(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】スイッチ部材
(51)【国際特許分類】
H01H 13/12 20060101AFI20230609BHJP
H01H 13/48 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H01H13/12
H01H13/48
(21)【出願番号】P 2019038702
(22)【出願日】2019-03-04
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真輔
(72)【発明者】
【氏名】三浦 充紀
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-76488(JP,A)
【文献】特開2018-6007(JP,A)
【文献】特開2017-204456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舌片を有する中央部と、中央部から外方向に突出する複数の脚と、を有するドーム形状の接点ばねと、
接点ばねの中央部及び複数の脚を上方から覆うカバーと
、を備え
、
前記カバーには、
前記舌片と対向する位置に第1の凹部が設けられ
ると共に前記接点ばねの中央部が収容される円形の中央部スペースと、複数の脚がそれぞれ収容される溝状の脚スペースと、が設けられているスイッチ部材。
【請求項2】
舌片を有する中央部と、中央部から外方向に突出する複数の脚と、を有するドーム形状の接点ばねと、
接点ばねの中央部及び複数の脚を上方から覆うカバーと、
カバーの上方に配置される押下可能なキャップと、を備え、
前記カバーには、舌片と対向する位置に孔部が設けられ、
前記キャップには、舌片と対向する位置に第2の凹部が設けられているスイッチ部材。
【請求項3】
前記舌片は、接点ばねの中央部の一部を切り起こして形成された先端に上向きの屈曲部を有する弾性片からなる請求項1又は2に記載のスイッチ部材。
【請求項4】
前記舌片は、接点ばねの弾性変形に伴う舌片の沈み込みによって屈曲部の少なくとも一部が接点ばねの中央部から上方に突出する請求項3に記載のスイッチ部材。
【請求項5】
前記接点ばねの下方にシートスイッチが配置され、接点ばねの弾性変形時に舌片がシートスイッチの接点部分を押圧する請求項1に記載のスイッチ部材。
【請求項6】
前記カバーは前記接点ばねを収容する収容スペースを備え、収容スペースには接点ばねの中央部に設けられる舌片とほぼ対向する位置に前記孔部が設けられる請求項2に記載のスイッチ部材。
【請求項7】
前記キャップは上面と下面とを有し、下面側には接点ばねの中央部に設けられる舌片とほぼ対向する位置に突起が設けられ、この突起の先端に前記第2の凹部が設けられる請求項
2に記載のスイッチ部材。
【請求項8】
前記キャップは上面と下面とを有し、下面側には接点ばねの中央部に設けられる舌片とほぼ対向する位置に突起が設けられ、この突起の先端に前記第2の凹部が設けられると共に、カバーには前記突起の先端に形成された第2の凹部に対応した位置に孔部が設けられる請求項
2に記載のスイッチ部材。
【請求項9】
前記接点ばねの中央部から外方向に突出する複数の脚は、複数の第1脚と、隣接する2つの第1脚の間に設けられる複数の第2脚とを有し、第1脚の先端部までの長さが第2脚の先端部までの長さより長い請求項1又は2に記載のスイッチ部材。
【請求項10】
前記少なくとも一つの第2脚の先端部が、前記カバーによって保持されている請求項
9に記載のスイッチ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーム形状の接点ばねを用いて構成されるスイッチ部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プッシュスイッチは、基板と、基板に形成される接点電極と、接点電極に接触させて導通を図る導電性の接点ばねとを備え、前記接点ばねを押圧して弾性変形させることによって接点電極との導通を図るようになっている(特許文献1)。
【0003】
前記接点ばねは一般的にドーム状に形成されており、このドームの中央を押圧することによって、接点電極との接触及び非接触を繰り返し行う。このような接触及び非接触によるクリック動作を円滑に行うため、接点ばねの中央部を切り欠いた舌状の接点片(舌片)が形成される場合がある。特許文献2には、前記舌片の動きを円滑にするため、舌片の外周部に大きな環状部分が設けられた接点ばねを備えたスイッチ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-204456号公報
【文献】特開2017-076488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2にあっては、舌片の外周部が大きな環状部分となっているため、舌片の動きが自由となるが、接点ばねを過度に押圧した際に、舌片の跳ね返りが大きくなって被押圧領域をカバーしているカバーやキャップ等に接触する場合がある。このように、舌片を有した従来のプッシュスイッチにあっては、跳ね返りによる舌片の逃げ場がないため、却って押圧操作性を悪化させるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、接点ばねに設けられる舌片の動きを妨げないようにすることで、押圧の操作性及び静音性を向上させたスイッチ部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスイッチ部材は、舌片を有する中央部と、中央部から外方向に突出する複数の脚と、を有するドーム形状の接点ばねと、接点ばねの中央部及び複数の脚を上方から覆うカバーと、カバーの上方に配置される押下可能なキャップと、を備え、前記カバーには、舌片と対向する位置に第1の凹部が設けられ、前記キャップには、舌片と対向する位置に第2の凹部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスイッチ部材によれば、接点ばねを押圧した際、その弾性変形によって舌片が上方に突出するが、この突出をカバーに設けた第1の凹部によって収容することができる。これによって、舌片の動きが妨げられることがないので、押圧操作を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチ部材を2方向(a),(b)から見た断面図である。
【
図3】(a)は接点ばねとカバーとの関係を示す斜視図、(b)は接点ばねをカバーで覆った時の斜視図である。
【
図4】(a)は第1実施形態に係るスイッチ部材を押下する前の断面図、(b)は押下した時の断面図である。
【
図5】第2実施形態のスイッチ部材の断面図である。
【
図6】上記スイッチ部材を用いて構成されたプッシュスイッチの断面図である。
【
図7】上記プッシュスイッチの上面側からの分解斜視図である。
【
図8】上記プッシュスイッチの下面側からの分解斜視図である。
【
図9】(a)は第2実施形態に係るスイッチ部材をキャップによって押下する前の断面図、(b)は押下した時の断面図である。
【
図10】(a)はLEDを設けたカバーの底面図、(b)はLEDを設けたカバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るスイッチ部材の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面は、スイッチ部材を模式的に表したものである。これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略させることがあり、同一部材には同一符号を付与することがある。
【0011】
図1乃至
図4は本発明の第1実施形態のスイッチ部材11aを示したものである。このスイッチ部材11aは、
図1に示すシートスイッチ15上に配置される接点ばね12と、この接点ばね12を覆うカバー13とで構成されている。
【0012】
前記接点ばね12は、
図2に示されるように、円形状又は矩形状の中央部17と、中央部17の外周縁から外方向に突出する複数の脚とでドーム形状に形成され、複数の脚によって中央部17を弾性可能に支持している。接点ばね12は、導電性を有する弾性金属材料によって形成されている。前記中央部17の中心部分には、三辺の内周縁17b,17c,17dを有する略矩形状の開口部17aが設けられ、この開口部17aの残りの一辺17eには中央部17の一部を切り起こした舌片21が設けられている。この舌片21は、前記開口部17aの対辺の内周縁17cに向けて斜め下方に延びるスティク状の弾性片からなり、前記開口部17aの一辺17eから中央部17と同一面上に延びる先細状の基部21aと、基部21aの先端から斜め下方に延びる傾斜部21bと、先端から上向きに屈曲する屈曲部21cを有する。
【0013】
前記舌片21は、
図4(b)に示されるように、カバー13で被覆された接点ばね12の中央部17を押下した際、接点ばね12の弾性変形によって押し下げられ、屈曲部21cがシートスイッチ15を押圧することで一対の接点電極19を導通させる。なお、前記中央部17には開口部17aの周囲4箇所に楕円孔17fが設けられ、弾性ばね12の弾性変形を容易にしている。
【0014】
前記脚は、
図2及び
図3に示されるように、接点ばね12の中央部17の外周縁から外方向に突出する4本の第1脚18aと、中央部17の外周縁から外方向に突出する4本の第2脚18bとで構成され、第1脚18aと第2脚18bとがそれぞれ交互に配列されている。第1脚18aは、いずれも斜め下方に延びる足の長い脚からなり、
図1(a)に示されるように、先端がシートスイッチ15上に接地されて接点ばね12を支える。一方、第2脚18bは、ほぼ水平方向に延びる、第1脚18aより足の短い脚からなり、
図1(b)に示されるように、第2脚18bの水平な先端部18cがカバー13に保持されている。
【0015】
前記カバー13は、ポリイミド又はフタルアミド等の柔軟性を有する樹脂材によって形成されている。
図3に示されるように、カバー13は所定の厚みを有する略矩形状のもので、前記接点ばね12より平面形状が大きい。カバー13は、接点ばね12の中央部17、複数の第1脚18a及び第2脚18bを収容する収容スペースを下面側に有している。この収容スペースは、接点ばね12の形状にほぼ対応しており、中央部17が収容されるほぼ円形の中央部スペース13aと、第1脚18aが収容される長い溝状の第1脚スペース13bと、第2脚18bが収容される短い溝状の第2脚スペース13cとを有する。第2脚スペース13cの一部である先端側には、
図1(b)及び
図4に示されるように、第2脚18bの先端部18cが挿入される収容空間を有する収容部13dが設けられている。前記第2脚18bの先端部18cは、収容部13dの収容空間内に延びている。前記収容部13dは、収容空間を形成する上壁部13fと下壁部13gとを有し、前記第2脚18bの先端部18cが上壁部13fと下壁部13gとの間で移動するようになっている。前記下壁部13gは、シートスイッチ15の上面に接している。カバー13は、前記収容スペース部分の厚みが薄く形成されており、
図1に示されるように、接点ばね12を上方から覆った時に、接点ばね12の中央部17のドーム状の上面に沿うように膨らむ。また、第2脚18bの先端部18cが第2脚スペース13cの収容部13dに保持されることで、スイッチ組立時にはカバー13と接点ばね12を一体に取り扱うことができる。
【0016】
また、前記カバー13の中央部分には第1の凹部13eが設けられている。この第1の凹部13eは、カバー13で接点ばね12を上方から覆った時に、接点ばね12の中央部17に設けられた舌片21とほぼ対向する位置に設けられている。この第1の凹部13eの形状は、一例では舌片21の周囲の開口部17aとほぼ同じ大きさの円孔である。この第1の凹部13eは、接点ばね12の弾性変形に伴う舌片21の反り返りや上方への跳ね返りなどによって、先端の屈曲部21cが中央部17から上方に突出するような場合に、その突出部分が接触しないように侵入させる役割を有している。
【0017】
図4(a)に示されるように、接点ばね12を押下する前では、接点ばね12がドーム形状を維持した状態で、カバー13の内側上面に付勢されている。このとき、接点ばね12の第2脚18bは、収容部13dの上壁部13f側に位置している。そして、矢印方向に押下すると、カバー13に被覆されている接点ばね12は、
図4(b)に示されるように、中央部17がカバー13と共に押し下げられて弾性変形する。このとき、前記第2脚18bは収容部13dの下壁部13g側に移動して当接する。このように、前記第2脚18bが第2脚スペース13cの収容部13d内で上下移動するだけであって、直接シートスイッチ15に接触することがないので、接点ばね12が弾性変形する際の接触音を抑えることができる。これによって、スイッチング時における静音性を得ることができる。そして、中央部17の弾性変形によって舌片21が一緒に押し下げられ、基部21a及び傾斜部21bが弾性変形し、先端の屈曲部21cで上シート15aを押圧することによって、一対の接点電極19が接触してスイッチがONとなる。このとき、前記屈曲部21cは、舌片21が押し下げられたことによる反り返りや接点電極19に接触した時の反動による上方への跳ね返りなどで、接点ばね12の中央部17から上方に突出することがある。本実施形態では、カバー13の前記舌片21と対向する位置に、第1の凹部13eを設けているので、接点ばね12の中央部17から上方に突出した舌片21の屈曲部21cを前記カバー13の第1の凹部13e内に侵入させることができる。これによって、舌片21がカバー13に引っ掛かることがなく、接点ばね12の弾性変形の動きが自由となり、押下操作をスムーズに行うことができる。また、前記接点ばね12が第2脚18bの先端部18cと、舌片21との2段階で押下されるので、第1段階では舌片21がシートスイッチ15に接触せず、第2段階で舌片21をシートスイッチ15に接触させることができる。これによって、ストロークを稼げると共に、良好なクリック感が得られる。なお、第1段の押下においては、接点ばね12の弾性変形に伴って第2脚18bの先端部18cが下方に移動し下壁部13gに当接させてもよい。
【0018】
押下を解除すると、舌片21がシートスイッチ15から離れ、弾性変形した接点ばね12の中央部17が元のドーム形状に戻る。その際にも、舌片21がカバー13に引っ掛かることがないので、戻り動作がスムーズである。このようにして、スイッチのON/OFF操作を確実かつ快適に行うことができる。
【0019】
図5はカバー13の第1の凹部13eを孔部13hに置き換えた第2実施形態のスイッチ部材11bの断面構成を示したものである。前記孔部13hは、カバー13で接点ばね12を上方から覆った時に、接点ばね12の中央部17に設けられた舌片21とほぼ対向する位置に設けられている。この孔部13hの形状は、一例では舌片21の周囲の開口部17aとほぼ同じ大きさの円孔である。この孔部13hは、接点ばね12の弾性変形に伴う舌片21の反り返りや上方への跳ね返りなどによって、先端の屈曲部21cが中央部17から上方に突出した場合に貫通できるようになっている。
【0020】
図6乃至
図9には上記
図5に示したスイッチ部材11bを用いたプッシュスイッチ10が示されている。このプッシュスイッチ10は、主にパソコン等のキーボードに採用されるパンタグラフ式のキースイッチの一例である。その構成は、シートスイッチ15、シートスイッチ15上に配置される一対のリンク部材16とからなるベース部20と、ベース部20上に配置されるスイッチ部材11bと、スイッチ部材11b上に配置される押下可能なキャップ14とによって構成されている。
【0021】
前記シートスイッチ15は、
図9に示されるように、スペーサ15cを介して対向配置される上シート15aと下シート15bとによって形成されている。前記上シート15a及び下シート15bには、それぞれの中央部に接点部分となる一対の接点電極19が対向するように形成されている。この接点電極19は、
図9(b)に示されるように、前記押圧部11を押圧することによって、互いに接触して導通が図られる。
【0022】
前記リンク部材16は、結合ピン16cを介して互いに回動可能な第1アーム16aと第2アーム16bとで構成されている。前記第1アーム16a及び第2アーム16bには、それぞれの下端及び上端に下部係合ピン16d及び上部係合ピン16eが設けられている。前記下部結合ピン16dは、シートスイッチ15側に設けられる下部係合孔15dに係合され、上部結合ピン16eはキャップ14側に設けられる上部係合孔14eに係合される。このリンク部材16の動きによって、接点ばね12で付勢されるキャップ14の上下方向の動きをガイドすることができる。
【0023】
前記キャップ14は、上面14aと下面14bとを有する平面形状が矩形の樹脂材からなり、前記カバー13の上方に配置され、リンク部材16を介して押下可能である。キャップ14の下面14b側には、接点ばね12側に突出する突起14cが設けられている。この突起14cはキャップ14のほぼ中央部分に設けられており、キャップ14を組付けた時に接点ばね12の中央部17に設けられた舌片21及びカバー13の中央部分に設けられた孔部13hとほぼ対向する位置にある。突起14aの形状は例えば円柱形状であり、その先端に第2の凹部14dが設けられている。この第2の凹部14dの形状は、一例では舌片21の周囲に設けられる開口部17aとほぼ同じ大きさの円形である。また、第2の凹部14dの深さは特に限定されないが、接点ばね12の弾性変形に伴う舌片21の反り返りや上方への跳ね返りなどによって孔部13hを貫通した舌片21の屈曲部21cを収容できる深さが必要である。なお、キャップ14の上面は平坦面となっており、所定のスイッチ表示が印刷等される。
【0024】
図9(a)に示されるように、キャップ14を押下する前では、接点ばね12がドーム形状を維持した状態で、カバー13の内側上面に付勢されている。このとき、接点ばね12の第2脚18bは、収容部13dの上壁部13f側に位置している。そして、キャップ14を矢印方向に押圧すると、カバー13に被覆されている接点ばね12は、
図9(b)に示されるように、中央部17がカバー13と共に押し下げられて弾性変形する。このとき、前記第2脚18bは収容部13dの下壁部13g側に移動して当接する。このように、前記第2脚18bが第2脚スペース13cの収容部13d内で上下移動することによって、接点ばね12が弾性変形する際の接触音を抑えることができる。これによって、スイッチング時における静音性を得ることができる。そして、中央部17の弾性変形によって舌片21が一緒に押し下げられ、基部21a及び傾斜部21bが弾性変形し、先端の屈曲部21cで上シート15aを押圧することによって、一対の接点電極19が接触してスイッチがONとなる。このとき、前記屈曲部21cは、舌片21が押し下げられたことによる反り返りや接点電極19に接触した時の反動による上方への跳ね返りなどで、接点ばね12の中央部17から上方に突出するおそれがある。本実施形態では、キャップ14の前記舌片21と対向する位置に、第2の凹部14dを設けているので、接点ばね12の中央部17から上方に舌片21の屈曲部21cが突出した場合に、前記カバー13の孔部13hを通してキャップ14の第2の凹部14d内に侵入させることができる。そのため、舌片21がカバー13やその上に配置されるキャップ14に引っ掛かることがなく、接点ばね12の弾性変形の動きが自由となり、押下操作をスムーズに行うことができる。
【0025】
押下を解除すると、前記舌片21がシートスイッチ15から離れ、弾性変形した接点ばね12の中央部17がリンク部材16にガイドされながら元のドーム形状に戻る。その際にも、前記舌片21がカバー13やキャップ14に引っ掛かることがないので、戻り動作がスムーズである。このようにして、スイッチのON/OFF操作を確実かつ快適に行うことができる。
【0026】
図10(a),(b)はカバー13を透光性有する樹脂部材によって形成し、その一部にLED22を配置したものである。前記LED22から発せられた光がカバー13内を導光することによって、接点ばね12の中央部17を明るく照明することができる。このLED22は、舌片21がシートスイッチの接点電極に接触することによって発光するようにすることで、スイッチのON/OFFを目視で確認することができる。なお、前記LED22の位置は任意に設定することができ、発光輝度に応じて複数設けることができる。
【0027】
以上説明したように、接点ばね12の第2脚18bの少なくとも先端部がカバー13に設けられた収容スペースに収容されていることで、接点ばね12の弾性変形に伴って発する音を小さく抑えることができる。これによって、静音性が向上する。また、接点ばね12に弾性変形を加えた際における舌片21の動きを自由にする凹部や孔部をカバー及びキャップの少なくともいずれかに設けることによって、スイッチングの確実性や快適性を得ることが可能となった。また、接点ばねの舌片が凹部や孔部内で自由となることで、静音性も得ることができる。なお、前記凹部や孔部を広く、あるいは、カバーやキャップを吸音効果のある材質とすることで、さらに静音性を高めることができる。
【符号の説明】
【0028】
10 プッシュスイッチ
11a スイッチ部材(第1実施形態)
11b スイッチ部材(第2実施形態)
12 接点ばね
13 カバー
13a 中央部スペース(収容スペース)
13b 第1脚スペース(収容スペース)
13c 第2脚スペース(収容スペース)
13d 収容部
13e 第1の凹部(凹部)
13f 上壁部
13g 下壁部
13h 孔部
14 キャップ
14a 上面
14b 下面
14c 突起
14d 第2の凹部(凹部)
14e 上部係合孔
15 シートスイッチ
15a 上シート
15b 下シート
15c スペーサ
15d 下部係合孔
16 リンク部材
16a 第1アーム
16b 第2アーム
16c 結合ピン
16d 下部係合ピン
16e 上部係合ピン
17 中央部
17a 開口部
17b,17c,17d 内周縁
17e 開口部の残りの一辺
17f 楕円孔
18a 第1脚(脚)
18b 第2脚(脚)
18c 先端部
19 接点電極
20 ベース部
21 舌片
21a 基部
21b 傾斜部
21c 屈曲部
22 LED