IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】検出装置及び認証方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20230609BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230609BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230609BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20230609BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20230609BHJP
   A61B 5/1171 20160101ALI20230609BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20230609BHJP
   G06F 21/82 20130101ALI20230609BHJP
【FI】
G06F3/02 430
G06T1/00 400G
G06T1/00 400H
G06T7/00 530
G06T7/00 510E
G06F3/0354 443
A61B5/1172
A61B5/1171 100
G06F21/32
G06F21/82
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019027835
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020135396
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 正浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 昭雄
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-140019(JP,A)
【文献】特開2017-151508(JP,A)
【文献】特開2004-062826(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079001(WO,A1)
【文献】特表2017-506404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
G06T 1/00
G06T 7/00
G06F 3/0354
A61B 5/1172
A61B 5/1171
G06F 21/32
G06F 21/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作を受け付ける入力部と、
前記入力部に設けられて、前記ユーザが前記入力部を操作した際に前記ユーザの生体情報を検出するセンサ部と、
を有し、
前記センサ部として、第1センサ部と、前記第1センサ部よりも面積が大きい第2センサ部と、を有し、
前記第1センサ部に向けて光を照射する光源部と、前記第1センサ部と、前記入力部とが、この順で配置されており、
前記第2センサ部に向けて光を照射する光源部と、前記第2センサ部と、前記入力部とが、この順で配置されており、
前記第1センサ部と前記第2センサ部とは、前記ユーザの生体情報を検出する複数の検出部がマトリクス状に配置されており、
前記第1センサ部の前記検出部の少なくとも1つは、第1フォトダイオードと、前記第1フォトダイオードとは異なる波長領域に感度のピークを有する第2フォトダイオードと、を含む、
検出装置。
【請求項2】
取得した前記ユーザの生体情報に基づき、所定機能を実行するかを判断する制御部をさらに有する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ユーザによって前記所定機能の実行を要求する操作が前記入力部に入力された場合に、前記所定機能の実行を要求する操作がされた際の前記ユーザの生体情報を、前記センサ部から取得し、取得した前記ユーザの生体情報に基づき、前記所定機能を実行するかを判断する、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記所定機能を実行しないと判断した場合に、前記生体情報を検出した際に前記ユーザが操作した前記入力部に割り当てられた動作を実行せず、
前記所定機能を実行すると判断した場合に、前記生体情報を検出した際に前記ユーザが操作した前記入力部に割り当てられた動作を実行する、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記センサ部は、前記入力部としてのキーボード及びマウスの少なくとも一方に設けられる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記第1センサ部は、前記ユーザの指紋を検出し、前記第2センサ部は、前記ユーザの血管パターンを検出する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1センサ部は、アモルファスシリコンを含む半導体を備え、前記第2センサ部は、ポリシリコンを含む半導体を備える、請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記第1センサ部は、前記入力部としてのキーボードにおいて、前記ユーザに近い側に設けられ、前記第2センサ部は、前記キーボードにおいて、前記第1センサ部よりも前記ユーザから遠い側に設けられる、請求項6又は請求項7に記載の検出装置。
【請求項9】
前記第1センサ部は、前記入力部としてのマウスにおいて、前記ユーザが押圧するボタンに設けられ、前記第2センサ部は、前記マウスにおいて、前記ユーザの手のひらに近接する筐体部に設けられる、請求項6又は請求項7に記載の検出装置。
【請求項10】
ユーザの操作を受け付ける入力部と、前記入力部に設けられて、前記ユーザが前記入力部を操作した際に前記ユーザの生体情報を検出するセンサ部と、を有する検出装置を用いた前記ユーザの認証方法であって、
前記センサ部として、第1センサ部と、前記第1センサ部よりも面積が大きい第2センサ部と、を有し、
前記第1センサ部に向けて光を照射する光源部と、前記第1センサ部と、前記入力部とが、この順で配置されており、
前記第2センサ部に向けて光を照射する光源部と、前記第2センサ部と、前記入力部とが、この順で配置されており、
前記第1センサ部と前記第2センサ部とは、前記ユーザの生体情報を検出する複数の検出部がマトリクス状に配置されており、
前記第1センサ部の前記検出部の少なくとも1つは、第1フォトダイオードと、前記第1フォトダイオードとは異なる波長領域に感度のピークを有する第2フォトダイオードと、を含み、
前記センサ部が検出した前記ユーザの生体情報に基づき、予め定めた機能を実行するかを判断する、
認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスへのアクセスを制限するために、電子デバイスに認証システムが搭載されることがある。例えば特許文献1には、ユーザに認証させるためのディスプレイを表示する旨が記載されている。また、特許文献1には、電子デバイスのキーボードに認証用のセンサを設ける旨も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-117477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように認証させるためのディスプレイを表示する場合、ユーザは、電子デバイスを動作させるための認証のためだけの操作が必要となり、ユーザにとって手間となるおそれがある。従って、認証の手間を抑制することが求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、認証の手間を抑制することが可能な検出装置及び認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による検出装置は、ユーザの操作を受け付ける入力部と、前記入力部に設けられて、前記ユーザが前記入力部を操作した際に前記ユーザの生体情報を検出するセンサ部と、を有する。
【0007】
本発明の一態様による認証方法は、ユーザの操作を受け付ける入力部と、前記入力部に設けられて、前記ユーザが前記入力部を操作した際に前記ユーザの生体情報を検出するセンサ部と、を有する検出装置を用いた前記ユーザの認証方法であって、前記センサ部が検出した前記ユーザの生体情報に基づき、予め定めた機能を実行するかを判断する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る検出装置の模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係るキーボードの一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係る検出装置を示す回路図である。
図6図6は、第1実施形態に係る第1センサ部を示す等価回路図である。
図7図7は、第1実施形態に係る検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
図8図8は、第1実施形態に係る第1センサ部の部分検出領域を模式的に示す平面図である。
図9図9は、図8のIX-IX断面図である。
図10図10は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの、波長と光吸収係数との関係を模式的に示すグラフである。
図11図11は、駆動回路が有するスイッチング素子の概略断面構成を示す断面図である。
図12図12は、第1実施形態に係る第2センサ部を示す等価回路図である。
図13図13は、第2センサ部の部分検出領域の模式的な断面図である。
図14A図14Aは、ユーザ認証のフローを説明するフローチャートである。
図14B図14Bは、ユーザ認証のフローを説明するフローチャートである。
図15図15は、キーボードの他の例を示す図である。
図16図16は、マウスにセンサ部を設ける例を示す図である。
図17図17は、マウスとセンサ部との光源の配置の例を示す模式図である。
図18図18は、マウスとセンサ部との光源の配置の例を示す模式図である。
図19図19は、第2実施形態に係る検出装置の模式図である。
図20図20は、第2実施形態に係るキーボードの一例を示す図である。
図21図21は、第3実施形態に係る検出装置の模式図である。
図22図22は、第3実施形態に係る検出装置の模式図である。
図23図23は、第3実施形態に係る検出装置の模式図である。
図24図24は、第3実施形態に係る検出装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
(全体構成)
図1は、第1実施形態に係る検出装置の模式図である。第1実施形態に係る検出装置100は、入力部1によってユーザの操作を受け付けて、入力部1に入力されたユーザの操作に基づき所定の動作(処理)を実行する電子機器である。そして、検出装置100は、ユーザが入力部1を操作した際にユーザの生体情報を検出するセンサ部10(図2を参照)が、入力部1に備えられる。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係る検出装置100は、コンピュータであり、入力部1と、表示部5と、後述する制御部6及び記憶部8と、を有する。入力部1は、ユーザの操作を受け付ける入力装置であり、本実施形態では、キーボード2及びマウス4を備える。出力部としての表示部5は、画像を表示する表示装置である。なお、図1における検出装置100は、ラップトップ型のコンピュータであるが、それに限られず、デスクトップ型のコンピュータであってもよい。
【0012】
図2は、第1実施形態に係るキーボードの一例を示す図である。図2に示すように、キーボード2は、複数のボタン(キー)2Aと、操作部2Bと、筐体2Cと、を有する。筐体2Cは、キーボード2の本体部であり、表面に、複数のボタン2Aと操作部2Bとを備えている。以下、ボタン2Aの表面に沿った一方向を、方向Xとし、ボタン2Aの表面に沿った一方向であって方向Xに交差する一方向を、方向Yとする。さらに言えば、本実施形態では、方向Yは、方向Xに直交する。そして、ボタン2Aの表面に直交する方向、すなわち方向X、Yに直交する一方向を、方向Zとする。方向Zは、ボタン2Aの表面側に向かう方向である。
【0013】
ボタン2Aは、物理ボタンであり、方向X、Yにおいてマトリクス状に並んでいる。操作部2Bは、ユーザが操作部2Bの表面をなぞるように操作することで、表示部5に表示されるカーソルを動かすための操作盤である。操作部2Bは、複数のボタン2Aよりも方向Yと反対方向側に位置している。キーボード2において、方向Y側が、ユーザから遠い側であり、方向Yと反対側が、ユーザに近い側である。
【0014】
第1実施形態に係る検出装置100は、このように構成されるキーボード2に、ユーザの生体情報を検出するセンサ部10が設けられている。センサ部10は、キーボード2に複数設けられているが、センサ部10の数は任意であり1つであってもよい。
【0015】
より詳しくは、第1実施形態に係る検出装置100は、センサ部10として、第1センサ部10Aと、第2センサ部10Bとを有している。第1センサ部10Aは、ボタン2Aに設けられている。図2の例では、第1センサ部10Aは、複数のボタン2Aのうちの一部に設けられている。例えば、第1センサ部10Aは、左右の人差し指を配置する時間の長いFを入力するボタン2A、Jを入力するボタン2A、親指を配置する時間の長いスペースを入力するボタン2A、及び押す頻度の高いエンターを入力するボタン2A、コントロールボタン、Altボタンに設けられている。ただし、第1センサ部10Aが設けられるボタン2Aは、これに限られず任意である。例えば、第1センサ部10Aは、全てのボタン2Aに設けられてもよい。
【0016】
第2センサ10部Bは、領域2Dに設けられている。領域2Dは、筐体2Cの表面であって、ボタン2Aよりもユーザに近い側、すなわちボタン2Aよりも方向Yと反対側の領域である。より詳しくは、領域2Dは、操作部2Bの両側方、すなわち、操作部2Bの方向X側、及び操作部2Bの方向Xと反対側に位置している。すなわち、第2センサ部10Bは、ユーザがキーボード2を操作する際に、手のひらを接触させる箇所に設けられている。ただし、第2センサ部10Bが設けられる位置はこれに限られない。また、第2センサ部10Bは、設けられていなくてもよい。また、操作部2Bに第1センサ部10Aを組み込んだ構造であってもよい。
【0017】
第1センサ部10Aは、ユーザの生体情報を取得するセンサであり、第1実施形態においては、ユーザの指紋及びユーザの血管パターンを検出する。血管パターンとは、血管の像を指し、本実施形態では、静脈パターンである。また、第2センサ部10Bは、ユーザの手の血管パターンを検出するセンサである。第2センサ部10Bは、ユーザの指紋、あるいは、掌紋などを検出可能に構成されていてもよい。このように、センサ部10は、ユーザの生体情報として、指紋及び血管パターンを検出するが、指紋及び血管パターンの少なくとも1つを検出するものであってもよい。また、センサ部10は、指紋及び血管パターン以外の生体情報(例えば脈拍、脈波など)を検出するものであってもよい。センサ部10の構成については後述する。
【0018】
図3は、第1実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。図3は、入力部1と、センサ部10と、光源部110との積層構成を示している。光源部110と、センサ部10と、入力部1とは、方向Zに向かってこの順で並んで設けられる。なお、図3の例では、入力部1としてボタン2Aを示しているが、マウス4など他の入力部1にセンサ部10を設ける場合も、同様の積層構成となる。また、領域2Dにセンサ部10(第2センサ部10B)を設ける場合も、同様の積層構成となる。
【0019】
光源部110は、光を照射する光照射面110aを有し、光照射面110aから、検出装置100のセンサ部10に向けて光L1を照射する。光源部110は、バックライトである。光源部110は、光源として、例えば、所定の色の光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode))を有していてもよい。光源として、後述する絶縁基板21(図9参照)上に搭載されたマイクロLEDを用いてもよいまた、光源部110は、センサ部10に対応する位置に設けられた導光板と、導光板の一方端又は両端に並ぶ複数の光源とを有する、いわゆるサイドライト型のバックライトであってもよい。また、光源部110は、センサ部10の直下に設けられた光源(例えば、LED)を有する、いわゆる直下型のバックライトであっても良い。また、光源部110は、バックライトに限定されず、検出装置100の側方に設けられていてもよく、ユーザの指Fgの側方から光L1を照射してもよい。また、光源を用いず、自然光で検出するものであってもよい。
【0020】
センサ部10は、光源部110の光照射面110aと対向して設けられる。言い換えると、光源部110と入力部1との間に、センサ部10が設けられる。光源部110から照射された光L1は、センサ部10及び入力部1を透過する。センサ部10は、例えば、光反射型の生体情報センサであり、入力部1と空気との界面で反射した光L2を検出することで、指Fgや手のひらなどの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出できる。また、センサ部10は、指Fgや手のひらの内部で反射した光L2を検出することで、血管パターンを検出してもよいし、他の生体情報を検出してもよい。また、光源部110からの光L1の色は、検出対象に応じて異ならせてもよい。例えば、指紋検出の場合には、光源部110は青色又は緑色の光L1を照射し、血管パターン検出の場合には、光源部110は赤外光の光L1を照射することができる。
【0021】
センサ部10が設けられている入力部1は、センサ部10及び光源部110を覆うように構成される。この場合、入力部1は、透光性を有する部材で構成されており、例えば、透明樹脂などで構成されることが好ましい。ただし、センサ部10が設けられていない入力部1は、透光性を有していなくてもよい。なお、本実施形態では、センサ部10毎に光源部110が設けられているが、複数のセンサ部10に対して共通する1つの光源部110が設けられてもよい。
【0022】
図4は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、検出装置100は、制御部6と、記憶部8と、センサ部10と、検出制御部11と、電源回路13と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出部40とを有する。制御部6は、検出装置100に搭載される演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部6は、例えば、記憶部8からプログラムを読み出すことで、各種処理を実行する。記憶部8は、制御部6の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。なお、検出部40が有する信号処理部44、記憶部46、座標抽出部45の機能の一部、或いは全てを上述の制御部6と記憶部8とに担わせることも可能である。
【0023】
センサ部10は、光電変換素子である第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2の少なくとも一方を有する光センサである。センサ部10が有する第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGCLに従って検出を行う。
【0024】
検出制御部11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御部11は、選択信号SEL等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。電源回路13は、検出装置100に設けられる回路であり、電源信号SVS(図7参照)等の電圧信号をセンサ部10及びゲート線駆動回路15などに供給する。
【0025】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(図5参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数の第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を選択する。
【0026】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(図5参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、検出制御部11から供給される選択信号SELに基づいて、選択された信号線SGLと、検出回路である後述のAFE48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2の検出信号Vdetを検出部40に出力する。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。また、検出装置100は、光源駆動回路14を備えていてよい。光源駆動回路14は、検出制御部11からの信号に基づいて、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2を駆動する。光源駆動回路14は、検出制御部11からの信号に基づいて、光源部110を駆動して光源部110に光L1を照射させるものであってよい。
【0027】
検出部40は、AFE(Analog Front End;アナログフロントエンド回路)48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、を備える回路である。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、AFE(Analog Front End;アナログフロントエンド回路)48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、が同期して動作するように制御する。
【0028】
AFE48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、信号線選択回路16を介してセンサ部10から出力された検出信号Vdetを、増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号、すなわち増幅された検出信号Vdetを、デジタル信号に変換する。
【0029】
信号処理部44は、AFE48の出力信号、すなわちデジタル信号に変換された検出信号Vdetに基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指Fgや手のひらが入力部1に接触又は近づいた場合、制御部6からの指示を受けた場合に、AFE48からの検出信号Vdetに基づいて、指Fgの表面の凹凸(すなわち指紋)や、指Fgや手のひらの血管パターンを検出できる。なお、以下、特に断りがない場合は、指Fgや手のひらが入力部1に接触した場合、又は、指Fgや手のひらが生体情報を検出可能な程度に近い位置にある場合を、「近接」と記載する。
【0030】
記憶部46は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0031】
座標抽出部45は、信号処理部44において指Fgや手のひらの近接が検出されたときに、指Fg等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。座標抽出部45は、センサ部10の各第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2から出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fgの表面の凹凸(すなわち指紋)の形状や、指Fgや手のひらの血管パターンの形状を示す、二次元情報を生成する。この二元情報が、ユーザの生体情報であるといえる。なお、座標抽出部45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。この場合は、検出信号Vdetを、ユーザの生体情報と呼んでもよい。
【0032】
制御部6は、座標抽出部45が作成した二次元情報、すなわちセンサ部10が検出したユーザの生体情報を取得する。制御部6は、記憶部8から、予め記憶していた二次元情報、すなわち基準となる生体情報である基準生体情報を読み出す。そして、制御部6は、基準生体情報と、センサ部10が検出したユーザの生体情報とを照合して、センサ部10が検出したユーザの生体情報が基準生体情報と一致するかを判断する。すなわち、制御部6は、センサ部10が検出したユーザの生体情報を用いて、ユーザ認証を行う。制御部6は、センサ部10が検出したユーザの生体情報が基準生体情報と一致する場合、認証可として、検出装置100を制御して、所定機能を実行する。所定機能とは、例えばユーザが検出装置100に対して実行を要求している機能であり、例えば、検出装置100のプログラム(アプリケーション)の起動やウェブサイトへのアクセスなどが挙げられる。制御部6は、センサ部10が検出したユーザの生体情報が基準生体情報と一致しない場合は、認証不可として、所定機能を実行しない。なお、座標抽出部45が検出座標を算出しない場合は、制御部6が、検出信号Vdetから、指Fgの表面の凹凸(すなわち指紋)の形状や、指Fgや手のひらの血管パターンの形状を示す、二次元情報を生成する。
【0033】
(第1センサ部の構成)
次に、検出装置100の回路構成例及び動作例、さらに言えば第1センサ部10Aの構成について説明する。図5は、第1実施形態に係る検出装置を示す回路図である。図5は、センサ部10のうちの第1センサ部10Aを含む回路図を示しているが、第2センサ部10Bを含む回路図も、図5に示すものと同様であるため、共通する部分の説明は省略する。図6は、第1実施形態に係る第1センサ部を示す等価回路図である。図7は、第1実施形態に係る検出装置の動作例を表すタイミング波形図である。
【0034】
図5に示すように、第1センサ部10Aは、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。図6に示すように、第1センサ部10Aの部分検出領域PAAは、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2と、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネル型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0035】
第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及び容量素子Caの一端に接続される。第1フォトダイオードPD1のアノード電極35、第2フォトダイオードPD2のアノード電極55及び容量素子Caの他端は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。このように、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、第1スイッチング素子Trに、同方向に並列接続される。
【0036】
信号線SGLには、第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRが接続される。第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRは、第1スイッチング素子Trを駆動する駆動回路を構成する素子である。本実施形態において、駆動回路は、部分検出領域PAAと重畳しない周辺領域に設けられたゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及びリセット回路17等を含む。第3スイッチング素子TrSは、例えば、pチャネルトランジスタp-TrSとnチャネルトランジスタn-TrSとを組み合わせたCMOS(相補型MOS)トランジスタで構成される。第4スイッチング素子TrRも同様にCMOSトランジスタで構成される。
【0037】
リセット回路17の第4スイッチング素子TrRがオンになると、容量素子Caには、電源回路13から、容量素子Caの初期電位となる基準信号VR1が供給される。これにより、容量素子Caがリセットされる。部分検出領域PAAに光が照射されると、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2にはそれぞれ光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介してAFE48に接続される。これにより、検出装置100は、部分検出領域PAAごとに、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0038】
図5に示すように、ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。ゲート線GCLの数は8本であるが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、8本以上配列されていてもよい。
【0039】
なお、第1方向Dxは、センサ部10の絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、例えば、ゲート線GCLと平行な方向である。また、第2方向Dyは、絶縁基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、絶縁基板21に垂直な方向である。第3方向Dzは、上述の方向Zと一致する。
【0040】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAに接続される。また、複数の信号線SGL1、SGL2、…、SGL12は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。信号線SGLの数は12本であるが、あくまで一例であり、信号線SGLは、12本以上配列されていてもよい。また、図5では、信号線選択回路16とリセット回路17との間に第1センサ部10Aが設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0041】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、レベルシフタ151を介して受け取る。ゲート線駆動回路15は、複数の第2スイッチング素子TrG(図示は省略する)を有している。ゲート線駆動回路15は、第2スイッチング素子TrGの動作により、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLを介して、複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0042】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL1、SGL2、…、SGL6は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL7、SGL8、…、SGL12は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれAFE48に接続される。
【0043】
ここで、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6を第1信号線ブロックとし、信号線SGL7、SGL8、…、SGL12を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。具体的には、選択信号線Lsel1、Lsel2、…、Lsel6は、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6に対応する第3スイッチング素子TrSと接続される。また、選択信号線Lsel1は、信号線SGL1に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL7に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。選択信号線Lsel2は、信号線SGL2に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL8に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。
【0044】
検出制御部11(図4参照)は、レベルシフタ161を介して、選択信号SELを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックで同時に1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、検出装置100は、AFE48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。
【0045】
図5に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0046】
検出制御部11(図4参照)は、リセット信号RST2を、レベルシフタ171を介してリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路13(図4参照)は、基準信号VR1を基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Caに基準信号VR1が供給される。
【0047】
以上が、第1センサ部10Aに接続される回路の回路構成である。なお、以上の説明では、1つの第1センサ部10Aに対し、それぞれ、1つの検出制御部11、1つのゲート線駆動回路15、1つの信号線選択回路16、1つのリセット回路17、および1つの検出部40などの回路が設けられるように説明されているが、複数の第1センサ10部Aに対し、共通する1つの回路が設けられる構成であってよい。すなわち、この場合、複数の第1センサ部10Aに対し、1つのゲート線駆動回路15、1つの信号線選択回路16、1つのリセット回路17、および1つの検出部40などの回路が設けられていてもよい。
【0048】
次に、検出装置100の動作例について説明する。図7に示すように、検出装置100は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。電源回路13は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、電源信号SVSを第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に供給する。また、リセット期間Prstが開始する前の時刻に、検出制御部11は、高レベル電圧信号の基準信号VR1及びリセット信号RST2を、リセット回路17に供給する。検出制御部11は、ゲート線駆動回路15にスタート信号STVを供給し、リセット期間Prstが開始する。
【0049】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号VGCLをゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号VGCLは、高レベル電圧VGHと低レベル電圧VGLとを有するパルス状の波形を有する。図7の例では、256本のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256が順次供給される。
【0050】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準信号VR1が供給される。この結果、容量素子Caの容量がリセットされる。
【0051】
ゲート駆動信号VGCL256がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pexが開始する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex1、…、Pex256は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHから低レベル電圧VGLに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex1、…、Pex256は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号VGCLが低レベル電圧VGLから高レベル電圧VGHに変化したタイミングで終了する。露光期間Pex1、…、Pex256の露光時間の長さは等しい。
【0052】
露光期間Pexでは、各部分検出領域PAAで、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2に照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0053】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、検出制御部11は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号VGCL1、…、VGCL256を順次供給する。
【0054】
例えば、ゲート駆動信号VGCL1が高レベル電圧VGHの期間に、検出制御部11は、選択信号SEL1、…、SEL6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号VGCL1により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時にAFE48に接続される。この結果、検出信号VdetがAFE48に供給される。同様に、各ゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧VGHとなる期間ごとに、信号線選択回路16が順次信号線SGLを選択する。これにより、読み出し期間Pdetで、検出装置100は、全ての部分検出領域PAAの検出信号VdetをAFE48に出力することができる。
【0055】
検出装置100は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを、繰り返し実行して検出を行ってもよい。或いは、検出装置100は、指Fg等が入力部1に近接したことを検出したタイミングで、検出動作を開始してもよい。
【0056】
次に、第1センサ部10Aの詳細な構成について説明する。図8は、第1実施形態に係る第1センサ部の部分検出領域を模式的に示す平面図である。図9は、図8のIX-IX断面図である。なお、図8では、図面を見やすくするために、カソード電極34及びアノード電極35を二点鎖線で示している。
【0057】
なお、以下の説明において、絶縁基板21の表面に垂直な方向において、絶縁基板21から第1フォトダイオードPD1に向かう方向、すなわち第3方向Dz側を「上側」又は単に「上」とする。第1フォトダイオードPD1から絶縁基板21に向かう方向、すなわち第3方向Dzと反対方向側を「下側」又は単に「下」とする。また、「平面視」とは、絶縁基板21の表面に垂直な方向から見た場合を示す。
【0058】
図8に示すように、第1センサ部10Aの部分検出領域PAAは、複数のゲート線GCLと、複数の信号線SGLとで囲まれた領域である。第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trは、部分検出領域PAA、すなわち、複数のゲート線GCLと、複数の信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、例えば、PIN(Positive Intrinsic Negative Diode)型のフォトダイオードである。
【0059】
第1フォトダイオードPD1は、第1半導体層31と、カソード電極34と、アノード電極35とを含む。第1半導体層31は、第1部分半導体層31aと、第2部分半導体層31bとを含む。第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、アモルファスシリコン(a-Si)である。第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、第1方向Dxにおいて、間隔SPを有して隣り合って設けられる。カソード電極34及びアノード電極35は、第1部分半導体層31a、第2部分半導体層31b及び間隔SPと重なる領域に亘って連続して設けられる。なお、以下の説明において、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bを区別して説明する必要がない場合には、単に第1半導体層31と表す場合がある。
【0060】
第1フォトダイオードPD1は、第2フォトダイオードPD2と重なって設けられる。具体的には、第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31aは、第2フォトダイオードPD2と重なる。第2フォトダイオードPD2は、第2半導体層51と、カソード電極54と、アノード電極55とを含む。第2半導体層51は、ポリシリコンである。より好ましくは、第2半導体層51は、低温ポリシリコン(以下、LTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicone)と表す)である。
【0061】
第2半導体層51は、i領域52a、p領域52b及びn領域52cを有する。平面視で、i領域52aは、p領域52bとn領域52cとの間に配置される。具体的には、第1方向Dxにおいて、p領域52b、i領域52a、n領域52cの順に配置される。n領域52cは、ポリシリコンに不純物がドープされてn+領域を形成する。p領域52bは、ポリシリコンに不純物がドープされてp+領域を形成する。i領域52aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、p領域52b及びn領域52cよりも低い導電性を有する。
【0062】
第2半導体層51と、第1フォトダイオードPD1の第1部分半導体層31aとは、第1中継電極56及び第2中継電極57を介して接続される。本実施形態では、第1中継電極56のうち第2半導体層51と重なる部分が、カソード電極54として機能する。第2中継電極57のうち第2半導体層51と重なる部分が、アノード電極55として機能する。なお、第2半導体層51と、第1フォトダイオードPD1との詳細な接続構成については後述する。
【0063】
第1スイッチング素子Trは、第1フォトダイオードPD1の第2部分半導体層31bと重なる領域に設けられる。第1スイッチング素子Trは、第3半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63及びゲート電極64を有する。第3半導体層61は、第2半導体層51と同様にポリシリコンである。より好ましくは、第3半導体層61は、LTPSである。
【0064】
本実施形態では、第1中継電極56のうち第3半導体層61と重なる部分が、ソース電極62として機能する。信号線SGLのうち第3半導体層61と重なる部分が、ドレイン電極63して機能する。また、ゲート電極64は、ゲート線GCLから第2方向Dyに分岐して第3半導体層61と重なる。本実施形態では、2つのゲート電極64は第3半導体層61と重なって設けられた、いわゆるダブルゲート構造である。
【0065】
第1スイッチング素子Trは、第1中継電極56を介して、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54と接続される。また、第1スイッチング素子Trは、信号線SGLとも接続される。
【0066】
より具体的には、図9に示すように、第1スイッチング素子Trは、絶縁基板21に設けられている。絶縁基板21は、例えば透光性を有するガラス基板である。或いは、絶縁基板21は、透光性を有するポリイミド等の樹脂で構成された樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。第1センサ部10Aは、第1フォトダイオードPD1、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trが絶縁基板21の上に形成される。
【0067】
絶縁基板21の上に、遮光層67、68が設けられる。アンダーコート膜22は、遮光層67、68を覆って、絶縁基板21の上に設けられる。アンダーコート膜22、ゲート絶縁膜23、第1層間絶縁膜24は、無機絶縁膜であり、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等が用いられる。また、各無機絶縁膜は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0068】
第2半導体層51及び第3半導体層61は、アンダーコート膜22の上に設けられる。つまり、第2フォトダイオードPD2の第2半導体層51及び第1スイッチング素子Trの第3半導体層61は、同層に設けられる。また、第3方向Dzにおいて、第2半導体層51と絶縁基板21との間に遮光層67が設けられる。これにより、光源部110(図3参照)からの光L1が直接、第2フォトダイオードPD2に照射されることを抑制することができる。また、第3方向Dzにおいて、第3半導体層61と絶縁基板21との間に遮光層68が設けられる。これにより、第1スイッチング素子Trの光リーク電流を抑制することができる。
【0069】
第3半導体層61は、i領域61a、LDD(Lightly Doped Drain)領域61b及びn領域61cを含む。i領域61aは、それぞれゲート電極64と重なる領域に形成される。また、n領域61cは、高濃度不純物領域であり、ソース電極62及びドレイン電極63と接続される領域に形成される。LDD領域61bは、低濃度不純物領域であり、n領域61cとi領域61aとの間、及び2つのi領域61aの間に形成される。
【0070】
ゲート絶縁膜23は、第2半導体層51及び第3半導体層61を覆ってアンダーコート膜22の上に設けられる。ゲート電極64は、ゲート絶縁膜23の上に設けられる。つまり、第1スイッチング素子Trは、第3半導体層61の上側にゲート電極64が設けられた、いわゆるトップゲート構造である。ただし、第1スイッチング素子Trは、ゲート電極64が第3半導体層61の上側及び下側の両方に設けられた、いわゆるデュアルゲート構造であってもよいし、ゲート電極64が第3半導体層61の下側に設けられたボトムゲート構造でもよい。
【0071】
第1層間絶縁膜24は、ゲート電極64を覆ってゲート絶縁膜23の上に設けられる。第1層間絶縁膜24は、第2半導体層51の上側にも設けられる。第1中継電極56、第2中継電極57及び信号線SGLは、第1層間絶縁膜24の上に設けられる。第1スイッチング素子Trにおいて、ソース電極62(第1中継電極56)は、コンタクトホールH8を介して第3半導体層61と接続される。ドレイン電極63(信号線SGL)は、コンタクトホールH7を介して第3半導体層61と接続される。
【0072】
第2フォトダイオードPD2において、カソード電極54(第1中継電極56)は、コンタクトホールH6を介して第2半導体層51のn領域52cと接続される。これにより、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54は、第1スイッチング素子Trと接続される。また、アノード電極55(第2中継電極57)は、コンタクトホールH5を介して第2半導体層51のp領域52bと接続される。
【0073】
第2層間絶縁膜25は、第2フォトダイオードPD2及び第1スイッチング素子Trを覆って、第1層間絶縁膜24の上に設けられる。第2層間絶縁膜25は、有機膜であり、各種導電層で形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。なお、第2層間絶縁膜25は、上述した無機材料により形成してもよい。
【0074】
第1フォトダイオードPD1のアノード電極35は、バックプレーン19の第2層間絶縁膜25の上に設けられる。第1フォトダイオードPD1は、アノード電極35、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31b、カソード電極34の順に積層される。バックプレーン19は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板である。バックプレーン19は、絶縁基板21と、絶縁基板21に設けられた第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子TrG及び各種配線等を有する。
【0075】
第1部分半導体層31aは、i型半導体層32a、p型半導体層32b及びn型半導体層32cを含む。第2部分半導体層31bは、i型半導体層33a、p型半導体層33b及びn型半導体層33cを含む。i型半導体層32a、33a、p型半導体層32b、33b及びn型半導体層32c、33cは、光電変換素子の一具体例である。図9では、絶縁基板21の表面に垂直な方向(第3方向Dz)において、i型半導体層32a、33aは、p型半導体層32b、33bとn型半導体層32c、33cとの間に設けられる。本実施形態では、アノード電極35の上に、p型半導体層32b、33b、i型半導体層32a、33a及びn型半導体層32c、33cの順に積層されている。
【0076】
n型半導体層32c、33cは、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層32b、33bは、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層32a、33aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体層32c、33c及びp型半導体層32b、33bよりも低い導電性を有する。
【0077】
カソード電極34及びアノード電極35は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。カソード電極34は、電源信号SVSを光電変換層に供給するための電極である。アノード電極35は、検出信号Vdetを読み出すための電極である。
【0078】
アノード電極35は、第2層間絶縁膜25の上に設けられる。アノード電極35は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bに亘って連続して設けられる。アノード電極35は、第2層間絶縁膜25に設けられたコンタクトホールH4を介して第2中継電極57と接続される。
【0079】
第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bを覆って第3層間絶縁膜26が設けられる。第3層間絶縁膜26は有機膜であり、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bで形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。カソード電極34は、第3層間絶縁膜26の上に設けられる。カソード電極34は、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bの上に連続して設けられる。カソード電極34は、第3層間絶縁膜26に設けられたコンタクトホールH2、H1を介して第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bと接続される。これにより、第1部分半導体層31a及び第2部分半導体層31bは、アノード電極35とカソード電極34との間に並列に接続され、1つの光電変換素子として機能する。
【0080】
カソード電極34は、第1部分半導体層31aと第2部分半導体層31bとの間隔SPにおいて、コンタクトホールH3を介して第1中継電極56と接続される。コンタクトホールH3は、第2層間絶縁膜25及び第3層間絶縁膜26を第3方向Dzに貫通する貫通孔である。アノード電極35の、コンタクトホールH3と重なる部分には開口35aが設けられており、コンタクトホールH3は開口35aを通って形成される。このような構成により、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34及び第2フォトダイオードPD2のカソード電極54が、第1中継電極56を介して第1スイッチング素子Trに接続される。また、第1フォトダイオードPD1のアノード電極35と第2フォトダイオードPD2のアノード電極55とが、第2中継電極57を介して接続される。
【0081】
なお、図6に示す容量素子Caの容量は、間隔SPにおいて、第3層間絶縁膜26を介して対向するアノード電極55とカソード電極34との間に形成される。又は、第1フォトダイオードPD1の周縁の間隔SPaにおいて、第3層間絶縁膜26を介して対向するアノード電極55とカソード電極34との間に形成される。容量素子Caには、露光期間Pexでプラスの電荷が保持される。
【0082】
第1センサ部10Aは、以上のような構成となっている。すなわち、第1センサ部10Aは、アモルファスシリコンを含む第1半導体層31を有する第1フォトダイオードPD1と、ポリシリコンを含む第2半導体層51を有する第2フォトダイオードPD2とを有する。そして、第1センサ部10Aは、アモルファスシリコンを含む第1半導体層31とポリシリコンを含む第2半導体層51とが、すなわち第1フォトダイオードPD1と第2フォトダイオードPD2とが、第3方向Dzにおいて重なるように積層されている。ただし、第1センサ部10Aは、第1フォトダイオードPD1と第2フォトダイオードPD2とが、第3方向Dzにおいて積層されていなくてもよく、例えば同層に設けられていてもよい。
【0083】
次に、第1フォトダイオードPD1と第2フォトダイオードPD2との光吸収について説明する。図10は、第1フォトダイオード及び第2フォトダイオードの、波長と光吸収係数との関係を模式的に示すグラフである。図10の横軸は、波長を示し、縦軸は、光吸収係数を示す。光吸収係数は、物質中を進行する光の、吸収の程度を示す光学定数である。
【0084】
図10に示すように、アモルファスシリコンを含む第1フォトダイオードPD1は、可視光領域、例えば300nm以上800nm以下の波長領域で良好な光吸収係数を示す。一方、ポリシリコンを含む第2フォトダイオードPD2は、可視光領域から赤外領域を含む領域、例えば500nm以上1100nm以下の波長領域で良好な光吸収係数を示す。言い換えると、第1フォトダイオードPD1は、可視光領域で高い感度を有し、第2フォトダイオードPD2は、第1フォトダイオードPD1とは異なる波長領域である赤色の波長領域から赤外領域で高い感度を有する。
【0085】
本実施形態の第1センサ部10Aは、感度波長領域が異なる第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2が積層されている。このため、いずれか一方のフォトダイオードを有する構成に比べて、感度を有する波長領域を広げることができる。
【0086】
光L1(図3参照)は、間隔SP及び間隔SPaを通って検出装置100を透過する。指Fgで反射された光L2(図3参照)は、第1フォトダイオードPD1に入射する。また、光L2のうち、第1フォトダイオードPD1に吸収されない波長領域の光は、第1フォトダイオードPD1を透過して第2フォトダイオードPD2に入射する。例えば、指紋検出において、第1フォトダイオードPD1は青色又は緑色の光L2を良好に検出することができる。また、欠陥パターン検出において、赤外光の光L2は、第1フォトダイオードPD1に吸収されず、第2フォトダイオードPD2に入射する。これにより、第2フォトダイオードPD2は赤外光の光L2を良好に検出することができる。これにより第1センサ部10Aは、種々の生体に関する情報を検出することができる。
【0087】
また、第1層間絶縁膜24等の絶縁膜の帯電や不純物の影響で、第2フォトダイオードPD2のi領域52aがn型になった場合でも、i領域52aは、第1フォトダイオードPD1のカソード電極34で中性化される。このため、検出装置100は、光感度を向上させることができる。
【0088】
また、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2は、部分検出領域PAA、すなわち、複数のゲート線GCLと複数の信号線SGLとで囲まれた領域に設けられる。これによれば、第1フォトダイオードPD1及び第2フォトダイオードPD2のそれぞれに第1スイッチング素子Tr、ゲート線GCL及び信号線SGLを設けた場合に比べて、スイッチング素子の数及び配線の数を少なくすることができる。したがって、検出装置100は、検出の解像度を向上させることができる。
【0089】
次に、第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRについて説明する。図11は、駆動回路が有するスイッチング素子の概略断面構成を示す断面図である。図11は、駆動回路スイッチング素子として信号線選択回路16が有する第3スイッチング素子TrSについて説明する。ただし、図11の説明は、他の駆動回路が有するスイッチング素子にも適用できる。すなわち、ゲート線駆動回路15が有する第2スイッチング素子TrG及びリセット回路17が有する第4スイッチング素子TrRも図11と同様の構成を適用できる。
【0090】
図11に示すように、第3スイッチング素子TrSのnチャネルトランジスタn-TrSは、第4半導体層71、ソース電極72、ドレイン電極73及びゲート電極74を含む。また、pチャネルトランジスタp-TrSは、第5半導体層81、ソース電極82、ドレイン電極83及びゲート電極84を含む。第4半導体層71と絶縁基板21との間には、遮光層75が設けられ、第5半導体層81と絶縁基板21との間には、遮光層85が設けられる。
【0091】
第4半導体層71及び第5半導体層81は、いずれもポリシリコンである。より好ましくは、第4半導体層71及び第5半導体層81は、LTPSである。第4半導体層71は、i領域71a、LDD領域71b及びn領域61cを含む。また、第5半導体層81は、i領域81a及びp領域81bを含む。
【0092】
nチャネルトランジスタn-TrS及びpチャネルトランジスタp-TrSの層構成は、図9に示す第1スイッチング素子Trと同様である。すなわち、第4半導体層71及び第5半導体層81は、図9に示す第2半導体層51及び第3半導体層61と同層に設けられる。ゲート電極74及びゲート電極84は、図9に示すゲート電極64と同層に設けられる。ソース電極72、ドレイン電極73、ソース電極82及びドレイン電極83は、図9に示すソース電極62(第1中継電極56)、ドレイン電極63(信号線SGL)と同層に設けられる。
【0093】
このように、第1センサ部10Aにおいて、第1フォトダイオードPD1及び第1スイッチング素子Trと、第3スイッチング素子TrS等のスイッチング素子とが、同じ材料が用いられ同層に設けられる。これにより、検出装置100の製造工程が簡略化され、製造コストを抑制することができる。なお、第3スイッチング素子TrSは、CMOSトランジスタに限定されず、nチャネルトランジスタn-TrS又はpチャネルトランジスタp-TrSのいずれか一方で構成されていてもよい。ただし、第1センサ部10Aの材料や積層構造は、以上説明したものに限られない。
【0094】
(第2センサ部の構成)
次に、第2センサ部10Bの構成について説明する。第2センサ部10Bを含んだ回路構成は、図5に示す回路構成と同様であるため、説明を省略する。図12は、第1実施形態に係る第2センサ部を示す等価回路図である。図12に示すように、第2センサ部10Bは、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。図12に示すように、第2センサ部10Bの部分検出領域PAAは、第2フォトダイオードPD2と、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。第1スイッチング素子Trは、第2フォトダイオードPD2に対応して設けられる。第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、第2フォトダイオードPD2のカソード電極54及び容量素子Caの一端に接続される。第2フォトダイオードPD2のアノード電極55及び容量素子Caの他端は、基準電位、例えばグランド電位に接続される。すなわち、第2センサ部10Bは、第1センサ部10Aに対し、第1フォトダイオードPD1を含まない構成となっている。なお、第2センサ部10Bは、ユーザの指紋、あるいは、掌紋などを検出可能な構成であってもよい。この場合は、第2センサ部10Bは、例えば、第1センサ部10Aと同様の構成になってよい。
【0095】
図13は、第2センサ部の部分検出領域の模式的な断面図である。図13に示すように、第2センサ部10Bは、図9に示す第1センサ部10Aと同様に、絶縁基板21上に第1スイッチング素子Trが設けられている。ただし、第2センサ部10Bは、第1センサ部10Aと異なり、第1フォトダイオードPD1が設けられていない。そして、第2センサ部10Bは、第2フォトダイオードPD2が設けられる位置が、第1センサ部10Aとは異なる。第2センサ部10Bにおいて、第2フォトダイオードPD2は、第1スイッチング素子Trよりも上側、すなわち第3方向Dz側に設けられている。すなわち、第2フォトダイオードPD2のアノード電極35は、第2層間絶縁膜25の上に設けられる。第2フォトダイオードPD2は、アノード電極35、第2半導体層51、カソード電極34の順に積層される。第2半導体層51は、アノード電極35の上に、p領域52b、i領域52a、n領域52cの順に積層されている。アノード電極35は、第2層間絶縁膜25に設けられたコンタクトホールH4を介して、第1スイッチング素子Trのソース電極62に接続される。なお、第2センサ部10Bにおける第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRの積層構造は、図11と同様である。
【0096】
第2センサ部10Bは、以上のように、ポリシリコンを含む第2半導体層51を有する第2フォトダイオードPD2を備えるため、ユーザの血管パターンを好適に検出できる。ただし、第2センサ部10Bの材料や積層構造は、以上説明したものに限られない。
【0097】
なお、第1センサ部10Aがユーザの指紋を検出してユーザの血管パターンを検出しないセンサである場合、第1センサ部10Aは、第2フォトダイオードPD2を備えず第1フォトダイオードPD1を備えた構成となってよい。その場合、第1センサ部10Aの等価回路は、図12の第2フォトダイオードPD2を第1フォトダイオードPD1に置き換えたものとなり、第1センサ部10Aの積層構成は、図13において、第2フォトダイオードPD2を第1フォトダイオードPD1に置き換えたものとなることが好ましい。
【0098】
(認証フロー)
次に、以上のように構成されるセンサ部10を用いたユーザ認証のフローについて説明する。図14Aは、ユーザ認証のフローを説明するフローチャートである。図14Aに示すように、検出装置100は、制御部6により、所定機能の実行要求があるかを判断する(ステップS1)。ユーザは、センサ部10が設けられた入力部1を操作して、検出装置100に所定機能(検出装置100の起動、スリープ状態からの復帰、プログラムの起動、ウェブサイトへのアクセスなど)の実行を要求する。言い換えれば、センサ部10が設けられた入力部1には、ユーザからの所定機能の実行要求を受け付ける機能が割り当てられている場合がある。制御部6は、入力部1が操作された旨の情報を入力部1から取得して、その入力部1に、所定機能の実行要求を受け付ける機能が割り当てられているかを判断する。制御部6は、操作された入力部1に、所定機能の実行要求を受け付ける機能が割り当てられている場合に、所定機能の実行要求があると判断する。一方、制御部6は、操作された入力部1に、所定機能の実行要求を受け付ける機能が割り当てられていない場合には、所定機能の実行要求がないと判断する。
【0099】
所定機能の実行要求がある場合(ステップS1;Yes)、制御部6は、ユーザの生体情報を取得する(ステップS2)。より詳しくは、制御部6は、所定機能の実行要求の操作がされた際のユーザの生体情報を、センサ部10から取得する。センサ部10は、所定機能の実行要求を受け付ける入力部1に近接がある場合、すなわちその入力部1をユーザが操作した場合に、ユーザの生体情報を検出する。具体的には、センサ部10は、入力部1に近接しているユーザの指Fgや手のひらに反射された光L2に応じた検出信号Vdetを、信号線選択回路16(図4参照)を介して検出部40(図4参照)に出力する。そして、検出部40は、座標抽出部45によって、検出信号Vdetに基づき、ユーザの生体情報(ここでは指紋や血管パターンの二次元情報)を生成し、制御部6にこの生体情報を出力する。このように、所定機能の実行要求を受け付け、かつセンサ部10が設けられている入力部1に、所定機能の実行要求の操作がある場合に、制御部6は、その実行要求の操作がされた際のユーザの生体情報を、センサ部10から取得する。所定機能の実行要求が無い場合(ステップS1;No)、ステップS1に戻り、所定機能の実行要求の受け付けを続ける。なお、センサ部10は、所定機能の実行要求があることをトリガとして駆動開始してもよいし、常時駆動していてもよい。
【0100】
ユーザの生体情報を取得したら、制御部6は、ユーザの生体情報と基準生体情報とを照合して(ステップS3)、ユーザの生体情報と基準生体情報とが一致しているかを判断する(ステップS4)。具体的には、制御部6は、記憶部8から、予め記憶された基準となる生体情報である基準生体情報を読み出す。基準生体情報は、例えば所定機能の利用が許可されるユーザの生体情報(ここでは指紋や血管パターンの二次元情報)として、予め記憶されたものである。制御部6は、ユーザの生体情報と基準生体情報とを照合して、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致するかを判断する。例えば、制御部6は、ユーザの生体情報と基準生体情報とをパターン照合して、特徴点の類似度が所定の度合い以上であれば、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致すると判断し、類似度が所定の度合い未満であれば、ユーザの生体情報が基準生体情報に一致しないと判断してよい。なお、ユーザの生体情報と基準生体情報とは、周知の技術を用いて照合してよい。
【0101】
ユーザの生体情報と基準生体情報とが一致していると判断した場合(ステップS4;Yes)、制御部6は、認証可として、検出装置100を制御して、実行要求がされた所定機能を実行する(ステップS5)。また、ユーザの生体情報と基準生体情報とが一致していないと判断した場合(ステップS4;No)、制御部6は、認証不可として、所定機能を実行しない(ステップS6)。以上説明したステップS5、ステップS6により本処理は終了するが、例えば認証不可となってステップS6に進んだ場合でも、ステップS2に戻り、ユーザの近接があれば再度認証処理を続けてもよい。また、認証可となってステップS5を実行した後でも、ステップS2に戻り、所定時間毎に認証処理を続けてもよい。
【0102】
このように、本実施形態に係る検出装置100は、ユーザが所定機能の実行を要求する操作をした際の生体情報に基づき認証を行い、認証可であれば、所定機能を実行する。すなわち、この検出装置100は、所定機能の実行を要求する操作のみに基づき、認証動作と、所定機能の実行動作とを行う。従って、検出装置100によると、認証のためだけの操作が不要となり、所定機能の実行要求の動作(例えばアプリケーションの起動動作)を行うだけで、認証と共に所定機能を実行することが可能となり、認証の手間を抑制することができる。
【0103】
また、検出装置100は、以下の図14Bに示すように、ユーザが入力部1を操作した場合に、認証処理を行って所定機能を実行することに加え、その入力部1に割り当てられた動作も実行してよい。図14Bは、ユーザ認証のフローを説明するフローチャートである。
【0104】
図14Bに示すように、検出装置100は、センサ部10が設けられた入力部1に近接する物体があるかを検出する(ステップS10)。すなわち、検出装置100は、センサ部10が設けられた入力部1に、ユーザの指Fgや手のひらが近接したかを検出する。例えば、検出装置100は、センサ部10を常時駆動しておき、入力部1で反射した光L2(図3参照)を検出して、センサ部10によって、入力部1にユーザの指Fgや手のひらが近接したかを検出する。例えば、検出装置100は、制御部6(図4参照)が、センサ部10が検出した光L2の情報を取得して、その光L2の情報に基づき、入力部1にユーザの指Fgや手のひらが近接したかを判断してよい。この場合、制御部6は、例えば、光L2の強度、ここではセンサ部10が出力する検出信号Vdetが所定の閾値以上である場合、入力部1にユーザの指Fgや手のひらが近接したと判断し、光L2の強度が閾値未満である場合、入力部1にユーザの指Fgや手のひらが近接していないと判断する。また、ユーザは、入力部1のセンサ部10が設けられたキーを押すことで、検出装置100に例えば文字入力を行う。制御部6は、ユーザがキーを押すことでユーザの近接を認識するものであってもよい。
【0105】
センサ部10が設けられた入力部1に近接があると判断した場合(ステップS10;Yes)、検出装置100は、ユーザの生体情報を取得する(ステップS12)。すなわち、近接が検出された入力部1に設けられたセンサ部10は、ユーザがその入力部1を操作した際のユーザの生体情報を検出する。そして、制御部6は、そのセンサ部10から、入力部1を操作した際のユーザの生体情報を取得する。ステップS10においてセンサ部10が設けられた入力部1に近接がないと判断された場合(ステップS10;No)、ステップS10に戻り近接検出を続ける。
【0106】
ユーザの生体情報を取得したら、検出装置100は、制御部6により、ユーザの生体情報と基準生体情報とを照合して(ステップS14)、ユーザの生体情報と基準生体情報とが一致しているかを判断する(ステップS16)。ユーザの生体情報と基準生体情報とが一致していると判断した場合(ステップS16;Yes)、制御部6は、検出装置100を制御して、予め定めた所定機能を実行する(ステップS18)。ここでの所定機能は、予め設定された機能であってよい。すなわち、所定機能は、ユーザが入力部1を操作した場合に実行する機能として、検出装置100に予め設定されていてもよい。ただし、所定機能は、ユーザが操作によって実行を要求した機能であってもよい。
【0107】
さらに、制御部6は、ユーザの生体情報と基準生体情報とが一致していると判断した場合、言い換えれば所定機能を実行すると判断した場合、所定機能の実行に加え、近接が検出された入力部1に割り当てられた動作を実行する(ステップS20)。言い換えれば、近接が検出された入力部1に割り当てられた動作とは、ステップS18で実行した所定機能(例えば起動したプログラム)において、センサ部10が生体情報を検出した際にユーザが操作した入力部1に対して、割り当てられた動作である。例えば、所定機能がプログラムの起動であり、入力部1としてエンターキーが操作された場合、検出装置100は、起動したプログラムにおいて、近接が検出されたエンターキーに割り当てられた動作として、エンターキーへの入力に対応する処理を実行する。このように、検出装置100は、センサ部10が設けられた入力部1をユーザが操作した場合、その入力部1へのユーザの近接を検出して、その入力部1に設けられたセンサ部10によりユーザの生体情報を検出して、制御部6によりユーザの生体情報と基準生体情報との照合を行う。検出装置100は、ユーザの生体情報と基準生体情報との照合とが一致した場合、所定機能の実行に加え、その入力部1への入力を受け付け、その入力部1に割り当てられた動作も実行する。
【0108】
また、ユーザの生体情報と基準生体情報とが一致していないと判断した場合(ステップS16;No)、制御部6は、所定機能を実行せず、かつ、近接が検出された入力部1に割り当てられた動作を実行しない(ステップS22)。すなわち、制御部6は、所定機能を実行しないと判断した場合に、近接が検出された入力部1に割り当てられた動作を実行しない。
【0109】
以上説明したように、第1実施形態に係る検出装置100は、ユーザの操作を受け付ける入力部1と、入力部1に設けられて、ユーザが入力部1を操作した際にユーザの生体情報を検出するセンサ部10とを有する。この検出装置100は、センサ部10が、ユーザが入力部1を操作した際に、ユーザの生体情報を検出する。従って、この検出装置100によると、検出装置100を動作させるための操作(例えば所定機能の実行要求操作)をユーザが行うだけで、生体情報による認証を行うことができる。そのため、この検出装置100によると、ユーザによるパスワード入力や、指紋認証画面におけるユーザ操作など、認証のためだけの操作が不要になり、認証の手間を抑制することができる。
【0110】
また、検出装置100は、センサ部10が検出したユーザの生体情報に基づき、所定機能を実行するかを判断する制御部6を有する。制御部6は、ユーザによって所定機能の実行を要求する操作が入力部1に入力された場合に、所定機能の実行を要求する操作がされた際のユーザの生体情報をセンサ部10から取得し、取得したユーザの生体情報に基づき、所定機能を実行するかを判断する。この検出装置100は、制御部6を有するため、認証を適切に行うことができる。さらに言えば、検出装置100によると、認証のためだけのユーザの操作が不要となり、所定機能の実行要求の動作を行うだけで、認証と共に所定機能を実行することが可能となり、認証の手間を抑制することができる。なお、検出装置100は、制御部6を備えなくてもよい。この場合、例えば、検出装置100は、センサ部10が検出したユーザの生体情報を、制御部6を備えた別の装置(外部サーバなど)に送信し、この別の装置が、制御部6により認証を行い、認証の結果を検出装置100に送信してよい。
【0111】
また、制御部6は、所定機能を実行しないと判断した場合、すなわちユーザの生体情報と基準生体情報とが一致しないと判断した場合に、生体情報を検出した際にユーザが操作した入力部1に割り当てられた動作を実行しない。また、制御部6は、所定機能を実行すると判断した場合に、生体情報を検出した際にユーザが操作した入力部1に割り当てられた動作を実行する.この検出装置100は、認証可の場合に、所定機能を実行すると共に、その所定機能において入力部1に割り当てられた動作を実行する。すなわち、この検出装置100は、ユーザの入力部1への操作により、認証を行って所定機能を実行するだけでなく、所定機能における動作も行うため、認証のためだけの操作が不要になり、認証の手間を抑制することができる。
【0112】
また、第1実施形態においては、センサ部10として、ユーザの指紋を検出する第1センサ部10Aと、ユーザの血管パターンを検出する第2センサ部10Bと、を有する。このように第1センサ部10Aと第2センサ部10Bとを備えることで、複数種類の生体情報から認証を行う事が可能となり、認証の精度を高くすることができる。例えば、検出装置100は、第1センサ部10Aが取得したユーザの生体情報(指紋)が基準生体情報(基準生体情報における指紋)と一致し、かつ、第2センサ部10Bが取得したユーザの生体情報(血管パターン)が基準生体情報(基準生体情報における血管パターン)と一致した場合に、認証可として、所定機能を実行してもよい。また、検出装置100は、第1センサ部10Aが取得したユーザの生体情報と第2センサ部10Bが取得したユーザの生体情報とのうちの、いずれか一方を取得して、その取得した一方の生体情報が基準生体情報と一致した場合に、認証可として、所定機能を実行してもよい。検出装置100は、その後に、第1センサ部10Aが取得したユーザの生体情報と第2センサ部10Bが取得したユーザの生体情報とのうちの、他方を取得して、その他方の生体情報が基準生体情報と一致しない場合、所定機能の実行を中断してもよい。
【0113】
また、第1センサ部10Aは、アモルファスシリコンを含む半導体(第1半導体層31)を備え、第2センサ部10Bは、ポリシリコンを含む半導体(第2半導体層51)を備える。従って、この検出装置100は、ユーザの指紋と血管パターンとを好適に検出できる。
【0114】
なお、図2の例では、キーボード2のボタン2Aに第1センサ部10Aを設け、手のひらが近接する領域2Dに第2センサ部10Bを設けていた。これにより、ユーザが指Fgで操作するボタン2Aの第1センサ部10Aにより指紋を好適に検出し、手のひらが近接する領域2Dに第2センサ部10Bにより血管パターンを好適に検出できる。ただし、第1センサ部10A及び第2センサ部10Bの位置は、これに限られない。図15は、キーボードの他の例を示す図である。図15の例では、ボタン2A1に第1センサ部10Aを設け、ボタン2A2に第2センサ部10Bを設けている。さらに言えば、第1センサ部10Aが設けられるボタン2A1よりもユーザから遠い側、すなわち方向Y側のボタン2A2に、第2センサ部10Bを設けている。図15の例では、FとJとを入力するボタン2Aを、第1センサ部10Aを設けるボタン2A1とし、RとUとを入力するボタン2Aを、第2センサ部10Bを設けるボタン2A2としているが、それに限られない。なお、図15においては、第1センサ部10Aは、血管パターンを検出せずに指紋を検出するセンサであることが好ましいが、血管パターンと指紋との両方を検出するセンサであってよい。
【0115】
このように、検出装置100は、ユーザに近い側のボタン2A1に第1センサ部10Aを設け、ボタン2A1よりもユーザから遠い側のボタン2A2に第2センサ部10Bを設けてもよい。ここで、血管パターンを検出する場合は、指紋を検出する場合よりも、指Fgの接触面積を広くとることが好ましい。ボタン2A2は、ボタン2A1より遠い側にあるため、ユーザがボタン2A2を操作する際には、指先でなく指の腹をボタン2A2に接触させる傾向があり、ボタン2A2と指Fgとの接触面積が広くなる。従って、このように第1センサ部10Aと第2センサ部10Bとを配置することで、血管パターンと指紋とを好適に検出できる。なお、ボタン2A1とボタン2A2のそれぞれに第1センサ部10Aと第2センサ部10Bとを設け、ユーザの入力部1の使用パターンやユーザの手の大きさ等に応じて適宜それらを使い分けることも可能である。また、押されたボタンで指紋や血管パターンを検出するのではなく、押されたボタンに隣接するボタンに設けられたセンサ部10を用いて、指紋や血管パターンを検出するものであってもよい。具体的には、R、Uのボタン2A2よりも更にユーザより離れた「5」「7」のボタン2A3が押された際に、R、U、F、Jに設けられたセンサ部を駆動することで指紋或いは血管パターンを検出するものであってもよい。以上は一例であり、入力部1の大きさ、入力部1のキーの配列、ユーザによるキーの使用頻度等に応じてセンサ部を設けるキーを適宜変更可能である。また、テンキーの使用頻度が高い場合はテンキーに設けることも可能である。本実施形態では、ユーザからの距離の相違によって検出する生体情報の種類、検出する生体情報位置を異ならせることを特徴とする。
【0116】
また、検出装置100は、キーボード2にセンサ部10を設けることに限られず、他の入力部1、例えばマウス4にセンサ部10を設けてもよい。また、検出装置100は、キーボード2とマウス4との両方にセンサ部10を設けてもよい。すなわち、検出装置100は、入力部1としてのキーボード2及びマウス4の少なくとも一方に、センサ部10を設けてよい。
【0117】
図16は、マウスにセンサ部を設ける例を示す図である。図16に示すように、マウス4は、筐体部4Aと、ボタン4Bとを有する。筐体部4Aは、マウス4の本体であり、内部に各種機器を備えている。ボタン4Bは、筐体部4Aの先端部分に設けられており、ユーザのクリック操作を受け付ける。また、ユーザは、筐体部4Aを把持して動かすことで、表示部5に表示させるカーソルを動かすことができる。
【0118】
図16の例では、このようなマウス4に、センサ部10が設けられる。より詳しくは、ボタン4Bに、第1センサ部10Aが設けられ、筐体部4Aの表面4Aaに、第2センサ部10Bが設けられる。筐体部4Aの表面4Aaは、ボタン4Bよりもマウス4の後端側に設けられる。従って、ユーザがマウス4を操作する場合、手のひらが筐体部4Aの表面4Aaに近接し、ユーザの指Fgがボタン4Bに近接する。このように、ユーザが押圧するボタン4Bに第1センサ部10Aを設け、ユーザの手のひらに近接する筐体部4Aに第2センサ部10Bを設けることで、血管パターンと指紋とを好適に検出できる。
【0119】
また、マウス4が光学マウスである場合、センサ部10の光源部とマウス4の光源部とを共通化することができる。図17及び図18は、マウスとセンサ部との光源の配置の例を示す模式図である。図17は、マウス4が光源部を有しセンサ部10が光源部を有さない場合の例である。図17の例では、マウス4は、筐体部4Aの内部に、光源部4Cと受光部4Dとを備える。図17の例では、センサ部10用の光源部110が設けられていない。マウス4は、筐体部4Aの底面4Abが接触面Gに接触しており、底面4Abには、光源部4Cからの光L0を接触面Gに照射するための開口4Acが設けられている。光源部4Cから照射された光L0は、開口4Acを通って接触面Gで反射して、光L1として、受光部4Dに照射される。受光部4Dに照射された光L1により、マウス4の移動量及び移動方向が検出される。また、光L1は、センサ部10にも照射され、センサ部10は、この光L1により、生体情報を検出できる。
【0120】
図18は、マウス4が光源部を有さずセンサ部10が光源部110を有する場合の例である。図18の例では、マウス4は、筐体部4Aの内部に、受光部4Dを備える。光源部110から照射された光L1は、センサ部10に照射され、センサ部10は、この光L1により生体情報を検出する。また、図18の例では、光源部110は、光L1が接触面Gにも向けて照射されるよう構成される。従って、光源部110からの光L1は、接触面Gで反射して、光L3として、受光部4Dに照射される。受光部4Dに照射された光L3により、マウス4の移動量及び移動方向が検出される。以上示した実施形態において、パソコン等の端末でユーザの認証を行う場合、ユーザがキーボードで文字を入力する等の作業を行いながらユーザの認証を行うことが可能となる。そのため、認証のための別段の操作を行わなくてもよい。また、ユーザがキーボードを操作している期間に亘って、或いは所定の間隔毎にユーザの認証が可能となる。また、同一の検出装置100(端末)を複数のユーザが共有する場合、ユーザが変更するたびに認証が必要となるが、本実施形態では、ユーザによる何かしらの入力やマウスの操作と同時に、ユーザの変更を検出装置100が認識することとなり、ユーザの利便性が向上する。
【0121】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る検出装置100aは、金融取引を行う装置である点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0122】
図19は、第2実施形態に係る検出装置の模式図である。図19に示すように、検出装置100aは、現金の出入金を行う事が可能な装置であり、例えば、金融機関などに設置される現金自動預払機(ATM;Automated Teller Machine)や、コンビニエンスストア等に設置される現金を取り扱う複合機などである。検出装置100aは、入力部1aとしてのキーボード2aと、表示部5aと、カード投入部200と、紙幣処理部202とを有する。また、図示は省略するが、検出装置100aは、第1実施形態の検出装置100と同様に、生体情報を検出するための各種回路(検出制御部11や検出部40など)を有する。カード投入部200は、キャッシュカード等のカードを用いる取引において、カードの挿入と排出とを行うよう構成される。また、カード投入部200は、取引終了時に発行するレシートを排出する。紙幣処理部202は、入金及び出金取引の際に、紙幣の受け渡しを行う。
【0123】
また、検出装置100aは、ネットワーク210を介して、外部機器であるサーバ220に接続されており、サーバ220と情報の送受信を行う。サーバ220は、第1実施形態の制御部6と同様の機能を実行する制御部6aと、記憶部8aと、を有している。
【0124】
図20は、第2実施形態に係るキーボードの一例を示す図である。キーボード2aは、複数のボタン2Aaを有しており、ボタン2Aaに、センサ部10が設けられている。ここでのセンサ部10は、第1センサ部10Aであることが好ましいが、第2センサ部10Bであってもよい。
【0125】
ユーザがボタン2Aaを操作すると、センサ部10がユーザの生体情報を検出する。センサ部10が検出したユーザの生体情報は、ネットワーク210を介してサーバ220に送信され、サーバ220の制御部6aは、第1実施形態の制御部6と同様に、記憶部8aから基準生体情報を読み出し、基準生体情報とユーザの生体情報とを照合することで、認証を行う。基準生体情報とユーザの生体情報とが一致した場合、サーバ220の制御部6aは、ネットワーク210を介してその旨の情報を検出装置100aに伝達する。検出装置100aは、所定機能(例えば入金や出金の手続き)を開始する。また、検出装置100aは、所定機能を開始しつつ、操作されたボタン2Aaに割り当てられた動作(例えば数値入力)を実行する。
【0126】
このように、検出装置100aは、金融取引を行う装置、入退室を制御する装置等であって、キーボード等のユーザーインターフェースを有し、ユーザの生体認証を行うことで所定の処理を行うシステムに適用することで、認証のためだけの操作が不要になり、認証の手間を抑制することができる。
【0127】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る検出装置100bは、センサ部10が設けられている位置が第1実施形態とは異なり、また、表示部と入力部が一体となったタッチパネル型のコンピュータ、いわゆるタブレット型の端末である点で、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0128】
図21から図24は、第3実施形態に係る検出装置の模式図である。図21に示すように、第3実施形態に係る検出装置100bは、入力部1bと表示部5bとが積層されて一体として構成されたタッチパネルが、筐体部230の表面230Aに設けられている、タブレット型のコンピュータである。また、図示は省略するが、検出装置100bは、第1実施形態の検出装置100と同様に、生体情報を検出するための各種回路(検出制御部11や検出部40など)を有する。なお、ここでは、検出装置100bは、矩形であり、長辺に沿った方向を方向Xとし、短辺に沿った方向を方向Yとし、表面230Aに直交する方向を方向Zとする。
【0129】
図22及び図23に示すように、第3実施形態においては、センサ部10は、筐体部230の裏面230Bに設けられている。裏面230Bは、タッチパネルが設けられる表面230Aの反対側の面である。すなわち、センサ部10は、入力部1bと表示部5bとが設けられていない領域に設けられる。センサ部10は、例えば図22に示すように、裏面230Bの方向Yにおける一方の端部側と他方の端部側に設けられてよい。また、センサ部10は、裏面230Bの方向Yにおける一方の端部側と他方の端部側のそれぞれにおいて、方向Xに沿って複数設けられてよい。そして、方向Xに沿って並ぶセンサ部10のうちの一方を第1センサ部10Aとし、他方を第2センサ部10Bとしてもよい。このように設けることで、ユーザが検出装置100bを把持した際に触れる位置にセンサ部10が設けられることとなり、ユーザの生体情報を好適に検出できる。ただし、センサ部10が設けられる位置は図22の例に限られず、例えば図23のように、裏面230Bの任意の位置に設けられてもよい。また、センサ部10は、裏面230Bに限られず、検出装置100bの側面や、表面230Aにおいて入力部1bと表示部5bとが設けられない額縁領域に設けられてもよい。タブレット型端末は、商品管理業務等の場面において、複数の端末を複数のユーザが共有する場合がある。本実施形態によると、ユーザと端末との関連を常時把握することが可能となり、表示する画面を端末ごとに効率的に切り替えることが可能となる。また、ユーザが常時使用する端末では、手での保持性を高めるため、端末筐体の側面から裏面にかけて指の形状に合わせた支持部材を設ける場合がある。この場合、センサ部10を支持部材の指が接触する部分に設けることで、ユーザがセンサ部10を意識することなく認証が可能となる。また、図24に示すように、タブレット端末である検出装置100bに接続されたペン入力手段240の表面に、センサ部10を設けることも可能である。この場合、第1センサ部10Aを、第2センサ部10Bよりも、ペン入力手段240の先端側に配置することが好ましい。ペン入力手段240の先端とは、ペン入力手段240で画面をタッチする部分である。
【0130】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0131】
1 入力部
2 キーボード
2A ボタン
4 マウス
6 制御部
10 センサ部
10A 第1センサ部
10B 第2センサ部
100 検出装置
PD1 第1フォトダイオード
PD2 第2フォトダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24