IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】光起電装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/36 20140101AFI20230609BHJP
   H01L 31/0224 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H02S40/36
H01L31/04 260
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020501182
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 AU2018050729
(87)【国際公開番号】W WO2019010542
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】2017902769
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】590003283
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドゥジン・バク
(72)【発明者】
【氏名】カール・ウェーバー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・フォークス
(72)【発明者】
【氏名】レジーヌ・シャントラー
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-017941(JP,A)
【文献】特表2013-510427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0142071(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0079412(US,A1)
【文献】特開平03-019379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078、31/18-31/20
H10K 30/00-30/89
H02S 40/36
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア基板を備える光起電装置において、前記キャリア基板は、印刷構造物を担持し、前記印刷構造物は、
複数の印刷光起電モジュールであって、各モジュールは、
第1および第2のモジュール端子、ならびに
各光起電セルが、隣接する光起電セルと直列に電気的に接続されるような、前記第1のモジュール端子と前記第2のモジュール端子との間の複数の印刷光起電セルを含む、複数の印刷光起電モジュールと、
前記光起電モジュールの片側に沿って延びる第1の印刷バスバーと、
前記光起電モジュールの反対側に沿って延びる第2の印刷バスバーと、
複数のモジュール間レールであって、各モジュール間レールは、光起電モジュールと関連し、
各モジュール間レールは、前記光起電モジュールが、最初は前記印刷構造物内で互いから切り離されるようなリンク可能なギャップとともに印刷される、複数のモジュール間レールと、を備え、
前記印刷構造物は、前記光起電モジュールの外側にある前記印刷構造物上の所定の場所に複数の選択的に構成可能な接合部を規定し、前記接合部の各々は、
光起電モジュールが対応するモジュール間レールの前記それぞれのリンク可能なギャップを覆う導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープによって隣接する光起電モジュールに選択的に接続されることを可能にし、かつ
モジュール端子が前記第1および第2のバスバーの1つと選択的に接続するまたは前記第1および第2のバスバーの1つから切り離すことを可能にするように、製造中にかつ前記印刷構造物への保護用コーティングの適用より前に構成可能であり、
その結果、前記光起電モジュールは、直列にかつ/または並列に選択的に電気的に接続されることが可能である、光起電装置。
【請求項2】
前記複数の選択的に構成可能な接合部はさらに、1つまたは複数の切断可能なリンクを含む、請求項1に記載の光起電装置。
【請求項3】
1つまたは複数のモジュール間レールは、隣接する光起電モジュール間の選択的直列接続を可能にするように構成され、
前記接合部の1つまたは複数は、隣接する光起電モジュール間の選択的並列接続を可能にするように構成される、請求項1または2に記載の光起電装置。
【請求項4】
前記光起電モジュールは、第1の導電性電極層、電荷選択層、および光活性層を含み、前記層の各々は、コーティングプロセスを介して前記基板上に形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項5】
モジュールの1つまたは複数のユニットを備え、各ユニットは、先頭モジュールが、前記直列接続の片方の端部に配置され、後端モジュールが、各ユニット内の前記直列接続の反対側の端部に配置されるように、直列に接続される2つ以上の隣接するモジュールを含み、
前記先頭モジュールの前記第1の端子は、前記第1の端子を前記第1のバスバーに選択的に接続するための第1の接合部を含み、
前記後端モジュールの前記第2の端子は、前記第2の端子を前記第2のバスバーに選択的に接続するための第2の接合部を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項6】
n個のモジュールは、n個のモジュールのマイナーユニットを形成するために直列に電気的に接続可能であり、ただしnは、整数である、請求項1から5のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項7】
n個のモジュールの前記マイナーユニットは、各々n個のモジュールのm個のマイナーユニットを形成するために少なくとも一度繰り返され、ただしmは、2以上の整数である、請求項6に記載の光起電装置。
【請求項8】
前記n個のモジュールのm個のマイナーユニットは、n×mモジュールのメジャーユニットを形成するために並列に電気的に接続可能である、請求項7に記載の光起電装置。
【請求項9】
各モジュール間レールは、印刷導電性材料を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項10】
前記第1および第2のバスバーの各々は、印刷導電性材料、積層金属ホイルまたはそれらの組み合わせを備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項11】
前記第1のモジュール端子は、前記第2のモジュール端子に対して正電位を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項12】
前記第1のバスバーは、前記第2のバスバーに対して正電位を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項13】
キャリア基板を備える光起電装置において、前記キャリア基板は、印刷構造物を担持し、前記印刷構造物は、
複数のユニットであって、各ユニットは、複数の印刷光起電モジュールを備え、各モジュールは、
第1および第2のモジュール端子、ならびに
各光起電セルが、隣接する光起電セルと直列に電気的に接続されるような、光起電モジュールの前記第1のモジュール端子と前記第2のモジュール端子との間の複数の印刷光起電セルを備える、複数のユニットと、
前記複数のユニットの片方の側に沿って延びる第1の印刷バスバーであって、前記第1のバスバーは、ユニット内の先頭光起電モジュールの前記第1の端子に電気的に接続するように適合される、第1の印刷バスバーと、
前記複数のユニットの他方の側に沿って延びる第2の印刷バスバーであって、前記第2のバスバーは、ユニット内の後端光起電モジュールの前記第2の端子に電気的に接続するように適合され、前記光起電セルは、各光起電セルの長手方向が前記第1および第2のバスバーに対して平行であるように位置決めされる、第2の印刷バスバーと、
各光起電モジュールと関連しかつ前記光起電モジュールの外側にある前記印刷構造物上に位置するモジュール間レールであって、前記モジュール間レールは、前記光起電モジュールが、最初は互いから切り離されるようなリンク可能なギャップを含み、1つの光起電モジュールは、少なくとも前記第1または第2のバスバーへの電気的接続が、製造中にかつ前記印刷構造物への保護用コーティングの適用より前に前記第1または第2の端子を通じて確立されるとき、前記それぞれのリンク可能なギャップを覆う導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープによって直列に隣接する光起電モジュールに選択的に接続可能である、モジュール間レールと、を備える、光起電装置。
【請求項14】
各光起電セルは、第1および第2のセル電極を備え、前記第1の電極は、前記第2のセル電極に対して正電位を有し、前記直列内の前記先頭光起電セルの前記第1のセル電極は、前記第1のモジュール端子を形成し、前記直列内の前記後端光起電セルの前記第2のセル電極は、前記第2のモジュール端子を形成する、請求項13に記載の光起電装置。
【請求項15】
各光起電モジュールは、直列に電気的に接続される8を超える光起電セルを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項16】
各光起電モジュールは、各光起電モジュールの長手方向が前記第1および第2のバスバーに垂直であるように位置決めされる、請求項1から15のいずれか一項に記載の光起電装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の光起電装置を生産する方法において、前記方法は、
第1の導電性電極層を前記基板上に形成するステップと、
第1の電荷選択層を少なくとも部分的に前記第1の導電性電極層を覆って形成するステップと、
光活性層を少なくとも部分的に前記第1の電荷選択層を覆って形成するステップと、
第2の電荷選択層を少なくとも部分的に前記光活性層を覆って形成するステップと、
前記基板に沿って所定の間隔で前記形成された層の部分を除去して、個々の光起電モジュールを部分的に形成する離散層セクションを生成するステップと、
前記光起電モジュール、モジュール間レールおよびバスバーを形成するために前記離散層セクションおよび基板を部分的に覆って第2の導電性電極層を印刷するステップと、
を備え、
前記第1の導電性電極層、前記第1の電荷選択層、前記光活性層、および前記第2の電荷選択層の1つまたは複数は、コーティングプロセスを介して形成される、
光起電装置を生産する方法。
【請求項18】
請求項13または14に記載の光起電装置を生産する方法であって、
前記光起電装置は、各光起電モジュール内の光起電セルの数を選択するかつ/またはユニット内の光起電モジュールの数を選択することによって、選択された電圧または電流を提供するために要求に応じて生産される、光起電装置を生産する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電装置およびその製造のための方法に関する。本装置は、曲げられる材料のキャリアウェブまたはフィルム上に印刷されることもある光起電(PV)モジュール(本明細書では印刷ソーラフィルム(PSF)と呼ばれる)を備える。各モジュールは、正モジュール端子と負モジュール端子との間に接続される複数の光起電セルを備える。キャリアウェブまたはフィルムはまた、要求に応じて光起電モジュールを適応的にまたは柔軟に相互接続するのに適したバスバーおよび/またはレールとともに印刷されることもある。
【背景技術】
【0002】
従来技術の光起電セルは、無機結晶シリコンを用いて製造されている。現在、最も効率の良い無機ソーラセルは、収集したソーラエネルギーの40パーセントを超えて電気エネルギーに変換することもある。しかしながら、結晶シリコンに基づくそれらを含む、そのような無機ソーラセルの1つの不都合は、それらが、それらの製造において大量のエネルギーを必要とするということである。その上、無機ソーラセルに使用される材料の性質は、それらの製造のためにかなりの労働および費用を必要とすることもある。
【0003】
それに応じて、注目は、典型的にはロールツーロールプロセスを介してキャリアウェブに沿ってモジュールパターン(図1aを参照)に製作される有機ソーラセル、有機-無機ハイブリッドペロブスカイトソーラセルおよび無機ナノ粒子ベースのソーラセルを含む溶液処理ソーラセルのクラスに移っている。モジュールパターンは、キャリアウェブに沿って繰り返されることもあり、繰り返されるパターンは、ウェブの処理方向に沿って直列接続されることもある。
【0004】
図1aに示されるモジュールパターンは、理論的には無制限に延長されてもよいけれども、処理方向に垂直なストライプ状パターンを生産することは、製造方法の制限に起因して実用的でない。それ故に、ストライプ状パターンは、伝統的に処理方向に平行に生産されている。
【0005】
従って、実用的な相互接続方法は、図2aおよび図2bに示されるように開発され、またWO2013/152952において述べられている。その方法は、大きいセル面積からの高電流に起因して抵抗(I2R)損失を被ることなく比較的高い電圧を生成するために、「無限設計」と呼ばれるセルの無限相互接続を使用する。その設計は、所望のアプリケーションまたは必要とされる電圧出力のために一定サイズに切断されることもある。
【0006】
「無限設計」は、実用的でかつ有用であるけれども、現実世界のアプリケーションには制限がある。例えばアプリケーション長さが、決定されるとき、出力電圧が、典型的にはモジュール電圧×アプリケーション長さ/モジュール長さによって決定されることになるので、出力電圧を選ぶ自由が少ししかない。それ故に、アプリケーション長さが、長すぎるときは(例えば>10m)、出力電圧は典型的には、安全のためには高すぎることもある。その上、出力電圧は通常、アプリケーション長さに応じて異なるので、システムのバランス(BOS)の設計は、ソーラセルの出力を標準電圧に変換するインバータが典型的には、入力電圧および/または電流の動作窓を有するので、やりがいがある。
【0007】
従来のシートモジュールおよび無限設計の制限に対処するために、光起電モジュールを相互接続する、より柔軟なまたは汎用的な方法が、望まれる。
【0008】
従来技術として与えられる特許文献または他の事柄への本明細書での言及は、その文献もしくは事柄が、知られていたということ、またはそれが含有する情報が、請求項のいずれかの優先日におけるような共通の一般知識の一部であったということの承認と受け取られるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2013/152952号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によると、キャリア基板を備える光起電装置が提供され、前記キャリア基板は、印刷構造物を担持し、前記印刷構造物は、
複数の印刷光起電モジュールであって、各モジュールは、
第1および第2のモジュール端子、ならびに、
各光起電セルが、隣接する光起電セルに直列に電気的に接続されるような、前記第1のモジュール端子と前記第2のモジュール端子との間の複数の印刷光起電セルを含む、複数の印刷光起電モジュールと、
前記光起電モジュールの片側に沿って延びる第1の印刷バスバーと、
前記光起電モジュールの反対側に沿って延びる第2の印刷バスバーと、
複数のモジュール間レールであって、各モジュール間レールは、光起電モジュールと関連し、
各モジュール間レールは、前記光起電モジュールが、最初は前記印刷構造物内で互いから切り離されるようなリンク可能なギャップとともに印刷される、複数のモジュール間レールと、を備え、
前記印刷構造物が、前記光起電モジュールの外側にある前記印刷構造物上の所定の場所に複数の選択的に構成可能な接合部を規定し、前記接合部の1つ又は複数は、
光起電モジュールが1つまたは複数のモジュール間レールの前記それぞれのリンク可能なギャップを覆う導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープによって隣接する光起電モジュールに選択的に接続されることを可能にし、かつ
モジュール端子が前記第1および第2のバスバーの1つと選択的に接続するまたは前記第1および第2のバスバーの1つから切り離すことを可能にするように、製造中にかつ前記印刷構造物への保護コーティングの適用より前に構成可能であり、
その結果、前記光起電モジュールは、直列にかつ/または並列に選択的に電気的に接続されることが可能である。
【0011】
本発明によると、各光起電モジュールは、複数の接続された光起電セルを含む。各光起電モジュールは、所定の出力を提供するために所定の数の光起電セルを用いて構成されてもよい。モジュール間レールおよび選択的に構成可能な接合部は有利には、所望の全体的出力を達成するために任意の直列かつ/または並列組み合わせにおける光起電モジュールの柔軟な接続を可能にする。個々の光起電セル間の接続よりもむしろ光起電モジュール間の直列/並列接続を選択的に構成するために接合部を使用することがより容易であるということが、見いだされている。
【0012】
典型的には、選択的に構成可能な接合部および選択された接合部構成は、製造中に光起電装置の設計に組み込まれる。特に、選択的に構成可能な接合部は、光起電モジュール、モジュール間レールおよびバスバーと一緒に形成されてもよい。これは有利には、カスタム設計された印刷ソーラフィルムが要求に応じてコスト効率の良い仕方で生産されることを可能にする。
【0013】
複数の選択的に構成可能な接合部はさらに、1つまたは複数の切断可能なリンクを含んでもよい。
【0014】
1つまたは複数のモジュール間レールは、隣接する光起電モジュール間の選択的直列接続を可能にするように構成されてもよく、接合部の1つまたは複数は、隣接する光起電モジュール間の選択的並列接続を可能にするように構成されてもよい。
【0015】
光起電モジュールは、第1の導電性電極層、電荷選択層、および光活性層を含んでもよく、層の各々は、コーティングプロセスを介して基板上に形成される。
【0016】
一実施形態では、少なくとも1つの接合部は、リンク可能なギャップの少なくとも一部分を覆って導電性ペーストを適用することで関連する光起電モジュールの第1の端子を隣接する光起電モジュールの第2の端子に選択的に接続するためのモジュール間レールと関連するリンク可能なギャップである。
【0017】
一実施形態では、光起電装置は、モジュールの1つまたは複数のユニットを備え、各ユニットは、先頭(leading)モジュールが、各ユニット内の直列接続の片方の端部に配置され、後端(trailing)モジュールが、直列接続の反対側の端部に配置されるように直列に接続される2つ以上の隣接するモジュールを含み、
先頭モジュールの第1の端子は、前記第1の端子を前記第1のバスバーに選択的に接続するための第1の接合部を含み、
後端モジュールの第2の端子は、前記第2の端子を前記第2のバスバーに選択的に接続するための第2の接合部を含む。
【0018】
各モジュールの第1の端子は、少なくとも関連するモジュールが、モジュールのユニットの1つの端部における先頭モジュールであるとき、第1の端子を第1のバスバーに電気的に接続するための第1の接合部を含んでもよい。各モジュールの第2の端子は、少なくとも関連するモジュールが、モジュールの前記ユニットの別の端部に位置する後端モジュールであるとき、第2の端子を第2のバスバーに電気的に接続するための第2の接合部を含んでもよい。
【0019】
そのモジュール間レールまたは各モジュール間レールは、少なくとも関連するモジュールが、隣接するモジュールに直列に接続されるべきであるとき、関連するモジュールの第1または第2の端子を隣接するモジュールの第2または第1の端子にそれぞれ電気的に接続するための第3の接合部を含んでもよい。
【0020】
n個のモジュールは、n個のモジュールのマイナーユニットを形成するために直列に電気的に接続されてもよく、ただしnは、整数である。n個のモジュールのマイナーユニットは、各々n個のモジュールのm個のマイナーユニットを形成するために少なくとも一度キャリア基板に沿って繰り返されてもよく、ただしmは、整数である。「m」は、2以上の整数であってもよい。n個のモジュールのm個のマイナーユニットは、n×mモジュールのメジャーユニットを形成するために並列に電気的に接続されてもよい。
【0021】
1つの形では、キャリア基板は、金属またはプラスチックなどの曲げられるホイルを備えてもよい。
【0022】
各光起電モジュールは、第1のモジュール端子と第2のモジュール端子との間で直列に電気的に接続される複数の光起電セルを備えてもよい。
【0023】
各モジュール間レールは、印刷導電性材料を備えてもよい。
【0024】
各第1および第2のバスバーは、印刷導電性材料、積層金属ホイルまたはそれらの組み合わせを備えてもよい。
【0025】
第1のモジュール端子は、第2のモジュール端子に対して正電位を有するように配置されてもよい。第1のバスバーは、第2のバスバーに対して正電位を有するように配置されてもよい。
【0026】
第1の接合部は、第1のモジュール端子と第1のバスバーとの間で電気的にリンク可能である少なくとも1つのギャップを備えてもよい。リンクは、導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープを介して作成されてもよい。
【0027】
別法として、第1の接合部は、第1のモジュール端子と第1のバスバーとの間に切断可能なリンクを備えてもよく、リンクは、少なくとも関連するモジュールが、モジュールのユニットの1つの端部における先頭モジュールであるとき、維持され、前記リンクは、関連するモジュールが、モジュールのユニットの1つの端部における先頭モジュールでないとき、切断される。
【0028】
第2の接合部は、前記第2のモジュール端子と前記第2のバスバーとの間で電気的にリンク可能である少なくとも1つのギャップを備えてもよく、リンクは、少なくとも関連するモジュールが、モジュールの前記ユニットの別の端部に位置する後端モジュールであるとき、作成される。リンクは、導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープを介して作成されてもよい。
【0029】
別法として、第2の接合部は、第2のモジュール端子と第2のバスバーとの間に切断可能なリンクを備えてもよく、リンクは、少なくとも関連するモジュールが、モジュールのユニットの別の端部に位置する後端モジュールであるとき、維持され、リンクは、関連するモジュールが、モジュールのユニットの別の端部に位置する後端モジュールでないとき、切断される。
【0030】
第3の接合部は、第1または第2のモジュール端子と隣接するモジュールのモジュール間レールとの間で電気的にリンク可能である少なくとも1つのギャップを備えてもよく、前記リンクは、少なくとも関連するモジュールが、隣接するモジュールに直列に接続されるべきとき、作成される。リンクは、導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープを介して作成されてもよい。
【0031】
別法として、第3の接合部は、前記第1または第2のモジュール端子と隣接するモジュールのモジュール間レールとの間に切断可能なリンクを備えてもよく、前記リンクは、少なくとも関連するモジュールが、隣接するモジュールに直列に接続されるべきとき、維持され、前記リンクは、関連するモジュールが、隣接するモジュールと直列に接続されるべきでないとき、切断される。
【0032】
本発明の別の態様によると、キャリア基板を備える光起電装置が提供され、前記キャリア基板は、印刷構造物を担持し、前記印刷構造物は、
複数のユニットであって、各ユニットは、複数の印刷光起電モジュールを備え、各モジュールは、
第1および第2のモジュール端子、ならびに、
各光起電セルが、隣接する光起電セルに直列に電気的に接続されるような、光起電モジュールの前記第1のモジュール端子と前記第2のモジュール端子との間の複数の印刷光起電セルを備える、複数のユニットと、
前記複数のユニットの片方の側に沿って延びる第1の印刷バスバーであって、前記第1のバスバーは、ユニット内の先頭光起電モジュールの前記第1の端子に電気的に接続するように適合される、第1の印刷バスバーと、
前記複数のユニットの他方の側に沿って延びる第2の印刷バスバーであって、前記第2のバスバーは、ユニット内の後端光起電モジュールの前記第2の端子に電気的に接続するように適合され、前記光起電セルは、前記第1および第2のバスバーに対して平行配向に位置決めされる、第2の印刷バスバーと、
各光起電モジュールと関連しかつ前記光起電モジュールの外側にある前記印刷構造物上に位置するモジュール間レールであって、前記モジュール間レールは、前記光起電モジュールが、最初は互いから切り離されるようなリンク可能なギャップを含み、1つの光起電モジュールは、少なくとも前記第1または第2のバスバーへの電気的接続が、製造中にかつ前記印刷構造物への保護用コーティングの適用より前に前記第1または第2の端子を通じて確立されるとき、前記それぞれのリンク可能なギャップを覆う導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープによって直列に隣接する光起電モジュールに選択的に接続可能である、モジュール間レールと、を備える。
【0033】
キャリア基板を備える光起電装置が、ここでさらに開示され、前記キャリア基板は、印刷構造物を担持し、前記印刷構造物は、
複数のユニットであって、各ユニットは、複数の光起電モジュールを備え、各モジュールは、
第1および第2のモジュール端子、ならびに、
各光起電セルが、隣接する光起電セルに直列に電気的に接続されるような、光起電モジュールの前記第1のモジュール端子と前記第2のモジュール端子との間の複数の印刷光起電セルを備える、複数のユニットと、
複数のユニットの片側に沿って延びる第1の印刷バスバーであって、第1のバスバーは、ユニット内の先頭光起電モジュールの第1のモジュール端子に電気的に接続するように適合される、第1の印刷バスバーと、
複数のユニットの他方の側に沿って延びる第2の印刷バスバーであって、第2の印刷バスバーは、ユニット内の後端光起電モジュールの第2のモジュール端子に電気的に接続するように適合され、前記光起電セルは、前記第1および第2のバスバーに対して平行配向に位置決めされる、第2の印刷バスバーと、
各光起電モジュールと関連しかつ前記光起電モジュールの外側にある前記印刷構造物上に位置するモジュール間レールと、
を備え、
x個のモジュールは、ただしxは、1よりも大きい整数であるが、一組の光起電モジュールを形成するために接続されたモジュール間レールを通じて互いに直列に、または直列にかつ並列に電気的に接続され、
少なくとも前記第1または第2のバスバーへの電気的接続が、前記印刷構造物への保護用コーティングの適用より前に前記第1または第2の端子を通じて確立されるとき、レール接合部を含む隣接するモジュール間レールは、隣接する組の光起電モジュールを電気的に接続するように適合される。
【0034】
光起電セルは、直列に互いに接続されてもよい。各光起電セルは、第1および第2のセル電極を備えてもよく、第1の電極は、第2のセル電極に対して正電位を有し、直列内の先頭光起電セルの第1のセル電極は、第1のモジュール端子を形成し、直列内の後端光起電セルの第2のセル電極は、第2のモジュール端子を形成する。光起電装置は、モジュール内のセルの数を選択する、かつ/またはユニット内のモジュールの数を選択することによって、選択された電圧または電流を提供するために要求に応じて印刷されてもよい。
一実施形態では、各光起電モジュールは、直列に電気的に接続される8を超える光起電セルを含む。
一実施形態では、各光起電モジュールは、前記第1および第2のバスバーに垂直に配向される。
【0035】
上で述べられたような印刷光起電装置ならびに選択された第1の端子と第1のバスバーとの間、選択された第2の端子と第2のバスバーとの間およびレール接合部間を要求に応じて接続するように適合される導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープなどの導電性材料を備えるパーツ一式もまた、本明細書で開示される。
【0036】
キャリア基板を備える光起電装置が、ここでさらに開示され、前記キャリア基板は、
複数の光起電モジュールであって、各モジュールは、第1および第2の端子を備え、複数の光起電セルは、第1のモジュール端子と第2のモジュール端子との間に電気的に接続される、複数の光起電モジュールと、
光起電モジュールの1つの側に沿って延びる第1のバスバーと、
光起電モジュールの別の側に沿って延びる第2のバスバーと、
複数のモジュール間レールであって、各モジュール間レールは、光起電モジュールと関連する、複数のモジュール間レールと、
を備える印刷構造物を担持し、
複数の光起電モジュールは、1つまたは複数のユニットとして配置され、各ユニットは、互いに電気的に接続されるまたはn個のモジュールだけ間隔を空けられる先頭モジュールおよび後端モジュールを有し、ただしnは、整数であり、
モジュールは、前記モジュール間レールと関連する接合部を介して直列に、または直列にかつ並列に接続され、
先頭モジュールの前記第1の端子は、前記第1のバスバーに電気的に接続され、後端モジュールの第2の端子は、前記第2のバスバーに電気的に接続される。
【0037】
本発明の別の態様によると、上で述べられたような光起電装置を生産する方法が、提供され、
本方法は、
基板上に第1の導電性電極層を形成するステップと、
第1の導電性電極層を少なくとも部分的に覆って第1の電荷選択層を形成するステップと、
第1の電荷選択層を少なくとも部分的に覆って光活性層を形成するステップと、
光活性層を少なくとも部分的に覆って第2の電荷選択層を形成するステップと、
基板に沿って所定の間隔で形成された層の部分を除去して、個々の光起電モジュールを部分的に形成する離散層セクションを生成するステップと、
光起電モジュール、モジュール間レールおよびバスバーを形成するために離散層セクションおよび基板を部分的に覆って第2の導電性電極層を印刷するステップと、を含み、
第1の導電性電極層、第1の電荷選択層、光活性層、および第2の電荷選択層の1つまたは複数は、コーティングプロセスを介して形成される。
【0038】
本発明のなお別の態様によると、上で述べられたような光起電装置を生産する方法が、提供され、本方法は、光起電モジュール、モジュール間レールおよびバスバーを基板上に形成するステップを含み、形成するステップは、選択的に構成可能な接合部を規定するステップを含む。
【0039】
キャリア基板上に光起電装置を製造するための方法もまた、本明細書で開示され、
本方法は、
前記キャリア基板を提供するステップと、
複数の光起電モジュールを前記基板上に印刷するステップであって、各モジュールは、第1および第2の端子を備え、1つまたは複数の光起電セルは、前記第1のモジュール端子と前記第2のモジュール端子との間に電気的に接続される、ステップと、
前記キャリア基板に沿って延びかつ光起電モジュールの片方の側に位置する第1のバスバーを印刷するステップと、
前記キャリア基板に沿って延びかつ光起電モジュールのもう一方の側に位置する第2のバスバーを印刷するステップと、
複数のモジュール間レールを前記基板上に印刷するステップであって、各モジュール間レールは、それぞれの光起電モジュールと関連する、ステップと、
前記モジュール端子、前記モジュール間レールおよび/または前記バスバーと関連する複数の接合部を印刷するステップであって、前記接合部は、要求に応じて直列にかつ/または並列に前記光起電モジュールを電気的に接続するように適合される、ステップと、
を含む。
【0040】
オプションとして、各モジュールの第1の端子は、少なくとも関連するモジュールが、モジュールのユニットの1つの端部における先頭モジュールであるとき、前記第1の端子を前記第1のバスバーに電気的に接続するための第1の接合部を含み、各モジュールの前記第2の端子は、少なくとも関連するモジュールが、モジュールの前記ユニットの別の端部に位置する後端モジュールであるとき、前記第2の端子を前記第2のバスバーに電気的に接続するための第2の接合部を含む。
【0041】
オプションとして、または各モジュール間レールは、少なくとも関連するモジュールが、前記隣接するモジュールに直列に接続されるべきであるとき、関連するモジュールの第1または第2の端子を隣接するモジュールの第2または第1の端子にそれぞれ電気的に接続するための第3の接合部を含む。
【0042】
オプションとして、n個のモジュールは、n個のモジュールのマイナーユニットを形成するために直列に電気的に接続可能であり、ただしnは、整数である。n個のモジュールのマイナーユニットは、各々n個のモジュールのm個のマイナーユニットを形成するために少なくとも一度前記キャリア基板に沿って繰り返されてもよく、ただしmは、整数である。n個のモジュールのm個のマイナーユニットは、n×mモジュールのメジャーユニットを形成するために並列に電気的に接続可能であってもよい。
【0043】
一実施形態では、キャリア基板は、曲げられるホイルを備えてもよい。本方法は、ロールを形成するために曲げられるホイルを巻き上げるステップを含んでもよい。
【0044】
一実施形態では、各モジュールは、前記第1のモジュール端子と前記第2のモジュール端子との間で直列に電気的に接続される複数の光起電セルを備える。各モジュール間レールは、印刷導電性材料を備えてもよい。その上、各前記第1および第2のバスバーは、印刷導電性材料、積層金属ホイルまたはそれらの組み合わせを備えてもよい。
【0045】
典型的には、第1のモジュール端子は、前記第2のモジュール端子に対して正電位を有する。さらに、第1のバスバーは、前記第2のバスバーに対して正電位を有してもよい。
【0046】
第1の接合部は、前記第1のモジュール端子と前記第1のバスバーとの間で電気的にリンク可能である少なくとも1つのギャップを備えてもよい。リンクは、導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープを介して作成されてもよい。第1の接合部は、第1のモジュール端子と前記第1のバスバーとの間に切断可能なリンクを備えてもよく、前記リンクは、少なくとも関連するモジュールが、モジュールのユニットの1つの端部における先頭モジュールであるとき、維持されてもよく、前記リンクは、関連するモジュールが、モジュールのユニットの1つの端部における先頭モジュールでないとき、切断されてもよい。
【0047】
第2の接合部は、前記第2のモジュール端子と前記第2のバスバーとの間で電気的にリンク可能である少なくとも1つのギャップを備えてもよく、リンクは、少なくも関連するモジュールが、モジュールの前記ユニットの別の端部に位置する後端モジュールであるとき、作成される。リンクは、導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープを介して作成されてもよい。第2の接合部は、前記第2のモジュール端子と前記第2のバスバーとの間に切断可能なリンクを備えてもよく、前記リンクは、少なくとも関連するモジュールが、モジュールの前記ユニットの別の端部に位置する後端モジュールであるとき、維持され、前記リンクは、関連するモジュールが、モジュールの前記ユニットの別の端部に位置する後端モジュールでないとき、切断される。
【0048】
第3の接合部は、前記第1または第2のモジュール端子と隣接するモジュールのモジュール間レールとの間で電気的にリンク可能である少なくとも1つのギャップを備えてもよく、前記リンクは、少なくとも関連するモジュールが、隣接するモジュールに直列に接続されるべきであるとき、作成される。リンクは、導電性ペースト、導電性インクまたは導電性テープを介して作成されてもよい。第3の接合部は、前記第1または第2のモジュール端子と隣接するモジュールのモジュール間レールとの間に切断可能なリンクを備えてもよく、前記リンクは、少なくとも関連するモジュールが、隣接するモジュールに直列に接続されるべきであるとき、維持され、前記リンクは、関連するモジュールが、隣接するモジュールと直列に接続されるべきでないとき、切断される。
【0049】
本発明の具体的実施形態は今から、例としてかつ添付の図面を参照して述べられることになる。実施形態は、実例として与えられるだけであり、本発明は、この実例によって限定されないということを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1a】直列に接続された4つのセルを有するPVモジュールの一例を示す図である。
図1b】PVモジュールの横断面を示す図である。
図1c】PVセルの構造の詳細を示す図である。
図2a】双方向の無限に相互接続されたPVモジュールの一例を示す図である。
図2b】一方向の無限に相互接続されたPVモジュールの一例を示す図である。
図3】3つの直列接続されたモジュールを有するハイブリッド設計におけるPSFレイアウトの一例を示す図である。
図4】2つのチャンネルを用いて構成されたハイブリッド設計におけるPSFレイアウトを示す図である。
図5a】モジュール間レールのためのリンク可能なギャップおよびモジュールとバスバーとの間のリンク可能なギャップを有するPSFレイアウトを示す図である。
図5b】ギャップが架橋された後の図5aのレイアウトを示す図である。
図6】簡単な線または複雑な形状を含むリンク可能なギャップの例を示す図である。
図7a】モジュール間レールのための切断可能なリンクおよびモジュールとバスバーとの間の切断可能なリンクを有するPSFレイアウトを示す図である。
図7b】リンクが切断された後の図7aのレイアウトを示す図である。
図8a】モジュール間レールのためのリンク可能なギャップを有するPSFレイアウトを示す図である。
図8b】モジュール、モジュール間レールおよびバスバーの間のリンク可能なギャップを有する代替PSFレイアウトを示す図である。
図8c】ギャップが架橋されたまたは接続された後の図8bのレイアウトを示す図である。
図9a】先頭モジュールLと後端モジュールTとの間の直列接続のためのリンク可能なギャップを有するPSFレイアウトを示す図である。
図9b】先頭モジュールLと後端モジュールTとの間の直列接続のためのリンク可能なギャップもまた有する、図9aに対する代替PSFレイアウトを示す図である。
図10a】一実施形態による3つの電気的に接続されたモジュールを備える光起電モジュールまたはユニットの一例を示す図である。
図10b】別の実施形態による4つの電気的に接続されたモジュールを備える光起電モジュールまたはユニットの一例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態による印刷ソーラフィルムのための製造プロセスにおけるステップを例示する概略図を示す図である。
図12a】コーティングプロセス後に第1の導電性電極層11、第1の電荷選択層12、光活性層13および第2の電荷選択層14の各々を担持する光起電装置の基板のセクションの平面図を例示する図である。
図12b】各層11から14の関連部分が、個々の光起電モジュールのための基礎を形成するように、エッチングプロセスを介して除去された後の図12aに示される基板を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、様々な変更および代替形を受けやすいが、具体的な実施形態は、図面において例として示されており、本明細書で詳細に述べられることになる。しかしながら、本発明は、開示される特定の形に限定されることを目的としていないことを理解すべきである。むしろ、本発明は、添付の請求項によって規定されるような本発明の趣旨および範囲内に入るすべての変更、等価物、および代替案をカバーするためである。
【0052】
「定義」
「光起電セル」
本発明の文脈において、用語「光起電セル」は、その表面に衝突し、吸収されると外部回路内で所与の電圧における電流の形で電気エネルギーに変換される光を変換する1つまたは複数の要素を備えるユニットを表す。
【0053】
「光起電モジュール」
本発明の文脈において、用語「光起電モジュール」は、複数の光起電セルを備えるモジュールを表す。
【0054】
「モジュール端子」
本発明の文脈において、用語「モジュール端子」は、光起電モジュールの出力端子を表す。光起電モジュールは、2つのモジュール端子、例えば正端子および負端子を備えてもよい。本発明による光起電モジュールでは、光起電モジュールは、1つの正モジュール端子および1つの負モジュール端子を備え、それらの間に光起電セルが、配置される。
【0055】
「印刷される」
本発明の文脈において、用語「印刷される」は、回転スクリーン印刷、フラットベッドスクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スロットダイコーティング、ナイフコーティング、ブレードコーティング、バーコーティングおよびコイルコーティングなどの、任意の種類の転写プロセスを表す。
【0056】
「ウェブ」
本発明の文脈において、用語「ウェブ」は、金属ホイルまたはプラスチックホイルなどの、材料の薄いシートを表す。一実施形態では、ウェブは、0.9mmを下回る、または0.8mmを下回る、または0.75mmを下回る、または0.7mmを下回る、または0.6mmを下回る、または0.5mmを下回る、または0.4mmを下回る、または0.3mmを下回る、または0.25mmを下回る、または0.2mmを下回る、または0.1mmを下回るのを含む、1mmを下回る厚さを有してもよい。
【0057】
一実施形態では、ウェブは、曲げられる材料で作られていてもよく、500mmを下回る、または250mmを下回る、または125mmを下回る、または100mmを下回る、または75mmを下回る、または50mmを下回る、または40mmを下回る、または30mmを下回る、または25mmを下回る、または20mmを下回る、または15mmを下回る、または10mmを下回る、または5mmを下回るのを含む、1000mmを下回る曲げ半径を有してもよい。
【0058】
「曲げ半径」
本発明の文脈において、用語「曲げ半径」は、材料が、壊れることなく、損傷を受けることなくまたは寿命を短縮されることなく、曲げられてもよい最小の尺度を表し、それは、湾曲の内側で測定される。一実施形態では、材料は、塑性的に変形されることなくこの半径まで曲げられてもよい、言い換えれば、材料は、この半径まで曲げられるとき、弾性的に変形されるだけであってもよい。それ故に、材料の曲げ半径が、小さいほど、材料は、より柔軟であり、曲げることができると認識されてもよい。同様に、曲げ半径が、大きいほど、材料は、より堅いと認識されてもよい。
【0059】
ウェブの曲げ半径をテストする1つの方法は、曲げ半径に対応する半径を有するシリンダを提供することであってもよい。その後、ウェブが、シリンダの周りに曲げられてもよい。一例として、25mmの半径を有するシリンダが、提供され、その後ウェブが、シリンダの周りに曲げられてもよい。最後に、光起電モジュールが、なお機能しているかどうか、すなわち曲げられなかったウェブと同じ量の電気を発生させる能力があるかどうかを決定するようにテストされてもよい。
【0060】
「有機の」
本発明の文脈において、用語「有機の」は、飽和されてもまたは不飽和であってもよくかつ半導体特性を伝えるために共役方式で接続されてもよい炭素-炭素結合を通じて構築された分子を備える材料を表す。有機材料は、水素、窒素、酸素、硫黄、セレン、リンおよび金属イオンなどの、1つまたは複数の他の要素を含んでもよい。
【0061】
本発明は、柔軟な基板上に印刷することによって生産される溶液処理ソーラセルを含む印刷ソーラフィルム(PSF)のための相互接続方法を提供してもよい。有機ソーラセル、有機-無機ハイブリッドペロブスカイトソーラセル、無機ナノ粒子ベースのソーラセルを含む溶液処理ソーラセルは典型的には、透明導電性電極(TCE)上に製作される。
【0062】
図1aは、直列接続の4つのセルを有するTCEベースのPVモジュールの一例を示し、図1bは、PVモジュールの横断面を示す。研究所では、デバイスは典型的には、小面積の単一セルとして製作される。対照的に、セルの直列相互接続は、TCEの制限された導電率に起因して大面積デバイスのために必要とされる。TCEの高抵抗率から生じる損失、いわゆる抵抗損は、セル幅が、センチメートル規模よりも大きいとき、著しくなることもある。従って、図1aに示されるようなストライプ状パターン設計は典型的には、大面積TCEベースのデバイスを製作するために使用される。
【0063】
図1cは、PVセルの構造の詳細を横断面で示す。横断面は、基板10、導電性電極11、電荷選択層12、光活性層13、電荷選択層14および導電性電極15を含む。
【0064】
基板10は、PET、PENおよびポリイミドなどのプラスチック材料、絶縁コーティングを有する金属ホイル、ならびに柔軟なガラスを備えてもよい。導電性電極11は典型的には、インジウムドープのスズ酸化物(ITO)を備える。別法として、他の金属酸化物、導電性ポリマー、金属ナノワイヤおよび複合物(他の導電性材料を有する金属グリッド)が、使用されてもよい。透明上部電極を有する上部照明デバイスの場合、導電性電極11は、不透明金属を含んでもよい。
【0065】
電荷選択層12(またバッファ層または電荷(電子、ホール)輸送層とも呼ばれる)は、デバイスが、層12なしで動作してもよいように、オプションである。材料は典型的には、金属酸化物または有機半導体を含んでもよい。二重層もしくは三重層および/または複合材料がまた、使用されてもよい。
【0066】
導電性電極15は、導電性電極11に使用されるのと同様の材料を備えてもよい。TCEが、導電性電極11に使用されるとき、導電性電極15は、不透明導体を備えてもよい。
【0067】
モジュール設計は主に、アプリケーション面積が、小さく(典型的にはA3サイズよりも小さい)、典型的にはシートの形で使用されるとき、有益である。大面積アプリケーションについては、ソーラセルは伝統的に、ロールツーロールプロセスを介してロールの形で長いフィルム上に生産される。モジュールパターンは、処理方向に沿って繰り返され、直列接続されてもよい。
【0068】
上で述べられたように、大きいセル面積からの高電流に起因して抵抗損を被ることなく比較的高い電圧を生成するために無限設計と呼ばれるセルの無限相互接続を使用する実用的な相互接続方法が、開発されている。無限設計は、実用的であり、有益であるけれども、上で論じられたように、現実世界のアプリケーションには限界がある。
【0069】
従来のシートモジュールおよび無限設計の限界に対処するために、本発明は、ハイブリッド相互接続設計を提案する。提案されるハイブリッド設計は、図3から図7を参照して以下で述べられるように、繰り返しユニットモジュール、モジュール間レールおよび平行バスバーを備える。
【0070】
図3は、マイナーユニットを形成するためにモジュール間レール34を介して直列に接続される3つのモジュール31~33を有するハイブリッド設計30におけるPSFレイアウトの一例を示し、マイナーユニットは、メジャーユニットを形成するためにバスバー35、36に並列接続される。バスバー35、36間の所望の出力電圧は、繰り返しマイナーユニット内の直列接続モジュールの数を選択することによって決定されてもよい。各マイナーユニットの先頭および後端モジュールは、パワーが、バスバー35、36上の任意の点において集められてもよいように、バスバー35、36に接続されてもよい。ハイブリッド相互接続設計は、図2aに示され双方向設計などのマルチチャンネル設計とともに使用されてもよい。
【0071】
3つの光起電モジュール31~33の各々は、直列に接続された複数の光起電セル37を含む。例示目的のために、9つの光起電セルが、各光起電モジュール内に示される。しかしながら、実際には、任意の適切な数の光起電セルが、各光起電モジュール内に含まれてもよい。典型的には、例えばもし基板38が、約30cmの幅(W)を有するならば、5から20個の光起電セル37が、各モジュール31~33に含まれる。一実施形態では、5個の光起電セル37が、各モジュール31~33に含まれる。別の実施形態では、16個の光起電セル37が、各モジュール31~33に含まれる。さらなる実施形態では、20個の光起電セル37が、各モジュール31~33に含まれる。他の実施形態では、特にもし基板38の幅(W)が、増加されるならば、より多くの光起電セル37が、各モジュール31~33に含まれてもよい。
【0072】
本発明の実施形態は有利には、光起電モジュール間の接続が、任意のアプリケーションに適合するために任意のカスタム出力を提供するように柔軟な仕方で選択的に構成されることを可能にするということが、より明瞭に少なくとも図3から認識されてもよい。光起電セルおよびモジュールのサイズ、配置および構成に起因して、例えばモジュール間レールおよび接合部を使用して光起電モジュール間の直列/並列接続を選択的に構成することは、個々の光起電セル間の接続を変えることによって同様の成果を達成しようと試みるよりもはるかに容易であるということになることが、見いだされている。
【0073】
図4は、2つのチャンネル41、42を用いて構成されるハイブリッド設計40におけるPSFレイアウトを示す。ハイブリッド設計は、スクリーン印刷などの任意の知られている工業または大量生産方法によりレールおよび/またはバスバーならびに接続および/または接合部を印刷し、以下で述べられるような様々な方法を使用して大量生産された接続または接合部を変更することによって達成されてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、小さいギャップが、モジュール間接続内にかつユニットモジュールとバスバーとの間に提供されてもよく、それらは、架橋する、リンクするまたは充填するのが容易であってもよい。ギャップは、溶液ディスペンサ、スタンプ、スロットダイ、スプレー、ブラシおよびインクジェット印刷などの、様々なツールを使用して導電性インクで架橋され、リンクされまたは充填されてもよい。ギャップはまた、導電性テープおよび/またはステッカを介して架橋されまたはリンクされてもよい。
【0075】
図5aは、モジュール間レール52と関連するリンク可能なギャップ51およびモジュール55とバスバー56、57との間のリンク可能なギャップ53、54を有するPSFレイアウト50を示す。
【0076】
ギャップ51は、関連するモジュールが、隣接するモジュールに直列に接続されるべきとき、関連するモジュール端子に電気的にリンク可能である。
【0077】
ギャップ53は、関連するモジュールが、隣接するモジュールに並列に接続されるべきとき、バスバー56に電気的にリンク可能である。
【0078】
ギャップ54は、関連するモジュールが、隣接するモジュールに並列に接続されるべきとき、バスバー57に電気的にリンク可能である。いずれの場合にも、リンクは、導電性ペーストまたは類似のものを介して作成されてもよい。
【0079】
図5bは、ギャップ51、53、54が、導電性ペーストを介して架橋されたまたは接続された後の同じレイアウト50を示す。ギャップ51、53、54が、架橋された後、レイアウト50は、図5aの例に示されるように、直列に接続された3つのモジュールを備えるマイナーユニット58を形成する。マイナーユニット58は、各々3つのモジュールのm個のマイナーユニットを形成するために少なくとも一度キャリア基板に沿って繰り返されてもよく、ただしmは、整数である。n個のモジュールのm個のマイナーユニットは、3×mモジュールのメジャーユニットを形成するために並列に電気的に接続されてもよい。
【0080】
図6に示されるように、各ギャップ51、53、54は、単純な直線60(図6a)を含んでもよくまたはそれは、ギャップを接続するまたは架橋する際に誤差許容範囲をより良く受け入れるために、より複雑な形状61~63(図6bから図6d)を含んでもよい。各ギャップは、導電性ペーストまたは類似のものを介して架橋されまたは接続されてもよい。
【0081】
他の実施形態では、すべての光起電モジュールは最初に、切断可能なリンクを介して接続され、またバスバーに並列に接続されてもよい。モジュール間レールとバスバーとの間の接続はその後、繰り返しユニット内の直列接続ユニットモジュールの数を決定するためにあらゆる方法で切り離されまたは切断されてもよい。接続は、レーザスクライビング、機械的スクライビングおよび/または化学的エッチングを介して切断されてもよい。
【0082】
図7aは、モジュール間レール72と関連する切断可能なリンク71およびモジュール75とバスバー76、77との間の切断可能なリンク73、74を有するPSFレイアウト70を示す。
【0083】
リンク71は、関連するモジュールが、隣接するモジュールに直列に接続されるべきとき、維持される。リンク71は、関連するモジュールが、隣接するモジュールと並列に接続されるべきとき、切断される。
【0084】
リンク73、74は、関連するモジュールが、隣接するモジュールに並列に接続されるべきとき、維持される。リンク73、74は、関連するモジュールが、隣接するモジュールに直列に接続されるべきとき、切断される。
【0085】
図7bは、リンク71、73、74が、切断された後の同じPSFレイアウト70を示す。リンク71、73、74が、切断された後、レイアウト70は、図7bの例に示されるように、直列に接続された3つのモジュールを備えるマイナーユニット78を形成する。マイナーユニット78は、各々3つのモジュールのm個のマイナーユニットを形成するために少なくとも一度キャリア基板に沿って繰り返されてもよく、ただしmは、整数である。n個のモジュールのm個のマイナーユニットは、3×mモジュールのメジャーユニットを形成するために並列に電気的に接続されてもよい。
【0086】
図8aは、モジュール間レール83と関連するリンク可能なギャップ82を有する複数のモジュール81を備えるPSFレイアウト80を示す。ギャップ82は、少なくとも関連するモジュール/モジュールのユニットが、隣接するモジュール/モジュールのユニットに直列に接続されるべきとき、電気的にリンク可能である。
【0087】
図8bは、モジュール間レール83と関連するリンク可能なギャップ82、モジュール端子86、87と関連するリンク可能なギャップ84、85およびモジュール端子86、87とバスバー90、91との間のリンク可能なギャップ88、89を有する複数のモジュールを備える代替PSFレイアウト80を示す。ギャップ82は、少なくとも関連するモジュール/モジュールのユニットが、隣接するモジュール/モジュールのユニットに直列に接続されるべきとき、電気的にリンク可能である。モジュール端子86、87と関連するギャップ84、85は、少なくとも関連するモジュールが、隣接するモジュールに並列に接続されるべきとき、電気的にリンク可能である。
【0088】
ギャップ88は、少なくとも関連する先頭モジュールまたはモジュールのユニットが、隣接するモジュール/モジュールのユニットに並列に接続されるべきとき、バスバー90に電気的にリンク可能である。同様に、ギャップ89は、少なくとも関連する後端モジュール/モジュールのユニットが、隣接するモジュール/モジュールのユニットに並列に接続されるべきとき、バスバー91に電気的にリンク可能である。いずれの場合にも、リンクは、導電性ペースト、導電性インクもしくは導電性テープまたは類似のものを介して作成されてもよい。
【0089】
図8cは、ギャップ82、84、85、88および89が、導電性ペーストを介して要求に応じて架橋されまたは接続された(または場合によっては切り離されたままにされた)後の同じレイアウト80を示す。ギャップが、架橋された(または切り離されたままにされた)後、レイアウト80は、直列に接続された2つのモジュールを各々備えるマイナーユニット92、93を形成する。マイナーユニット92、93は、各々2つのモジュールのm個のマイナーユニットを形成するためにキャリア基板に沿って繰り返されてもよく、ただしmは、整数である。n個のモジュールのm個のマイナーユニットは、2×mモジュールのメジャーユニットを形成するために並列に電気的に接続されてもよい。
【0090】
図9aは、モジュール間レール83と関連するリンク可能なギャップ82、および先頭モジュールLと後端モジュールTとの間の直列接続のための、モジュール端子86、87とバスバー90、91との間のリンク可能なギャップ88、89を有する複数のモジュール81を備えるPSFレイアウト80を示す。
【0091】
図9bは、モジュール端子86、87間のリンク可能なギャップ82、および先頭モジュールLと後端モジュールTとの間の直列接続のためのモジュール端子86、87とバスバー90、91との間のリンク可能なギャップ88、89を有する複数のモジュール81を備える代替PSFレイアウト80を示す。
【0092】
図10aは、3つの電気的に相互接続された光起電モジュールの光起電モジュールまたはユニットの例となるPSFレイアウト80を示す。3つのモジュール81のユニットは、先頭ユニットL1が、接合部88’を介してバスバー90に接続され、後端ユニットTが、接合部89’を介してバスバー91に接続され、モジュールL1、NおよびTが、接合部82’を介して互いに直列に接続される状態で示される。L1とTとの間の他の接合部84、85、88および89は、切り離されたままである。L2は、別個のユニットの一部を形成することになる。
【0093】
図10bは、4つの電気的に接続されたモジュールを備える光起電モジュールまたはユニットの例となるPSFレイアウト80を示す。4つのモジュール81のユニットは、先頭ユニットL1が、接合部88’を介してバスバー90に接続され、後端ユニットTが、接合部89’を介してバスバー91に接続される状態で示される。モジュールL1およびN1、ならびにN2およびTは、接合部84’および85’を介して並列に互いに接続される。モジュールN1およびN2は、接合部82’を介して直列に互いに接続される。L1とTとの間の他の接合部82、84、85、88および89は、切り離されたままである。
【0094】
さらなる実施形態では、光起電モジュールは、図5図10を参照して上で述べられたように、リンク可能なギャップおよび切断可能なリンクを含む方法の組み合わせを介して接続されてもよい。
【0095】
従来のモジュールシートと比較して、本発明は、比較的大きい面積のデバイスが生産されることを可能にすることができる。大面積ソーラセルの出力電圧は、製造プロセスの後または製造プロセス中にオンデマンドで設定されてもよい。
【0096】
大面積設備では、出力電圧は、安全なレベルに設定されてもよくかつ/または任意のインバータシステムと互換性があってもよい。大面積設備では、印刷ソーラフィルムは、必要とされる出力電圧にかかわらず所望の長さに切断されてもよい(繰り返しユニットの中間が、切断されるとき、自由が制限されてまたはある面積の廃棄物をともなうどこでも)。
【0097】
エネルギーは、バスバー上のどこからでも集められてもよい。PSF間の相互節接続は、平行方向の多重PSF設備などの広域アプリケーションのために任意の点においてなされてもよい。
【0098】
本発明の光起電装置および方法は、柔軟な基板上の溶液処理ソーラセルとともに使用するのに特に適していることもある。
【0099】
本発明の一実施形態による印刷ソーラフィルム(PSF)を製造する方法110は今から、図11を参照して述べられることになる。方法110は、図3から図10(b)を参照して前に述べられたような光起電モジュールおよび光起電装置を集合的に作り上げる、図1(c)においてより明瞭に示されるような光起電セルを構築する適切な層11から15の各々を形成するために使用されてもよい。
【0100】
第1のステップ112中に、キャリア基板10(柔軟なITO基板など)が、提供される。例示目的のために、図11における基板10は、製造中に図11において矢印128によって例示されるように「ウェブ方向」に移動する。第1の導電性電極11が、コーティングプロセスを介して基板10に適用される。ディスペンサ126は、コーティングプロセスを介して第1の導電性電極層11を適用するために使用される。好ましくは、インジウムスズ酸化物(ITO)ベースの導体が、第1の導電性電極層のために使用される。その上、第1の導電性電極層11は、約100~300nmの厚さ範囲を有して形成される。
【0101】
いくつかの印刷プロセスと異なり、このコーティングプロセスは有利には、適用される層の厚さの正確な制御を可能にする。特に、コーティングプロセスは、均一な層が所望の厚さで適用されることを可能にする。加えて、コーティングプロセスは、基板がディスペンサに対して移動するにつれて、各層が連続的に生成されることを可能にし、それは、より大きな効率を可能にする(例えば、様々な印刷プロセスと比較するとき)。
【0102】
典型的には、印刷プロセスにおいて、「印刷インク」の液滴は、基板上に分注される。そのような印刷プロセスは、不均等な厚さ、時にはギャップ(またピンホールとしても知られている)を印刷層内に生成する可能性がある。加えて、印刷層の厚さは、特に高レベルの正確さおよび均一性が、印刷層の厚さに必要とされるとき、正確に制御することが困難である。
【0103】
第2のステップ114中に、第1の電荷選択層12が、同じコーティングプロセスを介して基板10を覆って適用され、第1の導電性電極層11を部分的にカバーする。好ましくは、第1の電荷選択層12は、約10~100nmの厚さ範囲を有して形成される。
【0104】
第3のステップ116中に、光活性層13もまた、同じコーティングプロセスを介して基板10を覆って適用され、第1の電荷選択層12を部分的にカバーする。好ましくは、光活性層13は、約100~500nmの厚さ範囲を有して形成される。
【0105】
図11には示されないが、第2の電荷選択層14がまた、同じコーティングプロセスを介して基板10を覆って適用されてもよく、光活性層13を部分的にカバーする。好ましくは、第2の電荷選択層14は、約10~500nmの厚さ範囲を有して形成される。
【0106】
厚さおよび品質制御の各々について層11から14の各々を適用するためにコーティングプロセスを使用することは好ましいが、十分なレベルの品質は、ある印刷プロセスを使用して達成されてもよい。例えば、電荷選択層は、妥当な導電率を有し、それは、より厚さに寛容である。それに応じて、回転スクリーン印刷などの方法が、電荷選択層を形成するために使用されてもよい。
【0107】
図12(a)および図12(b)においてより明瞭に示されるような第4のステップ118(また図11にも示されない)中に、コーティングステップ112から116を介して適用された層11から14の1つまたは複数の部分が、個々の光起電力モジュールの基礎を形成するために除去されてもよい。除去される層11から14の数は、層11から14の導電率に依存することもある。典型的には、図12(b)において202、204によって表されるエリア内の第2の電荷選択層14の部分が、除去される。場合によっては、もし電荷輸送層(また光活性層13としても知られている)の導電率が、高すぎるならば、層11から14の部分が、図12(a)および図12(b)においてより明瞭に例示されるように除去される。図12(a)は、コーティングステップ112から116が、完了した後の層11から14の各々を担持する基板10の平面図を例示する。図12(b)は、各層11から14の関連部分が、個々の光起電モジュール間にスペース202、204を生成するように層間剥離および/またはスクラッチングを含む任意の適切な方法を介して除去された後の基板10を例示する。
【0108】
第5のステップ120中に、第2の導電性電極層15が、スクリーン印刷プロセスを介して適用され、その場合導電性材料の層が、スクリーン内のメッシュに適用され、ステンシルが、印刷すべき光起電モジュール設計の陰画内のスクリーンの部分を塞ぐことによって生成される。一実施形態では、光起電モジュールは、モジュール間レール内のリンク可能なギャップおよびモジュールとバスバーとの間のリンク可能なギャップとともに印刷される。スクリーン印刷層の厚さは、メッシュサイズ、スクリーンの厚さ、印刷ペースト内の固形分、スキージ角およびスキージ圧を含む少数のパラメータによって制御可能である。最初の2つのパラメータが、主要な制御パラメータである。典型的には、第2の導電性電極層15の厚さは、約1μmから10μmであってもよい。第2の導電性電極層15は、各光起電モジュール130、関連するモジュール間レール132およびバスバー134、136の形成を完了する。
【0109】
第6のステップ122(また図11にも示されない)中に、基板10は、所望の長さに切断される。この切断ステップ122はまた、いくつかの相互接続がなされた後に実行されてもよい。
【0110】
最後の第7のステップ124中に、隣接する光起電モジュールを接続するためのモジュール間レールについての望ましい相互接続、および光起電モジュールとバスバーとの間の相互接続が、遠位制御ディスペンサを使用して実行される。いくつかの実施形態では、相互接続は、導電性テープを介して形成されてもよい。代替実施形態では、既存の電気的接続は、任意の適切なプロセスによって、例えばエッチングおよび/または穿孔プロセスを介して壊されてもよい。いったん相互接続/切り離しが、完了すると、印刷ソーラフィルは、基板10および形成された層11から15を保護するために積層プロセスを介してカプセル化される。方法110は有利には、各光起電装置の設計が、製造プロセスの一部としてかつソーラフィルムの最終カプセル化より前にステップ124中にカスタマイズされることを可能にする。
【0111】
光起電装置設計に組み込まれる選択的に構成可能な接合部を提供することによって、1つもしくは複数のテンプレートまたは一般的光起電装置設計が、生産中に(例えば上記のステップ112から122を介して)利用されてもよい。各光起電装置についてカスタマイズされた相互接続が次いで、保護のために印刷ソーラフィルムを積層する前に、ステップ124において実行されてもよい。例えば、ステップ124におけるディスペンサは、選択された接合部に所望の相互接続を生成するためにプログラムされてもよい。それに応じて、本発明の実施形態は有利には、積層後のさらなる再構成を必要とすることなく、高容量のカスタム設計された光起電装置の迅速な生産が異なるアプリケーション要件に適合することを可能にする。すなわち、本発明の実施形態は、異なるカスタム設計された光起電装置が比較的低いコストで柔軟な仕方で要求に応じて大量生産されることを可能にする。
【0112】
用語「備える(comprise)」、「備える(comprises)」、「構成される(comprised)」、「備えている(comprising)」が、この明細書(請求項を含む)において使用される場合、それらは、述べられた特徴、整数、ステップまたはコンポーネントの存在を指定すると解釈すべきであるが、しかし1つもしくは複数の他の特徴、整数、ステップもしくはコンポーネント、またはそれらのグループの存在を除外することはない。
【0113】
本発明は、限られた数の実施形態と併せて述べられているが、前の記述を考慮すると、多くの代替案、変更および変形が可能であることは、当業者によって認識されることになる。それに応じて、本発明は、開示されるような本発明の趣旨および範囲内に入ることもあるようなすべてのそのような代替案、変更および変形を包含することを目的とする。
【0114】
本出願は、1つまたは複数の将来の出願についての基礎または優先事項として使用されてもよく、任意のそのような将来の出願の請求項は、本出願において述べられる任意の1つの特徴または特徴の組み合わせに向けられてもよい。任意のそのような将来の出願は、次の請求項の1つまたは複数を含んでもよく、それらは、例として与えられ、任意の将来の出願において特許請求されることもあるものに関して限定されない。
【符号の説明】
【0115】
10 基板
11 導電性電極
12 電荷選択層、バッファ層、電荷輸送層
13 光活性層
14 電荷選択層
15 導電性電極
30 ハイブリッド設計
31 モジュール
32 モジュール
33 モジュール
34 モジュール間レール
35 バスバー
36 バスバー
37 光起電セル
38 基板
40 ハイブリッド設計
41 チャンネル
42 チャンネル
50 PSFレイアウト
51 リンク可能なギャップ
52 モジュール間レール
53 リンク可能なギャップ
54 リンク可能なギャップ
55 モジュール
56 バスバー
57 バスバー
58 マイナーユニット
60 単純な直線
61 より複雑な形状
62 より複雑な形状
63 より複雑な形状
70 PSFレイアウト
71 切断可能なリンク
72 モジュール間レール
73 切断可能なリンク
74 切断可能なリンク
75 モジュール
76 バスバー
77 バスバー
78 マイナーユニット
80 PSFレイアウト
81 複数のモジュール
82 リンク可能なギャップ
82’ 接合部
83 モジュール間レール
84 リンク可能なギャップ、接合部
85 リンク可能なギャップ、接合部
86 モジュール端子
87 モジュール端子
88 リンク可能なギャップ、接合部
88’ 接合部
89 リンク可能なギャップ、接合部
89’ 接合部
90 バスバー
91 バスバー
92 マイナーユニット
93 マイナーユニット
110 方法
126 ディスペンサ
128 矢印
130 光起電モジュール
132 モジュール間レール
134 バスバー
136 バスバー
202 エリア、スペース
204 エリア、スペース
N モジュール
N1 モジュール
N2 モジュール
L 先頭モジュール
L1 先頭ユニット
T 後端モジュール、後端ユニット
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11
図12(a)】
図12(b)】