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特許7291917トリペプチドRPRを含有する抗肥満薬並びに健康食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】トリペプチドRPRを含有する抗肥満薬並びに健康食品
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/06 20060101AFI20230609BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230609BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230609BHJP
   A23L 33/18 20160101ALI20230609BHJP
   C07K 5/09 20060101ALN20230609BHJP
   A61K 9/20 20060101ALN20230609BHJP
   A61K 9/48 20060101ALN20230609BHJP
   A61K 9/06 20060101ALN20230609BHJP
   A61K 9/02 20060101ALN20230609BHJP
   A61K 9/08 20060101ALN20230609BHJP
【FI】
A61K38/06
A61P3/04
A61P3/06
A23L33/18
C07K5/09
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/06
A61K9/02
A61K9/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020044636
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021143164
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-06-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500492750
【氏名又は名称】フォーデイズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長岡 利
(72)【発明者】
【氏名】須藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】桐山 恵介
【審査官】池上 文緒
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094271(JP,A)
【文献】特表2006-525260(JP,A)
【文献】特開2002-193997(JP,A)
【文献】特開2010-166906(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0132167(KR,A)
【文献】国際公開第2006/108211(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/204841(WO,A1)
【文献】J. Agric. Food Chem. (2010) vol.58, issue 5, p.2895-2901
【文献】J. Food Sci. (2015) vol.80, no.10, p.H2346-H2353
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/06
A23L 33/18
A61P 3/04
A61P 3/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、抗肥満薬。
【請求項2】
有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、脂質代謝改善薬。
【請求項3】
有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、肥満改善用健康食品。
【請求項4】
有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、血清コレステロールの減少用健康食品。
【請求項5】
有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、総脂肪組織重量の減少用健康食品。
【請求項6】
有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、精巣上体脂肪組織の重量減少用健康食品。
【請求項7】
有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、腎周囲脂肪組織の重量減少用健康食品。
【請求項8】
有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、皮下脂肪組織の重量減少用健康食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリペプチドRPRを含有する抗肥満薬並びに健康食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロタミンは、サケ白子の主成分である精子にDNAと結合した形で存在しているタンパク質であり、32~33個のアミノ酸で構成されており、また、構成するアミノ酸のうちの2/3以上がアルギニンであるため、強塩基性のタンパク質となる。
【0003】
また、プロタミンは、分子量4,000~5,000程度の比較的小さなタンパク質であり、アルギニンが数個連続したブロックと、同じくアミノ酸の1種であるセリンやグリシンなどの中性アミノ酸が交互に並んだ構造をとっている。
プロタミンは、脂肪を分解する消化酵素である膵リパーゼに対する阻害作用を有し、それにより脂肪吸収抑制効果を有することが確認されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、プロタミンの生理活性に関する別の報告として、プロタミンによる膵臓リパーゼ及びカルボキシルエステルリパーゼの阻害の研究(例えば、非特許文献2参照)、ラットの高脂肪食により誘発される肥満におけるプロタミンの効果(例えば、非特許文献3参照)、ラットの脂質代謝における食餌性プロタミンの効果(例えば、非特許文献4参照)、及び、ラットの脂質代謝におけるサケの白子からのプロタミン塩酸塩の効果(例えば、非特許文献5参照)等がなされている。
【0005】
また、Journal of Food Science,(2015)80(10),p.H2346-H2353(非特許文献6)は、プロタミンの加水分解物(混合物)が、胆汁酸エマルジョンの分解に関与し、プロタミンの加水分解物と胆汁酸とで不溶性の複合体を形成することにより、膵リパーゼ活性とミセルコレステロールの溶解度を阻害することを報告している。
しかし、プロタミンの加水分解物に含まれる個々の化合物における生理活性の報告は確認されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】日本食品科学 工学会誌55巻8号、p.360-366(2008年)
【文献】Journal of Lipid Research,(1996)37,p.1481-1487
【文献】International Journal of Obesity,(1996)33,p.687-692(2009)
【文献】Nutrition Research and Practice,(2010)4(6),p.462-469
【文献】Ish Sci,(2011)77,p.1045-1052
【文献】Journal of Food Science,(2015)80(10),p.H2346-H2353
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、プロタミンよりも低分子であり且つ抗肥満効果を有する化合物を含有する抗
肥満薬並びに健康食品の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するために、プロタミンを加水分解することにより得られる種々の加水分解物における活性を種々検討したところ、RRRRPR(Arg-Arg-Arg-Arg-Pro-Arg)が強力なコレステロールミセル溶解性阻害作用を有すること、RRRRPRは、トリプシンにより分解されてトリペプチドであるRPR(Arg-Pro-Arg)となること、そして、RRRRPRとRPRとは同程度のリパーゼ阻害活性を有することを見出した。
【0009】
即ち、トリペプチドであるRPR(Arg-Pro-Arg)は、腸管内で分解されない安定な低分子化合物であって、抗肥満効果を示し得る化合物であることが分かり、これにより、RPRを含有させることで、抗肥満薬並びに抗肥満効果を有する健康食品が提供され得ることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明は、
[1]有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、抗肥満薬、
[2]有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、脂質代謝改善薬。
[3]有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、肥満を改善するための組成物からなる健康食品、
[4]有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、血清コレステロールを減少させるための組成物からなる健康食品、
[5]有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、総脂肪組織重量を減少させるための組成物からなる健康食品、
[6]有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、精巣上体脂肪組織の重量を減少させるための組成物からなる健康食品、
[7]有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、腎周囲脂肪組織の重量を減少させるための組成物からなる健康食品、及び
[8]有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する、皮下脂肪組織の重量を減少させるための組成物からなる健康食品
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、分子量4,000~5,000程度というプロタミンと比較して、遥かに小さな分子量(1/10程度)であるトリペプチドRPR(分子量:427.502)を用いることにより、抗肥満薬並びに抗肥満効果を有する健康食品を提供することができる。
また、RPRは、血清コレステロールを減少する作用を有するため、RPRを用いることにより、脂質代謝改善薬を提供することもできる。
また、本発明の健康食品は、肥満を改善するだけでなく、血清コレステロールの減少、総脂肪組織重量の減少、精巣上体脂肪組織の重量の減少、腎周囲脂肪組織の重量の減少、及び、皮下脂肪組織の重量の減少においても効果を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】0.5%RPR群、5%プロタミン硫酸塩群及びコントロール群(マウス)における高脂肪食摂取50日間後の総食餌摂取量(g)を示すグラフである。
図2】0.5%RPR群、5%プロタミン硫酸塩群及びコントロール群(マウス)における高脂肪食摂取50日間後の体重増加量(g)を示すグラフである。
図3】0.5%RPR群、5%プロタミン硫酸塩群及びコントロール群(マウス)における高脂肪食摂取50日間後の血清コレステロール濃度(mg/dL)を示すグラフである。
図4】0.5%RPR群、5%プロタミン硫酸塩群及びコントロール群(マウス)における高脂肪食摂取50日間後の総脂肪組織重量(g/100g体重)を示すグラフである。
図5】0.5%RPR群、5%プロタミン硫酸塩群及びコントロール群(マウス)における高脂肪食摂取50日間後の精巣上体脂肪組織重量(g/100g体重)を示すグラフである。
図6】0.5%RPR群、5%プロタミン硫酸塩群及びコントロール群(マウス)における高脂肪食摂取50日間後の腎周囲脂肪組織重量(g/100g体重)を示すグラフである。
図7】0.5%RPR群、5%プロタミン硫酸塩群及びコントロール群(マウス)における高脂肪食摂取50日間後の皮下脂肪組織重量(g/100g体重)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
更に詳細に本発明を説明する。
本発明の、抗肥満薬及び/又は脂質代謝改善薬は、有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有することを特徴とする。
RPRは、プロタミンを加水分解することにより製造することもできるが、既知のアミド化の手法を用いるアミノ酸の縮合によっても製造することもできる。
【0014】
本発明の抗肥満薬及び/又は脂質代謝改善薬の投与形態としては、注射剤(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内注射)、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤等による非経口投与又は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁液剤等による経口投与をあげることができる。
本発明の抗肥満薬及び/又は脂質代謝改善薬は、全組成物の質量に対して、有効成分であるRPRを約0.01~99.5質量%、好ましくは、約0.1~30質量%を含有する。
【0015】
本発明の抗肥満薬及び/又は脂質代謝改善薬は、有効成分であるRPRに加えて、他の医薬的に又は獣医薬的に活性な化合物を含ませることもできる。
本発明の抗肥満薬及び/又は脂質代謝改善薬に含まれるRPRの臨床的投与量は、年令、体重、患者の感受性、症状の程度等により異なるが、通常効果的な投与量は、成人一日0.001~5.0g、好ましくは、0.5~2.5g程度である。しかし必要により上記の範囲外の量を用いることもできる。
本発明の抗肥満薬及び/又は脂質代謝改善薬は、製薬の慣用手段によって投与用に製剤化される。
【0016】
即ち、経口投与用の錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤は、賦形剤、例えば白糖、乳糖、ブドウ糖、でんぷん、マンニット;結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばでんぷん、カルボキシメチルセルロース又はそのカルシウム塩、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール;滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、シリカ;潤滑剤、例えばラウリル酸ナトリウム、グリセロール等を使用して調製される。
【0017】
注射剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤及びエアゾール剤は、活性成分の溶剤、例えば水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール;界面活性剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
、水素添加ヒマシ油のポリオキシエチレンエーテル、レシチン;懸濁剤、例えばカルボキシメチルナトリウム塩、メチルセルロース等のセルロース誘導体、トラガント、アラビアゴム等の天然ゴム類;保存剤、例えばパラオキシ安息香酸のエステル、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸塩等を使用して調製される。
【0018】
経皮吸収型製剤である軟膏には、例えば白色ワセリン、流動パラフィン、高級アルコール、マクロゴール軟膏、親水軟膏、水性ゲル基剤等が用いられる。
坐剤は、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、ラノリン、脂肪酸トリグリセライド、ココナット油、ポリソルベート等を使用して調製される。
【0019】
本発明の抗肥満薬の製剤例を以下に示す。
製剤例1
錠剤
RPR 20g
乳 糖 260g
微結晶セルロース 600g
コーンスターチ 350g
ヒドロキシプロピルセルロース 100g
CMC-Ca 140g
ステアリン酸マグネシウム 30g
全 量 1,500g
上記成分を常法により混合したのち1錠中に1mgの活性成分を含有する糖衣錠20,000錠を製造する。
製剤例2
カプセル剤
RPR 20g
乳 糖 430g
微結晶セルロース 1,000g
ステアリン酸マグネシウム 50g
全 量 1,500g
上記成分を常法により混合したのちゼラチンカプセルに充填し、1カプセル中に1mgの活性成分を含有するカプセル剤20,000カプセルを製造する。
製剤例3
軟カプセル剤
RPR 25g
PEG400 464g
飽和脂肪酸トリグリセライド 1,500g
ハッカ油 1g
ポリソルベート(Polysorbate)80 10g
全 量 2,000g
上記成分を混合したのち常法により3号軟ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル中に1mgの活性成分を含有する軟カプセル剤25,000カプセルを製造する。
製剤例4
軟膏
RPR 1.0g
流動パラフィン 10.0g
セタノール 20.0g
白色ワセリン 68.4g
エチルパラベン 0.1g
l-メントール 0.5g
全 量 100.0g
上記成分を常法により混合し、1%軟膏とする。
製剤例5
坐剤
RPR 1g
ウィッテップゾールH15* 478g
ウィッテップゾールW35* 520g
ボリソルベート(Polysorbate)80 1g
全 量 1,000g
「* トリグリセライド系化合物の商標名
ウィッテップゾール=Witepsol」
上記成分を常法により溶融混合し、坐剤コンテナーに注ぎ冷却固化して1mgの活性成分を含有する1g坐剤1,000個を製造する。
製剤例6
注射剤
RPR 1mg
注射用蒸留水 5mL
用時、溶解して用いる。
【0020】
本発明はまた、有効成分としてトリペプチドであるRPRを含有する以下の健康食品にも関する。
(a)肥満を改善するための組成物からなる健康食品、
(b)血清コレステロールを減少させるための組成物からなる健康食品、
(c)総脂肪組織重量を減少させるための組成物からなる健康食品、
(d)精巣上体脂肪組織の重量を減少させるための組成物からなる健康食品、
(e)腎周囲脂肪組織の重量を減少させるための組成物からなる健康食品、
(f)皮下脂肪組織の重量を減少させるための組成物からなる健康食品
【0021】
上記の健康食品は、特に限定されず、公知の甘味料、酸味料、ビタミン等の各種成分等と混合してユーザーの嗜好に合う製品とすることができる。例えば、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、清涼飲料、ヨーグルト等の乳製品、調味料、加工食品、デザート類、菓子等の形態で提供することが可能である。これらの健康食品の製造工程は特に限定されないが、例えば、健康食品の加工中に、適宜の手段でRPRを添加することにより目的の健康食品を製造することができる。RPRは、食品100g当たり1mgないし5g程度の範囲で配合することができる。
【実施例
【0022】
試験例1:RPRの50日間混餌投与実験
<実験条件>
初体重20g(6週齢)のC57BL/ 6J雄マウス(日本エスエルシー(株)製)に、市販の固形飼料(MF;オリエンタル酵母工業(株)製)を7日間与え、体重に有意な差が生じないように8匹ずつ3群に分けた。実験群は、以下の通りとし、また、以下に記載する飼育方法に従ってマウスを飼育した。
【0023】
<混餌投与群>
1. コントロール群
2. 5%プロタミン混餌投与:5%プロタミン硫酸塩群
3. 0.5%RPR混餌投与:0.5%RPR群
【0024】
<飼育方法>
25%カゼインを食餌性タンパク質源とする30%ラードを含む高脂肪食に5.0% プロタミン硫酸塩(P4380、Sigma社製、)、または0.5% RPR((株)ペプチド研究所製)を混餌することでマウスに自由摂取させ、50日間飼育した。食餌組成を表1に示した。食餌摂取量の測定は50日間毎日行った。解剖前の絶食は10時から8時までの22時間行い、飼育50日目にマウスをイソフルラン麻酔下で心臓採血により屠殺して血液を採取し、肝臓、小腸上部、小腸下部、脂肪組織を摘出した。摘出した肝臓は生理食塩水で洗浄後、湿重量を測定し、液体窒素を用いて冷凍させた。また、その際肝臓の一部を切り出し、DEPC水と生理食塩水を用いて洗浄後、RNA laterに浸し、4℃で保存した。小腸上部、小腸下部はそれぞれ粘膜を回収し、DEPC水と生理食塩水を用いて洗浄後、RNA laterに浸し、4℃で保存した。脂肪組織はそれぞれ粘膜を回収し、DEPC水と生理食塩水を用いて洗浄後、RNA laterに浸し、4℃で保存した。最後の五日間の糞を回収する。血清は、血液を遠心分離(3,000rpm、15分間)することにより得、-20℃で凍結保存した。脂質の分析は市販のキットを用いて測定した。肝臓と脂肪組織は、0.9% NaCl溶液で洗浄後、湿重量を測定し、-20℃で凍結保存した。なお、結果の統計学的分析には、Tukey’s test、Student’s t-testを用いた。
【0025】
試験を行った3群(0.5%RPR群、5%プロタミン硫酸塩群、コントロール群)における50日後の総食餌摂取量(g)を図1に示し、体重増加量(g)を図2に示し、血清コレステロール濃度(mg/dL)を図3に示し、総脂肪組織重量(g/100g体重)を図4に示し、精巣上体脂肪組織重量(g/100g体重)を図5に示し、腎周囲脂肪組織重量(g/100g体重)を図6に示し、皮下脂肪組織重量(g/100g体重)を図7に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
結果
50日間の飼育を通して、0.5%RPR群及び5.0%プロタミン硫酸塩群の両群は、食餌摂取量において、コントロール群と比べて有意な差はみられなかった(図1)。
5.0%プロタミン硫酸塩群はコントロール群に比べて体重増加量を有意に減少し、一
方、0.5%RPR群は、有意ではなかったものの、体重増加量において減少傾向を示した(図2)。
0.5%RPR群と5.0%プロタミン硫酸塩群の両群は、コントロール群に比べて血清コレステロール濃度を有意に減少した(図3)。
0.5%RPR群と5.0%プロタミン硫酸塩群の両群は、コントロール群に比べて腎周囲、皮下及び総脂肪組織重量を有意に減少した(図4、6及び7)。
0.5%RPR群はコントロール群に比べて精巣上体脂肪組織重量を有意に減少し、一方、5.0%プロタミン硫酸塩群は、有意ではなかったものの、精巣上体脂肪組織重量において減少傾向を示した(図5)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7