(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】衣料用液体賦香製品
(51)【国際特許分類】
D06M 23/12 20060101AFI20230609BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20230609BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20230609BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230609BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20230609BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20230609BHJP
D06M 13/144 20060101ALI20230609BHJP
D06M 13/17 20060101ALI20230609BHJP
D06M 13/184 20060101ALI20230609BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20230609BHJP
D06M 13/256 20060101ALI20230609BHJP
D06M 13/262 20060101ALI20230609BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
D06M23/12
C11D1/02
C11D1/66
C11D3/20
C11D3/50
C11D17/04
D06M13/144
D06M13/17
D06M13/184
D06M13/224
D06M13/256
D06M13/262
D06M15/53
(21)【出願番号】P 2018246609
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】岡本 華奈子
(72)【発明者】
【氏名】中谷 親一郎
(72)【発明者】
【氏名】多勢 雄一郎
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-204508(JP,A)
【文献】特開2002-201488(JP,A)
【文献】特表2010-529250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 - 19/00
D06M 13/00 - 15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分を0.05質量%以上5質量%以下、(b)成分、(c)成分、(d)成分を0質量%以上15質量%以下及び水を含有する衣料用液体賦香剤組成物を、開口面積が2mm
2以上30mm
2以下である吐出口を備えた容器に充填してなる、
衣料用液体賦香剤製品であって、前記衣料用液体賦香剤組成物が(d)成分を含有する場合、(d)成分がCLogPが-2以上0.8以下の水酸基を有する有機溶剤である、衣料用液体賦香剤製品(前記衣料用液体賦香剤組成物がエタノールを含有するものを除く)。
(a)成分:香料マイクロカプセル
(b)成分:チキソトロピー性付与剤
(c)成分:アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤
(d)成分:水酸基を有する有機溶剤
【請求項2】
(b)成分が、結晶性の脂肪酸グリセリドである、請求項1に記載の衣料用液体賦香剤製品。
【請求項3】
(c)成分のアニオン界面活性剤が、下記(c1-1)成分、(c1-2)成分、(c1-3)成分及び(c1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤である、請求項1又は2に記載の衣料用液体賦香剤製品。
(c1-1)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(c1-2)成分:アルキレンオキシ基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(c1-3)成分:スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤
(c1-4)成分:脂肪酸又はその塩
【請求項4】
(c)成分のノニオン界面活性剤が、下記一般式(c2)で表されるノニオン界面活性剤である、請求項1~3の何れかに記載の衣料用液体賦香剤製品。
R
1c-(CO)
xO-(A’O)
m-R
2c (c2)
〔式中、R
1cは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、A’Oは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基であり、xは0又は1の数であり、mはA’Oの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、R
2cは、水素原子又はメチル基である。〕
【請求項5】
(d)成分が、下記
(d2)成分から選ばれる1種以上の有機溶剤である、請求項1~
4の何れかに記載の衣料用液体賦香剤製品。
(d2)成分:炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用液体賦香製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の簡便嗜好の高まりから、より使いやすい洗浄剤製品が求められている。洗浄剤の使用性を高める観点から、洗浄剤の容器の技術が開示されている。例えば、特許文献1には、特定粘度の液体となる界面活性剤とポンプディスペンサー容器との組み合わせることで、倒立使用時に液の吐出量を十分にする技術が開示されている。特許文献2には、容器からの泡だれ防止技術が開示されている。一方で、特許文献3には、着用後の衣料を洗浄する衣料用洗浄剤組成物において、洗浄後の乾燥した衣料から香る香りの強さや持続性を高める為に、香料を含有するマイクロカプセルを含有する衣料用液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献4には、a.)香料原料等を含むコア材料とコア材料を囲むシェルとを含み所定の破壊強度と所定の有益剤漏出率とを有する有益剤送達粒子、b.)消費者製品補助材料、並びにc.)ホルムアルデヒドスカベンジャー、を含む、消費者製品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-286797 号公報
【文献】特開平10-128189号公報
【文献】特開2016-204508号公報
【文献】特許2010-529250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に香料を含有するカプセルは、家庭用の衣料の処理においては、衣料を液体洗剤で洗浄後の乾燥中、および乾燥後の衣料から香る香りの強さや、香りの持続性を高める為に使用されていた。即ち香りを楽しむ場面が限られていた。本発明は、使い方によって香りの強さを変えることができる、例えば衣料用洗剤に配合した場合は、使用者が衣料の洗浄を始める際の使い方によって洗剤の投入時に香る香りの強さを変えることが出来る衣料用液体賦香剤製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記(a)成分を0.05質量%以上5質量%以下、(b)成分、(c)成分、(d)成分を0質量%以上30質量%以下及び水を含有する衣料用液体賦香剤組成物を、開口面積が2mm2以上30mm2以下である吐出口を備えた容器に充填してなる、衣料用液体賦香剤製品に関する。
(a)成分:香料マイクロカプセル
(b)成分:チキソトロピー性付与剤
(c)成分:アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤
(d)成分:水酸基を有する有機溶剤
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使い方によって香りの強さを変えることができる、例えば衣料用洗剤に配合した場合は、使用者が衣料の洗浄を始める際の使い方によって洗剤の投入時に香る香りの強さを変えることが出来る衣料用液体賦香剤製品が提供される。
尚、以後の明細書の記載において、「使用者が使い方によって衣料に適用する際の衣料用液体賦香剤製品から香る香りの強さを変えることが出来る」事を、「本発明の課題を解決する」と称する場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、香料マイクロカプセル及びチキソトロピー性付与剤及び水を含有する衣料用液体賦香剤組成物に、所定の界面活性剤、必要により水酸基を有する有機溶剤を併用することで、香料マイクロカプセルの壊れやすさを制御し、そして、そのような衣料用液体賦香剤組成物を、本発明の特定の開口面積を有する吐出口を備えた容器に充填することで、前記課題を解決できることを見出した。
【0008】
[衣料用液体賦香剤組成物]
本発明に係る衣料用液体賦香剤組成物は、(a)成分を0.05質量%以上5質量%以下、(b)成分、(c)成分、(d)成分を0質量%以上30質量%以下及び水を含有する衣料用液体賦香剤組成物(以下、本発明の衣料用液体賦香剤組成物という場合もある)である。
(a)成分:香料マイクロカプセル
(b)成分:チキソトロピー性付与剤
(c)成分:アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤
(d)成分:水酸基を有する有機溶剤
【0009】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は香料マイクロカプセルである。香料マイクロカプセルとは、香料組成物をカプセル化したものである。例えば、マイクロカプセルの外殻(壁材)に樹脂を用いて、公知の方法により香料組成物が封入されたものが挙げられる。
【0010】
香料マイクロカプセルの調製法は特に制限されず、公知のマイクロカプセル化方法を採用することができる。具体的には化学的製法(界面重合法、in situ重合法、オリフィス法)、物理化学的方法(コアセルベーション法)、機械的・物理的方法(気中懸濁被覆法、噴霧乾燥法、高速気流中衝撃法)等が挙げられる。香料マイクロカプセルの外殻としては、ポリウレタン、ポリアミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン、アラビアゴム、デンプン等の各種高分子化合物が挙げられる。
【0011】
本発明の香料マイクロカプセルの製造方法についてより具体的には、“造る+使うマイクロカプセル”(小石眞純ら、工業調査会、2005年発行)や、特開2008-63575号公報、特開2006-249326号公報、特表2006-518790号公報、特開平11-216354号公報、特開平5-222672号公報等に記載されている方法を採用することができる。
【0012】
香料マイクロカプセルの好ましい製造方法としては、エチレン-無水マレイン酸共重合体等の乳化剤と香料及び任意の希釈剤又は溶剤を水中に分散させて乳化物を得た後、この乳化物にメラミン-ホルムアルデヒド樹脂等の壁材を添加して撹拌することにより香料マイクロカプセルのスラリーを得る方法が挙げられる。また、予め、壁材を形成する樹脂となるモノマーと、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、アクリル酸-アクリルアミド共重合等の乳化剤とを水中で混合して、壁材・乳化剤混合物を調製した後、この壁材・乳化剤混合物と香料及び任意の希釈剤又は溶剤とを乳化し、この乳化物にホルムアルデヒドを添加して撹拌することにより香料マイクロカプセルのスラリーを得る方法等も挙げられる。
【0013】
(a)成分の香料マイクロカプセルに包含される香料〔以下、「香料(a1)成分」ともいう〕は、好ましくはlogP値が2.0以上6.0以下である香料化合物〔以下、「香料化合物(a1-1)成分」ともいう〕を50質量%以上含有する。香料(a1)成分は、通常、香料化合物(a1-1)成分を含む複数の香料化合物を含有する組成物である。香料(a1)成分は、香料化合物(a1-1)成分を、70質量%以上含有することが好ましい。また、香料化合物(a1-1)成分のlogP値は、カプセルの製造容易の観点から、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.3以上、更に好ましくは2.5以上であり、そして、6.0以下、好ましくは5.5以下、より好ましくは5.0以下である。
【0014】
このうちマイクロカプセルに包含される香料(a1)成分中のアルコール系香料としては、サリチル酸アミル(4.6)、サリチル酸ヘキシル(5.1)、サリチル酸ベンジル(4.2)、サリチル酸シクロヘキシル(4.5)、サリチル酸シス-3-ヘキセニル(
4.6)、テトラヒドロリナロール(3.5)、ターピネオール(2.6)、ゲラニオール(2.8)、シトロネロール(3.3)、リナロール(2.6)、テトラヒドロリナロール(3.5)、オイゲノール(3.0)、ジヒドロミルセノール(3.0)、フェニルヘキサノール(3.5)が挙げられる。またlogP値が2.0未満のアルコール系香料を配合してもよい。具体的にはイソ-アミルアルコール(1.3)、フェニルエチルアルコール(1.6)、cis-3-ヘキセノール(1.6)、シンナミックアルコール(1.8)が挙げられる。
【0015】
アルコール系香料以外の香料化合物(a1-1)成分としては、オクタナール(3.0)、ノナナール(3.0)、デカナール(4.0)、リラール(2.2)、リリアール(3.9)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(4.9)、アミルシンナミックアルデヒド(4.3)、p,t-ブチルヒドロシンナミックアルデヒド(3.6)、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド(2.9)、酢酸ヘキシル(4.9)、酢酸トリシクロデセニル(2.4)、酢酸シトロネリル(4.2)、酢酸ゲラニル(3.7)、酢酸リナリル(3.5)、酢酸ターピニル(3.6)、酢酸o,t-ブチルシクロヘキシル(4.1)、酢酸p,t-ブチルシクロヘキシル(4.1)、プロピオン酸アリルシクロヘキシル(2.9)、プロピオン酸トリシクロデセニル(3.9)、カプロン酸アリル(3.2)、ジヒドロジャスモン酸メチル(2.4)、α-イオノン(3.7)、β-イオノン(3.7)、γ-メチルイオノン(4.0)、α-ダマスコン(3.6)、β-ダマスコン(3.6)、δ-ダマスコン(3.6)、γ-ノナラクトン(2.8)、γ-デカラクトン(3.3)、γ-ウンデカラクトン(3.8)、ネロリンヤラヤラ(3.2)、シクラメンアルデヒド(3.5)、リモネン(4.4)、メチルアンスラニレート(2.0)、メチルβ-ナフチルケトン、(2.8)、イソEスーパー(4.7)、セドリルメチルエーテル(5.1)、アンブロキサン(5.3)、1,8-シネオール(2.9)、ゲラニルニトリル(3.9)、シトロネリルニトリル(4.4)、11-オキサ-16-ヘキサデカノリド(ムスクR-1、ジボダン製)(4.5)、エチレンブラシレート(4.6)、エチレンドデカンジオエート(4.1)、カシュメラン(4.0)から選ばれる1種以上の香料化合物が挙げられる。
また、logP値が6.0よりも高い香料として、シクロペンタデカノリド(6.3)、シクロヘキサデカノリド(6.8)、アンブレットリド(6.4)もカプセルに内包する香料として好ましい。ここで、( )内の数字はlogP値である。
【0016】
なお(a1)成分のマイクロカプセルは、香料(a1)成分の他に、希釈剤、溶剤、及び固化剤から選ばれる1種以上を内包してもよい。 希釈剤ないし溶剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びグリセリンを挙げることができ、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸の低級アルコールエステル、及び脂肪酸のグリセリンエステルを挙げることもできる。
【0017】
(a1)成分のマイクロカプセルの1次平均粒径は、好ましくは1μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは20μm以下である。本発明のマイクロカプセルの平均粒径は、株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA-910によって求められたメジアン径である。なお、(a1)成分は、保存安定性を損なわない程度に一部凝集していてもよい。
【0018】
<(b)成分>
(b)成分は、チキソトロピー性付与剤である。ここで、チキソトロピー性付与剤とは、例えば、高せん断速度下では低粘度、低せん断速度下では高粘度となる性質を液体に付与できるものをいう。(b)成分を含有することで、本発明の衣料用液体賦香剤組成物が保存されても、本発明の課題を解決できる効果が維持できる。(b)成分のチキソトロピー性付与剤として、好ましくは結晶性の脂肪酸グリセリドが挙げられる。脂肪酸グリセリドについて結晶性とは、示差走査熱量測定での、30℃からの昇温時に吸熱ピークが検出される性質を有するものをいう。(b)成分は、界面活性剤と水とを含有する液体組成物にチキソトロピー性を付与する効果が高い点で、脂肪族アシル基中に水酸基を有する結晶性の脂肪酸グリセリドが好ましく、水素原子の1つ以上が水酸基で置換された炭素数14以上、18以下の脂肪族アシル基を有する結晶性の脂肪酸グリセリドがより好ましい。脂肪族アシル基中に水酸基を有することで、(b)成分同士の分子間水素結合により、(b)成分の結晶成長が促進される。また、脂肪酸グリセリドは最大で3つの脂肪族アシル基を有することが出来る。全脂肪酸グリセリドのアシル基の平均の数は、結晶形成が促進される点より1以上であり、好ましくは2以上であり、より好ましくは2.5以上である。結晶の保存安定性の点より、より更に好ましくは3である。また、脂肪酸グリセリドのよう素価は、より均一な結晶を生成することで、本発明の衣料用液体賦香剤組成物の低せん断時の粘度をより高める点で、5g-I2/100g以下であることが好ましく、4以下がより好ましく、3以下がより好ましく、2以下がより好ましい。よう素価はJIS K 0070:1992(化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法)に記載の方法に従って求めることが出来る。(b)成分としては、衣料用液体賦香剤組成物にチキソトロピー性を付与しやすい点で、硬化ヒマシ油又は水添ヒマシ油が好ましい。
(b)成分は少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
<(c)成分>
(c)成分は、アニオン界面活性剤〔(以下(c1)成分ともいう。〕及びノニオン界面活性剤〔(以下(c2)成分ともいう。〕から選ばれる1種以上の界面活性剤である。(c)成分は、(a)成分である香料マイクロカプセルの強度を制御することで、本発明の課題を解決することをさらに高める作用を有する。(c)成分は、(c1)成分が好ましい。本発明の衣料用液体賦香剤組成物は、(c)成分として(c1)成分を含有することが好ましい。
【0020】
(c1)成分は、アニオン界面活性剤である。(c1)成分のアニオン界面活性剤として、下記(c1-1)成分、(c1-2)成分、(c1-3)成分及び(c1-4)成分から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。(c)成分のアニオン界面活性剤を(b)成分と併用することで、(b)成分及び(c)成分の合計含有割合が高くても、本発明の課題を解決できる点で好ましい。
(c1-1)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(c1-2)成分:アルキレンオキシ基を有するポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(c1-3)成分:スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤
(c1-4)成分:脂肪酸又はその塩
【0021】
(c1-1)成分として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。衣料用液体賦香剤組成物の吐出性を高める観点から、(c1-1)成分は、アルキル基の炭素数が12以上18以下のアルキル硫酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましく、アルキル基の炭素数が12以上18以下のアルキル硫酸ナトリウムから選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤がより好ましい。
【0022】
(c1-2)成分として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下、アルキレンオキシド平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、及びアルケニル基の炭素数が10以上18以下、及びアルキレンオキシド平均付加モル数が1以上3以下のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。(a)成分の水への分散性がより高まる観点から、(c1-2)成分は、平均エチレンオキシド付加モル数が1以上2.2以下であるポリオキシエチレンアルキル硫酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が12以上14以下でかつ、平均エチレンオキシド付加モル数が1以上2.2以下であるポリオキシエチレンアルキル硫酸塩がより好ましく、さらに、これらのナトリウム塩が更に好ましい。
【0023】
(c1-3)成分であるスルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤とは、親水基としてスルホン酸塩を有するアニオン界面活性剤を表す。
(c1-3)成分として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルカンスルホン酸塩、α-オレフィン部分の炭素数が10以上18以下のα-オレフィンスルホン酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下のα-スルホ脂肪酸塩、及び脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下であり、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα-スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩、及び炭素数が12以上16以下の内部オレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。衣料用液体賦香剤組成物の吐出性を高める観点から、(c1-3)成分は、アルキル基の炭素数が11以上16以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、アルキル基の炭素数が11以上16以下のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0024】
(c1-4)成分である脂肪酸又はその塩としては、炭素数10以上20以下の脂肪酸又はその塩が挙げられる。(c1-4)成分の炭素数は、10以上であり、12以上が好ましく、14以上がより好ましく、そして20以下であり、18以下が好ましい。
【0025】
(c1-1)成分~(c1-4)成分であるアニオン界面活性剤の塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
【0026】
〔(c2)成分〕
(c2)成分は、ノニオン界面活性剤である。(c2)成分は、(a)成分である香料マイクロカプセルの強度を制御することで、本発明の課題を解決することをさらに高める作用を有する。
【0027】
(c2)成分としては、平均付加モル数が3モル以上50モルのポリオキシアルキレン基を有するノニオン界面活性剤が好ましい。
(c2)成分としては、下記一般式(c2)で表されるノニオン界面活性剤がより好ましい。
R1c-(CO)xO-(A’O)m-R2c (c2)
〔式中、R1cは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、A’Oは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基であり、xは0又は1の数であり、mはA’Oの平均付加モル数であり、3以上50以下の数であり、R2cは、水素原子又はメチル基である。〕
【0028】
一般式(c2)中のR1cの炭素数は、(a)成分による香りの強さをより向上出来る点で、10以上が好ましく、12以上がより好ましく、そして、16以下が好ましい。
また、一般式(c2)中のR2cの炭素数は、本発明の衣料用液体賦香剤組成物の(a)成分による香りの強さをより向上出来る点で、メチル基が好ましい。
また、一般式(c2)中のR1cの脂肪族炭化水素基としては、アルキル基及びアルケニル基から選ばれる脂肪族炭化水素基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
一般式(c2)中のxは、0又は1の数であり、(a)成分による香りの強さをより向上出来る点で0の数が好ましい。
一般式(c2)中のmは、A’Oの平均付加モル数であり、(a)成分による香りの強さをより向上出来る点で、4以上が好ましく、5以上がより好ましく、6以上が更に好ましく、7以上が更に好ましく、そして、45以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下が更に好ましく、30以下が更に好ましく、25以下が更に好ましく、20以下が更に好ましく、18以下が更に好ましく、16以下が更に好ましく、14以下が更に好ましく、12以下が更に好ましい。
A’Oは、炭素数2のアルキレンオキシ基及び炭素数3のアルキレンオキシ基から選ばれるアルキレンオキシ基である。A’Oは、例えば、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる1種以上の基が挙げられる。(a)成分による香りの強さをより向上出来る点で、A’Oが、エチレンオキシ基を含むアルキレンオキシ基であることが好ましい。A’Oはエチレンオキシ基が好ましい。
【0029】
<(d)成分>
(d)成分は、水酸基を有する有機溶剤である。
(d)成分は、一般的には、例えば、溶解剤として用いられている。本発明においては、本発明の課題を解決する観点で、衣料用液体賦香剤組成物中の(d)成分の含有量が制限される。(d)成分を使用する場合には、本発明の課題を解決する効果への影響を考慮して(d)成分の種類や使用量を選択することができる。
【0030】
(a)成分と併用しても、本発明の課題を解決する観点から、(d)成分は、CLogPが-2以上2以下の有機溶剤であることが好ましい。本発明においてCLogPはPerkin Elmer社のChem Dio Draw Ultra ver.14.0のChemPropertyを用いて算出した計算値を用いる。なお、ClogPの値が大きい程、疎水性が高いことを表す。
【0031】
(d)成分は、本発明の衣料用液体賦香剤組成物が保管されても、本発明の課題を解決できる観点から、CLogPが、好ましくは2以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.4以下、より更に好ましくは1.2以下、より更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.4以下、より更に好ましくは0.2以下、より更に好ましくは0未満、そして、好ましくは-2以上である。
【0032】
(d)成分は、下記(d1)~(d4)成分から選ばれる1種以上の有機溶剤が好ましい。
(d1)成分:炭素数2以上6以下の1価のアルコール
(d2)成分:炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコール
(d3)成分:炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤(但し、炭化水素基は芳香族基を除く。)
(d4)成分:部分的に置換していても良い芳香族基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤
以下に(d1)成分~(d4)成分の具体例を示す。尚( )内の数字は、Perkin Elmer社のChem Dio Draw Ultra ver.14.0のChemPropertyを用いて算出した各成分の計算値(CLogP)である。
【0033】
(d1)成分である、炭素数2以上6以下の1価のアルコールとして例えば、エタノール(-0.24)、1-プロパノール(0.29)、2-プロパノール(0.07)、フェノール(1.48)が挙げられる。
【0034】
(d2)成分である、炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコールとして例えば、エチレングリコール(-1.4)、プロピレングリコール(-1.1)、ブチレングリコール(-0.73)、ヘキシレングリコール(-0.02)、ジエチレングリコール(-1.3)、トリエチレングリコール(-1.5)、テトラエチレングリコール(-1.66)、ジプロピレングリコール(-0.69)、トリプロピレングリコール(-0.55)、グリセリン(-1.5)が挙げられる。
【0035】
(d3)成分である、炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤として例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(-0.78)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(-0.26)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(-0.96)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(-0.39)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(0.52)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.67)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(-0.16)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(0.23)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(-0.03)、1-メトキシ-2-プロパノール(-0.30)、1-エトキシ-2-プロパノール(0.09)、1-メチルグリセリンエーテル(-1.43)、2-メチルグリセリンエーテル(-0.73)、1,3-ジメチルグリセリンエーテル(-0.67)、1-エチルグリセリンエーテル(-1.04)、1,3-ジエチルグリセリンエーテル(0.11)、トリエチルグリセリンエーテル(0.83)、1-ペンチルグリセリルエーテル(0.54)、2-ペンチルグリセリルエーテル(1.25)、1-オクチルグリセリルエーテル(2.1)、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル(2.0)が挙げられる。
【0036】
(d4)成分である、部分的に置換していても良い芳香族基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤として例えば、2-フェノキシエタノール(1.2)、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(1.25)、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル(1.08)、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル(算出不可)、2-ベンジルオキシエタノール(1.1)、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル(0.96)が挙げられる。
【0037】
(d)成分は、前記の(d1)成分及び(d2)成分から選ばれる水酸基を有する有機溶剤であって、前記のClogPが-2以上0以下の有機溶剤が好ましい。
【0038】
本発明の衣料用液体賦香剤組成物中に含まれる全ての(d)成分において、前記(d3)成分と(d4)成分の合計の含有量と、(d1)成分と(d2)成分の合計の含有量の質量割合である、〔(d3)成分+(d4)成分〕/〔(d1)成分+(d2)成分〕が、本発明の課題を解決する効果をより高める観点から、0以上10以下であることが好ましい。〔(d3)成分+(d4)成分〕/〔(d1)成分+(d2)成分〕は、より好ましくは0以上、更に好ましくは0.1以上、そして、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である。
【0039】
<水>
本発明の衣料用液体賦香剤組成物は水を含有する。水としては、イオン交換水、純水、次亜塩素酸ナトリウムを有効塩素として0.1mg/kg以上5mg/kg以下含有する水が挙げられる。
【0040】
<衣料用液体賦香剤組成物>
本発明の衣料用液体賦香剤組成物は、(a)成分を、本発明の課題を解決できる観点から、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.15質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、そして、5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0041】
本発明の衣料用液体賦香剤組成物は、(b)成分を、本発明の課題を解決できる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0042】
本発明の衣料用液体賦香剤組成物は、(c)成分を、本発明の課題を解決できる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下含有する。
【0043】
本発明の衣料用液体賦香剤組成物中の(d)成分の含有量は、本発明の課題を解決できる観点から、30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下であり、より更に好ましくは8質量%以下である。(d)成分の含有量の下限値は0質量%以上である。本発明の衣料用液体賦香剤組成物中に(d)成分は含まなくても良い。
【0044】
本発明の衣料用液体賦香剤組成物には、下記(e1)~(e7)成分を配合しても良い。
(e1)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロースなどの再汚染防止剤及び分散剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下
(e2)過酸化水素、過炭酸ナトリウム又は過硼酸ナトリウム等の漂白剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下
(e3)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6-316700号の一般式(I-2)~(I-7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下、
(e4)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ及びリパーゼから選ばれる1種以上の酵素、好ましくはアミラーゼ及びプロテアーゼから選ばれる1種以上の酵素を組成物中0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、2質量%以下、好ましくは1質量%以下
(e5)蛍光染料、例えばチノパールCDS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料を組成物中0.001質量%以上1質量%以下
(e6)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を組成物中0.01質量%以上2質量%以下
(e7)色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤を適量。
【0045】
[容器]
本発明に係る容器は、開口面積が2mm2以上30mm2以下である吐出口を備えた容器である。本発明において、吐出口の開口面積とは、例えば、容器に充填された内容物が、容器から外部に吐出される際に最後に通過する吐出口の開口面積であってよい。容器としては、例えば特開2002-201488号公報に開示の口径を有する吐出口を備えた容器を使用することができる。また、容器は、前記開口面積を有する吐出器が装着された容器を用いることもできる。吐出器としては、例えば特開2009-120234号公報記載の吐出器を使用することができる。また、特表2012-505951の〔0066〕~〔0073〕に記載のポンプ容器において、吐出口の開口面積が1.0mm2以上15mm2以下のものを用いる事が出来る。本発明の課題を解決できる観点から、吐出口の開口面積は、2mm2以上であり、好ましくは5mm2以上であり、より好ましくは7mm2以上であり、そして、30mm2以下であり、好ましくは25mm2以下であり、より好ましくは20mm2以下である。本発明に係る容器としては、例えばポンプ容器、プッシュプル容器、スクイズ容器等が挙げられる。ポンプ容器が使い勝手から好ましい。
【0046】
本発明の衣料用液体賦香剤製品は、前記本発明の衣料用液体賦香剤組成物を、開口面積が2mm2以上30mm2以下である吐出口を備えた容器に充填してなるものである。本発明の衣料用液体賦香剤製品は、例えば洗濯機を用いて、容器から吐出させた衣料用液体賦香剤組成物で衣料を処理することで、衣料に香りづけを行うことができる。また、例えば、着用後の衣料を、洗濯機を用いて、本発明の衣料用液体賦香剤製品の容器から吐出させた衣料用液体賦香剤組成物で、通常の洗濯操作を行うことで、着用により付着した汚れを洗浄でき、より良い香りが付与できる、洗浄剤組成物として用いることができる。
【実施例】
【0047】
以下に本発明の効果を実施例により例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<(a)成分>
〔合成例1:(a-1)の合成〕
ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体(デモールEP、固形分25%、花王株式会社)1.7gを塩酸で中和後、更にイオン交換水で希釈することにより、固形分3%、pH4.3の水溶液を得た。次に、前記ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体水溶液100gに、表1の香料組成物を36g加え、ホモミキサーを用いて乳化し、これを50℃に昇温した。次に、部分メチロール化メラミン樹脂(商品名Cymel385、固形分80%、CytecIndustries Inc製)を12g、イオン交換水35gを混合した水溶液を滴下した。これを50℃で2時間保持し、さらに70℃で1時間保持し、さらに80℃で3時間保持し、封入を完了させた。その後、放冷することによって、平均粒径7μm、有効分30質量%のマイクロカプセルスラリーを得た。このマイクロカプセルスラリーの有効分が香料マイクロカプセルであり、それを(a-1)とした。組成物の調製にはマイクロカプセルスラリーの形態で用いた。
【0048】
【0049】
〔(a’)成分〕
(a’-1):表1に記載の香料組成物(非カプセル形態で配合)
【0050】
〔(b)成分〕
(b-1):硬化ヒマシ油(結晶性の脂肪酸グリセリド)
【0051】
〔(c)成分〕
(c-1):アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、ネオペレックスG-25)
【0052】
〔(d)成分〕
(d-1):2-フェノキシエタノール(CLogP=1.2)
(d-2):プロピレングリコール(CLogP=-1.1)
【0053】
〔水〕
イオン交換水
【0054】
〔容器〕
・容器1:SFFディスペンサーS(レック株式会社、吐出口の開口面積=16mm2)
・容器2(比較容器):UltraアタックNeo本体ボトル(花王株式会社の、吐出口の開口面積=154mm2)
【0055】
<衣料用液体賦香剤組成物の調製>
200mL容量のガラス製ビーカーに長さ5cmのテフロン(登録商標)製スターラーピースを投入し質量を測定した。衣料用液体賦香剤組成物の出来上がり質量が200gにするのに必要量のイオン交換水(25℃)を投入し、マグネチックスターラ―で撹拌しながら(b)成分、(c)成分、必要により(d)成分を投入した。次に、そのまま撹拌しながら(a)成分又は(a’)成分を滴下して加え、ビーカーの上面をサランラップ(登録商標)で封をした。その後30分撹拌した。次にサランラップと取り除き、再度、衣料用液体賦香剤が入ったビーカーの質量を測定し、出来上がり質量が200gになるようにイオン交換水を投入し、再度新しいサランラップ(登録商標)で封をし、1分撹拌し、衣料用液体賦香剤組成物を得た。
【0056】
<衣料用液体賦香剤製品の調製>
容器1又は容器2に、前記の衣料用液体賦香剤組成物150gを充填し、衣料用液体賦香剤製品を得た。
【0057】
得られた衣料用液体賦香剤製品を用いて以下の項目について評価を行った。結果を表2に示す。
【0058】
<表2:実施例1、比較例1、2の試験>
実施例1は、表2に記載の衣料用液体賦香剤組成物(組成物1)を容器1に充填した衣料用液体賦香剤製品であり、比較例1は、表2に記載の衣料用液体賦香剤組成物(組成物1)を容器2(比較容器)に充填した衣料用液体賦香剤製品であり、比較例2は、表2に記載の衣料用液体賦香剤組成物(比較組成物1)を容器1に充填した衣料用液体賦香剤製品である。実施例1又は比較例2は、ポンプの押し方を変え、10mLの内容物を50mLのガラスビーカー内に吐出する時間を5秒、10秒、20秒と変えた。比較例1はボトルから50mLのガラスビーカーに吐出する操作を行った。10秒で10mLを吐出した内容物が入ったガラスビーカーから香る香りの強さを基準として、10mLを吐出する時間を5秒又は20秒にした時の香りの強さを、香りの強さの評価に熟練した評価者が香りの強さを評価した。結果を表2に示す。
【0059】
【0060】
(a)成分として香料マイクロカプセル、及び本発明の範囲の吐出口の開口面積を有する容器1を使用した実施例1では、内容物10mLを10秒で吐出した吐出物から香る香りの強さを基準1とした時に、内容物10mLを5秒で製品から吐出した吐出物から香る香りは基準1よりも強く香り、内容物10mLを20秒で製品から吐出した吐出物から香る香りは基準1よりも弱く香った。実施例1を実施した使用者は、本発明の衣料用液体賦香剤製品の使い方を変えることで種々の強さの香りを楽しむことができた。
一方、前記の実施例1において容器1の代わりに、本発明の範囲外である吐出口の開口面積を有する容器2を用いた比較例1では、容器2の傾け方を変えて、内容物10mLを製品から吐出する時間を変えることで、使い方を変えても、製品から吐出された吐出物から香りの強さは基準2と同じであり、使用者は種々の香りを楽しむことができなかった。
また、実施例1において香料カプセルの代わりに非カプセル形態で香料組成物を用いた以外は実施例1と同様な試験を行った比較例2は、製品の使い方を変えても、製品から吐出される吐出物から香る香りの強さは同じであり、使用者は種々の香りを楽しむことができなかった。
【0061】
<表3:実施例2~4の試験>
組成物1、組成物2又は組成物3を容器1に充填した衣料用液体賦香剤製品を50℃の恒温室で72時間保管した後、25℃の部屋で24時間放置した後の製品を使用して、香りの強さの評価に熟練した評価者が、下記評価1、評価2を行い香りの強さの違いを評価した。
評価1:製品内の内容物10mLを10秒で吐出した吐出物から香る香りの強さ
評価2:製品内の内容物10mLを1秒で吐出した吐出物から香る香りの強さ
【0062】