(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】機能トレースを堆積させる方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/20 20060101AFI20230609BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20230609BHJP
C09D 11/20 20060101ALI20230609BHJP
C09D 5/24 20060101ALI20230609BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20230609BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20230609BHJP
C09D 5/20 20060101ALI20230609BHJP
B32B 37/30 20060101ALI20230609BHJP
B41M 3/00 20060101ALI20230609BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20230609BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20230609BHJP
B44C 1/17 20060101ALI20230609BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20230609BHJP
G03G 9/08 20060101ALI20230609BHJP
G03G 8/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H05K3/20 A
C09D11/30
C09D11/20
C09D5/24
C09D201/00
C09D7/61
C09D5/20
B32B37/30
B41M3/00 Z
B41M1/30 B
B41M5/00 100
B41M5/00 120
B44C1/17 H
H01B13/00 503D
G03G9/08
G03G8/00
(21)【出願番号】P 2019571102
(86)(22)【出願日】2018-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2018055819
(87)【国際公開番号】W WO2018162669
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-02
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516251794
【氏名又は名称】エムジーアイ デジタル テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】519327010
【氏名又は名称】インクジェット エンジン テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】アベルジェル エドモン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーティエ ル ブールシュ ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ベージュ クレマン
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-291996(JP,A)
【文献】特開2004-319731(JP,A)
【文献】特表2007-515782(JP,A)
【文献】特開2012-141534(JP,A)
【文献】特開平06-183184(JP,A)
【文献】特開2005-339518(JP,A)
【文献】特開2015-018691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/20
C09D 11/30
C09D 11/20
C09D 5/24
C09D 201/00
C09D 7/61
C09D 5/20
B32B 37/30
B41M 3/00
B41M 1/30
B41M 5/00
B44C 1/17
H01B 13/00
G03G 9/08
G03G 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ステーションおよび次のフィルム被着ステーションを有する印刷機内で機能材料のトレースを基材上に堆積させる方法であって、
a.前記基材を用意するステップと、
b.前記印刷ステーションにおいて前記基材上のパターンに従って印刷製品を印刷するステップと、
c.材料B、機能材料のフィルムコーティングおよび運搬層を有する少なくとも1つの被着フィルムコーティングを含むフィルムを用意するステップと、
d.前記フィルム被着ステーションにおいて前記パターンに従った印刷製品と前記被着フィルムコーティングとの選択的同時付着をもたらす圧力および温度条件下において前記フィルムを前記基材に被着させるステップと、
e.前記フィルムを前記基材から取り去るステップとを含み、
e.1.前記基材は、前記パターンに従った印刷製品に同時付着し、かくして前記パターンに従って機能材料の前記トレースを形成する前記被着フィルムコーティングを有し、
e.2.
前記機能材料のフィルムコーティングは前記フィルムが取り去られた状態で回収される方法において、
・前記印刷製品は、熱可塑性材料Aおよびオプションとして熱硬化性材料を含み、
・前記被着フィルムコーティングの前記材料Bは、熱可塑性であり、前記被着フィルムコーティングは、前記熱可塑性材料Bの少なくとも50重量%を含み、
・前記材料A,Bは各々、ガラス転移温度Tgを有し、
・前記ステップdの前記圧力および温度条件は、前記材料A,Bの各々のTgが達成されるとともに化学結合が前記材料A,B相互間に作られるようなものである、方法。
【請求項2】
前記印刷製品は、UVインキおよび/またはUVワニスであり、前記印刷製品は、熱硬化性材料から成る、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記印刷製品は、印刷後かつ前記フィルムの
被着前に架橋される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
堆積/架橋後、前記ワニスおよび/またはインキは、
0℃~200℃のTg値によって特徴付けられるフィルムコーティングを形成する、請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記印刷製品は、トナーである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
堆積後、前記トナーは、0℃~200℃のTg値によって特徴付けられるフィルムコーティングを形成する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記被着フィルムコーティングは、少なくとも70重量%の熱可塑性材料Bを含む、請求項1~6のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
前記熱可塑性材料Bは、
0℃~200℃のTg値によって特徴付けられる、請求項1~7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記被着フィルムコーティングは、40℃~80℃のTg値によって特徴付けられる、請求項1~8のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項10】
前記被着ステーションにおいて前記フィルムを前記基材上に被着させる前記ステップは、70℃~190℃の被着温度で実施される、請求項1~9のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
前記被着温度は、130℃~170℃である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
機能材料の前記フィルムコーティングの前記機能材料は、導電性である、請求項1~11のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
機能材料の前記フィルムコーティングの前記機能材料は、銅および/または銀、および/または錫および/またはクロムおよび/または金および/またはアルミニウム、および/または導電性合金を含むとともに/あるいは銅および/または銀、および/または錫および/またはクロムおよび/または金および/またはアルミニウム、および/または導電性合金から成る、請求項1~12のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
前記機能材料の前記フィルムコーティングは、少なくとも200nmの厚さを有する、請求項1~13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
機能材料の前記フィルムコーティングは、少なくとも500nmの厚さを有する、請求項1~14のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルムは、機能材料の前記フィルムコーティングと前記運搬層との間に含まれた剥離フィルムコーティングを有する、請求項1~15のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項17】
前記剥離フィルムコーティングは、
導電性材料を含むとともに/あるいは
導電性材料から成る、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記フィルムは、機能材料の前記フィルムコーティングと、前記運搬層か、機能材料の前記フィルムコーティングと前記運搬層との間に含まれた剥離フィルムコーティングかのいずれかとの間に含まれた保護フィルムコーティングを有し、前記保護フィルムコーティングは、
導電性材料を含むとともに/あるいは
導電性材料から成る、請求項1~17のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルムは、機能材料の前記フィルムコーティングのための保護フィルムコーティングを備えていない、請求項1~17のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項20】
前記印刷製品の前記印刷は、インクジェット印刷によって
前記パターンのレリーフ印刷である、請求項1~19のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、絶縁トレースを前記印刷機内で単一のパスで印刷する方法をさらに含む、請求項1~20のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項22】
チップレス無線認証(RFID)タグ(RFIDタグとも呼ばれている)の作製のための請求項1~21のうちのいずれか一に記載の方法の使用であって、電磁波エミッタ‐レシーバによって読み取り可能な識別コードが生成される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能トレース、例えば導電性トレースを基材上に堆積させる方法に関する。かくして、本発明は、特に、一般に「ギルト(gilt)」と呼ばれている追加のコーティング(または材料)を基材上に堆積させることによって機能トレース、例えば導電性トレースを基材上に堆積させる方法に関する。具体的には、本発明は、特に、好ましくはインクジェット印刷によってパターンを基材上に印刷するステップと、「ギルディング(gilding)」されるべきあらかじめ印刷されたパターンと、「ギルト」、例えば好ましくは導電性金属箔、例えば好ましくは導電性金属箔を含む多層フィルムを堆積させる装置との接触によってギルディングするステップを含む印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材、例えば印刷基材をギルディングする技術は、当業者には周知である。この技術の基本原理は、例えば箔(例えば上述のコーティングまたはギルトを支持している)を基材の選択された領域上に被着させ/押しつけて箔の所望の部分が選択された領域にくっつくようにすることによって「ギルト」を堆積させる装置により追加のコーティング(すなわち、ギルトまたは材料)を基材上に堆積させることに基づいている。この技術は、例えば、所定のパターンに従って接着剤を基材上に堆積させるステップを含むのが良く、その後、基材上に堆積された接着剤上にカスタマイジングコーティング(例えば、ギルト箔)を堆積させる。接着剤の堆積は、1つまたは2つ以上の技術、例えばインクジェット印刷、トナー利用印刷、スクリーン印刷またはオフセット印刷によって実施できる。
【0003】
例えば、欧州特許出願公開第0414362(A2)号明細書は、基材上への電気的トレースの形成、特にインクジェットによる回路パターンを形成するステップ、次に薄い金属層をこのパターン上に被着させるステップによる基材上への電気的トレースの形成に関する。
【0004】
カナダ国特許第2089060号明細書は、回転印刷ロールおよび円周方向に互いに間隔を置いて配置された加熱状態の隆起部分を有する回転転写ロールを用いて基材、例えば紙上に印刷されたトナーに汎用性のある仕方で高速で着色または金属箔を被着させることを記載している。好ましくは熱可塑性成分を含むトナーを適当なプリンタ、例えばコンピュータ制御MIDAXプリントエンジンで紙に塗布される(イオン堆積)。紙を印刷ロールと転写ロールとの接触線に供給する直前にトナーを赤外線で加熱するのが良い。隙間のところに加えられた熱および圧力は、接着剤およびアルミニウム紙をアルミニウムストリップから粘着性トナー上に移着させ、それにより所望の印刷紙を作る。
【0005】
欧州特許第1736324号明細書は、サンプルを特徴付けるディジタルデータで記録を提供するステップおよび上述の記録を用いてサンプルが基材(1)の表面上に位置した状態で接着剤をディジタル方式で加圧するステップから成る方法を記載している。金属性または金属化された層をこの表面に接触させる。接着剤を活性化してこの層をサンプリング領域内の表面に接着する。次にこの層を取り外し、すると後には、接着領域が基材上に残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許出願公開第0414362(A2)号明細書
【文献】カナダ国特許第2089060号明細書
【文献】欧州特許第1736324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ギルディング技術は、一般に基材上へのギルト箔の取り付けの面での良好な性能レベルを促進すると同時に基材上のギルト堆積物の品質および特に細かさを向上させるよう最適化される。ギルディング技術の進展および精度にもかかわらず、本出願人は、既知のギルディング技術ではこれら2つの条件を両立させることは極めて困難であることに気付いた。かくして、本発明の目的のうちの1つは、一般に基材上へのギルト箔の取り付けの面での良好な性能レベルを促進すると同時に基材上のギルト堆積物の品質および特に細かさを向上させるギルディング技術を提供することにある。
【0008】
さらに、今日までの現行の技術のうちどれもプリンテッド・エレクトロニクスの要件を満たしておらず、これは、例示として以下の事項について言及する多くの理由のためである。
‐あらかじめ印刷されたパターンの精度が不十分であり、その結果、その堆積中の導電性トレースの不正確さが生じること、
‐あらかじめ印刷されたパターンの接着剤の特性がギルトの被着中不十分であること、
‐あらかじめ印刷されたパターンとギルト箔との付着性が完全ではなく、それにより回路に欠陥が生じ、かくして導電率の減少またはそれどころかゼロになること、
‐あらかじめ印刷されたパターンの外側に基材上のギルト箔の表面が被着すること、
‐ギルト箔の取り去り中の導電性層の部分的剥がれが生じること、
‐ギルト箔の金属層の厚さが不十分であり、それにより必要な導電性レベルを得ることができないということ、
‐基材への転写中に金属層の表面を汚染する絶縁層が存在し、それにより導電率がゼロになること、
‐ギルト箔運搬層の厚さが厚すぎ、それによりあらかじめ印刷されたパターン上へのギルトトレースの堆積が不完全になること、
‐その他。
【0009】
最後に、現時点において、印刷されたエレクトロニクス(例えば、ブリッジ、コンデンサなど)のある特定の特異性を満たすためにカスタマイズ可能なかつ独特な仕方で、導電性トレースおよび絶縁トレースを印刷機内で単一のパスで印刷することができる技術が存在しない。
【0010】
かくして、本発明は、先行技術のこれらの大きな欠点を解決することができる解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、印刷ステーションおよび次のフィルム被着ステーションを有する印刷機内で機能材料のトレース、好ましくは導電性トレースを基材上に堆積させる方法であって、
a.基材を用意するステップと、
b.基材上のパターンに従って印刷製品を印刷するステップと、
c.材料B、機能材料のフィルムコーティングおよび運搬層を有する少なくとも1つの被着フィルムコーティングを含むフィルムを用意するステップと、
d.被着ステーションにおいてパターン印刷製品とフィルム被着フィルムコーティングとの選択的同時付着をもたらす圧力および温度条件下においてフィルムを基材に被着させるステップと、
e.フィルムを基材から取り去るステップとを含み、
e.1.基材は、パターン印刷製品に同時付着し、かくしてパターンに従って機能材料のトレースを形成するフィルム被着フィルムコーティングを有し、
e.2.機能フィルムコーティングおよび好ましくは被着フィルムコーティングの残部はフィルムが取り去られた状態で回収される方法において、
・印刷製品は、熱可塑性材料Aおよびオプションとして熱硬化性材料を含み、
・被着フィルムコーティングの材料Bは、熱可塑性であり、
・材料A,Bは各々、ガラス転移温度Tgを有し、
・ステップdの条件は、材料A,Bの各々のTgが達成されるとともに化学結合が材料A,B相互間に作られるようなものであることを特徴とする方法に関するとともにこの方法をクレーム請求する。
【0012】
任意適当な方法によってガラス転移温度Tgを測定することができる。一例として、示差走査熱量測定法(DSC)が挙げられ、これは、種々の転移温度および状態を測定するための部門において広く認識されている熱分析方法である。
【0013】
一例を挙げると、ポリマーサンプルは、約10℃/分の漸増温度勾配を受け、その熱束は、ワットで測定される。ガラス転移温度は、ガラス質状態からゴム状状態への材料の移行を特徴付け、これは、吸熱現象である。その結果、Tgの値を求めるため、温度の関数として熱束の減少の観察を待ち、次にタンジェルシャル方法を用いることで十分である。得られた値は、ポリマーのTgに対応している。
【0014】
この説明によって束縛されるものではないが、本出願人は、これらの方法/材料の特徴の組み合わせにより本明細書において上述した目的を達成することができると考えており、一例として、材料A(印刷製品(例えば、インキ、ワニスおよび/またはトナー)の成分として)およびB(被着フィルムコーティングの成分として)の特定の選択が本発明の必要不可欠な特徴を表わしており、と言うのは、この選択は、被着フィルムコーティングと印刷製品が互いに接触したときの被着フィルムコーティングおよび印刷製品の熱可塑性挙動を生じさせるからである。
【0015】
さらに、クレーム請求されている方法は、使用のその融通性および製造時間の短縮および対応のコストの減少の面で先行技術とは異なっており、それにより、特にプリンテッド・エレクトロニクスに関し、例えばプリント回路基板の作製に関し、本発明が特に魅力的になる。
【0016】
本発明は、特に、例えば印刷製品の(例えば、用いられる印刷インキおよび/またはワニスの)関数として調節される圧電印刷ヘッドによる印刷パターンのレリーフインクジェット印刷のための技術に関する。
【0017】
本発明との関連で用いられるフィルムは、熱可塑性材料B、機能材料フィルムコーティングおよび運搬層を有する少なくとも1つの被着フィルムコーティングを含む。当業者は、この種のフィルムを「ギルディング箔」という表現によってなべて言及している。かくして、本発明との関連で用いられるギルディング箔(フィルム)は、数枚の互いに重ねられたフィルムコーティングから成り、かかるフィルムコーティングは、非限定的な例として、
‐材料Bを含む被着フィルムコーティング、
‐機能材料、例えばギルト、好ましくは導電性ギルトの少なくとも1つのフィルムコーティング、
‐オプションとしての保護フィルムコーティング、
‐オプションとしての剥離フィルムコーティング、および
‐他の層の運搬を可能にする少なくとも1つの運搬層を有する。
【0018】
本発明において用いられる「ギルディング」および「ギルディングすること」という用語は、金箔の使用には限定されず、任意の「ギルディング」装置を使用することができるということは当業者には明らかである。当然のことながら、これら用語は、あらゆる種類の装飾箔(金属箔とも呼ばれる場合がある)に及び、これらのうち、一例としてかつ非限定的な例として、アルミニウム、クロム、金、銀、銅、またはそれどころか光学的に活性の金属塩が挙げられる。一般に、カスタマイズされるべき基材に押しつけられるギルト箔が用いられ、本出願は、かくして、この用語によって、ギルディング装置の一般的な使用を示している。しかしながら、何らかの解釈上の問題を回避するため、本出願人は、本明細書および特許請求の範囲の記載において「フィルム」(とりわけ、機能材料フィルムコーティングを含む)という用語を用いることを好んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一観点による1つまたは2つ以上の組をなすピンチロールを示す図である。
【
図2】本発明の別の観点による1つまたは2つ以上の加圧ローラを示す図である。
【
図3】印刷ステーションおよびフィルム堆積ステーションを利用する本発明の方法の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
結果として印刷製品とフィルム被着フィルムコーティングとの(特に、印刷製品の材料Aとフィルム被着フィルムコーティングの材料Bとの)選択的同時付着が得られるようにする圧力および温度条件下における基材上へのフィルムの被着ステップを任意適当な方法に従って実施することができる。一例として、
‐
図1に示されているような1つまたは2つ以上の組をなすピンチロール、
‐
図2に記載されているような1つまたは2つ以上の加圧ローラが挙げられる。
【0021】
図3は、印刷ステーションおよびフィルム堆積ステーションを備えた本発明の方法の実施形態を示している。
【0022】
フィルム‐組成および特性
【0023】
本発明との関連で用いられるフィルムは、好ましくは、非限定的なかつ非網羅的な例として、覆われるべき基材への取り付けの順序において、
‐材料Bを有する被着フィルムコーティング、
‐次に、機能材料、例えばギルト、好ましくは導電性ギルトの少なくとも1つのフィルムコーティング、
‐次に、オプションとしての保護フィルムコーティング、
‐次に、オプションとして剥離フィルムコーティング、および
‐最後に、他の層の運搬を可能にする少なくとも1つの運搬層を有する
数枚の互いに重ね合わされたフィルムコーティングから成る。
【0024】
本発明との関連で用いられるフィルムは、一般に、基材の横方向寸法に実質的に等しい幅を備えたロールの形態で提供される。
【0025】
運搬層
【0026】
運搬層は、本発明に従って、フィルムおよび特に機能材料のフィルムコーティングおよび被着フィルムコーティングの他の構成要素としての層の運搬を可能にする。その役割は、かくして、主として、フィルムの他の構成要素としての層を被着フィルムコーティングおよび本発明による機能材料のフィルムコーティングの最終の堆積物への運搬の役割である。
【0027】
この層の厚さは、一般に5~50μmである。大きな厚さは、熱伝達を制限して転写度を阻害する傾向を有する。小さな厚さは、張力管理における多くの問題を生じさせる。非限定的な例として、運搬層は、ポリエステル(PET)フィルムで構成されるのが良い。PETフィルムは、同時押し出しされても良く、種々の構造を有しても良く、表面処理などされても良い。
【0028】
表面処理は、コロナ、プラズマ、シリコーン、アクリル樹脂、ポリエステルなどを含むのが良い。
【0029】
PETフィルムは、これらの性状に応じて、多少の効果的な広がりを可能にするとともにさらにフィルムの下側の層との異なる付着を可能にする。
【0030】
剥離フィルムコーティング
【0031】
剥離フィルムコーティング(オプションであるが好ましい)(または剥離層)により、その使用中におけるフィルムの残部からの運搬層の剥離を最適化することができる。このフィルムコーティングの基本重量は、一般的に定量化可能ではなく、と言うのは、その厚さは、好ましくは、0.1μm未満だからである。
【0032】
ある特定の温度および圧力を加えている間、その融点を超えることにより、層の一部分が流動化して気化し、かくして剥離部が生じる。剥離フィルムコーティングのトレースは、その性状に応じて、運搬層(例えば、PET)上にあるか、下に配置された層の表面上または2つの層上のいずれかにある。
【0033】
本発明では、剥離フィルムコーティングの残部は、優先的に、機能層のフィルムコーティングの表面を汚染しないように運搬層(例えば、PET)上に位置する。本発明の特定の一実施形態では、剥離フィルムコーティングは、導電性材料、例えば導電性ポリマーを含むとともに/あるいは導電性材料、例えば導電性ポリマーから成り、確かに、この特定の実施形態では、剥離フィルムコーティングによる機能層のフィルムコーティングの汚染は、所望の導電率に有害な影響を及ぼさない。
【0034】
剥離フィルムコーティングはまた、有利には、溶剤溶解性ワックス、エマルジョン中のワックス、天然ワックス、シリコーンワックスおよび/または合成ワックスなどを含みおよび/または溶剤溶解性ワックス、エマルジョン中のワックス、天然ワックス、シリコーンワックスおよび/または合成ワックスなどから成る。
【0035】
非限定的な例示として、剥離フィルムコーティングは、従来の印刷技術、例えば、グラビア印刷または反転グラビア印刷、および/またはフレキソグラフィなどによって被覆されるのが良い。
【0036】
保護フィルムコーティング
【0037】
(オプションとしての)保護フィルムコーティングはまた、ラッカー塗りフィルムコーティングおよび/または着色フィルムコーティングとも呼ばれる(と言うのは、保護フィルムコーティングは、任意種類の染料および/または顔料および/またはつや消し剤または光沢剤をさらに含む場合があるからである)。この保護フィルムコーティングは、これら多くの特性が化学的および/または物理的な抵抗特性であれいずれにせよ、所望の使用の関数として多くの特性によって特徴付け可能である。このフィルムコーティングは、2成分ワニス、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ヒドロキシル化樹脂、および/またはセルロースを主成分とする誘導体などで構成される。保護フィルムコーティングの構成材料のこれら全ての系統は、一般に、有機ポリマーであり、有機ポリマーは、かくして、絶縁体とみなされる。かくして、本発明の特定の一実施形態によれば、機能材料のフィルムコーティングの導電性特徴を保ち、かくしてその絶縁を回避するために保護フィルムコーティングを備えていない。本発明の特定の一実施形態では、保護フィルムコーティングは、導電性材料、例えば導電性ポリマーを含むとともに/あるいは導電性材料、例えば導電性ポリマーから成り、確かに、この特定の実施形態では、保護フィルムコーティングは、所望の導電率に有害な影響を及ぼさない。通常、この層の厚さは、多くの場合、2μm~3μmのおおよその値である。
【0038】
全ての市販のフィルムは、非導電性ポリマーを主成分とする保護層を有し、それにより、フィルムは、導電が望ましい任意の使用にとって不適切になり、と言うのは、この結果は、電流を循環させることが不可能であるということにある。
【0039】
非限定的な例示として、保護フィルムコーティングは、従来の印刷技術、例えばグラビア印刷または反転グラビア印刷、および/またはフレキソグラフィなどによって被覆されるのが良い。
【0040】
機能材料のフィルムコーティング
【0041】
本発明の特定の一実施形態では、機能材料のフィルムコーティングに望ましい原理的な役割は、その導電率である。後者は、事実、プリンテッド・エレクトロニクス市場に適した値に達しなければならない。例示として、機能材料のフィルムコーティングは、1Ω/平方(オーム平方)未満のシート抵抗によって特徴付け可能であり、これは、特にOLED分野にとって適切である。このシート抵抗は、任意の適当な方法によって測定可能であり、すなわち、一例として、電流を点1,4相互間に送る発電機を用いてこの測定を行うことができる4点方法が挙げられ、点2,3相互間で循環する電圧が同時に測定される。この場合、オームの法則である電圧=抵抗×強度を適用すれば十分であり、その目的は、点2,3相互間の抵抗を得ることにある。
【0042】
かくして、このフィルムコーティングは、有利には、任意の導電性材料を含むとともに/あるいは任意の導電性材料から成る。例えば、このフィルムコーティングは、幾つかの技術、例えばスパッタリング、Eビーム、および/または真空熱蒸発法などによって蒸着された種々の金属で構成されるのが良い。かかる用途の候補金属は、例示として、銅、銀、錫、クロム、金、アルミニウムおよび/または合金などである。
【0043】
かくして、本発明の好ましい一実施形態によれば、機能材料のフィルムコーティングの機能材料は、導電性であり、これは、有利には、銅および/または銀、および/または錫および/またはクロムおよび/または金および/またはアルミニウム、および/または導電性合金を含むとともに/あるいは銅および/または銀、および/または錫および/またはクロムおよび/または金および/またはアルミニウム、および/または導電性合金から成るのが良い。
【0044】
商用フィルム中の機能材料のフィルムコーティングの厚さは、一般に100nm未満である。本発明の特定の一実施形態によれば、機能材料のフィルムコーティングは、許容可能な導電率を保証するためには少なくとも200nm、例えば少なくとも500nmの厚さを有し、一般にこの厚さは、上限が3μmであり、ただし、これよりも大きな厚さを計画することができる。機能材料のフィルムコーティングの厚さを増大させることにより、フィルムの脆弱さの問題が事実上生じる場合があり、というのは、金属材料は、ポリマーを構成する有機マトリックスと同じほど柔軟性ではないからである。
【0045】
本発明の特定の一実施形態によれば、機能材料のフィルムコーティングは、導電性ポリマーから成る。この形態では、その厚さは、好ましくは、最小の導電率を保証するためには1μmから3μmまでの範囲にある。非限定的な例示として、導電性ポリマーの機能材料のフィルムコーティングは、従来の印刷技術、例えばグラビア印刷または反転グラビア印刷、および/またはフレキソグラフィなどによって被覆されるのが良い。
【0046】
本発明の特定の一実施形態によれば、機能材料のフィルムコーティングは、100Ω未満、例えば50Ω未満、好ましくは5Ω未満の抵抗によって特徴付けられる。この抵抗を任意適当な方法によって測定することができ、例示として、オームモードでのマルチメータの使用が挙げられる。これにより、表面の抵抗を測定することができる。
【0047】
被着フィルムコーティング
【0048】
一般に低温条件下において実施される予備印刷パターンのギルディングの分野で今日までにおいて知られているフィルム被着においてたいていの場合に存在しない被着フィルムコーティングは、本発明において必要不可欠である。その厚さは、一般に、2~10μmである。
【0049】
本発明の必要不可欠な特徴は、被着フィルムコーティングが熱可塑性材料B、例えば1つまたは2つ以上の熱可塑性ポリマーを含むとともに/あるいは熱可塑性材料B、例えば1つまたは2つ以上の熱可塑性ポリマーから成るということにある。本発明の特定の一実施形態では、被着フィルムコーティングは、少なくとも50重量%、例えば少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%の熱可塑性材料Bを含む。この熱可塑性材料Bは、1つまたは2つ以上の熱可塑性化学成分、例えば2つまたは3つ以上の熱可塑性樹脂/ポリマーから成るのが良い。
【0050】
本発明の特定の一実施形態によれば、被着フィルムコーティングは、かくして、熱可塑性材料B(例えば、熱可塑性ポリマーB)のマトリックスを有するとともにガラス転移温度Tgによって特徴付けられ、その結果、このフィルムコーティングは、
‐周囲温度では触れると乾いており、そして
‐熱活性化可能であり、すなわち、このフィルムコーティングは、被着フィルムコーティング(および、なおさら、被着フィルムコーティングが含む材料B)が延性/展性になり、かくして処理温度(および特にフィルム被着ステーションにおいてフィルムの被着ステップ中の被着温度)がこのTgよりも高いときに表面付着特性を生じる時点から始まる熱可塑性挙動を有する。
【0051】
かくして、本発明の特定の一実施形態では、熱可塑性材料Bは、0℃~200℃、例えば40℃~130℃、例えば60℃~130度、例えば80℃~120℃のTg値によって特徴付けられる。熱可塑性材料Bが2種類または3種類以上の熱可塑性化学成分の均質混合物から成る場合、これら成分の各々の個々のTg値は、重要ではなく、ただし、混合物のTgが確かに所望の値に一致していることを条件とし、かくして、熱可塑性材料Bは、40℃未満、またはそれどころか0℃未満および/または80℃を超え、またはそれどころか130℃を超えるTgを有する熱可塑性成分を許容することができ、ただし、この材料のTgが理想的な値の範囲内に含まれていることを条件とする。かくして、本発明の好ましい一実施形態では、熱可塑性材料Bは、40℃~80℃のTg温度によって特徴付けられる。
【0052】
本発明の特定の一実施形態では、材料Bに加えて、被着フィルムコーティングは、他の材料、例えば不活性材料(例えば、無機充填剤)をさらに含むのが良い。これら他の材料は一般に、被着フィルムコーティングを構成する材料全体のTgに及ぼす影響が少ないので、この被着フィルムコーティングのTgは、材料BのTgに極めて近い。
【0053】
本発明の特定の一実施形態では、被着フィルムコーティングは、0℃~200℃、例えば40℃~130℃、例えば60℃~130℃、例えば80℃~120℃のTg値によって特徴付けられる。被着フィルムコーティングのTgの測定は、有利には、本明細書において上述したDSC方法によって実施され、この測定に用いられるサンプルは、有利には、対応のフィルムの製造前の被着フィルムコーティングを構成する材料に由来するのが良い。本発明の好ましい一実施形態では、被着フィルムコーティングは、40℃~80℃のTg値によって特徴付けられる。
【0054】
本発明の特定の一実施形態では、被着フィルムコーティングの熱可塑性ポリマー(材料B)のマトリックスは、印刷製品の材料Aと特定の親和性を有する。この親和性を種々の仕方で反映させることができ、これらのうちの以下のものが例示として挙げられる。
‐材料Bが印刷製品の材料A中にも存在する化学的性質に属する1つ(または2つ以上)の樹脂を含むとともに/あるいはかかる1つ(または2つ以上)の樹脂から成ること、非限定的な例示として、この化学的性質は、求核基(酸素および/または窒素を含む)、ヒドロキシル基および/または含窒素基から選択され、かつ/または
‐これら樹脂のうちの少なくとも1つは、被着フィルムの材料Bと印刷製品の材料Aの両方中に存在し、これは、アクリル樹脂、例えば類似のかつ/あるいは同一のアクリル樹脂であり、かつ/あるいは
‐これら樹脂のうちの少なくとも1つは、被着フィルムの材料Bと印刷製品の材料Aの両方中に存在し、これは、ケトン樹脂、例えば類似のかつ/あるいは同一のケトン樹脂であり、かつ/あるいは
‐これら樹脂のうちの少なくとも1つは、被着フィルムの材料Bと印刷製品の材料Aの両方中に存在し、これは、アルデヒド樹脂、例えば類似のかつ/あるいは同一のアルデヒド樹脂であり、かつ/あるいは
‐成分のうちの少なくとも1つは、被着フィルムの材料Bと印刷製品の材料Aの両方中に存在し、これはセルロースを主成分とする形式のものであり、例えば、セルロースアセテートプロピネートおよび/またはセルロースアセテートブチレートおよび/またはセルロースアセテートおよび/またはニトロセルロースから成る成分である。
【0055】
本発明の特定の実施形態によれば、被着フィルムコーティングの熱可塑性ポリマー(材料B)のマトリックスは、溶媒相または水相ポリマーであるのが良い。
【0056】
この説明によって束縛されるものではないが、本出願人は、材料Aの成分のうちの少なくとも1つと材料Bの成分のうちの少なくとも1つとの間のこの共通の部分により、これら2つの材料を互いに接触させたときにこれらの固有の特徴および接触条件によって、これら2つの材料相互間の化学的親和性を生じさせることができる。この親和性は、選択的堆積の原因であり、と言うのは、材料Bを含む被着フィルムコーティングは、材料A上にのみ堆積し、基材上の残部には堆積しないからである。この共通の部分を統合することのないフィルムは、非選択的な仕方で基材の全体を汚染しあるいは基材上に全体が堆積され、あるいは、印刷製品のパターン上に正確かつ選択的に堆積されないかのいずれかであり、と言うのは、移着が実効的ではないからである。
【0057】
非限定的な例示として、被着フィルムコーティングは、従来の印刷技術、例えばグラビア印刷または反転グラビア印刷、および/またはフレキソグラフィなどによって被覆されるのが良い。
【0058】
印刷製品、材料A‐組成および特性
【0059】
本発明の必要不可欠な特徴は、印刷製品が熱可塑性材料A、例えば熱可塑性ポリマーA、およびオプションとして熱硬化性材料から成るということにある。基材上にあらかじめ印刷されたこの印刷製品は、将来のギルトのデザインを定める。そのフィルムは、組成の機能として、基材上に移りまたは移らない。フィルムと予備印刷パターンとの間における転写は、選択的であり、すなわち、パターンの高さ位置のところにおいてのみ(およびかくして予備印刷された印刷製品の高さ位置のところでのみ)転写にとって望ましくかつ基材上に直接位置しないことが必要不可欠である。
【0060】
非限定的な例示として、この印刷製品は、トナーおよび/またはインキおよび/またはワニスで構成されるのが良く、この印刷製品は、想定された用途に応じて絶縁性でありまたは導電性であるのが良い。
【0061】
非限定的な例示として、ワニスの場合、ワニスは、溶剤型、水性またはUV性状のものであって良い。ワニスがUV性状のものである場合、ワニスは、LEDおよび/または紫外線によって架橋されるのが良い。
【0062】
本発明の特定のかつ好ましい一実施形態によれば、印刷製品は、熱硬化性材料およびさらに熱可塑性材料Aを含むUVインキおよび/またはUVワニス型のものである。対応のインキ/ワニスが熱硬化性挙動を有するということを特徴付けるのは、この熱硬化性材料が存在していることにある。本発明の特定のかつ好ましい一実施形態によれば、予備印刷された印刷製品(およびかくして予備印刷パターン)は、フィルムへの接触前に架橋される。この結果、印刷製品のポリマーネットワーク(網目)が全ての光開始剤部位の反応によって三次元密度の面でその最適状態にあると言える。また、この結果、熱硬化性挙動が得られる場合があり、すなわち、最早ガラス転移温度Tgを示さず、破壊温度だけを示すワニスの熱硬化性部分が存在し、かくして、ワニス中に存在するこの熱硬化性ポリマーは、決して軟質にはならず、粘着性表面を生じさせることはなく、と言うのは、これは、触れると完全に乾いているからである。
【0063】
かくして、本発明の好ましいある特定の実施形態によれば、クレーム請求されている方法は、印刷製品を印刷するステップ後かつフィルムを被着させるステップ前において、印刷製品(インキおよび/またはワニス)を架橋させることができる活性化ステップ(例えば、UV光線による)を含む。
【0064】
印刷製品への熱可塑性材料Aの追加により、基材とフィルムとの選択的取り付けの目的を達成することができる。例示として、材料Aの選択は、印刷製品の挙動を変更し、この材料Aは、フィルム被着フィルムコーティング中に存在する材料Bに類似した化学的性質を有するとともに/あるいは材料Aは、インキおよび/またはワニスの場合、フィルム被着フィルムコーティング中に存在する材料Bの物理的特性に適した物理的特性(例えば、Tg)を有し、印刷製品は、部分的に熱可塑性になり、と言うのは、熱可塑性材料Aは、当初の熱硬化目的を有するポリマーネットワーク中に入り込むからである。かくして、予備印刷および好ましくは予備架橋印刷製品上へのフィルムの被着中、全部のかつ選択的な転写が、材料A,Bの親和性によってかつ接触状態により起こる。これらの観察はまた、トナーがインキ/ワニスに代えて選択される場合にも当てはまるが、トナーの特定の場合、本出願人は、熱硬化性材料の存在は、望ましい場合であっても、被着フィルムコーティングとトナーとの付着性を得る上では必須ではないことに気付いた。
【0065】
かくして、機能層の選択的堆積をとりわけ材料Aと材料Bのこの親和性によって実施することができる。かくして、クレーム請求されている方法に従って製造され、印刷製品および本発明のフィルムのこれらの層を有する装置であればどのようなものであっても、印刷製品材料およびフィルム被着フィルムコーティング材料を含む介在層の存在によって特徴付けられる。
【0066】
かくして、本発明の一実施形態によれば、印刷製品の熱可塑性材料Aは、
‐熱再活性化可能であり(すなわち、この熱可塑性材料は、熱可塑性挙動を有する)、かつ
‐延性/展性状態になるとともにフィルム被着ステーションにおいてフィルムを被着させるステップ中、表面密着性を生じる(これは、それ自体熱再活性化可能である)。
【0067】
かくして、これにより、処理温度(および特にフィルム被着ステーションにおけるフィルム被着ステップの実施中におけるフィルムの被着温度)が熱可塑性材料A,BのTgよりも高い場合、印刷製品と被着フィルムコーティングとの表面密着性を材料A,Bにより生じさせることが可能である。
【0068】
本発明の特定の一実施形態では、好ましくはインキ/ワニス型の印刷製品は、少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%の熱硬化性材料Aを含む。高濃度の熱可塑性材料Aを想定することができるとしても、好ましくはインキ/ワニス型の印刷製品は、好ましくは40重量%未満、例えば30重量%未満、好ましくは25重量%未満の熱可塑性材料Aを含む。
【0069】
かくして、本発明の特定の一実施形態では、好ましくはインキ/ワニス型の印刷製品は、少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも75重量%の熱硬化性材料を含む。
【0070】
かくして、ワニス/インキに特に利用できる本発明の一実施形態では、熱可塑性材料Aは、60℃未満、例えば50℃未満、好ましくは40℃未満のTg値によって特徴付けられる。本発明の特定の一実施形態では、本明細書において以下に詳細に説明するように、インキ/ワニス型の印刷製品の材料Aおよび被着フィルムコーティングの材料Bは、材料AのTgが材料BのTgよりも低いように選択される。
【0071】
インキ/ワニス型の印刷製品が制限された量に過ぎない熱可塑性材料Aを含むので、印刷製品のTgは、堆積(および架橋)後、印刷製品に含まれる熱可塑性材料AのTgとは異なる値を有することは明らかである。印刷製品がトナーの場合、その熱可塑性材料含有量は、一般に、50重量%を超える。
【0072】
本発明の特定の一実施形態は、印刷製品は、インキまたはワニスである。堆積/架橋後、ギルト箔で覆われるようになったこの印刷済み印刷製品は、有利には、-20℃~200℃、例えば0℃~200℃、例えば10℃~50℃、例えば15℃~40℃のTg値によって特徴付けられるフィルムコーティングの形態をしている。
【0073】
本発明の特定の一実施形態では、印刷用品は、トナーである。例えばエレクトロフォトグラフィー(電子写真)またはゼログラフィーによる堆積後、ギルト箔で覆われるようになったこの印刷済み印刷製品は、有利には、0℃~200℃、例えば40℃~120℃、例えば50℃~120℃、例えば65℃~90℃のTg値によって特徴付けられるフィルムコーティングの形態をしている。本発明の好ましい一実施形態では、印刷製品がトナーである場合、対応の印刷済みフィルムコーティングは、40℃~70℃のTg値によって特徴付けられる。
【0074】
印刷済み/(架橋済み)印刷製品(ワニス/インキ/トナー)のフィルムコーティングのTgの測定は、有利には、本明細書において上述したDSC方法によって実施され、この測定の用いられるサンプルは、有利には、印刷および架橋後に印刷製品を構成する材料に由来するのが良い。本発明の特定の一実施形態では、本明細書において以下に詳細に説明するように、印刷製品および被着フィルムコーティングは、好ましくは、印刷製品のTgがインクフィルムコーティングのTgよりも低いという特徴を有する。
【0075】
パターンの印刷‐条件
【0076】
かくして、本発明は、クレーム請求された方法によりパターン印刷製品に選択的に同時にくっつけられ、かくして機能材料のフィルムコーティングにより、このパターンに従って機能材料のトレースを形成するフィルム被着フィルムコーティングを含む基材を得ることができる。パターン(印刷製品の)は、任意適当な方法によって印刷できる。非限定的な例示として、スクリーン印刷、インクジェット印刷、エレクトログラフィーまたはゼログラフィーなどが挙げられる。本発明の特定のかつ好ましい一実施形態によれば、印刷製品は、例えばインクジェット印刷またはエレクトロフォトグラフィーまたはゼログラフィー印刷によって、好ましくはインクジェット印刷によってディジタル方式で印刷される。このインクジェット印刷により、オプションとして、印刷製品の組成、特に材料Aの存否に応じて、機能材料のフィルムコーティング(例えば、ギルトフィルム)で覆われるようになった領域をレリーフ状態で印刷することができる。かくして、ギルトは、選択的に堆積される。ワニス/インキのインクジェット印刷は、当業者には周知である。トナーのエレクトロフォトグラフィーまたはゼログラフィーもまた、当業者には周知である。
【0077】
これらの領域(およびかくしてパターン)は、有利には、任意の種類の形態、例えばプリント回路基板、ポイント、文字および/または任意種類の任意他の幾何学的形態であって良く、これら領域(およびかくしてパターン)は、種々の材料、例えばインキおよび/またはワニスおよび/またはトナーから成るのが良い。
【0078】
印刷済みの印刷製品の厚さは、有利には、非常に様々であるといえ、非限定的な例示として、5μm~200μmの厚さが挙げられる。
【0079】
事実、パターンおよびかくしてギルト箔で覆われるようになった領域のレリーフは、好ましくは、約1ミクロン、好ましくは5ミクロン超、またはそれどころか10ミクロン超の厚さを表わす。この厚さ(先に基材上に堆積された材料であればどのようなものであっても良く、例えばワニスおよび/またはインキの厚さ)は、一般に、レリーフ印刷については1ミリメートル未満である。しかしながら、本発明は、3D技術によって、例えばインクジェット(および/またはワニス)印刷によって、最高数センチメートルまでの範囲にある場合があり、例えば2cm未満の厚さを有する連続した層が印刷されている基材にも利用できる。
【0080】
基材は、多数の材料から選択されるのが良く、基材は、標準型印刷および/またはカスタマイジング装置で用いられる場合の多い材料、例えば紙、厚紙およびプラスチック基材に限定されるものとみなすことはできない。非限定的な例として、金属、紙、不織布、プラスチック、例えばメタクリルコポリマー樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、および/またはポリ塩化ビニル、またはセルロースを主成分とする形式の材料、例えば木材、プライウッドまたは結晶材料、例えばガラスまたはセラミック、例えばこれら成分のうちの1つまたは2つ以上を含む複合材料、例えば牛乳パックが挙げられる。
【0081】
本発明によれば、基材(箔、カードなど)は、一般に、長方形または正方形の形をしている。この箔は、一般に、印刷機内で基材を運搬するシステムにより、長手方向軸線に沿って差し向けられた運搬経路に沿って、印刷可能および/またはカスタマイズ可能な基材を供給する少なくとも1つのエントリーマガジンから印刷されるとともに/あるいはカスタマイズされ、かくして本発明に従って機能材料のトレースで覆われた基材を受け取る少なくとも1つの出口マガジンまで動く。基材の「側縁」は、この長手方向軸線の各側に配置される2つの縁であり、前縁および/または後縁は、その横方向縁である。基材は、ロール・トゥ・ロール(roll-to-roll)型の機械内においてロールの形をしていても良い。
【0082】
フィルムの被着
【0083】
印刷製品とフィルム被着フィルムコーティングとの(特に、印刷製品の材料Aとフィルム被着フィルムコーティングの材料Bとの)選択的同時付着をもたらす圧力および温度条件下においてフィルムを基材に被着させるステップを任意適当な方法に従って実施することができ、例示として、
‐フィルムを基材上に押しつける1枚または2枚以上のプレート、
‐
図1に示されているような1つまたは2つ以上の組をなすはさみローラ、
‐
図2に示されているような1つまたは2つ以上の加圧ローラの使用が挙げられる。
【0084】
かくして、このステップは、これが基材上への機能材料のトレースの位置決めを状態調節するので必要不可欠である。
【0085】
かくして、圧力および温度条件は、有利には、印刷製品および被着フィルムコーティングにそれぞれ用いられる材料A,Bの関数として選択される。
【0086】
例示として、フィルム被着温度は、有利には、0℃~200℃、例えば70℃~190℃、例えば、110℃~150℃である。本発明の特定の一実施形態では、フィルム被着温度は、印刷製品と被着フィルムコーティングを接触させて加熱する接触時間の関数としても選択される。比較的短い接触時間(例えば、1秒未満)を促進することが試みられるので、フィルム被着温度は、有利には、被着フィルムコーティングおよびワニス/インキ/トナーフィルムコーティングの最も高いTgよりも少なくとも25℃高く、例えば、このTgよりも少なくとも40℃高く、またはそれどころかこのTgよりも少なくとも60℃高くなければならないことが注目されており、これらの観察ならびに被着フィルムコーティングおよびワニス/インキ/トナーフィルムコーティングのTgの結果として、フィルム被着温度は、130℃~170℃が好ましい。
【0087】
また、本発明を例示の仕方でかつ
図3のその実施形態のうちの1つに従って説明する。
図3において、この図の左側部分に、本発明のギルディンググループを見ることが可能であり、このギルディンググループは、この図の右側部分に表示されている印刷ステーションの下流側に位置する。かくして、基材は、右側から左側に動く。一例を挙げると、基材は、有利には、紙、扁平な厚紙、段ボールおよび/または微小波形厚紙、および/またはプラスチックから成るのが良い。基材は、ロール・トゥ・ロールまたはフォイル・トゥ・フォイル(foil-to-foil)型のものであっても良い。基材がロール、スクリーン印刷スクリーン、および/またはインクジェットヘッドなどであるのが良い印刷ステーションの下を通過しているとき、所望のパターンが材料Aを含むワニス/インキまたはトナーによって印刷される。インクジェットヘッドの場合、ワニスは、極めて低い粘度を有することによってこの種の用途に適したものでなければならない。印刷厚さは、有利には、大多数の場合、5μmから100μmまでの範囲にあるのが良く、この印刷厚さは、それにもかかわらず、数百ミクロンに達することができる。
【0088】
次に、印刷パターン(例えばインキ/ワニス)をその構造およびその反応部位によって許容されるその三次元密度の最大値まで架橋し、これを乾燥手段(図の中央に表わされている)、例えば、物理的放射線、赤外線、紫外線、LEDなどの乾燥手段によって実施できる。印刷パターンは、一般に、この乾燥/架橋ステップ後においては、表面粘着性ではない。
【0089】
この図のギルディンググループは、互いに反対側に設置されるとともに例えば互いに逆方向に回転する少なくとも2つのローラ(好ましくは電動式)から成り、これらのローラの間隔または距離は、種々の基材厚さに適合するよう調節可能であり、本発明の好ましい一実施形態によれば、この調節は、基材の厚さだけでなく先に基材上に印刷された印刷製品(例えば、インキおよび/またはワニス)の厚さを考慮に入れており、さらに、オプションとして、フィルムの厚さおよびかくしてギルディンググループによって堆積ギルト箔のフィルムコーティングの厚さを考慮に入れている。本発明の特定の一実施形態によれば、対抗したローラ相互間の隙間は、電動機によって変えられるとともに動的に制御されるのが良い。本発明の特定のかつ好ましい一実施形態によれば、上側ローラの表面は、下側ローラの表面とは異なっており、具体的に言えば、上側ローラの表面は、下側ローラの表面よりも圧縮性が高い。一例として、上側ローラは、これが印刷製品の印刷パターンの形状に厳密に合致することができるようにする圧縮性材料を表面のところに有し、これに対し、下側ローラは、これよりも硬質の、例えば非圧縮性の材料から成る。本発明の特定の一実施形態によれば、上側ローラは、材料A,Bの各々のガラス転移温度Tgだけでなく、印刷/(架橋)印刷製品およびギルトフィルムの被着のためのフィルムコーティングのガラス転移温度Tgに達することができるようにする加熱装置(またはそれどころかTg値に応じて冷却装置)を有する。
【0090】
本発明の特定の一実施形態によれば、ギルディング(またはフィルム被着)グループは、印刷機を減速させないよう印刷ステーション下における基材の速度以上の直線速度(ローラの表面のところ)で動作する。
【0091】
ギルディンググループ制御特徴が例示として以下において与えられており、すなわち、かかる特徴は、調節可能な圧力(例えば、1~10bar、好ましくは1barよりも高い動作圧力による)、および/または調節可能な速度、および/または調節可能な温度(例えば、250℃、例えば0℃~200℃、例えば70℃~190℃、例えば130℃~170℃、例えば110℃~150℃、例えば120℃~140℃の最大動作温度)、および/または50~95ショアAコードの上側ローラの被膜の硬度である。
【0092】
印刷済み(架橋済み)パターンをローラの下に通すことにより、材料Aを含む予備印刷パターンを材料Aおよび材料Aを含む架橋済み印刷製品のTgよりも高い温度に加熱することができる。材料Aの熱可塑性により、その軟化が可能である。同じことは被着フィルムコーティングの材料Bについて当てはまる。このように軟化された2つの材料は、「オープン」とみなされる場合があり、かくして、類似の材料の付着が可能である。各材料の自由グループ(例えば、ヒドロキシル化グループ)およびさらに不飽和は、材料相互間の共有結合型の化学結合を生じさせる。かくして、材料Bの材料Aへの結合が促進されると同時に、基材の非予備印刷部分への被着フィルムコーティングの結合が回避される。堆積は、かくして、「選択的」と呼ばれる。
【0093】
本発明の特定の一実施形態によれば、基材からの箔(フィルム)の取り剥がしは、実用的には、フィルムが考えられる限り最適の転写条件下にあるように依然として高温状態にあるときに実施される。フィルムの剥がし中におけるオープン角度の存在により、良好な細かさを得ることができる一方で、貧弱に定められる輪郭を回避することができる。
【0094】
有利には、本発明との関連で使用できる特定のフィルム組成が非限定的な例示として以下に期待されている。
【0095】
好ましい厚さが15μm~24μm(例えば19μm)のPETから成る運搬層は、機械的性質とフィルムの被着中に熱を伝導するその能力との最適な妥協策となっている。
【0096】
剥離フィルムコーティングは、有利には、ワックス、例えば融点が好ましくは60℃~110℃(例えば、約85℃)のカルナバ型の天然ワックスから成る。かくして、条件によれば、フィルム被着温度が堆積中、120℃~140℃に達すると、ワックスは、気化される。このワックスは、フィルムの層相互間で極めて薄い(ナノメートルスケールの)リンクであるので、その状態変化により、フィルムの残部に対する運搬層の剥離が生じる。
【0097】
保護フィルムコーティングは、有利には、PMMA型のヒドロキシル化アクリルポリマーおよび誘導体で構成されるのが良い。この技術は、最も一般的には、ヒドロキシル化ポリマーとイソシアネート基を含む樹脂との2成分反応に基づいている。この反応により、機械的強度特性および化学的抵抗特性を向上させる目的でポリマーネットワークを高密度化することが可能である。この層が導電性であるようにするためには、PEDOT:PSS型のポリマーが有利には、マトリックス中に導入される(以下の実施例を参照されたい)。
【化1】
イソシアネート ポリオール ポリウレタン
【0098】
ただし、R1およびR2は、多少長い炭化水素系の鎖である。
【0099】
50%のPMMAアクリル樹脂、20%のイソシアネート、および30%のPEDOT:PSSの組成が意図した強度/抵抗および導電率特性を得ることを目的とした場合の良好なバランスである。
【0100】
機能材料のフィルムコーティングは、幾つかの性状を有するのが良い。最も効果的な実施例は、金属の性質である。アルミニウムは相変わらず、銀および銅と比較して、性能と価格との最適妥協策の選択肢のままである。機能材料は、PVD技術によって蒸着された約1μmのアルミニウムの堆積物で構成されているのが良い。この真空蒸発方法は、薄い層の蒸着技術であり、気化材料は、フィルム/基材上に一様に堆積されるようになっている。機能材料のこのフィルムコーティング(薄膜)について得られる抵抗値は、有利には、0.3Ω~10kΩであるのが良い。機能材料のフィルムコーティングの厚さは、所望の用途の関数として選択され、本出願人は、機能材料フィルムコーティング厚さが50nmから約1ミクロンまでの範囲にある状態でその方法を開発使用とした。100nmを超え、例えば150nmを超え、200nmを超え、300nmを超え、400nmを超え、500nmを超える厚さを有利に生じさせて本発明との関連で試験した。かくして、チップレス無線認証(RFID)タグ用途において以下に説明するように、250nmを超え、またはそれどころか400nmを超え、またはそれどころか500nmを超える機能材料フィルムコーティング厚さを得ることは、これらの新たな用途への道筋を開拓した。
【0101】
被着フィルムコーティング(材料Bを含むとともに/あるいは材料Bから成る)は、有利には、ヒドロキシル化アクリル樹脂およびポリエステル樹脂、およびさらにニトロセルロースおよび充填剤で構成されるのが良い。アクリル樹脂およびポリエステル樹脂がヒドロキシル化されるとともに/あるいはカルボキシル化された場合の利点は、材料A型(印刷製品に由来している)の接触インターフェースとの化学結合を促進する結合部位が形成されることにある。効果的な調合物は、40%のヒドロキシル化アクリル樹脂、30%のヒドロキシル化ポリエステル樹脂、20%のニトロセルロース、および10%のシリカ型充填剤(重量百分率)で構成されるのが良い。最終の調合物は、好ましくは、輪転グラビア印刷(rotogravure)により被着された15重量%~30重量%の固形分を含む溶媒層である。40℃から80℃までの範囲にわたる材料BのTgを得ることが賢明である。
【0102】
印刷製品は、有利には、UVインクジェットワニスであるのが良い。その主要な特徴は、5mPa.s~70mPa.s、例えば10mPa.s~50mPa.sの低い粘度である。印刷製品は、数個のモノマー、例えばジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、またはトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)で構成されるのが良く、モノマー部分は、好ましくは、少なくとも50重量%、例えば60重量%の印刷製品の組成物を表わしている。架橋を開始させることができる光開始剤部分は、好ましくは、10重量%~25重量%、例えば20重量%の印刷製品の組成物であり、これは、有利には、アルファ‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびアルファ‐ヒドロキシケトンで構成される。材料Aは、好ましくは15重量%~30重量%、例えば20重量%の印刷製品の組成物であり、これは、ヒドロキシル化アクリル樹脂であるのが良く、そのTgは極めて低く、例えば50℃未満、例えば40℃未満、またはそれどころか20℃未満である。
【0103】
かくして、目的は、印刷済み/(架橋済み)印刷製品と被着フィルムコーティングの両方を接触させた時点で、これらのそれぞれの温度Tgを超えることによって再活性化することにあり、これにより、2つの材料相互間の結合部を生じさせるとともに例えばヒドロキシル基により、材料Aの樹脂と材料Bの樹脂の所望の付着を可能にすることができる。
【0104】
ワニス/インキに関する特定の一実施形態では、印刷済み/架橋済み印刷製品を温度がかかる印刷済み/架橋済み印刷製品の温度増加がTgに達するやいなや、最初に再活性化させ、次に温度が被着フィルムコーティングのTgに達するようにし、それにより印刷製品と被着フィルムコーティングの材料Bの付着を可能にする。
【0105】
材料Aおよび材料Bの相互作用
【0106】
上述した温度範囲により、材料A,B、特に印刷製品および被着フィルムコーティングをこれらのそれぞれのガラス転移温度Tgを超えることにより僅かに軟化させることができる。これら条件は、材料A,Bの化学結合の生成およびかくして基材とフィルムの改良された選択的結合を可能にするよう選択され、これら条件はまた、温度暴走/増加を回避するよう制御され、それにより、
‐被着フィルムコーティング中に存在する材料B(およびさらにフィルムコーティングそれ自体)が粘着すぎるほど/溶融状態になるのを阻止し、それにより材料Aを含む印刷製品の非予備印刷領域中の基材への直接的な被着フィルムコーティングの付着を阻止することができるようにし、
‐被着フィルムコーティング中に存在する材料A(およびさらに印刷済み/架橋済み印刷製品それ自体)が粘着すぎるほど/溶融状態になるのを阻止し、それにより印刷パターンがこの細かさをなくして大きすぎ、したがってある適当な使用、例えばプリンテッド・エレクトロニクスに不向きである機能材料のトレースを生じさせるのを阻止することができるようにする。
【0107】
本発明の特定の一実施形態によれば、この実施形態は、ワニス/インキに特に適しており、印刷製品の材料Aおよび被着フィルムコーティングの材料Bは、材料AのTg(Tg[A])が材料BのTg(Tg[B])よりも低く、好ましくは、Tg[A]が0.9Tg[B]よりも低く、またはそれどころか0.8Tg[B]よりも低く、例えば0.7Tg[B]よりも低く、例えば0.5Tg[B]よりも低いように選択される。
【0108】
本発明の特定の一実施形態によれば、この実施形態は、ワニス/インキに特に適しており、印刷製品の材料Aおよび被着フィルムコーティングの材料Bは、材料Aを含む(印刷済み/架橋済み)印刷製品のTgが材料Bを含む被着フィルムコーティングのTgよりも低く、好ましくは、Tg((印刷済み/架橋済み)印刷製品)が0.95Tg(被着フィルムコーティング)よりも低く、またはそれどころか0.9Tg(被着フィルムコーティング)よりも低く、例えば0.85Tg(被着フィルムコーティング)よりも低いように選択される。
【0109】
本発明の特定の一実施形態によれば、この実施形態は、トナーに特に適しており、印刷製品の材料Aおよび被着フィルムコーティングの材料Bは、材料Aを含む(印刷済み)印刷製品のTgと材料Bを含む被着フィルムコーティングのTgとの温度差が30℃未満であり、これが例えば、35℃から75℃までの温度値の範囲にあるように選択される。
【0110】
本発明の特定の一実施形態によれば、印刷製品の材料Aおよび被着フィルムコーティングの材料Bは、これらが同一の化学的性質を有するよう選択され、非限定的な例示を挙げると、この化学的性質は、求核基(酸素および/または窒素を含む)、ヒドロキシル基および/または含窒素基から選択される。これにより、原子相互間の200kJ/molを超える共有結合形式の化学結合の形成が促進され、その目的は、印刷済み/架橋済み印刷製品の表面と被着フィルムコーティングの表面との付着性を促進することにある。
【0111】
本発明の特定の一実施形態によれば、本出願人は、予想外のこととして、印刷後でありかつフィルムの被着前において、印刷製品の温度を制御することによってこの方法の被着性能レベルを最適化することができるということを発見した。かくして、本発明の好ましい一実施形態では、下記の条件のうちの1つまたは2つ以上がクレーム請求されている方法に適応され、かかる条件は、
‐印刷製品を印刷するステップとフィルムを被着させるステップとの間の印刷済み印刷製品の温度が35℃を超え、例えば40℃を超え、好ましくは45℃を超える温度に維持されること、および/または、
‐印刷製品を架橋するステップとフィルムを被着させるステップとの間の印刷済みかつ架橋済み印刷製品の温度が35℃を超え、例えば40℃を超え、好ましくは45℃を超える温度に維持されることである。
【0112】
しかしながら、これが好ましい実施形態を表わしていないとしても、本発明の方法はまた、フィルムを被着させるステップを、印刷製品を印刷するステップに対してずらされた(時間または空間に関して)仕方で実施する場合に及んでいることが明らかである。
【0113】
本発明の特定の一実施形態によれば、クレーム請求されている方法は、導電性機能材料のトレースを堆積させる方法であり、このクレーム請求されている方法は、印刷機内で絶縁トレースを単一のパスで印刷する方法をさらに含む。かくして、クレーム請求されている方法は、被着フィルムコーティングおよびかくして上述の導電性機能材料の結合の目的に従って材料Aを含む第1の印刷製品のパターンの印刷だけでなく、用いられる第1の印刷製品とは異なる第2の印刷製品の印刷をも含み、この第2の印刷製品は、導電性の面で第2の印刷製品上に絶縁特性を与えるような仕方で選択される。第2の印刷製品は、その絶縁特性以外にも、フィルム被着フィルムコーティングとの結合を阻止するように選択され、かくして、一例を挙げると第2の印刷製品は、好ましくは、被着フィルムコーティングの材料Bとの親和性の実現を回避するよう化学的性質および/または物理化学的性質の面で、材料Aに類似した任意他の材料を含まない。非限定的な一例として、第2の印刷製品は、熱硬化性ワニス(または熱硬化性であることが意図されたワニス)、好ましくはUV熱硬化性から選択され、これらワニスには、さらに好ましくは、基材上のフィルムの被着温度以下のTgを有する任意の熱可塑性ポリマーが含まれていない。この種の方法は、(導電性および/または絶縁性)箔化可能ワニスおよび(導電性および/または絶縁性)非箔化ワニスの使用により、プリンテッド・エレクトロニクスのための有利な利用分野を開拓し、この場合、絶縁性および/または導電性トレースをクライアントの要件に応じて、印刷機械内で1回のパスで印刷するという可能性が得られる。
【0114】
連続した導電性インクジェット
【0115】
本発明の特定の一実施形態によれば、クレーム請求されている方法は、パターンを印刷するステップおよびこのパターンに従って機能材料のトレースを堆積させるステップを含むだけでなく、少なくとも部分的にトレース上にまたはもっぱら堆積した機能材料のトレース上に導電性印刷製品をインクジェット印刷により印刷する次の追加のステップを含む。かくして、一例を挙げると、本発明により、機能材料のフィルムコーティングの被着後にインクジェットワニスを導電性トレースの表面のところに追加することができる。この導電性ワニスについては多くの利点があり、と言うのは、それにより高い導電率を保つと同時に表面ワニスの機械的強度および化学的抵抗特性を提供することができるからである。導電性ワニスは、エレクトロニクス分野において見受けられる場合のある問題に完全に対応する。
【0116】
この追加の印刷製品は、有利には、導電性ポリマー、例えばポリピロール、ポリアニリン、PEDOT:PSS、ポリアセチレンおよびその誘導体などで構成されたワニスから選択されるのが良い。この導電率を向上させるため、金属または炭素を主成分とする充填剤の追加もまた可能である。例示として、導電性ナノ粒子、例えば銀、銅および/または金ナノ粒子を利用した導電性インキもまた挙げられる。
【0117】
これら導電性配合物は、種々の溶剤利用性、水性またはUV性のものであるのが良く、その乾燥は、UVもしくはLED放射線によってまたは熱もしくはIR乾燥によっても可能である。
【0118】
チップレスRFIDタグ
【0119】
本発明に従って説明されるとともにクレーム請求されている方法は、プリンテッド・エレクトロニクスにとって、特にチップレス無線認証(RFID)タグ(RFIDタグとも呼ばれている)および特に電磁波エミッタ‐レシーバによって読み取り可能な識別コードの生成によって特徴付けられる無線認証タグの作製にとって特に魅力的でありかつ効率的であることが判明した。したがって、この種のチップレスRFIDタグは、集積回路を必要とせず、あるいは別々の電子部品、例えばトランジスタおよび/またはコイルおよび/またはキャパシタおよび/またはアンテナを必要としない。例示として、本発明に従って説明されるとともにクレーム請求されている方法によって作られた導電性経路の特定の幾何学的形状を有するチップレスRFIDタグ(導電性である機能材料のフィルムコーティングを含む)の作製が挙げられ、導電性経路のこの特定の幾何学的形状は、例示として、誘電体支持体上に形成された複数の別々の互いに平行な導電性ストリップから成り、この場合、導電性ブリッジが隣接の導電性ストリップを互いに接続し、導電性ブリッジは、導電性ストリップ相互間において、別々の長さの誘電体ストリップの部分を画定し、誘電体ストリップ部分は、タグの共振周波数を定め、タグの共振周波数の全ては、電磁波エミッタ‐レシーバによって読み取り可能な識別コードを定める。かくして、好ましい一具体化例では、導電性経路の幾何学的形状は、有利には、印刷製品(これは、例えば絶縁性である)の無接触印刷技術(例えば、圧電型印刷ヘッドによるインキ/ワニスのディジタルインクジェット印刷またはエレクトロフォトグラフィーまたはゼログラフィーによるトナーのディジタル印刷)、次に導電性機能材料ギルディング技術によって任意の基材上に作られる。上述のブリッジおよびストリップは、かくして、同一のギルト箔によって作製できる。本発明の特定の一実施形態では、クレーム請求されている方法によるチップレスRFIDタグの作製は、
‐100nmを超え、例えば、150nmを超え、200nmを超え、250nmを超え、300nmを超え、400nmを超え、またはそれどころか500nmを超える導電性機能材料のフィルムコーティングの厚さ、および/または、
‐2ミクロン未満、例えば1.5ミクロン未満、またはそれどころか1ミクロン未満の導電性機能材料(例えば、銅および/または銀)のフィルムコーティングの厚さ、および/または、
‐3ミクロンを超え、例えば10ミクロンを超える堆積された(フィルムに接触させる直前に測定された)印刷製品(インキ/ワニス/トナー)のフィルムコーティングの厚さ、および/または、
‐200ミクロン未満、例えば100ミクロン未満の堆積された(フィルムに接触させる直前に測定された)印刷製品(インキ/ワニス/トナー)のフィルムコーティングの厚さによって特徴付けられることになる。
【0120】
上述のことから理解されるように、本発明はまた、本願において説明した方法のうちの少なくとも1つを実施するための手段を含む少なくとも1つの印刷および/またはカスタマイジング装置(またはシステム)に関する。理解されるように、本願において提供された機能的検討事項により、かかるシステムまたは装置は、本発明に関して説明した機能の実行を達成する手段を有することおよびこれら手段を詳細に説明することが必要ではない。
【0121】
本願は、図および/または種々の実施形態を参照して種々の技術的特長および利点を説明している。当業者であれば理解されるように、所与の実施形態の技術的特徴を、事実、別の実施形態の特徴と組み合わせることができ、ただし、明示の別段の指定がないこと、またはこれら特徴が両立しないこと、またはこの組み合わせが本願で説明した技術的問題のうちの少なくとも1つに対する解決策を提供していないことが明らかでないことを条件とする。さらに、所与の実施形態において説明した技術的特徴を別段の明示の指定がなければ、この実施形態の他の特徴から分離することができる。
【0122】
本発明をクレーム請求されている本発明の利用分野から離れないで、多くの他の特定の形態で実施形態の実現を可能にすることは当業者にとっては明らかなはずである。したがって、本実施形態は、例示として解されるべきであり、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲によって定められることを条件として当該技術分野において改造でき、本発明は、上記において与えられた細部には限定されるべきではない。