(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】給電システム及び給電装置
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
B25J5/00 A
(21)【出願番号】P 2019095311
(22)【出願日】2019-05-21
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000211695
【氏名又は名称】中西金属工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518321521
【氏名又は名称】株式会社低炭素ファシリティ研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉桑 栄二
(72)【発明者】
【氏名】辻森 俊行
(72)【発明者】
【氏名】山根 秀士
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 祥一
(72)【発明者】
【氏名】岡嵜 吉洋
(72)【発明者】
【氏名】北口 亮一
(72)【発明者】
【氏名】尾辻 勇一
(72)【発明者】
【氏名】星 昌良
(72)【発明者】
【氏名】松井 繁朋
(72)【発明者】
【氏名】松島 幹治
(72)【発明者】
【氏名】若山 弘
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-233059(JP,A)
【文献】特開2017-112806(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0039977(KR,A)
【文献】特開2014-144490(JP,A)
【文献】特開平04-054805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 5/00-19/16
G05D 1/02
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を備えるロボットと、
蓄電装置を備えず、移動可能である給電装置と、
制御装置とを備え、
前記給電装置は、
前記ロボットの第二電気的接続部と電気的に接続可能であり且つ電力供給源と有線を介して電気的に接続される第一電気的接続部
と、
電力を使用して前記給電装置を走行させる走行装置と、
電力制御回路とを備え、
前記制御装置は、前記蓄電装置の蓄電量に関する情報に基づき、前記第一電気的接続部と前記第二電気的接続部とを電気的に接続し前記ロボットへ給電するための制御を行
い、
前記給電装置は、前記制御装置の制御に対応して、前記走行装置を用いて前記ロボットにまで走行し、
前記電力制御回路は、前記電力供給源から有線を介して供給される電力を、前記給電装置と、前記第一電気的接続部に前記第二電気的接続部が接続されている前記ロボットとに供給する
給電システム。
【請求項2】
前記給電装置は、前記制御装置の制御に対応して走行し、前記第一電気的接続部を前記ロボットの前記第二電気的接続部に電気的に接続する
請求項
1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記ロボットは、前記第一電気的接続部及び前記第二電気的接続部の少なくとも一方を保持して移動させるアームを備え、前記アームを用いて、前記第一電気的接続部と前記第二電気的接続部とを電気的に接続する
請求項
1または2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記制御装置は、無線通信を介して、前記蓄電量に関する情報を前記ロボットから受信する
請求項1~
3のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項5】
少なくとも1つの前記ロボットと、少なくとも1つの前記給電装置とを備え、
前記制御装置は、前記少なくとも1つのロボットの前記蓄電量に関する情報と、前記少なくとも1つのロボットの位置の情報と、前記少なくとも1つの給電装置の位置の情報とに基づき、給電対象の前記ロボット及び給電を行う前記給電装置の少なくとも一方を決定する
請求項1~
4のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項6】
複数の前記ロボットを備え、
前記制御装置は、前記複数のロボットの前記蓄電量に関する情報と、前記複数のロボットの位置の情報と、前記給電装置の位置の情報とに基づき、給電を必要とする前記ロボットの中で、前記給電装置から最も近い前記ロボットを、給電対象の前記ロボットに決定する
請求項
5に記載の給電システム。
【請求項7】
複数の前記給電装置を備え、
前記制御装置は、前記ロボットの前記蓄電量に関する情報と、前記ロボットの位置の情報と、前記複数の給電装置の位置の情報とに基づき、給電を必要とする前記ロボットから最も近い前記給電装置を、前記ロボットへ給電する前記給電装置に決定する
請求項
5または
6に記載の給電システム。
【請求項8】
複数の前記ロボットを備え、
前記制御装置は、前記複数のロボットの前記蓄電量に関する情報に基づき、給電を必要とする前記ロボットの中で、蓄電量のレベルが最も低い前記ロボットを、給電対象の前記ロボットに決定する
請求項1~
7のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記ロボット及び前記給電装置から分離して配置される
請求項1~
8のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項10】
前記給電装置は、前記制御装置をさらに備える
請求項1~
8のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項11】
移動可能である給電装置であって、
蓄電装置を備えるロボットの第二電気的接続部と電気的に接続可能であり且つ電力供給源と有線を介して電気的に接続される第一電気的接続部と、
電力を使用して前記給電装置を走行させる走行装置と、
電力制御回路と、
前記蓄電装置の蓄電量に関する情報に基づき、前記第一電気的接続部を介して前記ロボットへ給電するための制御を行う制御装置とを備え
、
前記給電装置は、蓄電装置を備えず、
前記給電装置は、前記制御装置の制御に対応して、前記走行装置を用いて前記ロボットにまで走行し、
前記電力制御回路は、前記電力供給源から有線を介して供給される電力を、前記給電装置と、前記第一電気的接続部に前記第二電気的接続部が接続されている前記ロボットとに供給する、給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システム及び給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な場所での作業を可能にするために、走行装置を備えた作業ロボットが用いられている。例えば、特許文献1は、移動機構及び作業用アームを備えた作業ロボットを開示する。特許文献1の作業ロボットは、蓄電装置を備え、蓄電装置の電力を消費しつつ作業を行う。作業ロボットの蓄電装置の残留電力が少なくなると、移動機構を備える給電ロボットが作業ロボットと接続し、給電ロボットの蓄電装置の電力を作業ロボットに給充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給電ロボットは、作業ロボットの蓄電装置よりも大型の蓄電装置を搭載するが、給電ロボットに搭載可能である蓄電装置の蓄電容量には上限がある。このため、複数の作業ロボットへの給充電が必要である場合、給電ロボットの蓄電装置の蓄電量が不足する場合がある。さらに、給電ロボットの蓄電装置の充電は長時間を要するため、給電ロボットの充電時、作業ロボットは給充電を受けることができない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、ロボットへの安定した給電を可能にする給電システム及び給電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る給電システムは、蓄電装置を備えるロボットと、移動可能である給電装置と、制御装置とを備え、前記給電装置は、前記ロボットの第二電気的接続部と電気的に接続可能であり且つ電力供給源と有線を介して電気的に接続される第一電気的接続部を備え、前記制御装置は、前記蓄電装置の蓄電量に関する情報に基づき、前記第一電気的接続部と前記第二電気的接続部とを電気的に接続し前記ロボットへ給電するための制御を行う。
【0007】
また、本発明の一態様に係る給電装置は、移動可能である給電装置であって、蓄電装置を備えるロボットの第二電気的接続部と電気的に接続可能であり且つ電力供給源と有線を介して電気的に接続される第一電気的接続部と、前記蓄電装置の蓄電量に関する情報に基づき、前記第一電気的接続部を介して前記ロボットへ給電するための制御を行う制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロボットへ安定して給電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る給電システムの構成の一例を示す平面図
【
図2】実施の形態に係るロボットの構成の一例を示す側面図
【
図3】実施の形態に係る給電装置の構成の一例を示す側面図
【
図4】実施の形態に係るロボットの構成の一例を示すブロック図
【
図5】実施の形態に係るロボット制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
【
図6】実施の形態に係る給電装置の構成の一例を示すブロック図
【
図7】
図1におけるロボットと給電装置との接続状態の一例を示す平面図
【
図8】実施の形態に係る給電装置の給電制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
【
図9】実施の形態に係る給電システムの第一の動作の一例を示すフローチャート
【
図10】複数のロボットと1つの給電装置との配置例を示す平面図
【
図11】実施の形態に係る給電システムの第二の動作の一例を示すフローチャート
【
図12】実施の形態に係る給電システムの第三の動作の一例を示すフローチャート
【
図13】複数のロボットと複数の給電装置との配置例を示す平面図
【
図14】実施の形態に係る給電システムの第四の動作の一例を示すフローチャート
【
図15】変形例1に係る給電システムの構成の一例を示す平面図
【
図16】変形例1に係るロボット及び給電装置の接続状態の一例を示す側面図
【
図17】変形例2に係る給電システムの構成の一例を示す平面図
【
図18】変形例2に係るロボット及び給電装置の接続状態の一例を示す側面図
【
図19】変形例3に係る給電システムの構成の一例を示す平面図
【
図20】変形例3に係る給電装置の構成の一例を示すブロック図
【
図21】変形例3に係る給電装置の給電制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
【
図22】変形例3に係る管理装置の構成及び管理制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態)
以下において、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0011】
<給電システム1の構成>
図1は、実施の形態に係る給電システム1の構成の一例を示す平面図である。
図2は、実施の形態に係るロボット100の構成の一例を示す側面図である。
図3は、実施の形態に係る給電装置200の構成の一例を示す側面図である。
図1~
図3に示すように、給電システム1は、1つ以上のロボット100と、1つ以上の給電装置200と、電力供給源300とを含む。
【0012】
ロボット100は、ロボット本体101と、走行装置102とを備える。走行装置102は、床面等の上で走行し、ロボット100を目的の場所まで移動させる。走行装置102は、車輪又はクローラ(「キャタピラ(登録商標)」とも呼ばれる)等の走行手段を備える。ロボット本体101は、目的の場所で作業等の目的とする動作を行う。例えば、ロボット本体101は、1つ以上のアーム101aと、アーム101aの先端のマニピュレータ101bとを備え、アーム101a及びマニピュレータ101bを用いて作業を行う。マニピュレータ101bは、対象物を把持、吸着、掬い上げ等することにより保持することができる。なお、本実施の形態では、ロボット100は作業ロボットであるが、これに限定されず、いかなるロボットであってもよい。
【0013】
また、ロボット100は、蓄電装置103と端子104とロボット制御装置105とを備える。ロボット制御装置105は、ロボット本体101及び走行装置102等のロボット100全体の動作を制御する。蓄電装置103は、二次電池等の蓄電池を備え、ロボット100の電源を構成する。二次電池は、電力の充放電が可能である電池である。二次電池の例は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池等である。端子104は、給電装置200の端子201と物理的及び電気的に接続可能であり、給電装置200から電力の供給を受ける。蓄電装置103は、端子104を介して供給される電力を蓄積することができる。端子104は第二電気的接続部の一例であり、端子201は第一電気的接続部の一例である。
【0014】
電力供給源300は、給電装置200と電力線301で物理的及び電気的に接続され、電力線301を介して給電装置200に直流電力又は交流電力を供給する設備である。例えば、電力供給源300は、ロボット100が配置される工場又は倉庫等の作業場所Aに配置される。電力供給源300は、商用電源等の電力系統から電力の供給を受け、供給された電力を給電装置200に送る。なお、電力供給源300は、図示しない蓄電装置を備え、当該蓄電装置に一旦蓄積した電力を給電装置200に供給してもよく、電力系統からの電力を直接、給電装置200に供給してもよい。
【0015】
給電装置200は、端子201と、走行装置202と、給電制御装置203とを備える。走行装置202は、床面等の上で走行し、給電装置200を目的とするロボット100にまで移動させる。走行装置202は車輪又はクローラ等の走行手段を備える。端子201は、電力線301と電気的に接続され、それにより、電力供給源300と電気的に接続されている。端子201は、ロボット100の端子104と、物理的及び電気的に接続されるように構成されている。給電制御装置203は、給電装置200全体の動作を制御し、例えば、ロボット100の走行、及び端子201を介したロボット100への給電等を制御する。給電制御装置203は制御装置の一例である。
【0016】
<ロボット100の構成>
図4は、実施の形態に係るロボット100の構成の一例を示すブロック図である。
図1、
図2及び
図4に示すように、ロボット100は、ロボット本体101と、走行装置102と、蓄電装置103と、端子104と、ロボット制御装置105と、電力制御回路106と、通信装置107と、位置検出装置108とを構成要素として備える。なお、これら構成要素の全てが必須ではない。
【0017】
ロボット本体101は、ロボット駆動装置101cを備え、ロボット駆動装置101cは、アーム101aの関節及びマニピュレータ101b等に配置されたサーボモータなどの電気モータ等の駆動装置で構成される。ロボット駆動装置101cは、ロボット制御装置105の制御に従って、アーム101aの関節及びマニピュレータ101b等を動作させる。本実施の形態では、アーム101aは、複数のリンクと、複数のリンクを順次接続する複数の関節とを有する垂直多関節型のアームであるが、これに限定されない。
【0018】
走行装置102は、走行駆動装置102aを備え、走行駆動装置102aは、走行装置102の走行手段を駆動する電気モータ、及び走行手段の走行方向を変更する電気モータ等で構成される。走行駆動装置102aは、ロボット制御装置105の制御に従って、走行装置102を目的とする方向に走行させる。
【0019】
蓄電装置103と、端子104と、ロボット制御装置105と、電力制御回路106と、通信装置107と、位置検出装置108と、ロボット駆動装置101cと、走行駆動装置102aとの各構成要素は、互いに電気的に接続されている。各構成要素間の接続関係は、
図4の関係に限定されない。各構成要素間の接続は、いかなる有線接続又は無線接続でもよい。
【0020】
蓄電装置103の構成は、前述したとおりである。
【0021】
端子104は、ロボット本体101に固定されている。これに限定されないが、本実施の形態では、端子104は、ロボット本体101におけるアーム101aと反対側である後部の側面に固定されている。
【0022】
電力制御回路106は、ロボット制御装置105の制御に従って、蓄電装置103の電力をロボット100の他の構成要素に供給する。また、電力制御回路106は、ロボット制御装置105の制御に従って、端子104に供給される電力を蓄電装置103及び他の構成要素に供給する。電力制御回路106は、充電用回路及び/又は放電用回路を含んでもよく、さらに、交流-直流変換回路及び/又は直流-交流変換回路を含み電力変換をしてもよい。
【0023】
通信装置107は、無線通信回路を含み、給電装置200等と無線通信する。通信装置107は、個別の給電装置200と通信してもよく、複数の給電装置200と通信し情報を一斉送信してもよい。例えば、通信装置107は、ロボット制御装置105の制御に従って、蓄電装置103の蓄電量に関する情報及びロボット100の位置情報を給電装置200に送信する。
【0024】
蓄電装置103の蓄電量に関する情報は、蓄電池の蓄電残量、SOC(充電率:States Of Charge)、DOD(放電深度:Depth Of Discharge)及び電圧等の蓄電装置103の蓄電量のレベルを示す情報を含んでもよく、蓄電量のレベルを検出するための蓄電装置103の電圧値及び電流値等の情報を含んでもよく、蓄電装置103への給電を要求又は命令する指令を含んでもよい。蓄電装置103の蓄電量に関する情報は、蓄電装置103を搭載するロボット100のID等の識別情報を含んでもよい。
【0025】
また、通信装置107は、給電装置200以外の装置と無線通信してもよい。例えば、通信装置107は、ロボット100に指令を送信する端末装置400と通信し、端末装置400から、ロボット100の作業場所及び作業内容等の情報を取得し、ロボット制御装置105に出力してもよい。
【0026】
通信装置107が用いる無線通信は、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)等の無線LAN(Local Area Network)が適用されてもよく、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信が適用されてもよく、その他のいかなる無線通信が適用されてもよい。
【0027】
位置検出装置108は、ロボット100の位置を検出する装置であり、検出されたロボット100の位置の情報をロボット制御装置105に出力する。位置検出装置108は、GPS(Global Positioning System)受信機及びIMU(慣性計測装置:Inertial Measurement Unit)等の測位装置を含む。
【0028】
例えば、位置検出装置108は、GPS受信機を介して、地球上におけるロボット100の3次元座標を取得し、ロボット制御装置105に出力してもよい。位置検出装置108は、IMUが含む3軸加速度センサ及び3軸角速度センサの計測値を取得しロボット制御装置105に出力してもよい。位置検出装置108は、ロボット100の3次元座標と、IMUの計測値とを取得し、ロボット制御装置105に出力してもよい。IMUの計測値を用いて、ロボット100の移動方向、移動距離及び向きの算出が可能である。本実施の形態では、ロボット制御装置105が、位置検出装置108から取得される情報を用いてロボット100の位置及び向きを検出するが、位置検出装置108が検出してもよい。なお、位置検出装置108は、ロボット100等の位置を管理又は計測する、ロボット100の外部の装置からロボット100の位置を取得してもよい。
【0029】
ロボット制御装置105の構成を説明する。
図5は、実施の形態に係るロボット制御装置105の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、ロボット制御装置105は、蓄電情報取得部105aと、充放電制御部105bと、自装置位置取得部105cと、情報出力部105dと、ロボット制御部105eと、走行制御部105fと、記憶部105gとを機能的な構成要素として含む。なお、これら機能的な構成要素の全てが必須ではない。
【0030】
蓄電情報取得部105a、充放電制御部105b、自装置位置取得部105c、情報出力部105d、ロボット制御部105e及び走行制御部105fの各構成要素の機能は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ及びROM(Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステム(図示せず)により実現されてもよい。上記構成要素の一部又は全部の機能は、CPUがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。なお、上記構成要素の一部又は全部の機能は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0031】
記憶部105gは、種々の情報の格納することができ、且つ、格納した情報の読み出しを可能にする。記憶部105gは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ等の半導体メモリ、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置によって実現される。記憶部105gは、ロボット100の識別情報、蓄電装置103の蓄電情報及びロボット100の位置情報等を格納する。記憶部105gは、ロボット制御装置105の各構成要素が実行するプログラムを格納してもよい。
【0032】
蓄電装置103の蓄電情報は、蓄電装置103の蓄電量に関する情報を含む。蓄電情報は、蓄電装置103の現在の蓄電量に関する情報だけでなく過去の蓄電量に関する情報を、それぞれの検出時刻と共に含んでもよい。さらに、蓄電情報は、蓄電装置103への充電が必要となる蓄電量のレベルの閾値を含んでもよい。
【0033】
ロボット100の位置情報は、ロボット100の位置及び向き等の情報を含む。位置情報は、ロボット100の現在の位置情報だけでなく過去の位置情報を、それぞれの検出時刻と共に含んでもよい。さらに、位置情報は、ロボット100が作業する場所の地図の情報又は当該地図と対応付けたロボット100の位置及び向き等の情報を含んでもよい。
【0034】
蓄電情報取得部105aは、蓄電装置103の蓄電量のレベルを取得する。具体的には、蓄電情報取得部105aは、電力制御回路106を介して蓄電装置103の電圧値、電流値等を取得し、当該電圧値、電流値等を用いてSOC等の蓄電量のレベルを検出し、記憶部105gに記憶させる。
【0035】
充放電制御部105bは、電力制御回路106を制御し、蓄電装置103からロボット100の各構成要素への電力供給を制御する。さらに、充放電制御部105bは、電力制御回路106を制御し、端子104から蓄電装置103及びロボット100の各構成要素への電力供給を制御する。
【0036】
自装置位置取得部105cは、位置検出装置108から取得される情報を用いて、ロボット100の位置及び向きを検出し、記憶部105gに記憶させる。
【0037】
情報出力部105dは、蓄電装置103の蓄電量に関する情報を、通信装置107を介して給電装置200等に送信する。例えば、情報出力部105dは、蓄電装置103の蓄電量に関する情報を、蓄電装置103の現在の蓄電量のレベルが閾値以下になると出力してもよく、定期的に出力してもよい。
【0038】
ロボット制御部105eは、ロボット駆動装置101cを制御することで、ロボット本体101、具体的にはアーム101a及びマニピュレータ101bの動作を制御する。ロボット制御部105eは、予め設定された指令、又は、通信装置107を介して取得された指令に対応するプログラムに従って制御を行う。
【0039】
走行制御部105fは、走行駆動装置102aを制御することで、走行装置102の動作を制御する。走行制御部105fは、ロボット100の位置情報を用いて、予め設定された作業地点、又は、通信装置107を介して取得された作業地点にロボット100を移動させる。
【0040】
<給電装置200の構成>
図6は、実施の形態に係る給電装置200の構成の一例を示すブロック図である。
図1、
図3及び
図6に示すように、給電装置200は、端子201と、走行装置202と、給電制御装置203と、電力制御回路204と、通信装置205と、位置検出装置206とを構成要素として備える。なお、これら構成要素の全てが必須ではない。
【0041】
走行装置202は、駆動装置202aを備え、駆動装置202aは、走行装置202の走行手段を駆動する電気モータ、及び走行手段の走行方向を変更する電気モータ等で構成される。駆動装置202aは、給電制御装置203の制御に従って、走行装置202に目的とする方向に走行させる。
【0042】
端子201と、給電制御装置203と、電力制御回路204と、通信装置205と、位置検出装置206と、駆動装置202aとの各構成要素は、互いに電気的に接続されている。各構成要素間の接続関係は、
図6の関係に限定されない。各構成要素間の接続は、いかなる有線接続又は無線接続でもよい。
【0043】
端子201は、給電装置200に固定されている。これに限定されないが、本実施の形態では、端子201は、給電装置200における前進方向の前部の側面に固定されている。このため、
図7に示すように、給電装置200は、ロボット100の後部に向かって前進することによって、前部の端子201をロボット100の後部の端子104と物理的及び電気的に接続させることができる。なお、
図7は、
図1におけるロボット100と給電装置200との接続状態の一例を示す平面図である。
図7では、ロボット100と給電装置200とは、端子104及び201のみを介して接続されるように示されているが、これに限定されない。例えば、ロボット100と給電装置200とは、他の部位を互いに係合又は嵌合させるように構成されてもよく、接続を案内するガイドを備えてもよい。
【0044】
電力制御回路204は、給電制御装置203の制御に従って、電力供給源300から供給される電力を、給電装置200の各構成要素へ供給する。また、電力制御回路204は、給電制御装置203の制御に従って、電力供給源300から供給される電力を、端子201と接続されたロボット100の端子104に供給する。電力制御回路204は、交流-直流変換回路及び/又は直流-交流変換回路等を含み電力変換をしてもよい。
【0045】
通信装置205は、無線通信回路を含み、ロボット100の通信装置107等と無線通信する。通信装置205が用いる無線通信は、通信装置107と同様である。通信装置205は、個別のロボット100と通信してもよく、複数のロボット100と通信してもよい。通信装置205は、ロボット100から、その蓄電装置103の蓄電量に関する情報及びロボット100の位置情報等を受信する。
【0046】
また、通信装置205は、ロボット100以外の装置と無線通信してもよい。例えば、通信装置205は、他の給電装置200の通信装置205と通信してもよい。例えば、1つのロボット100が複数の給電装置200に給電を要求又は命令する指令を送信した場合、各給電装置200は、当該給電装置200の位置情報、又は、当該給電装置200とロボット100との距離を他の給電装置200に送信してもよい。そして、各給電装置200は、他の給電装置200と比較して、当該給電装置200からロボット100まで距離が最も小さい場合、ロボット100への給電を自身に決定してもよい。これにより、ロボット100への効率的な給電が可能になる。
【0047】
又は、1つの給電装置200が、複数のロボット100から給電を要求又は命令する指令を受信した場合、当該給電装置200は、当該給電装置200からの距離が最も小さいロボット100を、給電対象に決定してもよい。そして、当該給電装置200は、給電対象のロボット100の識別情報を他の給電装置200に送信してもよい。これにより、1つのロボット100に給電する給電装置200の重複が抑えられる。
【0048】
位置検出装置206は、給電装置200の位置を検出する装置であり、検出された給電装置200の位置の情報を給電制御装置203に出力する。位置検出装置206は、GPS受信機及びIMU等の測位装置を含む。本実施の形態では、給電制御装置203が、位置検出装置206から取得される情報を用いて給電装置200の位置及び向きを検出するが、位置検出装置206が検出してもよい。なお、位置検出装置206は、給電装置200等の位置を管理又は計測する、給電装置200の外部の装置から給電装置200の位置を取得してもよい。
【0049】
給電制御装置203の構成を説明する。
図8は、実施の形態に係る給電装置200の給電制御装置203の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図8に示すように、給電制御装置203は、給電制御部203aと、蓄電情報取得部203bと、他装置位置取得部203cと、自装置位置取得部203dと、給電対象決定部203eと、経路決定部203fと、走行制御部203gと、記憶部203hとを機能的な構成要素として含む。なお、これら機能的な構成要素の全てが必須ではない。
【0050】
給電制御部203a、蓄電情報取得部203b、他装置位置取得部203c、自装置位置取得部203d、給電対象決定部203e、経路決定部203f及び走行制御部203gの各構成要素の機能は、CPUなどのプロセッサ、RAMなどの揮発性メモリ及びROMなどの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステムにより実現されてもよい。上記構成要素の一部又は全部の機能は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0051】
記憶部203hは、種々の情報の格納することができ、且つ、格納した情報の読み出しを可能にする。記憶部203hは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ等の半導体メモリ、ハードディスク及びSSD等の記憶装置によって実現される。記憶部203hは、給電装置200の識別情報、給電装置200の位置情報及び地図情報等を格納する。記憶部203hは、給電制御装置203の各構成要素が実行するプログラムを格納してもよい。
【0052】
給電装置200の位置情報は、給電装置200の位置及び向き等の情報を含む。位置情報は、給電装置200の現在の位置情報だけでなく過去の位置情報を、それぞれの検出時刻と共に含んでもよい。
【0053】
地図情報は給電装置200が配置された場所の地図の情報を含む。例えば、地図は、1つの給電装置200が給電可能であるエリアの地図であってもよく、当該給電装置200を含む複数の給電装置200が給電可能である全体のエリアを含む地図であってもよい。
【0054】
給電制御部203aは、電力制御回路204を介して、端子201と端子104との電気的な接続を検知し、電力制御回路204を制御して電力供給源300の電力をロボット100に供給する。給電制御部203aは、端子201及び電力制御回路204を介して、ロボット100の蓄電装置103の電圧値、電流値等を取得することで、蓄電装置103の蓄電量のレベルを取得してもよく、蓄電情報取得部203bから蓄電装置103の蓄電量のレベルを取得してもよい。給電制御部203aは、蓄電装置103の蓄電量のレベルに基づき、電力供給を制御する。
【0055】
蓄電情報取得部203bは、通信装置205を介して、ロボット100等から蓄電装置103の蓄電量に関する情報を取得する。
【0056】
他装置位置取得部203cは、通信装置205を介して、ロボット100等からロボット100の識別情報及び位置情報を取得する。他装置位置取得部203cは、ロボット100の識別情報と位置情報とを関連付けて、記憶部203hに記憶させてもよい。
【0057】
他装置位置取得部203cは、通信装置205を介して、他の給電装置200等から他の給電装置200の識別情報及び位置情報を取得してもよい。さらに、他装置位置取得部203cは、他の給電装置200の識別情報と位置情報とを関連付けて、記憶部203hに記憶させてもよい。
【0058】
自装置位置取得部203dは、位置検出装置206から取得される情報を用いて、給電装置200の位置及び向きを検出し、記憶部203hに記憶させる。
【0059】
給電対象決定部203eは、蓄電情報取得部203b等から、ロボット100の蓄電装置103の蓄電量に関する情報を取得し、当該ロボット100への給電を行うか否かを決定する。例えば、給電対象決定部203eは、蓄電装置103の蓄電量のレベルが閾値以下であるロボット100に対して、給電の実施を決定してもよい。又は、給電対象決定部203eは、取得された情報が給電を要求又は命令する指令を含む場合、当該指令を送信したロボット100への給電を決定してもよい。
【0060】
また、給電対象決定部203eは、複数のロボット100についての給電対象の蓄電量に関する情報を取得した場合、各ロボット100と給電装置200との距離、各ロボット100の蓄電量のレベル、及び/又は、各ロボット100と他の給電装置200との距離等に基づいて、給電対象のロボット100を決定してもよい。給電対象の蓄電量に関する情報は、ロボット100の蓄電装置103への給電の必要性を含む蓄電量に関する情報であり、蓄電装置103の蓄電量のレベルが閾値以下である情報及び/又は蓄電装置103への給電を要求又は命令する指令等を含み得る。
【0061】
例えば、給電対象決定部203eは、各ロボット100の位置から、給電装置200が給電可能なエリア内に位置するロボット100を抽出し、その中から給電対象のロボット100を決定する。例えば、給電装置200が給電可能なエリアは、電力線301の長さによって規定される給電装置200の移動可能なエリアであってもよい。給電可能なエリアは、地図情報と関連付けられて記憶部203hに予め記憶されている。なお、給電対象決定部203eは、給電装置200が給電可能なエリア内に位置するロボット100を抽出せずに、給電対象の蓄電量に関する情報を受信した全てのロボット100の中から給電対象のロボット100を決定してもよい。
【0062】
第一の決定方法として、給電対象決定部203eは、各ロボット100の位置と給電装置200の位置とから各ロボット100と給電装置200との距離を算出し、当該距離が最も小さいロボット100を給電対象に決定してもよい。
【0063】
第二の決定方法として、給電対象決定部203eは、各ロボット100の中で、蓄電量のレベルが最も低いロボット100を給電対象に決定してもよい。
【0064】
第三の決定方法として、給電対象決定部203eは、各ロボット100の位置と全ての給電装置200の位置とから、各ロボット100について、当該ロボット100と各給電装置200との距離を算出してもよい。さらに、給電対象決定部203eは、他の給電装置200と比較して、当該給電対象決定部203eを備える給電装置200とロボット100との距離が最も小さいロボット100を、給電対象に決定してもよい。
【0065】
また、給電対象決定部203eは、第一~第三の決定方法の少なくとも2つの決定方法で決定されたロボット100の中から、給電対象のロボット100を決定してもよい。つまり、給電対象決定部203eは、第一~第三の決定方法の少なくとも2つを組み合わせて用いてもよい。例えば、給電対象決定部203eは、第一~第三の決定方法の1つを用いて、2つ以上のロボット100を給電対象として決定した場合、他の決定方法を用いて、給電対象のロボット100を絞り込んでもよい。
【0066】
経路決定部203fは、給電対象決定部203eによって決定されたロボット100にまで給電装置200を移動させるための経路を決定する。具体的には、経路決定部203fは、給電対象決定部203eによって決定されたロボット100の位置及び向きと、給電装置200の位置及び向きと、記憶部203hに記憶される地図情報とを取得する。経路決定部203fは、取得した情報を用いて、ロボット100の端子104と給電装置200の端子201との間の位置及び向きの関係を特定する。経路決定部203fは、上記関係と地図情報とに基づき、端子104に端子201を接続させるための給電装置200の走行経路を決定する。走行経路は、経路の位置を含み、さらに、経路上における給電装置200の走行方向を含んでもよい。経路決定部203fは、決定した走行経路の情報を走行制御部203gに出力する。
【0067】
走行制御部203gは、駆動装置202aを制御することで、走行装置202の動作を制御する。走行制御部203gは、経路決定部203fから取得される走行経路に従って、給電装置200に目的とするロボット100にまで走行させ、端子201を端子104に接続させる。また、走行制御部203gは、ロボット100の蓄電装置103への充電の完了後、給電装置200を待機場所等の所定の場所に移動させてもよい。所定の場所までの走行経路は、上記走行経路と逆の走行経路であってもよく、給電装置200の位置及び向きと所定の場所の位置とに基づき経路決定部203fによって決定されてもよい。又は、走行制御部203gは、経路決定部203fから、次に給電すべきロボット100への走行経路を取得すると、当該走行経路に従って給電装置200を走行させてもよい。
【0068】
<給電システム1の第一の動作>
実施の形態に係る給電システム1の第一の動作を説明する。第一の動作は、ロボット100の作業場所に、1つのロボット100と1つの給電装置200とが存在する場合の給電システム1の動作の一例である。
図9は、実施の形態に係る給電システム1の第一の動作の一例を示すフローチャートである。
【0069】
図1及び
図9に示すように、ロボット100のロボット制御装置105は、蓄電装置103のSOC等の蓄電量のレベルを取得する(ステップS101)。
【0070】
次いで、ロボット制御装置105は、蓄電量のレベルが閾値以下であるか否かを判定する(ステップS102)。ロボット制御装置105は、閾値以下である場合(ステップS102でYes)、ステップS103に進み、閾値超である場合(ステップS102でNo)、ステップS101に戻る。ステップS103において、ロボット制御装置105は、ロボット100への給電要求を含む蓄電量に関する情報とロボット100の位置情報とを給電装置200に送信する。
【0071】
次いで、給電装置200の給電制御装置203は上記情報を受信する(ステップS104)。さらに、給電制御装置203は、給電装置200の位置情報と、給電装置200及びロボット100の配置場所である作業場所Aの地図情報とを、記憶部203hから取得する(ステップS105)。なお、給電制御装置203は、給電装置200の位置情報を位置検出装置206から取得してもよい。
【0072】
次いで、給電制御装置203は、ロボット100の位置情報と給電装置200の位置情報と地図情報とを用いて、給電装置200からロボット100までの走行経路を決定する(ステップS106)。走行経路は、給電装置200がロボット100まで走行し給電装置200の端子201をロボット100の端子104に接続するまでの走行経路である。
【0073】
次いで、給電制御装置203は、決定された走行経路に従って給電装置200に走行させ端子201をロボット100の端子104に接続させるように、駆動装置202aを制御する(ステップS107)。
【0074】
次いで、給電制御装置203は、ロボット100の端子104への端子201の接続が完了し互いに通電状態になったか否かを判定する(ステップS108)。給電制御装置203は、接続完了の場合(ステップS108でYes)、ステップS109に進み、接続未完了の場合(ステップS108でNo)、ステップS107に戻る。
【0075】
ステップS109において、給電制御装置203は、ロボット100への給電を実行し、ステップS110において、給電制御装置203は、ロボット100の蓄電装置103への充電が完了したか否かを判定する。なお、蓄電装置103の充電が完了した状態は、満充電の状態であってもよく、蓄電量のレベルが閾値以上である状態であってもよい。当該閾値は、ステップS102での閾値よりも大きくてもよい。また、ロボット100は、給電装置200から給電を受けている間、蓄電装置103の電力、又は、給電装置200から供給される電力を用いて、作業等の動作を継続することができる。
【0076】
給電制御装置203は、充電が完了した場合(ステップS110でYes)ステップS111に進み、充電が未完了の場合(ステップS110でNo)ステップS109に戻る。ステップS111において、給電制御装置203は、給電装置200を移動させて、端子201と端子104との接続を解除させ、給電装置200を元の場所へ走行させるように制御する。元の場所は、ロボット100への給電のための走行を開始する前の場所であり、例えば、決められた待機場所であってもよい。
【0077】
ステップS101~S111の処理を実行することによって、給電システム1は、ロボット100に作業を継続させつつ、必要なときにロボット100の蓄電装置103へ充電を行うことできる。また、ロボット100は、充電中のみ、給電装置200と接続されるため、給電装置200の電力線301によってロボット100の作業及び移動が受ける影響が抑えられる。また、給電装置200は、電力供給源300の電力を用いるため、供給電力量の制限を受けずにロボット100へ安定して給電することができる。
【0078】
<給電システム1の第二の動作>
実施の形態に係る給電システム1の第二の動作を説明する。第二の動作は、ロボット100の作業場所に、複数のロボット100と1つの給電装置200とが存在する場合の給電システム1の動作の一例である。以下において、
図10に示す例について第二の動作を説明する。
図10は、複数のロボット100(以下、「ロボット100A~100D」とも表記する)と1つの給電装置200との配置例を示す平面図である。
図11は、実施の形態に係る給電システム1の第二の動作の一例を示すフローチャートである。
【0079】
図10及び
図11に示すように、ロボット100A~100Dそれぞれのロボット制御装置105は、ステップS201~S203の処理を、第一の動作のステップS101~S103と同様に実行する。本例では、ステップS203において、ロボット100A~100Dの全てが、当該ロボットへの給電要求を含む蓄電量に関する情報と当該ロボットの位置情報とを給電装置200に送信する。
【0080】
次いで、ステップS204において、給電装置200の給電制御装置203は、ロボット100A~100Dそれぞれから上記情報を受信する。なお、給電制御装置203は、所定の期間内に受信した上記情報をステップS204以下の処理の対象としてもよい。所定の期間は、いかなる期間であってもよいが、例えば、給電装置200がその給電可能なエリアを横断する又は一周するのに要する時間等であってもよい。
【0081】
次いで、給電制御装置203は、給電装置200の位置情報を、記憶部203h又は位置検出装置206から取得する(ステップS205)。さらに、給電制御装置203は、ロボット100A~100Dそれぞれの位置情報と、給電装置200の位置情報とを用いて、ロボット100A~100Dそれぞれと給電装置200との間の距離LA~LDを取得する(ステップS206)。なお、本例では、距離LA~LDは、直線距離であるが、地図情報に示される給電装置200が走行可能な経路に沿った距離であってもよい。次いで、給電制御装置203は、距離LA~LDの中から最小の距離LDのロボット100Dを抽出し(ステップS207)、ロボット100Dを給電対象に決定する。
【0082】
次いで、給電制御装置203は、給電装置200及びロボット100A~100Dが配置されている作業場所Aの地図情報を記憶部203hから取得する(ステップS208)。さらに、給電制御装置203は、ロボット100Dの位置情報と、給電装置200の位置情報と、地図情報とを用いて、給電装置200からロボット100Dまでの走行経路を決定する(ステップS209)。
【0083】
さらに、給電制御装置203は、ステップS210~S214の処理を、第一の動作のステップS107~S111と同様に実行する。
【0084】
ステップS201~S214の処理を実行することによって、給電システム1は、給電を要求する複数のロボット100A~100Dの中から、給電装置200に最も近い位置のロボット100Dを抽出し、ロボット100Dの蓄電装置103へ充電を行う。よって、給電装置200の移動に要する時間が低減され、効率的な充電が可能になる。
【0085】
<給電システム1の第三の動作>
実施の形態に係る給電システム1の第三の動作を説明する。第三の動作は、ロボット100の作業場所に、複数のロボット100と1つの給電装置200とが存在する場合の給電システム1の動作の別例である。以下において、
図10に示す例について第三の動作を説明する。
図12は、実施の形態に係る給電システム1の第三の動作の一例を示すフローチャートである。
【0086】
図10及び
図12に示すように、ロボット100A~100Dそれぞれのロボット制御装置105は、ステップS301~S303の処理を、第二の動作のステップS201~S203と同様に実行する。
【0087】
次いで、ステップS304において、給電装置200の給電制御装置203は、ロボット100A~100Dそれぞれから、当該ロボットへの給電要求を含む蓄電量に関する情報と当該ロボットの位置情報とを受信する。さらに、給電制御装置203は、ロボット100A~100Dの中で、蓄電装置103の蓄電量のレベルが最小であるロボットを抽出する(ステップS305)。本例では、給電制御装置203は、SOCが最小値Csocであるロボット100Cを抽出し給電対象に決定する。なお、ロボット100A~100Dそれぞれの蓄電装置103のSOCは、Asoc、Bsoc、Csoc及びDsocであり、Asoc>Bsoc>Dsoc>Csocである。
【0088】
次いで、給電制御装置203は、給電装置200の位置情報と、作業場所Aの地図情報とを記憶部203h及び/又は位置検出装置206から取得する(ステップS306)。さらに、給電制御装置203は、ロボット100Cの位置情報と、給電装置200の位置情報と、地図情報とを用いて、給電装置200からロボット100Cまでの走行経路を決定する(ステップS307)。
【0089】
さらに、給電制御装置203は、ステップS308~S312の処理を、第一の動作のステップS107~S111と同様に実行する。
【0090】
ステップS301~S312の処理を実行することによって、給電システム1は、給電を要求する複数のロボット100A~100Dの中から、蓄電装置103の蓄電量のレベルが最小のロボット100Cを抽出し、ロボット100Cの蓄電装置103へ充電を行う。よって、蓄電装置103の蓄電量が不足してロボット100A~100Dが稼働できなくなることが抑えられる。
【0091】
<給電システム1の第四の動作>
実施の形態に係る給電システム1の第四の動作を説明する。第四の動作は、ロボット100の作業場所に、複数のロボット100と複数の給電装置200とが存在する場合の給電システム1の動作の一例である。以下では、
図13に示す例について第四の動作を説明する。
図13は、複数のロボット100A~100Cと複数の給電装置200(以下、「給電装置200A~200C」とも表記する)との配置例を示す平面図である。
図14は、実施の形態に係る給電システム1の第四の動作の一例を示すフローチャートである。
【0092】
図13及び
図14に示すように、ロボット100A~100Cそれぞれのロボット制御装置105は、ステップS401~S403の処理を、第二の動作のステップS201~S203と同様に実行する。なお、ステップS403において、ロボット100A~100Cはそれぞれ、当該ロボットへの給電要求を含む蓄電量に関する情報と当該ロボットの位置情報とを、作業場所Aに存在する全ての給電装置200A~200Cに一斉に送信する。以下のステップS404以降の処理は、1つの給電装置の処理を示し、給電装置200Aを例に説明する。
【0093】
次いで、ステップS404において、給電装置200Aの給電制御装置203は、ロボット100A~100Cそれぞれから上記情報を受信する。さらに、給電制御装置203は、給電装置200Aの位置情報を記憶部203h又は位置検出装置206から取得する(ステップS405)。さらに、給電制御装置203は、他の給電装置200B及び200Cの位置情報を、給電装置200B及び200Cそれぞれに要求し取得する(ステップS406)。
【0094】
次いで、給電制御装置203は、ステップS404において情報を受信したロボット100A~100Cの中から1つを抽出する(ステップS407)。例えば、ロボット100Aが抽出される。次いで、給電制御装置203は、ロボット100Aの位置情報と、給電装置200Aの位置情報とを用いて、ロボット100Aと給電装置200Aとの距離LAAを取得する(ステップS408)。さらに、給電制御装置203は、ロボット100Aの位置情報と、他の給電装置200B及び200Cの位置情報とを用いて、ロボット100Aと給電装置200B及び200Cとの距離LAB及びLACを取得する(ステップS409)。
【0095】
次いで、給電制御装置203は、ロボット100Aと給電装置200Aとの距離LAAが、ロボット100Aと全ての給電装置200A~200Cとの距離LAA~LACの中で最小であるか否かを判定する(ステップS410)。給電制御装置203は、最小である場合(ステップS410でYes)、ステップS411に進み、最小でない場合(ステップS410でNo)、ステップS407に戻る。ステップS407では、給電制御装置203は、まだ抽出されていないロボット100B及び100Cの中から1つを抽出し、ステップS407~S410の処理を繰り返す。
【0096】
ステップS411において、給電制御装置203は、ステップS407で抽出されたロボット100Aを給電対象に決定する。本例では、距離LAAが距離LAA~LACの中で最小である。なお、ステップS407~S410の処理を繰り返した結果、給電装置200Aとの距離が最小であるロボットが抽出されない場合、給電制御装置203は、ステップS404において情報を受信したロボット100A~100C全てのへの給電を実行しないことを決定してもよい。
【0097】
次いで、給電制御装置203は、給電装置200A~200C及びロボット100A~100Cが配置されている作業場所Aの地図情報を記憶部203hから取得する(ステップS412)。次いで、給電制御装置203は、ロボット100Aの位置情報と、給電装置200Aの位置情報と、地図情報とを用いて、給電装置200Aからロボット100Aまでの走行経路を決定する(ステップS413)。
【0098】
さらに、給電制御装置203は、ステップS414~S418の処理を、第一の動作のステップS107~S111と同様に実行する。
【0099】
ステップS401~S418の処理を実行することによって、給電システム1において、給電装置200Aは、他の給電装置200B及び200Cと比較して、給電装置とロボットとの距離が最も小さいロボット100Aに対して充電を行う。よって、全ての給電装置200A~200Cのうちで、給電を要求するロボットに最も近い位置の給電装置が当該ロボットに給電を行うため、給電装置の移動距離が低減され、効率的な充電が可能になる。
【0100】
<効果等>
実施の形態に係る給電システム1は、蓄電装置103を備えるロボット100と、移動可能である給電装置200と、制御装置としての給電制御装置203とを備える。給電装置200は、ロボット100の第二電気的接続部としての端子104と電気的に接続可能であり且つ電力供給源300と有線を介して電気的に接続される第一電気的接続部としての端子201を備える。給電制御装置203は、蓄電装置103の蓄電量に関する情報に基づき、端子201と端子104とを電気的に接続しロボット100へ給電するための制御を行う。
【0101】
上記構成によると、給電制御装置203は、ロボット100の蓄電量に関する情報に応じて、給電装置200に、端子201を介してロボット100へ給電させることができる。端子201が電力供給源300と有線を介して電気的に接続されているため、給電装置200は、供給する電力の不足を生じることなく、ロボット100へ安定した十分な給電を行うことができる。例えば、給電装置200は、複数のロボット100に対して連続して給電することができる。また、ロボット100は、給電時以外、給電装置200と接続される必要がなく、有線接続を要しない。よって、ロボット100の移動の制限が抑えられる。
【0102】
また、実施の形態に係る給電システム1において、給電装置200は、給電装置200を走行させる走行装置202を備え、給電制御装置203の制御に対応して、走行装置202を用いてロボット100にまで走行してもよい。上記構成によると、給電装置200は、ロボット100まで自律的に走行し給電を行うことができる。よって、ロボット100への自動的な給電が可能になる。
【0103】
また、実施の形態に係る給電システム1において、給電装置200は、給電制御装置203の制御に対応して、端子201をロボット100の端子104に電気的に接続させてもよい。上記構成によると、給電装置200は、ロボット100の端子104に端子201を自律的に接続し給電を行うことができる。よって、ロボット100への自動的な給電が可能になる。
【0104】
また、実施の形態に係る給電システム1において、給電制御装置203は、無線通信を介して、蓄電量に関する情報をロボット100から受信してもよい。上記構成によると、給電制御装置203とロボット100との間の通信のための有線接続が不要になる。
【0105】
また、実施の形態に係る給電システム1は、少なくとも1つのロボット100と、少なくとも1つの給電装置200とを備えてもよい。さらに、給電制御装置203は、少なくとも1つのロボット100の蓄電量に関する情報と、少なくとも1つのロボット100の位置の情報と、少なくとも1つの給電装置200の位置の情報とに基づき、給電対象のロボット100及び給電を行う給電装置200の少なくとも一方を決定してもよい。上記構成によると、給電制御装置203は、ロボット100と給電装置200との位置関係を考慮して、給電対象のロボット100及び給電を行う給電装置200を決定する。よって、給電装置200の効率的且つ確実な給電が可能になる。
【0106】
また、実施の形態に係る給電システム1は、複数のロボット100を備えてもよい。さらに、給電制御装置203は、複数のロボット100の蓄電量に関する情報と、複数のロボット100の位置の情報と、給電装置200の位置の情報とに基づき、給電を必要とするロボット100の中で、給電装置200から最も近いロボット100を、給電対象のロボット100に決定してもよい。上記構成によると、給電対象のロボット100までの給電装置200の移動距離を低減することができる。よって、給電装置200の効率的な給電が可能になる。
【0107】
また、実施の形態に係る給電システム1は、複数の給電装置200を備えてもよい。さらに、給電制御装置203は、ロボット100の蓄電量に関する情報と、ロボット100の位置の情報と、複数の給電装置200の位置の情報とに基づき、給電を必要とするロボット100から最も近い給電装置200を、当該ロボット100へ給電する給電装置200に決定してもよい。上記構成によると、ロボット100から最も近い位置にある給電装置200が当該ロボット100に給電する。よって、給電装置200の効率的な給電が可能になる。
【0108】
また、実施の形態に係る給電システム1は、複数のロボット100を備えてもよい。さらに、給電制御装置203は、複数のロボット100の蓄電量に関する情報に基づき、給電を必要とするロボット100の中で、蓄電量のレベルが最も低いロボット100を、給電対象のロボット100に決定してもよい。上記構成によると、給電装置200は、最も給電を必要するロボット100に対して給電を行うことができる。よって、蓄電装置103の電力が不足しロボット100が稼働できなくなることを抑制することが可能になる。
【0109】
また、実施の形態に係る給電システム1において、給電装置200は、給電制御装置203を備えてもよい。上記構成によると、給電装置200は、自身で給電対象のロボット100を決定し、当該ロボット100に給電を実行することができる。よって、給電装置200単独による自動的な給電の実行が可能になる。
【0110】
また、実施の形態に係る給電装置200は、移動可能である給電装置であり、蓄電装置103を備えるロボット100の端子104と電気的に接続可能であり且つ電力供給源300と有線を介して電気的に接続される端子201と、蓄電装置103の蓄電量に関する情報に基づき、端子201を介してロボット100へ給電するための制御を行う給電制御装置203とを備える。上記構成によると、実施の形態に係る給電システム1と同様の効果が得られる。
【0111】
<変形例1>
実施の形態の変形例1に係る給電システムを説明する。変形例1に係る給電システム11では、ロボット1001及び給電装置2001の端子1041及び2011の構成が、実施の形態と異なる。以下、本変形例について、実施の形態と異なる点を中心に説明し、実施の形態と同様の点の説明を省略する。
【0112】
図15は、変形例1に係る給電システム11の構成の一例を示す平面図である。
図16は、変形例1に係るロボット1001及び給電装置2001の接続状態の一例を示す側面図である。
図15及び
図16に示すように、給電装置2001は、給電装置2001に対して移動可能である端子2011を備える。例えば、端子2011は、給電装置2001から延びる電力線2011aと接続されており、電力線2011aを介して電力供給源300の電力線301と電気的に接続されている。端子2011は、電力線2011aの長さによって規定されるエリア内で移動可能である。ロボット1001は、そのアーム101aが届くエリア内に端子1041を備える。
【0113】
よって、給電装置2001がロボット1001の近くにまで自走すると、ロボット1001のロボット制御装置105は、アーム101a及びマニピュレータ101bに給電装置2001の端子2011を把持させて移動させ、ロボット1001の端子1041に接続させる。なお、ロボット制御装置105は、給電装置2001の位置情報に基づき、端子2011の位置を取得してもよい。これにより、給電装置2001がロボット1001に対して様々な位置にある場合でも、給電装置2001からロボット1001への給電が可能である。
【0114】
上述のような変形例1に係る給電システム11によれば、実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、給電システム11において、ロボット1001は、端子2011を保持して移動させるアーム101aを備え、アーム101aを用いて、端子2011と端子1041とを電気的に接続してもよい。上記構成によると、給電装置2001が、アーム101aが届くエリア内に位置すれば、端子2011と端子1041との接続が可能である。よって、給電時における給電装置2001の位置及び向きの制約が低減され、給電装置2001の精密な位置制御が不要になる。
【0115】
<変形例2>
実施の形態の変形例2に係る給電システムを説明する。変形例2に係る給電システム12では、ロボット1002の端子1042の構成が、実施の形態と異なる。以下、本変形例について、実施の形態及び変形例1と異なる点を中心に説明し、実施の形態及び変形例1と同様の点の説明を省略する。
【0116】
図17は、変形例2に係る給電システム12の構成の一例を示す平面図である。
図18は、変形例2に係るロボット1002及び給電装置200の接続状態の一例を示す側面図である。
図17及び
図18に示すように、ロボット1002は、ロボット1002に対して移動可能である端子1042を備える。ロボット1002は、そのアーム101aが届くエリア内に端子1042を備える。例えば、端子1042は、ロボット1002から延びる電力線1042aと接続されており、電力線1042aを介して蓄電装置103等と電気的に接続されている。端子1042は、電力線1042aの長さによって規定されるエリア内で移動可能である。
【0117】
よって、給電装置200がロボット1002の近くにまで自走すると、ロボット1002のロボット制御装置105は、アーム101a及びマニピュレータ101bに端子1042を把持させて移動させ、給電装置200の端子201に接続させる。なお、ロボット制御装置105は、給電装置200の位置情報に基づき、端子201の位置を取得してもよい。これにより、給電装置200がロボット1002に対して様々な位置にある場合でも、給電装置200からロボット1002への給電が可能である。そして、上述のような変形例2に係る給電システム12によれば、変形例1と同様の効果が得られる。なお、本変形例において、給電装置200の端子201が、変形例1と同様に、給電装置200に対して移動可能であってもよい。
【0118】
<変形例3>
実施の形態の変形例3に係る給電システムを説明する。変形例3に係る給電システム13は、ロボット100及び給電装置2003を管理する管理装置500を備える点で、実施の形態と異なる。以下、本変形例について、実施の形態及び変形例1~2と異なる点を中心に説明し、実施の形態及び変形例1~2と同様の点の説明を省略する。
【0119】
図19は、変形例3に係る給電システム13の構成の一例を示す平面図である。
図20は、変形例3に係る給電装置2003の構成の一例を示すブロック図である。
図21は、変形例3に係る給電装置2003の給電制御装置2033の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図19に示すように、本変形例に係る給電システム13は、互いに無線通信する、ロボット100、給電装置2003及び管理装置500を備える。管理装置500は、1つ以上のロボット100と1つ以上の給電装置2003とを管理する。管理装置500の例は、コンピュータ装置である。
【0120】
図20に示すように、給電装置2003は、実施の形態に係る給電制御装置203に代わりに、給電制御装置2033を備える。
図21に示すように、給電制御装置2033は、給電制御部203aと、自装置位置取得部203dと、給電対象決定部2033eと、経路決定部2033fと、走行制御部203gと、記憶部203hとを含む。給電制御部203a、自装置位置取得部203d、走行制御部203g及び記憶部203hの機能は、実施の形態と同様である。
【0121】
なお、給電装置2003の通信装置205は、管理装置500と無線通信するが、ロボット100及び他の給電装置2003とも無線通信してもよい。また、給電制御装置2033の自装置位置取得部203dは、給電装置2003の位置情報を、通信装置205を介して管理装置500に送信する。しかしながら、後述するように、管理装置500が給電装置2003の位置を検出してもよい。
【0122】
給電対象決定部2033eは、管理装置500により決定された給電対象のロボット100の情報を、通信装置205を介して管理装置500から受け取り、当該ロボット100を給電対象に決定する。
【0123】
経路決定部2033fは、管理装置500により決定された、給電装置2003から給電対象のロボット100までの走行経路を、通信装置205を介して管理装置500から受け取り、当該走行経路を給電装置2003の走行経路に決定する。
【0124】
図22は、変形例3に係る管理装置500の構成及び管理制御装置502の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図22に示すように、管理装置500は、通信装置501と、管理制御装置502とを備える。通信装置501は、無線通信回路を含み、ロボット100及び給電装置2003と通信する。例えば、通信装置501は、蓄電装置103の蓄電量に関する情報及びロボット100の位置情報をロボット100から受信し、給電装置2003の位置情報を給電装置2003から受信する。また、通信装置501は、給電対象のロボット100への給電の指令、及び、給電対象のロボット100への走行経路を給電装置2003に送信する。
【0125】
管理制御装置502は、蓄電情報取得部502aと、ロボット位置取得部502bと、給電装置位置取得部502cと、給電対象決定部502dと、経路決定部502eと、記憶部502fとを機能的な構成要素として含む。なお、これら機能的な構成要素の全てが必須ではない。
【0126】
記憶部502fは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリ等の半導体メモリ、ハードディスク及びSSD等の記憶装置によって実現される。記憶部502fは、記憶部203hと同様に、ロボット100の識別情報、蓄電装置103の蓄電情報、ロボット100の位置情報、給電装置2003の識別情報、給電装置2003の位置情報及び地図情報等を格納する。
【0127】
蓄電情報取得部502a、ロボット位置取得部502b、給電装置位置取得部502c、給電対象決定部502d及び経路決定部502eの各構成要素の機能は、CPUなどのプロセッサ、RAMなどの揮発性メモリ及びROMなどの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステムにより実現されてもよい。上記構成要素の一部又は全部の機能は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。
【0128】
蓄電情報取得部502aは、通信装置501を介して、ロボット100から蓄電装置103の蓄電量に関する情報を取得する。
【0129】
ロボット位置取得部502bは、通信装置501を介して、ロボット100から当該ロボット100の識別情報及び位置情報を取得する。ロボット位置取得部502bは、ロボット100の識別情報と位置情報とを関連付けて、記憶部502fに記憶させてもよい。なお、ロボット位置取得部502bは、ロボット100の位置を検出してもよい。例えば、ロボット位置取得部502bは、ロボット100に信号を発信し、ロボット100のロボット制御装置105は、当該信号を受信すると、信号を管理装置500に返す。ロボット位置取得部502bは、管理装置500とロボット100との間の信号の往復時間及び信号の受信方向等に基づき、管理装置500に対するロボット100の位置を検出することができる。
【0130】
給電装置位置取得部502cは、通信装置205を介して、給電装置2003から当該給電装置2003の識別情報及び位置情報を取得する。給電装置位置取得部502cは、給電装置2003の識別情報と位置情報とを関連付けて、記憶部502fに記憶させてもよい。なお、給電装置位置取得部502cは、ロボット位置取得部502bと同様に、給電装置2003の位置を検出してもよい。
【0131】
給電対象決定部502dは、実施の形態に係る給電対象決定部203eと同様に、ロボット100の蓄電装置103の蓄電量に関する情報に基づき、当該ロボット100への給電が必要であるか否かを決定する。さらに、給電対象決定部502dは、給電を必要とするロボット100の蓄電装置103の蓄電量に関する情報、当該ロボット100の位置情報、及び給電装置2003の位置情報等に基づき、給電対象のロボット100と、給電対象のロボット100へ給電する給電装置2003とを決定する。給電対象決定部502dは、決定した給電対象のロボット100への給電の指令を、決定した給電装置2003に送信する。
【0132】
経路決定部502eは、実施の形態に係る経路決定部203fと同様に、給電対象決定部502dによって決定された給電装置2003を、給電対象決定部502dによって決定された給電対象のロボット100にまで移動させるための走行経路を決定する。経路決定部502eは、決定した走行経路の情報を、上記給電装置2003に送信する。
【0133】
上述のように、管理装置500は、1つ以上のロボット100の蓄電装置103の蓄電量のレベル及びロボット100の位置を管理し、1つ以上の給電装置2003の位置を管理する。さらに、管理装置500は、給電対象のロボット100と、当該ロボット100に給電する給電装置2003とを決定し、当該給電装置2003に給電を実行させる。このような管理装置500は実施の形態に係る給電制御装置203の機能の一部を備える。
【0134】
上述のような変形例3に係る給電システム13によれば、実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、給電システム13において、制御装置としての管理制御装置502は、ロボット100及び給電装置2003から分離して配置されていてもよい。上記構成によると、ロボット100のロボット制御装置105及び給電装置2003の給電制御装置2033の処理能力を低くすることができる。よって、ロボット100及び給電装置2003の低コスト化が可能である。
【0135】
なお、本変形例では、管理装置500は、給電装置2003に指令及び情報を送信することで、給電装置2003に給電を実行させていたが、これに限定されない。管理装置500は、通信装置501を介して、給電装置2003の一部の機能を遠隔で制御してもよく、全ての機能を遠隔で制御してもよい。また、端末装置400が管理装置500を兼ねてもよい。
【0136】
<その他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態の例について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態及び変形例に施したもの、及び、異なる実施の形態及び変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0137】
例えば、実施の形態及び変形例において、給電装置、ロボット及び管理装置の間で無線通信が行われるように構成されていたが、これに限定されない。例えば、給電装置、ロボット及び管理装置が光、音又はこれらの組み合わせを出力し、これらを受光及び受音するように構成されてもよい。光、音及びこれらの組み合わせは、蓄電装置の蓄電量に関する情報及び各装置の位置情報等を示すことができる。
【0138】
また、実施の形態及び変形例において、給電装置はロボットまで自走するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、給電装置又はその端子が人によってロボットまで移動され当該端子がロボットの端子に接続されてもよい。この場合、給電装置が表示装置を備え、表示装置に給電対象のロボットを示してもよい。又は、ロボットが光、音又はこれらの組み合わせを出力し、人がこれらを知覚することで給電対象のロボットを特定してもよい。
【0139】
また、変形例において、ロボット本体101がアーム101a及びマニピュレータ101bを用いて端子を接続するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、給電装置が、ロボット本体101のような端子を接続することができる装置を備え、当該装置を用いて端子を接続してもよい。又は、給電装置の上記装置と、ロボット本体101とが協働して端子を接続してもよい。
【0140】
また、実施の形態及び変形例において、給電装置及びロボットは、それぞれの端子を互いに接続するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、給電装置及びロボットは、それぞれの端子を互いに接触させるだけでもよい。又は、給電装置及びロボットは、それぞれの導電性の部材を互いに接触、係合又は嵌合等させることで電気的に接続されるように構成されてもよい。又は、給電装置及びロボットはワイヤレス電力伝送装置を備え、互いに接近することで、給電装置が非接触でロボットに電力を供給するように構成されてもよい。
【0141】
また、実施の形態及び変形例において、給電装置及びロボットは、GPS及び/又はIMUを用いて自己の位置を取得するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、給電装置及びロボットが床面に埋め込まれた磁石の磁場を検出することによって、給電装置及びロボットの位置を取得してもよい。又は、給電装置及びロボットの位置は、これらを撮像するカメラの画像を解析することで検出されてもよい。又は、レーザセンサ、レーザライダ(Lidar)及び超音波センサ等の測距センサが設けられ、その計測値を用いて、給電装置及びロボットの位置が検出されてもよい。
【0142】
また、実施の形態及び変形例において、ロボット本体101は、垂直多関節型ロボットとして構成されていたが、これに限定されない。例えば、ロボット本体101は、水平多関節型ロボット、極座標型ロボット、円筒座標型ロボット、直角座標型ロボット、垂直多関節型ロボット、又はその他のロボットとして構成されてもよい。ロボット本体101は、1つのアーム101aを備えていたが、2つ以上のアーム101aを備えてもよい。
【符号の説明】
【0143】
1,11,12,13 給電システム
100,100A~100D,1001,1002 ロボット
103 蓄電装置
104,1041,1042 端子(第二電気的接続部)
200,200A~200C,2001,2003 給電装置
201,2011 端子(第一電気的接続部)
202 走行装置
203,2033 給電制御装置(制御装置)
300 電力供給源
500 管理装置
502 管理制御装置(制御装置)