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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】床タイル
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/10 20060101AFI20230609BHJP
   B32B 3/26 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
E04F15/10 104E
E04F15/10 104B
E04F15/10 104A
B32B3/26
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018141343
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020016117
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】戸高 浩司
(72)【発明者】
【氏名】砂澤 周一
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-227092(JP,A)
【文献】特開平06-002416(JP,A)
【文献】特開平07-109818(JP,A)
【文献】実開平06-078475(JP,U)
【文献】特開平08-011252(JP,A)
【文献】特開2006-104874(JP,A)
【文献】特開2000-352184(JP,A)
【文献】特開2003-321918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0146695(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤層と、
前記基盤層に積層され、前記基盤層と色調が異なる表面層と、を備え、
少なくとも一辺の端部周辺において前記表面層と、前記表面層に面する前記基盤層の境界面とにエンボスが施されているとともに、前記一辺において前記境界面を含むように面取り加工されており、敷き詰めて敷設した際に、太さが不揃いな目地形成することができる、床タイル。
【請求項2】
前記エンボスはランダム形状である、請求項1に記載の床タイル。
【請求項3】
前記基盤層は、ガラス不織布層を含む複数の層からなる、請求項1又は2に記載の床タイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床タイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面に敷き詰める床タイルとして例えば特許文献1に開示されるように塩化ビニル樹脂を積層したものが使用されている。複数の床タイルを敷き詰めて敷設すると、それぞれの床タイルの四辺に目地ができる。床面における目地に求められる美的要求として二通りあり、一つはなるべく目地を目立たせることなく、連続した一連の床面を構成したいという要求である。また、もう一つは目地を目立たせて床タイルが敷設してあることを強調したいという要求である。後者の場合、例えば特許文献2に開示されるように、床タイルの四辺に面取りを施し、目地が目立つようにする方法がとられる。しかしながら、単に面取りを施しただけでは、目地は単一の太さで直線状に形成されるため、無機的で意匠的にも面白みに欠けるものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-085149号公報
【文献】特開2012-092527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの側面では、敷き詰めて敷設した際に、太さが不揃いな目地又は波模様を呈した目地を形成することが可能な床タイルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、1つの形態によれば、基盤層と、基盤層に積層され、基盤層と色調が異なる表面層と、を備え、少なくとも一辺の端部周辺において表面層と、表面層に面する基盤層の境界面とにエンボスが施されているとともに、一辺において境界面を含むよう面取り加工されている、床タイルが提供される。
【発明の効果】
【0006】
開示の床タイルにより、敷き詰めて敷設した際、太さが不揃いな目地又は波模様を呈した目地を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】開示する床タイルを敷き詰めて敷設した状態を示す斜視図である。
図2】床タイルを敷き詰めて敷設した状態を示す平面図である。
図3図2のIII-III線に沿った床タイルの断面図である。
図4】床タイルの別例を示す断面図である。
図5】複数の層からなる基盤層を有する床タイルを示す断面図である。
図6】床タイルの別例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を用いて本出願の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。また、以下の実施の形態において同一又は類似の要素には共通の参照符号を付けて示し、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。
【0009】
本実施形態の床タイル10は、図1及び図2に示すように敷き詰めて敷設することで床面1を形成する矩形の床タイルである。そして、図3に示すように、床タイル10は、基盤層11と、基盤層11に積層され、基盤層11と色調が異なる表面層12とを備える。例えば基盤層11は灰色で形成され、表面層12は白色で形成される。基盤層11と表面層12は色相が異なっていてもよい。図に示す床タイル10では、表面層12の表面全体にエンボス加工が施され、表面層12に凹凸のエンボスが形成されるとともに、表面層12に面する基盤層11の境界面14にも凹凸のエンボスが形成される。また、床タイル10の四辺13a~13dには、境界面14を含むよう面取り加工により、斜面17が形成されている。そのため、面取りされた斜面17には、表面層12と、表面層12の色調と異なる基盤層11の境界面14が平面視、すなわち上方からでも見えるようになる。
【0010】
図1図3に示すように、床タイル10を敷設して床面1を形成すると、隣接する床タイル10の間に目地61が形成される。目地61は、床タイル10の面取りされた斜面17の表面層12と境界面14の凹凸により、幅W(太さ)が不揃いなものとなって見える。目地61の幅Wが不揃いとなるため、手作業で目地を設けたようになり、自然な目地を形成することが可能になる。
【0011】
基盤層11及び表面層12は塩化ビニル樹脂により形成され、それぞれ塩ビコンパウンドをバンバリーミキサーで混練した後に、カレンダーロールで圧延成型される。基盤層11及び表面層12は、それぞれの厚さが0.2mm以上、2.0mm以下になるようシート状に形成される。その後、表面層12は、加熱ロールにより基盤層11に連続的に積層されるか、あるいはシート状の基盤層11及び表面層12を適当な大きさに切断した後、加熱プレスを用いて表面層12を基盤層11に積層する。
【0012】
基盤層11に表面層12を積層した後、エンボス加工を行う。床タイル10の表面層12に施されるエンボスの形状はランダムであり、例えば半径0.5mmから3.0mmの半円球状の突起がランダムに配置してあるエンボス板を用いて形成される。また、エンボスを形成するエンボス板は、半円球をランダムに崩し配置したものを使用してもよい。エンボス加工を行った後、四辺に面取り加工を行う。
【0013】
図1及び図2に示す床タイル10では、表面層12の全面にエンボス加工を施し、凹凸のエンボスが形成されていたが、図4に示す床タイル20のように、四辺の端部周辺の範囲Aにのみエンボス加工を施して凹凸のエンボスが形成されてよい。そして、エンボスが形成された四辺に、境界面24が見えるよう面取り加工を行う。また、四辺のうち少なくとも一辺にエンボス加工を施して凹凸のエンボスを形成し、エンボスが形成された一辺に、境界面が含まれるよう面取り加工を行ってもよい。床タイル20を敷設して床面2を形成することで、太さが不揃いな目地62を形成することができる。
【0014】
図5に示す床タイル30のように、基盤層31は複数の塩化ビニル樹脂層33、36と、塩化ビニル樹脂層33、36との間に設けられたガラス不織布層35とから形成されてよい。床タイル30にガラス不織布層35を設けることにより、床タイル30の寸法安定性が向上する。ガラス不織布は、コスト、厚みを考慮すると、ガラス目付量25g/m以上、50g/m以下のものが好ましい。また、最も下に位置する塩化ビニル樹脂層36については、可塑剤を通さない材質のものを適宜選択して形成してもよい。
【0015】
図1図5に示す床タイル10~30では、半円球状の突起がランダムに設けられたエンボス板を用いてエンボスが形成されていたが、図6に示す床タイル40では、半円球状の突起を一定間隔で配置したエンボス板を用いて、床タイル40の四辺を加熱圧縮している。一定間隔の半円球状の突起により境界面44が規則的な波模様となり、図6に示すよう床タイル40を敷き詰めて敷設して表面層42及び床面4を形成することにより、波模様の目地64を形成することができる。
【0016】
以下、実施例を示して、本発明についてさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例により限定されるものではない。
【0017】
(実施例1)
表面層12として、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、可塑剤50重量部、炭酸カルシウム100重量部に適宜安定剤、顔料他の添加剤をバンバリーミキサーで混練して混合物を作製した。その後、カレンダーロールにより圧延し、厚さ0.5mm、巾1.2mの白色の塩化ビニル樹脂のシートを作製した。
【0018】
次に基盤層11として、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、可塑剤50重量部、炭酸カルシウム300重量部に適宜安定剤、顔料他の添加剤をバンバリーミキサーで混練した。混練したものをカレンダーロールで圧延し、厚さ0.5mm、巾1.2mの灰色の塩化ビニル樹脂のシートを作製した。
【0019】
作製した塩化ビニル樹脂のシートそれぞれを1m角に裁断し、表面層12を構成する1層と基盤層11を構成する3層を加熱プレスで積層し、厚さ2.0mmのシートを作製した。その後、床タイル10の大きさとなるよう、さらに30cm角に裁断した。
【0020】
次に、半円球の突起がランダムに配置されたエンボス板を、表面層12に加熱圧縮して、床タイル10にエンボスを施した。そして、表面層12と基盤層11との境界面14を含むよう、床タイル10の四辺13a~13dを45度の角度で面取り加工した。実施例1としての床タイル10を複数枚、実際に床面に敷き詰めて敷設し、太さが不揃いな目地61が形成されることを確認した。
【0021】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、表面層42と基盤層41として塩化ビニル樹脂によるシートを作製した。その後、実施例1と同様に、作製したシートを1m角に裁断し、表面層42としての1層と、基盤層41としての3層を加熱プレスで積層し、厚さ2.0mmのシートを作製し、さらに30cm角に裁断した。
【0022】
実施例2では、半円球状の突起を一定間隔で配置したエンボス板を用いて、床タイル40の四辺を加熱圧縮してエンボスを施した。そして、表面層42と基盤層41との境界面44を含むよう、床タイル40の四辺を45度の角度で面取り加工した。面取り加工することにより波形に形成された境界面44が上方からも見えるようになった。そして、床タイル40を敷き詰めて敷設することにより、波模様を呈する目地64が形成されることを確認した。
【0023】
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、表面層12と基盤層31として塩化ビニル樹脂によるシートを作製し、1m角に裁断した。基盤層31構成する塩化ビニル樹脂層を2層用意し、2層の間に目付量25g/mのガラス不織布を配置した。さらに、基盤層31に表面層12を配置して、加熱プレスを用いて積層して厚さ2.0mmのシートを作製し、30cm角に裁断した。半円球状の突起がランダムに配置されたエンボス板を用いて、床タイル30の四辺を加熱圧縮しエンボスを施した。そして、表面層12と基盤層31との境界面34を含むよう、床タイル30の四辺を45度の角度で面取り加工した。敷き詰めて敷設することより、太さが不揃いな目地63を形成するとともに、実施例1の寸法と比較することにより、寸法精度が良好になることを確認した。
【0024】
以上、実施例を用いて、本発明の床タイルについて説明した。なお、図1図6に示す床タイル10~40は矩形形状であるが、床タイル10は矩形に限定されず別の形状、例えば菱形、三角形又は六角形に形成されてもよい。また、床を複数の形状を含む床タイルを組み合わせて作製してもかまわない。
【符号の説明】
【0025】
1、2、3、4 床面
10、20、30、40 床タイル
11、21、31、41 基盤層
12、22、42 表面層
14、24、34、44 境界面
17 面取りされた斜面
61、62、63、64 目地
35 ガラス不織布層
図1
図2
図3
図4
図5
図6