(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】電池用断熱材及び電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/658 20140101AFI20230609BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20230609BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230609BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20230609BHJP
【FI】
H01M10/658
F16L59/02
H01M10/613
H01M10/647
(21)【出願番号】P 2020038584
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大貫 寿文
(72)【発明者】
【氏名】甲田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】安藤 大介
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/133707(WO,A1)
【文献】特開2012-004053(JP,A)
【文献】特開2017-162601(JP,A)
【文献】特開2001-065797(JP,A)
【文献】特開2006-096597(JP,A)
【文献】特開2012-124071(JP,A)
【文献】特開2014-093146(JP,A)
【文献】特開2012-014938(JP,A)
【文献】中国実用新案第207028393(CN,U)
【文献】特開2019-204636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/658
F16L 59/02
H01M 50/10
H01M 10/613
H01M 10/647
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接して配置された一対のセルを含む電池の前記一対のセルの間に配置され、前記一対のセルの対向する表面を覆うように配置される電池用断熱材であって、
前記一対のセルの一方の前記表面に対向して配置される断熱部と、
前記断熱部より圧縮変形しやすい緩衝部と、
を含み、
前記緩衝部の少なくとも一部は、前記断熱部より前記一方のセルの前記表面に近い位置に配置さ
れ、
前記断熱材の平面視において、前記断熱部及び前記緩衝部は、前記断熱部が海部分であり、前記緩衝部が複数の島部分である海島構造を形成するよう配置されている、
電池用断熱材。
【請求項2】
隣接して配置された一対のセルを含む電池の前記一対のセルの間に配置され、前記一対のセルの対向する表面を覆うように配置される電池用断熱材であって、
前記一対のセルの一方の前記表面に対向して配置される断熱部と、
前記断熱部より圧縮変形しやすい緩衝部と、
を含み、
前記緩衝部の少なくとも一部は、前記断熱部より前記一方のセルの前記表面に近い位置に配置され、
前記断熱材の平面視において、前記断熱部及び前記緩衝部は、海島構造を形成するよう配置され、前記緩衝部は、その一部又は全部が格子状に形成されている、
電池用断熱材。
【請求項3】
隣接して配置された一対のセルを含む電池の前記一対のセルの間に配置され、前記一対のセルの対向する表面を覆うように配置される電池用断熱材であって、
前記一対のセルの一方の前記表面に対向して配置される断熱部と、
前記断熱部より圧縮変形しやすい緩衝部と、
を含み、
前記緩衝部の少なくとも一部は、前記断熱部より前記一方のセルの前記表面に近い位置に配置され、
前記緩衝部は、厚さが異なる複数の部分を含む、
電池用断熱材。
【請求項4】
隣接して配置された一対のセルを含む電池の前記一対のセルの間に配置され、前記一対のセルの対向する表面を覆うように配置される電池用断熱材であって、
前記一対のセルの一方の前記表面に対向して配置される断熱部と、
前記断熱部より圧縮変形しやすい緩衝部と、
を含み、
前記緩衝部の少なくとも一部は、前記断熱部より前記一方のセルの前記表面に近い位置に配置され、
前記緩衝部は、金属バネである、
電池用断熱材。
【請求項5】
前記緩衝部の圧縮弾性率は、前記断熱部のそれより小さい、
請求項1
乃至4のいずれかに記載の電池用断熱材。
【請求項6】
前記緩衝部の10%圧縮歪み時の圧縮応力は、前記断熱部のそれより小さい、
請求項1
乃至5のいずれかに記載の電池用断熱材。
【請求項7】
前記断熱部の23℃における熱伝導率は、前記緩衝部のそれより小さい、
請求項1乃至
6のいずれかに記載の電池用断熱材。
【請求項8】
前記緩衝部は、前記一対のセルの対向する表面に対して平行な前記断熱部の表面上に配置されている、
請求項
1に記載の電池用断熱材。
【請求項9】
前記格子状の緩衝部は、複数のノード部と、各々が前記複数のノード部のうち隣接する2つを接続する複数の接続部とを含む、
請求項
2に記載の電池用断熱材。
【請求項10】
前記断熱部は、多孔体である、
請求項1乃至9のいずれかに記載の電池用断熱材。
【請求項11】
前記断熱部は、粉体の加圧成形体である、
請求項10に記載の電池用断熱材。
【請求項12】
前記断熱部は、繊維体である、
請求項10に記載の電池用断熱材。
【請求項13】
前記緩衝部は、繊維体である、
請求項1乃至12のいずれかに記載の電池用断熱材。
【請求項14】
前記緩衝部は、エラストマー成形体である、
請求項1乃至12のいずれかに記載の電池用断熱材。
【請求項15】
前記断熱部の23℃における熱伝導率は、0.3W/(m・K)以下である、
請求項1乃至
14のいずれかに記載の電池用断熱材。
【請求項16】
前記断熱部の厚さは、0.05mm以上、100mm以下である、
請求項1乃至
15のいずれかに記載の電池用断熱材。
【請求項17】
請求項1乃至
16のいずれかに記載の断熱材を含む電池。
【請求項18】
隣接して配置された一対のセルを含み、
前記断熱材は、前記一対のセルの間に配置される、
請求項
17に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用断熱材及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、繊維とシリカエアロゲルとを含む複合層と、当該複合層中で厚み方向に配置された樹脂支柱とを含む断熱材を電池セル間に用いることで、当該断熱材中のシリカエアロゲルにかかる圧縮応力を当該樹脂支柱で分散でき、当該電池セル間の断熱性を長期間保てること、その結果、当該電池セル間の熱暴走による類焼を抑制でき、安全な車載用電池を提供できること、断熱性樹脂支柱を多孔質の樹脂で形成すること、及び、当該樹脂支柱の材質として、フッ素樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、断熱材が変形性に乏しい場合には、例えば、当該断熱材で覆われた電池の表面の変形が過剰に抑制されることにより、及び/又は、当該電池の表面に対する当該断熱材の追従性が乏しいことにより、不具合が発生し得る。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、適切な変形性を有する電池用断熱材及び当該断熱材を含む電池を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る電池用断熱材は、電池に含まれる表面を覆うように配置される電池用断熱材であって、前記電池の前記表面に対向して配置される断熱部と、前記断熱部より圧縮変形しやすい緩衝部と、を含み、前記緩衝部の少なくとも一部は、前記断熱部より前記電池の前記表面に近い位置に配置される。本発明によれば、適切な変形性を有する電池用断熱材が提供される。
【0007】
また、前記緩衝部の圧縮弾性率は、前記断熱部のそれより小さいこととしてもよい。また、前記緩衝部の10%圧縮歪み時の圧縮応力は、前記断熱部のそれより小さいこととしてもよい。また、前記断熱部の23℃における熱伝導率は、前記緩衝部のそれより小さいこととしてもよい。また、前記断熱材の平面視において、前記断熱部及び前記緩衝部は、海島構造を形成するよう配置されていることとしてもよい。
【0008】
また、前記断熱部は、多孔体であることとしてもよい。この場合、前記断熱部は、粉体の加圧成形体であることとしてもよい。また、前記断熱部は、繊維体であることとしてもよい。また、前記緩衝部は、繊維体であることとしてもよい。また、前記緩衝部は、エラストマー成形体であることとしてもよい。また、前記緩衝部は、金属バネであることとしてもよい。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る電池は、前記いずれかの断熱材を含む。本発明によれば、適切な変形性を有する電池用断熱材を備えた電池が提供される。
【0010】
また、前記電池は、隣接して配置された一対のセルを含み、前記断熱材は、前記一対のセルの間に配置されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、適切な変形性を有する電池用断熱材及び当該断熱材を含む電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る電池の一例について、その断面を模式的に示す説明図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の一例について、その断面を模式的に示す説明図である。
【
図1C】本発明の一実施形態に係る電池の他の例について、その断面を模式的に示す説明図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の一例について、その断面を模式的に示す説明図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の他の例について、その断面を模式的に示す説明図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る電池の一例について、その断面を模式的に示す説明図である。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の一例について、その断面を模式的に示す説明図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の一例を平面視で模式的に示す説明図である。
【
図4B】
図4AのIV-IV線で切断した電池用断熱材の断面の一例を模式的に示す説明図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の一例を平面視で模式的に示す説明図である。
【
図5B】
図5AのV-V線で切断した電池用断熱材の断面の一例を模式的に示す説明図である。
【
図5D】
図5AのV-V線で切断した電池用断熱材の断面の他の例を模式的に示す説明図である。
【
図5E】
図5AのV-V線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の一例を平面視で模式的に示す説明図である。
【
図6B】
図6AのVI-VI線で切断した電池用断熱材の断面の一例を模式的に示す説明図である。
【
図6C】
図6AのVI-VI線で切断した電池用断熱材の断面の他の例を模式的に示す説明図である。
【
図6D】
図6AのVI-VI線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図7A】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の一例を平面視で模式的に示す説明図である。
【
図7B】
図7AのVII-VII線で切断した電池用断熱材の断面の一例を模式的に示す説明図である。
【
図8A】本発明の一実施形態に係る電池用断熱材の一例を平面視で模式的に示す説明図である。
【
図8B】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面の一例を模式的に示す説明図である。
【
図8C】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面の他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8D】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8E】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8F】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8G】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8H】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8I】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8J】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8K】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8L】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【
図8M】
図8AのVIII-VIII線で切断した電池用断熱材の断面のさらに他の例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態で示す例に限られない。
【0014】
本実施形態に係る電池用断熱材(以下、「断熱材」という。)は、電池に含まれる表面を覆うように配置される電池用断熱材であって、当該電池の当該表面に対向して配置される断熱部と、当該断熱部より圧縮変形しやすい緩衝部と、を含み、当該緩衝部の少なくとも一部は、当該断熱部より当該電池の当該表面に近い位置に配置される。また、本実施形態に係る電池は、上記断熱材を含む。
【0015】
断熱材が配置される電池の表面は、当該電池に含まれる表面であれば特に限られないが、本明細書では、
図1Aに示すように、電池100が、隣接して配置された一対のセル40a,40bを含み、断熱材1が、当該一対のセル40a,40bの間に配置される例について主に説明する。
【0016】
隣接して配置された一対のセル40a,40bを含む電池100は、例えば、いわゆるスタック型の電池である。すなわち、電池100はスタックを含み、当該スタックは、積層して配置された複数のセルを含み、当該複数のセルは、隣接して配置された一対のセル40a,40bを含む。
【0017】
電池100は特に限られないが、例えば、二次電池であってもよいし、燃料電池であってもよい。二次電池は特に限られないが、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カリウムイオン二次電池、 リチウム硫黄二次電池、多価金属二次電池、リチウム空気二次電池、ナトリウム空気二次電池、亜鉛空気二次電池、又は水素空気二次電池であってもよい。燃料電池は特に限られないが、例えば、固体高分子形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、アルカリ電解質形燃料電池、直接形燃料電池、バイオ燃料電池、又は空気電池であってもよい。電池100は、自動車等の乗り物に搭載されるものであってもよい。
【0018】
各セル40a,40bの形状は特に限られないが、
図1Aに示すように、板状であることとしてもよい。各セル40a,40bは、筐体41a,41bと、当該筐体41a,41b内に収容された正極、負極、及び電解質(不図示)とを含む。この場合、各セル40a,40bは、筐体41a,41bと、当該筐体41a,41b内に収容された正極、負極、セパレータ及び電解質(不図示)とを含むこととしてもよい。各筐体41a,41bには、端子42a,42bが形成されている。そして、
図1Aに示すように、一方のセル40aの筐体41aの表面43aと、他方のセル40bの筐体41bの表面43bとが対向して配置される。
【0019】
断熱材1は、一対のセル40a,40bの対向する表面43a,43bを断熱するために電池100に配置される。すなわち、断熱材1は、一対のセル40a,40bに挟持される。その結果、断熱材1は、一対のセル40a,40bの対向する表面43a,43bを覆うように配置される。
【0020】
断熱材1は、断熱部10と、当該断熱部10より圧縮変形しやすい緩衝部20とを含む。
図1Bに示す例において、緩衝部20は、断熱部10に積層されている。具体的に、断熱材1は、
図1Aに示すように、一方のセル40aの表面43aに対向して配置される断熱部10と、当該断熱部10と当該表面43aとの間に配置される緩衝部20とを含む。すなわち、電池100においては、緩衝部20の全体が、断熱部10より一方のセル40aの表面43aに近い位置に配置される。
【0021】
したがって、例えば、電池100の動作中に、一方のセル40aが過剰に発熱することにより、当該セル40aが膨張し、その表面43aが断熱材1に向かって張り出してきた場合には、まず断熱部10に比べて圧縮変形しやすい緩衝部20が、当該表面43aによって圧縮変形する。すなわち、断熱部10に比べて変形性に優れた緩衝部20が、セル40aの表面43aの変形に追従して変形する。
【0022】
このため、例えば、断熱材1が、圧縮変形しにくい断熱部10を含む場合であっても、セル40aの膨張が過度に抑制されることによる不具合の発生を効果的に防止することができる。
【0023】
すなわち、例えば、圧縮変形しにくい断熱部10のみから構成される断熱材に覆われた表面43aを有するセル40aにおいて過剰な発熱が発生した場合、当該セル40aは当該断熱材に向かって膨張することができないため、当該セル40aが破裂して破損するといった不具合が発生する可能性がある。
【0024】
これに対し、断熱部10より圧縮変形しやすい緩衝部20を、当該断熱部10よりセル40aの表面43aに近い位置に配置することにより、当該表面43aが当該緩衝部20を変形させながら当該断熱部10に向かって張り出してくることが許容され、上述のような不具合の発生は効果的に回避される。
【0025】
上述のとおり、断熱材1の緩衝部20は、当該断熱材1の断熱部10に比べて圧縮変形しやすい特性を有する成形体である。すなわち、例えば、所定の応力が負荷された場合における緩衝部20の歪みは、当該所定の応力が負荷された場合における断熱部10の歪みに比べて大きい。また、例えば、緩衝部20に所定の歪みを生じさせるために必要な応力は、断熱部10に当該所定の歪みを生じさせるために必要な応力に比べて小さい。
【0026】
具体的に、緩衝部20の圧縮弾性率は、断熱部10のそれより小さいこととしてもよい。より具体的に、緩衝部20の圧縮弾性率は、断熱部10のそれより4.5MPa以上(例えば、4.5MPa以上、4.5GPa未満)小さい(断熱部10の圧縮弾性率から緩衝部20のそれを減じて算出される圧縮弾性率の差分が4.5MPa以上)ことが好ましく、15MPa以上(例えば、15MPa以上、4.5GPa未満)小さいことがより好ましく、45MPa以上(例えば、45MPa以上、4.5GPa未満)小さいことが特に好ましい。
【0027】
また、緩衝部20の圧縮弾性率は、断熱部10のそれの50%以下(例えば、0.1%以上、50%以下)(緩衝部20の圧縮弾性率を断熱部10のそれで除して算出された値に100を乗じて算出される割合が50%以下)であることが好ましく、25%以下(例えば、0.1%以上、25%以下)であることがより好ましく、10%以下(例えば、0.1%以上、10%以下)であることがより好ましく、1%以下(例えば、0.1%以上、1%以下)であることが特に好ましい。
【0028】
また、断熱部10の圧縮弾性率は5MPa以上、4.5GPa以下であり、緩衝部20の圧縮弾性率は0.5MPa以上、45MPa以下であって、当該緩衝部20の圧縮弾性率は当該断熱部10のそれの50%以下、25%以下、10%以下又は1%以下であることとしてもよく、断熱部10の圧縮弾性率は10MPa以上、3GPa以下であり、緩衝部20の圧縮弾性率は1MPa以上、30MPa以下であって、当該緩衝部20の圧縮弾性率は当該断熱部10のそれの50%以下、25%以下、10%以下又は1%以下であることが好ましく、断熱部10の圧縮弾性率は15MPa以上、1.5GPa以下であって、緩衝部20の圧縮弾性率は1.5MPa以上、15MPa以下であって、当該緩衝部20の圧縮弾性率は当該断熱部10のそれの50%以下、25%以下、10%以下又は1%以下であることがより好ましく、断熱部10の圧縮弾性率は15MPa以上、1GPa以下であり、緩衝部20の圧縮弾性率は1.5MPa以上、10MPa以下であって、当該緩衝部20の圧縮弾性率は当該断熱部10のそれの50%以下、25%以下、10%以下又は1%以下であることが特に好ましい。
【0029】
断熱材1に含まれる断熱部10及び緩衝部20の各々の圧縮弾性率及び圧縮応力は、「JIS K 6254:2016 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―応力―ひずみ特性の求め方」のC法に準拠した方法により測定される。ただし、試験片の形状としては、断熱材1に含まれる断熱部10及び緩衝部20のそれぞれの形状を用いる。また、断熱部10及び緩衝部20の「圧縮応力」の算出に用いられる「試験片の断面積」としては、当該断熱部10の断面積及び当該緩衝部20の断面積に代えて、「断熱材1の平面視における、当該断熱材1の投影面積」を用いる。また、断熱部10及び緩衝部20の「圧縮弾性率」の算出に用いられる「試験片の元の寸法」としては、当該断熱部10の元の寸法及び当該緩衝部20の元の寸法を用いる。
【0030】
緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は、断熱部10のそれより小さいこととしてもよい。より具体的に、緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は、断熱部10のそれより0.45MPa以上(例えば、0.45MPa以上、450MPa未満)小さいことが好ましく、1.5MPa以上(例えば、1.5MPa以上、450MPa未満)小さいことがより好ましく、4.5MPa以上(例えば、4.5MPa以上、450MPa未満)小さいことが特に好ましい。
【0031】
また、緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は、断熱部10のそれの50%以下(例えば、0.l%以上、50%以下)であることが好ましく、25%以下(例えば、0.l%以上、25%以下)であることがより好ましく、10%以下(例えば、0.l%以上、10%以下)であることが特に好ましい。
【0032】
また、断熱部10の10%圧縮歪み時の圧縮応力は0.5MPa以上、450MPa以下であり、緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は0.05MPa以上、4.5MPa以下であって、当該緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は当該断熱部10のそれの50%以下、25%以下、10%以下又は1%以下であることとしてもよく、断熱部10の10%圧縮歪み時の圧縮応力は1MPa以上、300MPa以下であり、緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は0.1MPa以上、3MPa以下であって、当該緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は当該断熱部10のそれの50%以下、25%以下、10%以下又は1%以下であることが好ましく、断熱部10の10%圧縮歪み時の圧縮応力は1.5MPa以上、150MPa以下であって、緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は0.15MPa以上、1.5MPa以下であって、当該緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は当該断熱部10のそれの50%以下、25%以下、10%以下又は1%以下であることがより好ましく、断熱部10の10%圧縮歪み時の圧縮応力は1.5MPa以上、1GPa以下であり、緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は0.15MPa以上、1MPa以下であって、当該緩衝部20の10%圧縮歪み時の圧縮応力は当該断熱部10のそれの50%以下、25%以下、10%以下又は1%以下であることが特に好ましい。
【0033】
断熱材1に含まれる断熱部10及び緩衝部20の各々の圧縮弾性率及び圧縮応力は、「JIS K 6254:2016 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―応力―ひずみ特性の求め方」のC法に準拠した方法により測定される。ただし、試験片の形状としては、断熱材1に含まれる断熱部10及び緩衝部20のそれぞれの形状を用いる。また、断熱部10及び緩衝部20の「圧縮応力」の算出に用いられる「試験片の断面積」としては、当該断熱部10の断面積及び当該緩衝部20の断面積に代えて、「断熱材1の平面視における、当該断熱材1の投影面積」を用いる。また、断熱部10及び緩衝部20の「圧縮弾性率」の算出に用いられる「試験片の元の寸法」としては、当該断熱部10の元の寸法及び当該緩衝部20の元の寸法を用いる。
【0034】
断熱部10は、優れた断熱性を有する。すなわち、例えば、断熱部10の23℃における熱伝導率は、0.3W/(m・K)以下(例えば、0.005W/(m・K)以上、0.3W/(m・K)以下)であることが好ましく、0.1W/(m・K)以下(例えば、0.005W/(m・K)以上、0.1W/(m・K)以下)であることがより好ましく、0.05W/(m・K)以下(例えば、0.005W/(m・K)以上、0.05W/(m・K)以下)であることが特に好ましい。
【0035】
断熱部10の23℃における熱伝導率は、緩衝部10のそれより小さいこととしてもよい。具体的に、断熱部10の23℃における熱伝導率は、緩衝部20のそれより0.01W/(m・K)以上(例えば、0.01W/(m・K)以上、20W/(m・K)以下)小さいことが好ましく、0.05W/(m・K)以上(例えば、0.05W/(m・K)以上、20W/(m・K)以下)小さいことがより好ましく、0.1W/(m・K)以上(例えば、0.1W/(m・K)以上、20W/(m・K)以下)小さいことが特に好ましい。
【0036】
また、断熱部10の23℃における熱伝導率は、緩衝部20のそれの50%以下(例えば、10%以上、50%以下)であることが好ましく、30%以下(例えば、10%以上、30%以下)であることがより好ましく、20%以下(例えば、10%以上、20%以下)であることが特に好ましい。
【0037】
また、断熱部10の23℃における熱伝導率は0.3W/(m・K)以下(例えば、0.005W/(m・K)以上、0.3W/(m・K)以下)であり、緩衝部20の23℃における熱伝導率は3W/(m・K)以下(例えば、0.015W/(m・K)以上、3W/(m・K)以下)であって、断熱部10の23℃における熱伝導率は、緩衝部20のそれの50%以下、30%以下、20%以下又は10%以下であることが好ましく、断熱部10の23℃における熱伝導率は0.1W/(m・K)以下(例えば、0.005W/(m・K)以上、0.1W/(m・K)以下)であり、緩衝部20の23℃における熱伝導率は1W/(m・K)以下(例えば、0.015W/(m・K)以上、1W/(m・K)以下)であって、断熱部10の23℃における熱伝導率は、緩衝部20のそれの50%以下、30%以下、20%以下又は10%以下であることがより好ましく、断熱部10の23℃における熱伝導率は0.05W/(m・K)以下(例えば、0.005W/(m・K)以上、0.05W/(m・K)以下)であり、緩衝部20の23℃における熱伝導率は0.5W/(m・K)以下(例えば、0.015W/(m・K)以上、0.5W/(m・K)以下)であって、断熱部10の23℃における熱伝導率は、緩衝部20のそれの50%以下、30%以下、20%以下又は10%以下であることが特に好ましい。
【0038】
断熱部10及び緩衝部20の23℃における熱伝導率は、「JIS A 1412-1:2016 熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法-第1部:保護熱板法(GHP法)」に準拠した方法により測定される。
【0039】
断熱部10は、所望の断熱性を有する成形体であれば特に限られないが、多孔体であることが好ましい。多孔体は、特に限られないが、例えば、粉体の加圧成形体、又は繊維体であることが好ましい。
【0040】
断熱部10を構成する粉体の加圧成形体は、当該粉体を含む原料を加圧成形することにより製造される。粉体は、断熱部10に適用できるものであれば特に限られないが、例えば、無機微粒子であることが好ましい。
【0041】
無機微粒子は、例えば、金属酸化物微粒子であることが好ましい。金属酸化物微粒子は、例えば、シリカ微粒子及びアルミナ微粒子からなる群より選択される1以上であることが好ましい。
【0042】
シリカ微粒子は、気相法で製造された乾式シリカ微粒子(無水シリカ微粒子)であってもよいし、湿式法で製造された湿式シリカ微粒子であってもよい。乾式シリカ微粒子は、フュームドシリカ微粒子であることが好ましい。フュームドシリカ微粒子は、親水性フュームドシリカ微粒子であってもよいし、疎水性フュームドシリカ微粒子であってもよい。
【0043】
アルミナ微粒子は、気相法で製造された乾式アルミナ微粒子(無水アルミナ微粒子)であってもよいし、湿式法で製造された湿式アルミナ微粒子であってもよい。乾式アルミナ微粒子は、フュームドアルミナ微粒子であることが好ましい。フュームドアルミナ微粒子は、親水性フュームドアルミナ微粒子であってもよいし、疎水性フュームドアルミナ微粒子であってもよい。
【0044】
粉体の一次粒子の平均粒径は特に限られないが、例えば、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。粉体の一次粒子の平均粒径の下限値は特に限られないが、例えば、2nm以上であることとしてもよい。
【0045】
粉体のBET法による比表面積は特に限られないが、例えば、15m2/g以上であることが好ましく、20m2/g以上であることがより好ましく、30m2/g以上であることが特に好ましい。粉体のBET法による比表面積の上限値は特に限られないが、例えば、500m2/g以下であることとしてもよく、450m2/g以下であることとしてもよい。
【0046】
加圧成形体における粉体の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、50重量%以上(50重量%以上、95重量%以下)であることが好ましく、52重量%以上(52重量%以上、93重量%以下)であることがより好ましく、56重量%以上(56重量%以上、90重量%以下)であることが特に好ましい。
【0047】
加圧成形体は、粉体以外の成分をさらに含むこととしてもよい。加圧成形体は、例えば、粉体及び繊維を含むこととしてもよい。この場合、加圧成形体は、無機繊維及び有機繊維の一方又は両方を含むこととしてもよいが、無機繊維を含むことが好ましい。
【0048】
無機繊維は特に限られないが、例えば、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ-アルミナ繊維、シリカ-アルミナ-マグネシア繊維、生体溶解性無機繊維、ガラス繊維、ジルコニア繊維、ケイ酸アルカリ土類金属塩繊維、ロックウール及びバサルト繊維からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0049】
なお、生体溶解性無機繊維は、生体溶解性を有する無機繊維である。すなわち、生体溶解性無機繊維は、例えば、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維である。生理食塩水溶解率は、例えば、次のようにして測定される。すなわち、まず、無機繊維を200メッシュ以下に粉砕して調製された試料1g及び生理食塩水150mLを三角フラスコ(容積300mL)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、三角フラスコに、毎分120回転の水平振動を50時間継続して加える。その後、ろ過により得られた濾液に含有されている各元素(主要元素でよい)の濃度(mg/L)をICP発光分析装置により測定する。そして、測定された各元素の濃度と、溶解前の無機繊維における各元素の含有量(質量%)と、に基づいて、生理食塩水溶解率(%)を算出する。すなわち、例えば、測定元素が、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びアルミニウム(Al)である場合には、次の式により、生理食塩水溶解率C(%)を算出する;C(%)=[ろ液量(L)×(a1+a2+a3+a4)×100]/[溶解前の無機繊維の質量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100]。この式において、a1、a2、a3及びa4は、それぞれ測定されたケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの濃度(mg/L)であり、b1、b2、b3及びb4は、それぞれ溶解前の無機繊維におけるケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの含有量(質量%)である。
【0050】
生体溶解性無機繊維は、例えば、SiO2の含有量とZrO2の含有量とAl2O3の含有量とTiO2の含有量との合計が50重量%以上、82重量%以下であり、且つ、アルカリ金属酸化物の含有量とアルカリ土類金属酸化物の含有量との合計が18重量%以上、50重量%以下であることとしてもよい。
【0051】
また、生体溶解性無機繊維は、例えば、SiO2の含有量が50重量%以上、82重量%以下であり、且つ、CaOの含有量とMgOの含有量との合計が10重量%以上、43重量%以下であることとしてもよい。
【0052】
有機繊維は特に限られないが、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ふっ素樹脂繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維及びポリオレフィン繊維からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0053】
繊維の平均繊維長は特に限られないが、例えば、0.05mm以上、50mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、20mm以下であることがより好ましく、1mm以上、10mm以下であることが特に好ましい。
【0054】
繊維の平均繊維径は特に限られないが、例えば、0.1μm以上、50μm以下であることが好ましく、1μm以上、20μm以下であることがより好ましく、2μm以上、15μm以下であることが特に好ましい。
【0055】
加圧成形体が粉体及び繊維を含む場合、当該加圧成形体における当該粉体の含有量及び当該繊維の含有量(当該加圧成形体が無機繊維及び有機繊維を含む場合は、当該無機繊維の含有量と当該有機繊維の含有量との合計)は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、当該加圧成形体は、例えば、50重量%以上、95重量%以下の粉体と、1重量%以上、50重量%以下の繊維とを含むことが好ましく、52重量%以上、93重量%以下の粉体と、1重量%以上、20重量%以下の繊維とを含むことがより好ましく、56重量%以上、90重量%以下の粉体と、1.5重量%以上、10重量%以下の繊維とを含むことが特に好ましい。
【0056】
また、加圧成形体が粉体及び無機繊維を含む場合、当該加圧成形体における当該粉体の含有量及び当該無機繊維の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、当該加圧成形体は、例えば、50重量%以上、95重量%以下の粉体と、1重量%以上、50重量%以下の無機繊維とを含むことが好ましく、52重量%以上、93重量%以下の粉体と、1重量%以上、20重量%以下の無機繊維とを含むことがより好ましく、56重量%以上、90重量%以下の粉体と、1.5重量%以上、10重量%以下の無機繊維とを含むことが特に好ましい。
【0057】
加圧成形体は、例えば、粉体及び輻射散乱材を含むこととしてもよい。この場合、加圧成形体は、粉体、繊維及び輻射散乱材を含むこととしてもよい。輻射散乱材は、輻射による伝熱を低減することのできるものであれば特に限られない。具体的に、輻射散乱材は、例えば、炭化珪素、窒化珪素、チタニア、ジルコニア、珪酸ジルコニウム(ジルコン)、カーボン、酸化鉄、酸化クロム、硫化亜鉛及びチタン酸バリウムからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0058】
輻射散乱材の平均粒径は特に限られないが、例えば、1μm以上、50μm以下であることが好ましく、1μm以上、20μm以下であることがより好ましい。輻射散乱材は、遠赤外線反射性であることが好ましい。具体的に、輻射散乱材は、例えば、1.5μm以上、20μm以下の波長の光に対する屈折率の平均値が1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.25以上であることが特に好ましい。
【0059】
加圧成形体が粉体、繊維及び輻射散乱材を含む場合、当該加圧成形体における当該粉体の含有量、当該繊維の含有量(当該加圧成形体が無機繊維及び有機繊維を含む場合は、当該無機繊維の含有量と当該有機繊維の含有量との合計)及び当該輻射散乱材の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、当該加圧成形体は、例えば、50重量%以上、93質量%以下の粉体と、2重量%以上、20質量%以下の繊維と、5重量%以上、40質量%以下の輻射散乱材とを含むこととしてもよく、65重量%以上、80質量%以下の粉体と、5重量%以上、18質量%以下の繊維と、15重量%以上、30質量%以下の輻射散乱材とを含むこととしてもよい。
【0060】
断熱部10を構成する繊維体は、繊維の成形体である。すなわち、繊維体は、繊維を含む原料を成形することにより製造される。繊維体は、乾式法により製造される乾式繊維体であってもよいし、湿式法により製造される湿式繊維体であってもよい。
【0061】
繊維体に含まれる繊維は、断熱部10に適用できるものであれば特に限られず、無機繊維及び有機繊維の一方又は両方であることとしてもよいが、当該繊維体は、無機繊維を含むことが好ましい。
【0062】
無機繊維は特に限られないが、例えば、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ-アルミナ繊維、シリカ-アルミナ-マグネシア繊維、生体溶解性無機繊維、ガラス繊維、ジルコニア繊維、ケイ酸アルカリ土類金属塩繊維、ロックウール及びバサルト繊維からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0063】
有機繊維は特に限られないが、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ふっ素樹脂繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維及びポリオレフィン繊維からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0064】
繊維の平均繊維長は特に限られないが、例えば、0.05mm以上、50mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、20mm以下であることがより好ましく、1mm以上、10mm以下であることが特に好ましい。
【0065】
繊維の平均繊維径は特に限られないが、例えば、0.1μm以上、50μm以下であることが好ましく、1μm以上、20μm以下であることがより好ましく、2μm以上、15μm以下であることが特に好ましい。
【0066】
断熱部10を構成する繊維体における繊維の含有量(当該繊維体が無機繊維及び有機繊維を含む場合は、当該無機繊維の含有量と当該有機繊維の含有量との合計)は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、70重量%以上(例えば、70重量%以上、99.5重量%以下)であることが好ましく、80重量%以上(例えば、80重量%以上、99.5重量%以下)であることがより好ましく、85重量%以上(例えば、85重量%以上、99重量%以下、又は85重量%以上、95重量%以下)であることが特に好ましい。
【0067】
また、断熱部10が無機繊維体である場合、当該断熱部10における無機繊維の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、70重量%以上(例えば、70重量%以上、99.5重量%以下)であることが好ましく、80重量%以上(例えば、80重量%以上、99.5重量%以下)であることがより好ましく、85重量%以上(例えば、85重量%以上、99重量%以下、又は85重量%以上、95重量%以下)であることが特に好ましい。
【0068】
断熱部10を構成する繊維体は、繊維以外の成分をさらに含むこととしてもよい。繊維体は、例えば、繊維及びバインダーを含むこととしてもよい。この場合、繊維体は、無機バインダー及び有機バインダーの一方又は両方を含むこととしてもよい。
【0069】
無機バインダーは特に限られないが、例えば、アニオン性のコロイダルシリカ、カチオン性のコロイダルシリカ等のコロイダルシリカ、フュームドシリカ、ジルコニアゾル、チタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル、ベントナイト及びカオリンからなる群より選択される1以上であることが好ましい。有機バインダーは特に限られないが、例えば、ゴム系材料、水溶性有機高分子化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び糖類からなる群より選択される1以上であることが好ましい。
【0070】
断熱部10を構成する繊維体が繊維及びバインダーを含む場合、当該繊維体における当該バインダーの含有量(当該繊維体が無機バインダー及び有機バインダーを含む場合は、当該無機バインダーの含有量と当該有機バインダーの含有量との合計)は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、当該繊維100重量部(当該繊維体が無機繊維及び有機繊維を含む場合は、当該無機繊維の含有量と当該有機繊維の含有量との合計100重量部)に対して、0.5重量%以上、30重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上、20重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以上、15重量%以下であることが特に好ましい。
【0071】
また、断熱部10が無機繊維及びバインダーを含む無機繊維体である場合、当該断熱部10における当該バインダーの含有量(当該繊維体が無機バインダー及び有機バインダーを含む場合は、当該無機バインダーの含有量と当該有機バインダーの含有量との合計)は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、当該無機繊維100重量部に対して、0.5重量%以上、30重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上、20重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以上、15重量%以下であることが特に好ましい。
【0072】
断熱部10を構成する繊維体の嵩密度は特に限られないが、例えば、0.1g/cm3以上、1.0g/cm3以下であることが好ましく、0.15g/cm3以上、0.6g/cm3以下であることがより好ましく、0.2g/cm3以上、0.6g/cm3以下であることが特に好ましい。
【0073】
断熱部10を構成する繊維体の坪量は特に限られないが、例えば、0.005g/cm2以上、10g/cm2以下であることが好ましく、0.0075g/cm2以上、3.6g/cm2以下であることがより好ましく、0.01g/cm2以上、2.4g/cm2以下であることが特に好ましい。
【0074】
緩衝部20は、断熱部10より圧縮変形しやすい成形体であれば特に限られないが、例えば、繊維体、エラストマー成形体、又は金属バネであることとしてもよい。
【0075】
緩衝部20を構成する繊維体は、繊維の成形体である。すなわち、繊維体は、繊維を含む原料を成形することにより製造される。繊維体は、乾式法により製造される乾式繊維体であってもよいし、湿式法により製造される湿式繊維体であってもよい。
【0076】
繊維体に含まれる繊維は、緩衝部20に適用できるものであれば特に限られず、無機繊維及び有機繊維の一方又は両方であることとしてもよいが、当該繊維体は、無機繊維を含むことが好ましい。
【0077】
無機繊維は特に限られないが、例えば、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ-アルミナ繊維、シリカ-アルミナ-マグネシア繊維、生体溶解性無機繊維、ガラス繊維、ジルコニア繊維、ケイ酸アルカリ土類金属塩繊維、ロックウール及びバサルト繊維からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0078】
有機繊維は特に限られないが、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ふっ素樹脂繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維及びポリオレフィン繊維からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0079】
繊維の平均繊維長は特に限られないが、例えば、0.05mm以上、50mm以下であることが好ましく、0.5mm以上、20mm以下であることがより好ましく、1mm以上、10mm以下であることが特に好ましい。
【0080】
繊維の平均繊維径は特に限られないが、例えば、0.1μm以上、50μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、20μm以下であることがより好ましく、1μm以上、10μm以下であることが特に好ましく,1μm以上、8μm以下であることがもっとも好ましい。
【0081】
緩衝部20を構成する繊維体における繊維の含有量(当該繊維体が無機繊維及び有機繊維を含む場合は、当該無機繊維の含有量と当該有機繊維の含有量との合計)は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、70重量%以上(例えば、70重量%以上、99.5重量%以下)であることが好ましく、80重量%以上(例えば、80重量%以上、99.5重量%以下)であることがより好ましく、85重量%以上(例えば、85重量%以上、99重量%以下、又は85重量%以上、95重量%以下)であることが特に好ましい。
【0082】
また、緩衝部20が無機繊維体である場合、当該緩衝部20における無機繊維の含有量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、70重量%以上(例えば、70重量%以上、99.5重量%以下)であることが好ましく、80重量%以上(例えば、80重量%以上、99.5重量%以下)であることがより好ましく、85重量%以上(例えば、85重量%以上、99重量%以下、又は85重量%以上、95重量%以下)であることが特に好ましい。
【0083】
緩衝部20を構成する繊維体は、繊維以外の成分をさらに含むこととしてもよい。繊維体は、例えば、繊維及びバインダーを含むこととしてもよい。この場合、繊維体は、無機バインダー及び有機バインダーの一方又は両方を含むこととしてもよい。
【0084】
無機バインダーは特に限られないが、例えば、アニオン性のコロイダルシリカ、カチオン性のコロイダルシリカ等のコロイダルシリカ、フュームドシリカ、ジルコニアゾル、チタニアゾル、シリカゾル、アルミナゾル、ベントナイト及びカオリンからなる群より選択される1以上であることが好ましい。有機バインダーは特に限られないが、例えば、ゴム系材料、水溶性有機高分子化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び糖類からなる群より選択される1以上であることが好ましい。
【0085】
緩衝部20を構成する繊維体が繊維及びバインダーを含む場合、当該繊維体における当該バインダーの含有量(当該繊維体が無機バインダー及び有機バインダーを含む場合は、当該無機バインダーの含有量と当該有機バインダーの含有量との合計)は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、当該繊維100重量部(当該繊維体が無機繊維及び有機繊維を含む場合は、当該無機繊維の含有量と当該有機繊維の含有量との合計100重量部)に対して、0.5重量%以上、30重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上、20重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以上、15重量%以下であることが特に好ましい。
【0086】
また、緩衝部20が無機繊維及びバインダーを含む無機繊維体である場合、当該緩衝部20における当該バインダーの含有量(当該繊維体が無機バインダー及び有機バインダーを含む場合は、当該無機バインダーの含有量と当該有機バインダーの含有量との合計)は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に限られないが、例えば、当該無機繊維100重量部に対して、0.5重量%以上、30重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上、20重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以上、15重量%以下であることが特に好ましい。
【0087】
緩衝部20を構成する繊維体の嵩密度は特に限られないが、例えば、0.02g/cm3以上、0.35g/cm3以下であることが好ましく、0.05g/cm3以上、0.3g/cm3以下であることがより好ましく、0.1g/cm3以上、0.3g/cm3以下であることが特に好ましい。
【0088】
緩衝部20を構成する繊維体の坪量は特に限られないが、例えば、0.001g/cm2以上、3.5g/cm2以下であることが好ましく、0.0025g/cm2以上、1.8g/cm2以下であることがより好ましく、0.005g/cm2以上、1.2g/cm2以下であることが特に好ましい。
【0089】
断熱部10が繊維及びバインダーを含む繊維体であり、且つ、緩衝部20も繊維及びバインダーを含む繊維体である場合、当該緩衝部20におけるバインダーの密度(緩衝部20のバインダーの含有量(g)を当該緩衝部20の体積(cm3)で除して算出される、当該緩衝部20の単位体積あたりの当該バインダーの密度)(g/cm3)は、当該断熱部10におけるバインダーの密度(断熱部10のバインダーの含有量(g)を当該断熱部10の体積(cm3)で除して算出される、当該断熱部10の単位体積あたりの当該バインダーの密度)(g/cm3)より小さいことが好ましい。なお、断熱部10又は緩衝部20におけるバインダーの密度(g/cm3)は、当該断熱部10又は緩衝部20の嵩密度(g/cm3)に、当該断熱部10又は緩衝部20におけるバインダーの含有量割合(重量%)を乗じて算出してもよい。
【0090】
すなわち、断熱部10のバインダー密度に対する、緩衝部20のバインダー密度の割合は、例えば、70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、25%以下であることが特に好ましい。
【0091】
具体的に、例えば、断熱部10のバインダー密度は0.0005g/cm3以上、0.3g/cm3以下であり、緩衝部20のバインダー密度は0.0001g/cm3以上、0.105g/cm3以下であって、当該緩衝部20のバインダー密度は当該断熱部10のそれの70%以下、50%以下又は25%以下であることとしてもよく、断熱部10のバインダー密度は0.00075g/cm3以上、0.18g/cm3以下であり、緩衝部20のバインダー密度は0.00025g/cm3以上、0.09g/cm3以下であって、当該緩衝部20のバインダー密度は当該断熱部10のそれの70%以下、50%以下又は25%以下であることが好ましく、断熱部10のバインダー密度は0.001g/cm3以上、0.18g/cm3以下であり、緩衝部20のバインダー密度は0.0005g/cm3以上、0.09g/cm3以下であって、当該緩衝部20のバインダー密度は当該断熱部10のそれの70%以下、50%以下又は25%以下であることが特に好ましい。
【0092】
緩衝部20を構成するエラストマー成形体は、エラストマーを成形することにより製造される。エラストマー成形体を構成するエラストマーは、緩衝部20に適用できるものであれば特に限られないが、例えば、ゴム、及び熱可塑性エラストマーからなる群より選択される1以上を含むこととしてもよい。
【0093】
ゴムは、合成ゴム及び天然ゴムの一方又は両方であることとしてもよい。合成ゴムは特に限られないが、例えば、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、ふっ素ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム及びエビクロルヒドリンゴムからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0094】
熱可塑性エラストマーは特に限られないが、例えば、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びポリブタジエン系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。エラストマー成形体は、多孔性エラストマー成形体であってもよいし、非多孔性エラストマーであってもよいが、多孔性エラストマー成形体であることが好ましい。多孔性エラストマー成形体は、独立気泡性発泡エラストマー成形体(独立気泡を形成する発泡成形により製造された多孔性エラストマー成形体)であってもよいし、連通気泡性発泡エラストマー成形体(連通気泡を形成する発泡成形により製造された多孔性エラストマー成形体)であってもよい。
【0095】
緩衝部20を構成する金属バネは、特に限られないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鋼材、チタン、チタン合金、及びマグネシウム合金からなる群より選択される1以上を含むこととしてもよい。
【0096】
緩衝部20を構成する金属バネの形状は、特に限られないが、当該金属バネは、例えば、板バネ、コイルバネ、皿バネ及びビード形状金属バネからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0097】
断熱部10の形状は、電池100に含まれる表面を断熱する上で適した形状であれば特に限られないが、例えば、板状であることが好ましい。この場合、断熱部1の平面視における断熱部10の形状(例えば、
図1Aにおいて、一方のセル40aの表面43aから他方のセル40bの表面43bに向かう方向から見た場合の断熱部10の形状)は特に限られず、例えば、矩形(例えば、四角形等の多角形)、円形、楕円形、又はその他の形状であってもよい。
【0098】
断熱部10の厚さ(断熱の対象である電池の表面に最も近い一方の表面から、当該一方の表面と反対側の他方の表面までの長さ)は特に限られないが、例えば、0.05mm以上、100mm以下であることとしてもよく、0.1mm以上、60mm以下であることとしてもよく、0.5mm以上、40mm以下であることとしてもよい。
【0099】
より具体的に、断熱部10の厚さ(
図1Aに示す例では、一方のセル40aに最も近い断熱部10の一方の表面11から、他方のセル40bに最も近い断熱部10の他方の表面12までの長さ)は、例えば、0.05mm以上、9mm以下であることが好ましく、0.1mm以上、6mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上、3mm以下であることが特に好ましい。
【0100】
断熱部10より断熱の対象とする電池の表面に近い位置に配置されている、緩衝部20の少なくとも一部の高さ(断熱の対象とする電池の表面に最も近い緩衝部20の一方の表面から、断熱部10に最も近い緩衝部20の一方の表面までの長さ)は特に限られないが、例えば、0.05mm以上、100mm以下であることとしてもよく、0.1mm以上、60mm以下であることとしてもよく、0.5mm以上、40mm以下であることとしてもよい。
【0101】
より具体的に、断熱部10より断熱の対象とする電池の表面に近い位置に配置されている、緩衝部20の少なくとも一部の高さ(
図1Aに示す例では、一方のセル40aの表面43aに最も近い緩衝部20の一方の表面21から、断熱部10に最も近い緩衝部20の他方の表面22までの長さ)は、例えば、0.05mm以上、9mm以下であることが好ましく、0.1mm以上、6mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上、3mm以下であることが特に好ましい。
【0102】
上記断熱部10の厚みと、上記緩衝部20の少なくとも一部の高さとの組み合わせは、上述した当該断熱部10の厚みの一つと、上述した当該緩衝部20の少なくとも一部の高さの一つとを任意に組み合わせて特定してもよい。
【0103】
電池100は、積層して配置される3つ以上のセルを含んでもよい。すなわち、
図1Cに示す例において、電池100は、第一のセル40aと、当該第一のセル40aに隣接して配置される第二のセル40bと、当該第二のセル40bの当該第一のセル40aと反対側に隣接して配置される第三のセル40cとを含む。
【0104】
この場合、第一のセル40aと第二のセル40bとの間には、第一の断熱部10a及び第一の緩衝部20aを含む第一の断熱材1aが配置され、当該第二のセル40bと第三のセル40cとの間には、第一の断熱部10b及び第一の緩衝部20bを含む第二の断熱材1bが配置される。
【0105】
そして、第一のセル40aと第二のセル40bとの間において、第一の緩衝部20aの少なくとも一部は、第一の断熱部10aより当該第一のセル40aの表面43aに近い位置に配置され、当該第二のセル40bと第三のセル40cとの間において、第二の緩衝部20bの少なくとも一部は、第二の断熱部10bより当該第二のセル40bの表面44bに近い位置に配置される。
【0106】
このように、電池100に含まれる複数のセルの各々について、少なくとも1つの断熱材1の緩衝部20の少なくとも一部が、当該断熱材1の断熱部10より当該電池100に含まれる表面に近い位置に配置されることが好ましい。
【0107】
断熱材1は、断熱部10及び緩衝部20に加えて、他の部分をさらに含んでもよい。すなわち、断熱材1は、例えば、
図2A及び
図2Bに示すように、断熱部10の表面の一部又は全部を被覆する発塵防止材30をさらに含んでもよい。
【0108】
発塵防止材30は、断熱部10からの発塵を防止するために断熱材1に設けられる。すなわち、発塵防止材30は、断熱部10の発塵し得る表面を覆うように配置される。発塵防止材30の形状は、断熱部10からの発塵を抑制する形状であれば特に限られない。
【0109】
すなわち、発塵防止材30は、例えば、断熱部10の表面の一部、又は断熱部10及び緩衝部20を含む複合体の表面の一部を覆うシート状の成形体であってもよい。この場合、シート状の発塵防止材30は、断熱部10の表面の一部、又は断熱部10及び緩衝部20を含む複合体の表面の一部に、例えば、接着剤等の接着用組成物、及び/又は、鋲等の固定具により固定されてもよい。
【0110】
また、発塵防止材30は、例えば、断熱部10を収容する袋状の成形体であってもよい。この場合、袋状の発塵防止材30は、
図2Aに示すように、断熱部10及び緩衝部20を含む複合体を収容することとしてもよいし、
図2Bに示すように、断熱部10を収容し、緩衝部20は収容しないこととしてもよい。これらの場合、例えば、袋状の発塵防止材30の内部に、断熱部10、又は断熱部10及び緩衝部20を含む複合体を詰めて断熱材1を得ることとしてもよい。
【0111】
また、発塵防止材30の原料である液体を、断熱部10、又は断熱部10及び緩衝部20を含む複合体の表面の一部又は全部に塗布し、乾燥することにより、当該表面の一部又は全部を被覆する発塵防止材30を形成してもよい。
【0112】
発塵防止材30の原料である液体は、例えば、有機物(例えば、熱硬化性樹脂のモノマー、ゴム系材料又はシリコーン)を含む溶液であってもよい。この場合、有機物を含む溶液を、断熱部10、又は断熱部10及び緩衝部20を含む複合体の表面の一部又は全部に塗布し、その後、乾燥及び/又は熱処理することにより、当該有機物に由来する被膜である発塵防止材30を形成してもよい。
【0113】
また、発塵防止材30の原料である液体は、例えば、無機物の分散液であってもよい。この場合、無機物の分散液を、断熱部10、又は断熱部10及び緩衝部20を含む複合体の表面の一部又は全部に塗布し、その後、乾燥及び/又は熱処理することにより、当該無機物に由来する被膜である発塵防止材30を形成してもよい。
【0114】
発塵防止材30は、断熱部10からの発塵を防止できる成形体であれば特に限られないが、例えば、繊維体、金属箔又は樹脂シートであることが好ましい。
【0115】
発塵防止材30を構成する繊維体は、繊維の成形体である。すなわち、繊維体は、繊維を含む原料を成形することにより製造される。繊維体は、乾式法により製造される乾式繊維体であってもよいし、湿式法により製造される湿式繊維体であってもよいし、繊維をクロス状に編み込んで製造される繊維体であることとしてもよいし、繊維を抄紙し、紙状に成形して製造される繊維体であることとしてもよい。
【0116】
繊維体に含まれる繊維は、発塵防止材30に適用できるものであれば特に限られず、無機繊維及び有機繊維の一方又は両方であることとしてもよいが、当該繊維体は、無機繊維を含むことが好ましい。
【0117】
無機繊維は特に限られないが、例えば、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ-アルミナ繊維、シリカ-アルミナ-マグネシア繊維、生体溶解性無機繊維、ガラス繊維、ジルコニア繊維、ケイ酸アルカリ土類金属塩繊維、ロックウール及びバサルト繊維からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0118】
有機繊維は特に限られないが、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ふっ素樹脂繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維及びポリオレフィン繊維からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0119】
発塵防止材30を構成する繊維体の嵩密度は特に限られないが、例えば、0.01g/cm3以上、3g/cm3以下であることが好ましく、0.025g/cm3以上、2.5g/cm3以下であることがより好ましく、0.05g/cm3以上、2g/cm3以下であることが特に好ましい。
【0120】
発塵防止材30を構成する繊維体の坪量は特に限られないが、例えば、10-6g/cm2以上、3g/cm2以下であることが好ましく、2.5×10-6g/cm2以上、2.5g/cm2以下であることがより好ましく、5×10-6g/cm2以上、2g/cm2以下であることが特に好ましい。
【0121】
発塵防止材30を構成する繊維体の厚さは特に限られないが、例えば、1μm以上、10mm以下であってもよく、5μm以上、8mm以下であることが好ましく、10μm以上、5mm以下であることがより好ましく、20μm以上、3mm以下であることが特に好ましい。
【0122】
発塵防止材30を構成する金属箔は特に限られないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、鉄、鋼材、チタン、チタン合金、及びマグネシウム合金からなる群より選択される1以上の金属箔であることとしてもよい。
【0123】
発塵防止材30を構成する金属箔の厚さは特に限られないが、例えば、1μm以上、10μm以下であってもよく、2μm以上、50μm以下であることが好ましく、3μm以上、30μm以下であることが特に好ましい。
【0124】
発塵防止材30を構成する樹脂シートは特に限られないが、例えば、アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ふっ素樹脂、ナイロン、レーヨン、アクリル、及びポリオレフィンからなる群より選択される1以上の樹脂シートであることとしてもよい。
【0125】
発塵防止材30を構成する樹脂シートの厚さは特に限られないが、例えば、10μm以上、500μm以下であってもよく、20μm以上、100μm以下であることが好ましく、30μm以上、60μm以下であることが特に好ましい。
【0126】
発塵防止材30の流れ抵抗は特に限られないが、例えば、0.01Ns/m3以上であることが好ましく、0.1Ns/m3以上であることがより好ましく、1Ns/m3以上であることが特に好ましい。発塵防止材30の流れ抵抗の上限値は特に限られないが、当該流れ抵抗は、例えば、108Ns/m3以下であることとしてもよい。発塵防止材の流れ抵抗は、「ISO 9053-1:2018 Acoustics - Determination of airflow resistance - Part 1: Static airflow method」に準拠した方法により測定される。
【0127】
図2Aに示す例において、断熱材1は、断熱部10及び緩衝部20を収容する袋状の発塵防止材30を含む。また、
図2Bに示す例において、断熱材1は、断熱部10を収容する袋状の発塵防止材30を含み、緩衝部20は当該発塵防止材30には収容されていない。この場合、緩衝部20の少なくとも一部は、断熱部10及び発塵防止材30より電池100の表面(例えば、
図1Aに示す例における一方のセル40aの表面43a)に近い位置に配置される。
【0128】
具体的に、例えば、断熱部10が粉体の加圧成形体又は繊維体である場合、当該断熱部10を、繊維体、金属箔又は樹脂シートから構成される袋状の発塵防止材30内に収容することにより、当該断熱部10からの発塵を効果的に防止することができる。
【0129】
断熱材1は、
図3A及び
図3Bに示すように、電池100に含まれる対向する一対の表面43a,43bの間に、当該一対の表面43a,43bの各々を覆うように配置され、電池100の一対の表面43a,43bの各々に対向して配置される断熱部10と、その少なくとも一部が当該断熱部10より当該一対の表面43a,43bの一方(
図3Aに示す一方のセル40aの表面43a)に近い位置に配置される第一の緩衝部20iと、その少なくとも一部が当該断熱部10より当該一対の表面43a,43bの他方(
図3Aに示す他方のセル40bの表面43b)に近い位置に配置される第二の緩衝部20iiとを含むこととしてもよい。
【0130】
すなわち、この場合、断熱材1は、その少なくとも一部が、断熱材10の一方の表面11と、一方の電池100の表面43aとの間に配置される第一の緩衝部20と、その少なくとも一部が、当該断熱材10の他方の表面12と、他方の電池100の表面43bとの間に配置される第二の緩衝部20とを含む。この結果、電池100の対向する一対の表面43a,43bが膨張することに伴う不具合の発生が効果的に防止される。
【0131】
断熱材1においては、断熱の対象とする電池の表面(例えば、
図1Aにおける一方のセル40aの表面43a)に対向する緩衝部20の表面21のうち少なくとも一部が、当該電池の表面に対向する断熱部10の表面11より当該電池の表面に近い位置に配置される。すなわち、断熱材1の平面視において、断熱部10より電池の表面に近い位置に配置される、緩衝部20の少なくとも一部が、当該電池の表面に対向する断熱部10の表面11の全て又は一部を覆う。
【0132】
具体的に、断熱材1の平面視において、断熱の対象とする電池の表面に対向する断熱部10の表面11の面積(緩衝部20に覆われている部分も含む、断熱部10の一方の表面11全体の面積)に対する、緩衝部20の表面21のうち当該断熱部10より当該電池の表面に近い位置に配置される部分の面積の割合は、例えば、1%以上であってもよく、5%以上であってもよく、10%以上であってもよく、15%以上であってもよく、20%以上であってもよく、30%以上であってもよく、40%以上であってもよく、50%以上であってもよく、60%以上であってもよい。上記割合は、例えば、100%以下であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよく、70%以下であってもよく、60%以下であってもよく、50%以下であってもよく、40%以下であってもよく、30%以下であってもよく、20%以下であってもよい。上記割合は、上述した下限値の1つと、上述した上限値のうち当該下限値より大きい1つとを任意に組み合わせて特定されてもよい。
【0133】
断熱材1の平面視において、断熱部10より電池の表面に近い位置に配置される、緩衝部20の少なくとも一部が、当該電池の表面に対向する断熱部10の表面11の一部を覆う場合、例えば、当該断熱材1の平面視において、断熱部10及び緩衝部20は、海島構造を形成するよう配置されていることとしてもよい。この場合、断熱材1は、その平面視において、断熱部10及び緩衝部20の一方が海部分であり他方が島部分である海島構造を有する。
【0134】
すなわち、断熱材1は、その平面視において、断熱部10が海部分であり、緩衝部20が島部分である海島構造を有することとしてもよい。また、断熱材1は、その平面視において、緩衝部20が海部分であり、断熱部10が島部分である海島構造を有することとしてもよい。なお、海島構造において、海部分は、1以上の島部分の各々を囲む部分(すなわち、各島部分の外周を囲む部分)であり、島部分は、海部分に囲まれた部分である。
【0135】
断熱部10及び緩衝部20は、断熱材1の平面視において、1つの島部分を含む海島構造(島部分の数が1である海島構造)を形成するよう配置されていることとしてもよい。
【0136】
図4Aには、この場合の断熱材1の一例を平面視で模式的に示す。
図4Bには、
図4Aに示すIV-IV線で切断して得られる断熱材1の断面を模式的に示す。
図4Cには、
図4A及び
図4Bに示す断熱材1を含む電池100の断面を模式的に示す。
図4A~
図4Cに示す例において、緩衝部20は1つの島部分(唯一の島部分)を形成し、当該断熱部10は海部分を形成している。
【0137】
断熱材1が上述のような海島構造を有する場合、緩衝部20の少なくとも一部は、電池100に含まれる表面に対向する断熱部10の表面から、当該電池100の表面に向かって突出して形成されることとしてもよい。
【0138】
すなわち、
図4Cに示す例において、緩衝部20が構成する島部分は、一方のセル40aの表面43aに対向する断熱部10の表面11から、当該セル40aの表面43aに向かって突出して形成されている。
【0139】
そして、このように断熱材1が断熱部10の表面から突出して形成された緩衝部20を含む場合、当該断熱材1が配置された電池100においては、当該緩衝部20を介して離隔された、当該電池100に含まれる表面と、当該断熱部10の表面(海部分を構成する表面)との間に、隙間が形成される。
【0140】
すなわち、
図4Cに示す電池100においては、断熱材1の緩衝部20を介して離隔された、一方のセル40aの表面43aと、当該断熱材1の断熱部10の表面11との間に、隙間110が形成されている。
【0141】
この点、例えば、
図4Cに示す例において、電池100の動作中に、一方のセル40aの過剰な発熱により膨張した表面43aが、断熱材1の緩衝部20を押圧する場合、当該緩衝部20は、その一部が隙間110中に張り出す(より具体的には、当該緩衝部20の側面23が、当該隙間110中に張り出す)ことにより、容易に圧縮変形することができる。
【0142】
断熱部10及び緩衝部20は、断熱材1の平面視において、複数の島部分を含む海島構造を形成するよう配置されていることとしてもよい。すなわち、断熱材1は、例えば、その平面視において、複数の島部分を形成する緩衝部20を含む。
【0143】
図5Aには、この場合の断熱材1の一例を平面視で模式的に示す。
図5Bには、
図5Aに示すV-V線で切断して得られる断熱材1の断面の一例を模式的に示す。
図5Cには、
図5A及び
図5Bに示す断熱材1を含む電池100の断面を模式的に示す。
図5A~
図5Cに示す例において、緩衝部20は複数の島部分(具体的には、9つの島部分)を形成し、断熱部10は海部分を形成している。
【0144】
断熱材1が上述のような海島構造を有する場合、緩衝部20の少なくとも一部は、電池100に含まれる表面に対向する断熱部10の表面から、当該電池100の表面に向かって突出して形成されることとしてもよい。
【0145】
すなわち、
図5Cに示す例において、緩衝部20が構成する複数の島部分は、一方のセル40aの表面43aに対向する断熱部10の表面11から、当該セル40aの表面43aに向かって突出して形成されている。
【0146】
そして、このように緩衝部20が断熱部10の表面から突出する複数の島部分を形成する場合、当該断熱材1が配置された電池100においては、当該複数の島部分を介して離隔された、当該電池100に含まれる表面と、当該断熱部10の表面(海部分を構成する表面)との間に、隙間が形成される。
【0147】
すなわち、
図5Cに示す電池100においては、緩衝部20から構成される複数の島部分を介して離隔された、一方のセル40aの表面43aと、当該断熱材1の断熱部10の表面11(具体的には、当該断熱部10の表面11のうち、隣接する2つの島部分の間の部分)との間に、隙間110が形成されている。
【0148】
この点、例えば、
図5Cに示す例において、電池100の動作中に、一方のセル40aの過剰な発熱により膨張した表面43aが、断熱材1の緩衝部20を押圧する場合、当該緩衝部20が形成する複数の島部分の各々は、その一部が隙間110中に張り出す(より具体的には、当該各島部分の側面23が、当該隙間110中に張り出す)ことにより、容易に圧縮変形することができる。
【0149】
断熱材1においては、緩衝部20の全部が、断熱部10より電池100に含まれる表面に近い位置に配置されていることとしてもよい。すなわち、
図5Bに示す例において、緩衝部20は、断熱部10に積層されている。具体的に、緩衝部20は、断熱部10の平坦な表面11上に積層されている。
【0150】
一方、例えば、
図5Dに示すように、緩衝部20は、断熱部10の表面11に形成された凹部13に配置されていてもよい。この例においても、緩衝部20は、断熱部10に積層されている。ただし、緩衝部20の一部(断熱部10の表面11から突出した部分)のみが、断熱部10より電池100に含まれる表面(一方のセル40aの表面43a)に近い位置に配置されている。
【0151】
そして、緩衝部20の突出した部分の表面21と反対側の表面22は、断熱部10の表面11より電池100に含まれる表面(一方のセル40aの表面43a)から遠い位置に配置されている。
【0152】
また、
図5Eに示すように、緩衝部20は、断熱部10を貫通するよう配置されていてもよい。この例においても、緩衝部20の一部のみが、断熱部10より電池100に含まれる表面に近い位置に配置されている。
【0153】
すなわち、例えば、
図5Eに示す断熱材1を
図5Cに示す電池100に適用した場合には、当該断熱材1の緩衝部20の一部(例えば、緩衝部20の一方の表面21の一部)が、断熱部10より一方のセル40aの表面43aに近い位置に配置されるとともに、当該緩衝部20の他の一部(例えば、緩衝部20の他方の表面21の一部)が、当該断熱部10より他方のセル40bの表面43bに近い位置に配置される。
【0154】
断熱材1の平面視において、断熱部10及び緩衝部20が、海島構造を形成するよう配置される場合、当該緩衝部20は、その一部又は全部が、当該断熱材1の平面視において、格子状に形成されてもよい。
【0155】
図6Aには、この場合の断熱材1の一例を平面視で模式的に示す。
図6Bには、
図6Aに示すVI-VI線で切断して得られる断熱材1の断面の一例を模式的に示す。
図6A及び
図6Bに示す例において、緩衝部20は、断熱部10の表面11から突出する格子状に形成されている。すなわち、この例において、緩衝部20は格子状の海部分を形成し、断熱部10は複数の格子穴に相当する複数の島部分を形成している。具体的に、断熱材1は、格子状の緩衝部20と、当該緩衝部20の格子穴に充填された断熱部10とを含んでいる。
【0156】
図6Bに示す例において、緩衝部20の一部(例えば、緩衝部20の一方の表面21)は、断熱部10の一方の表面11から格子状に突出して形成され、当該緩衝部20の他の一部(例えば、緩衝部20の他方の表面22)は、当該断熱部10の他方の表面12から格子状に突出して形成されている。また、緩衝部20が形成する格子状の海部分は、断熱部10を貫通している。
【0157】
図6Cには、
図6Aに示すVI-VI線で切断して得られる断熱材1の断面の他の例を模式的に示す。この例において、緩衝部20の一部(例えば、緩衝部20の一方の表面21)は、断熱部10の一方の表面11から格子状に突出して形成されているが、当該緩衝部20の他の一部(例えば、緩衝部20の他方の表面22)は、当該断熱部10の他方の表面12からは突出していない。
【0158】
図6Dには、
図6Aに示すVI-VI線で切断して得られる断熱材1の断面のさらに他の例を模式的に示す。この例において、緩衝部20の一部(例えば、緩衝部20の一方の表面21)は、断熱部10の一方の表面11から格子状に突出して形成され、当該緩衝部20の他の一部(例えば、緩衝部20の他方の表面22)は、当該断熱部10の他方の表面12の全体を覆うように形成されている。
【0159】
図7Aには、緩衝部20の一部が格子状に形成された断熱材1の他の例を平面視で模式的に示す。
図7Bには、
図7Aに示すVII-VII線で切断して得られる断熱材1の断面の一例を模式的に示す。
【0160】
図7A及び
図7Bに示す例において、緩衝部20の一部(例えば、緩衝部20の一方の表面21)は、断熱部10の一方の表面11を覆うように形成され、当該緩衝部20の他の一部(例えば、緩衝部20の他方の表面22)は、当該断熱部10の他方の表面12を覆うように形成され、当該緩衝部20のさらに他の一部が、当該断熱部10を貫通する格子状に形成されている。
【0161】
【0162】
図8Aに示す例において、断熱材1は、その平面視において、断熱部10の表面11の一部に囲まれた格子状の緩衝部20を含み、当該断熱部10の表面11の他の一部は、当該緩衝部20の格子穴の位置に配置されている。
【0163】
また、格子状の緩衝部20は、複数のノード部23と、各々が当該複数のノード部23のうち隣接する2つを接続する複数の接続部24とを含んでいる。各ノード部23は、2以上の接続部24の交点の位置に配置される、当該接続部24より幅の広い部分である。各ノード部23は、1以上の他のノード部23と接続部24を介して接続されている。この結果、緩衝部20は、複数のノード部23と複数の接続部24とが一体化された1つの格子状体として形成されている。
【0164】
図8B~
図8Mに示す例において、緩衝部20の少なくとも一部は、断熱部10の表面11から突出して形成されている。すなわち、
図8B~
図8Eに示す例では、緩衝部20の全部が、断熱部10の表面11から突出して形成され、
図8F~
図8Mに示す例では、緩衝部20の一部が、断熱部10の表面11から突出して形成されている。
【0165】
また、
図8J~
図8Mに示す例では、緩衝部20の一部が断熱部10の一方の表面11から突出して形成され、当該緩衝部20の他の一部が当該断熱部10の他方の表面12から突出して形成されている。さらに、
図8J~
図8Mに示す例では、緩衝部20のさらに他の一部が断熱部10を貫通している。
【0166】
したがって、
図8B~
図8Mに示す例において、緩衝部20の少なくとも一部は、断熱部10より電池の表面(例えば、
図5Cに示す電池100における一方のセル40aの表面43a、及び/又は、他方のセル40bの表面43b)に近い位置に配置される。より具体的に、緩衝部20の一方の表面21の少なくとも一部は、断熱部10の一方の表面11より電池の表面(例えば、
図5Cに示す電池100における一方のセル40aの表面43a)に近い位置に配置され、及び/又は、当該緩衝部20の他方の表面22の少なくとも一部は、当該断熱部10の他方の表面12より電池の表面(例えば、
図5Cに示す電池100における他方のセル40bの表面43b)に近い位置に配置される。
【0167】
図8B、
図8C、
図8F、
図8G、
図8J及び
図8Kに示す例では、断熱材1の断面視において、緩衝部20のノード部23の表面21
iiiと、接続部24の表面21
ivとは同一の平坦な緩衝部20の表面21を形成するように連なっている。特に
図8Jに示す例では、断熱材1の断面視において、緩衝部20のノード部23の一方の表面21
iiiと、接続部24の一方の表面21
ivとが同一の平坦な緩衝部20の一方の表面21を形成するとともに、当該ノード部23の他方の表面22
iiiと、当該接続部24の他方の表面22
ivとが同一の平坦な緩衝部20の他方の表面22を形成している。
【0168】
一方、
図8D、
図8E、
図8H、
図8I、
図8L及び
図8Mに示す例では、緩衝部20のノード部23の一方の表面21
iiiは、接続部24の一方の表面21
ivより電池の表面(例えば、
図5Cに示す電池100における一方のセル40aの表面43a)に近い位置に配置される。また、
図8K、
図8L及び
図8Mに示す例では、緩衝部20のノード部23の他方の表面22
iiiは、接続部24の他方の表面22
ivより電池の表面(例えば、
図5Cに示す電池100における他方のセル40bの表面43b)に近い位置に配置される。
【0169】
図8C及び
図8Dに示す例では、緩衝部20の接続部24と、断熱部10との間(具体的には、断熱部10の表面11と、当該断熱部10の表面11に対向する接続部24の表面22
ivとの間)に隙間25が形成されている。
【0170】
なお、断熱材1の平面視における各島部分(例えば、
図4Aに示す例において緩衝部20により形成される島部分、
図5Aに示す例において緩衝部20により形成される複数の島部分、
図6A、
図7A及び
図8Aに示す例において断熱部10により形成される複数の格子穴に対応する複数の島部分)及び緩衝部20のノード部23の形状は特に限られず、多角形、円形、楕円形その他の形状であってもよい。
【0171】
また、複数の島部分、及び/又は、緩衝部20の複数のノード部23が形成される場合、断熱材1の平面視における当該複数の島部分、及び/又は、当該複数のノード部23の形状は同一であってもよいし、その全部又は一部の形状が異なってもよい。また、複数の島部分、及び/又は、緩衝部20の複数のノード部23が形成される場合、断熱材1の平面視における当該複数の島部分、及び/又は、当該複数のノード部23のサイズは同一であってもよいし、その全部又は一部のサイズが異なってもよい。
【0172】
断熱材1の平面視における島部分の数は、1つ(
図4A)や9つ(
図5A、
図6A及び
図7A)に限られず、1以上であれば特に限られない。格子状の緩衝部20がノード部23と接続部24とを含む場合、当該ノード部23の数は、9つ(
図8A)に限られず、2以上であれば特に限られない。また、この場合、接続部24の数は、1以上であれば特に限られない。また、断熱部1は、その平面視において、2以上のノード部23と、1以上の接続部24とを含む緩衝部20を2以上含んでもよい。
【0173】
また、断熱部10及び緩衝部20の厚さは、それぞれ、その全体にわたって均一であってもよいし、不均一であってもよい。すなわち、例えば、
図6A、
図7A及び
図8Aに示すように、緩衝部20が格子状に形成される場合、当該緩衝部20の厚さは、均一であってもよいし、不均一であってもよい。
【0174】
また、断熱材1による断熱の対象となる電池に含まれる表面(断熱材1によって覆われる表面)は、隣接して配置された一対のセルの対向する表面に限られず、例えば、当該電池に含まれる他の部材の表面や、当該電池の外表面等、断熱(保温を含む)の必要がある表面であれば特に限られない。