ調節力よりも大きい付勢力を前記レバーに提供する、請求項20に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項23】
前記レバー付勢アセンブリが、前記レバーと前記フォロワ本体との間に配設された少なくとも1つの弾性要素を備える、請求項20に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項24】
前記フォロワ本体上に配設された少なくとも1つのフォロワ本体ばね支持体と、前記レバー上に配設された少なくとも1つのレバーばね支持体とをさらに備え、前記レバー付勢アセンブリは、前記フォロワ本体ばね支持体と前記レバーばね支持体との間に配設された少なくとも1つのそれぞれの弾性要素を含む、請求項20に記載のフィンガーフォロワシステム。
【請求項25】
前記フォロワ本体に対する前記移動制限部の位置が、前記フォロワ本体に対する前記レバーの前記移動の上限の調節を提供するように適合されている、請求項21に記載のフィンガーフォロワシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および優先権の主張
本出願は、2018年12月6日に出願された、切り替え式フィンガーフォロワという名称の米国仮特許出願第62/776,450号の優先権を主張するものである。本出願はさらに、2018年12月6日に出願された、単一源のロストモーション用切り替え式フィンガーフォロワという名称の米国仮出願第62/776,453号の優先権を主張するものである。これらの両仮出願の主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、内燃エンジン内の1つ以上のエンジンバルブを作動させるためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、カムなどの運動源と1つ以上のエンジンバルブとの間の動作関係を変化させるためのシステムおよび方法に関する。そのようなシステムおよび方法は、カム上のローブ間を選択的な切り替え、および/またはエンジンバルブ機構においてロストモーション装置としての動作を提供する、フィンガーフォロワの形態のロッカーアームを含んでいてもよい。
【背景技術】
【0003】
内燃エンジンは、輸送機関およびトラック輸送を含む、多数の用途および業界において遍在的に利用されている。内燃エンジンで使用するバルブ作動システムは、当技術分野でよく知られている。そのようなシステムは、典型的には、バルブ作動運動をバルブ作動運動源(例えば、カム)から1つ以上のエンジンバルブに伝達する1つ以上の介在構成要素を含み、介在構成要素は、バルブ機構を構成する。これらのバルブ作動システムは、主に、エンジンシリンダが燃焼プロセスにより動力を発生させる正動力動作モードを容易にし得る。標準的な燃焼サイクルと関連付けられた吸気バルブおよび排気バルブの作動運動は、典型的に、「主事象」運動と称される。既知のエンジンバルブ作動システムは、早期または後期吸気バルブ閉鎖などの、修正された主事象バルブ運動を提供し得る。主事象運動に加えて、既知のエンジンバルブ作動システムは、内燃エンジンが他のモードで動作すること、もしくは正の電力生成モードの変化を可能にする補助的なバルブ作動運動もしくは事象(例えば、排気ガス再循環(EGR)、早期排気バルブ開放(EEVO)など)を、または内燃エンジンが、基本的に空気圧縮機として、燃料無供給状態で動作して、車両を減速する際に減速力を生じさせるエンジンブレーキを容易にし得る。
【0004】
多くのエンジンシステムでは、バルブ機構はフィンガーフォロワを備えていてもよく、これは本質的に、レバーの一端が負荷、すなわちエンジンバルブに接触している状態で旋回するレバーである。フィンガーフォロワは、典型的には、レバーの両端の間に配設された運動受容構成要素を含み、運動源(カムなど)からバルブ作動運動を受信し、この運動は、次に、レバーの負荷端を介してエンジンバルブに伝達される。
【0005】
上記のフィンガーフォロワ構成要素の既知の変形例には、いわゆる「切り替え式」フィンガーフォロワが含まれ、その例は、米国特許第7,546,822号に記載されており、その主題は、参照により本明細書に組み込まれる。図1に示されるように、フィンガーフォロワは、この例では、油圧ラッシュ調節部(HLA)2を中心に旋回する本体11を備える。本体11はまた、この例では、シャフト17の周りを回転することができ、係止機構40と係合することができる側方フォロワ30を支持する。図2および図3に最もよく示されているように、本体11は、側方フォロワ30の間に位置決めされた中央ローラフォロワ20をさらに支持する。図2および図3にさらに示されるように、係止機構40は、係止バー48が伸長位置に維持され、それによって側方フォロワ30(図2)のタブ38と接触するように維持されるか、または格納位置に維持され、それによってタブ38(図3)との接触を回避するように制御してもよい。係止バー48がタブ38に接触するとき(すなわち、係止されたまたはオン状態にあるとき)、側方フォロワ30は、シャフト17の周りを回転することが防止され、したがって、本体11との堅固な関係に維持される。したがって、側方カムローブ9によって側方フォロワ30に加えられた運動は、本体に伝達され、最終的にはエンジンバルブ3に伝達される。この場合、中央カムローブ8によって提供されるバルブ作動運動は、それが位置合わせされている中央ローラフォロワ20に伝達されない。他方、係止バー48が格納すると(すなわち、係止解除状態またはオフ状態で)、側方フォロワ30は、側方カムローブ9によって加えられた運動がすべて側方フォロワ30によって吸収され、本体11によってエンジンバルブ3に伝達されないように、シャフト17の周りを自由に回転する。この場合、中央カムローブ8によって提供されるバルブ作動運動は、中央ローラフォロワ20に伝達され、それにより、エンジンバルブ3に伝達される。
【0006】
フィンガーフォロワの切り替えは、軽量の自動車用途で最もよく見られる。ただし、高負荷の事象と部分的に係合した切り替え機構による障害のために、これらは重・中型のディーゼルまたは天然ガスエンジンには適用されていない。軽量型の用途でも、はるかに低い負荷で同じように部分係合の問題が発生し、故障が発生することが知られている。図2および図3の例を参照すると、そのような部分係合は、係止バー48がタブ38と部分的にのみ重なる場合、すなわち、図2および図3に示される係合の間の位置で発生する。そのような部分係合が発生すると、係止機構の可動部分間の収縮応力が大幅に増加し、係止機構の損傷および/または故障につながる可能性が増える。
【0007】
従来技術の切り替え式フィンガーフォロワの別の不利な点は、それらを使用するには、それらの作動またはロック構成要素の部分係合を防ぐために、通常、正確なタイミングのための制御を必要とすることである。これにより、特に複数のシリンダエンジン環境では、追加のコストと複雑さが必要になる場合がある。例えば、そのような環境では、制御回路の過渡現象(すなわち、油圧回路における遅れ)の可能性を排除し、フィンガーフォロワの運動に対して構成要素を作動させる正確なタイミングを確保するために、各切り替え式フィンガーフォロワに指定された制御ソレノイドを提供する必要があるかもしれない。
【0008】
フィンガーフォロワの切り替えは、ロストモーションバルブ作動システムに適用できる場合がある。そのようなシステムでは、切り替え式フィンガーフォロワは、カムなどの運動源からの完全なバルブ運動がエンジンバルブに伝達される第1の位置と、完全なバルブ運動の一部のみがエンジンバルブ伝達される第2の位置との間で切り替わる場合がある。本明細書に記載の単一源のロストモーションリフトプロファイルの例は、図5、米国特許第9,347,383号の曲線502に見出すことができ、その教示は、この参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、前述の不利な点のために、従来技術の切り替え式フィンガーフォロワは、ロストモーションバルブ作動システムへの適用性が限られている可能性がある。
【0009】
したがって、従来技術における上述した欠点およびその他に対処するシステムおよび方法を提供することが有利である。
【発明の概要】
【0010】
従来技術における前述の課題に対応して、本開示は、改善された動作特性および改善された性能および耐久性を備えた切り替え式フィンガーフォロワシステムの様々な実施形態を提供する。
【0011】
以前の切り替えフィンガーフォロワに関する上記の困難は、本明細書に開示される様々な実施形態に基づいて克服することができる。本明細書に記載の当技術分野の進歩は、フィンガーフォロワ切り替え機構作動構成要素の部分係合の可能性を排除するという点で特に有利である。関連する利点は、切り替え式フィンガーフォロワ上の運動受容構成要素のロック位置または支持位置の変動を排除していることである。切り替え式フィンガーフォロワ構成は、協働部品と積極的に画定された切り替え機構、ひいては、積極的に画定されたフィンガーフォロワレバー、ひいては、本体に対する運動受容構成要素との間で一貫した接触形状を有している。これにより、より正確で信頼性の高いバルブ運動の操作と制御が可能になる。
【0012】
さらに、本明細書に開示される切り替え式フィンガーフォロワ構成は、切り替え式機構の部分係合、切り替え式機構の起動に敏感ではないので、それらは、複数のシリンダエンジン環境においてより低いコストおよび複雑性で利用することができる。したがって、改良された切り替え式機構とアクチュエータにより、制御構成要素による正確なタイミング取りの必要性がなくなる。例えば、ソレノイドの制御下にある油圧作動式切り替え式機構の場合、開示された実施形態は、各切り替え式機構のための指定された制御されたソレノイドの必要性を排除することができる。むしろ、開示された進歩は、単一のソレノイドが複数のシリンダの切り替え式機構を作動させることを可能にし、それによってシステム全体を単純化し、コストを削減する。
【0013】
さらに、本明細書に記載されている実施形態は、単一のバルブ作動運動源(カムなど)が、一部(または全部)の上昇ができない、1つ以上の低リフト事象、および、カムローブからの多く(または全部)の上昇がエンジンバルブに伝達される1つ以上の高リフト事象を提供する単一源のロストモーションシステムに適用可能であり、その改善に使用することができる。さらに、本明細書に記載の実施形態は、気筒休止を利用するシステムで必要とされる可能性があるように、バルブ運動を完全に空動きとするロストモーションバルブ作動システムに適用可能であり、それらを改善するために使用することができる。
【0014】
本明細書に記載の実施形態は、後期吸気バルブ閉鎖(LIVC)、早期排気バルブ開放(EEVO)、内部排気ガス再循環(IEGR)などの代替バルブ運動を達成するのに特に有利でもよい。
【0015】
本開示の一態様によれば、旋回端部および運動伝達端部を有するフォロワ本体と、フォロワ本体に対して旋回するように適合されたレバーと、フォロワ本体の旋回端部とフォロワ本体の運動伝達端部との間に配設された運動受容面を有する運動受容構成要素と、レバーに選択的支持を提供するための可動ラッチを含む調節可能な支持アセンブリであって、フォロワ本体に対してラッチを第1のラッチ位置および第2のラッチ位置に維持するように適合された調節可能な支持アセンブリと、を備える内燃機関バルブ機構で使用するためのフィンガーフォロワシステムが提供される。さらなる態様によれば、調節可能な支持アセンブリが、ラッチが第2の位置にないときに、ラッチが第1の位置に移動できるようにさらに適合されている。いくつかの用途では、調節可能な支持アセンブリは、2つの画定された位置でレバーを支持するようにさらに適合されていてもよく、ラッチが第1のラッチ位置にあるとき、およびラッチが第2のラッチ位置にあるときにレバーとラッチとの間の係合を提供する。フィンガーフォロワが運動源の運動の完全な喪失を促進する可能性がある他の用途、例えば、気筒失活用途の場合、調節可能な支持アセンブリは、ラッチが第1のラッチ位置にあるときにラッチとレバーの間を係合し、ラッチが第2のラッチ位置にあるときに、レバーのラッチからの自由な旋回を許容する(すなわち、ラッチとレバーの間に係合がない)ように適合してもよい。
【0016】
一実装形態では、調節可能な支持アセンブリを備えたフィンガーフォロワは、フィンガーフォロワレバーを少なくとも1つの位置で支持するためにフォロワ本体内を移動するように適合された調節可能なラッチまたはレバー係合部材を含んでいてもよい。レバー係合部材またはラッチは、レバー係合部材の横方向孔を通って延びることができる作動ピストンと協働してもよい。ピストンは、レバー係合部材のための2つのそれぞれの積極的に画定された位置を提供し得る第1および第2の支持面を有していてもよい。いくつかの用途では、これらの2つの位置は、フィンガーフォロワレバーの積極的に画定された支持体位置に対応していてもよい。他の用途では、ラッチ位置のうち1つだけがレバーを支持することができ、ラッチの他の位置とは、ラッチと係合していない(より低い)位置にレバーが自由に旋回できることに対応していてもよい。調節可能な支持アセンブリ構造は、レバーが調節可能な支持アセンブリによって画定される正確に画定された位置以外の位置でラッチに係合するときに作動構成要素に負荷力がかけられないように適合され、したがって部分係合によって作動構成要素および/またはレバーへの損傷を回避する。
【0017】
一実装形態では、フィンガーフォロワは、フィンガーフォロワ本体に対して移動可能に支持され、レバー上の弧状の表面に係合するためにラッチ移動方向に対してある角度で延びる実質的に平面のレバー係合部材またはラッチ表面を有するレバー係合部材またはラッチを含んでいてもよい。フィンガーフォロワレバーは、レバー係合部材上の平面レバー係合面によって係合されるように適合された弧状の表面を備えていてもよい。したがって、レバー係合部材表面およびレバー表面は、レバーおよびレバー係合部材表面が係合されたときに実質的に同様の接触形状を維持するように適合されている。部分係合の可能性を排除することに加えて、これらの側面は、改善された耐久性と操作を提供する。
【0018】
別の実装形態によれば、フィンガーフォロワアセンブリは、単一の運動源のロストモーションエンジンのバルブ機構環境に適用することができる。いくつかの用途では、調節可能な支持アセンブリは、少なくとも2つの位置でフィンガーフォロワレバーを支持することができ、そのうちの少なくとも1つは、ロストモーション位置でもよい。他の用途では、調節可能な支持アセンブリは、フィンガーフォロワレバーを少なくとも1つの位置で支持し、別の位置では、運動源の運動がエンジンバルブに伝達されないようにフィンガーフォロワレバーが自由に旋回することを可能にし得る(気筒失活用途の場合などのように)。付勢アセンブリは、フォロワ本体上の少なくとも1つのばね支持体とレバー上の少なくとも1つのばね支持体との間に配設された少なくとも1つの弾性要素を含んでいてもよい。本体の移動制限部は、レバーの上方への動きを制限する場合がある。1つ以上の正確に画定されたレバー支持位置は、レバー係合部材と作動ピストンとの相互作用によって実施されて、ロストモーションフィンガーフォロワを介したバルブ運動の完全または部分的な伝達(または完全または部分的な損失)を提供し得る。
【0019】
別の実装形態によれば、フィンガーフォロワは、フォロワ本体に対するフィンガーフォロワレバーの位置の調節を提供し得る偏心旋回マウントを備えていてもよい。
【0020】
本開示の他の態様および効果は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになり、上記の態様は、包括的または制限的であるとみなされるべきでない。上記の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本開示の発明的態様の実施例を提供することを意図しており、決して、添付の特許請求の範囲で定義された範囲を制限または拘束するものと解釈されるべきでない。
上記および他の本発明の付随する効果および特徴は、全体を通して同じ参照符号が同じ要素を表す添付図面とともに、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。説明および実施形態は、本開示の態様に従う例示的な実施例を意図しており、また、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に限定されることを意図していないことが理解されるであろう。以下の図の説明において、全ての図解は、別途注記のない限り、本開示の態様による実施例である特徴に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術の切り替え式フィンガーフォロワおよびエンジンバルブ機構環境の一例を示す斜視図であり、この環境は、本開示の態様を実装するのに適している可能性がある。
図2図1のフィンガーフォロワシステムの「オン」状態の断面図である。
図3図1のフィンガーフォロワシステムの「オフ」状態の断面図である。
図4】フィンガーフォロワアセンブリの一例の組立斜視図である。
図5図4のフィンガーフォロワアセンブリの例の分解斜視図である。
図6】フィンガーフォロワの調節可能な支持アセンブリの詳細な分解斜視図である。
図7】「オフ」または「係止解除」状態であり得る第1の状態における図4のフィンガーフォロワアセンブリの側断面図である。
図8図4のフィンガーフォロワアセンブリの横断面における第1の状態の断面図である。
図9】「オン」または「係止」状態であり得る第2の状態における図4のフィンガーフォロワアセンブリの側断面図である。
図10図4のフィンガーフォロワアセンブリの横断面における第2の状態の断面図である。
図11】ロストモーション装置としての用途における、第2の実施形態に係るフィンガーフォロワアセンブリの組立斜視図である。
図12図11のロストモーションフィンガーフォロワアセンブリの分解斜視図である。
図13】第1の状態における図11のフィンガーフォロワアセンブリの側断面図であり、バルブ機構の運動の一部または全部を喪失した状態である可能性がある。
図14】第2の状態における図11のフィンガーフォロワアセンブリの側断面図であり、バルブ機構の運動の一部または全部が伝達される状態である可能性がある。
図15】レバーが支持アセンブリから自由に旋回することを可能にして、完全な運動喪失を容易にするフィンガーフォロワアセンブリの別の実施形態の側断面図である。
図16】偏心旋回マウントを示す斜視図である。
図17図16の旋回マウントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図4は、本開示による、例示的な組み立てられた切り替え式フィンガーフォロワシステム100の斜視図である。図5は、同じシステムの分解斜視図である。特に、切り替え式フィンガーフォロワは、様々な他のシステム構成要素を支持または収容するように配置された本体またはハウジング400を備えていてもよい。本体400は、1つ以上のエンジンバルブと接するまたは係合するように適合された運動伝達端部またはバルブ係合端部410から、HLAを含み得る旋回軸と接するまたは係合するように適合された旋回端部420まで、長手方向に延在していてもよい。本体400は、側方の長手方向に延在する一対のアーム402および404をさらに含み、それらの間にレバー凹部またはポケット406を画定してもよい。アーム402および404は、レバー旋回ピン412をその中に固定するために、バルブ係合端部410にそれぞれの旋回ピン受容孔403および405を含んでいてもよい。一対の側方ローラフォロワ430および434は、それぞれシャフト432および436を介してアーム402および404に固定してもよい。側方ローラフォロワ430、434は、相補的に構成されたバルブ作動運動源、例えば、図1に示される側方カムローブ9と同様の運動源からバルブ作動運動を受け取るように構成される。側方フォロワはローラ形態で示されているが、側方フォロワは、例えば、本体400から延在する平坦なフォロワ接触領域として実装することができるので、本開示は、この点に関して限定される必要がないことが理解される。
【0023】
本体400は、フォロワ本体400と枢動可能に協働するように取り付けられる固定端部452を有し、長手方向に自由端部460まで延在することができるレバー450をさらに支持してもよい。レバー450の固定端部は、本体400のアーム402、404に固定されたレバー旋回ピン412に固定されてもよい。
【0024】
レバー450は、本体400内の凹部またはポケット406を補完する形状を有し、それにより、本体400内の入れ子の位置決めおよび全体的にコンパクトなフィンガーフォロワ構成を提供してもよい。レバー450は、底壁454および底壁454から延在する一体型外壁456を有する概ね凹状の形状を有する精密な単一の打ち抜き金属(すなわち、鋼)構成要素として形成され得る。レバー450の中央部分は、レバーに協働的に関連付けられた運動受容構成要素を支持および収容することができる。運動受容構成要素は、レバー450に取り付けられたシャフト442上に支持された中央ローラフォロワ440でもよい。あるいは、レバーに協働的に関連付けられた運動受容構成要素は、レバーに直接または取り付けられ、運動源または運動源と協調するバルブ機構構成要素に直接係合するように適合された接触表面でもよい。中央ローラフォロワ440を収容するために、底壁454に凹部または切り欠き458を形成することができる。レバーの自由端部460は、説明されるように、本体400に統合された調節可能な支持アセンブリ500と選択的に係合するために、弧状または他の方法で湾曲した端面462を有する弧状または他の方法で湾曲したレバー端壁461を有していてもよい。端壁461は、底壁454との円滑な移行を有するように延在し、輪郭を描いていてもよい。レバー端壁461は、外壁456の対向する部分の間の縮小された側方寸法の間に延在ていてもよく、これにより、追加の安定性および強度を提供し、動作中の端壁461の変形の可能性を低減し得る。
【0025】
認識されるように、中央ローラフォロワ440は、相補的に構成されたバルブ作動運動源からバルブ作動運動を選択的に受け取るように構成してもよい。例えば、図1に関して上記のエンジン環境を参照すると、中央ローラフォロワ440は、図1のカムローブ8と同様に、中央カムローブからバルブ作動運動を受けてもよい。認識されるように、本開示の態様によれば、本明細書に記載のフィンガーフォロワ構成は、図1図3に関して上記のシステムなどの従来技術のシステムと比較して、より広い側方および中央のフォロワ寸法を可能にするという利点を有する。これにより、より広いカムの表面を可能にし、たとえば、カムとフォロワの間の接触応力と摩耗の低減を提供してもよい。
【0026】
さらに図6図10を参照すると、フィンガーフォロワ本体400の旋回端部420は、調節可能な支持アセンブリ500のハウジング構成要素を収容するためにその中に形成された長手方向孔422および横方向孔424を含んでいてもよい。旋回端部420はまた、例えば、凹部またはポケット426内に嵌合するように適合されたポストを有する油圧ラッシュ調節部のような適切な旋回アセンブリと接し、さらに説明するように、加圧された油圧作動流体(油)をフィンガーフォロワに送達するための油圧通路428(図8)を含む、凹部またはポケット426を含んでいてもよい。
【0027】
調節可能な支持アセンブリ500は、レバー係合部材またはラッチ510と、それに協働的に関連付けられた作動ピストン530とを含んでいてもよい。レバー係合部材またはラッチ510は、レバー係合部材またはラッチ510の摺動移動を支持するとともに摺動移動し易くするための円筒形ガイド面423を含む長手方向孔422内に配設されていてもよい。レバー係合部材またはラッチ510は、外側円筒面512と、レバー係合部材またはラッチ510の軸に対してある角度で延在し得る、実質的に平面のレバー係合面514とを含む概ね円筒形を有していてもよい。横作動ピストン受容孔516は、作動ピストン530を受容し、それと協働するために、レバー係合部材またはラッチ510を通って延在してもよい。さらに、レバー係合部材またはラッチ510は、ピストン530の表面との円滑な相互作用を提供するために、各側にレバー係合部材またはラッチ510の外側表面からピストン受容孔516に移行する面取りされた表面518(図5)を備えていてもよい。また、面取りされた表面518は、横方向ピストン受容孔516の幅の減少を提供し、それにより、横方向孔516が減少した直径のピストン表面532と係合するために、横方向孔516をピストン530と正確に整合させる必要性を排除することが認識されるであろう。
【0028】
作動ピストン530は、レバー係合部材またはラッチ510を長手方向孔422内の第1の位置に係合および支持するように適合された第1の支持面532を含んでいてもよく、この第1の位置は、レバー450および中央フォロワ440の本体400に対する係止解除、または下降または格納位置に対応していてもよい。第1の支持面532は、第1の直径を有する円筒面でもよい。作動ピストン530はまた、レバー係合部材またはラッチ510を長手方向孔422内の第2の位置に係合および支持するように適合された第2の支持面534を含んでいてもよく、第2の位置は、450および中央フォロワ440の本体400に対するレバーの係止、上昇、または展開位置に対応していてもよい。第2の支持面は、第1の支持面の第1の直径よりも大きく、本体400の横方向孔424の直径に実質的に対応し、横作動ピストン受容孔516の直径に実質的に対応する第2の直径を有する円筒面でもよい。第1の支持面532と第2の支持面534との間に配設されるのは、作動ピストン530上の遷移面536であってもよく、その遷移面536は、作動ピストンの係止動作中、レバー係合部材の第1支持位置から第2の位置への円滑な移行を提供するように適合された概ね先細りまたは円錐形でもよい。遷移面536はまた、以下でより詳細に説明されるように、作動ピストンが横方向孔424内の完全格納位置または完全展開位置との間の中間位置にあり得る場合、作動ピストンの係止解除位置への復帰を容易にすることができる。
【0029】
次に、調節可能な支持アセンブリ500の操作について説明する。図7および図8は、レバー450が本体400に対してより低い位置にある、「係止解除」またはオフ状態の例示的な切り替え式フィンガーフォロワを示している。ピストン530は、横方向孔424内に完全に格納され、横方向孔424の端壁425に底をつける。コイルばね533などの付勢装置は、横方向孔424に配設され、ばね座539と係合し、ピストンを格納位置に向けて付勢してもよい。この位置は、作動ピストン530の第1の支持面532を、レバー係合部材またはラッチ510の横方向ピストン受容孔516と整合させる。レバー係合部材またはラッチ510は、接触面514が第1の接触線に沿ってレバー端面462に接触するように配置されるように長手方向孔内に格納され、第1の接触線は、レバー係合部材またはラッチ510の表面514上のより低い(すなわち、軸より低い)位置であってもよい。ばね保持キャップ535を本体400に(すなわち、圧入またはねじ山によって)取り付けて、ばね533およびピストン530を横方向孔424内に保持することができる。
【0030】
図8に示されるように、本体400の旋回受容ポケット426は、油圧通路428を介して、横方向孔424に油圧的に接続してもよい。加圧された油圧作動油が通路428を介して第1の横方向孔に供給されない場合、付勢要素(図示せず)は、図8に示されるようにピストン530を左方向に付勢してもよい。この状態では、ピストン530の縮小された直径の表面532は、レバー係合部材またはラッチ510と整合されている。したがって、レバー450は本体400に対してより低い位置に維持されるので、中央ローラフォロワ440は同様により低い位置に維持され、それによって中央ローラフォロワ440とその対応するバルブ作動運動源との間にラッシュを確立する。このラッシュ空間は、そうでなければ中央ローラフォロワ440に加えられるであろうバルブ作動運動を喪失させる。
【0031】
図9および10をさらに参照すると、本開示の態様によれば、調節可能な支持アセンブリ500を作動させて、レバー450を本体400に対して第2の位置で支持させることができる。加圧された油圧作動油が、例えば、支持HLA(図示せず)の通路から通路428を介して横方向孔424に提供される場合、ピストン530にかけられた左方向の付勢は、ピストン530が、第2の支持面536がレバー係合部材またはラッチ510と整合され、係合部材またはラッチを支持する点に変位するように克服されてもよい。本明細書の例によって説明される油圧作動油作動システムの代わりに、またはそれに加えて、他の作動技術を利用することができることが、本開示から認識されるであろう。例えば、空気圧、電磁、または純粋に機械的に相互作用する構成要素を利用して、記載された作動ピストンまたはピン530などの要素の作動のための原動力を提供することができる。遷移面536は、ピストン530が移動するときに、レバー係合部材510を第1のラッチ位置から第2のラッチ位置に(図9の右側に)移動させることができる。その結果、図9に最もよく示されるように、レバー端面462は、この場合、スライド部材接触面506の比較的高い点で、スライド部材表面514に接触してもよい。したがって、レバー450および中央ローラフォロワ440は、第2の位置で支持され、この場合、レバー支持部材510の第1の(格納)位置に対応する位置よりも高く、中央ローラフォロワ440は、中央ローラフォロワ440とそれに対応するバルブ作動運動源の間の任意のラッシュを吸収してもよい。このようにして、バルブ作動運動が中央ローラフォロワ440に加えられ、その後、レバー450とスライド部材510との間の接触、およびスライド部材510と本体400との間のさらなる接触によって、本体400に伝達される。本開示から認識されるように、そして以下のロストモーション、気筒失活用途の文脈でより詳細に説明するように、ラッチの第1および第2の位置は、レバーの代替状態を画定してもよい。より具体的には、ロストモーション気筒失活の状況では、ラッチの第1の位置は、フォロワ本体に対してレバーのより高い位置までの上昇を容易にする「通常の」動作状態でもよく、ラッチの第2の位置は、(格納した)「ロストモーション起動」動作状態でもよく、レバーはラッチにまったく係合せず、代わりにフォロワ本体に対して静止位置まで下がってもよい(つまり、レバーの移動の下限を画定するストッパによって容易に行えるようにしてもよい)。この状態では、レバーはより低い位置にあるため、運動源によって伝達されるすべてのバルブ運動が「空動き」となるか、フィンガーフォロワシステムによって吸収される可能性がある。
【0032】
本開示の一態様によれば、調節可能な支持アセンブリ500は、レバー450によって加えられる荷重を分散するのに利点を提供する(図9の太い黒い矢印によって示される)。より具体的には、荷重の垂直成分は、レバー係合部材(本明細書ではラッチとも呼ばれる)510の外側表面512と長手方向孔422の内側表面との係合を介して本体400に分配される(垂直破線矢印で示される)。荷重の水平成分(水平の破線の矢印で示されている)は、レバー係合部材またはラッチ510を介してピストン530に分配される。認識されるように、レバー係合面514の角度は、荷重の大部分が長手方向孔422のガイド表面のより広い領域に分散され、荷重のより小さな成分が作動ピストン530によって生じるように選択されてもよい。さらに、この荷重分散は、長手方向孔422内のレバー係合部材またはラッチ510の位置に関係なく生じることが認識されるであろう。さらに、レバー端面462とレバー係合部材またはラッチ510の表面514との独特の相互作用のために、これらの要素間の部分係合の可能性が効果的に排除される。さらに、レバー端面462に示されるように実質的に弧状の形状を提供することにより、レバー係合部材530とレバー端面462との間の接触応力を制御してもよく、すなわち、要素間の接触領域のサイズおよび形状をレバーの本体に対するすべての動作状態および位置において、すなわち、レバー係合部材530がレバー端面462に係合する位置に関係なく、実質的に一定に保つことができる。レバー係合部材表面514およびレバー端面462は、レバー係合部材表面514と接触するレバーのすべての位置において実質的に同様の接触形状を維持するように適合されてもよい。これにより、耐久性とパフォーマンスが向上する。
【0033】
さらに、ピストン530の支持面とレバー係合部材またはラッチ510との間の独自の相互作用は、レバー450に対する2つの正に画定された切り替えられた支持位置を提供し、その位置、ひいては、作動バルブの対応する運動は、非常に正確に制御され得る。さらに、ピストン530とレバー係合部材530との相互作用に関与する力が低減されるため、耐久性および性能の一貫性が向上する。本開示の態様による例示的な調節可能な支持アセンブリのさらなる関連する利点は、レバー係合部材530とレバー450との間の中間係合位置の間の過度の接触応力の可能性を排除する。そのような中間位置は、上記のような第1または第2の係合位置のいずれでもない位置であろう。認識されるように、ピストン530が格納位置にあるとき、レバー係合部材530を支持することができるであろう位置は1つだけである。レバー係合部材が第1の格納位置にない場合、ピストン表面532からの反力は提供されない。したがって、ピストン530が格納した後、レバー係合部材530が第2の位置に留まるか、または長手方向孔422に完全に格納しない可能性がある場合、レバー係合部材530が第1の位置にくるまで運動源の荷重がレバー450に伝達されると、反力は提供されない。このようにして、システムは、作動部品が第1または第2の位置にないときに負荷力がかかることを回避する。別の言い方をすれば、レバー支持アセンブリ500は、第1の位置または第2の位置でのみレバーに支持力を提供するように適合されている。すなわち、ピストン1530が第1の位置にあり、レバー係合部材1510がピストンと係合していない位置にある場合、システムは、レバー係合部材1510が長手方向孔422内で「浮く」ことを可能にし、ピストン1530に対して適切に着座するまで、反力はレバー係合部材上のピストンによって提供されない。したがって、調節可能な支持アセンブリは、レバーが第1の位置または第2の位置にないときにレバーが第1の位置に移動できるように適合されている。この配置により、支持構成要素への損傷がなくなり、切り替え式フィンガーフォロワの信頼性と耐久性のある操作が提供される。
【0034】
図11図13は、本開示による追加の態様を具体化する第2の実装形態を示している。この実装形態は、カムなどの単一の運動源を使用するエンジン環境で、一部のリフトが空動きとなる可能性のある補助事象などの1つ以上の低リフト事象と、カムローブからのより多くの(またはすべての)上昇がエンジンバルブに伝達される、燃焼メイン事象などの高リフト事象とを提供するためのロストモーション装置として有用となり得る。例示的なロストモーションエンジン環境は、例えば、米国特許第9,347,383号に記載されており、その主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。認識されるように、そのような用途では、図1図3に関して上記の環境において、中央8および側方カムローブ9の組み合わせの代わりに、その上に複数のローブを有する単一のカムプロファイルが使用される。
【0035】
図11は、本開示の一態様による、例示的な組み立てられたロストモーションフィンガーフォロワシステム1000の斜視図である。図12は、同じ例示的なシステムの分解斜視図である。切り替え式フィンガーフォロワは、図4図10に関して上記で説明した実施形態と同様の一般的な構造を有していてもよい。ピストン1530、レバー係合部材1510、およびそれらと端面1462との相互作用を含む調節可能な支持アセンブリ1500の構造および動作は、上記の実装形態と同様であり、この実施形態に適用されることが理解されるため、繰り返す必要はない。しかしながら、認識されるように、本体1400およびレバー1450の構造は、以下に説明するように、ロストモーションの用途におけるシステムの機能を容易にするために変更され得る。
【0036】
1つの変形例は、本体1400およびレバー1450と協働し、レバー1450を本体1400から離れた上昇位置または展開位置に向けて付勢するように適合された付勢アセンブリの追加を含んでいてもよい。本体1400は、側方に延びる一対のばね保持フランジ1402および1404を含んでいてもよい。それぞれの弾性要素(例えば、コイルばね)1422および1424は、フランジの間に保持され、したがって、レバー1450および中央ローラフォロワ1440を運動源に向かう方向に(すなわち、図11および12では上向きに)付勢する。
【0037】
別の変形例は、移動制限部1425は、本体1400の旋回端部1430上に配設されてもよく、レバー端壁1461の上面1463と係合することによって本体1400から離れるレバー1450の旋回を制限するためにそれと一体に形成してもよいことである。移動停止部1425は、本体1400の一体型構成要素として示されているが、移動停止部1425は、本体1400に取り付けられた、または別の構成要素を介してそれに結合された別個の構成要素として実装され得ることが理解されよう。さらに、移動停止部1425は、図示の制限部にねじ込まれ、保持ナットで固定されてレバー1450の移動の上限を調節できるようにする調節ねじなどの調節可能な機能を備えていてもよい。
【0038】
当技術分野で知られているように、油圧ラッシュ調節部(HLA)が単一源のロストモーションバルブ機構に組み込まれる場合、バルブ作動運動が空動きとなっている動作状態の間、HLAの膨張を防ぐ必要がある、すなわち、HLAがバルブの作動動作を選択的に喪失するために意図的に提供されたラッシュ空間を占有するのを防ぐ必要がある。図示の実施形態では、これは、レバー1450上でこれらの要素によって及ぼされる力が、膨張して利用可能なラッシュを吸収しようとするときに関連するHLAによって示される力よりも大きくなるように選択される弾性要素1422および1424の動作によって達成される。このようにして、弾性要素1422、1424は、HLAの望ましくない拡張を防ぐために、HLAに十分な荷重をかける。他方、弾性要素1422および1424によって提供される力が制御されないでHLAに加えられると、HLAの過度の圧縮またはブリードダウンを引き起こす可能性がある。したがって、移動制限ストッパ1425は、レバー1450の移動を制限することができ、その結果、弾性要素1422、1424によって付随するHLAに加えられる力を制限することができる。移動停止部1425によって許容されるレバー1450の移動距離は、好ましくは、レバー1450が移動停止部1425に対向しているときにHLAがバルブ機構内のラッシュスペースを占めるように動作しているときに、ロストモーションの移動が失われたバルブリフト事象に等しくなるように制御されるのが好ましい。例えば、移動停止部1425がレバー1450の過度のストロークを可能にする場合、ロストモーション動作状態は過度の運動を空動きとし、比較的高リフトのバルブ事象(例えば、メイン事象)は過度のラッシュを有し、その結果、望ましくない、より低いバルブリフトおよびより高いバルブ着座速度となる。逆に、移動停止部1425がレバー1450の不適切なストロークを可能にする場合、ロストモーション動作中に不十分な量のラッシュスペースが確立され、それにもかかわらず、空動きとすることを意図したバルブ作動運動の一部は、フィンガーフォロワによってエンジンバルブに伝達される。これは、バルブのリフトや持続時間の変更などの望ましくない結果につながる可能性があり、望ましくない場合に不要な上昇事象が追加される可能性がある。移動停止部1425が(それと一体的に形成されるのではなく)本体1400に取り付けられている実施形態では、移動停止部1425は、レバー1450のストロークを正確に制御できるように調節可能でもよい。
【0039】
さらに別の変形例は、図4~10に関連して上述した実施形態と比較して、フィンガーフォロワシステム1000ロストモーション装置として機能する単一運動源環境では、そのような要素が必要ないかもしれないため、側方ローラフォロワの排除を含んでいてもよい。
【0040】
ロストモーションの用途では、調節可能な支持アセンブリ1500は、図4図10に関して上記で説明した操作と同様に、フィンガーフォロワ本体1400に対してレバー1450の少なくとも2つの極めて正確に制御された位置を提供できる。これらの2つの制御された位置は、運動源から作動バルブへの2つのレベルの運動の伝達を提供してもよい。第1の位置は、例えば、部分的な運動の伝達に対応し、第2の位置は、完全な運動の伝達に対応していてもよい。本開示から認識されるように、説明された実施形態は、そうでなければ運動源(カム)から伝達されるであろうすべてのバルブ運動が「空動きとされる」か、またはフィンガーフォロワシステムによって吸収できるロストモーションの用途に適合され得る。そのような場合、レバーは、ラッチ510との正確に画定された係合位置を1つだけ持つことができ、レバーは、ラッチがレバーと係合しない、またはラッチがレバーと係合し、レバーを運動源からバルブリフトが伝達されないほど十分に低い位置で支持する第2の位置をとることができる。レバーの非係合構成は、少なくともレバーの第2の非係合位置を定義するために、製造における精度の必要性を排除してもよい。
【0041】
図13を参照すると、レバー係合部材1510が格納位置にあり、ピストン1530のより小さな直径上で支持されている状態で、レバー表面1462は、レバー係合部材表面1514の比較的低い点で接触する。レバー1450およびローラフォロワ1440は、本体1400に対してより低い位置に維持され、それにより、ローラフォロワ1440とその対応するバルブ作動運動源との間にラッシュを確立する。このラッシュスペースにより、中央ローラフォロワ1440に加えられるであろう比較的低揚力のバルブ作動運動は空動きとされるが、比較的高揚力のバルブ作動運動は依然としてローラフォロワ1440によって受け取られ、フィンガーフォロワ本体1400に、最終的には係合されるバルブに、伝達される。
【0042】
さらに図14を参照すると、ピストン1530が油圧で作動してばね付勢力に打ち勝つことができる状態で、ピストンは、その全直径部分がレバー係合部材1510の横方向孔を完全に占有する点まで動いてもよい。したがって、レバー係合部材1510は完全展開位置にあり、レバー1450およびフォロワ1440は、フォロワ1440とバルブ作動運動源との間のあらゆるラッシュを吸収するために比較的高い位置に維持される。この状態では、比較的低揚力のバルブ作動運動、ならびに比較的高揚力のバルブ作動運動がローラフォロワ1440に加えられ、フィンガーフォロワ本体1400に伝達され、最終的にはそれによって係合されるバルブに伝達される。
【0043】
上記のフィンガーフォロワ本体1400に対するレバー1450の正確に制御された位置、およびフィンガーフォロワシステムによって提供されるロストモーション能力の結果としての正確な制御に加えて、上記の構成はまた、レバー1450の中間位置決め、ひいてはバルブ運動の中間伝達を排除する利点を提供することができる。図4図10の実施形態における調節可能な支持アセンブリ500の動作に関して詳細に上で説明したように、調節可能な支持アセンブリ1500は、ピストン1530とレバー係合部材1510との相互作用のために、2つの画定された位置で支持を提供するように適合されてもよい。
【0044】
図15は、本開示の態様による別の実施形態を示しており、これは、バルブの運動が完全な空動きとなることが容易に起きうる気筒失活用途などの用途において有用でもよい。この実施形態では、より低いレバーの位置決めは、レバーがラッチ2510から自由に旋回することを容易にし、したがって、以前に記載された実施形態で提供されたものよりもフォロワ本体に対してより低い位置である(第2の)レバー位置に旋回することを可能にする調節可能な支持アセンブリ2500によって容易とされる。図15は、第1の位置にあるラッチ2510を示す図であり、より大きな直径の表面2534がラッチ2510の横方向孔と係合し、その示された伸長位置で支持し、ラッチ表面2514がレバー表面2462と係合し、それによってレバー2450を示されている(第1の)位置に保持する。この位置は、アクチュエータピストン2530の「非通電」状態(すなわち、「通常ラッチ」レバー位置)に対応していてもよく、レバー2450は、通常のバルブ運動を伝達するように位置決めされる。この実施形態の態様によれば、ピストン2530が通電されると、より小さな直径の表面2532がラッチの横方向孔と整列し、ラッチ2510が収縮する(すなわち、図15において上および左に移動する)ことを可能にする。ラッチ2510のこの位置は、レバー2450が完全に自由であり、ラッチ2510と係合しないより低い位置に旋回することを可能にする。したがって、この構成は、バルブの運動が完全に空動きとなるためにそのような低いレバー位置が必要とされる、気筒失活用途などの用途において有用でもよい。
【0045】
図16および17は、前述の実装形態のいずれかで使用することができる旋回ピン1412の詳細を示している。示されるように、旋回部材1412は、その中に形成されている偏心シャフト920を備える。特に、シャフト920の軸は、旋回部材912の軸と整合されていない。また、偏心シャフト920には、ねじ山付き取付穴922が設けられている。図17に最もよく示されているように、旋回部材912は、偏心シャフト920上で旋回するように取り付けられたレバー408を備えた本体400によって支持されてもよい。適切なファスナ1002を使用して、旋回部材912、レバー408、および本体400のアセンブリを固定することができる。旋回部材912を選択的に旋回させることにより、偏心シャフト922の位置は、レバー408の旋回端部が同様に本体1400に対して上向きまたは下向きにシフトされるように、本体1400に対して動かされてもよい。このようにして、旋回部材912を使用して、異なるカムプロファイルで動作するようにレバー1450の位置を調節または制御して、様々なラッシュ設定を確立し、または精度が低く費用のからない製造プロセスを可能にすることができる。
【0046】
認識されるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、レバー係合部材またはラッチ510、作動ピストン530、レバー端面462、および本明細書に記載の他の表面の相互作用面の形状における様々な幾何学的変化を提供することができる。例えば、レバー係合部材またはラッチ510は、湾曲したまたは弧状の表面を備え、レバー450は、平坦な表面を備えていてもよい。さらに、円筒形の要素として説明されているが、ピストンおよびレバー係合部材は、正方形または長方形または他の断面形状を備えていてもよい。
【0047】
さらなる例として、レバー係合部材530は、次に油圧制御されるピストン530との機械的相互作用の制御下で動作するものとして説明されているが、レバー係合部材を制御するための他の構成を使用できることが理解される。例えば、レバー係合部材530は、弾性要素によってその係止解除状態またはオフ状態に付勢されてもよく、油圧通路は、通路への油圧流体の適用が引き起こすように、レバー係合部材530が存在する孔に接続されてもよいので、スライド部材の孔内の係止された量の油圧流体がレバー係合部材530をその伸長位置に維持している間に、レバー係合部材530をその係止状態またはオン状態にすることができる。別の例として、レバー接触面462は弧状の形状を有するとして示されているが、これは要件ではなく、他の表面構成、例えば、角度付き、半円形などを同様に使用することができる。さらに、本体400およびレバー450の構成を逆にすることができること、すなわち、中央本体に外側の可動アームが設けられ、その可動アームを上記のように1つ以上の同様に構成されたスライド部材を使用する状態で係止解除/オフまたは係止/オンに配置できることが理解されよう。
【0048】
本実装は、特定の例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、特許請求の範囲に記載されているようなより幅の広い本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で、様々な変更および変形がこれらの実施形態に行われ得ることが明らかになるであろう。したがって、明細書および図面は、限定的ではなく例示的なものであるとみなされるべきである。
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