(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】押しボタンスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/20 20060101AFI20230609BHJP
H01H 13/64 20060101ALI20230609BHJP
H01H 21/02 20060101ALI20230609BHJP
H01H 9/18 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H01H13/20 A
H01H13/64
H01H21/02 C
H01H9/18 B
(21)【出願番号】P 2019208434
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000114145
【氏名又は名称】ミック電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069431
【氏名又は名称】和田 成則
(74)【代理人】
【識別番号】100102761
【氏名又は名称】須田 元也
(72)【発明者】
【氏名】宮田 致良
(72)【発明者】
【氏名】宮田 宗親
(72)【発明者】
【氏名】▲但▼野 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 誠也
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-124623(JP,A)
【文献】実開平05-075928(JP,U)
【文献】特開2000-188037(JP,A)
【文献】特開2015-115224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/20
H01H 13/64
H01H 21/02
H01H 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線回路パターンを有する回路基板と、
前記回路基板上に配置された屈伸可能なラバースプリングと、
前記ラバースプリングの上方に配置された昇降可能な押ボタン部と、を具備し、
前記回路基板と前記ラバースプリングとの間に接点摺動式スイッチ装置を設けたこと、および、前記接点摺動式スイッチ装置は、前記配線回路パターンに対して電気的に接続された固定接点と、前記固定接点上に配置された可動接点と、前記押ボタン部の下降によって前記ラバースプリングが屈曲した時にその屈曲に応じて該ラバースプリングで押圧されて傾倒する可動レバーと、を備え、かつ、該可動レバーの傾倒により前記可動接点が前記固定接点に対して当接し該固定接点上を摺動すること
を特徴とする押しボタンスイッチ。
【請求項2】
前記ラバースプリングは、弾性素材で構成されるとともに、円柱状に形成されたプッシュ部と、該プッシュ部の下部に連接された円形ドーム型のスカート部と、該スカート部の内側天面に設けられた凸部と、を備え、かつ、前記凸部が前記可動レバーのノブと直接対向する構造になっていること
を特徴とする請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機その他の電子機器を操作する押しボタンスイッチに関し、特に、接点の接触不良を防止するのに好適で、かつ、安価に製造できるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の押しボタンスイッチは、例えば特許文献に開示されている。同特許文献の押しボタンスイッチ(以下「従来の押しボタンスイッチ(100)」という)は、伸縮可能なラバードーム(2a)が操作ボタン(4)の押下によって収縮し、収縮したラバードーム(2a)内側の可動接点(5)が固定接点(6)に接触することで、その固定接点の第1導体(6a)と第2導体(6b)とが可動接点(5)を介して導通した状態(スイッチONの状態)となるように構成されている。
【0003】
しかしながら、従来の押しボタンスイッチ100では、前述の通り、スイッチONの状態を得るための具体的な接点構造として、電気的に絶縁された第1導体(6a)と第2導体(6b)に対して可動接点(5)が略垂直に降下し接触する構成を採用している(特許文献1の
図7および
図8を参照)。このような可動接点(5)の垂直降下では、その可動接点(5)の接触面や第1導体(6a)、第2導体(6b)の接触面に付着した異物(例えば金属酸化膜あるいは粉塵)を除去することは困難であり、異物による接点の接触不良(具体的には第1導体(6a)と第2導体(6b)間の導通不良)が生じ易いという問題点がある。
【0004】
また、前記のような接点の接触不良を防止する手段として、従来の押しボタンスイッチ100では、接点(具体的には可動接点(5)、第1導体(6a)、第2導体(6b))に対して高価な金メッキを施したり金製の接点を採用したりする必要があるため、押しボタンスイッチ自体が高価にならざるを得ないという問題点も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、接点の接触不良を防止するのに好適で、かつ、安価に製造できる押しボタンスイッチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、配線回路パターンを有する回路基板と、前記回路基板上に配置された屈伸可能なラバースプリングと、前記ラバースプリングの上方に配置された昇降可能な押ボタン部と、を具備し、前記回路基板と前記ラバースプリングとの間に接点摺動式スイッチ装置を設けたこと、および、前記接点摺動式スイッチ装置は、前記配線回路パターンに対して電気的に接続された固定接点と、前記固定接点上に配置された可動接点と、前記押ボタン部の下降によって前記ラバースプリングが屈曲した時にその屈曲に応じて該ラバースプリングで押圧されて傾倒する可動レバーと、を備え、かつ、該可動レバーの傾倒により前記可動接点が前記固定接点に対して当接し該固定接点上を摺動することを特徴とする。
【0008】
前記本発明において、前記ラバースプリングは、弾性素材で構成されるとともに、円柱状に形成されたプッシュ部と、該プッシュ部の下部に連接された円形ドーム型のスカート部と、該スカート部の内側天面に設けられた凸部と、を備え、かつ、前記凸部が前記可動レバーのノブと直接対向する構造になっていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、押しボタンスイッチの具体的な構成として、前述の通り、回路基板とラバースプリングとの間に、接点摺動式スイッチ装置が設けられる構成、および、その接点摺動式スイッチ装置は、可動レバーの傾倒により可動接点が固定接点に対して当接し該固定接点上を摺動するという構成を採用した。このため、固定接点上での可動接点の摺動によって、固定接点や可動接点が磨かれ、また固定接点や可動接点に付着した異物(例えば金属酸化膜、粉塵など)が除去されるから、接点の接触不良を防止するのに好適な押しボタンスイッチを提供し得る。
【0010】
また、本発明によると、前述の摺動によって接点の接触不良が防止されるから、接点に対して高価な金メッキを施したり金製の接点を採用したりする必要がない点で、安価に製造できる押しボタンスイッチを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を適用した押しボタンスイッチの斜視断面図。
【
図3】
図1の押しボタンスイッチで採用した接点摺動式スイッチ装置の断面図(押圧なしの自由状態)。
【
図4】
図3の接点摺動式スイッチ装置の動作説明図(摺動開始時)
【
図5】
図3の接点摺動式スイッチ装置の動作説明図(最大摺動時)
【
図6】(a)は
図4の接点摺動式スイッチ装置における可動接点の側面図、(b)はそのA矢視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
《押しボタンスイッチSWの構成概要》
図1は、本発明を適用した押しボタンスイッチの斜視断面図、
図2は
図1の押しボタンスイッチの斜視分解図、
図3は
図1の押しボタンスイッチで採用した接点摺動式スイッチ装置の断面図(押圧なしの自由状態)である。また、
図4は
図3の接点摺動式スイッチ装置の動作説明図(摺動開始時)、
図5は
図3の接点摺動式スイッチ装置の動作説明図(最大摺動時)、
図6(a)は
図4の接点摺動式スイッチ装置における可動接点の側面図、
図6(b)はそのA矢視図である。
【0014】
図1、
図2を参照すると、
図1の押しボタンスイッチSWは、配線回路パターン(図示省略)を有する回路基板1と、回路基板1上に配置された屈伸可能なラバースプリング2と、ラバースプリング2の上方に配置された昇降可能な押ボタン部3と、を備えており、また、回路基板1とラバースプリング2との間には、接点摺動式スイッチ装置4が設けられている。
【0015】
図1の押しボタンスイッチSWでは、ボトムケースCBとトップケースCTによっては箱型の外装ケースを形成し、この外装ケース内に回路基板1、ラバースプリング2が収容される構成を採用しているが、これに限定されることはない。
【0016】
《回路基板1の詳細構成》
回路基板1の表面には、接点摺動式スイッチ装置4やチップLED100等の各種電子部品が表面実装されており、これらの電子部品は、回路基板1に対して例えば半田付けで固定されることにより、回路基板1の図示しない配線回路パターンに電気的に接続されている。
【0017】
また、
図1の押しボタンスイッチSWでは、隣り合う2つの接点摺動式スイッチ装置4とこれに隣接する2つのチップLED100とで、一つのスイッチ回路およびインジケータランプ回路(以下「スイッチ・インジケータランプ回路」という)を構成している、つまり、2つの接点摺動式スイッチ装置4が双方ともON状態になったときに、2つのチップLED100が点灯あるいは点滅するように構成しているが、これに限定されることはない。
【0018】
図1の押しボタンスイッチSWでは、前記のようなスイッチ・インジケータランプ回路を3つ設けているが、その個数は必要に応じて適宜増減することができる。
【0019】
《ラバースプリング2の詳細構成》
ラバースプリング2の具体的な配置の構成として、
図1の押しボタンスイッチSWにおいては、回路基板1を覆うカバー部材CVにラバースプリング2を設けている。
【0020】
ラバースプリング2は、シリコーンゴム等の弾性素材で構成され、かつ、円柱状に形成されたプッシュ部20と、プッシュ部20の下部に連接された円形ドーム型のスカート部21と、スカート部21の内側天面(スカート部21の内面全体のうちプッシュ部20の天面と対向する面)に設けられた凸部22と、を備えている。
【0021】
スカート部21の裾がカバーCVに連結された状態になっていることで、ラバースプリング2は、カバーCVと一体化し、かつ、該カバーCVによって支持されている。カバー部材CVは、ラバースプリング2と同じ素材で形成してもよいし、異なる素材で形成してもよい。
【0022】
以上のような構成からなるラバースプリング2では、そのプッシュ部20の天面が所定の力で押圧されると、スカート部21が座屈によって屈曲し、この屈曲に応じて凸部22が下方(具体的には接点摺動式スイッチ装置4の方向)に降下する。
【0023】
また、前記のような押圧の力が解除されると、スカート部21はその弾性復元によって元の形状に戻り、凸部22は上方に移動し元の位置に戻る。
【0024】
図1の押しボタンスイッチSWでは、1つの押しボタン部3について2つのラバースプリング2を使用すること、および、3つの押しボタン部3を備えることから、ラバースプリング2は合計6つ設けているが、その数は必要に応じて適宜増減できる。
【0025】
また、1つの押しボタン部3について、1つのラバースプリングを使用したり、3以上のラバースプリング3を使用したりする等、1つの押しボタン部3について使用するラバースプリング3の数は、必要に応じて適宜増減できる。
【0026】
《押しボタン部3の詳細構成》
【0027】
押しボタン部3は、スイッチ操作者によって所定の力で押圧される天板31と、天板31の下面外周縁から下方に向けて垂れ下がった形態の縦壁32と、を備えている。このような押しボタン部3は、絶縁性素材、例えばポリアミド等の合成樹脂を射出成形することによって形成することができる。
【0028】
前記のような押しボタン部3の具体的な配置の構成例として、
図1の押しボタンスイッチSWでは、カバーCVや回路基板1を収容するトップケースCTの上面に、押しボタン部3の外径寸法に対応する孔Hを設け、この孔Hに押しボタン部3が昇降可能に配置される構成を採用している。
図1の押しボタンスイッチSWでは、前述の通り3つの押しボタン部3を備えるので、その数に対応してトップケースCTの上面に3つの孔Hを設けている。
【0029】
また、
図1の押しボタンスイッチSWでは、押しボタン部3の昇降動作をガイドする手段として、縦壁32の内側に内壁33を設け、その外壁32と内壁33との間の隙間をガイド溝34として利用する構成、および、孔Hの内側にその孔Hの下部内周から上方に向って立ち上がった形態のガイド片35を形成し、かかるガイド片35が前述のガイド溝34にスライド可能に挿入される構成を採用している。
【0030】
さらに、
図1の押しボタンスイッチSWでは、天板31の裏面中央付近に押圧突起36を設けている。この押圧突起36は、内壁33の内側に位置し、かつ、その先端がラバースプリング2におけるプッシュ部20の天面に当接するように構成してある。
【0031】
従って、
図1の押しボタンスイッチSWにおいて、押しボタン部3の下降により押圧突起36が下降すると、その押圧突起36の先端部でラバースプリング2が押圧され、スカート部21が座屈によって屈曲する。
【0032】
なお、
図1の押しボタンスイッチSWでは、LED100の発光を外界に発散させる手段として、押しボタン部3の中央部に小径の孔を開け、その孔内に透明材37を装填しているが、これに限定されることはない。LED100を省略した場合はその孔も透明材37も省略される。
【0033】
《接点摺動式スイッチ装置4の詳細構成》
図3を参照すると、接点摺動式スイッチ装置4は、回路基板1の配線回路パターン1Aに対して電気的に接続された固定接点41と、固定接点41上に配置された可動接点42と、押ボタン部3の下降によってラバースプリング2が屈曲した時にその屈曲に応じて該ラバースプリング2で押圧されて傾倒する可動レバー43と、を備え、かつ、該可動レバー43の傾倒により可動接点42が固定接点41に対して当接し該固定接点41上を所定量摺動するように構成されている。
【0034】
固定接点41、可動接点42、可動レバー43の具体的な構成として、
図1の接点摺動式スイッチ装置4では、下記(1)から(7)のような構成を採用している。
【0035】
(1)ベース401とトップケース402とによって箱型のスイッチボックス403を形成し、このスイッチボックス403内に可動接点42および可動レバー43が収容される。
【0036】
(2)固定接点41は、細長板状の金属板で構成され、かつ、インサート成形によってスイッチボックス403の底(具体的にはベース401)に設けられる。
【0037】
(3)固定接点41は、
図3と
図4に示したように、第1の固定接点41(41A)、第2の固定接点41(41B)として2つ設けられるとともに、それぞれの固定接点41の一部は、摺動面Sとしてベース401上面、すなわちスイッチボックス403の底に並列に並んで露出するように設けられ、それぞれの固定接点41の末端41Eは、ベース401から外に出て回路基板1の配線回路パターン1Aに電気的に接続される。
【0038】
(4)可動接点42は、U字形状の導電性板バネ材で形成されるとともに、その先端部が第1、第2の接点ブラシ42A、42Bとして二股に分岐した形状になっていて(
図6参照)、第1の接点ブラシ42Aは、第1の固定接点41Aの摺動面Sと対向し、第2の接点ブラシ42Bは、第2の固定接点41(41B)の摺動面Sと対向するように配置される。
【0039】
(5)第1の接点ブラシ42Aは、常時、第1の固定接点41Aに対して所定圧力で接触した状態になっている一方、第2の接点ブラシ42Bは、可動レバー43の傾倒により第2の固定接点41Aに対して接触した状態となり、それ以外は第2の固定接点41Aから所定量離れた状態となる。
【0040】
(6)可動レバー43は、トップケース402の開口402Aからラバースプリング2の凸部22に向って突出したノブ43A(
図1参照)と、ノブ43Aより所定量ずれた位置で可動接点42の基部(具体的には第1および第2の接点ブラシ42A、42B以外の部分)を保持するホルダ43Bと、を有するとともに、軸43Cを支点としたベース401側への傾倒が可能である。なお、軸43Cは、ホルダ43Bと一体に設けられ、トップケース402の図示しない軸受けによって回転可能に支持されている。ラバースプリング2の凸部22と可動レバー43のノブ43Aは直接対向しており、先に説明した従来の押しボタンスイッチにおいて可動接点として機能する導体のようなものは、ラバースプリング2の凸部22先端面には貼付されていない。
【0041】
(7)可動レバー43は、前記のような傾倒により、第1の固定接点41(41A)の摺動面Sに対して第1の接点ブラシ42(42A)を強く押し付けて撓ませながら摺動させる手段、および第2の固定接点41(41B)の摺動面Sに対して第2の接点ブラシ42(42B)を近づけ、接触後、強く押し付けて撓ませながら摺動させる手段として機能する。
【0042】
《押しボタンスイッチSWの動作説明》
図1の押しボタンスイッチSWにおいて、所定の力で押しボタン部3の天板31を押下すると、その力がラバースプリング2のプッシュ部20に伝わり、ラバースプリング2のスカート部21が座屈し屈曲することで、押しボタン部3全体が下降する。この時、前記のようなラバースプリング2の屈曲に応じて、同ラバースプリング2の凸部22が下降し接点摺動式スイッチ装置4のノブ43Aを押圧する。
【0043】
前記ノブ43Aの押圧により、
図4に示したように、接点摺動式スイッチ装置4の可動レバー43が下方(具体的にはベース401の方向)に向けて傾倒するとともに、第2の固定接点41(41B)の摺動面Sに対して第2の接点ブラシ41(41B)が近づき接触することで、スイッチONの状態、すなわち、可動接点42を介して第1の固定接点41Aと第2の固定接点41Bが導通した状態が得られる。
【0044】
そして、押しボタン部3の天板31を更に所定量押し込むと、ラバースプリング2の屈曲する割合、その屈曲による同ラバースプリング2の凸部22の下降量、その凸部によるノブ43Aの押込み量が増え、
図4に示したように、接点摺動式スイッチ装置4の可動レバー43が更に深く傾倒することで、第1の接点ブラシ42(42A)は、第1の固定接点41(41A)の摺動面Sに対して強く押し付けられ撓みながら摺動し、第2の接点ブラシ42(42B)もまた、第2の固定接点41(41B)の摺動面Sに対して強く押し付けられ撓みながら摺動する。
【0045】
前記のような摺動によって、固定接点41A、41Bの摺動面やその上を摺動する可動接点42の接点ブラシ42A、42Bは、その都度、つまり押しボタン部3の天板31を押下する度に磨かれ、接触不良を引き起こすおそれのある異物は、固定接点41A、41Bや可動接点42(具体的には接点ブラシ42A、42B)から効果的に除去される。
【0046】
ところで、前記のような押しボタン部3を押下する力が解除されると、ラバースプリング2のスカート部21がその弾性復元によって元の形状に戻り、その弾性復元力によって押しボタン部3全体が元の位置まで上昇するように押し上げられる。
【0047】
この時、ラバースプリングの凸部22も元の位置まで上昇することで、その凸部22によるノブ43Aの押圧が解除される。これにより、その押圧の解除直前まで接点ブラシ41A、41Bを固定接点41A、41Bの摺動面Sに対して強く押し付けていた力がなくなるため、接点ブラシ41A、41Bの撓みが元に戻ろうとする力、すなわち板バネ材の復元力により、可動レバー43が上方(具体的にはトップケース402の開口402A方向)に向けて傾倒し元の位置に戻る。この時も、接点ブラシ42A、42Bは固定接点41A、41Bの摺動面S上を逆方向に摺動するので、そのような逆方向の摺動によって固定接点41A、41Bの摺動面Sや可動接点42の接点ブラシ42A、42Bは磨かれ、前述の付着異物は効果的に除去される。
【0048】
《以上のまとめ》
以上説明した
図1の押しボタンスイッチSWにあっては、その具体的な構成として、前述の通り、回路基板とラバースプリングとの間に接点摺動式スイッチ装置が設けられる構成、および、その接点摺動式スイッチ装置は、可動レバーの傾倒により可動接点が固定接点に対して当接し該固定接点上を摺動するという構成を採用した。このため、固定接点上での可動接点の摺動によって、固定接点や可動接点が磨かれ、また固定接点や可動接点に付着した異物(例えば金属酸化膜、粉塵など)が除去されるから、そのような接点の接触不良を防止するのに好適である。
【0049】
また、
図1の押しボタンスイッチSWは、前述の摺動によって接点の接触不良が防止されるから、接点に対して高価な金メッキを施したり金製の接点を採用したりする必要がない点で、安価に製造できる。
【0050】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により多くの変形が可能である。
【0051】
例えば、接点摺動式スイッチ装置4は
図3に示したものに限定されることはない。
図3の接点摺動式スイッチ装置4のように可動接点が固定接点上を摺動する形式の接点摺動式スイッチ装置であれば、本発明における接点摺動式スイッチ装置4として採用し得る。
【符号の説明】
【0052】
1 回路基板
100 チップLED
2 ラバースプリング
20 プッシュ部
21 スカート部
22 凸部
3 押ボタン部
31 天板
32 縦壁
33 内壁
34 ガイド溝
35 ガイド片
36 押圧突起
37 透明材
4 接点摺動式スイッチ装置
41 固定接点
41A 第1の固定接点
41E 固定接点の末端
42 可動接点
42A 第1の接点ブラシ
42B 第2の接点ブラシ
43 可動レバー
43A ノブ
43B ホルダ
401 ベース
402 トップケース
402A トップケースの開口
403 スイッチボックス
CT トップケース
CB ボトムケース
S 摺動面
SW 押しボタンスイッチ
H 孔
CV カバー部材