(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】車両用モニタ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20230609BHJP
B60Q 3/74 20170101ALI20230609BHJP
B60Q 3/51 20170101ALI20230609BHJP
B60Q 3/64 20170101ALI20230609BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60Q3/74
B60Q3/51
B60Q3/64
(21)【出願番号】P 2021187839
(22)【出願日】2021-11-18
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2020202358
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】荒生 真吾
(72)【発明者】
【氏名】濱田 浩
(72)【発明者】
【氏名】熊木 優
(72)【発明者】
【氏名】牧野 俊介
(72)【発明者】
【氏名】村上 昇二
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英樹
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/189033(WO,A1)
【文献】特開2010-089595(JP,A)
【文献】特開2010-166515(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0040403(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10161476(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60Q 3/74
B60Q 3/51
B60Q 3/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車
両の天井
部に取り付けられる取付部と、
前記取付部に支持されるベース部を有するモニタ部と、
前記ベース部の周縁に沿って延設された導光体と、
前記ベース部と
車室内の天井面との間に介装されるスペーサと、を備え、
前記スペーサは、前記導光体によって包囲される領域の内側であり、かつ、前記取付部が設けられる領域以外に設けられ、前記ベース部の前記天井
部への取付時に、前記天井面から作用する圧縮力によって弾性変形可能な弾性体により構成され
、
前記ベース部は、前記天井面から一定距離離間して配置されることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用モニタ装置において、
前記スペーサは、前記導光体に沿って形成されるとともに、前記天井面と接触する上端面に、前記導光体の反対側に下り勾配で傾斜する傾斜部を有することを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用モニタ装置において、
前記ベース部は、上方に突設されたリブを有し、
前記スペーサは、前記リブに嵌合する嵌合部を有し、
前記嵌合部は、入口側の幅が前記リブの幅よりも短く、かつ、奥側の幅が前記入口側の幅よりも長くなるように略凹状に形成された凹状嵌合部を含むことを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用モニタ装置において、
前記リブは、平面視略十字状に形成された十字リブを含み、
前記嵌合部は、前記十字リブに嵌合するように略十字状に形成された十字嵌合部を含むことを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用モニタ装置において、
前記ベース部を前記天井面に対して傾斜した状態で保持する傾斜保持部をさらに備えることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用モニタ装置において、
前記天井
部に設けられたフレームの長孔に挿入されて取り付けられる取付部材と、
前記取付部材に前記取付部を固定する固定部材と、をさらに備え、
前記取付部材は、前記長孔に対するなす角度を、前記取付部材が前記長孔に挿入される第1角度から、前記取付部材の挿入後の前記取付部材の所定方向の回転を阻止する第2角度に変更可能に設けられることを特徴とする車両用モニタ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用モニタ装置において、
前記取付部は、前記固定部材に係合する係合部を有することを特徴とする車両用モニタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内の天井面に取り付けられる車両用モニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、車内の照明装置としての機能を有するモニタ装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、略矩形状のベース部材の周縁部に導光体が配置されるとともに、ベース部材は、導光体を支持するホルダの壁部の上端が天井面に当接された状態で支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、天井面は緩やかな曲面状に形成されることがあり、さらには、天井面の形状にはばらつきが生じることがある。このため、上記特許文献1記載の装置のように、ホルダの壁部の上端を天井面に当接するように構成したのでは、天井面への当接が不十分な箇所が生じるおそれがあり、導光体により均一に照らすことが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両用モニタ装置は、車両の天井部に取り付けられる取付部と、取付部に支持されるベース部を有するモニタ部と、ベース部の周縁に沿って延設された導光体と、ベース部と車室内の天井面との間に介装されるスペーサと、を備える。スペーサは、導光体によって包囲される領域の内側であり、かつ、取付部が設けられる領域以外に設けられ、ベース部の天井部への取付時に、天井面から作用する圧縮力によって弾性変形可能な弾性体により構成され、ベース部は、天井面から一定距離離間して配置される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スペーサを全周にわたって隙間なく天井面に当接させることができ、導光体により均一に照らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置の分解斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置の取付状態を示す斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置を構成するモニタ本体の平面図。
【
図4】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置を構成するスペーサの平面図。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置を構成するモニタ本体の要部構成を示す斜視図。
【
図6】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置を構成するモニタ本体のさらなる構成を示す平面図。
【
図11】本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置100が取り付けられるフレームの一部を拡大して示す斜視図。
【
図12】
図11のフレームに取り付けられたスタッドボルトの斜視図。
【
図14】フレームに取り付けられたスタッドボルトを傾斜させた状態を示す図。
【
図15A】
図12の変形例であるサブブラケットの全体構成を示す斜視図。
【
図15B】
図12の変形例であるサブブラケットの全体構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図18Fを参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置は、車内の天井面の車幅方向中央部に取り付けられ、後席の乗員に対し各種の画像を提供するように構成される。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用モニタ装置100の分解斜視図であり、
図2は、車両用モニタ装置100の取付状態を示す斜視図である。以下では、便宜上、車両用モニタ装置100の取付状態を基準として、図示のように前後方向(長さ方向)、左右方向(幅方向)および上下方向(高さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
図1,2は、車両用モニタ装置100を右斜め後方かつ上方から見た図である。
【0010】
図2に示すように、車両の天井部1は、車両の外面を覆うように延設された平面視略矩形状の金属製の薄板のルーフパネル4と、ルーフパネル4に対向して車室内に面して延設されたルーフライニング5とを有する。ルーフライニング5は樹脂等を構成材とした内装材であり、カッター等の工具を用いて車室内側から所定形状の孔空け加工を容易に行うことができる。ルーフパネル4とルーフライニング5との間には、前後一対のフレーム2が、前後方向に互いに所定距離隔てた状態で左右方向に架設される。なお、以下では、前側のフレーム2を前フレーム2A、後側のフレーム2を後フレーム2Bと呼ぶこともある。
【0011】
フレーム2は、図示しないセンターピラーの上端部近傍における天井部1の右端部から左端部にかけてアーチ状に架設される強度部材であり、ルーフパネル4と一体に設けられる。なお、
図1,
図2では、便宜上、天井部1を透過した状態でフレーム2等の構成を示す。
【0012】
図1,2に示すように、車両用モニタ装置100は、車両の天井部1のフレーム2に取り付けられるブラケット10と、ブラケット10に取り付けられるモニタ本体20と、天井部1(ルーフライニング5)とモニタ本体20との間に介装されるスペーサ30とを有する。
図2に示すように、ルーフライニング5には、ブラケット10の外形形状とほぼ同形状の開口部5aが開口され、開口部5aを介して車室内側からブラケット10がフレーム2に取り付けられる。
【0013】
図1に示すように、前フレーム2Aの左右方向中央部には、ブラケット10の取付用の開口部200が設けられる。なお、開口部200を、モニタ本体20に接続されたケーブルやハーネス等を前フレーム2Aの上方に導くために用いることもできる。
【0014】
ブラケット10は、略水平方向に延在する金属製の板部材により構成される。ブラケット10の前端部にはステイ11が設けられる。ステイ11には、左右一対の貫通孔11aが開口され、貫通孔11aを通過したねじ12がフレーム2(前フレーム2A)に設けられたねじ孔201に螺合することで、ステイ11がフレーム2に固定される。なお、ブラケット10の後端部には、ブラケット10を後フレーム2Bに固定するためのステイ13が左右方向4箇所に設けられる。ブラケット10の中央部には、平面視略矩形の開口部14が設けられる。開口部14の左右両側には、それぞれ3箇所にねじ孔15が設けられる。ブラケット10の左右側端部には、それぞれ上方に屈曲された屈曲部16が設けられる。
【0015】
モニタ本体20は、平面視略矩形のベース部21と、ベース部21の前端部に、左右方向に延在するヒンジ(
図5参照)を支点にして前後方向に回動可能に支持されたモニタ22とを有する。ベース部21は、樹脂材等により構成された筐体を有し、筐体内に各種電気部品が配置される。ベース部21は、ブラケット10よりも左右方向に幅広に形成される。
【0016】
図3は、モニタ本体20の外観形状、特にベース部21の上面の構成を示す平面図(上方から見た図)である。
図1,3に示すように、ベース部21の周縁部には、ベース部21の一部である矩形枠形状の導光パネル23が装着され、導光パネル23の内周縁に沿ってスペーサ30の取付部20aが設けられる。ベース部21には、ブラケット10のねじ孔15に対応して上下方向に貫通する貫通孔24が開口され、貫通孔24を貫通したねじ25がねじ孔15に螺合することで、モニタ本体20がブラケット10に固定される。
【0017】
図4は、スペーサ30の平面図(上方から見た図)である。スペーサ30は、弾力性を有するゴム材等により構成される。
図1,4に示すように、スペーサ30は、左右方向に延在する前後一対の横長部30aと、前後方向に延在する左右一対の縦長部30bとを有し、全体が矩形枠形状を呈する。後方の横長部30aの左右方向中央部には、前方に突出する平板部35が横長部30aと一体に設けられる。平板部35には、シリアルナンバー等を刻印することができる。スペーサ30は、モニタ本体20よりも前後方向および左右方向の長さ(全長)が短い。このため、平面視でモニタ本体20から外側に突出することなく、モニタ本体20の上面に設けられた取付部20aに取り付けられる。
【0018】
図5は、スペーサ30が取り付けられた状態のモニタ本体20の要部構成を示す斜視図である。
図5に示すように、ベース部21の上面には、上方かつ前方に向けて突設された左右一対のフック26が固定される。フック26は、ブラケット10の屈曲部16(
図1)の位置に対応して設けられる。これにより、ブラケット10をフレーム2に固定した後、モニタ本体20をブラケット10に固定する前に、フック26を屈曲部16に係合してモニタ本体20を天井部1から吊持することができる。すなわち、モニタ本体20を仮保持することができる。これにより、モニタ本体20の取付作業が容易になる。
【0019】
図6は、スペーサ30が取り付けられた状態における、モニタ本体20(ベース部21)のさらなる構成を示す平面図である。なお、ベース部21の上面は左右対称に構成されるが、
図6には、ベース部21の左右方向の中心線CLよりも右側に、導光パネル23を取り除いた状態を示す。
【0020】
図6に示すように、ベース部21の上面には、その周縁に沿って凹部21aが設けられ、前端かつ右端部および前端かつ左端部の凹部21aに、それぞれ光源27が配置される。光源27は、例えばRGBそれぞれの色を発光可能なLEDにより構成される。左右の光源27には、ベース部21の左右両縁部と後縁部とに沿って配置された平面視略U字状の導光チューブ28の両端がそれぞれ接続され、導光チューブ28の上方が導光チューブ28の全域にわたって導光パネル23により覆われる。モニタ本体20が天井部1に取り付けられた状態で、光源27を点灯すると、
図5に示すように、モニタ本体20の周囲三方の領域AR(点線の内側領域)が照らされる。これにより、車両用モニタ装置100を、車室内の間接照明としての照明装置として用いることができる。
【0021】
図7は、ベース部21の周縁部の構成を示す断面図(
図5のVII-VII線に沿った断面図)である。
図7には、車室内に面した天井部1の表面、すなわちルーフライニング5の下端面が示される。
図7に示すように、ベース部21の周縁部には導光パネル23が取り付けられ、導光パネル23に面して、ベース部21の凹部21aに導光チューブ28が配置される。導光パネル23の内周縁部(
図7では前端部)は、導光チューブ28よりも内側に延在し、その内周縁部の上面23aの取付部20aにスペーサ30が取り付けられる。
【0022】
図8は、スペーサ30の取付部20aの構成を示す
図7の要部拡大図である。
図8に示すように、導光パネル23の内周縁部の上面23aには、内周縁部の全周にわたって凹部231が設けられ、さらに凹部の内側(
図8では前側)に、上面23aよりも上方に突出した突起部232が、内周縁部の全周にわたって設けられる。すなわち、取付部20a(
図3)は、凹部231と突起部232とを有する。突起部232は、断面略矩形状を呈し、上下方向にわたって厚さ(
図8では前後方向の長さ)が一定である。
【0023】
スペーサ30は、基部31と、基部31から上方に突出した突出部32とを有する。基部31の厚さ(
図8では前後方向の長さ)は突出部32の厚さよりも厚い。より詳しくは、基部31の外周面(
図8では後端面)は突出部32の外周面と略同一面状に位置するのに対し、基部31の内周面は突出部32の内周面よりも内側(
図8では前側)に位置する。基部31の下端面は、導光パネル23の上面23aの凹凸形状に対応して凹凸状に形成される。すなわち、基部31の下端面は、導光パネル23の凹部231に嵌合する凸部311と、導光パネル23の突起部232に嵌合する凹部312とを全周にわたって有する。
【0024】
凸部311は、凹部231と同様、断面略矩形状を呈する。一方、凹部312は、
図8に点線で示すように、入口側(下端側)の幅T1が奥側(上端側)の幅T2よりも短い。すなわち、奥側の幅T2は突起部232の厚さと同一(例えば2mm)であるのに対し、入口側の幅T1は、突起部232の厚さよりも短い(例えば1.5mm)。このため、凹部312を外側に広げながら凹部312が突起部232に嵌合される。
【0025】
この嵌合状態では、突起部232の基端部に対し、スペーサ30から最大の挟み込み力が作用する。このように、凹部312が突起部232を咥え込むようにスペーサ30を形成することで、スペーサ30の剛性を高めることができる。すなわち、スペーサ30は、矩形枠状に構成されるため、外周面から内周面までの長さ(厚さ)が薄く、剛性が低くなりやすいが、突起部232を咥え込むようにスペーサ30を形成、すなわちスペーサ30を咥え込み形状とすることで、十分な剛性を発揮できる。
【0026】
なお、凹部312の外周面(
図8では後端面)は、突出部32の内周面(
図8では前端面)の下方への延長線状にほぼ位置する。このため、凹部312を突起部232に嵌合する際に、凹部312の幅(前後方向長さ)を容易に拡大することができ、嵌合が容易である。
【0027】
突出部32は、断面略矩形状に形成されるとともに、その上端面323は、テーパ状に形成される。より詳しくは、突出部32の外周面側の上端324は、内周面側の上端325よりも所定長さ(例えば2mm程度)だけ上方に位置し、上端面323は、外周面側から内周面側にかけて下り勾配で傾斜して構成される。すなわち、上端面323は所定の傾斜角でテーパ状に構成され、上端面323の全体にわたってテーパ部323aが設けられる。このため、モニタ本体20をブラケット10に取り付ける際には、まず、スペーサ30の外周面側の上端324がルーフライニング5の下面に当接する。
【0028】
ルーフライニング5の下面の形状には、車種や車両毎に多少のばらつきがある。さらに、ルーフライニング5の下面は湾曲して形成されることもある。本実施形態では、スペーサ30の上端面323が傾斜して形成されるため、スペーサ30の上端部は容易に弾性変形可能である。このため、モニタ本体20の取付時にスペーサ30の上端324がルーフライニング5に当接すると、スペーサ30の上端部が、上方からの押圧力Fにより例えば
図7に示すように押し潰される。これにより、スペーサ30をルーフライニング5の下面に全周にわたって隙間なく当接することができる。すなわち、
図7に示す導光パネル23の上面23aからルーフライニング5の下面までの距離Lのばらつきを、スペーサ30の弾性変形により容易に吸収することができる。
【0029】
また、スペーサ30の弾性変形によりスペーサ30とルーフライニング5との間の隙間が全周にわたって塞がれた上で、導光パネル23の上面23aからルーフライニング5の下面までの距離Lをほぼ一定に保つことができる。これにより、導光パネル23の上方が全周にわたって均一に照らされ、車室内の良好な照明効果が得られる。
【0030】
図9は、導光パネル23の後端かつ左右方向中央部におけるスペーサ30の取付部20aの構成を拡大して示す斜視図(
図3のIX部の拡大斜視図)であり、取付部20aを斜め上方から見た図である。
図9に示すように、導光パネル23の上面23aには、左右方向に延在する突起部232に交差するように前方および後方にそれぞれ所定長さのリブ233が突設される。すなわち、取付部20aには、突起部232とリブ233とにより平面視略十字状の十字リブ234が形成される。
【0031】
図10は、スペーサ30の横長部30aに設けられた平板部35の周囲を拡大して示す斜視図(
図4のX部の拡大斜視図)であり、平板部35を斜め下方から見た図である。
図10に示すように、横長部30aの下面の左右方向中央部には、左右方向に延在する凹部312と交差するように前後方向に凹部326が設けられる。すなわち、横長部30aには、凹部312と凹部326とにより、十字リブ234に対応した十字嵌合部327が設けられる。
【0032】
車両用モニタ装置100を天井部1に取り付ける際は、予めスペーサ30が導光パネル23の上面23aに取り付けられる。すなわち、スペーサ30の凹部312が突起部232に押し込まれて嵌合される。このとき、十字リブ234と十字嵌合部327とが同時に嵌合される。スペーサ30は前後方向に非対称な形状であるため、スペーサ30を前後方向に反対に取り付けることを防止できる。また、十字リブ234が十字嵌合部327に嵌合されるので、スペーサ30の位置合わせが容易であり、スペーサ30の位置ずれも防止することができる。
【0033】
スペーサ30が取り付けられたモニタ本体20は、
図1に示すように、ねじ25を介してブラケット10に固定される。例えばねじ12を介してブラケット10をフレーム2(前フレーム2A)に固定した後、そのブラケット10にモニタ本体20が固定される。本実施形態では、スペーサ30が矩形枠状に構成されるので、スペーサ30が軽量化されている。このため、スペーサ30が取り付けられたモニタ本体20もその分だけ軽量化されるので、モニタ本体20の取付が容易である。また、モニタ本体20の上面のフック26(
図3)を用いてモニタ本体20をブラケット10に仮保持できるので、モニタ本体20の取付が一層容易である。
【0034】
なお、車両用モニタ装置100を取り付ける際に、ブラケット10をフレーム2(前フレーム2A)に先に固定するのではなく、モニタ本体20をブラケット10に固定した後、モニタ本体20と一体にブラケット10をフレーム2に固定するようにしてもよい。すなわち、モニタ本体20と一体のブラケット10の前端部のステイ11と後端部のステイ13とを、それぞれ前フレーム2Aと後フレーム2Bとに固定するようにしてもよい。この場合、ブラケット10の取付の途中で、モニタ本体20の上面から突設されたフック26をフレーム2に引っ掛けて、車両用モニタ装置100全体を仮保持するようにしてもよい。
【0035】
車両用モニタ装置100の取付性とメンテナンス性とを考慮して、車両用モニタ装置100を傾斜状態で仮保持するようにしてもよい。例えばブラケット10の後端部のステイ13を介して車両用モニタ装置100を仮保持するようにしてもよい。以下、そのような構成の一例について説明する。
図11は、後フレーム2Bの一部を拡大して示す斜視図(斜め上方から見た図)である。
【0036】
図11に示すように、後フレーム2Bには、ブラケット10の後端部のステイ13に対応して複数のスロット孔210が開口される。スロット孔210には、後フレーム2Bに設けられた図示しない切り欠きを介して後フレーム2Bの上方(後フレーム2Bとルーフパネル4との間)に導かれたスタッドボルト220が挿入される。
図12は、スタッドボルト220の斜視図である。スタッドボルト220は、外周面にねじが形成された略円柱形状のねじ部221と、ねじ部221の上端部における頭部222とを有する。頭部222には、細長のプレート223が頭部222と一体に設けられる。
【0037】
ねじ部221の外径は、スロット孔210の幅よりも小さい。一方、プレート223の幅はスロット孔210の幅(前後方向長さ)よりも小さく、プレート223の長さはスロット孔210の長さ(左右方向長さ)よりも長い。このため、プレート223を傾けながら下方からスロット孔210にスタッドボルト220を挿入可能である。スタッドボルト220をスロット孔210に挿入すると、スタッドボルト220はスロット孔210を通過して落下することなく、スロット孔210に沿って移動可能である。
【0038】
図13は、
図11のA-A線に沿った断面図であり、ブラケット10の後端部のステイ13が後フレーム2Bに固定された状態を示す。
図13に示すように、ステイ13を貫通したスタッドボルト220のねじ部221には、下方からナット230が螺合され、これによりステイ13が後フレーム2Bに固定される。車両用モニタ装置100を傾斜状態で保持する場合には、ブラケット10の前端部のステイ11のねじ12(
図1)を取り外し、ブラケット10を、ステイ13を介してフレーム2に片持ち状態で支持する。
【0039】
さらに、スタッドボルト220がステイ13とともに後フレーム2Bに対し移動可能となるようにナット230を緩める。これにより、例えば
図14に示すように、スタッドボルト220をブラケット10(
図14では不図示)とともに傾斜させることができ、車両用モニタ装置100のメンテナンス等を行うことが可能である。この場合、スペーサ30は車両用モニタ装置100の周縁部に設けられるだけであり、車両用モニタ装置100の上面の大部分は露出しているので、メンテナンスが容易である。
【0040】
スタッドボルト220のプレート223を傾けずにプレート223をフレーム2の下方からスロット孔210に挿入可能となるように、スロット孔210をプレート223よりも一回り大きく形成してもよい。この場合、スタッドボルト220をステイ13に取り付けてナット230を緩めた状態で、プレート223を下方からスロット孔210に挿入する。その後、プレート223を90°回転させて、後フレーム2B上にプレート223を載置することでプレート223の落下を防止し、これによりスタッドボルト220を介してブラケット10を後フレーム2Bに仮保持すればよい。そして、ブラケット10を仮保持した状態で、ねじ12を介して前側のステイ11を前フレーム2Aに固定し、さらにプレート223が90°回転したままの状態で、ナット230を締結して後側のステイ13を後フレーム2Bに固定すればよい。これにより、ブラケット10の取付が容易になる。この手法では、予めブラケット10にモニタ本体20を組み付けた状態で、ブラケット10をフレーム2に取り付けることができる。このため、車両用モニタ装置100の取付が容易である。
【0041】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両用モニタ装置100は、車室内の天井部1に取り付けられるブラケット10と、ブラケット10に支持されるベース部21を有するモニタ本体20と、ベース部21の周縁に沿って延設された導光チューブ28と、ベース部21と天井部1(ルーフライニング5)との間に介装されるスペーサ30と、を備える(
図1,
図6)。スペーサ30は、導光チューブ28によって包囲される領域の内側であり、かつ、ブラケット10が設けられる領域以外に設けられた取付部20aに配置される(
図1,
図5)。スペーサ30は、ベース部21の天井部1への取付時に、天井部1(ルーフライニング5)から作用する圧縮力によって弾性変形可能な弾性体により構成される(
図7)。
【0042】
この構成により、天井面の形状や天井面の形状のばらつき等に拘わらず、導光チューブ28の内側領域に配置されたスペーサ30を、天井部1に全周にわたって隙間なく当接させることができる。これにより、車両用モニタ装置100の取付状態における見栄えが良好となる。また、スペーサ30により、ルーフライニング5から導光パネル23までの距離L(
図7)を管理できるので、光源27を点灯させた際に、モニタ本体20の周縁部を周方向均一に照明させることができ、車両用モニタ装置100を照明装置として良好に機能させることができる。さらに、スペーサ30を軽量化することができ、モニタ本体20の取付が容易である。
【0043】
(2)スペーサ30は、導光チューブ28に沿って形成されるとともに、天井部1と接触する上端面323に、導光チューブ28の反対側(ベース部21の中央側)に下り勾配で傾斜するテーパ部323aを有する(
図8)。これにより、スペーサ30の上端部を容易に変形させることができる。テーパ部323aはスペーサ30の内周面側に設けられているため、外部から見えず、見栄えがよい。
【0044】
(3)ベース部21(導光パネル23)は、上方に突設された突起部232を有する(
図8)。スペーサ30は、突起部232に嵌合する凹部312を有し、凹部312は、入口側の幅T1が突起部232の幅よりも短く、かつ、奥側の幅T2が入口側の幅T1よりも長くなるように形成される(
図8)。これにより、スペーサ30を矩形枠状に構成して軽量化した場合であっても、上端部(突出部32側)を変形可能としながら、スペーサ30の基部31側の剛性を十分に高めることができ、天井部1に当接したスペーサ30を介して車両用モニタ装置100を安定的に支持できる。
【0045】
(4)突起部232は、平面視略十字状に形成された十字リブ234を含む(
図9)。凹部312は、十字リブ234に嵌合するように略十字状に形成された十字嵌合部327を含む(
図10)。これにより、取付部20aに対するスペーサ30の位置合わせが容易になるとともに、スペーサ30を前後方向に反対に取り付けることを防止できる。また、スペーサ30の取付後の位置ずれも防止できる。
【0046】
(5)車両用モニタ装置100は、スタッドボルト220を介してフレーム2に取り付けることができ、その場合には、ブラケット10を介してベース部21を天井部1に対して傾斜した状態で保持することができる(
図13、14)。モニタ本体20の上面に設けられたフック26を介して、ベース部21を傾斜状態に保持することもできる(
図5)。これにより、車両用モニタ装置100のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0047】
本実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態(
図11~
図14)では、スタッドボルト220を用いて後フレーム2Bにステイ13を固定するようにしたが、スタッドボルト220に代えて、廻り止め機能を有するサブブラケットを用いることもできる。
図15Aは、サブブラケット300の全体構成を示す斜視図であり、
図15Bは側面図である。
図16は、サブブラケット300の後フレーム2Bへの取付状態を示す斜視図(斜め下方から見た図)であり、
図17は、断面図である。なお、
図15A,
図15Bでは、
図16に対応してサブブラケット300の前後方向、左右方向および上下方向を示す。
【0048】
図15A,
図15Bに示すように、サブブラケット300は、平板を略L字状に折り曲げて形成され、略水平に延在する略矩形状の横板部301と、横板部301の端部(図では左端部)から下方に延在する略矩形状の縦板部302とを有する。横板部301の上面の中央部には、ナット303が接合される。横板部301には、ナット303のねじ孔303aに沿って貫通孔301aが開口される。
【0049】
図16に示すように、横板部301の前後方向長さは、スロット孔210の前後方向長さよりも長く、横板部301は、スロット孔210と交差するようにスロット孔210の上方に配置される。縦板部302の前後方向長さ、特に縦板部302の上端部における前後方向長さは、スロット孔210の前後方向長さと等しく、あるいはスロット孔210の前後方向長さよりもやや短い。このため、横板部301の下方から、貫通孔301a(
図15B)を介してナット303のねじ孔303a(
図15B)にボルト310が螺合された際、縦板部302の側面302aがスロット孔210の縁部に当接して、サブブラケット300の所定方向(
図18Fの矢印方向)の回転が阻止される。横板部301の前後方向長さは、スロット孔210の左右方向長さよりも短い。このため、横板部301を、
図16の状態から90°回転させた状態で、後フレーム2Bの下方から後フレーム2Bの上方に、スロット孔210を貫通して横板部301を導くことができる。
【0050】
図17に示すように、後フレーム2Bの底面とボルト310の頭部310aとの間にブラケット10の後端部のステイ13(
図1)が挟まれ、これによりステイ13が固定される。より詳しくは、ステイ13の後端部には、ステイ13の後端面から前方にかけて所定長さの切り欠き13aが設けられる。このため、ステイ13の後端部は略U字状に形成される。
図16に示すように、ボルト310を緩めてナット303に係止した状態で、後フレーム2Bの底面とボルト310の頭部310aとの間に、ステイ13を前方から差し込むことで、ステイ13の切り欠き13aにボルト310が挿入される。
【0051】
切り欠き13aの幅はボルト310の直径とほぼ等しい。このため、切り欠き13aの縁部がボルト310の外周面に当接し、ステイ13が位置決めされる。この状態で、ボルト310の頭部310aを、工具を介して回転させることで、
図17に示すように、ステイ13が固定される。このとき、
図16に示すように、縦板部302の側面302aがスロット孔210の縁部に当接して、サブブラケット300の回転が阻止される。このため、サブブラケット300を所定位置かつ所定姿勢に保ったまま、ボルト310をナット303に容易に螺合することができる。
【0052】
図18A~
図18Fは、サブブラケット300の取付手順(第1手順~第6手順)を示す図である。特に、前半の取付手順(第1手順~第3手順)は、
図18A~
図18Cにより側面図で、後半の取付手順(第4手順~第6手順)は、
図18D~
図18Fにより平面図でそれぞれ示す。
【0053】
図18Aに示すように、まず、横板部301の長手方向(
図16の前後方向)をスロット孔210の長手方向(
図16の左右方向)に一致させた状態で、サブブラケット300を斜めにして横板部301の先端をスロット孔210に挿入する(第1手順)。次いで、
図18Bに示すように、ナット303がスロット孔210を通過した後、矢印で示すように横板部301を前方に回転させる(第2手順)。そして、
図18Cに示すように、横板部301を後フレーム2Bの上面に載置する(第3手順)。このときのスロット孔210に対するサブブラケット300の角度(平面視での角度)は、0°である。すなわち、スロット孔210の延在する方向と縦板部302の延在する方向とは一致しており(
図18Dの一点鎖線)、この状態を0°とする。
【0054】
次いで、
図18D、
図18Eに示すように、サブブラケット300を矢印方向に回転する(第4手順、第5手順)。
図18Fに示すように、スロット孔210に対するサブブラケット300の角度が90°になると、すなわちサブブラケット300の回転角が90°になると、縦板部302の側面302aがスロット孔210の縁部に接触し、サブブラケット300の回転が阻止される(第6手順)。以上で、サブブラケット300の取付が完了する。
【0055】
以上の変形例に係る車両用モニタ装置100は、天井面に設けられた後フレーム2Bのスロット孔210に挿入されて取り付けられるサブブラケット300(取付部材)と、サブブラケット300にブラケット10を固定するボルト310(固定部材)と、を有する(
図15A~
図17)。サブブラケット300は、スロット孔210に対するなす角度を、サブブラケット300がスロット孔210に挿入される第1角度(0°)から、サブブラケット300の挿入後のサブブラケット300の所定方向の回転を阻止する第2角度(90°)に変更可能に設けられる(
図18A,
図18F)。
【0056】
このように廻り止め機能を有するサブブラケット300を用いることで、ステイ13の固定が容易であり、ブラケット10を介してモニタ本体20を車両の天井面に容易に取り付けることができる。サブブラケット300の取付時におけるサブブラケット300と後フレーム2Bとの接触面積は小さいため、サブブラケット300を、後フレーム2Bに設けられたリブや壁部等に干渉することなく、スロット孔210を基準とした所定位置に精度よく取り付けることができる。したがって、ブラケット10を、ボルト310を介した所定の締結力で天井面に安定して保持できる。
【0057】
また、ブラケット10のステイ13の後端部に切り欠き13a(係合部)を設け、切り欠き13aにボルト310が挿入された後、ボルト310がナット303に締結されるので(
図17)、ブラケット10の位置を精度よく規定することができる。なお、取付部としてのブラケット10を固定部材に係合する係合部の構成は、切り欠き13aに限らない。
【0058】
上記実施形態では、ブラケット10を、車室内の天井面における前後一対のフレーム2A,2Bに取り付けるようにしたが、単一のフレームにブラケットを取り付けるようにしてもよく、取付部としてのブラケットの構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、ブラケット10にモニタ本体20のベース部21が支持されるようにしたが、ベース部を有するモニタ部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、ベース部21の周縁に沿って平面視略U字状の導光チューブ28を配置したが、ベース部の周縁に沿って延設されるのであれば、導光体の構成はいかなるものでもよい。
【0059】
上記実施形態では、スペーサ30を略矩形枠形状に構成したが、ベース部と天井面との間に介装されるスペーサの構成は上述したものに限らない。すなわち、導光体によって包囲される領域の内側であり、かつ、ブラケット(取付部)が設けられる領域以外に設けられ、ブラケットを介したベース部の天井面への取付時に、天井面から作用する圧縮力によって弾性変形可能な弾性体により構成されるのであれば、スペーサの構成はいかなるものでもよい。上記実施形態では、スペーサ30の上端面323の全面にテーパ部323aを設けたが、上端面の一部にテーパ部を設けるようにしてもよく、傾斜部の構成は上述したものに限らない。
【0060】
上記実施形態では、ベース部21の一部である導光パネル23に、上方に突出する突起部232(リブ)を設けるとともに、スペーサ30に、突起部232に嵌合する略凹状の凹部312(嵌合部、特に凹状嵌合部)を設け、凹部312の入口側の幅が突起部232の幅よりも短く、かつ、奥側の幅が入口側の幅よりも長くなるように構成したが、嵌合部の構成はこれに限らない。上記実施形態では、スタッドボルト220を介して、あるいはフック26を介してベース部21を天井面に対し傾斜した状態で仮保持するようにしたが、傾斜保持部の構成はこれに限らない。
【0061】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 ブラケット、20 モニタ本体、21 ベース部、23 導光パネル、26 フック、28 導光チューブ、30 スペーサ、100 車両用モニタ装置、210 スロット孔、220 スタッドボルト、232 突起部、234 十字リブ、300 サブブラケット、310 ボルト、312 凹部、323 上端面、323a テーパ部、327 十字嵌合部