(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】植生復元工法
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
E02D17/20 103A
(21)【出願番号】P 2020031544
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000231431
【氏名又は名称】日本植生株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 忠寛
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】遠山 宏一
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-121432(JP,A)
【文献】特開2012-237179(JP,A)
【文献】特開2003-105768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00 - 17/20
A01G 2/00 - 2/38
A01G 5/00 - 7/06
A01G 9/28
A01G 17/00 - 17/02
A01G 17/18
A01G 20/00 - 22/67
A01G 24/00 - 24/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体金網及び長尺状の基材流亡防止部材を、種子、植生基盤材、肥料、浸食防止材のうち少なくとも一つからなる基材とともに施工領域に配する植生復元工法であって、
立体金網は、略螺旋状に屈曲した複数の線材を、線材の螺旋軸どうしが略平行となるように互いに係合させて構成され、
基材流亡防止部材は、立体金網の一部の線材内にその螺旋軸を通るように収容され、
立体金網の各線材は、上に凸の上線部と下に凸の下線部とを有し、下線部の凸を上線部の凸よりも緩やかな湾曲状にすることを特徴とする植生復元工法。
【請求項2】
前記基材として、施工領域またはその周辺から採取した表土を用いる請求項1に記載の植生復元工法。
【請求項3】
前記立体金網の少なくとも一部を前記基材で覆わないようにする請求項1または2に記載の植生復元工法。
【請求項4】
前記立体金網を構成する各線材の上線部を、上側に向かってその幅が狭くなるようにし、少なくとも上線部の全体が露出しないように前記基材で立体金網を覆う請求項1~3の何れか一項に記載の植生復元工法。
【請求項5】
前記基材流亡防止部材を、略等高線に沿うように配し、かつ、前記立体金網とともにアンカーピンにより施工領域の表面に接するように固定する請求項1~4の何れか一項に記載の植生復元工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、法面等における植生の復元に好適な植生復元工法に関する。
【背景技術】
【0002】
植生復元工法として、法面に金網を敷設し、その上から客土や植生基材を吹き付けて植物を生育させることが広く行われている。そして、特許文献1の法面保護装置では、降雨等によって客土や基材が流亡し難くなるように、略扁平状の汎用菱形金網より厚みのある立体金網を採用し、この金網の内部空間に繊維ロープを通して張設する。また、基材の流亡防止効果をさらに高めるため、従来の吹き付け工法に代えて、基材を充填した植生袋を立体金網の溝部に配置し、さらにヤシ繊維等を直線状に束にしたストッパを略等高線状に配置する法面緑化構造体を、本出願人は提案している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実願昭58-37800(実開昭59-144050号)のマイクロフィルム
【文献】特開2006-336193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の法面保護装置、特許文献2の法面緑化構造体の何れにおいても、用いる立体金網の各線材の上線部と下線部が直線状に延びており、基材の保持力向上の余地があると考えられる。また、両者とも、用いる部材点数が多く、それに伴い工数も増し、コスト高である。
【0005】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、より多くの基材を長期間にわたって安定性よく保持することができ、部材や工数の削減による低コスト化をも実現可能な植生復元工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る植生復元工法は、立体金網及び長尺状の基材流亡防止部材を、種子、植生基盤材、肥料、浸食防止材のうち少なくとも一つからなる基材とともに施工領域に配する植生復元工法であって、立体金網は、略螺旋状に屈曲した複数の線材を、線材の螺旋軸どうしが略平行となるように互いに係合させて構成され、基材流亡防止部材は、立体金網の一部の線材内にその螺旋軸を通るように収容され、立体金網の各線材は、上に凸の上線部と下に凸の下線部とを有し、下線部の凸を上線部の凸よりも緩やかな湾曲状にする(請求項1)。
【0007】
上記植生復元工法において、前記基材として、施工領域またはその周辺から採取した表土を用いてもよい(請求項2)。
【0008】
上記植生復元工法において、前記立体金網の少なくとも一部を前記基材で覆わないようにしてもよい(請求項3)。
【0009】
上記植生復元工法において、前記立体金網を構成する各線材の上線部を、上側に向かってその幅が狭くなるようにし、少なくとも上線部の全体が露出しないように前記基材で立体金網を覆ってもよい(請求項4)。
【0010】
上記植生復元工法において、前記基材流亡防止部材を、略等高線に沿うように配し、かつ、前記立体金網とともにアンカーピンにより施工領域の表面に接するように固定してもよい(請求項5)。
【発明の効果】
【0011】
本願発明では、より多くの基材を長期間にわたって安定性よく保持することができ、部材や工数の削減による低コスト化をも実現可能な植生復元工法が得られる。
【0012】
すなわち、本発明(本願の各請求項に係る発明)の植生復元工法では、立体金網の各線材の下線部を下に凸の比較的緩やかな湾曲状としたことにより、基材の保持力が高まることになる。つまり、基材の保持力には、立体金網の形状や基材流亡防止部材の有無の他に、施工領域の表面に対する基材自体の摩擦抵抗も関係する。そして、本発明では、立体金網の下面が全体として凹凸のある波形状を呈するようにして線材の比較的緩やかな湾曲状の下線部と施工領域の表面との接触面積を減らしつつ、下線部の下方の隙間にも基材を保持できるようにして、施工領域の表面に対する基材の摩擦抵抗をより大きいものとし、その結果、基材の流亡防止効果を高めるようにしてある。
【0013】
また、本発明の植生復元工法では、各線材の下線部が下に凸の比較的緩やかな湾曲状をしているので、その上に配置した基材流亡防止部材が施工領域の表面に接するのを下線部が妨げ難く、それだけ基材流亡防止部材による基材の流亡防止効果が高まることになる。加えて、下線部の上に載った基材流亡防止部材によって下線部が押圧され、下線部の左右両端が施工領域の表面に接するように押し下げられた際、この変形した下線部の左右両隣に連続する二つの上線部が仮に緩やかな湾曲状をしていると、上記変形に伴って両上線部も下方に大きく移動し易く、その部分で立体金網の厚みが小さくなると、保持可能な基材の量が減ることに繋がるが、本発明では、上線部は下線部よりも曲率の大きい湾曲状をしていて、上記変形に伴って上記両上線部は下方に移動するよりも曲率が大きくなるように変形し易くなっており、その結果、立体金網の厚みが小さくなり難いので、基材の保持量の低減防止を図ることができる。
【0014】
さらに、本発明の植生復元工法では、基本的に用いるのは立体金網、基材流亡防止部材、基材の他、立体金網及び基材流亡防止部材を固定するための部材(例えばアンカーピン)のみであって、必要な部材点数及び工数が少なくて済むので、その施工の低コスト化を図るのも極めて容易である。
【0015】
請求項2に係る発明の植生復元工法は、周辺環境との調和のとれた植生を復元する森林表土利用工として実施可能である。
【0016】
請求項3に係る発明の植生復元工法では、立体金網において基材の外側に露出した部分によって飛来種子や飛来落葉等を捕捉し易くなるので、周辺環境との調和のとれた植生の復元に秀でた自然侵入促進工として実施可能となる。また、基材の使用量を減らすことができるので、それだけ施工に掛かる労力やコストの削減に資するものともなる。
【0017】
請求項4に係る発明の植生復元工法では、例えばゲリラ豪雨や台風等により基材の侵食や流亡が進行しても、この進行に伴って上線部の基材表面への露出量は増し、飛来種子等の捕捉力は増強されることになり、植生復元力が大きく損なわれることは防止される。
【0018】
請求項5に係る発明の植生復元工法では、基材流亡防止部材が緩衝材代わりになり、立体金網が全体として施工領域の表面の凹凸にフィットし易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る植生復元工法の構成を概略的に示す説明図、(B)は前記植生復元工法に用いる立体金網及び基材流亡防止部材の平面図である。
【
図2】(A)及び(B)は、前記基材流亡防止部材を装着した状態の立体金網の斜視図及び正面図である。
【
図3】(A)は前記植生復元工法の構成を概略的に示す説明図、(B)及び(C)は植生復元工法の変形例の構成を概略的に示す説明図である。
【
図4】(A)は基材が減り立体金網の上線部が露出する状態を示す説明図、(B)は(A)からさらに基材が減った状態を示す説明図である。
【
図5】前記植生復元工法における上線部の露出量の違いによる効果の違いを示す写真である。
【
図6】前記植生復元工法の実施品と従来の実施品について行った耐侵食確認試験の結果を示すグラフであり、縦軸に吹付厚、横軸に試験開始からの経過時間をとっている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0021】
本例の植生復元工法は、
図1(A)に示すように、施工領域R(本例では法面)に、立体金網1及び基材流亡防止部材2を、基材3とともに配するものである。
【0022】
立体金網1は、
図2(A)及び(B)に示すように、略螺旋状に屈曲した複数の線材4を、線材4の螺旋軸どうしが略平行となるように互いに係合させて構成した立体的な厚みを持つ菱形金網(ワイヤーラス)である。
【0023】
なお、本例の立体金網1は、幅が約1500mm、長さが約5000mm、目合いが約80mm、厚み(高さ)が約36mmである。そして、線材4は、例えば亜鉛メッキを施した鉄線からなり、必要強度等に応じた任意の太さのものを用いればよいが、太さが1mm未満では金網としての強度が不十分となり、10mm超では得られる金網の重量化により施工が困難となるので、1~10mmの太さとするのが好ましい。ここで、線材4の両端は、例えばナックル加工等の適宜の加工により処理すればよい。
【0024】
基材流亡防止部材2は、
図1(B)に示すように、長尺状を呈し、立体金網1の一部の線材4内にその螺旋軸を通るように収容される。斯かる基材流亡防止部材2は、例えばヤシ繊維、わら、シュロ毛などの強度のある短繊維と、この短繊維を例えば針金などを用いて直線状に束ねながら捩じることにより形成した棒状の芯とによって構成され、ちょうどたわしを棒状に伸ばしたようなものにすることが施工性の面から好ましい。ただし、これに限らず、基材流亡防止部材2が、例えばヤシ繊維からなるマット(汎用マット等)をベルト状に細長く切り出したものであってもよい。
【0025】
また、本例の基材流亡防止部材2は、その長さを立体金網1の幅と略同一(約1500mm)とし(
図1(B)参照)、長手方向に直交する断面を約30mm×約25mmの矩形状としてある(
図1(A)参照)。なお、立体金網1による基材流亡防止部材2の保持の安定化、確実化の観点からは、立体金網1に挿入した状態の基材流亡防止部材2が立体金網1の線材4の上線部4a及び下線部4b(
図2(B)参照)の両方に接する大きさ(断面)を有しているのが好ましい。こうすることで、基材流亡防止部材2は経年劣化した場合でも立体金網1から脱落しづらくなり、その機能を長期間にわたって維持することが一層容易となる。
【0026】
基材3は、種子、植生基盤材、肥料、浸食防止材のうち少なくとも一つを含むものである。
【0027】
次に、本例の植生復元工法の施工手順について説明する。
【0028】
(1)まず、
図1(A)に示すように、法面である施工領域Rに、立体金網1を敷設するとともに、立体金網1に基材流亡防止部材2を保持させた状態にし、アンカーピン5によって両者1,2を施工領域Rに固定する。この際、基材流亡防止部材2が施工領域Rの等高線に沿うように配置する。
【0029】
本例では、あらかじめロール状に巻いておいた立体金網1の一端部の内側空間に基材流亡防止部材2を挿入し、この基材流亡防止部材2にアンカーピン5を打ち込んで立体金網1とともに施工領域Rに固定した後、立体金網1を法尻側に向けて展開し、法肩から法尻に向かって一定間隔(例えば480mm)ごとに基材流亡防止部材2を立体金網1に挿入しつつアンカーピン5による固定を行っていく。そして、上述のような立体金網1の展開作業等に対応できるように、最も法肩側(上側)に位置する部分に打設するアンカーピン5の少なくとも一部には、他のアンカーピン5より一回り大きいアンカーピンを用い、強力な固定を行えるようにしてある。
【0030】
なお、一定間隔で基材流亡防止部材2を挿入した状態の立体金網1をロール状に巻くことができる場合には、基材流亡防止部材2をあらかじめ立体金網1に挿入(装着)してあってもよい。また、基材流亡防止部材2を挿入した状態の立体金網1がロール状に巻けない場合であっても、例えば展開した状態で立体金網1を運搬するのであれば、基材流亡防止部材2をあらかじめ立体金網1に挿入(装着)してあってもよい。
【0031】
(2)基材3の吹付けや散布等により、施工領域Rに敷設した立体金網1及び基材流亡防止部材2を覆うように基材3の層を形成する。
【0032】
以上の工程(1)、(2)により、本例の植生復元工法は完了する。
【0033】
本例の植生復元工法では、基本的に用いるのは立体金網1、基材流亡防止部材2、基材3及びアンカーピン5のみであって、必要な部材点数及び工数が少なくて済むので、その施工の低コスト化を図るのも極めて容易である。
【0034】
また、本例の植生復元工法では、
図2(B)に示すように、立体金網1の各線材4が、上に凸の上線部4aと下に凸の下線部4bとを有し、下線部4bの凸を上線部4aの凸よりも緩やかな湾曲(円弧)状にしてある。すなわち、上線部4aも下線部4bも円弧状を呈し、線材4は、上に凸の上線部4aと下に凸の下線部4bとが交互に繰り返し繋がって略螺旋状を描くように構成されている。
【0035】
そして、本例の植生復元工法では、立体金網1の各線材4の下線部4bを下に凸の比較的緩やかな湾曲状としたことにより、基材3の保持力が高まることになる。すなわち、基材3の保持力には、立体金網1の形状や基材流亡防止部材2の有無の他に、施工領域Rの表面に対する基材3自体の摩擦抵抗も関係する。そして、本例では、立体金網1の下面が全体として凹凸のある波形状を呈するようにして線材4の比較的緩やかな湾曲状の下線部4bと施工領域Rの表面との接触面積を減らしつつ、下線部4bの下方の隙間にも基材3を保持できるようにして、施工領域Rの表面に対する基材3の摩擦抵抗をより大きいものとし、その結果、基材3の流亡防止効果を高めるようにしてある。
【0036】
また、各線材4の下線部4bが下に凸の比較的緩やかな湾曲状をしているので、その上に配置した基材流亡防止部材2が施工領域Rの表面に接するのを下線部4bが妨げ難く、それだけ基材流亡防止部材2による基材3の流亡防止効果が高まることになる。加えて、下線部4bの上に載った基材流亡防止部材2によって下線部4bが押圧され、下線部4bの左右両端が施工領域Rの表面に接するように押し下げられた際、この変形した下線部4bの左右両隣に連続する二つの上線部4aが仮に緩やかな湾曲状をしていると、上記変形に伴って両上線部4aも下方に大きく移動し易く、その部分で立体金網1の厚みが小さくなる(すなわち薄くなり低くなる)と、保持可能な基材3の量が減ることに繋がるが、本例では、上線部4aは下線部4bよりも曲率の大きい湾曲(円弧)状をしていて、上記変形に伴って上記両上線部4aは下方に移動するよりも曲率が大きくなるように変形し易くなっており、その結果、立体金網1の厚みが小さくなり難いので、基材3の保持量の低減防止を図ることができる。
【0037】
また、本例の植生復元工法では、長尺状の基材流亡防止部材2を、略等高線に沿うように配し、かつ、立体金網1とともにアンカーピン5により施工領域Rの表面に接するように固定するので、基材流亡防止部材2が緩衝材代わりになり、立体金網1が全体として施工領域Rの表面の凹凸にフィットし易くなる。
【0038】
以下、本例の植生復元工法と従来の植生復元工法とを比較するために行った耐侵食確認試験の内容とその結果について説明する。
【0039】
まず、本発明(本例)の実施品として、一定間隔で基材流亡防止部材2を装着した立体金網1を準備し、従来の実施品として、一定間隔で繊維ロープを針金で装着した略扁平状の汎用菱形金網を準備した。
【0040】
扁平な略直方体形状の箱の上面を取り除いた構造の二つの供試体枠に、それぞれまさ土を5cm高さで締め固め、一方の供試体枠には本発明の実施品を、他方の供試体枠には従来の実施品を固定し、それぞれに生育基盤材を5cm厚みとなるように吹付けた。そして、各供試体枠を降雨試験装置内に1:1.0(45°)の勾配を持たせて設置し、各供試体枠の表面に、該表面を縦横4×4の16マスに分割するようにピアノ線を張り、その交点9か所における吹付厚の平均値を、24時間にわたり、時間雨量100mm/時間で1時間毎に測定・算出した。その結果を表1及び
図6に示す。
【0041】
【0042】
表1及び
図6に示す結果から明らかなように、本発明の実施品を用いた方が、従来の実施品を用いる場合よりも、吹付厚が大きく、浸食防止効果が高いことが分かる。
【0043】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0044】
基材3として、施工領域Rまたはその周辺から採取した表土(表土シードバンク、埋土種子混在表土)を用いるようにしてもよく、この場合、本例の植生復元工法を、周辺環境との調和のとれた植生を復元する森林表土利用工として実施可能となる。
【0045】
上記実施の形態では、
図3(A)に示すように、立体金網1を基材3で完全に覆うようにしているが、これに限らず、例えば同図の(B)や(C)に示すように、立体金網1の少なくとも一部を基材3で覆わないようにしてもよく、この場合、立体金網1において基材3の外側に露出した部分によって飛来種子や飛来落葉等を捕捉し易くなるので、本例の植生復元工法を、周辺環境との調和のとれた植生の復元に秀でた自然侵入促進工として実施可能となる。また、この場合、基材3の使用量を減らすことができるので、それだけ施工に掛かる労力やコストの削減に資するものともなる。
【0046】
ここで、厚み(高さ)が約36mm(36±2mm)の立体金網1に対し、
図3(A)では基材3の厚みを50mm(5cm)として立体金網1が露出しないようにしてある。一方、
図3(B)では基材3の厚みを30mm(3cm)として立体金網1の上部(上線部4a)のみが露出するようにしてあり、この露出部分(上線部4a)は、
図4(A)の右側図に実線で示すように、法面である施工領域Rにおいて等高線に対して斜めとなる方向に延び、かつ、複数の露出部分(上線部4a)が略千鳥状に並ぶことになる。
【0047】
本出願人は、自身の試験圃場(岡山県久米郡美咲町新城地内)に本例の立体金網1と基材流亡防止部材2を敷設し、その上に配する基材3の厚みを3cmにした区画と5cmにした区画とに分け、その後の状態を観察したところ、
図5に示すように、前者の区画が後者の区画よりも緑化スピードに優れることを確認した。このことからも、立体金網1の上部を基材3の外側に露出させることに効果(特に飛来種子等の捕捉力)があるといえる。
【0048】
そして、
図1(A)、
図2(B)に示すように、立体金網1を構成する各線材4の上線部4aは、上側に向かってその幅が狭くなっており、少なくとも上線部4aの全体が露出しないように基材3で立体金網1を覆ってあれば、例えばゲリラ豪雨や台風等により基材3の侵食や流亡が進行し、
図3(A)に示す状態から、
図4(A)さらには(B)に示す状態になっても、この進行に伴って上線部4aの基材3表面への露出量は増し、飛来種子等の捕捉力は増強されることになり、植生復元力が大きく損なわれることは防止される。
【0049】
なお、本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 立体金網
2 基材流亡防止部材
3 基材
4 線材
4a 上線部
4b 下線部
5 アンカーピン
R 施工領域