(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】半導体製造設備の排出流体の処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230609BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230609BHJP
F04B 37/16 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
H01L21/304 645Z
H01L21/304 645C
H01L21/304 648L
H01L21/302 101C
H01L21/302 101H
F04B37/16
(21)【出願番号】P 2021143999
(22)【出願日】2021-09-03
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0125662
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521390626
【氏名又は名称】プラン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】インチヨル リー
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-043171(JP,A)
【文献】特開2019-012812(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0105358(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/3065
F04B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造設備の排出流体処理システムであって、
真空ポンプハウジングを含み、前記真空ポンプハウジングの一方の側部にガス吸入口が形成され、前記真空ポンプハウジングの他方の側部にドライポンプと連結されるガス排出口が形成され、
更に、前記真空ポンプハウジングの内部空間を、前記ガス吸入口と連通するフロント空間と、前記ガス排出口と連通するリア空間とに区分する隔壁と、
前記真空ポンプハウジングのフロント空間及びリア空間に回転可能に配置された回転軸と、
前記回転軸に装着され、前記フロント空間に配列された複数のメインローターと、
前記回転軸に装着され、前記リア空間に配列された複数の補助ローターと、
前記回転軸に連結されたモーターと、
前記モーターの駆動を制御するインバーターと、
前記フロント空間と第1連結配管を介して連通可能に連結され、前記リア空間と第2連結配管を介して連通可能に連結されたプラズマ装置と、
前記プラズマ装置と前記真空ポンプハウジングのガス吸入口との間に連結されたバイパス管と、
前記バイパス管に装着された開閉バルブと、
前記インバーターによってモーター回転速度を制御し、前記開閉バルブを所定周期で開閉制御する制御器と、を含む排出流体処理システム。
【請求項2】
前記ガス吸入口を通して流入する洗浄ガスは、
前記メインローターが装着されたフロント空間を経てから前記プラズマ装置でプラズマ放電によって分解された後、一部が、オープン制御された前記開閉バルブ及び前記バイパス管を通して且つ再び前記ガス吸入口を通して前記メインローターが装着されたフロント空間に供給されるか、又は
前記メインローターが配列されたフロント空間を経てから前記プラズマ装置でプラズマ放電によって分解された後、前記開閉バルブがクローズ制御された状態で前記補助ローターが配列されたリア空間に供給された後、前記ドライポンプに排出される、請求項1に記載の排出流体処理システム。
【請求項3】
前記ガス吸入口に、前記真空ポンプハウジングの圧力を測定して前記制御器に伝送する圧力センサーが装着される、請求項1に記載の排出流体処理システム。
【請求項4】
前記制御器は、前記圧力センサーの測定信号に基づき、ブースターポンプの吸入圧力を、前記真空ポンプハウジングの内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に高めるように調節するために、前記インバーターにモーター回転速度減少調節のための制御信号を印加するように構成される、請求項3に記載の排出流体処理システム。
【請求項5】
前記真空ポンプハウジングのガス排出口又は前記ドライポンプの出口管の位置に、工程副産物と反応したガスの副産物量を測定して前記制御器に伝送する副産物検出器が装着される、請求項1に記載の排出流体処理システム。
【請求項6】
前記制御器は、前記副産物検出器の検出の結果、副産物量が臨界値以上であれば前記プラズマ装置の駆動及び前記モーターの回転速度調節を維持させる制御を行い、副産物量が臨界値未満であれば洗浄ガスの供給を中断し、前記プラズマ装置の駆動を停止させるとともに前記モーターの駆動を元の速度に復帰させる制御を行うように構成される、請求項5に記載の排出流体処理システム。
【請求項7】
前記真空ポンプハウジングに、前記バイパス管との連結のためのバイパス管連結ホールと、前記プラズマ装置にガス循環可能に連結されるフロント空間連結通路及びリア空間連結通路とが形成される、請求項1に記載の排出流体処理システム。
【請求項8】
前記プラズマ装置内に、前記バイパス管連結ホールと連通するバイパス管が直接形成される、請求項7に記載の排出流体処理システム。
【請求項9】
半導体製造設備の排出流体処理方法であって、
洗浄ガスを
真空ポンプの真空ポンプハウジング内に供給する段階と、
洗浄ガスをメインローターが存在する
前記真空ポンプハウジングのフロント空間を経由させた後、プラズマ装置に供給する段階と、
前記プラズマ装置のプラズマ放電によって、洗浄ガスを分解させる段階と、
前記プラズマ装置と前記真空ポンプハウジングのガス吸入口との間に連結されるバイパス管の開閉バルブがオープンした場合、前記プラズマ装置で分解させた洗浄ガスを、前記バイパス管を通して前記フロント空間に流入させて前記フロント空間内の工程副産物と反応させる段階と、
前記開閉バルブがクローズした場合、前記プラズマ装置で分解させた洗浄ガスを前記真空ポンプハウジングのリア空間に流入させて前記リア空間内の工程副産物と反応させる段階と、
工程副産物と反応した洗浄ガスを
ドライポンプに排出させる段階と、を含む排出流体処理方法。
【請求項10】
更に、分解させた洗浄ガスを前記フロント空間又は前記リア空間に供給する前に又は供給している間、
制御器によって、
圧力センサーの測定信号に基づいて
モーターの速度を制御して
前記真空ポンプの吸入圧力を設定圧力に高めるように調節する段階を含む、請求項9に記載の排出流体処理方法。
【請求項11】
前記制御器の電流指令による
インバーターの制御によって前記モーターを定格回転速度より低い速度に低下させるように調節することにより、前記真空ポンプの吸入圧力を、前記真空ポンプハウジングの内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に高めるように調節する、請求項10に記載の排出流体処理方法。
【請求項12】
更に、前記ドライポンプの出口管に装着されたガス副産物検出器で工程副産物と反応した洗浄ガスの工程副産物量を測定する段階と、
測定された工程副産物量と臨界値を比較する段階と、
比較の結果、工程副産物量が臨界値以上であれば、未だに
前記真空ポンプ
ハウジングの内部が十分に洗浄されていないと判断し、
制御器でプラズマ装置の駆動を維持させるとともに前記
真空ポンプのモーターの回転速度調節を維持させる制御を行う段階と、
前記工程副産物量が臨界値未満であれば、前記真空ポンプ
ハウジングの内部が所望の水準に洗浄されたと判断し、前記制御器で洗浄ガスの供給を中断させ、前記プラズマ装置の駆動を停止させるとともに前記モーターの駆動を元の速度に復帰させる制御を行う段階と、を含む請求項9に記載の排出流体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造設備の排出流体の処理システム及び方法に関するもので、より詳しくは半導体製造設備から排出される排出流体の処理のための真空ポンプにプラズマ装置を装着するとともにプラズマ装置を通過する流体の一部を吸入側に再循環させるためのバイパス管を装着し、真空ポンプの内部配管に沿って流れる工程副産物ガスの分解及び処理効率を大きく向上させる半導体製造設備の排出流体の処理システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体、ディスプレイパネル、太陽光電池などの製造工程において、エッチング、蒸着、洗浄及び窒化処理などの工程は工程チャンバーで行われる。
【0003】
このような製造工程に使われるガスとしては、揮発性有機化合物、酸系物質、悪臭誘発物質、自然発火気体、地球温暖化誘発物質などがあり、このようなガスは製造工程を経ながら未反応ガス、廃ガスなどの工程副産物に転換され、工程チャンバーから真空ポンプ側に排出される。
【0004】
前記未反応ガス、廃ガスなどの工程副産物のうち、HF、フッ化物、塩化物などは真空ポンプと配管の内部を通して移動しながら金属表面などの腐食を引き起こすだけでなく、製造工程で使われる大部分のガスは環境汚染物質であるから、大気中に最終に排出される前に必ず除去されなければならない。
【0005】
そして、製造工程で発生する微細粒子及び金属などは、配管のように流体が移送される多様な移送経路に設けられた部品を通過しながら冷却又は圧力変化などによる相変異過程を経た後、粉末(例えば、SiO2パウダー)の形態に変わり、このような粉末は真空ポンプの寿命を縮める原因になる。
【0006】
例えば、工程チャンバー内に造成される真空雰囲気は、工程チャンバーに真空ラインを介して連結された真空ポンプの吸入作用によってなされ、真空ポンプによって吸入された反応ガス、工程副産物などは排気ラインを通して外部に排出される。
【0007】
ここで、工程副産物は工程チャンバーと真空ポンプを連結する配管を通過しながら冷却されて粉末状に成長し、時間が経つにつれて真空ポンプの内部のローターなどに積もり、このように粉末が積層されることによって真空ポンプの性能低下はもちろんのこと、寿命短縮を引き起こすことになる。
【0008】
よって、前記真空ポンプの前方又は後方でプラズマ反応を用いて工程副産物などを処理する真空ポンプ洗浄方式が多く用いられている。このようなプラズマを用いる方式は、エネルギー浪費を防止することができ、真空ポンプに流入する固体性工程副産物の流動性を向上させて真空ポンプ内部の蓄積量を減少させることにより真空ポンプの寿命を延ばすことができるなど、最近多く用いられる趨勢である。
【0009】
添付の
図1は従来の半導体製造設備の排出流体処理装置を示す概略図である。
【0010】
図1に示すように、半導体製造設備は、各種の製造工程の遂行のための工程チャンバー26と、前記工程チャンバー26の内部を真空状態に維持させる役割を果たすようにブースターポンプ15及びドライポンプ16を含む真空ポンプ10とを含み、このような真空ポンプの稼働の際、工程チャンバー26内の排出流体、例えば未反応ガス、廃ガスなどのような各種の工程副産物ガスが真空ポンプ10側に排出される。
【0011】
そして、前記工程チャンバー26側に電源を提供するためのジェネレーター13と、工程ガスや洗浄ガスを供給するためのガスボックス27とを備えている。
【0012】
前記ジェネレーター13は、工程チャンバー26側に電源を提供する役割はもちろんのこと、プラズマ配管12にあるコイル14に電圧を印加する役割も果たすことができるように構成される。
【0013】
このようなジェネレーター13の使用に関連して、前記工程チャンバー26とコイル14に印加される電圧を選択的に開閉する真空リレー22を備えている。この際、真空リレー22によって、真空チャンバー側とコイル側に電圧を選択的に供給することができる。
【0014】
また、前記真空ポンプ10の内部配管、例えばブースターポンプ15とドライポンプ16を連結する配管は複数の配管からなり、このような配管の少なくとも1個の配管は洗浄ガスの分解のためにプラズマ反応が起こる配管として使うことができる。
【0015】
例えば、前記真空ポンプ10のブースターポンプ15とドライポンプ16との間には2個の配管、すなわちメイン配管11及びプラズマ配管12が連結される。
【0016】
したがって、前記ブースターポンプ側の洗浄ガスはメイン配管11とプラズマ配管12に分岐され、各配管に沿って流れた後、ドライポンプ側に排出される。ここで、前記コイル14に電圧が印加されるとき、プラズマ配管12の内部にプラズマ放電を誘導することにより、プラズマ配管12を通過する洗浄ガスを分解することができるようになる。
【0017】
一例として、真空ポンプの洗浄工程の際、ガスボックスからArガス及び/又はNF3ガスなどの洗浄ガスが供給される状況で、前記プラズマ配管12の内部にArガス及び/又はNF3ガスが流れる場合、これらのガスがプラズマ放電によってArガスとN2ガスとF2ガスに分解され(ここで、Arガスはプラズマ効率を高めるために使われる)、このように分解されたガスがドライポンプ側に進行した後、ドライポンプ内のSiO2パウダーと反応し、最終的にSiF4ガスとNxOガスとN2ガスとして排出されることにより、ドライポンプ内に蒸着していたSiO2パウダーを除去することができるようになる。
【0018】
ここで、前記洗浄ガスとしては、ArガスとNF3ガス以外にCLF3、CF4、C2F6、C3F8などのCxFy系及びF2ガスなどを使うことができる。
【0019】
このように、前記ブースターポンプ15からドライポンプ16に流入する洗浄ガスは互いに並んでいる複数の配管に沿って進行し、このように進行する洗浄ガスはプラズマ配管12を通るうちにプラズマ反応によって分解処理され、このように分解されたガスがポンプ側に蒸着していた粉末、例えばSiO2パウダーと反応し、結局ポンプを洗浄することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかし、半導体設備に適用される真空ポンプのブースターポンプ内を流れる洗浄ガスはプラズマ放電処理された状態ではないので、ブースターポンプ内に蒸着していた工程副産物(例えば、SiO2パウダー)の除去効率が落ちる。
【0022】
すなわち、前記コイル14及びプラズマ配管12がブースターポンプ15とドライポンプ16との間に存在するから、ブースターポンプ15内に存在する工程副産物(例えば、SiO2パウダー)が、プラズマ放電処理されなかった状態である洗浄ガスによって容易に除去されない問題点がある。
【0023】
また、前記ブースターポンプと連結されたドライポンプが単一回転軸に複数のローターが装着された多段ステージタイプ(例えば、5段ステージ)の場合、ドライポンプ内の面積が大きく洗浄ガスの流動経路が長いから、ドライポンプ内に蒸着していた工程副産物(例えば、SiO2パウダー)の除去効率も落ちることになる問題点がある。
【0024】
よって、前記ブースターポンプ及びドライポンプを含む真空ポンプ内の全領域にわたって、プラズマ反応によって分解処理された洗浄ガスを均一に分配することにより、真空ポンプ内の全領域にわたってSiO2パウダーのような工程副産物を容易に除去することができる方案が要求されている。
【0025】
本発明は、前記のような従来の問題点を解決するために案出されたものであり、プラズマ装置によって分解された洗浄ガスが、ブースターポンプの前方ローター領域(メインローター部)と後方ローター領域(補助ローター部)に交互に流れてからドライポンプに流れるようにすることにより、ブースターポンプ及びドライポンプを含む真空ポンプ内の全領域に存在する工程副産物(例えば、SiO2パウダー)と均一に反応して、工程副産物の除去効率を向上させるようにした半導体製造設備の排出流体の処理システム及び方法を提供することに本発明の目的がある。
【0026】
また、本発明は、ポンプ内の圧力をモーターの回転速度で調節して、プラズマ装置によって分解された洗浄ガスが真空ポンプ内に留まる時間を延ばすことにより、洗浄ガスが工程副産物などと反応する時間を延ばして工程副産物の除去効率をより向上させることに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前述した目的を達成するために、本発明の一具現例は、一方の側部にガス吸入口が形成され、他方の側部にドライポンプと連結されるガス排出口が形成された真空ポンプハウジングと、前記真空ポンプハウジングの内部空間を前記ガス吸入口と連通するフロント空間と前記ガス排出口と連通するリア空間とに区分する隔壁と、前記真空ポンプハウジングのフロント空間及びリア空間に回転可能に配置された回転軸と、前記回転軸に装着され、フロント空間に配列された複数のメインローターと、前記回転軸に装着され、リア空間に配列された複数の補助ローターと、前記回転軸に連結されたモーターと、前記モーターの駆動を制御するインバーターと、前記フロント空間と第1連結配管を介して連通可能に連結され、前記リア空間と第2連結配管を介して連通可能に連結されたプラズマ装置と、前記プラズマ装置と前記真空ポンプハウジングのガス吸入口との間に連結されたバイパス管と、前記バイパス管に装着された開閉バルブと、前記インバーターによってモーター回転速度を制御し、前記開閉バルブを所定周期で開閉制御する制御器とを含むことを特徴とする半導体製造設備の排出流体処理用真空ポンプシステムを提供する。
【0028】
ここで、前記ガス吸入口を通して流入する洗浄ガスは、前記メインローターが装着されたフロント空間を経てからプラズマ装置でプラズマ放電によって分解された後、一部が、オープン制御された開閉バルブ及びバイパス管を通して再びガス吸入口を通してメインローターが装着されたフロント空間に供給されるか、又は前記メインローターが装着されたフロント空間を経てからプラズマ装置でプラズマ放電によって分解された後、開閉バルブがクローズ制御された状態で補助ローターが装着されたリア空間に供給された後、ドライポンプに排出されることを特徴とする。
【0029】
前記ガス吸入口に、真空ポンプハウジングの圧力を測定して前記制御器に伝送する圧力センサーが装着されることを特徴とする。
【0030】
前記制御器は、圧力センサーの測定信号に基づき、ブースターポンプの吸入圧力を、真空ポンプハウジングの内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に高めるように調節するために、インバーターにモーター回転速度減少調節のための制御信号を印加するように構成されることを特徴とする。
【0031】
前記真空ポンプハウジングのガス排出口又は前記ドライポンプの出口管の位置に、工程副産物と反応したガスの副産物量を測定して前記制御器に伝送する副産物検出器が装着されることを特徴とする。
【0032】
前記制御器は、副産物検出器の検出の結果、副産物量が臨界値以上であればプラズマ装置の駆動及びモーターの回転速度調節を維持させる制御を行い、副産物量が臨界値未満であれば洗浄ガスの供給を中断し、プラズマ装置の駆動を停止させるとともにモーターの駆動を元の速度に復帰させる制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0033】
前記真空ポンプハウジングに、バイパス管との連結のためのバイパス管連結ホール(孔)と、前記プラズマ装置にガス循環可能に連結されるフロント空間連結通路及びリア空間連結通路とが形成され、好ましくは、前記プラズマ装置内に、前記バイパス管連結ホールと連通するバイパス管が直接形成されることを特徴とする。
【0034】
前記目的を達成するための本発明の他の具現例は、洗浄ガスを真空ポンプハウジング内に供給する段階と、前記洗浄ガスをメインローターが存在するフロント空間を経由させた後、プラズマ装置に供給する段階と、前記プラズマ装置のプラズマ放電によって前記洗浄ガスを分解させる段階と、前記プラズマ装置と前記真空ポンプハウジングのガス吸入口との間に連結されるバイパス管の開閉バルブがオープンしている場合、プラズマ装置で分解させた洗浄ガスを、バイパス管を通して前記フロント空間に流入させてフロント空間内の工程副産物と反応させる段階と、前記開閉バルブがクローズした場合、プラズマ装置で分解させた洗浄ガスを真空ポンプハウジングのリア空間に流入させてリア空間内の工程副産物と反応させる段階と、工程副産物と反応した洗浄ガスをドライポンプに排出させる段階とを含むことを特徴とする半導体製造設備の排出流体処理方法を提供する。
【0035】
前記分解させた洗浄ガスをフロント空間又はリア空間に供給する前に又は供給している間、制御器によって、圧力センサーの測定信号に基づいてモーターの速度を制御して真空ポンプの吸入圧力を設定圧力に高めるように調節する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0036】
前記制御器の電流指令によるインバーターの制御によってモーターを定格回転速度より低い速度に低下させるように調節することにより、真空ポンプの吸入圧力を、真空ポンプハウジングの内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に高めるように調節することを特徴とする。
【0037】
前記排出流体処理方法は、更に、ドライポンプの出口管に装着されたガス副産物検出器で工程副産物と反応した洗浄ガスの工程副産物量を測定する段階と、測定された工程副産物量と臨界値を比較する段階と、比較の結果、前記工程副産物量が臨界値以上であれば未だに真空ポンプが十分に洗浄されていないと判断し、制御器でプラズマ装置の駆動を維持させるとともにモーターの回転速度調節を維持させる制御を行う段階と、前記工程副産物量が臨界値未満であれば真空ポンプが所望の水準に洗浄されたと判断し、制御器で洗浄ガスの供給を中断させ、前記プラズマ装置の駆動を停止させるとともにモーターの駆動を元の速度に復帰させる制御を行う段階とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
前述した課題解決手段によって本発明は次のような効果を提供する。
【0039】
第一に、ブースターポンプ及びドライポンプを含む真空ポンプの全領域にわたってプラズマ反応によって分解処理された洗浄ガスを均一に分配することにより、真空ポンプ内の全領域にわたって工程副産物(例えば、SiO2パウダー)を容易に除去することができ、よって真空ポンプの洗浄効率を向上させることができる。
【0040】
第二に、単一のプラズマ装置のみでもブースターポンプ及びドライポンプを含む全体真空ポンプに対する洗浄を容易に遂行することができ、単一のプラズマ装置のみ使うので、消費電力を最小化することができる。
【0041】
第三に、ブースターポンプ及びドライポンプを含む真空ポンプ内の圧力をモーターの回転速度で調節して、プラズマ装置によって分解された洗浄ガスが真空ポンプ内に留まる時間を延ばすことにより、洗浄ガスが工程副産物などと反応する時間を延ばして工程副産物の除去効率をより向上させることができる。
【0042】
第四に、プラズマ装置によって分解された洗浄ガスが工程副産物などと反応した後、ガス排出口を通して排出されるとき、排出されるガスに含まれた副産物の程度をガス副産物検出器で測定し、副産物が臨界値以上であれば未だに真空ポンプが十分に洗浄されていないと判断し、プラズマ装置の駆動を維持させるとともにモーターの回転速度の調節を維持させ、プラズマ反応によって分解処理された洗浄ガスを続けて真空ポンプ内の工程副産物(例えば、SiO2パウダー)と反応させることにより、真空ポンプがいつもきれいに洗浄されることを保障することができ、よって真空ポンプの寿命を延ばすことができる。
【0043】
第五に、ブースターポンプ及びドライポンプを含む真空ポンプの全領域にわたってプラズマ反応によって分解処理された洗浄ガスを均一に分配することにより、洗浄ガスが局部的な領域(ローター、ハウジング壁面など)に集中して洗浄することによる腐食現象を防止して真空ポンプの耐久性を向上させることができる。
【0044】
第六に、ブースターポンプとドライポンプとを連結する配管にプラズマ装置を取り付けてもよいが、この配管が存在する空間が非常に狭小であるから、実際にプラズマ装置を取り付けるための組立作業に困難があり、プラズマ装置の組立の後にも維持管理がほとんど不可能になる問題点があるため、ブースターポンプの真空ポンプハウジングの上側の開放空間にプラズマ装置を取り付けることにより、プラズマ装置の取付及び組立作業を非常に容易に遂行することができ、さらにブースターポンプとドライポンプとを連結する配管に取り付けられるプラズマ装置を排除することができるので、ブースターポンプの出口とドライポンプの入口とを直結してコンパクトなサイズの真空ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】従来の半導体製造設備の排出流体処理装置を示す概略図である。
【
図2】本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムを示す構成図である。
【
図3】本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムを示す構成図である。
【
図4】本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムの作動の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムの作動の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムに適用されるプラズマ発生装置を示す概略図である。
【
図7】本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムの構成において真空ポンプハウジングにバイパス管連結ホール、フロント空間連結通路及びリア空間連結通路が形成された例を示す平面図である。
【
図8】本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムの構成においてバイパス管がプラズマ装置内に形成された例を示す図である。
【
図9】本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムの構成においてバイパス管がプラズマ装置内に形成された例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0047】
添付の
図2及び
図3は本発明による半導体製造設備の排出流体処理システムを示す構成図である。ここで、図面符号100は真空ポンプのブースターポンプを示す。
【0048】
前記ブースターポンプ100は単一の回転軸に複数のローターが装着された多段ステージタイプが適用されたものであり、半導体製造設備の各種の製造工程が遂行される工程チャンバーで大きな真空状態を要求する場合に適用可能である。
【0049】
よって、前記ブースターポンプ100は半導体製造設備の各種の製造工程において真空状態が必要な工程チャンバー26に真空を提供する役割を果たし、前記工程チャンバー26内で半導体製造工程が遂行されるときに発生する排出流体(例えば、未反応ガス、廃ガスなど)のような各種の工程副産物ガスがブースターポンプ100を経てドライポンプ200に流れる。
【0050】
ここで、前記各種の工程副産物ガスがブースターポンプ100に進入すれば、ブースターポンプと配管の内部を通して移動しながら金属表面などの腐食を引き起こすだけでなく、温度又は圧力の変化などによる相変異過程によってSiO2のような粉末状に変わり、ブースターポンプ100及びドライポンプ200を含む真空ポンプ内に蓄積し、このような粉末は、真空ポンプの寿命を縮める原因になるので除去しなければならない。
【0051】
このために、前記ブースターポンプ100内にArガス及び/又はNF3ガス、ClF3、CF4、C2F6、C3F8などのCxFy系及びF2ガスなどのような洗浄ガスを供給する。ここで、プラズマ装置によって分解された洗浄ガスを供給してSiO2を除去する洗浄工程を遂行することが好ましい。
【0052】
例えば、前記ブースターポンプ100及びドライポンプ200を含む真空ポンプの洗浄工程は、ガスボックスからArガス及び/又はNF3ガスなどの洗浄ガスをプラズマ配管の内部に供給する段階と、これらのガスをプラズマ放電によってArガスとN2ガスとF2ガスに分解する段階(ここで、Arガスはプラズマ効率を高めるために使われる)と、このように分解されたガスをブースターポンプ及びドライポンプ側に進行させてポンプ内のSiO2パウダーと反応させる段階と、最終的に分解されたガスをSiO2パウダーと反応させてSiF4ガスとNxOガスとN2ガスなどに転換させて排出する段階とからなることにより、ブースターポンプ100及びドライポンプ200内に蒸着していたSiO2パウダーのような工程副産物を除去することができる。
【0053】
しかし、前述したように、半導体設備に適用される真空ポンプのブースターポンプ100内を流れる洗浄ガスはプラズマ放電処理された状態ではないので、ブースターポンプ内に蒸着していた工程副産物(例えば、SiO2パウダー)の除去効率が落ちるしかなく、また前記ブースターポンプ100と連結されたドライポンプ200が単一の回転軸に複数のローターが装着された多段ステージタイプの場合、ドライポンプ内の面積が大きく洗浄ガスの流れ経路が長いから、ドライポンプ内に蒸着していた工程副産物の除去効率も落ちる問題点がある。
【0054】
このような問題点を解消するために、本発明は、単一の回転軸に複数のローターが装着されたブースターポンプにおいて、ブースターポンプの前方ローター領域(メインローター部)と後方ローター領域(補助ローター部)にプラズマ装置によって分解された洗浄ガスを交互に流してからドライポンプに流すことにより、真空ポンプ内の全領域に存在する工程副産物(例えば、SiO2パウダー)と均一に反応させて工程副産物の除去効率を向上させるようにした点に主眼点がある。
【0055】
このために、
図2及び
図3に示したように、前記ブースターポンプ100のボディーを構成する真空ポンプハウジング110の一方の側部にガス吸入口112が形成され、他方の側部にドライポンプ200と連結されるガス排出口114が形成され、特に真空ポンプハウジング110の内部空間に隔壁116が形成されることにより、真空ポンプハウジング110の内部が前記ガス吸入口112と連通するフロント空間113と前記ガス排出口114と連通するリア空間115とに区分される。
【0056】
ここで、前記真空ポンプハウジング110のフロント空間113及びリア空間115に単一の回転軸120が回転可能に配置される。
【0057】
また、前記回転軸120に複数のローターが装着される。この複数のローターは、フロント空間113を通過する回転軸120に配列されるメインローター122と、リア空間115に配列される補助ローター124とを含む。
【0058】
また、前記回転軸120には真空ポンプハウジング110の外側部に装着されるモーター130が動力伝達可能に連結され、このモーター130には制御器の指令に応じてモーターの速度及びトルクを制御するインバーター140が結合される。
【0059】
一方、前記真空ポンプハウジング110の内部空間を隔壁116によってフロント空間113とリア空間115とに区分し、フロント空間113とリア空間115にそれぞれメインローター122と補助ローター124を別に配置した理由は、モーターの作動による真空吸入圧力によるガスの吸入負荷を分散させるとともにモーターの過負荷を防止するためである。
【0060】
ここで、前記真空ポンプハウジング110の外部にフロント空間113及びリア空間115と連通可能に連結されるプラズマ装置150が、別に配置されるか、真空ポンプハウジング110の外側部にブラケットなどを介して一体に装着される。
【0061】
好ましくは、
図2及び
図3に示すように、前記プラズマ装置150は真空ポンプハウジング110のフロント空間113と第1連結配管152を介して連通可能に連結され、前記リア空間115と第2連結配管154を介して連通可能に連結される。
【0062】
前記プラズマ装置150の一例として、TCP(Transformer Coupled Plasma)方式を用いたプラズマ発生装置が適用される。
【0063】
すなわち、前記プラズマ装置150は、前記真空ポンプハウジング110のフロント空間113と連結される第1連結配管152と前記リア空間115と連結される第2連結配管154とを含む中空構造のプラズマチャンバー150-1と、このプラズマチャンバー150-1の外径部に装着されるフェライトコア150-2と、このフェライトコア150-2にRF400KHzのパルス電流を供給する電源部150-3とを含んでなる。
【0064】
したがって、前記電源部150-3からフェライトコア150-2にパルス電流を印加すれば、フェライトコア150-2で電気エネルギーを磁場に変化させながら磁場密度を増加させることにより、前記プラズマチャンバー150-1の全体に磁場が形成されるとともにプラズマチャンバー150-1内のプラズマ密度及び強度を増加させることができる。
【0065】
前記プラズマ装置150の他の例は、洗浄ガスが流れるプラズマ配管と、このプラズマ配管の周囲に巻き取られ、ジェネレーターから電圧を受けてプラズマを発生させるコイルとを含むことができ、その他に多様な形態のプラズマ装置を適用することができる。
【0066】
よって、本発明は、前記プラズマ装置150で発生したプラズマによって分解された洗浄ガスを前記真空ポンプハウジング110のフロント空間113とリア空間115に交互に供給することにより、真空ポンプハウジング110内の全領域にわたってプラズマ装置によって分解された洗浄ガスを均一に分配することができ、プラズマ装置によって分解された洗浄ガスをドライポンプ200に流した点に特徴がある。
【0067】
このために、前記プラズマ装置150と前記真空ポンプハウジング110のガス吸入口112との間には、プラズマ装置150によって分解された洗浄ガスをガス吸入口112側にリターンさせるためのバイパス管160が連結され、このバイパス管160にはプラズマ装置150によって分解された洗浄ガスの流れを許すか遮断するために制御器170によって開閉制御される電磁式開閉バルブ162が装着される。
【0068】
前記制御器170は、前記インバーター140に対する電流指令に応じてモーター回転速度を制御し、前記開閉バルブ162を所定の周期で開閉制御するように構成される。
【0069】
したがって、前記ガス吸入口112を通して流入する洗浄ガスは、
図2に示したように、前記真空ポンプハウジング110のメインローター122が装着されたフロント空間113を経てプラズマ装置150でプラズマ放電によって分解された後、その一部が、開閉バルブ162がオープン制御された状態でバイパス管160を通り、またガス吸入口112を通してメインローター122の装着されたフロント空間113に供給され、粉末状として存在するSiO
2と反応する。
【0070】
もしくは、前記ガス吸入口112を通して流入する洗浄ガスは、
図3に示したように、前記真空ポンプハウジング110のメインローター122が装着されたフロント空間113を経てプラズマ装置150でプラズマ放電によって分解された後、開閉バルブ162がクローズ制御された状態で補助ローター124が装着されたリア空間115に供給され、粉末状として存在する工程副産物であるSiO
2と反応する。
【0071】
さらに、前記プラズマ装置150でプラズマ放電によって分解された洗浄ガスが補助ローター124の装着されたリア空間115に供給された後、ガス排出口114を通してドライポンプに流れることにより、ドライポンプ内に存在するSiO2と反応する。
【0072】
したがって、前記ブースターポンプ100及びドライポンプ200を含む真空ポンプ内の全領域にわたってプラズマ反応によって分解処理された洗浄ガスを均一に分配することにより、真空ポンプ内の全領域にわたって工程副産物(例えば、SiO2パウダー)を容易に除去することができ、よって真空ポンプの洗浄効率を向上させることができる。
【0073】
一方、前記真空ポンプハウジング110のガス吸入口112には真空ポンプの吸入圧力を測定して前記制御器170に伝送する圧力センサー180が装着される。
【0074】
よって、前記制御器170は、圧力センサー180の測定信号に基づいて前記真空ポンプの吸入圧力を、真空ポンプハウジング110の内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に調節するために、前記インバーター140にモーター回転速度調節のための制御信号を印加するように構成される。
【0075】
すなわち、前記ブースターポンプ100及びドライポンプ200を含む真空ポンプの吸入圧力はモーター130の回転速度によって決定される。前記真空ポンプ洗浄工程中に制御器170からインバーター140にモーター回転速度制御信号を印加し、前記圧力センサー180の測定信号に基づいて真空ポンプの吸入圧力を、真空ポンプハウジング110の内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に調節するように、ブースターポンプ100のモーター制御用インバーター140及びドライポンプ200のモーター制御用インバーター(図示せず)にモーター回転速度調節のための制御信号を印加する。
【0076】
例えば、前記制御器170の電流指令によるインバーター140の制御によってモーター130を定格回転速度に調節することにより、半導体製造工程のために真空ポンプの吸入圧力を定格圧力に調節するが、真空ポンプを洗浄ガスで洗浄する工程では制御器170の電流指令によるインバーター140の制御によってモーター130を定格回転速度より低い速度に調節することにより、真空ポンプハウジング内の吸入圧力を、真空ポンプハウジング110の内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための圧力に高めるように調節することができる。
【0077】
ここで、前記真空ポンプハウジング110内の圧力が定格圧力より低いほど洗浄ガスが吸入される局部領域がうまく洗浄される反面、局部領域の壁面が洗浄ガスの集中的な洗浄によってむしろ腐食されるおそれがあり、前記真空ポンプハウジング110内の圧力が定格圧力より高いほど洗浄ガスが真空ポンプハウジングの全体空間に均一に分散されて留まる時間が遅延されることがある。
【0078】
よって、前記制御器170は、圧力センサー180の測定信号に基づいて前記ブースターポンプ100及びドライポンプ200の吸入圧力を、真空ポンプハウジング110の内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に高めるように調節するために、前記ブースターポンプ100のモーター制御用インバーター140及び前記ドライポンプ200のモーター制御用インバーターにモーター回転速度調節のための制御信号を印加するように構成される。
【0079】
したがって、前記プラズマ装置150によって分解された洗浄ガスを真空ポンプハウジング110のフロント空間113とリア空間115に交互に供給した後、ドライポンプに流すとき、真空ポンプハウジング110の内部圧力を、洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に高めて調節することにより、洗浄ガスが留まる時間を延ばすことができ、よって洗浄ガスがSiO2パウダーなどと反応する時間を延ばしてSiO2パウダーの除去効率をより向上させることができる。
【0080】
一方、前記真空ポンプハウジング110のガス排出口114には、SiO2パウダーと反応したガスの副産物量を測定して前記制御器170に伝送するガス副産物検出器190がさらに装着される。
【0081】
好ましくは、前記ガス副産物検出器190は、
図2及び
図3に示したように、前記ドライポンプ200の出口管202の位置に、工程副産物と反応したガスの副産物量を測定して前記制御器170に伝送する副産物検出器190が装着されることが良い。その理由は、ブースターポンプ100だけでなくドライポンプ200内を通過しながら工程副産物と反応したガスの副産物量を測定することができるからである。
【0082】
例えば、前記ガス副産物検出器190は、SiO2パウダーと反応したガス(SiF4)の濃度乃至含量を測定する一種のガス濃度検出器として応用されることができる。
【0083】
よって、前記制御器170は、ガス副産物検出器190の検出信号に基づき、副産物量(例えば、SiO2パウダーと反応したガス(SiF4)の濃度)が臨界値未満であれば、前記プラズマ装置150の駆動を停止させるとともにモーター130の駆動を元の速度に復帰させる制御を行い、副産物量(例えば、SiO2パウダーと反応したガス(SiF4)の濃度)が臨界値以上であれば、プラズマ装置の駆動を維持させるとともにモーター130の回転速度調節を維持させる制御を行うように構成される。
【0084】
すなわち、前記制御器170は、ガス副産物検出器190の検出信号に基づき、副産物量(例えば、SiO2パウダーと反応したガス(SiF4)の濃度)が臨界値未満であれば、真空ポンプが所望の水準に洗浄されたと判断して洗浄ガス供給を中断させ、前記プラズマ装置150の駆動を停止させるとともにモーター130の駆動を元の速度に復帰させる制御を行う反面、副産物量(例えば、SiO2パウダーと反応したガス(SiF4)の濃度)が臨界値以上であれば、未だに真空ポンプが十分に洗浄されていないと判断してプラズマ装置の駆動を維持させるとともにモーター130の回転速度調節を維持させる制御を行う。
【0085】
ここで、前述した構成を有する本発明の排出流体処理システムの作動の流れを添付の
図2~
図5に基づいて説明すれば次のようである。
【0086】
まず、前記真空ポンプの洗浄工程のために、ガス供給源であるガスボックスからArガス及び/又はNF3ガスなどの洗浄ガスを真空ポンプハウジング110のガス吸入口112を通して真空ポンプハウジング110内に供給する(S101)。
【0087】
ついで、前記洗浄ガスをガス吸入口112を通して、真空ポンプハウジング110のメインローター122が存在するフロント空間113を経由させた後、第1連結配管152を通してプラズマ装置150に供給する(S102)。
【0088】
すると、前記プラズマ装置150のプラズマ放電によって前記洗浄ガスであるArガス及びNF3ガスがArガスとN2ガスとF2ガスに分解されるか(ここで、Arガスはプラズマ効率を高めるために使われる)、前記洗浄ガスがNF3ガス単独の場合には、N2ガスとF2ガスに分解される(S103)。
【0089】
ここで、前記制御器170の制御によって前記バイパス管160の開閉バルブ162を所定の周期で開閉する。
【0090】
したがって、前記開閉バルブ162がオープンした場合(S104)、プラズマ装置150によって分解された洗浄ガスがバイパス管160を通して真空ポンプハウジング110のガス吸入口112を通過した後、真空ポンプハウジング110のメインローター122が存在するフロント空間113に流入し、フロント空間113内の工程副産物(例えば、SiO2パウダー)と反応する(S106)。
【0091】
また、前記分解された洗浄ガスが工程副産物(例えば、SiO2パウダー)と反応してSiF4ガスとNxOガスとN2ガスなどに転換され、プラズマ装置150と第2連結配管154とリア空間115を経てガス排出口114を通してドライポンプ200に排出される。
【0092】
一方、前記開閉バルブ162がクローズした場合(S104)、プラズマ装置150によって分解された洗浄ガスが真空ポンプハウジング110の補助ローター124が存在するリア空間115に流入してリア空間115内の工程副産物(例えば、SiO2パウダー)と反応し(S107)、分解された洗浄ガスが工程副産物(例えば、SiO2パウダー)と反応してSiF4ガスとNxOガスとN2ガスなどに転換され、ガス排出口114を通してドライポンプ200に排出される。
【0093】
ここで、前記分解された洗浄ガスがフロント空間113又はリア空間115に供給される前に又は供給されているうちに、前記制御器170で圧力センサー180の測定信号に基づいてモーター130の速度を制御して真空ポンプの吸入圧力を設定圧力に高めるように調節する段階をさらに遂行することができる(S105)。
【0094】
例えば、前記制御器170の電流指令によるインバーター140の制御によってブースターポンプのモーター130を定格回転速度に調節することにより、半導体製造工程のために真空ポンプの吸入圧力を定格圧力に調節するが、真空ポンプを洗浄ガスで洗浄する工程では、前記S105段階によって制御器170の電流指令によるインバーター140の制御によってモーター130を定格回転速度より低い速度に減速調節することにより、真空ポンプの吸入圧力を、真空ポンプハウジング110の内部に洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に高めるように調節することができる。
【0095】
また、前記制御器170の電流指令によるドライポンプのモーター制御用インバーターの制御によってドライポンプのモーター(図示せず)も定格回転速度より低い速度に調節することにより、ドライポンプ用ハウジングの内部圧力を、洗浄ガスが留まる時間を遅延させるための設定圧力に高めるように調節することができる。
【0096】
したがって、前記プラズマ装置150によって分解された洗浄ガスがブースターポンプ100の真空ポンプハウジング110のフロント空間113とリア空間115に交互に供給されるとき、その留まる時間を延ばすことができ、よって洗浄ガスが工程副産物(例えば、SiO2パウダー)などと反応する時間を延ばしてブースターポンプ100内の工程副産物(例えば、SiO2パウダー)の除去効率を一層向上させることができる。
【0097】
また、前記プラズマ装置150によって分解された洗浄ガスが真空ポンプハウジング110のフロント空間113とリア空間115に交互に供給された後、ガス排出口114を通してドライポンプ200に排出されるとともにドライポンプ内に留まる時間が遅延されながらSiO2パウダーなどのような工程副産物と反応してドライポンプ200内の工程副産物の除去効率も向上させることができる。
【0098】
一方、前記ドライポンプ200の出口管202に装着されたガス副産物検出器190は工程副産物(例えば、SiO2パウダー)と反応した洗浄ガスの工程副産物量を測定する(S108)。
【0099】
ついで、前記制御器170で、ガス副産物検出器190の検出信号に基づき、測定された工程副産物量(例えば、SiO2パウダーと反応したガス(SiF4)の濃度)と臨界値を比較する(S109)。
【0100】
比較の結果、前記工程副産物量(例えば、SiO2パウダーと反応したガス(SiF4)の濃度)が臨界値以上であれば未だに真空ポンプが十分に洗浄されていないと判断し、制御器170でプラズマ装置150の駆動を維持させるとともにモーター130の回転速度調節を維持する制御を行う(S110)。
【0101】
一方、前記工程副産物量(例えば、SiO2パウダーと反応したガス(SiF4)の濃度)が臨界値未満であれば真空ポンプが所定水準に洗浄されたと判断し、制御器170で洗浄ガス供給を中断させ、前記プラズマ装置150の駆動を停止させるとともにモーター130の駆動を元の速度に復帰させる制御を行う(S111)。
【0102】
したがって、プラズマ装置によって分解された洗浄ガスがSiO2パウダーなどのような工程副産物と反応してからガス排出口114を通して排出されるとき、排出されるガスに含まれた副産物程度をガス副産物検出器190で測定し、副産物が臨界値以上であればプラズマ装置及びモーターの駆動を維持してプラズマ反応によって分解処理された洗浄ガスを続けて真空ポンプ内の工程副産物と反応させることにより、真空ポンプがいつもきれいな洗浄されることを保障することができる。
【0103】
さらに、プラズマ放電によって分解された洗浄ガスがブースターポンプ100の真空ポンプハウジング110のガス排出口114を通してドライポンプ200にずっと流れることにより、ドライポンプ内に存在する工程副産物(例えば、SiO2)とも反応し、ドライポンプ200内のSiO2パウダーのような工程副産物も容易に除去することができる。
【0104】
以上で説明したように、前記ブースターポンプ100とドライポンプ200を含む真空ポンプ内の全領域にわたってプラズマ反応によって分解処理された洗浄ガスを均一に分配することにより、真空ポンプ内の全領域にわたって工程副産物を容易に除去することができ、よって真空ポンプの洗浄効率を向上させることができる。
【0105】
一方、前述したプラズマ装置150と前記真空ポンプハウジング110を連結する第1連結配管152及び第2連結配管154が外部に露出され、また前記バイパス管160も外部に露出されることにより、ポンプの全体外観の大きさが増大するとともに外観構造が複雑になり、また周辺部品との干渉の発生するおそれがある。
【0106】
これを解消するために、前記真空ポンプハウジング110にプラズマ装置150を一体化させるために、
図7に示したように、前記真空ポンプハウジング110にプラズマ装置内に形成されるバイパス管との連結のためのバイパス管連結ホール(孔)161が直接形成され、また前記プラズマ装置150にガス循環可能に連結されるフロント空間連結通路117及びリア空間連結通路118が直接形成されることができる。
【0107】
また、
図8及び
図9に示したように、前記プラズマ装置150内に前記バイパス管連結ホール161と連通するバイパス管160が直接形成されることができる。
【0108】
したがって、前述したプラズマ装置150と前記真空ポンプハウジング110を連結する第1連結配管152及び第2連結配管154を無くすことができ、また前記バイパス管160もプラズマ装置150内に形成されて外部に露出されないことにより、ポンプの全体外観の大きさを減らすとともに外観構造を単純化することができ、また周辺部品との干渉が発生するおそれを無くすことができる。
【符号の説明】
【0109】
100 ブースターポンプ
110 真空ポンプハウジング
112 ガス吸入口
113 フロント空間
114 ガス排出口
115 リア空間
116 隔壁
117 フロント空間連結通路
118 リア空間連結通路
120 回転軸
122 メインローター
124 補助ローター
130 モーター
140 インバーター
150 プラズマ装置
152 第1連結配管
154 第2連結配管
160 バイパス管
161 バイパス管連結ホール(孔)
162 開閉バルブ
170 制御器
180 圧力センサー
190 ガス副産物検出器
200 ドライポンプ
202 出口管