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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】自律式表面清掃ロボット
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/12 20060101AFI20230612BHJP
   A47L 11/284 20060101ALI20230612BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230612BHJP
【FI】
A47L11/12
A47L11/284
G05D1/02 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021094359
(22)【出願日】2021-06-04
(62)【分割の表示】P 2018166623の分割
【原出願日】2014-10-24
(65)【公開番号】P2021151506
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】14/077,296
(32)【優先日】2013-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】313013863
【氏名又は名称】アイロボット・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ドーリー マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロマノフ ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】ケイス ジェイムズ フィリップ
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0281661(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0059640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 11/12
A47L 11/284
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式床清掃ロボットであって、
清掃稼働中に床面を横切って前記移動式床清掃ロボットを操縦することができる駆動システムと、
清掃パッドを受容するパッドホルダと、
前記パッドホルダと係合したモータであって、前記モータが前記パッドホルダを振動させるように構成され、それによって、前記清掃稼働中に前記パッドホルダによって受容された前記清掃パッドを振動させる、モータと、
を備え、
前記パッドホルダは、上部及び底部を備え、
前記モータは、前記パッドホルダの前記上部に配置されており、
前記パッドホルダの前記底部は、前記清掃パッドを受容するように構成され、
前記パッドホルダの前記上部に配置された偏心重量をさらに備え、
前記偏心重量は、前記モータのシャフトに取り付けられ、
前記パッドホルダの前記底部は、前記清掃パッドを受容するように構成されており、
前記移動式床清掃ロボットは、前記パッドホルダの前記上部に配置された少なくとも1つの支柱をさらに備え、
前記移動式床清掃ロボットは、前記パッドホルダの前記上部から離れて突出し、且つ前記モータ及び前記偏心重量を収容する円筒形チューブをさらに備え、
前記少なくとも1つの支柱は、前記モータからの動力によって水平面内で動揺することができるように振動減衰材料を備え、
前記少なくとも1つの支柱は、前記少なくとも1つの支柱の長さに沿って大きさが変化する断面直径を有する、移動式床清掃ロボット。
【請求項2】
前記モータは、前記パッドホルダの中心に位置する、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項3】
前記駆動システムは、前記移動式床清掃ロボットの対応する右部分及び左部分上に配置された右駆動輪及び左駆動輪を備える、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項4】
前記移動式床清掃ロボットの重心は、前記右駆動輪及び前記左駆動輪の前方に位置決めされる、請求項に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項5】
流体を保持するリザーバと、
前記リザーバと流体連通している流体アプリケータと、
をさらに備え、
前記流体アプリケータは、前記パッドホルダの前方の前記床面の一部に前記流体を塗布するように構成される、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項6】
前記流体アプリケータは、前記床面の一部に前記流体を噴霧するように構成される、請求項に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項7】
ロボット本体をさらに備え、
前記少なくとも1つの支柱は、前記パッドホルダを前記ロボット本体に取り付ける、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項8】
前記少なくとも1つの支柱は、4つの支柱である、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項9】
前記パッドホルダは、前記清掃パッドを保持するように構成され、
それによって、前記パッドホルダが振動すると、前記清掃パッドが前記パッドホルダに対して実質的に不動である、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項10】
前記駆動システムは、前記モータが前記パッドホルダを振動させると、前記床面の一部を横切って前記移動式床清掃ロボットを前後に移動させるように構成される、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項11】
前記床面の一部に流体を塗布するために流体アプリケータをさらに備え、
それによって、前記移動式床清掃ロボットが前記床面の一部を横切って前後に移動すると、前記パッドホルダによって受容された前記清掃パッドが前記流体を吸収する、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項12】
前記パッドホルダの底面は、約60ミリメートルと約80ミリメートルとの間の幅と、約180ミリメートルと約215ミリメートルの間の長さとを備える、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【請求項13】
前記モータは、軌道発振器である、請求項1に記載の移動式床清掃ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、自律移動式ロボットを用いた床清掃に関する。
【背景技術】
【0002】
タイル張りの床及び調理台は、日常的に清掃が必要であり、そのうちの一部は、汚れ中の乾燥物を除去するために磨き洗浄を伴う。従来的に、床面から汚れ及び他の汚れた染み(例えば、汚れ、油、食品、ソース、コーヒー、コーヒーかす)を除去するために濡れたモップが使用される。濡れ清掃のための流体は、清掃ブラシ又はパッドを用いて分配することができ、又は事前に塗布することができる。自律式ロボットは、人間からのいずれの誘導もなく非構造化環境内で特定の仕事を実行するロボットである。床掃除機能を実行することができるいくつかのロボットが利用可能である。ロボットが横断した表面から汚れを磨き洗浄して除去することができる自律式表面清掃ロボットは、所有者を他の仕事をするか又は余暇を楽しむように自由にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の開示の1つの態様は、ロボット本体と、駆動システムと、清掃アセンブリとを有する移動式ロボットを提供する。洗浄アセンブリは、パッドホルダ、流体アプリケータ、及びコントローラを含む。駆動システムは、ロボット本体を支持して床面を横切ってロボットを操縦する。清掃アセンブリは、ロボット本体上に配置され、かつパッドホルダと、流体アプリケータと、駆動システム及び清掃システムと通信するコントローラとを含む。パッドホルダは、中心及び側縁を有する清掃パッドを受け入れるように構成される。液体アプリケータは、床面上に流体を塗布(apply)するように構成される。コントローラは、清掃ルーチンを実行しながら駆動システム及び流体アプリケータを制御する。清掃ルーチンは、ロボットのフットプリント区域(footprint area)と実質的に等しい区域に流体を塗布する段階と、塗布流体で清掃パッドを湿らせるために清掃パッドの中心及び側縁を区域を通して別々に移動させる移動パターンでロボットを区域に戻す段階とを含む。
【0004】
本発明の開示の実施は、以下の特徴の1つ又はそれよりも多くを含むことができる。一部の実施では、清掃ルーチンは、清掃パッドを湿らせるために流体を表面に初期体積流量で塗布する段階を更に含み、初期体積流量は、清掃パッドを湿らせた時の後続体積流量よりも相対的に高い。
【0005】
一部の実施例では、流体アプリケータは、清掃パッドの前及び移動式ロボットの進行方向にある区域に流体を塗布する。一部の実施例では、流体は、清掃パッドが以前に占有した区域(previously occupied area)に塗布される。一部の実施例では、清掃パッド400が占有した区域は、コントローラ150にアクセス可能である記憶マップ上に記録される。
【0006】
一部の実施例では、流体アプリケータは、流体を塗布する直前に少なくとも1つのロボットのフットプリント長さ(one robot footprint length)の距離だけロボットが後退した区域に流体を塗布する。清掃ルーチンを実行する段階は、中心軌道に沿って前方及び後方に、中心軌道に沿って出発点の左への軌道に沿ってかつ出発点から離れる方向に向いて前方及び後方に、かつ中心軌道に沿って出発点の右への軌道に沿ってかつ出発点から離れる方向に向いて前方及び後方に、千鳥足運動(birdsfoot motion)で清掃パッドを移動する段階を更に含む。
【0007】
一部の実施では、駆動システムは、ロボット本体の対応する右及び左部分上に配置された右及び左駆動輪を含む。ロボットの重心は、駆動輪の前方に位置決めされ、ロボットの全体重量の大部分をパッドホルダの上に位置決めさせる。ロボットの全体重量は、パッドホルダと駆動輪の間で3対1の比に分配することができる。一部の実施例では、ロボットの全体重量は、約2ポンドと約5ポンドの間である(1lbs=0.45359237kg)。
【0008】
一部の実施例では、ロボット本体及びパッドホルダは、両方とも実質的に矩形のフットプリントを定める。これに加えて又はこれに代えて、パッドホルダの底面は、約60ミリメートルと約80ミリメートルの間の幅、及び約180ミリメートルと約215ミリメートルの間の長さを有することができる。
【0009】
本発明の開示の1つの態様は、ロボット本体と、駆動システムと、清掃アセンブリと、パッドホルダと、コントローラとを有する移動式床清掃ロボットを提供する。ロボット本体は、前方駆動方向を定める。駆動システムは、ロボット本体を支持して床面を横切ってロボットを操縦する。清掃アセンブリは、ロボット本体上に配置され、かつパッドホルダ、リザーバ、及び噴霧器を含む。パッドホルダは、清掃パッドを受け入れるように構成されて床面と係合するように配置された底面を有する。リザーバは、ある体積の流体を保持するように構成され、リザーバと流体連通している噴霧器は、パッドホルダの前方の前方駆動方向に沿って流体を噴霧するように構成される。コントローラは、駆動システム及び清掃システムの両方と通信し、かつ清掃ルーチンを実行する。コントローラは、ロボットに前方駆動方向に第1の場所まで第1の距離を駆動させ、次に、前方駆動方向とは反対の逆駆動方向に第2の場所まで第2の距離を駆動させる清掃ルーチンを実行する。清掃ルーチンは、パッドホルダの前方であるが第1の場所の後方である前方駆動方向にロボットに第2の場所から床面上に流体を噴霧させる。床面上に流体を噴霧した後に、清掃ルーチンは、ロボットに床面に沿って清掃パッドを擦りつけながら前方及び逆駆動方向に交互に駆動させる。
【0010】
本発明の開示の実施は、以下の特徴の1つ又はそれよりも多くを含むことができる。一部の実施では、駆動システムは、ロボット本体の対応する右及び左部分に配置された右及び左駆動輪を含む。ロボットの重心は、駆動輪の前方に位置決めされ、ロボットの全体重量の大部分をパッドホルダの上に位置決めさせる。ロボットの全体重量は、パッドホルダと駆動輪の間で3対1の比で分配される。一部の実施例では、全体重量は、約2ポンドと約5ポンドの間である。駆動システムは、前方及び後方部分を有する駆動本体と、駆動本体上に配置された右及び左モータとを含むことができる。右及び左駆動輪は、対応する右及び左モータに結合することができる。駆動システムはまた、駆動本体の前方部分ら延びるアームを含むことができる。アームは、駆動輪の前方でロボット本体にピボット回転式に取り付け可能であり、駆動輪を床面に対して垂直に移動させる。駆動本体の後方部分は、ロボット本体から延びる案内突起を摺動可能に受け入れるような大きさにされたスロットを定めることができる。
【0011】
一部の実施例では、ロボット本体及びパッドホルダは、両方とも実質的に矩形のフットプリントを定める。これに加えて又はこれに代えて、パッドホルダの底面は、約60ミリメートルと約80ミリメートルの間の幅、及び約180ミリメートルと約215ミリメートルの間の長さを有することができる。
【0012】
リザーバは、約200ミリリットルの流体体積を保持することができる。これに加えて又はこれに代えて、ロボットは、パッドホルダの上部に配置された振動モータ又は軌道発振器を含むことができる。
【0013】
本発明の開示の別の態様は、ロボット本体と、駆動システムと、清掃アセンブリとを含む移動式床清掃ロボットを提供する。ロボット本体は、前方駆動方向を定める。駆動システムは、ロボット本体を支持してロボットを床面を横切って操縦する。清掃アセンブリは、ロボット本体上に配置され、かつパッドホルダ及び軌道発振器を含む。パッドホルダは、駆動輪の前方に配置され、かつ上部及び底部を有する。底部は、床面から約1/2cmと約1と1/2cmの間の範囲に配置された底面を有し、かつ清掃パッドを受け入れる。パッドホルダの底面は、ロボットのフットプリントの表面積の少なくとも40を含む。軌道発振器は、パッドホルダの上部に配置され、かつ1cm未満の軌道範囲を有する。パッドホルダは、軌道発振器の軌道範囲の80パーセントよりも多くを保持された清掃パッドの上部から保持された清掃パッドの底面まで伝達させるように構成される。
【0014】
一部の実施例では、軌道発振器の軌道範囲は、清掃稼働の少なくとも一部の間は1/2cm未満である。これに加えて又はこれに代えて、ロボットは、清掃パッドが振動している間に清掃パッドを前方又は後方に移動することができる。
【0015】
一部の実施例では、ロボットは、清掃パッドを中心軌道に沿って前方及び後方に、中心軌道に沿って出発点の左への軌道に沿ってかつ出発点から離れる方向に向いて前方及び後方に、中心軌道に沿って出発点の右への軌道に沿ってかつ出発点から離れる方向に向いて前方及び後方に鳥の足運動で移動する。
【0016】
一部の実施例では、清掃パッドは、パッドホルダの底面に取り付けられた上面を有し、パッドの上部は、振動するパッドホルダに対して実質的に不動である。
【0017】
一部の実施例では、ロボットの全体重量は、パッドホルダと駆動輪の間で3対1の比で分配される。一部の実施例では、ロボットの全体重量は、約2ポンドと約5ポンドの間とすることができる。
【0018】
一部の実施例では、ロボット本体及びパッドホルダは、両方とも実質的に矩形のフットプリントを定める。これに加えて又はこれに代えて、パッドホルダの底面は、約60ミリメートルと約80ミリメートルの間の幅、及び約180ミリメートルと約215ミリメートルの間の長さを有することができる。
【0019】
清掃アセンブリは、ロボット本体によって定められる対応する開口によって受け入れられるような大きさにされたパッドホルダの上部に配置された少なくとも1つの支柱を更に含むことができる。少なくとも1つの支柱は、その長さに沿って大きさが変化する断面直径を有することができる。これに加えて又はこれに代えて、少なくとも1つの支柱は、振動減衰材料を含むことができる。
【0020】
一部の実施例では、清掃アセンブリは、ある体積の流体を保持するリザーバと、リザーバと流体連通した噴霧器とを更に含む。噴霧器は、パッドホルダの前方の前方駆動方向に沿って流体を噴霧するように構成される。リザーバは、約200ミリリットルの流体体積を保持することができる。
【0021】
駆動システムは、前方及び後方部分を有する駆動本体と、駆動本体上に配置された右及び左モータとを含むことができる。右及び左駆動輪は、対応する右及び左モータに結合される。駆動システムはまた、駆動本体の前方部分ら延びるアームを含むことができる。アームは、駆動輪の前方でロボット本体にピボット回転式に取り付け可能であり、駆動輪を床面に対して垂直に移動させる。駆動本体の後方部分は、ロボット本体から延びる案内突起を摺動可能に受け入れるような大きさにされたスロットを定めることができる。1つの実施例では、パッドホルダの底面上に配置された清掃パッドは、リザーバに保持された流体体積の約90%を吸収する。清掃パッドは、約6.5ミリメートルと約8.5ミリメートルの間の厚み、約80ミリメートルと約68ミリメートルの間の幅、及び約200ミリメートルと約212ミリメートルの間の長さを有する。
【0022】
一部の実施例では、方法は、ロボットを支持している床面に沿ってロボットによって担持された清掃パッドを移動しながら、ロボットによって定められる前方駆動方向に第1の場所まで第1の距離を駆動する段階を含む。清掃パッドは、中心区域と中心区域に隣接する側面区域とを有する。本方法は、床面に沿って清掃パッドを移動しながら前方駆動方向とは反対の逆駆動方向に第2の場所まで第2の距離を駆動する段階を更に含む。本方法はまた、ロボットのフットプリント区域に実質的に等しい床面上のかつ清掃パッドの前方であるが第1の場所の後方である区域に流体を塗布する段階を含む。本方法は、塗布流体172で清掃パッドを湿らせるために、ロボットを塗布流体の区域に清掃パッドの中心部分及び側面部分を別々にその区域を通して移動させる移動パターンで戻す段階を更に含む。
【0023】
一部の実施例では、本方法は、流体を床面上に噴霧した後に前方方向及び逆方向に交互に駆動させながら左駆動方向又は右駆動方向に駆動する段階を含む。床面上に流体を塗布する段階は、前方駆動方向に関して流体を複数の方向に噴霧する段階を含むことができる。一部の実施例では、第2の距離は、ロボットのフットプリント区域の長さと少なくとも等しい。
【0024】
本発明の開示の更に別の態様において、移動式床清掃ロボットを作動させる方法は、ロボットを支持している床面に沿ってロボットによって担持された清掃パッド400を擦りつけながら、第1の場所までロボットによって定められる前方駆動方向に第1の距離を駆動する段階を含む。本方法は、床面に沿って清掃パッドを擦りつけながら、第2の場所まで第2の距離を前方駆動方向とは反対の逆駆動方向に駆動する段階を含む。本方法はまた、清掃パッドの前方であるが第1の場所の後方である前方駆動方向に流体を床面上に噴霧する段階を含む。本方法はまた、床面上に流体を噴霧した後に床面に沿って清掃パッドを擦りつけながら前方及び逆駆動方向に交互して駆動する段階を含む。
【0025】
一部の実施例では、本方法は、逆方向に駆動されながら又は第2の距離を逆方向に駆動された後に床面上に流体を噴霧する段階を含む。本方法は、床面上に流体を塗布した後に、前方方向及び逆方向に交互に駆動させながら左駆動方向又は右駆動方向に駆動する段階を含むことができる。床面上に流体を噴霧する段階は、前方駆動方向に関して複数の方向に流体を噴霧する段階を含むことができる。一部の実施例では、第2の距離は、第1の距離よりも大きいか又はこれに等しい。
【0026】
移動式床清掃ロボットは、ロボット本体、駆動システム、パッドホルダ、リザーバ、及び噴霧器を含むことができる。ロボット本体は、前方駆動方向を定め、かつ底部を有する。駆動システムは、ロボット本体を支持して床面の上でロボットを操縦する。パッドホルダは、ロボット本体の底部に配置され、かつ清掃パッドを保持する。リザーバは、ロボット本体によって収納され、かつ流体を保持する(例えば、200ml)。ロボット本体によって同じく収納された噴霧器は、リザーバと流体連通しており、かつ清掃パッドの前方である前方駆動方向に流体を噴霧する。パッドホルダの底部に配置された清掃パッドは、リザーバに含まれた流体の約90%を吸収することができる。一部の実施例では、清掃パッドは、約80ミリメートルと約68ミリメートルの間の幅、及び約200ミリメートルと約212ミリメートルの間の長さを有する。清掃パッドは、約6.5ミリメートルと約8.5ミリメートルの間の厚みを有することができる。
【0027】
本発明の開示の1つ又はそれよりも多くの実施の詳細は、添付図面及び以下の説明に示されている。他の態様、特徴、及び利点は、本明細書及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0028】
様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】清掃のための例示的自律移動式ロボットの斜視図である。
図2図1の例示的自律移動式ロボットの斜視図である。
図3図1の例示的自律移動式ロボットの斜視図である。
図4図1の例示的自律移動式ロボットの底面図である。
図5図1の例示的自律移動式ロボットの斜視図である。
図6図1の例示的自律移動式ロボットの斜視図である。
図7図1の例示的自律移動式ロボットの駆動システムの斜視図である。
図8図1の例示的自律移動式ロボットの駆動システムの斜視図である。
図9A図1の例示的自律移動式ロボットのパッドホルダアセンブリの斜視図である。
図9B図1の例示的自律移動式ロボットの清掃パッドの底面図である。
図10図1の例示的自律移動式ロボットのパッドホルダの正面図である。
図11図1の例示的自律移動式ロボットの斜視図である。
図12図1の例示的自律移動式ロボットの斜視図である。
図13A】床面を流体で噴霧する時の例示的自律移動式ロボットの上面図である。
図13B】床面を流体で噴霧する時の例示的自律移動式ロボットの上面図である。
図13C】床面を磨き洗浄する時の例示的自律移動式ロボットの上面図である。
図13D】床面を磨き洗浄する時の例示的自律移動式ロボットの上面図である。
図13E】床面を磨き洗浄する時の例示的自律移動式ロボットの上面図である。
図14】例示的自律移動式ロボットの側面図である。
図15図1の例示的自律移動式ロボットのロボットコントローラの概略図である。
図16】清掃のための例示的自律移動式ロボットの斜視図である。
図17】例示的自律ロボットを作動させるための例示的な作動構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
移動可能に支持された自律型ロボットは、床面をナビゲートすることができる。一部の実施例では、自律型ロボットは、表面を横断しながら表面を清掃することができる。ロボットは、デブリを攪拌し及び/又は溶液を噴霧することによって床面からデブリを持ち上げ、及び/又は床面からデブリを磨き洗浄することにより、表面からデブリを除去することができる。
【0031】
図1図12を参照すると、一部の実施において、ロボット100は、駆動システム120によって支持された本体110を含み、駆動システム120は、例えば、x、y、及びθ成分を有する駆動指令に基づいて、清掃床面10を横切ってロボット100を操縦することができる。図示のように、ロボット本体110は、正方形を有する。しかし、本体110は、限定ではないが、円形状、卵形状、又は矩形を含む他の形状を有することができる。ロボット本体110は、前方部分112及び後方部分114を有する。本体110はまた、底部116及び上部118を含む。
【0032】
ロボット100は、本体110によって定められる3つの互いに垂直な軸線、すなわち、横断軸線X、前後軸線Y、及び中心垂直軸線Aに対する運動の様々な組合せによって清掃面10にわたって移動することができる。前後軸線Yに沿った前方駆動方向がFで示され(以下「前方」と呼ぶこともある)、前後軸線Yに沿った後方駆動方向がAで示されている(以下「後方」と呼ぶ場合がある)。横断軸線Xは、車輪モジュール120a、120bの中心点によって定められる軸線に実質的に沿ってロボット100の左側Lと右側Rの間を延びる。
【0033】
ロボット100は、X軸線の周りに傾斜することができる。ロボット100が南側位置に傾斜すると、それは、後方部分114に向けて傾斜し(以下「ピッチアップ」と呼ぶ場合がある)、ロボット100が北側位置に傾斜すると、それは、前方部分112に向けて傾斜する(以下ピッチダウン」と呼ぶ場合がある)。更に、ロボット100は、Y軸線の周りに傾斜する。ロボット100は、Y軸線の東に傾斜することができ(以下「右ロール」と呼ぶ場合がある)、又はロボット100は、Y軸線の西に傾斜することができる(以下「左ロール」と呼ぶ場合がある)。従って、X軸線の周りのロボット100の傾斜の変化は、そのピッチの変化であり、Y軸線の周りのロボット100の傾斜の変化は、そのロールの変化である。更に、ロボット100は、右、すなわち、東位置、又は左、すなわち、西位置のいずれにも傾斜することができる。一部の実施例では、ロボットは、北東、北西、南東、南西のような傾斜位置を有するX軸線及びY軸線の周りに傾斜する。ロボット100が床面を横断する時に、ロボット100は、Z軸線の周りで左又は右旋回を行うことができる(以下ヨーの変化と呼ぶ場合がある)。ヨーの変化により、ロボット100は、移動している間に左又は右旋回を行う。従って、ロボット100は、そのピッチ、ロール、又はヨーの1つ又はそれよりも多くを同時に変えることができる。
【0034】
一部の実施では、本体110の前方部分112は、バンパー130を担持し、このバンパー130は、例えば、車輪モジュール120a、120bが、清掃ルーチン中に清掃面10にわたってロボット100を推進させる時に、ロボット100の駆動経路における1つ又はそれよりも多くの事象を検出する(例えば、1つ又はそれよりも多くのセンサを通して)。ロボット100は、事象に応答してロボット100を操縦する(例えば、障害物から離れる)ように車輪モジュール120a、120bを制御することにより、バンパー130によって検出された事象(例えば、障害物、段差、壁20)に応答することができる。本明細書中には、一部のセンサ(図示しない)はバンパー130上に配置されるものとして説明されるが、これらのセンサは、これに加えて又はこれに代えて、ロボット100上の様々な異なる位置のいずれかに配置することができる。バンパー130は、ロボット本体110を補完する形状を有し、ロボット本体110の前方に延びて、前方部分112の全体寸法をロボット本体の後方部分114よりも幅広くする(図示のロボットは正方形を有する)。
【0035】
本体110の上部118に配置されたユーザインタフェース140は、1つ又はそれよりも多くのユーザ指令を受け入れ、及び/又はロボット100のステータスを表示する。ユーザインタフェース140は、ロボット100によって担持されたロボットコントローラ150と通信し、ユーザインタフェース140によって受け取られた1つ又はそれよりも多くの命令は、ロボット100による清掃ルーチンの実行を開始することができる。一部の実施例では、ユーザインタフェース140は、ユーザがロボット100をオン/オフにすることを可能にする電源ボタンを含む。更に、ユーザインタフェース140は、ゴミ箱缶の上方でロボット本体110に取り付けられた取外し可能及び/又は使捨て可能な清掃要素をユーザがパッド400に触れることなく解除する清掃パッド400のような解除機構を含むことができる。解除機構は、解除ボタン(図示しない)又はレバー(図示しない)とすることができ、ボタン又はレバーは、ユーザが引っ張り又は押すことができ、ロボット本体110がパッドホルダアセンブリ190から清掃パッド400を解除することを可能にする。これに加えて又はこれに代えて、清掃ロボットに対して、開放ボタン(図示しない)は、ユーザインタフェース140の一部とすることができる。開放ボタンは、リザーバ170に通じるドアを開き、ドアは、ユーザが水を満たし/空にすることを可能にする。コントローラ150は、持続性メモリ154(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ)と通信するコンピュータプロセッサ152(例えば、中央演算処理ユニット)を含む。
【0036】
一部の実施例では、本体110の上部118にハンドル119が配置される。ハンドル119は、ロボット本体110の横断軸線Xに沿ってピボット式に反転することができる。閉鎖位置では、ハンドル119は、本体110の上部118と実質的に平行に配置される。開放位置では、ハンドル119は、本体110の上部118に対して実質的に垂直に配置される。ハンドル119は、開放位置に摩擦ロック(図示しない)を含むことができ、ユーザがロボット100を運んでいる時に、又はユーザがバッテリ102を挿入するか又は除去し、又は清掃パッド400を交換している時に、ロボットを安定に維持する。
【0037】
図5及び図6を参照すると、ロボット本体110は、ロボット本体110の上部118を支持するために後方バネ180を支持することができる。後方バネ180は、ロボット本体110を床と平行に水平に保ち、ロボット100が、その上部118に重量が加わる時に圧縮することを可能にする。人がロボット100の上部118を踏んだような場合に、後方バネ180及び車輪バネ(図示しない)が縮んで、ロボット本体110の底部116が床面上に載ることを可能にする。後方バネ180は、予め決められたた閾値に達した後にバネ180がそれ以上圧縮することを止める止め機構182を有する。この機構は、人がロボット100を踏んだ場合のように外部から加わる力による損傷から駆動アセンブリ120を保護する。後方バネ180は、バネを予め荷重が加わった位置に支持するために下方に曲げられたバネ鋼製の予め曲げられたストリップを含むことができる。一部の実施例では、ロボット本体110は、後方180バネと同じ特徴を有する前方バネ184を含む。
【0038】
図7及び図8を参照すると、駆動システム120は、前方及び後方部分121a、121bを有する駆動ハウジング121によって収納された右及び左従動車輪モジュール120a、120bを含む。車輪モジュール120a、120bは、本体110によって定められる横断軸線Xに沿って実質的に対面し、かつ同様に駆動ハウジング121によって収納されたそれぞれの駆動輪124a、124bを作動するそれぞれの駆動モータ122a、122bを含む。駆動モータ122a、122bが各車輪124a、124bに実質的に隣接して任意的に位置決めされた状態で、駆動モータ122a、122bは、駆動ハウジング121に解除可能に接続することができる(例えば、留め具又は工具不要接続を通して)。車輪モジュール120a、120bは、駆動ハウジング121に解除可能に取り付けることができ、それぞれのバネによって清掃面10と係合する。一部の実施例では、車輪124a、124bは、駆動ハウジング121によって解除可能に支持される。車輪124a、124bは、滑りやすい床(例えば、硬材、濡れた床)の上を転がる車輪モジュール120a、120bの牽引力を改善する落下バイアス懸架システムを有することができる。車輪124a、124bは、1つの車輪の中心から他の車輪の中心に延びて床面10に実質的に平行な車輪軸線Wを定める。ロボット100が床面10を横断している時に、車輪124a、124bは、車輪軸線Wの周りに回転する。車輪124a、124bは、清掃パッド400と床面10の間の摩擦に打ち勝つほど十分な牽引力を有する。一部の実施例では、清掃パッド400が乾燥している時と、清掃パッド400が清掃流体172を吸収した時とでは、清掃パッド400と床面10の間の摩擦が異なる。ロボット100は、清掃パッド400と床面10の間の摩擦の増加を克服するために、清掃流体172の分配体積流量及び/又は牽引力を増加させることができる。一部の実施では、ロボット100は、清掃パッド400が乾燥するか又は大部分が乾燥している間、最初は初期体積流量Vの清掃流体172を塗布する。清掃パッド400が清掃流体172を吸収し、清掃パッド400と床面10の間の摩擦が低減する時に、ロボット100は、その初期体積流量Vよりも少ない第2の体積流量Vf(V>V)の流体を塗布する。
【0039】
アーム123は、駆動ハウジング121の前方部分に取り付けられる。アーム123は、駆動輪124a、124bの前方でロボット本体110にピボット回転式に取り付け可能であり、駆動ハウジング121がゴム製ピボット式取付け部125を通して床面10に対して垂直に移動することができるようにする。駆動ハウジング121の後方部分121bは、スロット127を定める。スロット127は、ロボット本体110上に予め決められた又は配置された案内突起111を摺動可能に受け入れるような大きさにされる。スロット127は、垂直方向の圧力がロボット本体110に加わり、後方バネ180が圧力によって圧縮されるような場合に、駆動システム120に対してロボット本体110が移動することができるようにする。ロボット100は、ロボット本体110の後方部分114を支持するように配置されたキャスター車輪(図示しない)を含むことができる。
【0040】
図3に戻って、ロボット本体110は、ロボット100のあらゆる電気構成要素に給電するための電源102(例えば、バッテリ)を支持する。一部の実施例では、電源102は、壁のコンセントに直接プラグを差し込むことを可能にするためにスイングアウト突起(図示せず)を含む。ロボット100は、電源102が使用準備ができていること、又は電源102は空であり再充電する必要があることを表示するための表示部を含むことができる(例えば、ユーザに見える上部118に)。一部の実施例では、電源102は、ロボット本体110へ解除可能に接続することができ、ロボット本体110に接続することなく単独に充電することができる。一部の実施例では、電源102は、ロボット本体110に解除可能に接続され、様々な電圧、例えば、110~220Vにわたって使用するためにユニバーサルプラグアダプタ(図示しない)に挿入可能に嵌合される。電源102は、1つ又はそれよりも多くの充電可能な電池(例えば、ニッケル水素電池(NiMH))を含むことができる。一部の実施では、電源102は、一定の重量を有する大きさであり、又はロボット本体110の後方部分114に安定性を与える金属製重み板を含み、金属重み板が、駆動輪124a、124bと清掃パッド400の間の特定の重量比を達成する。
【0041】
制御システム210を実行するロボットコントローラ150(図16及び図17)は、壁に追従する操縦、床を磨き洗浄する操縦、又は障害物(例えば、いす、テーブル、ソファなど)が検出された時にその前方駆動方向を変える操縦のようなアクションをロボット100にさせる挙動300を実行することができる。ロボットコントローラ150は、各車輪モジュール120a、120bの回転速度及び方向を独立して制御することにより、床面10上のあらゆる方向にロボット100を操縦することができる。例えば、ロボットコントローラ150は、ロボット100を前方F、逆(後方)A、右R、及び左L方向に操縦することができる。
【0042】
ロボット100は、床面10を清掃又は処理するための清掃システム160(図15)を含むことができる。図12に示すように、清掃システム160は、横断軸線Xに沿って延び、床面10上に清掃流体172を分配する流体アプリケータ162を含むことができる。流体アプリケータ162は、床面10上に流体172を分配する少なくとも1つのノズル164を有する噴霧器とすることができる。一部の実施例では、ノズル164は前方及び下方に噴霧して、ロボット100の前方で1ロボット長さl及び/又は1ロボット幅wを覆う。ロボット100の外側縦方向縁部及びロボット100の外側幅方向縁部は、ロボット100のフットプリントAF区域又はロボット100によって占有される平面区域の境界を決定する。他の実施では、非矩形ロボット100の周囲及び/又は円周が、ロボット100のフットプリントAF区域の境界を決定する。
【0043】
一部の実施において、ロボット100は、ロボット100が既に横切った床面10の区域に流体を塗布するのみである。1つの実施例では、流体アプリケータ162は複数のノズル164を有し、これらのノズル164は、各々が別のノズル164とは異なる方向に流体172を噴霧するように構成される。流体アプリケータ162は、ロボット100のすぐ前方で流体172を外向きよりもむしろ下方に塗布し、流体172を滴下又は噴霧することができる。一部の実施例では、流体アプリケータ162は、ミクロ繊維布又はストリップ、流体分散ブラシ、又は噴霧器である。
【0044】
一部の実施では、図13A図13Eを参照すると、ロボット100は、障害物20に向けて前方方向Fに移動し、その後に後方又は逆方向Aに移動することにより、清掃挙動300a(図16)を実行することができる。図13A及び図13Bに示すように、ロボット100は、前方駆動方向に第1の場所Lまで第1の距離Fだけ駆動することができる。ロボット100が、前方駆動方向Fで既に横断した床面10の区域にわたって少なくとも距離Dだけ移動した後に、ロボット100が、後方駆動方向に第2の場所Lまで第2の距離Aだけ後方に移動する時に、ノズル164は、ロボット100の前方で床面10に流体172を前方及び/又は下方に噴霧する。1つの実施例では、流体172は、ロボット100のフットプリントAFと実質的に等しい区域に塗布される。距離Dは、少なくともロボット100の長さに及ぶ距離であるために、ロボット100が清掃流体を受け入れるための清浄な床面10の存在をまだ確認していない場合には、ロボット100は、清掃流体172が塗布されるのは家具、壁20、段差、カーペット、又は他の表面や障害物によって占有されない清浄な床面10であると決定する。前方方向Fに移動し、次に、清掃流体172を塗布する前に後退することにより、ロボット100は、床張りの変化又は壁のような境界を確認し、それらの品目への流体による損傷を防止する。
【0045】
一部の実施例では、図2及び図11に示すように、流体アプリケータ162は、それぞれが流体を扇形状に噴霧し、流体172を床面10にわたって均等に分配する少なくとも2つのノズル164を含む噴霧器162である。流体アプリケータ162は、ノズル164を収納する前面カバー板166を含むことができる。前面カバー板166は、ノズル164を清掃するか又は交換するために除去することができる。
【0046】
一部の実施例では、図13C図13Eを参照すると、ロボット100は、床面10の特定部分を覆うように前後に駆動し、清掃稼働の開始時に清掃パッド400を濡らし及び/又は床面10を磨き洗浄することができる。ロボット100が前後に駆動する時に、ロボット100は、それが横断している区域を清掃し、従って、床面10に十分な磨き洗浄をもたらす。
【0047】
一部の実施例では、流体アプリケータ162は、清掃パッド400の前方にありかつ移動式ロボット100の前方駆動方向(例えば、前方方向F)にある区域に流体172を塗布する。一部の実施例では、流体172は、清掃パッド400が以前に占めていた区域に塗布される。一部の実施例では、清掃パッド400が占有していた区域は、コントローラ150がアクセス可能である記憶マップ上に記録される。
【0048】
一部の実施例では、ロボット100は、ロボット100の持続性メモリ154、又は有線又は無線手段を通してロボット100によってアクセス可能な外部ストレージ媒体上に記憶されたマップ上のカバレッジの位置の記憶に基づいてそれがどこにあったかを知る。ロボット100のセンサ510(図15)は、空間マップを構築するために、カメラ及び/又は1つ又はそれよりも多くの測距レーザを含むことができる。一部の実施例では、ロボットコントローラ150は、壁、家具、床張りの変化、又は他の障害物の位置のマップを使用し、清掃流体172を塗布する前に、障害物及び/又は床張りの変化から十分離れた場所にロボット100を位置決めしてそこに置く。これには、既知の障害物がない床面10の区域に流体172を塗布するという利点がある。
【0049】
一部の実施例では、ロボット100は前後に移動して、清掃パッド400を湿らせ及び/又は流体172が塗布された床面10を磨き洗浄する。ロボット100は、流体172が塗布された床面10上のフットプリントAF区域を通して鳥の足パターンで移動することができる。一部の実施では、描かれるように、鳥の足清掃ルーチンは、ロボット100が中心軌道1000に沿って前方方向F及び後方又は逆方向Aに移動する段階と、左1010及び右1005軌道に沿って前方方向F区域及び逆方向Aに移動する段階とを含む。一部の実施例では、左軌道1010及び右軌道1005は、始点から中心軌道1000に沿って円弧状に外向き延びる弓形の軌道である。左軌道1010及び右軌道1005は、中心軌道1000から外向きに一直線に延びる直線軌道とすることができる。
【0050】
図13C及び図13Eは、2つの鳥の足軌道を示している。図13Cに示す実施例では、ロボット100は、位置Aから中心軌道1000に沿って前方方向Fにそれが壁20に衝突して位置Bにある衝突センサのようなセンサ510をトリガするまで移動する。ロボット100は、次に、中心軌道に沿って流体塗布によって覆われることになる距離に等しいか又はこれよりも長い距離だけ逆方向Aに移動する。例えば、ロボット100は、中心軌道1000に沿って位置Aと同じ位置にすることができる位置Gまで少なくとも1ロボット長さlだけ後方に移動する。ロボット100は、ロボット100のフットプリントAF区域に実質的に等しい区域に流体172を塗布して壁20に戻り、清掃パッド400が、流体172を通過して床面10を清掃する。ロボット100は、位置Bから左軌道1010又は右軌道1005のいずれかに沿って後退し、位置Bに戻る前に残りの軌道を覆う。ロボット100が、中心軌道1000、左軌道1010、及び右軌道1005に沿って前後に移動する度に、清掃パッド400は塗布された流体172を通過し、流体172が塗布された床面10から汚れ、デブリ、及び他の粒子状物質を磨き洗浄し、かつ汚れた流体172を清掃パッド400に吸収して床面10から切り離す。清掃流体172の溶剤特性と組み合わせた湿ったパッドの磨き洗浄運動は、乾燥した染み及び汚れを分解して緩める。ロボット100によって塗布された清掃流体172は、緩められたデブリを浮かせ、清掃パッド400が浮いたデブリを吸収し、それを床面10から離して毛管作用で運ぶ。
【0051】
図13Dの実施例では、ロボット100は、開始位置、すなわち、位置Aから塗布された流体172を通して中心軌道1000に沿って壁の位置、すなわち、位置Bまで同様に移動する。ロボット100は、位置D及びFに延びる左右軌道1010、1005を清掃パッド400によって軌道1010、1005に沿って分配される清掃流体172で覆う前に、位置Aと同じ位置にすることができる位置Cまで中心軌道1000に沿って壁20から後退する。1つの実施例では、図13Dに示すように、ロボット100が、軌道に沿って中心軌道1000から外向きに延びる度に、ロボット100は、位置A、C、E、及びGに示すように中心軌道に沿った位置に戻る。一部の実施において、ロボット100は、1つ又はそれよりも多くの異なる軌道に沿った逆方向Aの移動と前方方向Fの移動とのシーケンスを変えることができ、シーケンスの変更により、清掃パッド400及び清掃流体172は、有効かつ効率的なカバレッジパターンで床面10を横切って移動する。
【0052】
一部の実施例では、ロボット100は、清掃稼働の開始時に鳥の足カバレッジパターンで移動し、清掃パッド400の全ての部分を湿らせることができる。図9Bに示すように、清掃パッド400の底面400bは、中心区域PCと、左右の側縁区域PR及びPLとを有する。ロボット100が清掃稼働又は清掃ルーチンを開始した時に、清掃パッド400は乾いているので湿らせる必要があり、水分が、摩擦を低減し、かつ清掃流体172を床面10に沿って広げてデブリをそこから磨き洗浄する。従って、ロボット100は、清掃パッド400を容易に湿らすように、清掃稼働の開始時に、最初は流体を高い体積流量で塗布する。一部の実施例では、図13Eに示すように、清掃稼働の開始時に、ロボット100は、清掃パッド400を塗布流体172を通して駆動し、清掃パッド400の底面400bの中心区域PCと清掃パッド400の左右の側縁区域PR及びPLとが、各々、塗布された流体を個別に通過し、それによって床面10に接触している清掃パッド400の底面400b全体に沿って清掃パッド400全体を湿らせる。
【0053】
図13Eに示す実施例では、ロボット100は、塗布流体172を通るパッド400の中心を通過する中心軌道1000に沿って前方方向Fに、次に逆方向Aに移動する。次にロボット100は、塗布流体172を通る清掃パッド400の左縁部区域PLを通過する右軌道1005に沿って前方方向F及び逆方向Aに駆動する。次に、ロボット100は、塗布流体172を通る清掃パッド400の右縁部区域PRを通過する左軌道1010に沿って前方方向F及び逆方向Aに駆動する。清掃稼働の開始時に、ロボットは、比較的高い初期体積流量Viの流体172を塗布し、清掃パッド400を迅速に湿らせるために床面10にある体積の流体172を塗布する。清掃パッド400を湿らせた後に、ロボット100は、その清掃稼働を続け、引き続き第2の体積流量Vfの流体172を塗布する。この第2の体積流量Vfは、清掃稼働開始時の初期流量Vjよりも相対的に少なく、その理由は、清掃パッド400は、既に湿らされ、それが磨き洗浄する時に清掃流体を床面10にわたって効果的に移動するためである。ロボット100は、体積流量Vを調節して、特定の寸法の清掃パッド400の外部(すなわち、底面400b)が、内部全体が完全に濡れることなく湿らされるようにする。清掃パッド400の底面400bは、パッド400の吸収性の内部を水浸しにすることなく最初に湿らされ、清掃パッド400は、残りの清掃稼働のために完全に吸収性のままである。
【0054】
ロボット100の前後移動は、床面10上の染み22を分解する。従って、分解された染み22は、清掃パッド400によって吸収される。一部の実施例では、清掃パッド400は、不均一な筋を避けるために十分な噴霧流体172を拾い上げる。一部の実施例では、清掃パッド400は、磨き洗浄された床面10上に満足のいく光沢の外観を与えるために溶液の残留物を残す。一部の実施例では、流体172が抗菌性溶液を含むので、残留物の薄い層は、清掃パッド400によって意図的には吸収されず、流体172が細菌のより高い割合を殺すことを可能にする。
【0055】
図3及び図11を参照すると、ロボット本体110によって収納されたリザーバ170は、流体172(すなわち、清掃溶液)を保持し、チューブ168によってノズル164に接続される。リザーバ170は、ロボット100の後方部分114に収納することができる。清掃システム160はまた、リザーバ170からチューブ168を通してノズル164に流体172を移送するためのポンプモータ174を含むことができる。チューブ168は、リザーバ170からポンプモータ174を通して延び、流体アプリケータ162で終わる。チューブ168は、リザーバ170内のほとんど全ての流体172を排水することができるように、リザーバ170内の最低点でリザーバ170に接続する。一部の実施例では、ポンプモータ174は、回転子の周囲に取り付けられた複数のローラを有し、可撓性チューブ168を圧縮する蠕動ポンプである。回転子が回転すると、チューブ168のうちの圧縮された部分は、挟まれて閉じ、閉じることによって流体172がチューブ168に強制的にポンピングされて移動されることになる。
【0056】
リザーバ170は、体積が200mlから250ml又はそれよりも多くの流体172を保持することができる。リザーバ170は、半透明又は完全透明の部分を有することができ、この部分は、リザーバ170にどのくらいの流体172が残っているかをユーザが知ることを可能にする。透明部分は、残っている体積の流体172とリザーバ170の補充の必要性とをユーザが確認することができるようにする表示部を含むことができる。ロボット100が清掃パッド400を担持する一部の実施例では、清掃パッド400は、リザーバ170に含まれる流体体積の85%から95%を吸収することができる。
【0057】
リザーバ170は、ユーザがリザーバ170を空にし、又は流体172で充填することができるようにするキャップ176を含む。キャップ176は、流体172で充填された後のリザーバ170の密封性を改善するためにゴムで製造することができる。キャップ176は、ユーザがタンク170を充填するためにキャップ176を開いた時に、キャップ176をロボット100に接続する保持器支柱(図示せず)を含むことができる。一部の実施例では、キャップ176に排気弁(図示せず)が組み込まれ、残った空洞を埋め合わせるためにポンプが清掃溶液を引き出す時に空気がリザーバ170に入ることを可能にする。一部の実施例では、排気弁は、キャップ176内に成形された柔らかい刻み目フラップ付きの管状の開口部である。ハンドル119は、その閉鎖位置でキャップ176を完全に又は実質的に覆うことができる。
【0058】
図4及び図9図12図を参照すると、ロボット100は、ロボット本体110の底部116に配置されてロボット本体110によって支持されたパッドホルダアセンブリ190を含むことができる。パッドホルダアセンブリ190は、清掃パッド400を保持する。パッドホルダアセンブリ190は、上部194a及び底部194bを有するパッドホルダ194を含む。底部194bは、床面から約1/2cmと約1と1/2cmの間の範囲に配置することができる。一部の実施例では、底部194bは、ロボットのフットプリントの表面積の少なくとも40%を構成する。一部の実施例では、パッドホルダアセンブリ190は、ロボット本体110内にある全ての他の部品と接続する直方体のプラスチック部品である。
【0059】
パッドホルダ194の上部194aには、振動モータ196が配置される(例えば、床面10に対して垂直に取り付けられる)。振動モータ196は、パッドホルダ194を振動させ、この振動が、今度は、ロボット100が清掃のために床面10を横断している時に清掃パッド400を振動させて磨き洗浄作用をもたらす。一部の実施例では、振動モータ196は、軌道発振器であり、軌道発振器は、1cm未満の軌道範囲を有し、例えば、ロボット100が磨き清掃稼働で清掃パッド400を移動している稼働の一部の間である清掃稼働の少なくとも一部の間は、1/2cm未満の軌道範囲を有する。ロボット100の前後移動(上述)と振動移動の組合せは、ロボット100の磨き洗浄作用を改善し、この改善された磨き洗浄は、泥及びコーヒーのような乾燥した染み、及びゼリー及び蜂蜜のような粘着性の染みを含む耐性染み22を除去する。一部の実施例では、円筒形チューブ197は、パッドホルダ194の上部194aから離れて突き出し、ホルダ194の中心に位置することができる。円筒形チューブ197は、振動モータ196及びあらゆる振動構成要素又はカウンタ重み198を収納し、それらが定められる位置まで摺動することを可能にする。一部の実施例では、カウンタ重み198は、モータの回転軸線に取り付けられたパッドホルダ194の上部に配置される。カウンタ重み198は、偏心重量を与えてモータをぐらつかせる。それによって今度は、パッドホルダアセンブリ190の振動及び動揺運動が引き起こされる。ロボット100の重量は、駆動輪124a、124bとパッドホルダアセンブリ190の間で3対1の比で分配され、この分配ではロボット本体110の最も重い部分は、駆動輪124a、124bの上方、又はパッドホルダアセンブリ190の上方のいずれかにある。一部の実施例では、ロボット100の重心CGrは、駆動輪124a、124bの前方に位置決めされ、従って、ロボット100の全体重量の大部分をパッドホルダ194の上方に位置決めする。ロボット100の全体重量は、約2ポンド(約907グラム)から約5ポンド(約2268グラム)とすることができる。ロボット100の全体重量の大部分をパッドホルダ194の上方に位置決めすることは、下方に加わる力をこの軽量のロボット100の清掃パッド400に集中させ、清掃パッド400を床面10に接触したままに維持するという利点を有する。
【0060】
図4及び図10を参照すると、パッドホルダ194の底部194bに保持器93が配置され、清掃パッド400を保持する。保持器193は、マジックテープ(登録商標)を含むことができる。清掃パッド400をパッドホルダ194に接続するために、ブラケットのような他のタイプの保持器を使用することができ、ブラケットは、上述のように、ロボット本体の上部118に配置されたパッド解除機構の始動時に、清掃パッド400を解除することができるように構成することができる。
【0061】
一部の実施例では、パッドホルダアセンブリ190は、パッドホルダ194の上部194aに配置された少なくとも1つの支柱192を含む。支柱192は、その長さに沿って大きさが変化する断面直径を有することができ、ロボット本体110によって定められる開口部113に嵌合するような大きさにされる。図示のように、パッドホルダアセンブリ190は、4本の支柱192を含む。ロボット本体110は、4本の支柱192を受け入れ、パッドホルダアセンブリ190をロボット本体110に取り付けるための4つの開口113を含む。組み立てた後に、4本の支柱192は、ロボット本体110の4つの開口113に挿入され、ロボット本体110とパッドホルダアセンブリ190とを相互接続する。一部の実施例では、支柱192は、パッドホルダアセンブリ190がモータ196からの動力によって平面内で動揺することができ、かつ磨き洗浄することができるように、振動減衰材料で製造される。更に、支柱192は、垂直方向で振動を制御し、それによってパッドホルダアセンブリ190とロボット本体110の間の間隔を制御する。
【0062】
清掃パッド400は、噴霧器162が床面10上に噴霧する流体172と、吸収されたあらゆる汚れ(例えば、汚れ、油、食品、ソース、コーヒー、コーヒーかす)とを吸収するように構成される。一部の汚れは、粘性及び弾性の両方の特性を示す(例えば、蜂蜜)粘弾性特性を有する場合がある。清掃パッド400は、吸収性で研磨性の外面を有する。ロボット100が床面10を動き回る時に、清掃パッド400は、床面10を研磨面(すなわち、耐摩耗層)で払拭し、床面10上に噴霧された清掃溶液を軽い力のみで吸収する。
【0063】
従って、清掃パッド400は、床面10上に噴霧された溶液を非常に小さい下方の力を加えることによって払拭して吸収するように設計される。清掃パッド400は、研磨性外層(図示しない)と、ロボット100が床面10に噴霧する流体172を吸収して保持するための吸収性内層とを含むことができる。研磨性外層は、床面10に接触し、他方、吸収性内層は、保持パッド194の底部194bに取り付けられる。摩耗層は、床面10を磨き洗浄して頑固な染み22を除去し、他方、吸収層は、流体172、汚れ、及びデブリを吸収するのに役立つ。清掃パッド400は、乾燥して跡がつかないように薄い光沢を床面10上に残すことができる。清掃パッド400が余分な流体172を吸収するような場合に、清掃パッド400は、清掃パッド400と床面10の間の摩擦によって床に吸着することができる。研磨性の外側ライナは、汚れやデブリを拾い上げ、床面に乾燥して跡がつかないようになる薄い光沢を残す吸収性材料である。
【0064】
清掃パッド400は、パッドホルダ194の振動に耐えるほど堅牢に設計され、これが、清掃パッド400を前後に移動し及び/又は振動させ、それによってロボット100が床面10を横断する時に磨き洗浄する。清掃パッド400は、パッドホルダ194の底面194bに取り付けられた上面400aを有する。清掃バッド400の上面400bは、振動するパッドホルダ194に対して実質的に不動であり、軌道発振器の軌道範囲の80パーセントよりも多くが、清掃パッド400の上面400aから床面10に接触した状態に保持された清掃パッド400の底面400bに伝達される。更に、ロボット100の前後移動は、単独で及び/又はパッドの振動と組み合わされて、清掃パッド400が吸収する床面10の染み22を分解する。
【0065】
一部の実施では、清掃パッド400が床面10を清掃する時に、清掃パッド400は、床面10に塗布された清掃流体172を吸収することができる。清掃パッド400は、その形状を変えることなく十分な流体172を吸収することができる。清掃パッド400は、床面10を清掃する前と床面を清掃した後とで実質的に類似の寸法を有する。清掃パッド400のこの特性は、清掃パッド400が膨張するような場合に、ロボット100が後方に傾斜するか又はピッチアップすることを防止することができる。一部の実施例では、清掃パッド400は、最大で180ml、又はロボットタンク170に含まれる全流体172の90%を吸収する。清掃パッド400は、ロボットの前部を支持するのに十分なほど剛性である。
【0066】
図14を参照すると、ロボット100は、床面10からロボット100の底部116までのクリアランス距離Cを有する。従って、清掃パッド400は、ロボット100が傾斜することを防止するために、最小限の膨張率を有することができる。一部の実施例では、ロボット100は、合計パッド厚みTの最小限の増加により、車輪軸線Wの周りに傾斜することができる。ロボット100は、ロボット100がその通常の清掃挙動で干渉なしに傾斜する車輪軸線Wの周りの閾値傾斜角αを有することができる。
【0067】
図15及び図16を参照すると、信頼性があり堅牢な自律移動を達成するために、ロボット100は、複数の異なるタイプのセンサ510を有するセンサシステム500を含むことができ、これらセンサは、互いに連動して用いられ、ロボット100がロボットの環境において取られるアクションに関して知的決定を下すことができるほどに十分なロボット100の環境の知覚を生成することができる。センサシステム500は、ロボット本体110によって支持される1つ又はそれよりも多くのタイプのセンサ510を含むことができ、これらセンサは、障害物検出/障害物回避(ODOA)センサ、通信センサ、ナビゲーションセンサなどを含むことができる。例えば、センサシステムは、以下に限定されるものではないが、近接センサ(例えば、赤外線センサ)、接触センサ(衝突スイッチ)、画像センサ(例えば、体積ポイントクラウド画像化、3次元(3D)画像化、又は深度図センサ、可視光カメラ、及び/又は赤外線カメラ)、距離センサ(ソナー、レーダー、LIDAR(光検出及び側距、散乱光の特性を測定して遠隔目標の距離及び/又は他の情報を求める光学的リモートセンシングを含むことができる)、LADAR(レーザ検出及び側距))などを含むことができる。
【0068】
一部の実施例では、センサシステム500は、ロボット100の全体重心CGに対するロボット100の慣性モーメントを測定及びモニタするためにコントローラ150と通信する慣性測定ユニット(IMU)512を含む。コントローラ150は、正常な妨げのない作動に対応する閾値信号からのIMU512によるフィードバックのあらゆる偏差をモニタすることができる。例えば、ロボット100が直立位置からピッチし始めれば、ピッチは遅らせることができ、又は誰かが、突然追加された重いペイロードを有する時がある。これらの事例では、ロボット100が継続して適正に作動することを保証するために、緊急のアクション(限定ではないが、回避操作、再較正、及び/又は音声/視覚の警告の送出を含む)を取る必要がある場合がある。
【0069】
停止から加速する時に、コントローラ150は、ロボット100が傾斜することを防止するために、ロボット100のその全体重心CGからの慣性モーメントを考慮することができる。コントローラ150は、ロボットの現在の慣性モーメントを含むその姿勢のモデルを使用することができる。ペイロードを支持する時に、コントローラ150は、全体重心CGへの荷重の影響を測定し、慣性モーメントによるロボット100の移動をモニタすることができる。これが可能でない場合に、コントローラ150は、駆動システム120に試験トルク指令を印加して、IMU512を用いてロボットの実際の直線及び角加速度を測定し、作動限界を実験的に決定することができる。
【0070】
IMU512は、相対値に基づいてロボット100の慣性モーメントを測定及びモニタすることができる。一部の実施において及び長期期間にわたって、一定の移動によってIMUをドリフトさせることができる。コントローラ150は、再設定指令を実行し、IMU512を再較正してゼロに再設定する。IMU512を再較正する前に、コントローラ150は、ロボット100が傾斜しているか否かを決定し、ロボット100が平面上にある時にのみ再設定指令を送出する。
【0071】
一部の実施において、ロボット100は、障害物20に衝突せず、又は階段から落ちることなく床面10をナビゲートすることができ、また、清掃のため比較的汚れた床区域をインテリジェントに認識することを可能にするように構成されたナビゲーションシステム600を含む。更に、ナビゲーションシステム600は、床面10にわたって決定性パターン及び擬似ランダムパターンでロボット100を操縦することができる。ナビゲーションシステム600は、ロボットコントローラ150上に記憶された及び/又は上で実行される挙動ベースのシステムである場合がある。ナビゲーションシステム600は、センサシステム500と通信して、駆動システム120に対して駆動指令を決定して送出することができる。ナビゲーションシステム600は、ロボット挙動300に影響を及ぼしかつ構成し、すなわち、ロボット100が体系的な計画的移動で挙動することができるようにする。一部の実施例では、ナビゲーションシステム600は、センサシステム500からデータを受け入れ、ロボット100が横断する望ましい経路を計画する。一部の実施例では、ナビゲーションシステム600は、ロボット100の持続性メモリ154又は清掃稼働中に有線又は無線手段を通してロボット100によってアクセス可能な外部ストレージ媒体上に記憶されたマップを含む。ロボット100のセンサ510(図15)は、空間マップを構築するために、カメラ及び/又は1つ又はそれ以上の測距レーザを含むことができる。一部の実施例では、ロボットコントローラ150は、壁、家具、床張りの変化、又は他の障害物の位置のマップを使用し、清掃流体172を塗布する前に障害物及び/又は床張りの変化から十分離れた場所にロボット100を位置決めして置く。これには、既知の障害物がない床面10の区域に流体172を塗布するという利点がある。
【0072】
一部の実施において、コントローラ150(例えば、1つ又は複数のコンピュータプロセッサ上で実行可能な命令を記憶することができる持続性メモリ204と通信する1つ又はそれよりも多くのコンピュータプロセッサ202を有するデバイス)は、互いに通信する挙動システム210a及び制御調停システム210bを含む制御システム210を実行する。制御調停システム210bは、ロボットアプリケーション220を制御システム210に対して動的に追加及び削除することを可能にし、各アプリケーション220が他のいずれかのアプリケーション220について知る必要もなくロボット100を制御することができるようにする。換言すると、制御調停システム210bは、アプリケーション220とロボット100のリソース240の間の簡単な優先制御機構を提供する。
【0073】
図示の実施例では、挙動システム210aは、センサによって知覚された障害物20に基づいて応答するロボットのアクション(例えば、背を向ける、振り向く、障害物の所で止まるなど)を決定するための障害物検出/障害物回避(ODOA)挙動300bを含む。別の挙動300は、検出された壁に隣接して駆動する(例えば、壁に対して向かうか又は離れる駆動の波動パターンで)ための壁追従挙動300cを含むことができる。挙動システム210aは、汚れ捜索挙動300d(1つ又は複数のセンサが、床面10上の汚れスポットを検出し、ロボットが清掃のためのスポットに向けて進路を変える)を含むことができる。他の挙動300は、スポット清掃挙動(例えば、ロボット100が、特定の場所を清掃するためにコーンローパターンに従う)及び段差挙動(例えば、ロボット100が、階段を検出して階段からの落下を回避する)を含むことができる。
【0074】
図17は、自律移動式ロボット100を作動させる方法1700のための作動の例示的な構成を示している。図13A図13Eも参照すると、方法1700は、ロボット100によって定められる前方駆動方向Fにロボット100を支持している床面10に沿ってロボット100によって担持される清掃パッド400を用いて塗布流体172を擦りつけながら、第1の場所Lまで第1の距離Fを駆動する段階1710を含む。方法1700は、前方駆動方向Fとは反対の逆駆動方向Aに床面10に沿って清掃パッド400を用いて塗布流体172を擦りつけながら、第2の場所Lまで第2の距離Aを駆動する段階1720を更に含む。方法1700はまた、清掃パッド400の前方であるが第1の場所Lの後方である前方駆動方向Fに床面10上に流体172を噴霧する段階1730と、床面10に流体172を噴霧する段階1730の後に床面10に沿って清掃パッド400を擦りつけながら前方及び逆駆動方向F、Aに交互に駆動する段階1740と含む(図13A図13E参照)。
【0075】
一部の実施例では、方法1700は、ロボット100によって定められる前方駆動方向Fにロボット100を支持している床面10に沿ってロボット100によって担持される清掃パッド400を移動しながら第1の場所Lまで第1の距離Fを駆動する段階を含む。方法1700は、前方駆動方向Fとは反対の逆駆動方向Aに床面10に沿って清掃パッド400を移動しながら第2の場所Lまで第2の距離Aを駆動する段階1720を更に含む。方法1700はまた、清掃パッド400の前方であるが第1の場所Lの後方である前方駆動方向Fに床面10上のロボットのフットプリントAF区域に実質的に等しい区域に流体172を塗布する段階を含む。方法1700は、塗布流体172で清掃パッド400を湿らせるために、清掃パッド400の中心区域PC、並びに側縁区域PR及びPLが区域を別々に通って移動する移動パターンで塗布流体の区域にロボット100を戻す段階を更に含む。一部の実施例では、方法1700は、逆方向に駆動されている間又はロボット100のフットプリントAF区域の長さと少なくとも等しい第2の距離を逆方向に駆動された後に床面10上に流体172を塗布する段階を含む。一部の実施例では、流体アプリケータ162は、清掃パッド400の前かつ移動式ロボット100の前方駆動方向の区域に流体172を塗布する。一部の実施例では、流体アプリケータ162は、清掃パッド400が以前に占有した区域に流体162を塗布する。一部の実施例では、清掃パッド400が占めた区域は、コントローラ150にアクセス可能である記憶マップ上に記録される。
【0076】
方法1700は、床面10に流体172を塗布した後に、前方方向及び逆方向に交互に駆動させながら左駆動方向又は右駆動方向に駆動する段階を含むことができる。床面10に流体172を塗布する段階は、前方駆動方向Fに関して複数の方向に流体172を噴霧する段階を含む。一部の実施例では、第2の距離は、第1の距離よりも大きいか又はこれに等しい。
【0077】
移動式床清掃ロボット100は、ロボット本体110と、駆動システム120と、パッドホルダアセンブリ190と、リザーバ170と、例えば、ミクロ繊維布又はストリップ、流体分散ブラシ、又は噴霧器である流体アプリケータ162とを含むことができる。ロボット本体110は、前方駆動方向を定め、かつ底部116を有する。駆動システム120は、ロボット本体110を支持して床面10にわたってロボット100を操縦する。パッドホルダアセンブリ190は、ロボット本体110の底部116に配置され、かつ清掃バッド400を保持する。リザーバ170は、ロボット本体110によって収納され、かつ流体172(例えば、200ml)を保持する。本明細書では噴霧器であり、同じくロボット本体110によって収納されたアプリケータ162は、リザーバ170と流体連通し、清掃バッド400の前方である前方駆動方向に流体172を噴霧する。パッドホルダアセンブリ190の底部116に配置された清掃バッド400は、リザーバ170に含まれた流体172の約90%を吸収することができる。一部の実施例では、清掃バッド400は、約80ミリメートルと約68ミリメートルの間の幅、及び約200ミリメートルと約212ミリメートルの間の長さを有する。清掃バッド400は、約6.5ミリメートル
と約8.5ミリメートルの間の厚みを有する。
【0078】
いくつかの実施を説明した。それにも関わらず、本発明の開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができることは理解されるであろう。従って、他の実施も以下の特許請求の範囲内である。例えば、特許請求の範囲に示すアクションは、異なる順番で実行され、依然として望ましい結果を達成することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 床面
100 移動式床清掃ロボット
110 ロボット本体
150 コントローラ
F 前方駆動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14
図15
図16
図17