(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】ペルフルオロヘプテンを含む三成分及び四成分共沸混合物及び共沸様組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 7/50 20060101AFI20230609BHJP
C11D 7/30 20060101ALI20230609BHJP
C11D 7/24 20060101ALI20230609BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20230609BHJP
B01D 12/00 20060101ALN20230609BHJP
【FI】
C11D7/50
C11D7/30
C11D7/24
C11D7/26
B01D12/00
(21)【出願番号】P 2020558614
(86)(22)【出願日】2019-05-01
(86)【国際出願番号】 US2019030107
(87)【国際公開番号】W WO2019213194
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-03-15
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン ケー.ムシミ
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-214386(JP,A)
【文献】特表平08-508484(JP,A)
【文献】特開2017-110035(JP,A)
【文献】特表2009-518460(JP,A)
【文献】特公昭50-017446(JP,B1)
【文献】特表平05-508418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
B08B 3/00- 3/14
C09K 5/00- 5/20
C10M 101/00-177/00
C23G 1/00- 5/06
H01L 21/304
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
i)
80~99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、
ii)
0.1~10重量パーセントのn-ヘプタン、並びに
iii)
0.1~10重量パーセントの、酢酸tert-ブチル及び酢酸イソプロピルから選択される化合物、
を含み、
前記n-ヘプタン及び酢酸tert-ブチル又は酢酸イソプロピルの各々が、前記ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で前記組成物中に存在する、組成物。
【請求項2】
前記ペルフルオロヘプテンが、
90重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び
10重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸tert-ブチルを含み、前記n-ヘプタン及び酢酸tert-ブチルが、各々、前記ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で前記組成物中に存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
80~
99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、
0.1~
10重量パーセントのn-ヘプタン、及び
0.1~
10重量パーセントの酢酸tert-ブチルから本質的になる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸イソプロピルを含み、前記n-ヘプタン及び酢酸イソプロピルが、各々、前記ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で前記組成物中に存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
80~
99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、
0.1~
10重量パーセントのn-ヘプタン、及び
0.1~
10重量パーセントの酢酸イソプロピルから本質的になる、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
溶質を溶解させるプロセスであって、前記溶質を十分な量の請求項1に記載の組成物と接触させ、混合することを含む、プロセス。
【請求項8】
表面をクリーニングするプロセスであって、請求項1に記載の組成物を前記表面と接触させることを含む、プロセス。
【請求項9】
濡れている基材の表面から水の少なくとも一部を除去するプロセスであって、前記基材を請求項1に記載の組成物と接触させ、次いで、前記組成物との接触から前記基材を取り除くことを含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年5月3日出願の米国特許仮出願第62/666,463号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ペルフルオロヘプテン及び2つ以上の追加成分を含む三成分及び四成分共沸混合物又は共沸様組成物であって、当該追加成分が、ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、組成物に関する。本明細書に記載の組成物は、例えば、クリーニング及びキャリア流体用途において有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
クロロフルオロカーボン(CFC)化合物は、磁気ディスク媒体などの表面をクリーニングするために、半導体製造分野において広く使用されてきた。しかしながら、CFC化合物などの塩素含有化合物は、地球のオゾン層に有害であると考えられる。加えて、CFC化合物を置き換えるために使用されるヒドロフルオロカーボンの多くは、地球温暖化の一因となることが見出されている。したがって、残留フラックス、潤滑剤又は油汚染物質、及び粒子の除去などのクリーニング用途のための新たな環境上安全な溶媒を特定する必要がある。また、フルオロ潤滑剤の沈着、及び水溶液中で加工された基材の乾燥又は脱水のための新たな溶媒を特定する必要もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、とりわけ、組成物であって、
i)ペルフルオロヘプテン、
ii)n-ヘプタン、並びに
iii)酢酸tert-ブチル及び酢酸イソプロピルから選択される化合物、
を含み、
当該n-ヘプタン及び酢酸tert-ブチル又は酢酸イソプロピルの各々が、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0005】
本出願は、更に、組成物であって、
i)ペルフルオロヘプテン、
ii)HFC-4310mee、及び
iii)トランス-1,2-ジクロロエチレン、
を含み、
当該HFC-4310mee及びトランス-1,2-ジクロロエチレンが、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0006】
本出願は、更に、溶質を溶解させるプロセスであって、当該溶質を十分な量の本明細書に記載の組成物と接触させ、混合することを含む、プロセスを提供する。
【0007】
本出願は、更に、表面をクリーニングするプロセスであって、本明細書に記載の組成物を当該表面と接触させることを含む、プロセスを提供する。
【0008】
本出願は、更に、濡れている基材の表面から水の少なくとも一部を除去するプロセスであって、当該基材を本明細書に記載の組成物と接触させ、次いで、当該組成物との接触から当該基材を取り除くことを含む、プロセスを提供する。
【0009】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本発明で使用するための方法及び材料が本明細書に記載されており、また、当該技術分野において既知の他の好適な方法及び材料を使用してもよい。材料、方法、及び実施例は、単なる例証であり、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含め、本明細書が優先される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、ヒドロフルオロカーボン混合物を含む、新規三成分及び四成分共沸混合物及び共沸様組成物を提供する。これらの組成物は、これまでCFC化合物が使われていた用途の多くにおいて有用である。本開示の組成物は、環境影響がほとんど又は全くない所望の特性、並びに油、グリース、及び/又はフラックスを溶解する能力のうちのいくつか又は全てを保有する。
【0011】
定義及び略語
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素に必ずしも限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に対して明示的に記載されていない、又はこれらに固有のものではない、他の要素も含む場合がある。更に、明示的にこれに反する記載がない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下、即ち、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つにより満たされる。
【0012】
本発明で使用するとき、「から本質的になる」は、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、成分、又は要素が、特許請求される発明の基本的及び新規の特徴(複数可)、特に本発明のプロセスのいずれかの所望の結果を達成するための作用機序に実質的に影響を及ぼさないことを条件に、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む、組成物、方法を定義するために使用される。用語「から本質的になる(consists essentially of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場をとる。
【0013】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載された要素及び成分を記述するために用いられる。これは、単に便宜上なされるものであり、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「約」は、実験誤差による変動(例えば、示された値のプラスマイナス約10%)を考慮することを意味する。本明細書で報告される全ての測定値は、特に明記しない限り、用語「約」が明示的に使用されているかどうかに関わらず、用語「約」によって修飾されるものと理解される。
【0015】
量、濃度、又はその他の値若しくはパラメータが、ある範囲、好ましい範囲、又は好ましい上方値及び/若しくは好ましい下方値のリストのいずれかとして与えられている場合に、これらは、範囲が別個に開示されているかにかかわらず、任意の範囲上限値又は好ましい上方値及び任意の範囲下限値又は好ましい下方値の任意の対から形成される全ての範囲を、具体的に開示するものとして、理解されるものとする。本明細書に数値範囲が記述されている場合、特に指示しない限り、この範囲は、その端点を包含し、かつその範囲内の全ての整数及び分数を包含することが意図されている。
【0016】
当該技術分野において認識されるように、共沸混合物組成物は、液体形態にあるとき、(1a)所与の一定圧力下において、実質的に一定の温度で沸騰するか(この温度は、個々の成分の沸騰温度よりも高くても低くてもよい)、又は(1b)所与の一定温度において、実質的に一定の圧力で沸騰し(この圧力は、個々の成分の沸騰圧力よりも高くても低くてもよい)、かつ(2)実質的に一定の組成で沸騰する(この相組成は、一定であるが、必ずしも等しいわけではない)、2つ以上の異なる成分の混合物である(例えば、M.F.Doherty and M.F.Malone,Conceptual Design of Distillation Systems,McGraw-Hill(New York),2001,185を参照)。
【0017】
単一の気相が単一の液相と平衡状態にある均一共沸混合物は、上記の特性(1a)、(1b)、及び(2)に加えて、各成分の組成が共存する平衡相の各々において同じである。一般用語「共沸混合物」は、均一共沸混合物に一般的に使用される代替名である。
【0018】
本明細書で使用するとき、「共沸様」組成物は、共沸組成物のように挙動する組成物を指す(即ち、一定の沸騰特性又は沸騰若しくは蒸発時に留分分離しない傾向を有する)。したがって、沸騰又は蒸発中、蒸気及び液体の組成は、変化する場合でも、最小限又は無視できる程度しか変化しない。対照的に、非共沸様組成物の蒸気及び液体の組成は、沸騰又は蒸発中に実質的に変化する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「共沸様」又は「共沸様挙動」は、事実上圧力差がない露点圧力及び気泡点圧力を呈する組成物を指す。いくつかの実施形態では、所与の温度における露点圧力と気泡点圧力との差は、3%以下である。いくつかの実施形態では、気泡点圧力と露点圧力との差は、5%以下である。
【0020】
共沸混合物及び共沸様組成物
組成物であって、
i)ペルフルオロヘプテン、
ii)n-ヘプタン、並びに
iii)酢酸tert-ブチル及び酢酸イソプロピルから選択される化合物、
を含み、
当該n-ヘプタン及び酢酸tert-ブチル又は酢酸イソプロピルの各々が、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、組成物。
【0021】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテンは、ペルフルオロヘプタ-3-エン及びペルフルオロヘプタ-2-エンの混合物を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテンは、約85~約95重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び約5~約15重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテンは、約90重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び約10重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸tert-ブチルを含み、当該n-ヘプタン及び酢酸tert-ブチルは、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、約80~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、例えば、約80~約99、約80~約95、約80~約90、約80~85、約85~約99.8、約85~約99、約85~約95、約85~約90、約90~約99.8、約90~約99、約90~約95、約95~約99.8、約95~約99、又は約99~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテンを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1~約10重量パーセントのn-ヘプタン、例えば、約0.1~約8、約0.1~約6、約0.1~約4、約0.1~約2、約0.1~約1、約1~約10、約1~約8、約1~約6、約1~約4、約1~約2、約2~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約4~約10、約4~約8、約4~約6、約6~約10、約6~約8、又は約8~約10重量パーセントのn-ヘプタンを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1~約10重量パーセントの酢酸tert-ブチル、例えば、約0.1~約8、約0.1~約6、約0.1~約4、約0.1~約2、約0.1~約1、約1~約10、約1~約8、約1~約6、約1~約4、約1~約2、約2~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約4~約10、約4~約8、約4~約6、約6~約10、約6~約8、又は約8~約10重量パーセントの酢酸tert-ブチルを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物中のn-ヘプタン及び酢酸tert-ブチルの総重量パーセントは、約5~約15重量パーセント、例えば、約5~約10又は約10~約15重量パーセントである。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸tert-ブチルから本質的になる。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のとおり約80~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、上記のとおり約0.1~約10重量パーセントのn-ヘプタン、及び上記のとおり約0.1~約10重量パーセントの酢酸tert-ブチルから本質的になる。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のとおり約85~約95重量パーセントのペルフルオロヘプテンから本質的になり、当該組成物中のn-ヘプタン及び酢酸tert-ブチルの総重量パーセントは、上記のとおり約5~約15重量パーセントである。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、約88~約90重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約5~7重量パーセントのn-ヘプタン、及び約4~約6重量パーセントの酢酸tert-ブチルから本質的になる。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物は、約89重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約6重量パーセントのn-ヘプタン、及び約5重量パーセントの酢酸tert-ブチルから本質的になる。
【0034】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸tert-ブチルを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、共沸混合物組成物である。
【0035】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸tert-ブチルを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、共沸様組成物である。
【0036】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸tert-ブチルを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、約101kPaの圧力で約66℃~約67℃の沸点を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸イソプロピルを含み、当該n-ヘプタン及び酢酸イソプロピルは、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する。
【0038】
いくつかの実施形態では、組成物は、約80~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、例えば、約80~約99、約80~約95、約80~約90、約80~85、約85~約99.8、約85~約99、約85~約95、約85~約90、約90~約99.8、約90~約99、約90~約95、約95~約99.8、約95~約99、又は約99~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテンを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1~約10重量パーセントのn-ヘプタン、例えば、約0.1~約8、約0.1~約6、約0.1~約4、約0.1~約2、約0.1~約1、約1~約10、約1~約8、約1~約6、約1~約4、約1~約2、約2~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約4~約10、約4~約8、約4~約6、約6~約10、約6~約8、又は約8~約10重量パーセントのn-ヘプタンを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1~約10重量パーセントの酢酸イソプロピル、例えば、約0.1~約8、約0.1~約6、約0.1~約4、約0.1~約2、約0.1~約1、約1~約10、約1~約8、約1~約6、約1~約4、約1~約2、約2~約10、約2~約8、約2~約6、約2~約4、約4~約10、約4~約8、約4~約6、約6~約10、約6~約8、又は約8~約10重量パーセントの酢酸イソプロピルを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、組成物中のn-ヘプタン及び酢酸イソプロピルの総重量パーセントは、約10~約15重量パーセント、例えば、約10~約12又は約12~約15重量パーセントである。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸イソプロピルから本質的になる。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のとおり約80~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、上記のとおり約0.1~約10重量パーセントのn-ヘプタン、及び上記のとおり約0.1~約10重量パーセントの酢酸イソプロピルから本質的になる。
【0044】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のとおり約85~約90重量パーセントのペルフルオロヘプテンから本質的になり、当該組成物中のn-ヘプタン及び酢酸イソプロピルの総重量パーセントは、上記のとおり約10~約15重量パーセントである。
【0045】
いくつかの実施形態では、組成物は、約84~約86重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約8~10重量パーセントのn-ヘプタン、及び約5~約7重量パーセントの酢酸イソプロピルから本質的になる。
【0046】
いくつかの実施形態では、組成物は、約85重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約9重量パーセントのn-ヘプタン、及び約6重量パーセントの酢酸イソプロピルから本質的になる。
【0047】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸イソプロピルを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、共沸混合物組成物である。
【0048】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸イソプロピルを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、共沸様組成物である。
【0049】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸イソプロピルを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、約101kPaの圧力で約66℃~約67℃の沸点を有する。
【0050】
本出願は、更に、組成物であって、
i)ペルフルオロヘプテン、
ii)HFC-4310mee、及び
iii)トランス-1,2-ジクロロエチレン、
を含み、
当該HFC-4310mee及びトランス-1,2-ジクロロエチレンが、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテンは、ペルフルオロヘプタ-3-エン及びペルフルオロヘプタ-2-エンの混合物を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテンは、約85~約95重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び約5~約15重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテンは、約90重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び約10重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテン、例えば、約0.1~約20、約0.1~約15、約0.1~約10、約0.1~1、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約10~約25、約10~約20、約10~約15、約15~約25、約15~約20、又は約20~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテンを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、組成物は、約30~約40重量パーセントのHFC-4310mee、例えば、約30~約35又は約35~約40重量パーセントのHFC-4310meeを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、組成物は、約40~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレン、例えば、約40~約45又は約45~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、及びトランス-1,2-ジクロロエチレンから本質的になる。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のとおり約0.1~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテン、上記のとおり約30~約40重量パーセントのHFC-4310mee、及び上記のとおり約40~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンから本質的になる。
【0059】
いくつかの実施形態では、組成物は、約23~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約32~約34重量パーセントのHFC-4310mee、及び約42~約44重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンから本質的になる。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物は、約24重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約33重量パーセントのHFC-4310mee、及び約43重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンから本質的になる。
【0061】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、及びトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、共沸混合物組成物である。
【0062】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、及びトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、共沸様組成物である。
【0063】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、及びトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、約101kPaの圧力で約38℃~約40℃の沸点を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、及びトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、約101kPaの圧力で約39℃の沸点を有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、及びトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む組成物は、メタノールを更に含み、当該HFC-4310mee、トランス-1,2-ジクロロエチレン、及びメタノールは、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する。
【0066】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテン、例えば、約0.1~約20、約0.1~約15、約0.1~約10、約0.1~1、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約10~約25、約10~約20、約10~約15、約15~約25、約15~約20、又は約20~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテンを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、約30~約40重量パーセントのHFC-4310mee、例えば、例えば、約30~約35又は約35~約40重量パーセントのHFC-4310meeを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物は、約40~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレン、例えば、例えば、約40~約45又は約45~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1~約5重量パーセントのメタノール、例えば、約0.1~約4、約0.1~約3、約0.1~約2、約0.1~1、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2、約2~約5、約2~約4、約2~約3、約3~約5、約3~約4、又は約4~約5重量パーセントのメタノールを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、トランス-1,2-ジクロロエチレン、及びメタノールから本質的になる。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のとおり約0.1~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテン、上記のとおり約30~約40重量パーセントのHFC-4310mee、上記のとおり約40~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレン、及び上記のとおり約0.1~約5重量パーセントのメタノールから本質的になる。
【0072】
いくつかの実施形態では、組成物は、約21~約23重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約31~約33重量パーセントのHFC-4310mee、約41~約43重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレン、及び約2~約4重量パーセントのメタノールから本質的になる。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物は、約22.5重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約32.5重量パーセントのHFC-4310mee、約42重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレン、及び約3重量パーセントのメタノールから本質的になる。
【0074】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、トランス-1,2-ジクロロエチレン、及びメタノールを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、共沸混合物組成物である。
【0075】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、トランス-1,2-ジクロロエチレン、及びメタノールを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、共沸様組成物である。
【0076】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、トランス-1,2-ジクロロエチレン、及びメタノールを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、約101kPaの圧力で約35℃~約37℃の沸点を有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、トランス-1,2-ジクロロエチレン、及びメタノールを含む、から本質的になる、又はからなる組成物は、約101kPaの圧力で約36℃の沸点を有する。
【0078】
使用方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、クリーニング剤、脱フラックス剤、及び/又は脱脂剤として有用である。したがって、本出願は、表面をクリーニングするプロセスであって、本明細書で提供される組成物を当該表面と接触させることを含む、プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、プロセスは、表面又は基材から残留物を除去することであって、当該表面又は基材を本明細書で提供される組成物と接触させ、当該組成物から当該表面又は基材を回収することを含む、除去することを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、本出願は、更に、溶質を溶解させるプロセスであって、当該溶質を十分な量の本明細書に提供される組成物と接触させ、混合することを含む、プロセスを提供する。
【0080】
いくつかの実施形態では、表面又は基材は、集積回路装置であってよく、この場合、残留物は、ロジンフラックス又は油を含む。集積回路装置は、Flipチップ、μBGA、又はチップスケールパッケージングコンポーネントなどの様々な種類のコンポーネントを備える回路基板であってよい。表面又は基材は、更に、ステンレス鋼などの金属表面であってもよい。ロジンフラックスは、RMA(ロジンが穏和に活性化)、RA(ロジンが活性化)、WS(水溶性)、及びOA(有機酸)が挙げられるが、これらに限定されない、集積回路装置のはんだ付けに一般的に使用される任意の種類であってよい。油残留物としては、鉱油、モータ油、及びシリコーン油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
いくつかの実施形態では、本出願は、濡れている基材、又は表面、又は装置の表面から水の少なくとも一部を除去するプロセスであって、当該基材、表面、又は装置を本明細書で提供される組成物と接触させ、次いで、当該組成物との接触から当該基材、表面、又は装置を取り除くことを含む、プロセスを提供する。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、基材を脱水又は乾燥するのに好適な少なくとも1つの界面活性剤を更に含む。例示的な界面活性剤としては、アルキルジメチルアンモニウムイソオクチルホスフェート、tert-アルキルアミン(例えば、tert-ブチルアミン)、ペルフルオロアルキルホスフェート、ジメチルデセンアミド、フッ素化アルキルポリエーテル、四級アミン(例えば、アンモニウム塩)、及びグリセロールモノステアレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
装置、表面、又は基材を接触させるための手段は重要ではなく、例えば、本明細書で提供される組成物を含有する浴中に当該装置、表面、若しくは基材を浸漬すること、本明細書で提供される組成物を当該装置、表面、若しくは基材に噴霧すること、又は組成物で濡らした材料(例えば、布)により当該装置、表面、若しくは基材を拭くことによって達成され得る。あるいは、本明細書で提供される組成物は、このような残留物を除去するために設計された蒸気脱脂又は脱フラックス装置で使用されてもよい。このような蒸気脱脂又は脱フラックス設備は、とりわけ、Forward Technology(Crest Group(Trenton,NJ)の子会社)、Trek Industries(Azusa,CA)、及びUltronix,Inc.(Hatfield,PA)などの様々な供給元から入手可能である。
【実施例】
【0084】
本発明を、具体的な実施例によって、より詳細に説明する。以下の実施例は、例示目的のために提供され、いかなる意味でも、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更又は修正することができる様々な、死活的に重要とは言えないパラメータを、容易に認識するであろう。
【0085】
実施例1.気液平衡分析及び蒸留分析
気液平衡分析
PTx法は、混合物の気相-液相平衡(VLE)データを実験的に測定する既知の方法である。測定は、等温又は等圧のいずれかで行うことができる。等温法は、一定温度で既知の組成の混合物の全圧を測定することを必要とする。この方法では、既知の体積のセル内の総絶対圧力を、2つの化合物の様々な既知の組成について一定温度で測定する。等圧法は、一定圧力で既知の組成の混合物の温度を測定することを必要とする。この方法では、既知の体積のセル内の温度を、2つの化合物の様々な既知の組成について一定圧力で測定する。PTx法の使用については、その開示が全体として参照により本明細書に組み込まれている、「Phase Equilibrium in Process Design」、Wiley-Interscience Publisher、1970年、Harold R.Null著、124~126頁に詳細に記載されている。
【0086】
測定したデータ点は、非ランダム二液(NRTL)式などの活量係数式モデルを用いることによって、PTxセル中の平衡状態の蒸気と液体の組成に変換して液相非理想系を表すことができる。NRTL式などの活量係数式の使用については、その開示が全体として参照により本明細書に組み込まれている、「The Properties of Gases and Liquids」、第4版、McGraw Hill発行、Reid、Prausnitz、及びPoling著、241~387頁、及び「Phase Equilibria in Chemical Engineering」、Butterworth Publishers発行、1985年、Stanley M.Walas著、165~244頁に詳細に記載されている。いかなる理論又は説明にも束縛されることを望むものではないが、NRTL式は、PTxセルデータと併せて、本発明の様々な混合物組成物の気相-液相平衡挙動、及び蒸留塔などの多段式分離装置内におけるこれらの混合物の挙動を充分に予測すると考えられる。
【0087】
蒸留分析
混合物を調製し、標準ASTM法D 1078に従って760mmHgの圧力で25プレート蒸留塔において蒸留した。ヘッド及びフラスコの温度を1℃まで直接モニタリングした。ガスクロマトグラフィーによる組成の測定のために、蒸留全体を通して蒸留液サンプルを採取した。
【0088】
共沸混合物組成物
表1は、大気圧(約101kPa)で蒸留することによってペルフルオロヘプテンの様々な三成分及び四成分組成物について決定された共沸混合物範囲及び共沸混合物点を示す。各実験で使用したペルフルオロヘプテンは、90重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び10重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンの混合物であった。PFH=ペルフルオロヘプテン、TBAC=酢酸tert-ブチル、iPrOAc=酢酸イソプロピル、トランス-DCE=トランス-1,2-ジクロロエチレン、MeOH=メタノール。
【0089】
【0090】
実施例2.可燃性及び引火点試験
ペルフルオロヘプテン(PFH)及び酢酸tert-ブチル(TBAC)の混合物を使用して、引火点試験を実施した。Tag closed Cup Testerによる引火点の標準試験方法であるASTM D56-05(2010)を使用して、引火点を求めた。表2に示されるように、試験範囲内の沸点は一定であり、共沸様挙動と一致していた。「NF」と表記する混合物は、不燃性であると判定された。
【0091】
【0092】
実施例3.金属クリーニング分析
ペルフルオロヘプテン(PFH)は、金属製作プロセスで使用される様々な機械加工油を除去するのに有効であることが示された。PFHに浸漬した油状/グリース状金属(炭素鋼)クーポンの超音波クリーニングの例を、以下の表3に示す。
【0093】
【0094】
実施例4.キャリア流体分析
ペルフルオロヘプテン(PFH)は、表4に示すように、ヘキサメチルジシロキサンの優れたキャリア流体であると判定された。PFHとヘキサメチルジシロキサンとのブレンドは、例えば、外科用縫合針及びチューブ、人工皮膚及び人工装具、並びにコンタクトレンズが挙げられるが、これらに限定されない医療機器上のケイ素付着/除去のために使用される。また、PFHとヘキサメチルジシロキサンとのブレンドは、シリコーン接着剤、シーラント、及びコーティングを配合するためのキャリア流体として有用であることが示された。PFHはまた、感触効果を改善するために、皮膚及び毛髪上にシリコーンを付着させるための化粧用キャリア流体としても有用であり得る。以下の表4に示されるように、PFHは、Krytox潤滑剤のための不燃性キャリア流体として示されており、信頼性を改善するために、軸受け、弁、及びシール上に高性能の潤滑及び耐食コーティングを送達するために使用することができる。PFHはまた、防水コーティング、撥油性表面、及び防汚コーティングにおいて使用される、Zonylフルオロ添加剤に対して良好な溶解性を示した。PFHはまた、光学及び医療機器などの反射面及び屈折面の水置換乾燥に使用されるフルオロ界面活性剤のキャリア流体としても有用であり得る。
【0095】
【0096】
実施例5.ペルフルオロヘプテン/HFC-4310mee/トランス-1,2-ジクロロエチレン(PFH/HFC-4310mee/トランス-DCE)ブレンドのクリーニング有効係数(CEF)分析
24重量%のPFH、33重量%のHFC-4310mee、及び43重量%のトランス-DCEを含有する組成物を、凝縮コイルを備えた1000mLビーカーにデカントし、ホットプレートを使用して沸点(38.8℃)まで加熱した。3枚の予めクリーニングされた304ステンレス鋼クーポンを化学天秤で計量した(初期重量)。Mobil Grease28の薄膜を各クーポンの片面に適用し、拭き取り布で過剰分を除去した。次いで、各クーポンを再計量して汚れた重量を求め、その後、沸騰溶媒組成物の気相中に10分間入れておいた。次いで、クーポンを取り出し、10分間乾燥及び排ガス(off-gas)した後に再計量して(クリーニング後の重量)、組成物のクリーニング有効係数(CEF)を求めた。クリーニング分析の結果を表5に示し、式1に従ってCEFを求めた。
CEF=(汚れた重量-クリーニング後の重量)/(汚れた重量-初期重量)
【0097】
【0098】
実施例6.ペルフルオロヘプテン/HFC-4310mee/トランス-1,2-ジクロロエチレン/メタノール(PFH/HFC-4310mee/トランス-DCE/MeOH)ブレンドのクリーニング有効係数(CEF)分析
22.5重量%のPFH、32.5重量%のHFC-4310mee、42重量%のトランス-DCE、及び3重量のMeOHを含有する組成物を、凝縮コイルを備えた1000mLビーカーにデカントし、ホットプレートを使用して沸点(35.9℃)まで加熱した。3枚の予めクリーニングされたプラスチックプリント回路基板(PCB)クーポンを化学天秤で計量した(初期重量)。Kester 185 flux 28の薄膜を各クーポンの片面に適用し、拭き取り布で過剰分を除去した。フラックスをPCBクーポン上で放置して30分間乾燥させた後、クリーニングした。次いで、各クーポンを再計量して汚れた重量を求め、その後、沸騰組成物の気相中に10分間入れておいた。次いで、クーポンを取り出し、10分間乾燥及び排ガスした後に再計量して(クリーニング後の重量)、組成物のクリーニング有効係数を求めた。プラスチックPCBクーポン中に吸収された溶媒を計算に入れるために、対照クーポンを使用した。クリーニング分析の結果を表6に示し、式1に従ってCEFを求めた。
【0099】
【0100】
実施例7.ペルフルオロヘプテン/酢酸イソプロピル/ヘプタン(PFH/iPrOAc/ヘプタン)ブレンドのクリーニング有効係数(CEF)分析
85重量%のPFH、9.0重量%のiPrOAc、及び6重量%のヘプタンを含有する組成物を、凝縮コイルを備えた1000mLビーカーにデカントし、ホットプレートを使用して沸点(66.2℃)まで加熱した。3枚の予めクリーニングされた304ステンレス鋼クーポンを化学天秤で計量した(初期重量)。Mobil 600Wシリンダ油の薄膜を各クーポンの片面に適用し、拭き取り布で過剰分を除去した。次いで、各クーポンを再計量して汚れた重量を求め、その後、沸騰組成物の気相中に10分間入れておいた。次いで、クーポンを取り出し、10分間乾燥及び排ガスした後に再計量して(クリーニング後の重量)、溶媒ブレンドのクリーニング有効係数を求めた。クリーニング分析の結果を表7に示し、式1に従ってCEFを求めた。
【0101】
【0102】
実施例8.ペルフルオロヘプテン/酢酸tert-ブチル/ヘプタン(PFH/TBAC/ヘプタン)ブレンドのクリーニング有効係数(CEF)分析
89重量%のPFH、4.5重量%のTBAC、及び6.5重量%のヘプタンを含有する組成物を、凝縮コイルを備えた1000mLビーカーにデカントし、ホットプレートを使用して沸点(66.4℃)まで加熱した。3枚の予めクリーニングされた304ステンレス鋼クーポンを化学天秤で計量した(初期重量)。鉱油の薄膜を各クーポンの片面に適用し、拭き取り布で過剰分を除去した。次いで、各クーポンを再計量して汚れた重量を求め、沸騰溶媒組成物の気相中に10分間入れておいた。次いで、クーポンを取り出し、10分間乾燥及び排ガスした後に再計量して(クリーニング後の重量)、溶媒ブレンドのクリーニング有効係数を求めた。クリーニング分析の結果を表8に示し、式1に従ってCEFを求めた。
【0103】
【0104】
他の実施形態
1.いくつかの実施形態では、本出願は、組成物であって、
i)ペルフルオロヘプテン、
ii)n-ヘプタン、並びに
iii)酢酸tert-ブチル及び酢酸イソプロピルから選択される化合物、
を含み、
当該n-ヘプタン及び酢酸tert-ブチル又は酢酸イソプロピルの各々が、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0105】
2.当該ペルフルオロヘプテンが、約90重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び約10重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンを含む、実施形態1に記載の組成物。
【0106】
3.ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸tert-ブチルを含み、当該n-ヘプタン及び酢酸tert-ブチルが、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0107】
4.約80~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテンを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【0108】
5.約0.1~約10重量パーセントのn-ヘプタンを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0109】
6.約0.1~約10重量パーセントの酢酸tert-ブチルを含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0110】
7.当該組成物中のn-ヘプタン及び酢酸tert-ブチルの総重量パーセントが、約5~約15重量パーセントである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0111】
8.ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸tert-ブチルから本質的になる、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
【0112】
9.約80~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約0.1~約10重量パーセントのn-ヘプタン、及び約0.1~約10重量パーセントの酢酸tert-ブチルから本質的になる、実施形態1~3及び8のいずれか1つに記載の組成物。
【0113】
10.約85~約95重量パーセントのペルフルオロヘプテンから本質的になり、当該組成物中のn-ヘプタン及び酢酸tert-ブチルの総重量パーセントが、約5~約15重量パーセントである、実施形態1~3及び8のいずれか1つに記載の組成物。
【0114】
11.約89重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約6重量パーセントのn-ヘプタン、及び約5重量パーセントの酢酸tert-ブチルから本質的になる、実施形態1~3及び8のいずれか1つに記載の組成物。
【0115】
12.共沸混合物組成物である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の組成物。
【0116】
13.約101kPaの圧力で約66℃~約67℃の沸点を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の組成物。
【0117】
14.ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸イソプロピルを含み、当該n-ヘプタン及び酢酸イソプロピルが、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0118】
15.約80~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテンを含む、実施形態1、2、及び14のいずれか1つに記載の組成物。
【0119】
16.約0.1~約10重量パーセントのn-ヘプタンを含む、実施形態1、2、14、及び15のいずれか1つに記載の組成物。
【0120】
17.約0.1~約10重量パーセントの酢酸イソプロピルを含む、実施形態1、2、及び14~16のいずれか1つに記載の組成物。
【0121】
18.当該組成物中のn-ヘプタン及び酢酸イソプロピルの総重量パーセントが、約10~約15重量パーセントである、実施形態1、2、及び14~16のいずれか1つに記載の組成物。
【0122】
19.ペルフルオロヘプテン、n-ヘプタン、及び酢酸イソプロピルから本質的になる、実施形態1、2、及び14のいずれか1つに記載の組成物。
【0123】
20.約80~約99.8重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約0.1~約10重量パーセントのn-ヘプタン、及び約0.1~約10重量パーセントの酢酸イソプロピルから本質的になる、実施形態1、2、14、及び19のいずれか1つに記載の組成物。
【0124】
21.約85~約90重量パーセントのペルフルオロヘプテンから本質的になり、当該組成物中のn-ヘプタン及び酢酸イソプロピルの総重量パーセントが、約10~約15重量パーセントである、実施形態1、2、14、及び19のいずれか1つに記載の組成物。
【0125】
22.約85重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約9重量パーセントのn-ヘプタン、及び約6重量パーセントの酢酸イソプロピルから本質的になる、実施形態1、2、14、及び19のいずれか1つに記載の組成物。
【0126】
23.共沸混合物組成物である、実施形態1、2、及び14~22のいずれか1つに記載の組成物。
【0127】
24.約101kPaの圧力で約66℃~約67℃の沸点を有する、実施形態1、2、及び14~23のいずれか1つに記載の組成物。
【0128】
25.いくつかの実施形態では、本出願は、更に、組成物であって、
i)ペルフルオロヘプテン、
ii)HFC-4310mee、及び
iii)トランス-1,2-ジクロロエチレン、
を含み、
当該HFC-4310mee及びトランス-1,2-ジクロロエチレンが、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0129】
26.当該ペルフルオロヘプテンが、約90重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び約10重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンを含む、実施形態25に記載の組成物。
【0130】
27.約0.1~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテンを含む、実施形態25又は26に記載の組成物。
【0131】
28.約30~約40重量パーセントのHFC-4310meeを含む、実施形態25~27のいずれか1つに記載の組成物。
【0132】
29.約40~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、実施形態25~28のいずれか1つに記載の組成物。
【0133】
30.ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、及びトランス-1,2-ジクロロエチレンから本質的になる、実施形態25~29のいずれか1つに記載の組成物。
【0134】
31.約0.1~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約30~約40重量パーセントのHFC-4310mee、及び約40~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンから本質的になる、実施形態25、26、及び30のいずれか1つに記載の組成物。
【0135】
32.約24重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約33重量パーセントのHFC-4310mee、及び約43重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンから本質的になる、実施形態25、26、及び30のいずれか1つに記載の組成物。
【0136】
33.共沸混合物組成物である、実施形態25~32のいずれか1つに記載の組成物。
【0137】
34.約101kPaの圧力で約39℃の沸点を有する、実施形態25~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0138】
35.メタノールを更に含み、当該HFC-4310mee、トランス-1,2-ジクロロエチレン、及びメタノールが、各々、当該ペルフルオロヘプテンと共沸混合物組成物又は共沸様組成物を形成するのに有効な量で当該組成物中に存在する、実施形態25~34のいずれか1つに記載の組成物。
【0139】
36.約0.1~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテンを含む、実施形態35に記載の組成物。
【0140】
37.約30~約40重量パーセントのHFC-4310meeを含む、実施形態35又は36に記載の組成物。
【0141】
38.約40~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、実施形態35~37のいずれか1つに記載の組成物。
【0142】
39.約0.1~約5重量パーセントのメタノールを含む、実施形態35~38のいずれか1つに記載の組成物。
【0143】
40.ペルフルオロヘプテン、HFC-4310mee、トランス-1,2-ジクロロエチレン、及びメタノールから本質的になる、実施形態35~39のいずれか1つに記載の組成物。
【0144】
41.約0.1~約25重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約30~約40重量パーセントのHFC-4310mee、約40~約50重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレン、及び約0.1~約5重量パーセントのメタノールから本質的になる、実施形態35に記載の組成物。
【0145】
42.約22.5重量パーセントのペルフルオロヘプテン、約32.5重量パーセントのHFC-4310mee、約42重量パーセントのトランス-1,2-ジクロロエチレン、及び約3重量パーセントのメタノールから本質的になる、実施形態35に記載の組成物。
【0146】
43.共沸混合物組成物である、実施形態35~42のいずれか1つに記載の組成物。
【0147】
44.約101kPaの圧力で約36℃の沸点を有する、実施形態35~43のいずれか1つに記載の組成物。
【0148】
45.いくつかの実施形態では、本出願は、組成物であって、
約23重量%~約25重量%のペルフルオロヘプテン、約32重量%~約34重量%のHFC-4310mee、及び約42重量%~約44重量%のトランス-1,2-ジクロロエチレン;又は
約21.5重量%~約23.5重量%のペルフルオロヘプテン、約31.5重量%~約33.5重量%のHFC-4310mee、約41重量%~約43重量%のトランス-1,2-ジクロロエチレン、及び約2重量%~約4重量%のメタノール;
約84重量%~約86重量%のペルフルオロヘプテン、約8重量%~約10重量%の酢酸イソプロピル、及び約5重量%~約7重量%のヘプタン;又は
約88重量%~約90重量%のペルフルオロヘプテン、約3.5重量%~約5.5重量%の酢酸tert-ブチル、及び約5.5重量%~約7.5重量%のヘプタン、
を含む、組成物を提供する。
【0149】
46.いくつかの実施形態では、本出願は、組成物であって、
約24重量%のペルフルオロヘプテン、約33重量%のHFC-4310mee、及び約43重量%のトランス-1,2-ジクロロエチレン;又は
約22.5重量%のペルフルオロヘプテン、約32.5重量%のHFC-4310mee、約42重量%のトランス-1,2-ジクロロエチレン、及び約3重量%のメタノール;
約85重量%のペルフルオロヘプテン、約9.0重量%の酢酸イソプロピル、及び約6重量%のヘプタン;又は
約89重量%のペルフルオロヘプテン、約4.5重量%の酢酸tert-ブチル、及び約6.5重量%のヘプタン、
を含む、組成物を提供する。
【0150】
47.当該ペルフルオロヘプテンが、約90重量パーセントのペルフルオロヘプタ-3-エン及び約10重量パーセントのペルフルオロヘプタ-2-エンを含む、実施形態45又は46に記載の組成物。
【0151】
48.共沸混合物組成物である、実施形態45~47のいずれか1つに記載の組成物。
【0152】
49.溶質を溶解させるプロセスであって、当該溶質を十分な量の実施形態1~48のいずれか1つに記載の組成物と接触させ、混合することを含む、プロセス。
【0153】
50.表面をクリーニングするプロセスであって、実施形態1~48のいずれか1つに記載の組成物を接触させることを含む、プロセス。
【0154】
51.濡れている基材の表面から水の少なくとも一部を除去するプロセスであって、当該基材を実施形態1~48のいずれか1つに記載の組成物と接触させ、次いで、当該組成物との接触から当該基材を取り除くことを含む、プロセス。
【0155】
52.当該組成物が、当該基材を脱水又は乾燥するのに好適な少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、実施形態51に記載のプロセス。
【0156】
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を例示することを意図しており、かつ限定するものではないことを理解すべきである。その他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。本発明が、本発明の任意の特定の態様及び/又は実施形態に関して本明細書に記載される特徴のいずれも、本明細書に記載される任意のその他の態様及び/又は本発明の実施形態のいずれかのその他の特徴のうちの1つ以上と組み合わせることができ、組み合わせの適合性を確実にするために適宜変更することができることが、当業者により理解されるべきである。このような組み合わせは、本開示により企図される本発明の一部であると見なされる。