(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】コンベアテーブル移載装置、搬送システムおよびコンベアテーブル移載方法
(51)【国際特許分類】
H02K 41/02 20060101AFI20230612BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
H02K41/02 Z
B65G54/02
(21)【出願番号】P 2022522463
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2020019377
(87)【国際公開番号】W WO2021229782
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】山口 洸太
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-62614(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105600704(CN,A)
【文献】国際公開第2018/139098(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/02
B65G 54/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部材と、前記駆動部材を駆動する駆動源と、前記駆動源により駆動される前記駆動部材の移動を案内する第1直動案内部材とを有する駆動部と、
コンベアテーブルを駆動する可動リニアコンベアを支持する可動部材と、
前記可動部材の移動を案内する第2直動案内部材と、
前記可動部材と前記駆動部材とを接続する、1以上の自由度を持ったリンク機構と
を備え、
前記駆動部材が前記第1直動案内部材に沿って駆動されると、前記可動部材が前記リンク機構を介して前記駆動部材により駆動されて前記第2直動案内部材に沿って移動し、前記可動リニアコンベアが所定の移動方向に移動し、
前記駆動部は、取付架台に取り付けられた第1固定リニアコンベアに対向する第1対向位置と、前記取付架台に取り付けられた第2固定リニアコンベアと対向する第2対向位置との間で前記移動方向に前記可動リニアコンベアを移動させ、
前記第2直動案内部材は、前記第1固定リニアコンベアに取り付けられるとともに、前記第2固定リニアコンベアに取り付けられるコンベアテーブル移載装置。
【請求項4】
前記球面ベアリングは、外輪と、前記外輪の内側に配置されて前記外輪に球面で接触する内輪とを有し、
前記球面ベアリングが有する外輪と内輪とを押圧する、前記移動方向への成分を有する押圧力を発生する付勢部材をさらに備える請求項2または3に記載のコンベアテーブル移載装置。
【請求項8】
前記可動リニアコンベアの位置を検出する位置検出部をさらに備え、
前記駆動部は、前記位置検出部が検出する位置に基づき前記可動リニアコンベアの位置を制御することで、前記可動リニアコンベアの前記第1対向位置への位置決めを制御し、前記可動リニアコンベアの前記第2対向位置への位置決めを制御する請求項1ないし5のいずれか一項に記載のコンベアテーブル移載装置。
【請求項9】
コンベアテーブルを駆動する第1固定リニアコンベアと、
前記コンベアテーブルを駆動する第2固定リニアコンベアと、
請求項1、2、3、4、5および8のいずれか一項に記載のコンベアテーブル移載装置と
を備え、
前記コンベアテーブル移載装置によって、前記第1固定リニアコンベアと前記第2固定リニアコンベアとの間で前記コンベアテーブルを移載する搬送システム。
【請求項10】
駆動部が駆動部材を駆動源によって駆動しつつ前記駆動部材を第1直動案内部材により案内する工程と、
コンベアテーブルを駆動する可動リニアコンベアを支持する可動部材の移動を第2直動案内部材により案内する工程と
を備え、
前記可動部材と前記駆動部材とは、1以上の自由度を持ったリンク機構により接続され、
前記駆動部材が前記第1直動案内部材に沿って駆動されると、前記可動部材が前記リンク機構を介して前記駆動部材により駆動されて前記第2直動案内部材に沿って移動し、前記可動リニアコンベアが所定の移動方向に移動し、
前記駆動部は、取付架台に取り付けられた第1固定リニアコンベアに対向する第1対向位置と、前記取付架台に取り付けられた第2固定リニアコンベアと対向する第2対向位置との間で前記移動方向に前記可動リニアコンベアを移動させ、
前記第2直動案内部材は、前記第1固定リニアコンベアに取り付けられるとともに、前記第2固定リニアコンベアに取り付けられるコンベアテーブル移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、それぞれコンベアテーブルを駆動可能な複数の固定リニアコンベアの間でコンベアテーブルを移載する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、台車を循環させる搬送システムが記載されている。この搬送システムは、並列に配置された2個の搬送路を備える。搬送路は、直列に配列された複数のガイドレールを有し、各ガイドレールには複数のコイルが直列に配列されている。そして、搬送路は、コンベアテーブルである台車に内蔵された永久磁石とコイルとの間の磁力によってコンベアテーブルを駆動する。かかる搬送路は、固定的に設置された固定リニアコンベアとして機能する。
【0003】
さらに、搬送システムは、2個の固定リニアコンベアの両端に配置された2個の移載装置を備える。各移載装置は、上記と同様に磁力によってコンベアテーブルを駆動する可動リニアコンベアを有し、2個の固定リニアコンベアにそれぞれ対向する2個の対向位置の間で可動リニアコンベアを移動させる。そして、可動リニアコンベアは、対向する固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルの受け渡しを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このように可動リニアコンベアを移動させるにあたっては、駆動源によって駆動される駆動部材に従って可動リニアコンベアを支持する可動部材を移動させる構成が考えられる。かかる構成では、駆動源により駆動される駆動部材を案内する直動案内部材と、可動リニアコンベアを支持する可動部材を案内する直動案内部材とが平行でないと、駆動部材や可動部材に無理な荷重が加わって、可動リニアコンベアをスムーズに移動させることができない。一方、これらの直動案内部材を高い平行度で取り付けるには、精密な調整作業が必要となる。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、駆動源によって駆動される駆動部材に従って可動リニアコンベアを支持する可動部材を移動させるにあたって、駆動部材および可動部材それぞれの直動案内部材の取り付けに精密な調整作業を要することなく、可動リニアコンベアをスムーズに移動させることを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンベアテーブル移載装置は、駆動部材と、駆動部材を駆動する駆動源と、駆動源により駆動される駆動部材の移動を案内する第1直動案内部材とを有する駆動部と、コンベアテーブルを駆動する可動リニアコンベアを支持する可動部材と、可動部材の移動を案内する第2直動案内部材と、可動部材と駆動部材とを接続する、1以上の自由度を持ったリンク機構とを備え、駆動部材が第1直動案内部材に沿って駆動されると、可動部材がリンク機構を介して駆動部材により駆動されて第2直動案内部材に沿って移動し、可動リニアコンベアが所定の移動方向に移動する。
【0008】
本発明に係るコンベアテーブル移載方法は、駆動部材を駆動源によって駆動しつつ駆動部材を第1直動案内部材により案内する工程と、コンベアテーブルを駆動する可動リニアコンベアを支持する可動部材の移動を第2直動案内部材により案内する工程とを備え、可動部材と駆動部材とは、1以上の自由度を持ったリンク機構により接続され、駆動部材が第1直動案内部材に沿って駆動されると、可動部材がリンク機構を介して駆動部材により駆動されて第2直動案内部材に沿って移動し、可動リニアコンベアが所定の移動方向に移動する。
【0009】
このように構成された本発明(コンベアテーブル移載装置および方法)では、駆動源によって駆動される駆動部材と、可動リニアコンベアを支持する可動部材とが、リンク機構によって接続される。そして、駆動部材が第1直動案内部材に沿って駆動されると、可動部材がリンク機構を介して駆動部材により駆動されて第2直動案内部材に沿って移動し、可動リニアコンベアが所定の移動方向に移動する。この際、リンク機構は1以上の自由度を持つ。したがって、第1・第2直動案内部材の平行度に応じて、リンク機構がその自由度によって屈曲するため、駆動部材や可動部材に加わる荷重を抑えることができる。その結果、駆動部材および可動部材それぞれの直動案内部材の取り付けに精密な調整作業を要することなく、可動リニアコンベアをスムーズに移動させることが可能となっている。
【0010】
また、リンク機構は、球面ベアリングを有し、球面ベアリングによって自由度を持つように、コンベアテーブル移載装置を構成してもよい。このように3自由度を有する球面ベアリングをリンク機構に用いることで、リンク機構をフレキシブルに屈曲させて、駆動部材や可動部材に加わる荷重をより確実に抑えることができる。その結果、第1・第2直動案内部材の平行度が低い場合であっても、可動リニアコンベアをスムーズに移動させることができる。
【0011】
また、リンク機構は、移動方向において異なる位置に配置された2個の球面ベアリングを有するように、コンベアテーブル移載装置を構成してもよい。このように2個の球面ベアリングをリンク機構に用いることで、リンク機構をよりフレキシブルに屈曲させて、駆動部材や可動部材に加わる荷重をさらに確実に抑えることができる。
【0012】
また、球面ベアリングは、外輪と、外輪の内側に配置されて外輪に球面で接触する内輪とを有し、球面ベアリングが有する外輪と内輪とを押圧する、移動方向への成分を有する押圧力を発生する付勢部材をさらに備えるように、コンベアテーブル移載装置を構成してもよい。かかる構成では、球面ベアリングの外輪と内輪との間の移動方向へのがたつきを抑えることができる。その結果、球面ベアリングのがたつきが可動リニアコンベアの位置に与える影響を排除できる。
【0013】
なお、かかる構成は、移動方向は水平方向である場合に、特に好適である。つまり、かかる場合には、球面ベアリングの外輪と内輪との自重がこれらのがたつきの抑制に寄与しないため、付勢部材によってがたつきを抑制することが好適となる。
【0014】
また、駆動部は、取付架台に取り付けられた第1固定リニアコンベアに対向する第1対向位置と、取付架台に取り付けられた第2固定リニアコンベアと対向する第2対向位置との間で移動方向に可動リニアコンベアを移動させるように、コンベアテーブル移載装置を構成してもよい。かかる構成では、可動リニアコンベアを駆動部により第1対向位置に位置させることで、可動リニアコンベアと第1固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルの受け渡しが実行できるとともに、可動リニアコンベアを駆動部により第2対向位置に位置させることで、可動リニアコンベアと第2固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルの受け渡しを実行できる。特に本発明では、第1・第2直動案内部材の平行度に応じて、リンク機構がその自由度によって屈曲するため、可動リニアコンベアを適切な姿勢で第1・第2対向位置に案内できる。その結果、可動リニアコンベアと第1・第2固定リニアコンベアとの間のコンベアテーブルの受け渡しをスムーズに実行できる。
【0015】
また、第2直動案内部材は、第1固定リニアコンベアに取り付けられるとともに、第2固定リニアコンベアに取り付けられるように、コンベアテーブル移載装置を構成してもよい。かかる構成では、第1固定リニアコンベアに取り付けられた直動案内部材によって可動リニアコンベアの第1対向位置への移動が案内されるため、第1対向位置に移動した可動リニアコンベアを第1固定リニアコンベアに対して的確に位置決めできる。同様に、第2固定リニアコンベアに取り付けられた直動案内部材によって可動リニアコンベアの第2対向位置への移動が案内されるため、第2対向位置に移動した可動リニアコンベアを第2固定リニアコンベアに対して的確に位置決めできる。その結果、固定リニアコンベアが取り付けられた取付架台の歪みや熱変形によらず、固定リニアコンベアと可動リニアコンベアとの間のスムーズなコンベアテーブルの受け渡しが実行可能となっている。
【0016】
また、可動リニアコンベアの位置を検出する位置検出部をさらに備え、駆動部は、位置検出部が検出する位置に基づき可動リニアコンベアの位置を制御することで、可動リニアコンベアの第1対向位置への位置決めを制御し、可動リニアコンベアの第2対向位置への位置決めを制御するように、コンベアテーブル移載装置を構成してもよい。かかる構成では、位置検出部による検出結果に基づき、第1・第2固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアの位置を的確に制御できる。ただし、位置検出部は、その配置箇所での可動リニアコンベアの位置を検出するに過ぎないため、可動リニアコンベアの姿勢を検出することはできない。そのため、位置検出部を用いるだけでは、第1・第2固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアの姿勢が傾いた状態で、コンベアテーブルの受け渡しが実行されるおそれがある。これに対して、本発明では、第1・第2直動案内部材の平行度に応じて、リンク機構がその自由度によって屈曲するため、可動リニアコンベアを適切な姿勢で第1・第2対向位置に案内できる。その結果、第1・第2固定リニアコンベアに対して、適切な位置および姿勢で可動リニアコンベアを位置決めできる。
【0017】
本発明に係る搬送システムは、コンベアテーブルを駆動する第1固定リニアコンベアと、コンベアテーブルを駆動する第2固定リニアコンベアと、上記のコンベアテーブル移載装置とを備え、コンベアテーブル移載装置によって、第1固定リニアコンベアと第2固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルを移載する。したがって、駆動部材および可動部材それぞれの直動案内部材の取り付けに精密な調整作業を要することなく、可動リニアコンベアをスムーズに移動させることが可能となっている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、駆動源によって駆動される駆動部材に従って可動リニアコンベアを支持する可動部材を移動させるにあたって、駆動部材および可動部材それぞれの直動案内部材の取り付けに精密な調整作業を要することなく、可動リニアコンベアをスムーズに移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明に係る搬送システムを模式的に示す正面図。
【
図4】固定リニアコンベアの取付架台への取付態様を示す部分斜視図。
【
図5】固定リニアコンベアの取付架台への取付態様を示す部分斜視図。
【
図6】可動リニアコンベアの周辺構成を示す部分斜視図。
【
図8】可動リニアコンベアの位置を検出する位置検出部の構成を模式的に示す図。
【
図11】
図9に示す搬送システムが具備するリンク機構の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明に係る搬送システムを模式的に示す正面図である。本明細書では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示して説明を行う。
図1に示すように、搬送システム1は、複数のコンベアテーブルTを循環搬送する構成を備える。コンベアテーブルTには、例えば搬送システム1が設置される工場での作業対象となるワークを載置することができる。
【0021】
この搬送システム1は例えば金属製の取付架台2を備える。取付架台2は、基台21、取付ステージ23aおよび取付ステージ23bを有する。基台21、取付ステージ23aおよび取付ステージ23bは、水平に配置された矩形の平板であり、Z方向に間隔を空けて並ぶ。取付架台2は、基台21の上面211の四隅でZ方向に立設された支柱27を有し、取付ステージ23aは、これら支柱27の上端に取り付けられて、基台21の上面211に上方から対向する。取付架台2は、取付ステージ23aの上面231の四隅でZ方向に立設された支柱29を有し、取付ステージ23bは、これら支柱29の上端に取り付けられて、取付ステージ23aの上面231に上方から対向する。基台21の上面211、取付ステージ23aの上面231および取付ステージ23bの上面231のそれぞれは、水平な平面であり、Z方向からの平面視においてX方向およびY方向に平行な辺を持つ矩形状を有する。
【0022】
搬送システム1は、取付ステージ23aの上面231に取り付けられた固定リニアコンベア5aと、取付ステージ23bの上面231に取り付けられた固定リニアコンベア5bとを有する。固定リニアコンベア5aはX方向に平行に配置され、X方向において、固定リニアコンベア5aの両端は取付ステージ23aの上面231の両端から突出する。固定リニアコンベア5bはX方向に平行に配置され、X方向において、固定リニアコンベア5bの両端は取付ステージ23bの上面231の両端から突出している。固定リニアコンベア5a、5bのそれぞれには、コンベアテーブルTがX方向の端から係合・離脱することができ、固定リニアコンベア5a、5bは、それぞれに係合するコンベアテーブルTを磁力によってX方向に駆動する。
【0023】
さらに、搬送システム1は、X方向において、取付架台2の両側、換言すれば固定リニアコンベア5a、5bの両側に配置されたコンベアテーブル移載装置6を備える。各コンベアテーブル移載装置6は、固定リニアコンベア5aから固定リニアコンベア5bへコンベアテーブルTを移載し、固定リニアコンベア5bから固定リニアコンベア5aへコンベアテーブルTを移載する。
【0024】
このコンベアテーブル移載装置6は、X方向に平行に配置された可動リニアコンベア7を備える。可動リニアコンベア7には、コンベアテーブルTがX方向の端から係合・離脱することができ、可動リニアコンベア7は、それに係合するコンベアテーブルTを磁力によってX方向に駆動する。そして、コンベアテーブル移載装置6は、可動リニアコンベア7をZ方向に駆動することで、固定リニアコンベア5aにX方向から対向する対向位置Paと、固定リニアコンベア5bにX方向から対向する対向位置Pbとの間で可動リニアコンベア7を移動させる。対向位置Paに位置する可動リニアコンベア7と固定リニアコンベア5aとは、X方向に並んで、コンベアテーブルTを互いに受け渡すことができ、対向位置Pbに位置する可動リニアコンベア7と固定リニアコンベア5bとは、X方向に並んで、コンベアテーブルTを互いに受け渡すことができる。
【0025】
かかるコンベアテーブル移載装置6によれば、固定リニアコンベア5aから固定リニアコンベア5bへのコンベアテーブルTへの移載を次のように実行できる。まず、コンベアテーブル移載装置6は、可動リニアコンベア7を対向位置Paに位置させる。そして、固定リニアコンベア5aから対向位置Paの可動リニアコンベア7にコンベアテーブルTが移動する。次に、コンベアテーブル移載装置6は、対向位置Paから対向位置Pbに可動リニアコンベア7を移動させる。最後に、対向位置Pbの可動リニアコンベア7から固定リニアコンベア5bにコンベアテーブルTが移動する。こうして、コンベアテーブルTの移載が完了する。なお、これと逆の動作を実行することで、固定リニアコンベア5bから固定リニアコンベア5aへコンベアテーブルTを移載することができる。
【0026】
なお、取付架台2の両側の構成(2個のコンベアテーブル移載装置6等)は共通するため、以下では、
図1の右側を主に示しつつ、搬送システム1について説明を行う。また、リニアコンベア5a、5bは同一の構成を具備するため、これらを特に区別しない場合には固定リニアコンベア5と適宜称することとする。また、固定リニアコンベア5a、5bが取り付けられる取付ステージ23a、23bも適宜取付ステージ23と称することとする。
【0027】
図2および
図3は
図1の搬送システムを示す部分斜視図であり、
図4および
図5は固定リニアコンベアの取付架台への取付態様を示す部分斜視図であり、
図6は可動リニアコンベアの周辺構成を示す部分斜視図である。
図2では、可動リニアコンベア7が対向位置Paに位置する状態が示され、
図3では、可動リニアコンベア7が対向位置Paと対向位置Pbの途中に位置する状態が示されている。また、
図4では、固定リニアコンベア5bが取付ステージ23bから上方へ外れた状態が示され、
図5では、固定リニアコンベア5bの内部構造を示すために固定リニアコンベア5bの端部断面が示されている。これらの図に示すように、固定リニアコンベア5は、リニアハウジング51と、リニアハウジング51に上方から対向するテーブルカバー53と、リニアハウジング51に対してテーブルカバー53を支持するサポートプレート55とを有する。
【0028】
リニアハウジング51は、X方向に延設されたメインハウジング511を有する。メインハウジング511とサポートプレート55とは一体的に構成されており、テーブルカバー53はサポートプレート55の上端に締結されている。このメインハウジング511は、下方に開口する収容空間を上方および側方から囲み、X方向からの側面視において逆U字の形状を有する。また、リニアハウジング51は、メインハウジング511の収容空間に配置された電装ボックス512を有する。この電装ボックス512は、X方向に延設されており、固定リニアコンベア5の電装系を収容する。さらに、リニアハウジング51は、メインハウジング511の下端から側方(Y方向)に突出する取付フランジ513を有する。この取付フランジ513は、メインハウジング511のY方向の両側から延設されている。メインハウジング511および取付フランジ513それぞれの底面は面一であり、固定リニアコンベア5の底面514(
図4)を構成する。この底面514は水平な平面であり、取付ステージ23の上面231に接触する。なお、メインハウジング511および取付フランジ513は、別体で構成されてもよいし、一体で構成されてもよい。そして、取付フランジ513がX方向に並ぶ複数の締結個所で締結部材(ネジ)によって取付ステージ23の上面231に締結される。こうして、固定リニアコンベア5aは取付ステージ23aの上面231に固定され、固定リニアコンベア5bは、取付ステージ23bの上面231に固定される。
【0029】
テーブルカバー53はX方向に延設されており、コンベアテーブルTは、X方向のテーブルカバー53の両端に対して外嵌・離脱することができる。そして、テーブルカバー53に係合したコンベアテーブルTは、テーブルカバー53に沿ってX方向へ移動する。また、サポートプレート55は、X方向に延設されつつZ方向に立設されており、リニアハウジング51のメインハウジング511の上面に対して間隔を空けつつテーブルカバー53を支持する。
【0030】
さらに、固定リニアコンベア5は、メインハウジング511の上面とテーブルカバー53との間に配置されたリニアモータ固定子56を有する。リニアモータ固定子56は、X方向に配列された複数のコイルを有し、コンベアテーブルTに設けられたリニアモータ可動子(永久磁石)とコイルとの間に生じる磁力によってコンベアテーブルTをX方向に駆動する。なお、リニアモータ固定子56のコイルに流す電流は、電装ボックス512に収容された電装系によって制御される。
【0031】
また、固定リニアコンベア5は、メインハウジング511の上面とテーブルカバー53との間に配置された一対の直動案内レール57を有する。一対の直動案内レール57は、X方向に延設され、Y方向に間隔を空けて配置される。一対の直動案内レール57は、Y方向において、Y方向において、サポートプレート55およびリニアモータ固定子56を挟むように、メインハウジング511の上面の両端に配置されている。コンベアテーブルTは、X方向の直動案内レール57の両端に対して係合・離脱することができ、直動案内レール57に係合するコンベアテーブルTの移動は、直動案内レール57によってX方向に案内される。
【0032】
上述の通り、コンベアテーブル移載装置6は、可動リニアコンベア7を備える。可動リニアコンベア7は、X方向への長さにおいて固定リニアコンベア5と異なる(可動リニアコンベア7は固定リニアコンベア5より短い)。ただし、その他において、可動リニアコンベア7は固定リニアコンベア5と同一の構成を備える。
【0033】
つまり、可動リニアコンベア7は、X方向に延設されたリニアハウジング71を有し、リニアハウジング71は、メインハウジング711、電装ボックス712および取付フランジ713を有する。また、可動リニアコンベア7は、テーブルカバー73およびサポートプレート75を有し、テーブルカバー73は、リニアハウジング71のメインハウジング711の上面に対して間隔を空けつつ、サポートプレート75によって支持される。そして、コンベアテーブルTは、X方向のテーブルカバー73の両端に対して外嵌・離脱することができ、テーブルカバー73に係合したコンベアテーブルTは、テーブルカバー73に沿ってX方向へ移動する。
【0034】
さらに、可動リニアコンベア7は、メインハウジング711の上面とテーブルカバー73との間に配置されたリニアモータ固定子76を有する。リニアモータ固定子76は、電装ボックス712に収容された電装系の制御に基づき、コンベアテーブルTのリニアモータ可動子との間に生じる磁力によってコンベアテーブルTをX方向に駆動する。また、可動リニアコンベア7は、メインハウジング711の上面とテーブルカバー73との間に配置された一対の直動案内レール77を有する。一対の直動案内レール77は、X方向に延設され、Y方向に間隔を空けて配置される。コンベアテーブルTは、X方向の直動案内レール77の両端に対して係合・離脱することができ、直動案内レール77に係合するコンベアテーブルTの移動は、直動案内レール77によってX方向に案内される。
【0035】
また、コンベアテーブル移載装置6は、対向位置Paと対向位置Pbとの間における可動リニアコンベア7のZ方向への移動を案内する直動案内機構8を備える。直動案内機構8は、固定リニアコンベア5aに取り付けられる取付ブロック81aと、固定リニアコンベア5bに取り付けられる取付ブロック81bとを有する。取付ブロック81aと取付ブロック81bとは、取付対象において異なるが、互いに同一の構成を備える。そこで、これらを特に区別しない場合には取付ブロック81と適宜称することとする。
【0036】
取付ブロック81は、Y方向に間隔を空けて配置された一対の側壁プレート811を有する。各側壁プレート811は、Z方向およびX方向に平行に配置された平板であり、Z方向に延設された矩形状を有する。また、取付ブロック81aは、一対の側壁プレート811の上端の間でY方向に延設された取付プレート812を有する。取付プレート812は水平に配置された平板であり、この取付プレート812の上面813は、水平な平面である。さらに、取付ブロック81aは、取付プレート812の下側において、一対の側壁プレート811の間で水平に配置された補強プレート814を有する。この補強プレート814は、取付プレート812と同一の構成を備える。これら取付プレート812および補強プレート814のY方向の両端は、一対の側壁プレート811に固定されている。また、取付ブロック81は、取付プレート812と補強プレート814との間でZ方向に延設された一対の補強プレート815を有する。各補強プレート815は、Z方向およびX方向に平行に配置された平板であり、Z方向に延設された矩形状を有する。これら補強プレート815のZ方向の両端は、取付プレート812および補強プレート814に固定されている。
【0037】
さらに、取付ブロック81は、固定リニアコンベア5との位置決めを行う位置決め部材816を有する。
図5に示すように、位置決め部材816は、取付プレート812の上面813に固定されており、Y方向に間隔を空けて配列された一対の係合孔817を有し、各係合孔817は上方へ開口する。一方、固定リニアコンベア5は、Y方向に当該間隔を空けて配列された一対の係合突起58をX方向の端部に有する。各係合突起58は、底面514から下方に突出する。そして、固定リニアコンベア5の一対の係合突起58が位置決め部材816の一対の係合孔817に上方から係合することで、固定リニアコンベア5と取付ブロック81とが水平方向(X方向、Y方向)に位置決めされる。
【0038】
かかる取付ブロック81は、次のようにして固定リニアコンベア5に取り付けられる。つまり、取付ブロック81の取付プレート812の上面813は、取付ステージ23の上面231と面一に配置され、固定リニアコンベア5の底面514のうち、X方向に突出した部分(取付面)は、取付プレート812の上面813に接触する。なお、上記の一対の係合突起58は、取付ステージ23からX方向に突出する部分(取付面)に設けられて、一対の係合孔817に係合する。固定リニアコンベア5の取付フランジ513は、取付ステージ23から取付プレート812へX方向に突出して、取付プレート812の上面813に接触し、X方向に並ぶ複数の締結個所で締結部材(ネジ)によって取付ステージ23の上面231に締結される。こうして、固定リニアコンベア5aの底面514には取付ブロック81aの上面813が取り付けられ、固定リニアコンベア5bの底面514には取付ブロック81bの上面813が取り付けられる。
【0039】
また、直動案内機構8は、取付ブロック81を取付ステージ23に取り付ける一対の支持プレート82を有する。各支持プレート82は、水平に配置された平板であり、X方向に延設された矩形状を有し、一対の支持プレート82は、固定リニアコンベア5のY方向の両側に配置されている。これに対して、Y方向において、取付プレート812は、固定リニアコンベア5の両側に突出しており、各支持プレート82は、取付ステージ23の上面231と取付プレート812の上面813(固定リニアコンベア5からY方向へ突出した部分)とに架け渡されている。そして、各支持プレート82は、取付ステージ23および取付プレート812のそれぞれに複数の締結箇所で締結部材(ネジ)によって締結される。つまり、取付ブロック81は、一対の支持プレート82を介して取付ステージ23によって支持される。
【0040】
こうして固定リニアコンベア5aに取り付けられた取付ブロック81aと、固定リニアコンベア5bに取り付けられた取付ブロック81bとが、Z方向に間隔を空けて配置される。取付ブロック81aの一対の側壁プレート811と、取付ブロック81bの一対の側壁プレート811とは、それぞれZ方向に間隔を空けて対向する。つまり、
図2~
図6においてY方向に沿った左側を一方としつつ右側を他方とすると、取付ブロック81aの一方の側壁プレート811と、取付ブロック81bの一方の側壁プレート811とは、Z方向に間隔を空けて対向し、取付ブロック81aの他方の側壁プレート811と、取付ブロック81bの他方の側壁プレート811とは、Z方向に間隔を空けて対向する。
【0041】
さらに、直動案内機構8は、それぞれZ方向に延設された一対の直動案内レール83を備える。これら直動案内レール83は、Y方向に間隔を空けつつ平行に配置されている。一対の直動案内レール83は、取付ブロック81a、81bの一対の側壁プレート811に対応して設けられている。つまり、一方の直動案内レール83は、取付ブロック81aの一方の側壁プレート811と、取付ブロック81bの一方の側壁プレート811とに架け渡され、他方の直動案内レール83は、取付ブロック81aの他方の側壁プレート811と、取付ブロック81bの他方の側壁プレート811とに架け渡される。
【0042】
Z方向において、直動案内レール83の下端の位置(高さ)は、取付ブロック81aの側壁プレート811の下端の位置(高さ)と一致し、直動案内レール83の上端の位置(高さ)は、取付ブロック81bの側壁プレート811の上端の位置(高さ)と一致する。そして、直動案内レール83の下端からの所定範囲が取付ブロック81aの側壁プレート811にX方向から接触して締結部材(ネジ)によって締結され、直動案内レール83の上端からの所定範囲が取付ブロック81bの側壁プレート811にX方向から接触して締結部材(ネジ)によって締結される。
【0043】
各直動案内レール83は、分割案内レール831、832と、中間案内レール833とを有する。分割案内レール831は、取付ブロック81aの側壁プレート811にX方向から取り付けられて、この側壁プレート811によりZ方向に平行に支持される。Z方向において、分割案内レール831の下端は取付ブロック81aの側壁プレート811の下端と同じ位置(高さ)である一方、分割案内レール831の上端はこの側壁プレート811より上方に突出する。また、分割案内レール832は、取付ブロック81bの側壁プレート811にX方向から取り付けられて、この側壁プレート811によりZ方向に平行に支持される。Z方向において、分割案内レール832の上端は取付ブロック81bの側壁プレート811の上端と同じ位置(高さ)である一方、分割案内レール832の下端はこの側壁プレート811より下方に突出する。
【0044】
分割案内レール831と分割案内レール832とは、Z方向に間隔を空けて互いに対向し、中間案内レール833は、分割案内レール831と分割案内レール832との間でZ方向に平行に配置される。こうして、分割案内レール831、中間案内レール833および分割案内レール832が順番にZ方向に直線状に並ぶ。なお、分割案内レール831と中間案内レール833との間には遊び(隙間)が設けられ、中間案内レール833と分割案内レール832との間には遊び(隙間)が設けられている。
【0045】
分割案内レール831、832と、中間案内レール833とは、互いに異なる材質で構成されている。具体的には、分割案内レール831、832は、焼き入れされた鉄であり、中間案内レール833は焼き入れされていない鉄である。したがって、中間案内レール833は、分割案内レール831、832よりも低い強度を有し、荷重に対して柔軟に変形する。
【0046】
また、直動案内レール83は、分割案内レール831と中間案内レール833とを互いに取り付ける連結部材837と、分割案内レール832と中間案内レール833とを互いに取り付ける連結部材838とを有する。つまり、連結部材837は、分割案内レール831と中間案内レール833とを跨いで配置されたステイを締結部材によってこれらに締結する構成を有し、分割案内レール831と中間案内レール833とを相互に固定・接続する。また、連結部材838は、分割案内レール832と中間案内レール833とを跨いで配置されたステイを締結部材によってこれらに締結する構成を有し、分割案内レール832と中間案内レール833とを相互に固定・接続する。X方向において、連結部材837、838は、直動案内レール83に対して側壁プレート811と同じ側に配置され、取付ブロック81a、81bそれぞれの側壁プレート811の間に位置する。
【0047】
さらに、コンベアテーブル移載装置6は、直動案内機構8の直動案内レール83に沿って可動リニアコンベア7を移動させる可動部材79を備える。可動部材79は、Y方向およびZ方向に平行に配置された可動プレート791を有する。X方向において、可動プレート791は、直動案内レール83に対して側壁プレート811の逆側に配置され、可動プレート791のY方向の両端は、一対の直動案内レール83にX方向から対向する。
【0048】
また、可動部材79は、Y方向において、可動プレート791の一方端部および他方端部のそれぞれに取り付けられたスライダ792を有する。これらスライダ792は、Z方向に延設されている。そして、可動プレート791の一方端部のスライダ792は、可動プレート791と一方の直動案内レール83との間に位置して、当該一方の直動案内レール83に係合する。可動プレート791の他方端部のスライダ792は、可動プレート791と他方の直動案内レール83との間に位置して、当該他方の直動案内レール83に係合する。これらスライダ792は、係合する直動案内レール83に沿ってZ方向にスライド可能である。
【0049】
さらに、可動部材79は、可動プレート791の上端に取り付けられた支持プレート793を有する。支持プレート793は、X方向において、可動プレート791の上端から側壁プレート811の逆側へ突出し、水平に支持されている。支持プレート793の上面794は水平な平面である。また、可動部材79は、可動プレート791と支持プレート793とに取り付けられた一対の補強ブレース795を有し、各補強ブレース795は、可動プレート791による支持プレート793の支持を補強する。
【0050】
そして、支持プレート793の上面794に可動リニアコンベア7が取り付けられている。つまり、可動リニアコンベア7のメインハウジング711および取付フランジ713それぞれの底面は面一であり、可動リニアコンベア7の底面714(
図6)を構成する。可動リニアコンベア7の底面714は支持プレート793の上面794に接触し、可動リニアコンベア7の各取付フランジ713がX方向に並ぶ複数の締結箇所で締結部材(ネジ)によって支持プレート793の上面794に締結される。なお、可動リニアコンベア7の底面714のうち、X方向において、取付架台2側の一部(半分)が支持プレート793の上面794に接触する一方、取付架台2の逆側の一部(半分)は支持プレート793の上面794から突出している。
【0051】
かかる構成では、可動リニアコンベア7のZ方向への移動を、可動リニアコンベア7を支持する可動部材79に係合する直動案内レール83によって案内することができる。そして、コンベアテーブル移載装置6は、可動リニアコンベア7をZ方向に駆動するために駆動部61を備える。駆動部61は、Z方向に平行に設置された単軸ロボット62と、単軸ロボット62の駆動力によってZ方向に移動する駆動部材63と、駆動部材63の移動を案内する一対の直動案内レール64を有する。
【0052】
単軸ロボット62は、可動リニアコンベア7および可動部材79に対して、Y方向にずれて配置されており、Z方向に延設されたロボットハウジング621と、Z方向に平行に配置されたボールネジ622と、ボールネジ622を回転させるモータ623とを有する。単軸ロボット62のロボットハウジング621は、Y方向から可動リニアコンベア7に対向する開口624を有する。ボールネジ622は、ロボットハウジング621内に配置され、モータ623はロボットハウジング621の上端に取り付けられている。そして、ボールネジ622とモータ623とがカップリングされている。この単軸ロボット62は、背面板671およびL字金具672で構成される取付金具によって取付架台2に取り付けられている。具体的には、背面板671はZ方向およびX方向に平行であってZ方向に長い平板である。この背面板671は、Y方向において単軸ロボット62の可動リニアコンベア7と逆側の面に取り付けられている。そして、Z方向に並ぶ複数のL字金具67によって、背面板671が取付架台2に取り付けられている。こうして、単軸ロボット62は、取付架台2に固定・支持されている。
【0053】
また、一対の直動案内レール64は、X方向に間隔を空けつつZ方向に平行に配置されている。これら直動案内レール64は、Y方向から見てボールネジ622を挟むようにロボットハウジング621内に配置されて、ロボットハウジング621の内壁に取り付けられている。
【0054】
駆動部材63は、Y方向において、可動部材79より単軸ロボット62側にずれて配置されており、可動部材79と単軸ロボット62との間に位置する。この駆動部材63は、Z方向およびX方向に平行に配置された駆動プレート631と、X方向において、駆動プレート631の両端部それぞれに取り付けられたスライダ632とを有する。これらスライダ632は、Z方向に延設されている。そして、X方向において、駆動プレート631の一方端部のスライダ632および他方端部のスライダ632と、一対の直動案内レール64とが係合する。つまり、X方向において、駆動プレート631の一方端部のスライダ632は、一方の直動案内レール64に係合し、駆動プレート631の他方端部のスライダ632は、他方の直動案内レール64に係合する。さらに、駆動プレート631は、ボールネジ622のナットに取り付けられており、当該ナットに伴ってZ方向に移動する。
【0055】
かかる構成では、モータ623によってボールネジ622を回転させることで、駆動部材63をZ方向に移動させることができる。さらに、駆動部材63のZ方向への移動を、駆動部材63に係合する直動案内レール64によって案内することができる。
【0056】
さらに、コンベアテーブル移載装置6は、可動リニアコンベア7を支持する可動部材79と、単軸ロボット62により駆動される駆動部材63とを接続するリンク機構9を備える。このリンク機構9について、
図7を併用しつつ説明する。ここで、
図7はリンク機構の一部の断面を模式的に示す図である。
【0057】
リンク機構9は、Z方向およびX方向に平行に配置された接続プレート91と、接続プレート91からY方向に延設されたアーム92とを有する。接続プレート91は、駆動部材63の駆動プレート631に取り付けられており、アーム92はY方向に平行に接続プレート91から可動部材79側へ延設されている。このアーム92は、Y方向において可動部材79側へ向かうにつれて先細りとなるテーパー形状を有する平板である。また、アーム92は、X方向において可動プレート791に対して直動案内レール83の逆側に配置されている。
【0058】
さらに、リンク機構9は、Y方向におけるアーム92の先端(アーム92の両端のうち可動部材79側の端)に取り付けられたシャフトホルダ931と、シャフトホルダ931に保持されるシャフト932とを有する。シャフト932はX方向に平行に保持されており、シャフト932の先端部は、シャフトホルダ931から可動プレート791側へX方向に突出する。そして、シャフト932の当該先端部に球面ベアリング94が取り付けられている。球面ベアリング94は、シャフト932に固定された内輪941と、内輪941に外嵌された外輪942とを有し、内輪941と外輪942が球面接触しつつ互いに摺動することができる。
【0059】
また、リンク機構9は、可動プレート791に取り付けられたシャフトホルダ951と、シャフトホルダ951に保持されるシャフト952とを有する。シャフト952はX方向に平行に保持されており、シャフト952の先端部は、シャフトホルダ951からシャフトホルダ931側へX方向に突出する。そして、シャフト952の当該先端部に球面ベアリング96が取り付けられている。球面ベアリング96は、シャフト952に固定された内輪961と、内輪961に外嵌された外輪962とを有し、内輪961と外輪962とが球面接触しつつ互いに摺動することができる。
【0060】
こうして、リンク機構9は、Z方向に配列された球面ベアリング94と球面ベアリング96とを有する。さらに、リンク機構9は、これら球面ベアリング94、96それぞれの外輪942、962を保持するホルダプレート97を有する。つまり、ホルダプレート97には、球面ベアリング94の外輪942と球面ベアリング96の外輪962とが固定されている。
【0061】
このように、リンク機構9は、それぞれ3自由度を有する2個の球面ベアリング94、96によって、駆動部材63と可動部材79とを接続する。かかる構成では、駆動部61によるボールネジ622の回転に伴って、駆動部材63が一対の直動案内レール64に案内されつつZ方向に移動すると、この駆動部材63の移動は、リンク機構9を介して可動部材79に伝達されて可動部材79をZ方向に駆動する。その結果、可動リニアコンベア7は、一対の直動案内レール83によって案内されつつZ方向に駆動される。
【0062】
かかるコンベアテーブル移載装置6によれば、駆動部61によって可動リニアコンベア7を対向位置Paおよび対向位置Pbのそれぞれに位置決めすることができる。コンベアテーブル移載装置6は、かかる位置決めを的確に実行するために、可動リニアコンベア7の位置を検出する位置検出部69(
図8)を有する。
【0063】
図8は可動リニアコンベアの位置を検出する位置検出部の構成を模式的に示す図である。位置検出部69は、リニアスケール691と、リニアセンサ692とを有する。リニアスケール691は、取付ブロック81aおよび取付ブロック81bのそれぞれに取り付けられている。特に
図2および
図3に示すように、リニアスケール691は、取付ブロック81の補強プレート815に取り付けられており、Z方向に平行に配置されている。一方、リニアセンサ692には、可動リニアコンベア7を支持する可動部材79の可動プレート791に取り付けられており、Z方向に平行に配置されている。かかる構成では、リニアセンサ692は、リニアスケール691にX方向から対向しつつリニアスケール691を読み取ることで、可動リニアコンベア7のZ方向への位置(高さ)を検出する。
【0064】
可動リニアコンベア7を対向位置Paに位置決めする際には、コンベアテーブル移載装置6のモータ623は、取付ブロック81aに取り付けられたリニアスケール691をリニアセンサ692が読み取った結果に基づき、ボールネジ622の回転量を制御する。これによって、可動リニアコンベア7を対向位置Paに的確に位置決めすることができる。また、可動リニアコンベア7を対向位置Pbに位置決めする際には、コンベアテーブル移載装置6のモータ623は、取付ブロック81bに取り付けられたリニアスケール691をリニアセンサ692が読み取った結果に基づき、ボールネジ622の回転量を制御する。これによって、可動リニアコンベア7を対向位置Pbに的確に位置決めすることができる。
【0065】
また、
図2に示すように、可動リニアコンベア7が対向位置Paに位置する状態では、可動部材79は、直動案内レール83を挟んで、取付ブロック81aにX方向から対向する。つまり、取付ブロック81aは、直動案内レール83に係合する可動部材79にX方向から隣接し、直動案内レール83のうち可動部材79が係合する下端部分を、可動部材79が直動案内レール83に取り付けられる面(X方向における可動部材79側の面)の逆側から支持する。これによって、対向位置Paに位置する可動リニアコンベア7を取付ブロック81aによってしっかりと支持することができる。
【0066】
同様に、可動リニアコンベア7が対向位置Pbに位置する状態では、可動部材79は、直動案内レール83を挟んで、取付ブロック81bにX方向から対向する。つまり、取付ブロック81bは、直動案内レール83に係合する可動部材79にX方向から隣接し、直動案内レール83のうち可動部材79が係合する上端部分を、可動部材79が直動案内レール83に取り付けられる面(X方向における可動部材79側の面)の逆側から支持する。これによって、対向位置Pbに位置する可動リニアコンベア7を取付ブロック81bによってしっかりと支持することができる。
【0067】
以上に説明する実施形態では、モータ623(駆動源)によって駆動される駆動部材63と、可動リニアコンベア7を支持する可動部材79とが、リンク機構9によって接続される。そして、駆動部材63が直動案内レール64(第1直動案内部材)に沿って駆動されると、可動部材79がリンク機構9を介して駆動部材63により駆動されて直動案内レール83(第2直動案内部材)に沿って移動し、可動リニアコンベア7がZ方向(所定の移動方向)に移動する。この際、リンク機構9は1以上の自由度を持つ。したがって、直動案内レール64と直動案内レール83との平行度に応じて、リンク機構9がその自由度によって屈曲するため、駆動部材63や可動部材79に加わる荷重を抑えることができる。その結果、駆動部材63および可動部材79それぞれの直動案内レール64および直動案内レール83への取り付けに精密な調整作業を要することなく、可動リニアコンベア7をスムーズに移動させることが可能となっている。
【0068】
また、リンク機構9は、球面ベアリング94、96を有し、球面ベアリング94、96によって自由度を持つ。このように3自由度を有する球面ベアリング94、96をリンク機構9に用いることで、リンク機構9をフレキシブルに屈曲させて、駆動部材63や可動部材79に加わる荷重をより確実に抑えることができる。その結果、直動案内レール64と直動案内レール83との平行度が低い場合であっても、可動リニアコンベア7をスムーズに移動させることができる。
【0069】
また、リンク機構9は、Z方向(移動方向)において異なる位置に配置された2個の球面ベアリング94、96を有する。このように2個の球面ベアリング94、96をリンク機構9に用いることで、リンク機構9をよりフレキシブルに屈曲させて、駆動部材63や可動部材79に加わる荷重をさらに確実に抑えることができる。
【0070】
また、駆動部61は、取付架台2に取り付けられた固定リニアコンベア5a(第1固定リニアコンベア)に対向する対向位置Paと、取付架台2に取り付けられた固定リニアコンベア5b(第2固定リニアコンベア)と対向する対向位置Pb(第2対向位置)との間でZ方向に可動リニアコンベア7を移動させる。かかる構成では、可動リニアコンベア7を駆動部61により対向位置Paに位置させることで、可動リニアコンベア7と固定リニアコンベア5aとの間でコンベアテーブルTの受け渡しが実行できるとともに、可動リニアコンベア7を駆動部61により対向位置Pbに位置させることで、可動リニアコンベア7と固定リニアコンベア5bとの間でコンベアテーブルTの受け渡しを実行できる。特に本実施形態では、直動案内レール64と直動案内レール83との平行度に応じて、リンク機構9がその自由度によって屈曲するため、可動リニアコンベア7を適切な姿勢で対向位置Pa、Pbに案内できる。その結果、可動リニアコンベア7と固定リニアコンベア5a、5bとの間のコンベアテーブルTの受け渡しをスムーズに実行できる。
【0071】
また、直動案内レール83は、固定リニアコンベア5aに取り付けられるとともに、固定リニアコンベア5bに取り付けられる。かかる構成では、固定リニアコンベア5aに取り付けられた直動案内レール83によって可動リニアコンベア7の対向位置Paへの移動が案内されるため、対向位置Paに移動した可動リニアコンベア7を固定リニアコンベア5aに対して的確に位置決めできる。同様に、固定リニアコンベア5bに取り付けられた直動案内レール83によって可動リニアコンベア7の対向位置Pbへの移動が案内されるため、対向位置Pbに移動した可動リニアコンベア7を固定リニアコンベア5bに対して的確に位置決めできる。その結果、固定リニアコンベア5a、5bが取り付けられた取付架台2の歪みや熱変形によらず、固定リニアコンベア5a、5bと可動リニアコンベア7との間のスムーズなコンベアテーブルTの受け渡しが実行可能となっている。
【0072】
また、可動リニアコンベア7の位置を検出する位置検出部69が具備されている。そして、駆動部61は、位置検出部69が検出する位置に基づき可動リニアコンベア7の位置を制御することで、可動リニアコンベア7の対向位置Pa、Pbへの位置決めを制御する。かかる構成では、位置検出部69による検出結果に基づき、固定リニアコンベア5a、5bに対して可動リニアコンベア7の位置を的確に制御できる。ただし、位置検出部69は、その配置箇所での可動リニアコンベア7の位置を検出するに過ぎないため、可動リニアコンベア7の姿勢を検出することはできない。そのため、位置検出部69を用いるだけでは、固定リニアコンベア5a、5bに対して可動リニアコンベア7の姿勢が傾いた状態で、コンベアテーブルTの受け渡しが実行されるおそれがある。これに対して、本実施形態では、直動案内レール64と直動案内レール83との平行度に応じて、リンク機構9がその自由度によって屈曲するため、可動リニアコンベア7を適切な姿勢で対向位置Pa、Pbに案内できる。その結果、固定リニアコンベア5a、5bに対して、適切な位置および姿勢で可動リニアコンベア7を位置決めできる。
【0073】
このように上記の実施形態では、搬送システム1が本発明の「搬送システム」の一例に相当し、取付架台2が本発明の「取付架台」の一例に相当し、固定リニアコンベア5aが本発明の「第1固定リニアコンベア」の一例に相当し、固定リニアコンベア5bが本発明の「第2固定リニアコンベア」の一例に相当し、コンベアテーブル移載装置6が本発明の「コンベアテーブル移載装置」の一例に相当し、モータ623が本発明の「駆動源」の一例に相当し、駆動部材63が本発明の「駆動部材」の一例に相当し、直動案内レール64が本発明の「第1直動案内部材」の一例に相当し、位置検出部69が本発明の「位置検出部」の一例に相当し、可動リニアコンベア7が本発明の「可動リニアコンベア」の一例に相当し、可動部材79が本発明の「可動部材」の一例に相当し、直動案内レール83が本発明の「第2直動案内部材」の一例に相当し、リンク機構9が本発明の「リンク機構」の一例に相当し、球面ベアリング94、96が本発明の「球面ベアリング」の一例に相当し、対向位置Paが本発明の「第1対向位置」の一例に相当し、対向位置Pbが本発明の「第2対向位置」の一例に相当し、コンベアテーブルTが本発明の「コンベアテーブル」の一例に相当し、Z方向が本発明の「移動方向」の一例に相当する。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、
図9~
図11に示す変形例のように構成してもよい。
図9は変形例に係る搬送システムを示す平面図であり、
図10は
図1の搬送システムを示す部分斜視図であり、
図11は
図9に示す搬送システムが具備するリンク機構の一例を模式的に示す図である。
図11では、リンク機構9の一部の内部構造が破線で示されている。
【0075】
図1~
図8に示す上記実施形態と、
図9~
図11に示す変形例との違いは、主として可動リニアコンベア7の駆動方向であり、上記実施形態では可動リニアコンベア7がZ方向に駆動されていたのに対して、変形例では可動リニアコンベア7はY方向に駆動される。そこで、上記実施形態との差異点について主に説明することとし、共通する構成は相当符号を付して適宜説明を省略する。なお、共通する構成を具備することで、同様の効果が奏されることは言うまでもない。
【0076】
変形例に係る搬送システム1では、固定リニアコンベア5aと固定リニアコンベア5bとは、同一の取付ステージ23の上面231に取り付けられており、Y方向に間隔を空けつつ、X方向に平行に配置されている。これに対して、コンベアテーブル移載装置6は、可動リニアコンベア7をY方向に駆動することで、固定リニアコンベア5aにX方向から対向する対向位置Paと、固定リニアコンベア5bにX方向から対向する対向位置Pbとの間で可動リニアコンベア7を移動させる。
【0077】
かかる直動案内機構8では、固定リニアコンベア5a、5bに対応して、取付ブロック81a、81bがY方向に並ぶ。そして、取付ブロック81aの上面が固定リニアコンベア5aの底面に取り付けられ、取付ブロック81bの上面が固定リニアコンベア5bの底面に取り付けられている。これら取付ブロック81aと取付ブロック81bには、一対の直動案内レール83がY方向に架け渡されている。一対の直動案内レール83は、Z方向に間隔を空けて取付ブロック81a、81bに取り付けられ、それぞれY方向に平行に支持されている。そして、可動部材79は、一対の直動案内レール83に係合する。したがって、可動部材79は、直動案内レール83に案内されて、対向位置Paと対向位置Pbとの間をY方向に移動する。
【0078】
また、駆動部61の単軸ロボット62は、Y方向に平行に設けられており、Y方向およびZ方向に平行に支持された駆動部材63をモータ623によってY方向に駆動する。また、単軸ロボット62は、Y方向に平行に延設された一対の直動案内レール64(
図9に示されず)が取り付けられており、モータ623によって駆動される駆動部材63は、直動案内レール64によって案内されつつY方向に移動する。
【0079】
さらに、モータ623によって駆動される駆動部材63と、可動リニアコンベア7を支持する可動部材79とは、リンク機構9によって接続されている。したがって、モータ623に駆動される駆動部材63が一対の直動案内レール64に案内されつつY方向に移動すると、この駆動部材63の移動は、リンク機構9を介して可動部材79に伝達されて可動部材79をY方向に駆動する。その結果、可動リニアコンベア7は、一対の直動案内レール83によって案内されつつY方向に駆動される。
【0080】
また、リンク機構9では、接続プレート91は、Y方向およびZ方向に平行に配置されて駆動部材63に取り付けられており、アーム92は、接続プレート91からX方向、Y方向およびZ方向に屈曲されつつ延設されて、上方へ延びる。シャフトホルダ931は、アーム92の先端(上端)に取り付けられて、シャフト932の先端部は、シャフトホルダ931から可動プレート791側に向けてX方向に突出する。そして、シャフト932の当該先端部に球面ベアリング94が取り付けられている。また、可動プレート791に取り付けられたシャフトホルダ951から、シャフト952の先端部がシャフトホルダ931側へX方向に突出する。そして、シャフト952の当該先端部に球面ベアリング96が取り付けられている。こうして、このリンク機構9では、球面ベアリング94と球面ベアリング96とがY方向に配列されて、ホルダプレート97によって保持される。
【0081】
さらに、リンク機構9は、シャフトホルダ931とシャフトホルダ951との間に設けられた付勢バネ98を有する。付勢バネ98の両端は、シャフトホルダ931およびシャフトホルダ951に取り付けられて、付勢バネ98は、シャフトホルダ931とシャフトホルダ951とを互いに近づける弾性力を発生する。
図11に示すように、シャフトホルダ931とシャフトホルダ951とはY方向にずれて配置されている。そのため、Y方向において、球面ベアリング94と球面ベアリング96とを互いに近づける力が発生し、球面ベアリング94の内輪941と外輪942とが押圧力Fyによって押圧され、球面ベアリング96の内輪961と外輪962とが押圧力Fyによって押圧される。こうして、球面ベアリング94、96のY方向へのがたつきが抑制されている。なお、付勢バネ98は、その両端を近づける弾性力を発生する引張コイルバネに限られず、その両端を遠ざける弾性力を発生する圧縮コイルバネでもよい。
【0082】
この変形例においても、モータ623(駆動源)によって駆動される駆動部材63と、可動リニアコンベア7を支持する可動部材79とを接続するリンク機構9は1以上の自由度を持つ。したがって、直動案内レール64と直動案内レール83との平行度に応じて、リンク機構9がその自由度によって屈曲するため、駆動部材63や可動部材79に加わる荷重を抑えることができる。その結果、駆動部材63および可動部材79それぞれの直動案内レール64および直動案内レール83への取り付けに精密な調整作業を要することなく、可動リニアコンベア7をスムーズに移動させることが可能となっている。
【0083】
また、球面ベアリング94、96は、外輪942、962と、外輪942、962の内側に配置されて外輪942、962に球面で接触する内輪941、961とを有する。そして、球面ベアリング94、96が有する外輪942、962と内輪941、961とを押圧する、Y方向(移動方向)への成分を有する押圧力Fyを発生する付勢バネ98(付勢部材)が具備されている。かかる構成では、球面ベアリング94、96の外輪942、962と内輪941、961との間のY方向へのがたつきを抑えることができる。その結果、球面ベアリング94、96のがたつきが可動リニアコンベア7の位置に与える影響を排除できる。
【0084】
特に、上記の変形理のように、可動リニアコンベア7の移動方向が水平方向(Y方向)である場合に、付勢バネ98を設けた構成は好適である。つまり、かかる場合には、球面ベアリング94、96の外輪942、962と内輪941、961の自重がこれらのがたつきの抑制に寄与しないため、付勢バネ98によってがたつきを抑制することが好適となる。
【0085】
また、上記の変形例に示す以外の変更を適宜行うことができる。例えば、Z方向に可動リニアコンベア7を駆動する
図1~
図7の構成に付勢バネ98を設けて、球面ベアリング94、96のがたつきを抑えるように構成してもよい。
【0086】
また、リンク機構9に備える球面ベアリングの個数は2個に限られず、1個あるいは3個以上でもよい。
【0087】
また、リンク機構9に自由度を持たせるための具体的な構成は、球面ベアリングに限られず、他の種類のベアリング等でもよい。
【0088】
また、リンク機構9が有する自由度の数は上記の例に限られず、1以上であればよい。
【0089】
また、固定リニアコンベア5の個数は、2個に限られず、3個以上でもよい。この際、直動案内機構8を全ての固定リニアコンベア5に取り付けてもよいし、一部の固定リニアコンベア5にのみ取り付けてもよい。後者の場合であっても、当該一部の固定リニアコンベア5については、上述と同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、固定リニアコンベア5および可動リニアコンベア7によるコンベアテーブルTの駆動方法は、リニアモータによらず、ネジと中空モータとの組み合わせによってもよい。
【0091】
また、取付ブロック81a、81bの具体的な構成は、複数のプレートを組み合わせた上記の例に限られず、例えば単一の矩形状の部材によって取付ブロック81を構成してもよい。
【0092】
また、直動案内レール83を複数のレールで構成せずに、単一のレールで構成してもよい。
【0093】
また、直動案内レール83を複数のレールで構成する場合には、中間案内レール833を設けずに、2本の分割案内レール831、832のみで、直動案内レール83を構成してもよい。
【0094】
あるいは、直動案内レール83を複数のレールで構成して、直動案内レール83を4本以上のレールで構成してもよい。
【0095】
また、分割案内レール831、分割案内レール832および連結案内レール833の特性について適宜変更ができる。具体的には、分割案内レール831と連結案内レール833とが、材質、強度および剛性の少なくとも一つにおいて互いに異なるように構成できる。剛性を異ならせる場合には、分割案内レール831の剛性より連結案内レール833の剛性を低くすることができる。同様に、分割案内レール832と連結案内レール833とが、材質、強度および剛性の少なくとも一つにおいて互いに異なるように構成できる。剛性を異ならせる場合には、分割案内レール832の剛性より連結案内レール833の剛性を低くすることができる。
【0096】
また、直動案内レール83や、直動案内レール64を、リニアブッシュ、ボールスプラインあるいはカムフォロワといった直動案内を実行する他の部材に変更してもよい。
【0097】
また、係合突起と係合孔との係合によって固定リニアコンベア5と取付ブロック81とを位置決めするにあたり、固定リニアコンベア5に係合孔を設けて取付ブロック81に係合突起を設けてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…搬送システム
2…取付架台
5a…固定リニアコンベア(第1固定リニアコンベア)
5b…固定リニアコンベア(第2固定リニアコンベア)
6…コンベアテーブル移載装置
623…モータ(駆動源)
63…駆動部材
64…直動案内レール(第1直動案内部材)
69…位置検出部
7…可動リニアコンベア
79…可動部材
83…直動案内レール(第2直動案内部材)
9…リンク機構
94…球面ベアリング
96…球面ベアリング
Pa…対向位置(第1対向位置)
Pb…対向位置(第2対向位置)
T…コンベアテーブル
Z…Z方向(移動方向)