(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-09
(45)【発行日】2023-06-19
(54)【発明の名称】複合3ポイント駆動締結具
(51)【国際特許分類】
F16B 23/00 20060101AFI20230612BHJP
B25B 13/02 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
F16B23/00 D
B25B13/02 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019004144
(22)【出願日】2019-01-15
【審査請求日】2022-01-14
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515113031
【氏名又は名称】マクリーン-フォグ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ.トマスゼウスキ
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン エー.マクリーン
(72)【発明者】
【氏名】ラリー ジェイ.ウィルソン
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-530049(JP,A)
【文献】特開2004-076900(JP,A)
【文献】特開2007-205553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00- 43/02
B25B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ付き部分と、
第1の工具からトルクを受け取って前記ねじ付き部分にトルクを伝達する第1の支持部分であって、第1の支持表面の対
を三つ含み、第1の支持表面の各対が、他の第1の支持表面の各対から等しく離間されている、第1の支持部分と、
第2の工具からトルクを受け取って前記ねじ付き部分にトルクを伝達する第2の支持部分であって
、六つの凹状支持表面を含む第2の支持部分と、
を備える締結具であって、
前記第1の支持表面の各対が、前記凹状支持表面のうちの二つの間に配置され、前記締結具がさらに、
三つの凸状非支持表面を含む非支持部分であって、各凸状非支持表面が、二つの前記凹状支持表面を分離した、非支持部分を備え、
各凹状支持表面が、隣接した非支持表面に滑らかに推移し、
前記第1の支持表面の三つの対のそれぞれの第1の支持表面の一つが、前記第1の支持表面の三つのうちの他の一つの第1の支持表面と平行である締結具。
【請求項2】
前記第1の工具のトルク印加部分が、前記第2の工具のトルク印加部分とは異なる形状とされる、請求項1に記載の締結具。
【請求項3】
前記第1の工具が、6ポイント六角ソケット又は12ポイントソケットであり、前記第2の工具が、強化6ローブソケットである、請求項2に記載の締結具。
【請求項4】
前記六つの凹状支持表面が、互いに隣接しない、請求項1に記載の締結具。
【請求項5】
第1の支持表面の各対が、第1の締付け表面及び第1の緩め表面から成り、前記第1の締付け表面が、締付け方向において前記ねじ付き部分にトルクを伝達するように設計され、前記第1の緩め表面が、緩め方向において前記ねじ付き部分にトルクを伝達するように設計される、請求項1に記載の締結具。
【請求項6】
各第1の支持表面の前記第1の締付け表面及び前記第1の緩め表面が、前記第1の締付け表面を前記第1の緩め表面に接続するエッジにおい
て120度の角度を形成する、請求項5に記載の締結具。
【請求項7】
対となる第1の支持表面ごとの前記表面のうちの一つが、対となる他の一つの第1の支持表面の他の一つの表面とのみ平行である、請求項1に記載の締結具。
【請求項8】
前記第1の締付け表面及び前記第1の緩め表面のそれぞれが
、平坦である、請求項5に記載の締結具。
【請求項9】
前記凹状支持表面が、隣接した前記非支持表面と、前記第1の支持表面の少なくとも一つとの間に形成されている、請求項1に記載の締結具。
【請求項10】
前記第1の支持部分及び第2の支持部分の端に配置されたフランジをさらに備え、前記フランジが、前記第1の支持部分を越えて径方向に延在する、請求項1に記載の締結具。
【請求項11】
前記締結具の軸方向長さに沿って延在する開口部をさらに備え、前記ねじ付き部分が、前記開口部上の雌ねじを含む、請求項1に記載の締結具。
【請求項12】
前記非支持表面と前記雌ねじの基部との間の肉厚が、前記第1の支持部分の最も外側の径方向エッジと前記雌ねじの基部との間の距離の少なくとも半分の厚さである、請求項11に記載の締結具。
【請求項13】
同じ用途のためのサイズとされた標準的な強化6ローブナット締結具より
も13パーセント少ない質量を含む、請求項11に記載の締結具。
【請求項14】
前記ねじ付き部分が、雄ねじを含む、請求項1に記載の締結具。
【請求項15】
ねじ付き部分と、
第1のソケット工具からトルクを受け取って前記ねじ付き部分にトルクを伝達する第1の支持部分であって、第1の支持表面の対
を三つ含む、第1の支持部分と、
第2のソケット工具からトルクを受け取って前記ねじ付き部分にトルクを伝達する第2の支持部分であって、凹状支持表面を含む第2の支持部分と、
を備える締結具であって、
前記第1の支持表面の各対が、前記凹状支持表面のうちの二つの間に配置され、
前記締結具がさらに、
三つの凸状非支持表面であって、各凸状非支持表面が、第1の支持表面の対の二つの間であり、かつ、凹状支持表面のうちの二つの間に、配置された三つの凸状非支持表面を備え、
各凹状支持表面が、隣接した非支持表面に滑らかに推移し、
前記第1の支持表面の三つの対のそれぞれの第1の支持表面の1つが、第1の支持表面の三つのうちの他の一つの第1の支持表面と平行である締結具。
【請求項16】
ねじ付き部分と、
3つの締結具ポイントを有した締結具ヘッドであって、各締結具ポイントが、
第1の工具からトルクを受け取って前記ねじ付き部分にトルクを伝達する、第1の支持部分と、
第2の工具からトルクを受け取って前記ねじ付き部分にトルクを伝達するように、凹状支持表面を画定した第2の支持部分と、を備えた締結具ヘッドと、
三つの凸状非支持表面であって、前記凸状非支持表面の一つが、各締結具ポイントの間に配置されており、各締結具ポイントは、前記凸状非支持表面の周囲を超えて飛び出しており、各凸状非支持表面が、二つの前記凹状支持表面を分離しており、
、を備える締結具であって、
各凹状支持表面が、隣接した非支持表面に滑らかに推移し、
各締結具ポイントの前記第1の支持部分が、他の一つの締結具ポイントの他の一つの第1の支持部分と平行である締結具。
【請求項17】
前記締結具ポイントは、互いに等しく離間されている、請求項16に記載の締結具。
【請求項18】
前記第1の支持部分は、第1の支持表面の対を有し、
前記第2の支持部分は、前記凹状支持表面を有し、
前記第1の支持表面は、二つの前記凹状支持表面の間に配置されている、請求項16に記載の締結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、締結具に関し、より詳細には、工具から締結具にトルクを伝達するための複合3ポイント駆動締結具(hybrid three-point drive fastener)に関する。
【背景技術】
【0002】
締結具は、構成要素同士を接合するために、多くの用途で使用される。典型的には、締結具は、少なくとも一つのねじ付き部分と、ねじ付き部分に取り付けられた一つ以上の支持表面を含む支持部分とを有する。支持部分は、締結具を締める又は緩めるために使用されるソケット又はレンチなどの工具からトルクを受け取るように設計される。ナットなどの従来の締結具では、締結具は、雌ねじと、雌ねじの周りに六角形の形状で配向された六つの支持表面とを有し得る。しかし、ボルト及びねじ釘などの他の締結具は、雄ねじを有し得る。ねじ付き締結具にトルクを印加するためのいくつかの工具は、6ポイント六角ソケット(six-point hexagon socket)又は12ポイント六角様幾何形状ソケット(twelve-point hexagon-like geometry socket)、及び6ローブソケット(six-lobe socket)又は強化6ローブソケット(enhanced six-lobe socket)(ヘクサロビュラ、Torx(登録商標)、又はスターとしても知られる)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
重要な接合用途において不適当な締結具が使用されるのを防ぐことにより接合組立プロセスが失敗しないようにするために、製造業者は、典型的には、正しい締結具の六角形支持部分のサイズを大きくし、かつ、サイズを大きくした六角形支持部分に適合するソケットを組立オペレータに与える。これは、標準的なサイズの支持部分を持つ不適当な締結具が組立中に使用される可能性を低下させる。例えば、標準的なM10ナットが15mmの六角形支持部分を有するのに対して、接合組立のための正しいナットは、16mmの六角形支持部分を有し得る。組立オペレータは、正しいナットを取り付けるために16mmの六角ソケットを持つことになる。16mmの六角ソケットは、不適当なM10ナットにはうまく嵌まらず、それにより、オペレータが不適当なM10ナットを使用する可能性が低下する。しかし、正しい締結具の支持部分のサイズを大きくするというこの典型的な慣習には、欠点がある。第一に、正しい締結具は、サイズを大きくした支持部分における追加の材料のため、より重くなる。例えば、六角フランジナットの重量は、より大きい六角形支持部分を持つナットを設計することにより、おおよそ12%増える。第二に、正しい締結具は、サイズを大きくした支持部分における追加の材料のため、より費用がかかる。例えば、より大きい六角形支持部分を持つ六角フランジナットの費用は、より高い材料費、熱処理費用、めっき費用、及び包装費用のため、12%又はそれ以上高くなる。第三に、組立オペレータはさらに、より大きい正しいソケットを用いて不適当な(標準的なサイズの支持部分を持つ)締結具を取り付けることが可能である。例えば、
図1は、16mmの六角ソケットが、15mmの六角形支持部分を持つナットを駆動させることができることを示す。
【0004】
締結具産業では、効率を高めかつ費用を減少させるために、組立プロセスを失敗しないようにする必要性が増大している。また、燃焼駆動車両の燃費(gas mileage)及び電気駆動車両の電池寿命を向上させるために、締結具の重量を減少させる傾向がある。また、一部の整備士は、非標準的な支持部分形状及び特徴を持つ全ての締結具を取り外すのに必要とされる特別な工具を持っていない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態では、締結具が、ねじ付き部分と、第1の工具からトルクを受け取ってねじ付き部分にトルクを伝達するように設計された第1の支持部分とを備える。第1の支持部分は、第1の支持表面の対を三つ含み、第1の支持表面の各対は、他の第1の支持表面の各対から等しく離間される。締結具はまた、第2の工具からトルクを受け取ってねじ付き部分にトルクを伝達するように設計された第2の支持部分を備える。第2の支持部分は、六つの凹状支持表面を含む。第1の支持表面の各対は、凹状支持表面のうちの二つの間に配置される。締結具はまた、非支持部分を備える。非支持部分は、三つの凸状非支持表面を含み、各凸状非支持表面は、第1の支持表面の対のうちの二つの間及び凹状支持表面のうちの二つの間に配置される。
【0006】
本発明は、以下の図面及び説明を参照することにより、より良く理解することができる。図面中の構成要素は、必ずしも正確な縮尺ではなく、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。さらに、図面において、同様の参照番号は、様々な図にわたって対応する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】従来技術の六角ナット及びソケットの上面図である。
【
図2】本開示の一実施形態による締結具の上面図である。
【
図3】本開示の一実施形態による締結具、及び強化6ローブソケットの上面図である。
【
図4】本開示の一実施形態による締結具、及び6ポイント六角ソケットの上面図である。
【
図5】本開示の一実施形態による締結具、及び12ポイント六角様幾何形状ソケットの上面図である。
【
図6】本開示の一実施形態による締結具の斜視図である。
【
図7】本開示の別の実施形態による締結具の斜視図である。
【
図8】本開示の一実施形態による締結具の上面図、及び対応する例示的な工具サイズの表である。
【
図9】従来技術の六角ナット、及び強化6ローブソケットの上面図である。
【
図10】本開示の一実施形態による締結具、及び強化6ローブソケットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に図を参照すると、
図2は、複合3ポイント駆動締結具の一実施形態を示す。締結具100は、ねじ付き部分102を有する。ねじ付き部分102は、締結具100の軸方向長さに沿って(
図2の頁内に)延在する開口部を取り囲み得る。締結具100は、雌ねじを有するナット又は任意の他の締結具であり得る。
【0009】
締結具100は、第1のトルク支持部分104を含み得る。トルク支持部分104は、締結具100の軸方向長さ全体に延在し得るか、又は、締結具100の軸方向長さの一部分に沿ってのみ延在し得る。支持部分104は、6ポイント六角ソケット、12ポイント六角様幾何形状ソケット、又はレンチなどの工具からトルクを受け取ってねじ付き部分102にトルクを伝達するように設計され得る、三対のトルク支持表面106、108、110を含み得る。
【0010】
トルク支持表面106、108、110の各対は、各辺間にエッジ112、114、116を有する二つのトルク支持辺を含み得る。トルク支持表面106は、辺間にエッジ112を有するトルク支持辺106a及び106bを含み得る。トルク支持表面108は、辺間にエッジ114を有するトルク支持辺108a及び108bを含み得る。トルク支持表面110は、辺間にエッジ116を有するトルク支持辺110a及び110bを含み得る。各トルク支持辺106a、106b、108a、108b、110a、110bの高さは、軸方向における支持部分104の高さであり得る。各トルク支持辺106a、106b、108a、108b、110a、110bは、六角ソケット又はレンチなどの工具からトルクを受け取って、工具が締結具100を締めているのか緩めているのかに応じてねじ付き部分102にトルクを伝達するように、設計され得る。例えば、工具が締結具100を締めている場合、トルク支持辺106a、108a、110aが工具からトルクを受け取って、ねじ付き部分102にトルクを伝達し得る。一方で、工具が締結具100を緩めている場合、トルク支持辺106b、108b、110bが工具からトルクを受け取って、ねじ付き部分102にトルクを伝達し得る。締結具100が締められているか又は緩められているときにトルクを受け取って伝達するトルク支持辺は、ねじ付き部分102内のねじの向きに応じて切り替えられ得る。
【0011】
エッジ112、114、116は、支持部分104の軸方向長さ全体に延在し得る。エッジ112、114、116は、対応する各トルク支持辺106a、106b、108a、108b、110a、110bの幅が同じであるように、トルク支持表面106、108、110それぞれの中間点に配置され得る。例えば、トルク支持辺106a及び106bの幅は、同じであり得る。あるいは、任意の又は全てのトルク支持辺の幅が、任意の又は全ての他のトルク支持辺とは異なっていてもよい。
【0012】
締結具100は、六角ソケット又は12ポイント構成ソケットなどの標準的なソケット工具によって駆動されるような設計及び形状とされ得る。したがって、トルク支持辺が交わる位置であるエッジ112、114、116における角度は、標準的な6ポイント六角ソケット又は12ポイント六角様幾何形状ソケットの角度に適合するように、おおよそ120度であり得る。さらに、エッジ112、114、116は、標準的な6ポイント六角ソケット又は12ポイント六角様幾何形状ソケットに適合するように、締結具100の長手軸の周りにおおよそ等しく離間され得る。
【0013】
締結具100は、第2のトルク支持部分118を含み得る。トルク支持部分118は、締結具100の軸方向長さ全体に延在し得るか、又は、締結具100の軸方向長さの一部分に沿ってのみ延在し得る。支持部分118は、6ローブソケット又は強化6ローブソケットなどの工具からトルクを受け取ってねじ付き部分102にトルクを伝達するように設計され得る、六つのトルク支持表面120、122、124、126、128、130を含み得る。支持表面120、122、124、126、128、130は、6ローブソケット又は強化6ローブソケットのローブに嵌まるために、凹形状であり得る。各トルク支持表面120、122、124、126、128、130の高さは、軸方向における支持部分118の高さであり得る。
【0014】
各トルク支持表面120、122、124、126、128、130は、6ローブソケット又は強化6ローブソケットなどの工具からトルクを受け取って、工具が締結具100を締めているのか緩めているのかに応じてねじ付き部分102にトルクを伝達するように、設計され得る。例えば、工具が締結具100を締めている場合、トルク支持表面120、124、128が工具からトルクを受け取って、ねじ付き部分102にトルクを伝達し得る。一方で、工具が締結具100を緩めている場合、トルク支持表面122、126、130が工具からトルクを受け取って、ねじ付き部分102にトルクを伝達し得る。締結具100が締められているか又は緩められているときにトルクを受け取って伝達するトルク支持表面は、ねじ付き部分102内のねじの向きに応じて切り替えられ得る。
【0015】
締結具100は、非トルク支持部分132を含み得る。非トルク支持部分132は、三つの非トルク支持表面134、136、138を含み得る。非トルク支持表面134、136、138は、工具からトルクを受け取ってねじ付き部分102に伝達するように意図され得ない。しかし、非トルク支持表面134、136、138は、たとえ非トルク支持表面134、136、138がそうするように意図されていなくとも偶発的に工具からトルクを受け取ってねじ付き部分102に伝達してもよい。
【0016】
非トルク支持部分132は、凸形状であり得る。ねじ付き部分102と非トルク支持表面134、136、138それぞれとの間での非トルク支持部分132の肉厚は、(ねじの厚さを除いて)一様に厚くかつねじ付き部分102内のねじを支持するのに十分であり得る。
【0017】
図2に示されるように、非トルク支持表面134、136、138及びトルク支持表面106、108、110は、トルク支持表面120、122、124、126、128、130が互いに隣接しないように、トルク支持表面120、122、124、126、128、130に隣接しかつそれらの間に配置され得る。
【0018】
締結具100などの複合3ポイント駆動締結具は、標準的な強化6ローブソケット140を用いて取付け及び取外しされ得る。
図3は、標準的な強化6ローブソケット140内の締結具100を示す。標準的な強化6ローブソケット140のローブ142は、ソケット140からねじ付き部分102にトルクを伝達するために、トルク支持表面120、122、124、126、128、130に接触する。
【0019】
締結具100などの複合3ポイント駆動締結具は、標準的な強化6ローブソケット140又は標準的な6ポイント六角ソケット144又は標準的な12ポイント六角様幾何形状ソケット146を用いて現場で取り外され得る。標準的な6ポイント六角ソケット144又は標準的な12ポイント六角様幾何形状ソケット146を用いた締結具100などの複合3ポイント駆動締結具の取外しは、点検修理のために締結具を取り外す必要がありかつオペレータが強化6ローブソケットを有していない場合に、有用である。
【0020】
図4は、標準的な6ポイント六角ソケット144内の締結具100を示す。トルク支持辺106a、106b、108a、108b、110a、110bは、ソケット144からねじ付き部分102にトルクを伝達するために、標準的な6ポイント六角ソケット144の六角形の辺に接触する。
図5は、標準的な12ポイント六角様幾何形状ソケット146内の締結具100を示す。トルク支持辺106a、106b、108a、108b、110a、110bは、ソケット146からねじ付き部分102にトルクを伝達するために、標準的な12ポイント六角様幾何形状ソケット146の辺に接触する。
【0021】
図6は、締結具100を斜視図で示す。締結具100は、フランジ148を含み得る。フランジ148は、締結具100が締め付けられる対象物(図示せず)上の締付け表面に接触するように設計され得る。フランジ148は、トルク支持部分104を越えて延在し得る。フランジ148は、締付け表面に印加される力を分散させ得る。
【0022】
図7は、複合3ポイント駆動締結具の別の実施形態を示す。締結具700は、雄ねじを有するボルト締結具又は任意の他の締結具であり得る。締結具700は、締結具700上のねじ付き部分702が外面のねじ山を有することを除いて、締結具100と同じ特徴及び構成要素を有し得る。締結具100と同様に、締結具700は、6ポイント六角ソケット、12ポイント六角様幾何形状ソケット、又はレンチなどの工具からトルクを受け取ってねじ付き部分702にトルクを伝達するように設計され得る三対のトルク支持表面706、708、710を有する、第1のトルク支持部分704を含み得る。締結具100と同様に、締結具700はまた、6ローブソケット又は強化6ローブソケットなどの工具からトルクを受け取ってねじ付き部分702にトルクを伝達するように設計され得る六つのトルク支持表面720、722、724、726、728、730を有する、第2のトルク支持部分718を含み得る。締結具100と同様に、締結具700は、工具からトルクを受け取ってねじ付き部分702に伝達するように意図され得ない三つの非トルク支持表面734、736、738を有する、非トルク支持部分732を含み得る。締結具100と同様に、締結具700は、標準的な強化6ローブソケット140を用いて取付け及び取外しされ得る。締結具100と同様に、締結具700は、標準的な強化6ローブソケット140又は標準的な6ポイント六角ソケット144又は標準的な12ポイント六角様幾何形状ソケット146を用いて現場で取り外され得る。締結具700は、締結具700が締め付けられる対象物(図示せず)の締付け表面に接触するために、フランジ748を含み得る。フランジ748は、締付け表面に印加される力を分散させ得る。
【0023】
図8は、締結具100などの複合3ポイント駆動締結具のための例示的な工具サイズを示す。例えば、
図8は、M6のねじサイズを持つ締結具100には、11mmの六角ソケット(HEX)又は14EPの強化6ローブソケットが使用され得ることを示す。
【0024】
複合3ポイント駆動締結具を利用した場合、不適当な締結具が使用されるのを防ぐことにより、接合組立プロセスが失敗しないことが保証され得る。複合3ポイント駆動締結具を取り付ける組立オペレータは、上述のように、締結具を取り付けるために、強化6ローブソケットを使用することができる。しかし、不適当な六角締結具は、強化6ローブソケット内に嵌まらないので、強化6ローブソケットを用いて取り付けられ得ない。強化6ローブソケット140を使用することにより、オペレータが標準的な六角締結具を不注意に取り付けることはあり得ない。
図9は、標準的な六角ナット締結具が標準的な強化6ローブソケット140内に入らないことを示す。
図9は、六角ナット締結具と標準的な強化6ローブソケット140との間に干渉があることを示す。
【0025】
図10は、標準的な強化6ローブソケット140内の締結具100を示す。締結具100などの複合3ポイント駆動締結具は、同様の材料で作られた同様のサイズの標準的な締結具と比較して、締結具を生産するのに必要とされる材料の重量及び量を減少させる。例えば、締結具100は、標準的な強化6ローブナット締結具よりもおおよそ13%軽量である。軽量化は、標準的な強化6ローブ締結具に含まれるはずの一つおきのローブ1050を含まないこと、及び、標準的な強化6ローブ締結具の残りの三つのローブに含まれるはずの端部分1052を含まないことによって、達成される。締結具100はまた、標準的な6ポイント六角ナット締結具よりもおおよそ6%軽量である。
【0026】
締結具のいくつかの実施形態が説明されたが、締結具はそのように限定されるものではなく、また、本明細書における開示から逸脱することなく修正がなされ得ることが、理解されるべきである。本明細書において説明された各実施形態は、特定の特徴のみに言及する場合があり、また、他の実施形態に関して説明された全ての特徴に明確に言及しない場合があるが、本明細書において説明された特徴は、特定の特徴への言及がなされていない場合でも特に断りのない限り置き換え可能であることが、認識されるべきである。上記の利点は、必ずしも本締結具の唯一の利点であるのではなく、また、必ずしも説明された利点の全てが本締結具の全ての実施形態によって達成されることが予期されているわけではないこともまた、理解されるべきである。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められ、また、文字通りに又は均等物により、特許請求の範囲の意味する範囲内に含まれる全てのデバイス及び方法は、そこに含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0027】
100 締結具
102 ねじ付き部分
104 第1のトルク支持部分
106 トルク支持表面
106a トルク支持辺
106b トルク支持辺
108 トルク支持表面
108a トルク支持辺
108b トルク支持辺
110 トルク支持表面
110a トルク支持辺
110b トルク支持辺
112 エッジ
114 エッジ
116 エッジ
118 第2のトルク支持部分
120 トルク支持表面
122 トルク支持表面
124 トルク支持表面
126 トルク支持表面
128 トルク支持表面
130 トルク支持表面
132 非トルク支持部分
134 非トルク支持表面
136 非トルク支持表面
138 非トルク支持表面
140 標準的な強化6ローブソケット
142 ローブ
144 標準的な6ポイント六角ソケット
146 標準的な12ポイント六角様幾何形状ソケット
148 フランジ
700 締結具
702 ねじ付き部分
704 第1のトルク支持部分
706 トルク支持表面
708 トルク支持表面
710 トルク支持表面
718 第2のトルク支持部分
720 トルク支持表面
722 トルク支持表面
724 トルク支持表面
726 トルク支持表面
728 トルク支持表面
730 トルク支持表面
732 非トルク支持部分
734 非トルク支持表面
736 非トルク支持表面
738 非トルク支持表面
748 フランジ
1050 ローブ
1052 端部分