(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-08
(45)【発行日】2023-06-16
(54)【発明の名称】CO2捕捉を伴うハイブリッド発電プラント
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20230609BHJP
H01M 8/04111 20160101ALI20230609BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20230609BHJP
H01M 8/0656 20160101ALI20230609BHJP
H01M 8/0668 20160101ALI20230609BHJP
H01M 8/04007 20160101ALI20230609BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20230609BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20230609BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20230609BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20230609BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20230609BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20230609BHJP
H01M 8/083 20160101ALN20230609BHJP
H01M 8/086 20160101ALN20230609BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20230609BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04111
H01M8/00 Z
H01M8/0656
H01M8/0668
H01M8/04007
H01M8/10 101
B01D53/62 ZAB
B01D53/14 210
F01K23/10 U
F02C7/00 B
F02C6/18 A
H01M8/083
H01M8/086
H01M8/12 101
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094407
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-08-01
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513041244
【氏名又は名称】ミツビシ パワー アメリカズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mitsubishi Power Americas,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・シミン・デン
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-511956(JP,A)
【文献】特開平10-233225(JP,A)
【文献】特表2018-537817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
B01D 53/62,53/14
F01K 23/10
F02C 7/00,6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合サイクル発電プラントであって、
電気を生成するための回転シャフト動力を生成するために使用され得る排気ガスを生成するために燃料を燃焼させるように構成されたガスタービンエンジンと、
追加の電気を生成するための蒸気タービンを回転させるために前記排気ガスを用いて蒸気を生成するように構成された蒸気システムと
を備える複合サイクル発電プラントと、
汚染物質を除去するために前記排気ガスを受け取るように構成された排出物捕捉ユニットと、
構成要素の反応プロセスを介して電気を生成し、前記排出物捕捉ユニットを動作させるために副生成物の熱を提供するように構成された燃料電池と、
前記燃料電池のための前記構成要素のうちの少なくとも1つを生成するように構成された電解槽と
を備える発電設備。
【請求項2】
前記燃料が50%~70%の天然ガスである、請求項1に記載の発電設備。
【請求項3】
前記燃料が100%天然ガスである、請求項1に記載の発電設備。
【請求項4】
前記排出物捕捉ユニットが、前記排気ガスからCO2を除去するCO2捕捉システムを備える、請求項1に記載の発電設備。
【請求項5】
前記CO2捕捉システムが、モノエタノールアミンガス処理システムを備える、請求項4に記載の発電設備。
【請求項6】
前記燃料電池が、アルカリ燃料電池(AFC)およびリン酸燃料電池(PAFC)のうちの少なくとも1つを含むグループから選択された低温燃料電池を備える、請求項1に記載の発電設備。
【請求項7】
前記燃料電池が、副生成物として水を生成し、前記電解槽が、前記
水から前記構成要素のうちの少なくとも1つとしてH2ガスを生成するように構成された、請求項1に記載の発電設備。
【請求項8】
前記電解槽によって生成されたH2を貯蔵する貯蔵システムをさらに備える、請求項7に記載の発電設備。
【請求項9】
前記燃料電池と前記電解槽との間に配置され、前記電解槽に入る前に前記
水を冷却する冷却器をさらに備える、請求項7に記載の発電設備。
【請求項10】
前記電解槽から前記燃料電池に提供されるべき前記構成要素のうちの少なくとも1つを加圧するための圧縮機をさらに備える、請求項1に記載の発電設備。
【請求項11】
前記燃料電池からの前記副生成物の熱を、伝熱媒体を介して前記排出物捕捉ユニットに伝達するように構成された熱交換器をさらに備える、請求項1に記載の発電設備。
【請求項12】
複合サイクル発電プラントからの排出物を除去する方法であって、前記方法が、
ハイブリッド発電プラントを提供するステップであって、前記ハイブリッド発電プラントが、
電気入力を使用して水入力から電解槽を用いて水素ガスと酸素ガスとを生成し、
前記電解槽の少なくとも前記水素ガスから燃料電池を用いて電気と熱とを生成し、
前記燃料電池からの前記熱の少なくとも一部を、前記複合サイクル発電プラントのガスタービンエンジンからの排気ガスを受け取るように構成された排出物捕捉ユニットに伝達する
ように構成された、ステップ
を含む、方法。
【請求項13】
前記排出物捕捉ユニットによって捕捉されたCO2排出物を貯蔵または処理するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記燃料電池によって生成された前記熱を前記排出物捕捉ユニットに伝達するために、前記排出物捕捉ユニットと前記燃料電池との間で伝熱媒体を循環させるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記燃料電池から前記電解槽に前記水入力を提供するステップと、
前記燃料電池から入力された前記水を、前記電解槽において使用される前に冷却するステップと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
排気ガス生成発電プラント用の発電廃棄物捕捉システムであって、前記システムが、
水入力から水素ガスと酸素ガスとを生成するための電解槽と、
前記電解槽の前記水素ガスから電気と熱とを生成するための燃料電池と、
排気ガスからの排出物を捕捉するための排出物捕捉ユニットであって、前記排出物捕捉ユニットが前記燃料電池からの前記熱を使用するように構成された、排出物捕捉ユニットと
を備える、発電廃棄物捕捉システム。
【請求項17】
前記燃料電池が、アルカリ燃料電池とリン酸燃料電池とを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記水入力が前記燃料電池によって生成され、前記水入力が前記電解槽に提供される前に前記燃料電池からの前記水入力を冷却するための冷却器をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記燃料電池に熱結合された第1の熱交換器と、
前記排出物捕捉ユニットに熱結合された第2の熱交換器と、
前記第1の熱交換器と前記第2の熱交換器との間を循環するための冷却媒体と
をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記電解槽によって生成された水素を貯蔵するための水素貯蔵タンクをさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願
本出願は、2021年6月11日に出願した、米国仮特許出願第63/209,457号に対する優先権の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0002】
この文書は、概して、限定としてではなく、ガスタービン複合サイクル(GTCC:gas turbine combined cycle)発電プラントにおいて使用される電力サイクルに関する。より具体的には、限定としてではなく、本出願は、GTCC発電プラントにおける排出量を削減するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ガスタービン複合サイクル(GTCC)発電プラントにおいて、ガスタービンエンジンのための燃焼器は、様々な燃料を用いて作動することができる。ガスタービン燃焼器は、典型的には、現在の大規模GTCC発電プラントのための天然ガス(または液体)燃料を燃焼させるために設計される。水素燃料(H2)の燃焼は、二酸化炭素(CO2)排出を生じさせない。GTCC発電プラントにおいてH2を燃焼させるために、燃焼システムは、典型的には、天然ガス(または液体燃料)とH2との間の特性の違いに対応するように再設計される。典型的なガスタービン(GT:gas turbine)は、天然ガスと組み合わせて約30%から約50%(vol%)のH2を扱うことができる。H2および天然ガスの30/70または50/50分割を使用する場合、現在の燃焼器設計に関するタービン入口温度(T1t)は、天然ガスを燃焼させることから結果として生じる同様の窒素酸化物(NOx)排出レベルを達成するために、低減(ディレート(derate))され得る。たとえば、H2は、より高い温度において燃焼し、それによって、排出物内により多くの窒素を形成する。したがって、天然ガスと同じ窒素酸化物(NOx)排出量を維持するために、GTCCの性能は、ディレートされたタービン入口温度により、電力出力ならびに熱効率の点で影響を受けることになる。環境への配慮のためCO2排出量の削減を進めるために、100%H2燃料を燃焼させることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第4,087,976号
【文献】米国特許第5,376,470号
【文献】米国特許第4,857,283号
【文献】米国特許第4,477,419号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、とりわけ、電力サイクルにおいて解決されるべき問題が、天然ガス燃料およびH2燃料のうちの一方または組合せを用いて動作するGTCCでCO2捕捉システムを使用するときに生じる動作ペナルティを含む可能性があることを認識した。H2を天然ガスと混合することは、天然ガス燃料のみを燃焼させるよりも少ないCO2排出量をもたらすが、CO2排出量およびNOxなどの他の排出量を最小限に抑えるかまたは排除することが依然として望ましい。したがって、多くのGTCCシステムは、ガスタービンエンジンの排煙が環境に放出される前に最終的に通過するCO2捕捉システムを採用する。典型的に用いられるCO2捕捉技術は、関連する所望の化学プロセスを達成するために、入力として熱を利用する。GTCC発電プラントにおいてこの熱を考慮すると、システムの全体的な効率の低下が確認される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本主題は、従来の方法におけるCO2捕捉システムを用いて動作する従来のGTCC発電プラントと比較して、より高い全体的な効率でGTCC発電プラントの排出量を低減するために、CO2捕捉ユニットと組み合わせて燃料電池および電解槽を使用することなどによって、この問題および他の問題に対する解決策を提供するのを助けることができる。電解槽は、H2出力とO2出力とを生成するように動作され得、同時に、水出力と熱出力とを生成するために電解槽のH2出力およびO2出力を用いて燃料電池を動作させる。水は、電解槽に供給するために使用され得、熱は、CO2捕捉ユニットのための入力として使用され得る。燃料電池の追加の電力出力は、特に、動作電力を電解槽に提供するために再生可能エネルギーを使用する場合、従来の方法における(GTCC発電プラントからの熱入力を用いる)CO2捕捉ユニットを使用するよりも高い全体的なシステム効率を結果として生じることができる。
【0007】
一例において、発電設備は、電気を生成するための回転シャフト動力を生成するために使用され得る排気ガスを生成するために燃料を燃焼させるように構成されたガスタービンエンジンと、追加の電気を生成するための蒸気タービンを回転させるために排気ガスを用いて蒸気を生成するように構成された蒸気システムとを備える複合サイクル発電プラントと、汚染物質を除去するために排気ガスを受け取るように構成された排出物捕捉ユニットと、構成要素の反応プロセスを介して電気を生成し、排出物捕捉ユニットを動作させるために副生成物の熱を提供するように構成された燃料電池と、反応プロセスから結果として生じる燃料電池から受け取られた水副生成物から燃料電池のための構成要素を生成するように構成された電解槽とを備えることができる。
【0008】
別の例において、複合サイクル発電プラントからの排出物を除去する方法は、ハイブリッド発電プラントを提供するステップであって、ハイブリッド発電プラントが、電気入力を使用して水入力から電解槽を用いて水素ガスと酸素ガスとを生成し、電解槽の少なくとも水素ガスから燃料電池を用いて電気と熱とを生成し、燃料電池からの熱の少なくとも一部を、複合サイクル発電プラントのガスタービンエンジンからの排気ガスを受け取るように構成された排出物捕捉ユニットに伝達するように構成された、ステップを含むことができる。
【0009】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。これは、本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図していない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】排出物捕捉ユニットと、燃料電池と、電解槽とを有するハイブリッド複合サイクル発電プラントの概略図である。
【
図2】排出物捕捉ユニットと、燃料電池と、電解槽とを使用して複合サイクル発電プラントからの排出物を捕捉するための方法を示す概略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、同様の数字は、異なる図において同様の構成要素について説明している場合がある。異なる接尾辞を有する同様の数字は、同様の構成要素の異なるインスタンスを表している場合がある。図面は、概して、例として、限定としてではなく、本文書において論じられる様々な実施形態を示す。
【0012】
図1は、複合サイクル発電プラント18と連動して動作する、排出物捕捉ユニット12と、燃料電池14と、電解槽16とを有するハイブリッド複合サイクル発電プラント10の概略図である。複合サイクル発電プラント18は、ガスタービンエンジン20と、排熱回収ボイラ(HRSG:heat recovery steam generator)22と、蒸気システム24とを備えることができる。
【0013】
ガスタービンエンジン20は、発電機32を駆動するために空気Aおよび燃料Fの入力を用いて動作することができる、圧縮機26と、燃焼器28と、タービン30とを備えることができる。ガスタービンエンジン20は、空気Aおよび燃料Fを燃焼させた結果として排気ガスEを生成することができる。当該技術分野において知られているように、排熱回収ボイラ(HRSG)22は、蒸気タービン34を回転させるために蒸気を加熱すること、および発電機36を用いて電気を生成することのために排気ガスEを利用するボトミングサイクルを動作させることができる。蒸気タービン34を出る蒸気は、水をHRSG22に戻すために、復水器などの他の機器によって凝縮され得る。
【0014】
排気ガスEは、HRSG22を通過して排出物捕捉ユニット12に入ることができ、排出物捕捉ユニット12は、排気ガスE’が大気に放出される前に、貯蔵ユニット38における隔離または封じ込めのために、排気ガスからCO2を捕捉することができる。排出物捕捉ユニット12は、燃料電池14によって供給される熱Qを入力として用いて(低圧のLP蒸気を介して)動作することができ、凝縮物Cを出力することができる。本開示のハイブリッド発電プラントにおいて使用される排出物捕捉ユニット12は、CO2捕捉ユニットを含むことができる。しかしながら、ハイブリッド複合サイクル発電プラント10は、SCRとCO触媒とを使用して除去され得るNOx、CO、およびVOCのための他のタイプの排出物捕捉ユニットを追加で利用することができる。
【0015】
燃料電池14は、電解槽16からの水素ガス(H2)を反応させる結果として、熱Qと電力Pとを生成することができる。水素ガスH2は、圧縮機40の助けを借りて電解槽16によって燃料電池14に供給され得る。例において、
図1に示すように、電解槽16によって生成されたO2は、圧縮機42を介して燃料電池14に供給され得るが、本開示の範囲は、それほど限定されず、たとえば、大気などの他のソースを介して燃料電池14にO2を供給することを含むものとする。燃料電池14は、燃料電池14において使用されるH2とO2とを生成するために電解槽16に供給され得る水H2O副生成物を生成することができる。同様に、
図1に示す実施形態は、燃料電池のH2O副生成物を介して電解槽に供給される水を示しているが、本開示の範囲は、それほど限定されず、たとえば、都市または地下の水源などの他の水源から電解槽に水を供給することを含むものとする。
【0016】
電解槽16は、水H2Oを水素ガスH2および酸素ガスO2に変換するために、電源44からの電気入力を利用することができる。電解槽16の水素ガスH2および酸素ガスO2の出力は、それぞれ、コンテナ46および48内に貯蔵され得、これらのコンテナは、圧力容器などの製造されたコンテナ、ならびに、たとえば、洞窟などの天然のコンテナを含み得る。燃料電池14から電解槽16に流れる水H2Oは、冷却器50を使用して冷却され得る。
【0017】
本明細書において説明するように、ハイブリッド複合サイクル発電プラント10は、排出物捕捉ユニット12を動作させるために電解槽16および燃料電池14の協調的機能を相乗的に利用し、それによって、たとえば、排熱回収ボイラおよび/または蒸気タービンからの熱を用いて排出物捕捉ユニットを動作させ、それによってボトミング蒸気サイクルからの出力を減少させる他のGTCC発電プラントと比較して、複合サイクル発電プラント10の全体的な効率を改善することができる。
【0018】
燃料電池14は、電気を生成するために水素と酸素とを結合させる電気化学デバイスを備えることができる。燃料電池14は、ゼロまたは低排出量と、高効率と、本質的に水および熱の副生成物と、静かな動作とを有するために有益である。燃料電池14は、本明細書において記載されているものならびに他のものなどの様々な技術を利用することができる。例において、燃料電池14は、1]アルカリ燃料電池(AFC:alkali fuel cell)、2]リン酸燃料電池(PAFC:phosphoric acid fuel cell)、3]プロトン交換膜燃料電池(PEMFC:proton exchange membrane fuel cell)、4]溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:molten carbonate fuel cell)、および5]固体酸化物燃料電池(SOFC:solid oxide fuel cell)の5つの異なるタイプの燃料電池のうちの1つまたは複数を備えることができる。燃料電池はまた、低温(AFC、PAFC、およびPEMFC)および高温(MCFCおよびSOFC)の、動作温度による2つのカテゴリに分類され得る。
【0019】
AFCは、約70%の効率と、約150℃から約200℃の動作温度とを有する。AFCの出力は、約300Wから約5kWの範囲内であり得る。AFCは、典型的には、純粋な水素燃料を必要とする。
【0020】
PAFCは、約40%から約80%の範囲内の効率と、約150℃から約200℃の範囲内の動作温度とを有する。PAFCの出力は、約200kWから約11MWの範囲内であり得る。
【0021】
PEMFCは、約40%から約50%の範囲内の効率と、約80℃の動作温度とを有する。PEMFCの出力は、約50kWから約250kWの範囲内であり得る。
【0022】
MCFCは、約60%から約80%の範囲内の効率と、約650℃の動作温度とを有する。MCFCの出力は、約2MWから約100MWの範囲内であり得る。MCFCにおいて、電解質からの炭酸イオンが反応において使い果たされ、それを補うためにCO2を注入することを望ましくする。
【0023】
SOFCは、約60%の効率と、約1000℃までの動作温度とを有する。SOFCの出力は、約100kWであり得る。
【0024】
高温燃料電池(MCFCおよびSOFC)は、低温燃料電池(AFC、PAFC、およびPEMFC)と比較して、ハイブリッド複合サイクル発電プラント10において使用されるものなどの熱発電サイクルとより効率的に統合され得るので、効率において利点を有する。SOFCは、燃料から水素を抽出するために改質器が必要とされないような高温(1000℃)において動作する。結果として、原燃料(天然ガス、石炭など)が、高温燃料電池に直接供給され得る。したがって、高温燃料電池(MCFCおよびSOFC)は、様々なシナリオにおいて燃料電池14として使用され得る。しかしながら、高温腐食、電池構成要素の破損、長い起動時間、および低い電力密度など、適用における制限が存在する。さらに、原燃料を処理する上で追加のコストが存在する可能性ある。
【0025】
水素が原燃料から抽出され、酸素が空気から取得される場合、燃料電池技術は、高い資本コストと余分のエネルギー消費とをもたらす可能性がある複雑なシステム要件のため、動作させるのによりコストがかかり、これは、より低い効率をもたらす可能性がある。例において、空気から酸素を取得するために使用される極低温技術は、効率における11%の低下をもたらす可能性がある。空気とは対照的に、燃料電池14に純酸素を供給することの利点は、より高い電力密度と、より低い触媒要件と、より高い効率と、より劣悪な周囲空気の品質からの汚染物質による電池の被毒の可能性がないこととを含む。
【0026】
現在の燃料電池技術と最新技術とに基づいて、低温燃料電池タイプ(AFC、PAFC、およびPEMFC)は、性能、コスト、および触媒などの主要な基準を考慮すると、燃料電池14としての使用に適している可能性がある。AFCは、他のタイプの燃料電池によって典型的に使用される触媒(プラチナなど)と比較して、AFC電極のための触媒として使用される比較的安価な材料のため、他の燃料電池タイプよりも製造するのにより安価である。AFCは、周囲温度から動作温度にすばやく到達できるので、すばやい起動能力も有する。例において燃料電池14は、アルカリ燃料電池を備えることができる。燃料電池14としての使用に適した燃料電池の例は、参照により本明細書に組み込まれる、「Electric power plant using electrolytic cell-fuel cell combination」と題する、Morrowらの特許文献1に記載されている。
【0027】
電解槽16は、水H2OをH2およびO2に分割するために電気を使用することができる。電解槽16としての使用に適した電解槽の例は、参照により本明細書に組み込まれる、「Regenerative Fuel Cell System」と題するSprouseの特許文献2に記載されている。冷却器50は、電解槽16に入る前に水H2Oを冷却するために使用され得る。たとえば、燃料電池14は、電解槽16が動作する温度よりも高い温度において動作することができる。冷却器50は、たとえば、冷却塔から水を供給され得る熱交換器を備えることができる。
【0028】
電解槽16への電気入力は、電源44によって供給され得る。例において、電源44は、風力タービン、ソーラーパネル、または水力発電などの再生可能エネルギー源を備えることができる。再生可能エネルギー源は、グリッドシステムを介してハイブリッド複合サイクル発電プラント10に接続され得るか、またはハイブリッド複合サイクル発電プラント10もしくは電解槽16に直接接続された再生可能エネルギー源であり得る。
【0029】
さらに、貯蔵コンテナ46および48は、それぞれ、過剰量のH2およびO2を貯蔵するために使用され得る。したがって、ハイブリッド複合サイクル発電プラント10は、直接電源44に利用可能であるか、または供給が需要を上回り、ガスタービンエンジン20が動作していない場合、ガスタービンエンジン20が動作しているときに燃料電池14に電力を供給するために使用されるべきH2およびO2を生成および貯蔵するために利用可能な再生可能電力を使用することができる。たとえば、ガスタービンエンジン20が動作されるとき、典型的には、複合サイクル発電プラント18のすべてが動作し、それによって、燃料電池14および電解槽16もハイブリッド複合サイクル発電プラント10とともに動作する。したがって、ガスタービンエンジン20、燃料電池14、および電解槽16は、リンクされたスーパーシステムとして一緒に動作され得る。しかしながら、電解槽16は、ガスタービンエンジン20とは独立して動作され得、したがって、ガスタービンエンジン20が動作していないときに、貯蔵コンテナ46および48を満たすために動作することができる。
【0030】
従来のGTCC発電プラントにおいて、排出物捕捉ユニットは、CO2を捕捉するために、本明細書に記載されているものならびに他のものなどの様々な技術を利用することができる。CO2捕捉ユニットは、典型的には、複合サイクル発電プラント18などの化石燃料発電プラントと組み合わせて使用される、1]燃焼前排出物捕捉、2]燃焼関連排出物捕捉、および3]燃焼後排出物捕捉の3つのタイプのCO2捕捉技術のうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0031】
第1の例において、排出物捕捉は、燃焼前に実行され得、CO2が燃焼前に燃料ガスから捕捉され得るように、燃料(たとえば、石炭、コークス、または重炭化油)が最初にガス化され、ついで、合成ガス(H2+CO)がCOをCO2に変換するために水性シフトされる。そのような例において、合成ガスから硫化水素および二酸化炭素などの酸性ガスを分離することができるプロセスにおいて、Selexolが利用され得る。
【0032】
第2の例において、排出物捕捉は、酸素燃焼を介して実行され得、空気の代わりに純酸素を使用して燃料を燃焼させるプロセスが実行される。このプロセスは、排気ガスEが主にCO2であり、残りが水分であるように、空気の窒素成分の除去を結果として生じる。したがって、CO2は、大きな処理を必要とせずに、捕捉される準備ができている。
【0033】
第3の例において、排出物捕捉は、燃焼後補足を実行され得、CO2は、燃料の燃焼後に生成された排気ガスEから捕捉される。例において、MEA(モノエタノールアミン)のような化学プロセスが利用される。
【0034】
本発明者は、燃焼前捕捉および酸素燃焼は、CO2を効率的に捕捉する上で利点を有する可能性があるが、燃料ガス化プロセスは、余分の損失(すなわち、より低い効率)につながる可能性があり、酸素燃焼のために空気から酸素を生成することが、かなりの量の補助電力を必要とすることを認識した。したがって、最初の2つの技術(燃料ガス化または酸素燃焼)の使用は、現在の最先端の技術を使用しても、せいぜい無視できる効率の改善しかもたらさない。このように、本発明者は、CO2の燃焼後捕捉が、ハイブリッド複合サイクル発電プラント10で容易に使用され得る実証済みの技術であることを認識した。MEAユニットにおける溶媒再生などの燃焼後排出物捕捉プロセスを動作させるために利用される熱は、燃料電池14によって提供され得る。
【0035】
一例において、排出物捕捉ユニット12は、MEAユニットを備えることができる。例示的なMEAユニットは、排気ガス中のCO2が吸収器内のリーン溶媒によって捕捉される前に、最初に(吸収器の圧力損失を克服するために)排気ガスEを冷却および加圧することができる。吸収器の底からのリッチ溶媒は、ストリッパに入る前に、ポンプで送られ、予熱される。CO2は、リボイラを介して熱が加えられた状態でストリッパから放出される。例において、熱は、低圧蒸気によって提供され得る。ストリッパの底において収集されたリーン溶媒は、次いで、冷却され、吸収器に送り返される。
【0036】
例において、KM-CDR Process(商標)が使用され得る。CO2を含む排気ガスEは、排気ガス冷却塔において冷却され、次いで、吸収塔内で、排気ガス中のCO2を吸収するアルカリ吸収液に曝露される。高濃度のCO2を含む吸収液は、再生塔に送られ、そこで、CO2を放出し、吸収液を再生するために、蒸気を用いて加熱される。再生された吸収液は、吸収塔に戻され、そこで再利用される。このプロセスは、排気ガスE中に含まれるCO2の90%よりも多くを回収することができ、場合によっては、CO2は、99.9vol%以上の純度を有することができる。
【0037】
排出物捕捉ユニット12としての使用に適したMEAの例は、「Use of Sulfur Dioxide for Corrosion Inhibition in Acid Gas Scrubbing Process」と題する、Madden, IIの特許文献3、および「Process for the Recovery of CO2 from Flue Gases」と題する、Pearceらの特許文献4に記載されており、これらの両方は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
本発明者は、H2燃料は、ガスタービンエンジン20においてH2燃料を燃焼させるのではなく、H2を燃料電池14への入力として使用することによって、ガスタービン複合サイクル(GTCC)においてH2燃料がより効率的に利用され得ることを認識した。燃焼器28においてH2を燃焼させる代わりに、H2は、燃料電池14のための入力として使用され得る。燃料電池14からの水H2Oおよび電源44からのエネルギーは、H2とO2とを生成するために電解槽16への入力として使用され得る。H2およびO2は、発電のための低温燃料電池などの燃料電池14に供給され得る。廃熱回収からの蒸気などの、燃料電池14からの熱Qは、GTCC20の燃料ガスE中のCO2を捕捉するために、排出物捕捉ユニット12への入力として使用され得る。
【0039】
ハイブリッド複合サイクル発電プラント10の利点は、CO2捕捉なしで動作する従来のGTCCと、CO2捕捉ありで動作する従来のGTCCとの比較において見られ得る。3つのケースは、ソフトウェアを使用してモデル化され得る。ケース1は、
図1のハイブリッド複合サイクル発電プラント10の新しい概念を備えることができる。ケース2は、CO2捕捉なしのH2燃料GTCCの動作を備えることができる。ケース3は、CO2捕捉ありのH2燃料GTCCの動作を備えることができる。
【0040】
ケース1、2、および3に関するGTCC発電プラントを動作させるためのパラメータの例がモデル化され、燃料電池の熱収支が、効率および損失の仮定に基づいて計算された。ケース2およびケース3について、GTへの燃料は、30%のH2 (天然ガスとの組合せにおけるvol%)を含むものとしてモデル化された。ケース1について、GTへの燃料は、100%の天然ガスを含むものとしてモデル化された。
【0041】
例示的なモデル化されたGTCC発電プラントにおいて、蒸気ボトミングサイクルは、HRSG22が構成され得る方法と同様に、再加熱を伴う3つの圧力レベル(HP、IP、およびLP)を特徴とする典型的な配置のものであった。冷却システムは、機械式通風冷却塔を有する湿式表面復水器を有するものとしてモデル化された。GTCCおよびハイブリッド発電プラントの主な想定パラメータを表1において示す。
【0042】
【0043】
シミュレーションは、1.013bar、15℃の乾球温度、および60%の相対湿度のISO周囲条件に基づいていた。ケース1、2、および3に対するシミュレーションを表2において要約する。
【0044】
【0045】
パワートレインは、ガスタービン20と、排熱回収ボイラ22と、蒸気タービン24とを含み、ケース1については、燃料電池14も含む。CO2捕捉のためのMEAユニット12の補助負荷が推定される。ケース1について、MEAユニット12によるLP蒸気消費量は、燃料電池の排熱負荷(waste heat duty)と一致し、これは、燃料電池14の容量を決定する。
【0046】
表2に示すように、(斜体のテキストとともに灰色において)強調表示されたセルは、ハイブリッドシステム10の性能改善を示す。ケース2(現在の最先端)と比較すると、ケース1は、187MW増加した出力、0.8%ポイント高い効率、および181t/hの捕捉されたCO2の、はるかによりよい性能を有する。
【0047】
同様のシステムの別の比較のために、MEA排出物捕捉ユニットが性能に大きな影響を与える可能性があるので、混合燃料を燃焼する従来のGTCCは、MEA CO2捕捉ユニットも含むべきである。ケース1とケース3との間の比較は、221MW増加した出力、4.4%ポイント高い効率、および28t/hのより多くの捕捉されたCO2の、本開示のシステムおよび方法の真の可能性を示す。
【0048】
本明細書において説明する本開示のシステムおよび方法の利点は、以下に起因する可能性がある。1)(ケース2および3についてはディレートされているのに対して)ケース1におけるGTのT1tは、ディレートされない。すなわち、H2燃焼を回避することによって、現在の排出量を維持するためにタービン入口温度を低下させる必要がない。2)H2/O2燃料電池は、GTCCよりも高い効率を有する(70%対63%)。3)CO2捕捉のための蒸気タービンST(ケース3)からの蒸気抽出は、燃料ガスからの廃熱の利用によって回避される。
【0049】
ケースをよりよく理解/比較するために、総燃料消費量の内訳を表3に示した。したがって、ケース1について、燃料消費量は、燃焼器における天然ガスと燃料電池におけるH2とを含み、ケース2および3は、燃焼器における天然ガスおよびH2の燃料消費量を有する。
【0050】
【0051】
表3に示すように、ケース1は、ケース2および3よりも多くのH2を消費する(46%対30%、vol%)。これは、(システムレベルにおいて)ハイブリッド複合サイクル発電プラント10の新しい方法でより多くのH2燃料が適用され得ることを意味する。表3は、H2燃料のwt%およびheat%がvol%における値とはまったく異なることも示す。
【0052】
ケース1、2、および3のシミュレーションによって実証されているように、ハイブリッド複合サイクル発電プラント10を含む本開示のシステムおよび方法は、表2に提示したように、著しい性能改善をもたらすことができる。したがって、開示された特定のパラメータについて、ハイブリッド発電プラント10は、221MWの出力増加、4.4%のより高い効率、および28t/h(トン毎時)のより多い捕捉されたCO2などの改善を達成することができる。
【0053】
図2は、
図1に示すように、排出物捕捉ユニット12と、燃料電池14と、電解槽16とを組み込んだハイブリッド複合サイクル発電プラント10を動作させるための方法100のステップを示す線図である。方法100は、それに加えて、ハイブリッド複合サイクル発電プラント10と同様にまたは異なるように構成された他の複合サイクル発電プラントの動作を代表するものであり得る。方法100は、起動および停止、保守、または部分的な動作のために必要に応じて、同時に、または様々な順序において順次に動作することができる4つの主要なプロセス102、104、106、および108を含むことができる。
【0054】
ステップ102において、ガスタービンエンジン20が動作され得る。空気Aおよび燃料Fが、燃焼され、排気ガスEを生成するために燃焼器28に供給され得る。単一のガスタービンエンジンが
図1において示されているが、2つ以上のガスタービンエンジン20が使用され得る。
【0055】
ステップ104において、排出物捕捉ユニット12が動作され得る。論じたように、排出物捕捉ユニット12は、燃焼後MEAユニットを備えることができる。単一の排出物捕捉ユニットが
図1において示されているが、2つ以上の排出物捕捉ユニット12が使用され得る。
【0056】
ステップ106において、燃料電池14が動作され得る。論じたように、燃料電池14は、アルカリ燃料電池(AFC)などの低温燃料電池を備えることができる。単一の燃料電池が
図1において示されているが、2つ以上の燃料電池14が使用され得る。
【0057】
ステップ108において、電解槽16が動作され得る。論じたように、電解槽16は、固体酸化物またはセラミック電解質を使用して水素と酸素とを生成するために水の電気分解を実現するためにアルカリ性電解槽を備えることができる。単一の電解槽が
図1において示されているが、2つ以上の電解槽16が使用され得る。
【0058】
ステップ110において、燃料Fがガスタービンエンジン20に提供され得る。例において、燃料は、100%天然ガスを含むことができる。例において、燃料は、約50%から約70%の天然ガスを含み得、残りは、水素(H2)を含む。
【0059】
ステップ112において、ガスタービンエンジン20の動作が、電力グリッドに提供するための電気を生成するために発電機を駆動するために使用され得る回転シャフト動力を生成するために使用され得る。たとえば、発電機32は、グリッドシステムに電力を提供するように動作され得る。
【0060】
ステップ114において、蒸気タービン34は、HRSG22において生成された蒸気を介するなどして動作され得る。ガスタービンエンジン20からの排気ガスEは、HRSG22において水を蒸気に変換するために使用され得る。HRSG22からの蒸気は、蒸気タービン34を駆動するために使用され得る。
【0061】
ステップ116において、ガスタービンエンジン20からの排気ガスEが、ステップ104における排出物捕捉ユニット12に排気され得る。排気ガスEは、タービン30から、蒸気タービン34のための蒸気を生成するためにHRSG22を通過し、次いで、煙突に入ることができる。排出物捕捉ユニット12は、排気ガスE’が大気中に移されるまえに排気ガスE’を受け取るためにスタックに接続され得る。
【0062】
ステップ118において、蒸気タービン34の動作が、電力グリッドに提供するための電気を生成するために発電機を駆動するために使用され得る回転シャフト動力を生成するために使用され得る。蒸気タービン34は、発電機36によって電力を提供されるグリッドシステムに電力を提供することができる。
【0063】
ステップ120において、排気ガスEが排出物捕捉ユニット12によって処理され得る。たとえば、CO2が、本明細書で説明するMEAプロセスを介して排気ガスEから部分的にまたは完全に除去され得る。他の排出物捕捉技術が使用され得、他のタイプの排出物が捕捉され得る。
【0064】
ステップ122において、ステップ120において除去されたCO2が、貯蔵コンテナまたは容器内に貯蔵され得る。したがって、貯蔵されたCO2は、大気中に放出されることなく、適切に処分され得る。追加の例において、CO2は、冷蔵および冷却サイクルなどの他の処理のために使用され得る。
【0065】
ステップ124において、燃料電池14の動作が、熱Qを生成することができる。例において、燃料電池14は、流体ループへの熱結合を介して捕捉され得る副生成物の熱を生成することができる。燃料電池14からの熱Qは、排出物捕捉ユニット12に供給され得る低圧蒸気を生成するために使用され得る。冷却された蒸気は、燃料電池14で使用するために再び加熱するために、凝縮液Cとして燃料電池14に戻され得る。
【0066】
ステップ126において、燃料電池14からの熱Qが、排出物捕捉ユニット12に提供され得る。ステップ124の加熱された流体は、流体ループを介して排出物捕捉ユニット12に熱伝導され得る。たとえば、熱Qは、蒸気および冷却された蒸気または凝縮液Cによって提供され得、ループを完成させるために加熱するために燃料電池14に戻され得る。
【0067】
ステップ128において、燃料電池14が、電力Pを生成するために動作され得る。電力Pは、発電機32および36によって電力を提供されているようなグリッドシステムに提供され得る。ハイブリッド複合サイクル発電プラント10の補助負荷は、発電機32および36からの総電力のごく一部を使用することなどによって、内部の電気システムを介して供給される電力によってサポートされ得ることに留意されたい。
【0068】
ステップ130において、燃料電池14は、水H2Oを生成することができる。水H2Oは、燃料電池14においてO2およびH2を電気に変換する際の副生成物として生成され得る。水は、例においては約150℃から約200℃に達する可能性がある燃料電池プロセスの温度またはその近傍であり得る。
【0069】
ステップ132において、燃料電池14からの水が冷却され得る。たとえば、冷却器50が、水H2Oが燃料電池14から電解槽16に移動する際に水H2Oを冷却することができる。冷却器50は、冷却塔から冷却水を提供される熱交換器を備えることができる。例において、電解槽16は、約100℃未満の温度において動作することができる。
【0070】
ステップ134において、ステップ132からの冷却された水が、電解槽16に提供され得る。電解槽16は、H2およびO2の燃料電池14のための構成入力を生成するために、冷却された水を消費することができる。
【0071】
ステップ136において、電源44などによって、電気が電解槽16に提供され得る。例において、電源44は、風力、太陽光、および水力などの1つまたは複数の再生可能エネルギー源を備えることができる。
【0072】
ステップ138において、電解槽16が、H2およびO2などの燃料電池14のための構成要素を生成するために動作され得る。
【0073】
ステップ140において、電解槽16を用いて生成される構成要素が、燃料電池14に提供され得る。このように、方法100は、排出物捕捉ユニット12に熱入力を提供するために、H2とO2とを生成および消費するために連続的に動作され得る。電解槽16は、ガスタービン20、燃料電池14、排出物捕捉ユニット12、および蒸気タービン24から独立して動作し、H2および/またはO2をコンテナ46、48に提供することができる。これは、再生可能電力の供給が多く、電気需要が少ない時間の間、特に有利である。すなわち、コンテナ46、48は、再生可能エネルギーの供給が電気需要を超えたときにH2および/またはO2を貯蔵し、次いで、電気需要が高いときに燃料電池14を介して電力を生成する(および排出物捕捉ユニット12に熱を提供する)ことができる。
【0074】
本開示のシステムおよび方法は、以下の例において説明するように、燃料電池と、電解槽と、排出物捕捉技術とを組み合わせることによって、多くの利益を達成することができる。燃料電池は、従来のGTCC発電プラントと比較して、H2燃料をより効率的に利用することができる。H2の燃焼に対応するために燃焼器をディレートすることなどによって既存のガスタービンエンジンを変更する労力およびコストは、回避され得る。燃料電池からの通常は浪費される熱は、回収され、たとえば、CO2捕捉ユニットへの入力として、CO2捕捉のために有効に利用され得る。燃料電池において生成された水は、水の使用量を最小限に抑えるために、電解槽にリサイクルされ得る。電解槽は、燃料電池で使用するO2を生成することができ、これは、空気からO2を取得するために典型的に使用されるものよりも効率的で、コストが低く、耐久性のある機器を利用する。低温燃料電池は、速い起動能力を有し、これは、電解槽に電力を供給するために断続的な再生可能電気を用いる使用に適している。さらに、CO2排出量の削減は、多くの政府および民間の脱炭素化の取り組みと一致する。燃料電池の規模の経済性は、ハイブリッド発電プラント10での使用に適した大規模燃料電池を可能にすることなどによって、ハイブリッド発電プラント10のコストをさらに低減させることができる。
【0075】
様々な注意事項および例
上記で詳述した説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への参照を含む。図面は、例示として、本発明が実施され得る特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では、「例」とも呼ばれる。そのような例は、図示または説明したものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者は、図示または説明したそれらの要素のみが提供される例も企図している。さらに、本発明者は、特定の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、または本明細書で図示もしくは説明した他の例(またはその1つもしくは複数の態様)に関して、図示または説明したそれらの要素(またはその1つもしくは複数の態様)の任意の組合せまたは順列を使用する例も企図している。
【0076】
この文書と、参照により組み込まれる文書との間に矛盾している使用法がある場合、この文書における使用法が支配する。
【0077】
この文書において、「a」または「an」という用語は、特許文書において一般的であるように、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」の任意の他のインスタンスまたは使用とは無関係に、1つまたは2つ以上を含むように使用される。この文書において、「または」という用語は、特に明記していない限り、非排他的を指すように、または「AまたはB」が「AだがBではない」と、「BだがAではない」と、「AおよびB」とを含むように使用される。この文書において、「含む(including)」および「その中で(in which)」という用語は、「備える(comprising)」および「ここで(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の同義語として使用される。また、以下の特許請求の範囲において、「含む」および「備える」という用語は、制限がなく、すなわち、請求項におけるそのような用語の後にリストされたものに加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、処方(formulation)、またはプロセスが、依然としてその請求項の範囲内に入るとみなされる。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象に対して数値的な要件を課すことを意図するものではない。
上記の説明は、例示であり、限定ではないことを意図している。たとえば、上記で説明した例(またはその1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。上記の説明を検討する際の当業者などによって、他の実施形態が使用され得る。要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために、37 C.F.R. §1.72(b)に準拠するように提供されている。この要約は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または制限するためには使用されないという理解のもとに提出されている。また、上記の詳細な説明において、本開示を効率化するために、様々な特徴が一緒にグループ化されている場合がある。これは、特許請求されていない開示された特徴が任意の請求項に不可欠であることを意図していると解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にある場合がある。したがって、以下の特許請求の範囲は、これによって、例または実施形態として詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で成り立ち、そのような実施形態は、様々な組合せまたは順列において互いに組み合わされ得ることが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照し、そのような特許請求の範囲が権利を与えられている均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
【符号の説明】
【0078】
10 ハイブリッド複合サイクル発電プラント、ハイブリッドシステム、ハイブリッド発電プラント
12 排出物捕捉ユニット、MEAユニット
14 燃料電池
16 電解槽
18 複合サイクル発電プラント
20 ガスタービンエンジン、ガスタービン
22 排熱回収ボイラ(HRSG)、HRSG、排熱回収ボイラ
24 蒸気システム、蒸気タービン
26 圧縮機
28 燃焼器
30 タービン
32 発電機
34 蒸気タービン
36 発電機
38 貯蔵ユニット
40 圧縮機
42 圧縮機
44 電源
46 コンテナ、貯蔵コンテナ
48 コンテナ、貯蔵コンテナ
50 冷却器