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特許7292713光学検査機の検査機能確認方法および検査機能確認装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】光学検査機の検査機能確認方法および検査機能確認装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
G01N21/892 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019089576
(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公開番号】P2020186927
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】591114641
【氏名又は名称】株式会社ヒューテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久森 康正
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 謙次
(72)【発明者】
【氏名】平田 健一郎
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-068889(JP,A)
【文献】特開2013-205378(JP,A)
【文献】特開2009-002869(JP,A)
【文献】特開平07-174710(JP,A)
【文献】特開2011-069651(JP,A)
【文献】特開2000-177856(JP,A)
【文献】特開2012-173045(JP,A)
【文献】特開平09-226099(JP,A)
【文献】特開平11-264803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一のローラから他のローラへ搬送される帯状被検査対象を、前記一のローラから前記他のローラに到るまでの間に照射光の反射、透過または散乱により検査する光学検査機に、該光学検査機に着脱自在である検査機能確認装置を取り付ける工程と、
前記検査機能確認装置に設けられたサンプルテーブルに前記帯状被検査対象の一部であり、かつ前記光学検査機以外の検査機で欠陥が存在すると判断された部分を取り付ける工程と、
前記検査機能確認装置に設けられた動力装置により、前記サンプルテーブルを、前記帯状被検査対象の、前記一のローラから前記他のローラに到るまでの動作方向と平行な方向へ動作させる工程と、
前記サンプルテーブルを動作させながら、前記光学検査機により検査光を照射させ、前記帯状被検査対象の一部に存在する欠陥が検知できるかを確認する工程、
を含む、
光学検査機の検査機能確認方法。
【請求項2】
前記サンプルテーブルが、
前記照射光が通過するための光通過部を有している、
ことを特徴とする請求項1記載の光学検査機の検査機能確認方法
【請求項3】
前記帯状被検査対象の一部を覆うサンプルカバーが設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光学検査機の検査機能確認方法
【請求項4】
前記動力装置が、
可搬式電力供給装置により動作される、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学検査機の検査機能確認方法
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光学検査機の検査機能確認方法で用いられる検査機能確認装置であって、
前記帯状被検査対象の一部であり、かつ前記光学検査機以外の検査機で欠陥が存在すると判断された部分が保持可能なサンプルテーブルと、
該サンプルテーブルを前記帯状被検査対象の、前記一のローラから前記他のローラに至るまでの動作方向と平行な方向へ動作させる動力装置と、を有し、
前記光学検査機に対し着脱自在である、
ことを特徴とする検査機能確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査機能確認装置に関する。さらに詳しくは、光学検査機の検査機能を確認する検査機能確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムなど帯状製品の製造ラインでは、ロール・ツー・ロール方式が多く採用されており、これらの帯状製品は、製造ラインにおいて、帯状製品が一方のロールから送り出され他方のロールに引き取られる間の、水平方向に搬送されている際に、例えば光学的手法によりその表面の欠陥、例えばスジ状の傷が検査される。かかる検査では、蛍光灯、LED等の光源から発せられる照射光を被検査対象の表面に照射する。すると、被検査対象の表面が平坦面であれば、正常な表面では正反射のみが生じる一方、欠陥が存在する表面では、乱反射により散乱光が発生する。したがって、撮影手段によって被検査対象を撮影すれば、撮影された散乱光の強度に基づいて、傷等の欠陥の有無を判断することができる。なお、被検査対象が透明である場合には、光学検査機は、反射光だけでなく、透過光を用いて欠陥の検査を行うことも可能である。また光学検査機は、いわゆる暗視野による検査を行う場合も含む。
【0003】
帯状製品は、帯状製品のメーカ(本明細書では第1メーカと称することがある)の製造ラインで製造されたあと、帯状製品から次の製品を作るメーカ(本明細書では第2メーカと称することがある)に納入される。第2メーカで製品を製造する際に、帯状製品の欠陥が発見されると、このような欠陥がある製品が再度誤って納入されないように、第1メーカは、第1メーカの製造ラインに設置された検査機で、この欠陥が測定されるかどうかを確認する必要がある。しかし、帯状製品がすでに裁断されていることが多いという点、および再度製造ラインに帯状製品を張り直す必要があるという点を考慮すると、一般的には欠陥が発見された帯状製品を第1メーカの製造ラインに設置された検査機で、欠陥を直接確認することは実質的に不可能である。そこで、従来、このような欠陥が発見されると、第1メーカは、検査機のメーカに、製造ラインでの検査機によりこの欠陥が発見できるかどうかを確認する必要があった。この確認には、検査機のメーカのデモ機などを使用する必要があったため、数週間から1か月程度の時間を要するという問題があった。
【0004】
特許文献1には、帯状被検査材の表面欠陥を検出することができる表面検査装置のオフライン調整装置が開示されている。このオフライン調整装置はサンプル板が取り付けられるサンプル板取付部と、このサンプル板をスライドさせるスライド手段と、が備えられている。例えば、このサンプル板取付部に、欠陥をもった帯状製品の一部を保持させることで、検査機のメーカのデモ機を使用することなく、第1メーカに納入されている検査機で、欠陥が検出できるかどうかを確認することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-205378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のオフライン調整装置の目的は、サンプルを用いて表面検査装置における検査しきい値の調整を行うことである。この調整は頻繁に行う必要があり、そのためこのオフライン調整装置は、表面検査装置に付属している。
【0007】
しかるに、表面検査装置に付属しており、なおかつ表面検査装置自体を移動させる必要があるため、装置全体が大きくなるという問題がある。また、帯状製品の欠陥が発見されずに第2メーカに帯状製品が納入される事態が発生する頻度は高くなく、この低頻度の事態に対して高価なオフライン調整装置を付属させることは、費用対効果が著しく低下するという問題がある。加えて、表面検査装置に付属していることから、他の表面検査装置に流用することができないという問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、光学的手法を用いた検査装置全体の大きさを大きくすることなく、シンプルな構造で検査装置の機能を確認できる検査機能確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の光学検査機の検査機能確認方法は、一のローラから他のローラへ搬送される帯状被検査対象を、前記一のローラから前記他のローラに到るまでの間に照射光の反射、透過または散乱により検査する光学検査機に、該光学検査機に着脱自在である検査機能確認装置を取り付ける工程と、前記検査機能確認装置に設けられたサンプルテーブルに前記帯状被検査対象の一部であり、かつ前記光学検査機以外の検査機で欠陥が存在すると判断された部分を取り付ける工程と、前記検査機能確認装置に設けられた動力装置により、前記サンプルテーブルを、前記帯状被検査対象の、前記一のローラから前記他のローラに到るまでの動作方向と平行な方向へ動作させる工程と、前記サンプルテーブルを動作させながら、前記光学検査機により検査光を照射させ、前記帯状被検査対象の一部に存在する欠陥が検知できるかを確認する工程、を含むことを特徴とする。
第2発明の光学検査機の検査機能確認方法は、第1発明において、前記サンプルテーブルが、前記照射光が通過するための光通過部を有していることを特徴とする。
第3発明の光学検査機の検査機能確認方法は、第1発明または第2発明において、前記帯状被検査対象の一部を覆うサンプルカバーが設けられていることを特徴とする。
第4発明の光学検査機の検査機能確認方法は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記動力装置が、可搬式電力供給装置により動作されることを特徴とする。
第5発明の検査機能確認装置は、第1発明から第4発明のいずれかの光学検査機の検査機能確認方法で用いられる検査機能確認装置であって、前記帯状被検査対象の一部であり、かつ前記光学検査機以外の検査機で欠陥が存在すると判断された部分が保持可能なサンプルテーブルと、該サンプルテーブルを前記帯状被検査対象の、前記一のローラから前記他のローラに至るまでの動作方向と平行な方向へ動作させる動力装置と、を有し、前記光学検査機に対し着脱自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、検査機能確認装置が、サンプルテーブルを帯状被検査対象の動作方向と平行な方向へ動作させる動力装置を有し、この動力装置によりサンプルテーブルを所定の方向へ動作させることにより、傷などの瑕疵を実際に検査する姿勢で、瑕疵を検出する機能を確認できるので、検出機能を確実に確認できる。また、検査機能確認装置が光学検査機に対して着脱自在であることにより、光学検査機が、常時検査機能確認装置を含む必要がなくなり、光学検査機の大きさを大きくする必要がない。加えて、他のメーカ製の検査装置などにも取り付け、その検査装置の検査機能を確認することも可能となる。
第2発明によれば、サンプルテーブルが、照射光が通過するための光通過部を有していることにより、透過光を利用する光学検査機の検査機能を確認することができる。
第3発明によれば、被検査対象を覆うサンプルカバーが設けられていることにより、光投下部からの検査光以外の光を抑制でき、検査機能の確認の精度を上げることができる。
第4発明によれば、動力装置が、可搬式電力供給装置により動作することにより、ケーブルにより電力を供給する必要がなくなり、検査機能確認装置の使用がよりフレキシブルになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る検査機能確認装置の側面方向からの断面図である。
図2図1の検査機能確認装置が使用される光学検査機の概略の平面図である。
図3図2の光学検査機の概略の側面図である。
図4図2の光学検査機の撮影方法の概略の説明図である。
図5図2の光学検査機の投光部の概略の側面断面図である。
図6図1の検査機能確認装置の平面図である。
図7図1の検査機能確認装置の側面図である。
図8図1の検査機能確認装置の使用方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための検査機能確認装置を例示するものであって、本発明は検査機能確認装置を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、本明細書で記載の「水平」、「鉛直」の記載は、実質的水平または実質的鉛直であることを意味し、厳密に水平または鉛直である必要はない。
【0013】
本発明の第1実施形態に係る検査機能確認装置10は、一のローラから他のローラへ搬送される帯状被検査対象Sを、一のローラから他のローラへ至るまでの間に照射光の反射、透過または散乱により検査する光学検査機40のための検査機能確認装置10であって、帯状被検査対象Sの一部が保持可能なサンプルテーブル11と、このサンプルテーブル11を帯状被検査対象Sの、一のローラから他のローラに至るまでの動作方向と平行な方向へ動作させる動力装置と、を有している。そして検査機能確認装置10は光学検査機40に対して着脱自在である。
【0014】
本明細書では、最初に本実施形態に係る検査機能確認装置10が使用される光学検査機40について説明した後、検査機能確認装置10について説明する。
【0015】
(光学検査機40)
図2は、本実施形態に係る検査機能確認装置10が使用される光学検査機40の概略の平面図、図3は、この光学検査機40の概略の側面図、図4は、この光学検査機40の撮影方法の概略の説明図、図5はこの光学検査機40の投光部33の概略の側面方向の断面図である。ここで説明する光学検査機40は、照射光の反射を利用したものである。照射光は直線状の投光部33から照射され、その反射光が撮影部30によって撮影されて、帯状被検査対象S上の瑕疵が検出される。
【0016】
図3に示すように、光学検査機40で検査される対象である帯状被検査対象Sは、いわゆるロール・ツー・ロールにより搬送され、その搬送途中で欠陥などが検査される。帯状被検査対象Sは、例えばフィルム、紙、印刷物、布、金属等からなるシート状の部材などが該当する。図3の紙面において右側に位置する巻き出しローラ36に巻き付いていた帯状被検査対象Sが、巻き出しローラ36内に記載されている矢印の方向に、巻き出しローラ36が回転することによって引き出される。そして、図3の紙面において左側に位置する巻き取りローラ37に、順次帯状被検査対象Sは巻き取られる。光学検査機40は、巻き出しローラ36と巻き取りローラ37との間において、帯状被検査対象Sが水平に搬送される部分において、欠陥等の検査を行う。
【0017】
図3に示すように、本実施形態に係る光学検査機40は、帯状被検査対象Sにおいて検査を行う表面側に、被検査対象Sの表面に対して光を照射する投光部33と、帯状被検査対象Sの表面の検査位置DLを撮影する撮影部30と、撮影部30によって撮影された信号に基づいて傷等の有無を判断する解析部35とを備えている。なお、解析部35は、投光部33および撮影部30と電気的に接続されており、両者の作動を制御する機能も有している。
【0018】
図4に示すように、撮影部30は、撮像部31と、レンズ32とを備えている。 撮像部31は、投光部30から帯状被検査対象Sの表面に照射された光のうち被検査対象Sの表面で反射した光を受光するものであり、例えば、ラインセンサ等のように複数の受光素子31aを有している。レンズ32は、反射光を集光して、撮像部31の受光素子31aに集光した光を入射するものである。
【0019】
この撮影部30においては、帯状被検査対象Sの表面が滑らかな面であれば、帯状被検査対象Sの表面において照射光と等しい角度で反射される反射光(正反射光)が、レンズ32によって集光されて各受光素子31aに入射されるように配設されている。
【0020】
なお、撮像部31がラインセンサ等のように複数の受光素子31aが並んで配設されているものの場合には、撮影部30は、複数の受光素子31aが並ぶ方向と帯状被検査対象Sの幅方向とが平行となるように配設される。また、撮影部30の撮像部31は、受光素子31aを複数有するものであれば問題ないが、単体であっても同様の機能を有し、帯状被検査対象Sの表面で反射した光を検出できる受光素子31aを有する機器であれば、とくに限定されない。
【0021】
図2および図5に示すように、投光部33は帯状被検査対象Sの幅方向(図2では紙面の左右方向、図3および図5では紙面の奥行方向)に沿って延びたものであり、帯状被検査対象Sの幅方向と平行な略直線状の光を放出することができるものである。
【0022】
図5に示すように、投光部33は光を放出する発光体33aを備えている。この発光体33aは、例えば、帯状被検査対象Sの幅方向と平行に配設された棒状の蛍光灯、または帯状被検査対象Sの幅方向に沿って複数のLED素子が一列に並んで配設された回路などをあげることができるが、とくにこれに限定されない。
【0023】
以下では、投光部33において、帯状被検査対象Sの幅方向と平行な方向を投光部33の軸方向という。例えば、発光体33aが棒状の蛍光灯の場合であればその軸方向、また、LED素子が一列に並んで配設された発光体33aの場合であればLED素子が並んでいる方向を、投光部33の軸方向という。
【0024】
なお、検査精度を高める上では、帯状被検査対象Sの走行方向(図2では紙面の上下方向、図3では左から右への方向および図5では紙面の左右方向)において、帯状被検査対象Sに照射される光の幅があまり広くないほうが好ましい。帯状被検査対象Sに照射される光における走行方向の幅を制限する方法はとくに限定されないが、例えば、図5に示すような構造を有する投光部33を採用することができる。すなわち、図5に示すように、投光部33に、ケース33bが設けられ、このケース33b内に蛍光灯またはLED素子等の発光体33aが収容されている。そして、このケース33bに光を透過する光放出窓33cが形成され、この光放出窓33cを通して帯状被検査対象Sに向けて照射光が照射させる。すると、帯状被検査対象Sに照射される光における走行方向の幅、つまり、帯状被検査対象Sの走行方向において、被検査対象Sに光が照射される範囲を制限することができる。
【0025】
また、帯状被検査対象Sの幅方向において、帯状被検査対象Sに照射される光の強度のバラツキを小さくして、帯状被検査対象Sに均一な強度の光を照射する上では、投光部33は、所定の形状の遮光部材、または光を拡散して透過する散乱板などを備えている場合がある。例えば、図5に示すように、発光体33aをケース33bに収容して、このケース33bに光を透過する光放出窓33cを形成した場合には、この光放出窓33cの部分に、散乱板を設置することができる。
【0026】
なお、本実施形態に係る検査機能確認装置10が用いられる光学検査機40の構成について説明したが、光学検査機40の構成はこれに限定されない。例えば、投光部33が点光源となり、撮影部30が、帯状被検査対象Sの幅方向よりも長い撮影部30となる構成も考えられる。また、投光部33については、帯状被検査対象Sの欠陥において投光された光を乱反射させて検査を暗視野型の検査を行うための投光を行うものも考えられる。加えて、投光部33と撮影部30の少なくとも一方が複数存在する場合も含まれる。さらに投光部33を撮影部30と連動させてパルス点灯させる場合も含まれる。
【0027】
(検査機能確認装置10)
図1には、本発明の第1実施形態に係る検査機能確認装置10の側面方向からの断面図を、図6にはその平面図を、図7にはその側面図を示す。本実施形態に係る検査機能確認装置10は、帯状被検査対象Sの一部が保持可能なサンプルテーブル11と、このサンプルテーブル11を帯状被検査対象Sの、巻き出しローラ36から巻き取りローラ37に至るまでの動作方向と平行な方向へ動作させる動力装置と、を有している。そして、検査機能確認装置10は、光学検査機40に対して着脱自在である。
【0028】
検査機能確認装置10は、鉄製板状のベース22を含んで構成されている。このベース22は、検査光が反射しないように黒色に着色されている。この着色は特に黒に制限されるものではなく、反射を抑制できるものであれば良く、メッキ、塗装、粗面処理、などが挙げられる。このベース22は、図6に示すように、四角孔形状のベース孔22aを有している。なお本実施形態ではベース22は鉄製であるがこれに限定されず、アルミニウム、ステンレス、またはそれらの合金、さらには樹脂材とすることも可能である。また、ベース22に設けられているベース孔22aの形状は特に限定されるものではないが、斜め下からの照射光等も遮られずにサンプルに照射されることが好ましい。すなわち、サンプルを基準点として、鉛直方向に対し30度の角度を有する照射光等が照射可能であることが好ましく、45度がさらに好ましく、60度が最も好ましい。
【0029】
検査機能確認装置10は、サンプルテーブル11を有している。図1おより図6に示すように、サンプルテーブル11は、板状の部材であり、その厚さ方向が上下となるように配置されている。このサンプルテーブル11上に、帯状被検査対象Sの一部が保持される。サンプルテーブル11に対する帯状被検査対象Sの保持方法は特に限定されないが、図示していない押さえ部材により保持したり、接着剤を用いて保持されたり、粘着テープを用いて保持されたりする。帯状被検査対象Sの一部とは、例えば欠陥がある部分の周りを切り取った30mm×50mm程度の大きさのサンプルである。サンプルテーブル11の材質は特に限定されない。例えば鉄、アルミニウム、ステンレス、それらの合金または樹脂材を使用することができる。アルミニウムおよびそれらの合金または樹脂材の場合にはその重量を軽くすることができる。一方、鉄やステンレスであれば、硬度が上がるため、耐久性を上げることが可能になる。なお、サンプルテーブル11の表面処理については特に限定されず、反射が抑制できれば良く、メッキ、塗装、粗面処理、などが適用可能である。メッキ、塗装であれば安価に反射を抑制することが可能になり、粗面処理であれば、塗装がはがれるなどの不具合を防止することができる。図6に示すように、サンプルテーブル11には、投光部33からの照射光が通過するための光通過部11aが設けられている。この光通過部11aは本実施形態では孔形状であるが、形状は特に限定されるものではない。加えて光通過部11aにはバリがないことが好ましく、さらにはRもしくはテーパー加工が施されていることが好ましい。サンプルテーブル11は、ベース22上に固定されたリニアガイド16により案内されている。
【0030】
サンプルテーブル11が、照射光が通過するための光通過部11aを有していることにより、透過光を利用する光学検査機40の検査機能を確認することができる。
【0031】
検査機能確認装置10は、サンプルテーブル11を帯状被検査対象Sの動作方向と平行な方向へ動作させる動力装置を有している。図1図6および図7においては、帯状被検査対象Sの動作方向は、紙面の左右と一致している。本実施形態に係る検査機能確認装置10の動力装置は、モータ12の回転運転を、リンク機構の一種であるクランクにより直線運動に変換し、これによりサンプルテーブル11を帯状被検査対象Sの動作方向と平行な方向へ動作させる。
【0032】
本実施形態において動力装置は、モータ12と、このモータ12の回転軸の先端に取り付けられたクランク円板13と、このクランク円板13と結合しているロッドエンドベアリング14と、このロッドエンドベアリング14とその一方の端部で結合している接続ロッド15と、この接続ロッド15の他方の端部で結合している、もう一つのロッドエンドベアリング14と、を含んで構成されている。接続ロッド15の他方の端部で結合しているロッドエンドベアリング14は、サンプルテーブル11と結合している。
【0033】
本実施形態におけるモータ12は、DCモータである。また、モータ12の回転軸の先端には、クランク円板13がはめ込まれており、回転軸と固定されている。クランク円板13の一端には、ロッドエンドベアリング14の球面滑り軸受14aが設けられている端部が固定されている。またこのロッドエンドベアリング14の他端には、接続ロッド15の一方の端部がねじ込まれている。
【0034】
接続ロッド15の他方の端部には、もう一つのロッドエンドベアリング14の端部がねじ込まれている。そして、このもう一つのロッドエンドベアリング14の他方の端部には、球面滑り軸受14aが設けられており、この球面滑り軸受14aが設けられている端部が、サンプルテーブル11に結合されている。
【0035】
上記のような構成により、二つのロッドエンドベアリング14の球面滑り軸受14aの間の距離が変化せず、モータ12が回転することで、サンプルテーブル11が、リニアガイド16に案内されて直線運動を行うことができる。また、クランク機構はシンプルなので、軽量、低電力、小型、耐久の点で優れている。
【0036】
本実施形態に係る検査機能確認装置10は、動力装置に電力を供給するための可搬式電力供給装置20を備えている。この可搬式電力供給装置20により、動力装置が動作される。具体的に可搬式電力供給装置20は複数の一次電池である。この可搬式電力供給装置20からの電力は、スイッチ21により、入り切りされる。サンプルテーブル11の動作速度は3m/min以上が好ましく、5m/min以上がさらに好ましく、8m/min以上が特に好ましい。
【0037】
動力装置が、可搬式電力供給装置20により動作することにより、ケーブルにより電力を供給する必要がなくなり、検査機能確認装置10の使用がよりフレキシブルになる。
【0038】
本実施形態に係る検査機能確認装置10は、サンプルとしての帯状被検査対象Sの一部を覆うサンプルカバー17が設けられている。このサンプルカバー17は、鉄製であり、検査光などが反射しないように、黒色に着色されている。ただし、サンプルテーブル11の場合と同様、黒色に限定されるものではない。また、サンプルカバー17に設けられているカバー孔17aの形状は特に限定されるものではないが、斜めからの照射光等も遮られずにサンプルに照射されることが好ましい。すなわち、サンプルを基準点として、鉛直方向に対し30度の角度を有する照射光等が照射可能であることが好ましく、45度がさらに好ましく、60度が最も好ましい。検査機能確認装置10には、クランク部分を覆うクランクカバー25、モータ12を覆うモーターカバー23、可搬式電力供給装置20を覆う電力供給装置カバー19が設けられている。これらのカバーもサンプルカバー17と同様鉄製であり、黒色に着色されている。なお本実施形態ではサンプルカバー17をはじめ他のカバーは鉄製であるがこれに限定されず、アルミニウム、ステンレス、またはそれらの合金、さらには樹脂材とすることも可能である。アルミニウムおよびそれらの合金または樹脂材の場合にはその重量を軽くすることができる。
【0039】
帯状被検査対象Sの一部を覆うサンプルカバー17が設けられていることにより、投光部33からの検査光以外の光を抑制でき、検査機能の確認の精度を上げることができる。また、サンプルカバー17があることにより、駆動部が人や他の装置に接触することを防ぐことが可能になる。
【0040】
本実施形態に係る検査機能確認装置10は、ベース22におねじ付きノブ24が二つ設けられている。このおねじ付きノブ24により、検査機能確認装置10は、光学検査機40に対し着脱自在となる。ここで「着脱自在」とは、少なくとも光学検査機40が、ロール・ツー・ロールで検査を行っている際には、光学検査機40に付属されていないことを表している。検査機能確認装置10を光学検査機に40に固定する方法としては、前記したように、おねじ付きノブ24のようにねじ機構を用いたり、ピンにより固定したり、磁力により固定したりするなど様々なクランプを用いることができる。これらのクランプの中でも、おねじ付きノブ24は、工具を用いずに検査機能確認装置10を光学検査機40に固定することができ、好適である。
【0041】
本実施形態に係る検査機能確認装置10は、構成がシンプルであることにより、大きさを小さくでき、軽量とすることができる。また、一のローラから他のローラに至るまでの間、すなわちローラと接触していない部分でのサンプルの計測が可能であるので以下の効果を得ることができる。
(1)ローラと接触している部分で検査が行われる場合、ローラにより帯状被検査対象Sが引き延ばされ、ゆるい凹凸が消えてしまう場合が考えられるが、このような不具合が生じない。
(2)ローラと接触している部分で検査が行われる場合、ローラ面の反射により検査ができない場合が考えられるが、このような不具合を生じない。
(3)ローラと接触している部分で検査が行われる場合、透過光を用いた検査ができないが、このような不具合が生じない。
(4)ローラと接触している部分で検査が行われる場合、そのローラと接触している部分の形状を、小さなサンプルで再現する必要があり、作業に手間がかかるが、このような不具合が生じない。
なお、検査機能確認装置10の重量に関しては、10kg以下が好ましく、2kg以下がさらに好ましく、500g以下が特に好ましい。光学検査機40に固定して設置する際に、光源または製造ラインにかかる負荷を低減できるからである。また、サイズに関して、図1の左右の方向へ50cm以下であることが好ましく、さらに20cm以下が好ましい。
【0042】
なお本実施形態に係る検査機能確認装置10について、図面に基づいて説明したが、検査機能確認装置10の構成については、この構成に限定されることはない。例えば、動力装置として、ラックアンドピニオン方式、ボールねじ方式、またはリニアモータ方式を採用することも可能である。この場合、モータ12は、ステッピングモータまたはサーボモータが採用されることが好ましい。また、これらのトルクは1Nm以上が好ましく、10Nm以上が特に好ましい。これにより、サンプルテーブルを速く、スムーズに移動させることが可能になる。また、サンプルの移動距離は10mm以上が好ましく、20mmがさらに好ましく、30mm以上が特に好ましい。これにより、大きな瑕疵に対しても本発明を適用することが可能になる。一方で、移動距離が多いことによりカメラが見ている範囲からサンプルが外れないようにサンプルホルタ―の固定形状や光通過部の大きさ、サンプルの移動範囲が設計されていることが好ましい。これにより、検査中にサンプルホルダーなどのサンプル以外の部分がカメラの視野に入り、欠点と誤検出されることを防ぐことが可能になる。
【0043】
また、サンプルテーブル11については、鉛直方向に動作可能である構造を採用することも可能である。具体的には、ロッドエンドベアリング14とサンプルテーブル11との間に、鉛直方向に動作するリフタを設けたり、ベース22の下面にリフタを設けたりすることも可能である。鉛直方向に動作可能な構造である場合、サンプルとなった被検査対象Sへの焦点を合わすことが容易となる。加えて、帯状被検査対象Sの搬送方向や幅方向、傾き方向への調整可能な機構を導入することも可能である。この場合、光学検査機40が検査を行っている位置DLにサンプルを容易に移動させることが可能になる。これらの機構には、図6のおねじ付きノブ24が挿入されている穴のように、固定位置に自由度を持たせたものや、マイクロステージ、スペーサーやねじ、治具を使用する方法などが挙げられる。
【0044】
また、本実施形態では、一のローラから他のローラへ搬送される帯状被検査対象Sは、図3に示すように水平に搬送され、この水平に搬送されている帯状被検査対象Sに対して、検査機能確認装置10のサンプルテーブル11が水平に動作する構成について説明したが、この構成に限定されない。例えば、帯状被検査対象Sが水平からあらかじめ定められた角度で搬送される場合は、サンプルテーブル11はその定められた角度に従って動作するようになる。
【0045】
(検査機能確認装置10の使用方法)
図8には、本実施形態に係る検査機能確認装置10の使用方法の説明図を示す。図8は、図3の光学検査機40に、図1の検査機能確認装置10の概略を合わせて記載したものである。
【0046】
まず、検査機能確認装置10の使用者(主に第1メーカの社員)は、帯状被検査対象Sの、巻き出しローラ36から巻き取りローラ37への動作を停止し、帯状被検査対象Sを光学検査機40から取り除く。そして、その使用者は、光学検査機40の本体などに、台座27を取付け、この台座27に検査機能確認装置10を取り付ける。この際、検査機能確認装置10のサンプルテーブル11の高さを、サンプルテーブル11上に取り付けた帯状被検査対象Sのサンプルの高さが、巻き出しローラ36から巻き取りローラ37へ動作する際の帯状被検査対象Sの高さと同じになるようにする。
【0047】
次に帯状被検査対象Sの使用者は、スイッチ21により動力装置を駆動し、サンプルテーブル11を図8の紙面において左右方向に動作させる。このように動作させながら、使用者は、光学検査機40を動作させ、投光部33からの検査光を照射させ、撮影部30によりその反射光を撮影し、解析部35により欠陥が検知できるかを確認する。
【0048】
検査機能確認装置10が、サンプルテーブル11を帯状被検査対象Sの動作方向と平行な方向へ動作させる動力装置を有していることにより、傷などの瑕疵を実際に検査する姿勢で、瑕疵を検出する機能を確認できるので、検出機能を確実に確認できる。すなわち、帯状被検査対象Sのメーカである第1メーカが、光学検査機40のメーカに依頼することなく、現場で傷などの瑕疵を確認できる。これにより光学検査機40のメーカなどへの品質情報の外部流出を防ぐことができる。
【0049】
また、検査機能確認装置10が光学検査機40に対して着脱自在であることにより、光学検査機40が、常時検査機能確認装置10を含む必要がなくなり、光学検査機40の大きさを大きくする必要がない。加えて、検査機能確認装置10の使用者が、他のメーカ製の検査装置などにも取り付け、その検査装置の検査機能を確認することも可能となる。すなわち、検査機能確認装置10を複数の光学検査機40に使用することで、カメラなどの個体差を確認でき、検出性能を均一化できる。また、光学検査機40の定期的な検査に用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本明細書では、検査機能確認装置10は、例えば第1メーカの社員である使用者が使用し、その使用者が検査機能を確認する使用方法を説明したが、これに限定されない。例えば、第1メーカの社員が検査機能を確認した際に、光学検査機40のメーカの人間が確認できるように、検査機能確認装置10に通信機能を備えさせることで、光学検査機40のメーカがリモートでメンテナンスを行うための情報を得るために使用することも可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 検査機能確認装置
11 サンプルテーブル
11a 光通過部
17 サンプルカバー
20 可搬式電力供給装置
40 光学検査機
S 帯状被検査対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8