(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】選挙用看板、選挙情報表示システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20230612BHJP
G09F 15/00 20060101ALI20230612BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230612BHJP
G09G 5/14 20060101ALI20230612BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G06Q50/26
G09F15/00 Z
G09G5/00 510B
G09G5/00 510H
G09G5/00 550B
G09G5/14 Z
G09G5/38
(21)【出願番号】P 2020171583
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】593030141
【氏名又は名称】株式会社丸善グループ
(74)【代理人】
【識別番号】100203460
【氏名又は名称】加藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】森下 みどり
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067349(JP,A)
【文献】特開2016-096510(JP,A)
【文献】特開2002-352039(JP,A)
【文献】選挙ポスターの「位置」に隠された知られざる戦い,[online],2017年07月23日,インターネット<URL:https://tohoku360.com/senkyo-urabanashi4/>,[2022年8月15日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G09G 5/00
G09G 5/14
G09G 5/38
G09F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選挙において候補者の情報を表示する選挙用看板
と、前記選挙用看板と通信回線を介して接続され、前記選挙用看板を管理可能な管理装置と、を備える選挙情報表示システムであって、
前記選挙用看板は、
前記候補者に関する情報である候補者情報を表示可能な表示手段を備え、
前記表示手段は、
複数の個別表示領域からなり、各個別表示領域の少なくとも一部に前記候補者情報を表示可能な個別表示領域群と、
前記個別表示領域に表示される情報とは異なる情報を表示する共通表示領域と、を表示可能であり、
前記管理装置は、
前記候補者情報を所定の時刻よりも前に記憶しておく手段と、
前記候補者情報が表示される前記個別表示領域を抽選する抽選手段を備え、
前記抽選手段は、
前記所定の時刻に届け出が行われた前記候補者情報を前記記憶しておく手段から抽出し、その前記候補者情報と等しい数の前記個別表示領域に対して、抽出された前記候補者情報が表示される箇所を抽選する、選挙情報表示システム。
【請求項2】
選挙において候補者の情報を表示する選挙情報表示システムであって、
前記候補者に関する情報である候補者情報を表示可能な個別表示領域を複数有する表示手段と、
前記候補者情報を所定の時刻よりも前に記憶しておく手段と、
前記候補者情報が表示される前記個別表示領域を抽選する抽選手段と、を備え、
前記抽選手段は、
前記所定の時刻に届け出が行われた前記候補者情報を前記記憶しておく手段から抽出し、その前記候補者情報と等しい数の前記個別表示領域に対して、抽出された前記候補者情報が表示される箇所を抽選する、選挙情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選挙において候補者の表示に使用する選挙用看板、及び、その選挙用看板を備える選挙情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、選挙の際に使用される選挙用看板では、金属又は木材で形成されている選挙用看板に、紙の選挙ポスターが掲示されている。このような選挙用看板として、特許文献1に記載の選挙用看板がある。特許文献1に記載の選挙用看板では、紙の選挙ポスターを掲示可能な領域を増設可能としており、候補者の人数に応じて選挙用看板の大きさを可変としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の選挙用看板では、選挙の際には複数個所に設置された選挙用看板に紙の選挙ポスターを掲示する必要があるため、掲示を行う人手が必要であり、使用後には選挙ポスターを破棄する必要が生ずる。また、紙のポスターに記載可能な情報には制限があり、有権者は選挙ポスターのみからでは、得られる情報に限界がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、選挙ポスターを低減可能であり、且つ、選挙ポスターの破棄も不要な選挙用看板、及び、その選挙用看板を備える選挙情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の構成は、選挙において候補者の情報を表示する選挙用看板であって、前記候補者に関する情報である候補者情報を表示可能な表示手段を備え、前記表示手段は、複数の個別表示領域からなり、各個別表示領域の少なくとも一部に前記候補者情報を表示可能な個別表示領域群と、前記個別表示領域に表示される情報とは異なる情報を表示する共通表示領域と、を表示可能であり、前記個別表示領域を非表示状態から表示状態へ切り替え可能である。
【0007】
第1の構成では、個別表示領域を非表示状態から表示状態へと切り替えることで、公示日の所定の時間に個別表示領域に候補者情報を表示することができる。したがって、紙のポスターを用意することなく候補者の情報を表示することができるため、ポスターの掲示に必要な人員を設ける必要がなくなり、且つ、紙のポスターの製造及び破棄の際に生ずる環境負荷及びコストを削減することができる。
【0008】
第2の構成は、第1の構成に加えて、操作入力を受け付ける操作受付手段をさらに備え、前記表示手段は、前記操作受付手段が受け付けた前記操作入力に基づいて、少なくとも一部の前記個別表示領域に表示されている前記候補者情報を変更可能である。
【0009】
紙の選挙ポスターを使用する場合、紙面には限りがあり、候補者の写真や氏名を表示すれば、それ以外の情報を表示することは困難である。この点、第2の構成では、候補者情報を変更可能であるため、候補者の公約や経歴などの表示へと変更することで、有権者により多くの情報を提供可能となる。
【0010】
第3の構成は、選挙情報表示システムであって、第1又は第2の構成の複数の選挙用看板と、前記選挙用看板と通信回線を介して接続され、前記選挙用看板を管理可能な管理装置と、を備える。
【0011】
第3の構成では管理装置により各選挙用看板に表示される情報を管理することができるため、各選挙用看板を個別に制御するよりも、選挙に必要な人員を低減することができる。
【0012】
第4の構成は、第3の構成に加えて、前記管理装置は、前記候補者情報が表示される前記個別表示領域を抽選する抽選手段を備え、前記抽選手段は、所定の時刻までに取得した前記候補者情報と等しい数の前記個別表示領域に対して、所定の時刻までに取得した前記候補者情報が表示される箇所を抽選する。
【0013】
選挙用看板では、表示される場所によって注目度に差異が生ずることが一般的であるが、先着順にすれば、注目度の高い場所を得るための競争が激しくなるおそれがある。この点、第4の構成では、所定の時刻までに取得した候補者情報に対して抽選により個別表示領域を割り当てているため、注目度の高い場所を得るための競争を抑制することができる。
【0014】
第5の構成は、第4の構成に加えて、前記管理装置は、前記所定の時刻よりも後に取得した前記候補者情報が表示される前記個別表示領域を、予め定められた順に決定する配置手段をさらに備える。
【0015】
第5の構成では、所定の時間に候補者情報を提出できなかった場合でも、候補者情報を適切に配置することできる。
【0016】
第6の構成は、選挙において候補者の情報を表示する選挙情報表示システムであって、前記候補者に関する情報である候補者情報を表示可能な個別表示領域を複数有する表示手段と、前記候補者情報が表示される前記個別表示領域を抽選する抽選手段と、を備え、
前記抽選手段は、所定の時刻までに取得した前記候補者情報と等しい数の前記個別表示領域に対して、所定の時刻までに取得した前記候補者情報が表示される箇所を抽選する。
【0017】
第6の構成では、第4の構成に準ずる選挙情報を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】選挙情報管理システムの構成を示す図である。
【
図7】サーバが実行する処理を説明するフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係るサーバの構成を説明する図である。
【
図9】第2実施形態に係る表示データを説明する図である。
【
図10】第2実施形態に係る表示部の構成を説明する図である。
【
図11】第2実施形態において表示内容を切り替えた状態を説明する図である。
【
図12】第3実施形態に係る表示部の構成を説明する図である。
【
図13】第4実施形態に係る表示部の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態に係る選挙情報表示システムは、国政選挙、地方選挙、又は民間の選挙における、候補者の情報の掲示を行うべく使用されるシステムであり、
図1に示すように、複数の選挙用看板10と、各選挙用看板10と通信回線網30を介して接続されており、各選挙用看板10を管理可能な管理装置であるサーバ40とを備えている。
【0020】
選挙用看板10は、
図2に示すように、正面に表示手段である表示部20が設けられている。この表示部20は、例えば液晶パネルにより構成されている。この表示部20は、金属等で形成された支持部10aの上の配置されることで、地面から一定の間隔が空けられている。なお、支持部10aは地面に固定されていてもよいし、移動可能となっていてもよい。
【0021】
続いて、選挙用看板10の機能の構成について、
図3を参照して説明する。選挙用看板10は、制御部11、通信部12、記憶部13、及び、表示部20を備えている。制御部11は、プロセッサ及びメモリ(いずれも図示略)を備えており、メモリに記憶されているプログラムに従ってプロセッサが所定の処理を行う。通信部12は、インターネット回線、専用回線等を介してサーバ40と接続されており、そのサーバ40との間で情報の送受信が可能となっている。記憶部13は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリとで構成されている。揮発性メモリは、例えばDRAMであり、不揮発性メモリは、例えばHDD又はSSDである。
【0022】
管理装置であるサーバ40は、
図4に示すように、制御部41、通信部42、及び、記憶部43を備えている。制御部41は、プロセッサ及びメモリ(いずれも図示略)を備えており、メモリに記憶されているプログラムに従ってプロセッサが所定の処理を行う。通信部42は、光回線等を介して選挙用看板10と接続されており、その選挙用看板10との間で情報の送受信が可能となっている。記憶部43は、選挙の投票日等に関するデータである選挙情報データと、選挙に立候補した候補者の情報である候補者データ(候補者情報)を記憶可能となっている。この候補者データについては、後述する。
【0023】
各選挙用看板10は、通信部12を介して受信した候補者データを記憶部13に記憶し、制御部11は記憶部13に記憶された候補者データを読み出して表示部20に表示する。このとき、制御部11と表示部20とが協働して、表示手段として機能するということができる。この、表示部20の表示内容について、
図5を参照して説明する。表示部20には、選挙に関する予め定められた情報が表示される共通情報表示領域21と、候補者データに基づく表示がなされる個別表示領域群22が設けられている。
【0024】
共通情報表示領域21には、選挙名、すなわち、首長選挙、国会議員選挙、県議会議員選挙、市区町村議員選挙の区別、及び、各選挙が何回目の選挙であるかの表示が、選挙情報データに基づいてなされる。この共通情報表示領域21に表示される情報を含む選挙情報データは、選挙の公示日よりも前に作成されたものがサーバ40の記憶部43に記憶され、サーバ40から各選挙用看板10へ配信され、各選挙用看板100の記憶部13にあらかじめ記憶されている。
【0025】
個別表示領域群22には、三行六列に等間隔に区分けられた第1~第18個別表示領域22a~22rが設けられている。この第1~第18個別表示領域22a~22rには、それぞれ、選挙の候補者に関する候補者データに基づくが表示される。
図6においては、候補者が14人であり、第1~第14個別表示領域22a~22nに、候補者データに基づく表示がなされており、第15~第18個別表示領域22m~22rには対応するIDを有する候補者データが存在しておらず、空欄となっている状況を示しており、候補者数によっては、表示される数の増減が行われる。また、候補者数が19以上の場合が想定されるのであれば、選挙用看板10を2つ並べて設けるものとしてもよい。この場合には、共通情報表示領域21については一方の選挙用看板のみに表示するものとすればよい。
【0026】
図6に示す候補者データは、選挙の公示日に候補者又はその支援者からの届け出がなされたデータを蓄積しているデータである。この候補者データには、画像を表示するための表示データが含まれており、この表示データは、例えば、候補者の写真に候補者名や簡潔な文言等を付け加えた画像データである。この候補者データ、公示日の所定の時間まで届け出がなされた候補者については、まず、届け出順にIDが割り振られ、そのIDに対して候補者の表示データが紐付けられる。
【0027】
続いて、所定の時刻までに届け出がなされた表示データの表示箇所について、抽選が行われる。このとき、サーバ40の制御部41が抽選手段として機能するということができる。この抽選において、まず、個別表示領域群22のうち、表示データの数と同じ数の個別表示領域22a~22nが選択される。このとき、個別表示領域22a~22rは最も右側の列の上から順に選択されていき、一番下まで選択されれば、ひとつ左の列に移り、また上から順に選択されていく。この選択順は、予め定められている。この抽選については、サーバ40が実行してもよいし、別の手段、例えば機械式の抽選装置やくじ引き等により行うものとしてもよい。一方、公示日の所定の時間よりも後に届け出を行った候補者の表示データについては、公示日の所定の時間に行った候補者の表示データについては、最初に選択された個別表示領域22a~22nに続いて、予め定められた順に基づいて、すなわち、右側の列の上から順に、先着順に個別表示領域22a~22rが割り振られる。
【0028】
また、届け出とは別に、事前に表示データを記憶部43に記憶させておいてもよい。この場合には、公示日の所定の時間に届け出が行われた候補者の表示データを記憶部43に記憶された候補者データの中から抽出し、その中で抽選するものとすればよい。さらに、公示日の所定の時間以後に表示データを記憶させる手段と、事前に表示データを記憶させておく手段とを、両方とも採用するものとしてもよい。
【0029】
この表示データをサーバ40から選挙用看板10へ送信するうえで、選挙用看板10では、公示日の所定の時間に届け出を行った候補者の表示データが揃ってから表示を行う。このとき、まず、公示日の所定の時間までは、表示データを非表示としておく。この表示データを非表示とするうえで、共通表示領域21に表示される選挙情報のみは表示状態とし、個別表示領域群22に表示される表示データについては、非表示とする。このとき、個別表示領域群22については、黒色又は他の色を表示しておくことで、候補者データにおける表示データについては非表示状態とする。そして、公示日の所定の時間に届け出を行った候補者の表示データが揃えば、黒色又は他の色の代わりに、候補者データにおける表示データを表示して表示状態へと切り替える。
【0030】
なお、サーバ40において、事前に表示データを記憶部43に記憶させておく手段を採用している場合には、公示日の所定の時間に一斉に各選挙用看板10に送信するものとしてもよいし、サーバ40から各選挙用看板10へ予め表示データを送信しておき、公示日の所定の時間には、抽選の結果として紐付けられるIDのみを各選挙用看板10へ送信するものとしてもよい。これらの場合には、候補者データの受信が完了したこと、又はIDの受信が完了したことを契機として非表示状態から表示状態へと切り替えるものとしてもよいし、図示しない計時手段により所定の時間となったことを契機として非表示状態から表示状態へと切り替えるものとしてもよい。
【0031】
以上説明したサーバ40の制御部41が実行する一連の処理について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
図7に示すフローチャートは、公示時刻の所定時間前に所定の制御周期ごとに繰り返し実行される。
【0032】
まず、ステップS101にて、候補者等から送信された候補者データを通信部42が取得したか否かを判定する。候補者データを取得したと判定した場合、すなわち、ステップS101にて肯定判定した場合、ステップS102へ進み、取得したデータに対して昇順でIDを付与して記憶部43へ格納する。そして、ステップS103へ進む。一方、候補者データを取得したと判定しなかった場合、すなわち、ステップS101にて否定判定した場合、そのままステップS103へ進む。
【0033】
ステップS103では、時刻Tが、公示時刻T_limit以下であるか否かを判定する。この場合に、時刻Tを実際の時刻とするならば、公示時刻T_limitも予め定められた実際の時刻とすればよい。また、時刻Tの計時開始時の値をゼロとするならば、公示時刻T_limitが実際の公示時刻に合致するように、時刻Tの計時開始時の実際の時刻と実際の公示時刻との差として設定すればよい。
【0034】
時刻Tが、公示時刻T_limit以下である場合、すなわち、ステップS103にて肯定判定された場合、ステップS104へ進み、時刻Tが公示時刻T_limitであるか否かを判定する。時刻Tが公示時刻T_limitと等しい場合、すなわち、ステップS104にて肯定判定された場合、時刻が公示時刻に達したことを意味するため、ステップS105へ進む。ステップS105の抽選処理では、表示データが表示される個別表示領域22を決定すべく、抽選処理を行う。この抽選処理では、例えば、表示データのそれぞれに対してランダムに乱数を発生させ、その乱数を昇順又は降順に並び替えたうえで、個別表示領域22に対して順番に対応させる。以上のようにしてステップS105の抽選処理が行われ、表示データが表示される個別表示領域22が定まれば、ステップS106へ進み、通信部42から各選挙用看板10の通信部12へと
図6に示す表示データを送信する。なお、取得した表示データについては取得するごとに各選挙用看板10へ送信しておき、公示時刻には抽選結果のみを送信する構成としてもよい。
【0035】
以上のようにして抽選結果が各看板10へ送信された後、ステップS107へ進み時刻Tへ加算を行い、一連の処理を終了する。また、時刻Tが、公示時刻T_limitでない場合である場合、すなわち、ステップS104にて肯定判定された場合、抽選処理を行う時刻よりも前の時刻であるため、ステップS107へ進み時刻Tへ加算を行い、一連の処理を終了する。
【0036】
一方、時刻Tが、公示時刻T_limitを過ぎている場合、すなわち、ステップS103にて肯定判定された場合、ステップS108へ進み、表示データが表示される個別表示領域22を決定する。そして、ステップS109へ進み、その表示データを各選挙用看板10へ送信して、一連の処理を終了する。
【0037】
上記構成により、本実施形態に係る選挙用看板10、及び、選挙情報システムは、以下の効果を奏する。
【0038】
・個別表示領域22を非表示状態から表示状態へと切り替えることで、公示日の所定の時間に個別表示領域22に候補者情報を表示することができる。したがって、紙のポスターを用意することなく候補者の情報を表示することができるため、ポスターの掲示に必要な人員を設ける必要がなくなり、且つ、紙のポスターの製造及び破棄の際に生ずる環境負荷及びコストを削減することができる。
【0039】
・サーバ40により各選挙用看板10に表示される情報を管理することができるため、各選挙用看板10を個別に制御するよりも、選挙に必要な人員を低減することができる。
【0040】
・選挙用看板10では、表示される場所によって注目度に差異が生ずることが一般的であるが、先着順にすれば、注目度の高い場所を得るための競争が激しくなるおそれがある。この点、所定の時刻までに取得した候補者情報に対して抽選により個別表示領域22を割り当てているため、注目度の高い場所を得るための競争を抑制することができる。
【0041】
<第2実施形態>
本実施形態では、選挙用看板110の構成の一部、及び、候補者データの一部が第1実施形態と異なっている。本実施形態に係る選挙用看板110の構成について、
図8を参照して説明する。
【0042】
選挙用看板110は、制御部111、通信部112、記憶部113、入力部114、及び、表示部20を備えている。制御部111、通信部112、及び、記憶部113については、第1実施形態に係る看板10における制御部11、通信部12、記憶部13と同等の構成であるため、具体的な説明は省略する。入力部114は、表示部120の表面に設けられたタッチパネルであり、その入力部114に対する入力に基づいて、制御部111は予め定められた処理を実行する。なお、入力部114は操作入力を受け付ける手段であるため、操作受付手段ということができる。
【0043】
図9は、本実施形態において記憶部113に記憶される候補者データであり、表示データに加えて、公約データを有している。この公約データは、表示データとは異なり、候補者の公約に関する文章のデータであり、表示データと関連付けられて記憶されている。なお、ID及び表示場所の決定方法については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
表示部120の共通情報表示領域121には、
図10に示すように、選挙名及び公示日に加えて、切替部123が表示されている。この切替部123の表面に対応する部分への操作入力をタッチパネルである入力部114が検出する。この切替部123の表示に触れることで、
図11に示すように、個別表示領域122a~122hに表示されている各候補者の写真である表示データが、文章である公約データに切り替わる。なお、再び各候補者の写真に戻す場合には、再度切替部123に触れればよい。
【0045】
なお、切替部123を設けて全体を一度に切り替える手段を採用しているが、この切替部123に加えて、又は、その代わりに、各個別表示領域122a~122hへの操作入力を入力部114により検出可能としておき、操作入力を検知した個別表示領域122a~122hのみの表示データを公約データに切替可能としてもよい。
【0046】
また、表示データから公約データに切り替えるものとしているが、候補者の経歴等、種々の異なる情報への切り替えを可能としてもよく、2つのデータの切り替えのみならず、3つ以上のデータに切替可能としてもよい。さらに表示データに加えて音声データも備えるものとし、入力部への操作入力により、音声データの再生を行うものとしてもよい。
【0047】
上記構成により、本実施形態に係る選挙用看板110、及び、選挙情報システムは、以下の効果を奏する。
【0048】
・紙の選挙ポスターを使用する場合、紙面には限りがあり、候補者の写真や氏名を表示すれば、それ以外の情報を表示することは困難である。この点、本実施形態では、候補者情報を変更可能であるため、候補者の公約や経歴などの表示へと変更することで、有権者により多くの情報を提供可能となる。
【0049】
<第3実施形態>
本実施形態に係る選挙用看板の構成は、第2実施形態と同等であり、表示部220における表示内容の制御方法の一部が異なっている。まず、操作入力を受け付ける前の表示部220の表示様態は、第1実施形態における
図5で示したものと同様である。個別表示領域群220における第1個別表示領域222aに対する操作入力を検知した場合、
図12に示すように、第1個別表示領域222aに表示されている表示データを拡大表示する。この場合、第2~第8個別表示領域222b~222iに表示される表示データは、第1表示領域222aの周囲に縮小表示される。
【0050】
図12で示した状態において、第1表示領域222aへの操作入力を再度検知した場合には、第1実施形態における
図5で示す元の状態へ戻す処理を行えばよい。また、
図12で示した状態において、第1表示領域222aに限らず、個別表示領域群220のいずれかの位置への操作入力を検知した場合に第1表示領域222aを元に戻す処理を行ってもよいし、第1表示領域222a以外への操作入力を検知した場合に、その位置に対応した表示領域222b~222iを拡大する処理を行ってもよい。
【0051】
なお、表示データの拡大表示を行ううえで、拡大される個別表示領域222a~222n以外の個別表示領域222a~222nについては、個別表示領域群220内に全ての情報が収まるように均等に縮小表示するものとしてもよいし、一部を非表示とすることで拡大に使用されるスペースを確保しても良い。また、共通情報表示領域221を拡大表示のスペースとして利用してもよい。さらに、第2実施形態と組み合わせて、公約データ等への切り替え処理も行うものとしてもよい。
【0052】
<第4実施形態>
本実施形態に係る選挙用看板の構成は、第2実施形態と同等であり、表示部320における表示内容、及び、その制御方法の一部が異なっており、候補者データとしては、第2実施形態で示した公約データを含むものが用いられる。本実施形態における選挙用看板の表示部320には、
図13に示すように、入力部323が表示されている。この入力部323に対しては、単語の入力、又は、単語の選択が可能となっている。
【0053】
入力部323を介して単語が入力または選択された場合、候補者データにおける公約データにその単語を含むものが選択される。そして、選択された候補者データの表示データに対して、入力された単語に対応することを示す強調表示が行われる。
図13では、第1個別表示領域322a、第3個別表示領域322c、及び、第5個別表示領域322eが強調表示されている。
【0054】
なお、本実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、公約データに切り替えた状態で単語が入力された場合には、その単語に対応する箇所に着色表示等を行ってもよい。また、候補者データから単語を抽出する代わりに、複数の単語を候補者データに紐付けて記憶させておき、その単語が選択入力された場合に、その単語に対応する表示データを強調表示するものとしてもよい。
【0055】
<その他の実施形態>
・各実施形態において、選挙用看板10,110とスマートフォン等の携帯端末等を通信可能としてもよい。この場合には、選挙用看板10,110の通信部12,112と携帯端末とを無線通信により接続し、携帯端末への操作入力により、選挙用看板10,110の記憶部13,113に記憶されている表示データや公約データを携帯端末へ送信するものとすればよい。
【0056】
・実施形態では、個別表示領域群22について、三行六列としたが、2行や4行とするなど、選挙の候補者の数に応じて変更することができる。この場合、制御部21により行や列の数を変更可能としてもよいし、行や列の数が予め定められていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
選挙用看板…10,110、表示部…20,120,220,320、共通情報表示領域…21,121,221,321、個別表示領域群…22、122,222,322、個別表示領域…22a~22r、122a~122r,222a~222r,322a~322r、サーバ…40