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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/20 20060101AFI20230609BHJP
   A41D 15/04 20060101ALI20230609BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
A41D27/20 E
A41D15/04 A
A41D13/00 112
A41D27/20 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021135074
(22)【出願日】2021-08-20
(65)【公開番号】P2023029016
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田中 正浩
(72)【発明者】
【氏名】河村 篤
(72)【発明者】
【氏名】松浦 健悟
(72)【発明者】
【氏名】山本 友紀
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-308290(JP,A)
【文献】実開昭59-181816(JP,U)
【文献】特開平11-124714(JP,A)
【文献】実開昭61-030025(JP,U)
【文献】特開2011-234944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00
A41D27/20
A41D15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱着可能なポケットを一つ以上含む衣服であって、
前記ポケットは、衣服に設けられた第1脱着具と、ポケットに設けられた第2脱着具を介して、前記衣服に脱着可能に取り付けられており、
前記ポケットは、表地及び裏地にて袋状に形成されており、袋の内部空間は、鉛直方向の仕切りにて表側の第1収容部及び裏側の第2収容部に分割されており、
前記第2収容部には、折り畳んだ状態のバッグが収納されており、
前記ポケットにおいて、前記仕切りの上端は袋の内部空間から突き出ており、前記仕切りの上端の表側には第2脱着具が設けられており、前記仕切りの上端の裏側には折り畳んだ状態のバッグが連結されている、ことを特徴とする、衣服。
【請求項2】
前記ポケットは、前記仕切りの上端の表側に設けられている第1収容部の蓋を有する、請求項に記載の衣服。
【請求項3】
前記ポケットにおいて、表地の下部の両角には第2脱着具が設けられている、請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項4】
前記ポケットは、左右の胸部のそれぞれに脱着可能に取り付けられている、請求項1~のいずれかに記載の衣服。
【請求項5】
前記ポケットは、前記衣服の後身頃の腰部に左右対称的に脱着可能に取り付けられている、請求項1~のいずれかに記載の衣服。
【請求項6】
前記第1脱着具及び前記第2脱着具はスナップボタンである、請求項1~のいずれかに記載の衣服。
【請求項7】
前記スナップボタンは、ブロック型スナップボタンである、請求項に記載の衣服。
【請求項8】
前記衣服は、前身頃、後身頃、袖部、及び襟部を含む上衣である、請求項1~のいずれか1項に記載の衣服。
【請求項9】
前記上衣は、さらにフード部を含む、請求項に記載の衣服。
【請求項10】
前記第2脱着具は、前記ポケットを取り付ける箇所に設けたフラシの裏側に配置されている、請求項1~のいずれかに記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグとしても使用することができる取り外し可能なポケットを有する衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、海洋プラスチックごみが問題となり、プラスチック製レジ袋等の包装具の代わりに、布製のバッグ等のマイバッグの使用が推進されている。マイバッグを常に持参することは煩雑であることから、最近、折り畳んだ状態のエコバッグをポケットとして取り付け、必要な場合、該ポケットを取り外してエコバッグとして使用することができるポケットを備えたTシャツが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述したTシャツにおいて、折り畳んだ状態のエコバッグをそのままポケットとしてTシャツに取り付けられているため、ポケットの内部に物を収納しにくく、ポケットとして機能することが困難である。
【0004】
本発明は、上記従来の問題を解決するため、衣服に取り付けた状態ではポケットとして機能し、衣服から取り外した状態ではバッグとして機能することができる脱着可能ポケットを備えた衣服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、脱着可能なポケットを一つ以上含む衣服であって、前記ポケットは、衣服に設けられた第1脱着具と、ポケットに設けられた第2脱着具を介して、前記衣服に脱着可能に取り付けられており、前記ポケットは、表地及び裏地にて袋状に形成されており、袋の内部空間は、鉛直方向の仕切りにて表側の第1収容部及び裏側の第2収容部に分割されており、前記第2収容部には、折り畳んだ状態のバッグが収納されていることを特徴とする衣服に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、衣服に取り付けた状態ではポケットとして機能し、衣服から取り外した状態ではバッグとして機能することができる脱着可能なポケットを備えた衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一例の衣服の模式的正面図である。
図2】同衣服の模式的背面図である。
図3】一例の脱着可能なポケットの模式的正面図である。
図4】一例の脱着可能なポケットの模式的背面図である。
図5】一例の脱着可能なポケットの模式的部分斜視図である。
図6】一例の脱着可能なポケットの模式的斜視図である。
図7】脱着可能なポケットの裏側の第2収容部に収納されていた折り畳んだ状態のバッグを第2収容部から取り出して広げる手順の説明図である。
図8】広げた状態のバッグの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、ポケット及びバッグの両方の機能を発揮することができるポケット構造について鋭意検討した。その結果、ポケットを、表地及び裏地にて袋状に形成し、袋の内部空間を鉛直方向の仕切りにて表側の第1収容部及び裏側の第2収容部に分割し、第2収容部に折り畳んだ状態のバッグを収納するとともに、該ポケットを、衣服に設けられた第1脱着具と、ポケットに設けられた第2脱着具を介して、衣服に脱着可能に取り付けることで、衣服に取り付けた状態ではポケットとして機能し、衣服から取り外した状態ではバッグとして機能させることができた。
【0009】
前記衣服は、身にまとうことができるものであればよく、特に限定されず、ポケットを脱着しやすい観点から、外衣であることが望ましい。また、前記衣服は、上半身に着用する上衣であってもよく、下半身に着用する下衣であってもよく、つなぎ服でよい。
【0010】
上衣としては、特に限定されず、例えば、シャツ、セータ、ブレザ、ジャケット、ブルゾン(ジャンパとも称される)、パーカー等があげられる。下衣としては、特に限定されず、例えば、ズボン等が挙げられる。前記衣服は、コートであってもよい。
【0011】
前記衣服は、前身頃、後身頃、袖部、及び襟部を含む上衣であってもよく、該上衣はさらにフード部を含んでもよい。
【0012】
前記衣服の素材は特に限定されず、種類や目的などに応じて織物及び編物等の生地を適宜用いることができる。前記織物としては、特に限定されず、一重織り組織でもよく、二重織り組織でもよい。例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。前記生地を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。前記生地は、撥水加工されたものでもよい。前記生地の目付は、特に限定されないが、例えば、30~800g/m2であってもよい。
【0013】
前記脱着可能なポケットは一つ以上であればよく、特に限定されないが、2つ以上の複数であってもよい。前記衣服が、少なくとも胴体を覆う場合は、脱着可能なポケットは、前記衣服の左右の胸部のそれぞれに脱着可能に取り付けられていてもよく、前記衣服の後身頃の腰部に左右対称的に脱着可能に取り付けられていてもよい。前記衣服は、脱着可能なポケットに加えて、さらに脱着不可能なポケットを含んでもよい。
【0014】
第1脱着具及び第2脱着具は、互いに脱着可能に連結することができるものであればよく、例えば、ファスナー、面ファスナー、及びスナップボタン(ドットボタンとも称される)等で構成することができる。使用耐久性、洗濯耐久性、及び取扱性等の観点から、第1脱着具及び第2脱着具は、スナップボタンであることが好ましく、ブロック型スナップボタンであることがより好ましい。
【0015】
第2脱着具は、脱着可能なポケットを衣服に脱着可能に取り付けることができればよく、その配置や個数は特に限定されない。衣服に取り付けた際の固定性及び取り外す際の取扱性を高める観点から、脱着可能なポケットの上端及び下端の両方に設けることが好ましい。
【0016】
バッグは、折り畳んで第2収容部に収納し得るものであればよく、特に限定されない。例えば、トート型でもよく、リュック型でもよい。バッグを構成する表地及び裏地には、例えば、薄手の布地を用いることができ、具体的には、例えば、目付が30~150g/m2の編物や織物を用いることができる。前記織物としては、特に限定されず、一重織り組織でもよく、二重織り組織でもよい。例えば、平織、斜文織、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。前記布地を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。前記布地は、ポリウレタンコーティング等にて撥水加工されたものでもよい。
【0017】
前記仕切りは、袋の内部空間を分割することができるものであればよく、特に限定されない。例えば、織物で構成することができる。前記織物としては、特に限定されず、一重織り組織でもよく、二重織り組織でもよい。例えば、平織、斜文織(綾織り又はツイルとも称される)、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織などが挙げられる。平織としては、例えばタフタを用いてもよい。また、前記仕切りは、メッシュ等の編物で構成してもよい。前記織物や編物を構成する繊維としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアミド繊維、アセテート繊維、コットン繊維、レーヨン繊維、エチレンビニルアルコール繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。前記織物や編物は、例えば、目付が30~150であってもよい。
【0018】
以下、図面と併せて、本発明の1以上の実施形態に係る衣服を説明する。しかし、本発明は、これらの図面に示されるものに限定されない。
【0019】
図1は本発明の一例の衣服の模式的正面図である。図2は、同衣服の模式的背面図である。図3は、同衣服に用いた一例の脱着可能なポケットの模式的正面図であり、図4は同ポケットの模式的背面図であり、図5は同ポケットの模式的部分斜視図であり、図6は同ポケットの模式的斜視図である。図7は同ポケットの裏側の第2収容部に収納されていた折り畳んだ状態のバッグを第2収容部から取り出して広げる手順の説明図である。図8は広げた状態のバッグの斜視図である。
【0020】
該実施形態の衣服1は、上半身を覆う上衣である。衣服1は、前身頃11、後身頃12、袖部13、襟部14及びフード部15を含む。該実施形態において、襟部14及びフード部15は一体化されているが、一体化されていなくてもよい。左右の前身頃11は開閉部材16にて開閉可能に結合してもよい。開閉部材16としては、例えば、ファスナー、面ファスター及びスナップボタン等を用いることができる。衣服1は、脱着可能なポケット2に加えて、腹部に左右対称的配置されている脱着不可能なポケット17を有する。
【0021】
図1に示されているように、衣服1の胸部には脱着可能なポケット2が脱着可能に取り付けられている。具体的には、ポケット2は、衣服1の胸部に設けられている第1脱着具10と、ポケット2に設けられている第2脱着具20を介して、衣服1に取り付けられている。図1は、右胸部のポケット2は衣服1に取り付けられている状態、左胸部のポケットは衣服1から取り外されている状態を示している。
【0022】
図2に示されているように、衣服1の後身頃12の腰部には左右対称的にポケット2が脱着可能に取り付けられている。具体的には、ポケット2は、衣服1の後身頃12の腰部に設けられている第1脱着具10と、ポケット2に設けられている第2脱着具20を介して、裏側、具体的には裏地22が衣服1に接するように、衣服1に取り付けられている。図2は、左腰部のポケット2は衣服1に取り付けられている状態、右腰部のポケットは衣服1から取り外されている状態を示している。
【0023】
第1脱着具10及び第2脱着具20は、ブロック型スナップボタンで構成することができる。ブロック型スナップボタン付きのテープを所定箇所に取り付けることで、第1脱着具10及び第2脱着具20を設けることができる。これにより、第1脱着具10及び第2脱着具20の結合が容易であるうえ、使用耐久性及び洗濯耐久性にも優れる。
【0024】
第1脱着具10は、汚れを抑制する観点から、衣服1のポケット2を取り付ける箇所に設けられているフラシ3の裏側に配置されていることが望ましい。
【0025】
図3図6に示されているように、ポケット2は、表地21及び裏地22にて袋状に形成されており、袋の内部空間は、鉛直方向の仕切り23にて表面側の第1収容部24及び裏側の第2収容部25に分割されている。第2収容部25には、バッグ26が収納されている。該実施形態において、裏地22の鉛直方向の高さは、表地21の鉛直方向の高さより高いが、裏地22の鉛直方向の高さは、表地21の鉛直方向の高さと同じであってもよく、裏地22の鉛直方向の高さは、表地21の鉛直方向の高さより低くてもよい。
【0026】
仕切り23の上端は袋の内部空間から突き出ており、仕切り23の上端の表側には第2脱着具20が設けられている。仕切り23の上端の裏側には、折り畳んだ状態のバッグ26が縫製にて連結されている。ポケット2において、表地21の下端、具体的には表地21の下部の両角にも第2脱着具20が設けられている。具体的には、仕切り23の上端の表側にブロック型スナップボタン付きのテープを縫製にて取り付けることで、第2脱着具20を設けることができる。このように、ポケット2の上端及び下端に第2脱着具20を設けることで、ポケット2を衣服1に取り付けた際の固定性が良好になる。
【0027】
第2脱着具20の下部には、第1収容部の蓋27が設けられており、開閉部材28にて表地21に開閉可能に結合している。該実施形態において、開閉部材28としては、スナップボタンを用いている。開閉部材28としては、ファスナーや面ファスナーを用いてもよい。
【0028】
衣服1から取り外したポケット2はエコバッグとして用いることができる。具体的には、図7において、矢印で示す順番で、ポケット2の裏側の第2収容部に収納していたバッグ26を引き出し、広げることで、図8に示すようにトート型のエコバッグとなる。
【0029】
一例として、衣服をポリエステル繊維100%の平織(目付30~800g/m2)であり、裏面がポリウレタンコーティングされた生地で構成し、脱着可能なポケットをポリエステル繊維100%の平織(目付30~800g/m2)で構成し、仕切りをポリエステル繊維100%の平織(目付30~150gm2)で構成することができる。
【0030】
前記衣服は、特に限定されず、日常生活用でもよく、作業用でもよく、スポーツ用でもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 衣服
2 (脱着可能な)ポケット
3 フラシ
10 第1脱着具
11 前身頃
12 後身頃
13 袖部
14 襟部
15 フード部
16 (前身頃の)開閉部材
17 (脱着不可能な)ポケット
20 第2脱着具
21 (ポケットの)表地
22 (ポケットの)裏地
23 (ポケットの)仕切り
24 第1収容部
25 第2収容部
26 バッグ(エコバッグ)
27 (第1収容部の)蓋
28 (蓋の)開閉部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8