(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】MBRシステム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20230612BHJP
C02F 3/12 20230101ALI20230612BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20230612BHJP
B01D 61/22 20060101ALI20230612BHJP
B01D 63/08 20060101ALI20230612BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20230612BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
C02F1/44 A
C02F3/12 S
B01D65/02 520
B01D61/22
B01D63/08
B01D69/10
B01D69/12
(21)【出願番号】P 2021576762
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 KR2021012288
(87)【国際公開番号】W WO2022055274
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0117166
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511302024
【氏名又は名称】アモグリーンテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チン・イ
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-181439(JP,A)
【文献】特開2015-009203(JP,A)
【文献】特開2014-205110(JP,A)
【文献】特開2019-018162(JP,A)
【文献】特開2017-070915(JP,A)
【文献】国際公開第2009/004962(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0069721(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/44、3/00-3/34
B01D53/22、61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性スラッジの濃度が3,000~15,000mg/lである原水を担持する膜濾過槽;
前記原水を濾過させるために、前記膜濾過槽の内部に設置されるフィルタ部材を含む
濾過部であって、前記フィルタ部材は板状の第1支持体および前記第1支持体の両側に配置されるナノ繊維で形成された繊維ウェブを含み、前記繊維ウェブの原水側表面の平均孔径は0.5μm以下である濾過部;
前記膜濾過槽の外部に配置されて前記濾過部から生産された濾過水が貯蔵される濾過水貯蔵タンク;
フィルタ部材の表面の汚染物質を除去するために濾過部に供給されるエアが貯蔵されたエアタンク;
前記濾過部と濾過水貯蔵タンクの間を連結する第1流路および前記濾過部とエアタンクの間を連結する第2流路を含む
流路部であって、前記第2流路はエアタンクと連結される側の反対側が前記第1バルブと濾過部の間の第1流路上の所定の地点と連通して第1流路を経由して濾過部と連結されている流路部;
前記第1流路上に位置して第1流路を開閉させる第1バルブ、前記第2流路上に位置し第2流路を開閉させる第2バルブ
、および第1バルブと濾過部の間の第1流路上に外気と連結される第3バルブを含むバルブ部;および
前記濾過水貯蔵タンクと第1バルブの間の第1流路上に位置する減圧部;を含み、
前記減圧部を駆動させて形成されるフィルタ部材の外側と内側間の圧力差を通じて原水をフィルタ部材の外側から内側に透過させて濾過水を生産し、生産された濾過水を第1バルブが開放され第2バルブが閉鎖された状態で第1流路を通じて濾過水貯蔵タンクに移送させる第1運転と、
前記第1バルブを閉鎖し第2バルブを開放させてエアタンクに貯蔵されたエアを第2流路を通じてフィルタ部材に移送させ、移送されたエア
および濾過水をフィルタ部材の内側から外側に通過させて第1運転によって汚染されたフィルタ部材上の汚染物質を除去する
第2運転であって、前記濾過水は前記第1バルブと濾過部の間の第1流路および前記第2バルブと濾過部の間の第2流路上に残存する水である第2運転
と、
第2運転の終了後に第2バルブを閉鎖し第3バルブを開放させて第2運転によって濾過部に残っているエアを外気で換気させる第3運転と
が一つのサイクルを構成して繰り返して遂行され
、
前記第1運転は膜濾過流速が10~40LMHとなるように遂行され、前記第2運転における前記エアの圧力は10~100kPaである、MBRシステム。
【請求項2】
前記第1運転
は5~15分間遂行され、
前記第2運転
は10~60秒間遂行され、
前記第3運転は10~120秒間遂行されることを特徴とする、請求項
1に記載のMBRシステム。
【請求項3】
膜濾過流速20LMHで第1運転時、100日経過後の濾過部の差圧は初期差圧対比10kPa以下で変動することを特徴とする、請求項1に記載のMBRシステム。
【請求項4】
前記濾過部は
多数個のフィルタユニットが締結バーを媒介として一体化されたフィルタ組立体および
前記多数個のフィルタユニットから排出される濾過水を捕集する少なくとも一つの共通捕集部材を含む平膜型フィルタ装置であり、
前記フィルタユニットは両表面である外側から内側に濾過の流れを有する平膜であるフィルタ部材および前記フィルタ部材の縁側に結合されて前記フィルタ部材を支持し、前記フィルタ部材を通じて生産された濾過水が流入して移動する流路および前記濾過水を流出させるための受取口が形成された支持フレームを具備し、
前記共通捕集部材は多数個のフィルタユニットそれぞれに備えられる受取口と一対一でマッチングされるように連結される、請求項1に記載のMBRシステム。
【請求項5】
前記繊維ウェブは前記第1支持体より厚さが薄い第2支持体を媒介として前記第1支持体の一面に熱融着を通じて付着される、請求項
1に記載のMBRシステム。
【請求項6】
前記第1支持体および第2支持体はポリプロピレンであるコア部および融点が60~180℃であるポリエチレンであるシース部で構成されたシース-コア型複合繊維であることを特徴とする、請求項
5に記載のMBRシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMBRシステムに関し、より具体的には平膜型フィルタ装置を利用したMBRシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
急速な産業の発展と人口の都市集中などによって生活空間および産業設備から排出される下廃水の量が増加している。これに伴い、下廃水を経済的かつ効率的に処理するための多様な下廃水処理施設が開発されている。
【0003】
通常、下廃水処理施設は下廃水を濾過するためのフィルタ部材が含まれた多数個のフィルタが設置されるが、下廃水を濾過させたフィルタ部材の表面には汚廃水から取り除かれた汚染物質が残存することになる。
【0004】
しかし、汚染物質で汚染されたフィルタ部材を運転し続けさせる場合は膜の差圧が顕著に増加し、これによって濾過効率が大幅に減少し、酷い場合、水処理運転自体が不可能な状況に至ってしまうことになる問題がある。
【0005】
このような問題を解決するために、従来はフィルタ部材の表面に存在する汚染物質を除去するために膜表面にエアを噴射させてエアを通じて膜表面の汚染物質を除去したり、フィルタ部材が位置する濾過槽内にクエン酸などの洗浄物質を通じて汚染物質を除去する薬品洗浄方法を利用してフィルタ部材に対して周期的に洗浄工程を遂行してきた。しかし、エアを通じての膜洗浄の場合、エアの噴射圧力を高くしても、膜表面ではなく膜内部に存在する汚染物質まで除去させることが難しく、かえって膜表面の物理的損傷が誘発される問題がある。
【0006】
また、薬品洗浄の場合、薬品の使用による費用の増加、水質汚染などの問題があり、薬品による膜の化学的損傷の恐れがある。
【0007】
このような問題を解決するために、原水が膜を通過する濾過方向と反対方向に汚染されていない水を通過させて、膜表面だけでなく膜内に存在する汚染物質を膜の外部に除去する洗浄方法が提案された。水を利用した洗浄方法は膜に化学的損傷を与えることなく、洗浄にも水質汚染がないという点で長所がある。しかし、水を利用した洗浄時は通常洗浄水として濾過水を利用し、濾過流量の1.5~3倍ほどの高い圧力で水を濾過方向と反対方向に通過させるため、洗浄水として使われる濾過水の消耗が大きく濾過水の生産量が低下する問題がある。特に膜性能を長時間維持させるために洗浄周期を短く設定する場合、濾過水の生産量の低下は流量確保に致命的な問題であり得る。
【0008】
併せて、従来の平膜の場合、複数個のフィルタ部材が積層された多層構造を多く採用するが、濾過流量より高い圧力で水を濾過方向と反対方向に通過させる場合、汚染された平膜には瞬間的に高い圧力がかかり得、これによって多層構造である平膜で層間分離が発生して膜の濾過機能が喪失される恐れがある。
【0009】
したがって、平膜を採用したフィルタモジュールを利用した下水、廃水、汚水などの原水処理時、平膜の機能の低下を最小化させつつ長時間水処理運転が可能であり、平膜の洗浄時に生産された濾過水の損失を最小化または防止させ得るMBRシステム開発が至急であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような点を勘案して案出したもので、フィルタ部材を利用した原水処理時にフィルタ部材の機能低下を最小化させつつ長時間水処理運転が可能であり、フィルタ部材の洗浄時に生産された濾過水の使用を防止または最小化して濾過水の生産効率を高め得るMBRシステムを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を達成するために、本発明は活性スラッジの濃度が3,000~15,000mg/lである原水を担持する膜濾過槽、前記原水を濾過させるために、前記膜濾過槽の内部に設置されるフィルタ部材を含む濾過部、前記膜濾過槽外部に配置されて前記濾過部から生産された濾過水が貯蔵される濾過水貯蔵タンク、フィルタ部材の表面の汚染物質を除去するために濾過部に供給されるエアが貯蔵されたエアタンク、前記濾過部と濾過水貯蔵タンクの間を連結する第1流路および前記濾過部とエアタンクの間を連結する第2流路を含む流路部、前記第1流路上に位置して第1流路を開閉させる第1バルブ、前記第2流路上に位置し第2流路を開閉させる第2バルブを含むバルブ部、および前記濾過水貯蔵タンクと第1バルブの間の第1流路上に位置する減圧部を含み、前記減圧部を駆動させて形成されるフィルタ部材の外側と内側間の圧力差を通じて原水をフィルタ部材の外側から内側に透過させて濾過水を生産し、生産された濾過水を第1バルブが開放され第2バルブが閉鎖された状態で第1流路を通じて濾過水貯蔵タンクに移送させる第1運転と、前記第1バルブを閉鎖し第2バルブを開放させてエアタンクに貯蔵されたエアを第2流路を通じてフィルタ部材に移送させ、移送されたエアをフィルタ部材の内側から外側に通過させて第1運転によって汚染されたフィルタ部材上の汚染物質を除去する第2運転が一つのサイクルを構成して前記サイクルが繰り返して遂行されるMBRシステムを提供する。
【0012】
本発明の一実施例によると、前記バルブ部は第1バルブと濾過部の間の第1流路上に外気と連結される第3バルブをさらに含み、前記サイクルは前記第2運転終了後に第2バルブを閉鎖し第3バルブを開放させて第2運転によって濾過部に残っているエアを外気で換気させる第3運転をさらに含むことができる。
【0013】
また、前記第1運転は膜濾過流速が10~40LMHとなるように遂行され得る。
【0014】
また、前記第2運転でエアの圧力は100kPa超であり得る。
【0015】
また、前記第2流路はエアタンクと連結される側の反対側が前記第1バルブと濾過部の間の第1流路上の所定の地点と連通して第1流路を経由して濾過部と連結され、第2運転時に前記第1バルブと濾過部の間の第1流路および前記第2バルブと濾過部の間の第2流路上に残存する濾過水が、エアとともにフィルタ部材の内側から外側に通過してフィルタ部材上の汚染物質を除去させることができる。この時、前記エアの圧力は10~100kPaであり得る。
【0016】
また、前記フィルタ部材の原水側表面の平均孔径は0.5μm以下であり得る。
【0017】
また、前記第1運転は膜濾過流速10~40LMHで5~15分間遂行され、前記第2運転は圧力が10~100kPaであるエアで10~60秒間遂行され、前記第3運転は10~120秒間遂行され得る。
【0018】
また、膜濾過流速20LMHで第1運転時、100日経過後の濾過部の差圧は初期差圧対比10kPa以下に変動され得る。
【0019】
また、前記濾過部は多数個の平膜であるフィルタユニットが締結バーを媒介として一体化されたフィルタ組立体および前記多数個のフィルタユニットから排出される濾過水を捕集する少なくとも一つの共通捕集部材を含む平膜型フィルタ装置であり、前記フィルタユニットは両表面である外側から内側に濾過の流れを有する平膜であるフィルタ部材および前記フィルタ部材の縁側に結合されて前記フィルタ部材を支持し、前記フィルタ部材を通じて生産された濾過水が流入して移動する流路および前記濾過水を流出させるための受取口が形成された支持フレームを具備し、前記共通捕集部材は多数個のフィルタユニットそれぞれに備えられる受取口と一対一でマッチングされるように連結され得る。
【0020】
また、前記フィルタ部材は板状の第1支持体および前記第1支持体の両側に配置されるナノ繊維で形成される繊維ウェブを含むことができる。
【0021】
また、前記繊維ウェブは前記第1支持体より厚さが薄い第2支持体を媒介として前記第1支持体の一面に熱融着を通じて付着され得る。
【0022】
また、前記第1支持体および第2支持体はポリプロピレンであるコア部および融点が60~180℃であるポリエチレンであるシース部で構成されたシース-コア型複合繊維であり得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、原水処理時にフィルタ部材の汚染増加による差圧の増加などの機能の低下を最小化させつつ長時間水処理運転が可能であり、洗浄時に生産された濾過水を利用してフィルタ部材を洗浄することによって発生する濾過水の損失を最小化または防止して濾過水の生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例による下水処理システムを示した模式図である。
【
図2】
図1の下水処理システムに利用される本発明の一実施例による平膜型フィルタ装置の模式図であって、多数個のフィルタモジュールのうちいずれか一つがメインフレームから分離された状態を示した図面である。
【
図3】本発明の一実施例に係るフィルタモジュールを示した図面である。
【
図4】
図3で間隔調節部材と締結バーとの結合関係を示した拡大図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るフィルタモジュールで受取口の他の形態を示した図面である。
【
図6】本発明の一実施例に係るフィルタユニットを示した図面である。
【
図8】本発明の一実施例に係るフィルタユニットで濾過水が受取口側に流入する移動経路を示した図面である。
【
図9a】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【
図9b】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【
図10a】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【
図10b】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【
図11a】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【
図11b】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【
図12a】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【
図12b】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【
図13】本発明の多様な実施例に係る下水処理システムと多様な比較例に係る下水処理システムを通じて稼動した下水処理結果に対するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は多様な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。図面で本発明を明確に説明するために説明に関わらない部分は省略したし、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素については同一の参照符号を付することにする。
【0026】
図1を参照して説明すると、本発明の一実施例に係るMBRシステム1000は原水を担持する膜濾過槽410、前記原水を濾過させるために前記膜濾過槽の内部に設置される濾過部300、前記膜濾過槽410の外部に配置されて前記濾過部300から生産された濾過水が貯蔵される濾過水貯蔵タンク420、濾過部300内のフィルタ部材の表面の汚染物質を除去するために濾過部300に供給されるエアが貯蔵されたエアタンク430、前記濾過部300と濾過水貯蔵タンク420の間を連結する第1流路721および前記濾過部300とエアタンク430の間を連結する第2流路722を含む流路部720、前記第1流路721上に位置し第1流路721を開閉させる第1バルブ610、前記第2流路722上に位置し第2流路722を開閉させる第2バルブ620を含むバルブ部、および前記濾過水貯蔵タンク420と第1バルブ610の間の第1流路721上に位置する減圧部520を含む。また、原水を膜濾過槽410に流入させるための原水供給流路と原水供給ポンプ510をさらに含むことができる。また、濾過部300を通じて原水が濾過されて残ることになる異物を膜濾過槽410の外部に移送させることができる濾過物質排出流路と濾過物質排出ポンプ530をさらに含むことができ、濾過物質排出流路上には濾過物質排出時にのみ濾過物質排出流路が開放されるようにする排出調節バルブ630がさらに備えられ得る。
【0027】
このような本発明の一実施例に係るMBRシステム1000は、前記減圧部520を駆動させて形成されるフィルタ部材の外側と内側間の圧力差を通じて原水をフィルタ部材の外側から内側に透過させて濾過水を生産し、生産された濾過水を第1バルブ610が開放され第2バルブ620が閉鎖された状態で第1流路721を通じて濾過水貯蔵タンク420に移送させる第1運転と、前記第1バルブ610を閉鎖し第2バルブ620を開放させてエアタンク430に貯蔵されたエアを第2流路を通じてフィルタ部材に移送させ、移送されたエアをフィルタ部材の内側から外側に通過させて第1運転によって汚染されたフィルタ部材上の汚染物質を除去する第2運転が一つのセットを構成して前記セットが繰り返して遂行される方式でシステムが運営され得る。
【0028】
まず、水処理対象である前記原水は活性スラッジの濃度が3,000~15,000mg/lである下水であり、一例として、通常の下水処理場に流入した下水に対して前記膜濾過槽410に流入する前に散気管を採用した曝気槽等を通じて前処理されたものであり得る。また、前記下水は雨水、汚水、廃水またはこれらのうちいずれか2種以上の混合物であり得る。前記原水は一例として、原水供給ポンプ510を通じて膜濾過槽410に供給され得る。
【0029】
また、前記膜濾過槽410は流入した原水を収容できる内部空間を有し、通常の下水処理場に設置される膜濾過槽であり得る。
【0030】
また、前記膜濾過槽410の内部空間には流入した原水を濾過させるための濾過部300が配置される。前記濾過部300はMBRシステムに使われる公知のフィルタ装置の場合は制限なく使うことができるが、一例として、
図2~
図8に図示された平膜であるフィルタ部材を採用した平膜型フィルタ装置であり得る。
【0031】
一例として、平膜型フィルタ装置である濾過部300は
図2に図示されたように、少なくとも一つのフィルタモジュール200を具備することができ、前記フィルタモジュール200は
図3~
図5に図示されたように、多数個のフィルタユニット100が締結バーを媒介として一体化されたフィルタ組立体210および前記多数個のフィルタユニット100から排出される濾過水を捕集する少なくとも一つの共通捕集部材230および固定フレーム220を含むことができる。
【0032】
図6~
図8を参照して説明すると、前記フィルタユニット100はフィルタ部材110と前記フィルタ部材110の縁側に結合される支持フレーム120を含むことができ、間隔調節部材130、130’をさらに含むことができる。
【0033】
前記フィルタ部材110は下水内に含まれた異物を濾過させるための部材であり、公知のフィルタ部材が使われてもよい。ただし、前記フィルタ部材110は両表面である外側からフィルタ部材110の内側部分である内側に濾過の流れを有するように設計されたものであり得る。このような濾過の流れを有するように設計された一例として、前記フィルタ部材110は第1支持体111の両面にナノ繊維で形成された繊維ウェブ112が配置された板状の形態であり得る。
【0034】
この時、前記繊維ウェブ112は前記原水が減圧部520によってフィルタ部材110の内側に通過する過程で原水に含まれた異物を取り除くためのものであり、前記第1支持体111は前記繊維ウェブ112を支持し前記繊維ウェブ112によって生産された濾過水が移動する移動通路の役割を遂行することができる。
【0035】
この時、前記フィルタ部材110は前記繊維ウェブ112が前記第1支持体111の両面に直接付着される3層構造からなってもよいが、
図6に図示されたように、前記繊維ウェブ112が第2支持体113を媒介として前記第1支持体111の両面にそれぞれ付着される5層構造からなってもよい。
【0036】
ここで、前記第1支持体111の厚さが前記第2支持体113および繊維ウェブ112それぞれの厚さより厚く、一例として、第1支持体111の厚さは3層構造または5層構造のフィルタ部材110の全体厚さの90%以上を占め得、これを通じて、後述する濾過工程である第1運転または洗浄工程である第2運転時にフィルタ部材110に大きな圧力が付与される場合にも、フィルタ部材110の損傷や変形を防止できる支持力を付与することが容易となり得る。
【0037】
一方、3層構造で第1支持体111は繊維ウェブ112と熱融着を通じて相互間が付着され得るが、第1支持体111がフィルタ部材110の全体厚さの大部分を占める場合、第1支持体111の表面を部分的に溶融させるために、第1支持体111の両面に繊維ウェブ112を配置させた状態で第1支持体111の熱容量を超過するように高い温度の熱が長時間加えられなければならないが、これによって繊維ウェブ112に意図しない変形や損傷が発生する恐れがある。しかし、5層構造の場合、第1支持体より厚さがはるかに薄い第2支持体113を媒介として第1支持体111と繊維ウェブ112を付着させることによって、繊維ウェブ112が溶融したり変形することを防止することができる。
【0038】
一例として、前記繊維ウェブ112は熱融着、超音波融着、高周波融着等を通じて前記第2支持体113を媒介として前記第1支持体111に付着され得る。この時、前記第2支持体113は支持繊維であるコア部と前記支持繊維の外部面を覆う前記支持繊維より低融点であるシース部で構成された複合繊維で形成されたものであり得、前記シース部の一部又は全部が溶融することを通じて第1支持体111および繊維ウェブ112それぞれと、容易かつより優秀な付着強度で結合することができる。一例として、前記複合繊維はポリプロピレンであるコア部および融点が60~180℃であるポリエチレンであるシース部で構成されたシース-コア型複合繊維であり得るが、これを通じて、減圧部520を通じて加えられる第1運転時の圧力変化および第2運転時に加えられる高圧のエアにもフィルタ部材110内の層間分離や損傷を最小化させることができる利点がある。特に他の材質例えば、融点差があるポリエステル成分をシース部とコア部にそれぞれ配置させた低融点複合繊維の場合、類似する温度条件で付着が可能な場合にも材質的なブリトルな特性によって付着が容易でなかったり、付着された場合にも容易に剥離され得る。また、第1運転および第2運転時に加えられる圧力によって層間分離が加速化される恐れがある。
【0039】
また、第1支持体111も第2支持体113のように、ポリプロピレンであるコア部および融点が60~180℃であるポリエチレンであるシース部で構成されたシース-コア型複合繊維で形成された部材であり得、これを通じて第1支持体111と第2支持体113間の相溶性の増加によって、より優秀な付着強度を発現することができ、これを通じて第1運転および第2運転にも層間分離がさらに最小化され得る。
【0040】
前記第1支持体111および第2支持体113は、前記繊維ウェブ112によって生産された濾過水が移動する移動通路の役割を遂行できるように多孔性の基材であり得る。一例として、前記第1支持体111および/または第2支持体113は通常的に使われる公知の織物、編物または不織布のうちいずれか一つであり得、一例として、不織布であり得る。
【0041】
また、第1支持体111の厚さは一例として、2~8mmであり得、より好ましくは2~5mm、より好ましくは3~5mmであり得る。厚さが2mm未満である場合、頻繁な洗浄に耐え得る十分な機械的強度を発現できないこともある。また、厚さが8mmを超過する場合、フィルタ部材が後述するフィルタユニットで具現された後、限定された空間内で組み立てられてフィルタモジュールとして具現される時、モジュールの単位体積当たりのフィルタ部材の集積度が減少し得る。
【0042】
好ましくは、前記第1支持体111は前述したような厚さ条件を満足するとともに、坪量が250~800g/m2であり得、より好ましくは350~600g/m2であり得る。万一、坪量が250g/m2未満である場合は十分な機械的強度を発現することが難しく、第2支持体との付着力が減少する問題点があり、万一、坪量が800g/m2を超過する場合は十分な流路を形成できないため流量が減少し、差圧が増加して円滑な洗浄が難しい問題があり得る。
【0043】
また、前記第2支持体113は一例として、不織布であり得るが、この時、前記第2支持体113を形成する繊維は平均直径が5~30μmであり得る。また、前記第2支持体113の厚さは100~400μmであり得、より好ましくは150~400μmであり得、より好ましくは150~250μmであり得、一例として、200μmであり得る。
【0044】
また、前記第2支持体113は平均孔径が20~100μmであり得、気孔度は50~90%であり得る。ただし、これに制限されるものではない。
【0045】
また、前記第2支持体113の坪量は10~200g/m2、より好ましくは35~200g/m2であり得、より好ましくは35~80g/m2であり得、一例として、40g/m2であり得る。万一、坪量が10g/m2未満の場合は後述する繊維ウェブと形成する界面に分布する第2支持体を形成する繊維の量が少ないことがあり、これに伴い、繊維ウェブと接する第2支持体の有効接着面積が減少して目的とする水準の結合力を発現できないこともある。また、繊維ウェブを支持できるほど十分な機械的強度を発現できないこともあり、第1支持体との付着力が減少する問題点があり得る。また、万一、坪量が200g/m2を超過する場合は目的とする水準の流量を確保し難いこともあり、差圧が増加して円滑な逆洗浄が難しい問題があり得る。
【0046】
前記繊維ウェブ112は原水に含まれた異物を取り除くためのものであり、ナノ繊維を通じて形成され得る。一例として、前記ナノ繊維はポリアクリロニトリル(PAN)およびポリビニリデンフルオライド(PVDF)を含む繊維形成成分および前記繊維形成成分の混和性を向上させるエマルジョン化剤を含むことができる。ここで、前記繊維形成成分は親水性が大きいポリアクリロニトリル(PAN、以下、PANと呼称する)と疏水性が非常に大きいポリビニリデンフルオライド(PVDF、以下、PVDFと呼称する)を含むことができ、PVDFを通じてナノ繊維の機械的強度、耐化学性を担保させることができ、前記PANを通じてPVDFによるナノ繊維の疏水性化を防止しナノ繊維の親水性を向上させて、フィルタ部材にナノ繊維が付着された時に向上した水透過度を発現できるようにする。
【0047】
また、前記ナノ繊維は平均直径が0.05~1μmであり、縦横比は1,000~100,000であり得るが、これに制限されるものではない。一例として、前記繊維ウェブ112に備えられたナノ繊維は直径が0.1~0.2μmである第1ナノ繊維群、直径が0.2~0.3μmである第2ナノ繊維群および直径が0.3~0.4μmである第3ナノ繊維群を繊維ウェブ112の全体重量に対して、それぞれ35重量%、53重量%、12重量%で含むことができる。
【0048】
また、前記繊維ウェブ112の厚さは0.5~200μmで形成され得、一例として、20μmであり得る。前記繊維ウェブ112の気孔度は40~90%であり、より好ましくは60~90%であり得る。また、平均孔径は0.1~5μmであり得、より好ましくは0.1~3μmであり得、一例として、0.25μmであり得る。また、前記繊維ウェブ112の坪量は0.05~20g/m2であり得、一例として、10g/m2であり得るが、これに制限されるものではなく、目的とする水透過度および濾過効率を考慮して適切に変更され得る。
【0049】
また、前記繊維ウェブ112は単層で備えられてもよく、多層で備えられてもよい。
【0050】
一方、支持フレーム120は前述したフィルタ部材110の縁側に配置されて前記フィルタ部材110の縁側を支持することによって、前記フィルタ部材110が板状の形態を維持できるようにする。
【0051】
このような支持フレーム120は一つの部材からなって前記フィルタ部材110の縁側を全体的に支持または部分的に支持してもよいが、多数個のフレーム120a、120bが前記フィルタ部材110の縁側に結合される形態で具現され得る。
【0052】
一例として、前記多数個のフレーム120a、120bは、いずれか一つの端部が他の一つの端部に接するように前記フィルタ部材110の縁側にそれぞれ配置され得、前記フィルタ部材110の角側に配置される間隔調節部材130、130’を通じて互いに隣り合う二つのフレーム120a、120bの端部側が互いに連結され得る。
【0053】
しかし、前記支持フレームの形状はこれに限定するものではなく、前記フィルタ部材110の形状に応じて円形、弧形、多角形およびこれらが互いに組み合わせられた多様な形態に変更され得、前記フィルタ部材の縁を全体的に囲む形態であればいかなる形態となってもよいことを明らかにする。
【0054】
この時、前記支持フレーム120は前記フィルタ部材110を支持する役割を遂行するとともに、前記フィルタ部材110によって生産された濾過水を減圧部520から提供される吸入力を通じて受取口133側に移動させる流路の役割を遂行することができる。
【0055】
このために、前記支持フレーム120を構成するそれぞれのフレーム120a、120bは一側が開放された略「⊂」の形状で備えられ得、内側に前記フィルタ部材110から流入した濾過水が移動する流路124が形成され得る(
図7参照)。
【0056】
具体的に説明すると、前記多数個のフレーム120a、120bは板状の第1板121と、前記第1板121の両端部からそれぞれ垂直な方向に延びる一対の第2板122、123を含むことができる。これを通じて、前記フィルタ部材110は縁側が前記一対の第2板122、123の間に形成された空間側に挿入されることによって、互いに向き合う一対の第2板122、123により支持され得る。この時、前記一対の第2板122、123の間に形成された空間側に挿入されるフィルタ部材110の縁側は、前記第1板121から一定距離離隔するように挿入され得る。
【0057】
すなわち、互いに向き合う一対の第2板122、123の対向面上には、前記フィルタ部材110の挿入深さを制限するための拘束部材125が備えられ得る。これを通じて、前記フィルタ部材110の縁側がそれぞれのフレーム120a、120bに締結される過程で前記拘束部材125を通じて前記フィルタ部材110の挿入深さが制限されることによって、前記フィルタ部材110の縁側端部と前記第1板121の間には所定の空間が形成され得る。
【0058】
これに伴い、前記フィルタ部材110とフレーム120a、120bの結合時に前記フィルタ部材110の縁が常に前記第1板121と離隔した状態を維持することによって、第1運転を通じて生産された濾過水または第2運転時に加えられるエアが移動できる流路124が形成され得る。
【0059】
本発明で、前記拘束部材125は互いに向き合う一対の第2板122、123の対向面上にそれぞれ形成されてもよいが、前記一対の第2板122、123のうちいずれか一つの内面にのみ形成されてもよい。併せて、前記拘束部材125はそれぞれのフレームの長さ方向に沿って全体的に備えられてもよく、部分的に備えられてもよい。また、前記拘束部材125が互いに向き合う一対の第2板122、123の対向面上にそれぞれ形成される場合、それぞれの拘束部材125は所定の間隔を有するように離隔配置されることによって、濾過水が前記間隔を通じて流路124側に移動され得る。
【0060】
前記間隔調節部材130、130’は前記支持フレーム120の角側に結合されて隣り合う二つのフレーム120a、120bを締結するとともに、互いに隣り合うフィルタ部材110の間の間隔を調節するためのものである。
【0061】
このような間隔調節部材130、130’は多数個で備えられ得、前記支持フレーム120の角側に結合されて隣り合う二つのフレーム120a、120bの端部を固定することができる。
【0062】
このために、前記間隔調節部材130、130’は互いに隣り合うフレーム120a、120bの端部側が挿入されるように、一側が開放された胴体131を含むことができる。
【0063】
これに伴い、前記支持フレーム120を構成する多数個のフレーム120a、120bのうち互いに隣接する二つのフレーム120a、120bは、端部側がそれぞれ前記胴体131の内部に挿入されることによって前記胴体131により固定され得る。
【0064】
一例として、互いに隣接する二つのフレーム120a、120bのうちいずれか一つのフレーム120aの端部は前記胴体131の第1方向に挿入され、残りの一つのフレーム120bの端部は前記胴体131の第2方向に挿入されて前記第1方向に挿入されたフレーム120aの端部と接するように配置され得る。
【0065】
この時、前記第1方向に挿入されたフレーム120aに形成された流路124と前記第2方向に挿入されたフレーム120bに形成された流路124は、互いに連通するように配置されることによって多数個のフレーム120a、120bにそれぞれ形成された流路がすべて連通され得る。
【0066】
ここで、前記第1方向および第2方向は同一平面上で互いに直交する方向であってもよく、同一平面上で一つの直線に対して所定の角度を有するように傾いた方向であってもよい。
【0067】
一方、前述したフィルタユニット100は多数個が互いに平行に配列され得るが、この時、それぞれのフィルタ部材110が間隔をおいて離隔配置され得るように間隔調節具132が備えられ得る。
【0068】
このような前記間隔調節具132は前記支持フレーム120を構成する多数個のフレーム120a、120bのうち少なくともいずれか一つに備えられてもよいが、前記間隔調節部材130、130’のうち少なくともいずれか一つに備えられ得る。
【0069】
一例として、前記間隔調節具132は締結孔132bが形成された延長板および離隔部材を含むことができ、前記間隔調節部材130、130’の一側に形成され得る(
図8参照)。
【0070】
具体的には、前記延長板は前記間隔調節部材130、130’の胴体131から外側に延長され得、締結バー240が通過する締結孔132bが貫通形成され得る。ここで、図面には前記締結孔132bが前記延長板に円形に貫通形成されるものとして図示したが、これに限定するものではなく、前記締結バー240の断面の形状と対応する形状を有することができる。一例として、前記締結孔132bは円形、弧形、多角断面またはこれらが組み合わせられた形状で形成され得る。
【0071】
この時、前記離隔部材は前記延長板の一面から所定の厚さを有するように一定の高さ突出され得、前記離隔部材は前記締結孔132bの縁を全体的に囲むか部分的に囲むように備えられ得る。
【0072】
ここで、前記離隔部材は前記延長板132aの両面にそれぞれ形成されてもよく、前記延長板132aの一面にのみ形成されてもよく、前記延長板132aの一面から互いに異なる高さを有する多段構造で形成されてもよい。
【0073】
ここで、互いに平行に配列される多数個のフィルタ部材110の間の間隔は3mm以上の間隔を有するように配列され得るが、これに限定するものではなく、前記離隔部材の高さまたは厚さを適切に変更して多様な間隔を有するように配置され得る。
【0074】
これを通じて、本発明に係る多数個のフィルタユニット100が締結バー240を通じて連結される場合、それぞれのフィルタユニット100を完全に密着させても互いに平行に配置されるフィルタ部材110は前記離隔部材を通じて所定の間隔をおいて離隔され得る。これによって、前記フィルタモジュール200はそれぞれのフィルタ部材110の両側に原水が存在することができることによって、減圧部520から提供される吸入力によって前記フィルタ部材110の両側の外部から原水がフィルタ部材110の内側に移動して濾過水を生産することができる。
【0075】
併せて、第1運転後に前記フィルタ部材110に付着された異物を除去するための第2運転が遂行される場合、前記フィルタ部材110に付着された異物がフィルタ部材110から分離された後に互いに隣り合うフィルタ部材110の間の空間に落下することができる。
【0076】
一方、前記間隔調節部材130、130’のうち少なくともいずれか一つは、それぞれのフレーム120a、120bに形成された流路124に沿って移動した濾過水を外部に排出するための受取口133が備えられ得る。
【0077】
すなわち、前記支持フレーム120の角に結合される多数個の間隔調節部材130、130’のうち、前記受取口133が形成されていない間隔調節部材130’は互いに隣り合う一対のフレームを連結する役割のみを遂行する反面、前記受取口133が形成された間隔調節部材130は前記受取口133を通じて生産された濾過水を外部に排出する排出口の役割も共に遂行することができる。
【0078】
このような受取口133は後述する共通捕集部材(
図3の230)と連結され得る。
【0079】
ここで、前記受取口133は多数個の間隔調節部材130、130’のうちいずれか一つにのみ備えられてもよいが、二つの間隔調節部材130にそれぞれ備えられることによって、前記フィルタ部材110側に均等な吸入圧力を提供するのが有利となる。
【0080】
併せて、前記受取口133は前記間隔調節部材130の胴体131と一体に形成されてもよいが、胴体に結合孔が形成され前記結合孔に所定の長さを有する受取口が着脱可能に結合されてもよい。すなわち、前記受取口は所定の長さを有する中空型で備えられて前記胴体に形成された結合孔にねじ結合されるか嵌合され得る。これに伴い、運転中に前記受取口の変更や取り替えが必要な場合、前記受取口のみを簡便に分離して取り替えるか変更することができるようになる。
【0081】
この時、前記受取口133が形成された間隔調節部材130は、互いに隣り合う二つのフレーム120a、120bとの結合時に前記二つのフレーム120a、120bにそれぞれ形成される流路124と連通する収集空間134が形成され得、前記収集空間134は前記受取口133と連通する位置に形成され得る。
【0082】
一例として、前記収集空間134は前記受取口133が形成された間隔調節部材130と二つのフレーム120a、120b間の結合時に前記間隔調節部材130に挿入される二つのフレーム120a、120bの端部側に形成され得、前記収集空間134は前記間隔調節部材130に挿入される二つのフレーム120a、120bのうちいずれか一つ120aの端部を切開して互いに一致しないようにすることによって形成され得る。
【0083】
これに伴い、前記二つのフレーム120a、120bのうちいずれか一つのフレーム120aに形成された流路124に沿って移動した濾過水と他の一つのフレーム120bに形成された流路124に沿って移動した濾過水は、前記収集空間134で互いに会うことになり、前記収集空間134と連通した受取口133を通じて外部に排出され得る。
【0084】
これによって、第1運転時に減圧部520から提供される吸入力によって前記フィルタ部材110の外側から内部に移動しながら生産された濾過水は前記多数個のフレーム120a、120bに形成されたそれぞれの流路124側に流入し、前記流路124に沿って収集空間134側に移動した後に前記受取口133を通じて外部に排出され得る。
【0085】
一方、第2運転時には減圧部520を通じて加圧されたエアが前記受取口133を通じて流入した後、収集空間134を経由して多数個のフレーム120a、120bに形成されたそれぞれの流路124側に供給され得る。
【0086】
一方、前述したフィルタユニット100は多数個が互いに平行に配列され、締結バー240を媒介として互いに固定されることによってモジュール化された一つのフィルタモジュール200で構成され得る。
【0087】
一例として、前記フィルタモジュール200は
図3に図示された通り、フィルタ組立体210、固定フレーム220および共通捕集部材230を含むことができる。
前記フィルタ組立体210は前述したフィルタユニット100が多数個で備えられて平行に配列された状態で、所定の長さを有する一つの締結バー240を通じて一体化された形態であり得る。
【0088】
この時、前記フィルタ組立体210はそれぞれのフィルタユニット100に備えられる離隔部材を通じて隣り合うフィルタ部材110が間隔をおいて離隔配置されることによって、互いに対面するフィルタ部材110の間に所定の空間が確保され得る。併せて、前記締結バー240の両側にナットのような固定部材242を締結させることになると、それぞれのフィルタユニット100の間に形成された間隔が均一に維持され得る。
【0089】
前記固定フレーム220は前記締結バー240の両端部側に結合されて前記フィルタ組立体210と一体化され得る。このような固定フレーム220は板状の部材からなってもよいが、原水が前記フィルタ組立体210側に流入され得るようにフレーム構造物で備えられ得る。
【0090】
一例として、前記固定フレーム220はフィルタ組立体210の前面と後面にそれぞれ配置される前面フレーム221と後面フレーム222を含むことができ、前記締結バー240の両端部側が前面フレーム221と後面フレーム222にそれぞれ結合され得る。これに伴い、前記フィルタ組立体210および固定フレーム220は締結バー240を通じて一体化され得る。
【0091】
ここで、前記前面フレーム221および後面フレーム222側には、前記締結バー240の端部側が挿入される締結ホール(図示されず)が備えられて差し込む方式で挿入されてもよく、前記前面フレーム221および後面フレーム222を貫通する貫通孔(図示されず)が備えられて前記締結バー240の両端部が通過した状態で別途の固定部材を通じて固定されてもよい。
【0092】
この時、前記固定フレーム220の一側には、使用者または作業者がモジュール化された平板型フィルタモジュール200を容易に取り付けできるように別途の取っ手223が備えられ得る。
【0093】
また、前記前面フレーム221および後面フレーム222を構成するそれぞれの部材は、所定の幅と長さを有する板状のバーであってもよく、「I」ビーム、「┐」の形状のビームであってもよく、角管の形態で備えられてもよい。
【0094】
このように、本発明に係る平膜型フィルタモジュール200は多数個のフィルタユニット100が互いに平行に配列され得、それぞれのフィルタユニット100に備えられるフィルタ部材110が離隔部材を通じて所定の間隔で離隔した状態で配置され得る。これに伴い、外部から提供される吸入力、一例として減圧部520から提供される吸入力がそれぞれの受取口133を通じて多数個のフィルタユニット100側に伝達されることによって、一度の工程で多数個のフィルタユニット100で個別的に濾過水を生産することができる。
【0095】
これによって、多数個のフィルタユニット100を通じて同時に濾過水を大量で生産することができ、濾過水の生産効率を高めることができるようになる。
【0096】
前記共通捕集部材230は一度の吸入工程を通じて、それぞれのフィルタユニット100で濾過水が同時に生産されるようにそれぞれのフィルタユニット100側に吸入力を伝達し、それぞれのフィルタで生産された濾過水を一つに統合するためのものである。
【0097】
すなわち、前記共通捕集部材230はそれぞれのフィルタユニット100に備えられる受取口133と互いに連結されることによって吸入力がそれぞれのフィルタユニット側に同時に伝達され、伝達された吸入力を通じてそれぞれのフィルタユニット100で濾過水が個別的に生産され、それぞれのフィルタユニット100で生産された濾過水が吸入力によって前記収集空間134および受取口133を経由して共通捕集部材230側に流入して統合され得る。
【0098】
併せて、前記共通捕集部材230は第2運転時に高圧のエアをそれぞれのフィルタユニット100側に分配する役割を遂行することができる。
【0099】
このような共通捕集部材230は一つで備えられてもよいが、それぞれのフィルタユニットに受取口133が多数個で備えられる場合、前記受取口133の個数と対応するように備えられてそれぞれの受取口133と一対一に連結され得る。
【0100】
一例として、
図3に図示された通り、それぞれのフィルタユニット100に二つの受取口133が上部側と下部側に備えられる場合、前記共通捕集部材230も二つで備えられ得、二つの共通捕集部材230のうちいずれか一つは上側に位置する受取口133と連結され得、残りの共通捕集部材230は下側に位置する受取口133と連結され得る。
【0101】
このような共通捕集部材230は、前記受取口133から流入した濾過水が一時的に集まる貯蔵空間234を有する本体231と、前記受取口133から排出される濾過水を前記貯蔵空間234に流入させる流入口232および前記貯蔵空間234に流入した濾過水を外部(一例として、濾過水貯蔵タンク350)に排出したり外部から提供される吸入力を前記受取口133側に提供する排出口233を含むことができる。
【0102】
ここで、前記フィルタ部材110に付着された異物を除去するための第2運転時に、前記流入口232は高圧のエアをフィルタユニット100側に供給する排出口の役割を遂行することができ、前記排出口233は外部から提供される高圧のエアを前記共通捕集部材230側に流入する流入口の役割を遂行することができる。
【0103】
この時、前記流入口232はそれぞれのフィルタユニット100に備えられる受取口133とそれぞれ連結され得るように多数個で備えられ得、前記流入口232と受取口133は互いに一対一でマッチングされるように連結され得る。
【0104】
一例として、前記多数個の流入口232は
図3に図示された通り、前記受取口133とチューブを媒介として一対一に連結されてもよく、
図5に図示された通り、前記受取口133が共通捕集部材230’に形成された流入口232’に直接連結されてもよい。
【0105】
ここで、前記受取口133が前記共通捕集部材230’の流入口232’に直接連結される場合、前記流入口232’は前記受取口133から流入した濾過水が一時的に集まる貯蔵空間234を有する本体231’の一面にホールの形状で形成されることによって、所定の長さで突出形成される受取口133が前記流入口232’に直接挿入され得る。この時、前記流入口232’と前記受取口133の接触面上には、濾過水が外部に漏水されることを防止するための密閉部材(図示されず)が備えられ得る。
【0106】
一方、前記流入口232および受取口133がチューブを媒介として連結される場合、前記共通捕集部材230は前記受取口133から所定の間隔をおいて離隔配置されるように前記固定フレーム220の高さの中間部に配置され得る。
【0107】
これは、前記受取口133と流入口232間の間隔が過度に狭くなると、チューブを連結する過程で前記チューブが曲がって濾過水の円滑な流れを邪魔し得るためである。
【0108】
このように本発明に係る下水処理システムに採用されるフィルタモジュール200は、前記共通捕集部材230がそれぞれのフィルタユニット100に備えられる受取口133と連結されることによって、一度の吸入工程を通じてそれぞれのフィルタユニットで濾過水が同時に生産され得、それぞれのフィルタ部材110に付着された異物を除去するための第2運転も同時に遂行することができる。併せて、間隔調節部材130、130’を通じて適切な間隔で離隔した多数個のフィルタユニット100が一体化されてモジュール化されることによって、設置作業が簡便なだけでなくモジュール単位の取り替えが可能であるためメンテナンスが容易な長所がある。
【0109】
一方、フィルタモジュール200は平膜型フィルタ装置である濾過部300に一個備えられてもよいが、
図2に図示されたように、多数個で備えられてメインフレームを通じて支持されてもよい。前記メインフレームは前記フィルタモジュール200を支持するためのものであり、内部にメイン流路315を有する中空型のフレーム構造物で構成され得る。
【0110】
このようなメインフレームは前記フィルタモジュール200を堅固に支持できるように、フィルタモジュール200の上部側に配置される上部メインフレーム311と、フィルタモジュール200の下部側に配置される下部メインフレーム312を含み、前記上部メインフレーム311と下部メインフレーム312は多数個の支持バー313を媒介として互いに連結され得る。
【0111】
これを通じて、前記メインフレームは少なくとも一つのフィルタモジュール200を挿入配置するための空間部を形成することができる。
【0112】
この時、前記上部メインフレーム311と下部メインフレーム312のうち少なくとも一側には、前記フィルタモジュール200の挿入時に前記フィルタモジュール200の角側を支持して前記フィルタモジュール200のスライディング移動を案内するガイドレール314が備えられ得る。
【0113】
一例として、前記ガイドレール314は略「┐」の形状のアングルタイプのバーの形状で備えられて前記フィルタモジュール200の挿入方向と同一方向に配置され得る。これに伴い、前記フィルタモジュール200の挿入時に前記フィルタモジュール200の角側が支持されることによって、スライディング移動が円滑になされ得る。
【0114】
好ましくは、前記ガイドレール314はフィルタモジュール200の上部角および下部角が同時に支持され得るように、前記上部メインフレーム311および下部メインフレーム312にそれぞれ形成され得る。
【0115】
一方、前記上部メインフレーム311および下部メインフレーム312のうちいずれか一つの内部には、前記フィルタモジュール200から流入した濾過水が統合されるメイン流路315が形成され得る。
【0116】
一例として、前記メイン流路315は下部メインフレーム312を構成する多数個の部材のうちいずれか一つの内部に形成され得る。併せて、前記下部メインフレーム312には前記メイン流路315と連通する多数個のフィッティング口316a、316bが備えられ得る。
【0117】
ここで、前記多数個のフィッティング口316a、316bは濾過水の流入、出入のための流入口と流出口の役割を遂行し、多数個のフィッティング口316a、316bのうち一部316aは前記共通捕集部材230の排出口233と連結管371を媒介として互いに連結され得る。この時、前記連結管371は剛性を有する管部材が使われてもよく、柔軟性を有するゴム材質からなる公知のチューブが使われてもよい。
【0118】
そして多数個のフィッティング口316a、316bのうち残り316bは第1流路721を媒介として濾過水貯蔵タンク420と連結されることによって、第1運転時に前記減圧部520を通じて提供される吸入力でそれぞれのフィルタユニットから生産された濾過水が濾過水貯蔵タンク420側に移送され得る。
【0119】
ここで、前記フィルタモジュール200が一つで備えられる場合、前記メインフレーム310は省略され得、このような場合、前記共通捕集部材230の排出口233が前記濾過水貯蔵タンク420と直接連結されてもよい。
【0120】
前記減圧部520は、第1流路721上に位置してそれぞれのフィルタモジュール200に備えられるフィルタユニット100が濾過水を生産できるように吸入力を提供することができる。この時、前記第1流路721は一側が前記メインフレーム310のフィッティング口316a、316bのうち少なくともいずれか一つ316bと連結され得る。
【0121】
すなわち、第1運転で前記減圧部520を通じて提供された吸入力は、メイン流路215、共通捕集部材230および受取口133を通じて支持フレームを構成する多数個のフレーム120a、120bに形成された流路124を経て前記フィルタ部材110側に伝達され得る。これに伴い、前記フィルタユニット100周囲に存在する原水が前記吸入力によってフィルタ部材110側に移動して繊維ウェブ112を通じて濾過され、前記繊維ウェブ112を通過して第1支持体111に移動した濾過水は吸入力を通じて前記支持フレームの流路124側に流入して収集空間134側に移動した後、受取口133を通じて共通捕集部材230に移動して集合され、メインフレームのメイン流路315および第1流路721を経て濾過水貯蔵タンク420側に収集され得る。
【0122】
これに伴い、本発明に係る下水処理システム1000は、第1運転で減圧部520を通じて提供される吸入力によって多数個のフィルタユニット100が同時に作動して濾過水を大量で生産できることになる。
【0123】
前述した本発明に係る下水処理システム1000で第1運転は前述した平膜型フィルタ装置である濾過部300を利用した濾過工程であるが、前記濾過工程は前述した減圧部520を通じてフィルタ部材110の両表面である外側より内側、一例として、第1支持体111付近の圧力をさらに小さくして原水の流れをフィルタ部材110の外側から内側に形成させて遂行され、生産された濾過水は第1バルブ610が開放され第2バルブ620が閉鎖された状態で第1流路721を通じて濾過水貯蔵タンク420に移送され得る。
【0124】
この時、前記第1運転は膜濾過流速が10~40LMHとなるように遂行され得、これを通じて濾過水の生産量を増加させることができ、後続される第2運転の効率を高めることができる利点がある。万一、流速が10LMH未満で遂行される場合、収得される濾過水の量が少ないため濾過水の生産効率が低下し得る。また、流速が40LMHを超過時はフィルタ部材の汚染が深まって第2運転効率が低下する恐れがある。さらに具体的には、前記第1運転は膜濾過流速が10~40LMHとなるように5~15分間遂行され得、万一、5分未満で遂行される場合、定められた運転時間のうち第2運転の回数および/または時間が増加してフィルタ部材の損傷や変形の恐れがあり、収得される濾過水量が少なくなり得る。また、15分を超過して遂行される場合、定められた運転時間のうち第2運転の回数や時間が小さくなって十分な洗浄効率の達成が難しく、適切な時期に洗浄工程を遂行できないため過度な異物でフィルタ部材が汚染され、フィルタ部材で異物を除去することがさらに難しくなり得る恐れがある。
【0125】
前述した第1運転が所定の時間の間遂行されると、第1運転を停止させて第2運転が遂行される。前記第2運転はエアを前記フィルタ部材110の内側から外側に通過させて前記フィルタ部材110内の汚染物質を除去する洗浄工程であって、具体的には、第1バルブ610を閉鎖し第2バルブ620を開放させてエアタンク430に貯蔵されたエアを第2流路722を通じてフィルタ部材110に移送させ、移送されたエアをフィルタ部材110の内側から外側に通過させて第1運転によって汚染されたフィルタ部材110上の汚染物質を除去することができる。前記エアタンク430に貯蔵されたエアはエア供給部800を通じて供給されたものであり得、前記エア供給部800は一例として、エアコンプレッサーであり得る。
【0126】
本発明の一実施例によると、
図1に図示されたものとは異なって第2流路722は濾過部300に直接連結され得、第2流路722を通じてエアをフィルタ部材110に直接供給させて洗浄工程を遂行することができる。この時、第2流路722を通じて移送されるエアは圧力が100kPaを超過し得る。万一、圧力が100kPa以下の場合はエアだけでは異物が除去されず、表面の平均孔径が0.8μm以下、特に平均孔径が0.5μm以下のフィルタ部材110を使う時はエアの圧力が低いためエアがフィルタ部材110の内側から外側表面の外に出ることが難しく、このため、フィルタ部材が洗浄されない場合もある。一方、圧力が200kPaを超過する場合、エアによってフィルタ部材が損傷したり変形される恐れがある。
【0127】
一方、本発明の好ましい一実施例によると、エアのみで第2運転を遂行する時にやむを得ず高い圧力で運転しなければならず、これによって発生し得るフィルタ部材の損傷や変形を防止し、より効果的にフィルタ部材110内の異物を除去するために、前記第1運転終了後に閉鎖した第1バルブ610と濾過部300の間の第1流路721部分に残っている濾過水を、エアとともにフィルタ部材110を通過させて洗浄工程を遂行することができる。この場合、エアのみを使う場合に比べ、低圧のエアが加えられても十分な洗浄効果を発現するとともにフィルタ部材110の損傷を最小化できる利点がある。換言すると、エアのみで第2運転を遂行する場合に比べて、低い圧力で第2運転を遂行することができる。この時、エアの圧力は10~100kPaであり得、より好ましくは30~60kPaであり得る。万一、残存する濾過水とともにエアがフィルタ部材に供給される時、エアの圧力が100kPaを超過すると、濾過水とともにエアが通過しながらフィルタ部材の損傷や変形を誘発する恐れがある。また、圧力が10kPa未満の場合はエアの圧力が過度に小さいため、濾過水が共に使われても十分な洗浄効果を発現できないこともある。
【0128】
一方、第1流路721上に残っている濾過水が、エアとともにフィルタ部材110に供給されるように、第2流路722はエアタンク430と連結される側の反対側が前記第1バルブ610と濾過部300の間の第1流路721上の所定の地点(P)と連通して、第1流路721を経由して濾過部300と連結されるように流路部720が設計され得る。これを通じて、第2運転時に前記第1バルブ610と濾過部300の間の第1流路721および前記第2バルブ620と濾過部300の間の第2流路722上に残存する濾過水が、エアとともにフィルタ部材110の内側から外側に通過してフィルタ部材上の汚染物質をより低いエアの圧力で効果的に除去させることができる。
【0129】
前記第2運転は10~60秒間遂行され得るが、万一、10秒未満で遂行される場合は十分な洗浄効果を達成することが難しく、60秒を超過するとフィルタ部材の損傷や変形を招くか洗浄効果の改善の程度が微小となり得る。
【0130】
前述した第1運転と第2運転は一サイクルを構成して継続して繰り返され得るが、好ましくは、前記サイクルは第2運転によって濾過部に残っているエアを外気で換気させる第3運転をさらに含んで遂行され得る。前記第3運転は、第2運転によって、第2バルブ620と濾過部300の間の第2流路722に満たされたエアによってフィルタ部材110の内側に加えられる圧力を解消させるための工程である。前記第3運転は第2流路722内の圧力を解消させる公知になっている方法を適切に採用して遂行することができ、一例として、第2流路722内に設置された第3バルブを利用して第2流路722内の圧力を解消させることができる。万一、第3運転なしに第2運転後に第1運転が遂行される場合、第1運転時に圧力付与手段に第1流路内に残存する空気が吸入されて圧力付与手段が正しく作動できないか、作動するのに所要する時間が延びて濾過水の生産効率が低下し得る。一方、前述した本発明の好ましい一実施例による
図1に図示された流路部720の設計のように、第2流路722の一方が第1流路721に連通する場合、前記第3運転は第1バルブ610と濾過部300の間の第1流路721に満たされたエアまで共に外気で換気させることができる。また、この場合、第3バルブ640は第1流路721上に設置されることがより効率的であり得る。
【0131】
一方、前述した第1運転および第2運転、または第1運転~第3運転を繰り返し遂行して水処理される本発明の一実施例に係るMBRシステム1000は、フィルタ部材110の汚染による水処理運転中にフィルタ部材110に発生する差圧の変動を改善することができるが、差圧の変動をより最小化または防止するために、前記フィルタ部材110の両側の表面、一例として、繊維ウェブ112の平均孔径が0.5μm以下であり得、より好ましくは0.3μm以下であり得る。万一、平均孔径が0.5μmを超過する場合、膜汚染がさらに容易でかつ多く発生するのに反してフィルタ部材110の気孔に積もった異物の除去が難しいため第2運転効率が低下し、差圧の変動幅が大きいか差圧の変動が不安定となる恐れがある。
【0132】
本発明の一実施例に係るMBRシステム1000は効果的にフィルタ部材110内の異物を除去することにより、運転を継続する場合にも差圧の変動が最小化され、変動が安定的であり得る。一例として、膜濾過流速20LMHで第1運転時、100日経過後の濾過部300の差圧は初期差圧対比10kPa以下に変動され得るため、非常に安定的に長時間下水を大規模で処理することができる。また、生産された濾過水を利用して洗浄を遂行せず、これを利用する場合にも流路内に残存する少量の濾過水のみを利用することによって、濾過水の生産効率が濾過水を利用した洗浄を遂行した場合に比べて非常に向上し得る。
【実施例】
【0133】
下記の実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明することにするが、下記の実施例は本発明の範囲を制限するものではなく、これは本発明の理解を助けるためのものと解釈されるべきである。
【0134】
<準備例1>
図2のような平膜型フィルタ装置を具現した。具体的には、フィルタ装置に採用されたフィルタユニット内のフィルタ部材は第1支持体の両側に第2支持体を配置させ、第2支持体それぞれの上部面にナノ繊維で形成された繊維ウェブが配置され、これらそれぞれが熱融着されて付着されたものを使ったし、具体的には下記の方法で製造されたものを使った。また、具現されたフィルタ装置の有効膜面積がそれぞれ2.5m
2、16m
2となるように準備した。
【0135】
具体的には、繊維ウェブを製造するために、繊維形成成分としてポリビニリデンフルオライド(Arkema社、Kynar761)12gをジメチルアセトアミドとアセトンの重量比を70:30で混合した混合溶媒88gに80℃の温度で6時間の間マグネチックバーを使って溶解させて放射溶液を製造した。前記放射溶液を電気放射装置の溶液タンクに投入し、15μl/min/holeの速度で吐出した。この時、放射区間の温度は30℃、湿度は50%を維持し、コレクターと放射ノズルチップ間の距離を20cmとし、前記コレクターの上部に第2支持体として融点が約120℃であるポリエチレンをシース部とし、ポリプロピレンをコア部とする平均直径が20μmである低融点第2複合繊維で形成された、厚さ約200μm、坪量40g/m2の不織布((株)ナンヤン不織布、CCP40)を配置させた後、高電圧発生器を使って放射ノズルパック(Spin Nozzle Pack)に40kVの電圧を付与するとともに、放射パックノズル当たり0.03MPaのエア圧力を付与して第2支持体の一面に平均直径が250nmであるPVDFナノ繊維で形成された繊維ウェブが備えられた積層体を製造した。製造された繊維ウェブは直径が0.1~0.2μmである第1ナノ繊維群、直径が0.2~0.3μmである第2ナノ繊維群および直径が0.3~0.4μmである第3ナノ繊維群をそれぞれ35重量%、53重量%、12重量%で含んで平均直径が250nmであるナノ繊維で形成されたし、坪量が10g/m2であり、厚さ13μm、平均孔径が0.3μm、気孔度が約75%であった。
【0136】
次に前記積層体の繊維ウェブに残存する溶媒、水分を乾燥させ、第2支持体とナノ繊維ウェブを熱融着させるために140℃以上の温度および1kgf/cm
2で熱と圧力を加えてカレンダー工程を実施した。製造された積層体は
図6のように、第2支持体とナノ繊維ウェブは熱融着されて結束されたし、ナノ繊維ウェブは3次元ネットワーク構造で具現された。
【0137】
その後、製造された積層体で第2支持体が第1支持体の両面に対面するように積層体を配置させた。この時、前記第1支持体は厚さが5mmであり、融点が約120℃であるポリエチレンをシース部とし、ポリプロピレンをコア部とする直径が約30μmである低融点第1複合繊維で形成された坪量が450g/m2である不織布(ナンヤン不織布、NP450)を使った。その後、140℃の熱および1kgf/cm2の圧力を加えてフィルタ部材を製造した。
【0138】
<準備例2>
準備例1と同一に遂行して有効濾過面積が2.5m2である平膜型フィルタ装置を具現した。ただし、使われた繊維ウェブは坪量が6g/m2であり、厚さ13μm、平均孔径が0.8μm、気孔度が約70%であった。
【0139】
<実施例1>
図1に図示されたように、MBRシステムを構成し、具体的には、準備例2に係る平膜型フィルタ装置を濾過部で膜濾過槽に収容させた後、膜濾過槽に濃度が約12,000mg/lである原水を流入させた。原水に対して下記の第1運転~第3運転を1セットにして5.8日間水処理した。具体的には、第1運転は減圧部を通じて膜濾過流速が15LMHとなるように10分間遂行した。第1運転の間収得された濾過水は第1流路を通じて濾過水貯蔵タンクに貯蔵した。その後、第1運転を停止して第1バルブを閉鎖し、第2バルブを開放させてエアタンクからエアを第2流路に移送させた後、流路内の残存する濾過水とともに第1流路を経由してエアをフィルタ部材の内側から外側に通過するように第2運転を20秒の間遂行した。この時、エアの圧力は50kPaとなるように設定した。その後、第2運転を停止し第3バルブを開放して120秒の間フィルタ部材などに残存するエアを放出させる第3運転を遂行した。
【0140】
<比較例1>
実施例1と同一に遂行して実施するものの、第2運転および第3運転を省略したし、具体的には、10分間第1運転後に140秒の間休止した後、再び第1運転を遂行することで繰り返した。
【0141】
<実験例1>
実施例1および比較例1に係る水処理運転による膜濾過流速、膜差圧を開始と同時に測定してその結果を下記の
図9a(実施例1)、
図9b(比較例1)に示した。
【0142】
図9aおよび
図9bを通じて確認できるように、第2運転を遂行していない比較例1の場合、5.8日経過後の差圧が初期濾過圧に対比10kPa以上変動したことを確認することができる。しかし、エアを通じて第2運転を遂行した実施例1の場合、5.8日が経過しても差圧の変動は5kPa未満であり、安定的であることが分かる。
【0143】
<実施例2>
図1に図示されたように、MBRシステムを構成し、具体的には準備例1に係る有効濾過面積が2.5m
2である平膜型フィルタ装置を膜濾過槽に収容させた後、膜濾過槽に濃度が約12,000mg/lである原水を流入させた。原水に対して下記の第1運転~第3運転を1セットにして8.8日間水処理した。具体的には、第1運転は減圧部を通じて膜濾過流速が20LMHとなるように10分間遂行した。第1運転の間収得された濾過水は第1流路を通じて濾過水貯蔵タンクに貯蔵した。その後、第1運転を停止して第1バルブを閉鎖し、第2バルブを開放させてエアタンクからエアを第2流路に移送させた後、流路内の残存する濾過水とともに第1流路を経由してエアをフィルタ部材の内側から外側に通過するように第2運転を10秒の間遂行した。この時、エアの圧力は30kPaとなるように設定した。その後、第2運転を停止し第3バルブを開放して110秒の間フィルタ部材などに残存するエアを放出させる第3運転を遂行した。
【0144】
<実施例3>
実施例2と同一に水処理を遂行するものの、準備例2に係る平膜型フィルタ装置を利用したし、第2運転時のエアの圧力を50kPaで15秒の間遂行したし、120秒の間第3運転を実施した。
【0145】
<実験例2>
実施例2および実施例3に係る水処理運転による膜濾過流速、膜差圧を開始と同時に測定してその結果を下記の
図10a(実施例2)、
図10b(実施例3)に示した。
【0146】
図10aおよび
図10bを通じて確認できるように、実施例2の平膜型フィルタ装置が水処理に実施例3に対比して安定した差圧の変化を見せることを確認することができ、特にさらに低い圧力で第2運転を遂行したにもかかわらずさらに低い差圧の変化を見せたことは、本発明の下水処理システムによる水処理運転条件にさらに最適化されたものであることが分かる。
【0147】
<実施例4>
準備例1に係る有効濾過面積が2.5m2である平膜型フィルタ装置を膜濾過槽に収容させた後、膜濾過槽に濃度が約12,000mg/lである原水を流入させた。原水に対して下記の第1運転~第3運転を1セットにして15.6日間水処理した。具体的には、第1運転は圧力付与手段を通じて膜濾過流速が25LMHとなるように9分間遂行した。第1運転の間収得された濾過水は第1流路を通じて濾過水貯蔵タンクに貯蔵した。その後、第1運転を停止して第1バルブを閉鎖し、第2バルブを開放させてエアタンクからエアを第2流路に移送させた後、流路内の残存する濾過水とともに第1流路を経由してエアをフィルタ部材の内側から外側に通過するように第2運転を12秒の間遂行した。この時、エアの圧力は30kPaとなるように設定した。その後、第2運転を停止して48秒の間フィルタ部材などに残存するエアを放出させる第3運転を遂行した。
【0148】
<比較例2>
実施例1同一に実施して水処理するものの、第2運転を遂行時にエアを注入せず、濾過水貯蔵タンクに貯蔵された濾過水を第1流路上に別途に設置させた圧力ポンプを利用して、フィルタ部材の内側から外側に48LMHで通過するように1分間第2運転を遂行したし、第3運転の遂行なしに第1運転と第2運転を15.6日間繰り返して遂行した。
【0149】
<実験例3>
実施例4および比較例2に係る水処理運転による膜濾過流速、膜差圧を開始と同時に測定してその結果を下記の
図11a(実施例4)および
図11b(比較例2)に示した。
図11aおよび
図11bを通じて確認できるように、濾過水を利用して第2運転を遂行した比較例2と実施例4の場合、類似する差圧変化を見せたことを確認することができ、これを通じて類似水準の洗浄効果があることが分かる。
【0150】
また、実施例4と比較例2の水処理に対する結果は下記の表1の通りである。
【0151】
【0152】
表1を通じて確認できるように比較例2の場合、濾過水回収率が実施例4に対比して20%ほど顕著に低下したことが分かり、実施例4が比較例2と類似する洗浄効果を見せるものの、濾過水生産効率においては非常に優秀であることが分かる。
【0153】
<実施例5>
韓国のキョンギ道パジュ市に位置した公共下水処理場内に、一日12m
3を処理できる
図1のようなパイロット下水処理システムを準備した。膜濾過槽に準備例1に係る有効濾過面積が16m
2である平膜型フィルタ装置を収容させた後、原水を流入させた。原水に対して下記の第1運転~第3運転を1セットにして103日間水処理した。具体的には、第1運転は減圧部を通じて膜濾過流速が25LMHとなるように9分間遂行した。第1運転の間収得された濾過水は第1流路を通じて濾過水貯蔵タンクに貯蔵した。その後、第1運転を停止して第1バルブを閉鎖し、第2バルブを開放させてエアタンクからエアを第2流路に移送させた後、流路内の残存する濾過水とともに第1流路を経由してエアをフィルタ部材の内側から外側に通過するように第2運転を12秒の間遂行した。この時、エアの圧力は30kPaとなるように設定した。その後、第2運転を停止して48秒の間フィルタ部材などに残存するエアを放出させる第3運転を遂行した。103日間の運転結果、原水内活性スラッジの濃度は11,400~12,000mg/Lを維持するようにした。
【0154】
<比較例3>
実施例5と同一に遂行して実施するものの、第2運転および第3運転を省略したし、具体的には、9分間第1運転後に60秒の間休止した後、再び第1運転を遂行することで繰り返した。
【0155】
<実験例3>
実施例5および比較例3に係る水処理運転による膜濾過流速、膜差圧を開始と同時に測定してその結果を下記の
図12a(実施例5)および
図12b(比較例3)に示した。
【0156】
図12aおよび
図12bを通じて確認できるように、第2運転を通じてのフィルタ部材の洗浄工程を遂行していない第2系列と表記された比較例3の場合、約67日稼動後に濾過圧力が-60kPaまで上昇して稼動を中断したし、薬品を通じてフィルタ部材に対する洗浄工程を実施した後に再稼働され得ることを確認することができる。
【0157】
一方、第1系列と表記された実施例5の場合、膜差圧の変化は初期濾過圧力10kPaから累積103日稼動時の濾過圧力が2kPaであり、差圧の変化は-8kPa水準に過ぎず、安定的に膜差圧を維持していることを確認することができる。
また、実施例5に係る下水処理運転中、30日経過後に収得された濾過水に対する大腸菌およびSS除去率を確認した結果、浮遊物(ss)および大腸菌が検出されず、濾過効率が優秀であることが分かる。
【0158】
<実施例6>
第1運転時に許容可能な膜濾過流速を確認するために、実施例5と同一に遂行するものの、第1運転時の濾過流速を35LMHに変更して約15日間下水処理を遂行した。
【0159】
<実験例4>
実施例6に係る水処理運転による膜濾過流速、膜差圧を開始と同時に測定してその結果を下記の
図13に示した。
図13を通じて確認できるように、第2系列と表記された実施例6の場合、膜濾過流速を25LMHから35LMHに変更した場合にも安定的に膜差圧を維持していることを確認することができる。
【0160】
<実施例7~8>
実施例4と同一に実施して遂行するものの、第1運転と第2運転の間に第1流路内の濾過水が残存しないように第1流路設備を調整し、第1流路内の濾過水を濾過水タンクにすべて移送させる追加工程を含ませて第1運転~第3運転を繰り返し遂行して下水処理を遂行した。この時、実施例7は空気の圧力を実施例4と同一にしたし、実施例8は空気の圧力を60kPaに調整した。
【0161】
<実験例5>
実施例4および実施例7に係る水処理運転による膜濾過流速、膜差圧を開始と同時に測定して5日経過後および15日経過後の膜差圧の変化を下記の表2に示した。
【0162】
【0163】
評価結果、実施例1の場合、15日経過時まで差圧の変動が5kPa未満を維持したが、実施例7および8の場合、約5日間は差圧の変化が5kPa未満を維持してから15日経過後9.5kPa、6.8kPaまで差圧の変動が発生したし、これを通じて、第1流路内の濾過水なしにエアを通過させて第2運転を遂行時に、さらに高い空気圧を加えないと膜差圧変化量を減少させることができないということが分かる。しかし、実施例4の場合、30kPa水準のエアの圧力で第2運転を遂行するにも関わらず膜差圧変化量を5kPa未満に安定的に維持することを通じて、第1流路内に残存する少量の濾過水とエアを共にフィルタ部材通過時に第2運転の効率を向上させることができることが分かる。
【0164】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明の思想は本明細書に提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施例を容易に提案できるであろうが、これもまた本発明の思想範囲内に含まれると言える。