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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】コードレスヘアドライヤー
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/10 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
A45D20/10 102
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021506490
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 KR2019015028
(87)【国際公開番号】W WO2020226245
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0053706
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519007581
【氏名又は名称】ファウンデーション オブ スンシル ユニバーシティー インダストリー コーオペレイション
【氏名又は名称原語表記】Foundation of Soongsil University-Industry Cooperation
【住所又は居所原語表記】(Sangdo-dong) 369, Sangdo-ro, Dongjak-gu, Seoul 06978, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ジェウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ヒョンジュン
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-196927(JP,A)
【文献】特開2011-038238(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0114219(US,A1)
【文献】実公昭47-015581(JP,Y1)
【文献】米国特許第09526311(US,B1)
【文献】特開2003-086334(JP,A)
【文献】特開2004-211239(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02680666(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0051473(KR,A)
【文献】国際公開第2017/086395(WO,A1)
【文献】特開2018-129270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/00-20/10
A47F 3/06- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーによって把持されるボディ部及び内部に送風管が設けられるヘッド部を含むハウジングと、
前記ボディ部の内部に配置されるバッテリーと、
前記ヘッド部の一端に配置される送風ファンと、
前記ヘッド部の他端に挿入され、前記送風管の内部に固定される支持台と、
カーボンナノチューブシートから構成され、前記支持台上に配置されて前記バッテリーから電力供給を受けて発熱する面状発熱体を含み、
前記面状発熱体は、筒状または螺旋状を呈するように配置され、
前記支持台は、空気が前記面状発熱体の内周面および外周面に沿って流れるように前記面状発熱体を支持するように構成されており、
前記面状発熱体は、カーボンナノチューブ集合体であって、バインダーを除いたカーボンナノチューブおよび不可避の不純物のみからなる、コードレスヘアドライヤー。
【請求項2】
前記面状発熱体は、シート状のカーボンナノチューブシートからなる、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項3】
前記支持台は、複数個設けられ、
前記面状発熱体は、前記支持台のそれぞれに配置される複数個のカーボンナノチューブシートを含む、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項4】
前記面状発熱体は、前記支持台上で所定間隔離隔して配置される複数個のカーボンナノチューブシートを含む、請求項1又は3に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項5】
前記面状発熱体は、前記支持台上に螺旋状に配置される、請求項1又は3に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項6】
前記面状発熱体は、10S/m以上の電気伝導度を持つ、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項7】
前記ボディ部の外部と連通して空気流路を提供する吸気口を含む、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項8】
前記ボディ部は、前記バッテリーを囲む内層及び前記内層と所定間隔離隔して前記内層を囲む外層を含む、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項9】
前記支持台は、
前記面状発熱体が巻かれる胴体部と、
前記送風管の内部に接触して前記胴体部を支持する支持部を含む、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項10】
前記面状発熱体は、近赤外線、中赤外線、及び遠赤外線のそれぞれの波長を有する光と、アニオンとを放射する、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項11】
前記面状発熱体は、電力供給時の温度が400度~800度に上昇する、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項12】
前記面状発熱体は、前記胴体部の周りを囲むが、前記胴体部の上で対向する前記面状発熱体の上端部と下端部は所定の間隔離隔されており、前記上端部と前記下端部の端に沿ってそれぞれカソード電極とアノード電極が設けられており、前記カソード電極と前記アノード電極を介して電力が供給される、請求項9に記載のコードレスヘアドライヤー。
【請求項13】
前記面状発熱体は、70Wの電力で800度の温度を有する、請求項1に記載のコードレスヘアドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施例は、コードレスヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘアドライヤーは、電源プラグを電源端子に接続した上で電源スイッチを入れると、板状またはバネ状に巻かれたタングステンコイル、鉄クロム線またはニクロム線のような熱線に電源が印加されて前記熱線が発熱し始めるとともに、本体の後端部に取り付けられたファンモータも電源が印加されて前記ファンモータに取り付けられたファンが駆動を開始し、前記ファンが駆動されると、吸入口を介して空気が本体内に吸入され、この吸入された空気は、ヒーターを通過しながら熱風に変換され、吐出口を介して外部に吐出されるため、ユーザーが毛髪の乾燥や所望の毛髪の形態をセッティングできるようになる。
【0003】
こうした従来の毛髪の乾燥は、毛髪の外部のみが加熱され、熱風が到達しない毛髪の内側の部分は、よく乾燥されていないという問題点があった。また、毛髪の内側の部分を乾燥させるために毛髪の一部分に長い間ヘアドライヤーの熱風を加える場合、高温の熱風によって毛髪が損傷するという問題点があった。また、熱風を発生させる熱線の効率が低く、電気を多く消費するという問題点があるため、バッテリーを用いるコードレスヘアドライヤーは、具現が困難であった。
【0004】
一方、現代のヘアドライヤーは、毛髪の乾燥という本来の機能に加えて、様々な付加的な要件が求められている。これらの要件としては、1)毛髪の健康増進、2)エネルギーの削減などがある。
【0005】
3μm~1,000μmの波長帯の光を遠赤外線(IR-C)といい、一般的に遠赤外線は、温熱作用、乾燥、生体効果、水の活性化、熟成及び生育促進、浸透作用、輻射作用などがあることが知られている。一方、人体は、体温が平均36.5℃の一種の天然熱源であって、人体から輻射される全輻射エネルギーの46%が、8μm~14μm波長の遠赤外線である。毛髪の健康を増進させるため、アニオンを供給したり、遠赤外線を放出させるなどの様々な試みが存在しており、アニオンや遠赤外線の放出のため、様々な手段が動員されている。PCT/JP2001/011284号は、アニオンが放出されるヘアドライヤーを開示している。
【0006】
一方、炭素を発熱体として使用する先行技術としては、大韓民国公開2007-0094041号は、ヘアドライヤー本体の内部に発熱物質と電極物質がコーティングされるチューブ型セラミックヒーターが備えられ、アニオン及び遠赤外線を発生して毛髪を保護する技術が開示されている。該技術は、セラミックヒーターに炭素を含む発熱源をコーティングする方式で炭素をヘアドライヤーに適用させている。
【0007】
そして、日本登録実用新案第3011964号は、ヘアドライヤーに遠赤外線を放射するコーティング剤を被覆するか、カーボン成形体を装着して貫通孔から遠赤外線を伴う温風を外部に排出するヘアドライヤーを開示している。この技術は、炭素成形体が発熱源として使用されるものではなく、加熱ヒーターにより加熱された空気が、炭素成形体を通過する方式なので、遠赤外線放出量が少なくなる。
【0008】
また、大韓民国登録実用新案20-0369381号及び大韓民国登録実用新案20-0364340号は、炭素繊維ヒーターを装着して対流加熱方式と赤外線輻射加熱方式により同時に毛髪を乾燥させるヘアドライヤーを開示している。この技術は、炭素繊維を使用し、石英ガラス管の内部に炭素繊維を入れて真空処理後に封入する方式を用いるが、これは衝撃に弱い。
【0009】
このような技術開発の流れを察し見ると、コードレスヘアドライヤーよりは十分な遠赤外線を供給するための技術に関心が集中してきており、バッテリー技術の発達に伴い、コードレスヘアドライヤーの開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、電力消耗が少なく放射率が高いため、低電力駆動に適したコードレスヘアドライヤーを提供することにある。
【0011】
また、低電力駆動が可能な炭素材料の環境にやさしいコードレスヘアドライヤーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施例によれば、ボディ部及び内部に送風管が設けられるヘッド部を含むハウジングと、前記ボディ部の内部に配置されるバッテリーと、前記ヘッド部の一端に配置される送風ファンと、前記ヘッド部の他端に挿入されて前記送風管の内部に固定される支持台と、カーボンナノチューブシートから構成され、前記支持台上に配置されて前記バッテリーから電力供給を受けて発熱する面状発熱体を含むコードレスヘアドライヤーを提供する。
【0013】
前記面状発熱体は、連続性を持つシート状のカーボンナノチューブシートからなってもよい。
【0014】
前記支持台は、複数個設けられ、前記面状発熱体は、前記支持台のそれぞれに配置される複数個のカーボンナノチューブシートを含んでもよい。
【0015】
前記面状発熱体は、前記支持台上から所定間隔離隔して配置される複数個のカーボンナノチューブシートを含んでもよい。
【0016】
前記面状発熱体は、前記支持台上に螺旋状に配置されてもよい。
【0017】
前記面状発熱体は、10S/m以上の電気伝導度を持っていてもよい。
【0018】
前記ボディ部は、外部と連通して空気流路を提供する吸気口を含んでもよい。
【0019】
前記ボディ部は、前記バッテリーを囲む内層及び前記内層と所定間隔離隔して前記内層を囲む外層を含んでもよい。
【0020】
前記支持台は、前記面状発熱体が巻かれる胴体部と、前記送風管の内部に接触して前記胴体を支持する支持部を含んでもよい。
【0021】
前記面状発熱体は、近赤外線、中赤外線、遠赤外線の波長及びアニオンを放射してもよい。
【0022】
前記面状発熱体は、カーボンナノチューブ集合体であって、バインダーを除いたカーボンナノチューブ及びその他の不可避な不純物からなり、電力供給時の温度が400度~800度まで上昇することができる。
【0023】
前記面状発熱体は、前記胴体部の周りを囲むが、前記胴体部の上で対向する前記面状発熱体の上端部と下端部は所定の間隔離隔されており、前記上端部と前記下端部の端に沿ってそれぞれカソード電極とアノード電極が設けられており、前記カソード電極と前記アノード電極を介して電力が供給されることができる。
【0024】
前記面状発熱体は、70Wの電力で800度の温度を持つことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のコードレスヘアドライヤーは、電力消耗が少なく放射率が高いため、低電力駆動に適している。
【0026】
また、無線駆動に適している。
【0027】
また、遠赤外線とアニオンを放出してもよい。
【0028】
また、炭素材料及び低電力駆動が可能な環境にやさしいコードレスヘアドライヤーを提供することにある。
【0029】
また、耐熱性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施例によるコードレスヘアドライヤーの分解斜視図である。
図2】本発明の実施例による面状発熱体の放射特性を説明するための図である。
図3】本発明の実施例による面状発熱体の発熱特性を説明するための図である。
図4】本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。
図5】本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。
図6】本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。
図7】本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。
図8】本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。
図9】本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。
図10】本発明の実施例によるコードレスヘアドライヤーの概念図である。
【発明を行うための最良の形態】
【0031】
以下、添付図面を参照し、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0032】
但し、本発明の技術思想は、説明する一部の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されてもよく、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施例の間でその構成要素のうち、一つ以上を選択的に結合、置換して使用してもよい。
【0033】
また、本発明の実施例で使用される用語(技術及び科学的用語を含む)は、明らかに特に定義されて記述されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解されうる意味として解釈されてもよく、事前に定義された用語のように一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味を考慮して、その意味を解釈できるであろう。
【0034】
また、本発明の実施例で使用される用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。
【0035】
本明細書において、単数形は、文句において特に言及しない限り、複数形も含んでもよく、「A及び(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または1つ以上の)」と記載される場合、A、B、Cとして組み合わせることができる全ての組み合わせのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0036】
また、本発明の実施例の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用してもよい。
【0037】
これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのもので、その用語により、当該構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0038】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけではなく、その構成要素とその他の構成要素との間にあるさらに他の構成要素により、「連結」、「結合」または「接続」されている場合も含んでもよい。
【0039】
また、各構成要素の「上部(上)または下部(下)」に形成または配置されるものと記載されている場合、上部(上)または下部(下)は、2つの構成要素が互いに直接接触される場合だけでなく、1つ以上のさらに他の構成要素が2つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上部(上)または下部(下)」と表現される場合、1つの構成要素を基準にして上方向だけでなく、下方向の意味も含んでもよい。
【0040】
以下、添付図面を参照して、実施例を詳細に説明するが、図面符号に関係なく、同一または対応する構成要素は、同じ参照番号を付与し、これに対する重複する説明は、省略する。
【0041】
図1は、本発明の実施例によるコードレスヘアドライヤーの分解斜視図である。図1を参照すると、本発明の実施例によるコードレスヘアドライヤー1は、ハウジング10、バッテリー20、送風ファン30、支持台40、及び面状発熱体50を含んで構成されてもよい。
【0042】
ハウジング10は、ボディ部11及びヘッド部12を含んでもよい。ハウジング10は、プラスチック材質で形成されてもよい。
【0043】
ボディ部11の内部には、収容スペースが設けられており、バッテリー20が配置されてもよい。ボディ部11の外形は、人の掌で握りしめたとき、これに対応する形状に形成されてもよい。ボディ部11は、外部と連通して空気流路を提供する吸入口13を含んでもよい。ボディ部11の下端部には、内部と外部を連通する吸入口13が設けられており、空気の流出入が可能である。吸入口13に沿ってハウジング10の内部に流入した空気は、送風ファン30の動作によってヘッド部12の送風管14に移動しうる。
【0044】
例えば、吸入口13は、ボディ部11の下端部の側面に提供されるか、またはボディ部11の底面に提供されてもよい。有線ヘアドライヤーの場合、ボディ部11の下端部には、必須的に電線が配置されている。しかし、実施例におけるコードレスヘアドライヤー1は、内部に装着されたバッテリー20を介して電力の供給を受けることができるので、ボディ部11の下端部に吸入口13が提供されてもよい。
【0045】
ボディ部11は、バッテリー20を囲む内層15及び内層15と所定間隔離隔して内層15を囲む外層16を含んでもよい。ボディ部11の内層15と外層16との間には、所定の空間を有する空気層17が形成されており、バッテリー20で生成された熱がボディ部11の外側に移動することを減少させることができる。ボディ部11の側面と下部面を介して流入した空気は、送風ファン30の動作によりヘッド部12に移動してもよい。
【0046】
すなわち、実施例によるコードレスヘアドライヤー1は、ユーザーが把持するボディ部11の内部にバッテリー20が設けられており、充電された状態で無線で動作しうる。また、バッテリー20を囲む内層15と外層16との間に所定の空間を有する空気層を設けることにより、バッテリー20の発熱時にユーザーが把持した部分から伝達される熱を減少させることができる。
【0047】
ヘッド部12は、円筒状で、内部には収容スペースが設けられており、送風管14が配置されてもよい。送風ファン30の動作により、ハウジング10の内部の空気は、送風管14に沿って移動して、ヘッド部12の末端に設けられた吐出口18を介して外部に排出されてもよい。バッテリー20は、ボディ部11の内部に配置されてもよい。バッテリー20は、複数個が直列または並列に配置されてもよい。バッテリー20は、送風ファン30及び面状発熱体50と電気的に連結されてそれぞれに電力を供給しうる。
【0048】
バッテリー20の種類と個数は、面状発熱体50の抵抗と特性に応じて多様に配置されてもよい。例えば、バッテリー20は、リチウムイオンバッテリーが使用されてもよい。しかし、これとは異なり面状発熱体20の発熱特性に応じて、様々な二次電池がバッテリーとして使用されてもよい。
【0049】
バッテリー20は、発熱体の抵抗を考慮して設定しなければ、必要な熱量を得ることができない。発熱体の抵抗が低すぎると、電流が流れすぎてバッテリー20から引き出すことができる電流量に制限がかかってコードレスヘアドライヤー1を具現し難く、たとえ具現してもバッテリー20の個数が増えてドライヤーの重量と体積が大幅に増加して、コードレスヘアドライヤー1の長所を損なうことになる。発熱体の抵抗が高い場合には、印加電圧が高くなり、所要するバッテリーの個数を増加させることになり、やはりドライヤーの重量と体積を増加させる結果となる。また、昇圧回路を使用する場合には、エネルギー損失と発熱の副作用を経験するため、発熱体の抵抗は、使用しようとするバッテリー20の性能と密接な関連があることになる。本発明は、カーボンナノチューブシートのみから構成された面状発熱体30を用いてコードレスヘアドライヤー1を構成することにより、バッテリー20から出力される電力のみでヘアドライヤーで要求する熱量を確保できるという技術的効果がある。すなわち、既存のコードレスヘアドライヤーの場合、600Wの電力で発熱体の温度が210度まで上昇するが、ヘアドライヤーとしては適していない。これに対して、本発明の実施例によるコードレスヘアドライヤー1は、約70Wで800度まで面状発熱体の温度が上昇することができ、商用化されているバッテリーのみでヘアドライヤーで要求する発熱量を十分に確保できるという技術的効果がある。
【0050】
送風ファン30は、ヘッド部12の一端に配置されてもよい。送風ファン30は、ボディ部11に隣接するヘッド部12の一端に配置されてもよい。送風ファン30は、バッテリー20を介して電力供給を受けて動作しうる。送風ファン30は、電力を受けて回転することにより、ハウジング10の内部の空気を送風管14を介して移動させることができる。
【0051】
支持台40は、ヘッド部12の他端に挿入されて送風管14の内部に固定されてもよい。支持台40は、送風管14の長さ方向に沿って配置されてもよい。例えば、支持台40は、耐熱性のあるイミドまたはガラスなどの材質から構成されてもよい。
【0052】
支持台40は、面状発熱体50が巻かれる胴体部41及び送風管14の内部に接触して胴体を支持する支持部42を含んでもよい。胴体部41は、面状発熱体50が巻かれる部分であって、面状発熱体50と空気の接触面が最大化できるように「X」字状であってもよい。胴体部41は、送風管14の長さ方向に沿って延びている。胴体部41の長さは、送風管14の長さと同一であるか、小さく形成されてもよい。胴体部41と送風管14の内部は、所定の間隔で離隔されている。したがって、胴体部41に巻かれた面状発熱体50の上面と下面に沿って空気が移動しうる。
【0053】
支持部42は、胴体部41の両端に形成されてもよい。支持部42は、2つの支柱が、 「X」字状に形成されてもよい。支持部42を構成するそれぞれの支柱は、送風管14の内径に直接接触して支持台40がハウジング10の内部で固定されるようにする。
【0054】
面状発熱体50は、カーボンナノチューブシートから構成され、支持台40上に配置されてバッテリー20から電力供給を受けて発熱しうる。面状発熱体50は、胴体部41の周囲を囲むが、胴体部41上で対向する面状発熱体50の上端部と下端部には、所定間隔離隔されており、上端部と下端部の端に沿ってそれぞれカソード電極とアノード電極が設けられてもよい。
【0055】
面状発熱体50は、シート状のカーボンナノチューブを含んでもよい。
【0056】
本発明の実施例による面状発熱体50は、カーボンナノチューブ集合体であって、バインダーを除いたカーボンナノチューブのみからなり、電気伝導性、放射率及び耐熱性が非常に高い。
【0057】
本発明の実施例による面状発熱体50は、直接放射法、シリコン基板上に垂直成長したカーボンナノチューブを用いたフォレスト放射法(Forest spinning)、カーボンナノチューブ粉末を分散した後、これをフィルター及び圧着してシートを製造する方法を使用するか、またはグラフェンシートなどを使用してもよい。
【0058】
カーボンナノチューブシートを合成するために実施例では、アセトン、ブタノールなどの有機溶媒とフェロセン(Ferrocene)0.4-2.0wt%、チオフェン(Thiophene)1.4-9.0wt%の組成の合成溶液を使用した。これを高温の垂直合成炉の上端部で10~100ml/hの範囲で注入し、また、移送ガス(H)は、800-2000sccmの速度で合成溶液とともに注入した。合成炉の温度は、1000-1500℃の範囲に維持し、合成炉の下端部では、合成されたカーボンナノチューブシートを1~30m/minの範囲で巻き取った。
【0059】
生成された面状発熱体50には、電極51、52が形成されてもよい。
【0060】
面状発熱体56は、10S/m以上の電気伝導度を持ってもよく、約70Wの電力供給を受けて約800度まで温度が上昇されてもよい。
【0061】
また、面状発熱体50は、近赤外線、中赤外線及び遠赤外線の波長を放射しうる。図2は、本発明の実施例による面状発熱体の放射特性を説明するための図である。本発明の実施例において面状発熱体は、非常に高い放射率を持ってもよい。面状発熱体は、図2に示すように、別途の添加剤なしに近赤外線、中赤外線及び遠赤外線にわたる様々な波長を放射しうる。
【0062】
面状発熱体50の電極51、52には、外部から電力供給を受けるための導線53が連結されてもよい。面状発熱体50は、導線53を介して電力供給を受けて発熱される。このとき、導線53は、ハウジング10に配置されたバッテリー20に連結されて面状発熱体50に電力を供給しうる。
【0063】
本発明の実施例による面状発熱体50は、比熱が低く急速加熱が可能である。図3は、本発明の実施例による面状発熱体の発熱特性を説明するための図である。図3を参照すると、面状発熱体は、70Wの電力が供給されたとき、電源連結とともに3秒以内に瞬間的に温度が800度まで上がることが確認できる。すなわち、実施例による面状発熱体は、電力供給時の温度が400度~800度に上昇してもよく、3秒以内の時間に温度が500度以上に上昇し、その後、500度~800度の間の温度を持続的に維持しうる。一般的なカーボンナノチューブとは異なり、実施例による面状発熱体は、コードレスヘアドライヤーの使用に必要な500度以上の温度を発熱しうる。実施例による面状発熱体は、カーボンナノチューブの集合体として、バインダーを除いたカーボンナノチューブ及びその他の不可避な不純物のみからなり、コードレスヘアドライヤーの使用に必要な高温の熱を短時間で発熱しうる。
【0064】
本発明の実施例による面状発熱体50は、このような電気伝導度特性、放射特性及び発熱特性を介してコードレスヘアドライヤー1に最適化された性能を提供しうる。
【0065】
面状発熱体50は、連続性を持つシート状のカーボンナノチューブシートからなってもよい。図4は、本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。図4を参照すると、面状発熱体50は、支持台40の胴体部41を囲む一つのカーボンナノチューブシートから構成されてもよい。カーボンナノチューブシートは、上端部と下端部が所定の間隔離隔して支持台40の胴体部41を囲んでいる。カーボンナノチューブシートの上端部及び下端部の端に沿ってカソード電極51とアノード電極52がそれぞれ設けられており、導線53が連結されてもよい。しかし、これとは異なり、カーボンナノチューブシートの側端部の端にそれぞれ電極が設けられて導線が連結されてもよく、電極の配置と形状は、カーボンナノチューブシートの形状、バッテリーの位置などによって多様に変更されてもよい。
【0066】
面状発熱体50の上面は、送風管14と所定間隔離隔されており、下面は、胴体部41によって広がっており、糸枠に巻かれている形状を持っていてもよい。送風ファン30によって外圧を受けた空気は、面状発熱体50の上面と下面に沿って移動しながら面状発熱体50から発熱された熱をハウジング10の外部に排出させることができる。
【0067】
または、ハウジング10の内部の支持台40には、複数個の面状発熱体50が配置される複数個のカーボンナノチューブシート54から構成されてもよい。図5は、本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。図5を参照すると、「X」字状の支持台40がハウジング10の内部に複数個設けられている。それぞれの支持台40の胴体部41には、カーボンナノチューブシート54が巻かれている。それぞれのカーボンナノチューブシートは、上端部と下端部が所定の間隔離隔して支持台40の胴体部41を囲んでいる。それぞれのカーボンナノチューブシートの上端部及び下端部の端に沿ってカソード電極51とアノード電極52がそれぞれ設けられており、導線53が連結されていてもよい。このとき、それぞれのカーボンナノチューブシート54は、バッテリー20に並列に連結されて、効率的に電力供給を受けることができる。
【0068】
または、面状発熱体50は、支持台40上で所定間隔離隔して配置される複数個のカーボンナノチューブシート54から構成されてもよい。図6は、本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。図6を参照すると、面状発熱体50は、所定の幅を有する複数個のカーボンナノチューブシート54から構成されてもよい。それぞれのカーボンナノチューブシート54は、支持台40の胴体部41上に所定の間隔をもって離隔して配置されてもよい。それぞれのカーボンナノチューブシート54は、上端部と下端部が所定の間隔離隔して支持台40の胴体部41を囲んでいる。それぞれのカーボンナノチューブシートの上端部及び下端部の端に沿ってカソード電極51とアノード電極52がそれぞれ設けられており、導線53が連結されてもよい。導線53は、胴体部41の長さ方向に沿って配置されてそれぞれのカーボンナノチューブシート54に形成された電極51、52にそれぞれ連結されてもよい。送風ファン30によって外圧を受けた空気は、面状発熱体50の上面と下面、そしてカーボンナノチューブシート54との間の間隔に沿って移動することにより、面状発熱体50と空気との接触面を増加させることができる。したがって、より効率的に面状発熱体50から発熱された熱をハウジング10の外部に排出させることができる。
【0069】
または、面状発熱体50は、複数個の支持台40上で所定間隔離隔して配置される複数個のカーボンナノチューブシート54を含んでもよい。図7は、本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。図7を参照すると、「X」字状の支持台40がハウジング10の内部に複数個設けられている。面状発熱体50は、所定の幅を有する複数個のカーボンナノチューブシート54から構成されてもよい。カーボンナノチューブシート54は、それぞれの支持台の胴体部41上に所定の間隔をもって離隔して配置されてもよい。それぞれのカーボンナノチューブシート54は、上端部と下端部が所定の間隔離隔して支持台40の胴体部41を囲んでいる。それぞれのカーボンナノチューブシートの上端部及び下端部の端に沿ってカソード電極51とアノード電極52がそれぞれ設けられており、導線53が連結されてもよい。導線53は、胴体部41の長さ方向に沿って配置されてそれぞれのカーボンナノチューブシート54に形成された電極51、52にそれぞれ連結されてもよい。このとき、それぞれのカーボンナノチューブシート54は、バッテリー20に並列に連結されて効率的に電力供給を受けることができる。また、送風ファン30によって外圧を受けた空気は、面状発熱体50の上面と下面、そしてカーボンナノチューブシート54との間の間隔に沿って移動することにより、面状発熱体50と空気との接触面を増加させることができる。したがって、より効率的に面状発熱体50から発熱された熱をハウジング10の外部に排出させることができる。
【0070】
または、面状発熱体50は、胴体部41の表面にパターンが設けられた支持台40上で所定間隔離隔して配置される複数個のカーボンナノチューブシート54に構成されてもよい。図8は、本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。図8を参照すると、面状発熱体50は、所定の幅を有する複数個のカーボンナノチューブシート54から構成されてもよい。支持台の胴体部41の表面には、凹凸状のパターンが形成されてもよい。それぞれのカーボンナノチューブシート54は、支持台の胴体部41上に所定の間隔をもって離隔して配置されてもよい。このとき、カーボンナノチューブシート54の幅は、胴体部41に形成された凹凸状の幅と同一であるか、小さくてもよい。したがって、それぞれのカーボンナノチューブシート54は、凹凸状のパターンに応じて胴体部41に配置されてもよい。それぞれのカーボンナノチューブシート54は、上端部と下端部が所定の間隔離隔して支持台40の胴体部41を囲んでいる。それぞれのカーボンナノチューブシートの上端部及び下端部の端に沿ってカソード電極51とアノード電極52がそれぞれ設けられており、導線53が連結されてもよい。導線53は、胴体部41の長さ方向に沿って配置されてそれぞれのカーボンナノチューブシート54に形成された電極にそれぞ連結されてもよい。送風ファン30によって外圧を受けた空気は、面状発熱体50の上面と下面、そしてカーボンナノチューブシート54との間の間隔に沿って移動することにより、面状発熱体50と空気との接触面を増加させることができる。したがって、より効率的に面状発熱体50から発熱された熱をハウジング10の外部に排出させることができる。
【0071】
または、面状発熱体50は、支持台40上に螺旋状に配置されてもよい。図9は、本発明の実施例による面状発熱体及び支持台の概念図である。図9を参照すると、面状発熱体50は、支持台の胴体部41を螺旋状に囲む一つのカーボンナノチューブシート54から構成されてもよい。支持台の胴体部41には、所定の間隔でスリット(slit)が形成されており、カーボンナノチューブシート54が貫通している。カーボンナノチューブシートの上端部及び下端部の端に沿ってカソード電極51とアノード電極52がそれぞれ設けられており、導線53が連結されてもよい。しかし、これとは異なり、カーボンナノチューブシートの側端部の端にそれぞれ電極が設けられて導線が連結されてもよく、電極の配置と形状は、カーボンナノチューブシートの形状、バッテリーの位置などによって多様に変更されてもよい。
【0072】
面状発熱体50を螺旋状に支持台の胴体部41に配置することにより、面状発熱体50と空気間の接触面積を大幅に増加させることができ、面状発熱体50から発熱された熱をより効率的にハウジング10の外部に排出させることができる。
【0073】
図10は、本発明の実施例によるコードレスヘアドライヤーの概念図である。図10を参照すると、コードレスヘアドライヤー1は、スタンド100に着脱式で据え置きされてもよい。スタンド100は、有線で電力供給を受けることができる。コードレスヘアドライヤー1は、スタンド100に据え置きされた状態で自動的に充電が行われることができる。また、コードレスヘアドライヤー1は、据置された状態でも動作しうる。スタンド100には、角度調整台110が含まれており、コードレスヘアドライヤー1が据え置きされた状態で、送風角度を調節してもよい。
【0074】
表1は、本発明の実施例によるコードレスヘアドライヤー1の動作の結果を説明するための表である。表1によると、230Wの電力を供給したとき、コードレスヘアドライヤー1から排出される空気の温度は、55度~57度で測定され、270Wの電力を供給したとき、コードレスヘアドライヤー1から排出される空気の温度は、60度~61度で測定された。バッテリー20は、リチウムイオンバッテリーを使用し、風の強さは、商用化された有線ヘアドライヤーの風の強さを基準に測定した。電力が230Wのとき、風の強さによる影響で空気の温度が低くなる現象を示した。実験結果によると、コードレスヘアドライヤー1から排出される空気の温度は、毛髪に適した乾燥温度である57度に近く測定されたことが確認できる。
【0075】
【表1】
【0076】
有線ヘアドライヤーとは異なり、コードレスヘアドライヤーは、バッテリーから電力供給を受けるので、使用できるエネルギー量に制約がある。したがって、発熱体のエネルギー消費量が大きければ、大量のエネルギーが供給されなければならず、これはコードレスヘアドライヤーの重量と体積の増加を引き起こすことになる。重くて大きいコードレスヘアドライヤーは、有線ヘアドライヤーに比べて大きな長所を持ちにくい。一方、コードレスヘアドライヤーに装着されるバッテリーの量が少なければ、供給可能なエネルギーが減り、空気の温度を十分に上げることができない。本発明の実施例によるコードレスヘアドライヤーは、商用化されているリチウムイオンバッテリーを使用して、毛髪に適した乾燥温度である57度に類似した温度の空気を排出できるという長所がある。また、面状発熱体50の抵抗特性とバッテリー20の特性を多様に変更することにより、所望の電力量で様々な温度帯の空気を排出するように設計できるという技術的効果がある。
【0077】
本実施例で使用される「~部」という用語は、ソフトウェアまたはFPGA(field-programmable gate array)やASICなどのハードウェア構成要素を意味し、「~部」は、何らかの役割を果たす。しかし、「~部」は、ソフトウェアまたはハードウェアに限定される意味ではない。「~部」は、アドレッシング可能な保存媒体にあるように構成されてもよく、1つまたはそれ以上のプロセッサを再生させるように構成されてもよい。したがって、一例として、「~部」は、ソフトウェアの構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素及びタスク構成要素などの構成要素と、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイ及び変数を含む。構成要素と「~部」のうちで提供される機能は、より小さい数の構成要素及び「~部」で結合するか、追加的な構成要素と「~部」にさらに分離されてもよい。それだけではなく、構成要素及び「~部」は、デバイスまたはセキュリティマルチメディアカード内の一つまたはそれ以上のCPUを再生させるように具現されうる。
【0078】
前記では、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できるだろう。
【符号の説明】
【0079】
1:コードレスヘアドライヤー
10:ハウジング
20:バッテリー
30:送風ファン
40:支持台
50:面状発熱体
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b】
図4(c)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10