(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】表示装置のリペアシステム
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230609BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230609BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20230609BHJP
H01L 33/38 20100101ALI20230609BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20230609BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20230609BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
G09F9/00 352
G09F9/00 346A
G09F9/30 349Z
G09F9/33
H01L33/38
H01L33/62
H05B3/00 310C
H05K3/00 Q
(21)【出願番号】P 2019135528
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅延
(72)【発明者】
【氏名】小川 耀博
(72)【発明者】
【氏名】青木 義典
(72)【発明者】
【氏名】金谷 康弘
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-261335(JP,A)
【文献】特開2019-078685(JP,A)
【文献】特開2018-006530(JP,A)
【文献】特開2018-060993(JP,A)
【文献】国際公開第2018/112267(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102466787(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0320137(US,A1)
【文献】特開2010-256614(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1937871(CN,A)
【文献】特開2018-158569(JP,A)
【文献】特開2002-328628(JP,A)
【文献】特開2011-023703(JP,A)
【文献】国際公開第00/016411(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109917259(CN,A)
【文献】韓国登録特許第1953645(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L33/00-33/64
H05B1/00-3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板と、前記アレイ基板に配列された複数の無機発光素子とを有する表示装置のリペアシステムであって、
複数の前記無機発光素子を挟んで前記アレイ基板と対向する検査用基板と、
前記検査用基板の、前記アレイ基板と対向する面に設けられ、複数の前記無機発光素子と電気的に接続される検査用電極と、
前記検査用基板を複数の前記無機発光素子に向けて加圧するプレス装置と、
複数の前記無機発光素子のそれぞれの点灯状態を判断する制御回路と
、
前記検査用基板に設けられた発熱抵抗体と、
前記制御回路からの制御信号に基づいて、前記発熱抵抗体に発熱用駆動信号を供給するヒータ電源と、を有する
表示装置のリペアシステム。
【請求項2】
アレイ基板と、前記アレイ基板に配列された複数の無機発光素子とを有する表示装置のリペアシステムであって、
複数の前記無機発光素子を挟んで前記アレイ基板と対向する検査用基板と、
前記検査用基板の、前記アレイ基板と対向する面に設けられ、複数の前記無機発光素子と電気的に接続される検査用電極と、
前記検査用基板を複数の前記無機発光素子に向けて加圧するプレス装置と、
複数の前記無機発光素子のそれぞれの点灯状態を判断する制御回路と、
前記制御回路からの制御信号に基づいて、前記検査用電極に発熱用駆動信号を供給するヒータ電源と、を有する
表示装置のリペアシステム。
【請求項3】
前記プレス装置が前記検査用基板を加圧しつつ、前記ヒータ電源からの前記発熱用駆動信号により前記無機発光素子が加熱される
請求項
1又は請求項
2に記載の表示装置のリペアシステム。
【請求項4】
前記検査用電極は、表示領域と重なる領域及び周辺領域と重なる領域に亘って設けられ、
前記周辺領域での前記検査用電極と前記検査用基板との間の高さは、前記表示領域での前記検査用電極と前記検査用基板との間の高さよりも高い
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の表示装置のリペアシステム。
【請求項5】
アレイ基板と、前記アレイ基板に配列された複数の無機発光素子とを有する表示装置のリペアシステムであって、
複数の前記無機発光素子を挟んで前記アレイ基板と対向する検査用基板と、
前記検査用基板の、前記アレイ基板と対向する面に設けられ、複数の前記無機発光素子と電気的に接続される検査用電極と、
前記検査用基板を複数の前記無機発光素子に向けて加圧するプレス装置と、
複数の前記無機発光素子のそれぞれの点灯状態を判断する制御回路と、を有し、
前記検査用電極は、表示領域と重なる領域及び周辺領域と重なる領域に亘って設けられ、
前記周辺領域での前記検査用電極と前記検査用基板との間の高さは、前記表示領域での前記検査用電極と前記検査用基板との間の高さよりも高い
表示装置のリペアシステム。
【請求項6】
前記アレイ基板に設けられ、複数の前記無機発光素子のそれぞれに対応して設けられた電極と、
前記電極と前記無機発光素子とを電気的に接続する接続層と、
前記制御回路からの制御信号に基づいて、複数の前記無機発光素子のうち、非点灯状態と判断された無機発光素子にレーザ光を照射するレーザ装置を有する
請求項1
から請求項5のいずれか1項に記載の表示装置のリペアシステム。
【請求項7】
複数の前記無機発光素子は、それぞれの上面に設けられた接続端子を有し、
前記接続端子は、前記検査用電極と接し、前記検査用電極よりも大きいヤング率を有する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置のリペアシステム。
【請求項8】
複数の前記無機発光素子は、前記アレイ基板に垂直な方向からの平面視で、2つの辺が接する4つの隅部を有し、
複数の前記無機発光素子は、複数の前記接続端子を有し、
複数の前記接続端子は、対角に位置する2つの隅部のそれぞれに設けられる
請求項7に記載の表示装置のリペアシステム。
【請求項9】
複数の前記無機発光素子は、前記アレイ基板に垂直な方向からの平面視で、対向する2つの辺を有し、
複数の前記無機発光素子は、複数の前記接続端子を有し、
複数の前記接続端子は、前記2つの辺のそれぞれに沿って設けられる
請求項7に記載の表示装置のリペアシステム。
【請求項10】
前記接続端子は、チタン又は窒化チタンを含む
請求項7に記載の表示装置のリペアシステム。
【請求項11】
前記無機発光素子は、少なくともp型クラッド層、発光層、n型クラッド層の順で積層された構造体が、前記アレイ基板上に配置される
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の表示装置のリペアシステム。
【請求項12】
前記無機発光素子の上面及び下面は、前記アレイ基板と前記検査用基板とに挟まれて、それぞれ前記アレイ基板の電極及び前記検査用電極に電気的に接続され、
前記無機発光素子の側面は、前記アレイ基板と前記検査用基板との間で露出する
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の表示装置のリペアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置のリペアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として無機発光ダイオード(マイクロLED(micro LED))、すなわち無機発光素子を用いた無機ELディスプレイが注目されている。例えば特許文献1には、無機発光素子の点灯検査を行うための検査治具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第109686828号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無機発光素子をアレイ基板上に実装する際に、アレイ基板上の電極と、無機発光素子との接続不良が発生する可能性がある。表示装置のリペアシステムは、接続不良の無機発光素子の検出、及び、検出された接続不良の無機発光素子を良品にすることが要求される。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、無機発光素子の接続不良を低減することができる表示装置のリペアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による表示装置のリペアシステムは、アレイ基板と、前記アレイ基板に配列された複数の無機発光素子とを有する表示装置のリペアシステムであって、複数の前記無機発光素子を挟んで前記アレイ基板と対向する検査用基板と、前記検査用基板の、前記アレイ基板と対向する面に設けられ、複数の前記無機発光素子と電気的に接続される検査用電極と、前記検出用基板を複数の前記無機発光素子に向けて加圧するプレス装置と、複数の前記無機発光素子のそれぞれの点灯状態を判断する制御回路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、表示装置の画素回路の構成例を示す回路図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る発光素子の構成例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る発光素子の積層方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態のリペアシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態のリペアシステムのリペア方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る検査用基板及び加圧装置を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る発光素子の構成例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の第1変形例に係る発光素子を示す平面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態の第2変形例に係る発光素子を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態のリペアシステムのリペア方法を説明するための説明図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の第3変形例に係るリペアシステムのリペア方法を説明するための説明図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態の第4変形例に係る検査用基板及び加圧装置を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係るリペアシステムの検査用基板を示す断面図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態に係る発光素子の積層方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す平面図である。
図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、を含む。アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板20、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。
【0010】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixが配置される領域であり、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0011】
複数の画素Pixは、基板20の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、アレイ基板2の基板20の第1面20a(
図4参照)に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、例えば、基板20の法線方向に対応する。以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0012】
駆動回路12は、基板20の周辺領域GAに設けられる。駆動回路12は、駆動IC210からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線(例えば、発光制御走査線BG、リセット制御走査線RG、初期化制御走査線IG及び書込制御走査線SG(
図3参照))を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0013】
駆動IC210は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC210は、基板20の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装されてもよい。これに限定されず、駆動IC210は、基板20の周辺領域GAに接続された配線基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。なお、基板20に接続される配線基板は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。
【0014】
カソード配線60は、基板20の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の発光素子5(
図4参照)のカソード(カソード電極114(
図5参照))は、共通のカソード配線60に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。より具体的には、発光素子5のカソード電極114は、アレイ基板2上の対向カソード電極61を介して、カソード配線60に接続される。なお、カソード配線60は、一部にスリットを有し、基板20上において、2つの異なる配線で形成されてもよい。
【0015】
図2は、複数の画素を示す平面図である。
図2に示すように、1つの画素Pixは、複数の画素SPixを含む。例えば、画素Pixは、第1画素SPixRと、第2画素SPixGと、第3画素SPixBとを有する。第1画素SPixRは、第1色としての原色の赤色を表示する。第2画素SPixGは、第2色としての原色の緑色を表示する。第3画素SPixBは、第3色としての原色の青色を表示する。
【0016】
図2に示すように、1つの画素Pixにおいて、第1画素SPixRと第3画素SPixBは第1方向Dxで並ぶ。また、第2画素SPixGと第3画素SPixBは第2方向Dyで並ぶ。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、第1画素SPixRと、第2画素SPixGと、第3画素SPixBとをそれぞれ区別する必要がない場合、画素SPixという。
【0017】
なお、1つの画素Pixに含まれる画素SPixは3つに限らず、4以上の画素SPixが対応づけられていてもよい。例えば、第4色として白色が対応付けられた第4画素SPixWが含まれてもよい。また、複数の画素SPixの配置は、
図2に示す構成に限定されない。例えば、第1画素SPixRは第2画素SPixGと第1方向Dxに隣り合っていてもよい。また、第1画素SPixR、第2画素SPixG、及び、第3画素SPixBが、この順で第1方向Dxに繰り返し配列されてもよい。
【0018】
画素SPixは、それぞれ発光素子5を有する。表示装置1は、第1画素SPixR、第2画素SPixG及び第3画素SPixBにおいて、発光素子5R、5G、5Bごとに異なる光を出射することで画像を表示する。発光素子5は、平面視で、数μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップである。一般的には、一つのチップサイズが100μm以上の素子がミニLED(miniLED)と呼ばれ、数μm以上100μm未満のサイズの素子がマイクロLED(micro LED)と呼ばれる。本発明ではいずれのサイズのLEDも用いることができ、表示装置1の画面サイズ(一画素の大きさ)に応じて使い分ければよい。各画素にマイクロLED(micro LED)を備える表示装置は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子5の大きさを限定するものではない。
【0019】
図3は、表示装置の画素回路の構成例を示す回路図である。
図3に示す画素回路PICAは、第1画素SPixR、第2画素SPixG及び第3画素SPixBのそれぞれに設けられる。画素回路PICAは、基板20に設けられ、駆動信号(電流)を発光素子5に供給する回路である。なお、
図3において、画素回路PICAについての説明は、第1画素SPixR、第2画素SPixG及び第3画素SPixBのそれぞれが有する画素回路PICAに適用できる。
【0020】
図3に示すように、画素回路PICAは、発光素子5と、5つのトランジスタと、2つの容量と、を含む。具体的には、画素回路PICAは、発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、書込トランジスタSST、リセットトランジスタRST及び駆動トランジスタDRTを含む。一部のトランジスタは、隣接する複数の画素SPixで共有されていてもよい。
【0021】
画素回路PICAが有する複数のトランジスタは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。ただし、これに限定されず、各トランジスタは、それぞれp型TFTで構成されてもよい。
【0022】
発光制御走査線BGは、発光制御トランジスタBCTのゲートに接続される。初期化制御走査線IGは、初期化トランジスタISTのゲートに接続される。書込制御走査線SGは、書込トランジスタSSTのゲートに接続される。リセット制御走査線RGは、リセットトランジスタRSTのゲートに接続される。
【0023】
発光制御走査線BG、初期化制御走査線IG、書込制御走査線SG及びリセット制御走査線RGは、それぞれ、駆動回路12(
図1参照)に接続される。駆動回路12は、発光制御走査線BG、初期化制御走査線IG、書込制御走査線SG及びリセット制御走査線RGに、それぞれ、発光制御信号Vbg、初期化制御信号Vig、書込制御信号Vsg及びリセット制御信号Vrgを供給する。
【0024】
駆動IC210(
図1参照)は、第1画素SPixR、第2画素SPixG及び第3画素SPixBのそれぞれの画素回路PICAに、時分割で映像信号Vsigを供給する。第1画素SPixR、第2画素SPixG及び第3画素SPixBの各列と、駆動IC210との間には、マルチプレクサ等のスイッチ回路が設けられる。映像信号Vsigは、映像信号線L2を介して書込トランジスタSSTに供給される。また、駆動IC210は、リセット信号線L3を介して、リセット電源電位VrstをリセットトランジスタRSTに供給する。駆動IC210は、初期化信号線L4を介して、初期化電位Viniを初期化トランジスタISTに供給する。
【0025】
発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、書込トランジスタSST、及びリセットトランジスタRSTは、2ノード間の導通と非導通とを選択するスイッチング素子として機能する。駆動トランジスタDRTは、ゲートとドレインとの間の電圧に応じて、発光素子5に流れる電流を制御する電流制御素子として機能する。
【0026】
発光素子5のカソード(カソード電極114)は、カソード電源線L10に接続される。また、発光素子5のアノード(アノード電極110)は、駆動トランジスタDRT及び発光制御トランジスタBCTを介してアノード電源線L1に接続される。アノード電源線L1には、アノード電源電位PVDDが供給される。カソード電源線L10には、カソード電源電位PVSSが供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。カソード電源線L10は、カソード配線60を含む。
【0027】
また、画素回路PICAは、容量Cs1及び容量Cs2を含む。容量Cs1は、駆動トランジスタDRTのゲートとソースとの間に形成される保持容量である。容量Cs2は、駆動トランジスタDRTのソース及び発光素子5のアノードと、カソード電源線L10との間に形成される付加容量である。
【0028】
表示装置1は、1行目の画素SPixから最終行の画素SPixまで駆動を行い1フレーム分の画像を1フレーム期間に表示する。
【0029】
リセット期間では、発光制御走査線BG及びリセット制御走査線RGの電位に応じて、発光制御トランジスタBCTがオフ(非導通状態)となり、リセットトランジスタRSTがオン(導通状態)となる。これにより、駆動トランジスタDRTのソースがリセット電源電位Vrstに固定される。リセット電源電位Vrstは、リセット電源電位Vrstとカソード電源電位PVSSとの電位差が、発光素子5が発光を開始する電位差よりも小さい電位である。
【0030】
次に、初期化制御走査線IGの電位に応じて、初期化トランジスタISTは、オンとなる。初期化トランジスタISTを介して駆動トランジスタDRTのゲートが初期化電位Viniに固定される。また、駆動回路12は、発光制御トランジスタBCTをオンとし、リセットトランジスタRSTをオフとする。駆動トランジスタDRTは、ソース電位が(Vini-Vth)になるとオフになり、各画素SPixごとの駆動トランジスタDRTのしきい値電圧Vthのばらつきがオフセットされる。
【0031】
次に、映像信号書込動作期間では、発光制御トランジスタBCTがオフになり、初期化トランジスタISTがオフになり、書込トランジスタSSTがオンになる。映像信号Vsigが駆動トランジスタDRTのゲートに入力される。
【0032】
次に、発光動作期間では、発光制御トランジスタBCTがオンになり、書込トランジスタSSTがオフになる。アノード電源線L1から、発光制御トランジスタBCTを介して駆動トランジスタDRTにアノード電源電位PVDDが供給される。駆動トランジスタDRTは、ゲートソース間の電圧に応じた電流を、発光素子5に供給する。発光素子5は、この電流に応じた輝度で発光する。
【0033】
なお、駆動回路12は、1行ごとに画素SPixを駆動してもよいし、2行の画素SPixを同時に駆動してもよいし、3行分以上の画素SPixを同時に駆動してもよい。また、
図3に示す画素回路PICAの構成はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば1つの画素SPixでの配線の数及びトランジスタの数は異なっていてもよい。
【0034】
図4は、
図1のIV-IV’断面図である。
図4に示すように、表示装置1のアレイ基板2は、基板20と、複数のトランジスタと、を備える。基板20は、絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、石英基板、又は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、若しくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製のフレキシブル基板である。
【0035】
なお、本明細書において、基板20の表面に垂直な方向において、基板20から発光素子5に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、発光素子5から基板20に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。また、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0036】
アンダーコート層21は、基板20の第1面20a上に設けられる。アンダーコート層21、絶縁膜22、23、24、26、27は、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)などからなる。
【0037】
複数のトランジスタは、アンダーコート層21上に設けられる。例えば、基板20の表示領域AAには、複数のトランジスタとして、画素SPixに含まれる駆動トランジスタDRT及び書込トランジスタSSTがそれぞれ設けられている。基板20の周辺領域GAには、複数のトランジスタとして、駆動回路12に含まれるトランジスタTrCが設けられている。なお、複数のトランジスタのうち、駆動トランジスタDRT、書込トランジスタSST、及び、トランジスタTrCを示しているが、画素回路PICAに含まれる発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST及びリセットトランジスタRSTも、駆動トランジスタDRTと同様の積層構造を有する。なお、以下の説明において、複数のトランジスタを区別して説明する必要が無い場合は、単にトランジスタTrと表す。
【0038】
トランジスタTrは、例えば両面ゲート構造のTFTである。トランジスタTrは、それぞれ、第1ゲート電極31と、第2ゲート電極32と、半導体層33と、ソース電極35と、ドレイン電極34と、を有する。第1ゲート電極31は、アンダーコート層21上に設けられる。絶縁膜22は、アンダーコート層21上に設けられて第1ゲート電極31を覆う。半導体層33は、絶縁膜22上に設けられる。半導体層33は、例えば、ポリシリコンが用いられる。ただし、半導体層33は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、低温ポリシリコン等であってもよい。
【0039】
絶縁膜23は、半導体層33上に設けられる。第2ゲート電極32は、絶縁膜23上に設けられる。半導体層33において、第1ゲート電極31と第2ゲート電極32とに挟まれた部分がトランジスタTrのチャネル領域33aとなる。なお、トランジスタTrとして、n型TFTのみ示しているが、p型TFTを同時に形成しても良い。
【0040】
ゲート線36は、駆動トランジスタDRTの第2ゲート電極32に接続される。第1ゲート電極31、第2ゲート電極32及びゲート線36は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金膜で構成されている。
【0041】
本実施形態において、トランジスタTrは両面ゲート構造に限定されるものではない。トランジスタTrは、ゲート電極が第1ゲート電極31のみで構成されるボトムゲート型であってもよい。また、トランジスタTrは、ゲート電極が第2ゲート電極32のみで構成されるトップゲート型であってもよい。また、アンダーコート層21は無くても良い。
【0042】
ソース電極35及びドレイン電極34は、絶縁膜23、24に設けられたコンタクトホールを介して、半導体層33に接続される。ソース電極35及びドレイン電極34は、例えば、チタンとアルミニウムとの積層構造である(上)TiAlTi(下)又は(上)AlTi(下)の積層膜である。
【0043】
絶縁膜24を介して対向するゲート線36とソース電極35とで、容量Cs1が形成される。また、容量Cs1は、絶縁膜23を介して対向する半導体層33とゲート線36とで形成される容量も含む。
【0044】
絶縁膜25は、トランジスタTrを覆って絶縁膜24の上に設けられる。絶縁膜25は、感光性アクリル等の有機材料が用いられる。絶縁膜25は、平坦化膜であり、トランジスタTrや各種配線により形成される凹凸を平坦化することができる。
【0045】
絶縁膜25の上に、対向電極37、絶縁膜26、対向アノード電極50、接続層51、絶縁膜27の順に積層される。対向電極37は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電性材料で構成される。対向電極37と同層に接続電極38が設けられる。接続電極38は、コンタクトホールの底部でソース電極35と接続される。
【0046】
対向アノード電極50は、アレイ基板2に設けられ、複数の発光素子5のそれぞれに対応して設けられる。対向アノード電極50は、絶縁膜26に設けられたコンタクトホールを介して接続電極38及びソース電極35と電気的に接続される。これにより、対向アノード電極50は、駆動トランジスタDRTと電気的に接続される。対向アノード電極50は、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)の積層構造としている。なお、対向アノード電極50は、モリブデン、チタンのいずれか1つ以上を含む金属若しくは合金、又は、透光性導電材料であってもよい。
【0047】
絶縁膜26を介して対向する対向アノード電極50と対向電極37との間に容量Cs2が形成される。絶縁膜27は、対向アノード電極50を覆って設けられる。絶縁膜27は、対向アノード電極50の周縁部を覆っており、隣り合う画素SPixの対向アノード電極50を絶縁する。
【0048】
絶縁膜27は、対向アノード電極50及び接続層51と重なる位置に、発光素子5を実装するための開口を有する。絶縁膜27の開口の大きさは、発光素子5の実装工程における実装ズレ量等を考慮し、発光素子5よりも大きい面積の開口とする。各発光素子5は、アノード電極110、反射層112(
図5参照)が対向アノード電極50に接するように実装される。
【0049】
複数の発光素子5の間に素子絶縁膜28が設けられる。素子絶縁膜28は樹脂材料で形成される。素子絶縁膜28は、少なくとも発光素子5の側面を覆っており、発光素子5のカソード電極114(
図5参照)の上には、素子絶縁膜28が設けられていない。素子絶縁膜28の上面と、カソード電極114の上面とが同一面を形成するように、素子絶縁膜28は平坦に形成される。ただし、素子絶縁膜28の上面の位置は、カソード電極114の上面の位置と異なっていてもよい。
【0050】
対向カソード電極61は、複数の発光素子5及び素子絶縁膜28を覆って、複数の発光素子5に電気的に接続される。より具体的には、対向カソード電極61は、素子絶縁膜28の上面と、カソード電極114の上面とに亘って設けられる。対向カソード電極61は、カソード電極114にカソード電源電位PVSSを供給する。対向カソード電極61は、例えばITO等の透光性を有する導電性材料が用いられる。これにより、発光素子5からの出射光を効率よく外部に取り出すことができる。
【0051】
対向カソード電極61は、表示領域AAから周辺領域GAまで連続して設けられ、コンタクトホールH1の底部でカソード配線60と接続される。具体的には、コンタクトホールH1は、周辺領域GAで、素子絶縁膜28及び絶縁膜25を貫通して設けられ、コンタクトホールH1の底面にカソード配線60が設けられる。カソード配線60は、絶縁膜24の上に設けられる。つまり、カソード配線60は、ソース電極35及びドレイン電極34と同層に設けられ、同じ材料で形成される。
【0052】
ここで、発光素子5の構成について説明する。
図5は、第1実施形態に係る発光素子の構成例を示す断面図である。
図5に示すように、発光素子5は、半導体層52と、アノード電極110と、反射層112と、カソード電極114とを有している。ただし、対向アノード電極50、接続層51、及び対向カソード電極61を発光素子5に含めてもよい。
【0053】
半導体層52は、発光を行う発光層である。半導体層52は、n型クラッド層54と、p型クラッド層56と、p型クラッド層56とn型クラッド層54との間に設けられる発光層58と、を有する。本実施形態において、半導体層52は、上側に向かって、p型クラッド層56、発光層58、n型クラッド層54の順で積層されて構成される。半導体層52としては、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlInGaP)あるいはアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)あるいはガリウムヒ素リン(GaAsP)等の化合物半導体が用いられる。本実施形態において、p型クラッド層56及びn型クラッド層54は、窒化ガリウム(GaN)である。また、発光層58は、窒化インジウムガリウム(InGaN)である。発光層58は、InGaN、GaNが積層された多量子井戸構造(MQW)でもよい。
【0054】
発光素子5は、上側に向かって、反射層112、アノード電極110、p型クラッド層56、発光層58、n型クラッド層54、カソード電極114の順で積層されている。より具体的には、発光素子5は、少なくともp型クラッド層56、発光層58、n型クラッド層54pの順で積層された構造体が、アレイ基板2の上に配置されて形成される。発光素子5の下には、接続層51が設けられ、発光素子5の上には、対向カソード電極61が設けられる。
【0055】
接続層51は、導電性の部材、ここでは金属材料を含む。本実施形態では、接続層51は、はんだであり、さらに言えば、金錫(AuSn)、あるいは銀錫(AgSn)などの金系はんだである。接続層51は、対向アノード電極50と反射層112とを接合する。
【0056】
反射層112は、接続層51の上に設けられる。反射層112は、光を反射可能な導電性の部材であり、本実施形態では、銀(Ag)を含む合金である。アノード電極110は、反射層112の上に設けられる。アノード電極110は、透光性を有する導電性の部材であり、例えばITOである。アノード電極110は、反射層112及び接続層51を介して、対向アノード電極50に電気的に接続されている。アノード電極110は、p型クラッド層56と接続されている。
【0057】
カソード電極114は、n型クラッド層54に接続される。カソード電極114は、透光性を有する導電性の部材であり、例えばITOである。また、カソード電極114は、内部に接続端子116を有することが好ましい。接続端子116は、カソード電極114の下側の表面に設けられている。接続端子116は、下側の表面でn型クラッド層54に接触し、また、カソード電極114にも接続される。
【0058】
接続端子116は、導電性の部材、ここでは金属材料を含む。本実施形態では、接続端子116は、チタン(Ti)又は窒化チタン(TiN)の少なくとも一方を含む。接続端子116は、n型クラッド層54とカソード電極114との接続を補助する。
【0059】
対向カソード電極61は、カソード電極114の上側の表面に重畳して設けられる。なお、発光素子5は、カソード電極114を設けず、接続端子116を介して、対向カソード電極61と接続されても良い。
【0060】
次に、発光素子5の製造方法について説明する。
図6は、第1実施形態に係る発光素子の積層方法を説明する図である。
図6に示すように、発光素子5を積層する場合、第1基板200の一方の表面200aに、半導体層52を形成する(ステップS10)。本実施形態では、第1基板200は、Al
2O
3が含まれる基板、すなわちサファイア基板である。具体的には、製造装置は、第1基板200の表面200a上に、n型クラッド層54、発光層58、p型クラッド層56の順に、半導体層52を成膜する。これにより、半導体層52は、第1面52aが、第1基板200の一方の表面200aに接触し、接合される。
【0061】
なお、第1面52aは、n型クラッド層54、発光層58、p型クラッド層56の並びにおける、半導体層52のn型クラッド層54側の表面である。また、半導体層52の第2面52bは、第1面52aと反対側の表面である。すなわち、第2面52bは、n型クラッド層54、発光層58、p型クラッド層56の並びにおける、半導体層52のp型クラッド層56側の表面である。
【0062】
次に、レーザ装置は、半導体層52にレーザ光Lを照射さする(ステップS11)。具体的には、チャンバCH内で、半導体層52が形成された第1基板200の表面200aを、アレイ基板2の表面に対向させて配置する。アレイ基板2の表面には、対向アノード電極50、接続層51、反射層112、及びアノード電極110が積層されている。すなわち、第1基板200の半導体層52の第2面52bと、アノード電極110の表面110aとが、対向する。なお、
図6では省略しているが、アレイ基板2は、対向アノード電極50と基板20との間にも、
図4に示した各層(トランジスタTrなど)が積層されている。
【0063】
ステップS11においては、この状態、すなわちチャンバCH内で第1基板200の表面200aとアレイ基板2の表面とが対向した状態で、第1基板200の表面200b側からレーザ光Lを照射する。レーザ光Lは、表面200bから第1基板200内に入射し、表面200aに到達し、表面200aに接触する半導体層52の第1面52aに照射される。
【0064】
半導体層52は、レーザ光Lが照射されることで、光を吸収し、第1基板200から分離(剥離)され、アレイ基板2の表面上に積層される(ステップS12)。具体的には、製造装置は、レーザリフトオフにより、半導体層52を第1基板200から剥離させる。
【0065】
なお、レーザ光Lは、第1基板200を透過しつつ半導体層52のn型クラッド層54で光を吸収する波長帯に設定されることが好ましい。例えば、レーザ光Lは、サファイアを透過するが窒化ガリウムを透過しない波長帯に対応する、3.5eV(electron Volt)以上9.9eV以下のエネルギーを有することが好ましい。また、レーザ光Lは、波長が310nm以下に設定されていることが好ましい。
【0066】
また、半導体層52を剥離させる際には、アレイ基板2の表面が、第1基板200の表面200aと対向している。従って、第1基板200から剥離した半導体層52の第2面52bは、アレイ基板2のアノード電極110の表面110aに接触し、半導体層52(p型クラッド層56)の第2面52bとアノード電極110の表面110aとが接合される。すなわち、半導体層52は、アレイ基板2に転写される。
【0067】
アレイ基板2に半導体層52を転写したら、半導体層52の第1面52aに接続端子116が形成される。そして、リペアシステム100により、発光素子5の検査を行い、必要に応じて発光素子5のリペアを行う(ステップS13)。例えば、リペアシステム100において、点灯検査装置7は、検査用基板71と、検査用電極72とを有する。検査用基板71は、アレイ基板2と対向する。検査用電極72は、検査用基板71の、アレイ基板2と対向する面に設けられる。検査用電極72は、半導体層52のn型クラッド層54及び接続端子116と接する。
図6では説明を分かりやすくするために1つの発光素子5を示しているが、リペアシステム100は、複数の発光素子5の点灯検査及びリペアを行う。
【0068】
発光素子5の点灯検査において、対向アノード電極50には、アノード電源電位PVDDが供給される。また、検査用電極72は、基準電位(例えば、カソード電源電位PVSS)が供給される。これにより、発光素子5は点灯する。又は、非点灯状態と判断された発光素子5は、リペアシステム100により、所定のリペアが施される。
【0069】
発光素子5の検査及びリペアが終了した場合、半導体層52上にカソード電極114を積層する。これにより、発光素子5が形成される(ステップS14)。その後、発光素子5の間に素子絶縁膜28が設けられ、対向カソード電極61は、複数の発光素子5を覆って、カソード電極114上及び素子絶縁膜28の上に積層される。
【0070】
なお、本実施形態においては、第1基板200上に半導体層52のみを形成したが、半導体層52以外の発光素子5の部材も形成してよい。例えば、ステップS10において、カソード電極114、接続端子116、接続層51、反射層112、アノード電極110の少なくとも1つを、半導体層52と共に第1基板200上に形成し、それをアレイ基板2に転写してもよい。また、
図6ではチャンバCH内でのプロセスとして記載しているが、チャンバCH内で発光素子5を積層することに限られない。
【0071】
次に、表示装置1のリペアシステム100及びリペア方法について説明する。
図7は、第1実施形態のリペアシステムの構成例を示すブロック図である。リペアシステム100は、アレイ基板2と、アレイ基板2に配列された複数の発光素子5とを有する表示装置1の点灯検査及びリペアを行う。
図7に示すように、リペアシステム100は、点灯検査装置7と、検査用制御回路101と、光検出装置102と、画像処理回路103と、検査用駆動回路104と、プレス装置220と、レーザ装置230と、ヒータ電源240とを含む。
【0072】
検査用制御回路101は、複数の発光素子5の点灯検査を制御する回路である。また、検査用制御回路101は、複数の発光素子5の点灯状態の情報に基づいて、複数の発光素子5のリペアを制御する回路である。
【0073】
点灯検査装置7は、複数の発光素子5の点灯検査を行うための検査基板である。点灯検査装置7の検査用電極72は、複数の発光素子5のカソード(接続端子116)に接続される。検査用電極72は、点灯検査の際に発光素子5のカソード電極114及び対向カソード電極61として機能する。
【0074】
検査用駆動回路104は、検査用制御回路101からの制御信号に基づいて、アレイ基板2にアノード電源電位PVDDを供給し、点灯検査装置7にカソード電源電位PVSSを供給する。各発光素子5には、アノード電源電位PVDDとカソード電源電位PVSSとの電位差に応じた電流が流れ、発光する。なお、検査用駆動回路104は、検査用駆動信号として発光素子5が点灯する電位を供給すればよく、表示装置1の表示におけるアノード電源電位PVDD及びカソード電源電位PVSSと異なる電位を供給してもよい。
【0075】
光検出装置102は、複数の発光素子5からそれぞれ出射された光を検出する。光検出装置102は、例えば、CCD等の撮像素子を有する画像センサである。画像処理回路103は、光検出装置102からの検出信号(画像データ)を受け取って、画像処理を行うことで、複数の発光素子5のそれぞれの点灯状態(例えば輝度)を解析する。画像処理回路103は、複数の発光素子5の点灯状態に関する情報を検査用制御回路101に出力する。
【0076】
検査用制御回路101は、画像処理回路103からの情報に基づいて、複数の発光素子5のそれぞれの点灯状態を判断する。例えば、発光素子5から出射された光の輝度が、所定の範囲内であれば、検査用制御回路101は、発光素子5の点灯状態が良好であると判断する。検査用制御回路101は、発光素子5から出射された光の輝度が、基準値よりも小さい場合に、発光素子5が非点灯状態であると判断する。また、検査用制御回路101は、全ての発光素子5の個数に対する、非点灯状態の発光素子5の個数の割合を接続不良率として演算する。また、検査用制御回路101は、点灯状態の発光素子5と非点灯状態の発光素子5のそれぞれの位置を演算する。
【0077】
検査用制御回路101は、接続不良率が所定の基準値よりも大きい場合、すなわち、非点灯状態の発光素子5が所定数存在する場合に、プレス装置220、レーザ装置230及びヒータ電源240の少なくとも一つ以上に制御信号を出力して、発光素子5のリペアを行う。
【0078】
図8は、第1実施形態のリペアシステムのリペア方法を示すフローチャートである。なお、
図8のリペア方法は、
図6に示したステップS13のリペア方法を詳細に説明するフローチャートである。
【0079】
図8に示すように、まず、リペアシステム100は、点灯検査装置7の検査用電極72を発光素子5の接続端子116に接触させる(ステップS21)。より具体的には、
図9は、第1実施形態に係る検査用基板及び加圧装置を示す断面図である。
図9に示すように、検査用基板71は、複数の発光素子5を挟んでアレイ基板2と対向して配置される。検査用電極72は、検査用基板71の、第2面71b(アレイ基板2と対向する面)に設けられ、複数の発光素子5と電気的に接続される。
【0080】
検査用基板71は、透光性を有する絶縁基板であり、例えばガラス基板、石英基板、又は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、若しくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製のフレキシブル基板である。検査用電極72は、透光性を有する導電材料であり、例えばITOである。これにより、点灯検査装置7が複数の発光素子5に重畳して配置された場合であっても、複数の発光素子5から出射された光は、点灯検査装置7を透過して光検出装置102に到達する。
【0081】
プレス装置220は、検査用基板71の第1面71a側に配置され、検査用基板71を複数の発光素子5に向けて加圧する。プレス装置220は、設置台221と、弾性体222とを有する。設置台221は、点灯検査装置7が設置され、点灯検査装置7を支持する部材である。弾性体222は、設置台221と点灯検査装置7との間に配置される。弾性体222は、弾性を有するシート状の部材であり、合成ゴム、エラストマーなどで形成されている。弾性体222は、天然ゴムであってもよい。
【0082】
プレス装置220により、点灯検査装置7がアレイ基板2に向けて移動することで、発光素子5の接続端子116は、検査用電極72に接する。つまり、発光素子5の上面及び下面は、アレイ基板2と検査用基板71とに挟まれて、それぞれアレイ基板2の対向アノード電極50及び検査用電極72に電気的に接続される。この場合、素子絶縁膜28及び対向カソード電極61が設けられていないので、発光素子5の側面は、アレイ基板2と検査用基板71との間で露出する。
【0083】
本実施形態では、複数の発光素子5の上面に設けられた接続端子116は、検査用電極72よりも大きいヤング率を有する。接続端子116は、上述したようにチタン(Ti)を含み、より好ましくは、窒化チタン(TiN)である。例えば、チタンのヤング率は、106GPa程度である。酸化チタンのヤング率は、350GPa程度である。これに対し、検査用電極72に用いられる材料として、例えばITOのヤング率は、60GPa程度である。これにより、接続端子116は、検査用電極72の表面から内部に向けてくい込むように接触する。この結果、検査用電極72と、発光素子5のカソード(接続端子116)との接続信頼性を確保できる。
【0084】
図10は、第1実施形態に係る発光素子の構成例を示す平面図である。
図10に示すように、複数の発光素子5は、平面視で、四角形状であり、2つの辺が接して形成される隅部が4つ設けられる。複数の接続端子116は、発光素子5の上面、すなわち、n型クラッド層54の上面において、対角に位置する2つの隅部のそれぞれに設けられる。本実施形態では、発光素子5の上面の全領域を覆って接続端子116を設けた場合に比べて、複数の接続端子116から検査用電極72に加えられる圧力が大きくなる。この結果、複数の接続端子116と検査用電極72とが確実に電気的に接続される。
【0085】
接続端子116の形状、数、配置は、
図10に示す例に限定されず、適宜変更できる。
図11は、第1実施形態の第1変形例に係る発光素子を示す平面図である。
図11に示すように、第1変形例では、複数の接続端子116Aは、平面視で、発光素子5の上面の向かい合う2つの辺のそれぞれに沿って設けられる。すなわち、複数の接続端子116Aは、それぞれ第2方向Dyに延在する線状に設けられ、かつ、第1方向Dxに離隔して配置される。
【0086】
図12は、第1実施形態の第2変形例に係る発光素子を示す平面図である。
図12に示すように、第2変形例では、接続端子116Bは、平面視で、発光素子5の上面の4辺に沿った枠状に形成される。
図12では、1つの連続した接続端子116Bで形成されているが、接続端子116Bの一部にスリットが設けられ、複数に分割された接続端子116Bで枠状に形成されてもよい。
【0087】
図8に戻って、リペアシステム100は、発光素子5の点灯検査を行い、検査用制御回路101は、各発光素子5が点灯状態であるか非点灯状態であるかを判断する(ステップS22)。具体的には、検査用駆動回路104が、アノード電源電位PVDDをアレイ基板2に供給し、カソード電源電位PVSSを検査用電極72に供給する。これにより、複数の発光素子5の点灯検査を同時に行う。
【0088】
接続不良率が所定の基準値以下である場合、より好ましくは全ての発光素子5が良好に点灯した場合(ステップS22、Yes)、リペアシステム100は、リペアを終了し、製造装置は、
図6のステップS14に示した発光素子5の実装工程を行う。
【0089】
接続不良率が所定の基準値よりも大きい場合、つまり非点灯状態の発光素子5が所定数存在する場合(ステップS22、No)、リペアシステム100は、リペアを実行する。
図13は、第1実施形態のリペアシステムのリペア方法を説明するための説明図である。
図13は、
図8のステップS23、S25、S26のリペア方法を模式的に示す説明図である。ただし、
図13の各ステップ間に行われる点灯検査は、
図9と同様であるため、省略して示す。また、
図13は非点灯状態の発光素子5において、アノード側の接続不良が発生した場合を示す。例えば、
図13は、接続層51に空隙51SPが発生し、発光素子5のアノード電極110と対向アノード電極50との間の接続不良が発生した場合を例示している。
【0090】
リペアシステム100は、まず、プレス装置220により、検査用基板71をアレイ基板2側に向けて加圧する(ステップS23)。
図13に示すように、プレス装置220が、検査用基板71を介して、非点灯状態の発光素子5に力Pを加えることで、接続層51の空隙51SPが押しつぶされるように変形し、発光素子5のアノード電極110と対向アノード電極50とが、接続層51を介して電気的に接続される場合がある。この場合、発光素子5のアノード側の接続不良が解消され、発光素子5は良好に点灯できる良品となる。
【0091】
プレス装置220が力Pを所定の時間加えた後、検査用制御回路101は、プレス装置220による加圧を終了し、プレス装置220を移動させる。そして、リペアシステム100は、点灯検査装置7により、発光素子5の点灯検査を行う(ステップS24)。
【0092】
接続不良率が所定の基準値以下になった場合(ステップS24、Yes)、検査用制御回路101は、プレス装置220によるリペアにより、非点灯状態の発光素子5の接続不良が解消したと判断し、リペアシステム100は、リペアを終了する。
【0093】
接続不良率が所定の基準値よりも大きい場合(ステップS24、No)、リペアシステム100は、レーザ装置230によりレーザを照射してリペアを実行する(ステップS25)。
【0094】
図13に示すように、検査用制御回路101は、プレス装置220及び点灯検査装置7を、発光素子5の上側から移動させて、レーザ装置230によりレーザLZを照射する。レーザ装置230は、検査用制御回路101からの制御信号に基づいて、複数の発光素子5のうち、非点灯状態と判断された発光素子5にレーザ光LZを照射する。ここで、リペアにおけるレーザLZの波長は、例えば355nm以上であり、より好ましくは赤外領域の波長領域である。レーザLZは、発光素子5の半導体層52(例えばGaN)のバンドギャップよりも十分に波長が長いので、半導体層52を透過し、接続層51に吸収される。レーザLZからの熱により、接続層51が溶融し、発光素子5のアノード電極110と対向アノード電極50とが、接続層51を介して電気的に接続される場合がある。
【0095】
なお、接続端子116は、接続層51よりも高融点の材料が使用されるので、レーザ装置230によるリペアを行った場合でも、変形等を抑制できる。
【0096】
レーザ装置230が、レーザLZを所定の時間、照射した後、検査用制御回路101は、レーザ装置230によるリペアを終了し、レーザ装置230を移動させる。そして、リペアシステム100は、
図9と同様に点灯検査装置7により、発光素子5の点灯検査を行う(ステップS26)。
【0097】
接続不良率が所定の基準値以下になった場合(ステップS26、Yes)、検査用制御回路101は、レーザ装置230によるリペアにより、非点灯状態の発光素子5の接続不良が解消したと判断し、リペアシステム100は、リペアを終了する。
【0098】
接続不良率が所定の基準値よりも大きい場合(ステップS26、No)、リペアシステム100は、プレス装置220により検査用基板71を加圧しつつ、発光素子5を加熱する(ステップS27)。発光素子5の加熱は、例えば、ヒータ電源240が、検査用制御回路101からの制御信号に基づいて、検査用電極72に発熱用の駆動信号VHを供給することで、検査用電極72に電流が流れる。検査用電極72は、流れる電流に応じて発熱し、検査用電極72の熱が発光素子5に伝わる。つまり、検査用電極72は、駆動信号VHにより発熱する発熱抵抗体として機能する。
【0099】
発光素子5の熱が接続層51に伝わることにより接続層51が溶融する。さらに、プレス装置220が、発光素子5に力Pを加えることで、接続層51の空隙51SPが押しつぶされるように変形する。これにより、発光素子5のアノード電極110と対向アノード電極50とが、接続層51を介して電気的に接続される場合がある。
【0100】
所定の時間、プレス装置220が発光素子5に力Pを加えつつ、ヒータ電源240が検査用電極72に駆動信号VHを供給した後、検査用制御回路101は、ヒータ電源240及びプレス装置220によるリペアを終了し、ヒータ電源240を移動させる。そして、リペアシステム100は、
図9と同様に点灯検査装置7により、発光素子5の点灯検査を行う(ステップS28)。
【0101】
接続不良率が所定の基準値以下になった場合(ステップS28、Yes)、検査用制御回路101は、プレス装置220及び発光素子5の加熱によるリペアにより、非点灯状態の発光素子5の接続不良が解消したと判断し、リペアシステム100は、リペアを終了する。
【0102】
接続不良率が所定の基準値よりも大きい場合(ステップS28、No)、リペアシステム100は、リペアが困難であると判断して、非点灯状態の発光素子5を除去し(ステップS29)、リペアを終了する。また、リペアシステム100は、非点灯状態の発光素子5を除去した後、別の発光素子5を実装する。あるいは、リペアシステム100は、非点灯状態の発光素子5を残したまま、リペアを終了してもよい。
【0103】
以上のように、リペアシステム100は、アレイ基板2に複数の発光素子5が実装され、素子絶縁膜28及び対向カソード電極61が形成されていない状態で、点灯検査及びリペアを行うことができる。このため、リペアシステム100は、簡易な構成の点灯検査装置7で、複数の発光素子5の点灯検査を行うことができる。また、リペアシステム100は、レーザLZの照射や発光素子5の加熱によりリペアを行っても素子絶縁膜28及び対向カソード電極61の損傷が生じないので、素子絶縁膜28及び対向カソード電極61が形成された後に点灯検査及びリペアを行う場合に比べて、容易にリペアを行うことができる。
【0104】
また、リペアシステム100は、プレス装置220、レーザ装置230及び発熱抵抗体(検査用電極72)により、複数回リペアを行うことで、リペアの成功率を向上させることができる。この結果、発光素子5の接続不良を低減することができる。
【0105】
なお、
図7から
図9に示す、リペアシステム100のリペア方法は適宜変更してもよい。
図8に示す、ステップS23、S25、S27の順番は入れ換えてもよいし、ステップS23、S25、S27のいずれかを省略してもよい。
【0106】
また、
図9に示す点灯検査装置7の構成もあくまで一例であり、適宜変更できる。例えば、
図14は、第1実施形態の第3変形例に係るリペアシステムのリペア方法を説明するための説明図である。
図14に示すように、第3変形例の点灯検査装置7Aは、発熱抵抗体73を有していてもよい。ヒータ電源240は、発熱抵抗体73に駆動信号VHを供給する。これにより、発熱抵抗体73に電流が流れ、発熱する(ステップS27-1)。
【0107】
なお、発熱抵抗体73は、検査用基板71の第1面71a、すなわち、検査用電極72と反対側の面に設けられる。ただし、発熱抵抗体73は、検査用基板71の第2面71bに設けられていてもよい。つまり、検査用電極72は検査用電極72と同一面上に設けられていてもよい。
【0108】
図15は、第1実施形態の第4変形例に係る検査用基板及び加圧装置を示す断面図である。
図15に示すように、第4変形例において発光素子5R、5G、5Bは、それぞれ異なる高さを有する。具体的には、発光素子5Gは、発光素子5Bよりも高く、発光素子5Rは、発光素子5Gよりも高い。また、第4変形例において、検査用基板71は、柔軟な樹脂材料で形成されたフレキシブル基板である。これにより、発光素子5R、5G、5Bの高さが異なる場合であっても、検査用基板71は、プレス装置220からの力によって、発光素子5R、5G、5Bのそれぞれの上面に沿って変形し、それぞれの接続端子116と検査用電極72とが接続される。また、プレス装置220は、弾性体222を有するので、発光素子5R、5G、5Bの高さが異なる場合であっても、検査用基板71から発光素子5R、5G、5Bのそれぞれに加えられる力の差を抑制できる。
【0109】
(第2実施形態)
図16は、第2実施形態に係るリペアシステムの検査用基板を示す断面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図16に示すように、第2実施形態の点灯検査装置7Bは、第2面71bに設けられた凸部74を有する。凸部74は、周辺領域GAと重なる領域において、アレイ基板2に向かって突出する。凸部74は、例えば金属材料で形成される。
【0110】
検査用電極72は、表示領域AAと重なる領域及び周辺領域GAと重なる領域に亘って設けられ、凸部74を覆う。言い換えると、周辺領域GAでの検査用電極72と検査用基板71との間の高さは、表示領域AAでの検査用電極72と検査用基板71との間の高さよりも高い。検査用電極72は、凸部74の下面と重なる部分で、アレイ基板2のカソード配線60と電気的に接続される。
【0111】
第2実施形態では、検査用駆動回路104は、カソード電源電位PVSSを、アレイ基板2を介して点灯検査装置7Bの検査用電極72に供給できる。このため、検査用駆動回路104と点灯検査装置7Bとを電気的に接続する配線基板を省略することができ、リペアシステム100の構成を簡易にすることができる。
【0112】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係る発光素子の積層方法を説明する図である。
図17に示すように、発光素子5を積層する場合、チャンバCH内で、半導体層52が形成された第1基板200の表面200aを、転写基板250の表面250aに対向させて、半導体層52にレーザ光Lを照射させる(ステップS30)。転写基板250は、任意の材料であってよいが、例えば、ポリジメチルシロキサン(Poly Dimethylsiloxane;PDMS)や、酸化シリコン(SiO
2)などであってよい。酸化シリコンの場合は、表面に粘着剤を設けることが好ましい。
【0113】
この状態、すなわちチャンバCH内で第1基板200の表面200aと転写基板250の表面250aとが対向した状態で、半導体層52の第1面52aに、レーザ光Lを照射する。具体的には、第1基板200の表面200b側から第1基板200に向けてレーザ光Lを照射する。レーザ光Lは、表面200bから第1基板200内に入射して表面200aに到達し、表面200aに接触する半導体層52の第1面52aに照射される。半導体層52は、このようにレーザ光Lが照射されることで、光が吸収され、第1基板200から分離(剥離)される(ステップS31)。すなわち、ステップS30及びステップS31(分離ステップ)においては、レーザリフトオフにより、半導体層52を第1基板200から剥離させる。
【0114】
ここで、第1基板200から半導体層52を剥離させる際、転写基板250の表面250aは、第1基板200の表面200aと対向している。従って、第1基板200から剥離した半導体層52は、転写基板250の表面250a上に転写される。さらに言えば、半導体層52の第2面52bが、転写基板250の表面250aに接触し、半導体層52(p型クラッド層56)の第2面52bと転写基板250の表面250aとが接合される。
【0115】
転写基板250に半導体層52を転写したら、チャンバCH内で、半導体層52が形成された転写基板250の表面250aをアレイ基板2の表面に対向させて、半導体層52にレーザ光Lを照射させる(ステップS32)。アレイ基板2の転写基板250に対向する表面には、対向カソード電極61A、接続層51A、反射層112、カソード電極114Aが積層されており、さらに、トランジスタTrなどの半導体層52より下に形成される各層が積層されている。従って、半導体層52の第1面52aと、カソード電極114Aの表面114Aaとが、対向する。
【0116】
この状態、すなわちチャンバCH内で転写基板250の表面250aとアレイ基板2の表面とが対向した状態で、半導体層52の第2面52bに、レーザ光Lを照射する。具体的には、転写基板250の表面250b側から転写基板250に向けてレーザ光Lを照射する。レーザ光Lは、表面250bから転写基板250内に入射して表面250aに到達し、表面250aに接触する半導体層52の第2面52bに照射される。半導体層52は、このようにレーザ光Lが照射されることで、転写基板250から分離(剥離)される(ステップS33)。なお、レーザ光Lは、転写基板250を透過しつつ半導体層52のp型クラッド層56を透過しない波長帯に設定されることが好ましい。
【0117】
ここで、転写基板250から半導体層52を剥離させる際、アレイ基板2の表面は、転写基板250の表面250aと対向している。従って、転写基板250から剥離した半導体層52は、アレイ基板2の表面上に積層される。さらに言えば、半導体層52は、第1面52aが、アレイ基板2の表面、ここではカソード電極114Aの表面114Aaに接触し、半導体層52の第1面52aとカソード電極114Aの表面114Aaとが接合される。すなわち、半導体層52は、転写基板250からアレイ基板2に転写される。その後、半導体層52上に対向アノード電極50を積層することで、発光素子5が形成される。さらに、アノード電極110上に対向アノード電極が部分的に形成され、表示装置1が形成される。
【0118】
なお、第3実施形態において、第1基板200及び転写基板250上に半導体層52のみを形成したが、半導体層52以外の発光素子5の部材も形成してよい。例えば、接続層51A、反射層112、カソード電極114A、対向アノード電極50のうち少なくとも1つを、半導体層52と共に第1基板200および転写基板250の少なくとも一方の基板の上に形成し、それをアレイ基板2に転写してもよい。
【0119】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0120】
1 表示装置
2 アレイ基板
5、5R、5G、5B 発光素子
7、7A、7B 点灯検査装置
12 駆動回路
20 基板
50 対向アノード電極
51、51A 接続層
61 対向カソード電極
52 半導体層
54 n型クラッド層
56 p型クラッド層
58 発光層
60 カソード配線
71 検査用基板
72 検査用電極
100 リペアシステム
101 検査用制御回路
110 アノード電極
112 反射層
114、114A カソード電極
116、116A、116B 接続端子
210 駆動IC
220 プレス装置
230 レーザ装置