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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】亀裂探知システム
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20230612BHJP
   E01D 19/02 20060101ALI20230612BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20230612BHJP
   G01V 8/10 20060101ALI20230612BHJP
   G01V 8/20 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E01D19/02
E04G23/02 A
G01V8/10 S
G01V8/20 N
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022529528
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 KR2020016447
(87)【国際公開番号】W WO2021101303
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0150916
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522343740
【氏名又は名称】エフディテク カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョン デ
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-054411(JP,A)
【文献】特開平05-052821(JP,A)
【文献】特開2020-034490(JP,A)
【文献】特開平11-142230(JP,A)
【文献】特開平05-099906(JP,A)
【文献】特開平08-240571(JP,A)
【文献】特開2008-076354(JP,A)
【文献】特開2012-220188(JP,A)
【文献】特開平08-178905(JP,A)
【文献】特開2021-066317(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107095626(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109115875(CN,A)
【文献】特開平11-292478(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0885312(KR,B1)
【文献】特開2005-343609(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1750614(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/02
E01D 22/00
G01N 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と、
前記胴体の両端にそれぞれ配備され、ロープの牽引により前記胴体を昇降させる一対の駆動部と、
前記胴体の後端に配備され、構造物の一方の面に沿って上下方向に移動可能なように支持される少なくとも一本以上の支持部と、
を備えるが、
前記胴体は、ベース部と、前記ベース部の背面から後方に向かって突出して前記ベース部の長手方向に沿って延びる結合部と、を備え、複数の単位胴体が結合部材により長手方向に連続して結合されてなり、
前記結合部材は、隣り合う一対の単位胴体を互いに結合するように前記結合部の一方の側に配備される少なくとも一つ以上のクランプ部材と、前記結合部の他方の側に前記クランプ部材と対向して配備される少なくとも一本以上のQRレバーと、を備えることを特徴とする亀裂探知システム。
【請求項2】
前記胴体は、計測装備の取り付けのために前記結合部の一方の側に結合されて前記結合部の後方に突出する少なくとも一つ以上の取り付けマウントをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の亀裂探知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探知システムに係り、さらに詳しくは、橋脚やビルなどの構造物の亀裂を探知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、橋梁の下部構造物を構成する橋脚は、上部構造物であるPC-BEAMまたは天板スラブを下部から強固に支持する機能を担う。
【0003】
特に、韓国は河川が多いため、橋梁が河川を横切って施工された場合に橋脚は水中に井筒基礎と一緒に位置することが多い。あるいは、山岳地域に橋梁が施工された場合には地盤に井筒基礎が埋設され、井筒基礎の上部に橋脚が施工される。
【0004】
このような橋脚は、上部に車両が移動するため、上部の振動を吸収できる、弾性軸受け、橋座装置、弾性板などと呼ばれる振動吸収装置が橋脚の上部笠木に設置されて天板スラブの下部を支持して弾性作動をすることになる。
【0005】
しかしながら、橋梁は、点検作業を毎年定期的に実施するにも拘わらず、経時による老巧化によって橋脚に亀裂(ひび割れ;crack)が生じてしまうという不都合を避けられない。
【0006】
また、ほとんどの橋梁は、複数本の橋脚によって上部構造物である単位部材の鑄型を橋座装置にて受け止めて支持する構成要素であるため、橋梁の安定性のためには橋脚に対する定期的な点検及びメンテナンス作業が欠かせない。
【0007】
これらの複数本の橋脚に対する点検及びメンテナンス作業には、作業員を橋脚に近づける橋梁点検施設の設置が欠かせないが、これまで提供されていた橋梁の点検施設には、固定式及び移動式などいろいろな種類がある。
【0008】
例えば、比較的に低廉なコストにて設置可能な固定式の点検施設は、複数本の橋脚のそれぞれに対して、橋脚の上端が笠木(coping)の側面の周りの全体に所定の広さの鋼板製の足場を数十個の受け止めブラケットにて固定し、安全手すりを設置して作業員が移動できる点検通路を形成する構成要素である。
【0009】
しかしながら、このような固定式の点検施設は、点検通路が橋脚の周りの全体に常に確保されていることから、作業員の活動性が良好であるというメリットはあるものの、都心地に設置された橋梁の場合には、橋脚の周りに固設された受け止めブラケットと鋼板製の足場、安全手すりが見苦しく晒されているため、都市の美観を損なってしまうという欠点がある。なお、設置コストがやや安価であるとはいえ、受け止めブラケットと鋼板製の足場、安全手すりの材質としてステンレス又は鋼材を採用するため、材料費と施工費が高くつき、特に、鋼材の場合には、表面塗装に高い維持費がかかってしまうという不都合がある。
【0010】
また、移動式の点検台車の場合、橋梁の全長に亘ってレールを敷設し、移動台車に自走式の走行装置と駆動電源及び駆動装置を備え付けることを余儀なくされるため、全体の施設費が固定式の点検施設に比べて格段に高騰してしまうという欠点があり、作動個所に瑕疵が生じてしまうという不都合がある。
【0011】
一方、最近には、別途の点検施設を設置せず、ドローンや高倍率カメラ、高所作業車などを用いて、必要なときに橋脚を点検したりもする。ところが、このような橋脚点検手段では、地形が険しくて高く、しかも、強風が激しい高橋脚(50m以上に)対しては点検を行い難いという不都合がある。
【0012】
例えば、ドローンの場合、GPS未受信区間では飛行し難く、操縦士の熟練度に応じて風など周辺環境の変化に対応し難い他、墜落や衝突など安全性に乏しいという不都合がある。また、高倍率カメラの場合、目視による近接点検に比べて正確性に劣り、地形など障害物の干渉によって点検死角地帯が生じ、点検時間を過剰に取ってしまうという不都合がある。なお、高所作業車は、高さ30m以上の橋脚、または進入接近路がない場合に点検し難く、転倒など安全事故が起こる虞があるという不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した不都合を解消するために案出されたものであり、橋脚などの構造物の高さ方向に昇降しながら亀裂が点検可能な亀裂探知システムを提供するところにその目的がある。
【0014】
本発明の他の目的は、組立て及び分解可能であることから持ち運び易い亀裂探知ロボットを提供するところにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、構造物の高さとは無関係に亀裂が探知可能なシステムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した本発明の目的は、バー(bar)状の胴体と、前記胴体の両端にそれぞれ配備され、前記胴体の一方の側に設けられる駆動モーターによってロープを牽引して前記胴体を昇降させる一対の駆動部と、前記胴体の後端に配備され、構造物の一方の面に沿って上下方向に移動可能なように支持される少なくとも一本以上の支持部と、を備える亀裂探知システムを提供することによって達成可能である。
【0017】
本発明のある特徴によれば、前記胴体は、四角状の断面を有するベース部と、前記ベース部の背面から後方へと突出して前記ベース部の長手方向に沿って延びる結合部と、を備えていてもよい。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、前記胴体は、複数の単位胴体が結合部材によって長手方向に連続して結合されてなってもよい。
【0019】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記結合部材は、隣り合う一対の単位胴体を互いに結合するように前記結合部の一方の側に配備される少なくとも一つ以上のクランプ部材と、前記結合部の他方の側に前記クランプ部材と対向して配備される少なくとも一つ以上のQRレバーと、を備えていてもよい。
【0020】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記胴体は、計測装備の取り付けのために前記結合部の一方の側に結合されて前記結合部の後方へと突出する少なくとも一つ以上の取り付けマウントをさらに備えていてもよい。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記駆動部は、前記胴体の一方の端に配備され、内部に空間部が形成されるプーリーハウジングと、前記駆動モーターの駆動軸に結合されて前記空間部に設けられる駆動プーリーと、前記駆動プーリーの前方の上側に前記駆動プーリーと連動して回転するように設けられる第1の従動プーリーと、前記駆動プーリーの上部に前記第1の従動プーリーと連動して回転するように設けられる第2の従動プーリーと、前記第2の従動プーリーの後方の上側に前記第2の従動プーリーと連動して回転するように設けられる第3の従動プーリーと、を備えていてもよい。
【0022】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記駆動部は、前記駆動プーリーと連動して回転するように前記第1の従動プーリーと上下対称に設けられる第4の従動プーリーと、前記第4の従動プーリーと連動して回転するように前記第2の従動プーリーと上下対称に設けられる第5の従動プーリーと、前記第5の従動プーリーと連動して回転するように前記第3の従動プーリーと上下対称に設けられる第6の従動プーリーと、をさらに備えていてもよい。
【0023】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記支持部は、一方の端が前記胴体の後端に結合され、他方の端が上向きに傾くように延びる第1の支持部材と、前記第1の支持部材から所定の間隔だけ離れて一方の端が前記胴体の後端に結合され、他方の端が下向きに傾くように延びる第2の支持部材と、第1の支持部材及び第2の支持部材の終端にそれぞれ回転可能に結合される支持ローラーと、を備えていてもよい。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記支持部は、前記胴体に対する前記第1の支持部材の傾斜角度を調節できるように前記第1の支持部材の一方の端に形成される傾斜調節部をさらに備えていてもよい。
【0025】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記傾斜調節部は、前記胴体の後端に結合され、後端部の周縁に沿って複数本の係止溝が形成される傾斜調節ブラケットと、前記第1の支持部材を貫通して前記係止溝に係止ピンが嵌入されるQRレバーと、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る亀裂探知システムは、橋脚などの構造物の高さ方向に昇降しながら亀裂が点検可能である。
【0027】
また、本発明に係る亀裂探知ロボットは、組立て及び分解が可能であり、持ち運びと設置を行い易い。
【0028】
さらに、本発明に係る亀裂探知システムは、構造物の高さとは無関係に亀裂が探知可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボットの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボットの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボットの分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボットの分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る結合部材の構成図である。
図6】本発明の一実施形態に係る駆動部の分解斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る支持部の分解斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボットの使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について詳しく説明する。但し、以下において説明される実施形態は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明するためのものに過ぎず、これにより本発明の保護範囲が限定されるということを意味するわけではない。そして、本発明のいろいろな実施形態を説明するに当たって、同じ技術的特徴を有する構成要素に対しては同じ図面符号を付する。
【0031】
実施形態
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボットの前面斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボットの背面斜視図である。また、図3は、図1の分解斜視図であり、図4は、図2の分解斜視図である。
【0033】
本発明の一実施形態に係る亀裂探知システムは、亀裂探知ロボット100を備える。
【0034】
本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボット100は、橋脚やビルなどの構造物10(図8参照)の表面に沿って昇降し、構造物10の表面にできた亀裂を探知する。亀裂探知ロボット100の胴体200には、センサーやカメラ20(図8参照)などの計測装備が取り付けられ、これらから取得される情報は、情報処理装置に送られて亀裂の長さ、厚さ及び分布など安全診断に必要とされる情報に加工されかつ保存されて安全診断が行われることが可能になる。
【0035】
図1から図4に示すように、本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボット100は、バー(bar)状の胴体200と、胴体200の両端にそれぞれ一つずつ配備される一対の駆動部300と、胴体200の後端に配備され、構造物10の表面に支持される少なくとも一本以上の支持部400と、を備える。
【0036】
胴体200は、全体的に幅よりも長さの方が長い直方体ブロックの形状を呈するが、四角状の断面を有するベース部210と、ベース部210の背面から後方に向かって突設される結合部220と、を備える。このとき、結合部220は、ベース部210の長手方向に沿って長尺状に延設され、胴体200は、軽量化のために内部が空いている中空状に形成されてもよい。他の例によれば、胴体200の内部にセンサーなどの計測装置や通信装置または電源供給装置などの別途の装置が組み込まれることも可能であり、これらの装置が胴体200に外付けされてもよいということはいうまでもない。
【0037】
また、胴体200の後端には、センサーやカメラ30などの計測装備の取り付けのための取り付けマウント230が結合される。例えば、図示のごとく、結合部220の下側のベース部210の背面に取り付けマウント230の前端部が結合され、取り付けマウント230の後端部は結合部220の後方へと突出してもよい。このとき、取り付けマウント230の上側面には、計測装備の取り付け用ブラケットの結合のために少なくとも一本以上の係合孔231が形成される。
【0038】
一方、本発明の一実施形態によれば、複数の単位胴体201が結合部材500によって長手方向に連続して結合されて一つの胴体200をなす。
【0039】
この場合、使用者は、長尺状の胴体200を相対的に長さが短い複数の単位胴体201に分離することにより、持ち運び及び保管上の利便性を高めることができる。また、結合部材500が操作し易いので、現場において複数の単位胴体201を互いに結合して手軽に胴体200を組み立てることができる。なお、診断の対象となる構造物10の幅に応じて適切な数の単位胴体201を結合することにより、胴体200の長さを自由に調節することができる。
【0040】
この実施形態の場合、3つの単位胴体201を順番に結合して亀裂探知ロボット100の胴体200を形成する例を示しているが、これは、単なる本発明の一実施形態に過ぎず、単位胴体201の数は、胴体200の全体の長さと重量などを考慮して適宜に選択することができる。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態に係る結合部材の構成図である。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、長手方向に隣り合う一対の単位胴体201が結合部材500によって互いに結合され、このとき、結合部材500は、結合部220の上側と下側に向かい合うようにそれぞれ取り付けられるクランプ部材600とクイックリリースレバー(Quick Release Lever;QRレバー)700を備える。
【0043】
ここで、図示の実施形態の場合、胴体200の背面の結合部220の上側にクランプ部材600が取り付けられ、結合部220の下側にはクランプ部材600と対向してQRレバー700が取り付けられている。しかしながら、これとは異なり、結合部220の上側にQRレバー700が取り付けられ、結合部220の下側にクランプ部材600が取り付けられてもよいということはいうまでもない。
【0044】
本発明の一実施形態に係るクランプ部材600は、隣り合う一対の単位胴体201のうちのどちらか一方の結合部220の上側に結合される係止ブラケット610と、他方の結合部220の上側に結合される引っ掛けブラケット620と、引っ掛けブラケット620の一方の側に一方の端が蝶着されるクランピングレバー630と、を備える。
【0045】
このとき、係止ブラケット610は、結合部220の上側面に結合される係止プレート611と、係止プレート611の上側に結合され、引っ掛けブラケット620の反対側の周縁に係止溝612が形成される係止部613と、を備える。引っ掛けブラケット620は、係止プレート611と隣り合って結合部220の上側面に結合される引っ掛けプレート621と、引っ掛けプレート621の上側面に結合され、蝶着部622が垂直に突設されるヒンジブラケット623と、を備える。
【0046】
また、クランピングレバー630は、一方の端が蝶着部622に蝶着される操作レバー631と、開放端と閉鎖端を有する「U」字状の部材であって、操作レバー631の両側に開放端が蝶着される係止部材632と、を備える。
【0047】
この場合、隣り合う一対の単位胴体201の結合に際して、係止部材632の閉鎖端が係止部613の係止溝612に引っかかることになり、操作レバー631の回動によって係止ブラケット610と引っ掛けブラケット620とが密着され合う方向に加圧支持される。
【0048】
さらに、図5に示すように、隣り合う一対の単位胴体201は、結合部220の一方の端に向かい合うようにそれぞれ結合される一対の結合パッド710を備え、一対の結合パッド710は、相互間の対向面の周りに沿って形成される結合突部711と結合溝部712をそれぞれ備える。このとき、一対の単位胴体201を長手方向に突き合わせると、一対の結合パッド710のうちのどちらか一方の結合突部711が残りの他方の結合溝部712に嵌合される。
【0049】
結合パッド710の下端部の外側の隅角部には対角線方向に嵌入溝713が延設され、この嵌入溝713にQRレバー700の係止ピン701が嵌入される。このとき、QRレバー700の調整ナット702とレバーナット703は、互いに当接している一対の結合パッド710の外側面にそれぞれ支持され、QRレバー700のレバー704の回動によって一対の結合パッド710が密着され合う方向に加圧支持される。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態に係る駆動部の分解斜視図である。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、胴体200の両端にそれぞれ一つずつ一対の駆動部300が配備される。この駆動部300は、ロープ20の牽引によって胴体200を昇降させる役割を果たし、このために、胴体200の両側に駆動モーター310がそれぞれ設けられる。
【0052】
本発明の一実施形態に係る駆動部300は、モーターブラケット311によって胴体200の背面の結合部220の上側に結合される駆動モーター310と、胴体200の一方の端の外側に設けられ、内部に空間部が形成されるプーリーハウジング320と、駆動モーター310の駆動軸に結合されてプーリーハウジング320の空間部に設けられる駆動プーリー330と、駆動プーリー330と連動して回転するようにプーリーハウジング320内に設けられる複数の従動プーリーと、を備える。
【0053】
ここで、プーリーハウジング320は、所定の間隔だけ離れ合う第1のハウジングプレート321と第2のハウジングプレート322を備える。このとき、第2のハウジングプレート322は、胴体200の一方の端に隣接して配置され、第1のハウジングプレート321は第2のハウジングプレート322の外側に配置される。
【0054】
第1のハウジングプレート321と第2のハウジングプレート322は、空間部内に設けられた駆動プーリー330と従動プーリーを保護できるように、駆動プーリー330と従動プーリーが配置された形状と対応する形状に形成される。第1のハウジングプレート321の前端には、空間部の前方を塞いで保護する一方、第1及び第2のハウジングプレート321、322の間の間隔が保たれるように前方覆体部321aが突設され、第2のハウジングプレート322の後端には、駆動モーター310の駆動軸と駆動プーリー330との結合のために円弧状の切り欠き部322aが形成される。
【0055】
プーリーハウジング320の内部の空間部には、駆動プーリー330とともに複数の従動プーリーが設けられ、これらを通ってロープ(または、ワイヤー)20が上下方向に延びる。
【0056】
複数の従動プーリーは、駆動プーリー330と連動して回転するように設けられ、例えば、図示のごとく、駆動プーリー330に対して6個の従動プーリーが上下対称に配置されてもよい。
【0057】
さらに詳しくは、駆動モーター310の駆動軸に駆動プーリー330が結合され、駆動プーリー330の前方の上側に第1の従動プーリー341が設けられる。また、駆動プーリー330の上部、すなわち、第1の従動プーリー341の後方の上側に第2の従動プーリー342が設けられ、第2の従動プーリー342の後方の上側に第3の従動プーリー343が設けられる。
【0058】
第1の従動プーリー341の下部に第4の従動プーリー344が設けられ、駆動プーリー330の下部、すなわち、第4の従動プーリー344の後方の下側に第5の従動プーリー345が設けられる。なお、第5の従動プーリー345の後方の下側に第6の従動プーリー346が設けられる。このとき、第4乃至第6の従動プーリー344~346は、駆動プーリー330に対して第1乃至第3の従動プーリー341~343とそれぞれ上下対称に配置される。
【0059】
ロープ20は、プーリーハウジング320を上下方向に貫通して延び、以下、ロープ20がプーリーハウジング320の上側から下側へと貫通するという観点から、ロープ20の経路について詳しく説明する。
【0060】
第2の従動プーリー342と第3の従動プーリー343との間に入り込んできたロープ20は、第2の従動プーリー342の下端部の周りに沿って第1の従動プーリー341の前端部の上側に延びる。次いで、第1の従動プーリー341の前端部の周りを巻いたロープ20は駆動プーリー330の上側に延び、駆動プーリー330の後端部の周りを巻いて第4の従動プーリー344の前端部の上側に延びる。この後、第4の従動プーリー344の前端部の周りを巻いたロープは第5の従動プーリー345の後端部の上側に延び、次いで、第5の従動プーリー345と第6の従動プーリー346との間を通過して地面方向に下向きに延びる。
【0061】
これにより、駆動モーター310の駆動につれて駆動プーリー330が回転するに際して、ロープ20によって駆動プーリー330と連結された第1乃至第6の従動プーリー341~346が連動して回転し、駆動プーリー330の回転方向に応じてロープ20の牽引方向が切り換えられながら胴体200の昇降作動が行われることになる。
【0062】
一方、第2の従動プーリー342の後方には、第2の従動プーリー342と第3の従動プーリー343との間に入り込んできたロープ20を第2の従動プーリー342の方向に支持することにより、ロープ20の経路を導く少なくとも一つ以上の第1のローラー351が回転可能に設けられる。例えば、図示のごとく、第2の従動プーリー342の下端部の後方に一対の第1のローラー351が上下に所定の間隔だけ離れ合うように斜めに配置されてもよい。このとき、第1のローラー351によって第2の従動プーリー342の方向に支持されたロープ20は、第2の従動プーリー342の下端部の周りに沿って第1の従動プーリー341の前端部の上側に延びる。
【0063】
また、駆動プーリー330の上側には、第2の従動プーリー342を経て駆動プーリー330に巻かれるロープ20を駆動プーリー330の方向に支持することにより、ロープ20の経路を導く第2のローラー352が回転可能に設けられる。例えば、図示のごとく、第1の従動プーリー341の上端部の後方に第2のローラー352が設けられてもよく、このとき、第2のローラー352は、一方の端が駆動プーリー330の上側に蝶着された第1のヒンジレバー352aの他方の端に配備されてもよい。第2のローラー352によって支持されたロープ20は、駆動プーリー330の後端部の周りを巻くことになる。
【0064】
さらに、駆動プーリー330の下側には、第2のローラー352と上下対称に第3のローラー353が設けられる。第3のローラー353は、駆動プーリー330を経て第4の従動プーリー344の前端部に巻かれるロープ20を駆動プーリー330の方向に支持することにより、ロープ20の経路を導く。例えば、図示のごとく、第4の従動プーリー344の下端部の後方に第3のローラー353が設けられてもよく、このとき、第3のローラー353は、一方の端が駆動プーリー330の下側に蝶着された第2のヒンジレバー353aの他方の端に配備されてもよい。
【0065】
併せて、第5の従動プーリー345の後方には、少なくとも一つ以上の第4のローラー354が回転可能に設けられて、第5の従動プーリー345と第6の従動プーリー346との間に出ていくロープ20を第5の従動プーリー345の方向に支持する。例えば、図示のごとく、第5の従動プーリー345の上端部の後方に一対の第4のローラー354が上下に所定の間隔だけ離れ合うように斜めに配置されてもよい。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態に係る支持部の分解斜視図である。
【0067】
胴体200の後端に少なくとも一本以上の支持部400が配備される。例えば、胴体200の長手方向に沿って複数の支持部400が所定の間隔だけ離れ合うように配備されてもよい。支持部400は、胴体200の昇降に際して胴体200が構造物10に直接的に衝突することを防ぐ一方、構造物10の一方の面に沿って上下方向に移動可能なように支持されることにより、胴体200に伝わる衝撃や振動を低減させる役割を果たす。なお、必要に応じて、取り付けマウント230に取り付けられた計測装備と構造物10との間隔を調節する役割をも果たすが、これは、後述する第1の支持部材410と第2の支持部材420の傾斜角度を調節することにより行われる。
【0068】
本発明の一実施形態に係る支持部400は、胴体200の後端に上下方向に互い違いに斜めに結合される第1の支持部材410と第2の支持部材420を備え、第1の支持部材410と第2の支持部材420の終端には、支持ローラー411、421が回転可能にそれぞれ結合される。
【0069】
例えば、第1の支持部材410と第2の支持部材420は、「コ」字状の断面を有するフレームからなってもよく、第1の支持部材410は、胴体200の後方に上向きに傾くように延び、第2の支持部材420は、胴体200の後方に下向きに傾くように延びてもよい。
【0070】
第1の支持部材410と第2の支持部材420は、必要に応じて、胴体200に対する傾斜角度を調節することができ、このために、第1の支持部材410と第2の支持部材420の一方の端に傾斜調節部430がそれぞれ形成される。
【0071】
ここで、傾斜調節部430は、胴体200の後端の結合部220の背面に結合される傾斜調節ブラケット440と、傾斜調節ブラケット440に第1及び第2の支持部材410、420を固定するQRレバー450と、を備える。
【0072】
傾斜調節ブラケット440は、結合部220の背面に結合される底板441と、底板441の幅方向の両側からそれぞれ垂直に突設される一対の側壁442と、を備える。第1及び第2の支持部材410、420の一方の端が一対の側壁442の間に嵌入され、側壁442の後端部は、凸状の円弧状に、かつ丸みを帯びた形状に形成される。側壁442の後端部の周縁に沿って複数本の凹溝443が所定の間隔だけ離れ合うように形成され、QRレバー450の係止ピン451が第1及び第2の支持部材410、420を貫通して凹溝443に引っかかって固定される。
【0073】
例えば、図示のごとく、第1の支持部材410の傾斜角度を支持する傾斜調節ブラケット440の場合、側壁442の上端の周縁から後端の周縁まで複数本の凹溝443を有する円弧状に形成されてもよい。なお、第2の支持部材420の傾斜角度を支持する傾斜調節ブラケット440の場合、側壁442の後端の周縁から下端まで複数本の凹溝443を有する円弧状に形成されてもよい。
【0074】
第1及び第2の支持部材410、420は、傾斜調節ブラケット440に一方の端がそれぞれ嵌入されてQRレバー450によって固定される。このとき、複数本の凹溝443のうち、QRレバー450の係止ピン451が引っかかるように嵌入される凹溝443を適宜に選ぶことにより、第1及び第2の支持部材410、420の傾斜角度を調節して固定することができる。
【0075】
図8は、本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボットの使用状態図である。
【0076】
図8に示すように、本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボット100は、構造物10の表面に沿って昇降しながら、取り付けられた計測装備を用いて亀裂を探知する。このとき、胴体200の両端の駆動モーター310が作動してロープ20を牽引しながら胴体200の昇降が行われ、両方の駆動モーター310のうちのどちらか一方のみが作動することも可能である。
【0077】
本発明の一実施形態に係る亀裂探知ロボット100は、胴体200の昇降に際して構造物10の表面の亀裂を探知し、探知された亀裂を分析して構造物10の安全を診断することができる。例えば、図示のごとく、取り付けマウント230にカメラ30を取り付け、昇降に際して構造物10の表面を撮影した後、撮影された画像から亀裂の分布や大きさなどの規格、進行方向や危険度などを探索し、構造物10の安全をより効果的に診断することができる。
【0078】
以上において本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、種々に変形して実施できる筈であると理解される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の亀裂探知システムによれば、組立て及び分解が可能であり、持ち運びと設置を行い易い他、構造物の高さとは無関係に亀裂が探知可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8