(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】層状非接触支持プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230609BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H01L21/68 N
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2020525973
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(86)【国際出願番号】 IL2018051110
(87)【国際公開番号】W WO2019092692
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518327073
【氏名又は名称】コア フロー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レゲルバウム ヤーコヴ
(72)【発明者】
【氏名】ラウトマン ローネン
(72)【発明者】
【氏名】ノソフスキー レオニート
(72)【発明者】
【氏名】ニシュリ ボアズ
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/025784(WO,A1)
【文献】特開2015-034078(JP,A)
【文献】特表2011-519796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0054774(US,A1)
【文献】米国特許第06781684(US,B1)
【文献】特表2005-528586(JP,A)
【文献】特開2008-288357(JP,A)
【文献】特開2010-160327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点在する圧力ポートおよび真空ポートのパターンを含むポート層と、
圧力源に接続可能であり、圧力導管のグリッドパターンを含む圧力導管層であって、前記圧力ポートの各々は前記圧力導管のうちの少なくとも2つの圧力導管の交点を通る軸上の位置に配置され、その位置で前記圧力導管のグリッドパターンに実質的に直交する、圧力導管層と、
吸引源に接続可能であり、真空導管のグリッドパターンを含む真空導管層であって、前記真空ポートの各々は前記真空導管のうちの少なくとも2つの真空導管の交点を通る軸上の位置に配置され、その位置で前記真空導管のグリッドパターンに実質的に直交
し、前記真空導管のグリッドパターンは、圧力導管の各交点が前記真空導管のすべての交点から横方向にオフセットされるように、前記圧力導管のグリッドパターンから横方向にオフセットされる、
真空導管層と、を備える、テーブルを有
し、
前記圧力導管層および前記真空導管層の各々は、前記圧力導管層のサービス孔が前記真空導管層のサービス孔と整列されたときに、ファスナーまたはセンサの挿入を可能にするように構成されたサービス孔を含み、前記サービス孔の各々は、前記圧力導管および前記真空導管のすべてから横方向に変位されている、非接触支持システム。
【請求項2】
前記サービス孔は、前記サービス孔と最も近い導管との間の横方向の距離が最小距離よりも大きくなるように配置される、請求項
1に記載の非接触支持システム。
【請求項3】
前記グリッドパターンは正方形のパターンであり、前記サービス孔は圧力ポートと最も近い真空ポートとの間の横方向の中間に位置する、請求項
1または請求項
2に記載の非接触支持システム。
【請求項4】
前記圧力導管層および前記真空導管層のそれぞれのグリッドパターンは、圧力導管間の交点のうちの2つおよび真空導管間の交点のうちの2つによって境界付けされた正方形領域内で除去された、圧力導管および直交する真空導管のセグメントを有する正方形パターンである、請求項
1から請求項
3のいずれか1項に記載の非接触支持システム。
【請求項5】
前記サービス孔は、前記正方形領域に位置する、請求項
4に記載の非接触支持システム。
【請求項6】
前記圧力導管層は、圧力マニホールドへの開口部を含み、または前記真空導管層は、真空マニホールドへの開口部を含む、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の非接触支持システム。
【請求項7】
前記圧力導管層と前記ポート層の圧力ポートとの間のエア流を制限する流量リストリクターを含む、少なくとも1つの流量リストリクター層をさらに備える、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の非接触支持システム。
【請求項8】
前記真空導管層と前記ポート層上の真空ポートとの間のエア流を制限する流量リストリクターを含む、少なくとも1つの流量リストリクター層をさらに備える、請求項
7に記載の非接触支持システム。
【請求項9】
前記ポート層のポートを挿入するための、流量リストリクターを含む挿入体をさらに備える、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の非接触支持システム。
【請求項10】
前記流量リストリクターは、自己適応型セグメント化オリフィス(SASO)流量リストリクター、より狭い制限セグメントによって分けられた複数のボアセグメントの直線状の配置、その長さに沿って一定の直径を有する制限チューブ、1つまたは複数の狭窄セグメントを含む制限チューブ、および多孔性物質から成る流量リストリクターのグループから選択される、請求項
9に記載の非接触支持システム。
【請求項11】
前記圧力導管層または前記真空導管層内の導管間の交点におけるコーナーは、丸みを帯びている、請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の非接触支持システム。
【請求項12】
圧力ポートの各々が圧力導管のうちの少なくとも2つの圧力導管の交点に開口するように、圧力源に接続可能である圧力導管のグリッドパターンを含む圧力導管層を、点在する圧力ポートおよび真空ポートのパターンを含むポート層に組み立てることと、
前記真空ポートの各々が真空導管のうちの少なくとも2つの真空導管の交点に開口するように、吸引源に接続可能である真空導管のグリッドパターンを含む真空導管層を、前記ポート層および前記圧力導管層に組み立てることであって、前記真空導管のグリッドパターンは、圧力導管の各交点が前記真空導管のすべての交点から横方向にオフセットされるように、前記圧力導管のグリッドパターンから横方向にオフセットされる、組み立てることと、を含
み、
前記真空導管層を前記圧力導管層に組み立てることは、前記圧力導管層上のサービス孔を前記真空導管層上のサービス孔と整列することを含み、前記サービス孔はすべての前記圧力ポートおよびすべての前記真空ポートから横方向に変位される、非接触支持システムを組み立てる方法。
【請求項13】
前記圧力導管層および前記真空導管層上の前記サービス孔と整列された前記ポート層の孔またはソケットに、前記サービス孔を通して締結構造体を挿入することをさらに含む、請求項
12に記載の非接触支持システムを組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は支持面に関する。より詳細には、本発明は多層に配置された圧力導管および真空導管を有する非接触支持プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業では、薄くて柔軟なワークピースを加工する必要がある。例えば、フラットパネルディスプレイ産業は、例えば数十センチメートルから数メートルの横方向寸法(長さおよび幅)および1ミリ未満の厚さを有する薄いガラスシートの大きな片の処理を必要とする。多くの場合、ワークピースと表面または物体との不必要な物理的接触、例えば、ワークピースの処理に必要とされない物理的接触は、ワークピースをひっかいたり、さもなければ損傷したり、または傷を付けたりする危険性がある。
【0003】
一般的な解決策は、非接触支持プラットフォーム上でワークピースを支持することである。非接触支持プラットフォームは、典型的にはテーブルトップの上方にエアクッションを形成するように構成されたテーブルトップを含む。例えば、テーブルトップは、エアがテーブルトップの上方に押し出される圧力ポートの分布を含むことができる。多くの場合、圧力ポート間には、吸引が用いられる真空ポートが点在している。
【0004】
ワークピースが剛体の場合、ワークピースの局所的な曲げは無視することができる。この場合、非接触支持プラットフォームによって形成されるエアクッションが十分に厚い場合、ワークピースは、テーブルトップから均一な距離で支持され、ワークピースとテーブルトップとの間の接触の危険性がない。
【0005】
しかしながら、ワークピースが可撓性であり、形成されたエアクッションにより働く力がワークピースの下方で均一でないと、エアクッションで支えられているワークピースが撓んだり、窪んだりする。例えば、場合によっては、窪みはワークピース上に「エッグクレート」パターンを形成する。この場合、ワークピースの一部がテーブルトップに向かって撓んだり下がったりすることがあり、ワークピースとテーブルトップとが接触する危険性がある。さらに、ワークピースの不均一な支持は、ワークピース上で実行されている製造または検査プロセスに悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の一実施形態によれば、点在する圧力ポートおよび真空ポートのパターンを含むポート層と、圧力源に接続可能であり、圧力ポートの各々は圧力導管のうち少なくとも2つの圧力導管の交点を通る軸上の位置に配置され、その位置で圧力導管のグリッドパターンに実質的に直交する、圧力導管のグリッドパターンを含む圧力導管層と、吸引源に接続可能であり、真空ポートの各々は真空導管のうちの少なくとも2つの真空導管の交点を通る軸上の位置に配置され、その位置で真空導管のグリッドパターンに実質的に直交する、真空導管のグリッドパターンを含む真空導管層と、を含むテーブルを有する非接触支持システムであって、真空導管のグリッドパターンは、圧力導管の各交点が真空導管のすべての交点から横方向にオフセットされるように、圧力導管のグリッドパターンから横方向にオフセットされる、非接触支持システムが提供される。
【0007】
さらに、本発明の一実施形態によれば、圧力導管層および真空導管層の各々は、圧力導管層のサービス孔が真空導管層のサービス孔と整列されたときに、ファスナーまたはセンサの挿入を可能にするように構成されたサービス孔を含み、サービス孔の各々は、圧力導管および真空導管のすべてから横方向に変位されている。
【0008】
さらに、本発明の一実施形態によれば、サービス孔は、サービス孔と最も近い導管との間の横方向の距離が最小距離よりも大きくなるように配置される。
【0009】
さらに、本発明の一実施形態によれば、グリッドパターンは正方形のパターンであり、サービス孔は圧力ポートと最も近い真空ポートとの間の横方向の中間に位置する。
【0010】
さらに、本発明の一実施形態によれば、圧力導管層および真空導管層のそれぞれのグリッドパターンは、圧力導管間の交点のうちの2つおよび真空導管間の交点のうちの2つによって境界付けされた正方形領域内で除去された、圧力導管および直交する真空導管のセグメントを有する正方形パターンである。
【0011】
さらに、本発明の一実施形態によれば、サービス孔は、正方形領域に位置する。
【0012】
さらに、本発明の一実施形態によれば、圧力導管層は圧力マニホールドへの開口部を含み、または真空導管層は、真空マニホールドへの開口部を含む。
【0013】
さらに、本発明の一実施形態によれば、非接触支持システムは、圧力導管層とポート層の圧力ポートとの間のエア流を制限する流量リストリクターを含む、少なくとも1つの流量リストリクター層を含む。
【0014】
さらに、本発明の一実施形態によれば、非接触支持システムは、真空導管層とポート層上の真空ポートとの間のエア流を制限する流量リストリクターを含む、少なくとも1つの流量リストリクター層を含む。
【0015】
さらに、本発明の一実施形態によれば、非接触支持システムは、ポート層のポートを挿入するための、流量リストリクターを含む挿入体を含む。
【0016】
さらに、本発明の一実施形態によれば、流量リストリクターは、自己適応型セグメント化オリフィス(SASO:Self-Adaptive Segmented Orifice)流量リストリクターを含む。
【0017】
さらに、本発明の一実施形態によれば、流量リストリクターは、より狭い制限セグメントによって分けられた複数のボアセグメントの直線状の配置を含む。
【0018】
さらに、本発明の一実施形態によれば、流量リストリクターは、その長さに沿って一定の直径を有する制限チューブを含む。
【0019】
さらに、本発明の一実施形態によれば、流量リストリクターは、1つまたは複数の狭窄セグメントを含む制限チューブを含む。
【0020】
さらに、本発明の一実施形態によれば、流量リストリクターは、多孔性物質を含む。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態によれば、圧力導管層または真空導管層内の導管間の交点におけるコーナーは、丸みを帯びている。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、非接触支持システムを組み立てる方法であって、圧力ポートの各々が圧力導管のうちの少なくとも2つの圧力導管の交点に開口するように、圧力源に接続可能である圧力導管のグリッドパターンを含む圧力導管層を、点在する圧力ポートおよび真空ポートのパターンを含むポート層に組み立てることと、真空ポートの各々が真空導管のうちの少なくとも2つの真空導管の交点に開口するように、吸引源に接続可能である真空導管のグリッドパターンを含む真空導管層を、ポート層および圧力導管層に組み立てることであって、真空導管のグリッドパターンは、圧力導管のグリッドパターンから横方向にオフセットされて、圧力導管の各交点が真空導管のすべての交点から横方向にオフセットされる、組み立てることと、を含む方法がさらに提供される。
【0023】
さらに、本発明の一実施形態によれば、真空導管層を圧力導管層に組み立てることは。圧力導管層上のサービス孔を真空導管層上のサービス孔と整列することを含み、サービス孔は、すべての圧力ポートおよびすべての真空ポートから横方向に変位される。
【0024】
さらに、本発明の一実施形態によれば、この方法は、圧力導管層および真空導管層上のサービス孔と整列されたポート層の孔またはソケットに、サービス孔を通して締結構造体を挿入することを含む。
【0025】
さらに、本発明の一実施形態によれば、この方法は、少なくとも圧力導管層とポート層との間に流量リストリクター層を挿入することを含む。
【0026】
本発明が深く理解され、本発明の実用的な用途が理解されるようにする目的で、図が提供されており、以下の説明において参照する。これらの図は、例として提供されているにすぎず、本発明の範囲をいかようにも制限しないことに留意されたい。類似する要素は、類似する参照数字によって表してある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明の一実施形態による、非接触支持プラットフォームの圧力導管および真空導管の層状配置を概略的に示している。
【
図1B】
図1Aに示した非接触支持プラットフォームの層状配置の圧力導管層を概略的に示している。
【
図1C】
図1Aに示した非接触支持プラットフォームの層状配置の真空導管層を概略的に示している。
【
図2】
図1Aに示した層状配置上のサービス孔を概略的に示している。
【
図3】
図2に示したサービス孔と最も近い導管との間の距離の計算に関連する寸法を概略的に示している。
【
図4A】
図1Aに示した層状配置の圧力導管と真空導管との間の交差部におけるサービス孔の位置を概略的に示している。
【
図4B】交差する導管を除去した後の
図4Aに示したサービス孔を概略的に示している。
【
図5A】
図1Aに示した層状配置を組み込んだ非接触支持プラットフォームテーブルを概略的に示している。
【
図5B】
図5Aに示した非接触支持プラットフォームテーブルの層を概略的に示している。
【
図6A】
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルのテーブルトップポート層の概略的な上面図である。
【
図6B】
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの流量リストリクター層のコンポーネントオリフィス層を概略的に示している。
【
図6C】
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの真空導管層を概略的に示している。
【
図6D】
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの真空導管層を概略的に示している。
【
図7】複数の流量リストリクター層を有する、
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの変形例を概略的に示している。
【
図8】挿入体に組み込まれた流量リストリクターを有する、
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの変形例を概略的に示している。
【
図9A】自己適応型セグメント化オリフィス(SASO)流量リストリクターを組み込んだ流量リストリクター挿入体を概略的に示している。
【
図9B】セグメント化された流量リストリクターを組み込んだ流量リストリクター挿入体を概略的に示している。
【
図9C】管状流量リストリクターを組み込んだ流量リストリクター挿入体を概略的に示している。
【
図9D】多孔性流量リストリクターを組み込んだ流量リストリクター挿入体を概略的に示している。
【
図10】丸みを帯びたコーナーを有する導管層の一部を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明には、本発明を完全に理解できるようにする目的で、膨大な具体的な細部を記載してある。しかしながら、この技術分野における通常の技術を有する者には、これらの具体的な細部を使用せずに本発明が実施され得ることが理解されるであろう。さらには、本発明が曖昧になることがないように、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット、および/または回路については、詳細には説明していない。
【0029】
本発明の実施形態は、以下の点において制限されることはないが、本明細書において使用されている語「複数」および「複数の」は、例えば、「多数」または「2つ以上」を含みうる。これらの語「複数」および「多数」は、本明細書全体を通じて、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータなどを記述するために使用されている。特に明記されていない限り、本明細書に記載されている方法の実施形態は、特定の順序または並びに制約されない。さらに、記載されている方法の実施形態またはその要素のいくつかが、同時に、または同じ時点において、または一斉に、起こるまたは実行されることができる。特に明記しない限り、本明細書において使用されている接続詞「または」は、包含的である(記載されているオプションのいずれか1つ以上またはすべて)ものと理解されたい。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、薄く、平坦で、フレキシブルなワークピースを支持するためのエアクッションを生成するための非接触支持プラットフォームシステムは、点在する圧力ポートと真空ポートのアレイを含む。非接触支持プラットフォームは、複数の層から構成される。非接触支持プラットフォームはエアクッションを生成するが、クッションは別の気体または液体を含んでもよい。したがって、本明細書でエアに言及する場合、例えば、エアクッション、エア圧、エア流、または他の状況で言及する場合、用語「エア」は、任意の他の気体または液体流体を含むものとして理解されるべきである。
【0031】
例えば、最上層(非接触支持プラットフォームによって形成されるエアクッションに最も近い層)は、点在する圧力ポートおよび真空ポートとして機能するように構成された複数の点在する開口部を含むテーブルトップまたはポート層であってもよい。さらに、ポート層は、非接触支持プラットフォームの層を互いに締結するための構造の挿入を可能にするファスナーソケットの構成を含むことができる。各ファスナーソケットは、非接触支持プラットフォームの層を互いに固定し、層を互いに横方向に整列させるために、ファスナーソケットに挿入し、締め付けることができるネジ、ボルト、ポスト、ナット、または他のファスナー構造体の挿入を可能にすることができる。例えば、非接触支持プラットフォームの様々な層は、層が非接触支持プラットフォームに組み立てられるときに互いに整列するように構成された対応するサービス孔を含むことができる。各サービス孔は、どの層のサービス孔もその層の導管と完全にまたは部分的に一致しないように配置されてもよい。場合によっては、ポート層が(例えば、ファスナーソケットの代わりに)ポート層の厚さを横切るサービスボアを含むことができる。例えば、そのようなサービスボアは、挿入されたセンサが支持されたワークピースの特性または位置を観察または測定することを可能にし得る。
【0032】
非接触支持プラットフォームの圧力導管層は圧力ポートの各々を圧力源(例えば、エアの流出を生成する送風機または他の装置)に接続する圧力導管を含んでもよい。圧力導管は、層に収められた相互接続された導管のグリッドパターンの形態で配置することができる。例えば、圧力導管は、圧力チャネルのグリッドパターンを、金属、プラスチック、または別の適切な材料の平坦なスラブまたはシートに機械加工することによって形成することができる。圧力チャネルが非接触支持プラットフォームに組み立てられると、圧力導管層に当接する別の層が閉じ、各圧力チャネルの開口した側をシールすることができ、したがって、単一方向にエア流を伝導するための細長い圧力導管が形成される。圧力ポートは、異なる方向(例えば、直交方向)に配向されたチャネルが互いに出会い、交差するグリッドパターンのノードの上方に配置されてもよい。代替的に、または追加的に、圧力ポートは、圧力導管の別の部分の上方に配置されてもよい。圧力導管層とポート層との間の任意の介在層における垂直チャネルは、各ノード(または圧力導管の他の部分)とその対応する圧力ポートとの間のエアの通過を可能にし得る。
【0033】
同様に、非接触支持プラットフォームの真空導管層は真空ポートの各々を吸引源(例えば、送風機の吸気、真空または吸引ポンプ、または吸引またはエアの流入を生成する別の装置)に接続する真空導管を含んでもよい。真空導管は、真空導管層に収められた相互接続された導管のグリッドパターンの形態で配置することができる。例えば、導管は、真空チャネルのグリッドパターンを、金属、プラスチック、または別の適切な材料の平坦なスラブまたはシートに機械加工することによって形成されてもよい。真空チャネルが非接触支持プラットフォームに組み立てられると、真空導管層に当接する別の層が閉じ、各真空チャネルの開口側をシールすることができ、したがって、単一方向にエア流を伝導するための細長い真空導管が形成される。真空ポートは、異なる方向(例えば、直交方向)に配向された真空導管が互いに出会い、交差するグリッドパターンのノードの上方に配置されてもよい。代替的に、または追加的に、真空ポートは、真空導管の別の部分の上方に配置されてもよい。真空導管層とポート層との間の任意の介在層内の垂直チャネルは、各ノード(または真空導管の他の部分)とその対応する真空ポートとの間のエアの通過を可能にし得る。
【0034】
圧力導管層および真空導管層は、非接触支持プラットフォームに組み立てられるとき、圧力導管のグリッドパターンが真空導管のグリッドパターンに対して横方向にオフセットされるように整列されてもよい。オフセットは、圧力導管のグリッドパターンの各ノードが真空導管のグリッドパターンのすべてのノードから横方向にオフセットされること、およびその逆を確実にする。一例において、圧力導管のグリッドパターンおよび真空導管のグリッドパターンは、正方形のグリッドパターンであってもよい。各正方形グリッドパターンにおいて、各正方形の側面は導管によって形成され、各正方形の角は直交する導管が交差するノードを表す。この例では、圧力導管および真空導管のグリッドパターンは、圧力導管のグリッドパターンの各ノードが真空導管のグリッドパターンの正方形の中心の上または下に位置するように、またその逆になるように、互いから横方向にオフセットされてもよい。
【0035】
ポート層のサービス孔は、サービス孔のように配置されてもよく、他の下層のサービス孔に続くボアは圧力導管または真空導管を横切らない(例えば、開口しない)。上述の正方形グリッドパターンの例では、圧力ポートを横方向に最も近い真空ポートと接続する対角線に沿って、サービス孔を途中まで配置することができる。この配置では、サービス孔と4つの横方向に最も近い導管(例えば、2つの圧力導管と2つの真空導管)のそれぞれとの間の垂直な横方向距離は同じである。
【0036】
様々な層を組み立てて、非接触支持プラットフォームテーブルを形成することができる。場合によっては、圧力ポートはその圧力源に接続することができ、任意選択で、真空ポートは流量リストリクターまたは制限ノズルを介してその吸引源に接続することができる。流量リストリクターは、圧力ポートおよび真空ポートを通るエア流に流体ばね効果を発生させ得る。エアクッションが流体ばねとして振舞うとき、ワークピースは、テーブルトップから正確な距離で支持されてもよい。流体ばね効果の存在下では、テーブルトップはワークピースの上方に配置することができる。本明細書で使用されているように、上へ(up)、上(top)、上向き(upward)、および上に(above)の言及は、ワークピースが上方から支持されているか下方から支持されているかにかかわらず(例えば、直立したオブザーバによる視野として)、テーブルトップから支持されているワークピースまでの方向を示す。同様に、下方(down)、底部(bottom)、下方(downward)、および下方へ(below)の言及は、テーブルトップに向かい、支持されたワークピースから離れる方向を示す。
【0037】
圧力ポートおよび真空ポートの配置、例えば上述の正方形のグリッド配置の例が与えられると、非接触支持プラットフォームによって作り出されるエアクッションの均一性は、隣接するポートまたは最も近いポートの各対間の距離を減少させることによって増大され得る。例えば、厚さtのワークピースの局所的な変形dεは、関係dε~L4/t3によって記述することができ、ここで、Lは、テーブルトップ上の真空ポートと最も近い圧力ポートとの間の横方向の距離である。このように、ワークピースの厚さを半分にしたときにエアクッションの均一性を保つために、距離Lをその前回の値の約60%に低減しなければならない。この場合、より薄いワークピースの最大変形を維持するために、開口部の密度、ひいては圧力源および吸引源の出力を3倍近く増加させる。
【0038】
実際は、サービス孔と、サービス孔に挿入される締結構造体(例えば、ねじまたはボルト)とは有限の直径を有する。さらに、サービス孔と最も近い導管との間の横方向の距離は、締結構造体の挿入および締結(例えば、ねじ付きボアに挿入されるねじまたはボルトにトルクを加えること)がボアと導管との間の構造を損傷または破壊せず(例えば、少なくとも数mm)、導管とサービス孔との間の適切なシールを達成するのに、十分でなければならない。したがって、ある場合には、エアクッションおよび密封の所望のレベルの均一性を達成するように、隣接するポート間の距離を十分に低減するために、導管の配置は修正を必要とする。
【0039】
例えば、上述したオフセットした正方形のグリッド配置は、横方向の位置、すなわち交点を含み、ここで、1つの層の中の真空導管が、別の層の中の圧力導管と交差する。交差する導管が交点付近の真空層および圧力層から排除される場合、サービス孔が交点の元の位置に配置されてもよい。各真空導管および圧力導管の断面積は、交点付近の導管の排除が、隣接するポートを通る吸引または圧力に悪影響を及ぼさないように、十分であることができる。このようにして、サービス孔と最寄りの導管との間の所与の最小距離および導管の同じ幅に対して、圧力ポートとその最隣接する真空ポートとの間の距離を半分にすることができる(一方、ポートの空間密度は4倍にされる)。このようにして、エアクッションの均一性は、サービス孔の数を減らすことなく、あるいは各真空ポートまたは各圧力ポートとそのそれぞれの吸引源または圧力源との間の接続の質に悪影響を及ぼすことなく、向上され得る。
【0040】
図1Aは、本発明の一実施形態による、非接触支持プラットフォームの圧力導管および真空導管の層状配置を概略的に示している。
【0041】
非接触支持プラットフォームの層状導管構造体30は、1つまたは複数の圧力接続部17を介して圧力源16(例えば、ブロワ、ポンプ、または、加圧エア、他の加圧ガス流体、もしくは液体流体の供給源への接続)に接続された圧力導管層10と、1つまたは複数の吸引接続部27を介して吸引源26(例えば、ポンプ、ブロワ吸引、または他の吸引源)に接続された真空導管層20とを含む。圧力導管層10および真空導管層20は、圧力導管層10の圧力ポート14の位置が真空導管層20の真空ポート24の位置から横方向にオフセットされるように、配置される。
【0042】
図1A~
図4Bの説明では、圧力導管層10の圧力ポート14および真空導管層20の真空ポート24を便宜上参照する。しかしながら、圧力ポート14および真空ポート24は、圧力導管層10および真空導管層20の上方のテーブルトップポート層上のポートの横方向位置、およびこれらの位置をテーブルトップポート層内の実際のポートに接続する垂直チャネルを指すものとして理解されるべきである。
【0043】
図示の例では、圧力導管層10の圧力導管12および真空導管層20の真空導管22が、それぞれ均一な正方形のグリッドパターンの形で配置されている。導管の他の配置、例えば、直方体、平行四辺形、または直線もしくは湾曲した導管の他の配置が可能である。
【0044】
図示の例では、真空導管層20の各真空ポート24が、圧力導管層10の圧力導管12の各正方形の中心にある。したがって、各真空ポート24は、圧力導管層10の4つの最近接する圧力ポート14から等距離に配置される。同様に、圧力導管層10の各圧力ポート14は、真空導管層20の真空導管22の各正方形の中心にある。したがって、各圧力ポート14は、真空導管層20の4つの最近接する真空ポート24から等距離に配置される。横方向にずらされた真空ポート24および圧力ポート14の他の配置が可能である。
【0045】
図1Bは、
図1Aに示した非接触支持プラットフォームの層状配置の圧力導管層を概略的に示している。
【0046】
図示の例では、圧力導管層10の各圧力ポート14が異なる配向(例えば、図示の例のように直交する、または別の斜角)を有する2つ以上の圧力導管12の間の交点において、圧力導管層10のグリッドのノードに位置している。これに代えて、またはこれに加えて、圧力ポートは、圧力導管12上の他の場所に配置されてもよい。圧力導管12は圧力層空間18を取り囲み、そこでは圧力導管12または圧力ポート14は存在しない。
【0047】
図1Cは、
図1Aに示した非接触支持プラットフォームの層状配置の真空導管層を概略的に示している。
【0048】
図示の例では、真空導管層20の各真空ポート24が、異なる配向(例えば、図示の例のように直交する、または別の斜角)を有する2つ以上の真空導管22の間の交点において、真空導管層20のグリッドパターンのノードに位置している。これに代えて、またはこれに加えて、真空ポートは真空導管22上の他の場所に配置されてもよい。真空導管22は真空層空間28を囲み、そこでは真空導管22または真空ポート24は存在しない。
【0049】
圧力導管層10および真空導管層20は、層状導管構造体30を形成するように組み立てられてもよい。図示の例では、各圧力ポート14が真空導管層20の真空層空間28内に位置し、各真空ポート24が圧力導管層10の圧力層空間18内に位置するように、圧力導管層10および真空導管層20は横方向にオフセットされている。他の配置も可能である(例えば、圧力導管層10が真空導管層20とレイアウトが同一でない場合)。
【0050】
圧力導管層10または真空導管層20において、圧力導管12および真空導管22は、固体材料に形成されたチャネルによって形成されてもよい。圧力導管12および真空導管22の十分なシールは、各層のチャネルの開口した側面と別の層の表面との間の密接な接触に依存させることができる。このような密着性を保証するために、圧力導管層10および真空導管層20は、層状導管構造体30を横切って分散された位置で互いに締結されるように構成されてもよい。例えば、締結構造体は、ねじ、ボルト、または他の構造体を含み、層状導管構造体30の厚さもしくは高さの全体、または非接触支持プラットフォームのテーブルを伸ばすことができる。締結構造体は、層状導管構造体30内の圧力ポート14と真空ポート24との間に配置されたサービス孔に挿入されてもよい。
【0051】
図2は、
図1Aに示した層状配置上のサービス孔を概略的に示している。
【0052】
図示の構成では、サービス孔32は、最隣接する圧力ポート14aと真空ポート24aとの間の対角線距離に沿ってほぼ中間に位置している。サービス孔32は、サービス孔32が圧力ポート14、真空ポート24、圧力導管12、または真空導管22に開口しないように配置される。
【0053】
サービス孔32は、サービス孔32と最も近い圧力導管12または真空導管22(並びに最も近い圧力ポート14または真空ポート24)との間の材料の厚さが、サービス孔32内の締結構造体を締め付けることが介在する材料に過度に応力を加えたり破損したりしないことを保証するのに十分であるように、配置されてもよい。
【0054】
図3は、
図2に示したサービス孔と最も近い導管との間の距離の計算に関連する寸法を概略的に示している。
【0055】
示されている正方形のグリッドパターンの例では、サービス孔32が、圧力ポート14と真空ポート24とを対角に接続する圧力ポート14と真空ポート24との中間に位置している。図示の例ではLは圧力ポート14と真空ポート24との間の対角線上の中心間距離である。圧力ポート14の直径はD
Pであり、真空ポート24の直径はD
Vであり、サービス孔32の直径はDである。圧力導管12および真空導管22の幅は、少なくともサービス孔32の近傍ではすべてBである。サービス孔32の縁部と最も近い圧力導管12または真空導管22との間の最短垂直距離(等しいと仮定する)はwであり、以下の式によって与えられる。
【数1】
【0056】
例えば、B=2mm、D=4mmの場合、サービス孔32と最も近い圧力導管12または真空導管22の一方または両方との間に開口部を形成することを回避するために(w>0)、距離Lは少なくとも約8.5mmでなければならない。場合によっては、例えば、機械的要件のために、最小距離wが必要とされることがある。例えば、wの最小値が約2mmである場合、距離Lは約14mmより大きくなければならない。
【0057】
上述のように、薄いワークピースの局所的な変形はL4に比例するので、正方形のグリッド配置の導管の間にサービス孔32を置くことは、過度の変形なしに支持され得るワークピースの薄さを制限することができる。
【0058】
圧力導管12と非平行な真空導管22との間の交差部にサービス孔32を配置することにより、交差部における導管を排除しつつ、層状導管構造体の性能に悪影響を及ぼすことなく、隣接するポート間の距離Lを減少させることができる。
【0059】
図4Aは、
図1Aに示した層状配置の圧力導管と真空導管との間の交差部におけるサービス孔の位置を概略的に示している。
【0060】
図示の例では、サービス孔32は導管交差部34の横方向位置に配置することができ、この位置では、ある配向を有する圧力導管層10内の圧力導管12が、別の配向を有する真空導管層20内の真空導管22と交差する(正方形または長方形のグリッドパターンの例では直交する)。圧力ポート14または真空ポート24は、導管交差部34に配置されていないことに留意されたい。
【0061】
サービス孔32が圧力導管12または真空導管22を遮断しないことを確実にするために、圧力導管12および真空導管22を導管交差部34の位置から除去することができる。例えば、圧力導管12および真空導管22の断面積が、各圧力ポート14または真空ポート24にそれぞれ適用される適切な圧力または吸引を確実にするのに十分である場合、圧力導管12および真空導管22は除去され得る。
【0062】
図4Bは、交差する導管を除去した後の
図4Aに示したサービス孔を概略的に示している。
【0063】
図示の例では、圧力導管12aは、圧力ポート14b間(例えば、圧力ポート14bに対応する圧力導管12の2つの交点の間)で排除される。したがって、各圧力ポート14bは、圧力導管12の3つのセグメントのT-交点に位置する。同様に、真空導管22aは、真空ポート24b間(例えば、真空ポート24bに対応する真空導管22の2つの交点の間)で排除される。したがって、各真空ポート24bは、真空導管22の3つのセグメントのT-交点に位置する。圧力導管12aおよび真空導管22aが排除された領域は、サービス孔領域36(図示の例では正方形)を形成する。したがって、サービス孔32は、圧力導管12、真空導管22、圧力ポート14、または真空ポート24と交差することなく、サービス孔領域36内に配置することができる。
【0064】
各圧力導管12の幅が圧力ポート14の直径よりも小さくなく(B≧D
P)、各真空導管22の幅が真空ポート24の直径よりも小さくない(B≧D
V)とき、サービス孔32と最も近い圧力導管12または真空導管22との間の最短垂直距離wは、(正方形のグリッドパターンの場合は)
【数2】
として表すことができる。前述のように、Lは、圧力ポート14と、その最も隣接する真空ポート24との間(図示の例では圧力ポート14bのうちの1つと真空ポート24bのうちの1つとの間)の対角線上の中心間距離を表す。D
P>B、D
V>B、またはその両方の場合、wのための数式における幅Bは、D
PまたはD
Vの大きい方と置き換えることができる。
【0065】
B=2mm、およびD=4mmである上述の例では、サービス孔32と最も近い圧力導管12または真空導管22の一方または両方との間に開口を形成することを回避するために(w>0)、距離Lは少なくとも約4.2mmでなければならない。
図3の構成と比較すると、
図4Bの構成のLの最小値は、
図3の構成のLの最小値の半分であることが分かる。同様に、wの最小値が少なくとも2mmでなければならない場合、
図4Bの構成の距離Lの最小値は、約7mmより大きくなければならず、
図3の構成の最小値の約半分である。
【0066】
したがって、
図4Bの構成は、別の構成(例えば、
図3の)によって均一に支持され得るワークピースよりも厚さが薄いワークピースを支持することを可能にできる。上述のように、薄いワークピースの局所的な変形はL
4/t
3に比例するので、圧力ポート14と最も近い真空ポート24との間の距離を半分にすることにより、
図3の構成によって同様の変形を有して支持されるワークピースの厚さの約40%の厚さのワークピースを支持することができる。
【0067】
導管の分布の均一性および対称性に影響を及ぼす、サービス孔領域36からの導管の除去は、圧力導管層10および真空導管層20の各々内の圧力降下にも影響を及ぼし得る。例えば、圧力ポート14bに直接接続する圧力導管12aを排除すると、圧力流出がより回路的な経路を通って流れるようになり、したがって、圧力降下が増大する。この圧力降下を補償するために、残りの圧力導管12の断面積(例えば、幅または深さ)を増大させ、したがって圧力降下をその元の値に低減することができる。
【0068】
図1B(および1A)の例では、最大24個の圧力ポート14(8個の圧力ポート14の3列)が、圧力接続部17と圧力接続部17から最も離れた圧力ポート14との間に介在する。同様に、
図1C(および1A)の例では、最大24個の真空ポート24(8個の真空ポート24の3列)が吸引接続部27と吸引接続部27から最も離れた真空ポート24との間に介在する。各圧力導管12または真空導管22が3mmの深さおよび2.25mmの幅Bを有し、各圧力ポート14と最も近い真空ポート24との間の距離Lが8mmであり、各圧力ポート14または真空ポート24におけるエア流が0.4リットル/分である場合、圧力降下は約3mbarであり得る。サービス孔32が16mm間隔で配置されたときに、サービス孔領域36から圧力導管12aおよび真空導管22aを除去すると、圧力降下が6mbarまで増加する可能性がある。残りの圧力導管12および真空導管22の幅Bを3.25mmに増加させると、圧力降下を3mbarに戻すことができる。
【0069】
上述の例では、距離L=8mm、幅B=2.25mmで、各サービス孔32(および各サービス孔32内に挿入され締結されるねじまたはボルト)の直径Dは4mmである。圧力導管12および真空導管22の均一かつ対称的な分布を有する
図2の構成では、このような構成は不可能である(wは負であり、サービス孔32と圧力導管12および真空導管22の一方または両方との間の漏れを示す)。他方、
図4Bの構成では幅Bを3.25mmまで増加させることを含み、距離wは約2mmであり、これは層間の良好なシールを提供するのに十分である。
【0070】
別の例で、L=14mm、D=4mm、w=2mmであり
図3の構成では、幅Bの最大可能値は2mm未満であり、3mbarの圧力降下をもたらす。他方、
図4Bの構成では、幅Bを6mm程度まで増大させ、圧力降下を1mbar以下に低減することができる。
【0071】
さらなる利点は、サービス孔32の分布を比較的密にすることによって達成することができる。
図4Bの構成では、平坦な表面の形成を可能にするように、非接触支持システムのテーブルトップ上にサービス孔32を十分に近づけて配置することができる。例えば場合によっては、例えばフラットパネルディスプレイの製造のために、テーブルトップは3m×1mの面積にわたって10μm以内で平坦であることが要求される。これは、比較的薄いプレート(例えば、10mmの厚さ、および100μmの自然の平坦度)を、多数のねじまたはボルトを使用して、はるかに厚い平坦なベースにねじ留めまたはボルト留めすることによって達成され得る。さらに、1つまたは複数のサービス孔32は、これらのサービス孔32内にモニタリングセンサの測定を配置できるように適合され得る。
【0072】
図5Aは、
図1Aに示した層状配置を組み込んだ非接触支持プラットフォームテーブルを概略的に示している。
図5Bは、
図5Aに示した非接触支持プラットフォームテーブルの層を概略的に示している。
【0073】
非接触支持プラットフォームテーブル40は、テーブルトップポート層42を含む。例えば、テーブルトップポート層42は、複数のテーブルトップポート44を有する剛性金属ブロックから精密に機械加工することができる。各テーブルトップポート44は、テーブルトップポート層42の厚さ全体を横切るポートチャネル46を介して、圧力導管層10上の圧力ポート14(実際には
図1Bで見ることができる圧力ポートの横方向位置)または真空導管層20上の真空ポート24(実際には
図1Cで見ることができる真空ポートの横方向位置)に開口することができる。図示の例では、テーブルトップポート層42の下面が複数のファスナーソケット54を含み、そこにファスナー(例えば、ねじ、ボルト、または他のファスナーなどのファスナーの端部)が、例えば他の層の各々のサービス孔32を介して挿入され、締め付けられてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、テーブルトップポート層42のファスナーボアは、テーブルトップポート層42の厚さを完全に横切ることができる。テーブルトップポート44を通るエア流は、薄いワークピースの非接触支持のためのエアクッションを作り出すことができる。
【0074】
図6Aは、
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルのテーブルトップポート層の概略上面図である。
【0075】
図示のように、テーブルトップポート44は、テーブルトップポート層42の上面にわたり規則的なパターン(例えば、図示の例のような正方形のグリッドパターン)で分配されている。
【0076】
図5Aおよび
図5Bで示された例では、各テーブルトップポート44は、流量リストリクター層48内の流量リストリクターを介して、その圧力または吸引源に接続される。流量リストリクター層48は、例えば流体ばね効果を作り出すために、各ポートチャネル46を通るエア流を制限してもよい。
図5Bの例に見られるように、流量リストリクター層48は、コンポーネントオリフィス層48a、48b、および48cから組み立てることができる。
【0077】
図6Bは、
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの流量リストリクター層のコンポーネントオリフィス層を概略的に示している。
【0078】
コンポーネントオリフィス層48a、48b、および48cのコンポーネントオリフィス62a、62b、および62cは、それぞれ、単一のオリフィスを形成するように互いに整列されてもよい。図示の例では、コンポーネントオリフィス62bの直径は、コンポーネントオリフィス62aおよび62cの直径よりも狭くてもよい。従って、コンポーネントオリフィス62bではエア流の制限が行われ、コンポーネントオリフィス62aおよび62cは制限オリフィスへの入口開口および出口開口として機能する。他の場合には、流量リストリクター層48は、コンポーネントオリフィス層48aまたはコンポーネントオリフィス層48と共にコンポーネントオリフィス層48bまたはコンポーネントオリフィス層48bのみを含むことができる。
【0079】
非接触支持プラットフォームテーブル40は、吸引マニホールド56および吸引コネクタ58を介して吸引源26に接続可能な真空導管層20を含む。非接触支持プラットフォームテーブル40は、圧力マニホールド52および圧力コネクタ50を介して圧力源16に接続可能な圧力導管層10も含む。
【0080】
図6Cは、
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの真空導管層を概略的に示している。
図6Dは、
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの真空導管層を概略的に示している。
【0081】
図示の例では、真空導管層20および圧力導管層10は、
図4Bに示された構成で配置されており、真空導管22および圧力導管12はサービス孔32のためのスペースを作るために除去されている。サービス孔32は、いずれの層のいずれの導管、ポート、または開口部とも一致しない。場合によっては、支持構造体上で非接触支持プラットフォームテーブル40を取り付けるかもしくは水平にするために、またはセンサを挿入するために(例えば、検査のためにまたは製造プロセスを監視するために)、1つまたは複数のサービス孔32を利用することができる。
【0082】
非接触支持プラットフォームテーブル40が組み立てられると、圧力接続部17が圧力マニホールド52に開口する。圧力導管12を介して、圧力導管12間の交点で、1つまたは複数の圧力ポート14に圧力が印加されてもよい。圧力導管層10とテーブルトップポート層42との間に介在する層の開口は、圧力ポート14と整列したテーブルトップポート44との間のエア流を可能にすることができる。
【0083】
例えば、圧力ポート位置14’は、真空導管層20上のポートチャネル46’と、コンポーネントオリフィス層48a、48b、および48c内のコンポーネントオリフィス62a’、62b’、および62c’のそれぞれと、テーブルトップポート層42内のテーブルトップ圧力ポート44’と、整列させることができる。したがって、エアは、テーブルトップ圧力ポート44’から外側に流出することができる。
【0084】
同様に、非接触支持プラットフォームテーブル40が組み立てられると、吸引接続部27が吸引マニホールド56に対して開口する。真空導管22を介して、真空導管22間の交点において、1つまたは複数の真空ポート24に吸引を適用してもよい。真空導管層20とテーブルトップポート層42との間に介在する層の開口は、真空ポート24と整列されたテーブルトップポート44との間のエア流を可能にし得る。
【0085】
例えば、真空ポート位置24”は、コンポーネントオリフィス層48a、48b、および48c内のコンポーネントオリフィス62a”、62b”、および62c”のそれぞれと、テーブルトップポート層42内のテーブルトップ真空ポート44”と、整列させることができる。このようにして、テーブルトップ真空ポート44”内にエアを吸引することができる。
【0086】
図7は、複数の流量リストリクター層を有する、
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの変形例を概略的に示している。
【0087】
非接触支持プラットフォームテーブル60の示された例において、コンポーネントオリフィス層49a、49c、49e、および49gの流量リストリクターは、コンポーネントオリフィス層49b、49d、および49fの制限オリフィスへの入口開口および出口開口として機能することができる。場合によっては、コンポーネントオリフィス層49b、49d、および49fのオリフィスのいくつかは狭く、制限的であってもよく、一方、他のオリフィスは広く、エア流のための非制限的チャネルとして機能してもよい。例えば、コンポーネントオリフィス層49bは真空流のみを制限するように構成することができ、一方、コンポーネントオリフィス層49dおよび49fは、圧力流のみを制限するように構成することができる。
【0088】
図8は、挿入体に組み込まれた流量リストリクターを有する、
図5Bに示した非接触支持プラットフォームテーブルの変形例を概略的に示している。
【0089】
非接触支持プラットフォームテーブル70の示された例では、複数の流量リストリクター挿入体72をテーブルトップポート44に挿入することができる。各流量リストリクター挿入体72は、流量リストリクター挿入体72が挿入されるテーブルトップポート44を通るエア流のための制限オリフィスとして機能する狭窄部または他の構造の形態でリストリクターを含むことができる。
【0090】
流量リストリクター挿入体72は、異なる構成を有することができる。
【0091】
図9Aは、自己適応型セグメント化オリフィス(SASO)流量リストリクターを組み込んだ流量リストリクター挿入体を概略的に示している。
【0092】
SASO流量リストリクター挿入体72aのオリフィスボア73は、SASO流量リストリクター74を含む。
【0093】
図9Bは、セグメント化された流量リストリクターを組み込んだ流量リストリクター挿入体を概略的に示している。
【0094】
セグメント化された流量リストリクター挿入体72bは、より狭い制限セグメント78によって分けられた複数のボアセグメント76の直線状の配置を含む。
【0095】
図9Cは、管状流量リストリクターを組み込んだ流量リストリクター挿入体を概略的に示している。
【0096】
管状流量リストリクター挿入体72cのボア79は、ボア79の直径よりも小さい直径を有する制限チューブ80内に延びている。流れに対する抵抗は、制限チューブ80の内径および長さによって決定することができる。制限チューブ80はその長さに沿って一定の直径を有することができ、または流れに対する抵抗をさらに増大させることができる1つまたは複数の狭窄セグメントを含むことができる。
【0097】
図9Dは、多孔性流量リストリクターを組み込んだ流量リストリクター挿入体を概略的に示している。
【0098】
多孔性流量リストリクター挿入体72dは、多孔性コア82を通るエア流を制限する多孔性コア82で満たされる。多孔性コア82を通る流れに対する抵抗は、多孔性コア82の直径および長さ、ならびに多孔性コア82を満たす多孔性材料の密度によって決定され得る。
【0099】
他の構成の流量リストリクターおよびオリフィス挿入体を設けることができる。
【0100】
例えば
図1Aに示された例では、導管間の交点のコーナーはシャープに示されている。他の場合には、コーナーは丸みを帯びていてもよい。
【0101】
図10は、丸みを帯びたコーナーを有する導管層の一部を概略的に示している。
【0102】
導管層83は、例えば圧力導管層10または真空導管層20の一部を表している。導管84は、圧力導管12または真空導管22を表すことができる。図示の例では、導管84(例えば、図示の例のような直交する導管)の間の交点の導管コーナー86は丸みを帯びている。丸みを帯びた導管コーナー86は、場合によってはエア流に対する抵抗を減少させ、したがって、導管層83内の圧力降下を減少させることができる。
【0103】
非接触支持プラットフォームテーブル40を組み立てる方法は(例えば、
図5Bを参照)、上述したように、テーブルトップポート層42、圧力導管層10、および真空導管層20を設けることを含むことができる。以下では、真空導管層20が圧力導管層10とテーブルトップポート層42との間に組み立てられた、非接触支持プラットフォームテーブル40の組み立てについて説明する。他の場合には、圧力導管層は、真空導管層とテーブルトップポート層42との間に組み入れることができ、当業者に理解されるように、適切な修正を施すことができる。
【0104】
真空導管層20は、真空ポート24として機能するすべてのテーブルトップポート44が少なくとも2つの真空導管22の間の交点と一致するように、テーブルトップポート層42に対して横方向の位置に組み入れることができる。
【0105】
同様に、圧力導管層10は、圧力ポート14として機能するすべてのテーブルトップポート44が少なくとも2つの圧力導管12の間の交点と、真空導管層20のポートチャネル46と一致するように、横方向位置でテーブルトップポート層42および真空導管層20に組み入れることができる。
【0106】
場合によっては、圧力導管層10および真空導管層20の一方または両方とテーブルトップポート層42との間に、流量リストリクター層48(例えば、1つまたは複数のコンポーネント層を含む)を組み入れることができる。場合によっては、流量リストリクター挿入体72がテーブルトップポート44の一部または全部に挿入されてもよい。
【0107】
1つまたは複数の圧力マニホールド52または1つまたは複数の吸引マニホールド56は、圧力導管層10または真空導管層20にそれぞれ開口するように組み立てられてもよい。
【0108】
層が組み立てられるとき、すべての層は、様々な層上のサービス孔32が互いに整列して層を通る連続的な開口を形成するように、互いに対して横方向に配置されてもよい。各サービス孔32は、ファスナーソケット54、またはテーブルトップポート層42上の対応する孔または開口部と整列させることができる。例えば、締結構造体は、層を互いにしっかりと保持するように、整列されたサービス孔32およびファスナーソケット54、またはテーブルトップポート層42の他の孔または開口部を通して挿入されてもよい。場合によっては、例えば、センサまたはツールの挿入を可能にするために、1つまたは複数のサービス孔32を、テーブルトップポート層42上の同様の孔、ボア、または開口部と整列させることができる。
【0109】
本明細書にはさまざまな実施形態が開示されている。特定の実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴と組み合わせることができ、したがって特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組合せとすることができる。本発明の実施形態のここまでの説明は、実例および説明を目的として提示してある。あらゆるケースを網羅することを意図しておらず、開示されている正確な形態に本発明を制限することも意図していない。当業者には、上記の教示内容に照らして、多数の修正形態、変形形態、置き換え、変更、および等価形態が可能であることが理解されるであろう。したがって、添付の請求項は、本発明の正確な趣旨の範囲に入る修正および変更すべてを包含するように意図されていることを理解されたい。
【0110】
ここまで本発明の特定の特徴を図解および説明してきたが、この技術分野における通常の技術を有する者には、数多くの修正、置き換え、変更、および等価物が明らかであろう。したがって、添付の請求項は、本発明の正確な趣旨の範囲に入る修正および変更すべてを包含するように意図されていることを理解されたい。