(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20230609BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20230609BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
G06T7/00 660Z
G06T7/60 200D
A61B5/107 700
(21)【出願番号】P 2022503265
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005376
(87)【国際公開番号】W WO2021172060
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2020032402
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公輔
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 岳史
(72)【発明者】
【氏名】金森 芳彰
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 襟伽
【審査官】千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-227222(JP,A)
【文献】特開2006-181100(JP,A)
【文献】特開2009-284124(JP,A)
【文献】特開平6-90932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 7/60
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一本の体毛を含む画像を取得する取得部と、
前記画像を解析する解析部と、
を備え、
前記解析部は、
前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛について、少なくとも前記体毛の一端と他端を含む両端の輝度の変化を解析し、前記両端のうち、前記輝度の変化がより大きい端部が前記体毛の先端であると判定することで、体毛の毛根又は先端の少なくとも一方を認識し、前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛の向きを示す情報を出力する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記解析部は、ハイパスフィルタを用いて前記体毛の一端と他端の輝度の変化を解析しており、前記解析部は、前記両端のうち、前記ハイパスフィルタを施して得られる値がより大きい端部が前記体毛の先端であると認識する、
請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記解析部は、さらに、前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛の長さを特定し、特定した前記長さを示す情報を出力する、
請求項1~
2のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記解析部は、前記画像に対してコントラストを強調する処理、前記体毛の輪郭を抽出する処理、及び、外接矩形を算出する処理を行い、前記体毛の長さを特定する、
請求項
3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記解析部は、前記外接矩形を算出する処理を行った画像の外接矩形で囲まれた領域に対して前記体毛の向きを特定する、
請求項
4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
少なくとも一本の体毛を含む画像を取得する取得ステップと、
前記画像を解析することで、
前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛について、少なくとも前記体毛の一端と他端を含む両端の輝度の変化を解析し、前記両端のうち、前記輝度の変化がより大きい端部が前記体毛の先端であると判定することで、体毛の毛根又は先端の少なくとも一方を認識し、前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛の向きを示す情報を出力する解析ステップと、
を含む画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置及び画像処理方法に関し、特に、体毛の画像を解析する画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体毛の画像を解析する技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、頭皮の画像を録画し、この画像から毛成長速度、トリコグラム、毛髪直径等を測定する測定方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、育毛に関する情報を得ることはできるが、電気かみそりを用いた体毛除去における剃り残しを除去するための情報等の体毛に関する実用的な情報を得ることができないという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、体毛に関する実用的な情報を得ることができる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る画像処理装置は、少なくとも一本の体毛を含む画像を取得する取得部と、前記画像を解析する解析部とを備え、前記解析部は、前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛について、少なくとも前記体毛の一端と他端を含む両端の輝度の変化を解析し、前記両端のうち、前記輝度の変化がより大きい端部が前記体毛の先端であると判定することで、体毛の毛根又は先端の少なくとも一方を認識し、前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛の向きを示す情報を出力する。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る画像処理方法は、少なくとも一本の体毛を含む画像を取得する取得ステップと、前記画像を解析することで、前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛について、少なくとも前記体毛の一端と他端を含む両端の輝度の変化を解析し、前記両端のうち、前記輝度の変化がより大きい端部が前記体毛の先端であると判定することで、体毛の毛根又は先端の少なくとも一方を認識し、前記画像に含まれる少なくとも一本の体毛の向きを示す情報を出力する解析ステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示における画像処理装置及び画像処理方法は、体毛に関する実用的な情報を得るのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る画像処理装置が備える解析部の長さ特定部の動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図2における各ステップでの画像処理例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る画像処理装置が備える解析部の向き特定部の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4における各ステップでの画像処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
(実施の形態)
以下、
図1~5を用いて、実施の形態を説明する。
【0013】
[1.構成]
図1は、実施の形態に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。なお、本図には、画像処理装置10に接続して用いられるデジタルカメラ等のカメラ20、及び、ディスプレイ等の提示装置21も合わせて図示されている。
【0014】
画像処理装置10は、入力された画像から体毛に関する実用的な情報を生成する装置であり、取得部11及び解析部12を備える。なお、画像処理装置10は、専用の電子回路をもつ装置で実現されるだけでなく、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末又はスマートフォン等の汎用のプラットフォームとそのプラットフォームで実行されるプログラムとによっても実現され得る。
【0015】
取得部11は、カメラ20から、体に生えている少なくとも一本の体毛を含む画像を取得する。取得部11は、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等の通信インタフェースである。
【0016】
なお、画像は、画像データや画像信号、画像情報を含むものであってもよい。また、画像には少なくとも一本の体毛の画像が含まれていればよく、複数本の体毛の画像が含まれていてもよい。さらに、画像には、少なくとも体毛の画像が含まれていればよく、例えば体毛が生えている皮膚等の体毛の周囲の情報が含まれていてもよい。
【0017】
解析部12は、取得部11で取得された画像を解析することで、画像に含まれる少なくとも一本の体毛の長さ、及び、体毛の向きを示す情報を提示装置21に出力する。解析部12は、例えば、プロセッサ、プロセッサによって実行されるプログラム、メモリ、及び、入出力回路等を有するマイクロコンピュータによって、実現される。解析部12は、長さ特定部12a及び向き特定部12bを有する。
【0018】
長さ特定部12aは、取得部11で取得された画像を解析することで、画像に含まれる少なくとも一本の体毛の長さを特定し、特定した長さを示す情報を提示装置21に出力する。より詳しくは、長さ特定部12aは、取得された画像に対してコントラストを強調する処理、体毛の輪郭を抽出する処理、及び、外接矩形を算出する処理を行い、個々の体毛の長さを特定する。
【0019】
向き特定部12bは、取得部11で取得された画像を解析することで、画像に含まれる少なくとも一本の体毛の向きを示す情報を提示装置21に出力する。より詳しくは、向き特定部12bは、取得された画像に含まれる少なくとも一本の体毛の毛根又は先端の少なくとも一方を認識することにより、個々の体毛の向きを特定する。具体的には、向き特定部12bは、画像に含まれる少なくとも一本の体毛について、体毛の一端と他端を含む両端の輝度の変化を解析し、両端のうち、輝度の変化がより大きい端部が体毛の先端であると判定する。このとき、向き特定部12bは、ハイパスフィルタを用いて、体毛の一端と他端の輝度の変化を解析しており、両端のうち、ハイパスフィルタを施して得られる値がより大きい端部が体毛の先端であると認識する。なお、向き特定部12bは、長さ特定部12aによって算出された外接矩形で囲まれた領域に対して体毛の向きを特定する。
【0020】
なお、向き特定部12bは、体毛の両端における、体毛の両端での輝度の変化を解析し、両端のうち、輝度の変化がより小さい端部が体毛の毛根であると判定することで、体毛の向きを特定してもよい。
【0021】
[2.動作]
以上のように構成された画像処理装置10について、その動作を以下説明する。なお、
図3では、体毛の例として、髭剃りをした後に残った髭を例として挙げ、剃り残しの髭を撮像して得られる画像に対する解析例を説明する。以下、解析部12が有する長さ特定部12a及び向き特定部12bの動作について詳細に説明する。
【0022】
[2-1.長さ特定部の動作]
まず、解析部12が有する長さ特定部12aの動作を説明する。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る画像処理装置10が備える解析部12の長さ特定部12aの動作を示すフローチャートである。
図3は、
図2における各ステップでの画像処理例を示す図である。また、
図3では、体毛の一例として髭の画像を示している。より詳しくは、
図3の(a)~(c)は、それぞれ、
図2におけるコントラスト強調(S10)、輪郭抽出(S11)、及び、外接矩形の算出(S12)で得られた画像例を示す。
【0024】
まず、長さ特定部12aは、取得部11で取得された体毛の画像に対してコントラストを強調する処理を施す(
図2のS10)。例えば、長さ特定部12aは、画像の各画素の輝度に対して、入力階調に対する出力階調の変化を大きくするような階調変換を行うことで、輝度コントラストを高める。その結果、
図3の(a)に示されるような、コントラストの高い画像が得られる。なお、このコントラスト強調の前又は後において、画像に対してローパスフィルタをかけることで、肌の凹凸等の細かいノイズを除去してもよい。
【0025】
続いて、長さ特定部12aは、ステップS10で得られた画像に対して、輪郭抽出を行う(
図2のS11)。より詳しくは、長さ特定部12aは、ステップS10で得られた画像に対して、周辺画素との輝度差が閾値以上の場合に白画素を出力、閾値未満の場合に黒画素を出力する2値化(白色/黒色化)を行った後に、膨張収縮処理を行うことで、細かいノイズを除去する。なお、膨張収縮処理とは、注目画素の周辺に白色の画素が1つでも存在すれば注目画素を白色に置き換える膨張処理、及び、注目画素の周辺に黒色の画素が1つでも存在すれば注目画素を黒色に置き換える収縮処理のことである。この輪郭抽出によって、
図3の(b)に示されるような、個々の髭の領域の輪郭を示す画像が得られる。
【0026】
続いて、長さ特定部12aは、ステップS11で得られた画像に対して、輪郭抽出された各領域について、外接矩形を算出する(
図2のS12)。具体的には、長さ特定部12aは、輪郭抽出された各領域について、抽出した体毛の輪郭に4辺が輪郭にそれぞれ接するように外接矩形を算出する。ただし、外接矩形の算出方法はこの方法に限らず、体毛の長さを推定するため体毛の輪郭を覆う矩形を算出できれば他の方法でもよい。また、矩形には、長方形だけでなく、正方形も含まれる。なお、このステップでは、各頂点が直角の四角形である矩形の方が、長さの特定や輝度の変化の計算において便利なため、矩形を算出しているが、長さの特定や向きの特定において疎外とならないのであれば、矩形とは異なる形状を算出してもよい。この処理によって、
図3の(c)に示されるような、個々の髭の領域に外接する矩形を示す画像が得られる。
【0027】
そして、長さ特定部12aは、ステップS12で算出された各外接矩形について、外接矩形の長辺の長さを算出することで、各体毛の長さを特定する(
図2のS13)。長辺の長さの特定については、長辺を斜辺とし、画素が並ぶ直交方向に沿った2辺を含む直角三角形における直交する2辺の長さ(それぞれ、画素数×画素間隔)を算出し、三平方の定理を用いて、斜辺である長辺の長さを算出する。
【0028】
このようにして、撮像された画像から、体毛に関する実用的な情報として、電気かみそりで剃り残した個々の体毛の長さが特定される。よって、このような実用的な情報を得たユーザは、続けて体の何処を優先して剃ることで残る体毛を効率よく綺麗に剃ることができるかが即座に分かる。
【0029】
[2-2.向き特定部の動作]
次に、解析部12が有する向き特定部12bの動作を説明する。
【0030】
図4は、本実施の形態に係る画像処理装置10が備える解析部12の向き特定部12bの動作を示すフローチャートである。
図5は、
図4における各ステップでの画像処理例を示す図である。より詳しくは、
図5の(a)~(d)は、それぞれ、処理対象の画像(「入力画像」)、入力画像の輝度信号(直線AB上)、
図4におけるハイパスフィルタリング(S20)の結果、及び、負クリップ(S21)の結果を示す。
【0031】
向き特定部12bは、長さ特定部12aによって算出された外接矩形で囲まれた画像(つまり、外接矩形で囲まれた原画像のうち、外接矩形で囲まれた領域の画像)のそれぞれに対して、以下の手順で、体毛の向きを特定する。外接矩形で囲まれた画像は、例えば、
図5の(a)及び(b)に示されるように、体毛の毛根(「A」)では、先端に向けて黒くなるグラデーションがかかっており、体毛の先端(「B」)では、輪郭を跨いで大きな輝度差が生じている。つまり、毛根は、先端とは異なり、皮膚の下に入り込んでいるために、体毛と肌とのコントラストが小さくなる。向き特定部12bは、このような体毛の毛根及び先端における画像の特徴を利用して、体毛の向きを特定する。なお、
図5の(b)は、体毛の長手方向での(直線AB上の)輝度信号が示されている。
【0032】
また、毛根は、皮膚に覆われた体毛の部分及び皮膚から露出した体毛の部分の少なくとも一部を含んでいればよい。
【0033】
なお、向き特定部12bは、長さ特定部12aによって算出された外接矩形で囲まれた画像よりも外接矩形の長手方向に特定範囲を伸ばして、体毛の向きを特定してもよい。長さ特定部12aによって算出された外接矩形の一辺が体毛の先端や毛根と皮膚の境界に位置する場合においても、外接矩形の長手方向に特定範囲を伸ばすことで、体毛の先端や毛根に加えて皮膚の部分を含めることができる。これにより、毛根では体毛が皮膚の下に入り込んでいるため現れる、輝度が徐々に変化してくる特徴により、向きを特定しやすくなる。
【0034】
まず、向き特定部12bは、
図5の(a)及び(b)で示されるような、外接矩形で囲まれた原画像に対して、ハイパスフィルタを施す(
図4のS20)。具体的には、向き特定部12bは、
図5の(b)で示されるAB直線上の輝度信号に対して、(1-2z
-1+z
-2)/4で示される伝達関数のハイパスフィルタを施す。その結果、
図5の(c)に示される出力信号が得られる。
【0035】
続いて、向き特定部12bは、
図5の(c)に示される出力信号に対して、負クリップの処理を施す(
図4のS21)。具体的には、向き特定部12bは、
図5の(c)に示される出力信号において、負の値をゼロに置き換える処理を行う。その結果、
図5の(d)に示される出力信号が得られる。
【0036】
続いて、向き特定部12bは、
図5の(d)に示される出力信号において、高いピークが現れている端部(ここでは、「B」)が体毛の先端であり、低いピークが現れている端部(ここでは、「A」)が体毛の毛根であると認識することで、体毛(ここでは、髭)の向きを特定する(
図4のS22)。そして、向き特定部12bは、
図5の(a)に示される画像における一端と他端を含む両端のうち、毛根であると認識した端部に対して毛根であることを示す情報を付与し、先端であると認識した端部に対して先端であることを示す情報を付与して、提示装置21に出力する。なお、向き特定部12bは、特定した向きを示す情報として、外接矩形の長辺の傾きを用いて、毛根から先端に向かうベクトルを生成してもよい。
【0037】
このようにして、撮像された画像から、体毛に関する実用的な情報として、画像に含まれる個々の体毛の向きが特定される。よって、このような実用的な情報を得たユーザは、どの方向に剃ることで剃り残した体毛を効率よく綺麗に剃ることができるかが即座に分かる。
【0038】
[3.効果等]
以上のように、本実施の形態に係る画像処理装置10は、少なくとも一本の体毛を含む画像を取得する取得部11と、取得された画像を解析することで画像に含まれる少なくとも一本の体毛の向きを示す情報を出力する解析部12とを備える。
【0039】
これにより、撮像された画像から、体毛に関する実用的な情報として、画像に含まれる個々の体毛の向きが特定される。例えば、電気かみそりで剃り残した個々の体毛の方向が分かるので、どの方向に剃ることで剃り残した体毛を効率よく綺麗に剃ることができるかが即座に分かる。
【0040】
また、解析部12は、画像に含まれる少なくとも一本の体毛の毛根又は先端の少なくとも一方を認識する。そのために、解析部12は、画像に含まれる少なくとも一本の体毛について、体毛の一端と他端を含む両端の輝度の変化を解析し、両端のうち、輝度の変化がより大きい端部が体毛の先端であると判定する。これにより、体毛の毛根と先端の画像における特徴を利用して、体毛の向きが高い精度で特定される。
【0041】
また、解析部12は、ハイパスフィルタを用いて、体毛の一端と他端の輝度の変化を解析しており、両端のうち、ハイパスフィルタを施して得られる値がより大きい端部が体毛の先端であると認識する。これにより、簡単な処理で、確実に、体毛の毛根と先端とが識別され、高い精度で毛根の向きが特定される。
【0042】
また、解析部12は、さらに、画像に含まれる少なくとも一本の体毛の長さを特定し、特定した長さを示す情報を出力する。これにより、体毛に関するより実用的な情報として、個々の体毛の向きだけでなく、個々の体毛の長さの情報も得られる。よって、例えば、電気かみそりで剃り残した体毛を撮像することで、続けて体の何処を優先して剃ることで残る体毛を効率よく綺麗に剃ることができるかが即座に分かる。
【0043】
また、解析部12は、画像に対してコントラストを強調する処理、体毛の輪郭を抽出する処理、及び、外接矩形を算出する処理を行い、体毛の長さを特定する。これにより、確実に、個々の体毛の長さが特定される。
【0044】
また、解析部12は、外接矩形を算出する処理を行った画像の外接矩形で囲まれた領域に対して体毛の向きを特定する。これにより、体毛の長さの特定のために算出された外接矩形が体毛の向きの特定のためにも用いられ、少ない処理負荷で体毛の向きが特定される。
【0045】
また、本実施の形態に係る画像処理方法は、取得部11が画像を取得する取得ステップと、解析部12が、取得された画像を解析することで、画像に含まれる少なくとも一本の体毛の向きを示す情報を出力する解析ステップとを含む。
【0046】
これにより、撮像された画像から、体毛に関する実用的な情報として、画像に含まれる個々の体毛の向きが特定される。例えば、電気かみそりで剃り残した個々の体毛の方向が分かるので、どの方向に剃ることで剃り残した体毛を効率よく綺麗に剃ることができるかが即座に分かる。
【0047】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを実施の形態に適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0048】
そこで、以下、他の実施の形態をまとめて説明する。
【0049】
例えば、上記実施の形態では、取得部11は、カメラ20から、少なくとも一本の体毛を含む画像を取得した。しかしながら、取得部11は、これに限られない。取得部11が画像を取得する先となる装置は、画像を保持している外部又は内部に設けられたメモリ又はHDD等のストレージ、あるいは、インターネット等の通信を介して接続されたサーバ装置等であってもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、
図3の剃り残しの髭を撮像して得られる画像を例として、画像処理装置10の動作を説明したが、体毛の例としては、剃り残しの髭に限らず、体の各部に生えている毛であれば、胸毛、脛毛、産毛、頭髪等であってもよい。
【0051】
また、上記実施の形態では、解析部12は、長さ特定部12a及び向き特定部12bの両方を有したが、向き特定部12bだけを有してもよい。これにより、撮像された画像から、体毛に関する実用的な情報として、画像に含まれる個々の体毛の向きが特定される。よって、例えば、電気かみそりで剃り残した個々の体毛の方向が分かるので、どの方向に剃ることで剃り残した体毛を効率よく綺麗に剃ることができるかが即座に分かる。
【0052】
また、上記実施の形態では、解析部12は、長さ特定部12a及び向き特定部12bの両方を有したが、長さ特定部12aだけを有してもよい。これにより、撮像された画像から、体毛に関する実用的な情報として、画像に含まれる個々の体毛の長さが特定される。よって、例えば、電気かみそりで剃り残した個々の体毛の長さが分かるので、どの箇所を優先的に剃ることで剃り残した体毛を効率よく綺麗に剃ることができるかが即座に分かる。
【0053】
また、上記実施の形態では、解析部12の一例としてマイクロコンピュータを説明した。解析部12として、プログラム可能なマイクロコンピュータを用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、解析部12の設計の自由度を高めることができる。また、解析部12は、ハードロジックで実現してもよい。解析部12をハードロジックで実現すれば、処理速度の向上に有効である。解析部12は、1つの素子で構成してもよいし、物理的に複数の素子で構成してもよい。複数の素子で構成する場合、請求の範囲に記載の各制御(長さ特定部及び向き特定部)を別の素子で実現してもよい。この場合、それらの複数の素子で一つの解析部12を構成すると考えることができる。また、解析部12と別の機能を有する部材とを1つの素子で構成してもよい。要するに、解析部12は、画像を処理するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。
【0054】
また、本開示に係る技術は、画像処理装置及び画像処理方法として実現できるだけでなく、画像処理方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよいし、そのプログラムが記録されたCD-ROM等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現してもよい。
【0055】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記実装を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0056】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示は、体毛に関する実用的な情報を得ることができる画像処理装置に適用可能である。具体的には、デジタルカメラから画像を取得して解析するコンピュータ装置、スマートフォンなどに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 画像処理装置
11 取得部
12 解析部
12a 長さ特定部
12b 向き特定部
20 カメラ
21 提示装置