IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鈴健興業株式会社の特許一覧

特許7291963廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法
<>
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図1
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図2
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図3
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図4
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図5
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図6
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図7
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図8
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図9
  • 特許-廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
B09B5/00 M
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020571986
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2019005326
(87)【国際公開番号】W WO2020166001
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503116073
【氏名又は名称】鈴健興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康修
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-128763(JP,A)
【文献】特開2002-031457(JP,A)
【文献】特開2009-287296(JP,A)
【文献】特開2018-119270(JP,A)
【文献】特開平07-108244(JP,A)
【文献】特開2013-006169(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109047297(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の選別を行う廃棄物選別処理設備において、
前記廃棄物を搬送する搬送手段と、
該搬送手段に対向し該廃棄物の搬送方向に配置されるとともに、該廃棄物を構成する構成物を該搬送手段上から取り除くことが可能な1台以上の第1作業機械と、
該搬送手段に対向して配置され、該1台以上の第1作業機械で該搬送手段から取り除かれた前記構成物が載置される1以上の構成物載置部と、
該搬送手段上の該構成物の表面に泡状物または液体を散布可能な流体散布機構と、を備え、
該流体散布機構は、前記搬送手段において前記1台以上の第1作業機械の上流で、前記泡状物または液体を散布する第1散布部と、該搬送手段において該第1散布部の下流であって、該1台以上の第1作業機械の近傍に、該泡状物または液体を散布する第2散布部と、を備え、
前記第1散布部が前記泡状物を散布し、前記第2散布部が前記第1作業機械の接触する前記構成物に前記液体を散布し該構成物が視認可能となるように該第1散布部で散布された該泡状物を消失させる
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2散布部は、前記第1作業機械に設けられている
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記1以上の構成物載置部に前記泡状物または液体を散布する第3散布部を更に備える
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記泡状物または液体は、消臭剤または芳香剤を含む
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記第1作業機械は、走行体と、該走行体に対して回動可能な旋回体と、該旋回体に取り付けられた上下揺動自在のアーム体と、該アーム体の先端に揺動可能に取り付けられることで、前記構成物を把持するとともに上下左右に移動可能とされた把持機構と、を備える
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記搬送手段の前段に、前記廃棄物の所定の基準以下の大きさの前記構成物を篩落す篩手段を備える
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項7】
請求項6において、
該流体散布機構は、前記篩手段上の前記廃棄物に、前記泡状物または液体を散布する第4散布部を備える
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項8】
請求項において、
前記第4散布部は、更に、前記廃棄物が載置される前の前記搬送手段上に前記泡状物を散布す
とを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかにおいて、
前記構成物を把持するとともに上下左右に移動可能とされた把持機構を備え、該把持機構により前記廃棄物を把持し、前記篩手段に投入する第2作業機械を備える
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項10】
請求項において、
前記第2作業機械は、前記廃棄物に前記泡状物または液体を散布する
ことを特徴とする廃棄物選別処理設備。
【請求項11】
廃棄物の選別を行う廃棄物選別処理方法において、
搬送手段上の前記廃棄物を構成する構成物の表面に泡状物を散布する工程と、
該泡状物が散布された構成物を搬送手段で搬送する工程と、
該泡状物が散布された構成物に液体を散布し該構成物が視認可能となるように該泡状物を消失させ、該液体が散布された構成物を、該搬送手段に対向し該廃棄物の搬送方向に並んで配置される1台以上の第1作業機械で該搬送手段上から取り除く工程と、
該1台以上の第1作業機械で該搬送手段から取り除いた前記構成物を、該搬送手段に対向して配置される1以上の構成物載置部にそれぞれ載置する工程と、
を含むことを特徴とする廃棄物選別処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す廃棄物選別処理設備は、作業機械と、多関節アーム機構を有するハンドリング機構と、を備えている。
【0003】
このため、廃棄物選別処理設備内での人体の直接的な暴露をなるべく少なくすることができる。仮に、処理される廃棄物が、腐敗して悪臭を放ったり、粉塵を大量に放出してしまったりする場合でも、特許文献1に示す廃棄物選別処理設備では、衛生面における作業者への負荷を大幅に低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-128763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の廃棄物選別処理設備であっても、実際には、直接的に人体が暴露して作業せざるを得ない作業員も相応に必要となっている。更には、廃棄物選別処理設備は、必ずしも人里離れた場所に設けられるとは限られずに、今後は廃棄物選別処理設備を住居の近隣に設けなければいけない場合もでてくる。現に、廃棄物選別処理設備の設置をめぐって近隣住民とのトラブルが生じて、必要とされる廃棄物選別処理設備が十分に設置されないということが、国内外の社会問題として起こりつつある。
【0006】
つまり、今後は、廃棄物選別処理設備からの飛散される粉塵や悪臭をなるべく低減して、周囲環境への負荷を低減することが必要と考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、前記問題点等を解決するべくなされたもので、廃棄物選別処理設備における周囲環境への負荷を低減可能な廃棄物選別処理設備及び廃棄物選別処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、廃棄物の選別を行う廃棄物選別処理設備において、前記廃棄物を搬送する搬送手段と、該搬送手段に対向し該廃棄物の搬送方向に配置されるとともに、該廃棄物を構成する構成物を該搬送手段上から取り除くことが可能な1台以上の第1作業機械と、該搬送手段に対向して配置され、該1台以上の第1作業機械で該搬送手段から取り除かれた前記構成物が載置される1以上の構成物載置部と、該搬送手段上の該構成物の表面に泡状物または液体を散布可能な流体散布機構と、を備え、該流体散布機構が、前記搬送手段において前記1台以上の第1作業機械の上流で、前記泡状物または液体を散布する第1散布部と、該搬送手段において該第1散布部の下流であって、該1台以上の第1作業機械の近傍に、該泡状物または液体を散布する第2散布部と、を備え、前記第1散布部が前記泡状物を散布し、前記第2散布部が前記第1作業機械の接触する前記構成物に前記液体を散布し該構成物が視認可能となるように該第1散布部で散布された該泡状物を消失させることにより、前記課題を解決したものである。
【0009】
本発明では、第1散布部が、搬送手段において1台以上の第1作業機械の上流で、泡状物を散布する。このため、搬送手段上の構成物から飛散される粉塵を低減することができる。そして、第1散布部が泡状物を散布するので、搬送手段上の構成物から粉塵だけでなく、臭いの飛散も低減することができ、かつ搬送手段上を水浸しにしてしまうおそれを少なくすることができる。
【0010】
そして、前記流体散布機構が、前記泡状物または液体を散布する第2散布部を、前記搬送手段において前記第1散布部の下流であって、前記1台以上の第1作業機械の近傍に備え、該第2散布部が該第1作業機械の接触する前記構成物に該液体を散布するので、少なくとも第1作業機械により構成物の状態が変化した際に発生する粉塵の飛散を低減することができる。第2散布部から泡状物が散布される場合には、第1作業機械により構成物の状態が変化した際に発生する粉塵と臭いの飛散を低減することができる。同時に、搬送手段上を水浸しにしてしまうおそれを少なくすることができる。
【0011】
なお、前記第2散布部が、前記第1作業機械に設けられている場合には、第2散布部による散布領域の調整が容易であり、かつ第1作業機械の第2散布部への衝突などを低減することができる。
【0012】
そして、前記第1散布部が前記泡状物を散布し、前記第2散布部が前記液体を散布し該構成物が視認可能となるように該第1散布部で散布された該泡状物を消失させるので、第1散布部で液体を散布する場合に比べて、使用する水の量を大幅に減らすことができる。同時に、第1作業機械で接触する構成物に付着している泡状物を消失させるので、第1作業機械で選別すべき構成物を安定して選別することができる。
【0013】
なお、前記1以上の構成物載置部に前記泡状物または液体を散布する第3散布部を更に備える場合には、少なくとも構成物載置部に選別して載置される構成物からの粉塵を低減することができる。
【0014】
なお、前記泡状物または液体が、消臭剤または芳香剤を含む場合には、悪臭が飛散をするのを低減することができる。
【0015】
なお、前記第1作業機械が、走行体と、該走行体に対して回転可能な旋回体と、該旋回体に取り付けられた上下揺動自在のアーム体と、該アーム体の先端に揺動可能に取り付けられることで、前記構成物を把持するとともに上下左右に移動可能とされた把持機構を備える場合には、選別される構成物の位置や大きさが不均一でも、選別を効率的に行うことが可能となる。
【0016】
なお、前記搬送手段の前段に、前記廃棄物の所定の基準以下の大きさの前記構成物を篩落す篩手段を備える場合には、特に、当該所定の基準以下の大きさの構成物を予め除去した状態にして搬送手段に載置できるので、コンベア上の廃棄物の選別がより容易になる。
なお、前記流体散布機構が、前記篩手段上の前記廃棄物に、前記泡状物または液体を散布する第4散布部を備える場合には、少なくとも篩手段で生じる粉塵の飛散を効果的に低減することができる。
【0017】
なお、前記構成物を把持するとともに上下左右に移動可能とされた把持機構を備え、該把持機構により前記廃棄物を把持し、前記篩手段に投入する第2作業機械を備える場合には、廃棄物を容易に篩手段上に移動させることが可能である。
【0018】
なお、前記第2作業機械が、前記廃棄物に前記泡状物または液体を散布する場合には、篩手段に投入する前から効率的に廃棄物に泡状物または液体を散布することができる。
【0019】
なお、前記流体散布機構が、更に、前記廃棄物が載置される前の前記搬送手段上に前記泡状物を散布する第4散布部を備える場合には、廃棄物を泡状物で上と下から挟みこむこととなり、より粉塵と臭いの発生を防止することができる。
【0020】
なお、本発明は、廃棄物の選別を行う廃棄物選別処理方法において、搬送手段上の前記廃棄物を構成する構成物の表面に泡状物を散布する工程と、該泡状物が散布された構成物を搬送手段で搬送する工程と、該泡状物が散布された構成物に液体を散布し該構成物が視認可能となるように該泡状物を消失させ、該液体が散布された構成物を、該搬送手段に対向し該廃棄物の搬送方向に並んで配置される1台以上の第1作業機械で該搬送手段上から取り除く工程と、該1台以上の第1作業機械で該搬送手段から取り除いた前記構成物を、該搬送手段に対向して配置される1以上の構成物載置部にそれぞれ載置する工程と、を含むことを特徴とする廃棄物選別処理方法ともいうことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、廃棄物選別処理設備における周囲環境への負荷を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る廃棄物選別処理設備の一例を示す模式図
図2図1の廃棄物選別処理設備の側面図を示す模式図(X方向から見た側面図(A)、Y方向から見た側面図(B))
図3】廃棄物選別処理設備で用いられる振動篩機を示す模式図
図4】廃棄物選別処理設備で用いられる流体散布機構を構成する流体散布機を示す模式図(正面図(A)、側面図(B)、上面図(C)、流体散布機の回転部材の回転角度θとノズルの傾斜角度αとの関係を示す図(D))
図5】廃棄物選別処理設備で用いられるバックホウを示す模式図
図6】廃棄物選別処理設備で用いられるフレーム体とハンドリング機構とを示す模式図(X方向から見た側面図(A)、上面図(B))
図7】認識装置とハンドリング機構のブロック図
図8】廃棄物選別処理設備における選別の手順を示す模式図
図9】本発明の第2実施形態に係るバックホウおよび流体散布機の一例を示す模式図
図10】本発明の第3実施形態に係るバックホウの一例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0024】
最初に、第1実施形態に係る廃棄物選別処理設備について、図1図8を用いて説明する。
【0025】
廃棄物選別処理設備100は、図1に示す如く、廃棄物103の選別を行うようにされている。そして、廃棄物選別処理設備100は、廃棄物投入部102の振動篩機(篩手段)VSと、スチールコンベア(搬送手段)106と、作業機械配置部104の1台以上のバックホウ(第1作業機械)BH1~BH4と、1以上のヤード(構成物載置部)108と、流体散布機構RH(RH1~RH7)と、残滓物載置部110と、認識装置134と、処理部137(図7)と、ハンドリング機構140と、を備える。
【0026】
スチールコンベア106は、廃棄物103を搬送するようにされている。1台以上のバックホウBH1~BH4は、スチールコンベア106に対向し廃棄物103の搬送方向(X方向)に配置されるとともに、廃棄物103を構成する構成物103Aをスチールコンベア106上から取り除くことが可能とされている。ヤード108は、スチールコンベア106に対向して配置され、1台以上のバックホウBH1~BH4でスチールコンベア106から取り除かれた構成物103Aを載置する。流体散布機構RHは、スチールコンベア106上の構成物103Aの表面に泡状物BLまたは液体DLを散布可能となっている。なお、流体散布機構RHは、スチールコンベア106において1台以上のバックホウBH1~BH4の上流で、泡状物BLを散布する流体散布機(第1散布部)RH1、RH2を備える。
【0027】
なお、本実施形態では、廃棄物103は、地震や津波や土砂崩れなどの自然災害などの震災で生じた廃棄物を多く含むが、日常生活で生じる腐敗しやすい廃棄物なども混じっている。具体的には、廃棄物103は、木材や木片103AAなどの木を原料とする木材質や紙など(構成物103A)を多く含む。そして、廃棄物103は、塩ビパイプなどの大小の難燃性のプラスチック、アスファルトがら、コンクリートがら、大小の金属くず、冷蔵庫、TV、電子レンジなどの家電類、ボンベや消火器などの危険物、漁網、及び有害物(構成物103A)も含んでいる。勿論、廃棄物103は木造住宅をそのまま壊した際に生じる廃棄物や建築物の新築工事現場で生じた廃棄物などであってもよく、廃棄物103を構成する構成物103Aの比率の大きさや構成物103Aの種類も本実施形態に限られない。
【0028】
また、本実施形態では、図1図2(A)に示す如く、スチールコンベア106上の廃棄物103の高さH2よりも高くされたガイド壁107(高さH1)が、バックホウBH1~BH4とスチールコンベア106との間、及びスチールコンベア106とヤード108との間に設けられている。さらに、そのガイド壁107は、ヤード108内を仕切るためにも設けられている。そして、バックホウBH1~BH4が配置されている部分の作業機械配置部104は、地面のレベルG上に盛り土M(盛り土M及び地面は、土がむき出しの状態というわけではなく、コンクリートなどが打設されていてもよい)がなされて、レベルGより高いレベルF(図2(A)、図5、例えば2mあるいは3mのかさ上げ)とされている。なお、上述したような(廃棄物103の高さH2よりも高くされた)ガイド壁107及び盛り土Mが必須とされるわけではない。
【0029】
以下、廃棄物選別処理設備100に係る各構成要素について詳細に説明する。なお、バックホウBH(BH1~BH4)、流体散布機構RH、フレーム体130、認識装置134、処理部137、及びハンドリング機構140の構成については、後述する。
【0030】
廃棄物投入部102は、図1に示す如く、スチールコンベア106の先端位置に設けられているエリアを示す。廃棄物投入部102には、図3に示す振動篩機(篩手段)VSが載置される。つまり、振動篩機VSは、スチールコンベア106の前段に備えられている。
【0031】
振動篩機VSは、例えば、網形状、棒状、櫛歯、フィンガースクリーン等を含むスクリーンの傾斜面SPを備えている。そして、振動篩機VSは、その傾斜面SPを振動させることで、振動篩機VSの上部に投入された廃棄物103をその傾斜面SPに沿って振動篩機VSの下部に移動させる。その際に傾斜面SPが篩となり、振動篩機VSは廃棄物103の所定の基準以下の大きさの構成物103Aを傾斜面SPの裏側に篩落とす構成となっている(振動篩機VSは、ふるい格子を複数段備えるグリズリーフィーダでもよい)。篩落とされた構成物103Aは排出口AOで残滓物111として集積される。なお、所定の基準以下の大きさは、ハンドリング機構140で保持不可能なほどに小さいとしている。即ち、振動篩機VSは、廃棄物103のうちでハンドリング機構140により取り除く対象とされない構成物103Aをスチールコンベア106上から取り除く構成となっている。
【0032】
廃棄物103は図示しない運搬車の荷台からダンプされ(降ろされ)、図示しないバックホウ(第2作業機械)が、後述する把持機構によりその堆積した状態の廃棄物103を把持し、振動篩機VSに投入する。振動篩機VSは、その廃棄物103をその傾斜面SPに受け入れ、廃棄物103をその傾斜面SPに沿って振動篩機VSの下部に移動させる。そして、振動篩機VSは、その傾斜面SPに沿って移動した廃棄物103のみを平坦化させてスチールコンベア106上に投入させる。つまり、廃棄物103は、振動篩機VSにより、構成物103Aの堆積形態が相応に減少して平坦化されスチールコンベア106上に投入される。なお、篩落とされた廃棄物103は、残滓物111として図示せぬバケットを備えたホイールローダなどで集積され、所定の処理場に運搬される。
【0033】
作業機械配置部104は、図1に示す如く、ヤード108の各載置部108A~108Hに対向して、あるいは隣接して設けられている。作業機械配置部104には、図1に示す如く、1台以上(4台)のバックホウ(除去手段、第1作業機械)BH1~BH4が配置されている。バックホウBH1~BH4は、スチールコンベア106に対向し廃棄物103の搬送方向(X方向)に配置される。そして、バックホウBH1~BH4は、ハンドリング機構140により取り除かれる木片103AAの大きさよりも大きな構成物103Aを把持しスチールコンベア106上から取り除くことが可能とされている。本実施形態では、バックホウBH1は、廃棄物103から主に、大型の木材及び可燃性の大きなプラスチックなどを可燃粗大物として選別を行うようにされている。バックホウBH2は、廃棄物103から主に、大型の金属くず及びコンクリートがら及び難燃性の大きな塩ビパイプなど(不燃粗大物)の選別と、家電類の選別と、を行うようにされている。バックホウBH3は、廃棄物103から主に、家電類の選別と、アスファルトがらやコンクリートがらなど(アス・コンと称する)の選別と、漁網の選別と、金属くずの選別と、を行うようにされている。バックホウBH4は、廃棄物103から、漁網の選別と、危険物の選別と、有害物の選別と、を行うようにされている。本実施形態では、廃棄物103に占める体積が多い構成物103Aに対して上流のバックホウBH1、BH2で選別するようにしている。つまり、バックホウBH1~BH4により、量の多い品目を先に選別しているので、廃棄物103を迅速に選別することが可能とされている(もちろん品目数に選別順番を関連付けなくてもよい)。なお、本実施形態では、構成物103Aの品目数と量によって選別するバックホウBH1~BH4を4台としているが、構成物103Aの品目数が少なければ1台でもよい。
【0034】
スチールコンベア106は、図1に示す如く、廃棄物選別処理設備100のほぼ中央に配置され、廃棄物投入部102の振動篩機VSから直接的に投入された廃棄物103を残滓物載置部110まで搬送することができる。本実施形態では、スチールコンベア106は約2mの幅で約30mの長さ(幅、長さともこれに限られない)とされている。そして、スチールコンベア106の送り速度は毎分数mから毎分十数mで可変(搬送量は例えば最大で毎分数トン)とされている。しかし、この送り速度は、バックホウBH1~BH4の選別する速度や、ハンドリング機構140による木片103AAの選別する速度や、廃棄物103の投入量との兼ね合いなどで定めることができる。スチールコンベア106は、廃棄物103が載置されても、バックホウBH1~BH4のグラップル127が当たっても、機構的に損傷・故障がないように、スチールコンベア106の上板はスチール製とされている(逆にいえば、廃棄物103が載置されても、バックホウBH1~BH4のグラップル127が当たっても、機構的に損傷・故障がなければ、スチールコンベア106の上板はスチール製でなくてもよい)。スチールコンベア106は、図2(B)に示す如く、水平に配置されている。なお、図2(B)の符号MTは、例えばスチールコンベア106の駆動源のギヤドモータ(駆動源はこれに限られずに、一般的な別の動力源を用いることができる)である。
【0035】
ヤード108は、図1に示す如く、スチールコンベア106に対向して配置されている。より具体的にいえば、ヤード108は、スチールコンベア106を挟んでバックホウBH1~BH4とは反対側に配置、あるいはスチールコンベア106に対してバックホウBH1~BH4と並んで配置されている(これに限らず、ヤード108は、スチールコンベア106とバックホウBH1~BH4の間に配置されていてもよい)。そして、ヤード108には、バックホウBH1~BH4でスチールコンベア106から取り除かれた構成物103Aがそれぞれ載置される。ヤード108では、廃棄物103を構成する構成物103Aの品目数や量や大きさに基づいて、各構成物103Aの載置部108A~108Hの場所や順番や広さが定められている。即ち、選別対象となる構成物103Aが増えればそれに応じてヤード108の(区分)数も増える。本実施形態では、ヤード108は、可燃粗大物載置部108A、不燃粗大物載置部108B、家電類載置部108C、アス・コン載置部108D、漁網載置部108E、金属くず載置部108F、危険物載置部108G、そして有害物載置部108Hの8区分の載置部を備え、この順番でスチールコンベア106の上流側から配置されている。そして、その順番でほぼ各載置部108A~108Hのスペースが広くされている。なお、載置された各構成物103Aはそれぞれ、図示しないバックホウ(バックホウには限られず、例えばバケットを備えたホイールローダなどでもよい)で運搬車に搭載され、所定の処理場(焼却処分場や中間保管所や直接に埋設処理するならその所定の埋設場所等)に運搬されることとなる。
【0036】
作業機械配置部104及びヤード108の下流(後段)には、図1図6(A)、(B)に示す如く、スチールコンベア106を跨ぐようにフレーム体130が設けられている。フレーム体130は、図2(B)、図6(A)に示す如く、支柱131と上部フレーム132とを有する。支柱131は、図1に示す如く、ガイド壁107の外側の地面に固定され、上部フレーム132を支持している。上部フレーム132は、図1図6(B)に示す如く、平面視で(上方から見て)略正方形形状とされ、その中央部分にハンドリング機構140が設けられている。ハンドリング機構140は、支持軸138を有し、その支持軸138で多関節アーム機構(後述)を回動可能に支持している。つまり、平面視において支持軸138がスチールコンベア106の搬送路の幅方向で中央、つまり搬送路の内側に設けられている。そして、支持軸138の上流には、図2(B)、図6(B)に示す如く、延在フレーム133が上部フレーム132に一体的に設けられている。延在フレーム133は、認識装置134を支持している。つまり、認識装置134の前段(上流)に振動篩機VSとバックホウBHとが配置され、認識装置134の後段(下流)にハンドリング機構140が配置されている。なお、危険物載置部108Gに隣接してフレーム体130の近傍には、木片載置部108Iが設けられている。木片載置部108Iには、ハンドリング機構140に選別された木片103AAが載置される。木片103AAの大きさは、例えば長さ10cm程度(数cm角)から長さ1m程度(十数cm角)としている。なお、認識装置134、処理部137、及びハンドリング機構140を含むフレーム体130全体には、スチールコンベア106による廃棄物103の搬送を妨げないように、図示しないカバーが設けられ、簡易的な防塵・防風・防雨対策がなされている。
【0037】
残滓物載置部110には、図1図2(B)に示す如く、スチールコンベア106で搬送された残滓物111が載置される。ここで、スチールコンベア106は、図2(A)、(B)に示す如く、地面のレベルGよりも高くされている。このため、スチールコンベア106の後端部分に、図示しない振動篩機を配置させることで、スチールコンベア106で搬送されてきた廃棄物103が再度篩い落とされ、残った廃棄物103が残滓物111として残滓物載置部110に載置される(振動篩機がなく、スチールコンベア106から、残った廃棄物103が残滓物111として直接的に運搬車などに搭載されてもよい)。残滓物111は例えばバケットを備えたホイールローダなどで容易に集積され、所定の処理場に運搬される(あるいは、残滓物111が更なる仕上げ選別工程を行う所定の処理場にベルトコンベアなどで搬送されてもよい)。
【0038】
次に、バックホウBH1~BH4(BH)の構成について、図5を用いて説明する。なお、本実施形態では、いずれのバックホウBH1~BH4も同様の構成とされている。ただし、バックホウBH1~BH4は選別用として使用するため小型のもの(例えば0.25級)とされている。このため、バックホウBH1~BH4は迅速な選別を実現できる(必ずしも、バックホウBH1~BH4の大きさはこれに限られない)。
【0039】
バックホウBHは、図5に示す如く、車体120と、アーム体123と、グラップル(把持機構)127と、を備える。車体120は、クローラ式の走行体121と、旋回機構と、旋回体122と、を備える。即ち、旋回体122は旋回機構により走行体121に対して回動可能とされている。旋回体122には運転席122Aが設けられている。運転席122Aは、密閉可能な構成であり、作業者が直接的に環境に暴露されず雨風を遮断でき且つエアコンにより温度調節が可能とされている。運転席122Aには、場合により、放射性物質からの放射線の影響を低減するために遮蔽板を設けたり、粉塵の侵入を防ぐのに空気フィルターを更に追加したりすることもできる。即ち、作業者は、人体を直接環境に暴露することなく、バックホウBHを安全且つ安定して操作することができる(なお、運転席122Aがあっても、バックホウBHが自律的に動くロボットとされていてもよいし、バックホウBHが遠隔操作がなされてもよい。勿論、運転席がなくてもよい)。旋回体122には、上下揺動自在のアーム体123が取り付けられている。
【0040】
アーム体123は、図5に示す如く、旋回体122に取り付けられるブーム124と、ブーム124の先端に取り付けられるアーム125と、を備える。アーム125は、シリンダ機構124Aにより揺動可能とされている。アーム125の先端には構成物103Aを把持するグラップル127が取り付けられている。グラップル127は、回動機構128を備えて把持部129が回動可能であるとともに、リンク機構126を介してシリンダ機構125Aにより揺動可能とされている。つまり、バックホウBHのグラップル127は、アーム体123の先端に揺動可能に取り付けられることで、構成物103Aを把持するとともに上下左右に移動可能としている。そして、グラップル127は、スチールコンベア106上の構成物103Aを把持しヤード108に移動可能としている。なお、必ずしもバックホウBHの把持機構がグラップル127である必要はなく、また、バックホウBHが把持機構の代わりに吸着機構などを備えてもよい。
【0041】
次に、流体散布機構RHについて、図1図2(A)、(B)、図4を用いて説明する。
【0042】
流体散布機構RHは、廃棄物103の構成物103Aを移動した際や破砕した際に生じる粉塵と臭いの飛散を防止するために設けられている。粉塵は構成物103Aを湿らせることで発生を低減することが可能である。しかし、臭いは、空気中に蒸散した微粒子であり、単に構成物を湿らせてもほとんど抑制することはできない。また、粉塵に比べて臭いの微粒子が小さい場合が多く、飛散する範囲が広くなる可能性が高い。このため、臭いを消臭する効果を有する消臭剤や、臭いが分からなくなるように別の香り付けをする芳香剤などを使用することも相応の効果を奏する。しかし、微粒子の蒸散を泡状物BLで物理的に外気から遮断してしまうことが、防臭という観点では、とても効果的である。即ち、本実施形態では、流体散布機構RHから可能な限り泡状物BLを散布するようにしている。
【0043】
流体散布機構RHは、図1に示すように、1台以上の流体散布機RH1~RH7から構成され、スチールコンベア106上の構成物103Aの表面に泡状物BLまたは液体DLを散布可能としている。そして、流体散布機構RHは、図1に示す如く、スチールコンベア106においてバックホウBH1の上流で、泡状物BLを散布する流体散布機RH1、RH2(第1散布部)を備えている。流体散布機RH1~RH7の構成は、いずれも同じなので、図4(A)~(C)に示す流体散布機RH1を例にして説明する。
【0044】
流体散布機RH1は、支持部材SBと、支持部材SBに回転可能に支持された回転部材RBと、回転部材RBに上下方向に傾斜可能に支持された傾斜部材ABと、傾斜部材ABに支持されたノズルNSと、を備える。更に、流体散布機RH1の支持部材SBの下には、架台BSが配置されている。そして、回転部材RBの上部には認識センサMSが設けられている。架台BSは、流体散布機RH1の高さ調整と安定した配置とをするために設けたものである。認識センサMSは、構成物103Aが状態変化した際に生じるおそれのある粉塵または臭いの飛散を防ぐために、グラップル127の構成物103Aに接触する箇所を特定するために設けたものである。
【0045】
回転部材RBは、例えば、支持部材SBに対して回転部材RBを回動させる回転装置(図示せず)と、回転部材RBに対して傾斜部材ABを傾斜させる傾斜装置(図示せず)と、ノズルNSからの泡状物BLまたは液体DLの吐出を制限する開閉装置と、を支持している。また、回転装置と傾斜装置と開閉装置とを制御する制御装置(図示せず)と、制御装置を外部からコントロールするための無線装置も、回転部材RBに支持されている。
【0046】
なお、制御装置は、認識センサMSの出力から、ノズルNSの回転角度θを自動で決定することを可能としている。認識センサMSは、例えば魚眼レンズを備え、周囲360度の画像を出力することができる。このため、例えば、認識センサMSの画像出力を制御装置で処理することで、バックホウBHのグラップル127の形状を認識した際には、認識センサMS上でのグラップル127の位置が判別する。これによって、図4(C)に示すように、制御装置は、ノズルNSの回転角度θをグラップル127の方向に合わせることが可能となる。
【0047】
なお、ノズルNSの傾斜角度αは、ある程度の角度範囲までなら角度が大きくなるほど、泡状物BLあるいは液体DLの散布領域が広くなる。この特性を利用して、本実施形態では、図4(D)に示すように、流体散布機RH1~RH7をどの場所に配置するかを定めた段階で、回転角度θ毎に傾斜角度αを定めている。例えば、近い領域に泡状物BLまたは液体DLを散布するのであれば傾斜角度αを小さくし、広い領域に泡状物BLまたは液体DLを散布するのであれば傾斜角度αを大きくしている。
【0048】
なお、ノズルNSから泡状物BLを散布する場合と、液体DLを散布する場合とでは、ノズルNSの形状が異なる。このため、各流体散布機RH1~RH7それぞれを設置する際に、ノズルNSの形状を予め選択して変更しておくこととなる。
【0049】
次に、それぞれの流体散布機RH1~RH7の放出領域を、図1を用いて説明する。
【0050】
まず、流体散布機RH1、RH2は、振動篩機VSの近傍、かつスチールコンベア106の脇のガイド壁107の部分に配置されている。そして、流体散布機RH1、RH2は、振動篩機VS上とバックホウBH1の上流にあるスチールコンベア106上の廃棄物103に対して泡状物BLを散布する。即ち、流体散布機RH1、RH2は、第1散布部に該当しながら、第4散布部にも該当している。流体散布機RH1、RH2は、スチールコンベア106を挟んで互いに対峙する位置に配置されている。なお、泡状物BLには、消臭剤が含まれている。
【0051】
流体散布機(第2散布部)RH3は、スチールコンベア106の脇のガイド壁107の部分に配置されている。流体散布機RH3は、スチールコンベア106において流体散布機RH1、RH2の下流に配置され、バックホウBH1、BH2のグラップル127の動きに合わせて、スチールコンベア106上の廃棄物103に液体DLを散布する。このときの液体DLには、芳香剤が含まれている。即ち、流体散布機RH3は、流体散布機RH1、RH2の散布する泡状物BLとは異なり、液体DLを散布している。そして、流体散布機RH3は、バックホウBH1、BH2の近傍に備えられ、流体散布機RH3がバックホウBH1、BH2の接触する構成物103Aに液体DLを散布する構成となっている。なお、この液体DLにより、流体散布機RH1、RH2で散布された泡状物BLが局所的に消滅する。このため、バックホウBH1、BH2のグラップル127で効率よく、構成物103Aを把持することができる。
【0052】
流体散布機RH4(第3散布部)は、ガイド壁107の部分であって、スチールコンベア106から離れた位置に設けられている。そして、流体散布機RH4は、不燃粗大物載置部108B、家電類載置部108C、アス・コン載置部108D、及び漁網載置部108Eに泡状物BLを、グラップル127の動きに無関係に一定の時間間隔で、散布する。なお、この泡状物BLには、芳香剤が含まれている。
【0053】
流体散布機RH5は、スチールコンベア106の脇のガイド壁107の部分に配置されている。流体散布機RH5は、スチールコンベア106において流体散布機RH1、RH2の下流に配置され、バックホウBH3、BH4のグラップル127の動きに合わせて、スチールコンベア106上の廃棄物103に液体DLを散布する。このときの液体DLにも、芳香剤が含まれている。即ち、流体散布機RH5は、流体散布機RH1、RH2の散布する泡状物BLとは異なり、液体DLを散布している。そして、流体散布機RH5は、バックホウBH3、BH4の近傍に備えられ、流体散布機RH5がバックホウBH3、BH4の接触する構成物103Aに液体DLを散布する構成となっている。なお、この液体DLにより、流体散布機RH1、RH2で散布された泡状物BLが局所的に消滅する。このため、流体散布機RH5も、流体散布機RH3と同様に、第2散布部に該当する。
【0054】
流体散布機RH6は、スチールコンベア106から離れた位置に設けられている。そして、流体散布機RH6は、金属くず載置部108F、危険物載置部108G、及び木片載置部108Iに泡状物BLを、グラップル127及びハンドリング機構140の動きに無関係に一定の時間間隔で、散布する。なお、この泡状物BLにも、芳香剤が含まれている。このため、流体散布機RH6も、流体散布機RH4と同様に、第3散布部に該当する。
【0055】
流体散布機RH7は、スチールコンベア106から離れた位置に設けられている。そして、流体散布機RH7は、有害物載置部108H、および残滓物載置部110に泡状物BLを、グラップル127及びハンドリング機構140の動きに無関係に一定の時間間隔で、散布する。なお、この泡状物BLにも、芳香剤が含まれている。このため、流体散布機RH7も、流体散布機RH4、RH6と同様に、第3散布部に該当する。
【0056】
なお、各流体散布機RH1~RH7には、泡状物BLまたは液体DLをノズルNSから散布させるためのポンプ部が別に接続されている。例えば、流体散布機RH1、RH2には共通のポンプ部が接続されて、供給されるのが消臭剤と界面活性剤とを含む水溶液とされている。また、流体散布機RH3、RH5には共通のポンプ部が接続されて、供給されるのが芳香剤を含む水溶液とされている。更に、流体散布機RH4、RH6、RH7には共通のポンプ部が接続されて、供給されるのが芳香剤と界面活性剤とを含む水溶液とされている。
【0057】
次に、認識装置134、処理部137、及びハンドリング機構140について、図2(B)、図6(A)、(B)、図7を用いて説明する。
【0058】
認識装置134は、図7に示す如く、スチールコンベア106上の廃棄物103に光を照射する照射部135と、廃棄物103で偏光された光を受光する受光部136と、を備える。本実施形態では、例えば光のうちの可視光(複数のパターン化された光など)を蛍光灯、LEDや投光機などの照射部135からスチールコンベア106上を照らし(照射し)、廃棄物103で反射(偏光)した可視光を受光部136であるカメラで捉えるようにしている。即ち、カメラは、廃棄物103を撮像し、可視光の反射強度パターンと色等を検出し、木片103AAの位置と形状・大きさが判断できるような出力を行う。
【0059】
処理部137は、図7に示す如く、照射部135と受光部136とに接続されている。処理部137は、受光部136の出力に従い、廃棄物103のうちの木片103AAの位置と形状・大きさとを判別する(言い換えれば、認識装置134は、スチールコンベア106上の木片103AAを判別可能とする出力をしている)。そして、処理部137は、認識装置134の出力に基づいて木片103AAの重心位置を求める。また、処理部137は、照射部135のon/off制御や照射部135から照射される可視光の強度なども制御する。また、処理部137は、ハンドリング機構140に接続されており、求められた木片103AAの重心位置を保持部146で保持させることで、木片103AAをスチールコンベア106から取り除くようにハンドリング機構140を制御することができる。また、処理部137は、スチールコンベア106の速度検出部(エンコーダ)106Aに接続されている。このため、スチールコンベア106の送り速度は、直接計測され、処理部137で処理される(エンコーダを使用せずに、認識装置134の信号からスチールコンベア106の送り速度を算出してもよい)。なお、図7における白抜き矢印はスチールコンベア106の送り方向(廃棄物103の搬送方向)であり、スチールコンベア106の送り速度を考慮して、処理部137はハンドリング機構140を制御する。処理部137は、フレーム体130と一体とされていてもよいし、フレーム体130の近傍に配置されていてもよい。
【0060】
ハンドリング機構140は、図6(A)に示す如く、スチールコンベア106上の木片103AAの保持と開放とが可能な保持部146と、互いに回動可能な複数のリンク(アーム部)142、144を有し保持部146を支持する多関節アーム機構と、を有する。多関節アーム機構は、(多関節アーム機構の一部である)支持軸138に支持されており、支持軸138を中心に回動可能とされている。具体的には、多関節アーム機構は、第1関節141を介して支持軸138に支持される第1リンク142と、第2関節143を介して第1リンク142に支持される第2リンク144と、第3関節145を介して第2リンク144に支持される保持部(ハンド)146と、を備える。保持部146は、例えば2つのハンド部材を備え、一方のハンド部材がもう一方のハンド部材に対して相対的に接近離間可能とされている。つまり、2つのハンド部材の向き合う面同士で木片103AAを挟み込む(クランプする)ことができる。第1関節141~第3関節145はそれぞれ、2軸回動可能とする駆動源を備えている。ハンドリング機構140の保持部146の可動範囲は最大でガイド壁107を超えている。このため、ハンドリング機構140が木片103AAを保持した際には、ガイド壁107の外側に設けられた木片載置部108Iに、その木片103AAを載置することができる。なお、図示しないが、保持部146に力を検知するセンサを設けることで、ハンドリング機構140が木片103AAを確実に保持したか否かを判定するようにしてもよい。なお、図1図6(B)において、フレーム体130の内側の実線円は、ハンドリング機構140の保持部146の最大到達範囲を示しており、保持部146は支柱131までは届かない構成とされている。
【0061】
次に、廃棄物選別処理設備100における選別の手順を、主に図8を用いて説明する。
【0062】
まず、廃棄物103を搭載した図示しない運搬車を廃棄物投入部102まで移動させる。そして、運搬車の荷台の廃棄物103を一旦ダンプする(このときに、流体散布機を用いて、泡状物BLを廃棄物103に散布するようにしてもよい)。そして、そのダンプされた廃棄物103の構成物103Aを、図示しないバックホウで把持して振動篩機VSに投入する(図8のステップS2)。なお、運搬車の荷台を傾斜させその荷台から直接振動篩機VSの傾斜面SPに廃棄物103を投入してもよい。
【0063】
次に、流体散布機RH1、RH2により、泡状物BLを廃棄物103に散布する(図8のステップS4)。
【0064】
次に、投入された廃棄物103のうち、所定の基準以下の大きさの構成物103Aが振動篩機VSにより篩落される(図8のステップS6でYes)。そして、篩落とされた廃棄物103が排出口AOで残滓物111として集積される。
【0065】
投入された廃棄物103のうち、所定の基準よりも大きな構成物103Aが振動篩機VSで篩い落とされずに(図8のステップS4でNo)、傾斜面SPに沿って移動し、スチールコンベア106上に載置される。その際にも、流体散布機RH1、RH2により、泡状物BLがそのスチールコンベア106上の廃棄物103に散布される(図8のステップS8)。具体的には、振動篩機VSの傾斜面SPにより、篩落されずに残った廃棄物103が傾斜面SPの下端から平坦化され、スチールコンベア106上に投入される。本実施形態では、図8のステップS4からステップS8までは、流体散布機RH1、RH2から泡状物BLの散布が続いている状態とされている。
【0066】
次に、泡状物BLの付着した廃棄物103をスチールコンベア106で搬送する(図8のステップS10)。
【0067】
次に、バックホウBH1、BH2(BH3、BH4)のグラップル127の位置に、流体散布機RH3(RH5)によって芳香剤を含む液体DLを散布する(図8のステップS12)。
【0068】
次に、液体DLの散布で泡状物BLが消えた状態となり、バックホウBH1、BH2(BH3、BH4)で、廃棄物103から構成物103Aを種類ごと(品目ごと)に選別する(図8のステップS14)。具体的には、スチールコンベア106で搬送される廃棄物103から、スチールコンベア106に対向し廃棄物103の搬送方向(X方向)に配置される4台のバックホウBH1~BH4でそれぞれ、互いに分担した構成物103Aを把持して、スチールコンベア106上から取り除く。そして、種類ごとに分離された各載置部108A~108Hへ、4台のバックホウBH1~BH4はその分担した構成物103Aを載置させる。なお、4台のバックホウBH1~BH4がその分担した構成物103Aを載置させ始めた段階で、流体散布機RH4、RH6は、各載置部108B~108Gに泡状物BLを散布開始する。この散布開始の時期は、スチールコンベア106が作動開始した際に自動的に同期されていてもよい。
【0069】
次に、バックホウBH4を通過した廃棄物103に対して、認識装置134の出力に基づいて、処理部137は木片103AAを判別する。つまり、バックホウBH4を通過した廃棄物103に対して、認識装置134の照射部135から可視光を照射し、その反射光を受光部136で受光し、受光部136は反射光の情報を出力する。つまり、認識装置134は、搬送される廃棄物103のうちの木片103AAを判別可能となる出力をする。そして、処理部137は、認識装置134の出力に従い、木片103AAの位置及び大きさを特定する。
【0070】
次に、処理部137は、スチールコンベア106の送り速度を考慮して、ハンドリング機構140の保持部146の位置を制御する。そして、ハンドリング機構140は特定された木片103AAを保持しスチールコンベア106上から取り除く(図8のステップS16)。ハンドリング機構140は、取り除いた木片103AAを、木片載置部108I
に載置する。なお、ハンドリング機構140はその分担した木片103AAを木片載置部108Iに載置させ始めた段階で、流体散布機RH7で、木片載置部108Iと、残滓物載置部110とに泡状物BLを散布開始する。
【0071】
そして、残った廃棄物103、例えば500mm以下の残滓物111は、残滓物載置部110で更に図示せぬ振動篩機で篩い落とされ、集積される(図8のステップS18)。例えば、振動篩機で篩い落とされるのは数10mm以下の残滓物111であり、篩い落とされなかったのは500mm以下且つ数10mmより大きい残滓物111となる。その際には、流体散布機RH7で散布された泡状物BLが残滓物111に散布される。この残滓物111は、運搬車で所定の場所に運搬され、更なる仕上げ選別工程や破砕工程を行う所定の処理場に搬送される(埋設処理してもよい)。なお、ヤード108に載置された各構成物103Aは適宜、集積され、所定の処理場に搬送される。
【0072】
このように、本実施形態においては、スチールコンベア106において最も上流にあるバックホウBH1の上流で、流体散布機RH1、RH2は泡状物BLを廃棄物103の構成物103Aに散布する。このため、バックホウBH1で選別する前に、スチールコンベア106から粉塵や臭いが飛散することを防止することができる。特に、本実施形態では、水を多く使用せずに泡状物BLを用いることで、水浸しになるおそれを低減することができる。粉塵は視認しやすく、粉塵対策を打ちやすいが、臭い(悪臭)は視認することは極めて困難であり、粉塵よりも広範囲に広がる可能性が高い。水などの液体DLを用いて臭いを消すためには、臭いの元を完全に洗い流すために大量の液体DLが必要となる。このため、本実施形態のように、泡状物BLを用いることは極めて効果的な手法といえる。本実施形態のように、臭いを遮断できることで、周囲環境への影響を大幅に低減することができる。更には、泡状物BLに消臭剤が含まれていることで、臭いの飛散を更に抑えることができる。
【0073】
なお、これに限らず、バックホウBH1の上流で、廃棄物103の構成物103Aに散布されるのが、泡状物BLではなく、液体DLであってもよい。液体DLが消臭剤や芳香剤を含まない単なる水の場合には、少なくとも粉塵の飛散を低減することができる。更に、液体DLに消臭剤や芳香剤が含まれていれば、相応に臭いによる不快感や周囲環境への負荷を低減することができる。同時に、流体散布機RH1、RH2の構成を簡易的にでき、散布範囲も広範囲にすることが容易である。あるいは、泡状物BLには、消臭剤が含まれておらず、単なる界面活性剤が含まれるだけでもよいし、芳香剤が含まれてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、投入された廃棄物103に対して、2つの流体散布機RH1、RH2でスチールコンベア106の両側から、しかも対称的に泡状物BLを散布している。このため、片側から泡状物BLを散布する場合に比べて、廃棄物103の表面をしっかりと泡状物BLで覆うことができ、より粉塵と臭いの飛散を抑制することが可能である。なお、これに限らず、流体散布機は1つであってもよい。この場合には、その分、廃棄物選別処理設備のコストを下げられる。同時に、流体散布機の配置場所の確保が容易となり、廃棄物選別処理設備のレイアウト自由度を拡大することができる。また、バックホウで誤って流体散布機を破壊したりするおそれを低減できる。
【0075】
また、本実施形態では、バックホウBH1~BH4の近傍で、流体散布機RH3、RH5がバックホウBH1~BH4のグラップル127の接触する構成物103Aに液体DLを散布している。このため、バックホウBH1~BH4で選別する際に、構成物103Aの状態が変化した際に発生する粉塵や臭いの飛散を低減することが可能である。同時に、バックホウBH1~BH4で選別する際に、液体DLが散布されることで、流体散布機RH1、RH2で散布された泡状物BLを迅速に消失させることができる。これにより、泡状物BLで構成物103Aをよく視認できないといったことを防止することができ、より安定して構成物103Aの選別をすることができる。また、流体散布機RH3、RH5による液体DLは、局所的な散布であり、流体散布機RH3、RH5によって散布される水量を少なくすることができる。このため、スチールコンベア106とその周辺を水浸しにするおそれを低減することができる。しかも、流体散布機RH1、RH2で散布される泡状物BLには消臭剤が含まれていることから、流体散布機RH3、RH5で液体DLを散布する前の構成物103Aの臭いは低減されている。このため、本実施形態では、消臭剤が適用されていない構成物103Aに直接液体DLが散布された場合に比べて、液体DLに含まれる芳香剤で余計不快な臭いを発生させてしまう、といった可能性を低減することができる。
【0076】
なお、これに限らず、バックホウBH1~BH4の近傍でも、泡状物BLを更に散布するようにしてもよい。泡状物BLを薄く散布することで構成物の視認性をそれほど損なわず、かつ泡状物BLを用いたほうが臭いの飛散までを確実に低減することができる。あるいは、液体DLに含まれるのが消臭剤でもよいし、液体DLが単なる水であってもよい。勿論、流体散布機RH3、RH5がなく、バックホウBH1~BH4の近傍では、液体DLや泡状物BLが散布されなくてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、流体散布機RH4、RH6、RH7が可燃粗大物載置部108Aを除く、各載置部108B~108I、110に泡状物BLを散布している。このため、仮に各載置部108B~108I、110に構成物103Aを載置した際、または載置した後に構成物103Aからの粉塵や臭いが再び飛散するようなことがあっても、粉塵や臭いの飛散を低減することが可能である。しかも、流体散布機RH4、RH6、RH7から散布されるのが泡状物BLであるので、各載置部108B~108I、110を水浸しにするおそれを低減することができる。なお、これに限らず、各載置部108B~108I、110に泡状物BLではなく液体DLを散布してもよいし、何も散布しなくてもよい。勿論、可燃粗大物載置部108Aを含めた全ての載置部108A~108I、110に泡状物BLあるいは液体DLを散布するようにしてもよい。このときにも、泡状物BLや液体DLは、芳香剤や消臭剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、4台のバックホウBH1~BH4で構成物103Aを把持して各載置部108A~108Hに構成物103Aを載置している。このため、選別される構成物103Aの位置や大きさが不均一でも、多くの構成物103Aの大きさや位置や移動速度に合わせて、バックホウBH1~BH4がそれぞれ位置を調整しグラップル127の位置の最適化することができる。つまり、本実施形態では、多くの構成物103Aを効率的に把持して選別することができる。なお、これに限らず、少なくとも1台以上のバックホウBHがあればよいし、構成物103Aを把持して選別可能な第1作業機械があればよい。勿論、ハンドリング機構140が存在するなら、バックホウBHが1台もなくてもよい。
【0079】
また、本実施形態においては、スチールコンベア106の前段に、振動篩機VSが設けられている。このため、振動篩機VSにより、スチールコンベア106上に載置される廃棄物103の減量と平坦化とができる。これにより、スチールコンベア106上の構成物103AをバックホウBH1~BH4やハンドリング機構140で容易に選別することが可能である。なお、これに限らず、振動篩機VSが設けられていなくてもよい。
【0080】
また、本実施形態態では、グラップル127を備え、グラップル127により廃棄物103を把持し、振動篩機VSに投入するバックホウBHを備える。このため、振動篩機VSの大きさや位置の制限が少なく、適切な振動篩機VSを用いることができる。同時に、廃棄物103を容易に振動篩機VS上に移動させることが可能である。そして、振動篩機VSの能力に合わせて、廃棄物103を振動篩機VSに投入することができる。さらに、振動篩機VS、バックホウBH1~BH4、ハンドリング機構140で選別するのに適さない構成物103Aを予め選別できるので、振動篩機VSに投入される廃棄物103を効率的に選別することが可能となる。なお、これに限らず、運搬車などにより振動篩機VSに直接廃棄物103がダンプされてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、流体散布機RH1、RH2で、振動篩機VSに投入された廃棄物103にまで泡状物BLを散布している。このため、振動篩機VSの振動で生じる粉塵と臭いも効果的に低減することができる。同時に、振動篩機VSのために、流体散布機RH1、RH2とは異なる流体散布機を用意する必要がなく、その分の費用と設置場所の削減をすることができる。なお、これに限らず、振動篩機VSのために、流体散布機RH1、RH2とは異なる別の流体散布機を用意してもよい。あるいは、振動篩機VS上の廃棄物103には何も散布しなくてもよい。この場合には、振動篩機VSにおける処理速度を泡状物BLの散布で損なう可能性を低減でき、より迅速な処理を実現できる可能性がある。勿論、液体DLを振動篩機VS上の廃棄物103に散布してもよいし、芳香剤が含まれてもよいし、単なる水が振動篩機VS上の廃棄物に散布されてもよい。
【0082】
また、本実施形態態では、処理部137は認識装置134の出力に従い木片103AAを判別し、判別した木片103AAをスチールコンベア106上から取り除くようにハンドリング機構140を制御する。このため、木片103AAの選別という相応の仕上げ選別工程まで可能でありながら、廃棄物103の作業者の人手による直接的な選別を不要にすることが可能となる。そして、廃棄物103に、例えば、放射性物質や超微粒粉塵などの有害・有毒・危険物質などの人体に害を与えるおそれのあるもの(材料や形状)が含まれているような場合であっても、また、その選別を行わなければならない地域が放射性物質や超微粒粉塵などの影響を受けるような場合であっても、人体の直接的な環境への暴露が回避できる。
【0083】
また、本実施形態においては、1台以上のバックホウBHが、廃棄物103のうちでハンドリング機構140により取り除く対象とされない構成物103Aであって、且つハンドリング機構140により取り除かれる木片103AAの大きさよりも大きな構成物103Aを把持してスチールコンベア106上から取り除くことができる。このため、大きな構成物103Aに隠れてしまう木片103AAを検出するための認識装置134の高性能化や複雑化を不要とでき、認識装置134の高コスト化を回避することが可能となる。同時に、木片103AAが大きな構成物103Aに隠れてしまうことを防止できるので、ハンドリング機構140による選別効率を向上させることもできる。
【0084】
また、本実施形態においては、ハンドリング機構140で取り除かれるのが木片103AAとされている。このため、木片103AAを多く含む廃棄物103の大幅な減量を行うことができ、その取り除かれた木片103AAをバイオマスボイラーの木質チップ用や焼却用に容易に利用することが可能となる。なお、これに限らず、1台以上のバックホウBHが存在すれば、ハンドリング機構140(および処理部137)がなくてもよい。また、ハンドリング機構140で取り除かれる構成物は、木片だけでなく、それ以外の構成物を取り除くようにしてもよい。もちろん、ハンドリング機構で取り除かれる構成物が木片以外であってもよい。
【0085】
従って、本実施形態によれば、廃棄物選別処理設備100における周囲環境への負荷を低減することが可能となる。
【0086】
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0087】
例えば、第1実施形態では、バックホウBH1~BH4のグラップル127の接触する構成物103Aに液体DLを散布する流体散布機RH3、RH5がガイド壁107に取り付けられていた。しかし、本発明はこれに限定されずに、第2実施形態を示す図9のように、流体散布機(第2散布部)RHAがバックホウ(第1作業機械)BH1~BH4に設けられていてもよい。なお、第2実施形態では、バックホウBHと第2散布部に該当する流体散布機RHAだけが異なるので、それ以外については説明を省略し、符号は変更がなければ、第1実施形態で示した符号で説明する。
【0088】
第2実施形態では、図9に示す如く、例えば、流体散布機RHAは、バックホウBHの旋回体222上に配置されている。このため、各バックホウBHがそれぞれ流体散布機RHAを備える際には、回転部材RBは回転する必要がない。また、スチールコンベア106の高さは一定であるので、傾斜部材ABも傾斜する必要がない。このため、流体散布機RHAによる散布領域の調整は容易である(各バックホウBHがそれぞれ流体散布機RHAを備えずにバックホウBH2台で1台のみが流体散布機RHAを備える場合であっても、回転部材RBの回転角度θの範囲は狭くでき、相応に流体散布機RHAの制御を簡易的にすることができる)。同時に、バックホウBHの衝突などを低減でき、流体散布機RHAで破壊・変形させるおそれが少なく、かつ流体散布機RHAの配置スペースに困ることがない。
【0089】
更に、第2実施形態では、グラップル227の把持部229の先端にそれぞれ、ブレード板229Aを設けている。この1対のブレード板229Aは把持部229が最接近した際に先端部同士が接触するようにされている。このため、バックホウBHにより、より細かい構成物103Aまで選別することが可能となっている。このため、第2実施形態でも、ハンドリング機構140がなくてもよい。
【0090】
なお、第2実施形態では、流体散布機RHAをバックホウBHの旋回体222に配置しただけであったが、本発明はこれに限定されず、第3実施形態を示す図10のようであってもよい。バックホウBHと第2散布部に該当する流体散布機RHAだけが異なるので、それ以外については説明を省略し、符号は変更なければ、第1実施形態で示した符号で説明する。
【0091】
第3実施形態では、図10に示す如く、例えば、流体散布機は、バックホウBHと一体化している。そして、ノズルNSはグラップル327に設けられている。このため、流体散布機のためのスペースが不要であるとともに、ノズルNSの位置を制御することなく容易にグラップル327で接触する構成物103Aに確実に液体DLを散布することができる。なお、液体DLの吐出量を制御する開閉弁は、グラップル327や旋回体322上に設けることができる。また、本実施形態では、図9と同様に、把持部329の先端にブレード板329Aを備えている。このため、第2実施形態と同様に、より細かい構成物103Aまで選別することができる。
【0092】
なお、第1実施形態では、振動篩機VSにバックホウ(第2作業機械)BHを用いて廃棄物103を投入することも想定していた。このため、本発明はそのような振動篩機VSに廃棄物103を投入するバックホウBHを図9図10で示すバックホウBHで行ってもよい。その際には、振動篩機VSに投入する前から効率的に泡状物BLまたは液体DLを廃棄物103に散布できるので、粉塵や臭いの飛散を更に低減することができる。
【0093】
また、上記実施形態においては、廃棄物を搬送する搬送手段がスチールコンベアとされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、スチールコンベアを用いずに、振動篩機VSが搬送手段とされ、その傾斜面SPに対して認識装置やハンドリング機構等が配置される構成であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、流体散布機により廃棄物103の上から泡状物BLを散布していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、廃棄物103が載置される前の振動篩機VS上とスチールコンベア上、あるいはスチールコンベア上のみに泡状物BLを散布しておいてもよい。その際には、廃棄物103を泡状物BLで上と下から挟みこむこととなり、より粉塵と臭いの発生を防止することができる。なお、このときの流体散布機(第4散布部)は、流体散布機RH1、RH2であってもよいし、別の流体散布機であってもよい。更には、流体散布機は、振動篩機VSやスチールコンベアに組み込まれた形態とされていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、廃棄物の選別に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
100…廃棄物選別処理設備
102…廃棄物投入部
103…廃棄物
103A、…構成物
103AA…木片
104…作業機械配置部
106…スチールコンベア
106A…速度検出部(エンコーダ)
107…ガイド壁
108…ヤード
108A…可燃粗大物載置部
108B…不燃粗大物載置部
108C…家電類載置部
108D…アス・コン載置部
108E…漁網載置部
108F…金属くず載置部
108G…危険物載置部
108H…有害物載置部
108I…木片載置部
110…残滓物載置部
111…残滓物
120、220、320…車体
121、221、321…走行体
122、222、322…旋回体
122A、222A、322A…運転席
123、223、323…アーム体
124、224、324…ブーム
124A、125A、224A、225、324A、325A…シリンダ機構
125、225、325…アーム
126、226、326…リンク機構
127、227、327…グラップル
128、228、328…回動機構
129、229、329…把持部
130…フレーム体
131…支柱
132…上部フレーム
133…延在フレーム
134…認識装置
135…照射部
136…受光部
137…処理部
138…支持軸
140…ハンドリング機構
141、143、145…関節
142、144…リンク
146…保持部
229A、329A…ブレード板
AB…傾斜部材
AO…排出口
BH、BH1~BH4…バックホウ
BS…架台
F、G…レベル
M…盛り土
MS…認識センサ
MT…ギヤドモータ
NS…ノズル
RB…回転部材
RH…流体散布機構
RH1~RH7、RHA…流体散布機
SB…支持部材
SP…傾斜面
VS…振動篩機
α、θ…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10