(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】2パーツのジブを持つ移動式クレーン、及びそのような移動式クレーンのブームシステムの位置合わせのための方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20230609BHJP
B66C 23/70 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
B66C23/26 C
B66C23/70 G
(21)【出願番号】P 2020548990
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2019057141
(87)【国際公開番号】W WO2019180167
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102018106753.4
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピータース シュテファン
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-236188(JP,A)
【文献】特開平07-061773(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102502430(CN,A)
【文献】特開2009-107843(JP,A)
【文献】特開2012-116607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0194339(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/26
B66C 23/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチパーツのフライブームを備え、第1のフライブームパーツは、関節式の方法でメインブームに起伏可能に接続され、少なくとも1つの第2のフライブームパーツは、関節式の方法で前記第1のフライブームパーツに固定され、前記フライブームを上昇させるために、上部構造から前記フライブームまでガイドされるガイが設けられている、移動式クレーンであって、前記ガイは、前記第1のフライブームパーツに設置された少なくとも1つの中間ガイフレームを越えて、前記少なくとも1つの第2のフライブームパーツまで、延びて
おり、
前記上昇手順中における自動ラッチを確保するラッチ装置が、前記フライブームパーツの接続点に設けられている、ことを特徴とす
る移動式クレーン。
【請求項2】
前記中間ガイフレームは、前記フライブームパーツにトルク剛性で固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の移動式クレーン。
【請求項3】
前記中間ガイフレームは、関節式の方法で前記フライブームに接続されているとともに、位置合わせ可能である、又は、少なくとも1つの別個のフレームガイ若しくはアバットメントによってトルク-リジットの方法で位置合わせされている、ことを特徴とする請求項1に記載の移動式クレーン。
【請求項4】
前記中間ガイフレーム及び前記別個のフレームガイは、前記第1のフライブームパーツに固定されるダブルクランクを形成している、ことを特徴とする請求項3に記載の移動式クレーン。
【請求項5】
前記中間ガイフレームは、前記少なくとも1つのフライブームパーツのための接合部の領域において、前記第1のフライブームパーツに、特に、前記フライブームパーツの上縁部に、設置されている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の移動式クレーン。
【請求項6】
前記ガイフレーム及び任意で別個のフレームガイは、前記ガイフレームの長さ又は前記ガイの長さを設定するための調整手段を、含む、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の移動式クレーン。
【請求項7】
前記調整手段は、テレスコピック機構を、含む、ことを特徴とする請求項6に記載の移動式クレーン。
【請求項8】
前記ガイは、前記第2のフライブーム要素のヘッド又はヘッド領域に固定されている、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の移動式クレーン。
【請求項9】
前記ガイ及び/又はフレームガイは、前記ガイフレームの自由端にボルト締結されている、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の移動式クレーン。
【請求項10】
前記中間ガイフレームは、クレーン搬送のための搬送位置に移動可能であり、前記中間フレームは、特に、搬送目的のために、前記フライブーム上に折り畳み可能である、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の移動式クレーン。
【請求項11】
請求項1乃至1
0のいずれか1つに記載の移動式クレーンにおける前記ブームシステムを上昇させる方法であって、以下のステップを含む、移動式クレーンのブームシステムの上昇方法。
a.前記第1のフライブームパーツ(前記メインブームにおける上昇フレーム、前記ガイ、及び前記第1のフライブームパーツにおける前記中間ガイフレームを含む)の組立;
b.前記メインブームの起伏及び追加のガイ又はガイバーの組立;
c.前記フライブームの最小限の起伏、及び前記少なくとも1つの第2のフライブームパーツの組立、並びに前記フライブームのヘッドパートへの前記追加のガイの固定;
d.前記フライブームを、前記フライブームパーツ間におけるラッチ接続の幾何学な閉鎖まで、起伏。
【請求項12】
前記フライブームのヘッドを、前記上昇手順中、少なくとも1つのトロリー又はローラー上で地面上に、ガイドする、ことを特徴とする請求項1
1に記載の移動式クレーンのブームシステムの上昇方法。
【請求項13】
前記メインブームの起立後、関節式の方法で設置された前記中間ガイフレームを起立させ、前記中間ガイフレームの必要なトルク剛性を確保するために、任意のフレームガイを設置する、ことを特徴とする請求項1
1又は1
2に記載の移動式クレーンのブームシステムの上昇方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチパーツのフライブームを備える移動式クレーンに関する。第1のフライブームパーツは、関節式の方法でメインブームに、起伏可能に接続されている。少なくとも1つの第2のフライブームパーツは、関節式の方法で第1のフライブームパーツに、固定されている。上部構造からフライブームまで延びるガイは、フライブームの上昇に、役立つ。
【背景技術】
【0002】
フライブームを備える移動式クレーンを狭い空間条件で設置するために、分割することが可能な、フライブームを備えるシステムが、既にある。フライブームの分割能力又は折り畳み能力によって、かなりのスペースを、節約することができる。加えて、フライブームの折り畳み性は、必要な手動組立作業の全てを地面から行うことを、可能にする。
【0003】
図1は、折り畳み可能なフライブームを備えるこのような移動式クレーンを、示す。移動式クレーンは、起伏ラムによって起伏可能なテレスコピックブーム1の形態のメインブームを、備える。フライブーム2は、メインブーム1の先端に、起伏可能に設置されている。このフライブーム2は、2つのフライブームパーツ2a,2bからなり、これらは、原則として、ジョイント3a及び閉鎖要素3bを介して、互いに接続されている。ガイ4は、移動式クレーンの上部構造から、メインブーム1に沿って、上昇フレーム(raising frames)6を越えて(over)、第1のフライブームパーツ2aの自由端まで、ガイドされ、そこに固定される。
【0004】
フライブーム2の上昇は、上部構造と上昇フレームとの間のガイ4の長さがウィンチによって調整されるという点で、ガイ4によって実施される。カンチレバーブームとも呼ばれるフライブーム2の前部2bは、上昇時の重力によって下方に下ろされ、それによって、フライブーム2全体が閉鎖し、したがって、荷重可能(loadable)な接続が、分離点で生成される。第2のフライブームパーツ2bは、重力によって所望の位置に旋回しなければならなので、ガイ4を、フライブーム2の全長を越えて、第2のフライブームパーツ2bのヘッドまで、ガイドして、それをそこに固定することは、不可能である。ガイ4が実際にフライブーム2の外側端部に固定された場合、フライブーム2bは、延びる代わりに、ピボット中心点3aを介して、折り畳まれるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これは、同様に、フライブーム2の前部2bが通常の荷重作業(load work)中に張力をかけられずに(not guyed)、それによって、非常に大きな荷重を受けて、荷重で下に曲がるという、結果をもたらすであろう。この種の荷重のために、フライブーム2のヘッドまで到達するガイを備えるシステムと比較して、かなり小さなペイロードしか達成することができない。
【0006】
そこで、上述の問題を克服する方法を知るフライブームのガイについて、新たな可能性が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴による移動式クレーンによって、達成される。移動式クレーンの有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
カテゴリーの移動式クレーンからスタートして、ガイを、第1のフライブームパーツの外側端部までのみではなく、むしろ代わりに、少なくとも第2のフライブームパーツまで、理想的には、フライブーム全体のヘッドまで、ガイドすることが、提案されている。これは、第1のフライブームパーツに設置され、フライブームパーツの上昇中に、第1のフライブームパーツの少なくとも大部分に対して、ガイの力を加えることが可能な、少なくとも1つの中間ガイフレーム(intermediate guying frame)によって、可能になる。それにより、少なくとも1つの第2のフライブームパーツが、上昇プロセス中の重力により、ブームパーツを接続するために必要な閉鎖位置に、旋回することが可能であることを、さらに確保する。
【0009】
上昇プロセスの後、フライブームの完全なガイは、理論的に可能であり、それによって、ブームシステムの最大ペイロードを、増加させることができる。中間ガイフレームは、少なくとも1つの圧縮剛性バーを、含んでもよい。フライブームは、格子ブームでもよい。
【0010】
オペレーションにおいて、中間ガイフレームは、理想的には、ブーム軸に対して垂直であり、特に、中間ガイフレームは、フライブームの水平位置において、垂直上方に突出しており、次に、ガイは、中間ガイフレームの自由端まで、延びている。しかしながら、また、中間ガイフレームは、90°とは異なる角度で、フライブームから、突出してもよい。90°では、使用する質量で最大のレバーアームを、達成することができる。しかしながら、また、より小さな角度で、十分なレバーアームを、達成することもできる。80°若しくは85°の間のレンジにおける角度、又はより小さな角度さえ、考えられる。
【0011】
特定の状況下において、フライブームの上昇プロセス中に、中間ガイフレームが、第1のフライブームパーツに、十分な力を加えることが可能な、トルク剛性を有するように、注意しなければならない。トルク剛性は、特に、これに関連して、中間ガイフレームが、上昇手順中に、ガイの力によって、第1のフライブームパーツに対して、メインブームの方向へ、後方に、動かされたり、旋回されたり、しないことを、意味する。これは、ガイフレームをフライブームに、固定する又はトルク-リジット(torque-rigid)で直接取り付けること、のいずれかによって、行うことができ、又は、代替的に、ガイフレームを所望の位置に固定する、追加の補助手段によって、確保することができる。最後の変形例は、運搬目的のために、ガイフレームを、省スペース位置に、移動させることができるように、ガイフレームを、フライブームパーツに、関節式で取り付けることを、可能にする。運搬のために、ガイフレームを完全に解体することができるような、ガイフレームの解除可能な固定もまた、当然考えられる。中間ガイフレームの上述のトルク-リジットでの位置合わせは、いわば、ガイによる力に対抗する、少なくとも1つの追加の中間フレームガイ(intermediate frame guying)よって、達成することができる。このような別個のフレームガイは、理想的には、中間ガイフレームの自由端に設置され、他方、第1のフライブームパーツに接続され、この接続点は、当然、中間ガイフレームの組立点よりも、第1のフライブームパーツの自由端に、より近い。可能なソリューションに従って、フレームガイ及び中間ガイフレームは、所謂ダブルクランクを形成し、その幾何学的形状は、中間ガイフレームの所望のトルク剛性に、影響する。代替的には、フレームガイの機能は、第1のフライブームバーツにおける中間ガイフレームの反対側に配置されたサポートによって、同様に、引き継ぐことができる。すなわち、サポートは、中間ガイフレームよりも、メインブームのより近くに配置される。重要な事は、中間ガイフレームのトルク-リジット位置の達成のみである。
【0012】
第1のフライブームパーツにおける中間ガイフレームの組立は、必ずしも、特定の設置箇所に、限定されない。しかしながら、第1のフライブームパーツの端部に又はその近くに、すなわち、少なくとも1つのフライブームパーツのための接合部の領域(region of the join)に、中間ガイフレームを設置することは、理想的である。第1のフライブームパーツの上縁部(top flange)に、中間ガイフレームを組み立てることは、好ましい。
【0013】
カテゴリーの移動式クレーンにおいて、このようなフライブームは、好ましくは、格子ピースで構成される。種々のフライブームタイプのために、ユニバーサル中間ガイフレームを提供することができるようにするべく、中間ガイフレームがサイズを可変であることは、特に有利であり、これは、好ましくは、適切な調整手段によって、実施することができる。中間ガイフレームの長さ、すなわち、長手のブーム軸に対する、ガイの実現可能な距離は、特に重要である。理想的には、調整手段として、適切なテレスコピック機構が使用され、これは、中間ガイフレームのシンプルで安価な長さ変化を、可能にする。中間ガイフレームは、具体的には、互いに支持され、互いに対して変位可能な、1つ又は複数のパイプによって、形成されてもよい。それらは、フレキシブルな長さ調整を実施するために、様々な点で、一緒にボルト締結されてもよい。
【0014】
同様に、別個のフレームガイを備える実施形態が、それらを中間ガイフレームの様々な長さ設定に適合させることができるように、適切な調整手段を持つフレームガイを備えることは、賢明であり必要である。
【0015】
ガイの中間ガイフレームへの固定は、例えば、ボルト締結によって、行ってもよい。ガイは、上昇フレーム及び/又は中間ガイフレームに、端部側で固定的にボルト締結される個々のステーポールによって、実装することができる。ロープガイ又は類似のものも、同様に、考えられる。
【0016】
第1のフライブームパーツと少なくとも1つの第2のフライブームパーツとの間の接合部の領域に、少なくとも1つのラッチ装置が、設けられており、上記ラッチ装置は、重力によって起こる、下縁部(bottom flange)の接合部の閉鎖時において、接合部の十分なロック又はラッチを、提供する。接合部は、理想的には、フライブームパーツの接続点が互いに係合するとすぐに、自動的にラッチされる。追加のラッチは、不測の荷重不良(load failure)時に起こり得るような、係合張力に対抗して、接合部をさらに固定する。
【0017】
ラッチ装置は、理想的には第2のフライブームパーツにおいて、両方のフライブームパーツ間の接合部の領域に、好ましくは装着される。ラッチ装置は、好適な実施形態によれば、接続閉鎖時において、相補的なフライブームパーツのボルトの周りに自動的に係合し、結果として、2つのブームパーツの十分なラッチに影響する、少なくとも1つのラッチを含む。
【0018】
本発明による移動式クレーンに加えて、本発明はまた、本発明の移動式クレーンにおけるブームシステムを上昇させる方法にも、関する。本発明によれば、この方法は、以下のステップによって、特徴付けられる。
a)第1のフライブームパーツ(メインブームにおける上昇フレーム、ガイ、及び第1のフライブームパーツにおける中間ガイフレームを含む)の組立;
b)メインブームの起立及び追加のガイ又はステーポールの組立;
c)フライブームの最小限の起立、及び少なくとも1つの第2のフライブームパーツの組立、並びにフライブームのヘッドパートへの追加のガイの固定;
d)フライブームを、フライブームパーツ間におけるラッチ接続の幾何学な閉鎖まで、起伏。
【0019】
上述の作業ステップは、地面に近接した、倒伏したブームシステムで行うことが可能な、手動組立プロセスのみを、必要とする。したがって、大きな高さでの組立作業のための、追加の安全対策は、必要とされない。2パーツのフライブームの完全なガイは、後のクレーン操作における中間ガイフレームの統合によって、さらに提供できる。
【0020】
フライブームのヘッド、すなわち、少なくとも1つの第2のフライブームパーツの自由端は、上昇手順中に、メインブームの方向へ、地面上を引っ張られる。この目的のために、フライブームのヘッドをローラー上又は適切なトロリー上に配置することは、賢明である。
【0021】
フライブームに関節形式で組み立てられる中間ガイフレームを使用する場合、中間ガイフレームは、フライブームの最小限の起立の前に、別個のフレームガイによって、トルク-リジットの方法で、さらに固定されなければならない。これは、例えば、ダブルクランクを形成することによって、実装してもよい。
【0022】
本発明のさらなる利点及び特性は、図面に示される実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、折り畳み可能なフライブームを備える従来の移動式クレーンの概略側面図である。
【
図2】
図2は、設置された中間ガイフレームと、完全に上昇した又は設置されたフライブームと、を備える、本発明による移動式クレーンの概略側面図である。
【
図3】
図3は、中間ガイフレームを含む、フライブームパーツ間の接合部の詳細図である。
【
図4】
図4は、フライブームパーツ間の接合のためのラッチ装置の詳細図である。
【
図5a】
図5a~5fは、本発明による移動式クレーンのフライブームのための上昇プロセスの時系列である。
【
図5b】
図5a~5fは、本発明による移動式クレーンのフライブームのための上昇プロセスの時系列である。
【
図5c】
図5a~5fは、本発明による移動式クレーンのフライブームのための上昇プロセスの時系列である。
【
図5d】
図5a~5fは、本発明による移動式クレーンのフライブームのための上昇プロセスの時系列である。
【
図5e】
図5a~5fは、本発明による移動式クレーンのフライブームのための上昇プロセスの時系列である。
【
図5f】
図5a~5fは、本発明による移動式クレーンのフライブームのための上昇プロセスの時系列である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2は、折り畳み可能なフライブーム30を備える、本発明による移動式クレーンの概略図を、示す。従来技術と同様の方法で、移動式クレーンは、車両10と、車両10に起伏可能に設置され、起伏ラム(図示せず)によって起立することが可能なテレスコピックブーム20と、を備える。次に、フライブーム30は、2つのフライブームパーツ30a,30bで構成されており、テレスコピックブーム20のヘッド端部に起伏可能に設置されている。
【0025】
フライブームパーツ30a,30b間の関節接続は、符号32でマークされている。第1のフライブームパーツ30aの端部領域に配置され、第1のフライブームパーツ30aにトルク-リジットの方法で追加的に固定された中間ガイフレーム40は、第1のフライブームパーツ30aの端部領域において確認することができる。ガイ50は、車両10の上部構造から、メインブーム20に沿って、上昇フレーム51を越えて、中間ガイフレーム40まで、延びている。ガイ50は、特に、中間ガイフレーム40の自由端に固定的にボルト締結される、上昇フレーム51から中間ガイフレーム40までの間の領域50’において、ステーポールを、部分的に含む。本発明によれば、ガイ50は、中間ガイフレーム40から、セクション52によって、フライブームパーツ30bのヘッド端部まで、延びて、そこに固定的に接続され、特に、そこにボルト締結されている。それによって、フライブーム30の完全なガイが、通常のクレーン運転で、達成される。カンチレバー無しのガイブームシステムが、効果的に結実する。トルク-リジットの中間ガイフレーム40によって、ガイによるフライブームのヘッドまでの側部安定化の効果を、特に長いフライブームで、利用することができる。
【0026】
ガイ50は、フライブーム30の自由端まで延びるガイ52にもかかわらず、フライブーム30を上昇させるために、依然使用することができる。したがって、ガイ内部における追加のアクチュエータ又はドライバーは、必要ない。この目的のために必要な中間ガイフレーム40は、圧縮剛性を有するとともに、ブーム30の後部フライブームパーツ30aにおいてトルク剛性を有するか、又は、
図3に詳細に示すように、フライブームパーツ30aにおいて関節式の方法で設置されるか、のいずれかで構成されるバーによって、形成される。必要なトルク剛性を確保するために、中間ガイフレーム40とフライブームパーツ30aとの間に、追加のガイ41が、設けられている。それによって形成されたダブルクランクは、ガイ50に力が加えられた時に、中間ガイフレーム40が、テレスコピックブーム20の方向へ、後方に望ましくなく折り重なるのを、防止する。代替的に、ガイ50の代わりに、テレスコピックブーム20により近い、中間ガイフレーム40の反対側において、フライブームパーツ30aに固定されるサポートをまた、設置してもよい。
【0027】
ダブルクランクの具体的なデザインは、中間ガイフレーム40によって形成される、
図3における詳細な図示から、見ることができる。中間ガイフレーム40は、圧縮剛性を有し、第1のフライブームパーツ30及び追加のリンケージ41に、関節式の方法で固定されている。それにより、中間ステーポール40が、テレスコピックブーム20の方向へ、後方に折れ下がるのが、ジオメトリによって、防止される。上昇フレーム51からスタートして、端部側でステーポール40にボルト締結されるステーポール50’は、
図3の詳細な図示において同様に認識可能である。同じことが、一方で中間ステーポール40と、他方で第2のフライブームパーツ30bの最も極端な端部と、にボルト締結される追加のステーポール52にも、当てはまる。
【0028】
2つのフライブームパーツ30a,30b間のピボットジョイント32、及び第1のフライブームパーツ30aにおけるマッチング相手の受け入れのためのマウント31は、詳細な図示から、同様に見ることができる。
【0029】
フライブーム30を上昇させるために、車両10の上部構造におけるガイウィンチが巻き上げられ、これにより、第1の上昇フレーム51とガイウィンチとの間に配置される、ロープアレンジメントが、短縮する。それによって加えられる張力は、上昇フレーム51から中間ガイフレーム40まで、第1のフライブームパーツ30aに伝達され、それによって、第1のフライブームパーツ30aは、水平軸について、メインブーム20に対して、上方に旋回可能である。まだ張力がかかっていない(まだガイされていない:still non-guyed)ガイ52を有する前部30bは、先のカンチレバーシステムと同様に、接合部31が互いに係合して、ラッチ装置がラッチするまで、下方に折り畳まれる。荷物が吊り下げられるとき、前部30bのヘッドでの、ガイ50に亘る力の一部を導く、新たな条件が採用される。この目的のために、ガイ50とフライブーム30の格子ピースとの長さ比は、互いに調整されなければならない。このようにしてのみ、可能な限り良好な力及びトルクの分布を、達成することができる。
【0030】
ラッチ装置は、
図4から詳細に、見ることができる。第1のフライブームパーツ30a及び第2のフライブームパーツ30bは、ここに見ることができる。第2のフライブームパーツ30bは、旋回ジョイント37によってフライブームパーツ30bに旋回可能に支持されるラッチ36を有するラッチ装置を、持つ。フライブームパーツ30a,30b間の接合部31の閉鎖時、ラッチ36は、上に旋回し、第1のフライブームパーツ30aのボルト38の周りに係合し、それによって、接合部31は、張力に対抗してさらに固定される。センサシステム39は、ラッチ状態を検出し、それをクレーン制御部に報告する。
【0031】
中間ガイフレーム40で、可能な限り広い考えられるフライブーム条件のスペクトルを理想的にサポートするために、このフレーム40は、長さを調整可能である。これは、例えば、互いにガイドされ、様々な位置で互いにボルト締結することが可能な、パイプによって、実装してもよい。中間ガイフレーム40とフライブームパーツ30aとの間のガイ41の長さの適合は、同様に任意に必要とされる。フライブーム30の最も多様な構成、特に、スタンダードな格子ピースの種々の組合せは、それによって、理想的には、シンプルに、そして任意の追加のパーツ無しで、又はより最小限のパーツのみで、使用され得る。
【0032】
本発明による移動式クレーンのブームシステムの上昇手順の進行を、個々の方法ステップを時系列的に再現する、
図5a~5fの図示を参照して、簡単に説明する。
【0033】
第1のステップでは、メインブーム20への第1のフライブームパーツ30aの組立が、地面の近くで、行われる。このプロセスでは、第1のフライブームパーツのヘッドは、ローラー70上又はトロリー70上のいずれかに、支持される。同時に、第1のフライブームパーツ30aへの中間ガイフレーム40の取付を行うことができ、ステーポール50’を設置することができる。これは、
図5aに示されている。
【0034】
図5bによる第2の方法ステップでは、テレスコピックブーム20を、最初に、起伏ラムによって起立させる。フレームガイ41及び延長ガイ領域52を、中間ガイフレーム40からスタートして、まだ組み立てられていない第2のフライブームパーツ30bの方向へ、組み立てることができる。
【0035】
次のステップでは、中間ガイフレーム40を、起立させることができ、フライブーム30aの長手軸に対して垂直又は略垂直な所望の位置に起立させることができる。次に、中間ガイフレーム40の固定のために、別個のフレームガイ41を、吊り下げる(
図5c)。
【0036】
図5dによる次のステップでは、第1のフライブームパーツ30aを、ガイ50’によって、少し起立させることで、第2のフライブームパーツ30bを、旋回点32で、組み立てることができる。次に、ローラー/トロリー71は、フライブームパーツ30bの先端の支持に、役立つ。
【0037】
次に、フライブーム30bのヘッドでのガイ52の組立を、行う。第2のフライブームパーツ30bが重力により下降してフライブームパーツ30a,30b間の接合部31が完全に閉鎖するまで、第1のフライブームパーツ30aの起立に伴い、作業を続ける(
図5e)。これは、同様に、ラッチアーム36を内側に旋回させることによる、ラッチ装置のラッチを、含む。最後に、それから、組み立てられたフライブーム30を、完全に起立させる(
図5f)。