(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】核型熱間静水圧プレス
(51)【国際特許分類】
B30B 11/00 20060101AFI20230612BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20230612BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20230612BHJP
G21C 17/00 20060101ALI20230612BHJP
G21C 17/003 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B30B11/00 E
G21F9/36 501F
G21F9/36 501C
G21F9/36 511L
G21F9/36 511P
G21F9/00 Z
G21C17/00 500
G21C17/003
B30B11/00 M
(21)【出願番号】P 2018569120
(86)(22)【出願日】2017-07-07
(86)【国際出願番号】 US2017041183
(87)【国際公開番号】W WO2018009858
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-07-06
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519000685
【氏名又は名称】ペルサウド, ラジェンドラ
(73)【特許権者】
【識別番号】519000696
【氏名又は名称】モラー, ジェフ
(73)【特許権者】
【識別番号】519000700
【氏名又は名称】テイラー, ダン
(73)【特許権者】
【識別番号】519000711
【氏名又は名称】グイ, ポール
(73)【特許権者】
【識別番号】519000722
【氏名又は名称】オーカット, クリフォード
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ペルサウド, ラジェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】モラー, ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, ダン
(72)【発明者】
【氏名】グイ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】オーカット, クリフォード
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-091062(JP,A)
【文献】特開平01-199198(JP,A)
【文献】特表2014-527156(JP,A)
【文献】特開昭58-182598(JP,A)
【文献】特開昭53-076973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0079528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/00
G21F 9/36
G21F 9/00
G21C 17/00
G21C 17/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を処理するための熱間静水圧プレス(HIP)システムであって、
高温HIP炉と、
前記
高温HIP炉を囲繞する多重壁容器であって、前記多重壁容器は、少なくとも1つの検出器を備え、前記少なくとも1つの検出器は、壁の間に含まれ、ガス漏洩、容器壁の亀裂、または両方を検出する、多重壁容器と、
前記
高温HIP炉の上部および真下に位置する、複数のヘッドと、
ヨークと、ヨークフレームと、
HIP缶を前記高温HIP炉に装填および装填解除するように構成される、リフト機構と
を備え、前記多重壁容器は、2つの同心容器を備え、前記2つの同心容器は、
内部容器と外部容器との間に少なくとも1つの溝を含み、前記少なくとも1つの溝は、
前記内部容器の外側の中、または
前記外部容器の内側上、または両方に含まれ、前記容器壁の間に位置するガスが進行するための1つまたは複数の通路を形成する、放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの検出器は、圧力検出器、ガス流動検出器、ガス分析器、放射線検出器、または音響検出器を備える、請求項1に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項3】
前記ヨークは、複数の要素を備え、前記ヨークフレームが、前記ヨークの1つの要素の故障に応じて動作可能な状態であることを可能にするように構成される、請求項1に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項4】
前記放射性物質を処理するためのHIPシステムの動作中に、リアルタイムの応力データを収集し、提供するように構成される、前記ヨーク上の少なくとも1つの歪みゲージをさらに備える、請求項1に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項5】
前記複数のヘッドは、上部ヘッドと、外部下側ヘッドと、内部下側ヘッドとを備える、請求項1に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項6】
前記外部下側ヘッドは、前記
高温HIP炉がその上に着座することを可能にするように構成される、請求項5に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項7】
前記外部下側ヘッドが、前記
多重壁容器に係止されることができる一方で、前記内部下側ヘッドが、降下され、前記放射性物質を処理するためのHIPシステムにおいてプレス処理されるべき部分を受け入れることができる、請求項6に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項8】
前記内部下側ヘッドは、上に前記放射性物質を処理するためのHIPシステムにおいてプレス処理されるべき部分が設置される台を保持するように構成され、かつ前記内部下側ヘッドが前記外部下側ヘッドの内径内にフィットすることを可能にするように構成される、請求項5に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項9】
前記内部下側ヘッドは、少なくとも1つのシールを含み、前記外部下側ヘッドとのシールを形成し、および/またはプレス処理されるべき構成要素が装填および装填解除されるとき、前記
高温HIP炉および熱バリアを定位置に保つ、請求項5に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項10】
前記内部下側ヘッドは、それを前記外部下側ヘッドに結合する、少なくとも1つの空気圧ピン、シリンダ、またはクランプを備える、請求項5に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項11】
前記上部ヘッドは、前記
高温HIP炉の上部上に位置し、かつ前記
多重壁容器のボア内に着座する、請求項5に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項12】
前記
放射性物質を処理するためのHIPシステムは、装填要素を備え、前記装填要素は、電動式リフト、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、機械ねじ、またはその組み合わせを備え、HIP缶を前記
放射性物質を処理するためのHIPシステムの外側から前記
高温HIP炉に装填および装填解除する、請求項1に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項13】
前記装填要素は、底部装填設計を備える、請求項12に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項14】
前記
放射性物質を処理するためのHIPシステムは、二重底部閉鎖設計をさらに備え、前記
高温HIP炉および熱バリアが、前記
多重壁容器の内側の定位置に存在しながら、前記放射性物質を処理するためのHIPシステムでプレス処理された部分が前記
放射性物質を処理するためのHIPシステムから除去されることを可能にする、請求項13に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項15】
前記
高温HIP炉は、通常動作のために、ばね荷重された留め金を用いて定位置に係止される、請求項1に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項16】
前記留め金は、手動または自動のいずれか一方で作動されることができる、請求項15に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項17】
前記
高温HIP炉と前記多重壁容器との間に位置する、少なくとも1つの熱バリア層をさらに備える、請求項1に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステム。
【請求項18】
請求項1に記載の放射性物質を処理するためのHIPシステムを使用する、少なくとも1つの重金属または放射性同位体を含む材料を熱間静水圧プレス処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年7月8日に出願された米国仮出願第62/359,766号に対する優先権を主張するものであり、該仮出願は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
手動または遠隔のいずれか一方で放射性物質を処理することが可能な熱間静水圧プレス(「HIP」)システムが、開示される。そのようなHIPシステムを使用して、保守、操作、汚染除去、および廃棄のし易さを提供する方法もまた、開示される。
【背景技術】
【0003】
熱間静水圧プレスは、粉末冶金から作製される鋳造物と、構成要素とを含む、大量の材料を日々処理するために使用される確立された技術である。これらのシステムは、典型的には、産業環境内で動作し、ほぼ全ステップに対して直接的なオペレータ介入に関する能力に依拠する。例えば、HIPシステムの装填および装填解除、支援インフラストラクチャの保守、検査、および必要である場合、HIP容器の場所における重要なシールの交換のために、実地処理が、要求される。加えて、潜在的なガス漏洩または容器故障を伴う課題を軽減させるための容器の通常の定期検査もまた、重要である。
【0004】
加えて、HIPシステムが、放射性環境内で動作している場合、オペレータは、放射能から遮蔽されなければならない。したがって、放射能または活動のレベルに応じて、HIPシステムの遠隔設置および/または遠隔動作が、必要となり得る。したがって、オペレータが実地介入を行う能力は、実践的に可能ではないか、または、相当なリスクが存在する中で行われなければならないかのいずれかである。
【0005】
前述の問題に対処し、排除するために、安全性、放射性環境内でのHIPの操作、および保守の課題を考慮するだけではなく、それらの問題の大部分をも軽減させる、核型HIPシステムが、開示される。開示される核型HIPシステムは、上記に述べられた問題のうちの1つ以上、および/または先行技術の他の問題を克服することを対象とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある側面では、本開示は、高温HIP炉と、炉を囲繞する多重壁容器であって、多重壁容器は、壁の間に含まれた少なくとも1つの検出器を備え、該少なくとも1つの検出器は、ガス漏洩、容器壁の亀裂、または両方を検出する、多重壁容器と、炉の上部および真下に位置する、複数のヘッドと、ヨークフレームと、HIP缶を高温HIP炉に装填および装填解除するための、リフトとを備える、核型熱間静水圧プレス(HIP)システムを対象とする。1つの実施形態では、少なくとも1つの検出器は、圧力検出器、ガス流動検出器、化学物質検出器、放射線検出器、または音響検出器を備える。
【0007】
そのようなシステムを使用して、保守、操作、汚染除去、および廃棄のし易さを提供する方法もまた、開示される。
【0008】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的にすぎず、請求されるように、本発明を制限するものではないことを理解されたい。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
核型熱間静水圧プレス(HIP)システムであって、
高温HIP炉と、
前記炉を囲繞する多重壁容器であって、前記多重壁容器は、少なくとも1つの検出器を備え、前記少なくとも1つの検出器は、壁の間に含まれ、ガス漏洩、容器壁の亀裂、または両方を検出する、多重壁容器と、
前記炉の上部および真下に位置する、複数のヘッドと、
ヨークと、ヨークフレームと、
HIP缶を前記高温HIP炉に装填および装填解除するように構成される、リフト機構と、
を備える、核型HIPシステム。
(項目2)
前記少なくとも1つの検出器は、圧力検出器、ガス流動検出器、ガス分析器、放射線検出器、または音響検出器を備える、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目3)
多重壁容器は、2つの同心容器を備える、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目4)
2つの同心容器は、前記容器の間に少なくとも1つの溝を含み、前記溝は、内部容器の外側の中、外部容器の内側上、または両方に含まれ、前記容器壁の間に位置する、ガスが進行するための1つまたはそれを上回る通路を形成する、項目3に記載の核型HIPシステム。
(項目5)
前記ヨークは、複数の要素を備え、前記ヨークフレームが、前記ヨークの1つの要素の故障に応じて動作可能な状態でいることを可能にするように構成される、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目6)
前記HIPが起動する間に、リアルタイムの応力データを収集し、提供するように構成される、前記ヨーク上の少なくとも1つの歪みゲージをさらに備える、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目7)
前記複数のヘッドは、上部ヘッドと、外部下側ヘッドと、内部下側ヘッドとを備える、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目8)
前記外部下側ヘッドは、前記炉がその上に着座することを可能にするように構成される、項目7に記載の核型HIPシステム。
(項目9)
外部下側ヘッドが、前記容器に係止されることができる一方で、内部下側ヘッドが、降下され、熱間静水圧プレス処理されるべき部分を受け入れることができる、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目10)
前記内部下側ヘッドは、上に熱間静水圧プレス処理されるべき構成要素が設置される台を保持するように構成され、かつそれが前記外部下側ヘッドの内径内にフィットすることを可能にするように構成される、項目7に記載の核型HIPシステム。
(項目11)
前記内部下側ヘッドは、少なくとも1つのシールを含み、外部ヘッドとのシールを形成し、および/またはプレス処理されるべき構成要素が装填および装填解除されるとき、前記炉および熱バリアを定位置に保つ、項目7に記載の核型HIPシステム。
(項目12)
前記内部下側ヘッドは、それを前記外部下側ヘッドに結合する、少なくとも1つの空気圧ピン、シリンダ、またはクランプを備える、項目7に記載の核型HIPシステム。
(項目13)
前記上部ヘッドは、前記炉の上部上に位置し、かつ前記容器のボア内に着座する、項目7に記載の核型HIPシステム。
(項目14)
前記システムは、電動式リフト、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、機械ねじ、またはその組み合わせを備え、HIP缶を前記HIPシステムの外側から前記HIP炉に装填および装填解除する装填要素を備える、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目15)
前記装填要素は、底部装填設計を備える、項目14に記載の核型HIPシステム。
(項目16)
前記システムは、二重底部閉鎖設計をさらに備え、前記炉および熱バリアが、前記容器の内側の定位置に存在しながら、前記熱間静水圧プレス処理された構成要素が前記システムから除去されることを可能にする、項目15に記載の核型HIPシステム。
(項目17)
前記炉は、通常動作のために、ばね荷重された留め金を用いて定位置に係止される、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目18)
掛け金は、手動または自動のいずれか一方で作動されることができる、項目17に記載の核型HIPシステム。
(項目19)
前記炉と前記多重壁容器との間に位置する、少なくとも1つの熱バリア層をさらに備える、項目1に記載の核型HIPシステム。
(項目20)
項目1に記載の核型HIPシステムを使用する、少なくとも1つの重金属または放射性同位体を含む材料を熱間静水圧プレス処理する方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A-1Dは、底部装填HIP(
図1A)と、外部下側ヘッド(
図1B)と、内部下側ヘッド(
図1C)と、上部ヘッド(
図1D)とを備える、本開示による、核型HIPシステムの図面である。
【
図2】
図2A-2Cは、上面図(
図2A)と、端面図(
図2B)と、正面図(
図2C)とを含む、本開示による、核型HIPシステムの異なる斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1Aと同様であるが、ヨークが開放位置内に存在する、本開示による、核型HIPシステムの図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述の一般的な説明および図面の両方は、例示的かつ説明的にすぎず、請求されるように、本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0011】
有毒環境および/または核環境内で使用するための多重壁HIP容器およびそれを使用する方法の実施形態が、開示される。1つの実施形態では、多重壁容器は、二重壁容器を備え、容器殻の間に漏洩検出システムを備える。容器殻の間に位置する漏洩検出システムを有することによって、(例えば、シールからの)ガス漏洩を測定し、シールが性能を失い、取り替えられる必要があることの早期インジケーションをもたらすことが可能である。したがって、1つの実施形態では、漏洩検出システムは、容器の両端に冗長的に位置し、容器の亀裂および/またはシールからの漏洩の早期検出をもたらし、それによって、安全システムをトリガし得る。
【0012】
二重壁/殻容器のいくつかの実施形態では、小さいスパイラル状の溝が、同心容器の間に位置するように、容器殻の中に機械加工されてもよい。このように、スパイラル状の溝は、内部容器の外側上または外部容器の内部直径の内側上のいずれか一方に機械加工され得る。2つの同心容器が焼き嵌めを介して組み立てられ、容器が合わせられると、溝が、容器の上部から底部へのチャネルまたは通路を形成する。この設計を使用することによって、本出願人は、貫通亀裂が、容器の第1の壁内に発現する場合、HIP内に含まれるガスが、容器壁の間で漏洩し、ガスが、最も抵抗の少ない経路を進行し、溝の付いたチャネルの中に流動するであろうことを見出した。加えて、溝の付いたチャネルは、漏洩したガスが、容器の端部に進行し、含まれた状態で留まることを可能にする経路を形成する。
【0013】
1つの実施形態では、多重壁容器は、複数の同心容器殻の界面に橋架する端部プレートを備え、ガスが、さらに、配管を介して検出デバイスに指向され、漏洩を感知することを可能にし得る。
【0014】
1つの実施形態では、ガス漏洩の感知は、容器壁の間での圧力増加、ガス流動変化の測定、またはガス検出器等の化学物質検出器を含む、1つまたはそれを上回る技術を使用して行われ得る。したがって、種々の実施形態では、圧力センサ、流量計、ガス分析器、放射線検出器、ガイガーカウンタ、またはその組み合わせのうちの少なくとも1つが、多重壁HIP容器の容器壁の間に含まれる。
【0015】
前述の方法のうちの1つを使用すること等による不要なガスの検出に応じて、開示されるシステムは、HIPの通気孔を開放し、圧力を迅速に低減させ、亀裂がさらに成長することを防止するように構成される。加えて、制御システムが、炉への電力を遮断し、ガスの熱的膨張を介した圧力のいかなる増加をもさらに防止し得る。
【0016】
関連付けられる同心容器および/または容器壁の裂け目の間のガス漏洩の検出に加えて、容器亀裂を検出する方法が、説明される。1つの実施形態では、容器亀裂の検出は、容器を、容器壁内の亀裂の形成を検出する、音響センサおよび/または振動センサにフィットさせることによって遂行されることができる。1つの実施形態では、この検出は、最初に、応力(最大圧力)状態および非応力(大気圧力)状態の容器の指紋信号を確立することによって遂行される。容器に対する音響信号はまた、システムの他の中間プロセスの加圧および加熱周期にわたって確立され得る。音響指紋信号は、容器壁の中に音波を伝送することと、記録センサ上の応答または伝送を記録することとによって、確立され得る。
【0017】
前述のプロトコルを使用して容器に対する基準音響「指紋」を確立することによって、いかなる亀裂もが負荷下に発現したかどうかを決定することが可能であるだけではなく、亀裂のサイズが決定されることもまた、可能である。検出された亀裂が、容器設計にとって危機的な亀裂長さより長い状態においては、措置が、講じられ、HIPを安全に遮断することができる。このように、開示される亀裂検出システムは、ガス検出システムと同様に、HIP周期の間にリアルタイムのデータをもたらすように構成される。
【0018】
説明されるガス検出および亀裂検出システムに加えて、説明されるシステムはまた、ヨークの状態を、定量化可能なデータを用いてリアルタイムで監視する。例えば、いくつかの実施形態では、音響監視の間の場合のように、歪ゲージが、使用され、亀裂成長に起因する過度の形成を決定し、通常より大きい任意の伸展が、制御システムに圧力解放させ、かつHIPを遮断させるであろう。本システムは、リアルタイム監視を行うことが可能であり、そのため、安全性の問題が生じ得る直前に、迅速な措置が、講じられ得る。いくつかの実施形態では、開示されるシステムは、複数の独立的な検出システムと、警報制御システムとを備える。結果として、開示されるシステムは、種々の異なる技術および機器によって、多様性および種々のレベルおよびタイプの温度および圧力制御の冗長性を提供する。
【0019】
1つの実施形態では、HIP制御システムは、プログラマブル論理制御装置(PLC)、または他の同様のプログラマブルコントローラを含み、ガス圧力を制御するための自動化通気孔の制御を用いて、加熱および加圧速度を制御する。独立した「有線」警報制御システムは、PLCに異常がある場合、炉または製品の加熱が、両方の融解につながり得るため、HIPシステムを損傷させるであろう危険な温度および/または圧力条件をもたらし得ないことを確実にする。結果として、HIPシステムは、手動または遠隔のいずれか一方で、開示されるシステムを装填するように構成される。
【0020】
図を参照すると、
図1Aは、本開示の1つの実施形態による、底部装填HIPシステムに関する一般的なレイアウトを示す。
図1Aの例示的実施形態は、多重壁容器を備える。この場合、二重壁容器110が、示される。二重壁容器110は、「破断前漏洩」設計を有し、壊滅的故障を軽減させる。例示的実施形態では、外部容器は、格納構造物(ホットセル)または人員に損傷をもたらし得る発射体になることからの任意の潜在的な破片を含む。容器材料は、ASME規格適合材料を含み得、耐腐食性および加工されている製品からの放射性物質解放の場合の汚染除去のし易さのためにコーティングされる(例えば、Niコーティング/鍍着)、ステンレス鋼またはASME規格承認合金のいずれか一方である。特に、容器材料は、ASME規定下で定められるようなそれらの延性破壊モードに基づいて選択され得る。本構成の材料は、腐食および/または応力腐食亀裂のリスクを排除するために、ステンレス鋼または鍍着材料のいずれ一方であり得る。
【0021】
図1Aに示される例示的実施形態では、本システムは、HIPフレーム160と、ヨーク130(多重要素)とをさらに含む。この実施形態内に示されるヨーク130は、3つの構成要素を備える。1つの実施形態では、ヨーク130は、端部閉鎖部の開口部の範囲全体をカバーするように設計される。多重要素ヨーク130設計の利点は、ヨーク130アセンブリのうちの1つの要素が故障しても、他の要素がエンクロージャ内に保持され得ることであり、格納構造物(ホットセル)または人員に損傷をもたらし得る構成要素を含みながら圧力緩和を可能にすることである。
【0022】
図1Aはさらに、ヨーク130の要素上の一連の歪ゲージ150を記述する。歪ゲージ150は、HIPが起動する間に、リアルタイムの応力データを収集し、提供し得る。歪ゲージ150は、ヨーク130にフィットされ、そしてこれは、例えば、ヨークの変形の状態のオンライン監視能力をもたらす。したがって、例示的実施形態では、潜在的故障の早期インジケーションが、提供される。いくつかの実施形態では、早期インジケーションは、予防安全システム(圧力の放出)のトリガを補助してもよい。
【0023】
図1Aに示される例示的実施形態では、底部装填HIPシステムが、存在する。例示的実施形態は、HIP缶領域140によって表される、HIP缶内のプレス処理されるべき構成要素の底部装填を可能にする。HIP缶領域140は、電動式リフト、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、または機械ねじ、またはその3つ全ての組み合わせを含む、非限定的な実施例の種々の機構170を使用して上昇されることができる。
【0024】
別の実施形態では、二重底部閉鎖部が、存在し得る。この設計は、炉および熱バリア(thermal barrier)が容器の内側の定位置に存在し、かつ作業装填ヘッドが独立して降下することを可能にする。例えば、アセンブリが、構成成分がプラットフォーム上に装填されるのを可能にしながら、容器の下から外側に進行し得る。次いで、装填されたプラットフォームは、容器の下に進行して戻り、かつ機構170によって炉の中に上昇され得る。
【0025】
図1Bに目を向けると、本システムの外部下側ヘッド175が、示される。炉および熱バリア(絶縁)層が、この外部下側ヘッド175上に支持され得る。加えて、炉に対する電力および信号データが、外部下側ヘッド175を通過し得る。外部下側ヘッド175が、容器内に存在しながら、内部下側ヘッド180が、降下され、HIP処理されるべき部分を受け入れることができる。1つの実施形態では、この構成要素は、自動化され、信号コマンドに応じて係止または解放し得る係止ピンを介して、定位置に係止することができる。
【0026】
図1Cを参照すると、本システムの内部下側ヘッド180が、示される。内部下側ヘッド180は、HIP処理されるべき構成要素が上に設置される、装填スタンド(HIP缶領域140によって表される)を保持する。内部下側ヘッド180またはその一部が、外部下側ヘッド175の内径の中にフィットするような寸法にされる。さらに、内部下側ヘッド180は、外部下側ヘッド175のボアの中に挿入されると係合されるシール要素を有する。順に、外部下側ヘッド175が、容器のボアに対してシールされる。加えて、内部下側ヘッド180は、プレス処理されるべき構成要素が装填および装填解除されるとき、炉および熱バリアを定位置に保つ。本実施形態の利点は、内部下側ヘッド180が、炉および熱バリアの寿命を増加させることである。
【0027】
内部下側ヘッド180は、それを外部下側ヘッド175に添着する自動化(空気圧)ピン/シリンダを有する。例えば、外部下側ヘッド175は、ピン/シリンダ182を介して内部下側ヘッド180と動作可能に結合および結合解除するようなサイズ、寸法、および/または構成にされる。この実施形態では、上昇されると、内部下側ヘッド180は、外部下側ヘッド175と係合し、ピンは、それに係止する。ピストンが、次いで、降下され、ヨークに対する経路が、システム120の上部ヘッド(
図1Dに示される)および容器110の下側ヘッド175、180にわたって移動されることを可能にする。
【0028】
図2A-2Cに目を向けると、上面図(
図2A)と、端面図(
図2B)と、正面図(
図2C)とを含む、本開示による、核型HIPシステムの異なる斜視図が、示される。容器110およびシステムの上面図を示す
図2Aを参照すると、部分装填ガイド210に関して、その部分が、オーバーヘッドクレーンによって装填されている場合、それは、中心に置かれ、内部下側ヘッドの装填プラットフォーム上に設置されることに留意されたい。
【0029】
図2Cは、内部下側ヘッド180(
図1Cを参照されたい)が、トラック、または、ガイド220上で押動、引動、または駆動されることができることを示す。容器ボアの下の、容器ボアの中心ラインに対応する領域に移動されると、内部下側ヘッド180は、容器110の中に上向きに駆動するように構成される、シリンダまたはモータねじ等の機構170(
図1Aを参照されたい)によって上昇されることができる。いったん定位置に移動されると、ピン/シリンダ182が、ヘッドを定位置に係止し、エレベータピストンまたはドライブが、後退し、ヨークが、HIP容器の中心ラインに対応する領域にわたって移動される。
図2Cはまた、閉鎖位置230Aおよび開放位置230Bにおけるヨーク130を示す。例示的実施形態では、機構170(リフトシリンダ)が、床内の窪みから上向きに上昇する。しかしながら、機構170は、代替として、容器110に沿って搭載され、ヘッドを上方に引動/押動し、ヨーク130の通路を乗り越え、それを横断して移動し得る。
【0030】
図3は、台上の容器および付加的および/または要素を伴う主要部を示す。これらの特徴/要素は、容器315の両端部上に漏洩検出プレートを伴う、二重壁容器310を含み得る。例示的実施形態はさらに、炉330を囲繞する絶縁層320等の熱バリア層を示す。装填プラットフォーム340は、HIP缶を保持、装填および装填解除し得る。例示的実施形態では、ヨークは、開放位置230B状態である。
【0031】
図3に示される他の要素は、(
図1Bからの)外部下側ヘッド175およびヘッド担体370の上部に位置する(
図1Cからの)内部下側ヘッド180を含む。加えて、外部下側ヘッド175(炉ヘッド)を上向きに保持するピン/アクチュエータ350が、示される。最後に、内部下側ヘッド180に除去可能に結合し、かつ機構170の上昇/降下方向に垂直方向である下方の位置にあるとき、内部下側ヘッド180を押動/引動するように構成される、外部下側ヘッド押動/引動装置360が、示される。これは、例えば、下側炉/熱バリアが、保守または修理のために、外部位置に降下されるとき、特に有利であり得る。例示的実施形態では、外部下側ヘッド押動/引動装置360は、内部下側ヘッドが、接触位置に進行し、上昇される準備ができると、結合解除され得る。結合/結合解除は、種々の方法で生じ得る。例えば、ピンが係合解除されるとき、内部下側ヘッド180は、降下され、それによって、同時に炉ヘッドをも降下させ得る。降下位置から、内部下側ヘッド180および/または炉ヘッドが、システムから外部位置に移動され、それによって、保守を実施するためのアクセスを可能にし得る。
(産業上の利用可能性)
【0032】
示されるように、高温HIP炉と、炉を囲繞する多重壁容器であって、多重壁容器は、壁の間に含まれ、ガス漏洩、容器壁の亀裂、または両方を検出する、少なくとも1つの検出器を備える、多重壁容器とを備える核型熱間静水圧プレス(HIP)システムが、説明される。少なくとも1つの検出器は、圧力検出器、ガス流動検出器、ガス分析器、放射線検出器、または音響検出器を備え得る。
【0033】
上部ヘッドと、外部下側ヘッドと、内部下側ヘッドとを備える、炉の上部および真下に位置する、複数のヘッドを備えるシステムもまた、説明される。1つの実施形態では、外部下側ヘッドは、炉がその上に着座することを可能にするように構成される。それがまた、容器に係止されることができる一方で、内部下側ヘッドが、降下され、熱間静水圧プレス処理されるべき部分を受け入れることができる。1つの実施形態では、内部下側ヘッドは、上に熱間静水圧プレス処理されるべき構成要素が設置される台を保持するように構成され、かつそれが外部下側ヘッドの内径内にフィットすることを可能にするように構成される。内部下側ヘッドはまた、少なくとも1つのシールを含み、外部ヘッドとのシールを形成し、および/またはプレス処理されるべき構成要素が装填および装填解除されるとき、炉および熱バリアを定位置に保ち得る。内部下側ヘッドはまた、それを外部下側ヘッドに結合する、少なくとも1つの空気圧ピン、シリンダ、またはクランプを備えてもよい。また、上部ヘッドは、典型的には、炉の上部上に位置し、かつ容器のボア内に着座する。
【0034】
1つの実施形態では、ヨークと、ヨークフレームとを備える、核型HIPシステムが、説明される。ヨークは、複数の要素を備えてもよく、ヨークフレームが、ヨークの1つの要素の故障に応じて動作可能な状態でいることを可能にするように構成される。別の実施形態では、HIPが起動する間に、リアルタイムの応力データを収集し、提供するように構成される、ヨーク上の少なくとも1つの歪みゲージを備える。
【0035】
説明される核型熱間静水圧プレス(HIP)システムは、HIP缶を高温HIP炉に装填および装填解除するように構成される、リフト機構をさらに備える。装填要素の非限定的な実施例は、電動式リフト、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、機械ねじ、またはその組み合わせを備え、HIP缶をHIPシステムの外側からHIP炉に装填および装填解除する。
【0036】
ある実施形態では、装填要素は、底部装填設計を備え、システムは、二重底部閉鎖設計をさらに備え、炉および熱バリアが、容器の内側の定位置に存在しながら、熱間静水圧プレス処理された構成要素がシステムから除去されることを可能にし得る。
【0037】
ある実施形態では、多重壁容器は、2つの同心容器を備える。この実施形態はまた、容器の間に少なくとも1つの溝を含んでもよく、該溝は、内部容器の外側の中、外部容器の内側上、または両方に含まれ、容器壁の間に位置する、ガスが進行するための1つまたはそれを上回る通路を形成する。
【0038】
核型HIPシステムはまた、炉と多重壁容器との間に位置する、少なくとも1つの熱バリア層をさらに備え得る。
【0039】
1つの実施形態では、核型HIPシステムの炉は、通常動作のために、ばね荷重された留め金を用いて定位置に係止される。掛け金は、手動または自動のいずれか一方で作動されることができる。
【0040】
別の実施形態では、本明細書に記載される核型HIPシステムを使用する、少なくとも1つの重金属、有毒物、または放射性同位体を含む材料を熱間静水圧プレス処理する方法が、開示される。そのような材料の非限定的な実施例は、使用済み核燃料、水銀、カドミウム、ルテニウム、セシウム、マグネシウム、プルトニウム、アルミニウム、黒鉛、ウラン、および他の原子力発電所の廃棄物、ゼオライト材料および汚染土のあらゆる公知の組成を含む。
【0041】
本発明の他の実施形態が、本明細書に開示される本発明の明細書および実践を考慮し、当業者に明白となるであろう。本明細書および実施例は、例示的にすぎないと見なされ、かつ本発明の真の範囲は、以下の請求項によって示されていることが、意図される。