(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】リモート操作システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230609BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2021532681
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2020016661
(87)【国際公開番号】W WO2021009983
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019131526
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】森田 敬太
(72)【発明者】
【氏名】角 英樹
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-99135(JP,A)
【文献】特開2017-143167(JP,A)
【文献】特開2014-48685(JP,A)
【文献】特開2007-272926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業装置と、サーバと、複数のリモート監視部とを有し、
前記サーバは、前記複数の作業装置で発生した複数のエラーの情報を受信して、前記複数のリモート監視部のいずれかに転送することが可能であり、
前記複数の作業装置から受信した前記複数のエラーの情報を、前記複数のリモート監視部に割り振って転送でき、
エラーを解消するためのエラー解消操作は、前記エラーの情報の転送を受けた前記リモート監視部からリモートで行うことが可能であり、
前記サーバは、前記複数の作業装置のいずれかからエラーの情報を受信した場合に、前記複数のリモート監視部の中からオペレータによる対応が可能なステータスにあるリモート監視部を検出するサーチを行い、そのサーチにより検出したリモート監視部に前記エラーの情報を送信することで、前記複数の作業装置から受信した複数のエラーの情報を前記複数のリモート監視部に割り振
り、
前記サーバは、前記オペレータによる対応が可能なステータスにある前記リモート監視部を複数検出した場合に、その検出した前記複数のリモート監視部のうち、前回のエラーに対するエラー解消操作が行われてからの経過時間が最も長いリモート監視部にエラーの情報を送信する、リモート操作システム。
【請求項2】
前記リモート監視部の前記オペレータは、前記サーバによる前記エラーの情報の転送を拒否する転送拒否入力を前記リモート監視部から行うことができ、前記サーバは、前記サーチにおいて、前記転送拒否入力がなされた前記リモート監視部は前記オペレータによる対応が可能なステータスではないとして取り扱う請求項
1に記載のリモート操作システム。
【請求項3】
前記リモート監視部の前記オペレータは、前記サーバより転送された前記エラーの情報に対するエラー解消操作を行わないでそのエラー解消操作のジョブを前記サーバに送り返すジョブ返送入力を前記リモート監視部から行うことができ、前記サーバは、前記リモート監視部から前記ジョブ返送入力があった場合には、そのジョブ返送入力があったリモート監視部を除く他のリモート監視部を対象として改めて前記サーチを行う請求項1
または2に記載のリモート操作システム。
【請求項4】
前記作業装置は作業対象である基板に部品を装着する部品実装装置である請求項1~
3のいずれかに記載のリモート操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の作業装置で発生したエラーの解消操作をリモート監視部からリモートで行うことができるリモート操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業ラインを構成する複数の作業装置のそれぞれにエラーが発生した場合に、そのエラーの解消操作を作業ラインに繋がるリモート監視部からリモートで行うことができるリモート操作システムが知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。このようなリモート操作システムの中には、発生したエラーの情報がその発生順にリモート監視部に送信され、オペレータはリモート監視部の表示部に順番に表示されるエラーに対してひとつずつエラーの解消操作を行うことで、発生した全てのエラーを解消することができるようになっているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示のリモート操作システムは、複数の作業装置と、サーバと、複数のリモート監視部とを有している。
【0005】
サーバは、複数の作業装置で発生した複数のエラーの情報を受信して、複数のリモート監視部のいずれかに転送することが可能であり、複数の作業装置から受信した複数のエラーの情報を、複数のリモート監視部に割り振って転送できる。
【0006】
エラーを解消するためのエラー解消操作は、エラーの情報の転送を受けたリモート監視部からリモートで行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態におけるリモート操作システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施の形態におけるリモート操作システムを構成する作業装置の要部側面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態におけるリモート操作システムを構成する作業装置のパーツフィーダが、部品供給位置に供給する部品を、作業装置が備える装着ヘッドでピックアップした状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態におけるリモート操作システムの制御系統を示すブロック図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態におけるリモート操作システムの作業装置を構成するパーツフィーダの部品供給位置を、基板カメラにより撮像して得られた画像の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、実施の形態におけるリモート操作システムの作業装置を構成するパーツフィーダの部品供給位置を、基板カメラにより撮像して得られた画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態におけるリモート操作システムが備えるリモート監視部のリモート制御部が、リモート監視部のステータスを登録する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態におけるリモート操作システムの作業装置にエラーが発生した場合に作業装置制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態におけるリモート操作システムの作業装置にエラーが発生した場合にサーバ制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態におけるリモート操作システムの作業装置にエラーが発生した場合にリモート監視制御部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来のリモート操作システムにおいて、複数の作業装置に複数のエラーが同時期に集中して発生した場合には、複数のエラーの解消処理をひとりのオペレータが迅速にかつ連続して行わねばならない。そのため、オペレータの作業負担が過大になるのみならず、エラーの解消処理待ちが累積的に増大して作業ラインの全体の生産性が低下するおそれがある。
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図1は本開示の一実施の形態におけるリモート操作システム1を示している。リモート操作システム1は、複数の作業装置2と、サーバ3と、複数のリモート監視部4とを有している。リモート操作システム1では、複数の作業装置2のそれぞれに発生したエラーの情報をサーバ3によって中継して、複数のリモート監視部4のいずれかに転送する。そして、エラーの情報の転送を受けたリモート監視部4から、そのエラーを解消するためのエラー解消操作をリモートで行うことができるようになっている。本実施の形態では、作業装置2の各々は、作業対象である基板KBに部品BH(例えば
図2参照)を装着する部品実装装置である。複数の作業装置2は直列に並べられて作業ライン2Lを構成している。
【0010】
図2において、作業装置2の各々は、基台11、搬送コンベア12、パーツフィーダ13、ヘッド移動機構14、装着ヘッド15、基板カメラ16および部品カメラ17を有している。搬送コンベア12は基台11上を基台11の左右方向(X軸方向)に延びて設けられており、上流側から送られてきた基板KBを受け取って所定の作業位置に位置決めする。そして、その基板KBに後述する部品装着作業が施された後、基板KBを下流側に搬送して排出する。
【0011】
図2において、パーツフィーダ13はここではテープフィーダであり、内蔵したスプロケット13S(
図3も参照)によって、リールRLに巻き付けられたキャリアテープCTを引き出して基台11の前後方向(Y軸方向)に搬送し、搬送コンベア12側の端部に設けられた部品供給位置13Kに部品BHを供給する。ヘッド移動機構14は、例えばXYガントリー機構から成り、装着ヘッド15を水平面内で移動させる。装着ヘッド15は、上下方向(Z軸方向)の下方に延びた複数のノズル15Nを有している。
【0012】
装着ヘッド15は、それぞれのノズル15NをZ軸方向に昇降させることができる。また装着ヘッド15は、それぞれのノズル15Nの下端に真空吸着力を発生させることができる。装着ヘッド15はノズル15Nをパーツフィーダ13の部品供給位置13Kの上方に位置させた後、ノズル15Nを下降させながらノズル15Nの下端に真空吸着力を発生させて部品BHを吸着し、部品BHをピックアップする(
図3)。
【0013】
図2および
図3において、基板カメラ16は撮像光軸を下方に向けた姿勢で装着ヘッド15に取り付けられている。基板カメラ16は装着ヘッド15と一体となって水平面内方向に移動し、搬送コンベア12によって作業位置に位置決めされた基板KBを上方から撮像する。また基板カメラ16は、作業装置2にエラーが発生した場合には、そのエラーが発生した箇所(エラー発生箇所)を上方から撮像する。
【0014】
図2において、部品カメラ17は撮像光軸を上方に向けた姿勢で基台11に取り付けられている。部品カメラ17は、部品BHをピックアップした装着ヘッド15が上方に位置した状態で、その部品BHを下方から撮像する。
【0015】
作業装置2の制御部である作業装置制御部18(
図2)は、作業装置2の各部の動作を制御する(
図4)。作業装置制御部18は、具体的には、搬送コンベア12による基板KBの搬送および作業位置への位置決め動作の制御を行い、パーツフィーダ13による部品供給位置13Kへの部品供給動作の制御を行う。作業装置制御部18は、ヘッド移動機構14による装着ヘッド15の移動動作の制御を行い、装着ヘッド15による部品BHのピックアップ動作の制御を行う。
【0016】
作業装置制御部18は、また、基板カメラ16と部品カメラ17の撮像動作の制御を行う。基板カメラ16の撮像動作によって得られる画像データと部品カメラ17の撮像動作によって得られる画像データはそれぞれ作業装置制御部18に入力され、作業装置制御部18、はそれらの画像データに対して画像認識を行う。
【0017】
作業装置2の作業装置制御部18は、作業装置2に何らかのエラーが発生した場合には、基板カメラ16を移動させて、そのエラー発生箇所を撮像させる。これによりエラー発生箇所のエラーの情報(エラー発生箇所の画像)が取得される。例えば、或るパーツフィーダ13からの部品BHのピックアップミスが連続して発生したような場合には、そのパーツフィーダ13の部品供給位置13Kをエラー発生箇所として特定し、そのエラー発生箇所の上方に基板カメラ16を移動させたうえで、そのエラー発生箇所を基板カメラ16に撮像させる。作業装置2の作業装置制御部18は、基板カメラ16によって取得されたエラー発生箇所の画像を取得したら、そのエラー発生箇所の画像を、エラー発生箇所のエラーの情報(エラー情報)としてサーバ3に送信する。
【0018】
サーバ3は、作業ライン2Lを構成する複数の作業装置2と接続されており、複数の作業装置のそれぞれから送られてきたエラー情報を中継して複数のリモート監視部4のいずれかに転送する。サーバ3は複数の作業装置2それぞれと有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。サーバ3の詳細については後述する。
【0019】
図1において、リモート監視部4はいわゆるリモート端末として機能するものであり、例えばパーソナルコンピュータで構成されている。リモート監視部4は、サーバ3と有線で接続されていてもよいし、無線で接続されていてもよい。
図4にも示すように、リモート監視部4はリモート監視制御部21、表示部(ディスプレイ)22および入力部23を有している。リモート監視制御部21は、サーバ3から転送されてきた作業装置2のエラー情報(エラー発生箇所の画像)をエラー情報格納部21a(
図4)に格納したうえで、そのエラー情報を表示部22に表示させる。
【0020】
各々のリモート監視部4には通常ひとりのオペレータが常駐しており、そのオペレータが表示部22を通じてエラーの発生を監視し、入力部23からエラーを解消させるために必要な操作(エラー解消操作)を行う。リモート監視部4のリモート監視制御部21は信号送信部21bを有している(
図4)。信号送信部21bは、入力部23から行われたエラー解消操作のための操作信号(解消操作信号)をサーバ3に送信する。信号送信部21bが解消操作信号をサーバ3に送信すると、エラー情報格納部21aに格納されていたエラー情報は消去される。
【0021】
作業装置2に発生するエラーが、例えば、ノズル15Nによって部品BHを吸着し損なうピックアップミスである場合には、そのピックアップミスが生じたパーツフィーダ13の部品供給位置13Kがエラー発生箇所として特定され、その箇所が基板カメラ16によって撮像される。
図5Aは、このようなピックアップミスが発生したパーツフィーダ13の部品供給位置13Kが基板カメラ16によって撮像され、リモート監視部4の表示部22に表示された画像GZの一例である。この例では、画像GZの中心位置KCは、部品供給位置13Kに位置した部品BHを吸着する際にノズル15Nの下端を位置させる所定の位置(「部品吸着位置」と称する)に一致している。
【0022】
図5Aの画像GZでは、部品吸着位置(画像GZの中心位置KC)が部品供給位置13Kに対してずれており、このために部品BHのピックアップミスが発生したと予想される。この場合、オペレータは、入力部23から、部品吸着位置が部品供給位置13Kに一致するようにするために必要な操作(エラー解消操作)を行う。
【0023】
上記のケースでは、ノズル15Nの下端の位置を部品供給位置13Kに一致させるようなエラー解消操作を入力部23から行う。これによりリモート監視部4から、作業装置制御部18に記憶された部品吸着位置のデータを変更するための信号が解消操作信号としてサーバ3に送信され、サーバ3はこの解消操作信号を作業装置制御部18に送信する。
【0024】
リモート監視部4から解消操作信号を受け取った作業装置制御部18は、その受信した解消操作信号に従った所要の処置を行う。これにより作業装置2に生じていたエラーは解消される。
図5Bは、作業装置2が自身に対してエラー解消動作を行うことで、エラー発生箇所として特定されていたパーツフィーダ13の部品供給位置13Kに部品吸着位置(画像GZの中心位置KC)が一致し、生じていたエラーが解消された状態の画像GZを示している。
【0025】
リモート監視部4のオペレータは、上記のように、サーバ3から送られてきたエラー情報に対し、そのエラーを解消するための操作入力(エラー解消操作入力)を入力部23から行うことができるほか、サーバ3からエラー情報が送られてくる前に、エラー情報の転送を拒否する転送拒否入力をすることができる。このような転送拒否入力をするケースとしては、例えば、エラー情報が送信されてくるのを待っている状況において、オペレータがリモート監視部4から離れなければならない事情が生じた場合や、エラーを解消する作業とは異なる他の作業を行う必要が生じた場合等が挙げられる。
【0026】
オペレータはまた、サーバ3からエラー情報の転送があった(リモート監視部4の表示部22にエラー情報が表示された)後に、そのエラー情報に対するエラー解消操作を行わないでそのエラー解消操作のジョブをサーバ3に送り返すジョブ返送入力をすることもできる。このようなジョブ返送入力をするケースとしては、例えば、オペレータが、送られてきたエラー情報に対する対応が自身のスキルに照らして難しいと判断した場合や、エラーの情報を受け取った後、急な用事が生じてリモート監視部4から離れた場所に移動しなければならなくなったような場合等が挙げられる。
【0027】
オペレータがリモート監視部4からジョブ返送入力を行うと、そのジョブ返送入力に対応した信号(ジョブ返送信号)が、信号送信部21bからサーバ3に送信される。信号送信部21bがジョブ返送信号をサーバ3に送信すると、エラー情報格納部21aに格納されていたエラー情報は消去される。
【0028】
図4において、リモート監視部4はステータス登録部21cを備えている。ステータス登録部21cは数秒ごとにリモート監視部4の現在の状態(ステータス)を判断し、その判断結果に基づいて、リモート監視部4のステータスを登録する。リモート監視部4に登録され得るステータスは、ここではエラー情報に対してオペレータによる対応が可能な「対応可」のステータスと、エラー情報に対してオペレータによる対応が可能でない「対応不可」のステータスのいずれかである。
【0029】
図6のフローチャートに示すように、ステータス登録部21cは先ず、対応するリモート監視部4がエラー情報格納部21aに未処理のエラー情報を保持しているかどうかを判断する(ステップST1)。ここで、エラー情報格納部21aが未処理のエラー情報を保持している状態とは、エラー情報格納部21aがサーバ3からエラー情報を受け取った後、そのエラー情報が消去されていない状態(信号送信部21bが解消操作信号もジョブ返送信号もサーバ3に送信していない状態)をいう。
【0030】
ステータス登録部21cは、ステップST1で、そのステータス登録部21cに対応するリモート監視制御部21が未処理のエラー情報を保持していると判断した場合には、リモート監視部4はそれ以上のオペレータによるエラー情報に対する対応が不能であるとして、リモート監視部4のステータスを「対応不可」に登録する(ステップST2)。一方、ステップST1で、リモート監視制御部21が未処理のエラー情報を保持していないと判断した場合には、オペレータによる転送拒否入力があったかどうかを判断する(ステップST3)。
【0031】
ステータス登録部21cは、転送拒否入力があったと判断した場合には、未処理のエラー情報を保持していると判断した場合と同様に、リモート監視部4のステータスを「対応不可」に登録する(ステップST2)。ステータス登録部21cは、ステップST3で、転送拒否入力はなかったと判断した場合には、リモート監視部4のステータスを「対応可」に登録する(ステップST4)。
【0032】
図4において、サーバ3は、サーバ制御部31を有している。サーバ制御部31は、情報保存部31a、サーチ部31bおよび転送部31cを有している。情報保存部31aは、複数の作業装置2のうちのいずれかから送信されたエラー情報を受信した場合にはそのエラー情報を記憶し、そのエラー情報に対するエラー解消操作がリモート監視部4によってなされるまで(解消操作信号を受信するまで)保存する。
【0033】
サーチ部31bは、複数の作業装置2のいずれかから送信されてきたエラー情報を情報保存部31aが保存した場合に、そのエラーの解消操作を迅速に行うことができる状況にあるリモート監視部4に送信すべく、オペレータによる対応が可能なステータスにある(すなわちステータスが「対応可」に登録されている)リモート監視部4を検出するサーチを行う。このサーチでは、複数のリモート監視部4それぞれのステータスを参照し、そのステータスが「対応可」であるものをオペレータによる対応が可能なステータスにあるリモート監視部4として検出する。
【0034】
転送部31cは、サーチ部31bにより検出されたリモート監視部4に、情報保存部31aに保存したエラーの情報を送信(転送)する。サーチ部31bによるサーチによって、オペレータによる対応が可能なステータスにあるリモート監視部4が複数検出されていた場合には、その検出されている複数のリモート監視部4のうち、前回のエラーに対するエラー解消操作が行われてからの経過時間が最も長いリモート監視部4にエラーの情報を送信する。なお、リモート監視部4における前回のエラーに対するエラー解消操作が行われてからの経過時間は、そのリモート監視部4が前回の解消操作信号をサーバ3に送信してからの経過時間を、サーバ制御部31が備える図示しないタイマによって計ることで計測することができる。
【0035】
このように本実施の形態において、サーバ3は、複数の作業装置2のいずれかからエラーの情報を受信した場合に、オペレータによる対応が可能なステータスにあるリモート監視部4をサーチし、そのサーチによって検出したリモート監視部4にエラーの情報を送信する。これにより複数の作業装置2から送信された複数のエラーの情報は複数のリモート監視部4に割り振られることとなり、ジョブが分散されることになる。その結果、複数のエラーが同時期に集中して発生した場合であっても、これをひとりのオペレータが全て対応するという事態を避けることができる。
【0036】
作業ライン2Lによって基板KBに部品装着作業を施す場合には、作業装置2の作業装置制御部18は、先ず搬送コンベア12を作動させて、基板KBを所定の作業位置に位置決めする。搬送コンベア12によって基板KBが作業位置に位置決めされたら、作業装置制御部18は、ヘッド移動機構14を作動させて装着ヘッド15を基板KBの上方に移動させ、基板カメラ16に基板KBを撮像させて、基板KBを認識する。
【0037】
作業装置制御部18は、基板KBを認識したら、パーツフィーダ13を作動させて、パーツフィーダ13に部品BHを供給させつつ、装着ヘッド15に装着ターンを繰り返し実行させる。装着ヘッド15は1回の装着ターンにおいて、パーツフィーダ13の部品供給位置13Kの上方に移動してノズル15Nに部品BHを吸着(ピックアップ)させる動作と、パーツフィーダ13の上方から部品カメラ17の上方を通って基板KBの上方に移動する動作と、基板KBの上方でノズルを下降させて部品BHを基板KB上の所定の部品装着位置に装着する動作とを行う。
【0038】
装着ターンにおいて、装着ヘッド15が部品カメラ17の上方を通るときには部品カメラ17が部品BHを下方から撮像し、作業装置制御部18はその撮像結果に基づいて部品BHを認識する。この部品BHの認識結果と前述の基板KBの認識結果は、部品BHを部品装着位置に装着する際の位置合わせに利用される。このようにして装着ヘッド15の装着ターンが繰り返し実行され、必要な部品BHがすべて基板KBに装着されたら、作業装置制御部18は搬送コンベア12作動させて、基板KBを作業装置2の下流側に排出する。
【0039】
次に、作業ライン2Lを構成する複数の作業装置2のいずれかに何らかのエラーが発生した場合における処理の流れを説明する。
図7のフローチャートは作業装置2にエラーが発生した場合における作業装置制御部18が行う処理の流れを示しており、
図8のフローチャートはサーバ制御部31が行う処理の流れを示しており、
図9のフローチャートはリモート監視制御部21が行う処理の流れを示している。
【0040】
作業装置制御部18は、数秒ごとに、自身の作業装置2にエラーが発生しているかどうかの検知動作を行っている(
図7に示すフローチャートのステップST11)。そして、自身に何らかのエラーが発生したことを検知した場合には、そのエラーの発生箇所を特定したうえで(ステップST12)、リモート操作モードに入る(ステップST13)。例えば、装着ヘッド15が或るパーツフィーダ13から部品BHをピックアップする動作を連続して失敗するようなエラーが生じた場合には、作業装置制御部18は、そのパーツフィーダ13の部品供給位置13Kをエラー発生箇所として特定し、部品装着作業を中断したうえで、リモート操作モードに入る。
【0041】
作業装置制御部18は、リモート操作モードに入ったら、基板カメラ16をエラー発生箇所の上方に移動させる。そして、エラー発生箇所を基板カメラ16に撮像させることによって、エラー情報を取得する(ステップST14)。エラー情報を取得したら、その取得したエラー情報(エラー発生箇所の画像)をサーバ3に送信する(ステップST15)。
【0042】
サーバ3は、サーチ部31bにおいて、数秒ごとに、作業装置2からエラー情報を受信したかどうかの検知動作を行う(
図8に示すフローチャートのステップST21)。そして、この検知動作において、作業装置2から送信されたエラー情報を受信したことを検知した場合には、複数のリモート監視部4の中から、オペレータによる対応が可能なステータスにあるリモート監視部4を検出するサーチをサーチ部31bにより実行する(ステップST22)。
【0043】
サーチ部31bは、ステップST22のサーチにおいて、各々のリモート監視部4に登録されているステータスを参照する。そして、ステータスが「対応可」に登録されているリモート監視部4を、オペレータによる対応が可能なステータスにあるリモート監視部4であると判断する。このサーチにおいて、オペレータによって予め転送拒否入力がなされているリモート監視部4はそのステータスが「対応不可」に登録されているので、サーバ3は、ステップST22のサーチにおいて、転送拒否がなされたリモート監視部4を、オペレータによる対応が可能なリモート監視部4ではないとして取り扱うことになる。
【0044】
サーバ3は、ステップST22のサーチにおいて検出したリモート監視部4にエラー情報を転送する(ステップST23)。ステップST23では、ステップST22において、ステータスが「対応可」に登録されているリモート監視部4として検出した一または複数のリモート監視部4のうち、前回のエラーに対するエラー解消操作が行われてからの経過時間が最も長いリモート監視部4にエラー情報を転送する。
【0045】
各々のリモート監視部4は、数秒ごとに、サーバ3から転送されたエラー情報を受信したかどうかの検知動作を行う(
図9に示すフローチャートのステップST31)。この検知動作において、リモート監視部4は、サーバ3から送信されたエラー情報を受信したことを検知した場合には、その受信したエラー情報を表示部22に表示させる(ステップST32)。これによりオペレータは、表示部22に表示されたエラー情報を見ながら、作業装置2に発生したエラーの解消操作を行うことができる。
【0046】
リモート監視部4は、ステップST32でエラー情報を表示部22に表示したら、オペレータによる入力(エラー解消操作入力またはジョブ返送入力)の待ち状態に入る(ステップST33)。そして、リモート監視部4は、オペレータによる入力があった場合には、その入力がエラー解消操作入力であるかどうかを判断し(ステップST34)、入力がエラー解消操作入力であったと判断した場合には、そのエラー解消操作入力に対応する操作信号(解消操作信号)をサーバ3に送信したうえで(ステップST35)、ステップST31に戻る。一方、ステップST34で、入力がエラー解消操作入力でなかった(ジョブ返送入力であった)と判断した場合には、リモート監視部4は、ジョブ返送信号をサーバ3に送信したうえで(ステップST36)、ステップST31に戻る。
【0047】
サーバ3は、前述のステップST23でエラー情報をリモート監視部4に転送した後には、或いは、前述のステップST21でエラー情報を受信しなかった場合には、複数のリモート監視部4のいずれかからからジョブ返送信号を受信したかどうかを判断する(
図8のフローチャートのステップST24)。そして、複数のリモート監視部4のいずれかからジョブ返送信号を受信していた場合にはステップST22に戻り、ジョブ返送信号を送信したリモート監視部4を除く他のリモート監視部4を対象として、改めてサーチを行う。そして、この改めて行ったサーチで検出したリモート監視部4にエラーの情報を改めて送信(転送)する(ステップST23)。
【0048】
このように本実施の形態では、リモート監視部4のオペレータは、サーバ3より転送されたエラーの情報に対するエラー解消操作を行わないで、そのエラー解消操作のジョブをサーバ3に送り返すジョブ返送入力をリモート監視部4から行うことができる。サーバ3は、リモート監視部4からジョブ返送入力があった場合には、そのジョブ返送入力があったリモート監視部4を除く他のリモート監視部4を対象として改めてサーチ部31bによるサーチを行うようになっている。このためリモート監視部4のオペレータは、ジョブ返送入力を行うことで、自身にとって処理が難しいと思われるジョブを他のオペレータに回すことができ、作業ライン2Lの全体としてのエラーの解消をスムーズに進行させることができる。
【0049】
サーバ3は、エラーの情報を改めて送信したらステップST24に進み、他のリモート監視部4からジョブ返送信号を受信しているかどうかを判断する。そして、他のリモート監視部4からジョブ返送信号を受信していた場合には再びステップST22に進み、他のリモート監視部4からジョブ返送信号を受信していなかった場合には、複数のリモート監視部4いずれかから解消操作信号を受信しているかどうかを判断する(ステップST25)。そして、複数のリモート監視部4いずれかから解消操作信号を受信していた場合には、その受信した解消操作信号に対応する作業装置2に解消操作信号を送信したうえで(ステップST26)、ステップST21に戻る。一方、ステップST25で解消操作信号を受信していなかった場合には、そのままステップST21に戻る。
【0050】
各々の作業装置2は、前述のステップST15において、サーバ3にエラー情報を送信したら、サーバ3より送信される解消操作信号の受信待ちに入る(
図7のフローチャートのステップST16)。そして、サーバ3より送信される解消操作信号を受信したら、その受信した解消操作信号に従って、作業装置2に発生したエラーを解消させるための所要の処置を実行する(ステップST17)。作業装置2は、受信した解消操作信号に従って、自身に発生したエラーが解消されるようにするための処置を実行したら、リモート操作モードから抜ける(ステップST18)。そしてステップST11に戻り、改めて、自身にエラーが発生しているかどうかの検知動作を行う。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態におけるリモート操作システム1では、複数の作業装置2のそれぞれに発生したエラーの情報を中継して複数のリモート監視部のいずれかに転送するサーバ3が、複数の作業装置2から受信した複数のエラーの情報を複数のリモート監視部4に割り振って転送するようになっている。このため複数の作業装置2に発生した複数のエラーは複数のリモート監視部4に分散され、従来のように同時期に発生した複数のエラーがひとりのオペレータに集中するようなことがない。その結果、エラーの解消処理がスムーズに進み、作業ライン2Lの全体のタクトが遅くなるおそれがない。すなわち本実施の形態におけるリモート操作システム1によれば、複数の作業装置2に同時期に発生した複数のエラーを遅滞なく解消できる。
【0052】
これまで本開示の実施の形態について説明してきたが、本発明は前述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、前述の実施の形態において、サーバ3は、サーチによってオペレータによる対応が可能なステータスにあるリモート監視部4が複数検出されたとき、その検出された複数のリモート監視部4のうち、前回のエラーに対するエラー解消操作が行われてからの経過時間が最も長いリモート監視部4にエラーの情報を転送するようになっていた。しかし、このような基準に替えて、或いはこのような基準に加えて、オペレータの作業能力を加味した基準(作業能力が高いオペレータが操作するリモート監視部4ほど多くのジョブが送られるようにする基準)を適用してエラー情報を振り分けるようにしてもよい。
【0053】
また、前述の実施の形態では、複数の作業装置2は作業ライン2Lを構成していたが、本発明が適用される対象となる作業装置2は必ずしも作業ライン2Lを構成していなければならないわけではない。また、前述の実施の形態では、作業装置2が作業対象である基板KBに部品BHを装着する部品実装装置であったが、本発明が適用される作業装置2は部品実装装置に限られない。
【0054】
本開示によれば、複数の作業装置に同時期に発生した複数のエラーを遅滞なく解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
複数の作業装置に同時期に発生した複数のエラーを遅滞なく解消することができるリモート操作システムを提供する。
【符号の説明】
【0056】
1 リモート操作システム
2 作業装置
3 サーバ
4 リモート監視部
11 基台
12 搬送コンベア
13 パーツフィーダ
13K 部品供給位置
13S スプロケット
14 ヘッド移動機構
15 装着ヘッド
15N ノズル
16 基板カメラ
17 部品カメラ
18 作業装置制御部
21 リモート監視制御部
21a エラー情報格納部
21b 信号送信部
21c ステータス登録部
22 表示部
23 入力部
31 サーバ制御部
31a 情報保存部
31b サーチ部
31c 転送部
BH 部品
CT キャリアテープ
GZ 画像
KB 基板
KC 中心位置
RL リール