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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】シート式防水装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230609BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019154208
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021031982
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】杉保 生尚
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 佳尚
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】家久 侑大
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 開道
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-088791(JP,A)
【文献】特開2010-065391(JP,A)
【文献】特開2016-205031(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189177(JP,U)
【文献】特開2010-077685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面上に垂直方向に設置される一対の支柱と、四辺を有するシート部材を具え、
前記シート部材が、対向する2辺に磁石を具え、
前記シート部材の一部が前記支柱の前面側の設置面上に延在している状態で、前記磁石により前記シート部材を一対の前記支柱の前面に密着させることができるように構成され、
前記シート部材を前記設置面に密着させる、前記設置面とシート部材に貼付けられる粘着テープ部材である密着部材を具えたことを特徴とする、
シート式防水装置。
【請求項2】
前記シート部材が前記設置面に接する柔軟部材を具える、請求項1のシート式防水装置。
【請求項3】
前記密着部材が前記設置面上に延在しているシート部材の上に載置される押圧部材をさらに含む、請求項1又は2のシート式防水装置。
【請求項4】
前記密着部材が、一対の前記支柱の前面側に位置し、該両支柱の底部同士を連結する底面部材と、前記シート部材に設けられ、前記底面部材に密着する磁石をさらに含む、請求項1から3のいずれかのシート式防水装置。
【請求項5】
前記支柱の前面がその底部に向けて曲線形状部を有し、
前記磁石により、前記シート部材が前記曲線形状部にも密着するように構成されている、請求項1からのいずれかのシート式防水装置。
【請求項6】
棒状の梁部材をさらに具え、
一対の前記支柱が、それぞれ、該支柱同士が対向する面に、該支柱の前面側に切欠かれた梁部材取付凹部を具え、
前記梁部材の両端が、前記梁部材取付凹部に嵌込むことができるように構成され、
前記シート部材が、前記磁石が設けられていない辺に梁部材連結具を具え、
前記梁部材連結具で前記シート部材を前記梁部材に連結させ、前記梁部材の両端を前記梁部材取付凹部に嵌込んだ状態で、前記磁石で前記シート部材を一対の前記支柱の前面に密着させることができるように構成されている、請求項1からのいずれかのシート式防水装置。
【請求項7】
棒状の補強部材をさらに具え
一対の前記支柱が、それぞれ、該支柱同士が対向する面であって、前記梁部材取付凹部よりも底部側に、該支柱の前面側に切欠かれた補強部材取付凹部を具え、
前記補強部材の両端が、前記補強部材取付凹部に嵌込むことができるように構成され、
前記梁部材連結で前記シート部材を前記梁部材に連結させ、前記梁部材の両端を前記梁部材取付凹部に嵌込んだ状態で、前記磁石で前記シート部材を一対の前記支柱の前面に密着させているとき、前記シート部材が前記補強部材に接する、請求項のシート式防水装置。
【請求項8】
前記シート部材が補強部材連結具を具え、
前記補強部材連結で前記シート部材を前記補強部材に連結させることができるように構成されている、請求項のシート式防水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として建物内への浸水を防止する装置であって、シートを使用したもの(以下、「シート式防水装置」という。)に関する。
【背景技術】
【0002】
局所的に激しい豪雨などで大量に降った雨が、側溝などの排水設備で処理しきれず、氾濫し、建物内へ浸水することが度々起こっている。旧来、浸水を防ぐために、土嚢を設置することが行われてきた。しかし、土嚢を予め準備するには、大量の土や広い保管場所が必要である。また、土嚢は重く、設置作業に苦労するという問題もある。そこで、土嚢を使用せずに防水することができる装置が開発されており、その例として、特許文献1乃至3に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-96096号公報
【文献】特開2016-20613号公報
【文献】特開2014-95247号公報
【0004】
特許文献1には、構造物の屋内側と屋外側とを連通し、開閉体によって開閉される開口部に設置されるシートと、シートの上端部を少なくとも開閉体の屋外側の面に固定する固定部材を備え、シートが、開閉体の鉛直方向下端側の所定部と構造物を一体に覆うことで開口部の鉛直方向下端側を閉塞し、水圧によって押圧されることにより、所定部の屋外側の面に密着可能なシート式防水装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、出入口に通じる出口開口の側部フレームに兼用されるレールカバーに、このレールカバーを側部フレームのサイドレール内に予め締め具合を調整して取り付け得るアジャスト機構を設け、レールカバーの外面に形成されるシート押え面と、サイドレール内のシート受との間で、出口開口に張り出された防水シートの側部を締め付け挟持するシート式防水装置が開示されている。
【0006】
特許文献3には、側壁に水密に固定される第1取付部及び第2取付部と、上端部がパイプを介して第1取付部及び第2取付部の係合板に係合する防水シートと、下端部が固定された防水シートを収納する収納部と、線状部材を介して連結シート及び防水シートの下端部を第1取付部、第2取付部及び収納部に水密に固定する連結シート押さえ部と、連結シートと防水シートとを分離可能に連結する水密ファスナと、連結シート押さえ部との干渉を回避する切欠部及びクッション部材を介して収納部に当接する脚部を有し、収納部を閉塞する蓋部を備えたシート式防水装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のシート式防水装置は、シャッター等の開閉体がなければ設置することができない。特許文献2のシート式防水装置は、アジャスト機構などの複雑な機構を具えるため、不具合が発生する可能性があり、設置が困難である。特許文献3のシート式防水装置は、シート収納部が出入り口の設置面に形成されているため、収納部に雨水が溜まり易い。よって、シートの保管状況の悪化を防ぐためには、排水設備を設けるなどの対策が必要になる。
【0008】
そこで、本発明は、前述した事情に鑑み、容易に後付けでき、簡便に設置することができるシート式防水装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、設置面上に垂直方向に設置される一対の支柱と、四辺を有するシート部材を具え、
前記シート部材が、対向する2辺に磁石を具え、
前記シート部材の一部が前記支柱の前面側の設置面上に延在している状態で、前記磁石により前記シート部材を一対の前記支柱の前面に密着させることができるように構成され、
前記シート部材を前記設置面に密着させる、前記設置面とシート部材に貼付けられる粘着テープ部材である密着部材を具えたことを特徴とするシート式防水装置によって前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート式防水装置は、基本的に、一対の支柱と、四辺を有するシート部材と、シート部材を設置面に密着させる密着部材で構成されているので、既存の設備に容易に後付けすることができる。また、シート部材の一部が支柱の前面側の設置面上に延在している状態で、磁石によりシート部材を一対の支柱に密着させ、密着部材によりシート部材を設置面に密着させることで設置することができるので、設置作業が簡便である。
【0011】
シート部材が設置面との接触面積を増大させる柔軟部材を具える構成とすれば、シート部材と設置面の間から浸入した水分が柔軟部材によって堰き止められるため、防水性能を高めることができる。
【0012】
密着部材は、以下のものとすることができる。1つ目は、設置が簡便な、設置面上に延在しているシート部材の上に載置される押圧部材である。2つ目は、設置面とシート部材の密着性を高め、防止性能を高めることができる、設置面とシート部材に貼付けられる粘着テープ部材である。3つ目は、設置が簡便で、設置面とシート部材の密着性を高めることができる、一対の支柱の前面側に位置し、両支柱の底部同士を連結する底面部材と、シート部材に設けられ、底面部材に密着する磁石で構成されている密着部材である。
【0013】
また、支柱の前面がその底部に向けて曲線形状部を有し、磁石により、シート部材が曲線形状部にも密着するように構成されていれば、シート部材と支柱の間に隙間が生じることを防止でき、水漏れを防ぐことができる。
【0014】
一対の支柱が、それぞれ、支柱同士が対向する面に、支柱の前面側に切欠かれた梁部材取付凹部を具え、両端が梁部材取付凹部に嵌込むことができるように構成された棒状の梁部材を具え、シート部材が、磁石が設けられていない辺に梁部材連結具を具えた構成としてもよい。本構成によれば、梁部材連結具でシート部材を梁部材に連結させ、梁部材の両端を梁部材取付凹部に嵌込んだ状態で、磁石でシート部材を一対の支柱の前面に密着させることができる。これにより、シート式防水装置の対水圧性を高めることができる。
【0015】
また、棒状の補強部材をさらに具え、一対の支柱が、それぞれ、支柱同士が対向する面に、支柱の前面側に切り欠かれた補強部材取付凹部を具え、補強部材の両端が、補強部材取付凹部に嵌込むことができるように構成されているのがよい。本構成によれば、梁部材の両端を梁部材取付凹部に嵌込んだ状態で、梁部材連結部材でシート部材を梁部材に連結させ、磁石でシート部材を一対の支柱及び底面部材に密着させているとき、シート部材が補強部材に接するので、シート式防水装置の対水圧性をさらに高めることができる。
【0016】
また、シート部材が補強部材連結具を具え、補強部材連結具でシート部材を補強部材に連結させることができるように構成すれば、シート部材と補強部材の連結を強固なものとすることができ、シート式防水装置の対水圧性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態のシート式防水装置の組立時の斜視図。
図2図1のシート式防水装置の一部拡大側面図。
図3】本発明の第二実施形態のシート式防水装置の組立時の斜視図。
図4】本発明の第三実施形態のシート式防水装置の組立時の斜視図。
図5図4のシート式防水装置の組立前の斜視図。
図6図5のシート式防水装置に梁部材と補強部材を取付けた状態の斜視図。
図7図4のシート式防水装置のシート部材の背面の斜視図。
図8図4のシート式防水装置の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態及び参考例図1~8を参照して説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の参考例のシート式防水装置10の組立時の斜視図である。シート式防水装置10は、設置面30上に垂直方向に設置される一対の支柱12,22、シート部材42、密着部材である押圧部材34を具えている。支柱12,22の間隔は、シート式防水装置10を設置する建物の出入口などの、液体の浸入を防止したい部分の間隔よりも大きくすればよい。一対の支柱12,22の前面側であって、少なくとも、後述するシート部材42の磁石46と対応する部分は、鉄を含む金属や磁石など、シート部材42の磁石46が密着することができる素材で構成されている。
【0020】
シート部材42は、全体として四辺を有する矩形で、水分を通さない素材で構成されている。シート部材42の四辺は、上辺、右辺、左辺、底辺である。シート部材42は、対向する2辺、すなわち、右辺及び左辺に磁石46を具えている。磁石46は、一対の支柱12,22の前面にそれぞれ隙間なく密着できるように、右辺及び左辺のそれぞれに連続して設けられているのが望ましく、シート状の磁石を用いるのが好ましい。
【0021】
押圧部材34は、水に浮かない素材・重量・形状で構成されており、シート部材42の大きさや運び易さに鑑みて寸法及び個数が決定される。
【0022】
シート式防水装置10は、シート部材42の一部が支柱12,22の前面側の設置面30上に延在している状態で、磁石46によりシート部材42を一対の支柱12,22の前面に密着させることができるように構成されている。この状態で、密着部材である押圧部材34を、支柱12,22の前面側の設置面30上に延在しているシート部材42の上に載置すれば、シート部材42を設置面30に密着させることができる。このようにして、シート式防水装置10は、簡便に設置することができ、支柱12,22の前面側からの液体を堰き止めることができる。また、支柱12,22を設置することができれば、シート式防水装置10を設置可能なので、既存の設備に容易に後付けすることができる。なお、収納時は、シート部材42を支柱12,22から外し、丸めておくなどして保管すればよい。
【0023】
また、図2に示すように、シート部材42が設置面30に接する柔軟部材38を具える構成とすることもできる。柔軟部材38は、外力が加わることにより設置面30の形状に合わせて変形する素材、例えば、スポンジ等の素材とすることができ、シート部材42の右辺と左辺の間(図1参照)に亘って設けられていることが好ましい。本構成により、シート部材42によって堰き止められた水分の重量や、密着部材である押圧部材34の重量等により、柔軟部材38が設置面30の形状に合わせて変形し、設置面30との設置面積を増大させ、シート部材42と設置面30の間から浸入した水分を堰き止めることができるため、止水効果を高めることができる。なお、柔軟部材38は、後述するシート式防水装置10a,10bにも適用することができる。
【0024】
図3は、本発明の実施形態のシート式防水装置10aを示している。シート式防水装置10aの基本的な構成はシート式防水装置10と同様であるが、密着部材が異なる。シート式防水装置10aの密着部材は、粘着部材36である。粘着部材36は、例えば、防水素材で形成された粘着テープ部材とすることができる。粘着部材36により、設置面30とシート部材42を貼り合わせることにより、設置面30とシート部材42の密着性を高め、防止性能を高めることができる。
【0025】
図4は、本発明のさらに別の参考例のシート式防水装置10bの組立時の斜視図である。シート式防水装置10bは、一対の支柱12a,22aと、両支柱12a,22aの前面側に位置し、両支柱12a,22aの底部同士を連結する底面部材32と、シート部材42aと、棒状の梁部材52を具えている。
【0026】
底面部材32を伸縮可能な構造とし、支柱12a,22aの間隔を調整してシート式防水装置10bを設置できるようにすることも可能である。また、一対の支柱12a,22aの前面側及び底面部材32の上面であって、少なくとも、後述するシート部材42aの磁石46aと対応する部分は、鉄を含む金属や磁石など、シート部材42aの磁石46aが密着することができる素材で構成されている。
【0027】
ここで、図5に示すように、一対の支柱12a,22aには、それぞれの側面であって、支柱12a,22aが対向する面に、それらの前面側に向けて切欠かれた梁部材取付凹部14,24が設けられている。梁部材取付凹部14,24の切欠きは、支柱12a,22aの背面まで連通しないように設けられている。背面まで連通していると、後述する、梁部材52(図6参照)が掛止されないからである。
【0028】
また、一対の支柱12a,22aには、それぞれ、支柱12a,22aが対向する面であって、梁部材取付凹部14,24よりも底部側に、支柱12a,22aの前面側に切欠かれた補強部材取付凹部16a,16b,26a,26bを設けてもよい。シート式防水装置10の場合、補強部材取付凹部16a,16b,26a,26bは、支柱12a,22aで2つずつ設けられているが、1つずつ、又は3つずつ以上設けられていてもよい。補強部材取付凹部16a,16b,26a,26bも支柱12a,22aの背面まで連通しないように設けられている。
【0029】
一方、図6に示すように、梁部材52は、棒状であり、その両端が梁部材取付凹部14,24に嵌込むことができるように構成されている。シート式防水装置10bの梁部材52の両端と、梁部材取付凹部14,24の形状は、矩形であるが、梁部材52の両端を梁部材取付凹部14,24に嵌込むことができるのであれば、これに限られるものではない。なお、梁部材52を折り畳める構成や、伸縮可能な構成とし、コンパクトに収納できる構成としてもよい。
【0030】
また、補強部材62a,62bも棒状であり、これらの両端は、補強部材取付凹部16a,16b,26a,26bに嵌込むことができるように構成されている。補強部材62a,62bの構成は、梁部材52と基本的に同様で、これらの両端の形状は、矩形である必要はなく、これらを折り畳める構成や、伸縮可能な構成とし、コンパクトに収納できる構成としてもよい。
【0031】
図7に示すように、シート部材42aは、四辺を有する矩形で、水分を通さない素材で構成されている。シート部材42aの四辺は、上辺、右辺、左辺、底辺である。シート部材42aは、その一辺である上辺に梁部材連結具44a,44b,44cを具えている。梁部材連結具44a,44b,44cは、梁部材52を通すことができる輪形状のものであるが、シート部材42aと梁部材52を連結させることができるのであれば、これに限られるものではない。また、シート部材42aは、シート式防水装置10bの組立時に、シート部材42aの補強部材62aと対応する位置に、梁部材連結具44a,44b,44cと同様の補強部材連結具48a,48b,48cを具えた構成としてもよい。このような補強部材連結具48a,48b,48cは、補強部材62bと対応する位置にも設けることができる。
【0032】
シート部材42aは、さらに、梁部材連結具44a,44b,44cを有する辺以外の三辺、すなわち、右辺、左辺、及び底辺に磁石46aを具えている。磁石46aは、一対の支柱12a,22aの前面及び底面部材32の上面に隙間なく密着できるように、前述した三辺に連続して設けられているのが望ましく、シート状の磁石を用いるのが好ましい。シート式防水装置10bでは、底辺の磁石46aと底面部材32が密着部材に相当する。
【0033】
次に、シート式防水装置10bの組立について説明する。図5は、シート式防水装置10bの組立前の状態を示している。シート式防水装置10bでは、支柱12a,22a及び底面部材32を液体の浸入を防止したい建物の出入口などの外側に固定すればよいので、既存の設備に容易に後付けすることができる。この状態から、梁部材52と補強部材62aをシート部材42aの梁部材連結具44a,44b,44cと補強部材連結具48a,48b,48cにそれぞれ通す。そして、補強部材62bの両端を補強部材取付凹部26a,26bに嵌込み、梁部材52と補強部材62aの両端を梁部材取付凹部14,24と補強部材取付凹部16a,16bのそれぞれに嵌込む。次いで、シート部材42aの磁石46aを、一対の支柱12a,22aの前面側及び底面部材32の上面に隙間なく密着させる。この状態を示しているのが、図4である。このように、シート式防水装置10bは、簡便に設置することができる。
【0034】
また、シート式防水装置10bの組立時の状態で、シート部材42aが補強部材62a,62bと接するので、液体がシート部材42aの正面側(支柱12a,22aの前面側)に接したときの、シート式防水装置10の対水圧性を高めることができる。さらに、シート部材42aは、補強部材連結具48a,48b,48cを具えており、補強部材連結具48a,48b,48cでシート部材42aを補強部材62aに連結させることができるように構成されているので、シート部材42aと補強部材62aの連結を強固なものとすることができ、シート式防水装置10bの対水圧性を一層高めることができる。
【0035】
図8に示すように、シート式防水装置10bでは、支柱22aがその底部に向けて曲線形状部28を有している。そして、支柱22aと底面部材32が曲線形状部28を介して連結されている。図示は省略するが、支柱12aと底面部材32も同様の構成で連結されている。曲線形状部28のシート部材42aの磁石46aと対応する部分は、鉄を含む金属や磁石など、シート部材42aの磁石46aが密着することができる素材で構成されている。
【0036】
本構成により、シート部材42aが、一対の支柱12a,22aの前面側及び底面部材32の上面だけでなく、曲線形状部28にも密着するので、シート部材42aと支柱12a,22a及び底面部材32の間に隙間が生じることを防止でき、水漏れを防ぐことができる。ここで、曲線形状部28の曲率は、シート部材42aの磁石46aが湾曲可能な曲率の範囲内であるのがよい。曲線形状部28に対応するシート部材42aの磁石46aは、シート状の磁石の他、棒状の磁石を蛇腹のように配設する構成としてもよい。なお、シート式防水装置10,10aの支柱12,22がその底部に向けて曲線形状部28を有する構成とすることも可能である。
【0037】
上述した密着部材、すなわち、押圧部材34、粘着部材36、及び磁石46aと底面部材32は、単体で適用されるほか、組合せて適用することもできる。
【0038】
以上説明したように、本発明によれば、容易に後付けでき、簡便に設置することができるシート式防水装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0039】
10,10a,10b シート式防水装置
12,12a,22,22a 支柱
14,24 梁部材取付凹部
16a,16b,26a,26b 補強部材取付凹部
28 曲線形状部
32 底面部材(密着部材)
34 押圧部材(密着部材)
36 粘着部材(密着部材)
38 柔軟部材
42 シート部材
44a,44b,44c 梁部材連結具
46,46a 磁石
48a,48b,48c 補強部材連結具
52 梁部材
62a,62b 補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8