(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】高エアロゾル形成体含量のエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24B 15/16 20200101AFI20230609BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20230609BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230609BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20230609BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20230609BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20230609BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B3/14
A24F40/42
A24F40/46
A24D1/20
A24D1/02
(21)【出願番号】P 2021518529
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2019083706
(87)【国際公開番号】W WO2020115151
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-04-02
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァンシー フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ジャリオー マリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ルシュフルール セリーヌ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-509897(JP,A)
【文献】特表2014-532439(JP,A)
【文献】特表2015-517817(JP,A)
【文献】特開2016-195585(JP,A)
【文献】特表2017-518032(JP,A)
【文献】特表2017-534266(JP,A)
【文献】国際公開第2014/016961(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16
A24B 3/14
A24F 40/42
A24F 40/46
A24D 1/20
A24D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体部分と接続部分の二つの部分のみを備えるエアロゾル発生物品であって、前記基体部分がエアロゾル形成基体を含有し、前記基体部分が20ミリメートル~60ミリメートルの長さおよび4ミリメートル~7ミリメートルの直径を有し、前記エアロゾル形成基体がエアロゾル形成体を含み、エアロゾル形成体の量が前記エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で6重量パーセント~20重量パーセントの範囲であり、前記接続部分が、前記基体部分と直接隣接する前記エアロゾル発生物品の一方の端に提供され、前記接続部分が管状中空コア構造を有する、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
基体部分
と接続部分の二つの部分のみを備えるエアロゾル発生物品であって、
前記基体部分がエアロゾル形成基体を含有し、前記基体部分が20ミリメートル~60ミリメートルの長さ、および5ミリメートル~6ミリメートルの直径を有し、前記エアロゾル形成基体がエアロゾル形成体を含み、エアロゾル形成体の量が前記エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で6重量パーセント~20重量パーセントの範囲であり、前記
接続部分が5ミリメートル~6ミリメートルの外径、3.5~4.5ミリメートルの内径、および10~25ミリメートルの長さを有する、エアロゾル発生物品。
【請求項3】
エアロゾル形成体の量が、前記エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で8重量パーセント~15重量パーセントの範囲である、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記エアロゾル発生物品が30ミリメートル~60ミリメートルの長さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記エアロゾル発生物品が40ミリメートル~50ミリメートルの長さを有する、請求項4に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記エアロゾル発生物品が45ミリメートルの長さを有する、請求項5に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記基体部分が5ミリメートル~6ミリメートルの直径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記基体部分が約5.2ミリメートル~約5.4ミリメートルの直径を有する、請求項7に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記エアロゾル発生物品が、前記基体部分の下流にある、前記接続部分としての中空アセテート管をさらに備え、前記接続部分が10ミリメートル~25ミリメートルの長さを有することが好ましい、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記接続部分が10ミリメートル~25ミリメートルの長さを有する、請求項9に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記エアロゾル発生物品が、前記接続部分および前記基体部分に重なるように、前記接続部分および前記基体部分に少なくとも部分的に巻き付けられて配設されたチッピングペーパーをさらに含み、前記チッピングペーパーが15ミリメートル~30ミリメートルの長さを有する、請求項9または10に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記接続部分が3ミリメートル~5ミリメートルの内径を有する中空アセテート管として提供されている、請求項9~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記接続部分が3.5ミリメートル~4.5ミリメートルの内径を有する中空アセテート管として提供されている、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記接続部分が約4ミリメートルの内径を有する中空アセテート管として提供されている、請求項13に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記接続部分が0.4ミリメートル~0.8ミリメートルの壁の厚さを有する中空アセテート管として提供されている、請求項9~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項16】
前記接続部分が0.5ミリメートル~0.7ミリメートルの壁の厚さを有する中空アセテート管として提供されている、請求項15に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項17】
前記接続部分が0.6ミリメートルの壁の厚さを有する中空アセテート管として提供されている、請求項16に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項18】
前記エアロゾル形成基体が、植物材料の細片を含むカットフィラーである、請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項19】
前記カットフィラーが少なくとも25重量パーセントの植物葉ラミナを含む、請求項18に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項20】
前記エアロゾル形成基体の重量が80ミリグラム~400ミリグラムである、請求項1~19のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項21】
前記エアロゾル形成基体の重量が200ミリグラム~300ミリグラムである、請求項20に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項22】
前記エアロゾル形成基体の重量が245ミリグラム~270ミリグラムである、請求項21に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項23】
前記エアロゾル形成体が、グリセリンもしくはプロピレングリコールまたはそれらの任意の混合物から成る、請求項1~22のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項24】
エアロゾル形成基体の高密度領域が、前記基体部分の上流端および下流端のうちの一つ以上に提供されている、請求項1~23のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項25】
前記エアロゾル発生物品が、請求項7~14のいずれか一項に記載されている前記基体部分および接続部分から成り、前記基体部分が前記接続部分に直接取り付けられている、請求項1~24のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項26】
エアロゾル発生システムであって、
- 請求項1~25のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品と、
- エアロゾル発生装置であって、
- 加熱チャンバー、
- 前記加熱チャンバーの外側に配設された外部加熱部材、または前記加熱チャンバーの内側に配設された内部加熱部材、または外部加熱部材および内部加熱部材の両方、
- 前記外部加熱部材および前記内部加熱部材の一方または両方の温度プロファイルを制御する制御ユニットであって、前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル形成基体を前記加熱チャンバー中で150℃~200℃の温度に加熱するよう構成されている制御ユニット、および
- 前記外部加熱部材および前記内部加熱部材の一方または両方に電力供給するための電源を備えるエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システム。
【請求項27】
請求項1または請求項1を引用する場合の請求項3~14のいずれか一項に記載されているエアロゾル発生物品を製造するための方法であって、
i. エアロゾル形成基体を提供する工程と、
ii. エアロゾル形成基体にエアロゾル形成体を適用する工程であって、エアロゾル形成体の量が、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で6パーセント~20重量パーセントの範囲である工程と、
iii. 前記エアロゾル形成基体を基体部分として成形する工程であって、前記基体部分が20ミリメートル~60ミリメートルの長さ、および4ミリメートル~7ミリメートルの直径を有する工程とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生物品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル発生物品に含有されたエアロゾル形成基体を加熱しうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーにエアロゾル発生物品を挿入するために細長い形状を有してもよい。発熱体は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーに挿入された後で、エアロゾル形成基体を加熱するために加熱チャンバー内(例えばビンもしくはブレード)または加熱チャンバーの周りに配設されうる。
【0003】
こうした装置が妥当な量の材料を放出して許容可能なエアロゾルの形成を可能にするために必要な温度は燃焼よりも著しく低いが、すべての基体が、エアロゾル形成基体の燃焼温度を下回る所定の温度で、十分な量の材料を放出して適切なエアロゾルを形成するのに適しているわけではない。従って、洗練されているがエアロゾルを形成する基体が、低温での材料の放出を可能にするために開発されてきた。今日、これは、例えば製紙またはキャスティングプロセスを使用して、たばこ葉を人工的な均質化したたばこシートに変換することによって達成される。
【0004】
単純な構造を有し、低温でエアロゾル発生を可能にするエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。また、より自然な外観および味を有する、いわゆる「加熱非燃焼式」物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル形成基体を含有する基体部分を備えるエアロゾル発生物品が提供されている。基体部分は、20ミリメートル~60ミリメートルの長さ、および4ミリメートル~7ミリメートルの直径を有する。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含む。エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で、6重量パーセント~20重量パーセントの範囲でありうる。エアロゾル発生物品は、基体部分と直接隣接するエアロゾル発生物品の一方の端に提供された接続部分を含みうる。接続部分は、管状中空コア構造を有してもよい。
【0006】
本発明の一態様によると、エアロゾル形成基体を含有する基体部分を備えるエアロゾル発生物品が提供されている。基体部分は、20ミリメートル~60ミリメートルの長さ、および4ミリメートル~7ミリメートルの直径を有する。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含む。エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で、6重量パーセント~20重量パーセントの範囲である。エアロゾル発生物品は、外径5~6mm、内径3.5~4.5mm、および長さ10~25mmの接続部分を備える。
【0007】
基体部分は、5ミリメートル~6ミリメートルの範囲の直径を有することが好ましく、基体部分は、5.2ミリメートル~5.5ミリメートルの直径を有することがより好ましく、およその基体部分は、5.3ミリメートルの直径を有することが最も好ましい。基体の直径が小さいほど、十分な量の材料が放出されて望ましい量のエアロゾルを形成するようにエアロゾル発生物品のコア温度を上昇させるために必要な温度がより低くなる。同時に、小さな直径は、エアロゾル形成基体の全体積への熱の迅速な浸透を可能にする。にもかかわらず、直径が小さすぎる場合、エアロゾル形成基体の比表面積は、利用可能なエアロゾル形成基体の量が減少するにつれて好ましさが低くなる。本発明によれば、5~6ミリメートルの直径の好ましい範囲は、エネルギー消費量とエアロゾル送達の間のバランスの点から特に有利である。
【0008】
直径が減少したエアロゾル発生物品を使用することは、エアロゾル発生物品の周辺部の周りに配設された外部加熱システムと組み合わせると特に有利である。こうした外部加熱システムと共に使用された時、エアロゾル発生物品の中心で十分に高い温度を達成するために必要とする熱エネルギーがより少ない。こうして、より低い温度で動作するとき、エアロゾル発生物品の中心における望ましい目標温度が、望ましい時間枠およびエネルギー消費量内で達成されうる。
【0009】
エアロゾル形成基体はカットフィラーを含むことが好ましい。本文書では、「カットフィラー」は、細かく切られた植物材料、特に葉ラミナ、加工された茎およびリブ、均質化した植物材料、例えば、キャスティングまたは製紙プロセスを使用してシート形態に作られたものなどのブレンドを指すために使用される。カットフィラーはまた、その他のカット後のフィラーたばこまたはケーシングを含んでもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、カットフィラーは、少なくとも25%の植物葉ラミナ、より好ましくは少なくとも50%の植物葉ラミナ、さらにより好ましくは少なくとも75%の植物葉ラミナ、最も好ましくは少なくとも90%の植物葉ラミナを含む。植物材料は、たばこ、ミント、茶、およびクローブのうちの一つであることが好ましいが、本発明は、その後エアロゾルを形成することができる熱を適用した時に物質を放出する能力を有するその他の植物材料にも等しく適用可能である。
【0010】
たばこ植物材料は、ブライトたばこラミナ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィルターたばこのうちの一つ以上のラミナを含むことが好ましい。ブライトたばこは、一般的に大きく、明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語は熱風送管乾燥処理されたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、中国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、ブラジル産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、米国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ(バージニアたばこなど)、インド産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、タンザニア産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、または他のアフリカ産の熱風送管乾燥処理されたたばこが挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこは乾燥処理後に、スパイスが効いていて活気のある感覚を伴うたばこタイプである。本発明によると、ブライトたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約2.5パーセント~約20パーセントであり、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で約0.12パーセント未満であるたばこである。還元糖には、例えばグルコースまたはフルクトースが含まれる。総アンモニアには、例えばアンモニアおよびアンモニア塩が含まれる。ダークたばこは、一般的に大きく暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語は空気乾燥処理したたばこに対して使用される。さらに、ダークたばこは発酵していてもよい。主として噛みタバコ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、およびパイプブレンド用に使用されるたばこもこの範疇に含まれる。典型的には、これらのダークたばこは、空気乾燥処理され、発酵される可能性がある。感覚的な見方からは、ダークたばこは、乾燥処理後、スモーキーでダークシガータイプの感覚を伴うたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこに対する例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、乾燥処理したダークブラジルガルパオ、日光乾燥処理または空気乾燥処理したインドネシアカストリ(Kasturi)である。本発明によると、ダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約5パーセント未満であり、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で最高約0.5パーセントであるたばこである。アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば精油の含有量が高いその他のたばこに対して使用される。感覚的な見方からは、アロマティックたばこは、乾燥処理後、スパイスが効いていて芳しい感覚を伴うたばこタイプである。アロマティックたばこの例には、グリークオリエント、オリエントターキー、セミオリエントたばこであるが火力乾燥処理されたたばこ、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレーまたはメリーランドがある。フィラーたばこは具体的なたばこタイプではないが、ブレンドで使用され、かつ最終生成物に特定の特徴的な芳香の方向性をもたらさないその他のたばこタイプを補完するために主に使用されるたばこタイプを含む。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中央脈、または葉柄である。具体的な例は、ブラジル産の熱風送管乾燥葉柄下部の熱風送管乾燥処理された茎でありうる。
【0011】
本発明と共に使用するのに適したカットフィラーは、一般に、従来の喫煙物品に使用されるカットフィラーに類似していてもよい。カットフィラーのカット幅は、0.3ミリメートル~2.0ミリメートルであることが好ましく、カットフィラーのカット幅は0.5ミリメートル~1.2ミリメートルであることがより好ましく、カットフィラーのカット幅は0.6ミリメートル~0.9ミリメートルであることが最も好ましい。カット幅は、物品の基体部分内側の熱の分布に役割を果たしうる。また、カット幅は、物品の引き出し抵抗に役割を果たしうる。さらに、カット幅は、基体部分の全体的密度に影響を与えうる。
【0012】
ストランドの長さはストランドが切断される物体の全体的なサイズに依存するため、カットフィラーのストランド長さはある程度ランダムな値である。それにもかかわらず、切断前に材料をコンディショニングすることによって、例えば、材料の水分含量および全体的な繊細さを制御することによって、より長いストランドを切断することができる。ストランドは、ストランドが基体セクションに形成される前に、約10ミリメートル~約40ミリメートルの長さを有することが好ましい。明らかに、ストランドが、セクションの長軸方向の延長部分が40ミリメートル未満である長軸方向の基体セクションに配設されている場合、最終基体セクションは、初期ストランド長さよりも平均的に短いストランドを含んでもよい。カットフィラーのストランド長さは、約20パーセント~60パーセントのストランドが基体部分の全長に沿って延びるようなものであることが好ましい。これは、ストランドが基体セクションから容易に外れるのを防ぐ。
【0013】
好ましい実施形態では、エアロゾル形成基体の重量は、80ミリグラム~400ミリグラム、好ましくは150ミリグラム~250ミリグラム、より好ましくは170ミリグラム~220ミリグラムである。この量のエアロゾル形成は、典型的には、エアロゾルの形成のための十分な材料を可能にする。加えて、直径およびサイズに関する前述の制約に照らして、これは、エネルギー取り込みと、引き出し抵抗と、基体が植物材料を含む基体セクション内の流体通路の間のエアロゾル形成基体のバランスのとれた密度を可能にする。
【0014】
本発明によれば、エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体で浸漬される。エアロゾル形成基体の浸漬は、噴霧またはその他の適切な適用方法によって行うことができる。エアロゾル形成体は、カットフィラーの調製中にブレンドに適用されうる。例えば、エアロゾル形成体は、直接コンディショニングケーシング円筒(DCCC)中のブレンドに適用されてもよい。エアロゾル形成体をカットフィラーに適用するために、従来の機械を使用することができる。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を促進する、任意の適切な既知の化合物または化合物の混合物とすることができる。エアロゾル形成体は、エアロゾル発生物品の使用中に典型的に適用される温度において、エアロゾルが熱分解に対して実質的に耐性であることを促進しうる。適切なエアロゾル形成体は例えば、多価アルコール(例えば、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(例えば、グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、モノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(例えば、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)、およびそれらの組み合わせである。
【0015】
エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールのうちの一つ以上を含むことが好ましい。エアロゾル形成体は、グリセリンもしくはプロピレングリコール、またはグリセリンおよびプロピレングリコールの組み合わせから成りうる。
【0016】
エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で6重量パーセント~20重量パーセントであることが好ましく、エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で8重量パーセント~18重量パーセントであることがより好ましく、エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で10重量パーセント~15重量パーセントであることが最も好ましい。一部の実施形態では、エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で約13重量パーセントの目標値を有する。エアロゾル形成体の最も効率的な量は、エアロゾル形成基体が植物ラミナを含むかまたは均質化した植物材料を含むかどうかにも依存する。例えば、他の要因の中でも特に、基体のタイプは、エアロゾル形成体が、エアロゾル形成基体からの物質の放出を促進できる程度を決定する。
【0017】
これらの理由から、本発明のエアロゾル形成基体は、比較的低い温度で十分な量のエアロゾルを効率的に発生することができる。加熱チャンバー内の150℃~200℃の温度は、本発明のエアロゾル形成基体が十分な量のエアロゾルを発生するのに十分であり、一方でタバコキャストリーフシートを使用するエアロゾル発生装置では、典型的に約250℃の温度が用いられる。
【0018】
より低い温度で動作することに関連する本発明のさらなる利点は、エアロゾルを冷却することが減少する要件ではないということである。概して低温が使用されるため、より単純な冷却機能で十分でありうる。これは、次に、エアロゾル発生物品のより単純で複雑性の低い構造の使用を可能にする。
【0019】
従って、有利なことに、本発明のエアロゾル発生物品は、追加のセグメントまたはセクションなしに、エアロゾル形成基体が提供される基体部分だけを備える。こうした実施形態は、特に単純な構造を有するものとなる。
【0020】
エアロゾル発生物品は、基体部分と直接隣接するエアロゾル発生物品の一方の端に提供された接続部分をさらに含みうる。接続部分は、基体部分から下流に位置しうることが好ましい。
【0021】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の、その使用中の、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気の方向に対する相対的な位置を表すために使用される。
【0022】
接続部分は、管状中空コア構造を有してもよい。接続部分は、例えば、中空アセテート管(HAT)、微細中空アセテート管(FHAT)、または中央段ボール管の周りに巻かれたトウのプラグであってもよく、その構造のすべてはフィルター要素の製造から知られている。
【0023】
接続部分は、3ミリメートル~5ミリメートル、好ましくは3.5ミリメートル~4.5ミリメートル、より好ましくは約4ミリメートルの内径を有する中空アセテート管として提供されうる。
【0024】
接続部分は、0.4ミリメートル~0.9ミリメートル、好ましくは0.5ミリメートル~0.7ミリメートル、より好ましくは0.6ミリメートルの壁の厚さを有する微細中空アセテート管として提供されうる。
【0025】
接続部分の長さは5ミリメートル~30ミリメートルであることが好ましく、接続部分の長さは10ミリメートル~25ミリメートルであることが好ましい。
【0026】
エアロゾル発生物品が再使用可能なマウスピースと組み合わせて使用される場合、接続部分は、こうしたマウスピースへのしっかりと気密な接続を提供するために有利に使用されうる。エアロゾル発生物品が使用されるエアロゾル発生システムによって必要とされる通りに容易に採用されうるように、エアロゾル発生物品の全長は容易に変化しうる。
【0027】
エアロゾル発生物品は、20ミリメートル~60ミリメートル、好ましくは40ミリメートル~50ミリメートル、より好ましくは約45ミリメートルの全長を有してもよい。
【0028】
エアロゾル発生物品は、接続部分および基体部分に重なるように、接続部分および基体部分の周りに少なくとも部分的に巻かれて配設されたチッピングペーパーをさらに備えてもよい。チッピングペーパーは、10ミリメートル~30ミリメートルの長さを有しうる。チッピングペーパーは、エアロゾル発生物品の構成要素を相互に取り付けるために使用されうる。
【0029】
エアロゾル発生物品は、二つのセクション、すなわち、基体部分および接続部分のみを備えることが好ましい。こうした実施形態は、依然として非常に単純な構造を有し、従って、かなり低減された費用で製造されうる。
【0030】
所望の場合、または必要とされる場合、例えば、エアロゾル発生物品の十分高い引き出し抵抗を達成するために、追加のフィルターセクションが、エアロゾル発生物品に含まれてもよい。こうした追加のフィルターセクションは、基体部分と接続部分の間に含まれうることが好ましい。こうした追加的なフィルターセクションは、例えば、酢酸セルロースなどの濾過材料を含むことが好ましい。こうした追加的なフィルターセクションは、例えば、酢酸セルロースなどの濾過材料を含むことが好ましい。追加的なフィルターセクションの長さは、約4ミリメートル~約8ミリメートルであることが好ましく、約5ミリメートル~約7ミリメートルであることが好ましい。追加的なフィルターセクションおよび接続部分の組み合わせ長さは、約10ミリメートル~約18ミリメートルであることが好ましく、13ミリメートルであることが好ましい。
【0031】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の不慮のまたは意図的な燃焼を防止するための手段をさらに含んでもよい。こうした手段は、金属ホイルまたはアルミニウム共積層紙などの共積層紙など不燃性材料のラッパーを含みうる。本発明の装置のエアロゾル形成基体は、ライターで一方の端を燃焼することによって従来の方法で喫煙するためには意図されておらず、適してもいない。追加の不燃性ラッパーの使用は、エアロゾル発生物品の使用の安全性を効率的に増加させうる。
【0032】
エアロゾル形成基体の高密度端部領域は、エアロゾル発生物品の基体部分の上流端および下流端のうちの一つ以上に提供されうる。高密度端部領域は、基体部分の残りのセクションの密度よりも最大10パーセント高い密度を有してもよい。基体部分の先端における基体密度を増加させることは、たばこが基体部分の端から落ちるのを防ぐのに役立ちうる。基体部分の下流端の基体密度の増加は、接続部分、または基体部分の下流端に取り付けられたその他の任意の構成要素への、基体部分の良好でしっかりとした取付けを確実にするのにさらに役立ちうる。基体部分の先端における密度の増加は、基体部分の端に増加した量のカットフィラーを提供することによって得ることができる。加えて、高密度の端は、エアロゾル形成基体からの材料の放出を改善しうる。好ましい実施形態では、熱エネルギーの適用は、エアロゾル発生物品の隣接するセクションが熱に曝されるのを防ぐために、エアロゾル形成基体に限定される。例えば、過剰な熱は、例えば、前述の要素など、物品のその他のセクションを劣化させうる。加えて、エアロゾル液滴の形成に関しては、材料は凝縮する必要があるが、エアロゾル形成基体の下流端に沿った熱の長時間の適用は、エアロゾル形成に不利益となる。従って、こうした場合、エアロゾル形成基体の端は、エアロゾル形成基体の中央部分よりも少ない熱を受けうる。密度の増加、すなわち、この領域における材料の存在の増加は、エアロゾル形成セクションのこの端部が、こうした不均一な加熱配設において材料の放出に効率的に寄与することを可能にしうる。
【0033】
エアロゾル発生物品の接続部分の下流端は、マウスピースに接続されるようにさらに構成されてもよい。マウスピースは、再利用可能なマウスピースであってもよく、また接続部分と共に提供されてもよい。使用中、エアロゾル発生物品の接続部分は、マウスピースの接続部分に接続されている。一実施形態において、マウスピースは、吸入可能なエアロゾルが通るのを可能にする内部チャネルを画定しうる。マウスピースの内部チャネルは、マウスピースの長軸方向の長さに沿って変化する内径を有してもよい。
【0034】
マウスピースの内部チャネルの内径は、マウスピースの下流端に向かって次第に増加してもよい。直径が増大する空気チャネルは、冷却要素として好適に作用しうる。こうしたチャネルを通して引き出された吸入可能なエアロゾルは膨張し、従って、いわゆるベンチュリ効果によって冷却する。
【0035】
本発明のさらなる態様では、ハウジング、制御回路、および電源を備えるエアロゾル発生装置が提供されている。ハウジングは、その中に発熱体が配設されている加熱チャンバーを画定する。加熱チャンバーは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するためのくぼみを画定するように構成されている。エアロゾル発生物品は、加熱チャンバーの中に挿入し、発熱体によって加熱することができる。
【0036】
発熱体は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生するように構成されている。制御回路は、使用中に発熱体の温度を目標温度に維持するか、または別の方法として、発熱体の温度を所定の目標温度プロファイルに維持するように構成されている。
【0037】
発熱体は、外部発熱体として構成されてもよい。外部発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性の加熱箔は、基体受容空洞の周辺部に適合する形状にすることができる。別の方法として、外部発熱体は、金属のグリッド(複数可)、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部発熱体はまた、温度と抵抗率の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二層の間のトラックとして形成されてもよい。この様態で形成された外部発熱体は動作中に、外部発熱体の加熱と、その温度の監視の両方に使用されてもよい。別の方法として、または追加的に、内部発熱体が提供されてもよく、例えば、使用のために少なくとも部分的にエアロゾル形成基体に挿入されるピンまたはブレードである。
【0038】
エアロゾル発生装置は、使用時にエアロゾル発生物品に接続されるマウスピースをさらに含みうる。マウスピースは、別個の部分であってもよく、またはエアロゾル発生装置の一部分であってもよい。例えば、マウスピースは、エアロゾル発生装置のハウジングにヒンジで接続されてもよい。
【0039】
マウスピースは、エアロゾル発生物品を加熱チャンバーの内側の中心に位置付けるのに役立ちうる。エアロゾル発生物品を加熱チャンバーの中心に位置付けることによって、エアロゾル発生物品への均一な熱伝達を得ることができる。これは、最大のエアロゾル発生効率を得るために、必要な最大温度をさらに低下させる可能性があり、ユーザー体験の一貫性を高めるのに役立ちうる。本発明のさらなる態様において、発熱体を備えるエアロゾル発生装置と、上述のエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。
【0040】
エアロゾル発生システムは、使用時にエアロゾル発生物品生成物品のエアロゾル形成基体が、150℃~250℃の温度、好ましくは170℃~220℃の温度、より好ましくは180℃~200℃の温度に加熱されるように構成されていることが好ましい。
【0041】
本発明のさらなる態様において、上述のエアロゾル発生物品と、エアロゾル発生装置であって、加熱チャンバーおよび、加熱チャンバーの外側に配設された外部加熱部材、または加熱チャンバーの内側に配設された内部加熱部材、または外部加熱部材および内部加熱部材の両方を含むエアロゾル発生装置と、加熱部材の温度プロファイルを制御するための制御ユニットと、加熱部材に電力供給するための電源とを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。制御ユニットは、加熱部材の温度プロファイルを制御して、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱チャンバー中で150℃~200℃の温度に加熱しうる。
【0042】
本発明はさらに、エアロゾル発生物品を製造する方法に関し、方法は、
i. エアロゾル形成基体を提供する工程と、
ii. エアロゾル形成基体にエアロゾル形成体を適用する工程であって、エアロゾル形成体の量が、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で6パーセント~20重量パーセントの範囲である工程と、
iii. エアロゾル形成基体を基体部分として成形する工程であって、基体部分が20ミリメートル~45ミリメートルの長さ、および4ミリメートル~7ミリメートルの直径を有する工程とを含む。
【0043】
本発明のこの態様によれば、方法による基体部分は、5ミリメートル~6ミリメートルの範囲の直径を有することが好ましく、5.2ミリメートル~5.5ミリメートルがより好ましい。基体部分は、約5.3ミリメートルとなる直径を有してもよい。基体の直径が小さいほど、十分な量の材料が放出されて望ましい量のエアロゾルを形成するような、エアロゾル発生物品のコア温度を上昇させるために必要な温度がより低くなる。
【0044】
エアロゾル形成基体はカットフィラーを含みうる。本発明と共に使用するのに適したカットフィラーは、一般に、従来の喫煙物品に使用されるカットフィラーに対応しうる。カットフィラーのカット幅は、0.3ミリメートル~2.0ミリメートル、0.5ミリメートル~1.2ミリメートル、0.6ミリメートル~0.9ミリメートルの範囲でありうる。
【0045】
カットフィラーのストランド長さは、適切とみなされるものとして自由に選択することができる。カットフィラーのストランド長さは、ストランドの20%~60%が基体部分の全長に沿って延びるような長さでありうる。
【0046】
エアロゾル形成基体の重量は、80ミリグラム~400ミリグラム、好ましくは200ミリグラム~300ミリグラム、より好ましくは245ミリグラム~270ミリグラムでありうる。
【0047】
方法は、カットフィラーをエアロゾル形成体で含浸させる工程をさらに含みうる。含浸は、噴霧または他の適切な適用方法によって行うことができる。エアロゾル形成体は、カットフィラーの調製中にブレンドに適用されうる。例えば、エアロゾル形成体は、直接コンディショニングケーシング円筒(DCCC)中のブレンドに適用されてもよい。エアロゾル形成体をカットフィラーに適用するために、従来の機械を使用することができる。エアロゾル形成体は、使用時に密度が高く安定したエアロゾルの形成を容易にし、エアロゾル発生物品の使用中に典型的に適用される温度で熱分解に対して実質的に耐性のある任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(例えば、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(例えば、グリセロールモノ-、ジ-またはトリアセテートなど)、モノ-、ジ-またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(例えば、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0048】
エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールのうちの一つ以上を含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンもしくはプロピレングリコール、またはグリセリンおよびプロピレングリコールの組み合わせから成りうる。
【0049】
エアロゾル形成体の量は、エアロゾル形成基体の乾燥質量基準で、6重量パーセント~20重量パーセントの範囲でありうる。
【0050】
本発明のエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体が提供される基体部分のみを本質的に含んでもよい。こうした実施形態は、可能な限り最も単純な構造を有するものとなる。
【0051】
方法は、基体部分と直接隣接するエアロゾル発生物品の一方の端に取り付けられうる接続部分を提供する工程をさらに含みうる。接続部分は、基体部分から下流に位置しうる。
【0052】
接続部分は、管状中空コア構造を有してもよい。接続部分は、中空アセテート管(HAT)、微細中空アセテート管(FHAT)、または中央段ボール管の周りに巻かれたトウのプラグであってもよく、その構造のすべては、電子喫煙装置に使用されるフィルター要素の製造から知られている。接続部分は、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。例えば、フィルター部分は、セルロースアセテート、ボール紙、紙(捲縮した耐熱紙または捲縮した硫酸紙など)、綿、ビスコース、ガラス繊維、およびその他の高分子材料(低密度ポリエチレン(LDPE)など)から成る群から選択される一つ以上の材料から形成されてもよい。好ましい実施形態において、フィルター部分は、セルロースアセテートから形成されている。
【0053】
接続部分は、3ミリメートル~5ミリメートル、好ましくは3.5ミリメートル~4.5ミリメートル、より好ましくは約4ミリメートルの内径を有する中空アセテート管として提供されうる。
【0054】
接続部分は、0.4ミリメートル~0.9ミリメートル、好ましくは0.5ミリメートル~0.7ミリメートル、より好ましくは0.6ミリメートルの壁の厚さを有する微細中空アセテート管として提供されうる。
【0055】
接続部分の長さは5ミリメートル~30ミリメートルであってもよく、接続部分の長さは10ミリメートル~25ミリメートルであることが好ましい。
エアロゾル発生物品は、20ミリメートル~60ミリメートル、好ましくは40ミリメートル~50ミリメートル、より好ましくは約45ミリメートルの全長を有してもよい。
【0056】
方法は、接続部分および基体部分と重なるように、接続部分および基体部分の周りに少なくとも部分的に巻かれて配設されたチッピングペーパーを提供する工程をさらに含みうる。チッピングペーパーは、10ミリメートル~30ミリメートルの長さを有しうる。チッピングペーパーは、エアロゾル発生物品の構成要素を相互に取り付けるために使用されうる。
【0057】
エアロゾル発生物品は、二つのセクション、すなわち、基体部分および接続部分のみを備えることが好ましい。こうした実施形態は、依然として非常に単純な構造を有し、従って、かなり低減された費用で製造されうる。
【0058】
方法は、エアロゾル発生物品に含められるフィルターセクションを提供するステップをさらに含みうる。こうした追加のフィルターセクションは、基体部分と接続部分の間に含まれうることが好ましい。
【0059】
方法は、エアロゾル形成基体の不慮のまたは意図的な燃焼を防止するための手段を提供する工程をさらに含んでもよい。こうした手段は、金属ホイルまたはアルミニウム共積層紙などの共積層紙など不燃性材料のラッパーを含みうる。
【0060】
方法は、エアロゾル発生物品の基体部分の上流端および下流端のうちの一つ以上にエアロゾル形成基体の高密度端部領域を提供する工程をさらに含みうる。高密度端部領域は、基体部分の残りのセクションの密度よりも最大10パーセント高い密度を有してもよい。
【0061】
エアロゾル発生物品の接続部分の下流端は、マウスピースに接続されるようにさらに構成されてもよい。マウスピースは、再利用可能なマウスピースであってもよく、また接続部分と共に提供されてもよい。使用中、エアロゾル発生物品の接続部分は、マウスピースの接続部分に接続されている。一実施形態において、マウスピースは、吸入可能なエアロゾルが通るのを可能にする内部チャネルを画定しうる。マウスピースの内部チャネルは、マウスピースの長軸方向の長さに沿って変化する内径を有してもよい。
【0062】
マウスピースの内部チャネルの内径は、マウスピースの下流端に向かって次第に増加してもよい。直径が増大する空気チャネルは、冷却要素として好適に作用しうる。こうしたチャネルを通して引き出された吸入可能なエアロゾルは膨張し、従って、いわゆるベンチュリ効果によって冷却する。
【0063】
一態様に関して説明された特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の側面図を示す。
【
図2】
図2は、マウスピースを含むエアロゾル発生物品を通る断面を示す。
【
図3】
図3は、本発明のエアロゾル発生システムを通る断面を示す。
【0065】
図1には、本発明によるエアロゾル発生物品10が図示されている。エアロゾル発生物品10は、基体部分12および中空アセテート管の形態での接続部分14を備える。中空アセテート管は、基体部分12と直接隣接している。これらの二つの部分は、完全な接続部分14および基体部分12の一部分の上に延びるチッピングペーパー16によって互いに接続される。
【0066】
基体部分12は、32ミリメートルの長さ、および5.3ミリメートルの直径を有する。接続部分14は、15ミリメートルの長さ、および5.3ミリメートルの外径も有する。接続部分14の中空アセテート管の内径は、4ミリメートルとなる。
【0067】
チッピングペーパー16は、20ミリメートルの長さを有する。二つの部分のエアロゾル発生物品10は、45ミリメートルの全長を有する。緩んだ端を防止するために、エアロゾル形成基体には、基体部分12の両端に基体密度の増加が提供される。エアロゾル発生物品10の上流端の高密度端部20は、エアロゾル形成基体が基体部分12の上流端から落ちるのを防止する。基体部分12の下流端の高密度端部22は、基体部分12のこの部分に十分な剛性を提供し、これは接続部分14への基体部分12の良好でしっかりとした取付けを確実にするのに役立つ。
【0068】
接続部分14は、
図2に示す断面図に見られるように、エアロゾル発生物品10の使用時にマウスピース24に接続されるように構成されている。ここでもエアロゾル発生物品10は、相互にしっかりと取り付けられた基体部分12および接続部分14の二つの部分を備える。マウスピース24はまた、エアロゾル発生物品10の接続部分14の内径に対応する外径を有する接続部分26を備える。一緒に取り付けられる時、マウスピース24とエアロゾル発生物品10の間の気密接続が確立される。
【0069】
マウスピース24は、発生したエアロゾルの気流経路を画定する中央チャネル28を有する。中央チャネル28の直径は、気流経路に沿って次第に増加している。この構造によって引き起こされるベンチュリ効果により、マウスピース24はエアロゾルの冷却を効率的に支持する。
【0070】
図3には、本発明のエアロゾル発生システム30の概略的断面が図示されている。エアロゾル発生システム30は、エアロゾル発生装置32およびエアロゾル発生物品10を備える。
【0071】
エアロゾル発生装置32は、電源36および電子回路38が中に位置するハウジング34を備える。エアロゾル発生装置32は、発熱体42が中に配設されている加熱チャンバー40をさらに備える。
【0072】
図3に示すように、加熱チャンバー40は、エアロゾル発生物品10を受容するように構成されたくぼみを画定する。加熱チャンバー40に挿入された時、発熱体42はエアロゾル発生物品10の外周を囲む。
図3の実施形態において、発熱体42は外部発熱体として提供されている。