(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】温室スクリーン
(51)【国際特許分類】
A01G 9/14 20060101AFI20230612BHJP
B32B 7/09 20190101ALI20230612BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20230612BHJP
A01G 13/02 20060101ALI20230612BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A01G9/14 S
B32B7/09
B32B27/36
A01G13/02 B
C09K3/00 R
(21)【出願番号】P 2020511497
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2018074773
(87)【国際公開番号】W WO2019053139
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-07-01
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518231286
【氏名又は名称】エービー ルドヴィグ スヴェンソン
【氏名又は名称原語表記】AB LUDVIG SVENSSON
【住所又は居所原語表記】511 82 Kinna, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100195545
【氏名又は名称】鮎沢 輝万
(72)【発明者】
【氏名】ホルガーソン, パー
(72)【発明者】
【氏名】アスプルンド, ダニエル
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-531900(JP,A)
【文献】特開2004-099695(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0087188(US,A1)
【文献】特開2017-213891(JP,A)
【文献】特開2007-211213(JP,A)
【文献】特開2003-061484(JP,A)
【文献】特開2008-067645(JP,A)
【文献】特開2001-320986(JP,A)
【文献】特開2000-272068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14- 9/26
A01G 13/02
B32B 7/09
B32B 27/36
C09K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム材料のストリップ(11)を備える温室スクリーンであって、フィルム材料のストリップ(11)は、編み工程、経編み工程、または製織工程により、緯糸(12、14、18)および経糸(13a、13b;15;19)の紡織システムによって相互に連結され、連続製品を形成し、少なくともいくつかの前記ストリップ(11)が、ASTM-D 1003-6(方法A)に従い測定されたとき、少なくとも93%の透明度を有するポリエステルフィルムを含み、前記ポリエステルフィルムが熱可塑性ポリエステルおよびUV安定剤を含む少なくとも1つのベース層Bを有し、前記ポリエステルフィルムが第1および第2表面を有し、防曇コーティングが前記ポリエステルフィルムの前記第1または第2表面の少なくとも1つに適用され、前記防曇コーティングが
分散組成物であり、
a)吸湿性の多孔質材料;
b)ポリマーベースの架橋剤;
c)接着を促進する有機官能性シラン;および
d)1つ以上の界面活性剤を含み、
前記防曇コーティングが、少なくとも60nmで最大150nmの厚さ、および、前記フィルムの前記機械方向(MD)において589nmの波長で、1.64未満の屈折率を有し、前記屈折率がベース層Bの前記屈折率より低いことを特徴とする、温室スクリーン。
【請求項2】
前記ポリエステルフィルムが、前記ベース層Bに適用される層A、または、層Aおよび層Cの間に位置する前記ベース層Bに適用される前記層Aおよび前記層Cを含む複層フィルムであり、前記層Aおよび/または層Cは熱可塑性ポリマーおよびUV安定剤を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の温室スクリーン。
【請求項3】
前記ポリエステルフィルムの総厚さが、少なくとも10μmで最大で40μmである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の温室スクリーン。
【請求項4】
前記ベース層Bが、少なくとも70重量%の熱可塑性ポリエステルからなり、前記熱可塑性ポリエステルが、少なくとも85モル%のエチレングリコールおよびテレフタル酸から誘導される単位を含む、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項5】
前記ポリエステルフィルムが、DIN 53728のパート3に記載された方法に従い測定されたとき、600超の標準粘度(SV)を有し、前記フィルムの前記SV値が950未満である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項6】
前記UV安定剤が、トリアジン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサジノンからなる群から選択され、前記ベース層B、および、存在する場合、前記層Aおよび/または前記層Cは、それぞれの層の重量を基準にして、0.3から3重量%の量の前記UV安定剤を含有する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項7】
前記防曇コーティングの前記屈折率が、前記フィルムの前記機械方向において589nmの波長で、1.60未満である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項8】
前記防曇コーティングの前記厚さは、少なくとも70nmで最大130nmである、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項9】
防曇コーティングが前記ポリエステルフィルムの前記第1または第2表面に適用され、前記防曇コーティングの反対の前記ポリエステルフィルムの表面が反射防止改質層を備え、前記反射防止改質層が、反射防止コーティングであるか、またはトップ層の改質によって形成され、および前記フィルムの前記機械方向において589nmの波長で測定されたとき、ポリエチレンテレフタレートの前記屈折率より低い屈折率を有する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項10】
前記防曇コーティングが、
少なくとも30nmで最大60nmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項9に記載の温室スクリーン。
【請求項11】
前記反射防止コーティングの前記屈折率が、前記フィルムの前記機械方向において589nmの波長で、
1.64未満である、ことを特徴とする請求項9または10に記載の温室スクリーン。
【請求項12】
前記反射防止コーティングが、70重量%超のメチルメタクリレートおよびエチルアクリレートの繰り返し単位を含む、ことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項13】
前記反射防止コーティングが、少なくとも1重量%のUV安定剤(前記反射防止コーティングの乾燥重量に基づき)を含む、ことを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項14】
前記反射防止コーティングが、少なくとも60nmで、最大で130nmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項9から13のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項15】
前記トップコート層の改質が前記ベース層B上の共押出によって形成され、前記トップコート層の改質が前記フィルムの前記機械方向において589nmの波長で測定されたとき、前記ベース層Bの前記ポリエステルより低い屈折率を有するポリエステルを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の温室スクリーン。
【請求項16】
前記トップコート層の改質の前記屈折率が、前記フィルムの前記機械方向において589nmの波長で、1.70未満である、ことを特徴とする請求項15に記載の温室スクリーン。
【請求項17】
前記トップコート層の改質の前記ポリマーが、少なくとも2モル%(各場合において、前記トップコート層の前記ポリマーの総モル%に対して計算された)のコモノマー分率を含む、ことを特徴とする請求項15および16のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項18】
前記トップコート層の改質が、8モル%超で、20モル%未満のイソフタル酸(各場合において、前記ポリエステルの前記ジカルボン酸成分に対して計算された)を含む、ことを特徴とする請求項15から17のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項19】
前記防曇コーティングは、少なくとも60nmで最大150nmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項15から18のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項20】
前記ポリエステルフィルムの前記第1および第2表面の両方が、防曇コーティングを備える、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項21】
前記フィルム材料の1以上の前記ストリップ(11)が、前記経糸(13a、13b;15;19)の間の距離より短い幅を有する、ことを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項22】
ギャップが、フィルム材料の前記1以上のストリップ(11)とフィルムの隣接するストリップ11の間に形成され、前記ギャップが前記スクリーンを介して換気を可能にする、ことを特徴とする請求項21に記載の温室スクリーン。
【請求項23】
前記温室スクリーン中のフィルム材料の前記ストリップ(11)の少なくとも10%は、前記単層または複層ポリエステルフィルムを含む、ことを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項24】
前記温室スクリーン中のフィルム材料のすべてのストリップ(11)が単層または複層ポリエステルフィルムである、ことを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載の温室スクリーン。
【請求項25】
温室において、請求項1から24のいずれか一項に記載の温室スクリーンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムの複数の柔軟なストリップを含むような温室スクリーンに関し、フィルムの複数の柔軟なストリップは、編み工程、縦編み工程、または製織工程によって、紡績糸骨格により相互に連結され、連続製品を形成する。より具体的には、本開示は、少なくとも一部のフィルムストリップが、少なくとも片面に永久防曇および反射防止(防眩)コーティングを含む、単層または複層コーティングされた透明な二軸配向のUV安定性ポリエステルフィルムを含む遮光スクリーンに関する。温室スクリーンは、特定の透明性、永久防曇特性、高いUV安定性を有する。
【背景技術】
【0002】
温室で使用する温室スクリーン用のフィルムは、いくつかの要件を満たさなければならい。一方で、植物の成長に必要な光の一部は、温室スクリーンを通過しなければならないが、温室の過度の加熱につながる不要な光の部分は反射されるべきである。夜間および早朝には、温室の省エネスクリーンは、温室の地面から上昇する熱を再放射し、かつ人工光を反射することで対流ブレーキとしても機能し、温室の内部で最適な光の入射を保証する。
【0003】
光合成波長範囲では、最適な植物成長のために高い光透過率が必要である。温室内の一般的に高い大気湿度のため、および、特に適切な気象条件(例えば、昼と夜の温度差)の間、温室スクリーンの植物に面する側の表面に水滴の形態で結露水が発生する。
【0004】
水滴は、液膜とは対照的に、強い光反射効果と強い反射効果を発揮し、特に光量の少ない朝の時間では、光合成が大幅に低下する。さらに、水滴が付着しない、または滴下することによる植物や植物の部分の損傷、および光の入射時に植物や植物の部分に損傷を与える焦点レンズとして作用する可能性のあるフィルム表面の水滴によって引き起こされる燃焼現象が回避される。したがって、温室スクリーンに結露水が発生する気象条件においても、できる限り光透過性が損なわれないようにすることが重要である。気象条件に加えて、水とプラスチックの異なる表面張力が結露を促進する。防曇性のあるフィルムは、水滴の形成を防ぎ、かつプラスチックフィルムを通して明確な視界を可能にする。
【0005】
一般に、防曇添加剤は、押出プロセス中にポリマーマトリックスに組み込むか、またはコーティングとしてポリマーマトリックスに適用することができる。このような防曇添加剤は、一般に、ポリマーマトリックスに固定するための非極性脂肪族領域と、水と相互作用して水滴の表面張力を低下させることができる極性親水性領域とを有する二価化合物であり、そのため、フィルム表面に連続的な透明な水膜(親水性表面により)が形成される。
【0006】
防曇添加剤の使用は、収穫量を減少させないために、半透明性に悪影響を与えてはならず、したがって温室効果ホイルの透明性に悪影響を与えてはならない。
【0007】
さらに、温室フィルムは、温室スクリーンを温室で少なくとも5年間使用でき、かつ表面の大幅な黄変、脆化または亀裂、機械的特性の深刻な悪化、または透明性の著しい減少なく、UV安定性を備えていることが望ましい。
【0008】
液滴の形成が非常に言明された凝縮の形成を伴って起こる場合、防曇成分は、有毒または特に環境に有害な物質を含んではならない。望ましくない物質の中には、特に、防曇システムで頻繁に使用されるアルキルフェノールエトキシレートがある(例えば、国際公開第1995/018210号参照)。
【0009】
一般的に、親水性の水溶性ポリマーおよび/または界面活性剤に基づく表面活性コーティングは、防曇効果を達成するためにプラスチックフィルムの表面をコーティングするために使用される。界面活性剤は、本質的に非イオン性、カチオン性、アニオン性または双性イオン性であり得るが、ポリマー界面活性剤または保護コロイドも防曇剤として使用することができる。防曇コーティングのさらなる一般的な成分は、例えば、脂肪酸エステルおよびそれらの誘導体、脂肪族アルコールおよびそれらのエステル、ポリエトキシル化芳香族アルコール、1つ以上のエステル化ソルビトールエステル、モノエステル化またはエステル化グリセロールエステル、混合グリセロールエステル、または例えばエトキシル化アミンである。例えば、グリセロールエステル、ソルビトールエステル、およびエトキシル化アミンなどの3つのクラスの物質の有効成分の組み合わせが一般的である。防曇添加剤として使用される適切な物質は、例えば、国際公開第97/22655号に記載されている。
【0010】
水溶性ポリマーおよび/または界面活性剤の根本的な問題は、コーティングの容易な洗浄性であり、それにより永久的な防曇効果を実現することができない。防曇コーティングを有する従来のポリエステルフィルムは、欧州特許第1647568号明細書および欧州特許第1777251号明細書に記載されている。これらのポリエステルフィルムは良好な機械的特性を備えているが、透明性が低い。さらに、風化下での長期安定性が低くなる。さらに、これらのポリエステルフィルムの防曇効果は、対応する防曇添加剤が水に溶けるので簡単に洗い流されるため、ほんの数か月の短い寿命を有し、活性物質は、温室スクリーンとして使用されるとき急速に消費される。
【0011】
欧州特許出願公開第1152027号明細書、欧州特許出願公開第1534776号明細書、および欧州特許出願公開第2216362号明細書は、食品のパッケージングに持続性のある防曇性を備えた、PVC、LDPE、およびEVAに基づくポリオレフィンフィルム、および、無機親水性コロイド物質(コロイドのシリコン、アルミニウムおよびその他)、および非イオン性、アニオン性またはカチオン性の界面活性添加剤に基づく防曇添加剤を使用した温室用途への適用を記載している。これらのフィルムは永久的な防曇性を示すが、ポリエステルベースの温室スクリーンとは対照的に、機械的特性が大幅に低下する。
【0012】
したがって、既知の先行技術のポリエステルフィルムは、高い透明性および長期安定性の組み合わせにおいて、永久的な防曇コーティングを持たないため、不利であると結論付けることができる。
【発明の概要】
【0013】
したがって、永久的な防曇特性(以下、防曇特性ともいう)を有し、同時に少なくとも93%の高い透明度を有するポリエステルフィルムのストリップを含む温室スクリーンが必要とされている。ポリエステルフィルムは、また、表面の大幅な黄変、脆化、または亀裂、または、温室用途にとって重要な機械的および光学的特性の劣化なしに、少なくとも5年間のUV安定性が必要である。10から40μmの厚さの範囲では、フィルムは、また、単層システムまたは複層システムの両方等の既存のポリエステルフィルムシステムで経済的に製造されるべきである。
【0014】
第1の観点から見ると、本教示は、連続製品を形成するように、編み工程、縦編み工程、または製織工程によって、緯糸および経糸の紡織システムによって相互接続されるフィルム材料のストリップを含む温室スクリーンを提供する。ストリップの少なくともいくつかは、少なくとも93%の透明度を有するポリエステルフィルムを含み、前記ポリエステルフィルムは、熱可塑性ポリエステルおよびUV安定剤を含む少なくとも1つのベース層Bを有する。ポリエステルフィルムは、第1および第2の表面を有し、永久防曇コーティングがポリエステルフィルムの第1または第2の表面の少なくとも1つに適用される。防曇コーティングは、ベース層Bよりも低い屈折率を有する。
【0015】
本願明細書に記載の温室スクリーンは、糸の骨組みによって一緒に保持されたフィルム材料の複数の狭いストリップを含む。フィルム材料のストリップは、好ましくは、それらが実質的に連続した表面を形成するように、端から端まで密接に配置される。スクリーンは、縦方向yと横方向xを有し、フィルム材料のストリップは縦方向に伸びている。いくつかの実施形態では、フィルム材料のストリップは、横方向にも延びることができる。ストリップの一般的な幅は2mmと10mmの間である。
【0016】
本願明細書に開示されるフィルム材料は、少なくとも93%、例えば、少なくとも94%、例えば、少なくとも94.5%、少なくとも95%の透明度、または理想的には少なくとも95.3%の透明度を有する。透明度が高いほど、温室での植物の成長が良くなる。温室スクリーンの高い透明性は、以下に説明する原材料と粒子含有量を使用することによって達成されるが、主に透明性の向上は、ポリエステルフィルムの少なくとも1つの表面に永続的な防曇コーティングを提供することによって達成される。
【0017】
ポリエステルフィルムは、ベース層Bに適用された層A、またはベース層Bに適用された層Aおよび層Cを含む複層フィルムであってよく、ベース層Bは層Aと層Cとの間に位置し、層Aおよび/またはCは、熱可塑性ポリマーおよびUV安定剤を含む。
【0018】
単層フィルムストリップは、ベース層(B層)とも呼ばれる単層のフィルムのみで構成されている。単層の実施形態(モノフォイル)では、フィルムはベース層Bによって表される。
【0019】
複層の実施形態では、フィルムは、ベース層、および、少なくとも1つのさらなる層(例えば、A層および/またはC層)を備え、少なくとも1つのさらなる層は、フィルム内の位置に応じて、少なくとも1つさらなる層がその2つの表面のそれぞれに配置されている場合は中間層と呼ばれ、またはそれがフィルムの外層を形成する場合は外層と呼ばれる。複層の実施形態では、ベース層の厚さは、少なくとも残りの層の厚さの合計と同じくらい大きい。好ましくは、ベース層の厚さは、総フィルム厚の少なくとも55%、および理想的には総フィルム厚の少なくとも63%である。
【0020】
外層Aおよび/またはCの厚さは、好ましくは少なくとも0.5マイクロメートル、例えば少なくとも0.6マイクロメートル、および理想的には少なくとも0.7マイクロメートルである。外層の厚さは3マイクロメートル以下、例えば2.5マイクロメートル以下、および理想的には1.5マイクロメートル以下である。0.5マイクロメートル未満では、プロセスの安定性と外層の厚さの均一性が低下する。0.7マイクロメートルから、非常に優れたプロセス安定性が得られる。
【0021】
ベース層Bと1つまたは複数の外層Aおよび/またはCとの間の厚さの関係は重要である。フィルムの総厚さと比較して、外層が厚くなりすぎたり、ベース層が薄すぎたりすると、スクリーンの費用対効果が減少し、それは、生産プロセスに由来する取戻(再生)をベース層に追加する必要があるためである。UV安定性や透明度等の特性も、ベース層で悪影響を受ける可能性がある。
【0022】
ポリエステルフィルムの総厚は、少なくとも10μm、および、最大で40μm、好ましくは30μm以下である。好ましくは、フィルムは、少なくとも14μm、および、最大で25μm、例えば、少なくとも14.5μmおよび最大で20μmである。
【0023】
フィルムの厚さが10μm未満の場合、フィルムの機械的強度は、温室用途で見られる温室スクリーンの使用中に発生する可能性のある張力に対応するのに十分ではない。40μmを超えると、フィルムが硬くなり、および温室で使用されていないときにスクリーンを含むフィルムがつぶれると、対応する投影領域が大きくなりすぎる。
【0024】
ベース層Bは、少なくとも70重量%の熱可塑性ポリエステルからなり、熱可塑性ポリエステルは、エチレングリコールおよびテレフタル酸に由来する少なくとも85モル%、好ましくは少なくとも90モル%、例えば少なくとも92モル%の単位を含む。
【0025】
ベース層Bは、少なくとも70重量%の熱可塑性ポリエステルからなり、残りの成分は、UV安定剤、粒子、難燃剤、ポリオレフィン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、および他の添加剤のような添加剤、および/またはポリエステル互換性ポリマー、例えばポリアミドで構成されている。他の添加剤および/またはポリエステル互換性ポリマー(例えば、ポリアミド等)は、20重量%未満、好ましくは2重量%未満の量で存在し、および特に好ましくはベース層B、または層Aおよび/またはCにおいて全く存在しない。他の添加剤および/またはポリマーの使用は、フィルム形成プロセス中の再生材料の戻り中に、フィルムの望ましくない黄変をもたらす可能性がある。この結果、追加できる再生材料の量を減らす必要があり、それによって経済効率が低下する。さらに、他の添加剤を使用すると、フィルムの機械的特性が低下する可能性がある。
【0026】
適切なポリエステルは、とりわけ、エチレングリコールとテレフタル酸(=ポリエチレンテレフタレート、PET)、エチレングリコールとナフタレン-2,6-ジカルボン酸(=ポリエチレン-2,6-ナフタレート、PEN)、2,5-フランジカルボン酸とエチレングリコール、ならびに上記のカルボン酸およびジオールの任意の混合物のポリエステルである。少なくとも85モル%、例えば少なくとも90モル%、例えば理想的には少なくとも92モル%のエチレングリコール単位およびテレフタル酸単位からなるポリエステルが好ましい。ナフタレン-2,6-ジカルボン酸の使用は、テレフタル酸の使用と比較して利点がなく、したがって、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸の価格が高いため、通常は好ましくない。2,5-フランジカルボン酸も価格が高いため、一般的には使用されていない。残りのモノマー単位は、他の脂肪族、脂環式または芳香族ジオールまたはジカルボン酸から誘導される。
【0027】
適切な脂肪族ジオールは、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、一般式HO-(CH2)n-OHの脂肪族グリコールであり、nは好ましくは10未満、シクロヘキサンジメタノール、ブタンジオール、プロパンジオール等である。適切な他のジカルボン酸は、例えば、イソフタル酸、アジピン酸等である。温室用途では、フィルムに、2重量%未満、好ましくは1.5重量%未満のジエチレングリコール(層のポリエステルの総重量に基づく)またはジエチレングリコールに由来する単位が含まれている場合、ランニング安定性と耐候性に有利であることが証明されている。同じ理由で、ベース層Bがポリエステルのジカルボン酸成分に対して、12モル%未満、好ましくは8モル%未満、および通常5mol%未満のイソフタル酸(IPA)を含む場合に有利であることが証明されている。ベース層Bがポリエステルのジオール成分に対して、3モル%未満、例えば1モル%未満のCHDM(1,4-シクロヘキサンジメタノール)を含む場合も有利であることが見出されている。上記のコモノマーの含有量、特にCHDMの含有量が上記の制限を超えない場合、フィルムから製造された省エネスクリーンのUV安定性は、制限を超えている実施形態よりもはるかに優れている。
【0028】
ベース層Bに加えて、フィルムの残りの層もまた、上記のようなポリマーを含む。例外は、以下でさらに説明するように、防曇コーティングの反対側のベース層Bに共押出しによって適用される反射防止の改質である。この反射防止コーティングには、以下に示す量のコモノマーが含まれている。
【0029】
本願明細書に記載されるようなフィルムの製造に関して、使用されるポリエステルの標準粘度(SV)値は、フィルムが600を超える、例えば650を超える、例えば700を超えるようなSV値を有するように選択され、フィルムのSV値は950未満、例えば850未満である。
【0030】
SV値が600未満の場合、フィルムは製造中に非常に壊れやすくなり、頻繁に破損する。さらに、最終用途では、粘度がさらに急速に低下し、破壊シーケンスによってフィルムの柔軟性が失われる。さらに、以下に説明する機械的強度は、SV値が低いと確実に達成されなくなる。フィルムが950よりも高いSVを有している場合、使用するポリマーも少なくとも950の平均SVを有していなければならない。これらのポリマーは、押出機内の溶融物中で非常に強靭なままであり、押出機の電気モータの動作中に過度に高い電流が発生し、押出中に圧力変動が生じ、運転の安全性が低下する。
【0031】
温室用途で使用されるフィルムは、370nmから300nm未満の波長範囲で透過率が低くなければならない。この範囲では、光透過率は40%未満、好ましくは30%未満、および好ましくは15%未満であるべきである。これにより、フィルムがもろくなったり、黄変したりするのを防ぎ、ならびに温室の植物や設備が紫外線から保護される。390と400nmの間で、透明度は20%より大きく、好ましくは30%より大きく、および特に好ましくは40%より大きくする必要があり、これは、この波長範囲が光合成活性であり、および、この波長範囲で透明度が損なわれると植物の成長が悪影響を受けるためである。
【0032】
低UV透過性は、有機UV安定剤を添加することにより達成される。UV安定剤は、トリアジン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサジノンからなる群から選択される。ベース層B、および存在する場合、層Aおよび/または層Cは、すべて、それぞれの層の重量を基準にして、0.3から3重量%、例えば0.75から2.8重量%の量のUV安定剤を含有する。
【0033】
とりわけトリアジンが特に好ましいく、それは、それらは、PETに慣用の275から310℃の加工温度で、良好な熱安定性およびフィルムからの低いガス放出を有するからである。特に適切なのは、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシル)オキシ-フェノール(Tinuvin(登録商標)1577)である。特に好ましいのは、BASFによって商標名Tinuvin 1600(商標)として市販されている、2-(2’-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)トリアジンである。これらのトリアジンを使用すると、安定剤の濃度が低くても370nm未満で好ましい低い透明度を達成でき、同時に390nmを超える波長で高い透明度が達成される。
【0034】
フィルム、または複層フィルムの場合、すべてのフィルム層は少なくとも1つの有機UV安定剤を含む。UV安定剤は、それぞれの層の重量に基づいて、0.3と3重量%の間の量で最上層またはモノフィルムに添加される。0.75と2.8重量%の間のUV安定剤含有量が特に好ましい。最上層には、通常、1.2と2.5重量%の間のUV安定剤が含まれている。フィルムの複層の実施形態では、外層に加えて、ベース層は、好ましくはUV安定剤も含み、重量%でのUV安定剤の含有量は、好ましくはこのベース層において外層よりも低い。上層のこれらの記載内容は、トリアジン誘導体に関するものである。トリアジン誘導体の代わりに、ベンゾトリアゾールまたはベンゾオキサジノンの群からのUV安定剤を全部または一部使用する場合、トリアジン成分の置換部分は、ベンゾトリアゾールまたはベンゾオキサジノン成分の1.5倍の量で置換する必要がある。
【0035】
一般に主成分ポリエステルと相溶性のないホワイトニングポリマー(ポリプロピレン、シクロオレフィンコポリマー(COCs)、ポリエチレン、非架橋ポリスチレン等)を使用する場合は、0.1重量%未満(フィルムの重量に基づく)の量で添加する必要があり、好ましくは全くなく、それは、ホワイトニングポリマーは透明度を大きく低下させ、かつフィルムの燃焼挙動に悪影響を与えるからである。ホワイトニングポリマーは、UVの影響下で強く黄変する傾向もあるため、かなりの追加量のUV安定剤が必要になり、温室スクリーンの経済効率が大幅に悪化する。
【0036】
ベース層およびカバー層は、また、スクリーンの巻き取り性を改善するための粒子を含んでもよい。そのような無機または有機粒子は、炭酸カルシウム、アパタイト、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、架橋ポリスチレン、架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ゼオライト、およびケイ酸アルミニウム等の他のケイ酸塩、またはTiO2またはBaSO4等の白色顔料である。これらの粒子は、好ましくは外層に添加されて、フィルムの巻き取り性を改善させる。このような粒子を添加する場合、透明性を低下させる効果が小さいため、シリカ系粒子を使用することが好ましい。これらの粒子または他の粒子の割合は、いずれの層においても3重量%以下であり、および、好ましくは各層において1重量%未満、および、より好ましくは0.2重量%未満である(それぞれの場合において、それぞれの層の総重量に基づく)。複層の実施形態の場合、これらの粒子は、好ましくは一方または両方の外層に加えられ、および再生材料を介してほんのわずかしかベース層に到達しない。したがって、透明性の最小限の低下は、巻き取り性を改善するために必要な粒子によって達成される。好ましくは、少なくとも1つの外層は、少なくとも0.07重量%のこれらの粒子を含む。
【0037】
温室での火災は高い経済的損害の原因となるため、フィルムの可燃性は低くなければならない。温室スクリーンに適した燃焼挙動を達成するために、粒子、ならびに白色顔料および非相溶性ポリマーの含有量が、本願明細書に開示されるような特に好ましい範囲内で好ましいまたはより良い中であれば、難燃剤は不要である。これらの場合、フィルムは火災試験で4以下のグレードに達する。
【0038】
上記のグループの1つで好ましい含有量よりも多い含有量を使用する場合、または特定の温室用途でさらに低い消火挙動が必要な場合、フィルムが有機リン化合物に基づく難燃剤をさらに含むと有利である。これらは、好ましくはリン酸またはホスホン酸のエステルである。リン含有化合物がポリエステルの一部である(=重合している)と有利であることが証明されている。非重合リン含有難燃剤、例えばAdeka rod 700(4,4’-(イソプロピリデンジフェニル)ビス(ジフェニルホスフェート))は、製造中の難燃剤のガス放出の欠点に加えて、フィルム、すなわちポリエステルの加水分解安定性に非常に強い悪影響を及ぼし、湿気および温暖な温室気候においてフィルムの急速な脆化が発生し、および温室スクリーンは、より頻繁に交換する必要がある。
【0039】
これらの影響は、ポリエステル鎖に組み込まれたリン化合物を使用することで大幅に減少する。2-カルボキシエチル-メチルホスフィン酸(例えば、西独国特許出願公開第2346787号明細書に記載されている他の適切な化合物)を使用する場合、リンは主鎖の一部であってもよい。しかしながら、温室条件下では加水分解が少ないため、リンが側鎖に位置するリン化合物が特に好ましい。このような化合物は、好ましくは以下の式(I)の化合物である。
【0040】
【化1】
R
1は、-COOR
4、-OR
5および-OCOR
6から選択されるエステル形成基であり、
R
2およびR
3は、ハロゲン原子、1-10個の炭素原子を有する炭化水素基、およびR
1から独立して選択され、
R
4は、水素またはカルボニル基またはOH基またはカルボキシル基を含み得る1-10個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
R
5は、水素またはOH基またはカルボキシル基を含み得る1-10個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
R
6は、OH基またはカルボキシル基を含み得る1-10個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
Aは、1-8個の炭素原子を有する二価または三価の炭化水素基であり、
n
1は、1または2であり、
n
2およびn
3は、それぞれ0、1、2、3または4であり、特に式(I)の前記化合物は2つのエステル形成官能基を有する。
【0041】
6-オキソ-ジベンゾ[c、e]-[1,2]オキサホスホリン-6-イルメチル-コハク酸-ビス(2-ヒドロキシエチル)エステル(CAS No.63562-34-5)が特に適している。ポリエステルの製造においてこのモノマーを使用して、加水分解に対する感受性が比較的低いポリマーを与えることにより、良好な操作信頼性を有するフィルム製造プロセスも可能になる。
【0042】
モノマーである6-オキソ-ジベンゾ-[c、e]-[1,2]オキサホスホリン-6-イル-メチル-コハク酸ビス(2-ヒドロキシエチル)エステル(CAS No.63562-34-5)がポリエステル調製で使用されるとき、重合難燃剤および比較的低レベルの加水分解を有するポリマーが得られ、それは良好な運転安定性でフィルム製造において処理することができる。
【0043】
リンの比率が高くなるほど、温室の燃焼および焼けることの速度は低くなるが、これらの利点は、加水分解の安定性が低下するという犠牲を伴う。このため、フィルム中のリンの割合が少なくとも500ppm、好ましくは少なくとも1200ppm、および典型的には少なくとも1600ppmになるように難燃剤の量が調整される。リンの割合は、(モル質量ではなく)使用されるすべての成分のそれぞれの重量に基づいて、5000ppm未満、好ましくは4000ppm未満、および典型的には3000ppm(ppm)未満である。これらの量のリンで、加水分解によるフィルム分解は数年以内の使用では予想されない。
【0044】
リン含有量は、層全体に均一にまたは異なって分布することができる。しかしながら、外層が内層のリン濃度の少なくとも75%を含み、好ましくはそれらが同じリン濃度を含み、および最上層が好ましくはベース層より少なくとも5%多いリンを含む場合に有利であることが見出された。これは、特に好ましい火災挙動につながり、および一般に必要なホスフィンの量は少なくなる。
【0045】
コーティングとトップコート層の改質
本願明細書に記載のフィルムについて少なくとも93%、例えば94%、例えば94.5%、および理想的には95%の透明度を達成するために、コーティングされていない二軸配向ポリエステルフィルムは少なくとも91%の透明度を有さなければならず、および少なくとも片側には防曇コーティングが施される。
【0046】
一実施形態では、ポリエステルフィルムは、片側に防曇コーティングが提供され、それは同時に透明度の増加に寄与する(反射防止改質として作用する)。この実施形態では、93%の最小かつ好ましい透明度値が達成される。
【0047】
以下に説明する防曇コーティングは、ポリエステルフィルムよりも低い屈折率でなければならない。防曇コーティングの屈折率は、フィルムの縦方向に589nmの波長で1.64未満、好ましくは1.60未満、および理想的には1.58未満である。
【0048】
さらに、防曇コーティングの厚さは、少なくとも60nmで最大150nm、好ましくは少なくとも70nmで最大130nm、特に好ましくは少なくとも80nmで最大120nmでなければならない。
【0049】
これにより、望ましい波長範囲で理想的な透明度が向上する。60nm未満の層厚では、防曇コーティングが透明度の向上に寄与しなくなる。しかしながら、少なくとも30nmの層厚では、永久的な防曇特性が保持される。最大150nmの層厚さを超える場合、防曇コーティングの厚さをさらに増加させても、さらなる透明度の増加はもたらされない。さらに、コーティング材料の消費量が多いため、フィルムの費用対効果が低下する。
【0050】
防曇コーティングを追加することで、永久的な防曇効果を実現する。しかしながら、少なくとも93%の透明度値を達成するために、この実施形態に係るスクリーンは、ポリエステルフィルムの第1または第2の表面に適用された防曇コーティングを有さなければならず、および防曇コーティングに面するポリエステルフィルムの表面は、反射防止コーティングであるか、またはトップコート層改質によって形成される、反射防止改質層を備えなければならない。
【0051】
反射防止コーティングまたはトップコート層修飾のいずれかによって形成される、この反射防止改質層は、ポリエチレンテレフタレートよりも低い屈折率を持たなければならない。反射防止改質層が反射防止コーティングによって表される場合、このコーティングはポリエステルフィルムよりも低い屈折率を有する。これにより、反射防止コーティングの縦方向の波長589nmでの屈折率は、1.64未満、好ましくは1.60未満、および理想的には1.58未満である。この実施形態では、フィルムの反対側の防曇コーティングは、少なくとも30nm、および好ましくは少なくとも40nm、および特に好ましくは少なくとも50nm、および最大で60nmの厚さを有する。
【0052】
反射防止コーティングで使用される特に適切なコポリマーは、ポリアクリレート、シリコーンおよびポリウレタン、ならびにポリ酢酸ビニルである。適切なアクリレートは、例えば、欧州特許出願公開第0144948号明細書に記載されており、および適切なシリコーンは、例えば、欧州特許出願公開第0769540号明細書に記載されている。アクリルに基づくコーティングが特に好ましく、それは、これらが、シリコーンベースのコーティングの場合よりもはるかに多い、温室でコーティング成分を一掃したり、またはコーティングの一部を剥がしたりする傾向がないためである。好ましくは、コーティングは、アクリレートとシリコーンのコポリマーを含む。
【0053】
一実施形態では、反射防止コーティングは、70重量%を超えるメチルメタクリレートおよびエチルアクリレート、特に好ましくは80重量%を超えるメチルメタクリレートおよびエチルアクリレート、および理想的には93重量%を超えるメチルメタクリレートおよびエチルアクリレートの繰り返し単位を含む。一実施形態において、50重量%を超える反射防止コーティングは、メチルメタクリレート繰り返し単位を含む。
【0054】
さらなる実施形態では、反射防止コーティングは、10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、および理想的には1重量%未満の芳香族構造要素を含む繰り返し単位を含む。芳香族構造要素を有する繰り返し単位の含有量が10重量%を超えると、コーティングの耐候性が著しく低下する。
【0055】
反射防止コーティングは、特に好ましくは、(乾燥重量に基づいて)少なくとも1重量%のUV安定剤を含む。本願明細書では、Tinuvin 479またはTinuvin 5333-DWが特に優先される。HALS(ヒンダードアミン光安定剤)はあまり好ましくなく、それは、これらが再生中の材料の明確な黄変(製造からのフィルム残留物の戻り)につながり、したがって透明性の低下につながるからである。さらに、反射防止コーティングは、アクリレート-シリコーンコポリマーまたはポリウレタン(例えば、DSMコーティングレジンLLCからのNeoRez(登録商標)R-600)および別のUV安定剤であり得る。
【0056】
反射防止コーティングの厚さは、少なくとも60nm、好ましくは少なくとも70nm、および特に少なくとも80nmであり、および最大で130nm、好ましくは最大で115nm、および理想的には最大で110nmである。これにより、所望の波長範囲で理想的な透明度の向上が達成される。
【0057】
一実施形態では、反射防止コーティングの厚さは、87nmを超え、およびより好ましくは95nmを超えるが、コーティングの厚さは、好ましくは115nm未満であり、および典型的には110nm未満である。
【0058】
この狭い厚さの範囲では、透明度の増加は最適に近く、他の可視スペクトルと比較して、UVおよび青色の光の範囲の反射が増加する。これは、一方で、UV安定剤を節約するが、何よりも、光の青/赤の比率が赤の部分に優先してシフトする。これにより、植物の成長が改善され、開花と果実の発達が促進される。
【0059】
反射防止改質がトップコート層改質によって形成される場合、トップコート層改質は、ベース層Bへの共押出によって形成され、トップコート層改質は、ベース層Bのポリエステルよりも低い屈折率を有するポリエステルを含む。
【0060】
共押出によって提供されるトップコート層の縦方向における波長589nmでの屈折率は、1.70未満、好ましくは1.65未満、および特に好ましくは1.60未満である。
【0061】
トップコート層改質のポリマーは、少なくとも2モル%、好ましくは少なくとも3モル%、および特に好ましくは少なくとも6モル%のコモノマー分率を含む。
【0062】
2mol%未満では、屈折率に望ましい値を達成できない。コモノマー含有量は、20モル%未満、例えば18モル%未満、例えば16モル%未満である。16モル%を超えると、層のアモルファス性のためにUV安定性が著しく低下し、および20モル%を超えると、16モル%未満のように、より多いUV安定剤で、同じレベルのUV安定性を達成できなくなる。
【0063】
使用されるコモノマーは、エチレングリコールとテレフタル酸(またはテレフタル酸ジメチル)を除くすべてのモノマーである。本願明細書に記載されるコモノマーの割合は、常にすべてのコモノマーの合計を指す。好ましくは、2つ以下のコモノマーが同時に使用される。イソフタル酸は、コモノマーとして特に好ましく、それは、外層におけるIPAの存在がフィルムの透明性を高めるのに役立つからである。
【0064】
好ましくは、共押出によって提供されるトップコート層改質は、8モル%を超えるIPA、およびより好ましくは10モル%を超えるIPAを含むが、20モル%未満のIPA、好ましくは19モル%未満、およびより好ましくは15モル%未満(ポリエステルのジカルボン酸成分に関して)を含む。
【0065】
8モル%を超えるコモノマー含有量の層(この層のポリエステルまたはそのジカルボン酸成分に基づいて)は、増加したコモノマー含有量を有する層の不十分なUV安定性を補償するために、層の総重量に基づき、有利には少なくとも1.5重量%、および特に好ましくは2.1重量%を超える有機UV安定剤も含む。
【0066】
一実施形態では、1つのフィルム表面は、少なくとも60nm、好ましくは少なくとも70nm、および特に少なくとも80nmの厚さの防曇コーティングを有し、および最大で150nm、好ましくは最大で130nm、および典型的には120nmである。
【0067】
フィルムの機械方向における589nmの波長での防曇コーティングの屈折率は、1.64未満、好ましくは1.60未満であり、および典型的には1.58未満である。防曇コーティングの反対側のフィルム表面には、既に上述したように形成された反射防止改質が提供されている。その結果、少なくとも94.5%の特に好ましい透過率の値と95%の理想的な透明度の値が、特に簡単に達成できる。これらのフィルムは、コールドフォグおよびホットフォグ試験で非常に優れた結果を示し、透明度が非常に高いため、温室での複数年の使用に特に適している。
【0068】
さらなる実施形態では、ポリエステルフィルムの第1および第2の表面の両方に防曇コーティングが提供される。この実施形態では、両方の防曇コーティングは、少なくとも60nm、好ましくは少なくとも80nm、および最大で150nm、好ましくは最大で130nm、および理想的には最大で120nmの厚さを有する。フィルムの機械方向における589nmの波長での防曇コーティングの屈折率は、1.64未満、好ましくは1.60未満であり、および典型的には1.58未満である。少なくとも94.5%の好ましい透明度の値は、両面に防曇コーティングを提供することによって達成できる。単一のコーティング組成物を使用することにより、非常に優れた永久的な防曇特性(コールドフォグおよびホットフォグ試験)を備えた高透明フィルムを実現できる。このフィルムは、湿度の高い状態(結露)が続く温室で特に適しており、それは、2つの側面の防曇コーティングにより、フィルムの両面に水滴が形成されるのを防ぐことができるため、水滴形成による透明性の損失を最小限に抑えることができる。さらに、水滴のレンズ効果も減少する。
【0069】
本願明細書に記載されるように高い永久防曇効果を達成するために、フィルムは少なくとも片面に永久防曇コーティングを備えていなければならない。表面の良好な防曇特性は、ポリエステルフィルムの表面に微細な水滴(例えば、温室での結露)の形成が観察されないときに得られ、同時に、コーティングの耐洗濯性がよい。優れた防曇性の最小要件は、高い表面張力または低い接触角である(方法のセクションを参照)。防曇特性は、防曇表面の表面張力が少なくとも46mN/m、例えば少なくとも48mN/m、例えば少なくとも55mN/mである場合、十分に良好である。
【0070】
永久的な防曇効果は、コールドフォグ試験では少なくとも1年間、ホットフォグ試験では少なくとも3か月間達成できる(望ましい評価AおよびB、方法の部分またはサンプルの表を参照)。本願明細書に記載のコーティング組成物を使用することにより、永久的な防曇特性および少なくとも93%の透明度が達成される。共押出トップコート層の改質のような反射防止改質を伴う複層の実施形態の場合、反射防止改質されたCoex層の永久防曇コーティングがフィルムの反対側に適用される。
【0071】
本願明細書で使用される防曇コーティング組成物は分散液であり、水(連続相)に加えて、以下の成分(分散相)を含む:
a)吸湿性の多孔質材料;
b)ポリマーベースの架橋剤;
c)接着を促進する有機官能性シラン;および
d)1つ以上の界面活性剤
【0072】
防曇コーティングは、コーティング組成物を乾燥させることによって形成される。コーティングは、1.0と3.0g/m2の間の塗布重量で均一に塗布される(湿式塗布)。コーティング分散液を調製するには、成分a)-d)を最初に乾燥または純粋(つまり、非溶解または非分散状態)で導入し、その後、水性媒体に分散させ得るか、いずれの場合も、水性媒体に個別に、事前分散または溶解し、続いて混合し得、および適切な場合は水で希釈する。成分a)-d)は、それぞれ個別に分散または溶解される場合、得られた混合物を使用する前に少なくとも10分間スターラで均質化するなら、有利であることがわかっている。成分a)-d)が純粋な形で(つまり、非溶解または非分散状態で)使用される場合、対応する均質化プロセスの使用により分散中に高剪断力が適用される場合に特に有利であることが証明されている。
【0073】
分散液の非水性部分は、好ましくは2から20重量%の範囲、および特に好ましくは5から18重量%の範囲である。
【0074】
吸湿性の多孔質材料(すなわち、成分a))は、アモルファスシリカ、シリコン、アルミニウムまたはチタンを含有する無機アルコキシド(独国特許発明第6983371号明細書に記載)、カオリン、架橋ポリスチレンまたはアクリレート粒子等の無機および/または有機粒子から有利に選択される。防曇特性に対する悪影響が観察される可能性があるため、無機アルコキシド、架橋ポリスチレンまたはアクリレート粒子の使用は不利であることが判明した。アモルファスシリカ等の多孔性SiO2、およびケイ酸アルミニウム(ゼオライト)を使用することが好ましい。さらに、SiO2ナノ粒子は、フィルム表面の湿潤性を増加させるために、ならびに十分な水を吸収するために追加的または独占的に使用され得、その結果、均一な水フィルムが形成され、したがって防曇効果が生じる。竹本油脂株式会社(日本)のElecut AG 100は、特にここに適している。成分a)は、1.5から6.0重量%の濃度等、1.0から6.5重量%の濃度で使用される。
【0075】
架橋ポリマー、アクリレート、親水性ポリエステル、ポリウレタン、またはオキサゾリン官能化アクリレートポリマーは、ポリマーベースの架橋剤(成分b)として、0.5から6.0重量%の量、例えば1.0から5.0重量%の量で使用される。一実施形態では、日本触媒製のEPOCROS WS-500、特にEPOCROS WS-700が使用される。
【0076】
接着を促進する有機官能性シラン(すなわち、成分c)として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタ-アクリロキシ-プロピルトリメトキシシランまたはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、0.1から1.0重量%、例えば0.2から0.7重量%の濃度で使用することができる。ダウコーニングのグリシドキシプロピルトリメトキシシランであるZ-6040シランは、改良された接着促進剤のため使用できる。
【0077】
上記のコーティング組成物で述べた界面活性剤d)は、1.5から7.0重量%、例えば2.0から6.5重量%の濃度で使用され、およびイオン性であるが、好ましくはアルキル硫酸塩、アルキルベンゼン硫酸塩またはスルホコハク酸エステルの群からのアニオン性界面活性剤である。スルホコハク酸エステル(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、または非イオン性界面活性剤、例えばPolysorbate80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、例えばTween80(Sigma Aldrich)、または竹本油脂株式会社(日本)のElecut AG 200の群から選択される界面活性剤が使用される。アルコールアルコキシレートに基づいて、0.01から0.08重量%、例えば0.02から0.07重量%のさらなる界面活性剤を添加することにより、例えば、BYK-Chemieの商品名BYK-DYNWET800、またはAir ProductsのSufynol440では、インライン塗布プロセスを使用してコーティングの表面仕上げを改善できる。
【0078】
本願明細書に開示される限界を超えると、分散液は過度に高い粘度を達成するため、コーティングはもはや一般的なコーティング方法で均一に塗布することができない。さらに、過剰なコーティング成分の使用により、フィルムの効率が低下する。本願明細書に記載される限界未満では、所望のコーティングの厚さが薄すぎるため、所望の防曇特性は、限定された程度(永久的ではない)にしか現れない。
【0079】
本願明細書に開示される限界を維持することにより、特に二軸配向ポリエステルフィルム上のコーティング分散液の反応生成物は、良好な防汚効果、高い洗い流し耐性および高い親水性を提供する。
【0080】
一実施形態によれば、防曇および/または反射防止コーティングは、二軸配向ポリエステルフィルムの製造プロセス中にインラインで適用される。
【0081】
コーティング(永久防曇コーティング)またはコーティング(防曇コーティングおよび反射防止コーティング)の塗布は、ポリエステルフィルムの縦および横延伸に続いて片面または両面で行われる。水性コーティングによるポリエステルフィルムの良好な湿潤を達成するために、フィルム表面は好ましくは最初にコロナ処理される。
【0082】
コーティングは、スロットキャスタやスプレープロセス等の一般的な適切な方法で塗布できる。特に好ましいのは、コーティングを非常に均一に塗布することができるリバースグラビアロールコーティング法によるコーティングの塗布である。より厚いコーティングを達成することができるマイヤーロッド法による適用も好ましい。コーティング成分は、ポリエステルフィルムの乾燥および延伸中に、特に240℃に達する可能性がある後続の熱処理中に互いに反応する可能性がある。防曇コーティングと反射防止コーティングを両面コーティング方法で同時に塗布できるため、1つのプロセスステップ(下記のオフライン方法を参照)を節約できるため、インラインプロセスは効率の点でより魅力的である。
【0083】
別の好ましい方法では、上記のコーティングはオフライン技術によって適用される。本願明細書に記載されている反射防止および/または防曇コーティングは、グラビアローラーを使用して、フィルム製造の下流の追加のプロセスステップでオフライン技術によってポリエステルフィルムの対応する表面に適用することができる。
【0084】
最大限界はプロセス条件によって決定され、および粘度はコーティング分散液のプロセス可能性の上限を見つける。一方では材料消費量が増加し、および他方ではさらなるプロセスステップが必要になり、フィルムの経済効率を低下させるため、防曇コーティングをアンダーコーティング(反射防止コーティング上の防曇コーティング)に適用することは好ましくないことが見出された。
【0085】
いくつかのインラインコーティング法では、コーティング分散液の粘度が高いため、特に好ましいコーティング厚さを達成できない。この場合、オフラインのコーティングプロセスを選択するのが適切であり、これは、この方法を使用して、固形分の含有量が少なく、かつ湿式塗布率が高い分散液を処理できるため、処理が簡単になるためである。さらに、オフラインコーティングの場合、より厚いコーティングを実現でき、これは、防曇の長寿命がより求められる用途で有利であることが証明されている。従って、オフラインプロセスは、より良好な永久防曇効果の結果として、透明度のさらなる増加のない結果として、特に簡単な方法で80nmのコーティング厚さを達成することを可能にする。
【0086】
さらなるフィルム特性
本願明細書に記載され、かつ上記のプロセスに従って製造されたフィルムは、好ましくは、150℃で縦方向および横方向に5%未満、例えば2%未満、例えば1.5%未満の収縮を有する。このフィルムは、また、100℃で3%未満、例えば1%未満、例えば0.3%未満の膨張を有する。この形状安定性は、例えば、巻き取る前にフィルムを適切に緩和することによって得ることができる(プロセスの説明を参照)。この形態安定性は、温室用途で使用したときに、ストリップ間の空気の通過が増加する(遮蔽効果の低下)ことにつながるストリップの再収縮を回避するために重要である。過度の収縮と過度の膨張は、完成した製品の波状の延伸につながる。
【0087】
本願明細書に記載されるフィルムは、また、3500N/mm2を超えるような、3000N/mm2を超える、フィルムの両方向において、および特に、>4500N/mm2を超える、少なくとも1つのフィルム方向において、縦方向および横方向のE弾性率を有する。F5値(5%伸びでの力)は、縦方向および横方向において、有利には、90N/mm2以上のような、80N/mm2より大きい。これらの機械的特性は、上記のプロセス条件に関連してフィルムの二軸延伸のパラメータを変化させることによって調整および取得することができる。述べられた機械的特性を備えたフィルムは、張力下の用途で過度に引き伸ばされることはなく、および容易に管理できる。
【0088】
本願明細書に開示される透明度値を達成するために、フィルムの不透明度が20%未満、例えば18%未満、および理想的には15%未満である場合も有利であることが判明している。濁度が低いほど、光の後方散乱が少なくなり、かつ透明性が失われる。本願明細書に記載の粒子含有量およびポリマー組成が維持されると、これらの濁度値が達成される。
【0089】
本願明細書に記載のフィルムは、温室でのスクリーンの製造に非常に適している。ここでは、フィルムは通常2-10mmの幅の細いストリップにカットされ、そこからポリエステル糸(これもUVで安定化されている必要がある)とともに、温室に吊るされるファブリックまたはスクリーンが生成される。本願明細書に記載のフィルムのストリップは、他のフィルムのストリップと組み合わせることができる。そのようなストリップは、所望の熱輸送および遮光特性を提供する材料のものであり得、およびプラスチックフィルム、金属箔またはプラスチックと金属の積層体であり得る。
【0090】
前記フィルム材料の1つ以上のストリップは、縦方向の糸の間の距離よりも小さい幅を有し得る。「開口」領域を有するスクリーンを、スクリーンを通る換気を可能にするストリップのないようにすることも可能である。
【0091】
所望の防曇特性を提供するために、少なくとも10%、例えば少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%のスクリーンの表面積が、本願明細書に記載されるように、単層または複層フィルムのストリップであるべきである。
【0092】
一実施形態によれば、スクリーン内のすべてのストリップは、記載された単層または複層ポリエステルフィルムであり、およびストリップは、端から端まで密接に配置され、実質的に連続した表面を形成する。
【0093】
いくつかの実施形態では、本願明細書に記載されるフィルムのストリップは、毛管作用による液体輸送能力を有する糸の骨格によって相互接続されてもよい。有利には、糸の骨格は、フィルム材料のストリップの少なくとも片側に熱的に結合され、およびストリップに熱的に結合される糸の骨格のそれらの部分も、毛管作用によって液体輸送能力を有する。
【0094】
一実施形態では、本願明細書に記載の温室スクリーンは、高度に透明な対流バリアとして使用されてもよい。または、フィルム自体が温室に設置される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
以下、図面に示されるいくつかの実施形態を参照して、温室画面について説明する。
【0096】
【
図1】
図1は、一実施形態による縦編みスクリーンの一部を拡大して示す。
【
図2】
図2は、さらなる実施形態による縦編みスクリーンの一部を示す。
【
図3】
図3は、織られたスクリーンの一部を拡大して示しています。
【
図4】
図4は、さらなる実施形態による織られたスクリーンの一部を示す。
【
図5】
図5は、フィルム表面の親水性測定時の接触角αを示す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
本願明細書に開示される温室スクリーン10は、紡績糸の骨格12、13a、13b;14、15;18、19によって一緒に保持されるフィルム材料の複数の細いストリップ11を含む。フィルム材料のストリップ11は、好ましくは、それらが実質的に連続した表面を形成するように、端から端まで密接に配置される。スクリーンは、縦方向yおよび横方向xを有し、フィルム材料のストリップ11は、縦方向に延びる。いくつかの実施形態では、フィルム材料のストリップ11’は、横方向にも延びることができる。ストリップの一般的な幅は2mmから10mmである。
【0098】
図1では、フィルム材料11のストリップは、欧州特許出願公開第0109951号明細書に記載されているような縦編み手順によって相互接続されている。紡績糸の骨格は、ループまたはステッチを形成し、かつ主に縦方向yに延びる経糸12を含む。経糸12は、フィルムストリップを横切って延びる緯糸13aおよび13bによって互いに接続されている。
【0099】
図1は、経編みプロセスによって製造されたファブリックのメッシュパターンの例を示しており、4つのガイドバーが使用され、1つはフィルム材料のストリップ11用、2つはフィルムストリップに横に延びる緯糸13aおよび13bに接続する用、1つは縦の経糸12用である。
【0100】
メッシュパターンを明確にするために、フィルム材料のストリップ11の間のスペースは非常に誇張されている。通常、フィルム材料のストリップ11は、端から端まで密接して配置される。縦の経糸12は、スクリーンの片側、下側に配置され、横接続の緯糸13aおよび13bは、ファブリックの両側、上側および下側に配置される。この点での「横」という用語は、縦方向に垂直な方向に限定されず、接続する緯糸13aおよび13bが、図面に示されるようにフィルム材料のストリップ11を横切って延びることを意味する。縦の経糸12と横の緯糸13aおよび13bとの間の接続は、好ましくは、ファブリックの下側で行われる。このようにして、フィルム材料のストリップ11は、縦の経糸12によって制限されることなく、端から端まで密接に配置することができる。
【0101】
図1の縦の経糸12は、いわゆるオープンピラーステッチ形成で、一連の編みステッチで、フィルム材料の隣接するストリップ11の対向する端に沿って切れ目なく連続して延びる。
【0102】
横の緯糸13aおよび13bは、同じ位置で、すなわち互いに対向して、フィルム材料のストリップの上方および下方を通過し、フィルム材料のストリップを固定的に捕捉する。縦の経糸12の各編みステッチは、それと係合する2つのそのような横の緯糸13aおよび13bを有する。
【0103】
図2は、
図1に示すものと同様のファブリックのメッシュパターンの別の例を示している。違いは、横の緯糸13aおよび13bが交互にフィルム材料の1つおよび2つのストリップ11を通過することである。
【0104】
図3は、フィルム材料のストリップ11が縦方向yに延びる経糸14によって相互接続され、かつ主に横方向xにフィルム材料のストリップ11を横切って延びる緯糸15と織り合わされた織りスクリーンを示す。
【0105】
図4は、米国特許第5288545号明細書に記載されている、縦方向yに延びるフィルム材料のストリップ11(経ストリップ)と、横方向xに延びるフィルム材料のストリップ11’(緯ストリップ)とを含む、織りスクリーンの別の実施形態を示す。横方向の緯糸ストリップ11’は、
図4に示されるように、縦方向において経糸ストリップ11の常に同じ側にあってもよく、または経の縦ストリップ11の上側と下側とで交互であってもよい。経および緯ストリップ11および11’は、経および緯糸18および19を含む骨格によって一緒に保持される。スクリーンは、スクリーンの下の熱の蓄積を減らすために、ストリップのない開口領域を含むことができる。
【0106】
ポリエステルフィルムの製造プロセス
個々の層のポリエステルポリマーは、ジカルボン酸およびジオールから、あるいはジカルボン酸のエステルから、好ましくはジメチルエステルおよびジオールからの重縮合によって調製される。適切なポリエステルは、好ましくは500から1300の範囲のSV値を有し、個々の値はそれほど重要ではないが、使用される原材料の平均SV値は、700より大きく、および例えば750より大きい必要がある。
【0107】
粒子、ならびにUV安定剤は、ポリエステルの調製中にすでに添加され得る。この目的のために、粒子は、ジオール中に分散され、オプションとして粉砕され、デカンテーションおよび/または濾過され、および(再)エステル化または重縮合工程のいずれかで反応器に添加される。好ましくは、濃縮された粒子含有または添加剤含有ポリエステルマスターバッチは、二軸押出機で製造され、その後、粒子のないポリエステルでフィルム押出中に希釈され得る。30重量%未満のポリエステルを含むマスターバッチを使用しない場合に有利であることが証明されている。特に、SiO2粒子を含むマスターバッチは、20重量%以下のSiO2であるべきである(ゲル形成のリスクの結果として)。さらなる可能性は、二軸押出機でのフィルム押出中に粒子および添加剤を直接添加することである。
【0108】
単軸押出機を使用する場合、事前にポリエステルを乾燥させることが有利であることがわかっている。脱気ゾーンを備えた二軸押出機を使用すると、乾燥工程を省略できる。
【0109】
最初に、層のポリエステルまたはポリエステル混合物、または個々の層の複層フィルムの場合には、押出機で圧縮および液化される。次に、メルトは単層または複層ノズルでフラットメルトフィルムに成形され、スロットダイを通してプレスされ、および冷却ロールと1つ以上のテイクオフロールに引き出され、そこで冷却されて固化する。
【0110】
本願明細書に記載のフィルムは、二軸配向、すなわち二軸延伸されている。フィルムの二軸延伸は、最も頻繁に連続して行われる。この場合、それは、好ましくは、最初に縦方向(すなわち、機械方向、MD方向)に、次に横方向(すなわち、機械方向に垂直、TD方向)に延伸される。縦方向の延伸は、所望の延伸比に応じて異なる速度でランニングする2つのローラを用いて行うことができる。横方向の延伸には、対応するテンターフレームが一般的に使用される。
【0111】
延伸が行われる温度は、比較的広い範囲で変化することができ、およびフィルムの所望の特性に依存する。通常、縦延伸は80から130°C(加熱温度80から130°C)の温度範囲で、かつ横方向は90°C(延伸開始)から140°C(延伸終了)の温度範囲で行われる。縦方向の延伸比は、2.5:1から4.5:1、例えば2.8:1から3.4:1の範囲である。延伸比が4.5を超えると、製造性が著しく低下する(引き剥がし)。横方向の延伸比は、一般に、2.5:1から5.0:1、例えば3.2:1から4:1の範囲である。クロスドロー比が4.8よりも高いと、製造性が著しく低下する(引き剥がし)ため、好ましくは回避する必要がある。
【0112】
所望のフィルム特性を達成するために、延伸温度(MDおよびTDにおける)が125℃未満、例えば118℃未満である場合が有利であることが証明されている。横延伸の前に、それ自体既知のプロセスに従って、フィルムの片面または両面をインラインでコーティングすることができる。インラインコーティングは、透明性を高めるためのコーティング(反射防止)を施すために好ましく使用することができる。
【0113】
次の熱固定では、フィルムを150から250℃の温度で約0.1から10秒間張力をかけて保持し、横方向において、少なくとも1%、例えば少なくとも3%、例えば少なくとも4%の好ましい収縮と伸びの値を達成する。この緩和は、好ましくは、150から190℃の温度範囲で行われる。透明度の反りを低減するために、第1の固定領域の温度は、好ましくは220℃未満、およびより好ましくは190℃未満である。さらに、上記と同じ理由で、総横方向の延伸比の少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%が最初の固定領域にある必要があり、その後は通常、それ以上は延伸されない。その後、フィルムは従来の方法で巻き取られる。
【0114】
ポリエステルフィルムを製造する特に経済的な方法では、ブレンドされた材料(再生)を、フィルムの総重量に基づいて最大60重量%の量で押出成形に供給することができる。
【0115】
温室スクリーンは、以下を参照して以下で詳しく説明される。
・実施例1-9、および
・比較例1-7
例示的な実施形態は、これに限定することなく、本願明細書に開示される温室スクリーンをさらに説明するのに役立つ。むしろ、言及された特徴のすべては、当業者に適切であると思われる任意の形で自由に組み合わせることができ、かつこれらの形態のすべては、本願明細書に開示される本温室スクリーンによって包含される。
【0116】
実施例1-9
ポリマー混合物を292℃で溶融し、かつスロットダイにより50℃に加熱された冷却ドラムに静電的に適用した。以下の原材料を層ごとに1台の押出機で溶融し、かつ3層スロットダイを通して冷却されたテイクオフロールに押し出した。次に、このようにして得られたアモルファスプリフォームを縦方向に延伸した。縦延伸フィルムをコロナ放電機でコロナ処理した後、下記の分散液をリバースコートして塗布した。その後、フィルムを延伸、固定、および圧延した。個々のプロセスステップの条件は、表1に示すとおりである。
【0117】
【0118】
以下の出発材料を使用して、以下の表2に記載されているフィルムを調製した。
PET1=SV値が820、かつDEG含有量が0.9重量%のエチレングリコールとテレフタル酸のポリエチレンテレフタレート原料(モノマーとしてのジエチレングリコール含有量)。
PET2=20重量%のTinuvin(登録商標)1577を含有する、700のSV値を有するポリエチレンテレフタレート原料。UV安定剤は、以下の組成、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシル)オキシ-フェノール(BASFからのTinuvin(登録商標)1577、Ludwigshafen、ドイツ)を有する。Tinuvin(登録商標)1577の融点は149°Cであり、および330°Cで熱的に安定である。
PET3=SV値700、および、2.7μmのd50を有する、15重量%のシリカ粒子Sylysia310P(製造元FUJI SILYSIA CHEMICAL LTD、Greenville NC/USA)を有するポリエチレンテレフタレート原料。Si02は、2軸押出機でポリエチレンテレフタレートに組み込まれた。
PET4=コモノマーとして25モル%のイソフタル酸を含む、SV値が710のポリエチレンテレフタレート原料。
【0119】
使用したコーティング分散液の組成
コーティング1
以下のコーティング溶液の組成を使用した。
・88.95重量%の脱イオン水
・3.50重量%のElecut AG 100(16.5重量%、竹本油脂株式会社)
・4.50重量%のElecut AG 200(13.5重量%、竹本油脂株式会社)
・2.50重量%のEPOCROS WS-700(25重量%、日本触媒)
・0.50重量%のZ-6040(90-100重量%、ダウコーニング)
・0.05重量%のBYK-DYNWET 800(100重量%、BYK-Chemie GmbH)
個々の成分を撹拌しながら脱イオン水にゆっくりと添加し、かつ使用前に少なくとも30分間撹拌した。
【0120】
コーティング2
以下のコーティング溶液の組成を使用した。
・88.45重量%の脱イオン水
・2.50重量%のElecut AG 100(16.5重量%、竹本油脂株式会社) ・3.50重量%のElecut AG 200(13.5重量%、竹本油脂株式会社)
・5.00重量%のEPOCROS WS-700(25重量%、日本触媒)
・0.50重量%のZ-6040(90-100重量%、ダウコーニング)
・0.05重量%のBYK-DYNWET 800(100重量%、BYK-Chemie GmbH)
個々の成分を攪拌しながら脱イオン水にゆっくりと加え、かつ使用前に少なくとも30分間攪拌した。特に記載のない限り、コーティングはインラインプロセスで適用される。
【0121】
次の表2に、配合、製造条件、および結果として得られるフィルムの特性をまとめる。
【0122】
【0123】
【0124】
比較例1-7
比較例における出発組成物およびフィルムを調製するためのプロセスは、実施例1-9について記載されたとおりであったが、フィルムは、コーティング組成物の乾燥生成物が水、スルホポリエステル、界面活性剤、およびオプションとして接着促進ポリマーを含む、親水性コーティングからなる欧州特許出願公開第1777251号明細書に記載されているコーティングによってコーティングされた。得られたフィルムは、水滴によるフィルムの短期間の曇りを防止する親水性表面を有する。
【0125】
コーティング3
以下のコーティング溶液の組成を使用した。
・1.0重量%のスルホポリエステル(90モル%のイソフタル酸と10モル%のスルホイソフタル酸ナトリウムとエチレングリコールのコポリエステル)
・60重量%のメチルメタクリレート、35重量%のアクリル酸エチル、および5重量%のN-メチロールアクリルアミドからなる1.0重量%のアクリル酸エステル共重合体
・1.5重量%のジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム塩(Lutensit A-BO BASF AG)
【0126】
表3に、比較例1-7のフィルムの配合、製造条件、および結果として得られるフィルム特性をまとめる。
【0127】
【0128】
【0129】
試験方法の説明
次の測定方法を使用して、原材料とフィルムの特性を評価した。
【0130】
平均粒径d50の測定
平均粒径d50は、Malvern Master Sizer 2000を使用して決定された。この目的のために、使用する粒子を水に分散させ、および測定装置で分析されるキュベットに移し、サイズ決定はレーザ回折によって行われた。一般に、検出器は回折されたレーザ光の強度画像を取得し、この画像から、角度依存の光強度から数学的相関関数によって粒子サイズ分布が計算される。粒子サイズ分布は、中央値d50(=平均値の位置測定)と散乱度SPAN98(=粒子径の広がりの測定)の2つのパラメータで特徴付けられる。測定は自動的に行われ、d50値の数学的決定も含まれていた。
【0131】
これらの粒子で製造されたフィルムの測定結果は、製造開始前の粒子の初期値と比較して15-25%低いd50値になる。
【0132】
波長xでのUV/Visスペクトルまたは透過率
フィルムの透過率は、UV/Visダブルビーム分光光度計(Lambda 12または35)Perkin Elmer USAで測定された。約(3×5)cm幅のフィルム試験片を、ビーム経路の測定ビームに垂直な平らなサンプルホルダに挿入する。測定ビームは、50mm積分球を介して検出器に向けられ、検出器では、強度を使用して目的の波長での透明度を決定した。バックグラウンドは空気であった。透過率は所望の波長で読み取られる。
【0133】
不透明度/透明度
このテストは、光学的透明度または不透明度が使用値に不可欠であるプラスチックフィルムの不透明度と透明度を決定するのに役立つ。測定は、ASTM D 1003-61に従ってBYK GardnerのHazegard Hazemeter XL-21 1で行われた。透明度は、BYK-Gardner GmbHドイツのヘイズガードプラスを使用して、ASTM-D 1003-61(方法A)に従って測定された。
【0134】
SV値(標準粘度)
標準粘度SVは、DIN 53728のパート3に基づいて、ウベローデ粘度計で(25±0.05)℃で測定され、これは、テスト溶液が毛管を通過するのに必要な時間を測定する。ジクロロ酢酸(DCE)を溶媒として使用した。溶解したポリマーの濃度は、ポリマー1g/純粋な溶媒100mlであった。ポリマーを60℃で1時間溶解した。この時間後にサンプルが完全に溶解しない場合は、溶解手順を80℃で40分間2回繰り返し、次に溶液を4100min-1の回転速度で1時間遠心分離した。
【0135】
相対粘度(ηrel=(η/(ηs)から、無次元SV値は次のように決定される。
SV=(ηrel-1)×1000
【0136】
未充填フィルムと充填フィルムで使用されるポリマーの鎖長を比較できるようにするには、フィルムにそのような粒子が含まれている場合に、不溶性材料の量を考慮する必要がある。不溶性粒子を含むポリマー原料またはフィルムをDCAに溶解し、かつ不溶性色素を遠心分離してから測定した。不溶性粒子の割合は、灰分測定によって決定された。充填フィルムを分析する場合、未充填フィルムと比較して、より多くの充填フィルムをジクロロ酢酸に溶解する必要がある。次の式は、フィルムに不溶性粒子が含まれている場合に、DCAに溶解するサンプルの重量を計算するために使用される。
【0137】
DCAに溶解するサンプル(充填フィルム)の総重量=(未充填フィルムのサンプルの重量)/((100-充填フィルムの不溶性粒子含有量(重量%)/100)。例えば、0.4gの標準の未充填フィルムを40mlのDCAに溶解し、および分析対象の充填フィルムに5%の不溶性粒子が含まれている場合(灰分測定で決定)、0.42gの充填フィルムをDCAに溶解して、不溶性粒子の重量を補正する必要がある。
0.4g/((100-5)/100)=0.42g
【0138】
機械的特性
機械的特性は、DIN EN ISO 572-1および-3(試験片タイプ2)に基づく引張試験により、100mm×15mmのフィルムストリップで測定された。
【0139】
収縮
熱収縮は、エッジの長さが10cmの正方形のフィルムサンプルで測定した。サンプルは、1つのエッジが機械方向に平行になり、かつ1つのエッジが機械方向に垂直になるようにカットされた。サンプルは正確に測定され(エッジの長さL0は、機械方向TDおよびMDごとに決定された。すなわち、L0TDおよびL0MD)、および強制空気乾燥キャビネット内で、指定された収縮温度(ここでは150℃)で15分間アニールした。サンプルを取り出し、かつ室温で正確に測定しました(エッジ長LTDおよびLMD)。収縮は次の式から計算される。
収縮[%] MD=100×(L0MD-LMD)/L0MD、または
収縮[%] TD=100×(L0TD-LTD)/L0TD
【0140】
膨張
熱膨張は、エッジの長さが10cmの正方形のフィルムサンプルで測定した。サンプルは正確に測定され(エッジ長さL0)、強制空気乾燥キャビネット内で100℃で15分間アニールされ、その後、室温で正確に測定された(エッジ長さL)。膨張は次の方程式から得られ、
膨張[%]=100×(L-L0)/L0、
かつ、フィルムの各方向で個別に決定された。
【0141】
UV安定性
UV安定性およびUTS値は、曝露時間が1000hでなく、2000hであったことを除き、独国特許発明第69731750号明細書(国際公開第98/06575号の独国)の第8頁内のような初期値の%で決定され、および特定された。
【0142】
耐炎性
30×30cm片のフィルムが角に2つのクリップで留められ、および垂直に吊るされた。一般に、吊るしている箇所で、フィルムの片を動かす空気移動がないことが確実にされなければならない。上からのわずかな空気は容認できる。それから、フィルム片は、下側の中心に下からの炎に曝された。火炎処理のため、市販のたばこ用ライター、またはより良くはブンゼンバーナが使用される。火炎は1cmより長く、かつ3cm未満としなければならない。火炎は、これが着火火炎なしに燃焼するように継続するまで、フィルムに十分長く保持された(少なくとも3秒)。それによって、火炎は、最大で5秒間、最大限に保持され、その後、燃焼および収縮が試験された。4つのそのような着火プロセスが実行された。
【0143】
ここで与える例験において、耐炎性は、以下の等級で評価された。
1=フィルムが4着火の間に着火し、および3秒超燃焼されなかった。
2=フィルムが着火され、および15秒未満後消され、およびフィルム表面の30%超が残った。
3=フィルムが着火され、および20秒未満後消され、およびフィルム表面の30%超が残った。
4=フィルムが着火され、および40秒未満後消され、およびフィルム表面の30%超が残った。
5=フィルムが着火され、および40秒未満後消され、およびフィルム表面の10%超が残った。
6=フィルムが着火され、および40秒超燃焼され、または、フィルム表面の10%未満が消火の後残った。
【0144】
波長の関数としての屈折率の決定
フィルム基板の屈折率と、基材の屈折率以外の屈折率を有する塗布されたコーティングまたはcoex層の屈折率を波長の関数として決定するには、分光エリプソメトリを使用する。背後にある背景情報と理論は、例えば次の出版物にある。J.A.Woollam et al,Overview of variable angle Spectroscopic ellipsometry-(VASE):I.Basic theory and typical applications,Proc.SPIE Vol.CR72,p.3-28,Optical Metrology、Ghanim A.Al-Jumaily;Ed。
【0145】
最初のものは、コーティングまたは改質された共押出層なしでベースフィルムを分析する。フィルムの後方反射を抑えるために、裏面(分析されていない側)は細かい粒度の紙やすり(P1000等)で粗くされる。次に、シートは、回転補償器を備えた分光エリプソメータ、例えば、J.A.Woollam Co.,Inc.のM-2000で測定される。サンプルフィルムの機械方向は光線に平行である。測定された波長は370から1000nmの範囲にあり、測定角度は65、70、75°である。
【0146】
エリプソメトリデータΨとΔは、実験データと一致するようにモデル化される。本ケースではコーシーモデルが適している。
【0147】
【数1】
(ミクロン単位の波長λ)
ここで、η(λ)は波長λでの屈折率である。パラメータA、B、Cは、データが測定されたスペクトルΨとΔに可能な限り一致するように変更される。モデルの品質をテストするために、MSE値を含めて、モデルと測定データ(Ψ(λ)およびΔ(λ))を比較することができる。MSEは最小化する必要がある。
【0148】
【数2】
n=波長の数、
m=数値パラメータフィット
N=cos(2Ψ)、
C=sin(2Ψ)cos(Δ)、
S=sin(2Ψ)&η(Δ)[1]
【0149】
結果として得られるベースフィルムのコーシーパラメータA、B、およびCにより、370から1000nmの測定範囲で有効な、屈折率nを波長の関数として計算できる。
【0150】
コーティングまたは修正されたcoex層も同様に分析できる。これで、ベースフィルムのパラメータは既に分析され、およびよく知られており、および追加の層のモデリング中は一定に保つ必要がある。また、コーティングまたは共押出し層の屈折率を決定するために、上記のようにフィルムの裏側を粗くする必要がある。この場合も、コーシーモデルを使用して、追加の層の波長に応じて屈折率を記述できる。これで、層は基板上にあり、これはモデリングで考慮する必要がある。層の厚さは得られるスペクトルに影響を与え、また、モデリングプロセスにも含める必要がある。
【0151】
表面張力
表面自由エネルー(表面自由エネルギ)は、DIN 5560-1,2に従ってOwens-Wendt-Rabel-Kaelble法を使用して接触角から計算された。試験液は、水、1,5-ペンタンジオールおよびジヨードメタンである(表4参照)。接触角は、ドイツのKruss GmbHからのDSA-100測定装置を用いて決定された。Owens-Wendt-Rabel-Kaelbleによる評価は、デバイスに属するDSAソフトウェアを使用して実行された(2005年現在)。1,5-ペンタンジオールの場合、極性および分散分率の値は、Gebhardtによれば、水およびStromによるジヨードメタン値のため引き継がれた。
【0152】
【0153】
接触角αの測定(
図5を参照)
フィルム表面(A)の親水性の測定として、DIN 55660-1.2に準拠した蒸留水の静的接触角測定が使用される。静的ドロップ(B)の測定には、Kruss GmbH社の測定器DSA-100とソフトウェアVer.4が使用される。測定は、23℃、相対湿度50%で、標準的な気候で少なくとも16時間前に調整された未充填のフィルムサンプルに対して行われる。自動投与シリンジタイプME41を使用して、3-5μlの蒸留水をフィルム表面に塗布する。接触角αは、20秒間にわたって5秒ごとに自動的に決定される。測定は4滴について行われ、および接触角αの平均値は16個の個別の値から形成される。
【0154】
防曇効果の決定
コールドフォグテスト:ポリエステルフィルムの防曇特性は次のように決定される。23℃で、相対湿度50%の実験室の温度制御された部屋で、防曇コーティングが施されたフィルムサンプルが約50mlの水を含むアモルファスポリエチレンテレフタレート(APET)のトレイ(長さ約17cm、幅約12cm、高さ約3cm)に適用された(参照として、コーティングされていないフィルムを使用)。トレイは4℃の温度で冷蔵庫に保管され、および30°の角度で配置される。フィルムは、12時間、24時間、1週間、1ヶ月、および1年後に評価される。凝結物が粘着性のある透明なフィルムを形成するので、永久的な防曇剤を備えたフィルムは、凝結後も透明である。効果的な防曇剤がないと、フィルム表面に微細な液滴ミストが形成され、フィルムの透明性が低下し、最悪の場合、トレイの内容が表示されなくなる。
【0155】
さらなる調査方法は、いわゆるホットスチームまたはホットフォグ試験である。Q-LabのQCT結露試験機を使用する。これは、温水を直接フィルムに結露させることで、気候の湿気の影響による防曇効果をシミュレートする。数日または数週間で、数ヶ月または数年以内の湿気によって引き起こされる結果を再現できる。この目的のために、QCT凝縮ユニット内の水は60°Cに加熱され、およびフィルムは対応するホルダーに固定される。延伸フィルムの傾斜角は約30°である。判断は上記と同じである。このテストは、蒸気がフィルム上で絶えず凝縮し、および再び排水および/または滴り落ちるので、フィルムの長期の防曇効果または洗浄耐性を試験するために使用できる。このようにして、溶解しやすい物質が洗い落とされ、および防曇効果の効果が減少する。この試験は、23℃で、相対湿度50%の実験室の温度制御された部屋でも行われる。
【0156】
防曇効果の評価(防曇試験)は目視で行う。
評価:
A:目に見える水分を示さない透明フィルムは完全に透明である-優れた防曇効果
B:ランダムで不規則に分散した表面上の水滴、不連続な水膜-許容できる防曇効果
C:大きな半透明の水滴の完全な層、透明性の低下、レンズの形成、および滴の形成-不十分な防曇効果
D:大きな水滴の不透明または透明な層、透明性なし、不十分な光透過-非常に不十分な防曇効果