(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】廃棄物の収集運搬処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230609BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019020858
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】517276457
【氏名又は名称】白井グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176164
【氏名又は名称】江口 州志
(72)【発明者】
【氏名】白井 徹
(72)【発明者】
【氏名】馬場 研二
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072513(JP,A)
【文献】特開2004-234275(JP,A)
【文献】特開2009-040593(JP,A)
【文献】特開2002-083037(JP,A)
【文献】特開2003-026335(JP,A)
【文献】特開2002-211704(JP,A)
【文献】特開2002-117188(JP,A)
【文献】特開2002-183269(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0258128(US,A1)
【文献】白井グループ株式会社,環境負荷低減と経済性向上のためのITを駆使した次世代型廃棄物資源物流網の構築 報告書,[online],2017年,pp.1-61,[令和4年12月20日検索]、インターネット<URL:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/data/publications/resource/houshin/model_houkoku.files/28modelhoukoku3.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の廃棄物排出事業者から出される廃棄物を、該廃棄物の量、種類及び排出日に応じて、複数の収集運搬車両を有する複数の収集運搬事業者を使って収集運搬処理を行い、環境負荷の小さなマテリアルリサイクル、固形燃料化、発電用焼却、及び熱利用焼却の少なくともいずれかの中間処理又は最終処分を行う前記廃棄物の収集運搬処理方法であって、
前記複数の廃棄物排出事業者と、前記複数の収集運搬事業者と、前記廃棄物の積替保管場所として機能する廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の1以上と、1以上の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者とを、契約を通して一体的に運営させる連携機能を有し、
前記連携機能によって行う前記廃棄物の収集運搬処理方法が、
ホストコンピュータおよび前記ホストコンピュータが有する情報記憶演算処理通信手段において、前記複数の廃棄物排出事業者の各位置情報と、前記複数の廃棄物排出事業者から出されるそれぞれの廃棄物の種類、量及び排出日と、前記複数の収集運搬事業者が有する各車両の積載可能量と、前記各収集運搬車両が収集運搬及び処理のために立ち寄る前記廃棄物排出事業者の各地点における前記廃棄物の平均的な積込み所要時間と、前記収集運搬事業者が前記廃棄物を前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所まで運搬して荷降ろしを行うときに要する平均的な荷降ろし所要時間と、前記複数の廃棄物排出事業者を経由して前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物を積替えるために前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所まで移動する移動時間と、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所から前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで移動する移動時間と、を含む収集運搬処理情報を取得・管理し、前記収集運搬処理情報に基づき、前記廃棄物を収集運搬処理する必要最小の収集運搬車両台数及び前記各収集運搬車両が前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所に至るまでの最適コースを算定し選択する最小台数・コース選択工程と、
前記必要最小車両台数と前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所に至るまでの最適コースとを、情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由して前記複数の収集運搬事業者の中から選択する所望の収集運搬事業者に指示し、該指示に従って前記廃棄物を収集する工程と、
前記収集した廃棄物を、前記情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由してそれぞれ指示される前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所から前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程、又は前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所を経由しないで、前記情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由して指示される前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで直接運搬する工程と、
前記廃棄物の収集運搬及び処理の完了報告を前記複数の収集運搬事業者、及び前記広域廃棄物中間処理業事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者からそれぞれ受け取り、少なくとも前記収集運搬及び処理の完了を記載した法的マニフェストを前記ホストコンピュータから前記複数の廃棄物排出事業者に電子情報として、又は書面で通知する工程とを有し、
前記最小台数・コース選択工程においては、前記複数の収集運搬事業者が合意する領域内で前記各収集運搬車両による前記収集運搬及び処理の所要時間が均等になるように平準化して振り分けることにより、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所に至るまでの最適コースが選択され、さらに、
前記収集運搬処理の最適コースから前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所を経由して前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程、又は前記収集運搬処理の最適コースから前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所を経由しないで直接、前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程においては、前記ホストコンピュータに取得・管理される、少なくとも前記廃棄物処理事業者の場所又は前記廃棄物積替保管場所、前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者の場所、運搬ルート、及び運搬費用に関する情報に基づいて、前記ホストコンピュータによって最短又は最も安い運搬コストとして提示される運搬ルートの中から前記廃棄物排出事業者によってあらかじめ選択される運搬ルートに従って前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで前記廃棄物の運搬が行われることを特徴とする廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項2】
前記最小台数・コース選択工程は、前記複数の収集運搬事業者が合意する領域内で前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の収集運搬処理を行うとき、前記複数の収集運搬事業者の各収集運搬車両が立ち寄る前記廃棄物排出事業者が互いに隣接する回収場所間距離として、所定の距離の範囲内で密集又は近接する狭い地域を選び、前記狭い地域内で廃棄物の運搬を行う前記複数の各収集運搬車両の間で前記収集運搬及び処理の所要時間が均等になるように平準化して振り分けることにより前記収集運搬処理の最適コースを設定することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の廃棄物の収集運搬処理方法において、
前記収集運搬車両は、前記収集運搬処理の最適コースとして選択されたコースに従って、車両基地から出発し、前記ホストコンピュータによって指示された前記複数の廃棄物排出事業者を次々に移動することにより廃棄物を収集し、前
記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物を前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者の中から前記ホストコンピュータによって指示されたそれぞれの業者先まで運搬して前記廃棄物を降した後、前記車両基地に戻るルートを有することを特徴とする廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項4】
前記ホストコンピュータが有する記憶装置には、前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の収集運搬処理に関する各種の情報として、さらに、前記複数の
収集運搬事業者がそれぞれ有する廃棄物収集運搬用車両の台数、及び各車両が従来から使用している収集運搬処理コースの情報の少なくともいずれかが記憶され、前記ホストコンピュータが有する記憶装置に記憶された各種の情報は必要に応じて前記ホストコンピュータが有する表示装置に表示されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項5】
前記ホストコンピュータが有する記録装置には、さらに、前記収集運搬処理の最適コースに従って収集運搬を行うときに使用するコースの時間ごとのあらかじめ登録した平均的な交通渋滞の情報及びリアルタイムの交通情報の少なくともいずれかが格納されるとともに、
前記収集運搬処理の最適コースが、前記各種情報に加えて、前記収集運搬を行う時間帯に発生する前記収集運搬処理コースの交通渋滞に関する情報に基づいて、最小の収集運搬車両台数を使って最短時間で収集運搬を行うことができるように選択されることを特徴とする請求項4に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項6】
前記ホストコンピュータ、及び前記情報端末機又は端末コンピュータの少なくともいずれかが、さらに、前記収集運搬処理の最適コース、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所までの運搬コース、及び前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者までの運搬コースの少なくともいずれかの情報を出力する出力装置を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項7】
前記収集運搬処理の最適コースから前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替場所を経由して前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで行う前記廃棄物の運搬、又は前記収集運搬処理の最適コースから前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替場所を経由しないで、直接、前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで行う前記廃棄物の運搬が、前記ホストコンピュータから運搬ルートに応じて提示される運搬費用に基づいて前記運搬ルートの中からあらかじめ前記排出処理業者によって選択された運搬ルートに従って行われることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項8】
前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所で保管された前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物を、さらに港湾の船舶出発基地又は貨物列車の貨物出発基地を経由して前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する収集運搬処理方法であって、前記船舶出発基地又は貨物出発基地から前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者までの最適運搬ルートが前記ホストコンピュータから提示され、前記最適運搬ルートに従って
コンテナ設置場所から貨物用船舶又は貨物列車によって前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで前記廃棄物の運搬が行われることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項9】
ある地域Xにおいて前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の収集運搬処理のために行う前記最小台数・コース選択工程を有する廃棄物の収集運搬処理方法であって、
前記最小台数・コース選択工程が、前記地域Xの同じ地域内で収集運搬を行う前記複数の収集運搬事業者の少なくとも2以上の事業者の間で連携して行われる廃棄物集約工程を有し、
前記複数の収集運搬事業者がA及びBの2事業者であるとき、
前記廃棄物集約工程が、複数の廃棄物排出事業者A1から排出される廃棄物のすべてを収集運搬事業者の車両A2が収集した後、最後に立ち寄る廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所A3を、同じ前記地域Xで廃棄物運搬収集を行う別の収集運搬事業者の運搬車両B2が別の複数の廃棄物排出事業者B1から排出される廃棄物を収集するために立ち寄るときの立ち寄り場所の一つに組み入れることにより、前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所A3に集められる廃棄物を、前記複数の廃棄物排出事業者B1から排出されるすべての廃棄物とともに、前記収集運搬事業者の運搬車両B2が最後に立ち寄る別の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所B3まで運搬し、前記地域X内で排出される前記廃棄物を一か所に集約することによって行われることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項10】
少なくとも地域Xと前記地域Xとは異なる別の地域Yとが含まれる2つ以上の地域に跨って、前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の収集運搬処理を行うための前記最小台数・コース選択工程を有する廃棄物の収集運搬処理方法であって、
前記最小台数・コース選択工程が、前記2つ以上の地域に跨がって前記廃棄物の積替を行い、該積替えが行われた前記廃棄物を、前記2つ以上の地域内に存在する前記複数の収集運搬事業者の収集運搬車両が最後に立ち寄る廃棄物処理事業者又は
廃棄物積替保管場所に集約するための廃棄物集約工程を有し、
前記2つ以上の地域が前記地域Xと前記地域Yの2つの地域に限定され、かつ、前記地域Xに存在する収集運搬事業者がA又はBの1事業者であり、前記地域Yに存在する収集運搬事業者がCの1事業者であるとき、
前記地域Xと前記地域Yの2つの地域に跨って行われる廃棄物集約工程が、前記地域Xに存在する前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所であるA3又はB3を、前記地域Yで廃棄物運搬収集を行う別の収集運搬事業者の運搬車両C2が別の複数の廃棄物排出事業者C1から排出される廃棄物を収集するために立ち寄るときの立ち寄り場所の一つに組み入れることにより、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所であるA3又はB3に集積される廃棄物を、前記複数の廃棄物排出事業者C1から排出されるすべての廃棄物とともに、前記収集運搬事業者の運搬車両C2が最後に立ち寄る別の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所C3まで運搬することによって行われ、
さらに、前記2つの地域に跨って行われる廃棄物集約工程を、前記2つ以上の地域内に存在する前記複数の収集運搬事業者の収集運搬車両が最後に立ち寄る廃棄物処理事業者又は
廃棄物積替保管場所に集約される廃棄物のすべての量が前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者に運搬するときに必要な所定量に到達するまで前記2以上の地域で繰り返して行う廃棄物集約工程に拡張して利用することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項11】
前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者に運搬するときの環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の所定量が、前記ホストコンピュータから前記複数の収集運搬事業者に提示される次の
(1)前記集約した廃棄物のすべての量を前記広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者まで運搬することができる廃棄物運搬許容量、
(2)前記広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者が1回の処理又は処分のときに必要とする廃棄物処理最小量、及び
(3)前記広域廃棄物中間処理事業者による処理又は広域廃棄物最終処分事業者による処分が行われる日程、
の少なくともいずれかの条件に基づいて決められることを特徴とする請求項10に記載の廃棄物の収集運搬方法。
【請求項12】
前記ホストコンピュータが、前記契約に基づく費用、収集運搬に要する実際の費用、及び前記処理及び処分の費用の少なくとも何れかを算出し、それらの費用の少なくともいずれかを前記複数の収集運搬事業者間で一括して精算する精算手段を有し、必要に応じて、前記
精算した費用が前記ホストコンピュータから前記複数の収集運搬事業者及び
前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の各業者に個別に通知されることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項13】
前記の
廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所が複数であるとき、前記複数の廃棄物排出事業者の中で最終に立ち寄る廃棄物排出事業者から、
前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の
複数の中から指示される
廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所までの収集運搬コースにおいて、最初に指定される第1の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所によって環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の運搬費用として見積もられる廃棄物処理又は廃棄物積替保管のためのコストが、他の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所のそれよりも高い場合には、前記複数の廃棄物排出事業者がコスト的に許容する他の
廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の中から、最短時間で前記収集運搬処理を行うことができる第2の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所が前記ホストコンピュータによって新たに提示され、その提示に基づいて前記複数の廃棄物排出事業者が前記収集運搬コースを選定し直して前記廃棄物の収集運搬処理を行うことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【請求項14】
前記複数の廃棄物排出事業者から受ける、環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物処理の依頼は、電話、ファックス及びインターネットの少なくともいずれかの通信手段によって前記複数の収集運搬事業者又は前記連携を遂行する
連携業務事業者に属する1又は2以上の
営業会社が受け、前記依頼を受けると同時、又は前記依頼を受けた後に、
前記営業会社から少なくとも前記複数の廃棄物排出事業者の名簿、及び前記廃棄物の量と種類が情報として前記ホストコンピュータに入力されることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の廃棄物排出事業者から出される廃棄物の処理又は処分を環境に対する負荷が小さな方法で行うとき、複数の収集運搬車両を有する複数の収集運搬事業者及び1以上の広域の廃棄物中間処理事業者又は廃棄物最終処分事業者を使って広域で効率的に収集運搬処理を行うとともに、廃棄物運搬コストの低減を図ることができる廃棄物の収集運搬処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源循環、環境保全、及び資源の有効活用等の観点から、ごみや廃プラスチック等の廃棄物や資源物の収集、運搬及び処理を効率的に、かつ、より低コストで行うことが求められており、特に、都市部においては社会的にも経済的にも大きな課題となっている。
【0003】
都市部では、大手事業者ビルや複数事業者が入るオフィスビルから排出されるごみの収集、運搬及び処理は、比較的効率的に行われるのに対して、中小事業者や小規模店舗等からのごみについては効率的になっていないのが現状である。これは、排出場所が分散し、排出されるごみの種類も多岐にわたるだけでなく、排出量が少量で、排出頻度も定期的ではないためである。また、廃棄物や資源物の収集運搬業者は、ごみの排出事業者及び処理事業者と個別に契約しているため、同じ地域内で複数の排出事業者及び処理事業者が重複しながら、それぞれ独立して個別にごみの収集運搬処理にあたっている。そのため、小さなエリア内及び狭い道路で多くの収集運搬車両が行きかうことになり、二酸化炭素や窒素酸化物の排出量の増大等の環境悪化の要因になるだけでなく、都市部の交通混雑を助長することにもなっている。こういった点からも、従来とは異なる効率的な廃棄物の収集運搬処理システムを構築することが必要である。
【0004】
一方、廃棄物の処理及び処分方法については、環境に対する負荷がより低くなるマテリアルリサイクルや固形燃焼化等を望む廃棄物排出事業者が多くなってきている。マテリアルリサイクルや固形燃焼化等の処理方法は、十分な量を処理できる事業者が限られており、都心部から遠く離れた場所へ廃棄物を運搬する場合が多いことから、廃棄物の処理又は処分の費用だけでなく運搬費用の高騰が避けられないため、単純な処分方法である焼却や埋立てに比べてコスト的には不利な方法である。焼却は二酸化炭素ガスを排出するのでできるだけ避けたい方法である。このような環境意識の高まりに伴い、コスト的にやや不利であってもマテリアルリサイクルや固形燃焼化等による処理又は処分の方法を望む廃棄物排出事業者の数が増えている。そこで、廃棄物の処理又は処分時の環境負荷の大幅な低減という要望に応えると同時に、廃棄物の運搬費用についてはこれまでよりも低減が可能な新しい廃棄物の収集運搬処理方法が強く望まれている。このように環境面を考慮すれば、中間処理又は最終処分はリサイクル型(マテリアルリサイクル、固形燃料化、焼却後発電、焼却後熱利用等)が優先となるが、現状はコストの点から単純焼却や埋め立てなどの処分も合わせて行われている。
【0005】
廃棄物の管理システムについては、従来から様々な提案がなされている。例えば、廃棄物の処分に必要な各種の情報を、排出事業者、収集運搬事業者及び処理処分事業者から集め、それらの情報を一括で管理することにより、廃棄物の収集から最終処理までの管理を容易に行うとともに、廃棄物が適正に、かつ、合法的に処理されたことを公開する廃棄物の管理システム又は廃棄物管理支援装置とそのプログラムが提案されている(特許文献1及び2を参照)。
【0006】
また、特許文献3には、中央基地と地域密着型に配慮したエリア基地の個々に組織化した情報技術により情報ネットワーク化し、該情報ネットワークによる連携のもとに、廃棄物の排出量及び種類に関わりなく排出情報をコンピュータによる情報技術により整理し、収集運搬企業に提供する小口排出産業廃棄物の適正な集荷システムが開示されている。この集荷システムは、分散していて、かつ、非定常に小口に排出する産業廃棄物を適正に集荷し、再資源処理施設に運搬することを目的としている。
【0007】
さらに、経済的なごみ収集輸送システムとして、非特許文献1には、ごみ収集域の各集積所のごみを処理場まで輸送するときに収集車の最大積量を考慮して、最小の時間で搬出輸送するものを最適な状態と定義して、数多くの収集輸送順序の組み合わせの中から、最適な収集順序を見出すために、動的計画法及び遺伝的アルゴリズムを用いた算定手法が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-83007号公報
【文献】特開2012-221233号公報
【文献】特開2004-246656号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】藤野 和徳、「遺伝的アルゴリズムによるごみ収集輸送計画」、土木会論文集、1997年、No.558/II-38、pp.139-146
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記で述べたように、都市部には多くの廃棄物排出事業者が集中して存在しており、それら排出事業者は収集運搬事業者と個別に契約して、特定の処理事業者を選んで廃棄物の処理を行っているのが現状である。そのため、複数の収集運搬処理事業者が同じ地域内で重複して廃棄物の収集運搬を行っており、小さいエリア内や狭い道路で多くの収集運搬車両が行きかう状況に至っている。さらに、廃棄物の収集運搬時間は特定の時間に集中して行われる傾向にあるため、同じ地域内で収集運搬時に稼働する車両の台数が結果的に多くなり、収集運搬処理が非効率となっている。これらは、二酸化炭素や窒素酸化物の排出量を増大させる等の環境悪化の要因になるだけでなく、都市部の交通混雑を助長する結果にもなっている。
【0011】
また、廃棄物排出事業者の複数が離れた距離に散在する場合は、それら廃棄物排出事業者と個別に契約した収集運搬事業者が、わざわざ遠回りして依頼先である廃棄物排出事業者に立ち寄って廃棄物の収集運搬を行う必要がある。その場合、収集運搬車両は走行距離が長くなり、相対的に長時間にわたって稼働する結果となるため、環境面だけではなく、長時間労働による人件費の高騰や労働資源の不足及び処理コストの上昇等の経済性の点においても大きな負荷を発生させる。
【0012】
さらに、プラスチック混合物等は従来から中国等の他国への輸出が可能であったが、輸出国における近年の環境意識の高まりに伴い質の悪いプラスチック混合物の輸出が困難になってきている。そのため、大量に排出されるプラスチック混合物は、廃棄物として日本国内で処理及び処分を行わなければならないという大きな課題に直面している。しかしながら、国内で発生したプラスチック混合物を廃棄物として処理するとき、単なる焼却では全地球的に求められている二酸化炭素排出量の大幅な削減、及び焼却時に出る排熱の有効利用等が困難であり、処分方法として今後はできるだけ避けたいという新たなニーズがある。また、これまで中国等の他国で行っていた大量のプラスチックリサイクルを日本国内だけで行うことは、処理又は処分を行うための装置や設備の数が限られていることから物理的に困難である。そのことが、処理又は処分されない大量のプラスチック混合物を廃棄物処理場に保管せざるをえないという状況を生み出している。この課題は、プラスチック混合物のリサイクル処理場の数が限られている都市部及びその近郊の地域において特に顕著であり、早急な解決が求められている。本発明はこのような新たなニーズに応えるために考案したものである。
【0013】
以上のような状況では都市部における廃棄物の処理運搬処理方法が実際に行き詰っているだけでなく、将来的にはコスト的に大きな負担を強いられることが予想される。また、プラスチック混合物のリサイクル処理は、都市部だけの問題ではなく、地方に散在する処理場又は処分場との繋がりが必要な広域的な懸案事項であるにも関わらず、プラスチック混合物の運搬及び処理又は処分のコスト的な制約もあり、抜本的な解決策が見出されていないのが現状である。そのため、マテリアルリサイクルや固形燃焼化等のように環境に対する負荷が小さな処理又は処分の方法を広域で効率的に行うために必要な廃棄物運搬システムを含め、これまでとは発想を異にする新しい廃棄物の収集運搬処理方法を構築することが強く求められるようになってきた。
【0014】
しかしながら、前記の特許文献1~2に記載された廃棄物の管理システム及び廃棄物管理支援プログラムは、ある特定の契約関係にある排出事業者、収集運搬事業者及び処分処理事業者の元で、廃棄物の収集から最終処理までの管理及び廃棄物処理に関する情報の収集管理及び公開するものであって、その適用が限定的であり、広域で行うときの効率的な収集運搬処理方法として適用するにはシステム的に十分でないことが分かった。
【0015】
また、前記特許文献3に記載の集荷システムは、主に小口排出産業廃棄物を適正集荷するため、全国的な中央基地及び地域密着型に配置したエリア基地を情報技術により情報ネットワーク化するものであるが、単なる情報の収集、管理及び提供を行う方法が開示されただけで、効率的な収集運搬処理を行うための具体的な方法についてはほとんど開示されておらず不明である。そのため、前記特許文献3に記載の方法を、マテリアルリサイクルや固形燃焼化等を含めた広域的な地域に適用できる効率的な収集運搬処理方法を構築するためにそのまま適用することは難しい。
【0016】
また、前記非特許文献1に記載されたごみ収集輸送システムは、前記の特許文献1~2に記載された発明と同様に、特定の契約関係にある排出事業者、収集運搬事業者及び処分処理事業者の元で最適な収集順序を見出すための算定手法であるが、都市部で大きな課題となっている効率的な収集運搬処理方法に対して、前記算定手法をどのように適用するのかについて具体的な開示がされていない。さらに、広域的な廃棄物運搬処理方法についても前記非特許文献1に記載されたごみ収集輸送システムがそのまま適用できるのか否かについては不明である。
【0017】
本発明は、上記した公知例では解決できなかった従来の問題点に鑑みてなされたものであって、複数の廃棄物排出事業者から出される廃棄物を、複数の収集運搬車両を有する複数の収集運搬事業者及び複数の廃棄物処理事業者を使って効率的に収集運搬処理することにより、運搬収集時に稼働させる車両の台数削減と稼働時間の短縮化を図るだけでなく、廃棄物処理において環境に対する負荷が小さなリサイクル型の処理又は処分の方法を選ぶときに、1以上の広域の廃棄物中間処理事業者又は廃棄物最終処分事業者を使って効率的な収集運搬処理を広域で行うとともに、廃棄物運搬コストの低減を同時に図ることができる廃棄物の収集運搬処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、前記特許文献1~3に記載の廃棄物の管理システム、及び前記非特許文献1に記載のごみ処理システムを、更に発展及び進化させ、都市部等の狭い地域だけでなく、それよりも広域でマテリアルリサイクルや固形燃焼化等による廃棄物の処理又は処分を行う場合にも対応できるように構築した廃棄物の収集運搬処理方法である。すなわち、複数の廃棄物排出事業者と、複数の収集運搬車両を有する複数の収集運搬事業者と、1以上の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者とを、契約を通して一体的に連携させるという新しい概念のもとに、それらの各事業者が取り扱う廃棄物の収集運搬処理に関する各種の情報を一括で管理し、該各種の情報に基づいて廃棄物収集運搬車両の台数の最小化と最適コースの選択を行う工程と、前記選択される収集運搬処理の最適コースに従って廃棄物を収集し、さらに、前記収集された廃棄物を最短又は最も安い運搬コストとして選択される運搬コースに従い、必要に応じて廃棄物処分事業所又は廃棄物積替保管場所を経由してから前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程と、廃棄物の処理運搬処理の完了について法的マニュフェストを含めて前記複数の廃棄物排出事業者に通知する工程とを採用することにより、上記の課題を解決できることを見出して本発明に到った。
【0019】
本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、複数の廃棄物排出事業者から出される廃棄物を、該廃棄物の量、種類及び排出日に応じて、複数の収集運搬車両を有する複数の収集運搬事業者を使って収集運搬処理を行い、環境負荷の小さなマテリアルリサイクル、固形燃料化、発電用焼却、及び熱利用焼却の少なくともいずれかの中間処理又は最終処分を行う前記廃棄物の収集運搬処理方法であって、
前記複数の廃棄物排出事業者と、前記複数の収集運搬事業者と、前記廃棄物の積替保管場所として機能する廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の1以上と、1以上の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者とを、契約を通して一体的に運営させる連携機能を有し、
前記連携機能によって行う前記廃棄物の収集運搬処理方法が、
ホストコンピュータおよび前記ホストコンピュータが有する情報記憶演算処理通信手段において、前記複数の廃棄物排出事業者の各位置情報と、前記複数の廃棄物排出事業者から出されるそれぞれの廃棄物の種類、量及び排出日と、前記複数の収集運搬事業者が有する各車両の積載可能量と、前記各収集運搬車両が収集運搬及び処理のために立ち寄る前記廃棄物排出事業者の各地点における前記廃棄物の平均的な積込み所要時間と、前記収集運搬事業者が前記廃棄物を前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所まで運搬して荷降ろしを行うときに要する平均的な荷降ろし所要時間と、前記複数の廃棄物排出事業者を経由して前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物を積替えるために前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所まで移動する移動時間と、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所から前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで移動する移動時間と、を含む収集運搬処理情報を取得・管理し、前記収集運搬処理情報に基づき、前記廃棄物を収集運搬処理する必要最小の収集運搬車両台数及び前記各収集運搬車両が前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所に至るまでの最適コースを算定し選択する最小台数・コース選択工程と、
前記必要最小車両台数と前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所に至るまでの最適コースとを、情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由して前記複数の収集運搬事業者の中から選択する所望の収集運搬事業者に指示し、該指示に従って前記廃棄物を収集する工程と、
前記収集した廃棄物を、前記情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由してそれぞれ指示される前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所から前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程、又は前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所を経由しないで、前記情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由して指示される前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで直接運搬する工程と、
前記廃棄物の収集運搬及び処理の完了報告を前記複数の収集運搬事業者、及び前記広域廃棄物中間処理業事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者からそれぞれ受け取り、少なくとも前記収集運搬及び処理の完了を記載した法的マニフェストを前記ホストコンピュータから前記複数の廃棄物排出事業者に電子情報として、又は書面で通知する工程とを有し、
前記最小台数・コース選択工程においては、前記複数の収集運搬事業者が合意する領域内で前記各収集運搬車両による前記収集運搬及び処理の所要時間が均等になるように平準化して振り分けることにより、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所に至るまでの最適コースが選択され、さらに、
前記収集運搬処理の最適コースから前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所を経由して前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程、又は前記収集運搬処理の最適コースから前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所を経由しないで直接、前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程においては、前記ホストコンピュータに取得・管理される、少なくとも前記廃棄物処理事業者の場所又は前記廃棄物積替保管場所、前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者の場所、運搬ルート、及び運搬費用に関する情報に基づいて、前記ホストコンピュータによって最短又は最も安い運搬コストとして提示される運搬ルートの中から前記廃棄物排出事業者によってあらかじめ選択される運搬ルートに従って前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで前記廃棄物の運搬が行われることを特徴とする廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[2]本発明は、前記最小台数・コース選択工程は、前記複数の収集運搬事業者が合意する領域内で前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の収集運搬処理を行うとき、前記複数の収集運搬事業者の各収集運搬車両が立ち寄る前記廃棄物排出事業者が互いに隣接する回収場所間距離として、所定の距離の範囲内で密集又は近接する狭い地域を選び、前記狭い地域内で廃棄物の運搬を行う前記複数の各収集運搬車両の間で前記収集運搬及び処理の所要時間が均等になるように平準化して振り分けることにより前記収集運搬処理の最適コースを設定することを特徴とする前記[1]に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[3]本発明は、前記[1]又は[2]に記載の廃棄物の収集運搬処理方法において、
前記収集運搬車両は、前記収集運搬処理の最適コースとして選択されたコースに従って、車両基地から出発し、前記ホストコンピュータによって指示された前記複数の廃棄物排出事業者を次々に移動することにより廃棄物を収集し、前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物を前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者の中から前記ホストコンピュータによって指示されたそれぞれの業者先まで運搬して前記廃棄物を降した後、前記車両基地に戻るルートを有することを特徴とする廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[4]本発明は、前記ホストコンピュータが有する記憶装置には、前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の収集運搬処理に関する各種の情報として、さらに、前記複数の収集運搬事業者がそれぞれ有する廃棄物収集運搬用車両の台数、及び各車両が従来から使用している収集運搬処理コースの情報の少なくともいずれかが記憶され、前記ホストコンピュータが有する記憶装置に記憶された各種の情報は必要に応じて前記ホストコンピュータが有する表示装置に表示されることを特徴とする前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[5]本発明は、前記ホストコンピュータが有する記録装置には、さらに、前記収集運搬処理の最適コースに従って収集運搬を行うときに使用するコースの時間ごとのあらかじめ登録した平均的な交通渋滞の情報及びリアルタイムの交通情報の少なくともいずれかが格納されるとともに、
前記収集運搬処理の最適コースが、前記各種情報に加えて、前記収集運搬を行う時間帯に発生する前記収集運搬処理コースの交通渋滞に関する情報に基づいて、最小の収集運搬車両台数を使って最短時間で収集運搬を行うことができるように選択されることを特徴とする前記[4]に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[6]本発明は、前記ホストコンピュータ、及び前記情報端末機又は端末コンピュータの少なくともいずれかが、さらに、前記収集運搬処理の最適コース、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所までの運搬コース、及び前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者までの運搬コースの少なくともいずれかの情報を出力する出力装置を有することを特徴とする前記[1]~[5]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[7]本発明は、前記収集運搬処理の最適コースから前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替場所を経由して前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで行う前記廃棄物の運搬、又は前記収集運搬処理の最適コースから前記の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替場所を経由しないで、直接、前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者まで行う前記廃棄物の運搬が、前記ホストコンピュータから運搬ルートに応じて提示される運搬費用に基づいて前記運搬ルートの中からあらかじめ前記排出処理業者によって選択された運搬ルートに従って行われることを特徴とする特徴とする前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[8]本発明は、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替場所で保管された前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物を、さらに港湾の船舶出発基地又は貨物列車の貨物出発基地を経由して前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する収集運搬処理方法であって、前記船舶出発基地又は貨物出発基地から前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者までの最適運搬ルートが前記ホストコンピュータから提示され、前記最適運搬ルートに従ってコンテナ設置場所から貨物用船舶又は貨物列車によって前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで前記廃棄物の運搬が行われることを特徴とする前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[9]本発明は、ある地域Xにおいて前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の収集運搬処理のために行う前記最小台数・コース選択工程を有する廃棄物の収集運搬処理方法であって、
前記最小台数・コース選択工程が、前記地域Xの同じ地域内で収集運搬を行う前記複数の収集運搬事業者の少なくとも2以上の事業者の間で連携して行われる廃棄物集約工程を有し、
前記複数の収集運搬事業者がA及びBの2事業者であるとき、
前記廃棄物集約工程が、複数の廃棄物排出事業者A1から排出される廃棄物のすべてを収集運搬事業者の車両A2が収集した後、最後に立ち寄る廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所A3を、同じ前記地域Xで廃棄物運搬収集を行う別の収集運搬事業者の運搬車両B2が別の複数の廃棄物排出事業者B1から排出される廃棄物を収集するために立ち寄るときの立ち寄り場所の一つに組み入れることにより、前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所A3に集められる廃棄物を、前記複数の廃棄物排出事業者B1から排出されるすべての廃棄物とともに、前記収集運搬事業者の車両B2が最後に立ち寄る別の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所B3まで運搬し、前記地域X内で排出される前記廃棄物を一か所に集約することによって行われることを特徴とする前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[10]本発明は、少なくとも地域Xと前記地域Xとは異なる別の地域Yとが含まれる2つ以上の地域に跨って、前記環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の収集運搬処理を行うための前記最小台数・コース選択工程を有する廃棄物の収集運搬処理方法であって、
前記最小台数・コース選択工程が、前記2つ以上の地域に跨がって前記廃棄物の積替を行い、該積替えが行われた前記廃棄物を、前記2つ以上の地域内に存在する前記複数の収集運搬事業者の収集運搬車両が最後に立ち寄る廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所に集約するための廃棄物集約工程を有し、
前記2つ以上の地域が前記地域Xと前記地域Yの2つの地域に限定され、かつ、前記地域Xに存在する収集運搬事業者がA又はBの1事業者であり、前記地域Yに存在する収集運搬事業者がCの1事業者であるとき、
前記地域Xと前記地域Yの2つの地域に跨って行われる廃棄物集約工程が、前記地域Xに存在する前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所であるA3又はB3を、前記地域Yで廃棄物運搬収集を行う別の収集運搬事業者の運搬車両C2が別の複数の廃棄物排出事業者C1から排出される廃棄物を収集するために立ち寄るときの立ち寄り場所の一つに組み入れることにより、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所であるA3又はB3に集積される廃棄物を、前記複数の廃棄物排出事業者C1から排出されるすべての廃棄物とともに、前記収集運搬事業者の運搬車両C2が最後に立ち寄る別の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所C3まで運搬することによって行われ、
さらに、前記2つの地域に跨って行われる廃棄物集約工程を、前記2つ以上の地域内に存在する前記複数の収集運搬事業者の収集運搬車両が最後に立ち寄る廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所に集約される廃棄物のすべての量が前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者に運搬するときに必要な所定量に到達するまで前記2以上の地域で繰り返して行う廃棄物集約工程に拡張して利用することを特徴とする前記[1]~[6]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[11]本発明は、前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者に運搬するときの環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の所定量が、前記ホストコンピュータから前記複数の収集運搬事業者に提示される次の
(1)前記集約した廃棄物のすべての量を前記広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者まで運搬することができる廃棄物運搬許容量、
(2)前記広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者が1回の処理又は処分のときに必要とする廃棄物処理最小量、及び
(3)前記広域廃棄物中間処理事業者による処理又は広域廃棄物最終処分事業者による処分が行われる日程、
の少なくともいずれかの条件に基づいて決められることを特徴とする前記[10]に記載の廃棄物の収集運搬方法を提供する。
[12]本発明は、前記ホストコンピュータが、前記契約に基づく費用、収集運搬に要する実際の費用、及び前記処理及び処分の費用の少なくとも何れかを算出し、それらの費用の少なくともいずれかを前記複数の収集運搬事業会社間で一括して精算する精算手段を有し、必要に応じて、前記精算した費用が前記ホストコンピュータから前記複数の収集運搬事業者及び前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の各業者に個別に通知されることを特徴とする前記[1]~[11]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[13]本発明は、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所が複数であるとき、前記複数の廃棄物排出事業者の中で最終に立ち寄る廃棄物排出事業者から、前記の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の複数の中から指示される廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所までの収集運搬コースにおいて、最初に指定される第1の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所によって環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物の運搬費用として見積もられる廃棄物処理又は廃棄物積替保管のためのコストが、他の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所のそれよりも高い場合には、前記複数の廃棄物排出事業者がコスト的に許容する他の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の中から、最短時間で前記収集運搬処理を行うことができる第2の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所が前記ホストコンピュータによって新たに提示され、その提示に基づいて前記複数の廃棄物排出事業者が前記収集運搬コースを選定し直して前記廃棄物の収集運搬処理を行うことを特徴とする前記[1]~[12]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[14]本発明は、前記複数の廃棄物排出事業者から受ける、環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物処理の依頼が、電話、ファックス及びインターネットの少なくともいずれかの通信手段によって前記複数の収集運搬事業者又は前記連携を遂行する連携業務事業者に属する1又は2以上の営業会社が受け、前記依頼を受けると同時、又は前記依頼を受けた後に、前記営業会社から少なくとも前記複数の廃棄物排出事業者の名簿、及び前記廃棄物の量と種類が情報として前記ホストコンピュータに入力されることを特徴とする前記[1]~[13]のいずれか一項に記載の廃棄物の収集運搬処理方法を提供する。
[発明の効果]
【発明の効果】
【0020】
本発明による廃棄物の収集運搬処理方法は、複数の廃棄物排出事業者から出される廃棄物を、複数の収集運搬車両を有する複数の収集運搬事業社と、複数の廃棄物処理依頼事業者又は廃棄物積替保管場所と、1以上の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者とを、契約を通して一体的に連携させる連携させて収集運搬及び処理を行うことにより、廃棄物の効率的な収集運搬処理を行うことができる。それだけでなく、環境負荷を大幅に低減するために今後益々利用が拡大すると考えられるマテリアルリサイクルや固形燃焼化等の処理又は処分の方法を、廃棄物の運搬コストを抑えながら、広域で効率的に行うことができる。その結果、運搬収集時に稼働させる車両の台数削減と稼働時間の短縮化を図るとともに、排出する二酸化炭素排出量と窒素酸化物の排出量とを削減することができる。従来、公知例などの個別の技術ではなしえなかった効果として、都市全体を走行する廃棄物運搬車両数と運転手数を削減することで廃棄物収集運搬処理コストを削減し、かつ、交通渋滞と大気汚染を緩和し低炭素都市になるという効果を生み出す。加えて、リサイクル型の廃棄物の処理又は処分の方法の利用が、コストも考慮して広域で促進されるようになるため、環境負荷を広範囲で低減することができるようになり、特に、都市部の円滑な資源循環と二酸化炭素排出量削減の要求に対して大きな効果が得られる。
【0021】
また、廃棄物の収集運搬処理に要する費用についても、前記複数の収集運搬事業者の収集運搬情報をホストコンピュータに伝達し整理することで、費用を一括して精算する精算手段をとり、必要に応じて廃棄物処理コストが安い廃棄物処理事業者を選択する方法を採用することにより、費用分担の公平化及び処理費用の低減を図ることができる。さらに、前記複数の廃棄物排出事業者から受ける廃棄物処理の依頼を連携業務事業者が受け、前記依頼や法的マニフェストの管理をホストコンピュータで一体的に処理することにより、利便性の高い廃棄物の広域的かつ低コストの収集運搬処理方法を提供することで、複数収集運搬事業者の経営の効率化、事業の継続、連帯感の醸成、排出事業者の安心感のアップを図ることができる。このような統合効果は従来の公知技術ではなしえないものである。
【0022】
本発明による廃棄物の収集運搬処理方法は、以上のような効果を奏することから、特に都市部の廃棄物や資源物の収集、運搬及び処理の高効率化と都市環境の改善に同時に大きく貢献することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による廃棄物の収集運搬処理方法の構成を示す概略図である。
【
図2】
図1に示す連携用コンピュータによって行われる付加的な工程及び機能を示す図である。
【
図3】本発明の収集運搬処理方法において、廃棄物処理の依頼を連携業務事業者が一括して受けるシステムの例を示す模式図である。
【
図4】本発明による廃棄物の収集運搬処理方法において第1の実施形態による最小台数・コース選択工程を説明するための模式図である。
【
図5】収集運搬事業者A社、B社及びC社の3社が連携した後の実走行時の移動回数に伴う廃棄物排出場所間の距離の分布の例を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態による廃棄物収集運搬処理方法の例を示す図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態による収集運搬処理方法の例を示す模式図である。
【
図8】本発明の第4の実施形態による収集運搬処理方法の例を示す模式図である。
【
図9】本発明の第5の実施形態による収集運搬処理方法の例を示す模式図である。
【
図10】本発明の第6の実施形態による収集運搬処理方法の例を示す模式図である。
【
図11】本発明の第7の実施形態による収集運搬処理方法の例を示す模式図である。
【
図12】本発明の第8の実施形態による収集運搬処理方法の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明において、環境に対する負荷が小さなリサイクル型廃棄物の処理又は処分とは、単純焼却や埋め立とは区別されて行われるものであり、マテリアルリサイクル、固形燃料化、発電用焼却、及び熱利用焼却のことを意味し、場合によっては古紙再生も含まれる。本発明においては、これらの廃棄物を「リサイクル型廃棄物」という。リサイクル型でなく処理される方法は単純焼却と埋立処理である。
【0025】
マテリアルリサイクルにおいては、例えば、リサイクル型廃棄物を粉砕分別する処理を行った後、最終的にマテリアルリサイクル物の製造を行う場合と、回収したリサイクル型廃棄物から直接、マテリアルリサイクル物を製造する場合等、様々なマテリアルリサイクル方法が挙げられる。そのため、本発明では、広域で行うマテリアルリサイクルの処理または処分を行う事業者を、一律に中間処理事業者及び最終処分事業者のどちらか一方の事業者であると区別しないで、広域の廃棄物中間事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の少なくともいずれかを含むものとして扱う。すなわち、広域廃棄物中間事業者又は広域廃棄物最終処分事業者はそれぞれ別々の事業者であってもよいし、中間処理と最終処分を同じ場所で行う1事業者であってもよい。要は、限られた狭い地域内で単純焼却や埋立てを行う処理事業者又は処分事業者と区別する意味で、「広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者」と定義する。この定義は、固形燃料化、発電用焼却、熱利用焼却、及び古紙再生の場合でも同じである。
【0026】
前記リサイクル型廃棄物の処理又は処分は、処理できる事業者が限られているため、処理場所又は処分場所が多く存在する単純焼却や埋め立よりも処理又は処分のための費用が高価になる傾向にある。また、前記処理できる事業者は、特に都心部からは遠く離れた場所に存在するため、廃棄物の運搬距離が長く、運搬費用も単純焼却や埋立てに比べて余分にかかるのが現状である。
【0027】
本発明は、近年の環境意識の高まりから廃棄物の処理又は処分の方法としてマテリアルリサイクルや固形燃焼化等を望む廃棄物排出事業者が多くなっており、その状況に対応するためになされたものである。すなわち、従来から廃棄物排出事業者、収集運搬事業者及び廃棄物処理事業者との連携に基づいて、ある限られた狭い地域内で行われる廃棄物の収集運搬処理を、リサイクル型廃棄物の処理又は処分にまで広げるため、さらに、広域の廃棄物中間処理事業者又は廃棄物最終処分事業者を巻き込んだ形で、契約を通して4事業者を一体的に運営する連携機能により効率的な廃棄物の収集運搬処理を行うことを目的とする。ここで、広域で行う処理又は処分は既設の設備において処理処分方法が既に決まっているため、その費用の低減を図ることが難しい。そこで、本発明は、廃棄物の収集運搬方法に着目し、効率的な収集運搬により運搬費用の削減を行うことを主な目的とする。特に、ある限られた地域から広域の中間処理事業者又は最終処分事業者までリサイクル型廃棄物を運搬する場合、効率的な収集運搬ができれば廃棄物運搬処理における大きな費用削減が期待できる。
【0028】
本発明において前記4事業者を一体的に運営する連携機能は、従来から行われている廃棄物排出業者、収集運搬事業者、及び中間処理事業者又は廃棄物処理事業者の1対1対1対1の関係をさらに発展及び進化させた形態、すなわち、各事業者の複数を、契約を通して一体的に連携させるともに、その連携の枠組を1以上の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処理事業者にまで広げることによりリサイクル型廃棄物の収集運搬処理をより効率的に進めることに特徴を有する。ここで、廃棄物排出事業者及び収集運搬事業者の数は、廃棄物の収集運搬を効率良く行うため複数の事業者を集めることが必要である。一方、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処理事業者については、事業者の数が限られており、加えて、処理又は処分時の対象であるリサイクル型廃棄物の種類が事業者によっては対応できない場合もあることから、リサイクル型廃棄物の種類に応じて少なくとも1の事業者を選択して契約を行う。しかしながら、広域の処理又は処分を低コストで効率的に行うためには、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処理事業者の数が2以上であることが好ましい。
【0029】
図1に、本発明の一実施形態による廃棄物の収集運搬処理方法の構成を概略図で示す。
図1に示すように、本発明による廃棄物の収集運搬処理は、複数の廃棄物排出事業者(例えば1~pの廃棄物排出事業者)から出される廃棄物を、該廃棄物の量、種類及び排出日に応じて、複数の収集運搬車両を有する複数の収集運搬事業者(例えば1~mの収集運搬事業者)によって収集し(収集工程)、複数の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所(例えば1~nの処理事業者)のいずれかの事業者まで運搬した後(運搬工程)、単純な単純焼却や埋め立の場合は運搬先である廃棄物処理事業所で処理が行われる。リサイクル型廃棄物の場合は、1~nの廃棄物処理事業者で処理が行えないため、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処理事業者へ運搬する前に一時的に積替用として保管する必要がある。その場合は、1~nの廃棄物処理事業者が廃棄物積替保管場所の役割を担ってもよいし、場合によっては前記廃棄物処理事業者とは別に廃棄物積替保管場所を設けてもよく、前記廃棄物処理事業者から、前記廃棄物処理事業者とは別に設けた廃棄物積替保管場所に運搬することができる。そして、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所からリサイクル型廃棄物が広域の廃棄物中間処理事業者又は廃棄物最終処分事業者(図中では、広域廃棄物処理・処分事業者1~qと記載)に運搬され、そこで、リサイクル型廃棄物に応じた処理又は処分が行われる。
図1に示す実施形態においては、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を経由しないで、1~mの収集運搬事業者から1~qの広域廃棄物処理・処分事業者までリサイクル型廃棄物を直接的に運搬する場合も含まれる。
【0030】
廃棄物の処理に関するフローは、所謂マニフェスト伝票と呼ばれる帳票を用いて行われるため、1~pの廃棄物排出事業者によって1~mの収集運搬事業者、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所及び1~qの広域廃棄物処理・処分事業者が選ばれる。選ばれる廃棄物処理事業者及び広域廃棄物処理・処分事業者は、廃棄物の処理に関して従来からの実績が考慮される。また、本発明は、
図1に示す1~pの廃棄物排出事業者、1~mの収集運搬事業者、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び1~qの広域廃棄物処理・処分事業者を、それぞれ契約を通して一体的に運営させるための連携機能を有することが第1の特徴である。
【0031】
本発明において「契約を通して一体的に連携させる」という概念は、(1)複数業者間の連名契約(複数契約を一本に整理した、つまり契約者の名前を連ねた契約)の一本の契約に限定されるものではなく、複数の契約を結ぶ場合が含まれる。具体的には、廃棄物排出事業者と収集運搬事業者の間で結ぶ(2)「廃棄物処理委託契約(収集運搬用)」、同じく廃棄物排出事業者と広域の廃棄物中間処理事業者又は廃棄物最終処分事業者との間で結ぶ(3)「廃棄物処理委託契約(処分用)」(いずれも正式用語)である。すなわち、「契約を通して一体的に運営」とは、現実に行われている、前記(1)、又は前記(2)及び(3)を通して行う連携機能を有するものであり、さらには各契約者の数が複数になる場合も含むものである。
【0032】
本発明による連携機能は、以下に示すように、主な2つの運搬ルート(a)及び(b)を選定することを目的として遂行される。これら運搬ルートの選定は、
図1において実線で囲む枠内の各工程に従って機能するように連携用ホストコンピュータを用いて具体的に行われる。
【0033】
<運搬ルート(a)>
運搬ルート(a)として、まず、
図1に示す1~mの収集運搬事業者のいずれか1事業者が、1~pの廃棄物排出事業者の中で実際に廃棄物の収集を行うために立ち寄る廃棄物排出事業者の1又は複数を選び、単純焼却や埋め立の処理又は処分を行う場合やマテリアル型廃棄物の積替場所として1~nの廃棄物処理事業者のいずれか1又は複数の事業者に運搬するときの車両台数及び運搬コースを選定する。次に、リサイクル型廃棄物を1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所のいずれか1又は複数の事業者から1~qの広域廃棄物処理・処分事業者の少なくとも1か所まで運搬するときの運搬ルートの選定が行われる。
【0034】
<運搬ルート(b)>
運搬ルート(b)としては、
図1に示す1~mの収集運搬事業者のいずれか1事業者が、1~pの廃棄物排出事業者の中で実際に廃棄物の収集を行うために立ち寄る廃棄物排出事業者の1又は複数を選び、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を経由しないで、リサイクル型廃棄物を直接的に運搬するルートが選定される。運搬ルート(b)は、1~pの廃棄物事業者の1又は複数に立ち寄って収集するリサイクル型廃棄物の量が多く、1~qの広域廃棄物処理・処分事業者に直接的に一回で運搬する方が運搬費用の点で安価の場合に採用される。
【0035】
図1に示す実線で囲む枠内において、収集運搬処理情報管理工程は、次に行う最小台数・コース選択工程において必要となる各種の情報を連携用ホストコンピュータが有する情報記憶演算処理通信手段によって取得し、それらの情報を実際の演算処理を行うまで前記情報の記録、格納及び管理を行う工程である。前記各種の情報としては、少なくとも、1~pの廃棄物排出事業者、1~mの収集運搬事業者、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び1~qの広域廃棄物処理・処分事業者(広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者)に関する情報として、1~pの廃棄物排出事業者の住所などの各位置情報と、1~pの廃棄物排出事業者から出されるそれぞれの廃棄物の種類、量及び排出日と、1~mの収集運搬事業者が有する各車両の積載可能量と、前記各収集運搬車両が収集運搬及び処理のために立ち寄る前記廃棄物排出事業者及び前記廃棄物処理事業者の各地点における前記廃棄物の平均的な積込み所要時間と、1~mの収集運搬事業者が廃棄物を1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所まで運搬して荷降ろしを行うときに要する平均的な荷降ろし所要時間と、1~mの収集運搬事業者が1~pの廃棄物排出事業者の回収場所を経由して1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所まで移動する移動時間とが含まれる。さらに、1~qの広域廃棄物処理・処分事業者(広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者)の場所(住所などの各位置)、及び1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所から1~qの広域廃棄物処理・処分事業者までの運搬ルートと運搬費に関する費用が含まれる。
【0036】
ここで、1~pの廃棄物排出事業者から出されるそれぞれの廃棄物の中には、環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められるリサイクル型廃棄物に関する廃棄物の種類、量及び排出日の情報が含まれることが必要である。本発明の実施形態においては、様々な廃棄物の中で、リサイクル型廃棄物だけに特化して収集運搬処理を行ってもよい。
【0037】
また、1~qの広域廃棄物処理・処分事業者に関する情報としては、リサイクル型廃棄物の処理又は処分を確実に、且つ、支障なくスムーズに行うため、上記の情報に加えて、リサイクル型廃棄物の中間処理又は最終処理の方法とその費用、1回の処理又は処分が可能な廃棄物量、及びリサイクル型廃棄物を搬入できる量の情報が含まれることが好ましい。
【0038】
最小台数・コース選択工程においては、前記各種の情報に基づいて、1~mの収集運搬事業者のいずれかが稼働させる車両の必要最小台数及び各車両の収集運搬処理の最適コースを選択する。このとき、それらの選択は、1~mの収集運搬事業者の中から選択する所望の事業者の車両が実際に廃棄物を排出する複数の廃棄物排出事業者に立ち寄って行うときの収集運搬処理時間が各車両間でできるだけ均等になるように平準化して振り分けることによって処理を行う。これは、前記稼働する複数の車両の間で収集運搬処理時間に大きなばらつきがあるルートを選択する場合、複数の車両で合算したときの総収集運搬処理時間が、収集運搬処理時間の長い車両による影響を強く受け、結果的に長くなるためである。
【0039】
この考え方に基づく算定方法は、前記非特許文献1に開示されるように、特定の契約関係にある廃棄物排出事業者、収集運搬事業者及び廃棄物処理事業者の元で最適な収集順序を見出す際に適用が試みられていたが、その適用は小さなエリア内で個別に分離して行う場合に限定されていた。本発明の最小台数・コース選択工程においては、この考え方を基に、複数の廃棄物排出事業者、複数の収集運搬事業者、及び複数の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を使って一体的に一括して算定を行うともに、その適用をより広域的なエリアまでに拡張して適用できるようにするのが第2の特徴である。なお、本発明における平準化とは、前記複数の収集運搬事業者において、各事業者が実施する収集運搬処理のための所要時間の差異を小さくして、できるだけ均等になるように振り分けることにより最適化された収集運搬処理コースの選定を行う操作を意味する。そのため、前記所要時間のすべてを同じ時間に平均化することには必ずしも求められておらず、各所要時間の間には若干の差異が認められる。本発明における収集運搬処理時間が均等になるように平準化する算定方法については、後で詳細に述べる。
【0040】
さらに、前記収集運搬処理の最適コースから、前記廃棄物積替保管場所として機能する前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を経由して前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程、又は前記収集運搬処理の最適コースから前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を経由しないで直接、前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで運搬する工程において、前記ホストコンピュータに取得・管理される、少なくとも前記廃棄物処理事業者の場所又は廃棄物積替保管場所、前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者の場所、運搬ルート、及び運搬費用に関する情報に基づき、最短又は最も安い運搬コストとして提示される運搬ルートの中から前記廃棄物排出事業者によってあらかじめ選択される運搬ルートに従って前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者の場所まで前記廃棄物の運搬を行うようにするのが第3の特徴である。
【0041】
最小台数・コース選択工程において処理されて得られる最小台数・コース選択結果は、情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由して、1~mの収集運搬事業者の中から選択する所望の事業者に連携用ホストコンピュータから指示される。選択された収集運搬事業者は、その指示に従って実際に廃棄物を収集し、前記のように1~pの廃棄物排出事業者によって指定された廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の1又は複数の事業者まで運搬する。
【0042】
また、前記収集運搬処理の最適コースから前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者までの運搬ルートにおいて最短又は最も安い運搬コストとして提示される運搬ルートについても、前記収集運搬コースから前記前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を経由しない場合は、情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由して、1~mの収集運搬事業者、及び1~qの広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の中から選択する所望の事業者に連携用ホストコンピュータから指示される。また、前記収集運搬コースから前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を経由する場合は、1~mの収集運搬事業者、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び1~qの広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の中から選択する所望の事業者に、同様に連携用ホストコンピュータから情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段を経由して指示される。後者の場合、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所から1~qの広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者までの廃棄物運搬は、1~mの収集運搬事業者の中から所望の事業者に請け負わせてもよいし、場合によっては長距離運搬を専業とする別の収集運搬事業者を選択してもよい。
【0043】
本発明で使用する「ホストコンピュータ」とは、インターネットを介して情報を送受信するデータセンターのコンピュータのことを意味する。また、「情報端末機、端末コンピュータ」とは、同じくインターネットを介して情報を送受信するパーソナルコンピュータや携帯電話、スマートフォンのことを意味する。つまり、クラウド型のコンピュータネットワークシステムである。
【0044】
このようにして廃棄物の収集運搬処理が行われた後、廃棄物の収集運搬及び処理の完了報告を、1~mの収集運搬事業者、1~nの廃棄物処理業事業者又は廃棄物積替保管場所、1~qの広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の中から実際の収集運搬処理に携わった事業者の1又は複数の事業者からそれぞれ受け取り、少なくとも前記収集運搬及び処理の完了を記載した法的マニフェストを連携用ホストコンピュータから実際に廃棄物を排出した廃棄物排出事業者の1又は複数に電子情報として、又は書面で通知する。これらの通知は、自動又は手入力等の手動で行うことができる。
【0045】
以上が、本発明による廃棄物の収集運搬処理方法が有する基本的な工程である。本発明は、
図1に示す各工程を行うことにより、単独の収集運搬事業者が所定の廃棄物処理事業者を使って個別に廃棄物の処理を行っていた従来の方法に代えて、より広域的な範囲で複数の収集運搬事業者及び複数の廃棄物処理業者又は廃棄物積替保管場所を使って効率的に廃棄物の処理を行うことができる。すなわち、単独の収集運搬事業者が従来から踏襲していた廃棄物の収集運搬処理コースには縛られないで、複数の収集運搬事業者及び複数の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を一体的に連携させる。その場合、複数の収集運搬事業者が従来からそれぞれ個別に有していた複数の収集運搬処理コースを含めて、運搬車両の台数を最小にし、短時間で廃棄物の収集運搬処理を行うことが可能になるような経路を組み合わせて最適なコースとして選択が行われる。
【0046】
さらに、環境負荷を大幅に低減するために今後益々利用が拡大すると考えられるマテリアルリサイクルや固形燃焼化等の処理又は処分を、廃棄物の運搬コストを抑えながら、より簡便に広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者に依頼することができるようになる。それによって、都市部においても環境に優しい処理方法又は処分方法の選択できる幅が広がる。
【0047】
本発明で使用する連携用コンピュータは、
図1に示す工程以外にも様々な工程を経ることによって廃棄物の収集運搬処理方法の機能を向上させることができる。
図2に、連携用コンピュータによって行われる付加的な工程及び機能をまとめて示す。
【0048】
図2の収集運搬処理情報管理工程において点線で囲んだ枠内に示すように、前記情報管理工程には、さらに前記複数の廃棄物運搬事業者がそれぞれ有する収集運搬用車両の台数の情報、及び各車両が従来から使用している収集運搬コースの情報の少なくともいずれかが記憶される。前者は実際に廃棄物の収集運搬処理に使用することができる台数であり、廃棄物の量に応じて1つの廃棄物運搬事業者では能力的に対応できない場合、2又はそれ以上の複数の廃棄物運搬事業者を選んで収集運搬処理に当たるように前記ホストコンピュータから指示を行うときのベースとなる情報である。また、後者は、前記複数の廃棄物運搬事業者が連携前に既に有していた情報であるが、廃棄物排出事業者が所定の距離内で近接又は密集して存在する前記狭いエリアに含まれない地域で収集運搬処理を行うときの収集運搬コースの情報として使用することができる。
【0049】
上記2つの情報は、契約を通して収集運搬事業者の新規参加または入れ替えが行われる場合、適宜、更新されて前記ホストコンピュータ内に記憶される。また、前記ホストコンピュータが有する記憶装置に記憶された各種の情報は、確認を行うことが必要な場合等、必要に応じて前記ホストコンピュータが有する表示装置に表示される。また、表示装置は、前記ホストコンピュータだけでなく、収集運搬事業者1~mの各事業者が有する情報端末機、端末コンピュータ及びインターネットの少なくともいずれかの手段に備えられる。その表示装置を用いて、収集運搬事業者1~mの各事業者は連携によって最適化された収集運搬コース及び各種の情報の確認を行うことができる。
【0050】
本発明は、
図2において一点鎖線で囲んだ枠内に示すように、収集運搬処理情報管理工程に、収集運搬処理を行うときに使用するコースの時間ごとの平均的な交通渋滞の情報及びリアルタイムの交通情報の少なくともいずれかをあらかじめ外部機関から取得し、登録して格納させておくことが好ましい。これは、収集運搬車両による収集運搬時間が、走行距離だけでなく、道路の混雑状態によっても大きな影響を受けるためである。これらの情報は、最小台数・コース選定工程で選定した最適な収集運搬コースにあらかじめ適用することにより、前記収集運搬コースの適否の再確認だけでなく、最小時間の再計算によってより最適な収集運搬コースへの変更を行う場合に使用することができる。それにより、実際の道路交通渋滞が反映されるため、最小の収集運搬車両台数を使って最短時間で収集運搬を行うことが可能になる。
【0051】
道路の混雑は、各地域固有の平均的な交通渋滞によってある程度の推定が可能であるが、交通事故等の突発的な事故、道路工事及び雨や風等の気象状況等によっても変わる。そのため、より正確な収集運搬時間を算定する場合は、VICS(登録商標)等の道路交通情報システムから得られるリアルタイムの交通情報が必要になる。したがって、最小台数・コース選定工程において、コースの時間ごとの平均的な交通渋滞の情報及びリアルタイムの交通情報の両者を使用することにより、最小台数・コース選定をより正確に、かつ、確実に行うことができる。
【0052】
図2に示すように、本発明で使用する連携用ホストコンピュータ、及び情報端末機又は端末コンピュータの少なくともいずれかは、さらに、前記収集運搬処理の最適コース、前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所までの運搬コース、及び前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者までの運搬コースの少なくともいずれかの情報を出力する出力装置を有することが好ましい。この出力装置は、コースの確認を行うだけでなく、各種の情報の出力、収集運搬処理作業記録及びその確認、又は関係者へ作業上の注意の喚起、及び収集運搬処理作業が発生する問題点を明示するためにも利用することができる。
【0053】
また、連携機能を適用しない従来の収集運搬処理方法では、他の事業者が収集運搬していた廃棄物排出事業者との契約費用や収集運搬及び処理を行ったときの実際の費用を、各収集運搬事業者が単独で知ることは、不可能又は困難であった。そこで、本発明においては、前記ホストコンピュータが有する各種費用に関する情報を整理してその清算を行うこととする。具体的には、本発明で使用する連携用ホストコンピュータは、
図2において二点鎖線で囲んだ枠内に示すように、複数の廃棄物排出事業者、複数の収集運搬事業者、複数の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び1以上の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者を連携させるために取り交わす契約に関わる費用、収集運搬に要する実際の費用、及び前記処理及び処分の費用の少なくとも何れかを算出し、それらの費用の少なくともいずれかを前記複数の収集運搬事業会社間で一括して精算する精算手段を有することが好ましい。そして、前記
精算した費用は、前記ホストコンピュータから前記複数の収集運搬事業者及び前記複数の廃棄物処理事業者の各業者に個別に通知される。
【0054】
このような精算手段を活用することにより、廃棄物の収集運搬及び処理作業で発生する費用を正確、かつ、公正に算出することができるため、連携によるトラブルを未然に防止する効果が得られる。また、精算した費用の中で、契約者の一定数以上が許容できる金額を連携のための資金としてプールし、定期的に積み立てるようなシステムを構築することも可能になる。仮に、複数の廃棄物排出事業者又は複数の収集運搬事業者の間で収集運搬処理作業の受注に偏りが出た場合、相対的に受注の少ない事業者に対して、前記積み立てた資金の一部を短期的な救済の意味合いで提供又は貸し出しを行うことができる。それにより、本発明による連携の枠組みに収集運搬事業者が参画する経済的メリットが生まれ、廃棄物の収集運搬処理の事業を安定的に、かつ、継続することができる。さらに、事業者間の連帯感が強まることにより実際の収集運搬処理に携わる事業者の質の向上を図ることが容易になる。また、廃棄物排出事業者からの信頼感が得られるようになるため、安全で確実な収集運搬処理作業行われるようになり、結果的に地域住民の安心感の醸成を図ることに役立つ。このような従来知られていない新たな効果は、従来の収集運搬方法では得られることができないものである。
【0055】
本発明による廃棄物の収集運搬処理方法は、運搬収集時に稼働させる車両の台数削減と稼働時間の短縮化を図るため、複数の運搬車両間で収集運搬のための移動時間が最小になるように最適な収集運搬処理コースの選定を行う。さらに、リサイクル型廃棄物の処理又は処分を行うため、前記複数の廃棄物排出事業者の中で最終に立ち寄る廃棄物排出事業者の場所から前記廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所、又は前記広域廃棄物中間処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分事業者の場所までの収集運搬コースの選定を行う必要がある。その際、廃棄物の処理費用については複数の廃棄物処理事業者間でほとんど変わらないとしてコースの選定を行っている。しかしながら、廃棄物の処理費用に対してもコストを十分に配慮する必要があることを見出したので、各事業者間で処理費用を実費ベースで請求しあうようにする。ここで実費ベースとは実費に一定の比率を掛けた費用のことであり、この比率は各事業者間で取り決める。比率は経験的に0.9が好ましい。
【0056】
そこで、本発明においては、前記最適な収集運搬コースにおいて、前記複数の廃棄物排出事業者の中で最終に立ち寄る廃棄物排出事業者の場所から、前記の廃棄物処理業者若しくは廃棄物積替保管場所の複数の中から指示される廃棄物処理業者若しくは廃棄物積替保管場所を選ぶ場合、最初に指定される第1の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所によって環境負荷の小さな中間処理若しくは最終処分が求められる廃棄物運搬費用として見積もられる廃棄物処理若しくは廃棄物積替保管のためのコストが、他の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所のそれよりも高い場合には、前記複数の廃棄物排出事業者がコスト的に許容する他の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所の中から、最短時間で前記収集運搬処理を行うことができる第2の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所が前記ホストコンピュータによって新たに提示され、その提示に基づいて前記複数の廃棄物排出事業者が前記収集運搬コースを選定し直すことが好ましい。それにより、複数の廃棄物処理業者の間にも処理コスト低減の意識が生まれ、結果的に廃棄物の収集運搬処理をより安価に行うことができる。
【0057】
前記廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所において、第1から第2の事業者に変更するときの処理又は積替コストの目安をあらかじめ前記連携用ホストコンピュータで決めておいてもよい。例えば、第1及び第2の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所において、収集運搬費用を所要時間当たりで除すことによって時間当たりの移動単価として計算した移動コストと、廃棄物処理又は積替のコストとをそれぞれ求めておき、第1及び第2の廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替保管場所の間で生まれる処理コストの差及び移動時間の差を比べたとき、処理コストの差が移動時間の違いに起因する移動コストの差よりも所定の比率(例えば10%)よりも大きい場合は、廃棄物処理事業者を第1から第2へ変更することを自動的に行う方法を採用することができる。
【0058】
それ以外の単純な方法として、例えば、第1の廃棄物処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分業者の処理コストが、第2の廃棄物処理事業者若しくは前記広域廃棄物最終処分業者のそれに比べて10%高値以上である場合は自動的に第2の事業者への変更を行い、一方、10%高値未満であれば、収集運搬処理時間がより短い第1の事業者を選択するという方法である。10%という数値は収集運搬事業者へのヒアリングで明らかになった数値であるが、処理コストを比較するときの目安となる基準は廃棄物の種類や地域によって異なるので必ずしも10%高値に限定されず、複数の事業者間の合意の基に別の基準を決めることができる。
【0059】
このように、移動単価と廃棄物処理コストの両方を評価する方法、及び、コストと時間を両方評価することで前記廃棄物処理事業者若しくは廃棄物積替場所を選択するという考えは従来なかったものである。
【0060】
本発明は、さらに、複数の廃棄物排出事業者から受ける廃棄物処理の依頼を、電話、ファックス及びインターネットの少なくともいずれかの通信手段によって前記複数の収集運搬事業者又は連携
業務事業者に属する1又は2以上の
営業会社が受けるシステムを有することが好ましい。ここで、前記連携業務事業者とは、複数の廃棄物排出業者と実際に廃棄物の収集運搬及び処理を実行する複数の収集運搬事業者、
1以上の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び1以上の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者とを統括的に橋渡しする役目を担う事業者であって、連携業務事業者の一つが担う場合と、連携
業務事業者以外の事業者(別法人)が担う場合とがある。
図3に、本発明の収集運搬処理方法において廃棄物処理の依頼を連携業務事業者が一括して受けるシステムの例を模式的に示す。
【0061】
図3に示す例は、営業会社の1又は2以上が、本発明の連携による廃棄物の収集運搬処理を主体的に行う連携を遂行する連携業務事業者に属している例である。前記1~pの廃棄物排出事業者、前記連携業務事業者に属する営業会社の1又は2以上、1~mの収集運搬事業者、1~nの廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び1~qの広域処理・処分事業者(広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者)が法的に必要な関係者間で連名契約または個別契約を締結した上で、
前記営業会社は複数の廃棄物排出事業者から依頼を受け、具体的にはその依頼内容及び依頼された排出事業者情報を基に配車計画管理を行い、該配車計画管理に基づいて複数の収集運搬会社の中から選んだ事業者に必要な配車台数と選定コースを指示する。指示を受けた収集運搬事業者は必要な運搬車両台数を用いて、少なくとも環境負荷の小さな中間処理又は最終処分が求められる廃棄物を収集運搬し、
1~nの廃棄物処理事業者の中から選んだ事業者の場所又は廃棄物積替保管場所まで移動し、そこで前記廃棄物を積み替えた後、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者まで運搬し、その場所で処理を行う。ここで、配車計画管理には、
図1又は
図2に示すように、連携用ホストコンピュータを用いて廃棄物の収集運搬処理のために使用する車両の最小台数の算定及び最適コースの選択を行う工程が含まれる。
【0062】
廃棄物の収集運搬及び処理後の完了報告は、上記で述べたように、前記複数の収集運搬事業者、前記
1以上の廃棄物処理業事業者又は廃棄物積替保管場所、及び広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者からそれぞれ受け取り、少なくとも前記収集運搬及び処理の完了を記載した法的マニフェストを前記ホストコンピュータから前記複数の廃棄物排出事業者、収集運搬処理事業者、廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所、及び広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者に電子情報として、又は書面で通知する。また、
図3に示すように、廃棄物の収集回収物量を含む前記完了報告が
営業会社を経由して
前記複数の廃棄物排出事業者に通知される方法を採用してもよい。このとき、廃棄物の収集運搬処理に要する費用についても、インターネット等を経由して営業会社が複数の廃棄物排出事業者に代行請求し、売り上げとして入金を受けることができる。
【0063】
図3に示すシステムは、廃棄物排出事業者からの依頼に対してきめ細やかな対応ができ、利便性に優れ、かつ、収集運搬事業者の一社単独が実行するよりも台数の削減と距離の短縮化が図れるためコストを低減できるという利点を有する。また、廃棄物排出事業者からの数多くの依頼を連携業務事業者が集中して受けることがないため、事務的に迅速な対応ができる点で好都合であり、広い地域にまたがって多くの依頼を受けることが可能になる。こで、前記営業会社の1又は複数は前記連携事業者に属することには限定されず、前記複数の収集運搬事業者にそれぞれ属していても、前記と同じような効果を得ることができる。
【0064】
以下において、本発明に基づく実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態によって何ら限定されるものではない。
【0065】
<第1の実施形態>
本発明の特徴である連携機能によって一体的に運営して行う収集運搬処理方法の技術的な意義を、連携機能を適用しない従来の収集運搬処理方法と対比して図面を用いて説明する。
図4は、本発明の廃棄物収集運搬処理方法において、複数の収集運搬事業者から複数の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所までの最適コースを算定し選択する最小台数・コース選択工程だけを抽出して示す模式図である。
図4の(a)は、連携前の従来から行われている収集方法を示す図であり、各個社(収集運搬事業者)が個別に各顧客(廃棄物排出事業者又は廃棄物積替保管場所)との契約に基づいて廃棄物の収集運搬を行い、廃棄物処理事業者まで運搬して、そこで単純焼却や埋め立等の行う廃棄物の場合は処理を行う。リサイクル型廃棄物の場合には廃棄物積替保管場所としての役割を果たす廃棄物処理事業者又はそれとは別の廃棄物積替保管場所に集める方法である。また、
図4の(b)は、各社の連携収集によって効率的な収集を行う本発明の収集運搬処理方法を示す図である。
図4には、収集運搬事業者としてA社及びB社の2社を例として挙げている。
【0066】
図4の(a)に示す従来技術において、収集運搬事業A社は、個別に複数の廃棄物排出事業者(図においてAで示す5地点)に立ち寄り、矢印(→)で示すコースに従って、それぞれ廃棄物を収集及び運搬を行った後、個別に契約した廃棄物処理事業者(A処)に立ち寄り、そこで廃棄物の処理又は積替保管を行う。そして、収集運搬処理を行った後の車両は、単純焼却や埋め立等の場合はA社に帰還するコースをたどる。他方、リサイクル型廃棄物の場合は、後述の実施形態で説明するように、例えば、廃棄物積替場所の役割を担うA処から広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者までの運搬が行われる。収集運搬事業B社の場合も、個別に契約した廃棄物排出事業者(図においてBで示す5地点)に立ち寄って別のコースをたどって収集運搬を行い、個別に契約した廃棄物処理事業者(B処)に立ち寄り、そこで廃棄物の処理又は積替保管を行った後、B社に帰還するか、又は広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者までの運搬のコースをたどる。
【0067】
図4の(a)に示すように、A社とB社とがそれぞれ収集を行う収集コースにおいて狭いエリア内で近接又は密集する地点(図中、点線の枠内で囲まれたA社の2地点及びB社の4地点を含む計6地点)が存在するにも関わらず、A社とB社は個別で全く異なるコースをたどるため、効率的な収集運搬が行われず、結果的にA社とB社とも廃棄物を運搬するための距離が長くなっている。そのため、所定の時間で廃棄物の収集運搬処理を行うときの運搬車両の台数が、運搬距離にも依存するものの、例えば、A社は3台が、B社では2台が必要となり、稼働させる台数が計5台となる。
【0068】
それに対して、本発明の最小台数・コース選択工程においてはA社とB社の間で連携収集を行うことにより効率的な収集が可能になる。具体的には、A社及びB社による収集運搬処理の全ルートについて各収集運搬時間を短くするだけでなく、前記点線の枠内で囲まれた6地点について特に着目し、前記各収集運搬時間が2社の間で収集運搬処理のための所要時間ができるだけ均等になるように平準化を行ったコースに組み直すことにより実現される。A社及びB社において組み直した後の収集運搬処理コースをそれぞれ示したのが
図4の(b)である。
【0069】
図4の(b)において実線の2つの枠内に示すように、前記点線の枠内で囲まれた6地点の中で、連携収集前にA社が収集コースとしていた2地点(A
*)はB社の収集コースに組み込まれる。また、連携収集前にB社が収集コースとしていた2地点(B
*)はA社の収集コースに組み込まれる。残りの2地点についてはコースの最適化を行った後でも変更されないで、連携収集前と同じBコースに留まっている。
【0070】
図4の(b)から分かるように、A社及びB社の各収集運搬処理コースは、
図4の(a)と比べて互いに重複する部分がほとんどなく、収集運搬処理に要する時間の平準化も行われることが容易に推察できる。したがって、廃棄物の収集運搬処理を行うときの運搬車両の台数が、例えばA社は3台が2台に、また、B社では2台が1台に減らすことが可能になる。結果的に、稼働させる運搬車両の総台数は3台となるため、連携前と比べて、台数の削減及び稼働時間の短縮化ができる。さらに、運搬車両の台数減少と稼働時間の短縮化は二酸化炭素及び窒素酸化物の排出量の削減にも寄与するため、環境への負荷の大幅な低減を図ることができる。
【0071】
図4においてA社及びB社の2社による連携収集によって奏する効果を示したが、連携する収集運搬事業者は3社以上でも同じ基本コンセプトによって効率的な収集を行うことができる。また、廃棄物処理業者についても2社以上の場合を含めて、複数の廃棄物収集運搬事業者と組み合わせて一体的に連携させて運搬車両の最小台数及びコース選択を行うことにより、より効率的な廃棄物の収集運搬処理を行うことができる。本発明においては、複数の廃棄物排出事業者、複数の収集運搬事業者及び複数の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の連携を行うときに契約を通して参加する各事業者の数が多いほど適用する地域が広がり、運搬車両の台数減少と稼働時間の短縮化の効果がより顕著に現れる。特に、都市部の廃棄物収集運搬処理において大きな効果を得ることができる。
【0072】
次に、本実施形態の最小台数・コース選択工程において収集運搬処理時間の短縮化及び複数の事業者間で収集運搬処理時間が均等になるように平準化する算定方法について説明する。
【0073】
収集運搬処理時間の短縮化及び複数の事業者間で行う収集運搬処理時間が均等になるように行う平準化は、基本的に上記非特許文献1に開示された算定方法を活用して行う。まず、収集運搬車両の最大積載量を考慮して、最小の時間で搬出輸送するものを最適な状態と定義して、数多くの収集輸送順序の組み合わせの中から、最適な収集順序、すなわち収集運搬処理コースを見出すものである。このときの算定方法としては、動的計画法、人口知能(AI)を利用する遺伝的アルゴリズム及び机上で考えられるルートを試行錯誤によって選ぶ方法等があるが、算定の精度を高めること及び算定のための処理時間を短くできること等の点から動的計画法及び遺伝的アルゴリズムの少なくともいずれかを使用するのが実用的である。
【0074】
本発明においては、前記収集輸送順序の組み合わせを算定するときに使用する基本情報としては、単独の収集運搬事業者が所定の処理事業者を使って個別に廃棄物の処理を行っていた従来の収集運搬処理に関する各種の情報だけに限定されない。その情報に加えて、複数の廃棄物排出事業者、複数の収集運搬事業者、及び複数の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所が連携して一体的に収集運搬処理を行うものとして、各事業者との関係を1対1に細分化した状態で行ったときの収集運搬処理時間を独立に調査して得られる情報を用いる。このとき取得する情報は、従来の収集運搬処理に関する情報よりも情報量が膨大になるが、連携前に個別に廃棄物の処理を行っていた従来の収集運搬処理に関する各種の情報を利用することにより、情報取得及び整理のための時間を節約することができる。ここで取得する情報としては、具体的には
図1に示す収集運搬処理情報管理工程で説明した種類の情報が含まれる。
【0075】
最適な収集運搬処理コースの選定は、前記のようにして取得された各種の情報を用いて、基本的に次の3つのプロセスにより行う。
(1)動的計画法により、廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を含めて、複数の廃棄物排出事業者間を移動するときの最小移動時間及びその経路を算定する。
(2)収集時の運搬車両1台で収集運搬処理する場合の収集コース(収集地点の順序)を遺伝的アルゴリズムにより前記AI等を利用して決定する。
(3)各収集運搬車両の稼働時間ができるだけ均等になるように平準化を行った収集運搬処理コースを、対象とする複数の収集運搬車両に振り分ける。
【0076】
本発明においては、前記複数の収集運搬事業者が合意する領域内で廃棄物の収集運搬処理に携わる廃棄物排出事業者、収集運搬事業者、及び廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の数が、前記非特許文献1に開示された場合よりも多くなる。そのため、例えば、
図4において点線の枠内で示すように、狭いエリアの所定の距離内で近接又は密集して存在する廃棄物排出事業者に着目して選び出す。そして、前記狭いエリア内に存在するすべての収集コースを、それら複数の廃棄物排出事業者の回収場所(地点)に立ち寄って運搬車両1台で収集運搬処理を行うときの収集コース(収集地点の順序)の中に組み入れる。このとき、運搬車両としては前記狭いエリアを通過する複数の収集運搬事業者のすべての運搬車両を対象にする。一方、狭いエリア内に存在しない廃棄物排出事業者の回収場所については、個別に廃棄物の処理を行っていた従来の収集運搬処理に関する各種の情報をそのまま利用し、前記狭いエリア内に存在する廃棄物排出事業者に関する情報と組み合わせる。
【0077】
このようにして組み合わせた情報を使って、上記(1)及び(2)のプロセスに従い、収集時の運搬車両1台で収集運搬処理する場合の収集コース(収集地点の順序)を半自動で試行錯誤的に行う処理方法又は動的計画法及び遺伝的アルゴリズム等の方法により決定する。さらに、上記(3)のプロセスによって各収集運搬車両の稼働時間ができるだけ均等になるように平準化した収集運搬処理コースを、対象とする複数の収集運搬車両に振り分ける。
【0078】
このとき、前記狭いエリアは、複数の廃棄物排出事業者においてそれぞれ密集又は近接して隣接する回収場所間距離が1km未満である回収場所を選んで決めるのが実用的であり、さらに300m以内が好ましい。前記隣接する回収場所間距離が1km以上のエリア内に存在する複数の廃棄物排出事業者を選んで遺伝的アルゴリズム等によって平準化を行い、収集コース(収集地点の順序)を決定しても、長い移動距離に費やす時間が総収集運搬時間に対して占める比率が大きくなり、前記狭いエリアを規定する技術的意味が薄れてくる。そのため収集運搬車両台数の削減に対する効果が十分に得られない。本発明においては、前記隣接する回収場所間距離を300m以下とさらに限定することにより、上記(3)のプロセスによる算定方法が有効に機能し、収集運搬処理時間の短縮化及び運搬車両台数の減少という本発明の効果が顕著に得られることが分かった。これらの根拠となる、前記狭いエリアの範囲を決める際に基準となる回収場所間の距離の特性を
図5によって説明する。
【0079】
図5は、複数の収集運搬事業者がA社、B社及びC社の3社である場合に、3社が連携した後の実走行時の移動回数に伴う廃棄物排出場所間の距離の分布の例を示す図である。
図5に示す例では、A社、B社及びC社の可燃廃棄物回収場所にそれぞれ対応する370箇所、35箇所及び50箇所で行ったときの移動回数の合計が455回である。
【0080】
図5に示すように、移動件数の約10%に当たる42件は1km以上の移動を行う必要があったが、それ以外の約90%の移動件数については移動距離が1km未満においてほぼ均等に分布していることが分かる。すなわち、可燃廃棄物回収場所間の距離が1km未満である回収場所を選んで回収を行うことにより、収集運搬車両の稼働時間に対して連携による平準化の効果を得ることができる。さらに、可燃廃棄物回収場所間の距離が300m以下であれば移動距離のばらつきが非常に少なくなり、連携による平準化の効果がさらに顕著に現れる。
【0081】
したがって、本発明の収集運搬処理方法で実施する最小台数・コース選択工程においては、複数の廃棄物排出事業者から廃棄物が排出された回収場所のすべての中から、隣接する回収場所間の距離が1km未満にある狭いエリア内に存在する場所を重点的に選んで、その狭いアリア内で複数の収集運搬事業者を連携させることが好ましい。この狭いエリアは、例えば、
図4において点線の枠内で囲む地域に相当すると考えることができる。このように、連携による削減効果が顕著に現れる回収場所を絞ることにより、
図1及び
図2に示す前記最小台数及びコース選択工程において連携に必要な情報の入力量を低減できるともに演算処理時間の短縮化を図ることができるため、コースの最適化と指示を迅速に行うことができる。さらに、前記狭いエリアの範囲を、隣接する回収場所間の距離が300m以下に含まれる地域に限定することにより、収集運搬時に稼働させる車両の台数削減と稼働時間の短縮化という本発明の効果を十分に得ながら、コースの最適化と指示を行うときに一層の迅速化を図り、効果も飛躍的に増大させることができる。
【0082】
なお、
図5に示すように、1km以上の遠隔地を走行する移動は件数が約10%と少ないものの、調査の結果、移動に費やす時間の比率が総走行時間に対して約40%を占めた。この比率は、効率的な収集運搬処理を行う上で無視できない値であり、総走行時間の短縮化を行うためには1km以下の遠隔地を減らすことが必要である。その対応策としては、本発明の連携を広い範囲で進めることにより連携に参画する収集運搬会社を増していくことが考えられる。例えば、本実施形態においてA社、B社及びC社にとって遠隔地であった地域に別の収集運搬会社を加えて連携数を増やすことができれば、前記遠隔地が別業者にとっては1km未満となる可能性が出てくる。このような連携拡大を広い地域で進めることによって参画前者の収集運搬処理の効率向上を図ることができるだけでなく、都市そのものへの環境負荷を大きく低減することができる。以上のような事実と効果は発明者が初めて明らかにしたものである。
【0083】
本発明による収集運搬処理方法の最小台数・コース選択工程において実際に廃棄物の収集運搬を担当する各車両は、
図4の(b)の例で示すように、前記連携用ホストコンピュータを用いた算定方法によって最適な収集運搬コースとして選択されたコースに従って、所属する収集運搬事業者の車両基地から出発し、前記複数の廃棄物排出事業者の中から前記連携用ホストコンピュータによって指示された事業者を次々に移動することにより廃棄物を収集し、廃棄物を前記複数の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の中から前記連携用ホストコンピュータによって指示された業者先まで運搬して降ろした後、前記車両基地に戻るルート、又は引き続き広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者までの運搬するルートを有する。
【0084】
<第2の実施形態>
本発明において、廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所から広域廃棄物中間処理事業者又は広域最終処分事業者まで運搬する工程、又は前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所を経由しないで、前記広域廃棄物中間処理業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者まで直接的に運搬する工程を含めたマテリアルリサイクル型廃棄物の収集運搬処理方法の例を、
図6を用いて説明する。
【0085】
図6は、
図4に示す前記最小台数・コース選択工程に加えて、廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所から広域廃棄物中間処理事業者又は広域最終処分事業者まで運搬する工程を有する本実施形態の廃棄物収集運搬処理方法の例を示す模式図である。
図6には、同じ地域(地域Xと略す)内で事業を行う収集運搬事業者としてA社及びB社の2社を例として挙げている。
図6の(a)は、
図4の(a)と同様に、連携前の従来から行われている収集運搬方法を示す図であり、廃棄物を廃棄物処理事業者まで運搬して、そこで廃棄物の処理を行う。廃棄物がリサイクル型廃棄物の場合には廃棄物積替保管場所に集める。また、
図6の(b)は、AB各社の連携収集によって効率的な収集を行う本発明の収集運搬処理方法を示す図である。
図6には、A社が立ち寄る複数の廃棄物排出事業者、A社の車両、及び廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所(A処)をそれぞれA1、A2、及びA3で、また、B社が立ち寄る複数の廃棄物排出事業者、B社の車両、及び廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所(B処)をそれぞれB1、B2、及びB3で表している。また、広域廃棄物中間処理所業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者をS1で表している。
【0086】
図6の(a)に示す連携収集前の従来技術においては、A社とB社による廃棄物の取集運搬が互いに連携されていないため、A3及びB3を経由する場合、A3→S1及びB3→S1の2通りの運搬ルート(図中では、点線の矢印で示している。)によってリサイクル型廃棄物の運搬を行う必要がある。また、A3及びB3を経由しない場合にも、それぞれ複数の廃棄物排出事業者A1及びB1の中で最後に立ち寄る事業者A1及びB1からS1までのリサイクル型廃棄物の運搬はA1→S1及びB1→S1の2通りのルート(図中では、点線の矢印で示している。)を使って行う必要がある。もともと、
図6の(a)に示す従来技術では、所定の時間で廃棄物の収集運搬処理を行うときにA社及びB社の収集運搬事業者の車両A2及びB2の稼働台数が多く、加えて移動距離も長くなるため、廃棄物の運搬効率が劣るという問題があった。さらに、リサイクル型廃棄物の運搬を広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者であるS1まで運搬するためには2つの別々の運搬ルートを取ることが必要となるため、非効率の廃棄物収集運搬処理が行われていた。
【0087】
それに対して、
図6の(b)に示す本実施形態の連携収集による廃棄物の収集運搬処理方法は、B社が複数の廃棄物排出事業者B1に立ち寄るルート内で新たに立ち寄る場所としてA3を組み入れることにより、A社の収集運搬ルートに従って最終的にA3に集められたリサイクル型廃棄物を、B社によって収集運搬されるすべてのリサイクル型廃棄物とともにB3からS1に運搬することができる。この場合、A3及びB3では、リサイクル型廃棄物の処理又は処分ができないため、A3及びB3がそれぞれA積替保管場所及びB積替保管場所として役割を担う。それにより、リサイクル型廃棄物のS1までの運搬は、B3→S1の1つの運搬ルートで行うことができる。また、B社の収集運搬事業者の車両B2はB3まで移動しない場合でも、複数の廃棄物排出事業者Bの中で最後に立ち寄る事業者B1から直接、S1までリサイクル型廃棄物の運搬を行うことができる。
【0088】
上記第1の実施形態でも説明したように、
図6の(b)に示す本実施形態による収集運搬処理方法はA社とB社の間で連携収集を行う最小台数・コース選択工程を採用することにより効率的な収集が可能になる。さらに、リサイクル型廃棄物の運搬を広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者であるS1まで運搬するとき、B3(又は最後に立ち寄るB1)→S1の1つの運搬ルートで行うことができるため、
図6の(a)に示す従来技術による廃棄物収集運搬処理方法に比べて運搬効率を大幅に高めることができる。結果的に、運搬費用の低減も図ることができる。
【0089】
<第3の実施形態>
図7に、本発明のリサイクル型廃棄物による収集運搬処理方法の別の例の模式図を示す。上記第2の実施形態(
図6)は、同じ地域X内において、廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所がA3(A処)及びB3(B処)の2か所が存在する場合であるが、
図7に示す収集運搬処理方法では廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所が1か所の場合である。
【0090】
図7は、廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の1か所が、A社の立ち寄りルートとB社の立ち寄りルートとの間に存在する例を示す図であり、AB社共通の廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所(AB3処)がAB3として表されている。
図7の(a)は、
図6の(a)と同様に、連携前の従来から行われている収集方法を示す図であり、リサイクル型廃棄物をAB3まで運搬して、そこで廃棄物の処理を行う。廃棄物がリサイクル型廃棄物の場合にはAB3の1か所に集められる。
図7の(b)は、AB各社の連携収集によって効率的な収集運搬を行う本発明の収集運搬処理方法を示す図である。
図7の(b)に示す収集運搬処理方法は、廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所がAB3の1か所で、A社の立ち寄りルートとB社の立ち寄りルートとの間に存在しており、運送距離を短くするため、B社の収集運搬ルートが
図6に比べて逆回りになっている。
【0091】
図7の(a)と(b)とを対比すると、複数の廃棄物排出事業者を立ち寄るときの収集運搬ルートについては、A社とB社の間で連携収集を行うことにより最小台数・コース選択工程を採用する(b)の方が効率的な収集運搬を行うことができる。他方、リサイクル型廃棄物の処理又は処分においてS1までの運搬がAB3→S1の1つの運搬ルートだけで行われるため、この運搬工程においてはA社とB社の間で行う連携収集運搬の効果がみられない。
【0092】
しかしながら、上記第2の実施形態及び本実施形態を鑑みると、同じ地域X内に存在する廃棄物排出事業者、収集運搬事業者、及び廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所の数が多くなるほど、複数の収集運搬事業者の連携収集による廃棄物運搬の効率が高まることが容易に推察される。したがって、連携収集による効率的で、低コストの廃棄物の収集運搬処理を行うという本実施形態の効果は、特に都市部において顕著に得られる。
【0093】
<第4の実施形態>
上記第2及び第3の形態は、リサイクル型廃棄物を広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者へ運搬するとき、前記広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者がS1の1か所に限定される例を示したが、本実施形態においてはリサイクル型廃棄物の運搬先として複数の広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者から最適な事業者1社を選択する方法が一般的に採用される。その例を、
図8に示す廃棄物収集運搬処理方法の模式図を用いて説明する。
【0094】
図8の(a)に示す廃棄物収集運搬処理方法は、
図6の(b)に示すものと同じように、A社とB社との連携収集によって最適化が行われる最小台数・コース選択に従って廃棄物の収集運搬処理が行われるが、広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者があらかじめ決められたS1の1社に固定されず、S1及びS2の2社から最適な事業者が選択される点で
図6の(b)に示す方法とは異なる。また、
図8の(a)に示す廃棄物収集運搬処理方法は、最小台数・コース選択として
図8の(b)に示すような運搬ルートを採用してもよい。すなわち、
図8の(b)に示す廃棄物収集運搬処理方法は、
図8の(a)に示す方法とは異なり、B社が複数の廃棄物排出事業者B1に立ち寄るルート内で新たに立ち寄る場所としてA3を組み入れないで、A社の車両A2が最後に立ち寄るA3を経由してB3にリサイクル型廃棄物を直接運搬することにより、複数の廃棄物排出事業者A1及び複数の廃棄物排出事業者B1から排出されるすべてのリサイクル型廃棄物をB3に集約する方法である。このようにして集約されたリサイクル型廃棄物は、B3から広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者S1及びS2の2社の中から選択される最適な事業者まで運搬される。
【0095】
図8の(a)及び(b)には、広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者としてS1及びS2の2社が示されているが、本実施形態においては3社以上の事業者から選択してもよい。複数の広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者から選択される最適な事業者は、廃棄物週数運搬処理の連携機構を制御管理するために使用するホストコンピュータに取得・管理される、少なくとも廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管の場所(例えば、
図8においてA3及びB3の場所)、広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者の場所(例えば、
図8においてS1及びS2の場所)、運搬ルート(例えば、
図8においてB3→S1又はS2)、及びその運搬費用に関する情報に基づいて、前記ホストコンピュータによって最短又は最も安い運搬コストとして提示される運搬ルートの中から前記廃棄物排出事業者によってあらかじめ選択される運搬ルートを有する事業者に絞られる。本実施形態において廃棄物の運送費用の低減を図ることを主な目的とする場合は、前記ホストコンピュータから運搬ルートに応じて提示される運搬費用に基づいて前記運搬ルートの中から最も安い運搬コストを有するものとして、あらかじめ前記排出処理業者によって選択された運搬ルートに従ってリサイクル型廃棄物の運搬を行うことが好ましい。
【0096】
上記第2~第4の実施形態は、同じ地域X内で収集運搬事業者A社及びB社の2社による廃棄物収集運搬処理方法の例を示しているが、本発明は、同じ地域X内で事業を行う収集運搬事業者が3社以上であってもよい。その場合も、上記第2~第4の実施形態と同じような考え方で最小台数・コース選択に従って廃棄物の収集運搬を行い、1又は2以上の広域廃棄物中間処理事業者又は前記広域廃棄物最終処分事業者の中から最適な事業者を選択してリサイクル型廃棄物の運搬を行い、処理又は処分を行う。
【0097】
また、本発明においては、上記第2~第4の実施形態で説明した廃棄物収集運搬処理方法を、同じ地域Xの1地域だけに限定されず、2以上の地域に跨って行ってもよい。例えば、地域Xとは異なる地域Yで事業を行う廃棄物の収集運搬事業者(例えば、C社)を利用することによってリサイクル型廃棄物の運搬を行う。仮に、地域Xと地域Yがそれぞれ異なる自治体となる場合は、地域X内で事業を行う収集運搬事業者A社及びB社、並びに地域Y内で事業を行う収集運搬事業者C社は、それぞれ地域Xと地域Yを通過するだけでなく、廃棄物の積替えを行う場合もあることから、X地域及びY地域の2つの自治体を管轄する都道府県知事からあらかじめ許可を受けるようにする。以下の実施形態では、多地区連携輸送の例として、地域X及び地域Xとは異なる他の地域Yの間でリサイクル型廃棄物の積替を行って処理又は処分を実施する方法を説明する。
【0098】
<第5の実施形態>
図9は、リサイクル型廃棄物を2つの地域に跨って積替を行い、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者S1及びS2の2社の中から選択される最適な事業者まで運搬し、そこで処理又は処分を行う方法を示す模式図である。
図9に示す例においては、地域X及び地域Yの2つの地域として、便宜上、関東圏に存在するX地区及びY地区としている。
図9に示す本実施形態による廃棄物の収集運搬処理方法は、基本的に
図8の(a)に示す方法と同じ考え方に基づいて廃棄物の収集運搬処理を行うが、X地区とY地区とに跨って廃棄物の積替えを行う点で
図8の(a)に示す方法とは異なる。
【0099】
図9に示すように、Y地区でC社が複数の廃棄物排出事業者C1に立ち寄るルート内で新たに立ち寄る場所としてX地区に存在する廃棄物処分事業者又は廃棄物積替保管場所であるA3又はB3を組み入れる。A社(又はB社)は、車両A2(又はB2)を用いて最小台数・コース選択による運搬ルートに従って運搬を行い、最終的にA1及びB1から排出されるすべてのリサイクル型廃棄物をA3(又はB3)に集める。そして、A3(又はB3)に集められたリサイクル型廃棄物は、C社の運搬ルートにおいてA3又はB3が立ち寄り場所の一つとして組み入れることにより、C社によって収集運搬されるすべてのリサイクル型廃棄物とともに、C社が立ち寄る廃棄物処分事業者又は廃棄物積替保管場所C3に集約される(廃棄物集約工程に相当)。さらに、C3から、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者S1及びS2の2社の中から選択される最適な事業者まで運搬される。
【0100】
図9に示す方法においては、X地区で事業を行う収集運搬事業者としてA社及びB社のどちらかが記載されている。しかしながら、
図8の(a)又は(b)に示す方法と同じように、X地区内ではA社及びB社がそれぞれの複数の廃棄物排出事業者A1及びB1から収集運搬する廃棄物のすべてをB3に集めた後、B3からC3に運搬するルートを採用してリサイクル型廃棄物の集約を行ってもよい(廃棄物集約工程に相当)。同様に、
図7の(b)に示す方法によってA社及びB社がそれぞれの複数の廃棄物排出事業者A1及びB1から収集運搬する廃棄物のすべてをAB3に集めた後、AB3からC3に運搬するルートを採用して集約してもよい(廃棄物集約工程に相当)。また、
図9に示すX地区は、収集運搬事業者がA社及びB社の2社には限定されず、3社以上でも収集運搬処理を行うことができる。同様に、Y地区においても収集運搬事業者がC社の1社には限定されず、2社以上で収集運搬処理を行ってもよい。
【0101】
図9に示す廃棄物収集運搬処理方法において、前記廃棄物集約工程によって集約されるマテリアル廃棄物を広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者S1又はS2の中から選択される最適な事業者に運搬するときは、C3に集約されるリサイクル型廃棄物のすべての量が必要な所定量に到達するまで前記廃棄物集約工程を2以上の地域で繰り返して行う。S1又はS2において中間処理又は最終処分を行う場合、運搬されるリサイクル型廃棄物が所定のまとまった量でなければ処理又は処分を頻繁に行うか、又は運搬されるリサイクル型廃棄物を一時的に保管する必要が生じるため、処理又は処分の効率が悪くなるだけでなく、その費用も高額となる。したがって、
図9に示すように、本実施形態による廃棄物収集運搬処理方法を2以上の地域で利用することによりマテリアル型廃棄物の集約が可能になるため、C1又はC2において処理又は処分できる所定のまとまった量のマテリアル型廃棄物の確保が容易になる。それにより効率的なマテリアル型廃棄物の処理又は処分ができるようになり、マテリアル型廃棄物の運送費用だけでなく、処理又は処分のための費用の低減も図ることができる。
【0102】
図9に示す廃棄物収集運搬処理方法に従って、集約されたマテリアル型廃棄物をS1及びS2から選択される最適な事業者に運搬するときの所定量は、前記ホストコンピュータから前記複数の収集運搬事業者に提示される次の(1)~(3)に示す条件の少なくともいずれかの条件に基づいて決められる。
(1)前記集約した廃棄物のすべての量を広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者S1及びS2のいずれか最適な事業者まで運搬することができる廃棄物運搬許容量、
(2)広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者S1及びS2の中から選択される最適な事業者が1回の処理又は処分のときに必要とする廃棄物処理最小量、及び
(3)広域廃棄物中間処理事業者による処理又は広域廃棄物最終処分事業者S1及びS2の中から選択される最適な事業者による処理又は処分が行われる日程。
【0103】
上記(1)~(3)の条件は、C1又はC2においてリサイクル型廃棄物の処理又は処分を効率的に、且つ、より安価に行うために提示されるものである。
図9には、複数の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の例としてS1とS2が挙げられているが、本実施形態においては3以上の事業者を前記ホストコンピュータのデータベースに登録し、前記ホストコンピュータから前記複数の収集運搬事業者に提示される広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の中からリサイクル型廃棄物の種類に応じて、最適の事業者を選択することができる。そのとき、リサイクル型廃棄物の種類によって処理又は処分の方法が異なる場合は、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の最適な事業者として2以上を選択してもよい。
【0104】
また、
図9に示す広域の多地区連携輸送において、Y地区内に広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の少なくとも1社が存在する場合は、X地区で収集されるリサイクル型廃棄物のすべてを、C社との連携によってY地区内で処理又は処分することができるようになる。それにより、X地区からマテリアル型廃棄物運搬用の車両を運行させる必要がなくなるため、交通混雑の抑制及び二酸化炭素排出削減等の環境の面から好ましいだけでなく、X地区及びY地区を合わせたときのマテリアル型廃棄物の運搬費用そのものを低減することができる。仮に、X地区及びY地区とは別のZ地区に広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者が存在する場合、
図9に示す方法を拡張させ、例えば、3地区連携輸送方法を利用することにより、X地区及びY地区から排出されるリサイクル型廃棄物を、Z地区から排出されるリサイクル廃棄物とともにZ地区内で処理又は処分を行うことが可能になる。
【0105】
<第6の実施形態>
図9に示す廃棄物収集運搬処理方法の変形例を、
図10に模式図で示す。
図10に示す例は、Y地区でC社が複数の廃棄物排出事業者C1に立ち寄って収集運搬する廃棄物に単純焼却や埋立て用の廃棄物が含まれる場合、C3に立ち寄って単純焼却や埋立て用の廃棄物だけを降ろした後、リサイクル型廃棄物だけをX地区に存在するA3(又はB3)に運搬する方法である。また、
図10に示す例においては、複数の廃棄物排出事業者C1に立ち寄って収集運搬する廃棄物がリサイクル型廃棄物だけであっても、C3を経由した後、A3(又はB3)に運搬するルートを採用してもよい。その後、A3(又はB3)に集約されたリサイクル型廃棄物は、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者S1に運搬され、そこで処理又は処分が行われる。
【0106】
図10には、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の中から最適な事業者として選択されるS1のみが示されているが、本実施形態においても、上記第5の実施形態の場合と同様に、複数の広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の中から最適な事業者を選択する方法を一般的に採用する。
【0107】
<第7の実施形態>
図11は、
図9に示す廃棄物収集運搬処理方法の別の変形例を示す模式図である。
図11に示す例は、Y地区でC社が複数の廃棄物排出事業者C1に立ち寄って廃棄物を収集廃棄運搬するときに最後に立ち寄る物排出事業者の場所から、C3を経由しないで直接、X地区に存在するA3(又はB3)にリサイクル型廃棄物を運搬する方法である。その後、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の中から最適な事業者として選択されるS1に運搬され、そこで処理又は処分が行われる。
図11に示す例は、複数の廃棄物排出事業者C1に立ち寄って収集運搬する廃棄物がリサイクル型廃棄物だけの場合に好適に行われる廃棄物収集運搬方法である。
【0108】
<第8の実施形態>
上記第2~第7の実施形態においては、前記廃棄物処理事業者又は廃棄物積替保管場所から前記広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者までのリサイクル型廃棄物の運搬が、複数の収集運搬業者又は複数の収集運搬業者とは別の長距離運搬業者が有する少なくとも1台の車両によって行われる場合の廃棄物収集運搬方法を示している。本発明は、リサイクル型廃棄物の運搬が運搬車両には特に限定されず、貨物用船舶又は貨物列車による運搬を行ってもよい。
【0109】
図12は、リサイクル型廃棄物を2つの地域(X地区とY地区)に跨って積替したリサイクル型廃棄物の運搬を行うとき、輸送手段として貨物用船舶又は貨物列車を利用するリサイクル廃棄物の収集運搬方法を示す模式図である。
図12に示すように、まず、Y地区でC社が複数の廃棄物排出事業者C1に立ち寄るルート内で新たに立ち寄る場所としてX地区に存在する廃棄物処分事業者又は廃棄物積替保管場所であるA3又はB3を組み入れることにより、A社(又はB社)の車両A2(又はB2)を用いて最小台数・コース選択による運搬ルートに従って運搬を行い、最終的にA1及びB1から排出されるリサイクル型廃棄物がA3(又はB3)に集められる。そして、A3(又はB3)に集められるすべてのマテリアル型廃棄物が、C社によってY地区内で収集運搬されるリサイクル型廃棄物とともに、C社が立ち寄る廃棄物処分事業者又は廃棄物積替保管場所C3に集約される(廃棄物集約工程に相当)。
【0110】
その後、港湾又は貨物列車の引き込み線に配置されるコンテナ設置場所を経由するか、又はマテリアル型廃棄物を積載した車両が船舶又は貨物列車に搭載される形で、船舶出発基地又は貨物出発基地から、広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者S3a及びS3b、又はS4a及びS4bの各2社の中から選択される最適な事業者まで輸送され、前記最適な事業者によってリサイクル廃棄物の処理又は処分が行われる。その際、前記船舶出発基地又は貨物列車の貨物出発基地から、前記広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者の中から選択される最適な事業者までの最適運搬ルートは、前記ホストコンピュータから提示される。S3a及びS3b、又はS4a及びS4bの各2社の中から選択される最適な事業者への運搬は、船舶到着基地又は貨物到着基地で廃棄物が収納されたコンテナを、再度、運搬用車両に積んでから前記最適な事業者まで運搬が行われ、そこで処理又は処分が行われる。また、マテリアル型廃棄物を積載した車両がすでに船舶出発基地又は貨物出発基地で搭載されている場合は、そのまま船舶到着基地又は貨物到着基地から前記最適な事業者まで運搬が行われ、そこで処理又は処分が行われる。
【0111】
図12に示すリサイクル廃棄物の収集運搬方法は、2つの地域(X地区とY地区)又は3つ以上に地域に跨って行われるものであるが、本実施形態においては
図6~
図8に示すように、1つの地域内のマテリアル型廃棄物を処理又は処分する場合でも適用することができる。
【0112】
本実施形態は、大量のリサイクル廃棄物を貨物用船舶又は貨物列車によって一度に輸送できるという利点を有する。仮に、港湾又は貨物列車の引き込み線の近くに前記広域廃棄物中間処理業者又は広域廃棄物最終処分事業者が存在する場合は、都市部に限らず、全国各地からリサイクル型廃棄物を大量に受け入れることができるため、リサイクル廃棄物運送コストの大幅な低減が図れる。さらに、前記広域廃棄物中間処理事業者又は広域廃棄物最終処分事業者によるリサイクル型廃棄物の処理又は処分を、全国規模で集中的に制御管理する廃棄物収集運搬処理システムの構築を行う場合にも大きな貢献が期待できる。
【0113】
以上のように、本発明による廃棄物の収集運搬処理方法は、複数の廃棄物排出事業者から出される廃棄物を、複数の収集運搬車両を有する複数の収集運搬事業社と複数の廃棄物処理依頼事業者又は廃棄物積替保管場所とを契約によって一体的に連携させて収集運搬処理を行うことにより、廃棄物の効率的な収集運搬処理を行うことができ、その結果、運搬収集時に稼働させる車両の台数削減と稼働時間の短縮化を図ることができる。さらに、リサイクル型の廃棄物の処理又は処分の方法の利用が広域で促進されるようになるため、環境負荷を広範囲で低減することができるようになり、特に、都市部において環境クリーン化の要求に対して大きな効果が得られるだけでなく、廃棄物や資源物の収集、運搬及び処理の高効率化及び環境負荷の低減に対して大きく貢献することができる。