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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】物品収容装置及び物品供給装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/40 20060101AFI20230609BHJP
   G07F 11/46 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
G07F11/40
G07F11/46
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021129990
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023023985
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】村上 厳洋
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達志
(72)【発明者】
【氏名】黒川 信夫
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-231462(JP,A)
【文献】特開2014-081895(JP,A)
【文献】特開平10-218412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 11/00-11/72
B65H 3/54- 3/56
B65H 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品供給装置に装着可能な物品収容装置であって、
本体部と、
前記本体部内に設けられ、本体部内に収容されている物品を前記物品収容装置の外部に送出する送出部と、
前記本体部内に設けられ、前記送出部により複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止部と
を備え、
前記阻止部は、前記送出部の動作に応じて、前記複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止状態をとり得るように構成され
前記本体部には、前記物品を供給する供給口が形成され、
前記供給口と前記送出部との間に、物品を供給口に送出する送出路部が形成され、
前記阻止部は、前記送出路部において前記複数の物品が連続して送出されることを阻止するように構成され、
前記阻止部は、前記送出路部内に突出可能に構成された突出部を含み、
前記突出部が前記送出路部内に突出することで、前記供給口へ前記複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止状態をとり、
前記送出部は回転可能に構成され、一部が欠けた円柱形状を有し、一部が欠けた部分の表面が平面を成している平面部と、欠けていない部分の表面が曲面を成している曲面部とを含み、
前記送出部は、該送出部が回転する場合に、前記曲面部は前記阻止部と接触し、前記平面部は前記阻止部と接触しないように構成されている、物品収容装置。
【請求項2】
物品供給装置に装着可能な物品収容装置であって、
本体部と、
前記本体部内に設けられ、本体部内に収容されている物品を前記物品収容装置の外部に送出する送出部と、
前記本体部内に設けられ、前記送出部により複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止部と
を備え、
前記阻止部は、前記送出部の動作に応じて、前記複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止状態をとり得るように構成され、
前記本体部には、前記物品を供給する供給口が形成され、
前記供給口と前記送出部との間に、物品を供給口に送出する送出路部が形成され、
前記阻止部は、前記送出路部において前記複数の物品が連続して送出されることを阻止するように構成され、
前記阻止部は、前記送出路部内に突出可能に構成された突出部を含み、
前記突出部が前記送出路部内に突出することで、前記供給口へ前記複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止状態をとり、
前記送出部は回転可能に構成され、一部が欠けた円柱形状を有し、一部が欠けた部分の表面が平面を成している平面部と、欠けていない部分の表面が曲面を成している曲面部とを含み、
前記送出部の前記曲面部は、少なくとも一部が軟質部材により構成されており、
前記阻止部のうち、前記曲面部の前記軟質部材と接触する部分が第1の硬質部材により構成されている、物品収容装置。
【請求項3】
物品供給装置に装着可能な物品収容装置であって、
本体部と、
前記本体部内に設けられ、本体部内に収容されている物品を前記物品収容装置の外部に送出する送出部と、
前記本体部内に設けられ、前記送出部により複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止部と
を備え、
前記阻止部は、前記送出部の動作に応じて、前記複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止状態をとり得るように構成され、
前記本体部は、前記物品を収容する第1空間と、前記第1空間の下部に形成された第2空間とを有し、
前記送出部及び前記阻止部は、前記第2空間に設けられ、
前記第2空間は、前記送出部が収容されている収容部を有し、
前記阻止部の少なくとも一部は、
前記阻止部が前記送出部により押圧されている状態において、前記収容部の外側に位置し、
前記阻止部が前記送出部により押圧されてない状態において、前記収容部の内側に位置するように構成されている、物品収容装置。
【請求項4】
前記送出部は、前記物品収容装置が物品供給装置に装着されている状態において、前記物品供給装置が備える操作部の操作を条件として、物品を送出するように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項5】
前記阻止部は、前記物品収容装置が物品供給装置に装着されている状態において、前記物品供給装置が備える操作部の操作を条件として、前記複数の物品が連続して送出されることを阻止する阻止状態をとり得るように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項6】
前記突出部は、前記送出路部の底面部から前記送出路部内に突出可能に構成されている、請求項1または2に記載の物品収容装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記送出部の1回の回転動作において、1度のみ前記送出路部内に突出するように構成されている、請求項1、2及び6のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項8】
前記突出部は、前記送出路部内の底面から5mm未満の範囲で突出するように構成されている、請求項1、2、6及び7のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項9】
前記阻止部は、前記送出部との接触により押圧される押圧部を含み、
前記突出部は、前記押圧部が押圧されている状態において、前記送出路部内に突出するように構成されている、請求項1、2、6から8のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項10】
前記突出部は、第1突出部と第2突出部とを含み、
前記第1突出部及び前記第2突出部は、前記送出部により前記押圧部が押圧されることに応じて同時に前記送出路部内に突出するように構成されている、請求項9に記載の物品収容装置。
【請求項11】
前記第1突出部と前記第2突出部とは、離間して設けられている、請求項10に記載の物品収容装置。
【請求項12】
前記押圧部は、該押圧部の最大径が前記送出部の最大径よりも小さい円柱形状を有する、請求項9から11のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項13】
前記押圧部の幅は、前記送出部の幅よりも小さい、請求項9から12のいずれか1項に記載の物品収容装置。
【請求項14】
前記突出部は、前記第1の硬質部材よりも硬質な第2の硬質部材により構成され、前記突出部の先端は曲面部を有する、請求項に記載の物品収容装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の物品収容装置と、
前記物品の代価の支払いを受け付ける受付部と、
前記代価の支払いを検出する検出部と
前記物品収容装置に収容された物品を送出するための操作を、前記代価の支払いを検出したことに応じて受け付ける操作部と、
前記操作による動力を前記送出部に伝達して、前記物品を送出させる動力伝達部と
を備える、物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容装置及び物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代価の支払いに応じて、物品を供給する物品供給装置がある。特許文献1は、代価の支払いにより物品を供給することができる物品供給装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-27226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において供給される物品は、シート状、或いは、ケース状の物品ではなかった。これに対し、シートやケース等を物品として収容し、物品供給装置に装着することで、シートやケース等の物品を供給可能とする構成が求められている。
【0005】
そこで、シートやケース等を物品として供給することが可能な構造を有し、かつ、物品供給装置に装着可能な物品収容装置、及び、当該物品収容装置を装着した物品供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、物品供給装置に装着可能な物品収容装置であって、本体部と、前記本体部内に設けられ、本体部内に収容されている物品を前記物品収容装置の外部に送出する送出部と、前記本体部内に設けられ、前記送出部により複数の物品の同時が連続して送出されることを阻止する阻止部とを備え、前記阻止部は、前記送出部の動作に応じて、前記複数の物品が同時連続して送出されることを阻止する阻止状態をとり得るように構成されている。
【0007】
本発明の一態様は、物品供給装置であって、上記物品収容装置と、前記物品の代価の支払いを受け付ける受付部と、前記代価の支払いを検出する検出部と前記物品収容装置に収容された物品を送出するための操作を、前記代価の支払いを検出したことに応じて受け付ける操作部と、前記操作による動力を前記送出部に伝達して、前記物品を送出させる動力伝達部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
シートやケース等を物品として供給することが可能な構造を有し、かつ、物品供給装置に装着可能な物品収容装置、及び、当該物品収容装置を装着した物品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る物品供給装置10の外観の一例を示す図、及び、物品供給装置10のハードウェア構成の一例を示す図。
図2】実施形態に係る物品収容部11の外観の一例を示す図。
図3】実施形態に係るローラ207の構成を説明するための図。
図4】実施形態に係る載置部201の開口部201Aとローラ207との関係を説明するための図。
図5】2つの物品が連続して排出されてしまう場合の一例を説明するための図。
図6】実施形態に係る阻止部208の作用を説明するための図。
図7】実施形態に係る阻止部208の構造の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
まず、図1(A)を参照して、物品供給装置10の外観構成について説明する。図1(A)は、実施形態に対応する物品供給装置10の正面の外観の一例を示す図である。図1(A)において、物品供給装置10の本体は、前壁、後壁、及び側壁から構成され、物品収容部(物品収容装置、或いは、物品保持装置ともいう)11は、物品供給装置10よりユーザに供給される物品が収容される収容器(或いは、バケツ、ケース等)であり、物品供給装置10に装着される。物品供給装置10への装着は、カバー部12の内部に配置された所定のレールなどに沿って、物品収容部11を物品供給装置10の前側から後側に向かってスライドさせて装着させるようにしてもよい。また、物品収容部11を物品供給装置10からレールに沿って手前に引き出すことにより、物品収容部11を物品供給装置10から取り外すこともできる。装着時において、物品収容部11の後壁と物品供給装置10の後壁とが接触しないようにしてもよい。
【0012】
物品収容部11は、プラスチック製で、前面には、供給する物品に関する情報を提示可能に構成された領域101が設けられている。物品収容部11は、内部に収容されている物品を外部から視認可能に構成されてもよいし、視認可能でなくてもよい。物品は薄型な物品である。例えば、シート、印刷物、カード、CDROMケース等の、物品収容部11内に積層して収容可能な物品とすることができる。物品収容部11には、物品の供給口102が設けられており、供給口にはシャッター(開閉扉)103が設置され、供給口102から物品収容部11内に不正にアクセスできないように構成されている。
【0013】
物品収容部11は、本体13の上側に設置されており、本体13の前面部には、ハンドル104、現金投入口105、現金返却口106、現金返却ボタン107、物品収容部11内に物品が存在しない場合にその旨を通知する通知部108が配置されている。
【0014】
ハンドル104は、代価の支払いに応じて矢印方向に回転可能に構成された操作部であって、物品収容部11が物品供給装置10に装着されている状態においてユーザがハンドル104を回転させることにより、シャッター103が開き、物品収容部11内に収容された物品のうち、最も下に位置する物品が供給口102より供給される。ハンドル104は、代価の支払いが確認できない状態ではロック機構により回転が抑制されており、代価の支払いが確認されるとロック機構が解除されて回転可能となる。
【0015】
現金投入口105は、代価を現金で支払う場合に、硬貨を投入するのに用いられ、現金の大きさに応じて、複数種類の投入口があってもよい。例えば、一例として500円玉と100円玉とをそれぞれに挿入可能な大きさの投入口を用意することができる。但し、図1では、500円玉と100円玉との投入口を共通化しており、100円玉のサイズに対応する投入口は封止(閉塞)されている。
【0016】
現金投入口105は、内部の機構を制御することにより現金の投入を受け付ける状態と、受け付けない状態とを切り替えることができる。具体的に、物品収容部11は、物品の存在を検知する機構を有し、物品の存在を検知しない場合には投入口を閉じて硬貨の投入を受け付けないようにしてもよい。これにより、物品収容部11の内部を外部から視認可能でない場合に、物品が内部に存在していないのにもかかわらず誤って硬貨を投入してしまうことがなくなる。
【0017】
現金投入口105には、曲面からなる凹部が形成され、凹部の底(最深部)付近に投入口が設けられている。これにより小さい子供であっても、曲面をスライドさせて辿ることで、現金投入口105から現金を投入することが容易に行えるようになる。現金返却口106は、現金返却ボタン107の操作に応じて投入した硬貨が返却され、装置から返却された硬貨を取り出し可能に構成されている。なお、本実施形態では、現金により代価の支払いがなされる構成で説明しているが、これに限られるものではなく、電子マネー等のキャッシュレス決済により代価の支払いがなされる構成であってもよい。この構成の場合、各物品供給装置10には、各物品供給装置を識別可能なユニークな識別情報が表示され、当該識別情報をユーザ端末により取得することにより、キャッシュレス決済が可能となり、キャッシュレス決済の完了を条件として、物品の供給を可能とする(ハンドル104の回転操作を可能とする)ことができる。
【0018】
図1(B)は、物品供給装置10内のハードウェア機構(一部にソフトウェアを含んでいてもよい)をブロック機能図として示したものである。現金投入口105から投入された硬貨は、現金保持部111に保持され、代価支払検出部112により所定の金額に達したかどうかが判定される。所定の金額に達したと判定されるとハンドル104と接続している回転部113のロックが解除され、ハンドル104が回転可能となる。これによりハンドル104を回転することができる。ハンドル104の回転による動力は、動力伝達機構を介して後述するローラ207に伝達され、ローラ207の回転に従って物品を物品供給装置10の外部に送出することが可能となる。当該動力伝達機構は公知のものを利用すればよいので、本明細書での更なる説明は省略する。また、ハンドル104の回転に応じて回転部113が回転すると、それに伴って現金保持部111に保持されていた硬貨が硬貨収容部114に排出され、再び回転部113がロックされる。また、現金返却ボタン107が操作されると、現金保持部111に保持された現金が現金返却口106から返却される。
【0019】
通知部108は、物品収容部11内に物品が存在しない場合にその旨を通知する通知部である。通知部108は、物品収容部11内の物品の有無を検知する検知部による検知結果に応じて、物品が存在しない場合にはその旨を外部に視認可能に通知する。
【0020】
本明細書においては、各部材の位置関係を説明するのに際して、前(前方)、後(後方)、左(左側方)、右(右側方)、上(上方)、下(下方)等と記載する場合があるが、これらの表現は図1の物品供給装置10を基準とした相対的なものである。例えば、前は物品供給装置10の正面側に対応し、後は物品供給装置10の背面側に対応する。また、上下左右は、図1の物品供給装置10に対する上下左右とする。
【0021】
次に、図2を参照して、本実施形態に対応する、物品収容部11の構造を説明する。物品収容部11は、物品収容部11の外周を形成する外壁部200と物品が載置される載置部201とを有する、略直方体形状の本体部を有する。載置部201の上面は、供給口102の下端面と同一平面を構成する。また、載置部201は、物品収容部11内の空間を載置部201の上側に位置する第1空間と、載置部201の下側に位置する第2空間とに隔てている。第1空間内で載置部201に載置される物品は、様々な大きさを有することができる。物品の形状も略直方体であり幅×長さ×高さで大きさを特定することができる。このとき、物品の幅、長さ、高さはそれぞれ、図2(A)の座標系に示したX軸、Y軸、Z軸の各方向における大きさに対応する。物品は、例えば、名刺サイズからA4サイズのシート或いはカードの他、また、厚みのあるものについては例えばCDROMケースやDVDケースとすることもできる。
【0022】
様々なサイズの物品を排出可能とするため、第1空間内には第1保持部202L,202Rと、第2保持部203とが配置されている。第1保持部202L、202Rは、物品の幅方向において該物品を側方から支持する保持部材であって、載置部201に形成されたレールに沿って幅方向(X軸)方向に移動させることが可能であり、これにより、第1保持部202Lと202Rとの間の間隔(W1)を物品の幅に対応した大きさとすることができる。第1保持部202L、202Rは押圧部205の幅方向に沿ってレール上を移動可能であり、かつ、第1保持部202Lと202Rとは互いに接近する方向、又は、離間する方向に移動可能に構成されている。第2保持部203は、物品の奥行方向において該物品を側方から支持する保持部材であって、載置部201に形成されたレールに沿って奥行方向(Y軸)方向に移動させることが可能であり、これにより、第2保持部203と物品の供給口102側の先頭部分の配置される位置との間隔(L1)を物品の長さに対応した大きさとすることができる。なお、第2保持部203のレール上における移動範囲は、第1保持部202のレール上における移動範囲よりも大きくなっている。
【0023】
次に、スイッチ204は、物品が物品収容部11内に存在しているかどうかを検知する検知部である。物品が存在している場合、物品により下向きに押下されるので検知することができる。なお、物品は押圧部205により下方向に押圧されて保持されており、物品が1枚しか残っていなくても、当該押圧部205による押圧力は物品を介してスイッチ204に伝達されるので、物品の存在を検知することができる。一方で、スイッチ204は押圧部205により直接に押圧されることがないため、物品が存在していない場合にはスイッチ204は押圧されることなく、物品の不存在を検知することができる。
【0024】
押圧部205は、自重により下方向に移動が可能であり、第1保持部202および第2保持部203により保持されている物品の供給口102側の先端部分(前方部分)を下方向に押圧する。押圧部205は本体部に対し、後述するレール209を介して着脱可能に構成されている。ガイド部206は、物品収容部11に収容されている物品が外部に送出される際に物品をガイドする機能を果たす。ガイド部206は、単一の物品の高さに応じて載置部201の上面からの高さを調整し、単一の物品のみが送出路部を通過して供給口102から排出されるように、送出路部の高さを調節する。
【0025】
図2(B)は、図2(A)のA-A'断面による、物品収容部11の断面構成の一例を示す図である。構成要素201から206は図2(A)において説明したものと同様である。図2(B)において第1保持部202と第2保持部203とは、高さがほぼ一致しており、第1保持部202と第2保持部203とで特定される容積により、物品収容部11内に収容可能な物品の積層量が定まる。物品収容部11には、物品を外部に排出するためのローラ207、ローラ207との押圧により複数の物品が連続して排出されることを阻止する阻止部208及びローラ207にハンドル104の回転力を伝達するための伝達機構の一部が、物品を載置する載置部201の下側の第2空間に配置されている。
【0026】
ローラ207は物品収容部11(或いは、押圧部205)の幅方向の中央付近のローラ収容部内に設けられており、物品収容部11が物品供給装置10に装着されている状態においてユーザによりハンドル104が回転されると、回転による動力が所定の動力伝達機構を介してローラ部207に伝達されるように構成され、ハンドル104が1回転するとローラ207も1回転して、物品が送出される。ローラ207の表面には、例えばゴムなどの滑り止めが形成されている。ローラ207の断面は切り欠きのある円柱形状を有しており、当該切り欠きによりハンドルが1回転することにより1つの物品のみを送出する送出部として機能することができる。ローラ207を完全な円柱形状としてしまうと、物品が連続して排出されるおそれがあるため、このような切り欠きを設けて単一物品のみが排出されるようにしている。また、ローラ207の回転に応じて、シャッター103が物品収容部11の外側に向かって開くように動作する。これによりローラ207が回転した場合にのみシャッター103を開いて物品を供給することができる。なお、供給口102とローラ207との間の物品が送出される経路を本実施形態においては送出路部と呼ぶ。
【0027】
阻止部208は、2つの物品が連続して排出されるのを阻止するための機構である。阻止部208は、先端部とローラ207との接触により押圧されると、突出部が供給口102の下端面に突出するように構成されている。当該突出部は1つ目の物品が排出されたタイミングにおいて下端面に突出して、供給口102を封鎖するように機能するので、2つ目の物品が続けて排出されるのを阻止することができる。阻止部208の少なくとも一部は、ローラ207により押圧されていない状態においてはローラ収容部の内側に位置する一方、ローラ207により押圧された状態においてはローラ収容部の外側に位置する。
【0028】
また、シャッター103は、物品収容部11の幅方向に複数の開閉扉が配列されて構成され、物品供給時には少なくともいずれかの開閉扉が開く。本実施形態では、シャッター103を第1から第3の3枚の開閉扉により構成することができ、物品の幅に応じて中央の第2開閉扉だけを開けてもよいし、3枚の全ての開閉扉を開けてもよい。レール209Lは、押圧部205の上下の移動方向を規制するためのレール部材であり、押圧部205が正確に物品を押圧するようにしている。
【0029】
動作部210は、ハンドル104の回転力をローラ207に伝達するための機構であって、物品収容部11の下側に位置する本体13に設けられたハンドル104の回転力の伝達機構と接続するために、物品収容部11の底部よりも下側に少なくとも一部が突出している。
【0030】
次に、図3を参照してローラ207の構造について説明する。ローラ207は、物品収容部11内に収容された物品を供給口102に送出可能な送出部として機能する。図3(A)から図3(C)は、ローラ207の外観構成の一例を示す。図3(A)はローラ207の正面を示すが、ここに示すようにローラ207の側方から回転軸301が左右に突出しており、当該回転軸301を基準として回転することができる。回転軸は所定の機構を介してハンドル104と連携しており、ハンドル104を1回転させると、ローラ207も回転軸301を中心として1回転する。ローラ207の表面には回転軸301に沿って平面部302が形成されており、平面部302はローラ207が回転する際には送出対象の物品と接触しない。
【0031】
図3(B)は、ローラ207の側面を示すがローラ207の平面部302の裏側には、曲面部303が形成されている。ローラ207は、円柱の外面を切り落とすことにより一部が欠けたような形状であって、切り落とした部分が平面部302に対応し、残りの半円柱状部分が曲面部303に対応する。なお、切り落とした部分と円柱の残りの部分とでは、残り部分の割合の方が大きい。また、平面部302の面積よりも曲面部303の面積の方が大きい。
【0032】
図3(C)は、ローラ207の裏面を示すが、ローラ207の曲面部303は、物品と接触して物品を供給口102へ送り出す機能を果たす。曲面部303は物品と接触した際に、物品に回転力を伝達するため、表面が滑りにくい素材、例えばゴム等の軟質部材、或いは、滑り止め部材で覆われていることが望ましい。但し、曲面部303の全体が軟質部材で覆われていなくてもよく、少なくとも一部において覆われていればよい。少なくとも一部の範囲については、曲面部303の円周方向を全体として網羅しつつ、幅方向については断続的に網羅するようにしてもよい。また、円周方向を連続的に網羅しなくてもよく、複数の軟質部材により全体として円周方向を網羅するようにしてもよい。
【0033】
また、載置部201には、供給口102の近傍に開口部が設けられており、当該開口部を介してローラ207と物品とを接触させることにより、ローラ207の回転力を物品に伝達して、物品を供給口102へ送り出すことができる。図4は当該開口部とローラ207との関係を説明するための図である。
【0034】
図4は、ローラ207のそれぞれ回転位置と載置部201との関係を状態遷移図として示す。状態1は、ローラ207の回転を開始させる際の初期位置を示している。初期位置の状態では、載置部201の開口部201Aからローラ207は突出していない。この後、ローラ207は回転軸401を中心として図4では反時計回りに回転し、開口部201Aからローラ207の少なくとも一部が突出して、載置部201上に載置された物品にローラ207の右側の端部から接触することで、物品を物品収容部11の前方に押し出すように動作する。
【0035】
このようにして、ローラ207の曲面部303が開口部201Aから突出した状態2から状態3を経て状態4まで進む。この間、開口部201Aから突出した曲面部303が物品と接触して、物品を前方に押し出すように力が作用する。状態2から状態4において、ローラ207は「送出可能状態」にある。状態4においてローラ207の左側の端部が接触した後、状態5のようになると、ローラ207と物品とは接触しなくなる。
【0036】
すなわち、開口部201Aから突出して物品と接触するのは曲面部303のみであって、平面部302は突出しないので物品とは接触しない。このような状態5から状態1までにおいて、ローラ207は「送出不可能状態」にある。この状態においては、物品の位置は移動しないが、供給口102からは物品を引き抜くのに十分な範囲だけ物品が外側に露出している。ユーザは、供給口102から露出している物品の部分を引っ張って、物品を物品収容部11から取り出すことができる。
【0037】
但し、本実施形態においてローラ207は全てのサイズの物品に対して共通に用いられるため、物品のサイズによっては状態4になる手前において対象物品が排出されてしまい、状態4において次の物品の送出が開始されてしまうおそれがある。この場合、ハンドル104の操作に基づく1回のローラ207の回転により、2つの物品が連続的に排出されてしまうことになる。
【0038】
図5は、そのような2つの物品が連続して排出されてしまう場合の一例を説明するための図である。図5では、押圧部205の下に、同一の物品である物品501と502とが積層されて配置された場合を示している。実際にはより多くの物品が積層されている場合も想定されるが、図5では説明の簡単のため2つの物品が配置されている場合を示す。物品501と502とは押圧部205の重さにより下方向に押圧されている。また、ガイド部206は、1つの物品のみを排出可能に送出路部を構成するように、載置部201の上面からの高さが調整されている。
【0039】
図5(A)は、ローラ207が物品501との接触を開始する位置まで回転した状態を示している。図5においてローラ207は反時計回りに回転し、ローラ207によって物品501が物品収容部11の前方側に押し出されて、図5(B)に示すようにガイド部206の下側の送出路部を通って供給口102に送り出される。このとき、物品502はガイド部206によって物品収容部11の前方側への移動が規制されているため、押圧部205の下側の位置に留まっている。その後、ローラ207は反時計回りに更に回転し、図5(C)に示されるように物品501のみが送出路部に送り出されていく。
【0040】
その後の図5(D)では、物品501がほぼ送出された後に、押圧部205により下方向に押圧された物品502がローラ207と接触し、物品502にローラ207の回転力が伝達される。それでも物品501がガイド部206の下側を通過している間は、物品502に対してはガイド部206による規制が有効に働くが、物品501が排出されてしまうと、図5(E)に示すようにローラ207の回転力が伝達されて、物品502もガイド部206の下側の通過してしまう。ローラ207の回転力が伝達されるのはローラ207の曲面部303が物品と接触している間だけなので、物品502は完全には排出されないかもしれないが、少なくとも一部が供給口102の外側に露出していれば、その部分を利用者が把持して物品収容部11から引き抜くことが可能となる。このとき、ローラ207の回転状態は、図4の状態5のようになるため、物品502は、押圧部205により下方向に押圧されているだけであって、物品が取り出されることを防止するのは困難である。
【0041】
そこで、本実施形態では、2つ目の物品が連続して送出されるのを阻止するための機構を採用する。この送出阻止機構は図2において阻止部208としてその一部を示したものである。図6は、送出阻止機構の作用を説明するための図である。阻止部208は、押圧部材601と突出部602とで構成され、図6では、これらの部位を簡略的に示している。押圧部材601は、ローラ207が回転すると、ローラ207の曲面部303による押圧により移動可能に構成された部材である。押圧部材601がローラ207により押圧されて物品収容部11の前方側に移動すると、突出部602の上方向への移動に対する規制が解除される。突出部602はバネにより上方向に付勢されており、当該規制の解除により上方向に移動し、突出部602の先端が送出路部内に送出路部の底面部から突出して阻止状態となり、複数物品の連続排出を防止し、単一物品のみ排出されるようにすることができる。
【0042】
図6(A)から図6(C)は、図5(A)から図5(C)と同じ状態を示している。但し、図6(C)の直後にローラ207が押圧部材601と接触すると、押圧部材601は前方側に押し込まれ、突出部602の規制状態が解除される。しかしこの時点では、図6(D)に示すように供給口102に物品501が存在しているため、送出路部内への突出は規制されてしまう。しかし、物品501が突出部602の上を通過した後、物品502が排出されるまでに間隙が存在するため、この間隙の間に突出部602の先端が送出路部内に突出する。これにより、続く物品502の排出は図6(E)に示すように規制される。
【0043】
なお、突出部602が送出路部内に突出しているのは、ローラ207の曲面部303と押圧部材601とが接触している間だけであり、かつ、ローラ207が1回転している間に突出する回数は1回だけである。なお、押圧部材601は、ローラ207の平面部302とは接触しない。
【0044】
次に、図7を参照して、阻止部208の構造を説明する。図7は阻止部208の構造の一例を示す図である。阻止部208は、図7(A)及び図7(B)に示すように、押圧部材601と突出部602とから構成されており、図7(A)は、押圧部材601がローラ207により押圧される前の状態を示し、図7(B)は、押圧部材601がローラ207により押圧された後の状態を示している。押圧部材601はバネ701により図の右方向(物品収容部11の後方向)に付勢されており、ローラ207による押圧が無ければ図7(A)の状態で維持される。このとき、押圧部材601の先端が、ローラ207が収容されているローラ収容部の内側に位置する。一方、押圧部材601がローラ207により押圧されると、押圧部材601はバネの付勢力に逆らって物品収容部の前方向に押し込められ、押圧部材601の先端は、ローラ207が収容されているローラ収容部の外側に位置することとなる。
【0045】
突出部602はバネ702により上方向に付勢されている。突出部602は、硬質部材、例えば金属(アルミニウム、鉄等)で構成され、送出路部の底面から突出する度合いは、例えば5mm未満とすることができ、より具体的には2~3mm程度とすることができる。また、突出部602の先端は曲面部を有している。
【0046】
次に、図7(C)及び図7(D)は、図7(A)及び図7(B)のそれぞれの状態における阻止部208の断面構成の一例を示す。まず、図7(C)に示すように、押圧部材601は、先端部711、首部712、胴体部713の3つの部位から構成されており、先端部711がローラ207の曲面部303と接触する。先端部711は、円柱形状のローラとして構成することができ、その最大径及び幅はローラ207の最大径及び幅よりも小さい。また、先端部711は、例えばプラスチックなどの硬質部材で構成される。即ち、突出部602の硬質部材は、先端部711の硬質部材よりも硬質の部材とすることができる。押圧部材601がローラ207により押圧される前は、胴体部713が突出部602の底部材714の上に位置した状態となっている。これにより、突出部602の上方向へ突出する付勢力が規制された状態で維持される。
【0047】
これに対し図7(D)に示すように、先端部711がローラ207の曲面部303と接触して押圧され、押圧部材601が前方側に押し込められると、首部712が突出部602の底部材714の上に位置した状態に変化する。このとき、胴体部713と首部712との段差の分だけ、突出部602が上方向へ突出することが可能となる。これにより、突出部602の先端が供給口102の下端面に露出して、物品が連続して排出されるのを防止することができる。
【0048】
図7(E)は図7(A)及び(C)に対応する状態の斜視図であり、図7(F)は図7(B)及び(D)に対応する状態の斜視図である。図7(E)は、胴体部713が突出部602の底部材714の上に位置した状態を示している。また、図7(F)は、首部712が突出部602の底部材714の上に位置した状態を示している。
【0049】
図7(E)に示すように、突出部602は、第1突出部721と第2突出部722を含んで構成され、押圧部材601は、第1突出部721と第2突出部材722との間に配置される。第1突出部721と第2突出部722とは、底部材714を介して離間して配置されており、離間距離は例えば3cm以上とすることができるが、数値はこれに限定されるものではない。また、第1突出部721と第2突出部722とは、それぞれ個別にバネ702により上方向に付勢されており、押圧部材601の押圧に応じて同時に送出路部内に突出するように構成されている。突出部の数は、図7(E)では2つとしているが、3つ以上としてもよい。
【0050】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7