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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】機器制御システム、及び、操作装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230609BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20230609BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20230609BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H04Q9/00 371B
H05B47/00
H04B1/04 E
H04B1/16 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019098374
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020195022
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】平松 宏司
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸本 龍海
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 朝
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040222(JP,A)
【文献】特開2015-038704(JP,A)
【文献】特開2002-164774(JP,A)
【文献】国際公開第2017/013760(WO,A1)
【文献】特開平10-252329(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0242024(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H05B 47/00
H04B 1/04
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信アンテナ、及び、前記送信アンテナと対向する位置に配置されるパネルであって平面視において前記送信アンテナの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって接触操作される被操作領域として定められたパネルを有する操作装置と、
前記送信アンテナによって送信される電波を受信する受信アンテナ、及び、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度に基づいて機器を制御する制御部を有する機器制御装置とを備える
機器制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度が所定期間以上所定値以下となったか否かに基づいて前記機器を制御する
請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度が第一態様で変化したと判定した場合に、前記機器の制御パラメータを変化させる制御を開始し、
前記制御パラメータを変化させる制御中に前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度が第二態様で変化したと判定した場合に、前記制御パラメータの変化を停止させ、停止時の制御パラメータで前記機器を動作させる
請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項4】
前記被操作領域は、前記送信アンテナの延伸方向に沿って長い形状に定められる
請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度が増加するか減少するかに基づいて、前記機器を制御する
請求項4に記載の機器制御システム。
【請求項6】
送信アンテナ、及び、前記送信アンテナと対向する位置に配置されるパネルであって平面視において前記送信アンテナの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって操作される被操作領域として定められたパネルを有する操作装置と、
前記送信アンテナによって送信される電波を受信する受信アンテナ、及び、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度に基づいて機器を制御する制御部を有する機器制御装置とを備え
前記操作装置は、前記送信アンテナとして第一電波を送信する第一送信アンテナを有し、さらに、第二電波を送信する第二送信アンテナを有し、
前記受信アンテナは、前記第一電波及び前記第二電波を受信する
機器制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、前記第二電波の受信信号強度が低下するタイミングに基づいて、前記機器を制御する
請求項6に記載の機器制御システム。
【請求項8】
送信アンテナ、及び、前記送信アンテナと対向する位置に配置されるパネルであって平面視において前記送信アンテナの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって操作される被操作領域として定められたパネルを有する操作装置と、
前記送信アンテナによって送信される電波を受信する受信アンテナ、及び、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度に基づいて機器を制御する制御部を有する機器制御装置とを備え
前記操作装置は、複数の前記送信アンテナとして、第一電波を送信する第一送信アンテナ、第二電波を送信する第二送信アンテナ、及び、第三電波を送信する第三送信アンテナを有し、
前記パネルには、前記第一送信アンテナの少なくとも一部と重なる第一被操作領域、前記第二送信アンテナの少なくとも一部と重なる第二被操作領域、及び、前記第三送信アンテナの少なくとも一部と重なる第三被操作領域が定められ、
平面視において、前記第一被操作領域、前記第二被操作領域、及び、前記第三被操作領域は、同一円周上に位置し、
前記受信アンテナは、前記第一電波、前記第二電波、及び、前記第三電波を受信する
機器制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、前記第二電波の受
信信号強度が低下するタイミング、及び、前記第三電波の受信信号強度が低下するタイミングに基づいて、前記機器を制御する
請求項8に記載の機器制御システム。
【請求項10】
前記パネルは、パネル本体、及び、前記パネル本体に対して回動する可動部を含み、
前記可動部は、金属材料によって形成され、前記被操作領域として使用され、
前記可動部には、スリットが設けられる
請求項1に記載の機器制御システム。
【請求項11】
前記操作装置は、さらに、前記ユーザが前記送信アンテナの送信電力を変更するために操作するハードウェアボタンを備える
請求項1~10のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項12】
前記操作装置は、さらに、
前記送信アンテナのアンテナインピーダンスの変化を検知する検知部と、
検知されたアンテナインピーダンスの変化に基づいて前記送信アンテナの送信電力を変更する信号処理部とを備える
請求項1~10のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項13】
前記操作装置は、さらに、前記パネルの輪郭に沿う環状の金属枠を備える
請求項1~12のいずれか1項に記載の機器制御システム。
【請求項14】
送信アンテナ、及び、前記送信アンテナと対向する位置に配置されるパネルであって平面視において前記送信アンテナの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって操作される被操作領域として定められたパネルを有する操作装置と、
前記送信アンテナによって送信される電波を受信する受信アンテナ、及び、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度に基づいて機器を制御する制御部を有する機器制御装置とを備え
前記操作装置は、一部が壁に埋め込まれることにより当該壁に設置され、
前記機器は、照明装置である
機器制御システム。
【請求項15】
操作装置であって、
送信アンテナと、
前記送信アンテナと対向する位置に配置されるパネルであって平面視において前記送信アンテナの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって接触操作される被操作領域として定められたパネルとを備え、
前記送信アンテナによって送信される電波は、前記操作装置と別体の機器制御装置が備える受信アンテナによって受信され、
前記機器制御装置は、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度に基づいて機器を制御する
操作装置。
【請求項16】
操作装置であって、
送信アンテナと、
前記送信アンテナと対向する位置に配置されるパネルであって平面視において前記送信アンテナの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって操作される被操作領域として定められたパネルとを備え、
前記送信アンテナによって送信される電波は、前記操作装置と別体の機器制御装置が備える受信アンテナによって受信され、
前記機器制御装置は、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度に基づいて機器を制御し、
前記操作装置は、一部が壁に埋め込まれることにより当該壁に設置され、
前記機器は、照明装置である
操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器制御システム、及び、操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの操作に基づいて照明装置を制御する技術が知られている。特許文献1には、暗い環境においても高い操作性を有する車室内照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-013776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な機器の遠隔制御においては、ユーザによって操作される、機器とは別体の操作装置がタッチパネルまたはハードウェアボタンなどの検出デバイスを備え、ユーザの操作は操作装置によって検出される。
【0005】
本発明は、ユーザが操作する装置とは別体の装置によるユーザの操作の検出を実現することができる機器制御システム、及び、このような機器制御システムに用いられる操作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る機器制御システムは、送信アンテナ、及び、前記送信アンテナと対向する位置に配置されるパネルであって平面視において前記送信アンテナの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって操作される被操作領域として定められたパネルを有する操作装置と、前記送信アンテナによって送信される電波を受信する受信アンテナ、及び、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度に基づいて機器を制御する制御部を有する機器制御装置とを備える。
【0007】
本発明の一態様に係る操作装置は、操作装置であって、送信アンテナと、前記送信アンテナと対向する位置に配置されるパネルであって平面視において前記送信アンテナの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって操作される被操作領域として定められたパネルとを備え、前記送信アンテナによって送信される電波は、前記操作装置と別体の機器制御装置が備える受信アンテナによって受信され、前記機器制御装置は、前記受信アンテナによって受信された前記電波の受信信号強度に基づいて機器を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが操作する装置とは別体の装置によるユーザの操作の検出が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る照明制御システムの概要を示す図である。
図2図2は、操作装置の正面図である。
図3図3は、操作装置の内部構造を示す正面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施の形態1に係る照明制御システムの動作例1のフローチャートである。
図6図6は、アンテナ利得の変化を示す図である。
図7図7は、アンテナ利得及び受信信号強度の関係の一例を示す図である。
図8図8は、実施の形態1に係る照明制御システムの動作例2のフローチャートである。
図9図9は、受信信号強度の低下を示す図である。
図10図10は、実施の形態1に係る照明制御システムの動作例3のフローチャートである。
図11図11は、動作例3における受信信号強度の経時変化の一例を示す図である。
図12図12は、送信アンテナの延伸方向が横方向である場合の被操作領域の形状及び配置の一例を示す図である。
図13図13は、送信アンテナの延伸方向が縦方向である場合の被操作領域の形状及び配置の一例を示す図である。
図14図14は、被操作領域がスワイプ操作されるときの受信信号強度の変化を示す第一の図である。
図15図15は、被操作領域がスワイプ操作されるときの受信信号強度の変化を示す第二の図である。
図16図16は、実施の形態1に係る照明制御システムの動作例4のフローチャートである。
図17図17は、実施の形態2に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図18図18は、2つの送信アンテナを備える操作装置の内部構造を示す正面図である。
図19図19は、実施の形態2に係る照明制御システムの動作例1のフローチャートである。
図20図20は、受信信号強度の低下がユーザの意図的な操作に基づくものである場合の受信信号強度の変化の一例を示す図である。
図21図21は、受信信号強度の低下がユーザの意図的な操作に基づくものでない場合の受信信号強度の変化の一例を示す図である。
図22図22は、実施の形態2の動作例2で使用される操作装置の内部構造を示す図である。
図23図23は、実施の形態2に係る照明制御システムの動作例2のフローチャートである。
図24図24は、第一電波の受信信号強度が先に低下した後、第二電波の受信信号強度が低下する例を示す図である。
図25図25は、2つの被操作領域の配置の第一の変形例を示す図である。
図26図26は、2つの被操作領域の配置の第二の変形例を示す図である。
図27図27は、実施の形態3に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図28図28は、3つの送信アンテナを備える操作装置の内部構造を示す正面図である。
図29図29は、実施の形態3に係る照明制御システムの動作例のフローチャートである。
図30図30は、受信信号強度が第一順序で低下する例を示す図である。
図31図31は、実施の形態4に係る照明制御システムの概要を示す図である。
図32図32は、実施の形態4に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図33図33は、可動部が本体部に対して時計回りに回動され、操作装置から送信される電波が垂直偏波となる場合を示す図である。
図34図34は、可動部が本体部に対して反時計回りに回動され、操作装置から送信される電波が水平偏波となる場合を示す図である。
図35図35は、操作装置から送信される電波が垂直偏波から水平偏波に変わったときの受信信号強度の一例を示す図である。
図36図36は、実施の形態4に係る照明制御システムの動作例のフローチャートである。
図37図37は、実施の形態5に係る操作装置の正面図である。
図38図38は、実施の形態5に係る操作装置の動作例のフローチャートである。
図39図39は、実施の形態6に係る無線モジュールの機能構成を示す模式図である。
図40図40は、方向性カプラの回路構成の一例を示す図である。
図41図41は、実施の形態6に係る別の無線モジュールの機能構成を示す模式図である。
図42図42は、インピーダンスの整合がとれているときの点P3及び点P4における電圧振幅を示す図である。
図43図43は、インピーダンスの整合が崩れているときの点P3及び点P4における電圧振幅を示す図である。
図44図44は、機器制御装置が照明装置とは別体の制御装置として実現される照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。また、以下の実施の形態において「同一」「一定」などの用語は、厳密な意味ではなく、微差及び誤差を含む意味で使用される。例えば、「同一」の用語は、「実質的に同一」の意味で使用される。
【0012】
(実施の形態1)
[照明制御システムの概要]
まず、実施の形態1に係る照明制御システムの構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る照明制御システムの概要を示す図である。
【0013】
図1に示されるように、照明制御システム100は、機器制御システムの一例であって、操作装置10と、照明装置20とを備える。照明制御システム100は、操作装置10に対して行われた操作を、操作装置10と別体、かつ、別置の照明装置20に内蔵された機器制御装置21が検出することにより、照明装置20を制御する。別体とは、例えば、外郭を構成する筐体が物理的に分離していることを意味し、別置とは、例えば、設置位置が物理的に離れていることを意味する。
【0014】
一般に、ユーザの操作を検出するためには、タッチパネル及びハードウェアボタンなどの検出デバイスが使用される。しかしながら、操作装置10は、このような検出デバイスを備えていない。図2は、操作装置10の正面図であり、図3は、操作装置10の内部構造を示す正面図(前面パネルを外した図)である。
【0015】
図1及び図2に示される、操作装置10が備える前面パネル12は、樹脂材料によって形成される平板状の部材であり、被操作領域12aを示す文字及び図形が印刷などによって表示されている。そして、図3に示されるように、平面視において、被操作領域12aは送信アンテナ14aの一部と重なり、送信アンテナ14aは、定常的に照明装置20に一定の強度の電波を送信している。「平面視」とは、前面パネル12の主面に平行な方向から見ることを意味する。
【0016】
このような構成においては、被操作領域12aの前方にユーザの指が位置するときには、送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスが変化し、電波の受信信号強度が低下する。照明装置20は、このような受信信号強度の低下を検出し、受信信号強度の低下が検出されるごと(つまり、ユーザが被操作領域12aを操作するごと)に照明装置20の点灯及び消灯を切り替える。
【0017】
このように、照明制御システム100は、操作装置10にタッチパネル及びハードウェアボタンなどの検出デバイスを使用することなく照明装置20を制御することができる。照明制御システム100では、操作装置10の簡素化、及び、小型化が容易である。
【0018】
[照明制御システムの構成]
次に、照明制御システム100の具体的な構成について、図1図3に加えて図4を参照しながら説明する。図4は、照明制御システム100の機能構成を示すブロック図である。まず、操作装置10について説明する。
【0019】
操作装置10は、照明装置20が設置される空間(部屋)の壁40などに設置されるユーザインターフェース装置である。操作装置10は、いわゆる壁スイッチ(壁スイッチ装置)として機能する。操作装置10は、筐体11と、前面パネル12と、金属枠13と、無線モジュール14と、信号処理部15と、記憶部16とを備える。
【0020】
筐体11は、無線モジュール14、信号処理部15、及び、記憶部16などを収容する。筐体11は、例えば、樹脂によって形成されるが、一部または全部が金属によって形成されてもよい。筐体11は、少なくとも後部が壁40に埋め込まれ、前部は開口している。
【0021】
前面パネル12は、樹脂材料などの非金属材料によって形成される平板状の部材であり、前面パネル12の主面は、ユーザが操作するフラットな面であり、凹凸及び可動部などは設けられていない。この主面には、被操作領域12aを示す文字及び図形が、印刷などにより静的(言い換えれば、非電気的に)に表示されている。図3に示されるように、平面視において、被操作領域12aは送信アンテナ14aの一部と重なる。前面パネル12は、樹脂材料によって形成される単なる板材であり、液晶パネルのような画像表示機能、及び、タッチパネルのような検出機能を有していない。
【0022】
なお、前面パネル12を形成する樹脂材料(材質)が適宜選択されることにより、検出範囲(どの程度ユーザの指が近づくと送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスが大きく変化するか)を調整することができる。検出範囲は、例えば、送信アンテナ14aからλ×1/8の範囲(λは、電波の波長)に調整される。
【0023】
金属枠13は、上記検出範囲を前面パネル12の前方に限定するためのシールドとして機能する枠体である。金属枠13は、前面パネル12の輪郭に沿う環状である。金属枠13によれば検出範囲が限定されるため、照明装置20が誤って(ユーザの意図に反して)制御されてしまうことが抑制される。なお、筐体11自体が金属材料によって形成されるような場合には、金属枠13は省略されてもよい。
【0024】
無線モジュール14は、操作装置10が照明装置20に電波を送信するためのモジュールであり、具体的には、送信アンテナ14aと、基板14bと、基板14bに実装された回路部品によって構成される無線通信回路14cとを含む。送信アンテナ14aには、例えば、不平衡アンテナが用いられる。送信アンテナ14aは、具体的には、モノポールアンテナであるが、チップアンテナ、ヘリカルアンテナ、または、ループアンテナなどであってもよい。送信アンテナ14aは、例えば、2.4GHz帯の電波を送信するが、920MHz帯の電波を送信してもよい。送信アンテナ14aが送信する電波は、受信信号強度の計測用の電波であり、この電波には、照明装置20を制御するための情報(調光比を指定する情報など)は含まれない。つまり、照明装置20(機器制御装置21)は、例えば、送信アンテナ14aが送信する電波を情報としては認識せず、専ら受信信号強度の計測に用いる。
【0025】
信号処理部15は、無線モジュール14を用いた電波の送信を行う。信号処理部15は、具体的には、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
【0026】
記憶部16は、信号処理部15が無線モジュール14を制御するために実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部16は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。なお、信号処理部15及び記憶部16は、無線モジュール14の一部として実現されてもよい。
【0027】
次に、照明装置20について説明する。照明装置20は、照明制御システム100における制御対象機器である。照明装置20は、光源22と、無線モジュール23と、制御部24と、記憶部25とを備える。無線モジュール23、制御部24、及び、記憶部25は、機器制御装置21を構成する。
【0028】
光源22は、制御部24によって発光制御される発光モジュールである。光源22は、例えば、基板上に複数のLED素子が実装された発光モジュールであり、白色光を発する。光源22は、調色に対応した発光モジュールであってもよい。
【0029】
無線モジュール23は、照明装置20が操作装置10によって送信された電波を受信するためのモジュールであり、具体的には、受信アンテナ23aと、無線通信回路23bとを含む。受信アンテナ23aには、例えば、不平衡アンテナが用いられる。受信アンテナ23aは、具体的には、モノポールアンテナであるが、チップアンテナ、ヘリカルアンテナ、または、ループアンテナなどであってもよい。無線通信回路23bには、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度を計測する計測回路が含まれる。
【0030】
制御部24は、無線通信回路23bによって計測された受信信号強度に基づいて、光源22の発光制御を行う。制御部24は、具体的には、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
【0031】
記憶部25は、制御部24が発光制御を行うために実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部25は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。なお、制御部24及び記憶部25は、無線モジュール23の一部として実現されてもよい。
【0032】
[動作例1]
次に、照明制御システム100の動作例1について説明する。図5は、照明制御システム100の動作例1のフローチャートである。
【0033】
まず、照明装置20(機器制御装置21)の受信アンテナ23aは、送信アンテナ14aによって送信された電波を受信する(S11)。
【0034】
次に、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度(無線通信回路23bによって計測される受信信号強度)をモニタする。上述のように、被操作領域12aの前方の検出範囲内にユーザの指(誘電体)が位置するとき(以下、誘電体検出時、または、操作時などとも記載される)には、送信アンテナ14aのアンテナインピーダンス(言い換えれば、アンテナ利得)が変化する。図6は、アンテナ利得の変化を示す図であり、誘電体検出時の電波の中心周波数におけるアンテナ利得は、通常時(誘電体非検出時)に比べて大きく低下する。したがって、誘電体検出時には、照明装置20における受信信号強度も低下する。図7は、アンテナ利得及び受信信号強度の関係の一例を示す図である。
【0035】
そこで、制御部24は、受信信号強度が所定値以下に低下したか否か(つまり、被操作領域12aの前方にユーザの指が位置するか否か)を判定する(S12)。制御部24は、受信信号強度が所定値以下に低下したと判定すると(S12でYes)、光源22が発光中であるか否かを判定する(S13)。制御部24は、光源22が発光中であると判定すると(S13でYes)、光源22を消灯させる(S14)。一方、制御部24は、光源22が消灯中であると判定すると(S13でNo)、光源22を点灯する(S15)。一方、受信信号強度が所定値以下に低下していないと判定された場合には(S12でNo)、発光及び消灯の切り替えは行われない。
【0036】
[動作例2]
次に、照明制御システム100の動作例2について説明する。図8は、照明制御システム100の動作例2のフローチャートである。
【0037】
まず、照明装置20の受信アンテナ23aは、送信アンテナ14aによって送信された電波を受信する(S21)。
【0038】
次に、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度(無線通信回路23bによって計測される受信信号強度)をモニタする。制御部24は、受信信号強度が所定値以下に低下したか否か(つまり、被操作領域12aの前方にユーザの指が位置するか否か)を判定する(S22)。制御部24は、受信信号強度が所定値以下に低下したと判定すると(S22でYes)、受信信号強度が所定値以下となる期間の長さの計測を開始し、計測した期間が所定期間に到達したか否かを判定する(S23)。
【0039】
制御部24は、計測した期間が所定期間に到達したと判定すると(S23でYes)、光源22が発光中であるか否かを判定する(S24)。制御部24は、光源22が発光中であると判定すると(S24でYes)、光源22を消灯させる(S25)。一方、制御部24は、光源22が消灯中であると判定すると(S24でNo)、光源22を点灯する(S26)。一方、受信信号強度が所定値以下に低下していないと判定された場合(S22でNo)、及び、受信信号強度が所定値以下の期間が所定期間に到達していないと判定された場合(S23でNo)には、発光及び消灯の切り替えは行われない。
【0040】
このように、動作例2では、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度が所定期間以上の間所定値以下となったか否かに基づいて照明装置20(光源22)を制御する。つまり、図9の(a)に示されるように受信信号強度が短期間の間低下しても発光及び消灯の切り替えは行われず、図9の(b)に示されるように受信信号強度がある程度長い期間低下したときにのみ発光及び消灯の切り替えが行われる。図9は、受信信号強度の低下を示す図である。これにより、ユーザが意図的にある程度長い期間、被操作領域12aに指を近づけなければ発光及び消灯の切り替えは行われなくなるため、誤検出の発生が抑制される。
【0041】
[動作例3]
動作例2において説明した短時間の受信信号強度の低下は、タッチパネルなどの一般的な検出デバイスにおけるシングルタップ操作に相当するといえ、比較的長い期間の受信信号強度の低下は、長押し操作に相当するといえ、照明装置20はこれらを区別することができる。同様に、照明装置20は、ダブルタップ操作に相当する受信信号強度の低下を検出することもできる。動作例3では、受信信号強度の変化の態様(シングルタップ態様、長押し態様、またはダブルタップ態様)に応じて照明装置20が調光される動作例3について説明する。図10は、照明制御システム100の動作例3のフローチャートである。
【0042】
まず、照明装置20の受信アンテナ23aは、送信アンテナ14aによって送信された電波を受信する(S31)。制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度(無線通信回路23bによって計測される受信信号強度)をモニタし、受信信号強度が長押し態様で変化したか否かの判定を行う(S32)。この判定は、例えば、受信信号強度が長押し態様で変化したと判定されるまで継続される(S32でNo)。
【0043】
制御部24は、受信信号強度が長押し態様で変化したと判定すると(S32でYes)、調光率増加モードに遷移し、光源22の調光率(例えば、調光率0%は消灯を意味し、調光率100%は最大の明るさでの発光を意味する)を徐々に増加させる(S33)。制御部24は、調光率増加モードの動作中に、受信信号強度がダブルタップ態様で変化したか否かの判定を行う(S34)。制御部24は、受信信号強度がダブルタップ態様で変化したと判定すると(S34でYes)、判定が行われたタイミングで調光率の変化を停止させ、当該タイミングの調光率で光源22を発光させる(S35)。調光率増加モードの動作は、受信信号強度がダブルタップ態様で変化したと判定されるまで継続される(S34でNo)。
【0044】
このような動作中の受信信号強度の変化は、例えば、図11のようになる。図11は、動作例3における受信信号強度の経時変化の一例を示す図である。なお、調光率を減少させる動作も同様に実現できる。つまり、動作例3の説明において、「調光率の増加」は「調光率の減少」に読み代えられてよい。また、調色動作も同様に実現することができる。つまり、動作例3の説明において「調光率」は、「光源22の色温度」に読み代えられてもよい。
【0045】
このように、動作例3では、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度が第一態様(例えば、長押し態様)で変化したと判定した場合に、照明装置20の調光率を変化させる制御を開始する。制御部24は、調光率を変化させる制御中に受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度が第二態様(例えば、ダブルタップ態様)で変化したと判定した場合に、調光率の変化を停止させ、停止時の調光率で照明装置20を発光させる。つまり、照明制御システム100は、受信信号強度の変化の態様によって照明装置20を制御することができる。
【0046】
なお、第一態様は、長押し態様に限定されず、ダブルタップ態様などのその他の態様であってもよい。第二態様は、ダブルタップ態様に限定されず、長押し態様などのその他の態様であってもよい。第一態様及び第二態様は、互いに異なる態様であってもよいし、同一の態様(例えば、いずれもダブルタップ態様)であってもよい。
【0047】
[動作例4]
ところで、被操作領域12aは、平面視において送信アンテナ14aの少なくとも一部と重なればよく、被操作領域12aの形状及び配置などは特に限定されない。例えば、被操作領域12aは、送信アンテナ14aの延伸方向に沿って長い形状に定められてもよい。図12は、送信アンテナ14aの延伸方向が横方向である場合の被操作領域12aの形状及び配置の一例を示す図である。図13は、送信アンテナ14aの延伸方向が縦方向である場合の被操作領域12aの形状及び配置の一例を示す図である。なお、図12及び図13はいずれも前面パネル12が外された状態の操作装置10の正面図であり、被操作領域12aについては破線で図示されている。以下、このように長尺状の被操作領域12aが定められた場合の照明制御システム100の動作例4について説明する。
【0048】
一般に、送信アンテナ14aから発せられる電波の強度は、送信アンテナ14aの基板14b(言い換えれば無線通信回路14c)に接続される一方の端部の位置P1のほうが、送信アンテナ14aの他方の端部(先端部)の位置P2よりも大きい。つまり、被操作領域12aのうち位置P1に近い位置が操作されたときの照明装置20における受信信号強度の低下量は、被操作領域12aのうち位置P2に近い位置が操作されたときの照明装置20における受信信号強度の低下量よりも大きい。この場合、制御部24は、受信信号強度の低下の程度または低下の傾向に基づいて照明装置20を制御することができる。
【0049】
例えば、ユーザが被操作領域12aをスワイプ操作(言い換えれば、スライド操作)するような場合が考えられる。この場合、スワイプ操作が位置P1から位置P2に向けての操作である場合、受信アンテナ23aによって受信される電波の受信信号強度は、図14に示されるように、最初に大きく低下して最小値に達した後、徐々に増加する。一方、スワイプ操作が位置P2から位置P1に向けての操作である場合、受信アンテナ23aによって受信される電波の受信信号強度は、図15に示されるように、徐々に低下して最小値に達する。図14及び図15は、被操作領域12aがスワイプ操作されるときの受信信号強度の変化を示す図である。
【0050】
制御部24は、このような受信信号強度の変化を検出することで照明装置20を調光することができる。図16は、照明制御システム100の動作例4のフローチャートである。
【0051】
まず、照明装置20の受信アンテナ23aは、送信アンテナ14aによって送信された電波を受信する(S41)。制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度(無線通信回路23bによって計測される受信信号強度)をモニタし、受信信号強度がどのように変化したかの判定を行う(S42)。制御部24は、受信信号強度が最初に大きく低下して最小値に達した後、徐々に増加すると判定した場合には(S42で増加)、光源22を現在よりも明るく(あるいは暗く)発光させる(S43)。制御部24は、受信信号強度が徐々に低下して最小値に達すると判定した場合には(S42で低下)、光源22を現在よりも暗く(あるいは明るく)発光させる(S44)。同様の方法で、照明装置20(光源22)を調色することも可能である。
【0052】
このように、動作例4では、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度が増加するか低下するかに基づいて、照明装置20を制御する。つまり、照明制御システム100は、受信信号強度の変化が増加傾向であるか低下傾向であるかに基づいて照明装置20を制御することができる。
【0053】
(実施の形態2)
[構成]
実施の形態2では、2つの送信アンテナを備える操作装置を含む照明制御システムについて説明する。まず、このような実施の形態2に係る照明制御システムの構成について説明する。図17は、実施の形態2に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。図18は、2つの送信アンテナを備える操作装置の内部構造を示す正面図(前面パネル12を外した図)である。図18では、前面パネル12の被操作領域が破線で図示されている。
【0054】
図17及び図18に示されるように、実施の形態2に係る照明制御システム200は、操作装置210と、照明装置20とを備える。操作装置210は、筐体11と、前面パネル12(図示せず)と、金属枠13と、第一無線モジュール17と、第二無線モジュール18と、信号処理部15と、記憶部16とを備える。
【0055】
第一無線モジュール17は、操作装置210が照明装置20に電波を送信するためのモジュールであり、具体的には、第一送信アンテナ17aと、基板17bと、基板17bに実装された回路部品によって構成される無線通信回路17cとを含む。第一送信アンテナ17aには、例えば、送信アンテナ14aと同様に不平衡アンテナが用いられる。第一送信アンテナ17aは、例えば、2.4GHz帯の電波を送信するが、920MHz帯の電波を送信してもよい。
【0056】
第二無線モジュール18は、操作装置210が照明装置20に電波を送信するためのモジュールであり、具体的には、第二送信アンテナ18aと、基板18bと、基板18bに実装された回路部品によって構成される無線通信回路18cとを含む。第二送信アンテナ18aには、例えば、送信アンテナ14aと同様に不平衡アンテナが用いられる。第二送信アンテナ18aは、例えば、2.4GHz帯の電波を送信するが、920MHz帯の電波を送信してもよい。第二送信アンテナ18aが送信する電波の周波数帯は、第一送信アンテナ17aと同一であってもよいし、異なってもよい。第二送信アンテナ18aが送信する電波の周波数帯が、第一送信アンテナ17aが送信する電波の周波数帯と異なる場合、第二送信アンテナ18aが送信する電波、及び、第一送信アンテナ17aが送信する電波は、周波数チャンネルが互いに異なる。なお、第二送信アンテナ18aは、第一送信アンテナ17aと同一の無線通信回路に電気的に接続されてもよい。つまり、第一送信アンテナ17a及び第二送信アンテナ18aは、1つの無線通信回路を共用してもよい。
【0057】
[動作例1]
図18に示されるように、前面パネル12には、第一送信アンテナ17aの一部と重なる被操作領域12aが定められているが、第二送信アンテナ18aの一部と重なる被操作領域は定められていない。操作装置210においては、第二送信アンテナ18aは、被操作領域12aへの操作が意図的なものであるかの確認に用いられる。図19は、このような照明制御システム200の動作例1のフローチャートである。
【0058】
まず、照明装置20の受信アンテナ23aは、第一送信アンテナ17aによって送信された第一電波、及び、第二送信アンテナ18aによって送信された第二電波を受信する(S51)。なお、第一電波及び第二電波の周波数帯が同一である場合、第一電波及び第二電波は、例えば、周波数チャンネルが互いに異なることによって区別される。第一電波及び第二電波は、周波数帯が互いに異なることによって区別されてもよい。この場合、照明装置20は、第一電波を受信するための無線モジュール、及び、これとは別の第二電波を受信するための無線モジュールを備えることにより、第一電波及び第二電波を区別することができる。また、第一電波及び第二電波が交互に受信されて受信信号強度の包絡線で変化を検知する方法など、第一電波及び第二電波は、受信時刻が変更されることによって区別されてもよい。
【0059】
次に、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された第一電波の受信信号強度(無線通信回路23bによって計測される受信信号強度)をモニタする。制御部24は、第一電波の受信信号強度が所定値以下に低下したか否かを判定する(S52)。制御部24は、第一電波の受信信号強度が所定値以下に低下したと判定すると(S52でYes)、実質的に同じタイミングで第二電波の受信信号強度が所定値以下に低下していないか否かを判定する(S53)。
【0060】
第一電波の受信信号強度の低下がユーザの意図的なものである場合、被操作領域12aの前方の検出範囲にのみユーザの指が位置すると考えられる。このような場合、図20に示されるように、第一電波の受信信号強度は所定値以下に低下するが、第二電波の受信信号強度はほとんど低下しないと考えられる。図20は、受信信号強度の低下がユーザの意図的な操作に基づくものである場合の受信信号強度の変化の一例を示す図である。
【0061】
一方、操作装置210の前に遮蔽物がある(例えば、人が立っている)など、第一電波の受信信号強度の低下がユーザの意図的なものでない場合、図21に示されるように、第一電波の受信信号強度及び第二電波の受信信号強度はいずれも所定値以下に低下すると考えられる。図21は、受信信号強度の低下がユーザの意図的な操作に基づくものでない場合の受信信号強度の変化の一例を示す図である。
【0062】
そこで、制御部24は、第二電波の受信信号強度が低下していないと判定すると(S53でNo)、光源22が発光中であるか否かを判定する(S54)。制御部24は、光源22が発光中であると判定すると(S54でYes)、光源22を消灯させる(S55)。一方、制御部24は、光源22が消灯中であると判定すると(S54でNo)、光源22を点灯する(S56)。一方、第一電波の受信信号強度が所定値以下に低下していないと判定された場合(S52でNo)、及び、第一電波の受信信号強度と第二電波の受信信号強度とが実質的に同じタイミングで低下していると判定された場合(S53でNo)には、発光及び消灯の切り替えは行われない。
【0063】
このように、動作例1では、制御部24は、第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、第二電波の受信信号強度が低下するタイミングに基づいて、照明装置20(光源22)を制御する。制御部24は、具体的には、第一電波の受信信号強度のみが低下しているか、第一電波の受信信号強度及び第二電波の受信信号強度の両方が低下しているかに基づいて照明装置20の発光及び消灯を切り替える。これにより、ユーザが意図的に被操作領域12aの操作を行わなければ発光及び消灯の切り替えが行われなくなるため、誤検出の発生が抑制される。
【0064】
[動作例2]
操作装置210においては、第二送信アンテナ18aの一部と重なる被操作領域が定められていてもよい。図22は、このような操作装置210の内部構造を示す正面図(前面パネル12を外した図)であり、第一送信アンテナ17aの一部と重なる被操作領域12a、及び、第二送信アンテナ18aの一部と重なる被操作領域12bが破線で図示されている。なお、図22の例では、第一送信アンテナ17a及び第二送信アンテナ18aは1つの無線通信回路17cを共用しているが、第一送信アンテナ17a及び第二送信アンテナ18aは互いに異なる無線通信回路に接続されていてもよい。
【0065】
このような操作装置210を有する照明制御システム200は、被操作領域12a、及び、被操作領域12bに対して行われる操作の順序に基づいて照明装置20を制御することができる。図23は、このような照明制御システム200の動作例2のフローチャートである。
【0066】
まず、照明装置20の受信アンテナ23aは、第一送信アンテナ17aによって送信された第一電波、及び、第二送信アンテナ18aによって送信された第二電波を受信する(S61)。なお、第一電波及び第二電波の周波数帯が同一である場合、第一電波及び第二電波は、例えば、周波数チャンネルが互いに異なることによって区別される。第一電波及び第二電波は、周波数帯が互いに異なることによって区別されてもよい。この場合、照明装置20は、第一電波を受信するための無線モジュール、及び、これとは別の第二電波を受信するための無線モジュールを備えることにより、第一電波及び第二電波を区別することができる。また、第一電波及び第二電波が交互に受信されて受信信号強度の包絡線で変化を検知する方法など、第一電波及び第二電波は、受信時刻が変更されることによって区別されてもよい。
【0067】
次に、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された第一電波の受信信号強度、及び、第二電波の受信信号強度をモニタし、これらの受信信号強度がどのように変化したかの判定を行う(S62)。制御部24は、第一電波の受信信号強度が最初に低下した後、第二電波の受信信号強度が低下したと判定した場合には(S62で第一電波、第二電波の順で低下)、光源22を現在よりも明るく(あるいは暗く)発光させる(S63)。図24は、第一電波の受信信号強度が最初に低下した後(図24の(a))、第二電波の受信信号強度が低下する(図24の(b))例を示す図である。例えば、被操作領域12aから被操作領域12bに向かう横方向のスワイプ操作などが行われると、このような態様で受信信号強度が低下する。
【0068】
一方、制御部24は、受信信号強度が徐々に低下して最小値に達すると判定した場合には(S62で第二、第一の順で低下)、光源22を現在よりも暗く(あるいは明るく)発光させる(S64)。例えば、被操作領域12bから被操作領域12aに向かう横方向のスワイプ操作などが行われると、このような態様で受信信号強度が低下する。
【0069】
このように、動作例2では、制御部24は、第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、第二電波の受信信号強度が低下するタイミングに基づいて、照明装置20(光源22)を制御する。制御部24は、具体的には、第一電波の受信信号強度の低下、及び、第二電波の受信信号強度の低下が発生する順序に基づいて照明装置20を調光する。同様の方法で、照明装置20(光源22)を調色することも可能である。
【0070】
なお、操作装置210においては、被操作領域12a及び被操作領域12bは、横方向に並んで配置されたが、図25に示されるように、被操作領域12a及び被操作領域12bは、縦方向に並んで配置されてもよい。図25は、被操作領域12a及び被操作領域12bの配置の第一の変形例を示す図である。この配置によれば、制御部24は、縦方向のスワイプ操作を検出することができる。また、図26に示されるように、被操作領域12a及び被操作領域12bは、対角線方向に並んで配置されてもよく、この場合、制御部24は、第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、第二電波の受信信号強度が低下するタイミングのズレ量に基づいて、対角線方向のスワイプ操作、縦方向のスワイプ操作、及び、横方向のスワイプ操作などを検出することができる。図26は、被操作領域12a及び被操作領域12bの配置の第二の変形例を示す図である。
【0071】
(実施の形態3)
[構成]
実施の形態3では、3つの送信アンテナを備える操作装置を含む照明制御システムについて説明する。まず、このような実施の形態3に係る照明制御システムの構成について説明する。図27は、実施の形態3に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。図28は、3つの送信アンテナを備える操作装置の内部構造を示す正面図(前面パネル12を外した図)である。図28では、前面パネル12の被操作領域が破線で図示されている。
【0072】
図27及び図28に示されるように、実施の形態3に係る照明制御システム300は、操作装置310と、照明装置20とを備える。操作装置310は、筐体11と、前面パネル12(図示せず)と、金属枠13と、無線モジュール19と、信号処理部15と、記憶部16とを備える。
【0073】
無線モジュール19は、操作装置310が照明装置20に電波を送信するためのモジュールであり、具体的には、第一送信アンテナ19aと、第二送信アンテナ19bと、第三送信アンテナ19cと、基板19dと、基板19dに実装された回路部品によって構成される無線通信回路19eとを含む。第一送信アンテナ19a、第二送信アンテナ19b、及び、第三送信アンテナ19cのそれぞれには、例えば、送信アンテナ14aと同様に不平衡アンテナが用いられる。第一送信アンテナ17a、第二送信アンテナ19b、及び、第三送信アンテナ19cのそれぞれは、例えば、2.4GHz帯の電波を送信するが、920MHz帯の電波を送信してもよい。第一送信アンテナ19aが送信する電波、第二送信アンテナ19bが送信する電波、及び、第三送信アンテナ19cが送信する電波は、互いに周波数帯が異なってもよいし、同一の周波数帯でチャンネルが互いに異なってもよい。なお、第一送信アンテナ19a、第二送信アンテナ19b、及び、第三送信アンテナ19cのそれぞれは、互いに異なる無線通信回路に電気的に接続されていてもよい。
【0074】
前面パネル12には、第一送信アンテナ19aの少なくとも一部と重なる第一被操作領域12c、第二送信アンテナ19bの少なくとも一部と重なる第二被操作領域12d、及び、第三送信アンテナ19cの少なくとも一部と重なる第三被操作領域12eが定められる。平面視において、第一被操作領域12c、第二被操作領域12d、及び、第三被操作領域12eは、同一円周上に位置する。なお、第一被操作領域12c、第二被操作領域12d、及び、第三被操作領域12eは、一体的に形成されてもよい。第一被操作領域12c、第二被操作領域12d、及び、第三被操作領域12eは、例えば、円環状または円形の1つ領域を形成してもよい。
【0075】
[動作例]
照明制御システム300は、ユーザの、前面パネル12に対する、円周に沿ったスワイプ操作を検出することができる。また、照明制御システム300は、前面パネル12を時計回りにスワイプする操作、及び、前面パネル12を反時計回りにスワイプする操作を区別することができる。以下、このような照明制御システム300の動作例について説明する。図29は、照明制御システム300の動作例のフローチャートである。
【0076】
まず、照明装置20の受信アンテナ23aは、第一送信アンテナ19aによって送信された第一電波、第二送信アンテナ19bによって送信された第二電波、及び、第三送信アンテナ19cによって送信された第三電波を受信する(S71)。
【0077】
次に、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された第一電波の受信信号強度、第二電波の受信信号強度、及び、第三電波の受信信号強度をモニタし、これらの受信信号強度がどのように変化したかの判定を行う(S72)。制御部24は、第一電波の受信信号強度、第二電波の受信信号強度、及び、第三電波の受信信号強度が第一順序で低下したと判定した場合には(S72で第一順序)、光源22を現在よりも明るく(あるいは暗く)発光させる(S73)。第一順序には、(第一電波、第二電波、第三電波)の順序、(第二電波、第三電波、第一電波)の順序、及び、(第三電波、第一電波、第二電波)の順序が含まれる。
【0078】
図30は、受信信号強度が第一順序で低下する例を示す図である。例えば、第一被操作領域12c、第二被操作領域12d、及び、第三被操作領域12eをこの順に通る時計回りのスワイプ操作が行われると、このような第一順序で受信信号強度が低下する。
【0079】
一方、制御部24は、受信信号強度が第一順序と逆順の第二順序で低下したと判定した場合には(S72で第二順序)、光源22を現在よりも暗く(あるいは明るく)発光させる(S74)。例えば、第三被操作領域12e、第二被操作領域12d、及び、第一被操作領域12cをこの順に通る反時計回りのスワイプ操作が行われると、第二順序で受信信号強度が低下する。
【0080】
このように、実施の形態3では、制御部24は、第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、第二電波の受信信号強度が低下するタイミングに基づいて、照明装置20(光源22)を制御する。制御部24は、具体的には、第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、第二電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、第三電波の受信信号強度が低下するタイミングに基づいて照明装置20を調光する。同様の方法で、照明装置20(光源22)を調色することも可能である。
【0081】
(実施の形態4)
[構成]
実施の形態4では、前面パネルに可動部が設けられた操作装置を含む照明制御システムについて説明する。まず、このような実施の形態4に係る照明制御システムの構成について説明する。図31は、実施の形態4に係る照明制御システムの概要を示す図である。図32は、実施の形態4に係る照明制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【0082】
図31及び図32に示されるように、実施の形態4に係る照明制御システム400は、操作装置410と、照明装置420とを備える。
【0083】
操作装置410は、筐体11と、前面パネル412と、金属枠13(図示せず)と、無線モジュール14と、信号処理部15と、記憶部16とを備える。
【0084】
操作装置410が備える前面パネル412は、パネル本体412aと、パネル本体412aに対して回動する、平面視形状が円形の可動部412bとを含む。可動部412bは、金属材料によって形成され、スリット412cが設けられている。スリット412cの長さは、例えば、1/2λである。電波の周波数が高いほどスリット412cの長さは短くなり、操作装置410の小型化を図ることができる。また、電波の周波数が高いほど電波の直進性が向上される。
【0085】
このような前面パネル412においては、可動部412bが被操作領域として機能する。操作装置410においては、送信アンテナ14aが発する電波はスリット412cを通じて出射されるが、可動部412bがパネル本体412aに対して回動されると、電波の偏波面が変化する。図33は、可動部412bがパネル本体412aに対して時計回りに回動され、操作装置410から送信される電波が垂直偏波となる場合を示す図であり、図34は、可動部412bがパネル本体412aに対して反時計回りに回動され、操作装置410から送信される電波が水平偏波となる場合を示す図である。
【0086】
照明装置420は、照明装置20は、光源22と、無線モジュール423と、制御部24と、記憶部25とを備える。無線モジュール423、制御部24、及び、記憶部25は、機器制御装置421を構成する。
【0087】
無線モジュール423は、照明装置420が操作装置410によって送信された電波を受信するためのモジュールであり、具体的には、第一受信アンテナ423aと、第二受信アンテナ423bと、第三受信アンテナ423cと、無線通信回路423dとを含む。第一受信アンテナ423a、第二受信アンテナ423b、及び、第三受信アンテナ423cは、偏波面が互いに異なる(ある偏波面を有する電波に対する受信感度が互いに異なる)ように配置されている。図35は、操作装置410から送信される電波が垂直偏波から水平偏波に変わったときの受信信号強度の一例を示す図である。図35の例では、操作装置410から送信される電波が垂直偏波のときには、第一受信アンテナ423aの受信信号強度が最も高く、かつ、第二受信アンテナ423bの受信信号強度が最も低くなる。一方、操作装置410から送信される電波が水平偏波のときには、第二受信アンテナ423bの受信信号強度が最も高く、かつ、第一受信アンテナ423aの受信信号強度が最も低くなる。
【0088】
制御部24は、このような受信信号強度の大きさの差に基づいて、操作装置410から送信される電波の偏波面が変わったこと(可動部412bが回動されたこと)を検出することができる。なお、無線モジュール423は、3つの受信アンテナを備えているが、少なくとも2つの受信アンテナを備えていればよい。
【0089】
第一受信アンテナ423a、第二受信アンテナ423b、及び、第三受信アンテナ423cのそれぞれには、例えば、不平衡アンテナが用いられる。第一受信アンテナ423a、第二受信アンテナ423b、及び、第三受信アンテナ423cのそれぞれは、具体的には、モノポールアンテナであるが、チップアンテナ、ヘリカルアンテナ、または、ループアンテナなどであってもよい。無線通信回路423dには、第一受信アンテナ423a、第二受信アンテナ423b、及び、第三受信アンテナ423cのそれぞれによって受信された電波の受信信号強度を計測する計測回路が含まれる。なお、第一受信アンテナ423a、第二受信アンテナ423b、及び、第三受信アンテナ423cは、互いに異なる無線通信回路に電気的に接続されていてもよい。
【0090】
[動作例]
以下、このような照明制御システム400の動作例について説明する。図36は、照明制御システム400の動作例のフローチャートである。
【0091】
まず、照明装置420の第一受信アンテナ423a、第二受信アンテナ423b、及び、第三受信アンテナ423cは、第一送信アンテナ19aによって送信された電波を受信する(S81)。なお、第一電波、第二電波、及び、第三電波は、例えば、周波数チャンネルが互いに異なることによって区別される。
【0092】
次に、制御部24は、第一受信アンテナ423aによって受信された電波の受信信号強度、第二受信アンテナ423bによって受信された電波の受信信号強度、及び、第三受信アンテナ423cによって受信された電波の受信信号強度をモニタし、これらの受信信号強度がどのように変化したかの判定を行う(S82)。
【0093】
制御部24は、上記図35に示されるように、3つの受信アンテナの受信信号強度がほぼ等しい状態から、第一受信アンテナ423aの受信信号強度が最も大きく、第二受信アンテナ423bの受信信号強度が最も低い第一状態に変化したと判定した場合には(S82で第一状態)、光源22を現在よりも明るく(あるいは暗く)発光させる(S83)。第一状態は、可動部412bが時計回りに回動され、操作装置410から送信される電波が垂直偏波となる状態である。
【0094】
一方、制御部24は、3つの受信アンテナの受信信号強度がほぼ等しい状態から、第二受信アンテナ423bの受信信号強度が最も大きく、第一受信アンテナ423aの受信信号強度が最も低い第二状態に変化したと判定した場合には(S82で第二状態)、光源22を現在よりも暗く(あるいは明るく)発光させる(S84)。第二状態は、可動部412bが反時計回りに回動され、操作装置410から送信される電波が水平偏波となる状態である。
【0095】
このように、実施の形態4では、制御部24は、第一受信アンテナ423aの受信信号強度、及び、第二受信アンテナ423bの受信信号強度に基づいて、照明装置20(光源22)を調光する。同様の方法で、照明装置20(光源22)を調色することも可能である。
【0096】
(実施の形態5)
[構成]
上記実施の形態1では、操作装置10に対して行われた操作を、操作装置10と別体の照明装置20(より詳細には機器制御装置21)によって検出するために、操作装置10は、定常的に一定の強度の電波を照明装置20に送信する必要がある。ここで、操作装置10は、必要な期間にのみ選択的に電波を送信することができれば、消費電力を抑制することができる。以下、このような実施の形態5に係る操作装置の構成について説明する。図37は、実施の形態5に係る操作装置の正面図である。
【0097】
図37に示されるように、実施の形態5に係る操作装置510は、操作装置10に電源ボタン12fが追加された構成を有する。電源ボタン12fは、ハードウェアボタンであり、ユーザが送信アンテナ14aの送信電力を変更するために操作する。
【0098】
[動作例]
このような操作装置510の動作について説明する。図38は、操作装置510の動作例のフローチャートである。
【0099】
操作装置510の信号処理部15は、スリープモードで動作しているときは、無線モジュール14からの電波の送信を停止させる(S91)。スリープモードの動作中に、信号処理部15は、電源ボタン12fが押されたか否かを判定する(S92)。この判定は、電源ボタンが押されたと判定されるまで継続される(S92でNo)。信号処理部15は、電源ボタン12fが押されたと判定すると、アクティブモードに遷移し、無線モジュール14に電波の送信を開始させる(S93)。これにより、照明装置20(機器制御装置21)における被操作領域12aへのユーザの操作の検出が可能となる。
【0100】
アクティブモードの動作中に、信号処理部15は、電波の送信が開始されてから一定期間が経過したか否かを判定する(S94)。この判定は、電波の送信が開始されてから一定期間が経過したと判定されるまで継続される(S94でNo)。信号処理部15は、電波の送信が開始されてから一定期間が経過したと判定すると、スリープモードに移行し、無線モジュール14からの電波の送信を停止させる(S91)。なお、アクティブモードからスリープモードへの移行は、一定期間の経過を要件とする代わりに電源ボタン12fの押下をトリガとして行われてもよい。
【0101】
以上説明したように、操作装置510は、ユーザの電源ボタン12fへの操作に基づいて送信アンテナ14aの送信電力(より具体的には、電波を送信するか否か)を変更することができる。これにより、不必要な時間帯に電波の送信電力を低下させることで消費電力の低減が実現される。また、操作の誤検出の発生が抑制される。
【0102】
なお、実施の形態5では、操作装置10に電源ボタン12fが追加される例について説明されたが、操作装置210、操作装置310、または、操作装置410に電源ボタン12fが追加されてもよい。
【0103】
(実施の形態6)
実施の形態6では、送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスを検知してスリープモード及びアクティブモードを切り替える例について説明する。図39は、実施の形態6に係る無線モジュールの機能構成を示す模式図である。
【0104】
実施の形態6に係る無線モジュール614は、送信アンテナ14aと、方向性カプラ614bと、マッチング回路614cと、無線集積回路614dとを備える。なお、その他の構成は、実施の形態1の操作装置10と同様であるとして説明が行われる。
【0105】
信号処理部15は、スリープモードにおいて、送信アンテナ14aにアクティブモードよりも振幅が小さい微弱な電波を送信させておく。つまり、信号処理部15は、スリープモードにおいて、電波の送信電力をアクティブモードよりも低下させておく。
【0106】
被操作領域12aが操作されていない状態においては、インピーダンスの整合がとれているが、ユーザが被操作領域12aを操作しようとして指を近づけると、インピーダンスの整合が崩れる。方向性カプラ614bは、このインピーダンスの変化に応じた反射信号を出力する。つまり、方向性カプラ614bは、送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスの変化を検知することができる。図40は、方向性カプラ614bの回路構成の一例を示す図である。方向性カプラ614bは、送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスを検知する検知部の一例である。
【0107】
信号処理部15は、反射信号に基づいて送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスが変化したと判定すると、スリープモードからアクティブモードに遷移し、送信アンテナ14aから電波を送信させる。このように、無線モジュール614が用いられれば、信号処理部15は、ユーザが被操作領域12aを操作しようと被操作領域12aに指を近づけたことをトリガとして、アクティブモードに遷移する。
【0108】
なお、方向性カプラ614bを用いない構成も可能である。図41は、実施の形態6に係る別の無線モジュールの機能構成を示す模式図である。
【0109】
実施の形態6に係る別の無線モジュール714は、送信アンテナ14aと、検知部714bと、マッチング回路714cと、無線集積回路714dとを備える。なお、その他の構成は、実施の形態1の操作装置10と同様であるとして説明が行われる。
【0110】
検知部714bは、送信アンテナ14aとマッチング回路714cとを接続する線路(配線)上の任意の2点P3、P4の電圧値を検知する。
【0111】
信号処理部15は、スリープモードにおいて、送信アンテナ14aにアクティブモードよりも振幅が小さい微弱な電波を送信させておく。つまり、信号処理部15は、スリープモードにおいて、電波の送信電力をアクティブモードよりも低下させておく。ここで、被操作領域12aが操作されていない状態においては、インピーダンスの整合がとれており、図42に示されるように、点P3における電圧振幅、及び、点P4における電圧振幅は、ほぼ等しくなる。図42は、インピーダンスの整合がとれているときの点P3及び点P4における電圧振幅を示す図である。
【0112】
一方、ユーザが被操作領域12aを操作しようとして指を近づけると、インピーダンスの整合が崩れ、送信アンテナ14aとマッチング回路714cとを接続する線路上には定在波が生じる。したがって、点P3における電圧振幅、及び、点P4における電圧振幅は、大きく異なる。図43は、インピーダンスの整合が崩れているときの点P3及び点P4における電圧振幅を示す図である。このように、検知部714bは、点P3における電圧振幅、及び、点P4における電圧振幅の差を送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスの変化として検知する。
【0113】
信号処理部15は、検知部714bの検知結果に基づいて、点P3における電圧振幅と点P4における電圧振幅との差が所定値よりも大きくなったことを検知すると、スリープモードからアクティブモードに遷移し、送信アンテナ14aから電波を送信させる。このように、無線モジュール714が用いられれば、信号処理部15は、ユーザが被操作領域12aを操作しようと被操作領域12aに指を近づけたことをトリガとしてアクティブモードに遷移することができる。
【0114】
なお、実施の形態6で説明された無線モジュール614及び無線モジュール714は、操作装置10、操作装置210、操作装置310、及び、操作装置410のいずれの操作装置に適用されてもよい。
【0115】
(効果等)
以上説明したように、照明制御システム100は、送信アンテナ14a、及び、送信アンテナ14aと対向する位置に配置される前面パネル12であって平面視において送信アンテナ14aの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって操作される被操作領域12aとして定められた前面パネル12を有する操作装置10と、送信アンテナ14aによって送信される電波を受信する受信アンテナ23a、及び、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度に基づいて照明装置20を制御する制御部24を有する機器制御装置21とを備える。照明制御システム100は、機器制御システムの一例であり、照明装置20は、機器の一例である。
【0116】
このような照明制御システム100は、操作装置10とは別体の機器制御装置21における電波の受信信号強度の変化をユーザの操作として認識し、これに基づいて照明装置20を制御することができる。つまり、照明制御システム100は、ユーザが操作する装置とは別体の装置によるユーザの操作の検出を実現することができる。照明制御システム100においては、操作装置10が検出デバイスを備える必要がないため、操作装置10の構成の簡素化、及び、操作装置10の小型化が容易である。
【0117】
また、例えば、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度が所定期間以上所定値以下となったか否かに基づいて照明装置20を制御する。
【0118】
このような照明制御システム100においては、ユーザは意図的にある程度長い期間、被操作領域12aを操作(指を近づけるなど)しなければ制御が行われなくなる。このため、照明装置20が誤って制御されることが抑制される。
【0119】
また、例えば、制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度が第一態様で変化したと判定した場合に、照明装置20の調光率を変化させる制御を開始し、調光率を変化させる制御中に受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度が第二態様で変化したと判定した場合に、調光率の変化を停止させ、停止時の調光率で照明装置20を動作させる。調光率は制御パラメータの一例である。他の制御パラメータとしては、照明装置20の色温度などが例示される。
【0120】
このような照明制御システム100は、受信信号強度の変化の態様に基づいて、照明装置20を調光または調色することができる。
【0121】
また、例えば、被操作領域12aは、送信アンテナ14aの延伸方向に沿って長い形状に定められる。制御部24は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度が増加するか減少するかに基づいて、照明装置20を制御する。
【0122】
このような照明制御システム100は、ユーザが被操作領域12aをなぞる操作(スワイプ操作など)に基づいて、照明装置20を制御することができる。
【0123】
また、例えば、操作装置210は、送信アンテナとして第一電波を送信する第一送信アンテナ17aを有し、さらに、第二電波を送信する第二送信アンテナ18aを有する。受信アンテナ23aは、第一電波及び第二電波を受信する。制御部24は、第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、第二電波の受信信号強度が低下するタイミングに基づいて、照明装置20を制御する。
【0124】
このような照明制御システム200は、第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、第二電波の受信信号強度が低下するタイミングを組み合わせて、照明装置20を制御することができる。
【0125】
また、例えば、操作装置310は、複数の送信アンテナとして、第一電波を送信する第一送信アンテナ19a、第二電波を送信する第二送信アンテナ19b、及び、第三電波を送信する第三送信アンテナ19cを有する。前面パネル12には、第一送信アンテナ19aの少なくとも一部と重なる第一被操作領域12c、第二送信アンテナ19bの少なくとも一部と重なる第二被操作領域12d、及び、第三送信アンテナ19cの少なくとも一部と重なる第三被操作領域12eが定められる。平面視において、第一被操作領域12c、第二被操作領域12d、及び、第三被操作領域12eは、同一円周上に位置する。受信アンテナ23aは、第一電波、第二電波、及び、第三電波を受信する。制御部24は、第一電波の受信信号強度が低下するタイミング、第二電波の受信信号強度が低下するタイミング、及び、第三電波の受信信号強度が低下するタイミングに基づいて、照明装置20を制御する。
【0126】
このような照明制御システム300は、ユーザが被操作領域を時計回りまたは反時計回りになぞる操作に基づいて、照明装置20を制御することができる。
【0127】
また、例えば、前面パネル412は、パネル本体412a、及び、パネル本体412aに対して回動する可動部412bを含む。可動部412bは、金属材料によって形成され、被操作領域として使用される。可動部412bには、スリット412cが設けられる。
【0128】
このような照明制御システム400は、ユーザが可動部412bを回動する操作に基づいて、照明装置20を制御することができる。
【0129】
また、例えば、操作装置510は、さらに、ユーザが送信アンテナ14aの送信電力を変更するために操作する電源ボタン12fを備える。電源ボタン12fは、ハードウェアボタンの一例である。
【0130】
このような照明制御システム400は、ユーザの電源ボタン12fへの操作に基づいて、送信アンテナ14aの送信電力を変更することができる。照明制御システム200は、例えば、送信アンテナ14aの送信電力が比較的低いスリープモードと、送信アンテナ14aの送信電力が比較的高いアクティブモードとを切り替えることができる。
【0131】
また、例えば、操作装置10は、さらに、送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスの変化を検知する方向性カプラ614bと、検知されたアンテナインピーダンスの変化に基づいて送信アンテナ14aの送信電力を変更する信号処理部15とを備える。方向性カプラ614bは、検知部の一例である。また、操作装置10は、さらに、送信アンテナ14aのアンテナインピーダンスの変化を検知する検知部714bと、検知されたアンテナインピーダンスの変化に基づいて送信アンテナ14aの送信電力を変更する信号処理部15とを備える。
【0132】
このような照明制御システム400は、ユーザの被操作領域12aへの操作によって生じるアンテナインピーダンスの変化に基づいて、送信アンテナ14aの送信電力を変更することができる。照明制御システム200は、例えば、送信アンテナ14aの送信電力が比較的低いスリープモードと、送信アンテナ14aの送信電力が比較的高いアクティブモードとを切り替えることができる。
【0133】
また、例えば、操作装置10は、さらに、前面パネル12の輪郭に沿う環状の金属枠13を備える。
【0134】
このような金属枠13によればユーザの操作の検出範囲が限定されるため、照明装置20が誤って制御されてしまうことが抑制される。
【0135】
また、例えば、操作装置10は、一部が壁40に埋め込まれることにより当該壁40に設置される。
【0136】
このような照明制御システム100は、壁40に設置される操作装置10とは別体の機器制御装置21における電波の受信信号強度の変化をユーザの操作として認識し、これに基づいて照明装置20を制御することができる。
【0137】
また、操作装置10は、送信アンテナ14aと、送信アンテナ14aと対向する位置に配置される前面パネル12であって平面視において送信アンテナ14aの少なくとも一部と重なる位置がユーザによって操作される被操作領域12aとして定められた前面パネル12とを備える。送信アンテナ14aによって送信される電波は、操作装置10と別体の機器制御装置21が備える受信アンテナ23aによって受信される。機器制御装置21は、受信アンテナ23aによって受信された電波の受信信号強度に基づいて照明装置20を制御する。照明装置20は、機器の一例である。
【0138】
このような操作装置10は、操作装置10とは別体の機器制御装置21によるユーザの操作の検出を実現することができる。
【0139】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0140】
例えば、上記実施の形態では、機器制御装置21は、照明装置20に内蔵されたが、照明装置20とは別体の制御装置として実現されてもよい。図44は、機器制御装置21が照明装置20とは別体の制御装置として実現される照明制御システム800の機能構成を示すブロック図である。照明制御システム800において、照明装置20及び機器制御装置21の間の通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0141】
また、上記実施の形態の照明制御システムは、機器制御システムの一例である。機器制御システムは、照明装置以外の機器を備えるシステムであってもよい。機器制御システムは、例えば、空調機器、または、換気機器を制御対象の機器として備える機器制御システムであってもよい。
【0142】
また、例えば、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0143】
また、上記実施の形態において、制御部及び信号処理部などの各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0144】
また、制御部などの構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部などの構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0145】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、上記実施の形態の操作装置、機器制御装置、または、照明装置(つまり、制御対象の機器)として実現されてもよい。また、本発明は、機器制御システムなどのコンピュータが実行する機器の制御方法として実現されてもよいし、上記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。
【0146】
また、上記実施の形態において説明された機器制御システムの動作における複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
【0147】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0148】
10、210、310、410、510、 操作装置
12、412 前面パネル(パネル)
12a、12b 被操作領域
12c 第一被操作領域
12d 第二被操作領域
12e 第三被操作領域
12f 電源ボタン(ハードウェアボタン)
13 金属枠
14a 送信アンテナ
15 信号処理部
17a、19a 第一送信アンテナ
18a、19b 第二送信アンテナ
19c 第三送信アンテナ
20、420 照明装置(機器)
21、421 機器制御装置
23a 受信アンテナ
24 制御部
40 壁
100、200、300、400、800 照明制御システム(機器制御システム)
412a パネル本体
412b 可動部
412c スリット
614b 方向性カプラ(検知部)
714b 検知部
図1
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図44