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特許72923942-アルコキシ-4-アミノ-5-メチル-ピリジン及び/又は2-アルコキシ-4-アルキルアミノ-5-メチル-ピリジンを調製するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】2-アルコキシ-4-アミノ-5-メチル-ピリジン及び/又は2-アルコキシ-4-アルキルアミノ-5-メチル-ピリジンを調製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/74 20060101AFI20230609BHJP
【FI】
C07D213/74
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021535144
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2019086760
(87)【国際公開番号】W WO2020128020
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】18215577.0
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506207853
【氏名又は名称】サルティゴ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カルステン・フォン・デム・ブルッフ
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09561228(US,B2)
【文献】国際公開第2017/012647(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物及び/又は式(II)
【化2】
(式中、Rは、非置換、一置換又は多置換であり得る直鎖状又は分岐状のC~C10-アルキルであるか、又は
は、非置換、一置換又は多置換であり得るC~C-シクロアルキルであるか、又は
は、非置換、一置換又は多置換であり得るベンジル、フェネチル、2-フリルメチル、3-フリルメチル、2-ピリジルメチル、3-ピリジルメチル、4-ピリジルメチル、1-ナフチルメチル又は2-ナフチルメチル基である)
の化合物を製造するための方法であって、少なくとも、式(III)
【化3】
(式中、Xは、Cl又はBrである)
の化合物を、式(IV)
OH (IV)
(式中、基Rは、式(I)について特定された定義を有する)
の化合物と塩基の存在下及び任意選択により場合によっては溶媒の存在下で反応させることを含み、
式(III)の化合物と式(IV)の化合物の反応を、遷移金属化合物から選択される触媒の非存在下で実施する、製造方法。
【請求項2】
前記塩基が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩から又は式(V)
OM (V)
(式中、基Rは、式(I)について特定された定義を有し、かつMは、アルカリ金属である)
の化合物或いはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒が、トルエン、o-、m-、p-キシレン、エチルベンゼン、エトキシベンゼン、前記式(IV)の化合物、水、又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応が、100℃~180℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記式(III)の化合物の1モルあたり、1~10モルの前記式(IV)の化合物が使用されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記式(III)の化合物の1モルあたり、1.5~6モルの前記塩基が使用されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
a)少なくとも前記塩基及び任意選択により場合によっては溶媒が最初に仕込まれ、及び
b)溶媒なしで又は溶液としての前記式(III)の化合物が、ステップa)の混合物に0~170℃の温度で添加され、及び
c)ステップb)から得られた混合物が、120~170℃の温度で反応されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
a)少なくとも、前記式(V)の化合物、NaOH、又はKOHから選択される前記塩基、前記式(IV)の前記化合物、及び任意選択により場合によっては溶媒が、最初に仕込まれ、及び
b)前記式(III)の化合物、任意選択により場合によっては前記式(IV)の前記化合物との混合物としての前記式(III)の化合物は、ステップa)の混合物に120~170℃の温度で添加され、及び
c)ステップb)から得られた混合物が、120~170℃の温度で反応されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも前記塩基、任意選択により場合によっては溶媒、及び前記式(III)の化合物が、混合され、且つこの混合物が、120~170℃に加熱されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも、前記式(V)の化合物、NaOH、又はKOHから選択される前記塩基;トルエン、o-、m-、p-キシレン、エチルベンゼン、エトキシベンゼン、又は水から選択される溶媒;及び前記式(IV)の化合物が、混合され、且つこの混合物が、120~170℃に加熱されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも前記式(III)の化合物及び任意選択により場合によって溶媒が、最初に仕込まれ、且つその後、塩基及び前記式(IV)の化合物が添加されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも前記式(III)の化合物及びトルエン、o-、m-、p-キシレン、エチルベンゼン、エトキシベンゼン、又は水から選択される溶媒が最初に仕込まれ、且つその後、塩基としての前記式(V)の化合物及び前記式(IV)の化合物が添加されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
液相が、前記の反応中に蒸留除去されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の2-アルコキシ-4-アミノ-5-メチルピリジン及び/又は式(II)の2-アルコキシ-4-アルキルアミノ-5-メチルピリジンを、対応する2-ハロアミノピリジン及び適切なアルコールから塩基又は対応するアルコキシドの存在下で調製するための方法及びそれから得られる化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
2-アルコキシ-4-アミノ-5-メチルピリジン及び2-アルコキシ-4-アルキルアミノ-5-メチルピリジンは、医薬的及び農業化学的な有効成分を合成するための出発物質である。そのような構造要素は、例えば、(特許文献1)におけるアセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害薬に見出され、それらは、糖尿病又は肥満の治療に使用することができる。(特許文献2)における有効成分として、式(I)のそのような2-アルコキシ-4-アミノ-5-メチルピリジンは、がんの治療に使用され得る、ERKキナーゼ阻害薬の群からの有効成分を調製するための出発物質として開示されている。
【0003】
今日まで、そのような2-アルコキシ-4-アミノ-5-メチルピリジン及び/又は2-アルコキシ-4-アルキルアミノ-5-メチルピリジンを調製するための方法は、文献から公知ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/114578A2号パンフレット
【文献】国際公開第2014/124230A2号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、式(I)の2-アルコキシ-4-アミノ-5-メチルピリジン及び/又は式(II)の2-アルコキシ-4-アルキルアミノ-5-メチルピリジンを調製するための方法であって、それによってこれらのピリジン誘導体を、工業的なプロセスで効率的に調製することができる方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、式(I)の2-アルコキシ-4-アミノ-5-メチルピリジン及び/又は式(II)の2-アルコキシ-4-アルキルアミノ-5-メチルピリジンを調製するための方法であって、式(III)の2-ハロ-4-アミノ-5-メチルピリジンをアルコール及び塩基の存在下で反応させて、それらの生成物を良好な収率及び高い純度で与えることを含む方法が見出された。
【0007】
したがって、本発明は、式(I)
【化1】
の化合物及び/又は式(II)
【化2】
(式中、Rは、非置換、一置換又は多置換であり得る直鎖状又は分岐状のC~C10-アルキル、好ましくは直鎖状又は分岐状のC~C-アルキルであるか、又は
は、非置換、一置換又は多置換であり得るC~C-シクロアルキルであるか、又は
は、非置換、一置換又は多置換であり得るアラルキルである)
の化合物を調製するための方法であって、少なくとも、式(III)
【化3】
(式中、Xは、Cl又はBr、好ましくはClである)
の化合物を、式(IV)
OH (IV)
(式中、基Rは、式(I)について特定された定義を有する)
の化合物と塩基の存在下及び任意選択により場合によって溶媒の存在下で反応させることを含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
式(II)の化合物において、ピリジン環の2位での置換基「O-R」における基Rと、ピリジン環の4位での置換基「NH-R」における基Rとは、1つの分子において同じであることが好ましい。本発明における方法では、異なるR基を有する式(IV)及び/又は(V)の化合物の混合物を使用した場合、1つの分子中に異なるR基を含む化合物を作ることも可能である。
【0009】
における直鎖状のC~C10-アルキルは、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル又はn-デシルである。
【0010】
における非置換の直鎖状又は分岐状のC~C10-アルキルは、好ましくは、メチル、エチル又はn-プロピルである。Rにおける置換された直鎖状のアルキルは、好ましくは、シクロプロピルメチル又は1,1-ジフルオロエチルである。
【0011】
における直鎖状又は分岐状のC~C-アルキルとしては、例えば、以下が挙げられる:メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル又は3-エチル-1-ブチル。
【0012】
直鎖状又は分岐状のC~C10-アルキル又はC~C-アルキルは、非置換であり得る。それは、一置換又は多置換であり得る。一置換されたC~C-アルキルの例としては、以下が挙げられる:2-メトキシ-1-エチル、2-エトキシ-1-エチル、3-メトキシ-1-プロピル、3-エトキシ-1-プロピル若しくは1-シクロプロピルメチル、1-シクロプロピルエチル、1-シクロブチルエチル、1-シクロペンチルエチル、1-シクロヘキシルエチル、2-シクロプロピルエチル、2-シクロブチルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、1,1-ジフルオロエチル又は2,2-ジフルオロシクロプロピルメチル。
【0013】
におけるC~C-シクロアルキルとしては、例えば、以下が挙げられる:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル。
【0014】
~C-シクロアルキルも非置換、一置換又は多置換であり得る。一置換されたC~C-シクロアルキルの例としては、以下が挙げられる:2-メチルシクロブチル、3-メチルシクロブチル、2-メチルシクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2-メチルシクロヘプチル、3-メチルシクロヘプチル、4-メチルシクロヘプチル、2-エチルシクロブチル、3-エチルシクロブチル、2-エチルシクロペンチル、3-エチルシクロペンチル、2-エチルシクロヘキシル、3-エチルシクロヘキシル、4-エチルシクロヘキシル、2-プロピルシクロブチル、3-プロピルシクロブチル、2-プロピルシクロペンチル、3-プロピルシクロペンチル、2-ブチルシクロブチル、3-ブチルシクロブチル、2-ヒドロキシシクロプロピル、2-フルオロシクロプロピル。
【0015】
におけるアラルキルは、芳香族基で置換されるか又はヘテロ芳香族基で置換された両方のアルキル基を含み、例えばベンジル、フェネチル、2-フリルメチル、3-フリルメチル、2-ピリジルメチル、3-ピリジルメチル、4-ピリジルメチル、1-ナフチルメチル又は2-ナフチルメチルである。Rにおけるアラルキルは、ベンジル、2-フリルメチル、3-フリルメチル又は3-ピリジルメチルであることが好ましい。
【0016】
本発明における方法では、塩基は、以下から選択される:アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩、又は式(V)
OM (V)
(式中、基Rは、式(I)について特定された定義を有し、及びMは、アルカリ金属、特にカリウム又はナトリウム、特に好ましくはナトリウムである)
の化合物或いはそれらの混合物。本発明における方法では、塩基は、固体又は液体の形態のいずれかであり得、純粋な物質として且つ液状媒体中に溶解若しくは懸濁された形態で使用され得る。反応において使用される式(V)のアルカリ金属アルコキシドは、典型的には、それらのアルコール溶液の形態において又は溶媒なしで使用される。
【0017】
本発明における方法は、典型的には、溶媒の存在下で実施される。その場合、反応混合物中において、不溶性成分が反応の開始時、反応中、又は反応の終了時に生じる可能性がある。好適な溶媒は、トルエン、o-、m-、p-キシレン、エチルベンゼン、エトキシベンゼン、式(IV)の化合物、水、又はそれらの混合物である。本発明における方法のために、使用される溶媒は、トルエン、p-キシレン、若しくは式(IV)の化合物、水、又はそれらの混合物であることが好ましい。
【0018】
反応のパートナー、すなわち式(III)の化合物と式(IV)の化合物とは、本発明における方法では、例えば100~180℃、好ましくは120~160℃の温度で反応される。この場合、反応のパートナーは、室温において、純粋な物質として又は溶媒に溶解若しくは懸濁された形態のいずれかで個々に又は別々に混合することができる。次いで、反応混合物は、必要とされる反応温度に加熱され、溶媒は、同時に及び/又は段階的に蒸留除去されても又はされなくてもよい。本発明における方法のさらなる実施形態では、塩基は、式(III)の化合物と溶媒との混合物と合わせて、周囲温度よりも高い温度にあらかじめ加熱されてもよく、且つその後、式(IV)の化合物が添加される。添加は、例えば、数回にわけて又は連続的に実施される。式(IV)の化合物を連続的に添加することが好ましい。
【0019】
好ましい実施形態では、本発明における方法は、以下のように実施される:ステップa)において、少なくとも、例えば対応するアルコール中の溶液としての又は溶媒なしでの塩基、好ましくは式(V)の化合物及び任意選択により場合によって溶媒が最初に仕込まれ、及びステップb)において、溶液としての又は溶媒なしでの式(III)の化合物がステップa)の混合物に0~170℃、好ましくは20~160℃の温度で添加され、及びステップc)において、ステップb)から得られた混合物が120~170℃、好ましくは130~160℃の温度で反応される。式(III)の化合物は、典型的には、1つのステップにおいて、2つ以上のステップにおいて又は連続的に添加される。
【0020】
典型的には、本発明における方法は、式(III)の化合物1モルあたり1~10モル、好ましくは1~6モル、特に好ましくは2~4モルの式(IV)の化合物が使用されるように実施される。
【0021】
また、典型的には、本発明における方法では、式(III)の化合物1モルあたり1.5~6モル、好ましくは2~5モル、特に好ましくは2.5~4モルの塩基が使用される。
【0022】
本発明における方法では、例えばステップa)において、少なくとも、好ましくは対応するアルコール中の溶液としての又は溶媒なしでの、式(V)の化合物、NaOH又はKOHから選択される塩基、式(IV)のアルコール及び任意選択により場合によっては溶媒が最初に仕込まれ得る。ステップb)において、任意選択により場合によっては式(IV)の化合物との混合物としての式(III)の化合物が、ステップa)の混合物に120~170℃、好ましくは130~160℃の温度で添加され得る。式(III)の化合物は、典型的には、1つのステップにおいて、2つ以上のステップにおいて又は連続的に添加される。ステップb)から得られた混合物は、120~170℃、好ましくは130~160℃の温度で反応され得る。この場合、溶媒は、同時に及び/又は段階的に蒸留除去されても又はされなくてもよい。典型的には、ステップa)、b)及びc)は、連続的に実施される。
【0023】
本発明における方法において且つさらなる好ましい実施形態では、例えば、塩基、任意選択により場合によっては溶媒、及び式(III)の化合物が混合され、且つこの混合物が120~170℃、好ましくは130~160℃に加熱される。この場合、溶媒は、同時に及び/又は段階的に蒸留除去されても又はされなくてもよい。好ましくは、反応混合物は、さらなる反応が起きなくなるまでこの温度に維持される。化学反応は、典型的には、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、赤外分光法、又はHPLCによって追跡される。
【0024】
本発明における方法では、好ましくは且つ例として、少なくとも、式(V)の化合物、NaOH又はKOHから選択される塩基、トルエン、o-、m-、p-キシレン、エチルベンゼン、エトキシベンゼン又は水から選択される溶媒、及び式(IV)の化合物は、最初に、好ましくは周囲温度で混合され、且つこの混合物は、120~170℃、好ましくは130~160℃に加熱される。式(V)の化合物を塩基として使用する場合、式(V)と同じ基Rを含む式(IV)の化合物を溶媒として使用することが好ましい。この実施形態では、例えば塩基としてナトリウムベンジルオキシドを使用する場合、ベンジルアルコールが溶媒として使用される。
【0025】
本発明における方法では、例えば、少なくとも式(III)の化合物及び任意選択により場合によっては溶媒が最初に仕込まれ、且つその後、塩基及び式(IV)の化合物が添加される。添加中、塩基は、純粋な物質として又は溶媒に溶解若しくは懸濁された形態のいずれかで存在し得る。
【0026】
本発明における方法は、少なくとも、式(III)の化合物及びトルエン、o-、m-、p-キシレン、エチルベンゼン、エトキシベンゼンから選択される溶媒が最初に仕込まれ、且つその後、塩基としての式(V)の化合物及び式(IV)の化合物が添加されるように実施されることが好ましい。本発明における方法における反応中、液相は、蒸留除去されることが好ましい。この場合、反応中の蒸留は、常圧、又は昇圧、又は減圧下で実施され得る。反応中の蒸留は、0.0001~0.1MPaの圧力で実施されることが好ましい。当業者は、典型的には、溶媒の沸点及び必要とされる反応温度に応じて圧力を選択する。
【0027】
反応温度が反応混合物又は反応混合物の個々の成分の常圧での沸点よりも高い場合、反応は、典型的には、圧力密封装置、例えばオートクレーブ内において、自らによる高い圧力下又は例えば窒素による加圧下で実施される。
【0028】
本発明における方法は、銅化合物の非存在下、例えばヨウ化銅の非存在下で実施されることが好ましい。代替的な実施形態では、本発明における方法は、触媒の非存在下、例えば遷移金属化合物の非存在下で実施される。驚くべきことに、本発明における方法を使用すると、式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物は、銅化合物、例えばヨウ化銅の非存在下及び/又は触媒、例えば遷移金属化合物の非存在下でも高収率で得られる。
【0029】
式(III)の化合物の反応が完了した後、反応生成物、すなわち式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物は、反応混合物から、例えば、
a)周囲温度~反応温度までの温度に制御された、好ましくは15℃~100℃に冷却された反応混合物に水を添加し、及び
b)酸、例えば塩酸を添加し、混合物のpHを例えばpH7~9に調節し、及び
c)水及び水とほとんど混和しない溶媒、例えばトルエン又はキシレンを混合物に添加し、得られた混合物を混合し、及び
d)次いで、相分離後、有機相を単離し、任意選択により場合によっては水を用いて洗浄し、次いで任意選択により場合によっては前記有機相から水を除去し、及び
e)次いで、有機相の揮発性成分を例えば蒸留によって除去し、粗生成物を得、及び
f)次いで、粗生成物から分別蒸留又は結晶化のいずれかによって生成物を単離する
ことによって得られる。
【0030】
この変形形態では、ステップa)の後且つステップb)の前に、本発明における方法が式(IV)の溶媒の存在下で実施された場合、式(IV)の溶媒を例えば蒸留によって反応混合物から除去する。さらなる変形形態では、例えば、本発明における方法が式(IV)の溶媒の存在下で実施された場合、
a)酸、例えば塩酸を添加することにより、反応混合物のpHが例えばpH7~9に調節され、及び
b)次いで、反応混合物に式(IV)のさらなる溶媒、例えばエタノールが添加され、それにより生成物が固形分として沈殿することができ、及び
c)次いで、反応混合物から例えば蒸留によって揮発性成分が除去され、それにより粗生成物が得られ、及び
d)次いで、任意選択により場合によっては生成物が分別蒸留又は結晶化のいずれかによって粗生成物から単離される。
【0031】
さらなる変形形態では、式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物は、反応混合物から、例えば、
a)固形物として沈殿した粗生成物を、好ましくは濾過により、周囲温度~反応温度までの温度に制御された、好ましくは15℃~70℃に冷却された反応混合物から除去し、及び
b)次いで、任意選択により場合によっては粗生成物から分別蒸留又は結晶化のいずれかによって生成物を単離する
ことによって分離除去される。
【0032】
この変形形態では、ステップa)前に、溶媒、例えばエタノールを、周囲温度~反応温度までの温度に制御された、好ましくは15℃~70℃に冷却された反応混合物に添加する。この場合にも、ステップa)前に、任意選択により場合によっては酸、例えば塩酸を添加することにより、混合物のpHを例えばpH7~9に調節し得る。
【0033】
本発明は、本発明における方法によって得られる式(I)又は式(II)の化合物も含む。
【0034】
本発明は、好ましくは、式(I)
【化4】
(式中、Rは、直鎖状又は分岐状のC~C-アルキル、好ましくはC~C-アルキルであるか、又はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、若しくは3-エチル-1-ブチルを含む群から選択される基であり、
直鎖状又は分岐状のC~C-アルキルは、非置換、一置換、又は多置換であることができ、又は
は、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、
2-メチルシクロブチル、3-メチルシクロブチル、
2-メチルシクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、
2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、
2-メチルシクロヘプチル、3-メチルシクロヘプチル、4-メチルシクロヘプチル、
2-エチルシクロブチル、3-エチルシクロブチル、
2-エチルシクロペンチル、3-エチルシクロペンチル、
2-エチルシクロヘキシル、3-エチルシクロヘキシル、4-エチルシクロヘキシル、
2-プロピルシクロブチル、3-プロピルシクロブチル、
2-プロピルシクロペンチル、3-プロピルシクロペンチル、
2-ブチルシクロブチル、3-ブチルシクロブチル、
2-ヒドロキシシクロプロピル又は2-フルオロシクロプロピル
を含む群から選択されるC~C-シクロアルキルであり、
~C-シクロアルキルは、非置換、一置換、又は多置換であることができ、又は
は、非置換、一置換、又は多置換であり得るアラルキル、好ましくはベンジル、フェネチル、2-フリルメチル、3-フリルメチル、2-ピリジルメチル、3-ピリジルメチル、4-ピリジルメチル、1-ナフチルメチル、又は2-ナフチルメチルである)
の化合物を含む。
【0035】
これらの式(I)の化合物は、上記の本発明における方法により、高収率及び高純度で得ることが可能である。
【0036】
本発明は、好ましくは、式(II)
【化5】
(式中、Rは、直鎖状又は分岐状のC~C-アルキル、好ましくはC~C-アルキルであるか、又はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、3-エチル-1-ブチルを含む群から選択される基であり、
直鎖状又は分岐状のC~C-アルキルは、非置換、一置換又は多置換であることができ、又は
は、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、
2-メチルシクロブチル、3-メチルシクロブチル、
2-メチルシクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、
2-メチルシクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、
2-メチルシクロヘプチル、3-メチルシクロヘプチル、4-メチルシクロヘプチル、
2-エチルシクロブチル、3-エチルシクロブチル、
2-エチルシクロペンチル、3-エチルシクロペンチル、
2-エチルシクロヘキシル、3-エチルシクロヘキシル、4-エチルシクロヘキシル、
2-プロピルシクロブチル、3-プロピルシクロブチル、
2-プロピルシクロペンチル、3-プロピルシクロペンチル、
2-ブチルシクロブチル、3-ブチルシクロブチル、
2-ヒドロキシシクロプロピル又は2-フルオロシクロプロピル
を含む群から選択されるC~C-シクロアルキルであり、
~C-シクロアルキルは、非置換、一置換、又は多置換であることができ、又は
は、非置換、一置換、又は多置換であり得るアラルキル、好ましくはベンジル、フェネチル、2-フリルメチル、3-フリルメチル、2-ピリジルメチル、3-ピリジルメチル、4-ピリジルメチル、1-ナフチルメチル又は2-ナフチルメチルである)
の化合物も含む。
【0037】
式(II)のこれらの化合物は、上記の本発明における方法によって得ることが可能である。典型的には、基Rが、立体的に難易度がより低い例えばメチル又はエチルであり、反応の全ての成分、すなわち式(I)の化合物、溶媒として機能する式(IV)の化合物、塩基として且つ反応物としての式(V)の化合物を好ましくは周囲温度で混合し、且つ次いで混合物を120~170℃、好ましくは130~160℃に加熱する場合、式(II)の化合物をより高い収率で得ることができる。導入される基Rが、立体的に難易度がより高い例えばベンジルである場合、例えば、任意選択により、対応する式(IV)のアルコール中に溶解させた式(III)の化合物を式(V)のアルコキシドの溶液に120~170℃、好ましくは130~160℃の温度で添加するとき、式(II)の化合物がより高い収率で得られる。
【0038】
特に好ましいのは、式(I)
【化6】
の化合物及び/又は式(II)
【化7】
(式中、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピルメチル、2,2-ジフルオロシクロプロピルメチル、ベンジル、1-メトキシエトキシ又は1,1-ジフルオロエチルである)
の化合物である。
【実施例
【0039】
実施例1a:4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン/4-ベンジルアミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
60g(0.55モル)のベンジルアルコールと、40g(0.22モル)の30%ナトリウムメトキシドのメタノール性溶液との混合物を約150℃まで加熱し、生成したメタノールを蒸留除去した。150℃に達してから、90mbarの真空を適用し、留出物を連続的に除去し、これらの条件下で混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、150℃で真空度をより高くして、蒸留を開始させた。塔頂部温度が100℃に到達するか又はそれを超えるまで、これらの条件下で蒸留を続けた。
【0040】
次いで、150℃且つ標準圧力下で20g(0.18モル)のベンジルアルコール中の10g(0.07モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジンの溶液を2時間かけて計量仕込みした。計量仕込みが終わったら、反応混合物を150℃でさらに撹拌して、転化を完了させた。
【0041】
室温に冷却し、40gの水及び60gのトルエンを添加した後、30%の塩酸水溶液を用いて混合物を酸性化して、pH9とした。水相を除去した後に残った有機相を、40gの水を用いて1回洗浄した。
【0042】
140℃の底部温度及び10mbarになるまで有機相を減圧下で濃縮した後、40重量%の4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン(0.03モル)及び55重量%の4-ベンジルアミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン(0.03モル)を含む18gのベージュ色のオイルが残った(それぞれ48%及び46%の理論収量)。H-NMR及びGC-MSでそれらの化学構造を実証する。
【0043】
実施例1b:4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン/4-ベンジルアミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
60g(0.55モル)のベンジルアルコールと9g(0.22モル)の水酸化ナトリウムとの混合物を、留出物を除去しながら約150℃まで加熱した。150℃に達してから、90mbarの真空を適用し、留出物を連続的に除去し、これらの条件下で混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、150℃で真空度をより高くして、蒸留を開始させた。塔頂部温度が100℃に到達するか又はそれを超えるまで、これらの条件下で蒸留を続けた。
【0044】
次いで、150℃且つ標準圧力下で20g(0.18モル)のベンジルアルコール中の10g(0.07モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジンの溶液を2時間かけて計量仕込みした。計量仕込みが終わったら、反応混合物を150℃でさらに撹拌して、転化を完了させた。
【0045】
室温に冷却し、40gの水及び60gのトルエンを添加した後、30%の塩酸水溶液を用いて混合物を酸性化して、pH9とした。水相を除去した後に残った有機相を、40gの水を用いて1回洗浄した。
【0046】
140℃の底部温度及び10mbarになるまで有機相を減圧下で濃縮した後、45重量%の4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン(0.04モル)及び49重量%の4-ベンジルアミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン(0.03モル)を含む17gのベージュ色のオイルが残った(それぞれ53%及び40%の理論収量)。
【0047】
実施例1c:4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン/4-ベンジルアミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
60g(0.55モル)のベンジルアルコールと18g(0.22モル)の50%水酸化ナトリウム水溶液との混合物を、留出物を除去しながら約150℃まで加熱した。150℃に達してから、90mbarの真空を適用し、留出物を連続的に除去し、これらの条件下で混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、150℃で真空度をさらに高くして、蒸留を開始させた。塔頂部温度が100℃に到達するか又はそれを超えるまで、これらの条件下で蒸留を続けた。
【0048】
次いで、150℃且つ標準圧力下で20g(0.18モル)のベンジルアルコール中の10g(0.07モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジンの溶液を2時間かけて計量仕込みした。計量仕込みが終わったら、反応混合物を150℃でさらに撹拌して、転化を完了させた。
【0049】
室温に冷却し、40gの水及び60gのトルエンを添加した後、30%の塩酸水溶液を用いて混合物を酸性化して、pH9とした。水相を除去した後に残った有機相を、40gの水を用いて1回洗浄した。
【0050】
140℃の底部温度及び10mbarになるまで有機相を減圧下で濃縮した後、60重量%の4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン(0.05モル)及び35重量%の4-ベンジルアミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン(0.02モル)を含む約17gのベージュ色のオイルが残った(それぞれ65%及び28%の理論収量)。
【0051】
実施例1d:4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
57.5g(0.53モル)のベンジルアルコール、65g(0.61モル)のキシレン、19g(0.47モル)の水酸化ナトリウム及び25g(0.18モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジンの混合物を、留出物を除去しながら標準圧力で147℃まで加熱し、混合物をこの温度でさらに撹拌して、転化を完了させた。
【0052】
約100℃に冷却してから、生成した留出物並びにまた20gのキシレン及び60gの水を添加し、混合物を約60℃の温度に制御した。約60℃で下相を除去してから、残った有機相を、75gの水を用いて1回洗浄した。
【0053】
60℃の底部温度及び20mbarになるまで有機相を減圧下で濃縮した後、40重量%の4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジンを含む約79gのベージュ液体が残った(0.15モル、88%理論収量)。4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン対4-ベンジルアミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジンの比率は、約(98:2)であった。
【0054】
実施例1e:4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
23g(0.21モル)のベンジルアルコールを約120℃まで加熱した。約120℃、標準圧力下で53gのメタノール中の10g(0.07モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジンの溶液を2~3時間かけて計量仕込みし、メタノールを迅速に蒸留除去した。計量仕込みが終わってからも、約120℃の内部温度で加熱して、留出物がもはや出なくなるまで蒸留を続けた。
【0055】
24gのキシレン及び14.2g(0.18モル)の50%水酸化ナトリウム水溶液を添加してから、混合物を徐々に144℃まで加熱し、そのように得られた二相留出物中の水相を分離して取り出した。次いで、完全に留出物を除去できるように、これを調節して、混合物をさらに147℃まで加熱した。
【0056】
反応混合物を147℃で16時間撹拌してから、90~100℃に冷却し、13gのキシレン及び26gの脱イオン水を添加した。約60℃に冷却してから、水相を除き、有機相に30gの脱イオン水を添加した。30%塩酸水溶液を用いて酸性化してpH8~9としてから、水相を再び除いた。
【0057】
60℃までの底部温度及び100mbarの減圧下で有機相を濃縮すると、約26重量%の4-アミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン(0.07モル)及び1.7重量%の4-ベンジルアミノ-2-ベンジルオキシ-5-メチルピリジン(3ミリモル)を含む約54gの赤褐色の液状物が残った(それぞれ93%及び4%の理論収量)。
【0058】
実施例2a:4-アミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
オートクレーブ内において、12g(0.08モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジンと、144g(0.42モル)のナトリウムエトキシドの20%エタノール性溶液との混合物を自然に生じる圧力下で170℃まで加熱し、混合物をこれらの条件下で15時間撹拌した。
【0059】
室温に冷却してから、30%塩酸水溶液を用いて反応混合物を中和し、120gのエタノールを添加した。沈殿した固形物を濾別し、母液を濃縮乾固させた。母液を蒸発させた後に残った固形物を塩化メチレン中に取込み、不溶性の画分を濾別した。母液を再び濃縮乾固させた。85重量%の4-アミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジン(0.05モル)に加えて10重量%の4-エチルアミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジン(4ミリモル)を含む約8.4gのベージュ色のオイルが残った(それぞれ55%及び5%の理論収量)。
【0060】
粗生成物をtert-ブチルメチルエーテル/n-ヘキサンから再結晶させることによってさらに精製した。これにより、約95重量%の4-アミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジン含量を有する淡いベージュ色の固形物が得られた。
【0061】
実施例2b:4-アミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
120g(0.35モル)の、ナトリウムエトキシドの20%エタノール性溶液を約2時間かけて、120℃で留出物を除去しながら、25.2g(0.18モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジンと86g(0.70モル)のフェネトールとの混合物に添加した。計量仕込みが済んだら、混合物を170℃まで加熱し、この温度で完全に転化するまで撹拌した。
【0062】
室温に冷却してから、反応混合物に150gのtert-ブチルメチルエーテル及び150gの水を添加し、水相を除去した。有機相に150gの水を添加し、そのように得られた混合物を、30%塩酸水溶液を用いてpH8~9に調節した。水相を分離除去してから、有機相を50℃、20mbarで濃縮乾固させた。
【0063】
約88gの褐色の油状物が残り、減圧下での分別蒸留によりそれを精製した。沸点が最も高い留分として16gの無色の液体が得られ、それを冷却すると直ちに固化して、94重量%の4-アミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジン(0.10モル)及び4重量%の4-エチルアミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジン(3ミリモル)を含む無色の固形物が得られた(それぞれ56%及び2%の理論収量)。
【0064】
生成物の留分をn-ヘキサンから再結晶させて、さらに精製すると、理論収量の97%の収率で得られ、それは、4-エチルアミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジンをほとんど含まなかった。
【0065】
実施例2c:4-アミノ-2-エトキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
オートクレーブ内において、40g(0.28モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジン、146g(3.0モル)のエタノール及び43g(1.1モル)の水酸化ナトリウムの混合物を自然に生じる圧力下で145℃まで加熱し、混合物をこれらの条件下で16時間撹拌した。
【0066】
室温に冷却してから、反応混合物に150gの水を添加し、標準圧力で約100℃の底部温度まで上げて蒸留することにより、アルコールを除いた。蒸留のボトム液に150gのトルエンを加え、約50℃の温度に制御した。この温度で水相を分離除去した。
【0067】
150gの水をさらに添加してから、そのように得られた混合物を、30%塩酸水溶液を用いてpH8~9に調節した。次いで、標準圧力でトルエンを分離除去し、室温に冷却してから、沈殿した固形物を濾別し、100gの水を用いてそれを1回洗浄した。
【0068】
減圧下で乾燥させると、約99.8重量%の純度を有する36gの無色~淡いベージュ色の固形物が得られた(0.24モル、85%の理論収量に対応)。
【0069】
実施例3:4-アミノ-2-プロポキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
オートクレーブ内において、24g(0.17モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジン、120g(2.0モル)のn-プロパノール及び25.8g(0.65モル)の水酸化ナトリウムの混合物を自然に生じる圧力下で145℃まで加熱し、混合物をこれらの条件下で24時間撹拌した。
【0070】
室温に冷却してから、反応混合物に150gの水を添加し、標準圧力で約110℃の底部温度まで上げて蒸留することにより、アルコールを除いた。蒸留のボトム液に90gのトルエンを加え、約50℃の温度に制御した。この温度で水相を分離除去した。
【0071】
90gの水をさらに添加してから、そのように得られた混合物を、30%塩酸水溶液を用いてpH8~9に調節した。次いで、標準圧力でトルエンを分離し、そのように残った懸濁液に約70℃で12gのイソプロパノールを添加した。室温に冷却してから、沈殿した固形物を濾別し、60gの水を用いて1回洗浄した。
【0072】
減圧下で乾燥させると、99重量%の純度を有する24.4gの無色~淡いベージュ色の固形物が得られた(0.15モル、88%の理論収量に対応)。
【0073】
実施例4:4-アミノ-2-イソプロポキシ-5-メチルピリジンの調製(本発明)
オートクレーブ内において、24g(0.17モル)の4-アミノ-2-クロロ-5-メチルピリジン、120g(2.0モル)のイソプロパノール及び25.8g(0.65モル)の水酸化ナトリウムの混合物を自然に生じる圧力下で145℃まで加熱とし、混合物をこれらの条件下で24時間撹拌した。
【0074】
室温に冷却してから、反応混合物に100gの水を添加し、標準圧力で約110℃の底部温度まで上げて蒸留することにより、アルコールを除いた。蒸留のボトム液に90gのトルエンを加え、約50℃の温度に制御した。この温度で水相を分離除去した。
【0075】
90gの水をさらに添加してから、そのように得られた混合物を、30%塩酸水溶液を用いてpH8~9に調節した。次いで、標準圧力でトルエンを分離し、そのように残った懸濁液に約70℃で12gのイソプロパノールを添加した。室温に冷却してから、沈殿した固形物を濾別し、60gの水を用いて1回洗浄した。
【0076】
減圧下で乾燥させると、99.1重量%の純度を有する18.1gの無色~淡いベージュ色の固形物が得られた(0.11モル、65%の理論収量に対応)。