(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】決定装置、決定方法及び決定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20230609BHJP
G06Q 30/0201 20230101ALI20230609BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20230609BHJP
【FI】
G06Q30/0202
G06Q30/0201
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2021194084
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】505300841
【氏名又は名称】株式会社ZOZO
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 北都
(72)【発明者】
【氏名】島村 龍也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 竜馬
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110232582(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-2218287(KR,B1)
【文献】櫻井 大宙ほか,機械学習によるオートオークション落札価格の予測,SIG-BI 人工知能学会:経営課題にAIを!ビジネス・インフォマティクス研究会 第10回研究会 ,人工知能学会,2018年09月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
価格情報を少なくとも含む対象商品の新品情報と、
価格情報とコンディション情報とを少なくとも含む当該対象商品を過去に販売した中古品の中古品情報であって前記中古品の出品から販売までの期間の情報を含む中古品情報とを取得する取得部と、
商品の新品情報と中古品情報とを入力すると当該商品の中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を算出するための販売価格を出力するように学習されたモデルに、前記取得部により取得された新品情報と中古品情報と
を入力することで、前記中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を、当該コンディション毎に決定する決定部と、
を有することを特徴とする決定装置。
【請求項2】
前記中古品情報のうち、基準のコンディションとして予め定められた所定のコンディションと異なる一部のコンディションに応じた中古品情報が不足しているか否かを判定する判定部、
を更に有し、
前記決定部は、
前記判定部により、前記一部のコンディションに応じた中古品情報が不足していると判定された場合には、前記所定のコンディションに応じた中古品情報に基づいて、前記一部のコンディションの販売に関する推定価格を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の決定装置。
【請求項3】
前記決定部は、
基準のコンディションとして予め定められた所定のコンディションと異なる一部のコンディションの販売に関する推定価格が、当該一部のコンディションよりも上位のコンディションの販売に関する推定価格よりも高い場合には、当該所定のコンディションに応じた中古品情報に基づいて、当該一部のコンディションの販売に関する推定価格を決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の決定装置。
【請求項4】
前記決定部は、
前記中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を、前記コンディション毎の前記販売価格に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項
2又は3に記載の決定装置。
【請求項5】
前記決定部は、
前記中古品のコンディションの販売に関する推定価格を、当該コンディションの前記販売価格に、当該コンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで決定する
ことを特徴とする請求項
4に記載の決定装置。
【請求項6】
前記決定部は、
前記一部のコンディションの販売に関する推定価格を、前記所定のコンディションの前記販売価格に、前記一部のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで決定する
ことを特徴とする請求項
4に記載の決定装置。
【請求項7】
前記補正係数は、新品の販売開始時から最新の中古買い取り時までの期間が長くなるほど小さくなる
ことを特徴とする請求項
5又は
6に記載の決定装置。
【請求項8】
前記決定部は、
前記販売価格と前記補正係数とに基づく補正価格と、前記販売価格と特定係数とに基づく上限価格との比較に基づき、前記推定価格を決定する
ことを特徴とする請求項
5~
7のいずれか1項に記載の決定装置。
【請求項9】
前記特定係数は、商品のクラス毎に予め定められた係数である
ことを特徴とする請求項
8に記載の決定装置。
【請求項10】
基準のコンディションとして予め定められた所定のコンディションの販売に関する推定価格に基づく買い取り価格を、下取り価格として、ユーザに提供するとともに、前記中古品の販売者に対して、前記コンディション毎の販売に関する推定価格に基づく買い取り価格を、前記コンディション毎に提供する提供部
を更に有することを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の決定装置。
【請求項11】
コンピュータが実行する決定方法であって、
価格情報を少なくとも含む対象商品の新品情報と、
価格情報とコンディション情報とを少なくとも含む当該対象商品を過去に販売した中古品の中古品情報であって前記中古品の出品から販売までの期間の情報を含む中古品情報とを取得する取得工程と、
商品の新品情報と中古品情報とを入力すると当該商品の中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を算出するための販売価格を出力するように学習されたモデルに、前記取得工程により取得された新品情報と中古品情報と
を入力することで、前記中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を、当該コンディション毎に決定する決定工程と、
を含むことを特徴とする決定方法。
【請求項12】
価格情報を少なくとも含む対象商品の新品情報と、
価格情報とコンディション情報とを少なくとも含む当該対象商品を過去に販売した中古品の中古品情報であって前記中古品の出品から販売までの期間の情報を含む中古品情報とを取得する取得手順と、
商品の新品情報と中古品情報とを入力すると当該商品の中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を算出するための販売価格を出力するように学習されたモデルに、前記取得手順により取得された新品情報と中古品情報と
を入力することで、前記中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を、当該コンディション毎に決定する決定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決定装置、決定方法及び決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中古品の買い取りを支援する技術が知られている。例えば、商品の流通状況に基づいて、市場における需給バランスを算出し、過去に販売された同一商品の中古品の適正な販売価格を決定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、中古品の値付けにおいて、中古品の傷等の状態(コンディション)に応じて、販売に関する適正価格を適切に決定することはできなかった。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、中古品の値付けの精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る決定装置は、対象商品の新品情報と、当該対象商品を過去に販売した中古品の中古品情報とを取得する取得部と、前記取得部により取得された新品情報と中古品情報とに基づいて、前記中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を、当該コンディション毎に決定する決定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、中古品の値付けの精度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る決定システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る決定処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るユーザ端末の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る決定装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る記憶部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る記憶部の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、決定装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る決定装置、決定方法及び決定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る決定装置、決定方法及び決定プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
(実施形態)
〔1.決定システムの構成〕
図1に示す決定システム1について説明する。
図1に示すように、決定システム1は、ユーザ端末10と、決定装置100とが含まれる。ユーザ端末10と、決定装置100とは所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。
図1は、実施形態に係る決定システム1の構成例を示す図である。
【0011】
ユーザ端末10は、買い取りを依頼する手放す側のユーザによって利用される情報処理装置である。ユーザ端末10は、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような装置であってもよい。また、ユーザ端末10は、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型PCや、デスクトップPCや、携帯電話機や、PDA等の装置であってもよい。
図2では、ユーザ端末10がスマートフォンである場合を示す。
【0012】
ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンやタブレット等のスマートデバイスであり、3G~5G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。また、ユーザ端末10は、液晶ディスプレイ等の画面であって、タッチパネルの機能を有する画面を有し、ユーザから指やスタイラス等によりタップ操作、スライド操作、スクロール操作等、コンテンツ等の表示データに対する各種の操作を受付けてもよい。
図2では、ユーザ端末10はユーザU11によって利用される。
【0013】
決定装置100は、中古品の値付けの精度を向上させることを目的とした情報処理装置であり、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような装置であってもよい。決定装置100は、例えば、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。例えば、決定装置100は、中古品を買い取り販売する所定のサービスのサーバ装置やクラウドシステム等により実現される。
【0014】
〔2.決定処理の一例〕
図2は、実施形態に係る決定システム1の決定処理の一例を示す図である。以下実施形態では、買い取りを依頼する商品の一例として、古着を用いて説明する。
【0015】
まず、古着の値付けについて説明する。一般的に、古着の買い取りにおいて、古着として送られてくる服には値札タグが付属しないため、JANコードのような単品の特定が可能なコードが付属しない。また、品質表示タグに含まれるブランド独自の型番で検索することにより単品の特定が可能なものもあるが、中低価格帯の古着を一品一品確認及び検索するのは手間が掛かり、またコスト的にも現実的ではない場合がある。
【0016】
また、同型番の商品があることを考慮せずに、全ての商品を完全に単品として扱い、ブランドとカテゴリとコンディションの少なくともいずれかの組み合わせに基づく価格テーブルで値付けするのが一般的な古着の値付けの方法であるが、この方法では、例えば、型番単位での直近の販売実績や、価値の消耗等を価格に反映できず、値付けの精度が低くなる場合がある。
【0017】
なお、値付けの精度を向上させるために、所定の電子商店街での同一商品の新品の型番が予め定められており、型番に、中古品情報と新品情報とが紐づけて予め定めているものとする。
【0018】
以下実施形態では、買い取りを依頼するユーザU11が、古着P11の買い取りを依頼したものとして説明する。具体的には、ユーザU11による操作により、ユーザ端末10から決定装置100へ、古着P11の買い取りを依頼するための情報が送信されたものとして説明する。
【0019】
決定装置100は、ユーザ端末10から送信された、古着P11の買い取りを依頼するための情報を取得する(ステップS101)。そして、決定装置100は、古着P11の買い取りを依頼するための情報に基づいて、例えば、古着P11の買い取りが依頼された所定のサービスの事業者情報と、ユーザU11が同一商品の新品を購入した所定の電子商店街の事業者情報とを取得する。
【0020】
(購買履歴に基づく特定)
決定装置100は、取得した情報に基づいて、古着P11の買い取りが依頼された所定のサービスが、ユーザU11が同一商品の新品を購入した所定の電子商店街と所定の関係性(例えば、事業者が同一)を有するか否かを判定する。決定装置100は、古着P11の買い取りが依頼された所定のサービスが、ユーザU11が同一商品の新品を購入した所定の電子商店街と所定の関係性を有すると判定した場合には、所定の関係性を有すると判定した所定の電子商店街での購買履歴を取得し、取得した購買履歴に基づいて、所定の関係性を有すると判定した所定の電子商店街での、同一商品の新品の型番を特定する(ステップS102)。例えば、ユーザU11が、新品を購入した所定の電子商店街を介して古着P11の買い取りを依頼した場合である。
【0021】
(タグ情報に基づく特定)
また、決定装置100は、古着P11の買い取りが依頼された所定のサービスが、ユーザU11が同一商品の新品を購入した所定の電子商店街と所定の関係性を有さないと判定した場合には、例えば買い取りが依頼された所定のサービスの店舗等に送られた、古着P11に付属するタグ情報(例えば、品質表示タグに含まれるブランド独自の型番に関する情報)に基づいて、古着P11の買い取りが依頼された所定のサービスと所定の関係性を有する所定の電子商店街での、同一商品の新品の型番を特定する。例えば、古着P11が、買い取りが依頼された所定のサービスと所定の関係性を有さない所定の電子商店街で購入されたものである場合である。
【0022】
(モデルの生成)
決定装置100は、販売実績のある商品の新品情報と中古品情報とに基づいて、中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を算出するための基となる価格(販売価格)を、中古品のコンディション毎に出力するモデルを生成する(ステップS103)。例えば、決定装置100は、販売実績のある商品の新品情報と、前回販売時までの中古品情報とを説明変数とし、前回の販売価格を目的変数として、XGBoost(eXtreme Gradient Boosting)等に基づくモデルを生成する。ここで、新品情報は、例えば、古着P11と同一商品の新品の通常価格(新品販売時の初回定価)、販売開始時、ブランド、カテゴリ等の情報を含む。また、中古品情報は、例えば、同一商品を過去に販売した中古品の販売価格、販売時オフ率、販売価格増減、出品から販売までの期間(例えば、経過日数)、買い取り(下取り)価格、買い取り(下取り)年等の情報を含む。このうち、中古品情報は、出品から販売までの期間の情報を含むものとする。
【0023】
ここで、販売価格の裏返りが起こる場合がある。例えば、コンディションのランクに(S、A、B、C、D)があり、基準のコンディションがランク(B)のコンディションであるものとする。また、ランク(C)のコンディションの販売価格が、上位のランク(B)のコンディションの販売価格よりも高くなり裏返りが起こったものとする。この場合、決定装置100は、ランク(B)のコンディションの販売価格を正例としてモデルを学習させるが、実際は、ランク(B)のコンディションの販売価格が誤りである場合がある。このように、販売価格の裏返りが起こった場合、ランク(B)のコンディションの販売価格と、ランク(C)のコンディションの販売価格のどちらが本当は誤りか判断できないため、モデルの入力情報である中古品情報に、出品から販売までの期間の情報が含まれない場合には、このような販売価格の裏返りが起きた場合に、各コンディションの販売価格を、適正な販売価格に収束するように価格補正することができない。
【0024】
一方、モデルの入力情報である中古品情報に、出品から販売までの期間の情報が含まれる場合には、販売価格の裏返りが起きた場合に、出品から販売までに掛かる一方の期間が非常に短くなる(ランク(B)のほうが上位であるのに、販売価格が安いため直ぐに売れる)ため、ランク(B)のコンディションの販売価格が本当は誤りであったとしても、各コンディションの販売価格を、適正な販売価格に収束するように価格補正することができる。
【0025】
決定装置100は、購買履歴又はタグ情報に基づいて特定した、新品の型番に紐づけて予め定められた新品情報と中古品情報とを取得する(ステップS104)。
図2では、決定装置100は、所定の電子商店街Q11を管理する情報提供装置200から送信された、新品情報と中古品情報とを取得する。そして、決定装置100は、生成したモデルに、取得した新品情報と中古品情報とを入力することにより、中古品のコンディション毎の販売価格を算出する(ステップS105)。この際、モデルは、各コンディションの中古品情報に応じた各コンディションの販売価格を出力する。
【0026】
そして、決定装置100は、算出したコンディション毎の販売価格に、補正係数を掛け合わせることで、コンディション毎の販売に関する推定価格を算出する(ステップS106)。例えば、決定装置100は、各コンディションの販売価格に、同一の補正係数を掛け合わせることで、各コンディションの販売に関する推定価格を算出する。例えば、決定装置100は、ランク(A)のコンディションの販売価格に、全てのコンディションで同一の補正係数を掛け合わせることで、ランク(A)のコンディションの販売に関する推定価格を算出する。
【0027】
なお、例えば、コンディションのランクに(S、A、B、C、D)があり、このうち、一部のコンディションの中古品情報が不足している場合には、決定装置100は、基準のコンディションの中古品情報に基づいてモデルから出力された、基準のコンディションの販売価格に、中古品情報が不足している一部のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで、中古品情報が不足している一部のコンディションの販売に関する推定価格を算出する。例えば、基準のコンディションがランク(B)のコンディションであり、ランク(A)のコンディションの中古品情報が不足している場合には、決定装置100は、ランク(B)のコンディションの販売価格に、ランク(A)のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで、ランク(A)のコンディションの販売に関する推定価格を算出する。これにより、決定装置100は、中古品情報がコンディションによって不足している場合でも、適切な価格設定を可能とすることができる。
【0028】
また、例えば、一部のコンディションの販売に関する推定価格が、一部のコンディションよりも上位のコンディションの販売に関する推定価格よりも高くなり裏返りが起きた場合には、決定装置100は、基準のコンディションの中古品情報に基づいてモデルから出力された、基準のコンディションの販売価格に、裏返りが起きた一部のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで、裏返りが起きた一部のコンディションの販売に関する推定価格を算出する。例えば、コンディションのランクに(S、A、B、C、D)があり、基準のコンディションがランク(B)のコンディションであるものとする。そして、ランク(C)のコンディションの販売に関する推定価格が、上位のランク(B)のコンディションの販売に関する推定価格よりも高くなり裏返りが起きた場合には、決定装置100は、ランク(B)のコンディションの販売価格に、ランク(C)のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで、ランク(C)のコンディションの販売に関する推定価格を算出する。
【0029】
また、ランク(A)のコンディションの販売に関する推定価格が、下位のランク(B)のコンディションの販売に関する推定価格よりも低くなり裏返りが起きた場合には、決定装置100は、ランク(B)のコンディションの販売価格に、ランク(A)のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで、ランク(A)のコンディションの販売に関する推定価格を算出する。これにより、決定装置100は、モデルの学習において何らかの誤りがあり推定価格の裏返りが起こった場合には、価格補正を適切に行うことができる。
【0030】
以下、販売価格に掛け合わせる補正係数について説明する。補正係数は、新品の販売開始時から最新の中古買い取り時までに掛かる期間(例えば、経過日数)が長くなるほど小さくなるものとする。なお、補正係数は、期間が短くなるほど大きくなってもよいものとする。この場合、販売実績に応じて、中古品が直ぐに売れるほど補正係数が大きくなるため、算出される推定価格が大きくなり、中古品がプレミア品となる場合がある。また、期間に応じて補正係数が小さくなる又は大きくなる度合は、コンディション毎に異なってもよい。
【0031】
そして、決定装置100は、算出した推定価格を、コンディション毎の販売に関する推定価格として決定する(ステップS107)。このように、決定装置100は、新品情報と中古品情報とに基づいて、コンディション毎の販売に関する推定価格を決定する。これにより、決定装置100は、新品情報と中古品情報との両者に基づいて価格推定することができるため、精度の高い適切な価格設定を可能とすることができる。また、決定装置100は、コンディション毎に価格推定することができるため、適切な価格設定を可能とすることができる。
【0032】
また、上限価格が設定されてもよいものとする。ここで、販売価格に掛け合わせることで上限価格とするための係数を特定係数とする。特定係数は、例えば、商品のクラス(例えば、ブランドとカテゴリの組み合わせ)毎に予め定められているものとする。決定装置100は、販売価格に補正係数を掛け合わせた補正価格と、販売価格に特定係数とを掛け合わせた上限価格とを比較して、補正価格が上限価格を上回った場合には、上限価格を推定価格としてもよい。これにより、決定装置100は、中古品がプレミア品となり、新品の定価から大きく乖離しないように、価格設定の最適化を図ることができる。また、決定装置100は、商品のクラス毎に予め定められた特定係数を用いることで、商品のクラス毎に応じた上限価格を設定することができる。
【0033】
(決定処理のバリエーション1)
上記実施形態において、決定装置100は、決定したコンディション毎の販売に関する推定価格に基づいて、買い取り価格を決定してもよい。そして、決定装置100は、基準のコンディションの販売に関する推定価格に基づいて決定した買い取り価格を、下取り価格として、ユーザ端末10に表示させるための情報を送信することで、ユーザU11に提供してもよい(ステップS108)。また、決定装置100は、中古品の販売者に対して、コンディション毎の販売に関する推定価格に基づいて決定した買い取り価格を、コンディション毎に販売者の端末装置に表示させるための情報を送信することで、コンディション毎に提供してもよい。
【0034】
(決定処理のバリエーション2)
上記実施形態において、市場における需要を考慮して出品する場合には、市場における需要が高い時期に、上記実施形態に係る値付けの処理を行ってもよい。例えば、季節ものの商品(シーズン商品)を予め定めておき、買い取った中古品が季節ものの商品である場合には、市場における需要が高い時期まで寝かせてから出品することで、市場における需要が高い時期に、上記実施形態に係る値付けの処理を行ってもよい。例えば、冬に夏物を買い取った場合には、夏まで寝かせてから出品することで、市場における需要が高い時期に、上記実施形態に係る値付けの処理を行ってもよい。決定装置100は、市場における需要を考慮して出品する場合には、市場における需要が高い時期の、コンディション毎の販売に関する推定価格を決定する。これにより、決定装置100は、市場における需要を考慮した価格設定を可能とすることができる。
【0035】
(決定処理のバリエーション3)
上記実施形態では、ユーザU11が古着P11の買い取りを依頼することで、ユーザ端末10から送信された、古着P11の買い取りを依頼するための情報に基づいて、中古品のコンディション毎の販売価格、推定価格、下取り価格を決定する場合を説明したが、この例に限られない。例えば、所定の電子商店街で販売される全て(又は一部)の商品に対して、中古品のコンディション毎の販売価格、推定価格、下取り価格を決定した上で、ユーザU11に下取り価格を提示してもよい。この場合、ユーザU11は、下取り価格を見た上で商品を選択し、古着P11の買い取りを依頼してもよい。以下、処理の詳細を説明する。
【0036】
決定装置100は、所定の電子商店街で販売される全て(又は一部)の商品に対して、商品毎に、新品情報と中古品情報とを取得する。また、決定装置100は、商品毎に、新品情報と中古品情報とをモデルに入力することにより、商品毎に、中古品のコンディション毎の販売価格、推定価格、下取り価格を決定する。そして、決定装置100は、ユーザU11の所有物の中に、所定の電子商店街で販売される商品があるか否かを判定し、所定の電子商店街で販売される商品があると判定した場合には、その商品の下取り価格をユーザ端末10に表示させるための情報を送信する。例えば、決定装置100は、ユーザU11の所有物の中に、所定の電子商店街で販売される商品が複数ある場合には、その複数の商品毎に、下取り価格をユーザ端末10に表示させるための情報を送信する。なお、ユーザU11の所有物は、例えば、所定の電子商店街でのユーザU11の購買履歴に基づいて特定されるものとする。また、ユーザU11の所有物が、所定の電子商店街でのユーザU11の購買履歴に基づいて特定される場合には、決定装置100は、例えば、所定の電子商店街でのユーザU11の購入ページに、ユーザU11が所定の電子商店街で購入した商品の情報として、その商品の下取り価格を表示させるための情報を送信する。そして、ユーザ端末10は、下取り価格が表示された商品の中からユーザU11が選択することにより、その商品の中古品の買い取りを依頼するための情報を送信する。例えば、ユーザU11が、古着P11に対応した商品を選択した場合には、ユーザ端末10は、古着P11の買い取りを依頼するための情報を送信する。
【0037】
〔3.ユーザ端末の構成〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係るユーザ端末10の構成について説明する。
図3は、実施形態に係るユーザ端末10の構成例を示す図である。
図3に示すように、ユーザ端末10は、通信部11と、入力部12と、出力部13と、制御部14とを有する。
【0038】
(通信部11)
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部11は、所定のネットワークNと有線又は無線で接続され、所定のネットワークNを介して、決定装置100等との間で情報の送取得を行う。
【0039】
(入力部12)
入力部12は、ユーザからの各種操作を受け付ける。
図2では、ユーザU11からの各種操作を受け付ける。例えば、入力部12は、タッチパネル機能により表示面を介してユーザからの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部12は、ユーザ端末10に設けられたボタンや、ユーザ端末10に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0040】
(出力部13)
出力部13は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。例えば、出力部13は、決定装置100から送信された情報を表示する。
【0041】
(制御部14)
制御部14は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、ユーザ端末10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。例えば、この各種プログラムには、ユーザ端末10にインストールされたアプリケーションのプログラムが含まれる。例えば、この各種プログラムには、決定装置100に、買い取りを依頼するための情報を送信するアプリケーションのプログラムが含まれる。また、制御部14は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0042】
図3に示すように、制御部14は、受信部141と、送信部142とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。
【0043】
(受信部141)
受信部141は、外部の情報処理装置から各種情報を受信する。受信部141は、決定装置100等の他の情報処理装置から各種情報を受信する。例えば、受信部141は、下取り価格を表示させるための情報を受信する。
【0044】
(送信部142)
送信部142は、外部の情報処理装置へ各種情報を送信する。送信部142は、決定装置100等の他の情報処理装置へ各種情報を送信する。例えば、送信部142は、ユーザから受け付けられた買い取りを依頼するための情報を送信する。
【0045】
〔4.決定装置の構成〕
次に、
図4を用いて、実施形態に係る決定装置100の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る決定装置100の構成例を示す図である。
図4に示すように、決定装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、決定装置100は、決定装置100の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0046】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、出品者端末10等との間で情報の送取得を行う。
【0047】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図4に示すように、記憶部120は、新品情報記憶部121と、中古品情報記憶部122とを有する。
【0048】
新品情報記憶部121は、型番に紐づけて予め定められた新品情報(例えば、新品の定価、販売開始時、ブランド、カテゴリ等の情報)を記憶する。ここで、
図5に、実施形態に係る新品情報記憶部121の一例を示す。
図5に示すように、新品情報記憶部121は、「型番」、「新品情報」といった項目を有する。
【0049】
「型番」は、所定の電子商店街での商品を識別するための型番を示す。「新品情報」は、商品の新品情報を示す。
【0050】
すなわち、
図5では、型番「YYXX11」によって識別される商品の新品情報が「定価:5千円、販売開始時:2000年1月1日、ブランド:AABB、カテゴリ:Tシャツ(白)」である例を示す。
【0051】
中古品情報記憶部122は、型番に紐づけて予め定められた中古品情報(例えば、n回前の販売価格、前回販売時オフ率、前々回から前回の販売価格増減、前回の出品から販売までの日数、買い取り(下取り)価格、買い取り(下取り)年に関する情報)を記憶する。ここで、
図6に、実施形態に係る中古品情報記憶部122の一例を示す。
図6に示すように、中古品情報記憶部122は、「型番」、「中古品情報」といった項目を有する。
【0052】
「型番」は、所定の電子商店街での商品を識別するための識別情報を示す。「中古品情報」は、商品の中古品情報を示す。
【0053】
すなわち、
図6では、型番「YYXX11」によって識別される商品の中古品情報が「前回の販売価格:3千円;前々回の販売価格:××〇〇円;3回前の販売価格:×〇×〇円;4回前の販売価格:〇〇××円、前回販売時オフ率:10%、前々回から前回の販売価格増減:5%増、前回の出品から販売までの日数:2週間、買い取り価格:千円、買い取り年:2021年」である例を示す。
【0054】
(制御部130)
制御部130は、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、決定装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0055】
図4に示すように、制御部130は、取得部131と、特定部132と、生成部133と、判定部134と、算出部135と、決定部136と、提供部137とを有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0056】
(取得部131)
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、外部の情報処理装置から各種情報を取得する。取得部131は、ユーザ端末10等の他の情報処理装置から各種情報を取得する。
【0057】
取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、新品情報記憶部121や中古品情報記憶部122から各種情報を取得する。また、取得部131は、取得した各種情報を記憶部120に格納する。取得部131は、新品情報記憶部121や中古品情報記憶部122に各種情報を格納する。
【0058】
取得部131は、例えば、ユーザ端末10から送信された、商品の買い取りを依頼するための情報を取得する。そして、取得部131は、商品の買い取りを依頼するための情報に基づいて、例えば、商品の買い取りが依頼された所定のサービスの事業者情報と、ユーザが同一商品の新品を購入した所定の電子商店街の事業者情報とを取得する。
【0059】
(特定部132)
特定部132は、例えば、取得部131により取得された情報に基づいて、商品の買い取りが依頼された所定のサービスが、ユーザが同一商品の新品を購入した所定の電子商店街と所定の関係性を有するか否かを判定する。例えば、特定部132は、同一事業者であるか否か、一方のサービスの事業者が他方のサービスの事業者に属するか否かを判定する。特定部132は、商品の買い取りが依頼された所定のサービスが、ユーザが同一商品の新品を購入した所定の電子商店街と所定の関係性を有すると判定した場合には、所定の関係性を有すると判定した所定の電子商店街での購買履歴を取得し、取得した購買履歴に基づいて、所定の関係性を有すると判定した所定の電子商店街での、同一商品の新品の型番を特定する。
【0060】
また、特定部132は、商品の買い取りが依頼された所定のサービスが、ユーザが同一商品の新品を購入した所定の電子商店街と所定の関係性を有さないと判定した場合には、例えば買い取りが依頼された所定のサービスの店舗等に送られた、実際の商品に付属するタグ情報に基づいて、商品の買い取りが依頼された所定のサービスと所定の関係性を有する所定の電子商店街での、同一商品の新品の型番を特定する。
【0061】
(生成部133)
生成部133は、販売実績のある商品の新品情報と中古品情報とに基づいて、販売価格を中古品のコンディション毎に出力するモデルを生成する。例えば、生成部133は、販売実績のある商品の新品情報と、前回販売時までの中古品情報とを説明変数とし、前回の販売価格を目的変数として、XGBoost等に基づくモデルを生成する。このように、生成部133は、前回販売時までの中古品情報を説明変数とすることで、例えば前々回~5回前の販売価格で、前回の販売価格を出力するモデルを生成する。なお、販売実績のある商品は、買い取りが依頼された商品と同一の商品であってもよいし、買い取りが依頼された商品と異なる商品であってもよい。また、生成部133は、中古品のコンディションのうち、基準のコンディションとして予め定められた所定のコンディションの販売価格を正例としてモデルを学習させる。
【0062】
(判定部134)
判定部134は、一部のコンディションの中古品情報が不足しているか否かを判定する。判定部134は、一部のコンディションの中古品情報が不足していると判定した場合には、中古品情報が不足している一部のコンディションを特定する。
【0063】
判定部134は、一部のコンディションの販売に関する推定価格が、一部のコンディションよりも上位のコンディションの販売に関する推定価格よりも高くなり裏返りが起きたか否かを判定する。判定部134は、一部のコンディションよりも上位のコンディションの販売に関する推定価格よりも高くなり裏返りが起きたと判定した場合には、裏返りが起きた一部のコンディションを特定する。
【0064】
(算出部135)
算出部135は、特定部132により特定された新品の型番に紐づけて予め定められた新品情報と中古品情報とを取得する。すなわち、算出部135は、生成部133により生成されたモデルに入力する新品情報と中古品情報とを取得する。そして、算出部135は、生成部133により生成されたモデルに、取得した新品情報と中古品情報とを入力することにより、中古品のコンディション毎の販売価格を算出する。このように、生成部133は、例えば前々回~5回前の販売価格で、前回の販売価格を出力するモデルを生成し、算出部135は、前回~4回前の販売価格で、未来の販売価格を算出する。
【0065】
算出部135は、算出したコンディション毎の販売価格に、補正係数を掛け合わせることで、コンディション毎の販売に関する推定価格を算出する。例えば、算出部135は、各コンディションの販売価格に、同一の補正係数を掛け合わせることで、各コンディションの販売に関する推定価格を算出する。
【0066】
算出部135は、基準のコンディションの中古品情報に基づいてモデルから出力された、基準のコンディションの販売価格に、判定部134により特定された、中古品情報が不足している一部のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで、中古品情報が不足している一部のコンディションの販売に関する推定価格を算出する。
【0067】
算出部135は、基準のコンディションの中古品情報に基づいてモデルから出力された、基準のコンディションの販売価格に、判定部134により特定された、裏返りが起きた一部のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで、裏返りが起きた一部のコンディションの販売に関する推定価格を算出する。
【0068】
(決定部136)
決定部136は、算出部135により算出された推定価格を、コンディション毎の販売に関する推定価格として決定する。また、算出部135は、例えば、販売価格に補正係数を掛け合わせた補正価格と、販売価格に特定係数とを掛け合わせた上限価格とを比較して、補正価格が上限価格を上回ったか否かを判定する。そして、算出部135は、補正価格が上限価格を上回ったと判定した場合には、上限価格を推定価格とする。
【0069】
(提供部137)
提供部137は、基準のコンディションの販売に関する推定価格に基づいて決定した買い取り価格を、下取り価格として、ユーザ端末10に表示させるための情報を送信する。また、提供部137は、コンディション毎の販売に関する推定価格に基づいて決定した買い取り価格を、コンディション毎に販売者の端末装置に表示させるための情報を送信する。
【0070】
〔5.決定処理のフロー〕
次に、
図7を用いて、実施形態に係る決定システム1による決定処理の手順について説明する。
図7は、実施形態に係る決定システム1による決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0071】
図7に示すように、決定装置100は、ユーザが買い取りを依頼した商品の新品情報と、同一商品を過去に販売した中古品の中古品情報とを取得する(ステップS201)。
【0072】
決定装置100は、取得した新品情報と中古品情報とに基づいて、中古品のコンディション毎の販売価格を算出する(ステップS202)。
【0073】
決定装置100は、算出したコンディション毎の販売価格に基づいて、中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を決定する(ステップS203)。
【0074】
〔6.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る決定装置100は、取得部131と、決定部136とを有する。取得部131は、対象商品の新品情報と、対象商品を過去に販売した中古品の中古品情報とを取得する。決定部136は、取得部131により取得された新品情報と中古品情報とに基づいて、中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を、コンディション毎に決定する。
【0075】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、新品情報と中古品情報との両者に基づいて価格推定することができるため、精度の高い適切な価格設定を可能とすることができる。また、実施形態に係る決定装置100は、コンディション毎に価格推定することができるため、適切な価格設定を可能とすることができる。すなわち、実施形態に係る決定装置100は、中古品のコンディションに応じて、販売に関する適正価格を適切に決定することができるため、中古品の値付けの精度を向上させることができる。
【0076】
また、実施形態に係る決定装置100は、中古品情報のうち、基準のコンディションとして予め定められた所定のコンディションと異なる一部のコンディションに応じた中古品情報が不足しているか否かを判定する判定部134を更に有する。また、決定部136は、判定部134により、一部のコンディションに応じた中古品情報が不足していると判定された場合には、所定のコンディションに応じた中古品情報に基づいて、一部のコンディションの販売に関する推定価格を決定する。
【0077】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、中古品情報がコンディションによって不足している場合でも、適切な価格設定を可能とすることができる。
【0078】
また、決定部136は、一部のコンディションの販売に関する推定価格が、一部のコンディションよりも上位のコンディションの販売に関する推定価格よりも高い場合には、所定のコンディションに応じた中古品情報に基づいて、一部のコンディションの販売に関する推定価格を決定する。
【0079】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、何らかの誤りがあり推定価格の裏返りが起こった場合には、価格補正を適切に行うことができる。
【0080】
また、決定部136は、商品の新品情報と、商品を過去に販売した中古品の中古品情報とを入力すると、中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を推定するための基となる価格である販売価格を、コンディション毎に出力するモデルに、対象商品の新品情報と、対象商品を過去に販売した中古品の中古品情報とを入力することにより、推定価格を決定する。また、中古品情報は、中古品の出品から販売までの期間の情報を含む。
【0081】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、正例とした所定のコンディションの販売価格が誤りであったとしても、各コンディションの販売価格を、適正な販売価格に収束するように価格補正することができる。
【0082】
また、決定部136は、中古品のコンディション毎の販売に関する推定価格を、コンディション毎の販売価格に基づいて決定する。
【0083】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、適切な価格設定を可能とすることができる。
【0084】
また、決定部136は、中古品のコンディションの販売に関する推定価格を、コンディションの販売価格に、コンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで決定する。
【0085】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、適切な価格設定を可能とすることができる。
【0086】
また、決定部136は、一部のコンディションの販売に関する推定価格を、所定のコンディションの販売価格に、一部のコンディションに応じた補正係数を掛け合わせることで決定する。
【0087】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、中古品情報がコンディションによって不足している場合でも、適切な価格設定を可能とすることができる。
【0088】
また、補正係数は、新品の販売開始時から最新の中古買い取り時までの期間が長くなるほど小さくなる。
【0089】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、中古品の売れ行きに応じて、適切な価格設定を可能とすることができる。
【0090】
また、決定部136は、販売価格に補正係数を掛け合わせた補正価格と、販売価格に特定係数を掛け合わせた上限価格とを比較して、補正価格が上限価格よりも高いと判定した場合には、上限価格を推定価格とする。
【0091】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、中古品が直ぐに売れてプレミア品となった場合には、新品の定価から大きく乖離しないように、価格設定の最適化を図ることができる。
【0092】
また、特定係数は、商品のクラス毎に予め定められた係数である。
【0093】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、商品のクラス毎に応じた上限価格を設定することができる。
【0094】
また、実施形態に係る決定装置100は、所定のコンディションの販売に関する推定価格に基づく買い取り価格を、下取り価格として、ユーザに提供するとともに、中古品の販売者に対して、コンディション毎の販売に関する推定価格に基づく買い取り価格を、コンディション毎に提供する提供部137を更に有する。
【0095】
これにより、実施形態に係る決定装置100は、適切な価格設定に基づく買い取り価格を提示することができる。
【0096】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係るユーザ端末10及び決定装置100は、例えば、
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図8は、ユーザ端末10及び決定装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0097】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0098】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを取得してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0099】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0100】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0101】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係るユーザ端末10及び決定装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部14及び130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0102】
〔8.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0103】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0104】
また、上述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0105】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0106】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 決定システム
10 ユーザ端末
11 通信部
12 入力部
13 出力部
14 制御部
100 決定装置
110 通信部
120 記憶部
121 新品情報記憶部
122 中古品情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 特定部
133 生成部
134 判定部
135 算出部
136 決定部
137 提供部
141 受信部
142 送信部
N ネットワーク