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特許7291903無線装置、センサ無線装置、無線通信システムおよび負荷システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】無線装置、センサ無線装置、無線通信システムおよび負荷システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/02 20090101AFI20230609BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20230609BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20230609BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20230609BHJP
   H04W 4/30 20180101ALI20230609BHJP
【FI】
H04W40/02
H04W88/04
H04W84/10 110
H05B47/19
H04W4/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019196975
(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公開番号】P2021072500
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】新屋敷 泰史
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160808(JP,A)
【文献】特開2011-249062(JP,A)
【文献】特開2005-243313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷装置に接続される無線装置であって、
前記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続された無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、
前記第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェースと無線通信する第2通信部と、
前記第1通信部から前記他の負荷装置に接続された無線装置へのホップ通信の有無を設定する設定部と
を備え、
前記設定部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ設定信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を切り替え
前記第1通信部は、前記ホップ通信の設定可否に関する情報を送信可能である
無線装置。
【請求項2】
負荷装置に接続される無線装置であって、
前記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続された無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、
前記第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェースと無線通信する第2通信部と、
前記第1通信部から前記他の負荷装置に接続された無線装置へのホップ通信の有無を設定する設定部と
を備え、
前記設定部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ設定信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を切り替えるものであり、
前記第1通信部は、センサ装置に接続されたセンサ無線装置と前記第1通信方式で無線通信し、
前記設定部は、前記第1通信部を介して、前記ホップ通信の設定可否を確認するための確認信号を前記センサ無線装置から受信した場合に、前記設定可否が可に設定されていることを示す情報を前記センサ無線装置に返信する
線装置。
【請求項3】
負荷装置に接続される無線装置であって、
前記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続された無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、
前記第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェースと無線通信する第2通信部と、
前記第1通信部から前記他の負荷装置に接続された無線装置へのホップ通信の有無を設定する設定部と
を備え、
前記設定部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ設定信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を切り替えるものであり、
前記第1通信部は、センサ装置に接続されたセンサ無線装置と前記第1通信方式で無線通信し、
前記設定部は、前記ホップ通信を不可から可に設定変更した場合に、前記ホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報を、前記第1通信部を介して前記センサ無線装置に送信する
線装置。
【請求項4】
負荷装置に接続される無線装置であって、
前記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続された無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、
前記第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェースと無線通信する第2通信部と、
前記第1通信部から前記他の負荷装置に接続された無線装置へのホップ通信の有無を設定する設定部と
を備え、
前記設定部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ設定信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を切り替えるものであり、
前記設定部は、
前記第1通信部を介して受信した前記ホップ通信の仮設定信号に基づいて、前記ホップ通信を有に仮設定し、
前記仮設定信号の受信の後に前記第1通信部を介して受信した前記ホップ通信の本設定信号に基づいて、前記ホップ通信を有に本設定する
線装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記ホップ通信が有に仮設定されているとき、前記第1通信部を介して受信した前記ホップ通信の解除信号に基づいて、前記仮設定を解除する
請求項4に記載の無線装置。
【請求項6】
前記負荷装置は、照明装置を含む
請求項1~5のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項7】
請求項2または3に記載のセンサ無線装置であって、
前記無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、
前記設定用インターフェースと前記第2通信方式で無線通信する第2通信部と
を備え、
前記第1通信部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ探索信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を確認するための確認信号を発信する
センサ無線装置。
【請求項8】
前記第1通信部は、前記無線装置に対して、前記負荷装置を作動するための作動信号を送信する
請求項7に記載のセンサ無線装置。
【請求項9】
前記第1通信部は、前記ホップ通信のホップ先を示す情報を前記ホップ通信のホップ元である前記無線装置に送信する
請求項7または8に記載のセンサ無線装置。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか1項に記載の負荷装置に接続される無線装置と、
請求項1~6のいずれか1項に記載の負荷装置と異なる他の負荷装置に接続される無線装置と、
請求項7~9のいずれか1項に記載のセンサ無線装置と
を備える無線通信システム。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に記載の無線装置と、前記無線装置に接続される前記負荷装置とを備える負荷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負荷装置に接続される無線装置、負荷装置を制御するセンサ装置に接続されるセンサ無線装置、無線装置とセンサ無線装置とを備える無線通信システム、および、負荷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の負荷装置(例えば照明装置)と、複数の負荷装置を制御するセンサ装置(エリアコントローラ)とを備える負荷制御システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-16868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような負荷制御システムでは、複数の負荷装置およびセンサ装置が建物に設置された後、複数の負荷装置のそれぞれに接続された複数の無線装置と、センサ装置に接続されたセンサ無線装置との通信設定が行われる。例えば、複数の無線装置のうち所定の無線装置がセンサ無線装置から遠く離れて設置されている場合、センサ無線装置と所定の無線装置との間に位置する無線装置をホップ通信用の無線装置としてホップ通信の設定が行われる。
【0005】
しかしながら、ホップ通信の設定を行った後の電波環境の変化、および、パーテーションの設置または新たな機材の導入などのレイアウト変更により、上記ホップ通信ができなくなることがある。その場合、ホップ通信用の無線装置を別の無線装置に変えて、ホップ通信を回復させることもできるが、ユーザにとって無線装置のホップ通信を設定しなおす作業に労力を有するという問題がある。
【0006】
そこで本開示は、ホップ通信の設定を簡易に行うことができる無線装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の無線装置の一態様は、負荷装置に接続される無線装置であって、前記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続された無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、前記第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェースと無線通信する第2通信部と、前記第1通信部から前記他の負荷装置に接続された無線装置へのホップ通信の有無を設定する設定部とを備え、前記設定部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ設定信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を切り替え、前記第1通信部は、前記ホップ通信の設定可否に関する情報を送信可能である。
本開示の無線装置の一態様は、負荷装置に接続される無線装置であって、前記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続された無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、前記第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェースと無線通信する第2通信部と、前記第1通信部から前記他の負荷装置に接続された無線装置へのホップ通信の有無を設定する設定部とを備え、前記設定部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ設定信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を切り替えるものであり、前記第1通信部は、センサ装置に接続されたセンサ無線装置と前記第1通信方式で無線通信し、前記設定部は、前記第1通信部を介して、前記ホップ通信の設定可否を確認するための確認信号を前記センサ無線装置から受信した場合に、前記設定可否が可に設定されていることを示す情報を前記センサ無線装置に返信する。
本開示の無線装置の一態様は、負荷装置に接続される無線装置であって、前記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続された無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、前記第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェースと無線通信する第2通信部と、前記第1通信部から前記他の負荷装置に接続された無線装置へのホップ通信の有無を設定する設定部とを備え、前記設定部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ設定信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を切り替えるものであり、前記第1通信部は、センサ装置に接続されたセンサ無線装置と前記第1通信方式で無線通信し、前記設定部は、前記ホップ通信を不可から可に設定変更した場合に、前記ホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報を、前記第1通信部を介して前記センサ無線装置に送信する。
本開示の無線装置の一態様は、負荷装置に接続される無線装置であって、前記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続された無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、前記第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェースと無線通信する第2通信部と、前記第1通信部から前記他の負荷装置に接続された無線装置へのホップ通信の有無を設定する設定部とを備え、前記設定部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ設定信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を切り替えるものであり、前記設定部は、前記第1通信部を介して受信した前記ホップ通信の仮設定信号に基づいて、前記ホップ通信を有に仮設定し、前記仮設定信号の受信の後に前記第1通信部を介して受信した前記ホップ通信の本設定信号に基づいて、前記ホップ通信を有に本設定する。
【0008】
本開示のセンサ無線装置の一態様は、センサ装置に接続されたセンサ無線装置であって、前記無線装置と第1通信方式で無線通信する第1通信部と、前記設定用インターフェースと前記第2通信方式で無線通信する第2通信部とを備え、前記第1通信部は、前記第2通信部を介して前記設定用インターフェースから取得したホップ探索信号に基づいて、前記ホップ通信の設定可否を確認するための確認信号を発信する。
【0009】
本開示の無線通信システムの一態様は、上記負荷装置に接続される無線装置と、上記負荷装置と異なる他の負荷装置に接続される無線装置と、上記記載のセンサ無線装置とを備える。
本開示の負荷システムの一態様は、上記の無線装置と、前記無線装置に接続される前記負荷装置とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る無線装置等は、ホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】無線通信システムを構成するセンサ無線装置および無線装置の通信接続関係の一例を示す概略図である。
図2】実施の形態に係る無線通信システムを備える負荷制御システムを示すブロック構成図である。
図3】無線通信システムにおけるセンサ無線装置と設定用インターフェースとの通信形態を示す概略図である。
図4】無線通信システムにおけるホップ元の無線装置と設定用インターフェースとの通信形態を示す概略図である。
図5】無線通信システムにおけるホップ先の無線装置と設定用インターフェースとの通信形態を示す概略図である。
図6】無線通信システムのホップ通信に関する情報であるホップ関連情報を示す図である。
図7】無線通信システムのホップ通信の設定例を示すシーケンス図である。
図8】ホップ通信の仮設定の解除例を示すシーケンス図である。
図9】無線通信システムを構成するセンサ無線装置および無線装置の通信接続関係の他の一例を示す概略図である。
図10】実施の形態の変形例に係る無線通信システムのホップ通信の設定例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本開示の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
【0013】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0014】
(実施の形態)
[1.無線通信システムを構成する各装置の通信接続関係]
まず、無線通信システム2を構成する各装置の通信接続関係について、図1を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、無線通信システム2を構成するセンサ無線装置60および無線装置40a、40b、40c、40d、40e、40f、40gの通信接続関係の一例を示す概略図である。
【0016】
無線通信システム2は、センサ無線装置60と、複数の無線装置40a~40gとを備えている。無線装置40aは、照明装置などの負荷装置30に接続される通信装置である。センサ無線装置60は、負荷装置30を制御するためのセンサ装置50に接続される通信装置である。
【0017】
図1の(a)には7つの無線装置40a~40gが示されているが、実際には建物101の天井などに100台以上の無線装置が設置されることがある。また、図1の(a)には1台のセンサ無線装置60が示されているが、実際には天井などに複数台のセンサ無線装置が設置されあることがある。以降において、無線装置40a~40gの全部または一部を指して、無線装置40と呼ぶ場合がある。
【0018】
図1の(a)では、複数の無線装置40のうち、無線装置40a~40cがセンサ無線装置60の近くに配置され、無線装置40d~40gがセンサ無線装置60から遠く離れて配置されている。そこで無線通信システム2において、無線装置40d~40gに無線が到達するようにホップ通信の設定が行われる。ホップ通信とは、無線装置にデータの中継機能を持たせ、データの転送を繰り返すことで、無線通信の電波が直接到達する範囲の外にある無線装置との通信を可能にする通信方式である。
【0019】
センサ無線装置60と無線装置40a~40cとは、無線通信c1によって通信可能となっている。無線装置40aは、ホップ通信用の無線装置として通信設定されており、無線通信c1によって無線装置40d、40eと通信する。また、無線装置40cもホップ通信用の無線装置として通信設定されており、無線通信c1によって無線装置40f、40gと通信する。
【0020】
無線通信c1による通信方式としては、例えば、920MHz帯の周波数を利用した特定小電力無線、Zigbee(登録商標)、または、WiFi(登録商標)などの方式が用いられる。
【0021】
例えば図1の(b)に示すように、建物101内にパーテーションなどの障害物102が追加され、ホップ元である無線装置40aとホップ先である無線装置40eとのホップ通信が妨げられることがある。このような場合、ホップ通信におけるホップ元の無線装置を別の無線装置に変更し、ホップ通信を回復する必要がある。本実施の形態では、図1の(b)に示すように、ホップ元の無線装置を無線装置40aから無線装置40bに変更した場合における形態を例に挙げて説明する。
【0022】
[2.負荷制御システムの概略構成]
実施の形態に係る無線通信システム2を備える負荷制御システム1の概略構成について、図2図6を参照しながら説明する。
【0023】
図2は、無線通信システム2を備える負荷制御システム1を示すブロック構成図である。図3は、無線通信システム2におけるセンサ無線装置60と設定用インターフェース5との通信形態を示す概略図である。図4は、無線通信システム2におけるホップ元の無線装置40bと設定用インターフェース5との通信形態を示す概略図である。図5は、無線通信システム2におけるホップ先の無線装置40eと設定用インターフェース5との通信形態を示す概略図である。
【0024】
図2図5に示すように、負荷制御システム1は、センサ装置50と、センサ無線装置60と、複数の負荷装置30と、各負荷装置30に接続される無線装置40bおよび40eと、負荷装置30を制御する制御装置80とを備えている。例えば、センサ装置50は、無線コントローラであり、負荷装置30は、照明装置であり、制御装置80は、スイッチ82等から出力された信号を負荷装置30等に伝送する伝送ユニットである。
【0025】
負荷制御システム1の一部である無線通信システム2は、センサ装置50と、センサ無線装置60と、複数の負荷装置30と、無線装置40bおよび40eとによって構成されている。
【0026】
負荷制御システム1は、負荷装置30のオンおよびオフを行うスイッチ82と、スイッチ82のオンおよびオフに基づいて負荷装置30への電力供給の有無を切り替えるリレー84とを備えている。なお、図2図5には、センサ無線装置60および無線装置40と通信する設定用インターフェース5も示されている。設定用インターフェース5は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末である情報端末10と、情報端末10から出力された信号をセンサ無線装置60または無線装置40に転送する通信インターフェース20とによって構成されている。
【0027】
ここで、負荷制御システム1における各装置の無線接続形態について説明する。
【0028】
図3に示すように、センサ無線装置60と無線装置40bとは、第1通信方式による無線通信c1によって接続可能となっている。また、センサ無線装置60と設定用インターフェース5とは、第1通信方式による無線通信c1、および、第2通信方式による無線通信c2によって接続可能となっている。第2通信方式による無線通信c2は、第1通信方式よりも指向性が高い通信であり、例えば、赤外線を利用した通信である。設定用インターフェース5は、指向性が高い無線通信c2を利用することで、特定のセンサ無線装置60に向けて必要な情報を送信することができる。
【0029】
図4に示すように、無線装置40bと無線装置40eとは、第1通信方式による無線通信c1によって接続可能となっている。また、無線装置40bと設定用インターフェース5とは、第2通信方式による無線通信c2によって接続可能となっている。設定用インターフェース5は、無線通信c2を利用することで、特定の無線装置40bに向けて必要な情報を送信することができる。なお、無線装置40bは、無線通信c1によって設定用インターフェース5と通信可能であってもよい。
【0030】
図5に示すように、無線装置40eと無線装置40bとは、第1通信方式による無線通信c1によって接続可能となっている。また、無線装置40eと設定用インターフェース5とは、第2通信方式による無線通信c2によって接続可能となっている。設定用インターフェース5は、無線通信c2を利用することで、特定の無線装置40eに向けて必要な情報を送信することができる。なお、無線装置40eは、無線通信c1によって設定用インターフェース5と通信可能であってもよい。
【0031】
設定用インターフェース5を構成する通信インターフェース20と情報端末10とは、第3通信方式による無線通信c3によって接続可能となっている。第3通信方式による無線通信c3は、例えばIEEE802.15.1にて規格化された2.4GHz帯または5GHz帯の周波数を用いた通信である。
【0032】
ユーザは、片手で情報端末10を所持し、もう片手で通信インターフェース20を所持し、情報端末10および通信インターフェース20の両方を交互に見ながら情報端末10および通信インターフェース20を指で操作し、所定の情報を情報端末10から通信インターフェース20を介してセンサ無線装置60または無線装置40に送信する。情報端末10とセンサ無線装置60等との間に通信インターフェース20を介在させるのは、各種のセンサ無線装置60に適応した操作を自由度の高い情報端末10で行い、センサ無線装置60等との通信をセンサ無線装置60等の通信方式に適応した通信インターフェース20で行うためである。
【0033】
次に、負荷制御システム1における各装置の有線接続形態について説明する。
【0034】
制御装置80は、信号線SLを介して、センサ装置50、スイッチ82およびリレー84のそれぞれに接続されている。リレー84は、電源線PLを介して、各負荷装置30に接続されている。なお、信号線SLは、例えば2つの信号線を用いてアドレスの送受信を行いながら制御対象とする装置を制御することが可能な配線形態となっている。
【0035】
スイッチ82のオンおよびオフの信号は、信号線SLを介して制御装置80に出力され、さらに、制御装置80を介してリレー84に伝送される。リレー84は、制御装置80から受け付けた信号に応じて、各負荷装置30への電力供給の有無を切り替える。これにより、負荷装置30のオン状態およびオフ状態が切り替えられる。
【0036】
[3.無線装置および負荷装置の構成]
次に、無線装置40および負荷装置30の構成について説明する。以下では、複数の無線装置40のうち、ホップ元である無線装置40bおよびホップ先である無線装置40eを例に挙げて説明する。
【0037】
まず、無線装置40b、40eについて説明する。各無線装置40b、40eは、負荷装置30に接続される装置である。無線装置40b、40eは、負荷装置30の筐体内に設けられていてもよいし、負荷装置30の筐体外であって負荷装置30の筐体と異なる筐体に設けられていてもよい。
【0038】
図2に示すように、無線装置40b、40eは、第1通信部41、第2通信部42および設定部43を有している。第1通信部41、第2通信部42および設定部43は、負荷装置30の負荷制御部35に配線接続されている。
【0039】
無線装置40bの第1通信部41は、第1通信方式の無線通信c1によってセンサ無線装置60と通信する。また、無線装置40bの第1通信部41は、無線装置40bに接続された負荷装置30と異なる他の負荷装置30に接続された無線装置40eと通信する。無線装置40bの第1通信部41は、センサ無線装置60から送信された作動信号s6を受信し、負荷装置30に出力する。一方、無線装置40eの第1通信部41は、センサ無線装置60から送信されホップ元の無線装置40bで転送された作動信号s6を受信し、負荷装置30に出力する。
【0040】
第2通信部42は、第2通信方式の無線通信c2によって、設定用インターフェース5と通信する。第2通信部42は、赤外線受信回路を有し、第1通信部41よりも指向性の高い通信方式で赤外線通信する。
【0041】
無線装置40bの設定部43は、無線装置40bの第1通信部41から無線装置40eへのホップ通信の有無を設定する。無線装置40bが設定部43を有することで、無線装置40bのホップ通信の設定を簡易に行うことができる。以下、設定部43について詳しく説明する。
【0042】
ホップ通信の有無を設定する際に、無線装置40bの設定部43は、第2通信部42を介して設定用インターフェース5から取得したホップ設定信号s1(図7参照)に基づいて、ホップ通信の設定可否を切り替える。無線装置40bは、ホップ設定信号s1を受信することでホップ設定が可、つまり、他の装置からホップ通信の設定を受け付け可能な状態となる。
【0043】
また設定部43は、第1通信部41を介して、ホップ通信の設定可否を確認するための確認信号s3(図7参照)をセンサ無線装置60から受信した場合に、ホップ通信の設定可否を示す情報をセンサ無線装置60に送信する。
【0044】
また設定部43は、ホップ通信の設定を行う際に2段階に分けて設定を行う。具体的には、第1段階として、センサ無線装置60から第1通信部41を介して受信したホップ通信の仮設定信号s5(図7参照)に基づいて、ホップ通信を「有」に仮設定する。そして第2段階として、仮設定信号s5の受信の後にセンサ無線装置60から第1通信部41を介して受信したホップ通信の本設定信号s7(図7参照)に基づいて、ホップ通信を「有」に本設定する。
【0045】
また、設定部43は、ホップ通信の設定を解除することができる。具体的には、設定部43は、ホップ通信が「有」に仮設定されているとき、第1通信部41を介して受信したホップ通信の解除信号s8(図8参照)に基づいて上記仮設定を解除する。
【0046】
図6は、無線通信システム2のホップ通信に関する情報であるホップ関連情報i1を示す図である。
【0047】
図6には、ホップ関連情報i1として、ホップ通信の設定可否、ホップ通信の設定の有無、ホップ先の通信アドレスに関する情報が示されている。ホップ通信の設定の有無に関する情報には、ホップ通信が仮設定および本設定のどちらの状態に設定されているかの情報が含まれている。
【0048】
ホップ関連情報i1は、ホップ通信の設定が行われる際、負荷装置30の記憶部36に記憶される。例えば、ホップ元の無線装置を無線装置40aから無線装置40bに設定変更する前は、無線装置40bには、ホップ先を示すホップ関連情報i1、例えばホップ先の無線装置40eの通信アドレスが記憶されていない。ホップ先を示すホップ関連情報i1は、上記設定変更がされると同時に記憶部36に記憶される。
【0049】
次に負荷装置30について説明する。負荷装置30は、負荷を有する電気機器であり、例えば照明装置または空調装置である。本実施の形態における負荷装置30は、照明装置である。
【0050】
図2に示すように、負荷装置30は、負荷である出力部37と、出力部37を制御する負荷制御部35と、記憶部36とを備えている。
【0051】
記憶部36には、負荷装置30の通信アドレスおよびホップ関連情報i1が保存される。記憶部36は、ROM、RAM等であり、例えば不揮発性メモリを含んでいてもよい。また、記憶部36には、無線装置40のホップ通信を設定するためのプログラムが格納されている。
【0052】
負荷制御部35は、マイクロプロセッサなどによって構成されている。負荷制御部35は、記憶部36に格納されたプログラムを実行することにより、無線装置40および出力部37を制御する。
【0053】
負荷装置30が照明装置である場合、出力部37は光を照射する光源である。この場合、出力部37は、例えば、白色光、赤色光、緑色光または青色光を発する複数の発光ダイオードを有し、負荷制御部35は、センサ無線装置60から送信され、無線装置40を介して入力された作動信号s6に基づいて出力部37を点灯制御する。
【0054】
[4.センサ無線装置およびセンサ装置の構成]
次に、センサ無線装置60およびセンサ装置50の構成について説明する。
【0055】
まず、センサ無線装置60について説明する。センサ無線装置60は、センサ装置50に接続される装置である。センサ無線装置60は、センサ装置50の筐体内に設けられていてもよいし、センサ装置50の筐体外であってセンサ装置50の筐体と異なる筐体に設けられていてもよい。
【0056】
図2に示すように、センサ無線装置60は、第1通信部61および第2通信部62を有している。第1通信部61および第2通信部62は、センサ装置50の制御部55に配線接続されている。
【0057】
第1通信部61は、第1通信方式の無線通信c1によって、無線装置40bの第1通信部41および設定用インターフェース5と通信する。第1通信部61は、負荷装置30を作動するための作動信号s6を無線装置40bに送信し、また、この作動信号s6を無線装置40bを介して無線装置40eに送信する。
【0058】
第2通信部62は、第2通信方式の無線通信c2によって、設定用インターフェース5と通信する。第2通信部62は、赤外線受信回路を有し、第1通信部61よりも指向性の高い通信方式で赤外線通信する。
【0059】
第2通信部62は、設定用インターフェース5から送信されたホップ探索信号s2を受信する。その後、第1通信部61は、ホップ探索信号s2に基づき、無線装置40に対してホップ通信の設定可否を確認するための確認信号s3を発信する。また、第1通信部61は、ホップ通信の設定が行われる際に、ホップ通信のホップ先を示すホップ関連情報i1をホップ通信のホップ元である無線装置40bに送信する。
【0060】
次にセンサ装置50について説明する。センサ装置50は、センサ無線装置60および無線装置40を介して負荷装置30を制御する無線コントローラである。本実施の形態のセンサ装置50は、例えば調光センサである。
【0061】
図2に示すように、センサ装置50は、有線通信部53、センサ部54、制御部55および記憶部56を備えている。
【0062】
有線通信部53は、信号線SLを介して制御装置80と有線通信する。
【0063】
センサ部54は、照明装置である負荷装置30から照射された床面等の照度を検出する検出器である。センサ装置50は、例えば、センサ部54によって検出された照度が予め定められた値となるように、負荷装置30の出力部37を調光制御(一定照度制御)する。センサ部54は、人感センサや画像センサであってもよい。
【0064】
記憶部56は、ROM、RAM等であり、例えば不揮発性メモリを含んでいてもよい。記憶部56には、センサ装置50を作動させるためのプログラムが格納されている。また、記憶部56には、センサ無線装置60の通信アドレスおよび無線装置40の通信アドレスが保存される。
【0065】
制御部55は、マイクロプロセッサなどによって構成されている。制御部55は、記憶部56に格納されたプログラムを実行することにより、センサ無線装置60、有線通信部53およびセンサ部54を制御する。
【0066】
[5.設定用インターフェースの構成]
次に、設定用インターフェース5を構成する情報端末10および通信インターフェース20について説明する。
【0067】
情報端末10は、センサ装置50が取得すべき情報を無線出力する携帯端末である。
【0068】
図2に示すように、情報端末10は、端末通信部13、端末制御部15、記憶部16および表示部17を備えている。
【0069】
端末通信部13は、第3通信方式の無線通信c3によって通信インターフェース20と通信する。
【0070】
記憶部16は、ROM、RAM等であり、例えば不揮発性メモリを含んでいてもよい。記憶部16には、情報端末10の通信アドレス、および、情報端末10を作動させるためのプログラムが格納されている。また、記憶部16には、無線通信システム2のホップ関連情報i1が保存されている。
【0071】
端末制御部15は、マイクロプロセッサなどによって構成されている。端末制御部15は、記憶部16に格納されたプログラムを実行することにより、端末通信部13、記憶部16、表示部17を制御する。
【0072】
端末制御部15は、センサ無線装置60および無線装置40にホップ通信の設定を行う際に、記憶部16に保存されたホップ関連情報i1を読み出して、外部に送信出力する。具体的には端末制御部15は、ホップ関連情報i1を端末通信部13および通信インターフェース20を介して、センサ無線装置60および無線装置40に送信する。
【0073】
表示部17は、センサ無線装置60および無線装置40にホップ通信の設定を行うために必要な情報を表示するタッチパネルである。例えば、表示部17は、各無線装置40a~40gのホップ関連情報i1を表示する。なお、表示部17は、ユーザの操作入力を受け付ける入力部としての機能も兼ね備えている。
【0074】
次に、通信インターフェース20の構成について説明する。通信インターフェース20は、情報端末10から出力されたホップ関連情報i1をセンサ無線装置60および無線装置40に転送する装置である。
【0075】
図2に示すように、通信インターフェース20は、第1通信部21、第2通信部22、IF(インターフェース)通信部23、操作入力部24、IF(インターフェース)制御部25および記憶部26を備えている。
【0076】
IF通信部23は、第3通信方式による無線通信c3によって情報端末10の端末通信部13と通信する。IF通信部23は、情報端末10から送信されたホップ関連情報i1を受信する。
【0077】
第2通信部22は、無線通信c2によってセンサ無線装置60の第2通信部62および無線装置40の第2通信部42と通信する。第2通信部22は、例えば、赤外線LEDを有する発信回路である。
【0078】
第1通信部21は、無線通信c1によって、センサ無線装置60の第1通信部61および無線装置40の第1通信部41と通信する。第1通信部21は、IF通信部23で受信したホップ関連情報i1を、センサ無線装置60および無線装置40に送信する。
【0079】
操作入力部24は、通信インターフェース20の筐体の表面に設けられている入力スイッチである。操作入力部24は、例えば、1つの操作キーによって構成されている。
【0080】
記憶部26は、ROM、RAM等であり、例えば不揮発性メモリを含んでいてもよい。記憶部26には、通信インターフェース20の通信アドレス、および、通信インターフェース20を作動するプログラムが格納されている。また、記憶部26には、上記ホップ関連情報i1が保存されていてもよい。
【0081】
IF制御部25は、マイクロプロセッサなどによって構成されている。IF制御部25は、記憶部26に格納されたプログラムを実行することにより、第1通信部21、第2通信部22、IF通信部23および操作入力部24を制御する。
【0082】
[6.無線通信システムのホップ通信の設定例]
次に、無線通信システム2のホップ通信の設定例について、図7図9を参照しながら説明する。ここでは、図1の(b)に示すように、ホップ元の無線装置を無線装置40aから無線装置40bに変更する場面について説明する。
【0083】
図7は、無線通信システム2のホップ通信の設定例を示すシーケンス図である。
【0084】
まず、無線通信システム2において、変更すべきホップ元に対応するホップ先の無線装置40eを指定する(S11)。具体的には、設定用インターフェース5が、無線装置40eに対してホップ元の無線装置を変更する予告情報i2を送信することで、ホップ先の無線装置40eを指定する。この予告情報i2は、無線通信c2によって設定用インターフェース5から無線装置40eに送信される。予告情報i2を取得した無線装置40eは、後述するステップS17にて負荷装置30を試験作動する作動信号s6を受信し、ホップ元とホップ先とのホップ通信が問題なく設定されていることを提示する。
【0085】
なお、上記ではステップS11にて変更すべきホップ元に対応するホップ先の無線装置40eを指定する例を示したが、それに限られず、ホップ先の無線装置40eを指定するステップは、後述するステップS16よりも前、例えばステップS15とステップS16との間に実行されてもよい。
【0086】
次に、新たにホップ元とする無線装置40bを選択する(S12)。具体的には、設定用インターフェース5が、無線装置40bに対してホップ通信のホップ元となることを指示するホップ設定信号s1を送信することで、ホップ元とする無線装置40bを選択する。ホップ設定信号s1は、無線通信c2によって設定用インターフェース5から無線装置40bに送信される。ホップ通信の設定が行われる前は、ホップ通信の設定可否が否に設定されており無線装置40bはホップ通信の設定を受け付ける状態にないが、無線装置40bがホップ設定信号s1を取得することで、ホップ通信の設定可否が可に切り替えられ、ホップ通信の設定が受け付け可能な状態に変更される(S13)。具体的には、図6に示すホップ関連情報i1のホップ通信の設定可否が「可」に変更されることで、ホップ通信の設定が受け付け可能な状態になる。
【0087】
次に、設定用インターフェース5は、ホップ通信の設定可否が可の状態にある無線装置40を探索するホップ探索信号s2をセンサ無線装置60に送信する(S14)。ホップ探索信号s2は、無線通信c2によって設定用インターフェース5からセンサ無線装置60に送信される。センサ無線装置60の第2通信部62は、このホップ探索信号s2を受信する。
【0088】
ホップ探索信号s2を受信したセンサ無線装置60は、無線装置40のホップ通信の設定可否を確認するための確認信号s3を、複数の無線装置40に送信する。この確認信号s3は、第1通信部61を介して、ブロードキャスト方式またはマルチキャスト方式で送信される。
【0089】
複数の無線装置40のうち、ホップ通信の設定可否が可の状態にある無線装置40bは、確認信号s3を受信した後、自身のホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報をセンサ無線装置60に返信する(S15)。設定可否が可に設定されていることを示す情報は、第1通信部41およびセンサ無線装置60を介して、設定用インターフェース5に出力される。なお、ホップ通信の設定可否が否の状態にある無線装置40a、40c~40dでは、確認信号s3が無視され、新たなホップ元の設定が行われない。
【0090】
設定用インターフェース5およびセンサ無線装置60は、ホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報を受け付けると、設定可否が可の状態にある無線装置40bに対して、ホップ通信のホップ元になるように求める仮設定の要求をする(S16)。具体的には、設定用インターフェース5が、無線通信c2を用いて、センサ無線装置60に対して仮設定信号s5を出力することで、仮設定の要求をする。仮設定信号s5を受け付けたセンサ無線装置60は、第1通信部61を介して、仮設定信号s5を無線装置40bに送信する。
【0091】
無線装置40bの設定部43は、第1通信部41を介して受信した仮設定信号s5に基づいて、自身のホップ通信を「有」に仮設定する(S17)。これにより、ホップ関連情報i1の中のホップ通信の設定が「有」という仮設定に書き換えられる。ホップ通信の仮設定が行われた無線装置40bは、ホップ先である無線装置40eに対して、無線装置40eに対応する負荷装置30を試験作動するための作動信号s6を送信する(S18)。作動信号s6は、例えば、負荷装置30の出力部37である光源を点滅させたり、照度を変化させたりする信号である。
【0092】
無線装置40eに対応する負荷装置30の試験作動が確認されると、次に、ホップ通信の本設定が行われる(S19)。具体的には、設定用インターフェース5が、無線通信c2を用いて、センサ無線装置60に対して本設定信号s7を出力することで、ホップ通信の本設定が開始される。本設定信号s7を受け付けたセンサ無線装置60は、第1通信部61を介して本設定信号s7を無線装置40bに送信する。
【0093】
無線装置40bの設定部43は、第1通信部41を介して受信した本設定信号s7に基づいて、ホップ通信を「有」に本設定する(S20)。これにより、ホップ関連情報i1の中のホップ通信の設定が「有」という本設定に書き換えられる。ホップ通信の本設定が終了すると、無線装置40bのホップ通信の設定が、受け付け可能な状態から受け付け不可能な状態に変更される。具体的には、図6に示すホップ関連情報i1のホップ通信の設定可否が「否」に変更されることで、ホップ通信の設定が受け付け不可能な状態になる。
【0094】
なお、上記では本設定信号s7が設定用インターフェース5からセンサ無線装置60に送信される例を示したが、それに限られず、本設定信号s7は、設定用インターフェース5の無線通信c2を用いて、無線装置40bに直接送信されてもよい。その場合、本設定信号s7を受信した無線装置40bは、ホップ通信の「有」の本設定をするとともに、「有」の本設定がされたことを示す情報を、無線通信c1を用いてセンサ無線装置60に送信してもよい。
【0095】
これらのステップS11~S20が実行されることで、無線装置40bのホップ通信の設定が終了する。これらのステップS11~S20によれば、無線装置40bのホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0096】
次に、無線装置40bと無線装置40eとのホップ通信の設定が成功しなかった場合について説明する。
【0097】
例えば、ステップS18にてホップ通信を「有」に仮設定した後、所定の時間を経過しても無線装置40eに対応する負荷装置30の試験作動が確認されない場合、無線装置40bをホップ元の無線装置とするのは、適切でないことになる。そこで、無線装置40bのホップ通信の仮設定を解除する。
【0098】
図8は、図7に示すホップ通信の仮設定の解除例を示すシーケンス図である。
【0099】
設定用インターフェース5は、無線通信c2を用いて、センサ無線装置60に対してホップ通信の仮設定の解除信号s8を送信する(S19A)。解除信号s8を受信したセンサ無線装置60は、第1通信部61を介して解除信号s8を無線装置40bに送信する。
【0100】
無線装置40bの設定部43は、第1通信部41を介して受信した解除信号s8に基づいて、ホップ通信の仮設定を解除する(S20A)。これにより、無線装置40bにおけるホップ通信の「有」の仮設定が「無」に変更される。
【0101】
なお、上記では解除信号s8が設定用インターフェース5からセンサ無線装置60に送信される例を示したが、それに限られず、解除信号s8は、設定用インターフェース5の無線通信c2を用いて、無線装置40bに直接送信されてもよい。その場合、解除信号s8を受信した無線装置40bは、ホップ通信の仮設定を解除するとともに、仮設定が解除されたことを示す情報を、無線通信c1を用いてセンサ無線装置60に送信してもよい。
【0102】
図9は、無線通信システム2を構成するセンサ無線装置60および無線装置40の通信接続関係の他の一例を示す概略図である。
【0103】
無線装置40bのホップ通信の仮設定を解除した後、無線装置40bとは異なる別の無線装置、例えば無線装置40cをホップ元の無線装置として選択する。そして、図7と同様に、無線装置40cに対してホップ通信の設定を行う。なお、図7に示すステップS11は既に終えているので、ステップS12~S20を実行すればよい。これにより、無線装置40cと無線装置40eとのホップ通信の設定が完了する。
【0104】
[7.効果等]
本実施の形態に係る無線装置は、負荷装置30に接続される無線装置40bであって、負荷装置30と異なる他の負荷装置30に接続された無線装置40eと第1通信方式で無線通信c1する第1通信部41と、第1通信方式よりも指向性の高い第2通信方式で設定用インターフェース5と無線通信c2する第2通信部42と、第1通信部41から他の負荷装置30に接続された無線装置40eへのホップ通信の有無を設定する設定部43とを備える。設定部43は、第2通信部42を介して設定用インターフェース5から取得したホップ設定信号s1に基づいて、ホップ通信の設定可否を切り替える。
【0105】
このように、無線装置40bの設定部43が、設定用インターフェース5から取得したホップ設定信号s1に基づいてホップ通信の設定可否を切り替えることで、無線装置40bのホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0106】
また、第1通信部41は、センサ装置50に接続されたセンサ無線装置60と第1通信方式で無線通信c1し、設定部43は、第1通信部41を介して、ホップ通信の設定可否を確認するための確認信号s3をセンサ無線装置60から受信した場合に、上記設定可否が可に設定されていることを示す情報をセンサ無線装置60に返信してもよい。
【0107】
このように、第1通信部41が、ホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報をセンサ無線装置60に返信することで、無線装置40bのホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0108】
また、設定部43は、第1通信部41を介して受信したホップ通信の仮設定信号s5に基づいて、ホップ通信を「有」に仮設定し、仮設定信号s5の受信の後に第1通信部41を介して受信したホップ通信の本設定信号s7に基づいて、ホップ通信を「有」に本設定してもよい。
【0109】
このように、設定部43が、ホップ通信の「有」の仮設定および本設定を行うことで、無線装置40bのホップ通信の設定を確実に行うことができる。
【0110】
また、設定部43は、ホップ通信が「有」に仮設定されているとき、第1通信部41を介して受信したホップ通信の解除信号s8に基づいて、仮設定を解除してもよい。
【0111】
このように、設定部43が、解除信号s8に基づいて仮設定を解除することで、ホップ先の無線装置40eとホップ通信できる無線装置を簡易に設定し直すことができる。
【0112】
また、負荷装置30は、照明装置を含んでいてもよい。
【0113】
これによれば、照明装置に接続された無線装置40のホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0114】
本実施の形態に係るセンサ無線装置60は、無線装置40と第1通信方式で無線通信c1する第1通信部61と、設定用インターフェース5と第2通信方式で無線通信c2する第2通信部62とを備える。第1通信部61は、第2通信部62を介して設定用インターフェース5から取得したホップ探索信号s2に基づいて、ホップ通信の設定可否を確認するための確認信号s3を発信する。
【0115】
このように、第1通信部61が、上記確認信号s3を発信することで、ホップ通信の設定可否が可に設定されている無線装置40を簡易に見つけることができる。これにより、無線装置40のホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0116】
また、第1通信部61は、無線装置40に対して、負荷装置30を作動するための作動信号s6を送信してもよい。
【0117】
これによれば、ホップ元の無線装置40とホップ先の無線装置40とのホップ通信が問題なく設定されているか否かを、負荷装置30の作動により確認することができる。これにより、無線装置40のホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0118】
また、第1通信部61は、ホップ通信のホップ先を示す情報をホップ通信のホップ元である無線装置40に送信してもよい。
【0119】
このように、第1通信部61が、ホップ先を示す情報をホップ元の無線装置40に送信することで、ホップ先の無線装置とホップ元との無線装置とのホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0120】
本実施の形態に係る無線通信システム2は、上記負荷装置30に接続される無線装置40bと、上記負荷装置30と異なる他の負荷装置30に接続される無線装置40eと、上記センサ無線装置60とを備える。
【0121】
無線通信システム2が、上記無線装置40を備えることで、無線通信システム2におけるホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0122】
[8.実施の形態の変形例]
次に、実施の形態の変形例における無線通信システム2のホップ通信の設定例について説明する。変形例では、ホップ通信の設定可否が可に設定されている情報を自発的に無線装置40bからセンサ無線装置60に送信する例について説明する。
【0123】
図10は、実施の形態の変形例に係る無線通信システム2のホップ通信の設定例を示すシーケンス図である。
【0124】
まず、無線通信システム2において、変更すべきホップ元に対応するホップ先の無線装置40eを指定する(S11)。次に、新たにホップ元とする無線装置40bを選択する(S12)。このステップS12によって、無線装置40bのホップ通信の設定可否が可に切り替えられ、ホップ通信の設定が受け付け可能な状態に変更される(S13)。
【0125】
変形例の設定部43は、ホップ通信の設定を不可から可に設定変更した場合に、ホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報を、第1通信部41を介してセンサ無線装置60に送信する(S13A)。
【0126】
センサ無線装置60および設定用インターフェース5は、無線装置40bからホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報を受け付けると、設定可否が可の状態にある無線装置40bに対して、ホップ通信のホップ元になるように求める仮設定の要求をする(S16)。以下、実施の形態と同様にステップS17~S20が実行されることで、無線装置40bのホップ通信の設定が終了する。
【0127】
変形例の無線通信システム2においても、実施の形態と同様に、無線装置40のホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0128】
また、第1通信部41は、センサ装置50に接続されたセンサ無線装置60と第1通信方式で無線通信c1し、設定部43は、ホップ通信を不可から可に設定変更した場合に、ホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報を、第1通信部41を介してセンサ無線装置60に送信してもよい。
【0129】
このように、第1通信部41が、ホップ通信の設定可否が可に設定されていることを示す情報をセンサ無線装置60に送信することで、無線装置40bのホップ通信の設定を簡易に行うことができる。
【0130】
(その他の形態)
以上、無線装置、センサ無線装置および無線通信システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0131】
本実施の形態は、ホップ元の無線装置を別の無線装置に変える場合について説明したが、それに限られず、新規にホップ元の無線装置を設置する場合、および、新規に無線通信システムを構築する場合にも適用することが可能である。
【0132】
本実施の形態では、ホップ関連情報i1が負荷装置30の記憶部36に記憶されている例を示したが、それに限られない。例えば無線装置40bが記憶部を備えている場合、ホップ関連情報i1は、無線装置40bの記憶部に記憶されてもよい。
【0133】
本実施の形態の第2通信方式は、赤外線通信に限られず、レーザ光またはNFC(Near Field Communication)など1対1で対応をとることが可能な通信方式であってもよい。
【0134】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0135】
また、制御部などの構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部などの構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0136】
また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0137】
例えば、本開示は、上記実施の形態の設定用インターフェースが行う処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。このようなプログラムには、スマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末にインストールされるアプリケーションプログラムが含まれる。また、本開示は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【符号の説明】
【0138】
1 負荷制御システム
2 無線通信システム
5 設定用インターフェース
30 負荷装置
40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g 無線装置
41 第1通信部
42 第2通信部
43 設定部
50 センサ装置
60 センサ無線装置
61 第1通信部
62 第2通信部
c1 第1通信方式による無線通信
c2 第2通信方式による無線通信
s1 ホップ設定信号
s2 ホップ探索信号
s3 確認信号
s5 仮設定信号
s6 作動信号
s7 本設定信号
s8 解除信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10