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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】カードケース
(51)【国際特許分類】
   G09F 1/10 20060101AFI20230612BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20230612BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G09F1/10 H
B42D15/00 341D
A45C11/00 V
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019020416
(22)【出願日】2019-02-07
(65)【公開番号】P2020128015
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500339189
【氏名又は名称】有限会社ハヤシ商店
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】林 勝博
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-372912(JP,A)
【文献】特開2018-084632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/10
B42D 15/00
A45C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ内に収められた製品の情報を記載したカードを封入するためのカードケースであり、
第1シートと第2シートとが積み重ねられ、溶着又は接着された周縁を有する、少なくとも前記第1シート又は第2シートが透光性樹脂製の基材と、
前記第1シート及び第2シートは、長辺又は短辺のいずれかの端部領域において、コの字形状に溶着又は接着された周縁を有し、
前記第1シート又は第2シートのいずれか一方の長辺の端部領域に長手方向のスリット、又は、前記第1シート又は第2シートのいずれか一方の短辺の端部領域に短手方向のスリットを有し、
該スリットは、前記第1シート及び第2シートの主面と垂直な第1垂直面と、を備え、該第1垂直面と対向する、前記第1シート及び第2シートの主面と垂直な第2垂直面を有し、
前記スリットの幅を特定の幅とし、前記スリットは、前記第1垂直面と、第2垂直面とが前記特定の幅を隔てており、
前記スリットにより、前記第1シート又は第2シートは、前記第1垂直面を有する特定の面積の前記端部領域と、前記2垂直面を有する、前記端部領域の面積よりも大きな面積を有する非端部領域とに隔てられ、
前記スリットから、前記非端部領域に収容可能なカードを、該カードの端面から前記非端部領域に挿入されて収容される場合、前記カードケースが前記非端部領域を持ち上げ、前記第1垂直面と第2垂直面とが、前記カードケースの方向に対して、ずれた状態となり、前記カードの端面と反対面が、前記第1垂直面と当接することにより、前記第1垂直面がストッパとして機能し、前記カードの前記スリットからの脱落を防止することを特徴とするカードケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンテナ内に収められた製品の種類や生産進捗状況などの情報を記載したカードを封入するためのカードケースに関するもので、特に塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等によって製造されるこれらのカードケースは、片面にあたる第一層面ともう一方の面にあたる第二層面とで構成される。これらのカードケースは、チャックまたはジッパが取り付けられることにより、封緘機能が付与される形状のものが一般的である。
【背景技術】
【0002】
カードケースは、例えば、組み立て工場、配送場等の分野で利用され、そこでは、工程間及び工場間における製品あるいは半製品の情報流通に適用されることが多い。力一ドを同函するためのホルダーとしてのカードケースは、種類が多く、また数量も多数消費されている。非特許文献1に示す通り、カードが外部に飛び出さないように、チャック(またはファスナー)を取り付けてあり、チャックを開けて、カードケースの中にカードを入れて再封する。カードに記載された情報が社内社外を通じて、製品の完成に至るまで工程について回るという仕組みになっている。このカードケースは繰り返し再利用でき、捨てるまで使える利点がある。
【0003】
他の代表例としては、基材の裏側に予め粘着層が糊引きされた例が挙げられるが、説明は省略する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】http://www.amuko.co.jp/products/tutaeru.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、チャック付きのカードケースの短所としては次がある。(1)チャック付きのカードケースは、チャックのところで、凸凹が生じるため、カードケースの厚みが部位によって違ってきて、積層することが難しいとの問題がある。(2)カードの交換の度にチャックの開閉を必要とし、作業者によるカードの交換が煩雑となる問題がある。(3)カードケースにチャックを設けなければならないため、製造に手間がかかる問題があり、コスト削減に制限がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、上記課題を解決するため、格別の構造のスリットを見出し、本発明に至った。
【0007】
本発明は、 コンテナ内に収められた製品の情報を記載したカードを封入するためのカードケースであり、第1シートと第2シートとが積み重ねられ、溶着又は接着された周縁を有する、少なくとも前記第1シート又は第2シートが透光性樹脂製の基材と、前記第1シート及び第2シートは、長辺又は短辺のいずれかの端部領域において、コの字形状に溶着又は接着された周縁を有し、前記第1シート又は第2シートのいずれか一方の長辺の端部領域に長手方向のスリット、又は、前記第1シート又は第2シートのいずれか一方の短辺の端部領域に短手方向のスリットを有し、該スリットは、前記第1シート及び第2シートの主面と垂直な第1垂直面と、を備え、該第1垂直面と対向する、前記第1シート及び第2シートの主面と垂直な第2垂直面を有し、前記スリットの幅を特定の幅とし、前記スリットは、前記第1垂直面と、第2垂直面とが前記特定の幅を隔てており、前記スリットにより、前記第1シート又は第2シートは、前記第1垂直面を有する特定の面積の前記端部領域と、前記2垂直面を有する、前記端部領域の面積よりも大きな面積を有する非端部領域とに隔てられ、前記スリットから、前記非端部領域に収容可能なカードを、該カードの端面から前記非端部領域に挿入されて収容される場合、前記カードケースが前記非端部領域を持ち上げ、前記第1垂直面と第2垂直面とが、前記カードケースの方向に対して、ずれた状態となり、前記カードの端面と反対面が、前記第1垂直面と当接することにより、前記第1垂直面がストッパとして機能し、前記カードの前記スリットからの脱落を防止することを特徴とするカードケース。
【0008】
本発明は、溶着又は接着された周縁を有する。例えば、平行する一対の縁、及び、垂直な一対の縁を有する。第1シート、第2シートとも透光性樹脂によって構成されてもよいが、いずれか一方のシートが非透光性でもよい。第1シート及び第2シートは表側主面、裏側主面、これと垂直な4つの端面から構成される。
【0009】
基材は矩形が基本形ではあるが、形状は用途に応じて適宜変更が可能である。
【0010】
透光性樹脂製は、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられる。樹脂は硬質又は軟質いずれでもよい。
【0011】
カードケースの溶着又は接着された縁部は、高周波、超音波、熱プレス、ヒートシール、接着、粘着等の適宜手段によって設けられる外寸法である。周縁の大きさは適宜設定され得る。全体寸法の大きさは適宜設定され得る。
【0012】
前記第1シート又は第2シートのいずれか一方の長辺の端部領域に長手方向のスリット、又は、前記第1シート又は第2シートのいずれか一方の短辺の端部領域に短手方向のスリットを有し、該スリットは、第1垂直面と、該第1垂直面と対向する第2垂直面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(1)カードケースの使用中、第1垂直面でカードの端部をブロックするので、カードケースのスリットからの脱落を有効に防止できる。(2)カードケースにチャックがないため、基材には凸凹がなく、積層が可能である。(3)カードの交換はスリットからの抜き差しによるので、チャックの開閉が不要となり、作業者によるカードの交換が容易となる。(4)カードケースにチャックがないため、製造に手間がかからず、大幅なコスト削減が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明実施形態1のカードケースの正面図である。
図2】(a)は同じくカードケースの左側面図、(b)は同じくカードケースの平面図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図1のB-B断面図である。
図5図4のC-C拡大図である。
図6】本発明実施形態のカードケースにカードを入れた使用状態参考正面図である。
図7図6のE-E断面図である。
図8】本発明実施形態2のカードケースの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態1のカードケース1について、図1図7を参照して説明する。カードケース1は、第1シート2と第2シート3とが積み重ねられ、隙間Sが設けられ、溶着された周縁4を有する、透光性樹脂製の基材5と、第1シート2のいずれか一方の長辺の端部領域に長手方向のスリット6を有する。スリット6は、図7に示す通り、第1シート2及び第2シート3の主面と垂直な第1垂直面61と、第1垂直面61と所定間隔δを隔てて対向するとともに、第1シート2及び第2シート3の主面と垂直な第2垂直面62を有することを特徴とする。本実施形態のカードケース1をいわゆるカンバン方式に適用される例として説明する。
【0016】
カードケース1の厚みTは0.1mm~2mmが好ましい。スリット6の所定間隔δは、0~3、特に、0~2mmが好ましい。カードケース1の材料は合成樹脂製が好ましい。形状は基本的に長方形であるが、他の形状でも採用可能である。カードケース1の全部又は一部を着色してもよい。着色の場所は、上部下部どちらでもよい。
【0017】
第1シート2はスリット6により、上部21と下部22とに分割されている。上部21の高さHは、下部22の高さHより小さく設定される。上部21の高さHと、下部22の高さHの比率は適宜設定ができる。上部21の高さ10mm、下部22の高さは70mmが例示される。高さH1、の範囲は10mm~500mmが好ましい。第1シート2は表側主面、裏側主面、これと垂直な4つの端面から構成される。
【0018】
スリット6の中央部には上方に突出する切り欠き部7を備えている。切り欠き部7の形状は適宜設定できるが、ここでは、上方に突出する弧状とする。カード9のスリット6からの出し入れを円滑にするためである。
【0019】
第2シート3は四角形であり、スリット6は存在しないが、スリットを追加で設けてもよい。例えば、スリット6とは反対側の長辺の端部領域に設けてもよい。第2シート3は表側主面、裏側主面、これと垂直な4つの端面から構成される。
【0020】
第1シート2と第2シート3の厚みは、同一でも相違した値でもよい。ここでは厚み0.3mmのシートであるが、0.2~0.4mmの範囲で適宜設定が可能である。第1シート2と第2シートの両方とも梨地でもよいし、片方でもよいし、両方とも梨地でなくてもよい。第1シート2と第2シートは、硬質と軟質の合成樹脂を適宜採用できる。両方とも硬質の場合、よい効果がでることがある。
【0021】
本発明実施形態のカードケース1の使用方法を説明する。切り欠き部7またはスリット6に指を掛けて、上部21を持ち上げると、隙間Sが拡開し、カード9をスリット6から滑り込ませるようにして挿入し、上部21から指を離すと、カード9が隙間Sに収容され、第1シート2と第2シート3によって押し付けられる。
【0022】
図7に示す通り、カードケース1をカンバン方式に適用すると、使用中に、カード9が外に出ようとしても、第1垂直面61がカード9の先端部をブロックするので、カード9がカードケース1の内部に安定して収容される。
【0023】
カード9を抜き取る場合は、切り欠き部7またはスリット6に指を掛けて、上部21を持ち上げると、隙間Sが拡開し、カード9をスリット6から滑らせるように取り外し、上部21から指を離すと、第1シート2と第2シート3が元の状態に戻る。
【0024】
カードケース1の製造方法を説明する。スリットと切り欠き部は2枚の材料シートのいずれかにあらかじめ設けてある。2枚の材料シートを合わせて、焼き切り刃で形状を抜いてゆき、材料シートを高周波で貼り合わせる。機械は簡単なプレス機と高周波のウェルダーを用いる。自動機にかければ簡単に大量生産できる。
【0025】
カードケース1の上部又は下部又は全体に対し、カードケース1を構成する材料であるシートやフィルムに予め印刷やラベルシールを添付したものを用いることでカードケース1の製造の際に同時に表示内容を不可離な状態で製品系内に紛れ込ませることができる。これにより、目視によるカードケース1が示す情報内容の種類分けが必要とされる場面において、それに対する表現を容易にする。また、従来の着色されたチャック(またはジッパを用いた形状のもの)に比し種類分けの表現の幅が限定的なものから非限定的なものへと向上する。
【0026】
以上説明したカードケース1は、(1)カードケース1の使用中、第1垂直面61でカード9の端部をブロックするので、第1垂直面61がストッパとして機能し、カード9のスリット6からの脱落を有効に防止できる。(2)カードケース1にチャックがないため、表面には凸凹がなく、積層が可能である。(3)カード9の交換に際して、スリット6からの抜き差しによるので、チャックの開閉が不要となり、作業者によるカード9の交換が容易となる。(4)カードケース1にチャックがないため、製造に手間がかからず、大幅なコスト削減が容易である。
【0027】
本発明実施形態2のカードケース201は、図に示す通り、第1シート2のいずれか一方の短辺の端部領域に短手方向のスリット206を設けたものである。基本的には実施形態1と同様であるので、番号は200番台とし、説明は援用する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、いわゆるカンバン方式等に適用することで、生産性の向上に貢献することが出来る。
【符号の説明】
【0029】
1,201・・・カードケース
2・・・第1シート
3・・・第2シート
S・・・隙間
4・・・周縁
5・・・基材
6・・・スリット
61・・・第1垂直面
δ・・・所定間隔
62・・・第2垂直面
T・・・厚み
21・・・上部
22・・・下部
7・・・切り欠き部
9・・・カード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8