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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】網上被加熱物保護具
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/07 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
A47J37/07
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018184886
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020054426
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】318011934
【氏名又は名称】木村 壮太
(74)【代理人】
【識別番号】100209668
【弁理士】
【氏名又は名称】樋田 成人
(72)【発明者】
【氏名】木村 壮太
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-101119(JP,A)
【文献】特開2016-049387(JP,A)
【文献】特開2004-141603(JP,A)
【文献】特開2001-116259(JP,A)
【文献】特開2013-052112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00-37/07
F24B 1/00-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄材及び/若しくはステンレス及び/若しくは耐火性金属及び/若しくは耐火性材料で構成された複数の長方形板状体と、
前記長方形板状体の長手方向を連結する連結部と
を具備し、
前記連結部が、回転摺動可能な構造であることにより、前記長方形板状体が各々蛇腹状に折りたたむことが可能であり、
かつ、前記長方形板状体の前記長手方向の端部には網に掛かり止め可能な凸形状部を有し、前記長方形板状体が網上に固定することができる態様であることにより、
バーベキューにおける調理用金網上の食材を囲み込むことができることに特徴を有する網上被加熱物保護具。
【請求項2】
前記連結部が、前記長方形板状体の長手方向端部近傍に切り溝を有することにより前記長方形板状体が互いの切り溝に嵌合することにより連結される構造であることに特徴を有する請求項1に記載の網上被加熱物保護具。
【請求項3】
前記長方形板状体は、幅が好ましくは20mm乃至100mm、長さが好ましくは100mm乃至700mmであって、
前記連結部は、回動可能なヒンジ構造であることを特徴とする請求項1に記載の網上被加熱物保護具。
【請求項4】
前記長方形板状体は、幅方向端部が長さ方向に対して垂直ではないため、前記食材を囲み込む際、幅方向の開口方向が略台形筒状になることを特徴とする請求項1に記載の網上被加熱物保護具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金網上で加熱し焼かれる被加熱物の脱落防止及び加熱効率向上のための保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金網上で、下部からの加熱媒体によって加熱される物体である被加熱物体は、金網上にて固定されずに加熱処理されている場合が多い。よって、被加熱物は、その形状によっては金網上を任意に移動または回転移動し、場合によっては金網上から外部に転落することがある。本発明は、そのような金網上の被加熱物体を金網上に固定又は囲い込むことによって、移動または回転移動しないようにするための保護具に係る発明である。
【0003】
また、略平面状の金網上で被加熱物を加熱処理する場合、下から加熱器具等の炎又は熱風、熱流で加熱するのであるが、外部からの風等の風圧により、炎又は熱流が垂直に上昇せず前後左右に流れてしまい、金網上の被加熱物を適切に加熱することができない場合もある。本発明は、このように流れてしまう炎又は熱風、熱流を、外周から適度に囲い混むことによって、垂直に上昇する適切な炎又は熱風、熱流を得るための保護具に関する発明である。
【0004】
例えば、バーベキュー(以降、バーベキューを「BBQ」と記載する。)などで、金網上に食材を載せ、下からの加熱源である炭火や加熱コンロ等によって加熱しながら食材を焼き調理する場合、BBQなどは屋外で実施する場合が多いため、風などの風圧により食材が転がり、金網上を移動してしまうことや、または金網上から転がり転落してしまうことが頻繁に起こる。
【0005】
また、屋外で設置されたBBQセットは、設置される場所の地形によっては傾いた態様で設置されることもあり、その場合は焼いて調理する食材を載せる金網も、若干斜めに傾いて設置されてしまうこともある。このような場合は、同様に、風などの風圧により食材が転がり、金網上を移動してしまうことや、または金網上から転がり転落してしまうことが頻繁に起こる。
【0006】
同様に、BBQなどで、金網上に食材を載せ、下からの加熱源である炭火や加熱コンロによって加熱しながら食材を焼き調理する場合、BBQなどは屋外で実施する場合が多いため、風などの風圧により炭火や加熱コンロの炎又は熱流が垂直に上昇されず、風下方向に流れてしまい、金網上の食材を適切に加熱することができない場合がある。本発明は、このように風によって流れてしまう炎又は熱風、熱流を、外周から適度に囲い混むことによって、垂直に上昇する適切な炎又は熱風、熱流を得るための保護具に関する発明である。
【0007】
実用新案文献1である登録実用新案第3148631号、及び特許文献2である特開平09-84700号にはBBQセットにおけるコンロの記載があり、これらはすべてコンロの外周を覆う壁体または網体が予め設置されている態様を示している技術開示がある。しかし、このような外周を覆う壁体または網体は取り外すことができず、位置も固定されているため、任意の位置を選択することができない欠点がある。
【0008】
また、上記文献1及び2のコンロは、外周を覆う壁体又は網体があるため、かたづけるときはコンロと一体化した箱状態となるため、体積が大きくなり、かさばり、運搬性が非常に悪い。一般的にBBQセットは平面上の金網体を設置し、下部から加熱する方法が最も簡略的であり持ち運びも便利である。このような運搬容易性を犠牲にして、コンロ上被加熱物(食材)を保護することはコスト及び効率性に欠けると言える。
【0009】
このように上記文献1及び2のBBQコンロは、簡易性、運搬容易性、コスト性及び効率性を兼ね備えた網上被加熱物保護具に至っているとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】登録実用新案第3148631号
【文献】特開平09-84700号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、本発明は、金網上で、下部からの加熱媒体によって加熱される物体である被加熱物体を、移動または回転移動させないように、金網上に固定又は囲い込むことによって、保護し、かつ、下部からの加熱媒体の熱風を拡散させずに効率よく被加熱物体に導入させることを可能にする網上被加熱物保護具を提供することにある。
【0012】
同様に本発明は、BBQなどで、金網上に食材を載せ、下からの加熱源である炭火や加熱コンロによって加熱しながら食材を焼き調理する場合、風などの風圧により食材が転がり、金網上を移動してしまうことや、または金網上から転がり転落してしまうことを防止するため、金網上に固定又は囲い込むことによって保護し、かつ、下部からの加熱媒体の熱風を拡散させずに効率よく食材に導入させることを可能にする網上被加熱物保護具を提供することにある。
【0013】
そして更に本発明は、簡易性、運搬容易性、コスト性及び効率性を兼ね備えた網上被加熱物保護具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、例えばBBQなどで、金網上に食材を載せ、下からの加熱源である炭火や加熱コンロによって加熱しながら食材を焼き調理する場合、風などの風圧により食材が転がり、金網上を移動してしまうことや、または金網上から転がり転落してしまうことを防止するため、金網上に固定又は囲い込むことによって保護し、かつ、下部からの加熱媒体の熱風を拡散させずに効率よく食材に導入させることを企図して考案された。
【0015】
かかる課題を解決するため、本発明に係る網上被加熱物保護具は、鉄材及び/若しくはステンレス及び/若しくは耐火性金属及び/若しくは耐火性材料で構成された複数の長方形板状体と、前記長方形板状体の長手方向を連結する連結部とを具備し、
前記連結部が、回転摺動可能な構造であることにより、前記長方形板状体が各々蛇腹状に折りたたむことが可能であり、かつ、前記長方形板状体の前記長手方向の端部には網に掛かり止め可能な凸形状部を有し、前記長方形板状体が網上に固定することができる態様であることにより、
バーベキューにおける調理用金網上の食材を囲み込むことができることに特徴を有する。
【0016】
また本発明に係る網上被加熱物保護具の上記連結部は、回転摺動可能な構造であることにより、上記長方形板状体が各々蛇腹状に折りたたむことが可能であることを特徴とする態様をとることもできる。
【0017】
網上被加熱物保護具が、略長方形状の板状体であって、それぞれの連結部が略360度回転可能なヒンジ連結であれば、蛇腹状に折りたたむことができ、簡易性、運搬容易性、コスト性及び効率性を兼ね備えている。BBQ実施後も後始末が簡単で、折りたたんでバッグ等にしまい込むことができる。
【0018】
本発明に係る網上被加熱物保護具の上記連結部は、上記長方形板状体の長手方向端部近傍に切り溝を有することにより上記長方形板状体が互いの切り溝に嵌合することにより連結される構造であることを特徴とすることもできる。
【0019】
この構造であれば、ヒンジ等により連結をする必要がなく、任意に嵌合させることによって連結することができる。また後始末が簡単で、取り外して板状体の束としてしまい込むこともできる。
【0020】
本発明に係る網上被加熱物保護具は、前記長方形板状体の長手方向端部には網に掛かり止め可能な凸形状部を有し、上記網上被加熱物保護具が網上又は網下に固定することができることを特徴とする態様をとることもできる。
【0021】
本発明に係る網上被加熱物保護具の上記長方形板状体は、幅が好ましくは20mm乃至100mm、長さが好ましくは100mm乃至700mmであって、上記連結部は、回動可能なヒンジ構造であり、BBQにおける調理用金網上の食材を囲み込むことができることに特徴を有する。
【0022】
また本発明に係る網上被加熱物保護具の上記長方形板状体は、幅方向端部が長さ方向に対して垂直ではない態様を取ることもできるため、上記食材を囲み込む際、幅方向の開口方向が略台形筒状にすることもできる。
【0023】
つまり、風によって流れてしまう炎又は熱風、熱流を、上記長方形板状体が外周から適度に囲い混むことによって、垂直に上昇する適切な炎又は熱風、熱流を得ることができるようなる。
【0024】
本発明に係る網上被加熱物保護具の前記長方形板状体の片面に、蛇腹状の熱風通路を具備することもできる。これも風によって流れてしまう炎又は熱風、熱流を、上記長方形板状体が外周から適度に囲い混むことによって、垂直に上昇する適切な炎又は熱風、熱流を得ることができることに大きく寄与する。
【0025】
本発明に係る網上被加熱物保護具は、好ましい形状や大きさを示し耐火性材料を例示したが、特に大きさや形状、材質などを限定するものではない。それらは、従来の技術によって可能な形態をとってもよいことは言うまでもない。
【0026】
前記連結部についても、連結方法において様々な形態が従来技術から対応できるが、これらは本発明思想に内包されるものであり、また均等的形態においても本発明の技術思想に含まれることは言うまでもない。
【0027】
本発明に係る網上被加熱物保護具及びその連結方法は、従来技術を用いた類似技術思想及び均等方法によっても全てが本発明の技術思想に内包されるものである。
【発明の効果】
【0028】
このように本発明に係る網上被加熱物保護具は、金網上で、下部からの加熱媒体によって加熱される物体である被加熱物体を、移動または回転移動させないように、金網上に固定又は囲い込むことによって、保護し、かつ、下部からの加熱媒体の熱風を拡散させずに効率よく被加熱物体に導入させることを可能にする。
【0029】
同様に本発明に係る網上被加熱物保護具は、BBQなどで、金網上に食材を載せ、下からの加熱源である炭火や加熱コンロによって加熱しながら食材を焼き調理する場合、風などの風圧により食材が転がり、金網上を移動してしまうことや、または金網上から転がり転落してしまうことを防止するため、金網上に固定又は囲い込むことによって保護し、かつ、下部からの加熱媒体の熱風を拡散させずに効率よく食材に導入させることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具のイメージを示した概念図である。
図2】本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の連結部のイメージを示した概念図である。
図3】本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の切り溝を連結したイメージを示した概念図である。
図4】本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の突起部のイメージを示した概念図である。
図5】本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の略台形状態のイメージを示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具のイメージを示した概念図である。同図に示すように、BBQ網2の上には被加熱物である食材3が置かれており、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具1は、食材3の外周を覆うように配置されて、食材の回転移動や落下を防止、保護する。
【0033】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具は、食材の量や大きさにあわせてその配置を任意に変えることができる。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の連結部のイメージを示した概念図である。同図に示すように、網上被加熱物保護具1の連結部は、例えばヒンジ構造の連結部4であり、ヒンジ連結部4は略360度回転可能であるため網上被加熱物保護具は蛇腹状に折りたたむこともできる。また、ヒンジ連結部4は、任意の角度で固定できるため、食材3を望むように囲み保護することができる。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の切り溝を連結したイメージを示した概念図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具1は、その両端部近傍に切り溝5を有する形態とすることもできる。網上被加熱物保護具1それぞれ互いに切り溝5を嵌合する態様で連結することができる。
【0036】
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の切り溝を連結させる形態とした場合は、ヒンジ連結する必要がないため最も低コストで簡易かつ容易に連結させて機能を果たすことができる。取り外し、収納も最も簡易な形態となる。
【0037】
図4は、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の突起部のイメージを示した概念図である。同図に示すように、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の幅方向側面には突起部6を有する形態とすることができる。これにより、網上において網上被加熱物保護具1は、突起部6を用いて固定することができる。
【0038】
図4に示すように、L型突起部7のような形状であれば、網に掛かり止めすることもできるため、網の下面に吊るし固定することもできる。網の下面に吊るし固定した場合は、食材の保護のみならず、下方からの加熱風、加熱放射を覆い囲うこともできるため、風などの影響を阻止して熱を垂直上昇させて効率よく食材にあてることができる。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具の略台形状態のイメージを示した概念図である。同図に示すように、網上被加熱物保護具1の形状が、略台形状8であるために連結された場合、下方向が広く開口され、上方向が狭くなり、下方からの加熱風及び加熱放射を覆い囲み、風などの影響を阻止して熱を集めて垂直上昇させ、効率よく食材にあてることができる。つまり熱風流路9を集めて収束させることができる。
【0040】
また図は割愛するが、例えば本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具1の側面には諸々の形状物を付加することができる。例えば板状態を小さな蛇腹状に加工した形状物を付加すれば、下方からの加熱風及び加熱放射を導入し、覆い囲み、熱を集めて垂直上昇させ、効率よく食材にあてることができる。つまり熱風流路9を任意に集めて収束させることができる。
【0041】
上記のように、本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具は、その形状を自由に選択することができ、その目的に従い機能を発揮することができる。つまり網上被加熱物保護具は、
用途に合わせて、大きさ・形状を選択して好都合なものを適合させればよい。
【0042】
本発明の一実施形態に係る網上被加熱物保護具は、任意に連結させることによって様々な用途に利用することができる。本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。それらの用途別の適した形態は全て本発明の技術思想に含まれるものである。そして、従来技術を用いた均等方法も全て本発明の技術思想に内包されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上述したように、本願に係る網上被加熱物保護具によれば、金網上で、下部からの加熱媒体によって加熱される物体である被加熱物体を、移動または回転移動させないように、金網上に固定又は囲い込むことによって、保護し、かつ、下部からの加熱媒体の熱風を拡散させずに効率よく被加熱物体に導入させることを可能にする。
【0044】
同様に本発明に係る網上被加熱物保護具は、BBQなどで、金網上に食材を載せ、下からの加熱源である炭火や加熱コンロによって加熱しながら食材を焼き調理する場合、風などの風圧により食材が転がり、金網上を移動してしまうことや、または金網上から転がり転落してしまうことを防止するため、金網上に固定又は囲い込むことによって保護し、かつ、下部からの加熱媒体の熱風を拡散させずに効率よく食材に導入させることを可能にする。
【0045】
本発明は、BBQの食材に限らずに限らず、あらゆる被加熱物の網上加熱にも利用・適用可能である。本願は、各種産業に対しても有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0046】
1 網上被加熱物保護具
2 BBQ網
3 食材
4 ヒンジ連結部
5 切り溝
6 突起部
7 L型突起部
8 台形形状
9 熱風流路
図1
図2
図3
図4
図5